JP2011198590A - 固体電解質型燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料供給量の目標に対する追従性を高くしながら、過剰供給を防止することができる固体電解質型燃料電池を提供する。
【解決手段】本発明は、要求に応じた電力を発電する固体電解質型燃料電池(1)であって、燃料を改質する改質器(20)と、燃料供給手段(38)と、改質用空気供給手段(45)と、改質器に間欠的に水を供給する水供給手段(28)と、実際の燃料供給量を検出する燃料供給量検出センサ(132)と、燃料により発電する燃料電池モジュール(2)と、目標量の燃料が改質器に送られるように制御する制御手段(110)と、を有し、制御手段は、実際の燃料供給量を、目標と一致させるべく制御すると共に、目標燃料供給量の変化により、目標燃料供給量と実際の燃料供給量に差が生じた場合には追従性が高く、実際の燃料供給量の変化により、差が生じた場合には追従性が低くなるように燃料供給手段を制御することを特徴としている。
【選択図】図12

Description

本発明は、固体電解質型燃料電池に係わり、特に、改質器により改質した燃料と空気により発電を行う固体電解質型燃料電池に関する。
近年、次世代エネルギーとして、燃料(水素ガス)と空気とを用いて発電して電力を得ることができる燃料電池と、この燃料電池を稼働するための補機類とを備えた燃料電池装置が種々提案されている。
燃料電池の発電に必要な燃料(水素ガス)の生成方法の一つとして水蒸気改質法が知られており、例えば、特開2008−53209号公報(特許文献1)には、水蒸気改質を行うために、改質器に水(純水)を供給するための水供給手段として、貯水タンクに貯留された水を水供給管を介して水ポンプにより改質器へ供給するようにしたものが提案されている。
特開2008−53209号公報
ここで、詳細は後述するが、燃料電池装置の起動時には、先ず、改質器内に燃料と改質用空気が供給され、着火により、燃料が改質用空気により燃焼する部分酸化改質反応(POX)が行われ、次に、改質器内に、燃料、改質用空気、及び、水(純水)が供給され、部分酸化改質反応(POX)と後述する水蒸気改質反応(SR)とが併用されたオートサーマル改質反応(ATR)が進行し、その後、改質器内に燃料ガスと水(純水)が供給され、水蒸気改質反応(SR)が行われる。
燃料電池装置においては、オートサーマル改質反応(ATR)及び水蒸気改質反応(SR)を行う際、改質器に水(純水)を供給する必要があるが、特に、水の供給量が非常に少ないATRの領域においては、毎分数ミリリットルという非常に微量な水を連続的に供給する必要がある。このような極微量な水を正確に安定的に供給するためには特殊なポンプを使用しなければならない。
しかしながら、このような極微量な水を連続的に供給することができる特殊なポンプは、燃料電池装置のような比較的高温の環境下では使用が難しく、さらに、構造が複雑で値段も高価であることから、実際上の適用は困難な状況となっている。
そこで、本発明者らは、鋭意研究を行うことにより、この極少量の水を供給するために、パルスポンプを用いて、パルス制御により間欠的に水を噴射して供給することを見出した。この方法によって、水の供給を間欠的にしたため、高温環境下でも使用でき、また構造が簡単で安価なポンプの使用が可能となり、更に、制御も簡易なパルス制御が可能となったものである。
ところが、水蒸気改質を行う場合には、供給された水が改質器内で蒸発されるが、この水が気化する際に急激に体積が増大するので、改質器内に圧力変動が生じてしまう。
さらに、改質器内の圧力は、部分酸化改質反応(POX)を行うために、改質器内に改質用空気を導入することによっても変動する。
このような改質器内の圧力変動は、改質器の容積を大きくすることによって緩和することが可能であるが、改質器が大型になると、これを均一に加熱することが困難になり、改質器に温度ムラが発生しやすいという問題がある。また、改質器を大型化すると、燃料電池の装置全体が大型化するという問題がある。
一方、改質器内の圧力が変動すると、改質器に燃料を供給する燃料供給装置を一定に制御していても、実際に改質器内に導入される燃料供給量は変動してしまう。このため、改質器内で適正な改質が行われるように設定された、目標とする燃料供給量と、実際に供給される燃料供給量がずれてしまうという問題がある。実際に供給される燃料供給量が目標値からずれ、改質用空気と燃料のバランスが崩れると、改質器内で炭素析出が発生し、これが改質器の触媒の劣化を著しく早めてしまうという問題が発生する。
また、燃料供給装置は、一般に、実際の燃料供給量を測定し、これをフィードバックして燃料供給量が目標とする燃料供給量と一致するように制御される。ここで、目標燃料供給量に対する追従性を高めるためには、燃料供給装置を制御するフィードバックゲインを大きく設定する必要がある。その一方、燃料供給量の目標燃料供給量に対する追従性を高くすると、改質器内への間欠的な水の供給等による急激な圧力変化に対応して燃料供給量が不安定に増減されてしまうという問題が起こる。
即ち、圧力上昇時に燃料の供給量が目標値よりも少なくなる状態を燃料供給量検出センサが検出し、その直後に、燃料が不足していると判断して燃料を追加供給する増量制御が行われる。しかし、実際には圧力が次の瞬間に低下するために燃料は供給されやすい状態になってしまうので、上述した不足分の燃料増加が本来必要ないにもかかわらず供給されてしまい、結果的に、燃料ガスの過剰供給になってしまうという問題が発生する。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、燃料供給量の目標燃料供給量に対する追従性を高くしながら、燃料の過剰供給を防止することができる固体電解質型燃料電池を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、本発明は、要求電力に応じた可変の電力を、改質器により改質した燃料と空気により発電する固体電解質型燃料電池であって、燃料を改質する改質器と、この改質器に燃料を供給する燃料供給手段と、改質器に改質用空気を供給する改質用空気供給手段と、改質器に間欠的に水を供給する水供給手段と、燃料供給手段により改質器内に供給された実際の燃料供給量を検出する燃料供給量検出センサと、改質器内で改質された燃料により発電する燃料電池モジュールと、要求電力に応じた電力を発電するために必要な、目標量の燃料、改質用空気及び水が、改質器に送り込まれるように、燃料供給手段、改質用空気供給手段及び水供給手段を制御する制御手段と、を有し、制御手段は、燃料供給量検出センサにより検出された実際の燃料供給量を、目標とする燃料供給量と一致させるべく燃料供給手段を制御すると共に、目標とする燃料供給量が変化したことにより、目標燃料供給量と実際の燃料供給量に差が生じた場合には追従性が高く、燃料供給量検出センサにより検出された実際の燃料供給量の変化により、目標燃料供給量と実際の燃料供給量に差が生じた場合には追従性が低くなるように燃料供給手段を制御することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、制御手段が、燃料供給手段、改質用空気供給手段、及び水供給手段を制御して、改質器に燃料、改質用空気、水を供給する。水供給手段は、間欠的に水を改質器に供給する。また、燃料供給量検出センサは、改質器内に供給された実際の燃料供給量を検出し、制御手段は検出された実際の燃料供給量を目標とする燃料供給量と一致させるべく燃料供給手段を制御する。この制御手段は、目標とする燃料供給量が変化したことにより、目標燃料供給量と実際の燃料供給量に差が生じた場合には追従性が高く、燃料供給量検出センサにより検出された実際の燃料供給量の変化により、目標燃料供給量と実際の燃料供給量に差が生じた場合には追従性が低くなるように燃料供給手段を制御する。
