JP2011208245A - 加工性に優れた高強度鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、所定の化学成分を有する鋼を、Ac3点以上の温度で10秒以上保持した後、10℃/秒以上の冷却速度でMs点以下まで冷却し、150℃以上250℃未満で30秒以上700秒以下保持した後、室温まで冷却する一次焼鈍工程と、次いで、Ac1点以上Ac3点以下で10秒以上200秒以下保持した後、10℃/秒以上の冷却速度で300℃以上500℃以下の温度まで冷却し、300℃以上500℃以下で10秒以上500秒以下保持した後、室温まで冷却する二次焼鈍工程とを含むことを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板の製造方法である。
【選択図】なし
Description
一次焼鈍工程では、まずAc3点以上の温度T1(℃)での保持時間t1(秒)を10秒以上として保持した後、冷却速度CR1(℃/秒)を10℃/秒以上としてMs点以下の温度T2(℃)まで冷却する。
一次焼鈍工程に次いで、二次焼鈍工程ではAc1点以上Ac3点以下の温度T4(℃)での保持時間t4(秒)が10秒以上200秒以下となるように保持した後、冷却速度CR2(℃/秒)が10℃/秒以上となるように300℃以上500℃以下の温度T5(℃)まで冷却し、T5(℃)での保持時間t5(秒)が10秒以上500秒以下となるように保持した後、室温まで冷却する。
Ac1点=723−10.7[Mn]−16.9[Ni]+29.1[Si] +16.9[Cr]+290[As]+6.38 ・・・(1)
Ac3点=910−203[C]0.5−15.2[Ni]+44.7[Si]+104[V]+31.5[Mo]+13.1[W]−30[Mn]−11[Cr]−20[Cu]+700[P]+400[Al]+120[As]+400[Ti] ・・・(2)
Ms点=561−474[C]−33[Mn]−17[Ni]−17[Cr]−21[Mo] ・・・(3)
Ar3点=868−369[C]+24.6[Si]−68.1[Mn]−36.1[Ni]−20.7[Cu]−24.8[Cr]+190[V] ・・・(4)
(上記(1)〜(4)式において、[ ]は各元素の含有量(質量%)を表す。(1)〜(3)式:幸田成康訳「レスリー鉄鋼材料学」、(4)式:特開2008−08848号公報から引用)
Cは、高強度を確保し、かつ残留オーステナイトを確保するために必須の元素である。より詳細には、オーステナイト相中に十分なCを固溶させることで、室温でも所望のオーステナイト相を残留させることができ、強度−延性バランスを向上させるのに有用である。そこでC量は0.15%以上と定めた。C量は0.16%以上が好ましく、より好ましくは0.17%以上である。一方、C量が過剰になると良好な強度−延性バランスを阻害するのみならず、溶接性にも悪影響を及ぼす。そこでC量は0.25%以下と定めた。C量は好ましくは0.24%以下であり、より好ましくは0.23%以下である。
Siは、残留オーステナイトの分解を抑制するとともに、固溶強化元素として有用な元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Si量は1.0%以上と定めた。Si量は好ましくは1.3%以上であり、より好ましくは1.5%以上である。一方、Si量が過剰になると良好な強度−延性バランスを阻害するだけでなく、熱間脆性を起こす可能性がある。そこでSi量は2.5%以下と定めた。Si量は、好ましくは2.3%以下であり、より好ましくは2.2%以下である。
Mnは、オーステナイトを安定化し、所定量以上の残留オーステナイトを確保することによって強度−延性バランスを向上させるのに有用な元素である。そこでMn量は1.5%以上と定めた。Mn量は、好ましくは1.7%以上であり、より好ましくは2.0%以上である。一方、Mn量が過剰になりすぎると却って強度−延性バランスが低下するだけでなく、鋳片割れの原因となる。従ってMn量は3.0%以下と定めた。Mn量は好ましくは2.7%以下であり、より好ましくは2.6%以下である。
Pは、所望の残留オーステナイトを確保するのに有用な元素である。従ってPは必須添加元素とし、好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.005%以上とする。一方、P量が過剰になると二次加工性が劣化する。そこでP量は0.03%以下と定めた。P量は好ましくは0.02%以下、より好ましくは0.018%以下である。
Sは、MnSなどの硫化物系介在物を形成し、割れの起点となって加工性を劣化させる元素であるため、極力低減することが好ましい。そこでS量は0.01%以下と定めた。S量は、好ましくは0.008%以下であり、より好ましくは0.005%以下である。
Alは脱酸元素として添加され、鋼の清浄度を向上させるのに有用な元素であるとともに、残留オーステナイトの形成にも有効な元素である。そこでAl量を0.01%以上と定めた。Al量は、好ましくは0.02%以上であり、より好ましくは0.03%以上である。一方、Al量を0.1%を超えて含有させても効果が飽和し、含有量に見合う効果が得られない。そこでAl量は0.1%以下とする。Al量は好ましくは0.08%以下であり、より好ましくは0.07%以下である。なお、本発明ではAl脱酸以外の脱酸方法による溶製方法を排除するものではなく、例えばTi脱酸やSi脱酸を行ってもよく、これらの脱酸法による鋼板も本発明の範囲に含まれる。
