JP2011206623A - 吸着用シート及び塗工液 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い吸着特性を示す吸着層を有する吸着用シートを提供することである。また、ゲル化、沈降等を抑制し、十分な流動性を保ち、簡便かつ安定的に吸着層を製造することができる塗工液を提供することである。
【解決手段】バインダーとして、ポリビニルアルコール系樹脂を用いる塗工液及び吸着用シート。
【選択図】なし
【解決手段】バインダーとして、ポリビニルアルコール系樹脂を用いる塗工液及び吸着用シート。
【選択図】なし
Description
本発明は、吸着用シート及び塗工液に関する。
吸着剤の吸着能及び脱着能を利用して、有機ガス(VOC)、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物(NOX)等のガス除去システム、熱交換または熱移動システム、調湿(除湿または加湿)システム等が開発されている。これら各種システムで使用される吸着素子は、紙、布帛、フィルム、多孔質フィルム、金属箔、金属板等のシート基材に、吸着剤とバインダーとを含有してなる吸着層が設けられた吸着用シートで構成されている。
吸着用シートの吸着層は、吸着剤をバインダーとともに媒体である水に分散した塗工液をシート基材に塗工することで製造される(例えば、特許文献1〜3参照)。吸着剤としては、高吸水性高分子、カルボキシメチルセルロース等の有機系吸着剤、シリカゲル、セピオライト、ゼオライト、ベントナイト、アタパルジャイト、珪藻土、活性炭、多孔質金属酸化物、水酸化アルミニウム等の無機系吸着剤が主に用いられる。また、バインダーとしては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、(メタ)アクリル・スチレン共重合樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、スチレン・アクリロニトリル・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合樹脂、酢酸ビニル・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合樹脂等の非水溶性高分子からなるエマルジョンが用いられる。しかしながら、バインダーとして、これらエマルジョンを用いると、塗工液のゲル化、吸着剤の沈降が起こって、吸着層がムラになる、塗工量が低下する、塗工できない、吸着層とシート基材との結着力が低い等の問題が発生していた。また、吸着剤の表面をこれらのエマルジョンが被覆しやすいために、得られた吸着層の吸着特性が低くなるという問題もあった。さらに、吸着剤によっては、凝集構造体、繊維構造、環状構造等の特殊な構造によって、吸着特性が発現されているが、バインダーがその構造を変化させてしまい、吸着特性が低下するという問題が起こることがあった。
また、媒体として有機溶剤を使用し、バインダーとして有機溶剤可溶樹脂を用いた方法もあるが、有機溶剤を使用するため、環境上や安全上の問題がある上、湿式凝固法を使用して、吸着層を多孔質にしなければならず、その結果、吸着層から吸着剤が脱落する問題が発生することがあった(例えば、特許文献4参照)。
本発明の課題は、高い吸着特性を示す吸着層を有する吸着用シートを提供することである。また、ゲル化、沈降等を抑制し、十分な流動性を保ち、簡便かつ安定的に吸着層を製造することができる塗工液を提供することである。
上記課題は
(1)少なくとも吸着剤とバインダーとを含有してなる吸着層をシート基材上に設けてなる吸着用シートにおいて、バインダーがポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする吸着用シート、
(2)ポリビニルアルコール系樹脂が、グラフト化ポリビニルアルコール系樹脂である上記(1)記載の吸着用シート、
(3)少なくとも吸着剤、バインダー及び媒体を含有してなる塗工液であって、バインダーがポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする塗工液、