このように構成された本発明によれば、間欠的に水を供給する水供給手段を使用しているので、微少量の水を連続的に供給する特殊且つ高価なポンプを用いることなく、改質器に適正な量の水を供給することができる。また、水が間欠的に供給されることにより、水か供給された瞬間に改質器内の圧力が急激に上昇し、燃料が改質器内に導入されにくくなる。しかしながら、制御手段は、実際の燃料供給量の変化により、目標燃料供給量と実際の燃料供給量に差が生じた場合には追従性が低くなるように燃料供給手段を制御するので、改質器内の圧力上昇によって制御のハンチング現象が発生したり、燃料が過剰供給となるのを防止することができる。その一方、制御手段は、目標とする燃料供給量の変化により、目標燃料供給量と実際の燃料供給量に差が生じた場合には追従性が高くなるように燃料供給手段を制御するので、目標燃料供給量に速やかに追従した適量の燃料を改質器に導入することができる。これにより、改質器内の燃料と水のバランスが崩れることによる炭素析出の発生等の不具合を防止することができる。
本発明において、好ましくは、制御手段は、燃料供給量検出センサにより検出された実際の燃料供給量を、その時点における目標燃料供給量によって除した燃料供給量比の移動平均値に現在の目標燃料供給量を乗じた値と、現在の目標燃料供給量との差として計算される値にフィードバックゲインを乗ずることにより燃料供給手段に対する操作量を決定する。
このように構成された本発明によれば、移動平均値に基づいて制御を行っているため、実際の燃料供給量の変化により、目標燃料供給量と実際の燃料供給量に差が生じた場合には追従性が低くなると共に、目標燃料供給量の変化には速やかに追従することができる。実際の燃料供給量の変化には追従性が低く、目標燃料供給量の変化には追従性が高くなる制御を実現する手法としては、例えば、実際の燃料供給量が変化した場合と、目標燃料供給量が変化した場合で場合分けを行い、夫々に異なるフィードバックゲインを乗じることが考えられる。しかしながら、このような場合分けを行う制御では、制御系が複雑になるばかりでなく、フィードバックゲインを切り換える際に制御が不安定になる虞がある。これに対し、本発明における制御によれば、場合分けやフィードバックゲインの切り換えを行うことなく追従性を変化させることができるので、簡単な演算により制御を行うことができると共に、制御系が極めて安定なものになる。
本発明において、好ましくは、さらに、改質器内の圧力を測定する改質器圧力センサを有し、制御手段は、改質器内の圧力が高いほどフィードバックゲインの値を大きくして燃料供給手段を制御することにより、目標とする燃料供給量が変化した場合の追従性と、実際の燃料供給量が変化した場合の追従性を、より大きく異ならせる。
このように構成された本発明によれば、改質器内の圧力が上昇することにより、燃料が導入されにくくなった状態においても、迅速に目標燃料供給量の変化に追従することができると共に、フィードバックゲインを大きくしたことによるハンチング現象の発生や、燃料の過剰供給を防止することができる。
本発明において、好ましくは、制御手段は、水供給手段により改質器に供給される水供給量が多くなるほどフィードバックゲインの値を大きくして燃料供給手段を制御する。
このように構成された本発明によれば、水供給量が多く、改質器内の平均的な圧力が高くなっている状態においても、迅速に目標燃料供給量の変化に追従することができると共に、フィードバックゲインを大きくしたことによるハンチング現象の発生や、燃料の過剰供給を防止することができる。
本発明において、好ましくは、制御手段は、改質用空気供給手段により改質器に供給される改質用空気供給量が多くなるほどフィードバックゲインの値を大きくして燃料供給手段を制御する。
このように構成された本発明によれば、改質用空気供給量が多く、改質器内の圧力が高くなっている状態においても、迅速に目標燃料供給量の変化に追従することができると共に、フィードバックゲインを大きくしたことによるハンチング現象の発生や、燃料の過剰供給を防止することができる。
本発明の固体電解質型燃料電池によれば、燃料供給量の目標燃料供給量に対する追従性を高くしながら、燃料の過剰供給を防止することができる。
本発明の一実施形態による燃料電池装置を示す全体構成図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す正面断面図である。 図2のIII-III線に沿って断面図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の起動時の動作を示すタイムチャートである。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の停止時の動作を示すタイムチャートである。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の水供給装置を示す概略図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置における燃料、水、及び改質用空気の供給量を制御するための制御内容を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態による燃料電池装置における燃料供給量の制御に使用される偏差の計算手順を示す図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置における燃料供給量の制御結果の一例を示すグラフである。 従来の燃料電池装置において、目標燃料供給量が図12と同様に変化した場合の制御結果を比較例として示す図である。
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)を示す全体構成図である。この図1に示すように、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材(図示せず但し断熱材は必須の構成ではなく、なくても良いものである。)を介して密封空間8が形成されている。なお、断熱材は設けないようにしても良い。この密閉空間8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14(図5参照)を備え、この燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16(図4参照)から構成されている。このように、燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
燃料電池モジュール2の密封空間8の上述した発電室10の上方には、燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の酸化剤(空気)とが燃焼し、排気ガスを生成するようになっている。
また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、改質器20の熱を受けて空気を加熱し、改質器20の温度低下を抑制するための空気用熱交換器22が配置されている。
次に、補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料ガスを遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸化剤である空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器20に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。
