JP2011212955A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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JP2011212955A JP2010082693A JP2010082693A JP2011212955A JP 2011212955 A JP2011212955 A JP 2011212955A JP 2010082693 A JP2010082693 A JP 2010082693A JP 2010082693 A JP2010082693 A JP 2010082693A JP 2011212955 A JP2011212955 A JP 2011212955A
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Taichi Watanabe
太一 渡邊
Yuji Sawa
裕治 澤
Akinobu Chatani
明伸 茶谷
Satoshi Tsuda
悟司 津田
Hiroshi Niikura
宏 新倉
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Abstract

【課題】 染料インクの印字濃度や印字ドットの再現性に優れる普通紙タイプのインクジェット記録用紙を提供する。
【解決手段】 木材パルプを主成分とする原紙の片面又は両面に、カチオン性基含有共重合体と該カチオン性基含有共重合体以外の水溶性高分子化合物とを塗布または含浸させてなる普通紙タイプのインクジェット記録用紙であって、カチオン性基含有共重合体が、一般式(I)で表されるビニル単量体及び一般式(II)で表されるビニル単量体から選ばれる少なくとも1種の(A)成分と、一般式(III)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体及び一般式(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体から選ばれる少なくとも1種の(B)成分とを、{(A)成分/(B)成分}が97/3〜30/70のモル比で重合することにより得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方式において好適に用いられるインクジェット記録用紙に関し、特に染料インクの発色性や印字ドットの再現性に優れるインクジェット記録用紙に関するものである。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録用紙に付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要などの特徴があり、漢字を含め各種図形およびカラー画像などの記録装置として種々の用途において急速に普及している。例えば、文書作成ソフトからの文書記録、デジタル写真などのデジタル画像の記録の他、銀塩写真や書籍などの美麗な印刷体をスキャナで取り込んで複製したり、ポスターなどの比較的少枚数の展示用画像作成にもインクジェット記録方式が適用されている。
そして、これらの用途に応じた構成のインクジェット記録用紙が提案されている。例えば、文書記録の場合は基紙上に直接記録する普通紙タイプの記録用紙が用いられる。又、デジタル画像記録や美麗な印刷体の複製等、銀塩写真に匹敵する解像度と色再現性が要求される場合は、インク受容層(塗工層)を有する塗工紙タイプの記録用紙が用いられる。特に、画像品質と共に光沢が要求される場合は、塗工層をキャスト方式で作成したキャストコート紙タイプの記録用紙が用いられる。さらに、ポスターや展示用途の場合は、厚手の塗工層を有するロール状タイプの記録用紙が用いられる。
インクジェットインクとしては染料タイプと顔料タイプが存在するが、取り扱いやすさや製造コストの観点から現在では染料タイプが主流となっている。そして、塗工紙タイプのインクジェット用紙に染料タイプのインクジェットインクを用いて印字を行った場合、高発色で、色再現性に優れる印字物が得られるが、普通紙タイプのインクジェット用紙に染料インクで印字を行うと、印字濃度の低下や、印字ドットの広がりによる解像度の低下が問題となることがある。
染料インクで印字した際の普通紙タイプのインクジェット用紙の印字濃度を向上させるため、カチオン化度が0.5meq/g以上で、かつガラス転移点が50℃以上であるカチオン性アクリルシリコン系アクリル共重合樹脂水分散物を含む塗工液を原紙に塗工または含浸してなるインクジェット記録用紙が提案されている(特許文献1)。また、(メタ)アクリル酸エステルとノニオン性ビニル単量体の重合物にカチオン性を付与したインク定着剤を主成分とする塗料を原紙に塗工してなるインクジェット記録用紙が提案されている(特許文献2)。
特開2004−122436号公報 特開2002−321437号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載されたインクジェット記録用紙は、いずれも最近のインクジェットプリンターで染料インクを用いて印字した際の印字濃度が不十分であった。
