JP2011204534A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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光洋 坂元
Reiko Taniguchi
麗子 谷口
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征起 西村
Ken Ito
研 伊藤
Teiko Goto
貞浩 後藤
Yoshihisa Oe
良尚 大江
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Abstract

【課題】高精細で高画質の表示性能を備え、かつ低消費電力のプラズマディスプレイパネルを実現することを目的とする。
【解決手段】前面ガラス基板3上に形成した表示電極6を覆うように誘電体層8を形成するとともに誘電体層8上に保護層9を形成した前面板2と、前面板2に放電ガスが充填された放電空間を形成するように対向配置され、かつ表示電極6と交差する方向にアドレス電極を形成するとともに放電空間を区画する隔壁を設けた背面板とを有するプラズマディスプレイパネルであって、保護層9は、誘電体層8の上に形成した平均粒径が10nm以上100nm以下の酸化マグネシウムのナノ結晶粒子よりなる下地膜91と、下地膜91の上に全面に亘って付着分布させた複数個の結晶粒子92aが凝集した凝集粒子92とからなる。
【選択図】図2

Description

本発明は、テレビなどに用いる薄型のディスプレイであるプラズマディスプレイパネルに関する。
近年、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)は、高精細化、大画面化の実現が可能であることから、65インチクラスのテレビなども製品化され、従来のNTSC方式に比べて走査線数が2倍以上のハイディフィニションテレビへの適用などが進んでいる。
PDPは、基本的には、前面板と背面板とで構成されている。前面板は、フロート法による硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板からなり、ガラス基板の一方の主面上には、表示電極が形成されている。この表示電極は維持電極と走査電極からなり、維持電極と走査電極それぞれが、ストライプ状の透明電極とこの透明電極と接した金属伝導性のバス電極から構成されている。また、表示電極の全面を覆って、コンデンサとしての働きをする誘電体層と、誘電体層上に形成された酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層が形成されている。
一方、背面板は、ガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状のアドレス電極と、アドレス電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成された隔壁からなり、各隔壁間には、紫外線によって赤色、緑色および青色に可視光を発光する蛍光体層が形成されている。
前面板と背面板とはその電極形成面側を対向させて気密封着され、隔壁によって仕切られた放電空間にネオン(Ne)−キセノン(Xe)などの放電ガスが、5.3×104Pa〜8.0×104Paの圧力で封入されている。PDPは、表示電極に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電させ、その放電によって発生した紫外線が各色蛍光体層を励起して赤色、緑色、青色の発光をさせてカラー画像表示を実現している。
また、このようなPDPの駆動方法としては、書込みをしやすい状態に壁電荷を調整する初期化期間と、入力画像信号に応じて書込み放電を行う書込み期間と、書込みが行われた放電空間で維持放電を生じさせることによって表示を行う維持期間を有する駆動方法が一般的に用いられている。これらの各期間を組み合わせた期間(サブフィールド)が、画像の1コマに相当する期間(1フィールド)内で複数回繰り返されることによってPDPの階調表示を行っている。