また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図2及び図3により、本発明の実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の燃料電池モジュールの内部構造を説明する。図2は、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図3は、図2のIII-III線に沿って断面図である。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2のハウジング6内の密閉空間8には、上述したように、下方から順に、燃料電池セル集合体12、改質器20、空気用熱交換器22が配置されている。
改質器20は、その上流端側に純水を導入するための純水導入管60と改質される燃料ガスと改質用空気を導入するための被改質ガス導入管62が取り付けられ、また、改質器20の内部には、上流側から順に、蒸発部20aと改質部20bを形成され、これらの蒸発部20aと改質部20bには改質触媒が充填されている。この改質器20に導入された水蒸気(純水)が混合された燃料ガス及び空気は、改質器20内に充填された改質触媒により改質される。改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
この改質器20の下流端側には、燃料ガス供給管64が接続され、この燃料ガス供給管64は、下方に延び、さらに、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内で水平に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、改質された燃料ガスがマニホールド66内に供給される。
このマニホールド66の上方には、上述した燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。
次に、改質器20の上方には、空気用熱交換器22が設けられている。この空気用熱交換器22は、上流側に空気集約室70、下流側に2つの空気分配室72を備え、これらの空気集約室70と空気分配室72は、6個の空気流路管74により接続されている。ここで、図3に示すように、3個の空気流路管74が一組(74a,74b,74c,74d,74e,74f)となっており、空気集約室70内の空気が各組の空気流路管74からそれぞれの空気分配室72へ流入する。
空気用熱交換器22の6個の空気流路管74内を流れる空気は、燃焼室18で燃焼して上昇する排気ガスにより予熱される。
空気分配室72のそれぞれには、空気導入管76が接続され、この空気導入管76は、下方に延び、その下端側が、発電室10の下方空間に連通し、発電室10に余熱された空気を導入する。
次に、マニホールド66の下方には、排気ガス室78が形成されている。また、図3に示すように、ハウジング6の長手方向に沿った面である前面6aと後面6bの内側には、上下方向に延びる排気ガス通路80が形成され、この排気ガス室通路80の上端側は、空気用熱交換器22が配置された空間と連通し、下端側は、排気ガス室78と連通している。また、排気ガス室78の下面のほぼ中央には、排気ガス排出管82が接続され、この排気ガス排出管82の下流端は、図1に示す上述した温水製造装置50に接続されている。
図2に示すように、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
次に図4により燃料電池セルユニット16について説明する。図4は、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図4に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の上下方向端部にそれぞれ接続された内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
燃料電池セル16の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路98が形成されている。
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
次に図5により燃料電池セルスタック14について説明する。図5は、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。
図5に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16の下端側及び上端側が、それぞれ、セラミック製の下支持板68及び上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴68a及び100aがそれぞれ形成されている。
さらに、燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、空気極である外側電極層92の外周面全体と電気的に接続される空気極用接続部102bとにより一体的に形成されている。空気極用接続部102bは、外側電極層92の表面を上下方向に延びる鉛直部102cと、この鉛直部102cから外側電極層92の表面に沿って水平方向に延びる多数の水平部102dとから形成されている。また、燃料極用接続部102aは、空気極用接続部102bの鉛直部102cから燃料電池セルユニット16の上下方向に位置する内側電極端子86に向って斜め上方又は斜め下方に向って直線的に延びている。
さらに、燃料電池セルスタック14の端(図5では左端の奥側及び手前側)に位置する2個の燃料電池セルユニット16の上側端及び下側端の内側電極端子86には、それぞれ外部端子104が接続されている。これらの外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の外部端子104(図示せず)に接続され、上述したように、160本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
次に図6により本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)に取り付けられたセンサ類等について説明する。図6は、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)を示すブロック図である。
図6に示すように、固体電解質型燃料電池1は、制御部110を備え、この制御部110には、使用者が操作するための「ON」や「OFF」等の操作ボタンを備えた操作装置112、発電出力値(ワット数)等の種々のデータを表示するための表示装置114、及び、異常状態のとき等に警報(ワーニング)を発する報知装置116が接続されている。なお、この報知装置116は、遠隔地にある管理センタに接続され、この管理センタに異常状態を通知するようなものであっても良い。
次に、制御部110には、以下に説明する種々のセンサからの信号が入力されるようになっている。
先ず、可燃ガス検出センサ120は、ガス漏れを検知するためのもので、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4に取り付けられている。
CO検出センサ122は、本来排気ガス通路80等を経て外部に排出される排気ガス中のCOが、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4を覆う外部ハウジング(図示せず)へ漏れたかどうかを検知するためのものである。
貯湯状態検出センサ124は、図示しない給湯器におけるお湯の温度や水量を検知するためのものである。
電力状態検出センサ126は、インバータ54及び分電盤(図示せず)の電流及び電圧等を検知するためのものである。
発電用空気流量検出センサ128は、発電室10に供給される発電用空気の流量を検出するためのものである。
改質用空気流量センサ130は、改質器20に供給される改質用空気の流量を検出するためのものである。
燃料流量センサ132は、改質器20に供給される燃料ガスの流量を検出するためのものである。