(4)ポリビニルアルコール系樹脂が、グラフト化ポリビニルアルコール系樹脂である上記(3)記載の塗工液、
(5)上記(3)または(4)に記載の塗工液をシート基材に塗工してなる吸着層を有する吸着用シート、
によって、解決できることを見出した。
(1)少なくとも吸着剤とバインダーとを含有してなる吸着層をシート基材上に設けてなる吸着用シートにおいて、バインダーがポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする吸着用シート、
(2)ポリビニルアルコール系樹脂が、グラフト化ポリビニルアルコール系樹脂である上記(1)記載の吸着用シート、
(3)少なくとも吸着剤、バインダー及び媒体を含有してなる塗工液であって、バインダーがポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする塗工液、
(4)ポリビニルアルコール系樹脂が、グラフト化ポリビニルアルコール系樹脂である上記(3)記載の塗工液、
(5)上記(3)または(4)に記載の塗工液をシート基材に塗工してなる吸着層を有する吸着用シート、
によって、解決できることを見出した。
本発明によれば、高い吸着特性を示す吸着層を有する吸着用シートを得ることができる。また、ゲル化、沈降等を抑制し、十分な流動性を保ち、簡便かつ安定的に吸着層を製造することができる塗工液を得ることができる。
本発明の吸着用シートは、少なくとも吸着剤とバインダーとを含有してなる吸着層をシート基材上に設けてなるものであり、バインダーがポリビニルアルコール系樹脂である。また、本発明の塗工液は、少なくとも吸着剤、バインダー及び媒体を含有し、バインダーがポリビニルアルコール系樹脂である。
ポリビニルアルコール系樹脂とは、その構成要素にビニルアルコール重合体を含有する樹脂のことを示す。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール;グラフト化ポリビニルアルコール系スチレン・ブタジエンラテックス、グラフト化ポリビニルアルコール系アクリルエマルジョン、グラフト化ポリビニルアルコール系エチレン・酢酸ビニルエマルジョン等のラテックスまたはエマルジョンにビニルアルコール重合体が吸着またはグラフト化したグラフト化ポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。
吸着剤は、表面活性が高いことで、水分やガスを吸着することができるが、バインダーも付着しやすく、吸着用シートの吸着特性の低下といった問題が生じる。従来使用されていた非水溶性高分子のエマルジョンは、媒体である水への分散安定性を高めるために、アニオン性基、カチオン性基等の官能基が付与されている。そのため、非水溶性高分子は、吸着剤に付着しやすく、表面に被膜を形成したり、吸着剤の構造を変化させたりして、吸着特性を低下させてしまうという問題があった。また、吸着剤を含有する塗工液においては、吸着剤に非水溶性高分子のエマルジョンが付着して、塗工液がゲル化する問題やエマルジョンや吸着剤が沈降するという問題があった。本発明では、バインダーとして、ポリビニルアルコール系樹脂を用いているが、その官能基が反応性の低いアルコール系のヒドロキシル基として構築されているため、吸着剤表面に被膜を形成しにくく、また、吸着剤の構造を変化させにくい。その結果、吸着剤の吸着特性を低下させることなく、塗工液のゲル化や沈降を抑制して、高い流動性を保つことができる。
高重合度のポリビニルアルコール系樹脂は、粘性が高く、塗工液の流動性を低下させることがあるため、重合度の低いポリビニルアルコール系樹脂を使用することが好ましい。重合度は、200〜4500であることが好ましく、200〜3000であることがより好ましく、250〜2000であることがさらに好ましい。また、けん化度は、変性基の有無及びその種類に依存して変わるが、40〜99.99モル%であることが好ましく、50〜99.9モル%であることがより好ましく、60〜99.5モル%であることがさらに好ましい。グラフト化ポリビニルアルコール系樹脂は、重合度の低いビニルアルコール重合体が使用されているため、流動性を上げることができ、バインダーとしてより好ましく使用される。
