JP2011184235A - 金属酸化物粒子の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高収率で光触媒活性の高い金属酸化物粒子を製造する金属酸化物粒子の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の金属酸化物粒子の製造方法は、予熱された金属塩化物含有ガスに、金属塩化物を含まない予熱された第1ガスを第1合流地点で合流して第1合流ガスとし、第1合流ガスに、金属塩化物を含まない予熱された第2ガスを第1合流地点よりも下流に離れた第2合流地点で合流して第2合流ガスとする工程を含み、金属塩化物含有ガス及び第1ガスの少なくとも一方は酸素を含有し、第1ガスの予熱温度を、金属塩化物含有ガスの予熱温度以上の温度として合流させて、予熱された金属塩化物含有ガスをさらに加熱し、第2ガスの予熱温度を、第1合流ガスの温度以上の温度として第1合流ガスと合流させて、第2合流地点から下流において第1合流ガスをさらに加熱することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
特許文献1、2及び非特許文献1、3には、十面体酸化チタン粒子は単位質量当たりの表面積が大きく、結晶性が高いとともに内部欠陥も少ないので、光触媒として高い活性を有することが記載されている。また、非特許文献2には、十面体酸化チタン粒子は反応性の高い(001)面の比率が高く、光触媒として有望であることが記載されている。
特許文献1、2及び非特許文献1、3に記載の十面体酸化チタン粒子の製造方法は、反応管内に四塩化チタン(TiCl4)蒸気と酸素(O2)ガスとを導入した後、これらのガスを反応管の外部から加熱して、下記反応式(1)に示す反応により、酸化チタン粒子(TiO2)を製造する方法である。
TiCl4+O2→TiO2+2Cl2…(1)
しかし、特許文献1、2及び非特許文献1、3に記載されている上記製造方法は、四塩化チタンの熱酸化反応が進行する温度まで原料ガスを急昇温する際に、原料となる四塩化チタンと酸素ガスを反応管の外部から加熱する方式のため、四塩化チタンと酸化性ガスを含む原料ガスが大流量の場合には、反応管外部の熱源から反応管内の原料ガスに対して、原料ガス中の四塩化チタンが熱酸化反応によって全て消費されるのに必要なだけの熱伝導が確保されず、反応完結せずに、反応ゾーンよりも下流において未反応四塩化チタンが残存する結果、得られる粉末生成物の収率が低下する問題が生じる。
(1)反応管内で、予熱された金属塩化物含有ガスに、前記金属塩化物を含まない予熱された第1ガスを第1合流地点で合流して第1合流ガスとし、該第1合流ガスに、前記金属塩化物を含まない予熱された第2ガスを前記第1合流地点よりも下流に離れた第2合流地点で合流して第2合流ガスとする工程を含む金属酸化物粒子の製造方法であって、前記金属塩化物含有ガス及び前記第1ガスの少なくとも一方は酸素を含有し、前記第1ガスの予熱温度を、前記金属塩化物含有ガスの予熱温度以上の温度として前記第1ガスを前記第1合流地点で合流させることで、前記第1合流地点から前記第2合流地点までの間(第1反応ゾーンと呼ぶ)において予熱された前記金属塩化物含有ガスをさらに加熱し、前記第2ガスの予熱温度を、前記第1合流ガスの温度以上の温度として前記第1合流ガスと合流させることで、前記第2合流地点から下流において前記第1合流ガスをさらに加熱することを特徴とする金属酸化物粒子の製造方法。
(2)前記金属塩化物が四塩化チタンであり、前記金属酸化物粒子が酸化チタン粒子であることを特徴とする前項(1)に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
(3)前記酸化チタン粒子が十面体酸化チタン粒子であることを特徴とする前項(2)に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
(4)前記金属塩化物含有ガスの予熱温度が400℃以上800℃以下であることを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
(5)前記第1合流ガスの温度が700℃以上850℃以下であることを特徴とする前項(1)〜(4)のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
(6)前記第2合流ガスの温度が800℃以上1150℃以下であることを特徴とする前項(1)〜(5)のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
(7)前記第1ガスの予熱温度が700℃以上850℃以下であることを特徴とする前項(1)〜(6)のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
(8)前記第2ガスの予熱温度が950℃以上1200℃以下であることを特徴とする前項(1)〜(7)のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
(9)前記金属塩化物含有ガスが、窒素ガスを含むことを特徴とする前項(1)〜(8)のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
(10)前記第1ガスが、酸素ガス、窒素ガス、アルゴン及び水蒸気からなる群から選ばれた1種以上のガスを含むことを特徴とする前項(1)〜(9)のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
(11)前記第2ガスが、酸素ガス、窒素ガス、アルゴン及び水蒸気からなる群から選ばれた1種以上のガスを含むことを特徴とする前項(1)〜(10)のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
(12)前記第1合流ガスに含まれる前記四塩化チタンの濃度を0.1〜15体積%とすることを特徴とする前項(1)〜(11)のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
(13)前記第1合流ガスが、前記第1反応ゾーンにおいて滞留する時間を30〜400ミリ秒とすることを特徴とする前項(1)〜(12)のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
(14)前記第2合流ガスのレイノルズ数を10〜10000とすることを特徴とする前項(1)〜(13)のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
