JP2011183672A - 成形用金型及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形用金型を用いて成形品に梨地を形成するに際し、成形品の抜き勾配を大きくすることなく、成形品の表面に梨地面となる多数の微細な凸部を形成することができるようにする。
【解決手段】成形用金型31に形成されたキャビティ31aの型抜き方向に沿う壁面に、このキャビティ31aによって成形品32の表面に梨地面33を形成するためにの多数の微小な粗部3を形成し、この粗部3に型抜きする際のガイド面となる緩斜面3dを形成する。この緩斜面3dが成形品32を成形用金型31から型抜きする際のガイド面となるため、離型力が低減され、成形品をキャビティから無理なく離型させることができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、成形品の表面に梨地面を形成する成形用金型及びその製造方法に関する。
従来、樹脂などを素材とする各種成形品は、その表面に梨地が形成されているものが多い。成形品の表面に形成される梨地面は様々な機能を有しており、例えば光学レンズを収容する鏡筒にあっては、入射端面及び出射端面を梨地面とすることで、この入射端面及び出射端面に照射された光が散乱されるため、フレアやゴーストの発生を抑制することができる。
又、例えば所定製品を収納するケース等では、半割りされたケースを別々の成形用金型で形成し、両ケースの開口面の一辺をヒンジ等を介して開閉自在に支持することで、開閉自在な収納ケースが形成される。このような収納ケースにあっては、表面を梨地にすることで、つや消し面とするばかりでなく、規則的な凹凸面を形成することで意匠的な梨地模様を形成することができる。
従来、成形品の表面に梨地を形成する手段としては、成形用金型から取り出した成形品に対してブラスト法等を用いて物理的に形成し、或いはエッチング法などを用いて化学的に形成する場合が多い。
しかし、成形品の表面に物理的手段や化学的手段により梨地を後処理により形成することは、工数が嵩み製品コストが高くなる。そのため、例えば特許文献1(特開2006−27074号公報)に開示されているように、成形用金型のキャビティの壁面に梨地となる粗面を予め形成しておき、成形時において、この粗面を成形品に転写することで後加工に要する工数を削減する技術が提案されている。
特開2006−27074号公報
ところで、成形品の表面に形成する梨地は、成形品の底面或いは上面のみならず、側面にも形成される。成形品の側面が、成形用金型の型抜き方向に沿う側壁で形成される場合、成形用金型の側壁に形成されている梨地が成形品の側面に転写されるため、成形品をキャビティから型抜きする際に抵抗となり大きな離型力が必要となる。
例えば成形品が樹脂製である場合、成形品をキャビティから型抜きする際に、キャビティに形成されている梨地を形成する凹部に、この凹部によって成形品の表面に形成される凸部が嵌合されているため、図10の離型力特性に示すように、梨地あり(従来)のものは、型抜きの際に大きな離型力が必要となる。又、成形品を無理な力で離型させようとした場合、成形品に転写された梨地が損傷を受けて製品不良が発生する不都合がある。更に、成形品を型抜きするに際し、この成形品に転写された梨地が成形用金型の側壁を摺動するため、特にガラス繊維などのフィラーを含有する樹脂を使用する場合などにキャビティ内壁に擦り傷を形成させてしまう不都合がある。
この対策として、成形用金型の抜き勾配を大きくすることも考えられるが、成形品の肉厚が、先端側が薄く、底部側が厚くなってしまい、底部側に大きなヒケやヒケ巣が発生し易くなる不都合がある。