このようなPDPにおいて、前面板の誘電体層上に形成される保護層の役割としては、放電によるイオン衝撃から誘電体層を保護すること、アドレス放電を発生させるための初期電子を放出することなどがあげられる。イオン衝撃から誘電体層を保護することは、放電電圧の上昇を防ぐ重要な役割であり、またアドレス放電を発生させるための初期電子を放出することは、画像のちらつきの原因となるアドレス放電ミスを防ぐ重要な役割である。
このようなイオンによる耐スパッタ性を備え、二次電子放出能が高い材料として酸化マグネシウム(MgO)が使われてきた。
保護層からの初期電子の放出数を増加させて画像のちらつきを低減するために、酸化マグネシウム(MgO)で形成された保護層に不純物を添加する例が特許文献1に開示され、酸化マグネシウム(MgO)粒子を酸化マグネシウム(MgO)薄膜で構成する下地膜上に形成した例が特許文献2に開示されている。
特開2005−310581号公報 特開2006−59779号公報
近年、テレビは高精細化が進んでおり、市場では低コスト・低消費電力・高輝度のフルHD(ハイ・ディフィニション)(1920×1080画素:プログレッシブ表示)PDPが要求されている。保護層からの電子放出特性はPDPの画質を決定するため、電子放出特性を制御することが非常に重要である。
すなわち、高精細化された画像を表示するためには、1フィールドの時間が一定にもかかわらず書込みを行う画素の数が増えるため、サブフィールド中の書込み期間において、アドレス電極へ印加するパルスの幅を狭くする必要が生じる。しかしながら、電圧パルスの立ち上がりから放電空間内で放電が発生するまでには「放電遅れ」と呼ばれるタイムラグが存在する。そのため、パルスの幅が狭くなれば書込み期間内で放電が終了できる確率が低くなってしまう。その結果、点灯不良が生じ、ちらつきといった画質低下という問題も生じてしまう。
また、消費電力低減のために放電による発光効率を向上させることを目的として、蛍光体の発光に寄与する放電ガスの一成分であるキセノン(Xe)の放電ガス全体における含有率をあげると、放電電圧が高くなるとともに、「放電遅れ」が大きくなって点灯不良などの画質低下が発生するという課題が生じる。
このように、PDPの高精細化や低消費電力化を進めるにあたっては、放電電圧が高くならないようにすることと、点灯不良を低減して画質を向上させることを同時に実現させなければならないという課題があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、高精細で高輝度の表示性能を備え、かつ低消費電力のPDPを実現することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明のPDPは、基板上に形成した表示電極を覆うように誘電体層を形成するとともに誘電体層の上に保護層を形成した前面板と、前面板に放電ガスが充填された放電空間を形成するように対向配置され、かつ表示電極と交差する方向にアドレス電極を形成するとともに放電空間を区画する隔壁を設けた背面板とを有するPDPであって、保護層は、誘電体層の上に形成した平均粒径が10nm以上100nm以下の酸化マグネシウム(MgO)のナノ結晶粒子よりなる下地膜と、下地膜の上に全面に亘って付着分布させた複数個の結晶粒子が凝集した凝集粒子とからなる。
このような構成によれば、保護層における二次電子放出特性を向上させ、輝度を高めるために放電ガスのキセノン(Xe)ガス分圧を大きくした場合でも低電圧駆動が実現でき、高輝度、低電圧駆動で、安定放電が可能なPDPを実現することができる。
さらに、凝集粒子は、酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子が複数個凝集し、その粒径が0.9μm以上2.0μm以下の範囲にあることが望ましい。このような構成によれば、放電遅れを低減して高精細画像表示でも点灯不良などの発生がない表示性能に優れたPDPを実現することができる。
さらに、下地膜の密度が1.3g/cm3以上2.0g/cm3以下であることが望ましい。このような構成によれば、耐スパッタ性能が高く、不純ガスの発生のない保護層を実現することができる。
さらに、下地膜の膜厚が0.5μm以上3.0μm以下であることが望ましい。このような構成によれば、電荷保持特性に優れながら、可視光に対する透過率の低下のない保護層を実現することできる。
本発明によれば、高精細で高輝度の表示性能を備え、かつ低消費電力のPDPを実現することができる。
