JP2011189847A - 船舶 - Google Patents

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    • B63H11/02Marine propulsion by water jets the propulsive medium being ambient water
    • B63H11/10Marine propulsion by water jets the propulsive medium being ambient water having means for deflecting jet or influencing cross-section thereof
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Abstract

【課題】後進時の推進力を安定化できる、ジェット推進機を備えた船舶を提供する。
【解決手段】水ジェット推進艇1は、船体と、ジェット推進機3L,3Rと、バケット28L,28Rと、アクセル/シフトレバー9と、エンジン13L,13Rと、エンジンECU14L,14Rとを含む。ジェット推進機3L,3Rは、エンジン13L,13Rによって駆動され、船体の周囲の水を吸込口から吸い込んで、船体の後方に向けて噴射する。バケット28L,28Rは、前進位置と後進位置との間で変位可能に設けられ、後進位置において、ジェット推進機3L,3Rから噴射される水を船体の前方に向けて折り返す。アクセル/シフトレバー9の操作に応じて、バケット28L,28Rの位置が設定される。エンジンECU14L,14Rは、バケット28L,28Rが後進位置のとき、エンジン13L,13Rを所定の速度範囲内で運転させる後進モードを有する。
【選択図】図8

Description

この発明は、内燃機関(エンジン)によって駆動されるジェット推進機を備えた船舶に関する。
ジェット推進機は、エンジンによって駆動され、船体の周囲の水を吸込口(インテーク)から吸い込み、噴射口から噴射するように構成されている。噴射された水の反動が船体に推進力を与える。噴射口は、船体の後方に向けて水を噴射するように構成されている。ジェット推進機は、さらに、リバースバケットを備えている。リバースバケットは、噴射口から噴射された水の方向(水流の方向)を船体の前方へと反転させるように構成されている。船体を前進させるとき、リバースバケットは、噴射口から覆わない前進位置に保持される。船体を後進させるとき、リバースバケットは、噴射口を覆う後進位置に配置される。リバースバケットは、操船席に配置されたレバーの操作に応じて前進位置と後進位置との間で移動されるように構成されている。
このようなジェット推進機を備えた船舶に係る一つの先行技術は、特許文献1に開示されている。この先行技術では、船体を後進させるためにリバースレバーが操作されると、アクセルレバーの開度が大きくなってもエンジンのスロットル開度が大きくならないようにスロットル開度が制御される。これにより、後進時の船舶の速度が制限されるので、後進のための操船が容易になると説明されている。
特開2005−16354号公報
後進時には水流が船体の前方へと向けられるから、この水流の一部は吸込口に達する。水流には、キャビテーションや水面上の空気の巻き込みによって生じた気泡が含まれている場合がある。この場合、ジェット推進機内に空気が引き込まれる。この現象は、エアドローと呼ばれる。
エアドローが生じると、操船者が意図する推進力を得ることが難しくなる。エアドローは、アクセルレバーを戻してスロットル開度を減少させることによって解消できる。しかし、エアドローが解消すると、ジェット推進機のインペラが水から受ける抵抗が急増するから、エンジンの負荷が急増して、エンジン回転速度の低下を招く。そこで、エンジン回転速度を回復させるためにアクセル開度を大きくすると、再びエアドローが生じるおそれがある。このように、後進時には、エアロドローの影響でエンジンの負荷が激しく変動するから、安定した推進力を得ることは必ずしも容易ではない。
前述の先行技術では、アクセル開度が所定値以上のときにスロットル開度が一定に保持される。しかし、後進時には、ジェット推進機から噴射された水流が吸込口に達するので、吸水が安定しない。そのため、インペラの負荷が激しく変動するから、それに応じてエンジンの負荷も変動する。したがって、スロットル開度を一定に保持しても、エンジン回転速度が激しく増減する。その結果、エアドローによる推進力の低下を避けられない場合がある。
ジェット推進機を備えた船舶の一例であるパーソナルウォータクラフト(PWC)においては、リバースバケットは、平面視において斜め前方へと水流を導くように構成されている。そのため、吸込口に達する水流は少ないから、エアドローが生じ難い。これに対して、ジェット推進機を備えた船舶の他の例である、ジェットボート(またはスポーツボート)においては、平面視においてほぼ前方へと水流を導くようにリバースバケットが構成されている。これは、大きな船体に対して効果的に推進力を作用させるためである。しかし、実際には、エアドローが生じやすいため、前述の課題が顕著となり、後進時に安定した推進力を得ることが難しい。
エアドローの問題がさらに顕著になるのは、陸上から船舶を進水させるランチング時である。ジェット推進機を備えた船舶は、他の形態の推進機を備えた船舶に比較して、小型の船体を有している。そのため、マリーナに係留されていることは少なく、一般的には、所有者のガレージに保管され、必要に応じてトレーラに積んで陸上輸送される。トレーラによって水辺まで運ばれた船舶は、後方ランチングによって、トレーラから水中へと進水させられる。後方ランチングとは、船体後部を水没させ、ジェット推進機の推進力によって、船体をトレーラから水中へと移動させる進水方法である。このとき、ジェット推進機が船底の吸込口から激しく水を吸い込むと、吸込口付近の水面が波打ち、吸込口の一部または全部が水面上に露出する瞬間が生じる。これにより、ジェット推進機に空気が吸い込まれるので、エアドローが発生する。しかも、水面の状態が不安定であるから、エアドローが生じる状態と、エアドローが解消された状態とが不規則に繰り返される。したがって、安定した推進力を発生させることは難しいから、後方ランチングのための操船は困難を伴う。つまり、エアドローに伴うジェット推進機の負荷変動に対応するアクセル操作が難しいので、進水に必要な安定した推進力を得難いという課題があることがわかった。
そこで、この発明の目的は、後進時に安定した推進力を得ることができる、ジェット推進機を備えた船舶を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、船体と、水を吸込口(インテーク)から吸い込んで、前記吸込口よりも後方の噴射口から前記船体の後方に向けて噴射するように構成されたジェット推進機と、前進位置と後進位置との間で変位可能に設けられ、前記後進位置に配置されたときに前記ジェット推進機から噴射される水を前記船体の前方(後進方向の推進力を発生できる方向)に向けて折り返すように構成された反転部材と、前記反転部材の位置を前記前進位置または後進位置に設定するために操船者によって操作されるように構成された操作手段と、前記ジェット推進機を駆動するように構成された内燃機関と、前記操作手段によって、前記反転部材の位置が後進位置に設定されているときに、前記内燃機関が所定の速度範囲内で運転するように当該内燃機関を制御する後進モードを有する制御手段とを含む、船舶である。
この構成によれば、内燃機関を制御する制御手段は、反転部材の位置が後進位置に設定されたときに用いられる後進モードを有している。後進モードでは、制御手段は、所定の速度範囲内の速度で内燃機関を運転させる。すなわち、スロットル開度が一定に保たれるのではなく、エンジン回転速度が所定範囲内に制御される。エアドローの影響で内燃機関に対する負荷が変動すると、それに応じてエンジン回転速度も変動しようとする。このような場合に、制御手段は、エンジン回転速度が速度範囲内となるように、スロットル開度その他の制御量を変化させる。したがって、負荷の変動によらずに、エンジン回転速度が安定する。