従って、本発明の目的は、成形用金型を用いて成形品に梨地を形成するに際し、成形品の抜き勾配を大きくすることなく、大きなヒケやヒケ巣の発生を抑制することができるばかりでなく、成形品を大きな離型力で成形用金型から型抜きする必要が無く、この成形品に形成された梨地面の摩損が低減されるばかりでなく、この粗地面によるキャビティの内壁の損傷を緩和させることのできる成形用金型及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明による成形用金型の第1は、キャビティの型抜き方向に沿う壁面に、該キャビティによって形成される成形品の表面に梨地面を形成するための多数の微小な粗部が形成されている成形用金型において、前記各粗部に前記成形品を型抜きする際のガイドとなる緩い傾斜面が形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、キャビティによって形成される成形品の表面に梨地面を形成するための多数の微小な粗部が形成されており、この各粗部に、この各粗部に成形品を型抜きする際にガイドとなる緩い傾斜面を形成したので、型抜きの際に、この緩い傾斜面がガイドとなって成形品に形成された粗地面が離型されるため、成形品を型抜きする際の離型力が低減され、成形品をキャビティから無理なく離型させることができ、梨地面の摩損、及び、キャビティ内の損傷を低減することができる。又、抜き勾配を大きく設定する必要がないので大きなヒケやヒケ巣の発生を抑制することができる。
成形用金型の第2は、前記粗部が凹部であり、前記傾斜面が型抜き方向に形成されている態様とすることで、キャビティから成形品を型抜きするに際し、キャビティの壁面に形成されている凹部と、この凹部によって成形品に形成された凸部とを緩い傾斜面をガイドに離型させることができ離型力を低減させることができる。
成形用金型の第3は、前記粗部が凸部であり、前記傾斜面が反型抜き方向に形成されている態様とすることで、キャビティから成形品を型抜きするに際し、キャビティの壁面に形成されている凸部と、この凸部によって成形品に形成された凹部とを緩い傾斜面をガイドに離型させることができ離型力を低減させることができる。
成形用金型の第4は、前記傾斜面の傾斜角が2〜30度である態様とすることで、成形用金型に形成された粗部、及びこの粗部にて転写された成形品の粗地面との間を、成形品を型抜きする際のガイド面として機能させることができる。
成形用金型の第5は、前記粗部が行列状に多数形成されている態様とすることで、この粗部によって成形品に転写される梨地面にて、成形品の表面に規則的な模様を形成することができる。
成形用金型の第6は、前記粗部が千鳥格子状に多数形成されている態様とすることで、この粗部によって成形品に転写される梨地面にて、成形品の表面に規則的な模様を形成することができる。
成形用金型の第7は、前記粗部がランダム状に多数形成されている態様とすることで、この粗部によって成形品に転写される梨地面にて、成形品の表面にランダムな模様を形成することができる。
本発明の成形用金型の製造方法の第1は、キャビティの型抜き方向に沿う壁面に、成形品表面に梨地面を形成するための多数の微小な粗部を形成する成形用金型の製造方法において、前記各粗部を機械加工にて形成すると共に、該機械加工により該各粗部に対して前記成形品を型抜きする際のガイドとなる緩い傾斜面を形成することを特徴とする。
この発明によれば、キャビティによって形成される成形品の表面に梨地面を形成するための多数の微小な粗部を機械加工によって形成するので、キャビティに粗部を形成するための装置を特別に必要とせず、製造設備が安価になる。又、機械加工によって、所望形状の凹凸を形成することができるので、各粗部に対して成形品を型抜きする際のガイドとなる緩い傾斜面を形成することが可能となり、成形用金型を用いた成形時において、成形品を型抜きする際の離型力を低減することができる。
成形用金型の製造方法の第2は、前記粗部が凹部であり、該凹部を、前記型抜き方向に向けて緩い傾斜面が形成されている刃先を有する押圧工具を押圧して形成する態様としたので、製造が容易で、且つ専用の製造装置を必要とせず製造設備が安価になる。更に、成形時においては、成形品を型抜きする際に、緩い傾斜面がガイドとなって成形品に形成された粗地面を離型させることができるため離型力を低減させることができる。