吸着剤としては、珪素、チタン、アルミニウム、タンタル、バナジウム、ジルコニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム等から選ばれる少なくとも1種の金属原子の酸化物を含有してなり、その形態としては、多数の細孔を有する粒状体、一次粒子径が数nmの単独粒子が複数凝集してなる複合粒子、管状体、繊維状物の凝集体等が挙げられる。より具体的には、非晶質アルミニウム珪酸塩、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、繊維状または管状のアルミニウム珪酸塩、繊維状または管状の酸化チタン、珪藻土等を挙げることができる。さらに、高吸水性高分子、カルボキシメチルセルロース等の有機系吸着剤を使用することもできる。
本発明において、吸着層及び塗工液における吸着剤とバインダーとの質量比率は90/10〜80/20が好ましく、90/10〜85/15がより好ましい。質量比率が90/10を超えた場合、シート基材に塗工した後、結着力が不足するため、吸着剤が剥離してしまう場合がある。質量比率が80/20未満の場合、添加されるバインダーの量が多いため、吸着剤をバインダーが被覆して、吸着特性を低下させてしまう場合がある。
本発明の塗工液には、生産性を高めるために、吸着剤の吸着特性を阻害しない範囲で、破泡剤や架橋剤を添加することができる。
本発明の塗工液に用いる媒体は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン等の有機溶剤または水を用いることができるが、生産性、環境面、安全面等を考慮すると、水または水と有機溶媒の混合液を用いることが好ましく、水を用いることが特に好ましい。
本発明において、塗工液の固形分濃度は20〜35質量%であることが好ましい。吸着剤を媒体中に分散させるとき、その比表面積が大きく、吸着特性が高い吸着剤ほど、媒体分子やバインダーが吸着して、塗工液が増粘する現象が起こる。ゆえに、塗工液の流動性を保持するためには、BET比表面積800m2/g以上の吸着剤では、塗工液の濃度が20〜30質量%であることが好ましく、20〜25質量%であることがより好ましい。BET比表面積800m2/g未満においては、25〜35質量%が好ましく、30〜35質量%がより好ましい。
吸着剤として、非晶質アルミニウム珪酸塩または珪藻土など、天然または合成の粘土鉱物の構成成分を含有する場合、その吸着剤は粘土様の性質を示す。よって、これらを用いる場合、比表面積が小さくとも、その分散液の粘度は高く、塗工液の固形分濃度が20〜30質量%であることが好ましく、20〜25質量%であることがより好ましい。
本発明の塗工液は、吸着剤の分散液にバインダーを撹拌混合させることにより得られる。本発明の吸着用シートは、吸着剤と結着剤とを少なくとも含有してなる塗工液を、シート基材に塗工し、必要に応じて乾燥して吸着層を形成することで、製造することができる。塗工には、サイズプレス、ゲートロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、コンマコーター、バーコーター、グラビアコーター、キスコーター等の含浸または塗工装置を使用することができる。
塗工液をシート基材上に塗工する塗工量としては、要求される吸着特性に応じて適宜設定することが可能であり、特に限定はされないが、吸着用シートに対する吸着剤の量が10〜200g/m2であることが好ましく、20〜100g/m2であることがより好ましく、30〜70g/m2であることがさらに好ましい。200g/m2を超えた場合、吸着層の内奥部の吸着剤が吸着に寄与しなくなる恐れがある。また、10g/m2未満では、所望の吸着特性を達成できない場合がある。
シート基材としては、例えば、紙、多孔質フィルム、織布、乾式不織布、湿式不織布、編物等の多孔質基材、フィルム、板状物等の無孔質基材がある。これらの基材は、単独で用いてもよいし、貼り合わせ等によって積層複合化して用いてもよい。
