JP2011212549A - マイクロリアクタライン洗浄システム、マイクロリアクタラインの洗浄方法 - Google Patents

マイクロリアクタライン洗浄システム、マイクロリアクタラインの洗浄方法 Download PDF

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Shuichi Mori
修一 森
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加藤  宗
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Abstract

【課題】マイクロリアクタを包含するマイクロリアクタラインのインライン洗浄が可能なマイクロリアクタライン洗浄システム、及びマイクロリアクタラインの洗浄方法を提供する。
【解決手段】マイクロリアクタ12と、前記マイクロリアクタ12に接続され、前記マイクロリアクタ12に原料液14を供給する配管18と、前記配管18の上流側に接続され、前記配管18に洗浄液34を供給可能な供給管44と、前記配管18の前記供給管44の接続位置から前記マイクロリアクタ12の流入口12a前までの任意の位置に接続され、前記配管18から前記洗浄液34を排出可能な排出管46と、前記排出管46に介装され、前記排出管46の流路の開閉を行なうバルブ48と、を有し、前記バルブ48は、前記配管18の洗浄時に開放されることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、混合・乳化・化学反応装置としてのマイクロリアクタに関し、特にリアクタ本体及びライン中の構成部品・機器を分解することなく、効率的にインライン洗浄するための技術に関する。
マイクロリアクタは、直径数μmから数百μmの微細な流路を有する構造体である。またマイクロリアクタの流路内は層流で安定した流れが形成され、比表面積の割合が大きい。よって原料の混合特性、熱伝達特性が大きく向上するため原料の反応効率が向上することになる。このような特性を有するマイクロリアクタは、混合・乳化・化学反応を行なうためのデバイスとして近年注目を集めている。
マイクロリアクタは、流路が微細であるためにマイクロリアクタ1台当たりの流量は小さい。このため生産装置としての生産量を増やすために複数台のリアクタを並列に配置(ナンバリングアップ)して用いるのが通常である(特許文献1参照)。
マイクロリアクタの運転過程では、原料中の成分あるいは反応生成物・副生成物が流路内に吸着・析出し流路の壁面に堆積することによって、時間の経過とともに流路が閉塞する可能性がある。そのような場合、ライン中の圧力が上昇し、構成部品・機器が破損したり、また反応条件の変化により生成物の品質に悪影響を及ぼす虞がある。
上記の事態を回避するためには、マイクロリアクタを洗浄し、流路内に堆積した汚れを除去しなければならない。一般にナンバリングアップにより機器構成が複雑化しており、ライン中の構成部品・機器を全て分解することが非常に煩雑であることや、また洗浄を実施した直後に運転を再開することができれば生産効率が向上することから、洗浄方法としては、マイクロリアクタ本体やライン構成部品・機器の分解・組み立て作業が不要なインライン洗浄(定置洗浄またはCIP:Cleaning In Place)が望ましい。
図3に第1の従来技術に係るマイクロ化学反応システムを示す。図3に示すように特許文献1においては、2種以上の原料を供給する原料供給部102と、それぞれが前記2種以上の原料を合成させることによって反応を進行させるマイクロ化学チップ104とを有する複数の反応ライン106を並列に設置したマイクロ化学反応システム100であって、前記反応ライン106は定常的に稼動する定常ライン108と少なくとも1つの予備ライン110を有し、前記定常ライン108にはそれぞれ定常ライン108が異常状態であることを検出する状態検出手段112、114、116が設けられ、前記原料供給部102と前記複数の反応ライン106の間には定常ライン108が異常状態となったときに原料を予備ライン110へ流すための供給切替弁118が設けられた構成が開示されている。