前記所定の速度範囲は、エアドローが生じても、それを解消できる範囲に定めておくことが好ましい。これにより、エアドローが生じて負荷が小さくなったとき、所定の速度範囲にエンジン回転速度が制御されることによって、エアドローを解消できる。その結果、操船者が意図する推進力を得ることができる。このようにして、後進時において、内燃機関の負荷変動によらずに、安定した推進力を得ることができる。
前記所定の速度範囲は、後進モードにおける制御手段の制御目標であると理解されるべきである。すなわち、後進モードによる制御時において、実際のエンジン回転速度は必ずしも前記所定の速度範囲内の値となるわけではない。たとえば、制御応答の限界から、実際のエンジン回転速度が瞬間的に前記所定の速度範囲外の値をとる場合もあり得る。
前記所定の速度範囲は、所定の目標速度を含んでいてもよい。すなわち、制御手段は、後進モードにおいて、エンジン回転速度を目標速度に制御するように構成されていてもよい。むろん、前記所定の速度範囲は、所定の上限および下限の間の範囲であってもよい。この場合、制御手段は、後進モードにおいて、当該上限および下限の範囲で変化し得る目標エンジン回転速度を定め、その目標エンジン回転速度に従って内燃機関を制御するように構成されていてもよい。
請求項2に記載されているように、前記船舶は、前記内燃機関のスロットル開度を指示するために操船者によって操作されるように構成されたアクセル操作部材をさらに含んでいてもよい。この場合、前記制御手段は、前記アクセル操作部材の操作量に対応するスロットル開度に従って前記内燃機関を制御する通常モードをさらに有していてもよい。
請求項3記載の発明は、前記内燃機関のスロットル開度を指示するために操船者によって操作されるように構成されたアクセル操作部材をさらに含み、前記制御手段は、前記反転部材の位置が後進位置に設定されている場合において、前記アクセル操作部材の操作量が所定値未満のときには当該操作量に対応するスロットル開度に従って前記内燃機関を制御(通常モードによる制御)し、前記アクセル操作部材の操作量が前記所定値以上であることを条件に前記後進モードでの前記内燃機関の制御を開始するように構成されている、請求項1に記載の船舶である。
この構成によれば、後進時において、所定値未満のアクセル操作量に対しては、当該アクセル操作量に応じてスロットル開度が変化する。すなわち、操船者のアクセル操作に対応して内燃機関の出力が変動する。これにより、操船者は、所定の小出力範囲内で内燃機関の出力を調整できる。一方、アクセル操作量が前記所定値以上になると、前述の後進モードでの制御が開始される。したがって、エンジン回転速度が所定の速度範囲内に制御されるから、エアドローが発生しても、それを速やかに解消できる。これにより、後進方向への安定した推進力を得ることができる。
請求項4記載の発明は、前記内燃機関のスロットル開度を指示するために操船者によって操作されるように構成されたアクセル操作部材をさらに含み、前記制御手段は、前記反転部材の位置が後進位置に設定されている場合において、前記アクセル操作部材の操作量(アクセル操作量)が所定値未満であるか、または前記内燃機関の速度(エンジン回転速度)が前記所定の速度範囲未満のときには当該操作量に対応するスロットル開度に従って前記内燃機関を制御(通常モードによる制御)し、前記アクセル操作部材の操作量が前記所定値以上であり、かつ前記内燃機関の速度が前記所定の速度範囲以上であることを条件に前記後進モードでの前記内燃機関の制御を開始するように構成されている、請求項1に記載の船舶である。
この構成によれば、後進時において、所定値未満のアクセル操作量に対しては、当該アクセル操作量に応じてスロットル開度が変化する。また、エンジン回転速度が所定の速度未満のときも、同様に、アクセル操作量に応じてスロットル開度が変化する。すなわち、操船者のアクセル操作に対応して内燃機関の出力が変動する。これにより、操船者は、所定の小出力範囲内で内燃機関の出力を調整できる。一方、アクセル操作量が前記所定値以上であり、かつエンジン回転速度が所定の速度範囲以上になると、前述の後進モードでの制御が開始される。したがって、エンジン回転速度が所定の速度範囲内に制御されるから、エアドローが発生しても、それを速やかに解消できる。これにより、後進方向への安定した推進力を得ることができる。アクセル操作量だけでなくエンジン回転速度に対しても後進モード開始のための条件が設けられているので、操船者による内燃機関出力の調整範囲を大きくすることができる。これにより、後進時の推進力調整が容易になる。
請求項5記載の発明は、前記制御手段は、前記後進モードにおいて、前記内燃機関を前記所定の速度範囲で運転するための目標スロットル開度を演算し、前記目標スロットル開度に従って前記内燃機関を制御するように構成されており、前記制御手段は、さらに、前記目標スロットル開度に対応する仮想アクセル操作量を演算し、前記アクセル操作部材の操作量が前記仮想アクセル操作量よりも所定値以上小さくなったことに応答して前記後進モードを解除するように構成されている、請求項2〜4のいずれか一項に記載の船舶である。
この構成によれば、アクセル操作量が所定値に達することを条件に後進モードが開始される。そして、アクセル操作量が、所定の速度範囲に対応した目標スロットル開度に相当する仮想アクセル操作量よりも所定値以上小さくなると、後進モードが解除される。これにより、後進モードの開始と、その解除とにヒステリシスが与えられる。その結果、制御の安定化を図ることができる。加えて、エアドローは、発生しても速やかに解消されるので、安定した後進推進力を得ることができる。
請求項6記載の発明は、前記所定の速度範囲を変更(たとえばステップ状に変更)するために操船者によって操作されるように構成された特性変更操作手段をさらに含み、前記制御ユニットは、前記特性変更操作手段の操作に応じて、(たとえば所定の上限および下限の範囲内で)前記所定の速度範囲を変更するように構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の船舶である。
この構成によれば、操船者の操作によって、後進モード時のエンジン速度範囲を変更できるから、実際の負荷(乗員数等)や状況(水辺のスロープの大小)等の使用環境に応じて、適切な速度範囲に調整できる。これにより、後進時の推進力を一層安定化できる。
図1は、この発明の一実施形態に係る水ジェット推進艇の概略構成を示す平面図である。 図2は、水ジェット推進艇の左側面図であり、水上に浮かんだ静止状態を示している。 図3は、水ジェット推進艇の底面図である。 図4は、左右のジェット推進機の近傍を船体の後方から視た部分背面図である。 図5は、水ジェット推進艇の後部を船体の下方から視た斜視図である。 図6は、左側ジェット推進機の構成を示す縦断面図であり、左側から視た断面を示す。 図7は、右側ジェット推進機の構成を示す縦断面図であり、左側から視た断面を示す。 図8は、水ジェット推進艇の進行方向の変更および出力の制御に関する構成を図解的に示す。 図9は、後進時にエンジンECUが実行するエンジン制御特性を示す図である。 図10は、エンジンECUの特徴的な動作を説明するためのフローチャートである。 図11は、後進モードでの制御内容(図10のステップS9)を説明するためのフローチャートである。 図12は、エンジンECUによるスロットル開度の制御の詳細を説明するための図であり、アクセル操作量に対するスロットル開度の特性例が示されている。 図13は、目標エンジン回転速度NEDの変更に関する制御内容(図10のステップS12)を説明するためのフローチャートである。 図14Aは、前記実施形態の構成におけるエンジン回転速度等の測定結果を示す。 図14Bは、後進時において、エンジン回転速度ではなく、スロットル開度を一定に保持する制御を行う比較例における測定結果を示す。 図14Cは、後進時において、熟練した操船者のアクセル操作によってエアドローの解消を図った場合(比較例)の測定結果を示す。 図15は、水ジェット推進艇を後方から進水させる後方ランチングを図解的に示す図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る水ジェット推進艇1の概略構成を示す平面図である。ただし、船体の一部を破断して船体内部の構成の一部が示されている。また、図2は、水ジェット推進艇1の左側面図であり、水上に浮かんだ静止状態を示している。