成形用金型の製造方法の第3は、前記粗部が凹部であり、該凹部を、切削工具を用いて形成すると共に該切削工具にて前記凹部の前記型抜き方向の壁面に対して緩い傾斜面を形成する態様としたので、専用の製造装置を必要とせず製造設備が安価になる。更に、成形用金型を用いた成形時においては、成形品を型抜きする際に、緩い傾斜面がガイドとなって成形品に形成された粗地面を離型させることができるため離型力を低減させることができる。
成形用金型の製造方法の第4は、前記粗部が凸部であり、該凸部を切削工具を用いて形成すると共に該切削工具にて前記凸部の反型抜き方向の壁面に対して緩い傾斜面を形成する態様としたので、専用の製造装置を必要とせず製造設備が安価になる。更に、成形用金型を用いた成形時においては、成形品を型抜きする際に、緩い傾斜面がガイドとなって成形品に形成された粗地面を離型させることができるため離型力を低減させることができる。更に、成形用金型を用いた成形時においては、成形品を型抜きする際に、緩い傾斜面がガイドとなって成形品に形成された粗地面を離型させることができるため、成形品を型抜きする際の離型力を低減させることができる。
成形用金型の製造方法の第5は、前記粗部を行列状に多数形成する態様とすることで、この粗部によって成形品に転写される梨地面にて、成形品の表面に規則的な模様を形成することができる。
成形用金型の製造方法の第6は、前記粗部を千鳥格子状に多数形成する態様とすることで、この粗部によって成形品に転写される梨地面にて、成形品の表面に規則的な模様を形成することができる。
成形用金型の製造方法の第7は、前記粗部をランダム状に多数形成する態様とすることで、この粗部によって成形品に転写される梨地面にて、成形品の表面にランダムな模様を形成することができる。
本発明によれば、成形品の粗地面を形成する多数の微細な粗部をキャビティの型抜き方向に沿う壁面に形成すると共に、この粗部に成形品を型抜きする際にガイドとなる緩い傾斜面を形成したので、成形用金型を用いて成形品に梨地を形成するに際し、成形品の抜き勾配を大きくすることなく、大きなヒケやヒケ巣の発生を抑制することができる。又、各粗部に成形品を型抜きする際にガイドとなる緩い傾斜面を形成したので、成形品を大きな離型力で成形用金型から型抜きする必要が無くなり、この成形品に形成された梨地面の摩損が低減されると共に、この粗地面によるキャビティの内壁の損傷を緩和させることができる。
マシニングセンタの概略構成図である。 マシニングセンタによる加工方向を示す説明図である。 (a)は入れ子に形成する粗部の行列状パターンの説明図、(b)は入れ子に形成する粗部の千鳥格子状パターンの説明図である。 入れ子に形成した粗部を示し、(a)平面図、(b)は(a)のb-b断面図である。 押圧工具の先端部を示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。 切削工具の先端部を示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。 成形用金型の断面側面図である。 抜き勾配0°の成形品の離型力試験器の概略構成図である。 (a)は抜き勾配5°の成形品の離型力試験の説明図、(b)は抜き勾配10°の成形品の離型力試験の説明図である。 離型ストロークと離型力との関係を示す図表である。
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。図1には、工作機械の一例であるマシニングセンタ1が示されている。本実施形態では、このマシニングセンタ1を使用して、成形用金型のキャビティやコア等に使用される入れ子2に、成形品の梨地面となる多数の微細な粗部3(図3参照)を形成する。
マシニングセンタ1は、ステージ4上に水平2軸(X−Y)方向に移動可能なテーブル5が設けられており、このテーブル5上に、入れ子2を位置決めする治具6が設置されている。更に、この治具6の周囲に、入れ子2を治具6に固定するクランプ部材7が設けられている。