図4に第2の従来技術に係るマイクロ化学装置の模式図を示す。図4に示すように、特許文献2においては、複数種類の原料流体をそれぞれの流体供給路202、204を通して、等価直径が1mm以下である1本のマイクロ流路206に合流させて反応操作又は単位操作を行なうマイクロ化学装置200の洗浄方法において、洗浄流体を前記マイクロ流路206に流通させ、前記マイクロ流路206内において層流渦を発生させて前記マイクロ流路206を洗浄する方法が開示されている。
特開2007−222849号公報 特開2006−272268号公報
しかし、特許文献1においては具体的な洗浄方法については明示されておらず、また通常状態であれば予備ライン110を用いないので、予備ライン110を設けた分だけ生産効率が低下する問題がある。また特許文献2においては洗浄方法も具体的に示されているが、リアクタ内の微細流路を対象としたものであり、洗浄液流量が低いためライン中の他の構成機器より径の太い流路に対しては大きな効果は期待できない。
そこで本発明は、上記問題点に着目し、マイクロリアクタ本体及びマイクロリアクタが介装されたライン中の構成部品・機器をインライン洗浄する際に、マイクロリアクタを洗浄する工程と、マイクロリアクタ以外の構成部品・機器を洗浄する工程とを分離して、ライン全体を効率的に洗浄することが可能なマイクロリアクタライン洗浄システム、マイクロリアクタラインの洗浄方法を提供することを目的とする。
上記目的達成のため、本発明に係るマイクロリアクタライン洗浄システムは、第1には、マイクロリアクタと、前記マイクロリアクタに接続され、前記マイクロリアクタに原料液を供給する配管と、前記配管の上流側に接続され、前記配管に洗浄液を供給可能な供給管と、前記配管の前記供給管の接続位置から前記マイクロリアクタの流入口前までの任意の位置に接続され、前記配管から前記洗浄液を排出可能な排出管と、前記排出管に介装され、前記排出管の流路の開閉を行なうバルブと、を有し、前記バルブは、前記配管の洗浄時に開放されることを特徴とする。
マイクロリアクタを包含するマイクロリアクタラインの場合、内径の最も小さいマイクロリアクタにおいて大きな圧力損失が発生することになる。しかし、マイクロリアクタに接続する配管は、マイクロリアクタに接続しない場合本来高流量で流体を流通させることができる。このため、マイクロリアクタに洗浄液を供給するためには大きな圧力を必要とする一方、排出管に洗浄液を供給させるために大きな圧力を必要としない。よって、上記構成により、バルブを開放すると洗浄液の殆どが排出管のほうに流れることになる。従って、マイクロリアクタを洗浄する場合は配管及びマイクロリアクタに洗浄液を流通させ、配管を洗浄する場合は配管のみに洗浄液を流通させることができる。このように配管のみに洗浄液を流通させる場合は、配管に高流量の洗浄液を流通させることができるので、マイクロリアクタのみならず配管も効率よく洗浄することが可能なマイクロリアクタライン洗浄システムとなる。
第2には、複数のマイクロリアクタと、前記複数のマイクロリアクタを並列に接続する分岐管と、前記分岐管に原料液を供給することにより前記複数のマイクロリアクタに前記原料液を供給する配管と、前記配管の上流側に接続され、前記配管に洗浄液を供給可能な供給管と、前記分岐管の前記供給管の接続位置から前記マイクロリアクタの流入口前までの任意の位置に接続され、前記分岐管の下流側から前記洗浄液を排出可能な排出管と、前記排出管に介装され、前記排出管の流路の開閉を行なうバルブと、を有し、前記バルブは、前記配管及び前記分岐管の洗浄時に開放されることを特徴とする。
上記構成により、マイクロリアクタを洗浄する場合は配管、分岐管、マイクロリアクタに洗浄液を流通させ、配管及び分岐管を洗浄する場合はマイクロリアクタに洗浄液を流通させることなく配管及び分岐管に洗浄液を流通させることができる。したがって、配管及び分岐管に洗浄液を流通させる場合は、配管及び分岐管に高流量の洗浄液を流通させることができるので、マイクロリアクタのみならず配管及び分岐管も効率よく洗浄することが可能なマイクロリアクタライン洗浄システムとなる。
第3には、前記供給管及び前記排出管は互いに接続され、前記洗浄液は前記配管を経由して循環可能であることを特徴とする。