Nは、0.01%を超えて含有すると、鋼板中に窒化物が増加し、それによって鋼板の特性(伸びフランジ性など)が顕著に劣化する。そこでN量は0.01%以下と定めた。N量は好ましくは0.007%以下であり、より好ましくは0.005%以下である。
Cr及びMoはいずれも、鋼の強化元素として有用であると共に、残留オーステナイトを安定化させて所定量以上確保するのに有効な元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Cr量は0.02%以上とすることが好ましく、Mo量は0.01%以上とすることが好ましい。より好ましくは、Cr量およびMo量はいずれも0.05%以上である。但し、CrおよびMoは過剰に添加しても効果が飽和して経済性が低下するため、上限はいずれも0.5%以下とするのが好ましい。Cr量およびMo量はいずれも0.4%以下とするのがより好ましく、さらに好ましくは0.3%以下である。
Nb、Ti、およびVは、いずれも析出強化および組織微細化効果を有する元素である。このような効果を有効に発揮させるため、いずれも0.004%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.01%以上である。但し、過剰に含有させても効果が飽和して経済性が低下するため、いずれの含有量も0.1%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.08%以下、さらに好ましくは0.07%以下である。
得られた鋼板の圧延方向と垂直な方向に採取したJIS5号試験片を用いて、JIS Z2241に従って引張試験を行い、耐力(YS)、引張強さ(TS)、破断伸び(EL)を測定し、降伏比(YR)とTS×ELの値を算出した。
日本鉄鋼連盟規格(JFS T1001)に準拠して、鋼板に直径10mmの円形の初期穴を打抜き、この穴に60°円錐ポンチを押し当てて穴拡げ加工を行い、穴縁の亀裂が板厚を貫通した時の穴径dbを求め、下記式(5)によって穴拡げ率λを求めた。
λ(%)={(db−di)/di}×100 ・・・(5)
(但し、diは初期穴径(mm)を表し、dbは亀裂が板厚を貫通したときの穴径(mm)を表す。)
結果を表2〜4に示す。
Claims (5)
- 質量%で、
C :0.15%以上0.25%以下、
Si:1.0%以上2.5%以下、
Mn:1.5%以上3.0%以下、
P :0.03%以下(0%を含まない)、
S :0.01%以下(0%を含まない)、
Al:0.01%以上0.1%以下、
N :0.01%以下(0%を含まない)
を含有し、残部は鉄および不可避的不純物である鋼を、冷間圧延した後に、
Ac3点以上の温度で10秒以上保持した後、10℃/秒以上の冷却速度でMs点以下まで冷却し、150℃以上250℃未満で30秒以上700秒以下保持した後、室温まで冷却する一次焼鈍工程と、
次いで、Ac1点以上Ac3点以下で10秒以上200秒以下保持した後、10℃/秒以上の冷却速度で300℃以上500℃以下の温度まで冷却し、300℃以上500℃以下で10秒以上500秒以下保持した後、室温まで冷却する二次焼鈍工程とを含むことを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板の製造方法。 - 更に、鋼が質量%でCr:0.5%以下(0%を含まない)および/またはMo:0.5%以下(0%を含まない)を含有する請求項1に記載の製造方法。
- 更に、鋼が質量%でNb:0.1%以下(0%を含まない)、Ti:0.1%以下(0%を含まない)、およびV:0.1%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記二次焼鈍工程は、溶融亜鉛めっき工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記二次焼鈍工程の後、更に合金化する工程を含む請求項4に記載の製造方法。
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CN112080703A (zh) * | 2020-09-23 | 2020-12-15 | 辽宁衡业高科新材股份有限公司 | 一种960MPa级微残余应力高强钢板及其热处理方法 |
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---|---|---|---|---|
JP2004218025A (ja) * | 2003-01-16 | 2004-08-05 | Kobe Steel Ltd | 加工性および形状凍結性に優れた高強度鋼板、並びにその製法 |
JP2008007854A (ja) * | 2006-05-29 | 2008-01-17 | Kobe Steel Ltd | 伸びフランジ性に優れた高強度鋼板 |
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