そこで、本発明は、普通紙タイプのインクジェット記録用紙において、染料インクで印字した際の印字濃度が良好であり、印字ドットの再現性についても良好なインクジェット記録用紙を得ることを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究した結果、原紙に水溶性高分子化合物と特定のカチオン性基含有共重合体とを付着させることにより、染料インク乾燥性、印字ドットの再現性をすべて向上させたインクジェット記録用紙が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のインクジェット記録用紙は、木材パルプを主成分とする原紙の片面又は両面に、カチオン性基含有共重合体と該カチオン性基含有共重合体以外の水溶性高分子化合物とを塗布または含浸させてなる普通紙タイプのインクジェット記録用紙であって、前記カチオン性基含有共重合体が、以下の一般式(I)で表されるビニル単量体及び一般式(II)で表されるビニル単量体から選ばれる少なくとも1種の(A)成分と、以下の一般式(III)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体及び一般式(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体から選ばれる少なくとも1種の(B)成分とを、{(A)成分/(B)成分}が97/3〜30/70のモル比で重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体である。
Figure 2011212955
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRは同一又は異なり、水素原子又は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。〕
Figure 2011212955
〔式中、Rは前記の意味を示し、A及びAは同一又は異なり、−(CH)n−(nは2〜6の整数を示す)で表される基を示し、Bは−O−又は−CH−基を示す。〕
Figure 2011212955
〔Rは前記の意味を示し、R及びRは同一又は異なり、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Yは−O−、−NH−、又は−O−CHCH(OH)−で表される基を示し、Zは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキルサルフェート基を示す。〕
Figure 2011212955
〔式中、R及びRは同一又は異なり、水素原子又はメチル基を示し、R及びR10は同一又は異なり、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは前記の意味を示す。〕
前記カチオン性基含有共重合体が、(A)成分と、(B)成分と、更に架橋性ビニル単量体から成る(C)成分(但し、前記一般式(IV)で表される単量体を除く)とを重合することにより得られることが好ましい。
(A)成分が、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
前記カチオン性基含有共重合体における(C)成分の割合は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量に対して0.0005〜5モル%であることが好ましい。
前記カチオン性基含有共重合体の乾燥付着量が、前記原紙の片面当たり0.3g/m以上1.5g/m以下であることが好ましい。
前記カチオン性基含有共重合体以外の水溶性高分子化合物が、ポリビニルアルコールまたは酸化澱粉であることが好ましい。
前記カチオン性基含有共重合体以外の水溶性高分子化合物と、前記カチオン性基含有共重合体との乾燥付着量の割合が質量比で7:1〜1:3であることが好ましい。
本発明によれば、普通紙タイプのインクジェット記録用紙において、染料インクで印字した際の印字濃度が良好であり、印字ドットの再現性についても良好なインクジェット記録用紙が得られる。
以下、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用紙について、詳細に説明する。
(原紙)
原紙に用いる木材パルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グラウンドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミカルサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を単独で使用し又は任意の割合で混合して使用することができる。
原紙の抄紙方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。又、抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよい。また、原紙中に填料を含有させると、紙の不透明度が向上する傾向があるため、原紙中に填料を含有させることが好ましい。填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。さらに原紙に、必要に応じて硫酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色剤、染料、消泡剤、pH調整剤等の助剤を含有してもよい。なお原紙の坪量は特に制限されない。
(カチオン性基含有共重合体)
本発明に用いるカチオン性基含有共重合体は、(A):一般式(I)で表されるビニル単量体及び(II)で表されるビニル単量体から選ばれる少なくとも1種と、(B):一般式(III)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体及び(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体から選ばれる少なくとも1種とを、所定のモル比で重合することにより得られる。
((A)成分)
カチオン性基含有共重合体は、一般式(I)で表されるビニル単量体及び(II)で表されるビニル単量体から選ばれる少なくとも1種を構成成分とする。
Figure 2011212955
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRは同一又は異なり、水素原子又は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。R及びRの炭素数の合計は、6以下が好ましく、4以下が更に好ましい。〕
Figure 2011212955