実施の形態におけるPDPの構造を示す斜視図である。 同PDPの前面板の構成を示す断面図である。 同PDPの凝集粒子を説明する図である。 同PDPの凝集粒子の粒径と電子放出性能との関係を示す図である 同PDPの凝集粒子の粒径と隔壁破損確率との関係を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態におけるPDPについて図面を用いて説明する。
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態におけるPDP1の構造を示す斜視図である。PDP1の基本構造は、一般的な交流面放電型PDPと同様である。図1に示すように、PDP1は前面ガラス基板3などよりなる前面板2と、背面ガラス基板11などよりなる背面板10とが対向して配置され、その外周部をガラスフリットなどからなる封着材によって気密封着されている。封着されたPDP1内部の放電空間16には、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)などの放電ガスが5.3×104Pa〜8.0×104Paの圧力で封入されている。
前面板2の前面ガラス基板3上には、走査電極4および維持電極5よりなる一対の帯状の表示電極6とブラックストライプ(遮光層)7が互いに平行にそれぞれ複数列配置されている。前面ガラス基板3上には表示電極6と遮光層7とを覆うようにコンデンサとしての働きをする誘電体層8が形成され、さらにその表面に保護層9が形成されている。
また、背面板10の背面ガラス基板11上には、前面板2の走査電極4および維持電極5と直交する方向に、複数の帯状のアドレス電極12が互いに平行に配置され、これを下地誘電体層13が被覆している。さらに、アドレス電極12間の下地誘電体層13上には放電空間16を区切る所定の高さの隔壁14が形成されている。隔壁14間の溝にアドレス電極12毎に、紫外線によって赤色、緑色および青色にそれぞれ発光する蛍光体層15が順次塗布して形成されている。走査電極4および維持電極5とアドレス電極12とが交差する位置に放電セルが形成され、表示電極6方向に並んだ赤色、緑色、青色の蛍光体層15を有する放電セルがカラー表示のための画素になる。
図2は本発明の実施の形態におけるPDP1の前面板2の構成を示す断面図である。図2は図1と上下反転させて示している。フロート法などにより製造された前面ガラス基板3に、走査電極4と維持電極5よりなる表示電極6と遮光層7がパターン形成されている。走査電極4と維持電極5はそれぞれインジウムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO2)などからなる透明電極4a、5aと、透明電極4a、5a上に形成された金属バス電極4b、5bとにより構成されている。金属バス電極4b、5bは透明電極4a、5aの長手方向に導電性を付与する目的として用いられ、銀(Ag)材料を主成分とする導電性材料によって形成されている。
誘電体層8は第1誘電体層81と第2誘電体層82の2層で構成され、第1誘電体層81が、前面ガラス基板3上に形成された透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bと遮光層7を覆って設けられている。さらに第2誘電体層82を覆って保護層9を形成している。
次に、PDP1の製造方法について説明する。まず、前面ガラス基板3上に、走査電極4および維持電極5と遮光層7とを形成する。これらの透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bは、フォトリソグラフィ法などを用いてパターニングして形成される。透明電極4a、5aは薄膜プロセスなどを用いて形成され、金属バス電極4b、5bは銀(Ag)材料を含むペーストを所定の温度で焼成して固化している。また、遮光層7も同様に、黒色顔料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や黒色顔料をガラス基板の全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成することにより形成される。
