JP2011213783A - 塩基発生剤、感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料、当該感光性樹脂組成物を用いたレリーフパターンの製造方法並びに物品 - Google Patents

塩基発生剤、感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料、当該感光性樹脂組成物を用いたレリーフパターンの製造方法並びに物品 Download PDF

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Abstract

【課題】合成が容易で、触媒活性が高い塩基である3級のアミンやアミジンを発生可能な塩基発生剤、及び当該塩基発生剤を用いた感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】特定の酸と塩基を含む構造を有し、電磁波の照射により塩基を発生することを特徴とする塩基発生剤、並びに、当該塩基発生剤及び塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体を含有することを特徴とする、感光性樹脂組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電磁波の照射により塩基を発生する塩基発生剤、及び当該塩基発生剤を用いた感光性樹脂組成物に関し、特に、電磁波によるパターニング工程、又は硬化促進工程を経て形成される製品又は部材の材料として好適に利用することが出来る感光性樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料、レリーフパターンの製造方法、及び、当該樹脂組成物を用いて作製した物品に関するものである。
感光性樹脂組成物は、例えば、電子部品、光学製品、光学部品の成形材料、層形成材料又は接着剤などに用いられ、特に、電磁波によるパターニング工程を経て形成される製品又は部材に好適に利用されてきている。
例えば、高分子材料であるポリイミドは、耐熱性、寸法安定性、絶縁特性といった性能が有機物の中でもトップクラスの性能を示すため、電子部品の絶縁材料等へ広く適用され、半導体素子の中のチップコーティング膜や、フレキシブルプリント配線板の基材などとして盛んに利用されてきている。
また、近年、ポリイミドの有する課題を解決する為に、ポリイミドと類似の加工工程が適用される低吸水性で低誘電率を示すポリベンゾオキサゾールや、基板との密着性に優れるポリベンゾイミダゾール等も精力的に研究されている。
一般にポリイミドは溶媒への溶解性に乏しく、加工が困難なため、ポリイミドを所望の形状にパターニングする方法として、溶媒溶解性に優れるポリイミド前駆体の状態で露光と現像によるパターニングを行い、その後、熱処理等によりイミド化を行いポリイミドのパターンを得るという方法がある。
ポリイミド前駆体を利用して、パターンを形成する手段として、種々の方法が提案されている。その代表的なものは以下の二つである。
(1)ポリイミド前駆体にはパターン形成能力がなく、ポリイミド前駆体上に感光性樹脂をレジスト層として設けることによりパターンを形成する方法
(2)ポリイミド前駆体自身に感光性部位を結合や配位させて導入し、その作用により、パターンを形成する方法。または、ポリイミド前駆体に感光性成分を混合し樹脂組成物とし、その感光性成分の作用でパターンを形成する方法。
上記(2)を用いるパターニング手法の代表的なものとしては、(i)ポリイミド前駆体のポリアミック酸に電磁波の露光前は溶解抑止剤として作用し、露光後はカルボン酸を形成し溶解促進剤となるナフトキノンジアジド誘導体を混合し、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法や(特許文献1)、(ii)ポリイミド前駆体にエステル結合またはイオン結合を介してメタクリロイル基を導入し、そこに光ラジカル発生剤を添加し、露光部を架橋させることで露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法などが実用化されている(特許文献2)。
(2)の手法は、(1)の方法と比べ、レジスト層が必要ないため大幅にプロセスを簡略化させることができるが、(i)の方法では、溶解性コントラストを高めるためにナフトキノンジアジド誘導体の添加量を増加させると、ポリイミド本来の物性が得られなくなるという問題があった。また(ii)の方法では、ポリイミド前駆体の構造が制約されてしまうという問題があった。
この他のパターニング手法としては、(iii)ポリイミド前駆体のポリアミック酸に、光塩基発生剤を混合し、露光後加熱することで露光によって発生した塩基の作用によって環化を進行させ、現像液に対する溶解性を低下させることで、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法が報告されている(特許文献3)。
光塩基発生剤を用いた感光性樹脂組成物としては、その他に、エポキシ系化合物を用いた例がある(例えば、特許文献4)。光塩基発生剤に光を照射することによってエポキシ系化合物を含む層中でアミン類を発生させることで、アミン類が開始剤あるいは触媒として作用し、露光部だけエポキシ系化合物を硬化させることができ、パターン形成を行うことができる。
また、光の照射により、脱炭酸反応を伴うことなくアミン化合物を発生する光環化型の光塩基発生剤と、塩基反応性樹脂とを含む感光性樹脂組成物の例がある(例えば、特許文献5)。当該光塩基発生剤は高温耐性に優れるため、加熱により未露光部分において塩基を発生することなくパターン形成を行うことができる旨が記載されている。
特開昭52−13315号公報 特開昭54−145794号公報 特開平8−227154号公報 特開2003−212856号公報 特開2009−80452号公報
光塩基発生剤を用いた感光性樹脂組成物は、既存の高分子前駆体に、光塩基発生剤を一定比率で混合するだけで感光性高分子前駆体を得ることができるため、樹脂組成物を製造するプロセスが簡便である。しかし、特許文献5のような従来の光塩基発生剤は、その構造上、塩基として1級、2級アミンしか発生できず、3級のアミンやアミジンを発生することはできなかった。そのため、後述する比較例でも示したように、高分子前駆体の硬化を促進する触媒活性が、触媒活性が高い3級のアミンやアミジンを発生する場合と比べて劣ってしまうという問題があった。また、従来の光塩基発生剤は、組み合わせる高分子前駆体との親和性が低かったりして、感光性樹脂組成物中に十分な量で用いることができない場合があり、結果として、光塩基発生剤として十分機能を発揮できないという問題があった。また、従来の光塩基発生剤よりも更に容易に合成できる塩基発生剤が望まれていた。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その主目的は、合成及び精製が容易で、硬化触媒活性が高い3級のアミンやアミジンを発生可能な塩基発生剤、及び、当該塩基発生剤と様々な高分子前駆体と組み合わせて、露光部と未露光部とで溶解性コントラストが得られ、形状が良好なパターンを得ることができる感光性樹脂組成物を提供することにある。
本発明に係る塩基発生剤は、下記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされ、電磁波の照射により塩基を発生することを特徴とする。
Figure 2011213783
(式(1)及び式(1’)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R、R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。但し、R、R及びRの少なくとも1つは有機基である。R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基である。R、R、R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R10、R11、R12及びR13は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。R14は、水素原子、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基である。)
前記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤は、上記特定の構造を有することにより、合成及び精製が容易で、且つ、電磁波の照射により、硬化触媒活性が高い3級のアミンやアミジンを発生することが可能で、種々の高分子前駆体に利用可能な塩基発生剤である。フェノール性水酸基の加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基や、置換基を適宜選択することによって、組み合わせる化合物、例えば高分子前駆体や酸−塩基指示薬との相溶性が向上し、組み合わせ可能な化合物の範囲が増えたり、塩基発生剤の適用方法の範囲も拡大する。
また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び、上記本発明に係る塩基発生剤を含有することを特徴とする。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされ且つ電磁波の照射により塩基を発生する塩基発生剤を、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体に組み合わせたことにより、高分子前駆体の種類を問わず、形状が良好なパターンを得ることができる。
本発明において、前記塩基発生剤は、電磁波の照射と加熱により塩基を発生することが、感度が高くなる点から好ましい。
本発明において、前記塩基発生剤は、発生する塩基が、3級アミン、又は、アミジンであることが、高分子前駆体の硬化を促進する触媒活性が高く、より少量の塩基発生剤の添加で、より低い温度での最終生成物への反応が可能となる点から好ましい。
本発明において、前記塩基発生剤は、発生する塩基が、下記式(1−b)又は下記式(1’−b)で表される構造を1分子中に2個以上有する塩基であることが、エポキシ樹脂等の硬化剤として適している点から好ましい。
Figure 2011213783
(式(1−b)及び式(1’−b)中、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ、式(1)及び式(1’)と同じである。)
本発明に係る感光性樹脂組成物において、前記高分子前駆体としては、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、又はチイラン基を有する化合物及び高分子、ポリシロキサン前駆体、ポリイミド前駆体、並びにポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選択される1種以上が好適に用いられる。
本発明に係る感光性樹脂組成物において、前記高分子前駆体は、塩基性溶液に可溶であることが、露光部と未露光部の溶解性コントラストを大きくできる点から好ましい。
本発明の一実施形態においては、感光性樹脂組成物の高分子前駆体として、ポリアミック酸のようなポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体を用いることができる。このような高分子前駆体を用いると、耐熱性、寸法安定性、及び絶縁特性等の物性に優れた感光性樹脂組成物を得ることができる。前記ポリイミド前駆体は、ポリアミック酸であることが、原料の入手が容易な点から好ましい。
また、本発明は、上記本発明に係る感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料を提供する。
さらに本発明は、上記感光性樹脂組成物を用いるレリーフパターンの製造方法を提供する。
本発明に係るレリーフパターンの製造方法は、上記感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は成形体を形成し、当該塗膜又は成形体を、所定パターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱し、前記照射部位の溶解性を変化させた後、現像することを特徴とする。
上記レリーフパターンの製造方法においては、高分子前駆体と、塩基発生剤として上記化学式(1)又は化学式(1’)で表されるような化合物とを組み合わせて用いることにより、感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体の表面を現像液から保護するためのレジスト膜を用いずに、現像を行うパターン形成が可能である。
また、本発明は、上記感光性樹脂組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料のいずれかの物品も提供する。
本発明の塩基発生剤は、化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる構造を有することにより、合成及び精製が容易で、且つ、電磁波の照射により、硬化触媒活性が高い3級のアミンやアミジンを発生することが可能で、種々の高分子前駆体に利用可能な塩基発生剤である。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされ且つ電磁波の照射により塩基を発生する塩基発生剤を、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体に組み合わせたことにより、高分子前駆体の種類を問わず、形状が良好なパターンを得ることができる。
さらに本発明の感光性樹脂組成物においては、酸と異なり塩基が金属の腐食を起こさないため、より信頼性の高い硬化膜を得ることが出来る。
以下、本発明について詳しく説明する。
なお、本発明において(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
また、本発明において、電磁波とは、波長を特定した場合を除き、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。本明細書では、電磁波の照射を露光ともいう。なお、波長365nm、405nm、436nmの電磁波をそれぞれ、i線、h線、g線とも表記することがある。
<塩基発生剤>
下記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされ、電磁波の照射により塩基を発生することを特徴とする。
Figure 2011213783
(式(1)及び式(1’)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R、R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。但し、R、R及びRの少なくとも1つは有機基である。R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基である。R、R、R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R10、R11、R12及びR13は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。R14は、水素原子、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基である。)
本発明の塩基発生剤は、光塩基発生剤の1種であり、電磁波が照射されるだけでも塩基を発生するが、適宜加熱をすることにより、塩基の発生が促進される。本発明の塩基発生剤は、電磁波の照射と加熱を組み合わせることにより、少ない電磁波照射量で、効率的に塩基を発生することが可能であり、従来の所謂光塩基発生剤と比べて高い感度を有する。
特に、フェノール性水酸基の加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基や、置換基を適宜選択することによって、組み合わせる化合物、例えば高分子前駆体や酸−塩基指示薬との相溶性が向上し、組み合わせ可能な化合物の範囲が増えたり、塩基発生剤の適用方法の範囲も拡大する。保護基を用いる場合には、例えば、フェノール性水酸基と共存することが好ましくない高分子前駆体に対しても、樹脂組成物中に共存させて用いることが可能になる。
本発明に係る塩基発生剤は、上記特定構造を有するため、電磁波が照射されることにより、下記式で示されるように、式(1)又は式(1’)中の(−CR=CR−C(=O)−)部分がトランス体からシス体へと異性化し、さらに加熱及び/又は電磁波の照射によって保護基R14が脱保護されると共に環化し、塩基(NR)を生成する。発生した塩基の触媒作用によって、高分子前駆体が最終生成物となる際の反応が開始される温度を下げたり、高分子前駆体が最終生成物となる硬化反応を開始することができる。
Figure 2011213783
、R及びRは、それぞれ、独立に水素原子又は有機基であるが、R、R及びRのうち少なくとも1つは有機基である。また、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は有機基である。Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基である。
1価の有機基としては、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン原子化アルキル基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素原子基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも良い。
また、R、R及びR、或いは、R、R、R及びRは、それらが結合して環状構造になっていても良い。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素原子、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素原子、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。なお、本発明において、式(1’)に含まれるようなアミジン構造を有している場合には、式(1)に含まれるHNの構造が含まれていても、式(1’)に属する陽イオンとする。