紙、織布、乾式不織布、湿式不織布、編物を構成する繊維としては、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂を含有してなる繊維を用いることができる。また、木材パルプ、楮、三椏、藁、ケナフ、竹、リンター、バガス、エスパルト、サトウキビ等の植物繊維、あるいはこれらを微細化したものを用いることができる。さらに、セルロース再生繊維であるレーヨン繊維、アセテート等の半合成繊維、ステンレスやニッケルウール等の金属繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ガラス繊維等も用いることができる。
フィルム、多孔質フィルム、板状物を構成する樹脂としては、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができる。また、多孔質フィルムとしては、パンチングメタルシート、発泡金属シート、無機粒子の凝集体フィルムといった無機多孔質フィルムを使用することもできる。フィルムや板状物として、金属箔、金属板を使用してもよい。
本発明の吸着用シートは、そのままで使用してもよいし、プリーツ加工、コルゲート加工、積層加工、ロールコア加工、ドーナツ加工などの2次加工を施して使用してもよい。2次加工は、シート基材に吸着層を塗工した後でもよいし、先にシート基材を2次加工して、吸着層を塗工してもよい。
本発明の吸着用シートにおいて、吸着剤の吸着特性を補強する物質(補強物質)を吸着剤に担持させたり、吸着層に含有させたりすることができる。例えば、金属;金属イオン;塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等のハロゲン化金属塩;硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛等の金属硫酸塩;酢酸カリウム等の金属酢酸塩;塩酸ジメチルアミン等のアミン塩類;オルトリン酸等のリン酸化合物;塩酸グアニジン、リン酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン等のグアニジン塩;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等;イオン性液体;シリカゲル、活性炭、ゼオライト等の多孔質材料を挙げることができる。これらの補強物質は吸着剤塗工液に添加してもよいし、吸着層を設けた後に、補強物質塗工液を塗工することもできる。
(吸着剤)
実施例及び比較例で使用した吸着剤を表1に示す。
実施例及び比較例で使用した吸着剤を表1に示す。
吸着剤1は、以下の方法で調製した。Si濃度が383mmol/Lになるように、純水で希釈したオルトケイ酸ナトリウム水溶液400mlを調製した。また、これとは別に、塩化アルミニウムを純水に溶解させ、Al濃度が450mmol/Lの水溶液400mlを調製した。次に、塩化アルミニウム水溶液にオルトケイ酸ナトリウム水溶液を混合し、マグネティックスターラーで撹拌した。このときのSi/Al比は0.85であった。さらに、この混合溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液18mlを滴下し、pHを7とした。この溶液から遠心分離により前駆体を回収し、4Lの純水中に分散させた。室温下で1時間撹拌した後、4Lの密閉容器に移し替え、恒温槽にて98℃で2日間加熱を行った。冷却後、遠心分離により3回洗浄後、60℃で乾燥を行い、吸着剤1を得た。透過型電子顕微鏡と走査型電子顕微鏡で、吸着剤1を観察したところ、一次粒子径は2〜5nmの粒子からなる粒子径2〜40nmの複合粒子が0.1〜100μmの凝集構造体を構成していて、該凝集構造体に2〜20nmの細孔があった。
吸着剤7は、以下の方法で調製した。ゾルゲル法によって得られたアナターゼ酸化チタン粒子に、20mol/kg濃度の水酸化カリウム水溶液を加え、温度120℃で24時間加熱して得られたスラリー状物を繰り返し水洗し、さらに、酢酸で中和し、再度充分に水洗して、余剰のイオン成分を除去した後、遠心分離器によって、濃度20質量%の網状に凝集した繊維状酸化チタン分散液を得た。これの一部を乾燥させて、粉末を取り出し、BET法による比表面積を測定したところ、350m2/gであった。