次に、走査電極4、維持電極5および遮光層7を覆うように前面ガラス基板3上に誘電体ペーストをダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト層(誘電体材料層)を形成する。誘電体ペーストを塗布した後、所定の時間放置することによって塗布された誘電体ペースト層表面がレベリングされて平坦な表面になる。その後、誘電体ペースト層を焼成固化することにより、走査電極4、維持電極5および遮光層7を覆う第1誘電体層81が形成される。第1誘電体層81上に第1誘電体層81と同一の材料組成、あるいは異なる材料組成の誘電体ペースト層を形成して焼成固化することにより、第2誘電体層82を形成する。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料、バインダおよび溶剤を含む塗料である。次に、第2誘電体層82上に酸化マグネシウム(MgO)などからなる保護層9を形成する。なお保護層9については後に詳細に説明する。以上の工程により前面ガラス基板3上に所定の構成部材が形成され、前面板2が完成する。
一方、背面板10は次のようにして形成される。まず、背面ガラス基板11上にアドレス電極12を形成する。アドレス電極12は、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、金属膜を全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによりアドレス電極ペースト層を形成し、それを所定の温度で焼成して形成する。次に、アドレス電極12が形成された背面ガラス基板11上にダイコート法などによりアドレス電極12を覆うように誘電体ペーストを塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、誘電体ペースト層を焼成することにより下地誘電体層13を形成する。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料とバインダおよび溶剤を含んだ塗料である。
次に、下地誘電体層13上に隔壁材料を含む隔壁形成用ペーストを塗布して所定の形状にパターニングすることにより、隔壁材料層を形成した後、焼成することにより隔壁14を形成する。ここで、下地誘電体層13上に塗布した隔壁形成用ペーストをパターニングする方法としては、フォトリソグラフィ法やサンドブラスト法を用いることができる。
次に、隣接する隔壁14間の下地誘電体層13上および隔壁14の側面に蛍光体材料を含む蛍光体ペーストを塗布し、焼成することにより蛍光体層15が形成される。以上の工程により、背面ガラス基板11上に所定の構成部材を有する背面板10が完成する。
このようにして所定の構成部材を備えた前面板2と背面板10とを走査電極4とアドレス電極12とが直交するように対向配置して、その周囲をガラスフリットで封着し、放電空間16にネオン(Ne)、キセノン(Xe)などを含む放電ガスを封入することによりPDP1が完成する。
次に、実施の形態におけるPDP1の保護層9について詳細に説明する。図2で示すように実施の形態のPDP1では、保護層9は、誘電体層8の上に形成した平均粒径が10nm以上100nm以下の酸化マグネシウム(MgO)よりなる下地膜91と、下地膜91の上に全面に亘って付着分布させた複数個の酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子92aが凝集した凝集粒子92とにより構成されている。
次に、本発明の保護層9を上記の構成とする理由について述べる。保護層9には、放電セル内において放電の際に電子の受給動作をするため、高い電子放出性能と高い電荷保持性能が要求される。
ここで、電子放出性能は大きいほど電子放出量が多いことを示す数値であり、保護層9の表面状態およびガス種とその状態によって定まる初期電子放出量で表現される。初期電子放出量は、表面にイオンあるいは電子ビームを照射して表面から放出される電子電流量を測定する方法で測定できる。しかしながら、前面板2の表面の評価を非破壊で実施することが困難を伴う。そこで本実施の形態では、電子放出性能を次のように評価している。