〔式中、Rは前記の意味を示し、A及びAは同一又は異なり、−(CH−(nは2〜6の整数を示す)で表される基を示し、Bは−O−又は−CH−基を示す。〕
(A)成分の単量体は、親水性であることが好ましい。ここで、親水性とは、「有機概念図−基礎と応用−」(甲田善生著、三共出版株式会社、昭和59年5月10日発行)において、重合単位が得られる基となるモノマーの無機性(I)と有機性(O)の比率[I/O]が、0.60以上であることを意味し、この比率が好ましくは1.00以上、更に好ましくは1.30以上である。
上記一般式(I)で表されるビニル単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。上記一般式(II)で表されるビニル単量体としては、N−(メタ)アクロイルモルホリンなどが挙げられる。
一般式(I)、(II)で表されるビニル単量体はかかる例示のみに限定されるものではなく、またこれらのビニル単量体は、単独または2種以上を混合して用いることができる。なお、「(メタ)アクリル」は、アクリル及び/又はメタクリルの意味である(以下同様)。
これら(A)成分の単量体の中で、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ置換アクリルアミドが好ましく、更には(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドが、カチオン性基含有共重合体の製造の観点、及び表面処理剤としての取り扱いの観点から好ましい。
((B)成分)
上記カチオン性基含有共重合体は、一般式(III)及び(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体から選ばれる少なくとも1種を構成成分とする。
Figure 2011212955
〔R1は前記の意味を示し、R及びRは同一又は異なり、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Yは−O−、−NH−、又は−O−CHCH(OH)−で表される基を示し、Zは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキルサルフェート基を示す。〕
Figure 2011212955
〔式中、R及びRは同一又は異なり、水素原子又はメチル基を示し、R及びR10は同一又は異なり、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは前記の意味を示す。〕
上記一般式(III)で表される化合物の具体例としては、上記したジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド類を酸で中和した酸中和物又は4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩が挙げられる。上記一般式(IV)で表される化合物の具体例としては、上記したジアリル型4級アンモニウム塩が挙げられる。
上記した酸中和物を得るための好ましい酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、ギ酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、スルファミン酸、トルエンスルホン酸、乳酸、ピロリドン−2−カルボン酸、コハク酸などが挙げられる。上記4級アンモニウム塩を得るための好ましい4級化剤としては、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピル等の一般的なアルキル化剤が挙げられる。
上記一般式(III)及び(IV)で表される化合物の中でより好ましいものとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドを上記した4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩、又はジメチルジアリルアンモニウムクロライドが挙げられる。
上記カチオン性基含有ビニル単量体の具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、又は(メタ)アクリルアミド類などのアミノ基を有する単量体の酸中和物あるいは4級アンモニウム塩;ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のジアリル型4級アンモニウム塩;4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン等のビニルピリジン類、N−ビニルイミダゾール等のN−ビニル複素環化合物類、アミノエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル等のビニルエーテル類などのアミノ基を有する単量体の酸中和物又は4級アンモニウム塩などが挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートの意味である(以下同様)。
(単量体成分の配合割合)
上記したカチオン性基含有共重合体は、(A)成分と(B)成分とを、{(A)成分/(B)成分}で表される組成比率(モル比)が97/3〜30/70となるように重合して得られる。上記組成比率(モル比)は、好ましくは97/3〜40/60である。
上記組成比率(モル比)が97/3〜30/70の範囲内にある場合、インクジェットインクの一部が原紙表面で凝集し、さらにカチオン性基含有共重合体が瞬時にインク中の水分を吸収することから、インクの紙内部への浸透を抑制する効果が発現される。さらに、カチオン性基含有共重合体の紙表面への接着力が向上し、インクジェット記録用紙からの紙粉の発生を充分に抑制することができる。