(15)反応管と、金属塩化物含有ガス、第1のガス及び第2のガスのそれぞれを予熱する予熱部とを具備し、前記反応管は、中空外筒と、該中空外筒の上流側から該中空外筒の途中まで挿入されてなる第2中空内筒と、該第2中空内筒の上流側から該第2中空内筒の途中まで挿入されてなる第1中空内筒とを備え、前記第2中空内筒はその上流側に予熱された前記第1のガスを導入する第1導管を備え、前記中空外筒はその上流側に予熱された前記第2のガスを導入する第2導管を備え、予熱された前記金属塩化物含有ガスは第1中空内筒の上流側から導入され、導入された前記金属塩化物含有ガスは前記第1中空内筒の下流端で予熱された前記第1のガスと合流し、該合流したガスは前記第2中空内筒の下流端で予熱された前記第2のガスとさらに合流することができることを特徴とする金属酸化物粒子の製造装置。
図1は、本発明の実施形態である金属酸化物粒子の製造装置の一例を示す模式図である。
図1に示すように、本発明の実施形態である金属酸化物粒子の製造装置101は、中空外筒1と、中空外筒1の上流側(上流部)1aから中空外筒1の途中まで挿入されてなる第2中空内筒5と、第2中空内筒5の上流側5aから第2中空内筒5の途中まで挿入されてなる第1中空内筒4と、からなる反応管11を具備するとともに、反応管11の外部に反応管11の一部を保温するように断熱材2が配置されて概略構成されている。
図1に示すように、反応管11は、中空外筒1と、第1中空内筒4と、第2中空内筒5を有して構成されている。反応管11は、例えば、石英などからなる円筒管で構成される。
第2中空内筒5は、中空外筒1の上流側1aから途中まで挿入されてなり、その下流端5bは、中空外筒1の長手方向で中心付近となるように配置されている。
第1中空内筒4は、第2中空内筒5の上流側5aから途中まで挿入されてなり、その下流端4bは、第2中空内筒5の長手方向で中心付近となるように配置されている。
予熱領域(予熱部)Xで予熱された金属塩化物含有ガスは、第1中空内筒4の上流側4aの第1中空内筒開口部24に流し込まれる。
図では省略しているが、予熱領域Xの上流側には、四塩化チタン(TiCl4)などの金属塩化物を蒸発させるための気化器が設置され、この気化器の上流側には、液体の金属塩化物を気化器に導入するための導入管と、窒素を含むガスを供給するための導入管とが、それぞれバルブを介して気化器と接続されている。気化器の温度は、たとえば165℃とされており、液体の金属塩化物を気化して金属塩化物蒸気とする。これにより、金属塩化物蒸気と窒素を含む混合ガスからなる金属塩化物含有ガスを、予熱領域Xに供給できる構成とされている。
第1中空内筒4の下流側と第2中空内筒5の上流側5aとの間のリング状開口部25には、予熱領域(予熱部)Yで予熱された第1ガスが流し込まれる。
第2中空内筒5の下流側と中空外筒1の上流側1aとの間のリング状開口部26には、予熱領域(予熱部)Zで予熱された第2ガスが流し込まれる。
図1に示すように、反応管11の外部には、反応管内のガスの保温用に断熱材2が配置されている。断熱剤としては通常のセラミックファイバを用いる。
金属塩化物含有ガスと第1ガスは第1中空内筒4の下流端4bで合流する。この両者の合流地点を第1合流地点という。
第1合流地点で合流したガスを第1合流ガスという。
第1合流ガスと第2ガスは第2中空内筒5の下流端5bで合流する。この両者の合流地点を第2合流地点という。
第2合流地点で合流したガスを第2合流ガスという。
第1合流地点(第1中空内筒4の下流端4b)から第2合流地点(第2中空内筒5の下流端5b)までの間の、第1合流ガスが通過する領域を第1反応ゾーンという。第1反応ゾーンにおいて、第1合流ガス中の四塩化チタン蒸気の一部が酸化反応により消費される。
第2合流地点(第2中空内筒5の下流端5b)から断熱材2の下流端までの間の、第2合流ガスが通過する領域を第2反応ゾーンという。第2反応ゾーンにおいて、第2合流ガス中の四塩化チタン蒸気が酸化反応により消費される。
本発明の実施形態である金属酸化物粒子の製造装置101には、3つの予熱領域X、Y、Zが設けられている。
反応管11において、第1合流地点(第1中空内筒4の下流端4b)から第2合流地点(第2中空内筒5の下流端5b)までの間には、第1反応ゾーンBが設けられている。第1反応ゾーンBは、予熱された金属塩化物含有ガスと予熱された第1ガスが合流して第1合流ガスが形成され、第2ガスが合流されるまで第1合流ガスが流れる領域である。
第1合流ガス温度は、700℃以上850℃以下の温度範囲とすることが好ましく、750℃以上800℃以下とすることがより好ましい。第1合流ガス温度を700℃以上850℃以下の温度範囲とすることにより、最終的に得られる粉末生成物中の十面体酸化チタン粒子の比率が高まり、高い光触媒活性が得られる。
T1=Qd,第1合流/C第1合流、
Qd,第1合流=Q反応,四塩化チタン+Q反応,窒素+Q第1,酸素、
Q反応,四塩化チタン=G反応、四塩化チタン×Cp四塩化チタン×T反応、
Q反応,窒素=G反応,窒素×Cp窒素×T反応、
Q第1,酸素=G第1,酸素×Cp酸素×T第1、
C第1合流=G反応、四塩化チタン×Cp四塩化チタン+G反応、窒素×Cp窒素+G第1,酸素×Cp酸素、という式で計算する。
ここで、Qd,第1合流は金属塩化物含有ガスと第1ガスによる第1合流地点への持ち込み熱量の合計量[kcal]、C第1合流は第1合流ガスの熱容量[kcal/℃]、Q反応,四塩化チタンは金属塩化物含有ガス中の四塩化チタンによる第1合流地点への持ち込み熱量[kcal]、Q反応,窒素は金属塩化物含有ガス中の窒素による第1合流地点への持ち込み熱量[kcal]、Q第1,酸素は第1ガス中の酸素による第1合流地点への持ち込み熱量[kcal]、G反応、四塩化チタンは金属塩化物含有ガス中の四塩化チタンの質量流量[kg/h]、Cp四塩化チタンは四塩化チタンの比熱[kcal/(kg・℃)]、T反応は金属塩化物含有ガスの予熱温度、G反応、窒素は金属塩化物含有ガス中の窒素の質量流量[kg/h]、Cp窒素は窒素の比熱[kcal/(kg・℃)]、G第1,酸素は第1ガス中の酸素の質量流量[kg/h]、Cp酸素は酸素の比熱[kcal/(kg・℃)]、T第1は第1ガスの予熱温度[℃]である。Cp四塩化チタン=0.6[kcal/(kg・℃)]、Cp酸素=1.1[kcal/(kg・℃)]、Cp窒素=1.2[kcal/(kg・℃)]として計算を行った。
反応管11において、第2中空内筒5の下流端5bから断熱材2の下流端までの間には、第2反応ゾーンAが設けられている。