水流量センサ134は、改質器20に供給される純水(水蒸気)の流量を検出するためのものである。
水位センサ136は、純水タンク26の水位を検出するためのものである。
圧力センサ138は、改質器20の外部の上流側の圧力を検出するためのものである。
排気温度センサ140は、温水製造装置50に流入する排気ガスの温度を検出するためのものである。
発電室温度センサ142は、図3に示すように、燃料電池セル集合体12の近傍の前面側と背面側に設けられ、燃料電池セルスタック14の近傍の温度を検出して、燃料電池セルスタック14(即ち燃料電池セル84自体)の温度を推定するためのものである。
燃焼室温度センサ144は、燃焼室18の温度を検出するためのものである。
排気ガス室温度センサ146は、排気ガス室78の排気ガスの温度を検出するためのものである。
改質器温度センサ148は、改質器20の温度を検出するためのものであり、改質器20の入口温度と出口温度から改質器20の温度を算出する。
外気温度センサ150は、固体電解質型燃料電池(SOFC)が屋外に配置された場合、外気の温度を検出するためのものである。また、外気の湿度等を測定するセンサを設けるようにしても良い。
これらのセンサ類からの信号は、制御部110に送られ、制御部110は、これらの信号によるデータに基づき、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38、改質用空気流量調整ユニット44、発電用空気流量調整ユニット45に、制御信号を送り、これらのユニットにおける各流量を制御するようになっている。
また、制御ユニット110は、インバータ54に、制御信号を送り、電力供給量を制御するようになっている。
次に図7により本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)による起動時の動作を説明する。図7は、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の起動時の動作を示すタイムチャートである。
最初は、燃料電池モジュール2を温めるために、無負荷状態で、即ち、燃料電池モジュール2を含む回路を開いた状態で、運転を開始する。このとき、回路に電流が流れないので、燃料電池モジュール2は発電を行わない。
先ず、改質用空気流量調整ユニット44から改質用空気を第1ヒータ46を経由して燃料電池モジュール2の改質器20へ供給する。また、同時に、発電用空気流量調整ユニット45から発電用空気を第2ヒータ48を経由して燃料電池モジュール2の空気用熱交換器22へ供給し、この発電用空気が、発電室10及び燃焼室18に到達する。
この直ぐ後、燃料流量調整ユニット38からも燃料ガスが供給され、改質用空気が混合された燃料ガスが、改質器20及び燃料電池セルスタック14、燃料電池セルユニット16を通過して、燃焼室18に到達する。
次に、点火装置83により着火して、燃焼室18にある燃料ガスと空気(改質用空気及び発電用空気)とを燃焼させる。この燃料ガスと空気との燃焼により排気ガスが生じ、この排気ガスにより、発電室10が暖められ、また、排気ガスが燃料電池モジュール2の密封空間8内を上昇する際、改質器20内の改質用空気を含む燃料ガスを暖めると共に、空気熱交換器22内の発電用空気も暖める。
このとき、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、改質用空気が混合された燃料ガスが改質器20に供給されているので、改質器20において、式(1)に示す部分酸化改質反応POXが進行する。この部分酸化改質反応POXは、発熱反応であるので、起動性が良好となる。また、この昇温した燃料ガスが燃料ガス供給管64により燃料電池セルスタック14の下方に供給され、これにより、燃料電池セルスタック14が下方から加熱され、また、燃焼室18も燃料ガスと空気が燃焼して昇温されているので、燃料電池セルスタック14は、上方からも加熱され、この結果、燃料電池セルスタック14は、上下方向において、ほぼ均等に昇温可能となっている。この部分酸化改質反応POXが進行しても、燃焼室18では継続して燃料ガスと空気との燃焼反応が持続される。
mn+xO2 → aCO2+bCO+cH2 (1)
部分酸化改質反応POXの開始後、改質器温度センサ148により改質器20が所定温度(例えば、600℃)になったことを検知したとき、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、燃料ガスと改質用空気と水蒸気とを予め混合したガスを改質器20に供給する。このとき、改質器20においては、上述した部分酸化改質反応POXと後述する水蒸気改質反応SRとが併用されたオートサーマル改質反応ATRが進行する。このオートサーマル改質反応ATRは、熱的に内部バランスが取れるので、改質器20内では熱的に自立した状態で反応が進行する。即ち、酸素(空気)が多い場合には部分酸化改質反応POXによる発熱が支配的となり、水蒸気が多い場合には水蒸気改質反応SRによる吸熱反応が支配的となる。この段階では、既に起動の初期段階は過ぎており、発電室10内がある程度の温度まで昇温されているので、吸熱反応が支配的であっても大幅な温度低下を引き起こすことはない。また、オートサーマル改質反応ATRが進行中も、燃焼室18では燃焼反応が継続して行われている。
式(2)に示すオートサーマル改質反応ATRの開始後、改質器温度センサ146により改質器20が所定温度(例えば、700℃)になったことを検知したとき、改質用空気流量調整ユニット44による改質用空気の供給を停止すると共に、水流量調整ユニット28による水蒸気の供給を増加させる。これにより、改質器20には、空気を含まず燃料ガスと水蒸気のみを含むガスが供給され、改質器20において、式(3)の水蒸気改質反応SRが進行する。
mn+xO2+yH2O → aCO2+bCO+cH2 (2)
mn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (3)
この水蒸気改質反応SRは吸熱反応であるので、燃焼室18からの燃焼熱と熱バランスをとりながら反応が進行する。この段階では、燃料電池モジュール2の起動の最終段階であるため、発電室10内が十分高温に昇温されているので、吸熱反応が進行しても、発電室10が大幅な温度低下を招くこともない。また、水蒸気改質反応SRが進行しても、燃焼室18では継続して燃焼反応が進行する。
このようにして、燃料電池モジュール2は、点火装置83により点火した後、部分酸化改質反応POX、オートサーマル改質反応ATR、水蒸気改質反応SRが、順次進行することにより、発電室10内の温度が徐々に上昇する。次に、発電室10内及び燃料電池セル84の温度が燃料電池モジュール2を安定的に作動させる定格温度よりも低い所定の発電温度に達したら、燃料電池モジュール2を含む回路を閉じ、燃料電池モジュール2による発電を開始し、それにより、回路に電流が流れる。燃料電池モジュール2の発電により、燃料電池セル84自体も発熱し、燃料電池セル84の温度も上昇する。この結果、燃料電池モジュール2を作動させる定格温度、例えば、600℃〜800℃になる。
この後、定格温度を維持するために、燃料電池セル84で消費される燃料ガス及び空気の量よりも多い燃料ガス及び空気を供給し、燃焼室18での燃焼を継続させる。なお、発電中は、改質効率の高い水蒸気改質反応SRで発電が進行する。
次に、図8により本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の運転停止時の動作を説明する。図8は、本実施形態により固体電解質型燃料電池(SOFC)の運転停止時の動作を示すタイムチャートである。
図8に示すように、燃料電池モジュール2の運転停止を行う場合には、先ず、燃料流量調整ユニット38及び水流量調整ユニット28を操作して、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給量を減少させる。