前記R、R及びR、或いは、R、R、R及びRの有機基中の炭化水素原子基以外の結合としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されず、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−、ここでRは水素原子又は1価の有機基)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。耐熱性の点から、有機基中の炭化水素原子基以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:ここでRは水素原子又は1価の有機基)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
前記R及びR及びR、或いは、R、R、R及びRの有機基中の炭化水素原子基以外の置換基としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されず、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基、アミノ基(−NH2, −NHR, −NRR’:ここで、R及びR'はそれぞれ独立に炭化水素原子基)等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素原子基によって置換されていても良い。また、上記置換基に含まれる炭化水素原子基は、直鎖、分岐、及び環状のいずれでも良い。
上記化学式(1)において生成する塩基性物質は下記式(1−b)で表されるNRであるため、1級アミン、2級アミン、3級アミン又は複素環式化合物が挙げられる。またアミンには、それぞれ、脂肪族アミン及び芳香族アミンがある。なお、ここでの複素環式化合物は、NRが環状構造を有し且つ芳香族性を有しているものをいう。芳香族複素環式化合物ではない、非芳香族複素環式化合物は、ここでは脂環式アミンとして脂肪族アミンに含まれる。
上記化学式(1’)において生成する塩基性物質は下記式(1’−b)で表されるアミジンであり、R又はRが水素原子であるグアニジンのようなアミジンや、R及びRがいずれも炭素原子に結合している1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)のようなアミジン等が挙げられる。
Figure 2011213783
更に、発生する塩基は、上記式(1−b)又は上記式(1’−b)で表される構造を1分子中に1個だけ有するモノアミン等の塩基だけでなく、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等の上記式(1−b)又は上記式(1’−b)で表される構造を1分子中に2個以上有する塩基であってもよい。発生する塩基が、上記式(1−b)又は上記式(1’−b)で表される構造を1分子中に2個以上有する塩基の場合、例えば下記式で表されるように、上記式(1−b)又は上記式(1’−b)で表される構造を1分子中に2個以上有する塩基の2個以上の陽イオンが、それぞれ光潜在性部位としての化学式(1)又は化学式(1’)の構造のカルボン酸イオン(陰イオン)部分と、2個以上塩を形成している構造が挙げられる。
Figure 2011213783
発生する塩基が、下記式(1−b)又は下記式(1’−b)で表される構造を1分子中に2個以上有する塩基である場合には、エポキシ系化合物と組み合わせる場合などに、硬化促進剤としてだけでなく硬化剤としても機能することが可能な点から好適に用いることができる。
脂肪族1級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソアミルアミン、tert−ペンチルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、シクロヘプタンアミン、オクチルアミン、2−オクタンアミン、2,4,4−トリメチルペンタン−2−アミン、シクロオクチルアミン等が挙げられる。
芳香族1級アミンとしては、アニリン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、及び4−アミノフェノール等が挙げられる。
脂肪族2級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルメチルアミン、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカン、メチルアジリジン、ジメチルアジリジン、メチルアゼチジン、ジメチルアゼチジン、トリメチルアゼチジン、メチルピロリジン、ジメチルピロリジン、トリメチルピロリジン、テトラメチルピロリジン、メチルピペリジン、ジメチルピペリジン、トリメチルピペリジン、テトラメチルピペリジン、ペンタメチルピペリジン等が挙げられ、中でも脂環式アミンが好ましい。
芳香族2級アミンとしては、メチルアニリン、ジフェニルアミン、及びN−フェニル−1−ナフチルアミンが挙げられる。
脂肪族3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリベンジルアミン、キヌクリジンおよび、3−キヌクリジノール等が挙げられる。
芳香族3級アミンとしては、トリフェニルアミン、ジメチルアニリン等が挙げられる。
又はRが水素原子であるアミジンとしては、イミダゾール、プリン、トリアゾール、グアニジン及びこれらの誘導体等が挙げられる。
及びRがいずれも炭素原子に結合しているアミジンとしては、ピリミジン、トリアジン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)及び1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5(DBN)及びこれらの誘導体等が挙げられる。
ジアミン以上のアミンとしてはエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン等の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン等の分岐状脂肪族アルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の一般式NH(CHCHNH)Hで示されるポリエチレンアミン類;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン、メンセンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ジアミン;ベンゼントリアミン、メラミン、2,4,6−トリアミノピリミジン等のトリアミン;2,4,5,6−テトラアミノピリミジン等のテトラアミンを挙げることができる。
、R及びR、或いは、R、R、R及びRの位置に導入される置換基によって、生成する塩基性物質の熱物性や塩基性度が異なる。
高分子前駆体から最終生成物への反応に対する反応開始温度を低下させる等の触媒作用は、塩基性の大きい塩基性物質の方が触媒としての効果が大きく、より少量の添加で、より低い温度での最終生成物への反応が可能となる。一般に1級アミンよりは2級アミン、2級アミンよりは3級アミンの方が塩基性は高く、その触媒効果が大きい。また、アミジンも、塩基性が強いため、触媒効果が大きい。
また、芳香族アミンよりも脂肪族アミンの方が塩基性が強いため好ましい。
また、本発明で発生する塩基が、3級アミン及び/又はアミジンである場合には、塩基発生剤としての触媒活性が高くなる点から好ましい。これは、3級アミンやアミジンを用いることで、アミド結合部位の活性水素原子がなくなり、このことにより、電子密度が変化し、異性化の感度が向上するからではないかと推定される。
また、化学式(1)又は(1’)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。
本発明において、特に化学式(1)又は(1’)中のR及びRのうち少なくとも1つが、水素原子ではなく、上記特定の官能基である場合には、R及びRの両方共が水素原子の場合と比べて、本発明の塩基発生剤は、有機溶剤に対する溶解性を更に向上させたり、高分子前駆体との親和性を向上させることが可能である。例えば、R及びRのうち少なくとも1つが、アルキル基やアリール基等の有機基である場合、有機溶剤に対する溶解性が向上する。また、例えばR及びRのうち少なくとも1つがフッ素等のハロゲン原子である場合、フッ素等のハロゲン原子を含有する高分子前駆体との親和性が向上する。また、例えばR及びRのうち少なくとも1つがシリル基やシラノール基を有する場合、ポリシロキサン前駆体との親和性が向上する。このように、R及び/又はRを所望の有機溶剤や高分子前駆体に合わせて適宜置換基を導入することにより、所望の有機溶剤に対する溶解性や、所望の高分子前駆体との親和性を向上することが可能である。
ハロゲン原子、有機基としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に制限がなく、後述するR10、R11、R12及びR13に挙げたものと同様のものを用いることができる。また、前記R及びRの有機基中の炭化水素原子基以外の結合、炭化水素原子基以外の置換基も、後述するR10、R11、R12及びR13に挙げたものと同様のものを用いることができる。
及びRとしては、水素原子であっても良いが、置換基を有する場合には少なくとも一方が、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜20のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数4〜23のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数4〜23のシクロアルケニル基;フェノキシメチル基、2−フェノキシエチル基、4−フェノキシブチル基等の炭素数7〜26のアリールオキシアルキル基(−ROAr基);ベンジル基、3−フェニルプロピル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;シアノメチル基、β−シアノエチル基等のシアノ基をもつ炭素数2〜21のアルキル基;ヒドロキシメチル基等の水酸基をもつ炭素数1〜20のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基、アセトアミド基、ベンゼンスルホナミド基(CHSONH−)等の炭素数2〜21のアミド基、メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜20のアルキルチオ基(−SR基)、アセチル基、ベンゾイル基等の炭素数1〜20のアシル基、メトキシカルボニル基、アセトキシ基等の炭素数2〜21のエステル基(−COOR基及び−OCOR基)、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、トリル基等の炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、及びメチルチオ基(−SCH)であることが好ましい。また、上記のアルキル部分は直鎖でも分岐状でも環状でも良い。
また、化学式(1)又は(1’)において、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は1価の有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R10、R11、R12及びR13は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素などが挙げられる。
有機基としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に制限がなく、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び飽和又は不飽和ハロゲン原子化アルキル基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、ヒドロキシイミノ基等が挙げられる。これらの有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素原子基以外の結合や置換基を含んでよく、これらは、直鎖状でも分岐状でも良い。
前記R10〜R13の有機基中の炭化水素原子基以外の結合としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されず、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。
耐熱性の点から、有機基中の炭化水素原子基以外の結合としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:ここでRは水素原子又は1価の有機基)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
前記R10〜R13の有機基中の炭化水素原子基以外の置換基としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されず、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基、アミノ基(−NH2, −NHR, −NRR':ここで、R及びR'はそれぞれ独立に炭化水素原子基) 、アンモニオ基等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素原子基によって置換されていても良い。また、上記置換基に含まれる炭化水素原子基は、直鎖、分岐、及び環状のいずれでも良い。
中でも、R10〜R13の有機基中の炭化水素原子基以外の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシル基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、飽和又は不飽和アルキルエーテル基、飽和又は不飽和アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、及びアリールチオエーテル基が好ましい。
また、R10〜R13は、それらのうち2つ以上が結合して環状構造になっていても良い。
環状構造は、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素原子、複素環、及び縮合環、並びに当該脂環式炭化水素原子、複素環、及び縮合環よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であっても良い。例えば、R10〜R13は、それらの2つ以上が結合して、R10〜R13が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成していても良い。
本発明においては本発明の置換基R10〜R13に、置換基を1つ以上導入することが好ましい。すなわち、R10、R11、R12及びR13の少なくとも1つが、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は1価の有機基であることが好ましい。置換基R10〜R13に、上記のような置換基を少なくとも1つ導入することにより、吸収する光の波長を調整することが可能であり、置換基を導入することで所望の波長を吸収させるようにすることもできる。芳香族環の共役鎖を伸ばすような置換基を導入することにより、吸収波長を長波長にシフトすることができる。また、溶解性や組み合わせる高分子前駆体との相溶性が向上するようにすることもできる。例えば、組み合わせる高分子前駆体の溶剤溶解性や親和性を考慮して、親水性基や疎水性基を導入することができる。以上のように、組み合わせる高分子前駆体の吸収波長も考慮しながら、感光性樹脂組成物の感度を向上させることが可能である。
所望の波長に対して吸収波長をシフトさせる為に、どのような置換基を導入したら良いかという指針として、Interpretation of the Ultraviolet Spectra of Natural Products(A.I.Scott 1964)や、有機化合物のスペクトルによる同定法第5版(R.M.Silverstein 1993)に記載の表を参考にすることができる。
10〜R13としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜20のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数4〜23のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数4〜23のシクロアルケニル基;フェノキシメチル基、2−フェノキシエチル基、4−フェノキシブチル基等の炭素数7〜26のアリールオキシアルキル基(−ROAr基);ベンジル基、3−フェニルプロピル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;シアノメチル基、β−シアノエチル基等のシアノ基をもつ炭素数2〜21のアルキル基;ヒドロキシメチル基等の水酸基をもつ炭素数1〜20のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基、アセトアミド基、ベンゼンスルホナミド基(CHSONH−)等の炭素数2〜21のアミド基、メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜20のアルキルチオ基(−SR基)、アセチル基、ベンゾイル基等の炭素数1〜20のアシル基、メトキシカルボニル基、アセトキシ基等の炭素数2〜21のエステル基(−COOR基及び−OCOR基)、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、トリル基等の炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、及びメチルチオ基(−SCH)であることが好ましい。また、上記のアルキル部分は直鎖でも分岐状でも環状でも良い。