まず、放電時の遅れ時間のうち統計遅れ時間と呼ばれる放電の発生しやすさの目安となる数値を測定する。この数値の逆数を積分すると初期電子の放出量と線形に対応する数値になるため、ここではこの数値を用いて指標としている。放電時の遅れ時間とは、パルスの立ち上がりから放電が遅れて行われる放電遅れの時間を意味する。放電遅れは、放電が開始される際にトリガーとなる初期電子が、保護層9表面から放電空間16中に放出されにくいことが主要な要因として考えられている。
一方、電荷保持性能は、電荷放出現象によって生じる画像不具合を抑えるための性能を示し、駆動時に走査電極4に印加する電圧(以下Vscn点灯電圧と呼称する)の電圧値で示される。すなわち、Vscn点灯電圧の低い方が、電荷保持能力が高いことを示す。
保護層9に不純物を混在させることで電子放出性能を改善しようとする試みが行われている。保護層9に不純物を混在させて電子放出性能を改善した場合には、保護層9表面に蓄積された電荷が、メモリー機能として使用する際に時間とともに減少する減衰率が大きくなってしまう。そのため、電荷が減少した分だけVscn点灯電圧を大きくしなければならないという課題があった。
このように、保護層9に要求される特性としては、高い電子放出性能を有し、かつ、メモリー機能としての電荷の減衰率が小さい高い電荷保持性能を有するという、相反する二つの特性が要求される。
すなわち、保護層9を真空蒸着法などで形成する際には、その成膜条件を変更することや、保護層9中にアルミニウム(Al)や珪素(Si)、バリウム(Ba)などの不純物をドーピングして成膜することにより、電子放出性能を向上させることは可能である。しかしながら、その副作用としてVscn点灯電圧が上昇してしまうことになる。
そこで、本実施の形態では、上述したように、下地膜91を平均粒径が10nm以上100nm以下の酸化マグネシウム(MgO)のナノ結晶粒子で構成し、さらに、下地膜91上には酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子92aが複数個凝集した凝集粒子92を全面に亘って離散的に分布させている。
すなわち、下地膜91を平均粒径が10nm以上100nm以下の酸化マグネシウム(MgO)のナノ結晶粒子で構成すると、真空蒸着などで形成して他の材料をドーピングした場合と同様に、酸化マグネシウム(MgO)の内部の比較的浅い場所に、不純物に似たエネルギー準位を形成する。また、下地膜91上に形成された結晶粒子92aの凝集粒子92は、電界が集中する構造となっている。そのため、下地膜91の浅い準位に存在する電子が、この電界で引っ張り上げられて、凝集粒子92の外表面を伝わって二次電子として放出される。その結果、保護層9として高い電子放出性能を発現することができる。
一方、下地膜91を構成するナノ結晶粒子は、平面的に孤立している。そのため、下地膜91の面方向では酸化マグネシウム(MgO)の絶縁性が維持され、面方向の導電性が小さい。その結果、アドレス放電時に蓄積された電荷が面方向に散逸しにくくなり、良好なメモリー機能を維持して高い電荷保持性能を発現することができる。
このように、本実施の形態によれば、保護層9をナノ結晶粒子よりなる下地膜91と、結晶粒子92aが凝集した凝集粒子92とにより構成しているため、電子放出性能と電荷保持性能の両方を満足させることができる。
次に、下地膜91の詳細について説明する。下地膜91は酸化マグネシウム(MgO)単結晶のナノメートルサイズのナノ結晶粒子により構成されている。なお、以下の説明において、粒径とは平均粒径を意味し、体積累積平均径(D50)のことを意味している。また、これらの粒径はナノ結晶粒子をSEM観察することによって測長した。
このようなナノ結晶粒子による下地膜91の製造方法について説明する。
ナノサイズのナノ結晶粒子は瞬間気相生成法を用いて作製することができる。すなわち、プラズマなどで酸化マグネシウム(MgO)を気化させ、反応ガスを含む冷却ガスによって瞬間冷却してナノサイズの微粒子を作製する方法である。本実施の形態では、粒径10nm〜100nmのナノ結晶粒子を用いた。
そして、これらのナノ結晶粒子をブチルカルビトール、またはターピネオールと混合し、分散処理装置によって分散させてナノ結晶粒子分散液を作製する。分散処理には、平均粒子径が0.02mm〜0.3mmの範囲、好ましくは0.02〜0.1mmの範囲にある酸化ジルコニウムや酸化アルミニウムなどのビーズを用いる。分散処理装置としては、これらのビーズとナノ結晶粒子分散液とをミル容器内に充填し、ミル容器を揺動させたり撹拌させたりする揺動ミルや撹拌ミルが好ましい。