また、燃料電池モジュール2の運転停止を行う場合には、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給量を減少させると同時に、改質用空気流量調整ユニット44による発電用空気の燃料電池モジュール2内への供給量を増大させて、燃料電池セル集合体12及び改質器20を空気により冷却し、これらの温度を低下させる。その後、改質器20の温度が所定温度、例えば、400℃まで低下したとき、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給を停止し、改質器20の水蒸気改質反応SRを終了する。この発電用空気の供給は、改質器20の温度が所定温度、例えば、200℃まで低下するまで、継続し、この所定温度となったとき、発電用空気流量調整ユニット45からの発電用空気の供給を停止する。
このように、本実施形態においては、燃料電池モジュール2の運転停止を行うとき、改質器20による水蒸気改質反応SRと発電用空気による冷却とを併用しているので、比較的短時間に、燃料電池モジュールの運転を停止させることができる。
次に、図7を再び参照して、上述した燃焼運転、部分酸化改質反応(POX)、オートサーマル改質反応(ATR)、水蒸気改質反応(SR)の各領域における、燃料ガス、改質用空気、水の供給について、詳細に説明する。
図7の時刻t0において、固体電解質型燃料電池1を起動すると、改質用空気供給手段である改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気供給手段である発電用空気流量調整ユニット45により、改質用空気及び発電用空気を燃料電池モジュール2に供給する。なお、本実施形態においては、時刻t0において供給が開始される改質用空気の供給量は10L/min、発電用空気の供給量は100L/minである。
次に、時刻t1において、燃料供給手段である燃料流量調整ユニット38により、改質器20への燃料ガスの供給を開始する。各燃料電池セルユニット16内に送り込まれた燃料及び改質用空気は、各燃料電池セルユニット16の上端から夫々流出する。なお、本実施形態においては、時刻t1において供給が開始される燃料ガスの供給量は6L/minに設定されている。
さらに、時刻t2において、点火装置83により、燃料電池セルユニット16から流出した燃料が着火される。これにより、燃焼室18内で燃料が燃焼され、その上方に配置された改質器20が加熱されると共に、燃焼室18、発電室10、及びその中に配置された燃料電池セルスタック14の温度も上昇する(図7の時刻t2〜t3)。改質器20が加熱されることにより、改質器20の温度が300゜C程度まで上昇すると、改質器20内においては、部分酸化改質反応(POX)が発生する(図7の時刻t3)。部分酸化改質反応は発熱反応であるため、改質器20は、部分酸化改質反応の発生により、その反応熱によっても加熱されるようになる(POX1領域)。
さらに温度が上昇し、改質器20の温度が350゜Cに達すると、燃料供給量を減少させると共に、改質用空気供給量を増加させる(図7の時刻t4)。これにより、燃料供給量は5L/minに変更され、改質用空気供給量は18L/minに変更される。これらの供給量は、部分酸化改質反応を発生させるために適正な供給量である。即ち、部分酸化改質反応が発生し始める初期の温度領域においては、供給する燃料を多くすることにより、燃料に確実に着火される状態を形成すると共に、その供給量を維持して着火を安定させる(POX1領域)。さらに、安定して着火され、温度が上昇した後には、部分酸化改質反応を生成するために必要にして十分な燃料供給量として、燃料の浪費を抑えている(POX2領域)。
次に、図7の時刻t5において、改質器20の温度が600゜C以上、且つ、燃料電池セルユニット16の温度が250゜C以上になると、改質用空気供給量を減少させると共に、水供給手段である水流量調整ユニット28により、水の供給を開始させる。これにより、改質用空気供給量は8L/minに変更され、水供給量は2cc/minにされる(ATR1領域)。改質器20内に水(水蒸気)が導入されることにより、改質器20内で水蒸気改質反応も発生するようになる。即ちATR1領域態においては、部分酸化改質反応と水蒸気改質反応が混在したオートサーマル改質(ATR)が発生するようになる。
さらに、図7の時刻t6において、改質器20の温度が600゜C以上、且つ、燃料電池セルユニット16の温度が400゜C以上になると、燃料供給量を減少させる。また、改質用空気供給量を減少させると共に、水の供給量を増加させる。これにより、燃料供給量は4L/minに変更され、改質用空気供給量は4L/minに変更され、水供給量は3cc/minにされる(ATR2領域)。改質用空気供給量が減少され、水供給量が増加されることにより、改質器20内においては、部分酸化改質反応の割合が減少し、水蒸気改質反応の割合が増加する。
次に、図7の時刻t7において、改質器20の温度が650゜C以上、且つ、燃料電池セルユニット16の温度が600゜C以上になると、改質用空気の供給を停止する。また、燃料供給量を減少させると共に、水の供給量を増加させる。これにより、燃料供給量は3L/minに変更され、水供給量は8cc/minに変更される(SR1領域)。改質用空気の供給が停止されることにより、改質器20内においては、部分酸化改質反応は発生しなくなり、水蒸気改質反応(SR)のみとなる。
さらに、図7の時刻t8において、改質器20の温度が650゜C以上、且つ、燃料電池セルユニット16の温度が700゜C以上になると、燃料供給量を減少させると共に、水の供給量も減少させる。また、発電用空気の供給量も減少させる。これにより、燃料供給量は発電待機燃料供給量である2.3L/minに変更され、水供給量は6.3cc/minに変更され、発電用空気供給量は80L/minに変更される(SR2領域)。
この後、燃料電池モジュール2からインバータ54に電力を出力させ、発電を開始する(図7の時刻t9)。発電開始後の燃料供給量、発電用空気供給量、及び水供給量は、要求電力に応じて決定され、供給される。
次に、図9により、本実施形態による水供給装置(水流量調整ユニット28)について詳細に説明する。図9は、本発明の一実施形態によるSOFCの水供給装置を示す概略図である。
図9に示すように、水供給装置(水流量調整ユニット28)は、水道水を一時的に貯蔵する水タンク152と、水を供給するポンプ154と、この供給された水を浄化して純水を生成するためのRO膜(逆浸透膜)156と、生成された純水を一時的に貯蔵する純水タンク26と、この純水を燃料電池モジュール2の改質器20にパルス制御により間欠的に供給するパルスポンプ160とを備えている。また、水及び純水が凍結するのを防止するための、熱交換器162やヒーター164も備えている。
次に、図10により、本実施形態による、POX(POX1、POX2)領域、ATR(ATR1,ATR2)領域、SR(SR1,SR2)領域、及び、発電領域における、燃料、水、及び改質用空気の供給量の制御内容を説明する。図10は、本発明の一実施形態による燃料電池装置における燃料、水、及び改質用空気の供給量を制御するための制御内容を示すフローチャートである。図10において、Sは各ステップを示している。
先ず、燃料電池装置の起動時に、S1において、POX領域か否かを判定する。上述したように、改質器20の温度が300℃以上であれば、POX領域であると判定する。POX領域であればS2に進み、S2において、改質器20の温度が350℃以下であれば、POX1領域であるので、S3に進む。S3において、POX1領域におけるゲイン補正係数を設定する。燃料については、燃料供給手段である燃料流量調整ユニット38のゲイン補正係数τaを基準のゲイン係数τa1と同じ値に設定する(τa=τa1)。改質用空気ついては、改質用空気供給手段である改質用空気流量調整ユニット44のゲイン補正係数τbを基準のゲイン係数τb1と同じ値に設定する(τb=τb1)。なお、POX領域では改質器20に水は供給されない。また、燃料供給量、改質用空気供給量を目標値にそれぞれ追従させるためのゲイン補正係数は、これを増加させると、目標値の変化に対する追従が速くなると共に、目標値からずれた際に目標値に復帰させる速度が速くなる。また、ゲイン補正係数を減少させると、目標値の変化に対する追従は遅くなるが、燃料供給量、改質用空気供給量の変化が緩やかになる。