(実施例1〜4)
吸着剤1を水中に20質量%の濃度で添加し、よく撹拌混合させ、ホモジェナイザーにて、2000rpm、20分間ホモジェナイズし、吸着剤の分散性を上げ、吸着剤分散液を得た。得られた吸着剤分散液に、バインダーとして、実施例1:ポリビニルアルコール(商品名:JP45、日本酢ビ・ポバール社製)、実施例2:グラフト化ポリビニルアルコール系スチレン・ブタジエンラテックス(商品名:PMT7833、日本ゼオン社製)、実施例3:グラフト化ポリビニルアルコール系アクリルエマルジョン(商品名:ビニブラン(登録商標)2684、日信化学工業社製)、実施例4:グラフト化ポリビニルアルコール系エチレン・酢酸ビニルエマルジョン(商品名:リカボンド(登録商標)BEF985−7、中央理化工業社製)を、各々、固形分換算における吸着剤/バインダーの質量比率が90/10となるように添加し、よく混合した。さらに、塗工性を上げるため、破泡剤(商品名:SNデフォーマー777、サンノプコ社製)を、固形分換算で質量比率がバインダー/破泡剤=90/10となるように添加し、塗工液を得た。
吸着剤1を水中に20質量%の濃度で添加し、よく撹拌混合させ、ホモジェナイザーにて、2000rpm、20分間ホモジェナイズし、吸着剤の分散性を上げ、吸着剤分散液を得た。得られた吸着剤分散液に、バインダーとして、実施例1:ポリビニルアルコール(商品名:JP45、日本酢ビ・ポバール社製)、実施例2:グラフト化ポリビニルアルコール系スチレン・ブタジエンラテックス(商品名:PMT7833、日本ゼオン社製)、実施例3:グラフト化ポリビニルアルコール系アクリルエマルジョン(商品名:ビニブラン(登録商標)2684、日信化学工業社製)、実施例4:グラフト化ポリビニルアルコール系エチレン・酢酸ビニルエマルジョン(商品名:リカボンド(登録商標)BEF985−7、中央理化工業社製)を、各々、固形分換算における吸着剤/バインダーの質量比率が90/10となるように添加し、よく混合した。さらに、塗工性を上げるため、破泡剤(商品名:SNデフォーマー777、サンノプコ社製)を、固形分換算で質量比率がバインダー/破泡剤=90/10となるように添加し、塗工液を得た。
得られた塗工液を用いて、坪量140g/m2、厚み170μmのガラス基材不織布シートに、バー塗工にて、吸着層を乾燥質量で30g/m2添着させ、吸着シートを得た。
(比較例1〜3)
吸着剤1を水中に20質量%の濃度で添加し、よく撹拌混合させ、ホモジェナイザーにて、2000rpm、20分間ホモジェナイズし、吸着剤の分散性を上げ、吸着剤分散液を得た。得られた吸着剤分散液に、バインダーとして、比較例1:アクリル・コロイダルシリカエマルジョン(商品名:モビニール(登録商標)8020、ニチゴー・モビニール社製)、比較例2:スチレン・ブタジエンラテックス(商品名:ニッポール(登録商標)S6、日本ゼオン社製)、比較例3:アクリルエマルジョン(商品名:JSR3600H、JSR社製)を、各々、固形分換算における吸着剤/バインダーの質量比率が90/10となるように添加し、よく混合した。さらに、塗工性を上げるため、破泡剤(商品名:SNデフォーマー777、サンノプコ社製)を、固形分換算におけるバインダー/破泡剤の質量比率が90/10となるように添加し、塗工液を得た。
吸着剤1を水中に20質量%の濃度で添加し、よく撹拌混合させ、ホモジェナイザーにて、2000rpm、20分間ホモジェナイズし、吸着剤の分散性を上げ、吸着剤分散液を得た。得られた吸着剤分散液に、バインダーとして、比較例1:アクリル・コロイダルシリカエマルジョン(商品名:モビニール(登録商標)8020、ニチゴー・モビニール社製)、比較例2:スチレン・ブタジエンラテックス(商品名:ニッポール(登録商標)S6、日本ゼオン社製)、比較例3:アクリルエマルジョン(商品名:JSR3600H、JSR社製)を、各々、固形分換算における吸着剤/バインダーの質量比率が90/10となるように添加し、よく混合した。さらに、塗工性を上げるため、破泡剤(商品名:SNデフォーマー777、サンノプコ社製)を、固形分換算におけるバインダー/破泡剤の質量比率が90/10となるように添加し、塗工液を得た。