上記組成比率(モル比)が97/3を超える場合、カチオン性基含有共重合体にイオン性が付与されず、また、カチオン性基含有共重合体を原紙に塗工して乾燥した際、乾燥による収縮が生じ、原紙への被覆率が低下する。一方、上記組成比率(モル比)が30/70未満の場合、カチオン性基含有共重合体が高分子量になりづらく、インク中の水分を十分に保持できない。
なお、カチオン性基含有共重合体の構成単量体中、(A)成分と(B)成分の合計が80〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは90〜99.9モル%である。
〔(C)成分〕
上記カチオン性基含有共重合体は、必要に応じて、架橋性ビニル単量体から成る(C)成分〔但し、前記一般式(IV)で表される単量体を除く〕をも構成成分とすることができる。架橋性ビニル単量体は、好ましくは、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びアリル基から選ばれる少なくとも2個の基を分子中に有する。
少なくとも2個のビニル基を分子中に有する架橋性ビニル単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;N−メチルアリルアクリルアミド、N−ビニルアクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビスアクリルアミド酢酸等のアクリルアミド類;ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルエチレン尿素等のジビニル化合物;ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トリアリルアンモニウム塩、ペンタエリスリトールのアリルエーテル化体、分子中に少なくとも2個のアリルエーテル単位を有するスクローゼのアリルエーテル化体等のポリアリル化合物;ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート等の不飽和アルコールの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらの架橋性ビニル単量体の中は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテルが好ましい。
また、上記カチオン性基含有共重合体において、(C)成分の割合は、(A)成分、及び(B)成分及び(C)成分の合計量に対して0.0005〜5モル%であることが好ましく、0.001〜1モル%であることが特に好ましい。すなわち、上記(C)成分の割合は、(C)成分/〔(A)成分+(B)成分+(C)成分〕×100(モル%)で表される。
(C)成分の割合が0.0005〜5モル%である場合には、得られるカチオン性基含有共重合体の架橋度が適正となり、カチオン性基含有共重合体を原紙に塗布又は含浸した際、原紙表面にとどまる割合が向上し、カチオン性基含有共重合体が原紙内部に浸透しにくくなる。このためインクジェットインクで印字した際、カチオン性基含有共重合体が原紙表面に存在することにより、インクの一部が凝集し、さらにカチオン性基含有共重合体が瞬時にインク中の水分を吸収することによってインクが高粘度となり非流動化し、原紙内部へのインクの浸透を抑制する。又、カチオン性基含有共重合体を原紙表面に塗布又は含浸した際、原紙の多孔性表層部(細孔部)を穴埋めし、これによっても原紙内部へのインクの浸透を抑制する。
なお、カチオン性基含有共重合体の構成単量体中、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計が90〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは95〜100モル%である。
〔他の単量体成分〕
上記カチオン性基含有共重合体は、(A)成分と(B)成分とを必須構成成分とし、好ましくは更に(C)成分を構成成分とする共重合体であるが、これら(A)〜(C)のビニル単量体と共重合可能な他のビニル単量体も構成成分とすることができる。
他のビニル単量体としては、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、キシリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#210モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#400モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#600モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#1000モノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#210(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#600(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#1000(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸誘導体(#の次の数字は重量平均分子量を示す);2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、アクリル酸、メタアクリル酸、2−スルホエチルメタクリレートなどのアニオン性基含有単量体;N−(3−スルホプロピル)−N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−スルホプロピル)−N−メタクリロイルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−カルボキシメチル)−N−メタクリロイルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−スルホプロピル)−N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−カルボキシメチル−N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等のベタイン類が挙げられる。