第2反応ゾーンAは第1合流ガスと予熱された第2ガスが合流して第2合流ガスが形成され、第2合流ガスが流れる領域であって、本実施形態では中空外筒1の外側に断熱材2が巻きつけられた領域であり、断熱材を巻きつけることにより、第2反応ゾーンにおいて反応管11内のガスを保温する。第2合流ガス温度は、800℃以上1150℃以下の温度範囲とすることが好ましく、850℃以上1050℃以下の温度範囲とすることがより好ましく、900℃以上1000℃以下の温度範囲とすることが更に好ましい。第2合流ガス温度を800℃以上1150℃以下の温度範囲とすることにより、金属塩化物の酸化反応を気相で効率的に行うことができる。
例えば、反応式(1)で示す四塩化チタン蒸気と酸素との間の酸化反応を効率的に進行させて、酸化チタン粒子を効率的に生成することができる。
T2=Qd,第2合流/C第2合流、
Qd,第2合流=Q第1合流,四塩化チタン+Q第1合流,窒素+Q第2,酸素、
Q第1合流,四塩化チタン=G第1合流、四塩化チタン×Cp四塩化チタン×T1、
Q第1合流,窒素=G第1合流,窒素×Cp窒素×T1、
Q第2,酸素=G第2,酸素×Cp酸素×T第2、
C第2合流=G第1合流、四塩化チタン×Cp四塩化チタン+G第1合流、窒素×Cp窒素+G第2,酸素×Cp酸素、という式で計算する。
ここで、Qd,第2合流は第1合流ガスと第2ガスによる第2合流地点への持ち込み熱量の合計量[kcal]、C第2合流は第2合流ガスの熱容量[kcal/℃]、Q第1合流,四塩化チタンは第1合流ガス中の四塩化チタンによる第2合流地点への持ち込み熱量[kcal]、Q第1合流,窒素は第1合流ガス中の窒素による第2合流地点への持ち込み熱量[kcal]、Q第2,酸素は第2ガス中の酸素による第2合流地点への持ち込み熱量[kcal]、G第1合流、四塩化チタンは第1合流ガス中の四塩化チタンの質量流量[kg/h]、G第1合流、窒素は第1合流ガス中の窒素の質量流量[kg/h]、G第2,酸素は第2ガス中の酸素の質量流量[kg/h]、T第2は第2ガスの予熱温度[℃]である。Cp四塩化チタン=0.60[kcal/(kg・℃)]、Cp酸素=1.1[kcal/(kg・℃)]、Cp窒素=1.2[kcal/(kg・℃)]として計算を行った。
中空外筒1の下流側1bには、排出管6を介して金属酸化物粒子などの生成物を回収する生成物回収部3が接続されている。生成物回収部3はバグフィルターなどからなり、生成した金属酸化物粒子を回収できる。
なお、生成物回収部3の下流側には、排気ポンプ3aと圧力調整バルブ3bとが接続されている。通常、生成物回収部3に生成物がたまり、フィルターが目詰まりするにつれて、反応管11の内部の圧力が上昇する。排気ポンプ3aにより吸引することによって、この圧力上昇を押さえることができ、常圧付近で金属酸化物への酸化反応させることができる。なお、この際、圧力調整バルブ3bを調整して、排気ポンプ3aの吸引力を調節することが好ましい。これにより、金属酸化物粒子をより効率的に生成することができる。
十面体酸化チタン粒子とは、特許文献1の定義と同様に、十面体の箱型形状を有する酸化チタン粒子を意味する。
また、十面体酸化チタン粒子以外の酸化チタン粒子とは、本実施形態の製造方法で得られた酸化チタン粒子のうち、上記の十面体酸化チタン粒子として定義されないものを意味する。
次に、本発明の実施形態である金属酸化物粒子の製造方法について、図1に示した金属酸化物粒子の製造装置101を用いて説明する。
本発明の実施形態である金属酸化物粒子の製造方法は、金属塩化物を含む金属塩化物含有ガスと、前記金属塩化物を含まない第1ガスと、前記金属塩化物を含まない第2ガスとをそれぞれ予熱する工程(以下、予熱工程という。)と、前記金属塩化物含有ガスと前記第1ガスとを合流して第1合流ガスを形成させて第1反応ゾーンで前記金属塩化物の一部を反応させる工程(第1反応工程)、前記第1合流ガスと前記第2ガスを合流して第2合流ガスを形成させて第2反応ゾーンで残りの前記金属塩化物を反応させる工程(第2反応工程)と、を有する。
以下、金属塩化物として四塩化チタンを用い、金属酸化物粒子として酸化チタンを生成する場合について説明する。
予熱領域Xで一定の予熱温度で予熱された金属塩化物含有ガスが第1中空内筒4の上流側4aから流し込まれる。
第1中空内筒4の下流端4bから噴出された金属塩化物含有ガスは、リング状開口部25から噴出された第1ガスと、第1中空内筒4の下流端4bで合流して第1合流ガスを形成する。つまり、第1中空内筒4の下流端4bが合流地点(第1合流地点)となる。
第1反応ゾーンにおいて第1合流ガス温度で反応式(1)の酸化反応が進行し、四塩化チタンの一部が第1反応ゾーンBで消費される。
第2反応ゾーンAでは、第2合流ガス温度にて、反応式(1)の酸化反応が進行し、四塩化チタンを酸化チタンへと変える。第2反応ゾーンAを第2合流ガスが通過すると合流ガス中の金属酸化物は急冷却されて、酸化チタン粒子からなる粉末生成物を生成する。
第2合流ガスが第2反応ゾーンに滞留する時間t2の算出方法を示す。t2=L2/Ve第2合流、T2、Ve第2合流、T2=Vo第2合流、T2/S第2反応、Vo第2合流、T2=Vo第2合流、0℃×(273.15+T2)/273.15、Vo第2合流、0℃=Vo第1合流、0℃+Vo第2、0℃、Vo第1合流、0℃=Vo反応、0℃+Vo第1、0℃という式で計算する。
ここで、L2は第2反応ゾーンの反応管軸方向の長さ[m]、Ve第2合流、T2は第2合流ガスの線速度の第2合流ガス温度換算値[m/s]、Vo第2合流、T2は第2合流ガス流量の第2合流ガス温度換算値[m3/s]、S第2反応は、第2反応ゾーンの断面積[m2]、Vo第2合流、0℃は、第2合流ガス流量の0℃換算値、T2は、第2合流ガス温度、Vo第1合流、0℃は、第1合流ガス流量の0℃換算値、Vo第2、0℃は、第2ガス流量の0℃換算値、Vo反応、0℃は金属塩化物含有ガス流量の0℃換算値、Vo第1、0℃は第1ガス流量の0℃換算値である。
第1中空内筒4の下流端4bから第2中空内筒5の下流端4bまでの領域27で、第1合流地点で金属塩化物含有ガスと第1ガスが合流して形成される第1合流ガス中の四塩化チタンの濃度は、0.1〜15体積%とすることが好ましく、0.1〜5体積%とすることがより好ましく、0.2〜2体積%とすることが更に好ましい。第1合流ガス中の四塩化チタンの濃度を上記範囲内とすることにより、高い光触媒活性を有する十面体酸化チタン粒子が得られる。