得られた塗工液を用いて、坪量140g/m2、厚み170μmのガラス基材不織布シートに、バー塗工にて、吸着層を乾燥質量で30g/m2添着させ、吸着シートを得た。
<塗工液流動性評価>
吸着剤を含有する塗工液の流動性は、B型粘度計を用いて評価した。塗工液のB型粘度計値T(mPa・s)を以下の基準で評価し、実施例1〜4の結果を表2に、比較例1〜3の結果を表3に示した。
吸着剤を含有する塗工液の流動性は、B型粘度計を用いて評価した。塗工液のB型粘度計値T(mPa・s)を以下の基準で評価し、実施例1〜4の結果を表2に、比較例1〜3の結果を表3に示した。
B型粘度計値T(mPa・s)
0≦T<400・・・・・・・○:流動性高い
400≦T<600・・・・・△:流動性低い
600≦T・・・・・・・・・×:流動性低く、塗工液にゲル化が見られる。
0≦T<400・・・・・・・○:流動性高い
400≦T<600・・・・・△:流動性低い
600≦T・・・・・・・・・×:流動性低く、塗工液にゲル化が見られる。
<吸着層結着力評価>
吸着シートの吸着層結着力は、吸着層にセロハンテープの粘着面を押し当て、その吸着層の剥離具合を測ることによって求めた。吸着シートに幅2.4cm×長さ4cmのセロハンテープを軽く接着させ、緩やかに脱着させる。セロハンテープの接着面の1cm×1cmを観察面とし、観察面に剥離した大小様々な吸着層粒子の数を計測し、以下のようにその結着力を評価し、実施例1〜4の結果を表2に、比較例1〜3の結果を表3に示した。
吸着シートの吸着層結着力は、吸着層にセロハンテープの粘着面を押し当て、その吸着層の剥離具合を測ることによって求めた。吸着シートに幅2.4cm×長さ4cmのセロハンテープを軽く接着させ、緩やかに脱着させる。セロハンテープの接着面の1cm×1cmを観察面とし、観察面に剥離した大小様々な吸着層粒子の数を計測し、以下のようにその結着力を評価し、実施例1〜4の結果を表2に、比較例1〜3の結果を表3に示した。
剥離粒子数D
D<30・・・・・・・・・・○:結着力に優れる。
30≦D<50・・・・・・・△:結着力に劣るが、吸着層結着は維持している。
50≦D・・・・・・・・・・×:結着力に劣り、吸着層の結着が弱い。
D<30・・・・・・・・・・○:結着力に優れる。
30≦D<50・・・・・・・△:結着力に劣るが、吸着層結着は維持している。
50≦D・・・・・・・・・・×:結着力に劣り、吸着層の結着が弱い。
<吸着特性評価>
吸着剤の吸着特性は、水分吸着による質量変化を測定する平衡吸着測定により行った。相対湿度変化による質量変化の影響が小さいアルミ製の容器の質量WV(g)を室温下で測定した。吸着剤と空気との接触面が大きくなるように、吸着剤を薄く引き延ばすように、アルミ製の容器に設置して測定サンプルとした。温風乾燥機にて、温度90℃、120分の条件下で測定サンプルを乾燥したときの質量を絶乾質量WD1(g)とした。乾燥した測定サンプルを温度25℃、相対湿度80%の条件下に調整した恒温恒湿槽内に、少なくとも120分以上静置したときを吸着平衡とみなし、そのときの質量を吸着質量WA1(g)とし、吸着剤1gに対する水分吸着量W1(g/g)を下記の式より得た。
吸着剤の吸着特性は、水分吸着による質量変化を測定する平衡吸着測定により行った。相対湿度変化による質量変化の影響が小さいアルミ製の容器の質量WV(g)を室温下で測定した。吸着剤と空気との接触面が大きくなるように、吸着剤を薄く引き延ばすように、アルミ製の容器に設置して測定サンプルとした。温風乾燥機にて、温度90℃、120分の条件下で測定サンプルを乾燥したときの質量を絶乾質量WD1(g)とした。乾燥した測定サンプルを温度25℃、相対湿度80%の条件下に調整した恒温恒湿槽内に、少なくとも120分以上静置したときを吸着平衡とみなし、そのときの質量を吸着質量WA1(g)とし、吸着剤1gに対する水分吸着量W1(g/g)を下記の式より得た。
W1(g/g)=[(WA1−WD1)/(WD1−WV)]