〔重合方法〕
カチオン性基含有共重合体を製造する方法については必ずしも制限はないが、通常は水溶液重合法、逆相懸濁重合法、沈澱重合法などの方法によることが好ましい。例えば、水溶液重合法としては、水若しくは水と均一に混合可能な親水性有機溶媒、又はこれらの混合溶媒等の溶媒中に単量体成分、架橋剤を均一に溶解し、窒素、炭酸ガス等の不活性ガスによる置換等により系内の溶存酸素を除去した後、重合開始剤を添加して反応させる方法が挙げられる。重合開始温度は通常20〜90℃程度であり、反応時間は1〜10時間程度である。単量体として水に溶け難い成分を使用する場合、親水性有機溶媒を併用するのが望ましい。
カチオン性基含有共重合体を製造する際に用いられる重合装置は特に制限はなく、例えば一般的なニーダー、円筒型反応容器が用いられる。
上記親水性有機溶媒の代表的な例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低級アルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらのうち特に、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が好ましい。
また、重合開始剤としては、溶媒中に均一に溶解する過酸化物、有機又は無機過酸若しくはその塩、アゾビス系化合物の単独或いは還元剤との組合せによるレドックス系のものが用いられ、それらの代表的な例としては、例えば、t−ブチルパーオキサイド、t−アミルパーオキサイド、クミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルイソブチリルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、シクロヘキシルハイドロパーオキサイド、テトラリンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーアセテート、t−ブチルパーベンゾエート、ビス(2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、フェニルアゾトリフェニルメタン、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過硫酸塩とトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアニリン等の第3級アミンとの組合せ等が挙げられる。
これらのうち特に、t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム若しくは過硫酸アンモニウムの単独、又はこれらの過硫酸塩とトリエチルアミン、トリエタノールアミン若しくはジメチルアニリン等の第3級アミンとの組合せが好ましい。
水溶液重合法でカチオン性基含有共重合体を製造する手順の一例を示すと、フタを有するニーダー中に単量体混合物10〜50重量%を含む水溶液を送入し、必要に応じて系を窒素等の不活性気体で置換し、水溶性ラジカル重合開始剤を添加して、20〜90℃にして重合を開始させる。そして、重合の進行に伴って生成する含水ゲル状重合体を、ニーダーの羽根の回転による剪断力で細分化しながら重合を完結する方法を挙げることができる。勿論本発明の範囲がこの例により限定されるものではない。ここで用いられる単量体混合物水溶液の初期濃度は10〜50重量%であることが好ましい。
重合開始剤の使用量は、単量体成分を基準として0.01〜5モル%、好ましくは0.01〜3モル%、特に好ましくは0.01〜1モル%の範囲である。重合開始剤の使用量が単量体成分を基準として5モル%以下であるときは、主鎖の高分子鎖の重合度が上がり、架橋されない高分子鎖の割合が低減されるために期待する吸水能や増粘作用等の性能が十分に発揮される。一方、重合開始剤の使用量が単量体成分を基準として0.01モル%以上であるときは、重合反応の反応率が上がり、残留モノマーの量が低減されるため好ましい。
反応生成物は、反応に使用した溶媒を含むゲル状であり、通常は回転式カッター等で粉砕し、更に、加熱、減圧等の方法により溶媒を除去して乾燥、粉砕分級して粉末とする。
また、一般的な円筒型の密閉反応容器を用いた水溶液重合法も用いられる。この場合においても、単量体混合物10〜50重量%を含む水溶液を仕込み又は滴下しつつ、必要に応じて系を窒素等の不活性気体で置換し、水溶性ラジカル重合開始剤を添加して、常温で又は30〜80℃に加熱して重合を開始させ、液状の共重合物として得る方法が挙げられる。
逆相懸濁重合法は、水中に単量体成分、架橋剤を均一に溶解し、分散剤などを用いて水と均一に混合しない有機溶媒中に懸濁又は乳化させて重合反応を行う。重合開始剤としては、必ずしも水溶性のもののみに限らず有機溶媒中に可溶なものも用いられる。ここで用いられる有機溶媒としては、前記のもの以外に、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の炭化水素系有機溶媒、四塩化炭素、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素系有機溶媒、アイソバー等の鉱油等も用いられる。
また、分散剤としては、例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、シュガーエステル等、更に一般に乳化分散剤に用いられる界面活性剤等が挙げられる。
系内の溶存酸素の除去、反応生成物の処理等は前記と同様であり、また、反応条件は必ずしも制限はないが、概ね次の通りである。溶媒使用量:単量体水溶液と等量〜20倍、好ましくは等量〜10倍、重合開始剤の使用量:単量体成分を基準として0.01〜5モル%、好ましくは0.01〜3モル%、重合開始温度:10〜90℃程度、反応時間:1〜10時間程度である。