第1合流ガスが第1反応ゾーンに滞留する時間(以下、「滞留時間」という。)は、30〜400ミリ秒の範囲内であることが好ましく、50〜300ミリ秒の範囲内であることがより好ましく、100〜200ミリ秒の範囲内であることが更に好ましい。
前記滞留時間が400ミリ秒を越える場合には、第1反応ゾーンにおいて反応管内壁面に固着膜が生成しやすくなり、最終的に得られる粉末生成物の収率が低下し、酸化チタン粒子の生産性が低下する場合が生じる。
逆に、前記滞留時間が30ミリ秒未満の場合には、最終的に得られる酸化チタン粒子のルチル比率が高く、粉末生成物中の十面体酸化チタン粒子の比率が低下し、光触媒活性が低下する。
ここで、L1は第1反応ゾーンの反応管軸方向の長さ[m]、Ve第1合流、T1は第1合流ガスの線速度の第1合流ガス温度換算値[m/s]、Vo第1合流、T1は第1合流ガス流量の第1合流ガス温度換算値[m3/s]、S第1反応は、第1反応ゾーンの断面積[m2]、Vo第1合流、0℃は、第1合流ガス流量の0℃換算値、T1は、第1合流ガス温度、Vo反応、0℃は、金属塩化物含有ガス流量の0℃換算値、Vo第1、0℃は、第1ガス流量の0℃換算値である。
第2合流ガスのレイノルズ数は、10〜10000の範囲であることが好ましく、20〜2000の範囲であることがより好ましく、40〜500の範囲であることが更に好ましい。
レイノルズ数が10000を越える場合には、合流ガスの乱流状態が顕著になり、反応管11の中心軸付近から内壁面側への四塩化チタン蒸気の拡散を抑制する酸化性ガスの効果が失われ、反応管11の内壁面への膜状生成物の固着量が増える。第2合流ガスのレイノルズ数が10未満となり、層流で微小流量条件の場合、または10000を越える顕著な乱流条件となる場合には、粉末生成物中の十面体粒子の比率が低下し、光触媒活性も低下する。第2合流ガスのレイノルズ数を10〜10000の範囲内とすることにより、粉末生成物中の十面体粒子の比率が高まり、光触媒活性が高まる。
本実施形態では、中空外筒1の内径Dの値として33.4(mm)を用いる。また、uの値としては、第2反応ゾーンにおける反応後の合流ガス(Cl2+O2)の線速度(第2合流ガス温度換算値)を用いる。ρの値としては、反応後の合流ガス(Cl2+O2)の密度(第2合流ガス温度換算値)を用いる。さらに、μの値としては、反応後の合流ガスの粘度(第2合流ガス温度換算値)を用いる。
第2反応ゾーンにおける反応後の合流ガス(Cl2+O2+N2)の線速度uの値として、第2合流ガス(TiCl4+O2+N2)の線速度u(第2合流ガス温度換算値)を用いることができる。
先に記載した反応式(1)の反応により、金属塩化物含有ガスに含有させたTiCl4がすべて消費された場合には、TiCl4の2倍の(流)量のCl2が生成するとともに、O2はTiCl4の分だけ消費されて、O2流量が減少する。しかし、生成するTiO2は粒子でありガスではないので結局、この反応前後で流れる気体全体の流量は変わらないからである。
第2反応ゾーンで反応後の合流ガス(Cl2+O2+N2)の密度ρの値を計算するために、単位時間当たりに流れる反応後の合流ガスの流量(すなわち、第2合流ガスの流量)を用いる。
まず、第2反応ゾーンにおける反応後の合流ガスの流量を第2合流ガス温度で換算した流量をX第2合流ガス温度(m3/h)とする。反応後の合流ガスの流量X第2合流ガス温度(m3/h)の標準状態(0℃、1atm)における流量を用いて、合流ガスの質量流量Y0℃,1atm(kg/h)が求まる。このとき、第2反応ゾーンおける反応後の合流ガスの密度ρ=Y0℃,1atm(kg)/X第2合流ガス温度(m3)となる。
反応後の合流ガスの粘度μ(第2合流ガス温度換算値)={(Cl2流量の第2合流ガス温度換算値)×(第2合流ガス温度換算のCl2の粘度)+(O2流量の第2合流ガス温度換算値)×(第2合流ガス温度換算のO2の粘度)+(N2流量の第2合流ガス温度換算値)×(第2合流ガス温度換算のN2の粘度)}/{反応後の合流ガス(Cl2+O2+N2)の流量}
また、「粉末生成物中の十面体酸化チタン粒子の比率」を高くすることができ、得られる粉末生成物の光触媒活性が高くなる。
<装置準備>
まず、中空外筒1としては外径38.0mm、内径33.4mm、厚み2.3mmの石英管を使用し、第1中空内筒4としては外径12.7mm、内径10.0mm、厚み1.35mmの石英管を使用し、第2中空内筒5としては、外径25.0mm、内径21.0mm、厚み2.0mmの石英管を使用し、中空外筒1と第1中空内筒4と第2中空内筒5とが同軸となるように配置して11を作製した。
次に、第2中空内筒5の下流端5bが第2反応ゾーンAの上流端の位置となるように、第2中空内筒5を配置した。第2中空内筒5の下流端5bよりも上流であって、中空外筒1の上流側1aに、予熱領域Zで電気ヒーターによって予熱された第2ガスが導入されるようにした。
次に、第1中空内筒4の下流端4bが第2中空内筒の下流端5bよりも上流の位置となるように、第1中空内筒4を配置した。
第1中空内筒4の下流端4bよりも上流であって、第2中空内筒5の上流側5aに、予熱領域Yで電気ヒーターによって予熱された第1ガスが導入されるようにした。
第1中空内筒4の上流側4aに、予熱領域Xで電気ヒーターによって予熱された金属塩化物含有ガスが導入されるようにした。
第1反応ゾーンBの長さは6.1cmとした。第2反応ゾーンAの長さは10.8cmとした。
以上のようにして、図1に示す金属酸化物粒子の製造装置101を準備した。
次に、酸素(O2)ガスからなる第1ガスを、電気ヒーターによって775℃に保温した予熱領域Yを通過させて775℃とした後、第2中空内筒5の上流側5aから導入した。なお、第1ガスの流量は、2000Nml/minとした。
次に、酸素(O2)ガスからなる第2ガスを、電気ヒーターによって1100℃に保温した予熱領域Zを通過させて1100℃とした後、中空外筒1の上流側1aから導入した。なお、第2ガスの流量は、3770Nml/minとした。
次に、四塩化チタン(TiCl4)と窒素(N2)ガスからなる金属塩化物含有ガスを、電気ヒーターによって650℃に保温した予熱領域Xを通過させて650℃とした後、第1中空内筒4の上流側4aから導入した。なお、金属塩化物含有ガスの流量は、230Nml/minとした。
金属塩化物含有ガスと第1ガスと第2ガスの合計流量(原料ガス流量)は、6000Nml/minとした。