上記構成により、洗浄液を無駄にすることなく効率的に配管等の洗浄を行うことが可能なマイクロリアクタライン洗浄システムとなる。
第4には、前記配管には、前記原料液及び前記洗浄液を送液可能なポンプが介装されたことを特徴とする。
上記構成により、マイクロリアクタラインにおける製造工程及び洗浄工程で同一のポンプを使用することができるので、構成部品を減らしコストを抑制できる。さらに洗浄工程において洗浄液が上述のポンプを流通するので、高流量の洗浄液によりポンプを効率的に洗浄することが可能なマイクロリアクタライン洗浄システムとなる。
第5には、前記排出管には、前記マイクロリアクタに前記洗浄液を流通させたのち前記排出管内を減圧する減圧ポンプが介装されたことを特徴とする。
上記構成により、マイクロリアクタ内に残留する洗浄液を減圧ポンプにより逆流させることができるので、マイクロリアクタ内の逆洗を行い、マイクロリアクタを効率的に洗浄することが可能なマイクロリアクタライン洗浄システムとなる。
一方、本発明にかかるマイクロリアクタラインの洗浄方法は、マイクロリアクタと、前記マイクロリアクタに原料液を供給する配管と、を有するマイクロリアクタラインの洗浄方法であって、前記配管の下流側に排出管を設け、前記排出管に前記排出管の流路の開閉が可能なバルブを介装し、前記バルブを閉めた状態で前記配管に洗浄液を流通させることにより前記マイクロリアクタに洗浄液を流通させて前記マイクロリアクタを洗浄し、前記バルブを開放した状態で前記配管に前記洗浄液を高速で流通させることにより、前記配管を洗浄することを特徴とする。
上記方法により、バルブを開放すると洗浄液の殆どが排出管のほうに流れることになる。従って、マイクロリアクタを洗浄する場合は配管及びマイクロリアクタに洗浄液を流通させ、配管を洗浄する場合は配管のみに洗浄液を流通させることができる。このように配管のみに洗浄液を流通させる場合は、配管に高流量の洗浄液を流通させることができるので、マイクロリアクタのみならず配管も効率よく洗浄することができる。
第2には、複数のマイクロリアクタと、前記複数のマイクロリアクタを並列に接続する分岐管と、前記分岐管に原料液を供給することにより前記複数のマイクロリアクタに前記原料液を供給する配管と、を有するマイクロリアクタラインの洗浄方法であって、前記分岐管の下流側に排出管を設け、前記排出管に前記排出管の流路の開閉を行なうバルブを介装し、前記バルブを閉じた状態で前記配管に洗浄液を流通させることにより前記マイクロリアクタに前記洗浄液を流通させて前記マイクロリアクタを洗浄し、前記バルブを開放した状態で前記配管に前記洗浄液を高速で流通させることにより前記配管及び前記分岐管を洗浄することを特徴とする。
上記方法により、マイクロリアクタを洗浄する場合は配管、分岐管、マイクロリアクタに洗浄液を流通させ、配管及び分岐管を洗浄する場合はマイクロリアクタに洗浄液を流通させることなく配管及び分岐管に洗浄液を流通させることができる。したがって、配管及び分岐管に洗浄液を流通させる場合は、配管及び分岐管に高流量の洗浄液を流通させることができるので、マイクロリアクタのみならず配管及び分岐管も効率よく洗浄することができる。
第3には、前記供給管と前記排出管とを互いに接続し、前記洗浄液を前記配管を経由して循環させることを特徴とする。
上記構成により、洗浄液を無駄にすることなく効率的に配管等の洗浄を行うことができる。
第4には、前記原料液及び前記洗浄液を、前記配管に介装したポンプにより送液することを特徴とする。
上記方法により、マイクロリアクタラインにおける製造工程及び洗浄工程で同一のポンプを使用することができるので、構成部品を減らしコストを抑制できる。さらに洗浄工程において洗浄液が上述のポンプを流通するので、高流量の洗浄液によりポンプを効率的に洗浄することができる。
第5には、前記排出管に減圧ポンプを介装し、前記マイクロリアクタに洗浄液を流通させたのち、前記減圧ポンプを駆動させ前記排出管内を減圧することを特徴とする。
上記方法により、マイクロリアクタ内に残留する洗浄液を減圧ポンプにより逆流させることができるので、マイクロリアクタ内の逆洗を行いマイクロリアクタを効率的に洗浄することができる。