また、R10〜R13としては、それらの2つ以上が結合して、R10〜R13が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も、吸収波長が長波長化する点から好ましい。
また、本発明に係る塩基発生剤において、R10、R11、R12及びR13の少なくとも1つが水酸基である場合、R10、R11、R12及びR13に水酸基を含まない化合物と比べ、塩基性水溶液等に対する溶解性の向上、および吸収波長の長波長化が可能な点から好ましい。また、特にR13がフェノール性水酸基である場合、シス体に異性化した化合物が環化する際の反応サイトが増えるため、環化しやすくなる点から好ましい。
また、R10〜R13のうち、R10とR11、R11とR12、R12とR13、並びに、R10とR11及びR12とR13のいずれかに下記式(2)の部分構造を有することも、感度に優れる点から好ましい。
Figure 2011213783
(式(2)において、Xは、2つの酸素原子と結合可能な連結基である。)
該−O−X−O−部位は、ベンゼン環の3位〜6位のうち隣り合う位置に吸収波長を長波長にシフトさせる効果のあるアルコキシ基に類似の置換基が導入され、この2つの置換基が結合した構造である。そのため、このような置換基を有する塩基発生剤は、該ベンゼン環の3位〜6位のうち隣り合う位置にアルコキシ基をそれぞれ導入した場合と比べ、−O−X−O−と結合することで、酸素原子が固定され効率よく吸収波長を長波長化し、少ない電磁波照射量で塩基性物質を発生でき、感度を高めることができると推定される。
上記化学式(2)の部分構造におけるXは、2つの酸素原子と結合可能な連結基であれば特に限定されない。
本発明においては、高感度化の観点から、上記Xはヘテロ原子を含んでいてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和脂肪族、或いは芳香族炭化水素原子基、ヘテロ原子を含んでいてもよく、置換基を有していてもよいケイ素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のケイ素−ケイ素二重結合を含んでいてもよいケイ化水素原子基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合、及びスルホニル結合よりなる群から選ばれる連結基であることが好ましい。
上記Xにおける直鎖、分岐、又は環状の飽和脂肪族炭化水素原子基は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、置換基を有していてもよい。当該飽和脂肪族炭化水素原子基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキシレン基、デシレン基、ドデシレン基、ヘキサデシレン基、オクタデシレン基等のアルキレン基;エチリデン基、プロピリデン基;シクロヘキシレン基、ノルボナレン基、アダマンタレン基等のシクロアルキレン基等が挙げられる。
上記Xにおける直鎖、分岐、又は環状の不飽和脂肪族炭化水素原子基は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、置換基を有していてもよい。当該不飽和脂肪族炭化水素原子基としては、例えば、ビニレン基等が挙げられる。
また、上記飽和脂肪族炭化水素原子基、及び不飽和脂肪族炭化水素原子基が有していてもよい置換基としては、上記R10〜R13の有機基中の炭化水素原子基以外の置換基と同様であってよい。
また、上記飽和脂肪族炭化水素原子基、及び不飽和脂肪族炭化水素原子基がヘテロ原子を含む場合としては、飽和脂肪族炭化水素原子基、又は不飽和脂肪族炭化水素原子基に、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、カーボネート結合、スルホニル結合等を含む場合が挙げられる。
上記Xにおける芳香族炭化水素原子基は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、置換基を有していてもよい。当該芳香族炭化水素原子基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
また、上記芳香族炭化水素原子基が有していてもよい置換基としては、上記飽和脂肪族炭化水素原子基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
また、上記芳香族炭化水素原子基が、ヘテロ原子を含む場合(複素環)、その具体例としては、フラン、チオフェン等が挙げられる。
上記Xにおける直鎖、分岐、又は環状のケイ化水素原子基は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、置換基を有していてもよい。また、ケイ素−ケイ素二重結合を含んでいてもよい。
ここで、本発明において、ケイ化水素原子基とは、2価の場合が−(SiH−、1価の場合が−(SiH−Hのケイ素と水素原子のみからなる基であり、nは1以上の自然数である。
当該ケイ化水素原子基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、1価の有機基等が挙げられる。これらの置換基は、上記R10〜R13において説明したのと同様であってよい。
また、当該ケイ化水素原子基がヘテロ原子を含む場合、Xが含む結合としては、上記飽和脂肪族炭化水素原子基において例示したものを挙げることができる。
中でも、更に、前記化学式(2)で表わされる部分構造が、下記化学式(3)で表わされる部分構造であることが好ましい。
Figure 2011213783
(化学式(3)中、Zは、炭素原子、ケイ素原子、炭素−炭素二重結合(−C=C−)、又はケイ素−ケイ素二重結合(−Si=Si−)である。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、ニトロソ基、メルカプト基、シラノール基、置換基を有していてもよいケイ化水素原子基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。nは1〜10の整数を表す。)
及びRが結合して形成する環状構造としては、飽和又は不飽和の脂環式炭化水素原子、複素環、及び芳香族炭化水素原子、並びに当該脂環式炭化水素原子、複素環、及び芳香族炭化水素原子よりなる群から選ばれる2種以上が組み合されてなる構造であってもよい。
例えば、Zが炭素原子である場合に、n個のR及びRのうちのいずれか2個が結合して脂環式炭化水素原子や複素環を形成してもよい。また、Zが炭素−炭素二重結合である場合に、R及びRはZの炭素−炭素二重結合とともに環状構造を形成し、芳香族環を形成していてもよい。
Zがケイ素原子である場合に、n個のR及びRがそれぞれ有機基であって、炭素原子同士が結合して環状構造を形成していてもよい。n個のR及びRがそれぞれ置換基を有していてもよいケイ化水素原子基であって、ケイ素原子同士が結合して環状構造を形成していてもよい。また、当該環状構造は酸素等のヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。
また、Zがケイ素−ケイ素二重結合である場合に、R及びRはZのケイ素−ケイ素二重結合とともに炭素原子及び/又はケイ素原子により環状構造を形成していてもよく、当該環状構造は、更に、ケイ素−ケイ素二重結合を含んでいても良い。
また、R及びRのうちのハロゲン原子及び1価の有機基は、上記R10〜R13において説明したのと同様であってよい。
nは1〜10の整数を表し、好ましくは1〜6の整数、更に好ましくは1〜3である。
以下に、上記式(2)で表される部分構造を有する例のうち、カルボン酸イオン部分のみを示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2011213783
また、R10〜R13のいずれかが、下記式(4)で表される部分構造を有することも、感度が高く、且つ、有機溶剤に対する溶解性や組み合わせる高分子前駆体との親和性に優れる点から好ましい。式(4)で表わされる部分構造は、アルコキシ基に類似の置換基であるため、吸収波長を長波長にシフトさせる効果があり、少ない電磁波照射量で塩基性物質を発生でき、感度を高めることができると推定される。また、式(4)で表わされる部分構造は、繰り返し構造であるRO部位を有するため、溶解性や親和性が良好になると推定される。
Figure 2011213783
(式(4)において、Rは、2つの酸素原子と結合可能な連結基である。Rは、水素原子、シリル基、シラノール基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、又は1価の有機基である。nは1以上の整数である。)
上記式(4)の部分構造は、R10、R11、R12及びR13の少なくとも1つに含まれれば良い。典型的には、R10、R11、R12及びR13のいずれかの位置において、上記式(4)の部分構造が置換基として直接ベンゼン環に結合している構造が挙げられる。R10、R11、R12及びR13のいずれかが有機基であって、その有機基の一部として上記化学式(4)の部分構造を有していても良い。R10〜R13の2つ以上が結合して、シクロヘキシル基等の脂環式炭化水素原子構造を形成している場合や、R10〜R13の2つ以上が結合してそれらが結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン、フルオレン等の縮合環を形成している場合に、当該環状構造に上記式(4)の部分構造を置換基として有していても良い。
上記化学式(4)の部分構造におけるRは、2つの酸素原子と結合可能な連結基であれば特に限定されない。また、繰り返し単位に含まれるn個のRは、それぞれ同一であっても異なっていても良い。
本発明においては、高感度化の観点から、上記Rはヘテロ原子を含んでいてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和脂肪族、或いは芳香族炭化水素原子基、ヘテロ原子を含んでいてもよく、置換基を有していてもよいケイ素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のケイ素−ケイ素二重結合を含んでいてもよいケイ化水素原子基、カルボニル結合、チオカルボニル結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、及びアゾ結合よりなる群から選ばれる連結基であることが好ましい。
耐熱性の点から、上記Rはヘテロ原子を含んでいてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和脂肪族、或いは芳香族炭化水素原子基、ヘテロ原子を含んでいてもよく、置換基を有していてもよいケイ素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のケイ素−ケイ素二重結合を含んでいてもよいケイ化水素原子基、カルボニル結合、チオカルボニル結合、スルホニル結合、及びスルフィニル結合よりなる群から選ばれる連結基であることが好ましい。これらは、上記式(2)におけるXと同様のものを用いることができる。
中でも、Rとしては、ヘテロ原子を含んでいてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和脂肪族、或いは芳香族炭化水素原子基であることが好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素原子基であることが好ましい。中でも、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖、分岐又は環状の飽和脂肪族炭化水素原子基であることが好ましく、更に置換基を有していてもよい炭素数1〜3の直鎖、分岐又は環状の飽和脂肪族炭化水素原子基であることが好ましい。
ORの繰り返し数であるnは、1以上の整数である。nは、Rの構造や分子量によって適宜調整されることが好ましいが、中でも1〜20が好ましく、更に1〜10が好ましい。
は、水素原子、シリル基、シラノール基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、又は1価の有機基であるが、1価の有機基としては、上記R10〜R13で挙げた1価の有機基と同様のものを用いることができる。
中でも、感度と溶剤溶解性の点から、Rとしては、1価の有機基が好ましい。
また、本発明に係る塩基発生剤において、R14は、水素原子、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基である。ここで、“脱保護可能な”とは、−ORから−OHに変化する可能性があることを表す。R14が水素の場合には、本発明に係る塩基発生剤は、環化することで、フェノール性水酸基を消失し、溶解性が変化し、塩基性水溶液等の場合には溶解性が低下する。これにより、後述する本発明に係る感光性樹脂組成物に含まれる高分子前駆体がポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体である場合、当該前駆体の最終生成物への反応による溶解性の低下を更に補助する機能を有し、露光部と未露光部の溶解性コントラストを大きくすることが可能となる。
また、R14が加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基である場合、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護されて、水酸基を生成する。R14は、本発明の塩基発生剤において、式(1)又は式(1’)中に存在する塩が分解しない条件下で、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能なフェノール性水酸基の保護基であれば、特に限定されず用いることができる。例えば、塩は、三臭化ホウ素や三塩化アルミニウム等の強ルイス酸や硫酸、塩酸、硝酸等の強酸等が存在する強酸性下における加熱や、水酸化ナトリウム等の強塩基が存在する強塩基性下における加熱により分解する。従って、このような強酸性又は強塩基性条件下での加熱でしか脱保護されない保護基は、本発明の塩基発生剤に用いられる保護基としては不適切である。R14は、溶解性や相溶性の向上或いは合成時の反応性の変化などを目的として、当該塩基発生剤と組み合わせて用いられる化合物の種類や、塩基発生剤の適用方法や合成方法により適宜選択されるものである。
加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基としてのR14は、シリル基、シラノール基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、又は1価の有機基から選択することができる。
14としては、下記式(5−1)〜下記式(5−6)で表わされる有機基よりなる群から選択される1種以上であることが、式(1)又は式(1’)中に存在する塩が分解しない条件下で、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な点から好ましい。
Figure 2011213783
(式(5−1)中、R20、R21、R22はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または1価の有機基であり、R23は1価の有機基であり、R20、R21、R22、R23はそれぞれ互いに結合して環状構造を示していても良い。式(5−2)中、R24は、1価の有機基である。式(5−3)中、R25、R26、R27はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または1価の有機基である。式(5−4)中、R28は、1価の有機基である。式(5−5)中、R29は、置換基を有していても良い芳香環である。式(5−6)中、R30は、1価の有機基である。)
上記式(5−1)で表される有機基は、例えば以下のように、フェノール性水酸基とビニルエーテル化合物との反応により得ることができる。
Figure 2011213783
(式中、R20、R21、R22、及びR23はそれぞれ式(5−1)と同じである。)
上記式(5−1)で表される有機基のR20、R21、R22、R23は、上記反応により得る場合には、用いられるビニルエーテル化合物の構造によって決まる。上記式(2−1)で表される有機基は、当該塩基発生剤と組み合わせて用いられる高分子前駆体などの化合物の種類や、適用方法により適宜選択されれば良く、特に限定されるものではない。
20、R21、R22は、水素原子、または、置換または無置換のアルキル基、アリル基、アリール基が好ましい。特に原料入手の容易性から、水素原子であることが好ましい。また、1級、2級、3級のアミノ基や、水酸基などの活性水素原子を有する置換基は化合物の安定性の点から含まないことが好ましい。
上記式(5−1)で表される有機基のR23は、炭素数が1以上の1価の有機基である。R23は、炭化水素原子骨格を有する基が例示される。炭化水素原子骨格を有する基は、ヘテロ原子等の炭化水素原子以外の結合や置換基を含んでいてもよいし、そのようなヘテロ原子の部分が芳香環に組み込まれて複素環となっていても良い。炭化水素原子骨格を有する基としては、例えば、直鎖、分岐鎖、又は環状の飽和又は不飽和炭化水素原子基、直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和ハロゲン原子化アルキル基、或いは、フェニル、ナフチル等の芳香族基、さらには、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素原子骨格中にエーテル結合を含有する基(例えば、−(R−O)n−R’、ここでR及びR’は置換又は無置換の飽和又は不飽和炭化水素原子、nは1以上の整数;-R”−(O−R”’)、ここでR”及びR”’は置換又は無置換の飽和又は不飽和炭化水素原子、mは1以上の整数、−(O−R”’)はR”の末端とは異なる炭素に結合している;などが挙げられる。)、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素原子骨格中にチオエーテル結合を含有する基、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素原子骨格上にシアノ基、シリル基、ニトロ基、アセチル基、アセトキシ基等のヘテロ原子又はヘテロ原子を含有する基が結合してなるさまざまな基が挙げられる。また、上記式(5−1)で表される有機基のR23は、R20やR21と連結して環状構造を有していても良い。R23も、1級、2級、3級のアミノ基や、水酸基などの活性水素原子を有する置換基は化合物の安定性の点から含まないことが好ましい。