吸着シートの吸着剤の吸着特性も、水分吸着による質量変化を測定する平衡吸着測定により行った。200mm×150mmの坪量140g/m2、厚み170μmのガラス基材不織布シートを、温風乾燥機にて、温度90℃、120分条件下で乾燥したときの質量を絶乾質量WG2(g)とした。200mm×150mmの吸着シートについて、塗工層中に含有される吸着剤の配合比をWR(質量%)とし、温風乾燥機にて温度90℃、120分の条件にて乾燥させたときの質量を絶乾質量WD2(g)とした。乾燥させた吸着シートを温度25℃、相対湿度80%の条件下に調整した恒温恒湿槽内に、少なくとも120分以上静置したときを吸着平衡とみなし、そのときの質量を吸着質量WA2とし、吸着層中の吸着剤1gに対する水分吸着量W2(g/g)を下記の式より得た。
W2(g/g)=[(WA2−WD2)/(WD2−WG2)]/(WR/100)
塗工層中に含まれる吸着剤の吸着特性は、下記式で示した水分吸着比Rによって評価し、実施例1〜4の結果を表2に、比較例1〜3の結果を表3に示す。
水分吸着比R=W2/W1
0.9≦R・・・・・・・・○:吸着剤の吸着能力がほぼ維持されている。
0.8≦R<0.9・・・・△:吸着剤の吸着能力に一部低下が見られる。
R<0.8・・・・・・・・×:吸着剤の吸着能力に低下が見られる。
0.8≦R<0.9・・・・△:吸着剤の吸着能力に一部低下が見られる。
R<0.8・・・・・・・・×:吸着剤の吸着能力に低下が見られる。
バインダーとして、アクリル・コロイダルシリカエマルジョン、スチレン・ブタジエンラテックス、アクリルエマルジョンを使用した比較例1〜3では、バインダーと吸着剤との相互作用が強いため、塗工液はゲル化した。また、バインダーが吸着剤を被覆するため、吸着特性が低下した。これに対し、バインダーとして、ポリビニルアルコール系樹脂を使用した実施例1〜4では、塗工液流動性が高く、また、吸着特性も高いものであった。特に、バインダーとして、グラフト化ポリビニルアルコール系樹脂を使用した実施例2〜4では、特に高い塗工液流動性が確認された。
(実施例5〜11)
吸着剤を、実施例5:吸着剤2、実施例6:吸着剤3、実施例7:吸着剤4、実施例8:吸着剤5、実施例9:吸着剤6、実施例10:吸着剤7、実施例11:吸着剤8のように変更した以外は、実施例2と同様の方法で、塗工液及び吸着シートを得た。得られた塗工液及び吸着シートについて、塗工液流動性、吸着層結着力、吸着特性を評価し、結果を表4に示した。
吸着剤を、実施例5:吸着剤2、実施例6:吸着剤3、実施例7:吸着剤4、実施例8:吸着剤5、実施例9:吸着剤6、実施例10:吸着剤7、実施例11:吸着剤8のように変更した以外は、実施例2と同様の方法で、塗工液及び吸着シートを得た。得られた塗工液及び吸着シートについて、塗工液流動性、吸着層結着力、吸着特性を評価し、結果を表4に示した。
実施例5〜11の結果から、吸着剤を変えた場合でも、塗工液流動性、吸着層結着力及び吸着特性は良好であり、ポリビニルアルコール系樹脂が吸着剤の種類によらず有効であることが示されている。
(実施例12〜15)
吸着剤1を水中に濃度20質量%となるように添加し、よく撹拌混合させ、ホモジェナイザーにて2000rpm、20分間ホモジェナイズし、吸着剤の分散性を上げ、吸着剤分散液を得た。得られた吸着剤分散液に、バインダーとして、グラフト化ポリビニルアルコール系スチレン・ブタジエンラテックス(商品名:PMT7833、日本ゼオン社製)を、固形分換算における吸着剤/バインダーの質量比率が、実施例12:93/7、実施例13:85/15、実施例14:80/20、実施例15:77/23となるように添加し、よく混合した。コーティング性を上げるため、破泡剤(商品名:SNデフォーマー777、サンノプコ社製)を、固形分換算におけるバインダー/破泡剤の質量比率が90/10となるように添加し、塗工液を得た。
吸着剤1を水中に濃度20質量%となるように添加し、よく撹拌混合させ、ホモジェナイザーにて2000rpm、20分間ホモジェナイズし、吸着剤の分散性を上げ、吸着剤分散液を得た。得られた吸着剤分散液に、バインダーとして、グラフト化ポリビニルアルコール系スチレン・ブタジエンラテックス(商品名:PMT7833、日本ゼオン社製)を、固形分換算における吸着剤/バインダーの質量比率が、実施例12:93/7、実施例13:85/15、実施例14:80/20、実施例15:77/23となるように添加し、よく混合した。コーティング性を上げるため、破泡剤(商品名:SNデフォーマー777、サンノプコ社製)を、固形分換算におけるバインダー/破泡剤の質量比率が90/10となるように添加し、塗工液を得た。