(水溶性高分子化合物)
本発明においては、上記したカチオン性基含有共重合体と、該カチオン性基含有共重合体以外の水溶性高分子化合物を(同時に)原紙表面に塗布又は含浸する。この水溶性高分子化合物としては、例えば、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉などに代表される各種変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、ハイドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコールまたはそれらの誘導体などを挙げることができ、これらを単独で使用し又は併用することができる。特に、得られる塗布液の取り扱いやすさや塗布後の紙表面の強度といった観点から、酸化澱粉またはポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
(カチオン性基含有共重合体の付着方法)
本発明においては原紙の片面または両面にカチオン性基含有共重合体と該カチオン性基含有共重合体以外の水溶性高分子化合物とを付着させる。原紙の表面にカチオン性基含有共重合体と該カチオン性基含有共重合体以外の水溶性高分子化合物とを付着させる方法には特に制限はないが、カチオン性基含有共重合体と該カチオン性基含有共重合体以外の水溶性高分子化合物を含有する水溶液を外添(塗工、含浸)する方法を用いることが好ましい。外添法によれば、上記共重合体及び水溶性高分子化合物が原紙の表面近傍に存在するために本発明の効果を得ることができる。
外添の方法としては、例えばサイズプレス、ゲートロールコーター、前計量型トランスファロールコーターの他、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなど各種塗工機で塗工することも可能である。但し、コスト、及び一工程で原紙の両面を処理できる点から、抄紙機に設置されているサイズプレス、ゲートロールコーター、前計量型トランスファロールコーターなどでカチオン性基含有共重合体を付着させ、オンマシンで仕上げるのが望ましい。また、オフマシン工程で巻き取り紙などの紙に塗工する方法があるが、これらを併用してもよい。
カチオン性基含有共重合体と該カチオン性基含有共重合体以外の水溶性高分子化合物とを含む上記水溶液中には、本発明の所望の効果を損なわない範囲でその他の添加剤、例えば、表面サイズ剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤などを適宜配合することもできる。表面サイズ剤としては、各種公知のサイズ剤を用いることができるが、特にカチオン性基含有共重合体との相溶性及びサイズ性の発現効果からカチオン性のスチレン・アクリル系サイズ剤を用いることが好ましい。
カチオン性基含有共重合体の乾燥付着量が、原紙片面当たり0.3〜1.5g/mの範囲であると、普通紙の風合いを残したまま(普通紙タイプのまま)で鮮明な画像を得ることができるので好ましい。ここで普通紙の風合いとは、表面にセルロース繊維が露出していて、手で触ったときに微粒子などを塗工した感じが無いものをいう。
カチオン性基含有共重合体の乾燥付着量が0.3g/mより少ないと十分な発色性、ドット再現性は得られない場合がある。カチオン性基含有共重合体の乾燥付着量が1.5g/mを超えても、印字濃度やドット再現性の向上効果が飽和すると共に、コストアップを招き、外見上も普通紙と異なる点からも好ましくない。
本発明において、カチオン性基含有共重合体以外の水溶性高分子化合物と、カチオン性基含有共重合体の乾燥付着量の割合が質量比で7:1〜1:3であることが好ましく、5:1〜1:2であることがより好ましい。
上記質量比が7:1を超えると、水溶性高分子化合物がカチオン性基含有共重合体に比べて多くなり過ぎ、水溶性高分子化合物がカチオン性基含有共重合体を完全に内包してしまうため、上記したカチオン性基含有共重合体による効果が十分に得られ難い。
一方、上記質量比が1:3未満であると、水溶性高分子化合物がカチオン性基含有共重合体に比べて少なくなり過ぎ、原紙の微細繊維や内添填料に由来する紙粉の発生、紙自体の剛度不足による搬送性不良などが起こる恐れがある。なお、上記質量比は、塗布液または含浸液中の各成分の配合割合と実質的に同一と見なすことできる。
本発明においては、原紙にカチオン性基含有共重合体とカチオン性基含有共重合体以外の水溶性高分子化合物を付着させた後、必要に応じてカレンダー処理やスーパーカレンダー処理、ソフトカレンダー処理などを行って表面を平滑にすることができる。
インクジェット記録用紙全体の坪量としては、インクジェット記録用紙が極端に薄くなければ特に制限はないが、40g/m以上300g/m以下の範囲がプリンターなどで印字する場合の搬送性の点で好ましい。さらに好ましい坪量は45g/m以上200g/m以下であり、この範囲であれば、紙の折り曲げ強度が高くならずに不透明度を高くすることができると共に、多数枚印字サンプルを重ねた時に貼り付きが発生しにくくなる。
本発明のインクジェット記録用紙は、インクジェット記録用紙としての使用だけでなく、記録時に液状であるインクを使用するあらゆる記録用紙として用いることもできる。さらに、複写機・プリンターなどに広く使用されている電子写真記録方式のトナーを加熱定着する記録用紙に本発明のインクジェット記録用紙を使用することもできる。
以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。又、以下の「部」または「%」は特に断らない限り、質量部または質量%とし、水溶液等の場合は固形分に換算した値を示す。
〈カチオン性基含有共重合体の製造例1〉