本発明に係るマイクロリアクタライン洗浄システム、及びマイクロリアクタラインの洗浄方法によれば、マイクロリアクタ及びライン中の構成部品・機器をインライン洗浄して流路内の汚れを除去する際、高流量で洗浄液を流せる機器(ポンプ、配管等)と、流せない機器(マイクロリアクタ等)とを別々に洗浄することが可能な配管系を構築し、それぞれに適した洗浄液流量で洗浄を行うことでシステム全体の洗浄効率の向上を図ることができる。また、排出管中に設置した減圧ポンプを利用してライン中の(マイクロリアクタ中の)洗浄液を逆流させ、順方向の洗浄では汚れが除去されにくい箇所の洗浄を促進させることができる。
第1実施形態に係るマイクロリアクタライン洗浄システムの模式図である。 第2実施形態に係るマイクロリアクタライン洗浄システムの模式図である。 第1の従来技術に係るマイクロ化学反応システムの模式図を示す。 第2の従来技術に係るマイクロ化学反応システムの模式図を示す。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1に本実施形態に係るマイクロリアクタライン洗浄システム10を示す。第1実施形態に係るマイクロリアクタラインの洗浄方法は、マイクロリアクタ12と、前記マイクロリアクタ12に原料液14を供給する配管18と、を有するマイクロリアクタラインの洗浄方法であって、前記配管18の下流側(分岐管24)に排出管46を設け、前記排出管46に前記排出管46の流路の開閉が可能なバルブ48を介装し、前記バルブ48を閉めた状態で前記配管18に洗浄液34を流通させることにより前記マイクロリアクタ12に洗浄液34を流通させて前記マイクロリアクタ12を洗浄し、前記バルブ48を開放した状態で前記配管18に前記洗浄液34を流通させることにより、前記配管18(ポンプ22及び分岐管24を含む)を洗浄するものである。
よって、本実施形態に係るマイクロリアクタライン洗浄システム10は、マイクロリアクタ12と、前記マイクロリアクタ12に接続され、前記マイクロリアクタ12に原料液14を供給する配管18と、前記配管18の上流側(三方弁20)に接続され、前記配管18に洗浄液34を供給可能な供給管44と、前記配管18の前記供給管44の接続位置から前記マイクロリアクタ12の流入口12a前までの任意の位置(分岐管24)に接続され、前記配管18から前記洗浄液34を排出可能な排出管46と、前記排出管46に介装され、前記排出管46の流路の開閉を行なうバルブ48と、を有し、前記バルブ48は、前記配管18の洗浄時に開放されるものである。
本実施形態において原料液14をマイクロリアクタ12に供給する流路は上流から、原料液タンク16、配管18(配管18a)、三方弁20、配管18(配管18b)、ポンプ22、配管18(配管18c)、分岐管24、枝配管26の順に接続することにより形成されている。
三方弁20は、ポンプ22の入力側に接続する配管18bを、原料液タンク16に接続する配管18aまたは洗浄液タンク36側に接続する供給管44のいずれか一方に接続可能な構成を有している。よって三方弁20は、製造工程中は配管18aに接続され、洗浄工程中は供給管44に接続される。
分岐管24は入力側(上流側)を配管18cに接続され、出力側(下流側)をマイクロリアクタ12の個数(本実施形態では5個)に対応させて分岐させて枝配管26を形成している。そして枝配管26はマイクロリアクタ12に接続されている。
本実施形態では、このように、後段で枝分かれ(図1では5つに枝分かれ)をする流路を複数(図1では2つ)設け、流路同士を(枝配管26同士を)マイクロリアクタ12において合流させている。なお分岐管24はマイクロリアクタ12に接続する枝配管26のみならず後述の排出管46側に対しても出力側を分岐し、排出管46に接続されている。
また本実施形態において、2つの原料液タンク16から供給された原料液14がそれぞれポンプ22により吸引され、配管18a、三方弁20、配管18b、ポンプ22、配管18c、分岐管24、枝配管26を経由してマイクロリアクタ12に流入し、マイクロリアクタ12内で互いに合流し、合流して生成される生成物32がマイクロリアクタ12から供出される。
マイクロリアクタ12は、例えば2つのプレートを張り合わせた態様の構造を有し、プレートの貼り合わせる面の互いに対向する位置に断面が半円形の溝が形成され、この溝を対向させた状態でプレートを貼り合わせることにより断面が円形のマイクロ流路がチップ内に形成されている。