水ジェット推進艇1は、湖や海などの水上を航行するために使用される船舶である。この実施形態の水ジェット推進艇1は、ジェットボートまたはスポーツボートと呼ばれるタイプの船舶であり、比較的大きな船体2を有している。水ジェット推進艇1は、船体2と、この船体2に取り付けられ、船体中心線A1を挟んで左右対称に配置された左右一対のジェット推進機3L,3Rとを備えている。船体中心線A1は、平面視において、船首と船尾中央とを通る直線である。
船体2は、この船体2の前後方向FBに長く延び、かつこの船体2の左右方向LRに所定の幅を有している。なお、以下では、船体2の前後方向FBを単に「前後方向FB」という。また、船体2の左右方向LRを単に「左右方向LR」という。また、水ジェット推進艇1が水上に正常姿勢で静止しているときの船体2の上下方向を単に「上下方向UD」という。さらに、単に「左右」、「前後」、または「上下」というときは、船体2の左右方向、前後方向または上下方向を意味している。
船体2は、デッキ4と、ハル5とを備えている。ハル5は、デッキ4の下方に配置されている。ハル5は、ハル5の底面5a(船底)に形成され前後に延びる稜線5bを中心として、左右に略対称な形状である。稜線5bは平面視において船体中心線A1と一致する。
デッキ4の床面は、前後方向FBおよび左右方向LRと略平行である。デッキ4には、前方から後方に向かって、順に、前シート6、左右一対の中央シート10、および後シート11が配置されている。前シート6と中央シート10との間には、風防7が配置されている。一対の中央シート10のうちの一方は、操船者のためのシート(操船席)である。この操船席の前方にステアリングホイール8が配置されている。また、操船席の側方にアクセル/シフトレバー9が配置されている。さらに、操船席の近傍には、後進時の出力特性を変更するために操船者によって操作される特性変更操作部15が設けられている。特性変更操作部15は、ステアリングホイール8またはアクセル/シフトレバー9の近傍に設けられていてもよい。
ステアリングホイール8は、船体2の向きを変えるために操船者によって操作される操作部材である。ステアリングホイール8の操作によって、左右一対のジェット推進機3L,3Rが水を噴射する方向を左右に変更することができる。
アクセル/シフトレバー9は、操船者によって操作される別の操作部材である。操船者は、レバー9を操作することによって、左右一対のジェット推進機3L,3Rに駆動力を与えるエンジン13L,13Rの出力を調整でき、かつ、船体2の進行方向を前進と後進とで切り替えることができる。すなわち、アクセル/シフトレバー9は、前進/後進を切り換えるための操作部材と、エンジン出力調整のためのアクセル操作部材との両方の機能を有している。
ハル5には、左右一対のエンジン13L,13Rと、左右一対のエンジンECU(Electronic control unit)14L,14Rと、左右一対のジェット推進機3L,3Rとが取り付けられている。
左右一対のエンジン13L,13Rは、ハル5内の船尾寄りの位置に取り付けられ、左右対称に配置されている。エンジン13L,13Rは、たとえば、それぞれ多気筒の4サイクル内燃機関である。左側エンジン13Lは、左側ジェット推進機3Lに駆動力を与える駆動源である。右側エンジン13Rは、右側ジェット推進機3Rに駆動力を与える駆動源である。ジェット推進機3L,3Rは、エンジン13L,13Rからの駆動力を得ることによって、船底から水を吸い込んで噴射する。これにより、船体2に推進力が与えられる。左側のエンジンECU14Lは、左側のエンジン13Lを制御する。右側のエンジンECU14Rは、右側のエンジン13Rを制御する。
図3は、水ジェット推進艇1の底面図である。図4は、左右のジェット推進機3L,3Rの近傍を船体2の後方から視た部分背面図である。さらに、図5は、水ジェット推進艇1の後部を船体2の下方から視た斜視図である。
ハル5の底面5aの後端側には、左右一対の傾斜面16L,16Rが左右対称に形成されている。左側傾斜面16Lは、稜線5bから左上方に向かって傾斜している。右側傾斜面16Rは、稜線5bから右上方に向かって傾斜している。したがって、船体2の底面5bは、中央(稜線5b)から側方に向かうに従って高くなる形状の船底を形成している。
左側のジェット推進機3Lは、稜線5bよりも左上に配置されており、右側のジェット推進機3Rは、稜線5bよりも右上に配置されている。
ハル5の後端の上方には、デッキ4の後部4aが後方に張り出している。ハル5の底部の後端には、左右一対の凹部18L,18Rが左右対称に形成されている。左右の凹部18L,18Rは、左側ジェット推進機3Lの一部および右側ジェット推進機3Rの一部をそれぞれ収容するように形成されている。
左側凹部18Lは、稜線5bの左側に形成されている。左側凹部18Lは、前後に延びており、ハル5の底面5aの後端部からハル5の後面5cにかけて形成され、後面5cにおいて後方に開放している。左側凹部18Lの天井面は、後方ほど、高くなる傾斜面となっている。同様に、右側凹部18Rは、稜線5bの右側に形成されている。右側凹部18Rは、前後に延びており、ハル5の底面5aの後端部からハル5の後面5cにかけて形成され、後面5cにおいて後方に開放している。右側凹部18Rの天井面は、後方ほど高くなる傾斜面となっている。
図6は、左側ジェット推進機3Lの構成を示す縦断面図であり、左側から視た断面を示す。凹部18Lの後端部には、下方からプレート部材19Lが取り付けられている。プレート部材19Lは、凹部18Lの後端部を下方から塞いでいる。これら凹部18Lとプレート部材19Lとにより、インテークダクト20Lが形成されている。
インテークダクト20Lの前端には、ハル5の底面5aに開口したインテーク21Lが形成されている。インテークダクト20Lは、インテーク21Lから吸い込まれた水を噴射ノズル26Lへと案内する。インテーク21Lの後方に、ジェット推進機3Lが配置されている。インテーク21Lおよびジェット推進機3Lは、前後方向FBに沿って並んでいる。
ジェット推進機3Lは、噴射ユニット29Lと、デフレクタ27Lと、バケット28Lとを含む。噴射ユニット29Lは、船体2の船底から吸水して船体2の後方に向けて水を噴射する。この噴射ユニット29Lは、ハウジング23Lと、インペラ24Lと、静翼25Lと、噴射ノズル26Lとを含んでいる。インペラ24Lおよび静翼25Lは、ハウジング23L内に配置されている。
ハウジング23Lは、筒状に形成されている。ハウジング23Lの前端には、環状フランジ30Lが設けられている。この環状フランジ30Lは、環状のトランサムプレート39Lを挟んでハル5のトランサム面31Lに対向している。環状フランジ30Lは、ボルトその他の締結具(図示せず)を用いて、トランサム面31Lに固定されている。インテークダクト20Lは、トランサム面31Lで開口している。ハウジング23L内の空間は、インテークダクト20L内の空間に連なっている。