1Lビーカーにイオン交換水267.4g、MOEDES(ジメチルアミノエチルメタクリレートとジメチル硫酸の当モル付加物(有効分80重量%)、いずれも試薬、和光純薬工業(株)製)185.63g(有効分148.50g)、DMAAm(N,N−ジメチルアクリルアミド、試薬、和光純薬工業(株)製)110.46g、NK−14G(架橋剤、ポリエチレングリコールジメタクリレート、新中村化学(株)製)0.415g、V−50(重合開始剤、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、和光純薬工業(株)製)0.952gを混合し、モノマー水溶液Aとした。5Lのガラス容器にシクロヘキサン1648g、分散剤としてシュガーエステルS−770(三菱化成(株)製)を1.94g仕込み、60℃で1時間かけ均一に溶解せしめた。溶解後、30℃に冷却し、分散剤溶液Bとした。
分散剤溶液Bに、前記モノマー水溶液Aを加え、ホモミキサー(ROBOMICS、特殊機化工業(株)製)にセットし、9000回転で4分間攪拌し、平均粒子径5μmのモノマー分散液を得た。全量を5Lの攪拌機と温度計、冷却管の付いたSUS槽に仕込み、窒素置換後、昇温し、55℃で1時間重合した。さらに70℃で1時間熟成した後、冷却管付きの脱水管を装着し、約2時間かけて系内から水269gを除去した。脱水が進むにつれ、槽内温度は70℃から90℃に上昇した。
ついで40℃以下に冷却し、内容物をステンレス製トレーに移し、80℃、熱風乾燥して溶媒を除去し、白色・粒状のカチオン性基含有共重合体1を得た。なお、実施例で用いたカチオン性基含有共重合体1は、家庭用コーヒーミルで約1秒間、軽く粉砕し平均粒子径4.0μmのカチオン性基含有共重合体1を得た。
〈カチオン性基含有共重合体の製造例2〉
内容積1リットルで、ジャケットに70℃のオイルを外部循環させたシグマ型撹拌腕を2本有するステンレス製ニーダー中に、DADMAC(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、65%水溶液、ダイソー(株)製)45.92g(固形分29.85g)、アクリルアミド(AAm、試薬、和光純薬工業(株)製)48.28g、NK−14G(架橋剤、ポリエチレングリコールジメタクリレート、新中村化学(株)製)0.0214g、イオン交換水350gからなるあらかじめ窒素置換したモノマー水溶液を入れ、20〜40分間窒素ガスを吹き込み反応系内を窒素置換しながら、モノマー水溶液の昇温を行った。ついで、重合開始剤としてV−50を0.22g添加した。重合開始剤を添加してから15分後から増粘し、1時間後に系全体が柔らかいゲル状となった。そのまま4時間重合を継続させた。餅状の重合物を取り出し、95℃で乾燥させた。その後、コーヒーミル、ジェットミルで粉砕した。粉砕した架橋粒子を灰ボルターで分級し、カチオン性基含有共重合体4を得た。(平均粒子径45μm)
カチオン性基含有共重合体の製造例1に順じ、表1に示すモノマー組成で比較のカチオン性基含有共重合体2(平均粒子径6.2μm)、3(平均粒子径3.2μm)、5(平均粒子径5.5μm)、および6(平均粒子径4.5μm)を製造した。
Figure 2011212955
<実施例1>
広葉樹漂白クラフトパルプ(濾水度480ml)70%と針葉樹漂白クラフトパルプ(濾水度500ml)30%とを混合し、この混合パルプに対してカチオン化澱粉0.8%、アルキルケテンダイマー0.05%、硫酸バンド4%、炭酸カルシウム15%を添加して紙料とした。この紙料を用いて長網抄紙機で紙匹を形成し、3段のウェットプレスを行った後、乾燥して坪量75g/mの原紙を作製した。この原紙の両面に、2ロールサイズプレスにて、酸化澱粉及びカチオン性基含有共重合体1を、片面あたりそれぞれ0.7g/m、0.7g/mの付着量となるように付着させてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例2>
カチオン性基含有共重合体2を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例3>
カチオン性基含有共重合体3を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例4>
カチオン性基含有共重合体4を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例5>
カチオン性基含有共重合体1の付着量を1.3g/mとしたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例6>
酸化澱粉及びカチオン性基含有共重合体1の片面あたり付着量をそれぞれ2.0g/m、0.4g/mとしたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<比較例1>
カチオン性基含有共重合体5を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<比較例2>
カチオン性基含有共重合体6を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<比較例3>
カチオン性基含有共重合体1の付着量を0.2g/mとしたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<比較例4>
カチオン性基含有共重合体1の替わりに、一般的にインクジェット用紙の染料インク定着剤として用いられているカチオン性樹脂(DK6800、星光PMC)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<比較例5>
酸化澱粉の付着量を3g/mとしたこと以外は実施例6と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<評価>
各実施例及び比較例について、以下の方法で評価を行った。
1)印字濃度
インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製 型番PM−A940)にてKCMY各色のベタを印字し、色濃度測定機RD−19(グレタグマクベス社製)を用いて測定した印字濃度の値を4色合計した。
2)ドット再現性(ライン再現性)
上記したプリンター(セイコーエプソン社製 PM−A940)にてK色の細線を印字し、線の太り具合を目視にて評価した。
○:細く均一な線となり、良好なレベル
△:線が若干太めだが、実使用上問題ないレベル
×:線が太ってぼこついており、問題となるレベル
得られた結果を表1及び表2に示す。
Figure 2011212955
表1及び表2から明らかなように、各実施例の場合、染料インクの印字濃度、ドット再現性がいずれも優れており、鮮やかで高解像度の印字物が得られた。
一方、{(A)成分/(B)成分}のモル比が30/70未満であるカチオン性基含有共重合体5、6をそれぞれ用いた比較例1、2の場合、これらカチオン性基含有共重合体の吸水能力が不足したため、印字濃度とドット再現性が劣った。
また、カチオン性基含有共重合体の乾燥付着量が原紙の片面当たり0.3g/m未満である比較例3の場合、カチオン性基含有共重合体による効果が十分に生じず、印字濃度とドット再現性が劣った。
酸化澱粉(水溶性高分子化合物)とカチオン性基含有共重合体との乾燥付着量の割合が質量比で7:1を超えた比較例5の場合、酸化澱粉が多くなり過ぎてカチオン性基含有共重合体を完全に内包してしまうため、カチオン性基含有共重合体による効果が十分に生じず、印字濃度とドット再現性が劣った。
カチオン性基含有共重合体を用いず、一般的なインクジェット用紙の染料インク定着剤であるカチオン性樹脂を用いた比較例4の場合も、印字濃度とドット再現性が劣った。

Claims (7)

  1. 木材パルプを主成分とする原紙の片面又は両面に、カチオン性基含有共重合体と該カチオン性基含有共重合体以外の水溶性高分子化合物とを塗布または含浸させてなる普通紙タイプのインクジェット記録用紙であって、前記カチオン性基含有共重合体が、以下の一般式(I)で表されるビニル単量体及び一般式(II)で表されるビニル単量体から選ばれる少なくとも1種の(A)成分と、以下の一般式(III)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体及び一般式(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体から選ばれる少なくとも1種の(B)成分とを、{(A)成分/(B)成分}が97/3〜30/70のモル比で重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体であるインクジェット記録用紙。
    Figure 2011212955
    〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRは同一又は異なり、水素原子又は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。〕
    Figure 2011212955
    〔式中、Rは前記の意味を示し、A及びAは同一又は異なり、−(CH)n−(nは2〜6の整数を示す)で表される基を示し、Bは−O−又は−CH−基を示す。〕
    Figure 2011212955
    〔Rは前記の意味を示し、R及びRは同一又は異なり、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Yは−O−、−NH−、又は−O−CHCH(OH)−で表される基を示し、Zは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキルサルフェート基を示す。〕
    Figure 2011212955
    〔式中、R及びRは同一又は異なり、水素原子又はメチル基を示し、R及びR10は同一又は異なり、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは前記の意味を示す。〕
  2. 前記カチオン性基含有共重合体が、(A)成分と、(B)成分と、更に架橋性ビニル単量体から成る(C)成分(但し、前記一般式(IV)で表される単量体を除く)とを重合することにより得られる請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
  3. (A)成分が、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも1種以上である請求項1又は2記載のインクジェット記録用紙。
  4. 前記カチオン性基含有共重合体における(C)成分の割合は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量に対して0.0005〜5モル%である請求項2又は3に記載のインクジェット記録用紙。
  5. 前記カチオン性基含有共重合体の乾燥付着量が、前記原紙の片面当たり0.3g/m以上1.5g/m以下である請求項1〜4の何れか一項に記載のインクジェット記録用紙。
  6. 前記カチオン性基含有共重合体以外の水溶性高分子化合物が、ポリビニルアルコールまたは酸化澱粉である請求項1〜5の何れか一項に記載のインクジェット記録用紙。
  7. 前記カチオン性基含有共重合体以外の水溶性高分子化合物と、前記カチオン性基含有共重合体との乾燥付着量の割合が質量比で7:1〜1:3である請求項1〜6の何れか一項に記載のインクジェット記録用紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013543066A (ja) * 2010-11-05 2013-11-28 ハーキュリーズ・インコーポレーテッド 紙強度を向上させるためのポリマーの表面塗布剤

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