又、ステージ4の一側に設置されているコラム8に主軸ヘッド9が支持されている。この主軸ヘッド9はステージ4の上方に昇降自在に対設されており、この主軸ヘッド9の下面に主軸10が設けられ、この主軸10に、入れ子2に粗部3を形成する機械加工工具11が固定されている。
符号21は、マシニングセンタ1の動作を制御するNC(Numerical Control)制御装置であり、CPU22、入力部23、表示部24、出力部25、ROM26、RAM27、記憶装置28、通信インターフェイス29がバスラインを介して互いに接続されたコンピュータで構成されており、通信インターフェイス29にマシニングセンタ1の制御部1aが接続されている。
CPU22は、ROM26に記憶されているプログラムに従いマシニングセンタ1の動作を制御する。入力部23はデータやパラメータ等を外部から入力するキーボード、マウス等である。表示部24は液晶モニタ等、入力されたデータやパラメータ等を表示する。出力部25はプリンタ等であって、データ等を外部に出力する。ROM26には、機械加工工具の選択処理、及び工具軌跡の算出等を行うプログラムや固定データ等が予め記憶されている。RAM27は可変データや変数等を一時記憶すると共に、ワーキングエリアとして使用される。又、記憶装置28はハードディスク等、読み書き自在な大規模容量記憶装置である。
マシニングセンタ1は、NC制御装置21からの指令に従い、テーブル5をX-Y方向へ2次元的に移動させると共に、これに同期して主軸ヘッド9を昇降させて、入れ子2上に粗部3を形成する。
すなわち、図2に示すように、テーブル5が、治具6にセットされている入れ子2をX方向へ定速で往動させ、その間、主軸10に固定されている機械加工工具11が断続的に昇降を繰り返し、下降した際に、入れ子2上に粗部3を所定ピッチ毎に形成する。そして、テーブル5が往動端に達すると、一旦停止した後、復動し、復動端に達すると、一旦停止して、Y方向へ設定ピッチ移動し、次の列に粗部3を所定ピッチ毎に形成する。これを、テーブル5がY方向へ設定ピッチ移動する毎に繰り返し行って、入れ子2全体に微細な粗部3を多数形成する。
入れ子2上に、多数の微細な粗部3によって形成されるパターンは種々のものが考えられる。例えば、図3(a)に示すように、各列の同一位置に粗部3を形成した場合、粗部3は行列状のパターンとなる。一方、図3(b)に示すように、各列に形成する粗部3を、隣接する列ごとに半ピッチずつずらすことで千鳥格子状のパターンとなる。又、1列に形成する粗部3のピッチを、予め設定されている演算式に従って変化させることで、入れ子3全体に対して粗部3をランダム状に配列させたようなパターンとすることができる。
図4(a)に示すように、各粗部3は、平面視において円弧部3a及び尖端部3bと、この円弧部3aと尖端部3bとを接線状に連設する接線部3cとで水滴形(或いは卵形)に形成されている。又、同図(b)に示すように、粗部3は最深部が深さDの凹状に形成されており、尖端部3b側の傾斜面3dが最深部方向へ緩やかな接線の傾斜角θ1で曲面状に傾斜されている。一方、円弧部3a側の傾斜面3eが深部方向へ急な接線の傾斜角θ2で傾斜されており、この両傾斜面3d,3eが最深部で所定形状の曲面を介して連設されている。尚、本実施形態で形成する粗部3は、長さLが好ましくは10〜500μm、より好ましくは30〜300μm、幅Wが好ましくは7〜300μm、より好ましくは20〜200μm、深さDが好ましくは3〜100μm、より好ましくは3〜50μmとされる。また、傾斜角θ1は好ましくは2〜30°、より好ましくは8〜20°、傾斜角θ2は好ましくは50〜90°、より好ましくは50〜80°とされる。ただし、傾斜角θ2は傾斜角θ1と同じように緩やかな斜面で形成されていても良い。上記θ1が2°未満では深さを深くできず、30°を超えると離型力を低減させる効果が乏しくなる傾向がある。
又、この粗部3を形成する機械加工工具11として、本実施形態では、図5に示す押圧工具12(図5参照)と、切削工具13(図6参照)とを有している。マシニングセンタ1には、この両工具12,13が備えられており、NC制御装置21からの指示に従い、いずれか1つが選択されて使用される。これらの工具は、回転させずに加工を行う方法で粗部を形成させる。