インペラ24Lは、インテークダクト20Lから水を吸って噴射ノズル26Lへと送り出す。インペラ24Lは、その回転軸線C1R回りに放射状に配置された複数の羽根を備えている。インペラ24Lは、ドライブシャフト32Lの中間部に固定されている。
ドライブシャフト32Lは、前後に延びており、エンジン13Lの出力をインペラ24Lに伝達する。ドライブシャフト32Lは、ハウジング23Lおよびインテークダクト20L内に配置されている。
ドライブシャフト32Lの前端部は、カップリング33Lを介して、エンジン13Lのクランク軸34Lに動力伝達可能に連結されている。ドライブシャフト32Lの後端部は、ハウジング23L内に配置された内筒36Lを挿通している。ドライブシャフト32Lは、内筒36Lの前後に配置された一対の軸受35L,35Lを介して内筒36Lに回転可能に支持されている。
静翼25Lは、インペラ24Lの回転によって生じた水流を整える整流翼である。静翼25Lは、インペラ24Lの後方に配置されている。静翼25Lは、ハウジング23L内に固定された複数の羽根を含んでいる。各羽根の外周部は、ハウジング23Lに固定されており、内周部は、内筒36Lに固定されている。
噴射ノズル26Lは、インペラ24Lの回転により生じた水流が通過する筒状部材であり、ハウジング23Lの後端部に固定されている。噴射ノズル26Lの軸方向中間部は、円錐台形状に形成されており、後方ほど内径が小さくなっている。噴射ノズル26Lの後端部は、内径が略一定の円筒状に形成されている。この構成により、噴射ノズル26Lは、インペラ24Lによって生成された水流を加速して後方へと噴射する。
デフレクタ27Lは、噴射ノズル26Lの後方に配置されており、噴射ノズル26Lから噴射される水の噴射方向を変えるように構成されている。デフレクタ27Lは、中空状に形成されており、噴射ノズル26Lから噴射された水を船体2の後方または前方に向けて噴射する。デフレクタ27Lは、後方に向けて開口した噴射口52Lを有している。
デフレクタ27Lは、ボルト57Lを介して噴射ノズル26Lに支持されている。ボルト57Lは、上下方向UDに延びる左右回動軸線D1Lに沿って、噴射ノズル26Lの上方および下方に配置されている。したがって、デフレクタ27Lは、噴射ノズル26Lに対して、左右回動軸線D1L回りに左右に回動可能となっている。これにより、デフレクタ27Lは、水流方向を左右に変えることができる。
バケット28Lは、水ジェット推進艇1を後進させるときに、デフレクタ27Lの噴射口52Lを塞ぐように構成されている。バケット28Lは、デフレクタ27Lに隣接して配置されている。
より具体的には、バケット28Lは、ボルト65Lを介してデフレクタ27Lに支持されている。ボルト65Lは、左右方向LRに延びる上下回動軸線E1Lに沿って、デフレクタ27Lの左方および右方に配置されている(図6では、左側のボルト65Lのみ図示)。バケット28Lは、デフレクタ27Lに対して上下回動軸線E1L回りに上下に回動可能である。バケット28Lは、デフレクタ27Lとともに左右に回動可能である。
バケット28Lは、前進位置と後進位置との間で上下に回動可能である。前進位置とは、バケット28Lが、デフレクタ27Lの噴射口52Lよりも上方に退避したときの位置である。この前進位置が図6に実線で示されている。一方、後進位置は、バケット28Lが、デフレクタ27Lの噴射口52Lに対向する位置である。この後進位置が図6に二点鎖線で示されている。後進位置では、バケット28Lが噴射口52Lを塞ぐので、噴射口52Lから噴射された水流は、バケット28Lによって反転され、前方へと向かう。つまり、バケット28Lは、ジェット推進機3Lから後方に向かって噴射される水流の方向を前方に向けて折り返す。「前方」とは、船体2に後進方向の推進力を与えることができる方向である。すなわち、バケット28Lが後進位置にあるときの水流の噴射方向は、必ずしも船体2の中心線A1に平行である必要はなく、船体2の中心線A1に沿って前方に向かう成分を有する方向であればよい。
この実施形態では、バケット28Lが後進位置に配置されているとき、バケット28Lによって折り返された水流は、船体2の斜め下前方に向かう。
図5に示すように、左側ジェット推進機3Lにおいて、噴射ノズル26Lよりも後方の部分は、左側凹部18Lの後方に突出しており、デッキ後部4aの下方に配置されている。
図7は、右側ジェット推進機3Rの構成を示す縦断面図であり、左側から視た断面を示す。右側ジェット推進機3Rの構成は、左側ジェット推進機3Lの構成とほぼ同様である。そこで、図7において、左側ジェット推進機3Lに関して既述の構成の対応部分を、同一番号の末尾にアルファベット「R」を付加した参照符号で示し、詳細な説明を省略する。
図8は、水ジェット推進艇1の進行方向の変更および出力の制御に関する構成を図解的に示す。水ジェット推進艇1は、右側デフレクタ27Rおよび左側デフレクタ27Lを連動して左右に回動させる連動機構41を含んでいる。連動機構41は、ステアリングホイール8と、ステアリングケーブル42とを含んでいる。
ステアリングホイール8には、ステアリングケーブル42の一端が接続されている。ステアリングケーブル42は、たとえばプッシュプル式のケーブルであり、ステアリングホイール8の回転操作によって押し引きされるように構成されている。ステアリングケーブル42の他端は、2本に分岐している。これらの他端は、それぞれ、左側デフレクタ27Lおよび右側デフレクタ27Rに接続されている。
ステアリングホイール8の回転力は、ステアリングケーブル42を介して左側デフレクタ27Lおよび右側デフレクタ27Rに伝わる。これにより、左側デフレクタ27Lおよび右側デフレクタ27Rが連動して左右に回動する。
アクセル/シフトレバー9は、左側レバー43Lと、右側レバー43Rとを含んでいる。レバー43L,43Rは、各下端を回動中心として前後方向に回動操作可能に構成されている。左側レバー43Lの回動操作位置は、左側アクセルポジションセンサ44Lによって検出される。同様に、右側レバー43Rの回動操作位置は、右側アクセルポジションセンサ44Rによって検出される。アクセルポジションセンサ44L,44Rは、左側エンジンECU14Lおよび右側エンジンECU14Rにそれぞれ電気的に接続されており、レバー43L,43Rの位置に対応する信号をそれぞれ出力する。
特性変更操作部15は、増加スイッチ151および減少スイッチ152を含む。特性変更操作部15は、左側エンジンECU14Lおよび右側エンジンECU14Rに電気的に接続されている。特性変更操作部15は、スイッチ151,152の操作を表す信号を左側エンジンECU14Lおよび右側エンジンECU14Rに入力するように構成されている。特性変更操作部15は、後進時のエンジン出力を調整するために操作者によって操作される。増加スイッチ151が操作されると、エンジンECU14L,14Rは、後進時のエンジン出力を増加させる。減少スイッチ152が操作されると、エンジンECU14L,14Rは、後進時のエンジン出力を減少させる。
左側エンジンECU14Lは、左側エンジン13Lに設けられた左側スロットルアクチュエータ45Lに電気的に接続されており、この左側スロットルアクチュエータ45Lの駆動を制御する。これにより、左側エンジン13Lのスロットルバルブの開度(スロットル開度)が制御され、その結果、左側エンジン13Lの出力が制御される。左側エンジン13Lのスロットル開度は、左側スロットルポジションセンサ47Lで検出され、この検出信号が左側エンジンECU14Lに入力される。同様に、右側エンジンECU14Rは、右側エンジン13Rに設けられた右側スロットルアクチュエータ45Rに電気的に接続されており、この右側スロットルアクチュエータ45Rの駆動を制御する。これにより、右側エンジン13Rのスロットル開度が制御され、その結果、右側エンジン13Rの出力が制御される。右側エンジン13Rのスロットル開度は、右側スロットルポジションセンサ47Rで検出され、この検出信号が右側エンジンECU14Rに入力される。