次に、S2において、POX1領域でないと判定されたときは、S4に進み、S4において、POX2領域におけるゲイン補正係数を設定する。燃料については、燃料供給手段である燃料流量調整ユニット38のゲイン補正係数τaを基準のゲイン係数τa1よりも上昇させた値に設定する(τa=τa1×1.5)。改質用空気ついては、改質用空気供給手段である改質用空気流量調整ユニット44のゲイン補正係数τbを基準のゲイン係数τb1よりも上昇させた値に設定する(τb=τb1×1.5)。
次に、S1において、POX領域でないと判定されたときは、S5に進み、ATR領域か否かを判定する。上述したように、改質器20の温度が600℃以上、且つ、燃料電池セルユニット16の温度(=発電室温度)が250℃以上であれば、ATR領域であると判定し、S6に進む。S6において、改質器20の温度が600℃以上で、且つ、燃料電池セルユニット16の温度(=発電室温度)が250℃以上400℃以下であれば、ATR1領域であるので、S7に進む。
S7において、ATR1領域におけるゲイン補正係数を設定する。即ち、燃料については、燃料供給手段である燃料流量調整ユニット38のゲイン補正係数τaを基準のゲイン係数τa1よりも低下させた小さな値に設定する(τa=τa1×0.6)。改質用空気ついても、同様に、改質用空気供給手段である改質用空気流量調整ユニット44のゲイン補正係数τbを基準のゲイン係数τb1よりも低下させた小さな値に設定する(τb=τb1×0.9)。さらに、水についても、同様に、水供給手段である水流量調整ユニット28のゲイン補正係数τcを基準のゲイン係数τc1よりも低下させた小さな値に設定する(τc=τc1×0.8)。このように、ATR1領域では、水供給に伴う圧力変動の要因に基づく過剰燃料の供給等の影響を抑えるように燃料のゲイン補正係数が低下され、それと対応できるように燃料のゲイン補正係数以外の補正係数も低下されており、最も影響の大きい燃料のゲイン補正係数τaの低下量が改質空気及び水のゲイン補正係数の低下量よりも大きくなるように設定されている。
一方、S6において、ATR1領域でないと判定された場合には、S8に進む。即ち、改質器20の温度が600℃以上、且つ、燃料電池セルユニット16の温度(=発電室温度)が400℃以上であれば、ATR1領域ではなくATR2領域であるので、S8に進む。
S8において、ATR2領域におけるゲイン補正係数を設定する。即ち、燃料については、燃料供給手段である燃料流量調整ユニット38のゲイン補正係数τaを基準のゲイン係数τa1よりも低下させた小さな値に設定する(τa=τa1×0.7)。改質用空気ついても、同様に、改質用空気供給手段である改質用空気流量調整ユニット44のゲイン補正係数τbを基準のゲイン係数τb1よりも低下させた小さな値に設定する(τb=τb1×0.9)。さらに、水についても、同様に、水供給手段である水流量調整ユニット28のゲイン補正係数τcを基準のゲイン係数τc1よりも低下させた小さな値に設定する(τc=τc1×0.9)。このように、ATR2領域では、燃料のゲイン補正係数の低下量が改質空気及び水のゲイン補正係数の低下量よりも大きく設定されている。また、ATR2領域の燃料のゲイン補正係数及び水のゲイン補正係数の低下量をATR1領域の燃料のゲイン補正係数の低下量よりも緩和するように小さくしている。これは水の供給量の増加とともに圧力変動の要因が緩和されることに対応させたものである。
次に、S5において、ATR領域ではないと判定されたときには、S9に進み、SR領域であるか否かを判定する。上述したように、改質器20の温度が650℃以上、且つ、燃料電池セルユニット16の温度(=発電室温度)が600℃以上の場合には、SR領域であるので、S10に進み、SR1とSR2の領域のゲイン補正係数を設定する。燃料については、燃料供給手段である燃料流量調整ユニット38のゲイン補正係数τaを基準のゲイン係数τa1よりも低下させた小さな値に設定する(τa=τa1×0.9)。水については、水供給手段である水流量調整ユニット28のゲイン補正係数τcを基準のゲイン係数τc1と同じ値に設定する(τc=τc1)。なお、SR1及びSR2の領域においては、改質用空気は供給しない。
次に、S9において、SR領域ではないと判定された場合には、発電運転領域であるので、S11に進む。S11においては、発電室10及び改質器20の温度が発電可能な温度に達しているか否かを判定する。発電可能な温度に達している場合には、S12に進み、S12においては、燃料については、燃料供給手段である燃料流量調整ユニット38のゲイン補正係数τaを基準のゲイン係数τa1と同じ値に設定する(τa=τa1)。水についても、同様に、水供給手段である水流量調整ユニット28のゲイン補正係数τcを基準のゲイン係数τc1と同じ値に設定する(τc=τc1)。
次に、S13に進み、S13においては、上記S1、S4、S7、S8、S10、又はS12において設定された燃料に対するゲイン補正係数τaを補正係数Caによって補正する(τa=τa×Ca)。補正係数Caは、改質器圧力センサである圧力センサ138によって検出された改質器20内の平均圧力に基づいて決定される係数であり、本実施形態においては、改質器20内の圧力5kPaにおいて1であり、圧力上昇に比例して増加し、圧力20kPaにおいて2となるように設定されている。
次に、S14に進み、S14においては、燃料流量調整ユニット38、改質用空気流量調整ユニット44、及び、水流量調整ユニット28を、それぞれ、設定したゲイン補正係数を使用してフィードバックゲインを補正し、燃料、改質用空気、及び、水の供給量を制御して、改質器20に供給する。
次に、図11乃至図13を参照して、本発明の実施形態による固体電解質型燃料電池1における燃料供給量の制御を説明する。図11は、本実施形態の固体電解質型燃料電池1における燃料供給量の制御に使用される偏差Siの計算手順を示す図である。また、図12は、固体電解質型燃料電池1による燃料供給量の制御結果の一例を示すグラフである。また、図13は、従来の固体電解質型燃料電池において、目標燃料供給量が図12と同様に変化した場合の制御結果を比較例として示す図である。
まず、図11のS101において、目標燃料供給量Ti、及び実際の燃料供給量Giが、制御手段である制御部110に入力される。本実施形態においては、目標燃料供給量Ti及び実際の燃料供給量Giのサンプリングは、0.1sec毎に実行される。目標燃料供給量Tiは、燃料電池モジュール2による発電時においては、要求電力に応じて時々刻々決定されるものである。ここで、要求電力は、固体電解質型燃料電池1を設置した住宅等の電力需要に対応して急激に変化するものである。一方、燃料電池モジュール2は、要求電力の変化に比べ極めて応答が遅いものであるため、要求電力の変化に合わせて燃料供給量を急激に変化させると適正な運転を行うことができない。このため、目標燃料供給量Tiは、概ね要求電力に追従するように決定されるものの、要求電力の変化に比べ極めて緩やかに変化するように設定される。また、実際の燃料供給量Giは、燃料供給量検出センサである燃料流量センサ132によって検出された改質器20に供給される燃料ガスの流量である。
次に、S102において、サンプリングされた実際の燃料供給量Giを目標燃料供給量Tiで除した値である燃料供給量比Ri(=Gi/Ti)が計算される。この燃料供給量比Riの計算も0.1sec毎に実行される。