なお、このレイノルズ数は第2中空内筒5の下流端5bより下流において第2合流ガスが974℃になっていると仮定した場合の値である。また、第1反応ゾーンにおける滞留時間は第1中空内筒4の下流端4bより下流において第1合流ガスが762℃になっていると仮定した場合の値である。第2反応ゾーンにおける滞留時間は第2中空内筒5の下流端5bより下流において第2合流ガスが974℃になっていると仮定し、第2合流ガスが、第2中空内筒5の下流端5bから断熱材2の下流端に到達するまでの滞留時間を算出した値である。
最後に、生成物回収部3で粉末生成物からなる金属酸化物粒子(実施例1)を回収した。
以下のようにして、金属酸化物粒子(実施例1)の特性評価を行った。
まず、原料に対する粉末生成物の収率は95%であった。また、得られた粉末生成物は酸化チタン粒子であった。
「粉末生成物の収率」とは、使用した四塩化チタンのすべてが先に記載した反応式(1)の反応によって酸化チタン生成物に変換された場合の酸化チタン生成物の質量に対して、製造された粉末生成物、すなわち酸化チタン粒子の質量の割合である。
十面体酸化チタン粒子の比率(以下「十面体比率」という)とは、走査型電子顕微鏡で、5箇所以上の視野にて酸化チタン粒子(任意にサンプリングした粉末生成物)を観察して、酸化チタン粒子に対する十面体酸化チタン粒子の割合を算出したものである。
なお、図3は、実施例1の金属酸化物粒子(酸化チタン粒子)の走査型電子顕微鏡写真であって、図3(a)は200k倍の写真であり、図3(b)は100k倍の写真である。
また、得られた粒子の比表面積(BET)は25m2/gであることが分かった。
このルチル比率は、X線回折測定で得られたピーク強度からルチル型結晶構造の酸化チタン粒子の割合(%)を推定した結果である。
まず、酸化チタン粉末10mgを内径27mmのシャーレに入れ、水を加え分散後、110℃で乾燥した。
次に、500mlチャンバー内に、このシャーレを入れて、合成エアで内部を置換後、アセトアルデヒド500ppm相当分、水5.8μl(25℃における相対湿度50%相当分)を入れた状態で、キセノン光源の0.2mW/cm2の光を照射して、1時間あたりに発生する二酸化炭素(CO2)量をガスクロマトグラフィーで定量した。その結果、光触媒活性としての二酸化炭素(CO2)の発生量は121ppm/hであった。
第1ガスの予熱温度を350℃とし、第1合流ガス温度を731℃とし、第2合流ガス温度を963℃とし、第1反応ゾーンBの長さを5.9cmとし、第2反応ゾーンAの長さを10.7cmとした以外は実施例1と同様にして、実施例2の金属酸化物粒子を製造した。
原料に対する粉末生成物の収率は93%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は50%であることが分かった。光触媒活性は101ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は26m2/gであった。さらに、ルチル比率は7%であった。
金属塩化物含有ガスの予熱温度を550℃とし、第1合流ガス温度を752℃とし、第2合流ガス温度を970℃とし、第1反応ゾーンBの長さを6.1cmとし、第2反応ゾーンAの長さを10.8cmとした以外は実施例1と同様にして、実施例3の金属酸化物粒子を製造した。
原料に対する粉末生成物の収率は94%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は60%であることが分かった。光触媒活性は112ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は25m2/gであった。さらに、ルチル比率は6%であった。
第1ガスの予熱温度を725℃とし、第1合流ガス温度を717℃とし、第2合流ガス温度を958℃とし、第1反応ゾーンBの長さを5.8cmとし、第2反応ゾーンAの長さを10.7cmとし、第2反応ゾーンAでの第2合流ガスのレイノルズ数を96とした以外は実施例1と同様にして、実施例4の金属酸化物粒子を製造した。なお、このレイノルズ数は第2中空内筒5の下流端5bより下流において第2合流ガスが958℃になっていると仮定した場合の値である。
原料に対する粉末生成物の収率は95%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は60%であることが分かった。光触媒活性は115ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は25m2/gであった。さらに、ルチル比率は6%であった。
第1ガスの予熱温度を900℃とし、第1合流ガス温度を874℃とし、第2合流ガス温度を1016℃とし、第1反応ゾーンBの長さを6.7cmとし、第2反応ゾーンAの長さを11.2cmとし、第2反応ゾーンAでの第2合流ガスのレイノルズ数を92とした以外は実施例1と同様にして、実施例5の金属酸化物粒子を製造した。なお、このレイノルズ数は第2中空内筒5の下流端5bより下流において第2合流ガスが1016℃になっていると仮定した場合の値である。
原料に対する粉末生成物の収率は96%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は20%であることが分かった。光触媒活性は82ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は22m2/gであった。さらに、ルチル比率は12%であった。
第2ガスの予熱温度を1000℃とし、第2合流ガス温度を911℃とし、第1反応ゾーンBの長さを6.1cmとし、第2反応ゾーンAの長さを10.3cmとし、第2反応ゾーンAでの第2合流ガスのレイノルズ数を99とした以外は実施例1と同様にして、実施例6の金属酸化物粒子を製造した。なお、このレイノルズ数は第2中空内筒5の下流端5bより下流において第2合流ガスが911℃になっていると仮定した場合の値である。
原料に対する粉末生成物の収率は96%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は70%であることが分かった。光触媒活性は120ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は25m2/gであった。さらに、ルチル比率は5%であった。
第2ガスの予熱温度を950℃とし、第2合流ガス温度を880℃とし、第1反応ゾーンBの長さを6.1cmとし、第2反応ゾーンAの長さを10.0cmとし、第2反応ゾーンAでの第2合流ガスのレイノルズ数を101とした以外は実施例1と同様にして、実施例7の金属酸化物粒子を製造した。なお、このレイノルズ数は第2中空内筒5の下流端5bより下流において第2合流ガスが880℃になっていると仮定した場合の値である。