エンジン13L,13Rには、それぞれ、エンジン回転速度センサ50L,50Rが備えられている。エンジン回転速度センサ50L,50Rは、たとえば、エンジン13L,13Rのクランク角を検出するクランク角センサであってもよい。これらのエンジン回転速度センサ50L,50Rの出力信号は、それぞれ左側エンジンECU14Lおよび右側エンジンECU14Rに入力される。エンジンECU14L,14Rは、エンジン回転速度センサ50L,50Rの出力信号に基づいて、エンジン13L,13Rを制御する。とくに、後進時において、エンジンECU14L,14Rは、エンジン回転速度センサ50L,50Rの出力信号に基づいて、エンジン13L,13Rのスロットル開度を制御する。
水ジェット推進艇1は、さらに、左側バケット28Lおよび右側バケット28Rを連動して前進位置と後進位置との間で変位させるバケット連動機構48を備えている。
バケット連動機構48は、左側レバー43Lと、右側レバー43Rと、操作ケーブル49とを含んでいる。操作ケーブル49は、たとえばプッシュプル式のケーブルであり、レバー43L,43Rの操作によって押し引きされるように構成されている。操作ケーブル49の一端は、2つに分岐しており、左側レバー43Lおよび右側レバー43Rに接続されている。操作ケーブル49の他端は、2つに分岐しており、左側バケット28Lおよび右側バケット28Rにそれぞれ接続されている。
たとえば、左側レバー43Lおよび右側レバー43Rがそれぞれ所定の中立位置にあるとき、左側エンジン13Lおよび右側エンジン13Rは、アイドリング状態となる。
また、左側レバー43Lおよび右側レバー43Rがそれぞれ中立位置よりも前側に倒されると、左側アクセルポジションセンサ44Lおよび右側アクセルポジションセンサ44Rからの出力信号が変化する。左側レバー43Lおよび右側レバー43Rがそれぞれ中立位置よりも前側に一定量以上倒されると、左側エンジン13Lの出力および右側エンジン13Rの出力を増加するための制御が行われる。
同様に、左側レバー43Lおよび右側レバー43Rがそれぞれ中立位置よりも後側に倒されると、左側アクセルポジションセンサ44Lおよび右側アクセルポジションセンサ44Rからの出力信号が変化する。左側レバー43Lおよび右側レバー43Rがそれぞれ中立位置よりも後側に一定量以上倒されると、左側エンジン13Lの出力および右側エンジン13Rの出力を増加するための制御が行われる。
さらに、左側レバー43Lおよび右側レバー43Rがそれぞれ中立位置よりも後側に一定量以上倒されると、左側レバー43Lおよび右側レバー43Rの操作力が操作ケーブル49を介して左側バケット28Lおよび右側バケット28Rに伝わるようになっている。これにより、左側バケット28Lは、前進位置から左側デフレクタ27Lの後方の後進位置に変位し、右側バケット28Rは、前進位置から右側デフレクタ27Rの後方の後進位置に変位する。図8では、直進位置の左側バケット28Lおよび右側バケット28Rを実線で示しており、後進位置の左側バケット28Lおよび右側バケット28Rを二点鎖線で示している。
バケット28L,28Rが後進位置に配置されるときのレバー43L,43Rの操作範囲を、以下「後進操作範囲」という。エンジンECU14L,14Rは、アクセルポジションセンサ44L,44Rの出力に基づいて、レバー43L,43Rの操作位置が後進操作範囲内か否か判断するように構成されている。
左側レバー43Lが中立位置へ向かって戻され、その傾倒量が一定量未満となると、左側バケット28Lは、左側デフレクタ27Lの後方の位置から前進位置に戻る。同様に、右側レバー43Rが中立位置へ向かって戻され、その傾倒量が一定量未満となると、右側バケット28Rは、右側デフレクタ27Rの後方から退避して前進位置に戻る。
なお、ここでは、バケット連動機構48は、バケット28L,28Rがレバー43L,43Rの操作に機械的に連動するように構成されているけれども、別の構造を用いることもできる。たとえば、バケット28L,28Rを油圧装置その他のアクチュエータで作動させてもよい。この場合、エンジンECU14L,14Rは、アクセルポジションセンサ44L,44Rの出力に基づき、アクチュエータを制御するように構成されることが好ましい。
図9は、後進時にエンジンECU14L,14R(以下、総称するときには「エンジンECU14」という。)がそれぞれ実行するエンジン制御の特性を示す特性図である。エンジンECU14は、バケット28L,28R(以下、総称するときには「バケット28」という。)が後進位置に制御されると、図9に実線または二点鎖線で示すいずれかの特性に従ってエンジン13L,13R(以下、総称するときには「エンジン13」という。)を制御する。
エンジンECU14は、アクセルポジションセンサ44L,44R(以下、総称するときには「アクセルポジションセンサ44」という。)によって検出されるアクセル操作量Sθを監視する。アクセル操作量Sθが所定の制御開始アクセル操作量Sθtr未満の範囲では、エンジンECU14は、アクセル操作量Sθに応じた目標スロットル開度を設定する。エンジンECU14は、スロットル開度が目標スロットル開度に一致するように、スロットルアクチュエータ45L,45R(以下、総称するときには「スロットルアクチュエータ45」という。)を制御する。スロットル開度は、スロットルポジションセンサ47L,47R(以下、総称するときには「スロットルポジションセンサ47」という。)によって検出される。
一方、アクセル操作量Sθが制御開始アクセル操作量Sθtr以上のときには、エンジンECU14は、エンジン回転速度が一定になるようにスロットル開度を制御する。具体的には、エンジンECU14は、アクセル操作量Sθによらずに一定の目標エンジン回転速度NEDを設定する。エンジンECU14は、エンジン回転速度センサ50L,50R(以下、総称するときには「エンジン回転速度センサ50」という。)から、エンジン13の実際のエンジン回転速度を取得する。エンジンECU14は、取得されたエンジン回転速度が目標エンジン回転速度NEDに一致するように、スロットルアクチュエータ45を制御して、スロットル開度を調整する。
後進時に適用される一定の目標エンジン回転速度NEDは、特性変更操作部15の操作によって増減することができる。このような増減がされる前の基本特性を図9に実線で示す。また、増減された目標エンジン回転速度特性を図9に二点鎖線で示す。この実施形態では、エンジンECU14は、特性変更操作部15の操作に応じて、後進時の目標エンジン回転速度NEDを所定の変更量(NEup,NEdown)で段階的に変更する。
図10は、エンジンECU14の特徴的な動作を説明するためのフローチャートである。エンジンECU14は、アクセルポジションセンサ44の出力信号に基づき、アクセル/シフトレバー9(具体的にはレバー43L,43R)が後進操作範囲に操作されたかどうかを判断する。具体的には、エンジンECU14は、アクセル/シフトレバー9の操作量(アクセル操作量)Sθが零となり、その後に、アクセル/シフトレバー9の操作位置が後進操作範囲となったかどうかを判断する(ステップS1,S2)。これらの判断が肯定されるときは、エンジンECU14は、バケット28L,28R(以下、総称するときには「バケット28」という。)が後進位置に配置されたと判定する(ステップS3)。これに応じて、エンジンECU14は、後進時目標エンジン回転速度NED(図9参照)、制御開始アクセル操作量Sθtr(図9参照)、および制御開始エンジン回転速度NEtrを設定する。後進時目標エンジン回転速度NEDは、制御目標値である。