マイクロリアクタ12を用いた製造工程においては、さまざまな単位操作及び反応操作が行なわれる。例えば単位操作としては、混合、分離、分級、ろ過、加熱、冷却、熱交換、抽出、晶析、溶解、蒸発、蒸留、吸収、吸着等があり、また反応操作としては、無機物質や有機物質を対象としてイオン反応、酸化還元反応、電界反応、硝化反応、燃焼反応、焼成反応、焙燃反応、ハロゲン化反応、スルホン化反応、アルキル化反応、エステル化反応、醗酵反応、熱反応、触媒反応、ラジカル反応、重合反応等がある。これらの操作を行なうため、マイクロリアクタの材料としては、セラミック、ガラス、シリコーン、樹脂などの材料を用いることができる。またマイクロリアクタに高い熱伝導性を求めるのであれば金属等を用いることができる。なお、マイクロリアクタには温度調整器(不図示)が取り付けられ、後述の制御手段等により上述の単位操作のためのマイクロリアクタ12内の温度の最適化がなされる。
一方、上述の流路を洗浄する流路は上流から、洗浄液タンク36(すすぎ液タンク40)、三方弁42、供給管44、三方弁20、配管18b、ポンプ22、配管18c、分岐管24、枝配管26を経由してマイクロリアクタ12の順に接続することにより形成されるものと、分岐管24から洗浄液タンク36側に帰還する経路、すなわち排出管46(排出管46a)、バルブ48、排出管46(排出管46b)、三方弁50、洗浄液タンク36(すすぎ液タンク40)の順に接続することにより形成されるものがある。これらの流路は、それぞれマイクロリアクタ12で合流する原料液を供給する流路ごとに形成される。
なお、マイクロリアクタ12に接続する枝配管26には、それぞれ枝配管26の流路の流量を調整する流量調整バルブ28と枝配管26内の流体の圧力を測定する圧力計30が設けられている。流量調整バルブ28は製造工程において、マイクロリアクタ12に印加される原料液14の圧力が一定となるように、その流量の調整をしてもよい。また製造工程を継続するとマイクロリアクタ12内に生成物または副生成物が堆積し、マイクロリアクタ12において圧力損失が増大する。よって流量調整バルブ28の流量を一定にし、測定される圧力が所定の値を超えた場合に、製造工程を中断して洗浄工程に移行するようにしてもよい。一方、洗浄工程においては流量調整バルブ28を開放して洗浄液34及びすすぎ液38の流量を最大にするものとする。
洗浄液タンク36に満たされた洗浄液34は、配管18やマイクロリアクタ12の内壁に付着した汚れを除去するものである。洗浄液34は原料液14の種類に応じて適宜選択されるが、水酸化ナトリウムや次亜塩素酸ナトリウム等を含有するアルカリ性水溶液や界面活性剤等が用いられる。また原料液14が油脂状のものであれば有機溶剤等も用いることができる。
すすぎ液タンク40に満たされたすすぎ液38は、洗浄液34を配管18やマイクロリアクタ12に所定時間供給したのち、残留した洗浄液34を配管18やマイクロリアクタ12から排出するために一定時間配管18側に供給するものであり、例えば純水が用いられる。
三方弁42は、三方弁42に接続する供給管44を洗浄液タンク36側またはすすぎ液タンク40側のいずれか一方に接続可能な構成を有している。よって三方弁42は洗浄液34またはすすぎ液38のいずれか一方を供給管44に供給することができる。さらに洗浄液34及びすすぎ液38はポンプ22により送液されマイクロリアクタ12や排出管46へ流通させることができる。
排出管46に設けられたバルブ48は、排出管46の流路を開閉するものである。バルブ48は製造工程おいては閉じられており、原料液14が排出管46から外部に排出されることを防止している。一方、洗浄工程においてはバルブ48を閉めたり開放したりすることにより洗浄液34(すすぎ液38)の流路を変更し、洗浄対象を変更することができる。
なお、本実施形態においてマイクロリアクタ12は、2つの流体を合流させる形態を有しているので、供給管44は二股に分かれて原料液タンク16からマイクロリアクタ12に至る2つの流路に洗浄液34(すすぎ液38)を供給することができ、排出管46も同様に二股に分かれ上述の流路から排出される洗浄液34(すすぎ液38)を一つに合流させ洗浄液タンク36(すすぎ液タンク40)に導入させることができる。