原料に対する粉末生成物の収率は60%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は60%であることが分かった。光触媒活性は114ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は29m2/gであった。さらに、ルチル比率は6%であった。
第1合流ガス中における四塩化チタンの濃度を0.08%とし、第2合流ガス温度を975℃とし、第2反応ゾーンAでの第2合流ガスのレイノルズ数を94とした以外は実施例1と同様にして、実施例8の金属酸化物粒子を製造した。なお、このレイノルズ数は第2中空内筒5の下流端5bより下流において第2合流ガスが975℃になっていると仮定した場合の値である。
原料に対する粉末生成物の収率は95%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は60%であることが分かった。光触媒活性は105ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は28m2/gであった。さらに、ルチル比率は7%であった。
第1合流ガス中における四塩化チタンの濃度を0.52%とし、第1合流ガス温度を761℃とした以外は実施例1と同様にして、実施例9の金属酸化物粒子を製造した。
原料に対する粉末生成物の収率は95%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は70%であることが分かった。光触媒活性は118ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は23m2/gであった。さらに、ルチル比率は5%であった。
第1合流ガス中における四塩化チタンの濃度を1.48%とし、第1合流ガス温度を759℃とし、第2合流ガス温度を971℃とし、第2反応ゾーンAでの第2合流ガスのレイノルズ数を97とした以外は実施例1と同様にして、実施例10の金属酸化物粒子を製造した。なお、このレイノルズ数は第2中空内筒5の下流端5bより下流において第2合流ガスが971℃になっていると仮定した場合の値である。
原料に対する粉末生成物の収率は94%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は70%であることが分かった。光触媒活性は115ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は20m2/gであった。さらに、ルチル比率は6%であった。
第1合流ガス中における四塩化チタンの濃度を3.0%とし、第1合流ガス温度を755℃とし、第2合流ガス温度を967℃とし、第2反応ゾーンAでの第2合流ガスのレイノルズ数を99とした以外は実施例1と同様にして、実施例11の金属酸化物粒子を製造した。なお、このレイノルズ数は第2中空内筒5の下流端5bより下流において第2合流ガスが967℃になっていると仮定した場合の値である。
原料に対する粉末生成物の収率は94%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は70%であることが分かった。光触媒活性は112ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は17m2/gであった。さらに、ルチル比率は6%であった。
第1合流ガス中における四塩化チタンの濃度を8.0%とし、第1合流ガス温度を745℃とし、第2合流ガス温度を954℃とし、第2反応ゾーンAでの第2合流ガスのレイノルズ数を107とした以外は実施例1と同様にして、実施例12の金属酸化物粒子を製造した。なお、このレイノルズ数は第2中空内筒5の下流端5bより下流において第2合流ガスが954℃になっていると仮定した場合の値である。
原料に対する粉末生成物の収率は94%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は70%であることが分かった。光触媒活性は108ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は13m2/gであった。さらに、ルチル比率は6%であった。
第1反応ゾーンBの長さを0.6cmとして、第1反応ゾーンBにおける、第1合流ガスの滞留時間を15ミリ秒とした以外は実施例1と同様にして、実施例13の金属酸化物粒子を製造した。
ここで、第1反応ゾーンBにおける、第1合流ガスの滞留時間は、第1合流ガスの温度が762℃になっていると仮定して算出した。
原料に対する粉末生成物の収率は98%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は10%であることが分かった。光触媒活性は75ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は26m2/gであった。さらに、ルチル比率は24%であった。
第1反応ゾーンBの長さを10.2cmとして、第1反応ゾーンBにおける、第1合流ガスの滞留時間を250ミリ秒とした以外は実施例1と同様にして、実施例14の金属酸化物粒子を製造した。
ここで、第1反応ゾーンBにおける、第1合流ガスの滞留時間は、第1合流ガスの温度が762℃になっていると仮定して算出した。
原料に対する粉末生成物の収率は90%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は70%であることが分かった。光触媒活性は120ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は25m2/gであった。さらに、ルチル比率は4%であった。
第1反応ゾーンBの長さを15.5cmとして、第1反応ゾーンBにおける、第1合流ガスの滞留時間を380ミリ秒とした以外は実施例1と同様にして、実施例15の金属酸化物粒子を製造した。
ここで、第1反応ゾーンBにおける、第1合流ガスの滞留時間は、第1合流ガスの温度が762℃になっていると仮定して算出した。
原料に対する粉末生成物の収率は85%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は80%であることが分かった。光触媒活性は125ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は23m2/gであった。さらに、ルチル比率は3%であった。