下記式(5−1)で表わされる有機基は、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護するが、脱保護する温度は、一般に上記式中のR23において、ビニルエーテル化合物のエーテル結合の酸素原子と直接結合している炭素が、第3級炭素原子(以下、単に「3級炭素」という場合がある)<第2級炭素原子(以下、単に「2級炭素」という場合がある)<第1級炭素原子(以下、単に「1級炭素」という場合がある)の置換基の順で高くなる傾向がある。
一方、保護するためのビニルエーテル化合物と水酸基の反応は、一般に上記式中のR23において、酸素原子と結合する炭素が1級炭素<2級炭素<3級炭素の置換基の順で高い反応率を示す傾向がある。
そのため、当該塩基発生剤と組み合わせる化合物と使用方法により、脱保護するための加熱温度が選択され、その加熱温度から保護基を適宜選択することが好ましい。
なお、本発明において、エーテル酸素に結合する炭素原子(式(5−1)のR23において酸素原子と結合している炭素原子)、又は式(5−1)の有機基を誘導するビニルエーテル化合物のビニル基に結合したエーテル酸素に結合するもう一方の炭素原子について、第1級炭素原子とは、結合している他の炭素原子が0個又は1個の場合をいい、第2級炭素原子とは、結合している他の炭素原子が2個の場合をいい、第3級炭素原子とは、結合している他の炭素原子が3個の場合をいう。
前記式(5−1)中のR23は、炭素数が1〜18であることが、分解物の揮発性の点から好ましく、炭素数が3〜10であることが更に好ましい。
前記式(5−1)のR23としては特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、シクロヘキシロキシプロピル基、2−テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。また、前記式(5−1)においてR23が、R20やR21と連結して環状構造となり、R14に相当する置換基が2−テトラヒドロピラニル基等の環状エーテルとなったもの等が挙げられる。
上記式(5−2)で表される有機基は、例えば、フェノール性水酸基と所謂カーボネート系保護基との反応により得ることができる。
カーボネート系保護基としては、例えば、tert-ブトキシカルボニル基(Boc−)、ベンジルオキシカルボニル基(Z−)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc−)、1,1−ジオキソベンゾ[b]チオフェン−2−イルメトキシカルボニル基(Bsmoc−)、2−(4−ニトロフェニルスルホニル)エトキシカルボニル基(Nsc−)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基(Z(OMe−))、アリルオキシカルボニル基(Alloc−)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基(Troc−)等が挙げられる。
前記式(5−2)のR24としては特に限定されないが、例えば、tert−ブチル基、ベンジル基、9−フルオレニルメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、アリル基、p−メトキシベンジル基、1,1−ジオキソベンゾ[b]チオフェン−2−イルメチル基、2−(4−ニトロフェニルスルホニル)エチル基、o−ニトロベンジル基等が挙げられる。o−ニトロベンジル基の場合には、電磁波照射により脱保護が可能である。
上記式(5−3)で表される有機基は、例えば、フェノール性水酸基とシリルエーテル系保護基との反応により得ることができる。
シリルエーテル系保護基としては例えば、トリメチルシリル基(TMS−)、tert−ブチルジメチルシリル基(TBDMS−)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS−)、トリイソプロピルシリル基(TIPS−)等が挙げられる。
前記式(5−3)のR25、R26、R27としては特に限定されないが、例えば、メチル基、tert−ブチル基、イソプロピル基等のアルキル基、フェニル基のアリール基が好適に用いられる。
上記式(5−4)で表される有機基は、例えば、フェノール性水酸基と酸塩化物または酸無水物により得ることができる。
式(5−4)で表されるエステル系保護基としては、例えば、アセチル基(Ac−)、ピバロイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
前記式(5−4)のR28としては特に限定されないが、例えば、メチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が好適に用いられる。
上記式(5−5)で表される有機基は、例えば、Williamson反応を用いてフェノール性水酸基とハロゲン原子化物により得ることができる。
式(5−5)で表されるエーテル系保護基としては、例えば、置換基を有していても良いベンジル基等が挙げられる。
前記式(5−5)のR29は置換基を有していても良い芳香環であり、特に限定されないが、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。特に、式(5−5)で表される有機基が、o−ニトロベンジル基の場合、すなわち、R29が2−ニトロフェニル基の場合には、電磁波照射により脱保護が可能である。
上記式(5−6)で表される有機基は、例えば、フェノール性水酸基とイソシアネートとの反応により得ることができる。
カルバメート系保護基としては、例えば、ベンジルイソシアネート等が挙げられる。
前記式(5−6)のRとしては特に限定されないが、例えば、ベンジル基等が挙げられる。
化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる構造のカルボン酸イオン部分は、幾何異性体が存在するが、トランス体のみを用いることが好ましい。しかし、合成および精製工程および保管時などにおいて幾何異性体であるシス体が混ざる可能性もあり、この場合トランス体とシス体の混合物を用いても良いが、溶解性コントラストを高められる点から、シス体の割合が10%未満であることが好ましい。
上記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤は、加熱して初期の重量から5%重量が減少したときの温度(5%重量減少温度)が、60℃以上であることが好ましく、更に100℃以上であることが好ましい。ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体の場合、塗膜を形成する際にN−メチル−2−ピロリドンなどの高沸点溶媒を用いる必要があるが、このように5%重量減少温度が高い場合には残留溶媒の影響が少なくなるような乾燥条件で塗膜を形成することができる。これにより、残留溶媒の影響による露光部と未露光部での溶解性コントラストの減少を抑制することができる。
本発明において、x%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量からx%減少した時点(すなわち、サンプル重量が初期の(100−x)%となった時点)の温度である。
また、本発明の感光性樹脂組成物を用いた製品中に本発明の塩基発生剤に由来する不純物が残存しないことが好ましいため、本発明の塩基発生剤は、現像後に行う加熱のプロセス(例えば、組み合わせる高分子がポリイミド前駆体の場合、イミド化のプロセス)で分解、又は揮発してしまうことが好ましい。具体的には、初期の重量から50%重量が減少したときの温度(50%重量減少温度)が400℃以下であることが好ましく、更に350℃以下であることが好ましい。また、発生する塩基の沸点が25℃以上であることが、室温での取り扱い性が良好になることから好ましい。発生する塩基の沸点が25℃以上でない場合には、塗膜とした際に、特に乾燥時に生成したアミンが蒸発しやすくなってしまうため作業が困難となる恐れがある。
また、発生する塩基の沸点が25℃以上であることが、室温での取り扱い性が良好になることから好ましい。発生する塩基の沸点が25℃以上でない場合には、塗膜とした際に、特に乾燥時に生成したアミンが蒸発しやすくなってしまうため作業が困難となる恐れがある。また、発生する塩基を、膜中に残存しない硬化促進剤として用いる場合には、発生する塩基の350℃における重量減少が80%以上であると、硬化後の高分子中に塩基が残存するのを抑制しやすい点から好ましい。但し、発生する塩基を、膜中に残存する架橋剤乃至硬化剤として用いる場合は、発生する塩基の上記重量減少は問題にならない。
前記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤を用いる際の、場合によっては脱保護し、塩基を発生させるための加熱温度としては、組み合わせる高分子前駆体や目的により適宜選択され、特に限定されない。塩基発生剤が置かれた環境の温度(例えば、室温)による加熱であっても良く、その場合、徐々に塩基が発生する。また、電磁波の照射時に副生される熱によっても塩基が発生するため、電磁波の照射時に副生される熱により実質的に加熱も同時に行われても良い。反応速度を高くし、効率よく塩基を発生させる点から、塩基を発生させるための加熱温度としては、30℃以上であることが好ましく、更に好ましくは60℃以上、より更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上である。しかしながら、組み合わせて用いられる高分子前駆体によっては、例えば60℃以上の加熱で未露光部についても硬化するものもあるので、好適な加熱温度は、上記に限定されない。また、前記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤の塩基発生以外の分解を防ぐために、300℃以下で加熱することが好ましく、更に200℃以下で加熱することが好ましい。
保護基を有する場合、加熱を行う際には、低温で保護基の脱保護を行い、より高温で塩基を発生させるようにしても良い。
なお、保護基の脱保護は、加熱のみによっても、電磁波照射のみによって行われても良い。電磁波照射のみによって保護基を脱保護する場合、塩基を発生するために照射する電磁波によって脱保護しても良いし、脱保護するための電磁波と、塩基を発生させるための電磁波とで波長を変更しても良い。例えば、長波長の電磁波を照射して脱保護を行い、その後短波長の電磁波で塩基を発生させるための異性化を行うなどが挙げられる。これらの場合の電磁波の照射量は、電磁波によっても異なり、特に限定されず、適宜調整される。
また、加熱と電磁波照射を同時に又は加熱と電磁波照射を交互に行うことより脱保護を行っても良い。
更に、露光前に加熱を行い脱保護してもよい。保護基の種類によっては保護基を導入することで、吸収波長が短波長化するなどして塩基発生剤の感度が悪くなることがある。このような場合、電磁波照射前の加熱により予め保護基を脱保護し、電磁波を照射することにより、電磁波照射時の感度を向上させることができる。
また、保護基の脱保護条件は、組成物中で共存する成分により変化し得る。例えば、他の光酸発生剤や光塩基発生剤が含まれる場合、光照射によって発生した酸・塩基の影響で、露光後の加熱温度が変化する場合がある。
前記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤は電磁波の照射のみでも塩基を発生するが、適宜加熱することにより塩基の発生が促進される。従って、効率的に塩基を発生させるために、前記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤を用いる際には、電磁波照射(露光)後又は電磁波照射と同時に加熱を行うことにより塩基を発生する。露光と加熱を交互に行ってもよい。最も効率が良い方法は、露光と同時に加熱する方法である。
本発明の化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤の合成方法を、2−ヒドロキシ桂皮酸塩を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の塩基発生剤は、複数の従来公知の合成ルートで合成することができる。
2−ヒドロキシ桂皮酸塩は、例えば、2−ヒドロキシ桂皮酸とシクロヘキシルアミンを反応させることにより合成できる。2−ヒドロキシ桂皮酸とシクロヘキシルアミンをテトラヒドロフランに溶解し、撹拌した後ろ過することで目的物を得ることができる。
従来、特許文献5に記載されているような2−ヒドロキシ桂皮酸アミド誘導体の場合には、高価な縮合剤を用いてアミド化したり、反応時に氷浴による温度制御が必要だったり、精製時には分液操作やカラムによる精製が必要であった。それに対し、本発明の化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤は、上記のように、桂皮酸とアミンを溶解してろ過するだけで生成物が得られ、更に、ろ過したものを再結晶するだけで精製することができる。このように、合成及び精製が容易なことは、工業生産上、大きなメリットである。
各置換基を導入した桂皮酸の合成は、対応する置換基を有するヒドロキシベンズアルデヒドにwittig反応または、Knoevenagel反応、又はPerkin反応を行うことで合成できる。中でも、wittig反応はトランス体が選択的に得られやすい点から好ましい。尚、各置換基を導入したヒドロキシベンズアルデヒドの合成は、対応する置換基を有するフェノールにDuff反応やVilsmeier−Haack反応を行う、またはジヒドロキシベンズアルデヒドにWilliamson反応などの一般的なエーテル合成手法を用いることで合成できる。
フェノール性水酸基における保護基(R14)の導入は、合成途中で導入していても良いし、合成の最後に導入しても良い。例えば、ビニルエーテル化合物を用いて保護する場合には、2-ヒドロキシ桂皮酸アミドとビニルエーテルを反応させることで合成できる。パラトルエンスルホン酸ピリジニウム等の酸触媒存在下、2-ヒドロキシ桂皮酸アミドと、ビニルエーテル化合物をジメチルホルムアミド溶解し、撹拌させることで目的物を得ることができる。
また、カーボネート系保護基を用いて保護する場合には、2-ヒドロキシ桂皮酸アミドとカーボネート系保護基の導入試薬(たとえばジーt−ブチルジカルボナートや、塩化ベンジルオキシカルボニル、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニルオキシ)コハク酸イミドなど)により合成できる。
シリルエーテル系保護基を用いて保護する場合には、イミダゾール等の塩基触媒下、ジメチルホルムアミド中、2-ヒドロキシ桂皮酸アミドとシリルエーテル系保護基の導入試薬(たとえばクロロトリメチルシラン、tert-ブチルジメチルクロロシラン、tert-ブチルジフェニルクロロシランなど)により合成できる。
エステル系保護基を用いて保護する場合には、トリエチルアミン等の塩基触媒下、2−ヒドロキシ桂皮酸アミドと酸塩化物または酸無水物により合成できる。
エーテル系保護基を用いて保護する場合には、水素化ナトリウム等の強塩基の存在下、2−ヒドロキシ桂皮酸アミドとハロゲン原子化物(たとえばベンジルクロライドなど)により合成できる。
カルバメート系保護基を用いて保護する場合には2-ヒドロキシ桂皮酸アミドとイソシアネート(たとえばベンジルイソシアネートなど)により合成できる。
本発明の化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤は、高分子前駆体が最終生成物となるための塩基発生の機能を十分に発揮させるために、露光波長の少なくとも一部に対して吸収を有する必要がある。一般的な露光光源である高圧水銀灯の波長としては、365nm、405nm、436nmがある。このため、本発明の化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤は、少なくとも365nm、405nm、436nmの波長の電磁波のうち少なくとも1つの波長の電磁波に対して吸収を有することが好ましい。このような場合、適用可能な高分子前駆体の種類がさらに増える点から好ましい。
前記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤は、そのモル吸光係数が、電磁波の波長365nmにおいて100以上、又は405nmにおいて1以上であることが、適用可能な高分子前駆体の種類がさらに増える点から好ましい。
なお、本発明の化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤が前記波長領域に吸収を有することは、当該波長領域に吸収をもたない溶媒(例えば、アセトニトリル)に、化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤を1×10−4mol/L以下の濃度(通常、1×10−4mol/L〜1×10−5mol/L程度。適度な吸収強度となるように、適宜、調節してもよい。)で溶解し、紫外可視分光光度計(例えば、UV−2550(株)島津製作所製))により吸光度を測定することにより明らかにすることができる。