さらに、S103においては、S102において計算された燃料供給量比Riの直近の100個のデータの移動平均値Aiが計算される。即ち、
Figure 2011198590
により移動平均値Aiが計算される。なお、移動平均値Aiの計算は、0.5sec毎に実行される。即ち、0.1sec毎にサンプリングされた直近の100個のデータの移動平均値が、0.5sec毎に計算される。
次に、S104においては、S103において計算された移動平均値Aiを1から減じることにより、偏差の割合Di(=1−Ai)が計算される。この偏差の割合Diの計算は、移動平均値Aiが計算される毎に、即ち、0.5sec毎に実行される。
さらに、S105においては、S104において計算された偏差の割合Diに、最新の目標燃料供給量Tiを乗じることによって偏差Si(=Di×Ti)が計算される。この偏差Siの計算は、偏差の割合Diが計算される毎に、即ち、0.5sec毎に実行される。
次に、S106においては、S105において計算された偏差Siに基づいて、燃料流量調整ユニット38に対する操作量であるフィードバック値Fiが計算され、計算されたフィードバック値Fiが燃料流量調整ユニット38に送られ、燃料流量調整ユニット38が制御される。以上の手順を時々刻々繰り返すことにより、実際の燃料供給量が目標燃料供給量に追従するように制御される。また、フィードバック値Fiは、具体的には、偏差Si及び偏差Siに関する値(偏差の時間微分値等)各々に所定のフィードバックゲインを乗じ、それらの値の和として計算される(この値を偏差Siの関数としてFb(Si)と記述する)。得られたフィードバック値Fiは、燃料流量調整ユニット38に対する制御の操作量として、燃料流量調整ユニット38に送られる。なお、フィードバック値Fiの計算に使用される各フィードバックゲインには、図10において計算されたゲイン補正係数τaを乗じることによって補正された値が使用される。従って、フィードバックゲインの値は、ゲイン補正係数τaの値が大きいほど、大きくされる。
なお、図11のS102乃至S105の計算により求められた偏差Siは、実際の燃料供給量Giを目標燃料供給量Tiで除した値である燃料供給量比Riの移動平均値Aiに現在の目標燃料供給量Tiを乗じた値(Ai×Ti)と、現在の目標燃料供給量Tiとの差(Ti−(Ai×Ti)=Ti×(1−Ai)=Di×Ti=Si)として全く同一の計算結果を得ることができる。
次に、図12を参照して、燃料供給量の制御結果の一例を説明する。図12において、目標燃料供給量Tiを実線で示す。また、図12には、燃料流量センサ132により測定された実際の燃料供給量Giを菱形のプロット点で示し、図11に示す手順により計算された偏差Siを三角形のプロット点で示している。
図12に示すように、目標燃料供給量Tiは、時刻t10乃至t11においては一定値であり、時刻t11乃至t12において比較的緩やかに上昇し、時刻t12乃至t13において再び一定値となるように変化されている。次いで、目標燃料供給量Tiは、時刻t13において急激に減少し、その後一定値となっている。
これに対し、実際の燃料供給量Giは、時刻t10乃至t11においては、目標燃料供給量Tiの周りに値がばらつきながらも、目標燃料供給量Tiに追従している。この値のばらつきの原因は、主に、燃料流量センサ132の測定誤差であると考えられる。さらに、時刻t1において目標燃料供給量Tiが上昇を始めると、実際の燃料供給量Giの値は、数秒程度遅れながら目標燃料供給量Tiに追従している。次いで、時刻t12において目標燃料供給量Tiが一定値に落ち着いた後、実際の燃料供給量Giの値も数秒程度遅れてほぼ一定値に落ち着いている。
さらに、時刻t13において目標燃料供給量Tiが急激に減少すると、実際の燃料供給量Giは、比較的大きな傾きをもって直線的に減少することにより、目標燃料供給量Tiに追従している。この後、実際の燃料供給量Giは、時刻t14において、目標燃料供給量Tiと同一のほぼ一定値に落ち着いている。
ここで、図12の時刻tsにおいては、目標燃料供給量Tiが一定値であるにも関わらず、実際の燃料供給量Giがパルス状に大きく変動している。これは、時刻tsにおいて、水流量調整ユニット28から改質器20内に微量の水が供給されたことを表している。上記のように、本実施形態においては、水は、水流量調整ユニット28に備えられたパルスポンプ160により、微少量ずつ間欠的に改質器20に供給される。パルスポンプ160により改質器20内に導入されると、水は改質器20内の高温により一瞬のうちに蒸発して水蒸気となり、体積が約3000倍に膨張する。これにより改質器20内の圧力は瞬間的に大きく上昇する。改質器20内の圧力が上昇すると燃料が改質器20内に導入されにくくなり、燃料流量調整ユニット38が一定に運転されていても実際に導入される燃料供給量Giが低下する。その後、改質器20内の燃料が燃料ガス供給管64(図2)へ送り出されることにより、改質器20内の圧力は元の圧力に復帰する。これに伴い、改質器20内に導入される実際の燃料供給量Giも元の値に復帰する。
一方、図12において三角形のプロット点で示されている偏差Siは、直近の過去100個のサンプルデータの移動平均に基づいて計算される値であるため、時刻tsにおける瞬間的な実際の燃料供給量Giの変化には殆ど影響されず、ほぼ一定値が維持されている。さらに、偏差Siがほぼ一定値であるため、これに基づいて計算されるフィードバック値Fi(=Fb(Si))もほぼ一定値に維持される。
このように、本実施形態においては、実際の燃料供給量Giの変動により、実際の燃料供給量Giと目標燃料供給量Tiの間に差が生じた場合には、燃料流量調整ユニット38に加えられる操作量は殆ど変化されない。即ち、実際の燃料供給量Giの変動により、実際の燃料供給量Giと目標燃料供給量Tiの間に差が生じた場合には、目標燃料供給量Tiに対する追従性が低くなっている。これに対し、図12の時刻t13におけるように、目標燃料供給量Tiの変化により、実際の燃料供給量Giと目標燃料供給量Tiの間に差が生じた場合には、偏差Siの値が大きく変動し、燃料供給量Giは目標燃料供給量Tiに速やかに追従される。即ち、目標燃料供給量Tiの変化により、実際の燃料供給量Giと目標燃料供給量Tiの間に差が生じた場合には、目標燃料供給量Tiに対する追従性が高くなっている。
次に、比較例として図13を参照して、従来の制御手段を使用した場合の制御作用を説明する。図13において、目標燃料供給量Tiを実線で示し、燃料流量センサにより測定された実際の燃料供給量Giを菱形のプロット点で示し、目標燃料供給量Tiと実際の燃料供給量Giの間の偏差を三角形のプロット点で示している。なお、図13に示す偏差は、図11に示す手順で計算された偏差Siではなく、目標燃料供給量Tiと実際の燃料供給量Giの差として計算される単純偏差である。
図13に示すように、この比較例においても目標燃料供給量Tiは、図12に示す例と同様に変化されている。図13の時刻t23において目標燃料供給量Tiが急激に変化された後、実際の燃料供給量Giは、時刻t24において目標燃料供給量Tiと同一の値に落ち着いている。ここで、図12における時刻t13と時刻t14の間の時間と、図13における時刻t23と時刻t24の間の時間はほぼ同一であるから、目標燃料供給量Tiの変化に対しては、本実施形態における制御の追従性と、図13の比較例における追従性は同程度であるということができる。さらに、図13の比較例においては、実際の燃料供給量Giが、目標燃料供給量Tiの変化量を行き過ぎるオーバーシュートが発生しているため、この点においては、本実施形態における制御の方が優れているということができる。
一方、図13の時刻ts2において、実際の燃料供給量Giの値が急激に変動されると、これに伴って目標燃料供給量Tiと実際の燃料供給量Giの間の差である単純偏差も大きく変動する。従来の制御手段においては、この単純偏差がそのままフィードバックされ、燃料供給手段に対する操作量も大きく変動する。この変動が、制御のハンチング現象等の原因となり、制御系が不安定になる場合がある。