すなわち、バルブ48を閉じたときは排出管46の流路が閉じた状態となるので、配管18に供給された洗浄液34(すすぎ液38)はマイクロリアクタ12を流通し、マイクロリアクタ12内を洗浄しつつ系外に排出される。このとき洗浄液34(すすぎ液38)は、マイクロリアクタ12側のみならず排出管46aまで満たした状態となっている。この状態でポンプ22を停止させると、マイクロリアクタ12内を含め、洗浄液34が残留することになる。このとき減圧ポンプ52に付属するバルブ54を開放し、減圧ポンプ52を駆動させると、減圧ポンプ52は排出管46a内から洗浄液34を排出させて排出管46a内を減圧することができる。このときマイクロリアクタ12に残留する洗浄液34は排出管46側(減圧ポンプ52側)に逆流することになる。このように、マイクロリアクタ12内に残留する洗浄液34を減圧ポンプ52により逆流させることができるので、マイクロリアクタ12内の逆洗を行い、マイクロリアクタ12を効率的に洗浄することができる。
一方、バルブ48を開放すると排出管46の流路が開放される。マイクロリアクタ12を包含するマイクロリアクタラインの場合、内径の最も小さいマイクロリアクタ12において圧力損失のため最も流量が小さくなる一方、マイクロリアクタ12に接続する配管18は、マイクロリアクタ12に接続しなければ本来高流量で流体を流通させることができるものである。このため、マイクロリアクタ12に洗浄液34(すすぎ液38)を供給するためには大きな圧力を必要とする一方、排出管46側に洗浄液34(すすぎ液38)を供給させるために大きな圧力を必要としない。よって、バルブ48を開放すると洗浄液34(すすぎ液38)の殆どが排出管46のほうに流れることになる。従って、マイクロリアクタ12を洗浄する場合は配管18等を経由してマイクロリアクタ12に洗浄液34(すすぎ液38)を流通させ、配管18を洗浄する場合はマイクロリアクタ12に洗浄液34(すすぎ液38)を流通させず配管18のみに洗浄液34(すすぎ液38)を流通させることができる。このようにマイクロリアクタ12を経由させず配管18に洗浄液(すすぎ液)を流通させる場合は、配管18に高流量の洗浄液34(すすぎ液38)を流通させることができるので、マイクロリアクタ12のみならず配管18、ポンプ22、分岐管24も効率よく洗浄することができる。
排出管46bは三方弁50に接続されている。三方弁50は排出管46bを洗浄液タンク36側またはすすぎ液タンク40側のいずれか一方に接続可能な構成を有している。三方弁50は、三方弁42の接続に連動し、三方弁42が洗浄液タンク36側に接続したときは三方弁50も洗浄液タンク36に接続し、三方弁42がすすぎ液タンク40側に接続したときは三方弁50もすすぎ液タンク40側に接続するものとする。これにより洗浄液34(すすぎ液38)は、ポンプ22により送液され、洗浄液タンク36(すすぎ液タンク40)、供給管44、配管18、ポンプ22、分岐管24、排出管46、洗浄液タンク36(すすぎ液タンク40)と、一巡する。よって供給管44及び排出管46は洗浄液タンク36(すすぎ液タンク40)を介して互いに接続され、洗浄液34(すすぎ液38)は配管18を経由して循環可能な構成となっている。これにより、洗浄液34(すすぎ液38)を無駄にすることなく効率的に配管18等の洗浄を行うことができる。なお、すすぎ液38は循環させずにそのまま系外に排出させてもよい。
また上述のように、本実施形態において、配管18には、原料液14及び洗浄液34(すすぎ液38)を送液可能なポンプ22が介装されている。これにより、マイクロリアクタラインにおける製造工程及び洗浄工程で同一のポンプ22を使用することができるので、構成部品を減らしコストを抑制できる。さらに洗浄工程において洗浄液34(すすぎ液38)が上述のポンプを流通するので、高流量の洗浄液34(すすぎ液38)によりポンプ22を効率的に洗浄することができる。