本実施の形態では、ブチルカルビトール中に酸化マグネシウム(MgO)のナノ結晶粒子を5%〜20重量%の範囲になるように混合し、その混合物をロッキングミルによって分散してナノ結晶粒子分散液を作製した。また、分散処理を、ミル容器の容量:100mL、ビーズ:平均粒子径0.1mmの酸化ジルコニウム、ミル容器内のビーズ充填率:50体積%、ミル容器の振動速度:500rpm、処理時間:60分の条件で行った。
次に、アクリル樹脂10重量%を混合したビークル50重量%と、ビーズを取り除いたナノ結晶粒子分散液50重量%とを混合して印刷用ペーストを作製する。この印刷用ペーストをスクリーン印刷法によって第2誘電体層82上に塗布し、100℃〜120℃で20分間乾燥させ、その後、340℃〜360℃で60分間焼成を行う。以上により、ナノ結晶粒子により構成された下地膜91を作製することができる。
このようにして作製した下地膜91は不純物ガスの吸着量を低減させることができる。
昇温脱離ガス分析法(以下、TDS分析とする)を用いて、真空蒸着法によって形成された保護層(以下、EB蒸着膜とする)と、平均粒径が10nm〜100nmの範囲であったナノ結晶粒子を用いて形成した保護層9(以下、ナノ結晶粒子膜とする)とを比較した。
その結果、EB蒸着膜に対して、ナノ結晶粒子膜では、不純物ガスである水分、炭酸ガス、CH系ガスがいずれも大きく減少していた。具体的には、EB蒸着膜では350℃〜400℃で脱離するガスの量が急激に増加しているが、ナノ結晶粒子膜ではこのような増加は見られていない。不純物ガスである水分は放電による保護層9のスパッタ量を増加させ、また、炭酸ガスやCH系ガスは蛍光体層15の蛍光体の発光特性を大きく低下させる。しかしながら、本実施の形態におけるナノ結晶粒子膜よりなる下地膜91では、不純物ガスの吸着を大きく低減し、耐スパッタ性に優れて、発光特性の劣化のないPDP1を実現することができる。
また、このナノ結晶粒子の平均粒径が10nm以上100nm以下であれば、保護層9の可視光に対する透過率を損なうことがなく、PDP1の発光効率が低下しない。一方、平均粒径が5nmのナノ結晶粒子の場合には、ナノ結晶粒子同士の凝集が激しく、ロールミルやビーズミル、超音波、フィルミックスなど、あらゆる分散装置でも十分に分散できずに透過率が逆に低下してしまう。また、ナノ結晶粒子の平均粒径が100nmを超えると透過率が低下する。
また、このナノ結晶粒子を使用した場合、膜密度が1.3g/cm3以上であれば放電によるスパッタ量をEB蒸着膜よりも少なくすることができる。逆に、膜密度が2.0g/cm3よりも大きい場合には、印刷用ペーストの樹脂残渣が残りやすくなり、不純物ガスであるCH系ガスを発生させる。
また、このナノ結晶粒子を使用した場合、焼成後の下地膜91の膜厚が0.5μm以上であれば、電荷保持性能をEB蒸着膜よりも向上させることができる。逆に、膜厚が3μmよりも大きい場合は、保護層9の可視光に対する透過率が低下する。
なお、印刷用ペーストの第2誘電体層82上への塗布方法としては、スクリーン印刷法の他に、スプレー法、ダイコート法、スリットコート法などの方法を用いてもよい。
次に、本実施の形態におけるPDP1の保護層9を構成する凝集粒子92とその製造方法について説明する。
図3は凝集粒子92を説明する図である。図3に示すように、凝集粒子92は所定の一次粒径の結晶粒子92aが凝集またはネッキングした状態のものである。すなわち、結晶粒子92a同士が、固体として大きな結合力を持って結合しているのではなく、静電気やファンデルワールス力などによって複数の一次粒子が集合体をなしている。したがって、超音波などの外的刺激により、その一部または全部が一次粒子の状態になる程度で結合している。凝集粒子92の粒径は約1μm程度であり、結晶粒子92aとしては、14面体や12面体などの7面以上の面を持つ多面体形状を有するのが望ましい。
また、この結晶粒子92aの一次粒子の粒径は、結晶粒子92aの生成条件によって制御できる。例えば、炭酸マグネシウムや水酸化マグネシウムなどの酸化マグネシウム前駆体を焼成して生成する場合に、焼成温度や焼成雰囲気を制御することで粒径を制御できる。