第1反応ゾーンBの長さを30.5cmとして、第1反応ゾーンBにおける、第1合流ガスの滞留時間を750ミリ秒とした以外は実施例1と同様にして、実施例16の金属酸化物粒子を製造した。
ここで、第1反応ゾーンBにおける、第1合流ガスの滞留時間は、第1合流ガスの温度が762℃になっていると仮定して算出した。
原料に対する粉末生成物の収率は49%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は80%であることが分かった。光触媒活性は130ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は22m2/gであった。さらに、ルチル比率は2%であった。
金属塩化物含有ガスの予熱温度を900℃、第1ガスの予熱温度を900℃とし、第1合流ガス温度を900℃とし、第2合流ガス温度を1026℃とし、第1反応ゾーンBの長さを6.9cmとし、第2反応ゾーンAの長さを11.3cmとし、第2反応ゾーンAでの第2合流ガスのレイノルズ数を92とした以外は実施例1と同様にして、参考例1の金属酸化物粒子を製造した。なお、このレイノルズ数は第2中空内筒5の下流端5bより下流において第2合流ガスが1026℃になっていると仮定した場合の値である。
原料に対する粉末生成物の収率は97%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は10%であることが分かった。光触媒活性は70ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は21m2/gであった。さらに、ルチル比率は15%であった。
第1ガスの予熱温度を650℃とし、第1合流ガス温度を650℃とし、第2合流ガス温度を933℃とし、第1反応ゾーンBの長さを5.4cmとし、第2反応ゾーンAの長さを10.5cmとし、第2反応ゾーンAでの第2合流ガスのレイノルズ数を96とした以外は実施例1と同様にして、参考例2の金属酸化物粒子を製造した。なお、このレイノルズ数は第2中空内筒5の下流端5bより下流において第2合流ガスが933℃になっていると仮定した場合の値である。
原料に対する粉末生成物の収率は93%であった。また、粉末生成物中の十面体酸化チタンの比率は10%であることが分かった。光触媒活性は80ppm/hであった。得られた粒子の比表面積は27m2/gであった。さらに、ルチル比率は30%であった。
図2は、金属酸化物粒子の製造装置の比較例を示す模式図である。
比較例の製造装置201は、第2中空内筒、第2合流地点を設置せずに、第2ガスが反応管21内に導入されないこと、及び、反応管21の一部に断熱材を巻きつけずに、代わりに、反応管21の一部に反応管外部から電気ヒーター7により加熱された領域(外部加熱領域C)を設けること以外は、製造装置101と同一の構成とされている。なお、同一の部材・領域については同一の符号を付して示している。第1合流ガスが外部加熱領域Cを通過する。
次に、四塩化チタン(TiCl4)と窒素(N2)ガスからなる金属塩化物含有ガスを、電気ヒーターによって650℃に保温した予熱領域Xを通過させて650℃とした後、第1中空内筒4の上流側4aから導入した。なお、金属塩化物含有ガスの流量は、511Nml/minとした。金属塩化物含有ガスと第1ガスの合計流量(原料ガス流量)は、6000Nml/minとした。第1反応ゾーンBにおける第1合流ガス中の四塩化チタンの濃度は0.24体積%とした。
第1合流ガス温度は764℃として、第1反応ゾーンBの長さを6.5cmとして、第1反応ゾーンBに第1合流ガスが滞留する時間を150ミリ秒とした。ここで、第1反応ゾーンBにおける、第1合流ガスの滞留時間は、第1合流ガスの温度が764℃になっていると仮定して算出した。また外部加熱領域Cにおけるレイノルズ数は89とした。このレイノルズ数は外部加熱領域Cにおいて第1合流ガスが1100℃になっていると仮定した場合の値である。
外部加熱領域Cの長さを12cmとして、第1合流ガスが外部加熱領域Cに滞留する時間を208ミリ秒とした。ここで、外部加熱領域Cにおける、第1合流ガスの滞留時間は、第1合流ガスが外部加熱領域Cにおいて1100℃になっていると仮定して算出した。
特性比較のため、市販の光触媒用酸化チタン粒子を購入した。この酸化チタン粒子(比較例2)は火炎法で合成された粒子であり、電子顕微鏡観察した結果、粒子形状は不定形であり、一次粒子径は20〜60nmであった。また、X線回折測定の結果より、アナターゼとルチルが混在した粒子であることが分かった。
酸化チタン粒子(比較例2)の十面体酸化チタンの比率は0%であり、光触媒活性は70ppm/hであった。粒子の比表面積は50m2/gであった。
表1及び表2に、実施例1〜16、参考例1,2及び比較例1の製造条件をまとめた。
これに対し、予熱された第1ガス及び第2ガスを合流させて加熱する方式の本発明に係る実施例1〜6、8〜14は、第2反応ゾーンで反応完結し、第2反応ゾーンの下流に未反応四塩化チタンが残存せず、粉末収率90%以上で粉末生成物が得られた。特に実施例1は比較例1と比べて光触媒活性は同等でありながら、粉末収率が95%と大幅に向上した。実施例1、比較例1ともに、第1反応ゾーンの内壁面に副生成物の固着膜がほとんど形成されなかった。実施例1は、第2反応ゾーンにおいても副生成物の固着膜が形成されなかった。
実施例1の650℃に対して、550℃(実施例3)、350℃(実施例2)と下げていくと、ルチル比率が5%から7%へと若干増えて光触媒活性が若干低下した。実施例5の650℃に対して、900℃(参考例1)に上げるとルチル比率が12%から15%へと若干増えて光触媒活性が若干低下した。
実施例1〜3、5より、高い光触媒活性を得るには、金属塩化物含有ガスの予熱温度は400℃以上800℃以下の温度範囲が好ましく、500℃以上750℃以下の温度範囲がより好ましく、さらに好ましくは、600℃以上700℃未満が好ましい。
第1ガスの予熱温度を900℃とした実施例5では、775℃とした実施例1よりも大幅にルチル比が増えて、光触媒活性が大幅に低下した。
第1ガスの予熱温度を725℃とした実施例4では、775℃とした実施例1よりも若干ルチル比が増えて、光触媒活性が若干低下した。
実施例1、4、5より、高い光触媒活性を得るには、第1ガスの予熱温度は700℃ 以上850℃以下の温度範囲が好ましく、700℃以上800℃以下の温度範囲がより好ましく、更に好ましくは750℃以上800℃以下が好ましい。