第2実施形態に係るマイクロリアクタライン洗浄システムを図2に示す。第2実施形態に係るマイクロリアクタラインの洗浄方法は、複数のマイクロリアクタ12と、前記複数のマイクロリアクタ12を並列に接続する分岐管24と、前記分岐管24に原料液14を供給することにより前記複数のマイクロリアクタ12に前記原料液14を供給する配管18と、を有するマイクロリアクタラインの洗浄方法であって、前記分岐管24の下流側(枝配管26)に前記分岐管24の下流側(枝配管26)から前記洗浄液34を排出可能な排出管62を設け、前記排出管62に前記排出管62の流路の開閉を行なうバルブ48を介装し、前記バルブ48を閉じた状態で前記配管18に前記洗浄液34を流通させることにより前記マイクロリアクタ12に前記洗浄液34を流通させて前記マイクロリアクタ12を洗浄し、前記バルブ48を開放した状態で前記配管18に前記洗浄液34を流通させることにより前記配管18及び前記分岐管24を洗浄するものである。
よって本実施形態のマイクロリアクタライン洗浄システムは、複数のマイクロリアクタ12と、前記複数のマイクロリアクタ12を並列に接続する分岐管24と、前記分岐管24に原料液14を供給することにより前記複数のマイクロリアクタ12に前記原料液14を供給する配管18と、前記配管18の上流側に接続され、前記配管18に洗浄液34を供給可能な供給管44と、前記分岐管24の下流側(枝配管26)に接続され、前記分岐管24の下流側(枝配管26)から前記洗浄液34を排出可能な排出管62と、前記排出管62に介装され、前記排出管62の流路の開閉を行なうバルブ48と、を有し、前記バルブ48は、前記配管18及び前記分岐管24の洗浄時に開放されるものである。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成要素は同一番号を付し、説明の必要がない限りその説明を省略する。
第2の実施形態に係るマイクロリアクタライン洗浄システム60においては、複数の枝配管26に、排出管62に並列に接続する複数の枝配管64を接続した点で第1実施形態と相違する。そして分岐管24、枝配管26、枝配管64、排出管62はマイクロリアクタ12の内径より充分大きな内径を有している。これにより分岐管24(枝配管26)はバルブ48を開放した場合、第1実施形態で説明した理由により、高流量の洗浄液34(すすぎ液38)を流通させることができる。よって、マイクロリアクタ12を洗浄する場合はバルブ48を閉じ洗浄液34(すすぎ液38)を流通させ、配管18及び分岐管24(枝配管26)、流量調整バルブ28、圧力計30を洗浄する場合はバルブ48を開き洗浄液34(すすぎ液38)を流通させればよい。したがって、配管18及び分岐管24(枝配管26)、流量調整バルブ28、圧力計30に洗浄液34(すすぎ液38)を流通させる場合は、高流量の洗浄液34(すすぎ液38)を流通させることができるので、マイクロリアクタ12のみならず配管18、分岐管24(枝配管26)、流量調整バルブ28、圧力計30も効率よく洗浄することができる。
洗浄箇所ごとに洗浄方法を選択し効率的なインライン洗浄を行うことが可能なマイクロリアクタライン洗浄システム、及びマイクロリアクタラインの洗浄方法として利用できる。
10………マイクロリアクタライン洗浄システム、12………マイクロリアクタ、12a………流入口、14………原料液、16………原料液タンク、18………配管、20………三方弁、22………ポンプ、24………分岐管、26………枝配管、28………流量調整バルブ、30………圧力計、32………生成物、34………洗浄液、36………洗浄液タンク、38………すすぎ液、40………すすぎ液タンク、42………三方弁、44………供給管、46………排出管、48………バルブ、50………三方弁、52………減圧ポンプ、54………バルブ、60………マイクロリアクタライン洗浄システム、62………排出管、64………枝配管、100………マイクロ化学反応システム、102………原料供給部、104………マイクロ化学チップ、106………反応ライン、108………定常ライン、110………予備ライン、112………状態検出手段、114………状態検出手段、116………状態検出手段、118………供給切替弁、200………マイクロ化学装置、202………流体供給路、204………流体供給路、206………マイクロ流路。

Claims (10)

  1. マイクロリアクタと、
    前記マイクロリアクタに接続され、前記マイクロリアクタに原料液を供給する配管と、