これに対して、本実施形態による制御では、目標燃料供給量Tiの変化に対しては比較例の場合と同等の追従性を確保しながら、燃料供給量Giの変動に対しては制御系は殆ど反応せず、極めて安定したものになっている。
本発明の実施形態の固体電解質型燃料電池においては、パルスポンプ160を使用して間欠的に水を供給しているので、微少量の水を連続的に供給する特殊且つ高価なポンプを用いることなく、改質器20に適正な量の水を供給することができる。また、水が間欠的に供給されることにより、水か供給された瞬間に改質器20内の圧力が急激に上昇し、燃料が改質器内に導入されにくくなる。しかしながら、制御部110は、実際の燃料供給量の変化により、目標燃料供給量Tiと実際の燃料供給量Giに差が生じた場合には追従性が低くなるように燃料流量調整ユニット38を制御するので、改質器20内の圧力上昇によって制御のハンチング現象が発生したり、燃料が過剰供給となるのを防止することができる。その一方、制御部110は、目標とする燃料供給量Tiの変化により、目標燃料供給量Tiと実際の燃料供給量Giに差が生じた場合には追従性が高くなるように燃料流量調整ユニット38を制御するので、目標燃料供給量Tiに速やかに追従した適量の燃料を改質器20に導入することができる。これにより、改質器20内の燃料と水のバランスが崩れることによる炭素析出の発生等の不具合を防止することができる。
本実施形態の固体電解質型燃料電池においては、図11に示されているように、移動平均値Aiに基づいて制御を行っているため、実際の燃料供給量Giの変化により、目標燃料供給量Tiと実際の燃料供給量Giに差が生じた場合には追従性が低くなると共に、目標燃料供給量Tiの変化には速やかに追従することができる。実際の燃料供給量Giの変化には追従性が低く、目標燃料供給量Tiの変化には追従性が高くなる制御を実現する手法としては、例えば、実際の燃料供給量Giが変化した場合と、目標燃料供給量Tiが変化した場合で場合分けを行い、夫々に異なるフィードバックゲインを乗じることが考えられる。しかしながら、このような場合分けを行う制御では、制御系が複雑になるばかりでなく、フィードバックゲインを切り換える際に制御が不安定になる虞がある。これに対し、本実施形態における制御によれば、場合分けやフィードバックゲインの切り換えを行うことなく追従性を変化させることができるので、簡単な演算により制御を行うことができると共に、制御系が極めて安定なものになる。
本実施形態の固体電解質型燃料電池においては、図10のS13に示されているように、改質器20内の平均圧力が高いほど補正係数Caの値を増加させ、これによりフィードバックゲインが大きくなるように補正している。この結果、改質器20内の圧力が上昇することにより、燃料が導入されにくくなった状態においても、迅速に目標燃料供給量Tiの変化に追従することができると共に、フィードバックゲインを大きくしたことによるハンチング現象の発生や、燃料の過剰供給を防止することができる。
本実施形態の固体電解質型燃料電池においては、図10のS7、S8、S10等に示されているように、水供給量が多くなるほどゲイン補正係数τaが大きくされ、フィードバックゲインが大きくなるように補正している。この結果、水供給量が多く、改質器20内の平均的な圧力が高くなっている状態においても、迅速に目標燃料供給量Tiの変化に追従することができると共に、フィードバックゲインを大きくしたことによるハンチング現象の発生や、燃料の過剰供給を防止することができる。
本実施形態の固体電解質型燃料電池においては、図10のS3、S4等に示されているように、改質用空気供給量が多くなるほどゲイン補正係数τaが大きくされ、フィードバックゲインが大きくなるように補正している。この結果、改質用空気供給量が多く、改質器20内の圧力が高くなっている状態においても、迅速に目標燃料供給量Tiの変化に追従することができると共に、フィードバックゲインを大きくしたことによるハンチング現象の発生や、燃料の過剰供給を防止することができる。
1 固体電解質型燃料電池
2 燃料電池モジュール
4 補機ユニット
8 密封空間
10 発電室
12 燃料電池セル集合体
14 燃料電池セルスタック
16 燃料電池セルユニット(固体電解質型燃料電池セル)
18 燃焼室
20 改質器
22 空気用熱交換器
24 水供給源
26 純水タンク
28 水流量調整ユニット(水供給手段)
30 燃料供給源
38 燃料流量調整ユニット(燃料供給手段)
40 空気供給源
44 改質用空気流量調整ユニット
45 発電用空気流量調整ユニット(改質用空気供給手段)
46 第1ヒータ
48 第2ヒータ
50 温水製造装置
52 制御ボックス
54 インバータ
83 点火装置
84 燃料電池セル
110 制御部
112 操作装置
114 表示装置
116 警報装置
126 電力状態検出センサ
132 燃料流量センサ(燃料供給量検出センサ)
138 圧力センサ(改質器圧力センサ)
142 発電室温度センサ(温度検出手段)
150 外気温度センサ
160 パルスポンプ

Claims (5)

  1. 要求電力に応じた可変の電力を、改質器により改質した燃料と空気により発電する固体電解質型燃料電池であって、
    燃料を改質する改質器と、
    この改質器に燃料を供給する燃料供給手段と、
    上記改質器に改質用空気を供給する改質用空気供給手段と、
    上記改質器に間欠的に水を供給する水供給手段と、
    上記燃料供給手段により上記改質器内に供給された実際の燃料供給量を検出する燃料供給量検出センサと、
    上記改質器内で改質された燃料により発電する燃料電池モジュールと、
    要求電力に応じた電力を発電するために必要な、目標量の燃料、改質用空気及び水が、上記改質器に送り込まれるように、上記燃料供給手段、上記改質用空気供給手段及び上記水供給手段を制御する制御手段と、を有し、
    上記制御手段は、上記燃料供給量検出センサにより検出された実際の燃料供給量を、目標とする燃料供給量と一致させるべく上記燃料供給手段を制御すると共に、目標とする燃料供給量が変化したことにより、目標燃料供給量と実際の燃料供給量に差が生じた場合には追従性が高く、上記燃料供給量検出センサにより検出された実際の燃料供給量の変化により、目標燃料供給量と実際の燃料供給量に差が生じた場合には追従性が低くなるように上記燃料供給手段を制御することを特徴とする固体電解質型燃料電池。
  2. 上記制御手段は、上記燃料供給量検出センサにより検出された実際の燃料供給量を、その時点における目標燃料供給量によって除した燃料供給量比の移動平均値に現在の目標燃料供給量を乗じた値と、現在の目標燃料供給量との差として計算される値にフィードバックゲインを乗ずることにより上記燃料供給手段に対する操作量を決定する請求項1記載の固体電解質型燃料電池。
  3. さらに、上記改質器内の圧力を測定する改質器圧力センサを有し、上記制御手段は、上記改質器内の圧力が高いほどフィードバックゲインの値を大きくして上記燃料供給手段を制御することにより、目標とする燃料供給量が変化した場合の追従性と、実際の燃料供給量が変化した場合の追従性を、より大きく異ならせる請求項2記載の固体電解質型燃料電池。
  4. 上記制御手段は、上記水供給手段により上記改質器に供給される水供給量が多くなるほどフィードバックゲインの値を大きくして上記燃料供給手段を制御する請求項2記載の固体電解質型燃料電池。
  5. 上記制御手段は、上記改質用空気供給手段により上記改質器に供給される改質用空気供給量が多くなるほどフィードバックゲインの値を大きくして上記燃料供給手段を制御する請求項2記載の固体電解質型燃料電池。
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