エンジンECU14は、エンジン回転速度センサ50によって検出される実際のエンジン回転速度NEが目標エンジン回転速度に一致するように、エンジン13を制御する。具体的には、エンジンECU14は、スロットルアクチュエータ45を駆動して、スロットル開度を制御する。制御開始アクセル操作量Sθtrは、エンジン回転速度NEを後進時目標エンジン回転速度NEDに一致させる後進モードによる制御を開始するときのアクセル操作量Sθである。この制御開始アクセル操作量Sθtr未満のアクセル操作量Sθのときは、エンジンECU14は、アクセル操作量Sθに応じてスロットル開度Tθを可変設定する通常モードによる制御(ステップS14)を実行する。制御開始エンジン回転速度NEtrは、エンジン回転速度NEを後進時目標エンジン回転速度NEDに一致させる後進モードによる制御を開始するときのエンジン回転速度である。この制御開始エンジン回転速度NEtr未満のエンジン回転速度NEのときは、エンジンECU14は、アクセル操作量Sθに応じてスロットル開度Tθを可変設定する通常モードによる制御を実行する。
エンジンECU14は、エンジン回転速度センサ50によって検出される実際のエンジン回転速度NE、およびアクセルポジションセンサ44によって検出される実際のアクセル操作量Sθを読み込む(ステップS5,S6)。さらに、エンジンECU14は、アクセル操作量Sθが制御開始アクセル操作量Sθtr以上かどうか、およびエンジン回転速度NEが制御開始エンジン回転速度NEtr以上かどうかを判断する(ステップS7,S8)。これらの判断のいずれかが否定のときは、エンジンECU14は、通常モードによる制御を実行する。これらの判断がいずれも肯定のときは、エンジンECU14は、後進モードによる制御を実行する(ステップS14)。
後進モードでは、エンジンECU14は、エンジン回転速度NEが後進時目標エンジン回転速度NEDに一致するように、スロットル開度Tθを制御する(ステップS9)。また、エンジンECU14は、解除アクセル操作量Sθhsを読み込む(ステップS10)。解除アクセル操作量Sθhsとは、後進モードを解除して通常モードによる制御に戻すためのしきい値である。
エンジンECU14は、さらに、目標エンジン回転速度NEDを変更するための変更指示の有無を判断する(ステップS11)。すなわち、エンジンECU14は、特性変更操作部15が操作されたかどうかを判断する。目標エンジン回転速度NEDの変更指示の入力があると、エンジンECU14は、それに応じて、目標エンジン回転速度NEDを変更するための処理を実行する(ステップS12)。目標エンジン回転速度NEDの変更指示の入力がなければ、この処理は省かれる。
エンジンECU14は、アクセル操作量Sθと、制御アクセル操作量Sθcontとを比較する(ステップS13)。より具体的には、アクセル操作量Sθと、制御アクセル操作量Sθcontから解除アクセル操作量Sθhsを減じた値との大小関係が調べられる。制御アクセル操作量Sθcontとは、エンジンECU14が、後進モードによる制御において内部演算処理のために用いる変数である。アクセル操作量Sθが、制御アクセル操作量Sθcontから解除アクセル操作量Sθhsを減じた値よりも小さければ(ステップS13:YES)、エンジンECU14は、後進モードを解除して、通常モードによる制御(ステップS14)に移行する。さもなければ、エンジンECU14は、ステップS9からの処理を繰り返し、引き続き、後進モードによる制御(S9〜S13)を継続する。
図11は、後進モードでの制御内容(図10のステップS9)を説明するためのフローチャートである。エンジンECU14は、実際のエンジン回転速度NEと、目標エンジン回転速度NEDとを比較する(ステップS91)。実際のエンジン回転速度NEが目標エンジン回転速度NED以上のときは(ステップS91:YES)、エンジンECU14は、スロットル開度Tθを減少させる(ステップS92)。一方、実際のエンジン回転速度NEが目標転舵角よりも小さいときは(ステップS91:NO)、エンジンECU14は、スロットル開度Tθを増加させる(ステップS93)。これにより、実際のエンジン回転速度NEが目標エンジン回転速度NEDに一致するように、スロットル開度Tθが調整される。
図12は、エンジンECU14によるスロットル開度の制御の詳細を説明するための図であり、アクセル操作量に対するスロットル開度の特性例が示されている。図12では、後進操作範囲内におけるアクセル操作量を百分率(0%〜100%)で表し、スロットル全閉(0%)からスロットル全開(100%)までのスロットル開度を百分率で表してある。スロットル開度は、アクセル操作量が0%のとき0%(全閉)とされ、アクセル操作量が100%のときに100%(全開)とされる。また、スロットル開度は、アクセル操作量の増加に応じて単調に増加する特性に従って設定される。この特性は、線形特性であってもよいし、非線形特性であってもよいけれども、図12には、一例として非線形特性をスロットル開度特性曲線100で示す。
通常モードでは、エンジンECU14は、アクセルポジションセンサ44によって検出された実際のアクセル操作量Sθをスロットル開度特性曲線100に当てはめて、スロットル開度Tθを設定する。したがって、アクセル操作量Sθの増減に応じて、スロットル開度Tθが増減する。
後進モードでは、エンジンECU14は、内部演算によって求めた制御アクセル操作量Sθcontをスロットル開度特性曲線100に当てはめて、スロットル開度Tθを設定する。エンジンECU14は、後進モードが開始されると(図10のステップS8:YES)、そのときの実際のアクセル操作量Sθを制御アクセル操作量Sθcontの初期値とする。その後、エンジンECU14は、後進モードによる制御の間、実際のエンジン回転速度NEと後進時目標エンジン回転速度NEDとに基づいて、制御周期ごとに、制御アクセル操作量Sθcontを更新する。たとえば、エンジンECU14は、エンジン回転速度偏差ΔNEと、エンジン回転速度変化率δNEとに基づいて、制御量変分δSθを求める。エンジン回転速度偏差ΔNEとは、後進時目標エンジン回転速度NEDに対するエンジン回転速度NEの偏差である。エンジン回転速度変化率δNEとは、実際のエンジン回転速度NEの変化率であり、たとえば隣接する制御周期間のエンジン回転速度NEの変分であってもよい。制御量変分δSθとは、従前の制御アクセル操作量Sθcontに加算される値である。すなわち、今制御周期n(nは制御周期の番号を表す自然数)における制御アクセル操作量Sθcont(n)は、前制御周期における制御アクセル操作量Sθcont(n-1)を用いて、次式で与えられる。
Sθcont (n)=Sθcont (n)+δSθ
制御量変分δSθは、エンジン回転速度偏差ΔNEおよびエンジン回転速度変化率δNEを変数としたテーブルに基づいて演算されてもよい。また、制御量変分δSθは、エンジン回転速度偏差ΔNEおよびエンジン回転速度変化率δNEを変数として含む関数演算によって求められてもよい。いずれの場合も、NE≧NEDであれば(図11のステップS91:YES)、δSθ≦0となり、結果として、スロットル開度が減少する(図11のステップS92)。また、NE<NEDであれば(ステップS91:NO)、δSθ>0となり、結果として、スロットル開度が増加する(図11のステップS93)。たとえば、エンジン回転速度偏差ΔNEの大きさ|ΔNE|が大きいほど、また、エンジン回転速度変化率δNEの大きさ|δNE|が大きいほど、制御量変分δSθの大きさ|δSθ|が大きく設定される。
このようにして定められる制御アクセル操作量Sθcontは、必ずしも実際のアクセル操作量Sθと一致しない。たとえば、図12に示すように、制御アクセル操作量Sθcontは、実際のアクセル操作量Sθを含まない(たとえば、実際のアクセル操作量Sθよりも小さい)範囲で可変設定される場合もある。むろん、アクセル操作量Sθは、操船者の操作に追従するから、制御アクセル操作量Sθcontの変動範囲内の値となる場合も、その変動範囲よりも小さな値となる場合もある。