上記本発明に係る化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤は、従来用いられていた光塩基発生剤と比べて優れた感度を有し得るため、種々に応用が可能である。後で詳細に説明する、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体と組み合わせることに限られず、酸−塩基指示薬等の塩基により構造や物性が変化する化合物と組み合わせて、種々の感光性組成物を形成することができる。このような感光性組成物は、塗料、印刷インキ、シール剤、又は接着剤、或いは、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical System(MEMS))、光学部材又は建築材料の形成材料として用いることができる。
例えば、光塩基発生剤と酸−塩基指示薬とを少なくとも含む画像形成層を、基材上に被覆又は基材に含浸させてなる画像形成媒体において、画像形成層を露光すると、前記光塩基発生剤が、酸−塩基指示薬と反応する塩基を生成し、画像が形成されることを特徴とする画像形成媒体のような表示装置などにも応用することができる。
<感光性樹脂組成物>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び、前記本発明に係る下記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされ、電磁波の照射により塩基を発生する塩基発生剤を含有することを特徴とする。
Figure 2011213783
(式(1)及び式(1’)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R、R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。但し、R、R及びRの少なくとも1つは有機基である。R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基である。R、R、R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R10、R11、R12及びR13は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。R14は、水素原子、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基である。)
上述のように、前記本発明に係る塩基発生剤は、電磁波の照射、更に必要に応じて加熱により、上記化学式(1−b)又は化学式(1’−b)で表わされる塩基性物質を発生し、触媒活性が高い3級のアミンやアミジンを発生可能である。また、前記高分子前駆体は、前記塩基発生剤から発生した塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が促進される。塩基の作用による高分子前駆体の溶解性の変化により、本発明に係る感光性樹脂組成物は、露光部と未露光部との間で溶解性に差が生じ、パターン形成が可能となる。
上述のように、前記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤は、従来の光塩基発生剤と比べて、合成及び精製が容易で、硬化触媒活性が高い3級のアミンやアミジンを発生可能であるので、本発明の感光性樹脂組成物は、調製が容易でありながら、適用できる高分子前駆体の範囲が広く、その高分子前駆体と塩基発生剤の溶解性の変化等の特性を生かすことが出来る分野で広く応用される。
また、パターン形成工程に加熱工程を含む場合、本発明の感光性樹脂組成物は、塩基の発生を促進させる加熱において、前記加熱工程を利用することが可能であり、当該加熱工程を利用する分、電磁波の照射量を少なくできる利点を有する。そのためこの様な加熱工程を含む工程で用いる場合、本発明の感光性樹脂組成物は、電磁波照射のみで塩基を発生させる従来の樹脂組成物と比べ、工程の合理化も可能となる。
以下、本発明に係る感光性樹脂組成物の構成成分を説明するが、本発明に係る感光性樹脂組成物に用いられる塩基発生剤については、上記本発明に係る塩基発生剤と同様のものを用いることができるので、ここでの説明を省略する。従って、高分子前駆体、並びに、必要に応じて適宜含むことができるその他の成分について順に説明する。
塩基発生剤及び高分子前駆体としては、1種単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。
<高分子前駆体>
本発明の感光性樹脂組成物に用いる高分子前駆体とは、反応により最終的に目的の物性を示す高分子となる物質を意味し、当該反応には分子間反応及び分子内反応がある。高分子前駆体自体は、比較的低分子の化合物であっても高分子化合物であってもよい。
また、本発明の高分子前駆体は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される化合物である。ここで、高分子前駆体が、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される態様には、高分子前駆体が塩基性物質の作用のみによって最終生成物に変化する態様のみならず、塩基性物質の作用によって高分子前駆体の最終生成物への反応温度が、塩基性物質の作用がない場合に比べて低下するような態様が含まれる。
このような塩基性物質の存在の有無により反応温度差が出来る場合には、反応温度差を利用して、塩基性物質と共存する高分子前駆体のみが最終生成物へと反応する適切な温度で加熱することにより、塩基性物質と共存する高分子前駆体のみが最終生成物へと反応し、現像液等の溶媒への溶解性が変化する。従って、塩基性物質の存在の有無によって、高分子前駆体の前記溶媒への溶解性を変化させることが可能となり、ひいては当該溶媒を現像液として用いて現像によるパターニングが可能になる。
本発明の高分子前駆体としては、上記の様な塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進されるものであれば特に制限なく使用が可能である。下記に代表的な例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
[分子間反応により高分子となる高分子前駆体]
分子間反応により目的の高分子となる高分子前駆体としては、反応性置換基を有し重合反応をする化合物及び高分子、又は、分子間に結合を形成する反応(架橋反応)をする化合物及び高分子がある。当該反応性置換基としては、エポキシ基、オキセタン基、チイラン基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、シラノール基等が挙げられる。また、高分子前駆体には、分子間で加水分解・重縮合する化合物も含まれ、反応性置換基には、ポリシロキサン前駆体の−SiX(ここで、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、及びハロゲン原子よりなる群から選択される加水分解性基)も挙げられる。
反応性置換基を有し重合反応をする化合物としては、例えば、1個以上のエポキシ基を有する化合物、1個以上のオキセタン基を有する化合物、及び1個以上のチイラン基を有する化合物が挙げられる。
反応性置換基を有し重合反応をする高分子としては、例えば、2個以上のエポキシ基を有する高分子(エポキシ樹脂)、2個以上のオキセタン基を有する高分子、及び2個以上のチイラン基を有する高分子が挙げられる。下記に特にエポキシ基を有する化合物及び高分子について具体的に説明するが、オキセタン基、チイラン基を有する化合物及び高分子についても同様に用いることが可能である。
(エポキシ基を有する化合物及び高分子)
上記1個以上のエポキシ基を有する化合物及び高分子としては、分子内に1個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限なく、従来公知のものを使用できる。
前記塩基発生剤は、一般的には分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物の硬化触媒としての機能も有する。
分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物又は分子内に2個以上のエポキシ基を有する高分子(エポキシ樹脂)を用いる場合は、エポキシ基との反応性を有する官能基を分子内に二つ以上有する化合物を併用してもよい。ここでエポキシ基との反応性を有する官能基とは、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、メルカプト基、1級又は2級の芳香族アミノ基等が挙げられる。これらの官能基は、3次元硬化性を考慮して、一分子中に2つ以上有することが特に好ましい。
また、重量平均分子量3,000〜100,000のポリマー側鎖に上記官能基を導入したものを用いることが好ましい。3,000未満では膜強度の低下及び硬化膜表面にタック性が生じ、不純物等が付着しやすくなる恐れがある。また、100,000より大きいと粘度が増大する恐れがあり好ましくない。
分子内に1個以上のエポキシ基を有する高分子としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられ、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンから誘導されるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂や4官能型エポキシ樹脂等の多官能型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂等があり、これらのエポキシ樹脂はハロゲン原子化されていてもよく、水素原子添加されていてもよい。市販されているエポキシ樹脂製品としては、例えばジャパンエポキシレジン株式会社製のJERコート828、1001、801N、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、DIC株式会社製のエピクロン830、EXA835LV、HP4032D、HP820、株式会社ADEKA製のEP4100シリーズ、EP4000シリーズ、EPUシリーズ、ダイセル化学株式会社製のセロキサイドシリーズ(2021、2021P、2083、2085、3000等)、エポリードシリーズ、EHPEシリーズ、東都化成社製のYDシリーズ、YDFシリーズ、YDCNシリーズ、YDBシリーズ、ナガセケムテックス社製のデナコールシリーズ、共栄社化学社製のエポライトシリーズ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらのエポキシ樹脂は、2種以上を併用してもよい。これらの中で、他の各種のエポキシ化合物と比較すると分子量の異なるグレードが広く入手可能で、接着性や反応性等を任意に設定できる点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
一方、分子間で架橋反応をする化合物としては、例えば、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物及び分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の組み合わせが挙げられ、当該イソシアネート基とヒドロキシル基との反応により、分子間にウレタン結合が形成され高分子となり得る。
分子間で架橋反応をする高分子としては、例えば、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する高分子(イソシアネート樹脂)と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する高分子(ポリオール)の組み合わせが挙げられる。
また、分子間で架橋反応をする化合物と高分子の組み合わせを用いても良い。例えば、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する高分子(イソシアネート樹脂)と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の組み合わせ、及び、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する高分子(ポリオール)の組み合わせ等が挙げられる。
(イソシアネート基を有する化合物及び高分子)
イソシアネート基をもつ化合物及び高分子としては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等に代表される低分子化合物の他に、オリゴマー、重量平均分子分子量3,000以上のポリマーの側鎖又は末端にイソシアネート基が存在する高分子を用いてもよい。
(ヒドロキシル基を有する化合物及び高分子)
前記イソシアネート基を持つ化合物及び高分子は、通常、分子内にヒドロキシル基を持つ化合物と組み合わせて用いられる。このようなヒドロキシル基を有する化合物としては、分子内に2個以上のヒドロキシル基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用できる。このような化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子化合物の他に、重量平均分子量3,000以上のポリマーの側鎖又は末端にヒドロキシル基が存在する高分子を用いてもよい。
(ポリシロキサン前駆体)
分子間で加水分解・重縮合する化合物としては、たとえばポリシロキサン前駆体が挙げられる。
ポリシロキサン前駆体としては、YSiX(4−n)(ここで、Yは置換基を有していても良いアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、フェニル基、または水素原子を示し、Xはアルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、及びハロゲン原子よりなる群から選択される加水分解性基を示す。nは0〜3までの整数である。) で示される有機ケイ素化合物及び当該有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物が挙げられる。中でも、上記式においてnが0〜2であるものが好ましい。また、シリカ分散オリゴマー溶液の調製がし易く入手も容易な点から、上記加水分解性基としては、アルコキシ基であるものが好ましい。
上記有機ケイ素化合物としては、特に制限なく、公知のものを使用できる。例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、フッ素系シランカップリング剤として知られたフルオロアルキルシラン、および、それらの加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物;並びに、それらの混合物を挙げることができる。
[分子内閉環反応により高分子となる高分子前駆体]
分子内閉環反応によって最終的に目的の物性を示す高分子となる高分子前駆体としてはポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体等がある。これらの前駆体は2種類以上の別々に合成した高分子前駆体の混合物でもよい。
以下、本発明の好ましい高分子前駆体であるポリイミド前駆体とポリベンゾオキサゾール前駆体について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(ポリイミド前駆体)
ポリイミド前駆体としては、下記式(I)で表されるポリイミド前駆体が挙げられる。
Figure 2011213783
(式(I)中、R31は4価の有機基である。R32は2価の有機基である。R33及びR34は、水素原子、又は1価の有機基である。nは1以上の自然数である。)
33及びR34が1価の有機基である場合としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及び、これらにエーテル結合を含有したC2nOC2m+1などで表される構造等を挙げることができる。
ポリイミド前駆体としては、下記式(II)で表されるようなポリアミック酸が、アルカリ現像性の点から好適に用いられる。
Figure 2011213783
(式(II)中、R31は4価の有機基である。R32は2価の有機基である。nは1以上の自然数である。)
なお、式(I)及び式(II)において、R31の4価は、酸二無水物等から誘導されるテトラカルボン酸残基を示し、R32の2価はジアミン残基を示す。なお、R31の4価は酸と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。同様に、R32の2価はアミンと結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンを溶液中で混合するのみで得られるので、1段階の反応で合成することができ、合成が容易で低コストで入手できるので好ましい。
副次的な効果として、用いる高分子前駆体がポリアミック酸である場合、塩基性物質の触媒効果によりイミド化に要する温度が低くても十分な為、最終キュア温度を300℃未満、更に好ましくは250℃以下まで下げることが可能である。従来のポリアミック酸はイミド化するために最終キュア温度を300℃以上とする必要があった為、用途が制限されていたが、最終キュア温度を下げることが可能になったことによって、より広範囲の用途に適用が可能である。
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンの反応により得られるが、最終的に得られるポリイミドに優れた耐熱性及び寸法安定性を付与する点から、前記化学式(II)において、R31又はR32が芳香族化合物であることが好ましく、R31及びR32が芳香族化合物であることがより好ましい。またこのとき、前記化学式(II)のR31において、当該R31に結合している4つの基((−CO−)(−COOH))は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。同様に、前記化学式(II)のR32において、当該R32に結合している2つの基((−NH−))は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。