    前記配管の上流側に接続され、前記配管に洗浄液を供給可能な供給管と、
    前記配管の前記供給管の接続位置から前記マイクロリアクタの流入口前までの任意の位置に接続され、前記配管から前記洗浄液を排出可能な排出管と、
    前記排出管に介装され、前記排出管の流路の開閉を行なうバルブと、を有し、
    前記バルブは、前記配管の洗浄時に開放されることを特徴とするマイクロリアクタライン洗浄システム。
  2. 複数のマイクロリアクタと、
    前記複数のマイクロリアクタを並列に接続する分岐管と、
    前記分岐管に原料液を供給することにより前記複数のマイクロリアクタに前記原料液を供給する配管と、
    前記配管の上流側に接続され、前記配管に洗浄液を供給可能な供給管と、
    前記分岐管の前記供給管の接続位置から前記マイクロリアクタの流入口前までの任意の位置に接続され、前記分岐管の下流側から前記洗浄液を排出可能な排出管と、
    前記排出管に介装され、前記排出管の流路の開閉を行なうバルブと、を有し、
    前記バルブは、前記配管及び前記分岐管の洗浄時に開放されることを特徴とするマイクロリアクタライン洗浄システム。
  3. 前記供給管及び前記排出管は互いに接続され、前記洗浄液は前記配管を経由して循環可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロリアクタライン洗浄システム。
  4. 前記配管には、前記原料液及び前記洗浄液を送液可能なポンプが介装されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイクロリアクタライン洗浄システム。
  5. 前記排出管には、前記マイクロリアクタに前記洗浄液を流通させたのち前記排出管内を減圧する減圧ポンプが介装されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマイクロリアクタライン洗浄システム。
  6. マイクロリアクタと、前記マイクロリアクタに原料液を供給する配管と、を有するマイクロリアクタラインの洗浄方法であって、
    前記配管の下流側に排出管を設け、前記排出管に前記排出管の流路の開閉が可能なバルブを介装し、
    前記バルブを閉めた状態で前記配管に洗浄液を流通させることにより前記マイクロリアクタに洗浄液を流通させて前記マイクロリアクタを洗浄し、
    前記バルブを開放した状態で前記配管に前記洗浄液を流通させることにより、前記配管を洗浄することを特徴とするマイクロリアクタラインの洗浄方法。
  7. 複数のマイクロリアクタと、前記複数のマイクロリアクタを並列に接続する分岐管と、前記分岐管に原料液を供給することにより前記複数のマイクロリアクタに前記原料液を供給する配管と、を有するマイクロリアクタラインの洗浄方法であって、
    前記分岐管の下流側に排出管を設け、
    前記排出管に前記排出管の流路の開閉を行なうバルブを介装し、
    前記バルブを閉じた状態で前記配管に洗浄液を流通させることにより前記マイクロリアクタに前記洗浄液を流通させて前記マイクロリアクタを洗浄し、
    前記バルブを開放した状態で前記配管に前記洗浄液を流通させることにより前記配管及び前記分岐管を洗浄することを特徴とするマイクロリアクタラインの洗浄方法。
  8. 前記供給管と前記排出管とを互いに接続し、前記洗浄液を前記配管を経由して循環させることを特徴とする請求項6または7に記載のマイクロリアクタラインの洗浄方法。
  9. 前記原料液及び前記洗浄液を、前記配管に介装したポンプにより送液することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のマイクロリアクタラインの洗浄方法。
  10. 前記排出管に減圧ポンプを介装し、前記マイクロリアクタに洗浄液を流通させたのち、前記減圧ポンプを駆動させ前記排出管内を減圧することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載のマイクロリアクタラインの洗浄方法。
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