第2ガスの予熱温度を1000℃とした実施例6では1100℃とした実施例1と比較し、光触媒活性、粉末収率とも同等であった。第2ガスの予熱温度を950℃とした実施例7では1100℃とした実施例1と比較し、第2反応ゾーンAの下流において未反応四塩化チタンが残存する結果、粉末収率60%と低収率である。
これより、第2ガスの予熱温度は950℃以上1200℃以下の温度範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは1000℃以上1150℃以下の温度範囲とすることが好ましい。
第1合流ガス中における四塩化チタン濃度を0.08%とした実施例8は0.24%とした実施例1と比較し、ルチル比が増えて、光触媒活性が低下した。第1合流ガス中における四塩化チタン濃度を0.24〜8.0%とした実施例8〜12では濃度が高まるほどBET値が低下する結果、光触媒活性が低下した。
これより、第1合流ガス中における四塩化チタン濃度は、0.1〜15体積%とすることが好ましく、0.1〜5体積%とすることがより好ましく、0.2〜2体積%とすることが更に好ましい。
第1反応ゾーンにおける滞留時間を15ミリ秒とした実施例13では、150ミリ秒とした実施例1と比較してルチル比率が大幅に増えて、光触媒活性が低下した。滞留時間を750ミリ秒とした実施例16では第1反応ゾーンの内壁面に固着膜が生成し、粉末収率が49%と大幅に低下した。
第1反応ゾーンにおける滞留時間が380ミリ秒とした実施例15と、250ミリ秒とした実施例14では、実施例1と比較して、第1反応ゾーンの内壁面に固着膜が若干生成したために、粉末収率が若干低下した。
これより、第1反応ゾーンにおける第1合流ガスの滞留時間は、30〜400ミリ秒の範囲内であることが好ましく、50〜300ミリ秒の範囲内であることがより好ましく、100〜200ミリ秒とすることが更に好ましい。
Claims (15)
- 反応管内で、予熱された金属塩化物含有ガスに、前記金属塩化物を含まない予熱された第1ガスを第1合流地点で合流して第1合流ガスとし、該第1合流ガスに、前記金属塩化物を含まない予熱された第2ガスを前記第1合流地点よりも下流に離れた第2合流地点で合流して第2合流ガスとする工程を含む金属酸化物粒子の製造方法であって、
前記金属塩化物含有ガス及び前記第1ガスの少なくとも一方は酸素を含有し、
前記第1ガスの予熱温度を、前記金属塩化物含有ガスの予熱温度以上の温度として前記第1ガスを前記第1合流地点で合流させることで、前記第1合流地点から前記第2合流地点までの間(第1反応ゾーンと呼ぶ)において予熱された前記金属塩化物含有ガスをさらに加熱し、前記第2ガスの予熱温度を、前記第1合流ガスの温度以上の温度として前記第1合流ガスと合流させることで、前記第2合流地点から下流において前記第1合流ガスをさらに加熱することを特徴とする金属酸化物粒子の製造方法。 - 前記金属塩化物が四塩化チタンであり、前記金属酸化物粒子が酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
- 前記酸化チタン粒子が十面体酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項2に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
- 前記金属塩化物含有ガスの予熱温度が400℃以上800℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
- 前記第1合流ガスの温度が700℃以上850℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
- 前記第2合流ガスの温度が800℃以上1150℃以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
- 前記第1ガスの予熱温度が700℃以上850℃以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
- 前記第2ガスの予熱温度が950℃以上1200℃以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
- 前記金属塩化物含有ガスが、窒素ガスを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
- 前記第1ガスが、酸素ガス、窒素ガス、アルゴン及び水蒸気からなる群から選ばれた1種以上のガスを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
- 前記第2ガスが、酸素ガス、窒素ガス、アルゴン及び水蒸気からなる群から選ばれた1種以上のガスを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
- 前記第1合流ガスに含まれる前記四塩化チタンの濃度を0.1〜15体積%とすることを特徴とする請求項2〜11のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
- 前記第1合流ガスが、前記第1反応ゾーンにおいて滞留する時間を30〜400ミリ秒とすることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
- 前記第2合流ガスのレイノルズ数を10〜10000とすることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
- 反応管と、金属塩化物含有ガス、第1のガス及び第2のガスのそれぞれを予熱する予熱部とを具備し、
前記反応管は、中空外筒と、該中空外筒の上流側から該中空外筒の途中まで挿入されてなる第2中空内筒と、該第2中空内筒の上流側から該第2中空内筒の途中まで挿入されてなる第1中空内筒とを備え、
前記第2中空内筒はその上流側に予熱された前記第1のガスを導入する第1導管を備え、
前記中空外筒はその上流側に予熱された前記第2のガスを導入する第2導管を備え、
予熱された前記金属塩化物含有ガスは第1中空内筒の上流側から導入され、導入された前記金属塩化物含有ガスは前記第1中空内筒の下流端で予熱された前記第1のガスと合流し、該合流したガスは前記第2中空内筒の下流端で予熱された前記第2のガスとさらに合流することができることを特徴とする金属酸化物粒子の製造装置。
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