また、前記化学式(II)で表されるポリアミック酸は、単一の繰り返し単位からなるものでも、2種以上の繰り返し単位から成るものでもよい。
本発明のポリイミド前駆体を製造する方法としては、従来公知の手法を適用することができる。例えば、(1)酸二無水物とジアミンから前駆体であるポリアミド酸を合成する手法。(2)酸二無水物に1価のアルコールやアミノ化合物、エポキシ化合物等を反応させ合成した、エステル酸やアミド酸モノマーのカルボン酸に、ジアミノ化合物やその誘導体を反応させてポリイミド前駆体を合成する手法などが挙げられるがこれに限定されない。
本発明のポリイミド前駆体を得るための反応に適用可能な酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、
2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ぺリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、ピリジンテトラカルボン酸二無水物、スルホニルジフタル酸無水物、m−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。そして、特に好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物が挙げられる。
併用する酸二無水物としてフッ素が導入された酸二無水物や、脂環骨格を有する酸二無水物を用いると、透明性をそれほど損なわずに溶解性や熱膨張率等の物性を調整することが可能である。また、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの剛直な酸二無水物を用いると、最終的に得られるポリイミドの線熱膨張係数が小さくなるが、透明性の向上を阻害する傾向があるので、共重合割合に注意しながら併用してもよい。
一方、アミン成分も、1種類のジアミン単独で、または2種類以上のジアミンを併用して用いることができる。用いられるジアミン成分は限定されず、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン等の芳香族アミン;
1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等の脂肪族アミン;
1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の脂環式ジアミンが挙げられる。グアナミン類としては、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどを挙げることができ、また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
ジアミンは、目的の物性によって選択することができ、p−フェニレンジアミンなどの剛直なジアミンを用いれば、最終的に得られるポリイミドは低膨張率となる。剛直なジアミンとしては、同一の芳香環に2つアミノ基が結合しているジアミンとして、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2、6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、1,4―ジアミノアントラセンなどが挙げられる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接又は置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられ、例えば、下記式(III)により表されるものがある。具体例としては、ベンジジン等が挙げられる。
Figure 2011213783
(化学式(III)中、aは1以上の自然数、アミノ基はベンゼン環同士の結合に対して、メタ位または、パラ位に結合する。)
さらに、上記式(III)において、他のベンゼン環との結合に関与せず、ベンゼン環上のアミノ基が置換していない位置に置換基を有するジアミンも用いることができる。これら置換基は、1価の有機基であるがそれらは互いに結合していてもよい。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
最終的に得られるポリイミドを光導波路、光回路部品として用いる場合には、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると1μm以下の波長の電磁波に対しての透過率を向上させることができる。
一方、ジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどのシロキサン骨格を有するジアミンを用いると、最終的に得られるポリイミドの弾性率が低下し、ガラス転移温度を低下させることができる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
一方、ポリイミド前駆体を合成するには、例えば、アミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをN−メチルピロリドンなどの有機極性溶媒に溶解させた溶液を冷却しながら、そこへ等モルの3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を徐々に加え撹拌し、ポリイミド前駆体溶液を得ることができる。
このようにして合成されるポリイミド前駆体は、最終的に得られるポリイミドに耐熱性及び寸法安定性を求める場合には、芳香族酸成分及び/又は芳香族アミン成分の共重合割合ができるだけ大きいことが好ましい。具体的には、イミド構造の繰り返し単位を構成する酸成分に占める芳香族酸成分の割合が50モル%以上、特に70モル%以上であることが好ましく、イミド構造の繰り返し単位を構成するアミン成分に占める芳香族アミン成分の割合が40モル%以上、特に60モル%以上であることが好ましく、全芳香族ポリイミドであることが特に好ましい。
<ポリベンゾオキサゾール前駆体>
本発明に用いられるポリベンゾオキサゾール前駆体としては、下記化学式(IV)で表される繰り返し単位を有するポリアミドアルコールが好適に用いられる。
ポリアミドアルコールは、従来公知の方法で合成することが可能で、例えば、ジカルボン酸ハロゲン化物などのジカルボン酸誘導体とジヒドロキシジアミンとを有機溶媒中で付加反応することにより得られる。
Figure 2011213783
(化学式(IV)中、R35は2価の有機基である。R36は4価の有機基である。)
なお、R35の2価は酸と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。同様に、R36の4価はアミン及びヒドロキシル基と結合するための価数のみを示しているが、他に更なる置換基を有していても良い。
前記化学式(IV)で表される繰り返し単位を有するポリアミドアルコールは、最終的に得られるポリベンゾオキサゾールに優れた耐熱性及び寸法安定性を付与する点から、前記化学式(IV)において、R35又はR36が芳香族化合物であることが好ましく、R35及びR36が芳香族化合物であることがより好ましい。またこのとき、前記化学式(IV)のR35において、当該R35に結合している2つの基(−CO−)は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。同様に、前記化学式(IV)のR36において、当該R36に結合している4つの基((−NH−)(−OH))は同一の芳香環に結合していても良く、異なる芳香環に結合していても良い。
また、前記化学式(IV)で表されるポリアミドアルコールは、単一の繰り返し単位からなるものでも、2種以上の繰り返し単位からなるものでもよい。
上記ポリベンゾオキサゾール前駆体を得るための反応に適用可能なジカルボン酸およびその誘導体としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、3,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、3,3’−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,3’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、3,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、3,3’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン二安息香酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルアミド、1,4−フェニレンジエタン酸、1,1−ビス(4−カルボキシフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン、ビス(4−カルボキシフェニル)テトラフェニルジシロキサン、ビス(4−カルボキシフェニル)テトラメチルジシロキサン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、5−t−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,2−ビス−(p−カルボキシフェニル)プロパン、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)二安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、もしくはこれらの酸ハロゲン原子化物、およびヒドロキシベンゾトリアゾール等との活性エステル体などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いられる。
また、ヒドロキシジアミンの具体例としては、例えば、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシベンゼン、3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いられる。
ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体等の高分子前駆体は、感光性樹脂組成物とした際の感度を高め、マスクパターンを正確に再現するパターン形状を得るために、1μmの膜厚のときに、露光波長に対して少なくとも5%以上の透過率を示すことが好ましく、15%以上の透過率を示すことが更に好ましい。
露光波長に対してポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体等の高分子前駆体の透過率が高いということは、それだけ、電磁波のロスが少ないということであり、高感度の感光性樹脂組成物を得ることができる。
また、一般的な露光光源である高圧水銀灯を用いて露光を行う場合には、少なくとも436nm、405nm、365nmの波長の電磁波のうち1つの波長の電磁波に対する透過率が、厚み1μmのフィルムに成膜した時で好ましくは5%以上、更に好ましくは15%、特に好ましくは50%以上である。
ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体等の高分子前駆体の重量平均分子量は、その用途にもよるが、3,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましく、10,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、塗膜又はフィルムとした場合に十分な強度が得られにくい。また、加熱処理等を施しポリイミド等の高分子とした際の膜の強度も低くなる。一方、重量平均分子量が1,000,000を超えると粘度が上昇し、溶解性も低下しやすく、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られにくい。
ここで用いている分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいい、ポリイミド前駆体などの高分子前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
なお、ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体合成時における溶媒は、極性溶媒が望ましく、代表的なものとして、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホアミド、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等があり、これらの溶媒は単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いられる。この他にも溶媒として組合せて用いられるものとしてベンゼン、ベンゾニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ブチロラクトン、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン等の非極性溶媒が挙げられ、これらの溶媒は、原料の分散媒、反応調節剤、あるいは生成物からの溶媒の揮散調節剤、皮膜平滑剤などとして使用される。
ポリアミック酸やポリベンゾオキサゾール前駆体は、塩基性物質の作用によって最終生成物への反応が進むことにより、溶解性が低下するため、前記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤の塩基発生による溶解性の低下と組み合わせることにより、本発明の感光性樹脂組成物の露光部と未露光部の溶解性コントラストをさらに大きくできる利点を有する。
<その他の成分>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤と、1種類以上の高分子前駆体と、溶媒の単純な混合物であってもよいが、さらに、光又は熱硬化性成分、高分子前駆体以外の非重合性バインダー樹脂、その他の成分を配合して、感光性樹脂組成物を調製してもよい。
感光性樹脂組成物を溶解、分散又は希釈する溶剤としては、各種の汎用溶剤を用いることが出来る。また、前駆体としてポリアミド酸を用いる場合には、ポリアミド酸の合成反応により得られた溶液をそのまま用い、そこに必要に応じて他の成分を混合しても良い。
使用可能な汎用溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、蓚酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド等のアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホンなどのスルホン類、ヘキサメチルフォスホアミド等のリン酸アミド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独若しくは組み合わせて用いられる。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の極性溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素類、及び、これらの溶媒からなる混合溶媒が好適なものとして挙げられる。
光硬化性成分としては、エチレン性不飽和結合を1つ又は2つ以上有する化合物を用いることができ、例えば、アミド系モノマー、(メタ)アクリレートモノマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、スチレン等の芳香族ビニル化合物を挙げることができる。また、ポリイミド前駆体が、ポリアミック酸等のカルボン酸成分を構造内に有する場合には、3級アミノ基を有するエチレン性不飽和結合含有化合物を用いると、ポリイミド前駆体のカルボン酸とイオン結合を形成し、感光性樹脂組成物としたときの露光部、未露光部の溶解速度のコントラストが大きくなる。
このようなエチレン性不飽和結合を有する光硬化性化合物を用いる場合には、さらに光ラジカル発生剤を添加してもよい。光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソピルチオキサントン等のチオキサントン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のモノアシルホスフィンオキシドあるいはビスアシルホスフィンオキシド類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;並びにキサントン類等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物には、本発明の効果を妨げない限り、本発明の塩基発生剤の補助的な役割として、光によって酸又は塩基を発生させる他の感光性成分を加えても良い。また、塩基増殖剤や増感剤を加えてもよい。
光によって酸を発生させる化合物としては、1,2−ベンゾキノンジアジドあるいは1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する感光性ジアゾキノン化合物があり、米国特許明細書第2,772,972号、第2,797,213号、第3,669,658号に提案されている。また、トリアジンやその誘導体、スルホン酸オキシムエステル化合物、スルホン酸ヨードニウム塩、スルホン酸スルフォニウム塩等、公知の光酸発生剤を用いることができる。光によって塩基を発生させる化合物としては、例えば2,6−ジメチル−3,5−ジシアノ−4−(2’−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2’−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2’,4’−ジニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジンなどが例示できる。