後進モードの解除条件(図10のステップS13)は、実際のアクセル操作量Sθが制御アクセル操作量Sθcontから解除アクセル操作量Sθhsを減じた値(Sθcont−Sθhs)未満となることである。したがって、Sθcont−Sθhs<Sθであれば、アクセル操作量Sθが制御開始アクセル操作量Sθtrを下回っても、直ちには、後進モードは解除されない。これにより、後進モード開始条件とその解除条件とにヒステリシスが与えられるから、後進モードと通常モードとが頻繁に切り換わることが回避される。
なお、エンジン回転速度NEと後進時目標エンジン回転速度NEDとの比較結果に応じたスロットル開度制御には、必ずしも制御アクセル操作量Sθcontを用いる必要はない。たとえば、NE≧NEDのとき(図11のステップS91:YES)、エンジンECU14は、スロットル開度Tθを所定値ΔT(ΔT>0)だけ減少させてもよい(図11のステップS92)。すなわち、現制御周期のスロットル開度Tθ(n)は、前制御周期のスロットル開度Tθ(n-1)を用いて、Tθ(n)=Tθ(n-1)−ΔTにより演算されてもよい。一方、NE<NEDのときは(図11のステップS91:NO)、エンジンECU14は、スロットル開度Tθを所定値ΔTだけ増加させてもよい(図11のステップS93)。すなわち、エンジンECU14は、現制御周期のスロットル開度Tθ(n)を、Tθ(n)=Tθ(n-1)+ΔTにより演算してもよい。このようにしても、実際のエンジン回転速度NEが目標エンジン回転速度NEDに一致するように、スロットル開度Tθが調整される。
所定値ΔTは、一定値である必要はない。たとえば、エンジンECUは、エンジン回転速度偏差ΔNEの大きさやエンジン回転速度変化率δNEの大きさに応じて変動するように前記所定値ΔTを定めてもよい。
図13は、目標エンジン回転速度NEDの変更に関する制御内容(図10のステップS12)を説明するためのフローチャートである。エンジンECU14は、目標エンジン回転速度NEDの増加指示が入力されたかどうかを判断する(ステップS121)。すなわち、エンジンECU14は、目標エンジン回転速度NEDを増加させるための増加スイッチ151が操作されたかどうかを判断する。増加指示が入力されると(ステップS121:YES)、エンジンECU14は、目標エンジン回転速度NEDの段階数を表すカウンタCの値が所定の上限値かどうかを判断する(ステップS122)。カウンタCの値が上限値未満であれば(ステップS122:NO)、エンジンECU14は、カウンタCを1だけインクリメントする(ステップS123)。さらに、エンジンECU14は、現在の目標エンジン回転速度NEDに所定の増分NEup(NEup>0)を加えて、新たな目標エンジン回転速度NEDを設定する(ステップS124)。カウンタCの値がすでに上限値に達していれば(ステップS122:YES)、ステップS123,124の処理が省かれ、目標エンジン回転速度NEDは従前の値に保持される。
目標エンジン回転速度NEDの増加指示が入力されなければ(ステップS121:NO)、エンジンECU14は、目標エンジン回転速度NEDの減少指示が入力されたかどうかを判断する(ステップS125)。すなわち、エンジンECU14は、目標エンジン回転速度NEDを減少させるための減少スイッチ152が操作されたかどうかを判断する。減少指示が入力されると(ステップS125:YES)、エンジンECU14は、カウンタCの値が所定の下限値かどうかを判断する(ステップS126)。カウンタCの値が下限値よりも大きければ(ステップS126:NO)、エンジンECU14は、カウンタCを1だけデクリメントする(ステップS127)。さらに、エンジンECU14は、現在の目標エンジン回転速度NEDから所定の減少分NEdown(NEdown>0。たとえば、NEup=NEdown)を減じて、新たな目標エンジン回転速度NEDを設定する(ステップS128)。カウンタCの値がすでに下限値に達していれば(ステップS126:YES)、ステップS127,128の処理が省かれ、目標エンジン回転速度NEDは従前の値に保持される。
このようにして、増加スイッチ151および減少スイッチ152の操作に応じて、エンジンECU14は、目標エンジン回転速度NEDを一定範囲内で段階的に可変設定する。目標エンジン回転速度NEDは、カウンタCの上限値に対応した上限目標エンジン回転速度と、カウンタCの下限値に対応した下限目標エンジン回転速度との間で設定されることになる。
図14Aは、前記実施形態の構成におけるエンジン回転速度等の測定結果を示す。具体的には、後進操作を行ったときのアクセル操作量Sθ、スロットル開度Tθおよびエンジン回転速度NEの時間変化が示されている。ただし、アクセル操作量Sθはスロットル開度に換算した値で示されている。アクセル操作量Sθが制御開始アクセル操作量Sθtrに達し、さらにエンジン回転速度NEが制御開始エンジン回転速度NEtrに達するまでは、通常モードによる制御が行われる。したがって、アクセル操作量Sθの増加に応じてスロットル開度Tθが増加し、それに応じてエンジン回転速度NEが増加している。アクセル操作量Sθが制御開始アクセル操作量Sθtrに達し、かつ、エンジン回転速度NEが制御開始エンジン回転速度NEtrに達すると、後進モードによる制御が開始される。これにより、エンジン回転速度NEが目標エンジン回転速度NEDとなるように、スロットル開度Tθが制御される。エアドローの影響でエンジン13の負荷が変動すると、それに応じてエンジン回転速度NEが変動しようとする。このエンジン回転速度NEの変動は、スロットル開度Tθの可変制御によって、抑制される。
図14Bは、後進時において、エンジン回転速度NEではなく、スロットル開度Tθを一定に保持する制御を行う比較例における測定結果を示す。エアドローが発生すると、エンジン13の負荷が一気に軽くなるため、エンジン回転速度NEが急増している。これにより、エアドローが一層激しくなる。エアドローを解消するためにスロットル開度Tθを減少させると、エンジン回転速度NEが減少する。しかし、エアドローが解消されることで、インペラ24(図6および図7参照)に水の負荷が一気にかかるので、エンジン13の負荷が急増する。これにより、エンジン回転速度NEが急減して、充分な推進力が得られなくなる。
図14Cは、後進時において、熟練した操船者のアクセル操作によってエアドローの解消を図った場合(比較例)の測定結果を示す。エアドローが発生すると操船者はアクセル操作量Sθを減少させる。エアドローが解消されてエンジン13の負荷が大きくなると、操船者はアクセル操作量Sθを増加させる。この操作をタイミングよく繰り返し行うことで、後進のための必要な推進力が得られる。しかし、図14Cに表れているように、アクセル操作を頻繁にタイミングよく行う必要があるうえ、それでもなおエンジン回転速度NEは大きく変動している。すなわち、エンジン回転速度NEのオーバーシュートおよびアンダーシュートを抑え込むのは困難であるから、結局、安定した推進力を得ることはできない。
図15は、水ジェット推進艇1を後方から進水させる後方ランチングを図解的に示す図である。水ジェット推進艇1は、トレーラ70の荷台71に積載されている。トレーラ70は、牽引機構を備えた車両75によって牽引されるように構成されている。後方ランチングに際して、ユーザは、車両75を運転して、トレーラ70を水辺76から水中77へと後退させる。これにより、水ジェット推進艇1の船体2の後部が水中77に入る。このとき、インテーク21は、水面78近くの水中にあり、水面78が波打てば瞬間的に空中に露出する可能性がある。
この状態で、水ジェット推進艇1の操船者79は、アクセル/シフトレバー9を後進操作範囲まで操作する。これにより、バケット28がデフレクタ27の噴射口52(図6および図7参照)を塞ぐ。操船者は、さらに、アクセル操作量を大きくして、エンジン13の出力を上げる。これにより、ジェット推進機3は、インテーク21から周囲の水を吸って、噴射する。噴射された水は、バケット28によって反転され、船体2の前方に向けられる。これにより、船体2には、後進方向の推進力が与えられる。