一般的に、焼成温度は700℃程度から1500℃程度の範囲で選択できるが、焼成温度が比較的高い1000℃以上にすることで、一次粒径を0.3μm〜2μm程度に制御可能である。結晶粒子92aは酸化マグネシウム(MgO)前駆体を加熱することにより得ることができるが、その生成過程において複数個の一次粒子同士が凝集またはネッキングと呼ばれる現象により結合した凝集粒子92を得ることができる。
次に、凝集粒子92の粒径について説明する。図4は、凝集粒子92の粒径と電子放出性能との関係を示す図である。図4に示すように、粒径が0.3μm程度に小さくなると、電子放出性能が低くなり、0.9μm以上であれば、高い電子放出性能が得られることがわかる。
ところで、放電セル内での電子放出数を増加させるためには、下地膜91上での単位面積当たりの凝集粒子92の数は多い方が望ましい。しかしながら、保護層9と接触する背面板10の隔壁14の頂部に相当する部分にこのような凝集粒子92が存在すると、隔壁14の頂部を破損させてその材料が蛍光体層15に堆積する。その結果、該当する放電セルが正常に点灯あるいは消灯しなくなる現象が発生する。
図5は凝集粒子92の粒径と隔壁破損確率との関係を示す図である。図5に示すように、凝集粒子92の粒径が2.5μmを超えると、隔壁破損確率が急激に高くなる。
以上の結果より、本実施の形態におけるPDP1の保護層9の凝集粒子92として、粒径が0.9μm以上2.5μm以下のものが望ましい。また、量産する場合のばらつきなどを考慮すれば、平均粒径が0.9μm〜2μmの範囲にある凝集粒子92を使用すれば、上述した本発明の効果を安定的に得ることができる。
これらの凝集粒子92を揮発性溶剤に分散させて凝集粒子分散インクを準備し、この凝集粒子分散インクをスリットコート法などにより、下地膜91上に塗布する。その後、下地膜91上に塗布された凝集粒子分散インクの溶剤を乾燥させることにより、下地膜91上に凝集粒子92を離散的に分布させて付着させた保護層9を形成することができる。
以上のように、本実施の形態におけるPDP1によれば、電子放出性能および電荷保持性能に優れるとともに、高精細で高輝度の表示性能を備え、かつ低消費電力のPDPを実現することができる。また下地膜91をナノ結晶粒子膜とすることで、保護層9に吸着する不純物ガスも低減することができ、凝集粒子92の電子放出性能を長期的に維持する効果も得られる。
本発明は、高精細で高画質の表示性能を備えた低消費電力のPDPを実現し、薄型画像表示装置などに有用である。
1 PDP
2 前面板
3 前面ガラス基板
4 走査電極
4a,5a 透明電極
4b,5b 金属バス電極
5 維持電極
6 表示電極
7 ブラックストライプ(遮光層)
8 誘電体層
9 保護層
10 背面板
11 背面ガラス基板
12 アドレス電極
13 下地誘電体層
14 隔壁
15 蛍光体層
16 放電空間
81 第1誘電体層
82 第2誘電体層
91 下地膜
92 凝集粒子
92a 結晶粒子

Claims (4)

  1. 基板上に形成した表示電極を覆うように誘電体層を形成するとともに前記誘電体層の上に保護層を形成した前面板と、前記前面板に放電ガスが充填された放電空間を形成するように対向配置され、かつ前記表示電極と交差する方向にアドレス電極を形成するとともに前記放電空間を区画する隔壁を設けた背面板とを有するプラズマディスプレイパネルであって、
    前記保護層は、前記誘電体層の上に形成した平均粒径が10nm以上100nm以下の酸化マグネシウムのナノ結晶粒子よりなる下地膜と、前記下地膜の上に全面に亘って付着分布させた複数個の結晶粒子が凝集した凝集粒子とからなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記凝集粒子は、酸化マグネシウムの結晶粒子が複数個凝集し、その粒径が0.9μm以上2.0μm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記下地膜の密度が1.3g/cm3以上2.0g/cm3以下であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 前記下地膜の膜厚が0.5μm以上3.0μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
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