塩基発生剤から発生した少量の塩基の作用によって、分解や転位反応して塩基を発生させる塩基増殖剤を併用しても良い。塩基増殖剤としては、例えば、9−フルオレニルメチルカルバメート結合を有する化合物、1,1−ジメチル−2−シアノメチルカルバメート結合((CN)CH2C(CH3)OC(O)NR2)を有する化合物、パラニトロベンジルカルバメート結合を有する化合物、2,4−ジクロロベンジルカルバメート結合を有する化合物、その他にも特開2000−330270号公報の段落0010〜段落0032に記載されているウレタン系化合物や、特開2008−250111号公報の段落0033〜段落0060に記載されているウレタン系化合物等が挙げられる。
高分子を透過する波長の電磁波のエネルギーを塩基発生剤が充分利用できる様にし、感度を向上させたい場合に、増感剤の添加が効果を発揮する場合がある。
特に、ポリイミド前駆体の吸収が360nm以上の波長にもある場合には、増感剤の添加による効果が大きい。増感剤と呼ばれる化合物の具体例としては、チオキサントン及び、ジエチルチオキサントンなどのその誘導体、クマリン系及び、その誘導体、ケトクマリン及び、その誘導体、ケトビスクマリン、及びその誘導体、シクロペンタノン及び、その誘導体、シクロヘキサノン及び、その誘導体、チオピリリウム塩及び、その誘導体、チオキサンテン系、キサンテン系及び、その誘導体などが挙げられる。
クマリン、ケトクマリン及び、その誘導体の具体例としては、3,3’−カルボニルビスクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)等が挙げられる。チオキサントン及び、その誘導体の具体例としては、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。さらに他にはベンゾフェノン、アセトフェノン、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、1,2−ベンズアンスラキノン、1,2−ナフトキノン、などが挙げられる。
これらは、塩基発生剤との組み合わせによって、特に優れた効果を発揮する為、塩基発生剤の構造によって最適な増感作用を示す増感剤が適宜選択される。
本発明に係る樹脂組成物に加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
本発明に係る感光性樹脂組成物において、前記高分子前駆体(固形分)は、得られるパターンの膜物性、特に膜強度や耐熱性の点から、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、30重量%以上、50重量%以上含有することが好ましい。
前記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤は、感光性樹脂組成物に含まれる高分子前駆体の固形分に対し、通常、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜60重量%の範囲内で含有させる。0.1重量%未満であると露光部と未露光部の溶解性コントラストを十分に大きくできない恐れがあり、95重量%を超えると最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。
エポキシ系化合物と組み合わせる場合など、硬化剤として用いられる場合には、硬化の程度にもよるが、感光性樹脂組成物に含まれる高分子前駆体の固形分に対し、通常、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜60重量%の範囲内で含有させる。
一方、硬化促進剤として用いられる場合には、少量の添加で硬化が可能となり、前記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤は、感光性樹脂組成物に含まれる高分子前駆体の固形分に対し、通常、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%の範囲内で含有させることが好ましい。
なお、感光性樹脂組成物の固形分とは、溶剤以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。
また、その他の溶剤以外の任意成分の配合割合は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1重量%〜95重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、95重量%を超えると、最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、さまざまなコーティングプロセスや成形プロセスに用いられて、フィルムや3次元的形状の成形物を作製することができる。
本発明の感光性樹脂組成物の一実施形態としてポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体を高分子前駆体として用いた場合、得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールは、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の特性を確保する点から、当該ポリイミド及びポリベンゾオキサゾールの窒素中で測定した5%重量減少温度は、250℃以上が好ましく、300℃以上がさらに好ましい。特に、はんだリフローの工程を通るような電子部品等の用途に用いる場合は、5%重量減少温度が300℃以下であると、はんだリフローの工程で発生した分解ガスにより気泡等の不具合が発生する恐れがある。
本発明の感光性樹脂組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールのガラス転移温度は、耐熱性の観点からは高ければ高いほど良いが、光導波路のように熱成形プロセスが考えられる用途においては、120℃〜450℃程度のガラス転移温度を示すことが好ましく、200℃〜380℃程度のガラス転移温度を示すことがさらに好ましい。
ここで本発明におけるガラス転移温度は、感光性樹脂組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールをフィルム形状にすることが出来る場合には、動的粘弾性測定によって、tanδ(tanδ=損失弾性率(E”)/貯蔵弾性率(E’))のピーク温度から求められる。動的粘弾性測定としては、例えば、粘弾性測定装置Solid Analyzer RSA II(Rheometric Scientific社製)によって、周波数3Hz、昇温速度5℃/minにより行うことができる。感光性樹脂組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールをフィルム形状にできない場合には、示差熱分析(DTA)のベースラインの変曲点の温度で判断する。
本発明の感光性樹脂組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールの寸法安定性の観点から、線熱膨張係数は60ppm以下が好ましく、40ppm以下がさらに好ましい。半導体素子等の製造プロセスにおいてシリコンウェハ上に膜を形成する場合には、密着性、基板のそりの観点から20ppm以下がさらに好ましい。
本発明における線熱膨張係数とは、本発明で得られる感光性樹脂組成物から得られるポリイミド及びポリベンゾオキサゾールのフィルムの熱機械分析装置(TMA)によって求めることができる。熱機械分析装置(例えば、Thermo Plus TMA8310((株)リガク製)によって、昇温速度を10℃/min、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25,000μmとして得られる。
以上に述べたように、本発明によれば、高分子前駆体に上記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤を混合するだけという簡便な手法で感光性樹脂組成物を得ることができることから、コストパフォーマンスに優れる。
化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤を構成する芳香族成分含有カルボン酸、並びに、塩基性物質は安価に入手することが可能で感光性樹脂組成物としての価格も抑えられる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤により、多種多様な高分子前駆体の最終生成物への反応促進に適用することができ、最終的に得られる高分子の構造を広範囲から選択することができる。
また、電磁波の照射により発生したアミンなどの塩基性物質の触媒効果により、例えばポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体から最終生成物へのイミド化などの環化等の反応に要する処理温度を低減できる為、プロセスへの負荷や製品への熱によるダメージを低減することが可能である。
さらに、電磁波の照射と加熱により塩基を発生する本発明の塩基発生剤は、高分子前駆体から最終生成物を得る工程に加熱工程が含まれる場合、当該加熱工程を利用できるため、電磁波の照射量を低減することが可能であり、工程の有効利用も可能である。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、本発明に係る感光性樹脂組成物は、印刷インキ、塗料、シール剤、接着剤、電子材料、光回路部品、成形材料、レジスト材料、建築材料、光造形、光学部材等、樹脂材料が用いられる公知の全ての分野、製品に利用できる。塗料、シール剤、接着剤のように、全面露光して用いる用途にも、永久膜や剥離膜などパターンを形成する用途にも、いずれにも好適に用いることができる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の特性が有効とされる広範な分野、製品、例えば、塗料、印刷インキ、シール剤、又は接着剤、或いは、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical System(MEMS))、光造形物、光学部材又は建築材料の形成材料として好適に用いられる。例えば具体的には、電子部品の形成材料としては、封止材料、層形成材料として、プリント配線基板、層間絶縁膜、配線被覆膜等に用いることができる。また、表示装置の形成材料としては、層形成材料や画像形成材料として、カラーフィルター、フレキシブルディスプレイ用フィルム、レジスト材料、配向膜等に用いることができる。また、半導体装置の形成材料としては、レジスト材料、バッファーコート膜のような層形成材料等に用いることができる。また、光学部品の形成材料としては、光学材料や層形成材料として、ホログラム、光導波路、光回路、光回路部品、反射防止膜等に用いることができる。また、建築材料としては、塗料、コーティング剤等に用いることができる。また、光造形物の材料としても用いることができる。印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料、いずれかの物品が提供される。
上記の様な特徴を有することから、本発明に係る感光性樹脂組成物は、パターン形成用材料としても用いることが可能である。特に、ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体を含有する感光性樹脂組成物をパターン形成用材料(レジスト)として用いた場合、それによって形成されたパターンは、ポリイミド又はポリベンゾオキサゾールからなる永久膜として耐熱性や絶縁性を付与する成分として機能し、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、電子部品、半導体装置、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材又は電子部材を形成するのに適している。
<レリーフパターンの製造方法>
本発明に係るレリーフパターンの製造方法は、前記本発明に係る感光性樹脂組成物からなる塗膜又は成形体を形成し、当該塗膜又は成形体を、所定パターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱し、前記照射部位の溶解性を変化させた後、現像することを特徴とする。
本発明に係る感光性樹脂組成物を何らかの支持体上に塗布するなどして塗膜を形成したり、適した成型方法で成形体を形成し、当該塗膜又は成形体を、所定のパターン状に電磁波を照射し、照射又は照射と同時に加熱することにより、露光部においてのみ、上記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤が異性化及び環化して塩基性物質が生成する。塩基性物質は、露光部の高分子前駆体の最終生成物への反応を促進する触媒として作用する。
ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体のように、塩基の触媒作用によって熱硬化温度が低下する高分子前駆体を用いる場合には、先ず、そのような高分子前駆体、及び前記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤を組み合わせた感光性樹脂組成物の塗膜又は成形体上のパターンを残したい部分を露光する。露光後又は露光と同時に加熱すると、露光部には、塩基性物質が発生し、その部分の熱硬化温度が選択的に低下する。露光後又は露光と同時に、露光部は熱硬化するが未露光部は熱硬化しない処理温度で加熱し、露光部のみ硬化させる。塩基性物質を発生させる加熱工程と、露光部のみ硬化させる反応を行うための加熱工程(露光後ベイク)は、同一の工程としても良いし、別の工程にしても良い。
次に、所定の現像液(有機溶媒や塩基性水溶液等)で未露光部を溶解して熱硬化物からなるパターンを形成する。このパターンを、更に必要に応じ加熱して熱硬化を完結させる。以上の工程によって、通常ネガ型の所望の2次元樹脂パターン(一般的な平面パターン)又は3次元樹脂パターン(立体的に成形された形状)が得られる。
また、エポキシ基やシアネート基を有する化合物及び高分子のように、塩基の触媒作用によって、反応が開始するような高分子前駆体を用いる場合においても、先ず、そのような高分子前駆体、及び前記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされる塩基発生剤を組み合わせた感光性樹脂組成物の塗膜又は成形体上のパターンを残したい部分を露光する。露光後又は露光と同時に加熱すると、露光部には塩基性物質が発生し、その部分のエポキシ基やシアネート基を有する化合物及び高分子の反応が開始され、露光部のみ硬化する。塩基性物質を発生させる加熱工程と、露光部のみ硬化させる反応を行うための加熱工程(露光後ベイク)は、同一の工程としても良いし、別の工程にしても良い。次に、所定の現像液(有機溶媒や塩基性水溶液等)で未露光部を溶解して熱硬化物からなるパターンを形成する。このパターンを、更に必要に応じ加熱して熱硬化を完結させる。以上の工程によって、通常ネガ型の所望の2次元樹脂パターン(一般的な平面パターン)又は3次元樹脂パターン(立体的に成形された形状)が得られる。
本発明の感光性樹脂組成物は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の極性溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素類、及び、これらの溶媒からなる混合溶媒等に溶解後、浸漬法、スプレー法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スピンコート法などによって、シリコンウエハ、金属基板、セラミック基板、樹脂フィルムなどの基材表面に塗布し、加熱して溶剤の大部分を除くことにより、基材表面に粘着性のない塗膜を与えることができる。塗膜の厚みには特に制限はないが、0.5〜50μmであることが好ましく、感度および現像速度面から1.0〜20μmであることがより望ましい。塗布した塗膜の乾燥条件としては、例えば、80〜100℃、1分〜20分が挙げられる。
この塗膜に、所定のパターンを有するマスクを通して、電磁波を照射しパターン状に露光後を行い、加熱後、膜の未露光部分を、適切な現像液で現像して除去することにより、所望のパターン化された膜を得ることができる。
露光工程に用いられる露光方法や露光装置は特に限定されることなく、密着露光でも間接露光でも良く、g線ステッパ、i線ステッパ、超高圧水銀灯を用いるコンタクト/プロキシミティ露光機、ミラープロジェクション露光機、又はその他の紫外線、可視光線、X線、電子線などを照射可能な投影機や線源を使用することができる。
電磁波の照射により保護基を脱保護させる場合、脱保護するための電磁波は、塩基を発生させるための電磁波と同じであっても良いし、異なっていても良い。例えば、長波長の電磁波を照射して脱保護を行い、その後短波長の電磁波で塩基を発生させるための異性化を行っても良い。電磁波の照射量は、電磁波によっても異なり特に限定されず、適宜調整される。
露光前又は露光後又は露光と同時に加熱し、場合により保護基を脱保護させて、塩基を発生させるための加熱温度としては、組み合わせる高分子前駆体や目的により適宜選択され、特に限定されない。感光性樹脂組成物が置かれた環境の温度(例えば、室温)による加熱であっても良く、その場合、徐々に塩基が発生する。また、電磁波の照射時に副生される熱によっても塩基が発生するため、電磁波の照射時に副生される熱により実質的に加熱が同時に行われても良い。反応速度を高くし、効率よくアミンを発生させる点から、塩基を発生させるための加熱温度としては、30℃以上であることが好ましく、更に好ましくは60℃以上、より更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上である。しかしながら、組み合わせて用いられる高分子前駆体によっては、例えば60℃以上の加熱で未露光部についても硬化するものもあるので、好適な加熱温度は、上記に限定されない。