一方、前方に噴射された水流には、気泡が含まれている。さらに、前方に噴射された水流は、船体2の近くの水面78を波打たせるから、インテーク21が空中80に露出する可能性がある。したがって、ジェット推進機3は、その内部に空気を引き込むので、エアドローが生じる。
この実施形態では、前述のとおり、一定以上のアクセル操作量Sθのときは、エンジン回転速度NEが制御開始エンジン回転速度NEtr以上となることを条件に、後進モードによる制御が行われ、エンジン回転速度NEが一定に制御される。その結果、エアドローが生じると速やかにスロットル開度Tθが減少させられ、エアドローが解消すると速やかにスロットル開度Tθが増加させられる。これにより、エアドローに起因する推進力の低下を最小限にすることができる。したがって、熟練した操船者でなくとも、後方ランチングをスムーズに行って、水ジェット推進艇1を速やかに進水させることができる。
後方ランチング時だけでなく、後進時には、水流に含まれる気泡がインテーク21に達してエアドローが生じる可能性がある。このようなときにも、後進モードによる制御の介入によって、安定した推進力を得ることができる。これにより、後進操作が容易になる。
操船者は、実際の負荷(乗員数等)や状況(水辺のスロープの大小)等の使用環境に応じて、特性変更操作部15を操作し、後進時の目標エンジン回転速度NEDを調整することができる。これにより、後進時の推進力を一層安定化できる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、ジェットボートタイプの水ジェット推進艇1を示したけれども、パーソナルウォータークラフトのような他のタイプの水ジェット推進艇にもこの発明を適用できる。
また、前述の実施形態では、後進モードにおいて、エンジン回転速度NEを予め設定された目標エンジン回転速度NEDに一致させることが制御目標とされているけれども、他の構成を適用こともできる。たとえば、後進時の上限エンジン回転速度および下限エンジン回転速度を定め、上限エンジン回転速度と下限エンジン回転速度との間の回転速度範囲内にエンジン回転速度NEを制御してもよい。
また、前述の実施形態における特性変更操作部15は、増加スイッチ151および減少スイッチ152を含むけれども、他の構成が適用されてもよい。たとえば、回動つまみ(ノブ)の回動操作によって後進時の目標エンジン回転速度NEDが変更される構成が特性変更操作部15に適用されてもよい。目標エンジン回転速度NEDを調整の変更は段階的である必要はなく、特性変更操作部15の操作に応じて連続的に目標エンジン回転速度NEDが変更されてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
特許請求の範囲に記載した構成要素と前記実施形態の構成要素との対応を以下に示す。
船体:船体2
ジェット推進機:ジェット推進機3L,3R
噴射口:噴射口52L,52R
反転部材:バケット28L,28R
操作手段:アクセル/シフトレバー9
内燃機関:エンジン13L,13R
制御手段:エンジンECU14L,14R
アクセル操作部材:アクセル/シフトレバー9
特性変更操作手段:特性変更操作部15
1 水ジェット推進艇
2 船体
3L,3R ジェット推進機
9 アクセル/シフトレバー
13L,13R エンジン
14L,14R エンジンECU
15 特性変更操作部
151 増加スイッチ
152 減少スイッチ
21,21L,21R インテーク
24L,24R インペラ
27L,27R デフレクタ
28L,28R バケット
29L,29R 噴射ユニット
32L,32R ドライブシャフト
41 連動機構
42 ステアリングケーブル
43L 左側レバー
43R 右側レバー
44L,44R アクセルポジションセンサ
45L,45R スロットルアクチュエータ
47L,47R スロットルポジションセンサ
48 バケット連動機構
49 操作ケーブル
50L,50R エンジン回転速度センサ
52L,52R 前進噴射口
70 トレーラ
NED 後進時目標エンジン回転速度
NE エンジン回転速度
NEtr 制御開始エンジン回転速度
Sθ アクセル操作量
Sθtr 制御開始アクセル操作量
Sθcont 制御アクセル操作量
Sθhs 解除アクセル操作量
Tθ スロットル開度

Claims (6)

  1. 船体と、
    水を吸込口から吸い込んで、前記吸込口よりも後方の噴射口から前記船体の後方に向けて噴射するように構成されたジェット推進機と、
    前進位置と後進位置との間で変位可能に設けられ、前記後進位置に配置されたときに前記ジェット推進機から噴射される水を前記船体の前方に向けて折り返すように構成された反転部材と、
    前記反転部材の位置を前記前進位置または後進位置に設定するために操船者によって操作されるように構成された操作手段と、
    前記ジェット推進機を駆動するように構成された内燃機関と、
    前記操作手段によって、前記反転部材の位置が後進位置に設定されているときに、前記内燃機関が所定の速度範囲内で運転するように当該内燃機関を制御する後進モードを有する制御手段とを含む、船舶。
  2. 前記内燃機関のスロットル開度を指示するために操船者によって操作されるように構成されたアクセル操作部材をさらに含み、
    前記制御手段は、前記アクセル操作部材の操作量に対応するスロットル開度に従って前記内燃機関を制御する通常モードをさらに有している、請求項1に記載の船舶。
  3. 前記内燃機関のスロットル開度を指示するために操船者によって操作されるように構成されたアクセル操作部材をさらに含み、
    前記制御手段は、前記反転部材の位置が後進位置に設定されている場合において、前記アクセル操作部材の操作量が所定値未満のときには当該操作量に対応するスロットル開度に従って前記内燃機関を制御し、前記アクセル操作部材の操作量が前記所定値以上であることを条件に前記後進モードでの前記内燃機関の制御を開始するように構成されている、請求項1に記載の船舶。
  4. 前記内燃機関のスロットル開度を指示するために操船者によって操作されるように構成されたアクセル操作部材をさらに含み、
    前記制御手段は、前記反転部材の位置が後進位置に設定されている場合において、前記アクセル操作部材の操作量が所定値未満であるか、または前記内燃機関の速度が前記所定の速度範囲未満のときには当該操作量に対応するスロットル開度に従って前記内燃機関を制御し、前記アクセル操作部材の操作量が前記所定値以上であり、かつ前記内燃機関の速度が前記所定の速度範囲以上であることを条件に前記後進モードでの前記内燃機関の制御を開始するように構成されている、請求項1に記載の船舶。
  5. 前記制御手段は、前記後進モードにおいて、前記内燃機関を前記所定の速度範囲で運転するための目標スロットル開度を演算し、前記目標スロットル開度に従って前記内燃機関を制御するように構成されており、
    前記制御手段は、さらに、前記目標スロットル開度に対応する仮想アクセル操作量を演算し、前記アクセル操作部材の操作量が前記仮想アクセル操作量よりも所定値以上小さくなったことに応答して前記後進モードを解除するように構成されている、請求項2〜4のいずれか一項に記載の船舶。
  6. 前記所定の速度範囲を変更するために操船者によって操作されるように構成された特性変更操作手段をさらに含み、
    前記制御ユニットは、前記特性変更操作手段の操作に応じて、前記所定の速度範囲を変更するように構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の船舶。
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