得られた塗工液を用いて、坪量140g/m2、厚み170μmのガラス基材不織布シートに、バー塗工にて、吸着層を乾燥質量で30g/m2添着させ、吸着シートを得た。得られた塗工液及び吸着シートについて、塗工液流動性、吸着層結着力、吸着特性を評価し、結果を表5に示した。
実施例2、12〜15の結果から、吸着剤とバインダーとの質量比率が90/10〜80/20の場合、塗工液流動性、吸着層結着力及び吸着特性は良好であった。質量比率が90/10を超えた実施例12では、吸着層結着力が低下する傾向が見られたが、塗工液流動性及び吸着特性は良好であった。質量比率が80/20未満の実施例15では、吸着特性が低下する傾向が見られたが、塗工液流動性及び吸着層結着力には問題がなかった。
本発明の塗工液は、高い流動性を保ちつつ、シート基材に対して吸着剤を強く結着させることができる。本発明の吸着用シートは、包装材料、除湿シート、内装材料、フィルター、調湿素子、熱交換素子等に使用することができ、例えば、ビル空調気化式加湿用素子、燃料電池用加湿用素子、除湿器用除湿素子、自動販売機等の吸水蒸散素子、冷却用吸水蒸散素子、デシカント空調の除湿ローター素子、全熱交換素子、有機ガス(VOC)、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物(NOX)等のガス除去システム、熱交換または熱移動システム、調湿(除湿または加湿)システム等に利用できる。
Claims (5)
- 少なくとも吸着剤とバインダーとを含有してなる吸着層をシート基材上に設けてなる吸着用シートにおいて、バインダーがポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする吸着用シート。
- ポリビニルアルコール系樹脂が、グラフト化ポリビニルアルコール系樹脂である請求項1記載の吸着用シート。
- 少なくとも吸着剤、バインダー及び媒体を含有してなる塗工液であって、バインダーがポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする塗工液。
- ポリビニルアルコール系樹脂が、グラフト化ポリビニルアルコール系樹脂である請求項3記載の塗工液。
- 請求項3または4に記載の塗工液をシート基材に塗工してなる吸着層を有する吸着用シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010074126A JP2011206623A (ja) | 2010-03-29 | 2010-03-29 | 吸着用シート及び塗工液 |
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ID=44938335
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Country | Link |
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JP (1) | JP2011206623A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013193043A (ja) * | 2012-03-21 | 2013-09-30 | Osaka Gas Co Ltd | 吸水材料組成物および吸水性シート |
CN112602221A (zh) * | 2018-07-10 | 2021-04-02 | 日东电工株式会社 | 2次电池用气体吸附片 |
-
2010
- 2010-03-29 JP JP2010074126A patent/JP2011206623A/ja active Pending
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