例えば、エポキシ樹脂の場合、好ましい熱処理の温度の範囲は、エポキシ樹脂の種類により適宜選択されるが、通常100℃〜150℃程度である。
なお、露光前に加熱して保護基の脱保護のみを行っても良い。当該電磁波照射前の保護基脱保護のための加熱は、塗膜の乾燥工程であっても良いし、他の加熱工程であっても良い。この場合、加熱温度としては、脱保護が可能な温度を適宜選択すればよいが、50℃〜180℃が好ましく、時間は10秒以上60分以下が好ましい。
本発明に係る感光性樹脂組成物の塗膜は、架橋反応を物理的に促進するためや、露光部のみ硬化させる反応を行うために、露光工程と現像工程の間に、露光後ベイク(Post Exposure Bake:PEB)を行うことが好ましい。当該PEBは、電磁波の照射及び加熱により発生した塩基の作用により、塩基が存在する部位と、未照射で塩基が存在しない部位とでイミド化率等の硬化反応の反応率が異なるようになる温度で行うことが好ましい。例えば、イミド化の場合、好ましい熱処理の温度の範囲は、通常60℃〜200℃程度であり、より好ましくは120℃〜200℃である。熱処理温度が60℃より低いと、イミド化の効率が悪く、現実的なプロセス条件で露光部、未露光部のイミド化率の差を生ずることが難しくなる。一方、熱処理温度が200℃を超えると、アミンが存在していない未露光部でもイミド化が進行する恐れがあり、露光部と未露光部の溶解性の差を生じ難い。
この熱処理は、公知の方法であればどの方法でもよく、具体的に例示すると、空気、又は窒素雰囲気下の循環オーブン、又はホットプレートによる加熱等が挙げられるが、特に限定されない。
本発明において、電磁波の照射と加熱により塩基発生剤から塩基が生ずるが、この塩基を発生させるための加熱とPEB工程は同一の工程としてもよいし、別の工程としてもよい。
(現像液)
現像工程に用いられる現像液としては、前記照射部位の溶解性が変化する溶剤を現像液として用いれば、特に限定されず、塩基性水溶液、有機溶剤など、用いられる高分子前駆体に合わせて適宜選択することが可能である。
塩基性水溶液としては、特に限定されないが、例えば、濃度が、0.01重量%〜10重量%、好ましくは、0.05重量%〜5重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液の他、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素原子ナトリウム、炭酸水素原子カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムなどの水溶液等が挙げられる。
溶質は、1種類でも2種類以上でも良く、全体の重量の50%以上、さらに好ましくは70%以上、水が含まれていれば有機溶媒等を含んでいても良い。
また、有機溶剤としては、特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクロン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、その他テトラヒドロフラン、クロロホルム、アセトニトリルなどを、単独であるいは2種類以上を組み合わせて添加してもよい。現像後は水または貧溶媒にて洗浄を行う。この場合においてもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えても良い。
現像後は必要に応じて水または貧溶媒でリンスを行い、80〜100℃で乾燥しパターンを安定なものとする。このレリーフパターンを、耐熱性のあるものとするために180〜500℃、好ましくは200〜350℃の温度で数十分から数時間加熱することによりパターン化された高耐熱性樹脂層が形成される。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は特に特定しない限り重量部を表す。製造された塩基発生剤の構造はH NMRによって確認した。
また、以下に示す装置を用いて各測定、実験を行った。
1H NMR測定:日本電子(株)製、JEOL JNM−LA400WB
手動露光:大日本科研製、MA−1100
吸光度測定:(株)島津製作所製、紫外可視分光光度計UV−2550
塗膜の加熱:アズワン(株)製、HOT PLATE EC−1200(本実施例中、ホットプレートと記載することがある)
(製造例1:塩基発生剤の合成)
100mLフラスコ中、炭酸カリウム2.00gをメタノール15mLに加えた。50mLフラスコ中、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド2.67g(6.2mmol)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド945mg(6.2 mmol)をメタノール10mLに溶解し、よく撹拌した炭酸カリウム溶液にゆっくり滴下した。3時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認したうえでろ過を行い炭酸カリウムを除き、減圧濃縮した。濃縮後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50mL加え1時間撹拌した。反応終了後、ろ過によりトリフェニルホスフィンオキシドを除いた後、濃塩酸を滴下し反応液を酸性にした。沈殿物をろ過により集め、少量のクロロホルムにより洗浄することで2−ヒドロキシ−4−メトキシケイ皮酸を1.00g得た。続いて、100mL三口フラスコ中、2−ヒドロキシ−4−メトキシケイ皮酸1.00g(5.15 mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン20mLに溶解し、3−キヌクリジノール(アルドリッチ社製)650mg(5.15mmol)を加えた。3時間後、ろ過し、少量のテトラヒドロフランで洗浄することで、下記式(6)で表される化合物を1.43g得た。
Figure 2011213783
(製造例2:塩基発生剤の合成)
ケイ皮酸1.00g(6.09 mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン20mLに溶解し、シクロヘキシルアミン0.69ml(6.09mmol)を加えた。終夜で撹拌した後、ろ過し、クロロホルムにより再結晶することで、下記式(7)で表される化合物を1.20g得た。
Figure 2011213783
(比較製造例1)
窒素雰囲気下、300mL三口フラスコ中、o−クマリン酸(東京化成工業(株)製)1.00g(6.1mmol)を脱水テトラヒドロキシフラン100mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(東京化成工業(株)製)1.17g(6.1mmol,1.0eq)を加えた。氷浴下で、シクロヘキシルアミン(関東化学(株)製)0.7ml(6.1mmol,1.0eq)を加えた後、室温で3日間攪拌した。反応液を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール 1/0〜20/1)により精製した後メタノールにより再結晶することにより、下記化学式(8)で表される比較塩基発生剤(1)を350mg得た。
Figure 2011213783
比較製造例1で示したように、2−ヒドロキシ桂皮酸アミド誘導体の場合には、高価な縮合剤(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)や、温度制御が必要で、更に、分液操作やカラムクロマトグラフィーによる精製、再結晶が必要であった。それに対し、本発明の実施例1及び2の塩基発生剤は、上記のように、桂皮酸とアミンを溶解して比較的短時間撹拌し、ろ過するだけで生成物が得られ、更に、ろ過したものを再結晶するだけで精製することができる。本発明の塩基発生剤は、合成及び精製が容易で、工業生産上、大きなメリットがあることが明らかにされた。
<塩基発生剤の評価>
合成した塩基発生剤(1)、(2)、及び比較塩基発生剤(1)について、以下の測定を行い、評価した。
(1)モル吸光係数
塩基発生剤(1)をそれぞれアセトニトリルに1×10−4mol/Lの濃度で溶解し、石英セル(光路長10mm)に溶液を満たし、吸光度を測定した。なお、モル吸光係数εは、溶液の吸光度を吸収層の厚さと溶質のモル濃度で割った値である。
塩基発生剤(1)のモル吸光係数は、365nmにおいて480であり、405nmにおいて40であった。
塩基発生剤(2)のモル吸光係数は、365nmにおいて40であり、405nmにおいて10であった。
比較塩基発生剤(1)のモル吸光係数は、365nmにおいて30であり、405nmにおいて0であった。
(2)塩基発生能
塩基発生剤(1)について1mgの試料を3つ用意し、それぞれを石英製NMR管中で重ジメチルスルホキシドに溶解させた。i線を20%透過するフィルタと高圧水銀灯を用いて、1本にはi線換算で2J/cmで光照射を行い、他の1本にはi線換算で20J/cmで光照射を行った。残り1本には光照射を行わなかった。各サンプルの1H NMRを測定し、異性化の割合を求めた。
塩基発生剤(1)は、i線換算で2J/cmの照射では16%異性化し、i線換算で20J/cm照射により45%異性化した。
塩基発生剤(2)は、i線換算で2J/cmの照射では3.8%異性化し、i線換算で20J/cm照射により8.9%異性化した。
比較塩基発生剤(1)はi線換算で2J/cmの照射では1.2%異性化し、i線換算で20J/cm照射により12.3%異性化した。
異性化させたサンプルを160℃で加熱すると環化し、それに伴い塩基の発生が確認できた。
上記塩基発生能の評価結果から、3級アミンを発生する塩基発生剤(1)は、1級アミンを発生する比較塩基発生剤(1)や塩基発生剤(2)と比べて、特に感度が高いことが明らかにされた。同様の光潜在性部位を有し、同じ1級アミンを発生する、塩基発生剤(2)と比較塩基発生剤(1)を比較すると、塩基発生剤(2)の方が、より少量の電磁波照射で塩基が発生し得ることが明らかにされた。
(合成例1:ポリイミド前駆体の合成)
ジ(4−アミノフェニル)エーテル10.0g(50mmol)を300mLの3つ口フラスコに投入し、105.4mLの脱水されたN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつ3,3’,4,4’ −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物14.7g(50mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で5時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテルによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、重量平均分子量10,000のポリアミド酸(ポリイミド前駆体(1))を白色固体として定量的に得た。
(実施例1:感光性樹脂組成物(1)の調製)
塩基発生剤(1)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(1)を調製した。
・ポリイミド前駆体(1):90重量部
・塩基発生剤(1):10重量部
・溶剤(NMP(N−メチルピロリドン)):843重量部
3級アミンを発生する塩基発生剤(1)を用いた感光性樹脂組成物(1)をガラス上に最終膜厚1.0μmになるようにスピンコートし、80℃のホットプレート上で15分間乾燥させて、感光性樹脂組成物の塗膜を3枚得た。感光性樹脂組成物の塗膜の1枚については、手動露光機を用いて高圧水銀灯により1J/cmで全面露光を行った。1枚については、手動露光機を用いて高圧水銀灯により1J/cmでパターン状に露光を行った。その後、それぞれの塗膜について、160℃で10分間加熱した。加熱した塗膜をテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38重量%水溶液とイソプロパノールを9:1で混合した溶液に浸漬したところ、露光後加熱した塗膜についてはNMPに溶解せず、ポリイミド前駆体が硬化したことが明らかになった。一方、露光をせずに加熱した塗膜については、NMPに溶解した。また、パターン状に露光した塗膜については、露光部が現像液に溶解せず残存したパターンを得ることができた。さらに、パターン状塗膜を350℃で1時間加熱しイミド化を行った。この結果より、本発明の感光性樹脂組成物は、良好なパターンを形成できることが明らかとなった。
(実施例2:感光性樹脂組成物(2)の調製)
塩基発生剤(2)を用いて、下記に示す組成の感光性樹脂組成物(2)を調製した。
・ポリイミド前駆体(1):85重量部
・塩基発生剤(2):15重量部
・溶剤(NMP(N−メチルピロリドン)):843重量部
1級アミンを発生する塩基発生剤(2)を用いた感光性樹脂組成物(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物の塗膜を3枚得た。また、実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物の塗膜の1枚については、手動露光機を用いて高圧水銀灯により1J/cmで全面露光を行い、他の1枚については、手動露光機を用いて高圧水銀灯により1J/cmでパターン状に露光を行った。その後、それぞれの塗膜について、160℃で10分間加熱した。その結果、露光をせずに加熱した塗膜については、NMPに溶解した。パターン状に露光した塗膜については、露光部が現像液に溶解せず残存したパターンを得ることができ、パターン状塗膜を350℃で1時間加熱しイミド化を行った。感光性樹脂組成物(2)も、良好なパターンを形成できることが明らかとなった。
塩基発生剤から3級アミンが発生する感光性樹脂組成物(1)では、1級アミンが発生する感光性樹脂組成物(2)に比べて、塩基発生剤の添加量がより少量であっても、同様に硬化反応が進行し、パターンが形成されることが確認された。

Claims (12)

  1. 下記化学式(1)又は化学式(1’)で表わされ、電磁波の照射により塩基を発生することを特徴とする、塩基発生剤。
    Figure 2011213783
    (式(1)及び式(1’)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R、R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。但し、R、R及びRの少なくとも1つは有機基である。R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基である。R、R、R及びRは、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基又は有機基であり、同一であっても異なっていても良い。R10、R11、R12及びR13は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。R14は、水素原子、或いは、加熱及び/又は電磁波の照射により脱保護可能な保護基である。)
  2. 電磁波の照射と加熱により塩基を発生することを特徴とする、請求項1に記載の塩基発生剤。
  3. 発生する塩基が、3級アミン、又はアミジンである、請求項1又は2に記載の塩基発生剤。
  4. 発生する塩基が、下記式(1−b)又は下記式(1’−b)で表される構造を1分子中に2個以上有する塩基である、前記請求項1乃至3のいずれかに記載の塩基発生剤。
    Figure 2011213783
    (式(1−b)及び式(1’−b)中、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ、式(1)及び式(1’)と同じである。)
  5. 塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体、及び、前記請求項1乃至4のいずれかに記載の塩基発生剤を含有することを特徴とする、感光性樹脂組成物。
  6. 前記高分子前駆体が、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、又はチイラン基を有する化合物及び高分子、ポリシロキサン前駆体、ポリイミド前駆体、並びにポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記高分子前駆体が、塩基性溶液に可溶であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 前記高分子前駆体が、ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体であることを特徴とする、請求項5乃至7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  9. 塗料、印刷インキ、シール剤、又は接着剤、或いは、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料の形成材料として用いられる請求項5乃至8のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  10. 前記請求項5乃至9のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなるパターン形成用材料。
  11. 前記請求項5乃至9のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を用いて塗膜又は成形体を形成し、当該塗膜又は成形体を、所定パターン状に電磁波を照射し、照射後又は照射と同時に加熱し、前記照射部位の溶解性を変化させた後、現像することを特徴とするレリーフパターンの製造方法。
  12. 前記請求項5乃至9のいずれかに記載の感光性樹脂組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、塗料、シール剤、接着剤、表示装置、半導体装置、電子部品、微小電気機械システム、光造形物、光学部材又は建築材料のいずれかの物品。
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