図5に示すように、押圧工具12は、主軸10に基端が保持されるシャンク12aを有し、その先端に押圧チップ12bが固設されている。この押圧チップ12bの先端は、粗部3と同一形状を有しており、押圧チップ12bの先端を入れ子2上に所定圧力で押圧することで、この入れ子2上に所定深さの粗部3が刻設される。
図6に示すように、切削工具13は、主軸10に保持されるシャンク13aを有し、その先端に切削チップ13bが固設されている。この切削チップ13bは、テーブル5のX方向への移動に同期して、主軸ヘッド9を次第に下降させることで、粗部3の尖端部3bから最深部方向へ緩やかな傾斜面(以下「緩斜面」と称する)3dを切削形成する。そして、最深部付近から主軸ヘッド9を次第に上昇させることで、円弧部3a側へ急傾斜の傾斜面3eを切削形成する。尚、押圧工具12を用いて入れ子2上に粗部3を刻設した場合、この粗部3の周縁に若干のダレが生じる。一方、切削工具13を用いて粗部3を切削形成した場合、粗部3の周縁にダレは生じないが、切粉が発生する。
なお、機械加工工具11としては、上記の他に、微細なエンドミル等の回転工具を用いてマシニングセンタのNCプログラムで粗部を切削加工することもできる。
このマシニングセンタ1によって、表面に多数の微細な粗部3が形成された入れ子2は、図7に示すように、成形用金型31に取付けられてキャビティ31aの一部をなしている。この成形用金型31は、射出成形等により樹脂製の成形品32を形成するもので、可動金型34と固定金型35とを有し、可動金型34が金型本体34aと支持盤34bとを有している。入れ子2は可動金型34に対し、各粗部3の緩斜面3dを型抜き方向(図7の上方)へ指向させた状態で取付ける。
その後、可動金型34を上昇させ、この可動金型34を固定金型35に型締めして内部にキャビティ31aを形成する。尚、本実施形態では、キャビティ31aの抜き勾配が0°に設定されており、又、キャビティ31aは断面T字状に形成されている。従って、断面T字状の成形品32が形成される。
次いで、このキャビティ31aに溶融樹脂を充填して、成形品32を形成する。すると、この成形品32の表面に、入れ子2に形成されている粗部3にて転写された多数の微細な凸部32aが形成され、この凸部32aにて梨地面33が形成される。
そして、キャビティ31a内に充填された樹脂が所定に冷却固化された後、可動金型34を下降させて型開きする。この可動金型34には、成形品32を可動金型34から離型させるノックピン(図示せず)が挿通されており、可動金型34の下降動作に伴いノックピンが相対的に上昇され、このノックピンからの押圧力により成形品32が可動金型34から離型される。
その際、入れ子2に形成されている多数の微細な粗部3の緩斜面3dが全て型抜き方向に指向されているため、型抜きに際しては、この緩斜面3dと、この緩斜面3dによって成形品32の表面に形成された凸部の斜面とが互いにガイド面として機能するため、成形品32は可動金型34からスムーズに離型される。
このように、本実施形態では、入れ子2の表面に形成する粗部3を、工作機械の一例であるマシニングセンタ1を用いて、機械加工により形成したので、精度良く形成することができる。又、専用の工作機械が不要であるため、減価償却費用が安価となり、金型製作コストを安価にすることができる。更に、粗部3を機械加工により形成するため、形状、寸法は、機械加工工具11の先端に設けられているチップを変更するだけで、比較的容易に変更することができるため、高い汎用性を得ることができる。
又、成形用金型31を用いて成形品32を成形する際に、この成形品32の表面に多数の微細な凸部32aを形成し、この凸部32a全体で梨地面33を形成するようにしたので、成形品32に対して梨地面33を形成するための後加工が不要となり、その分、加工工数の低減を図ることができる。
更に、成形品32の表面に形成する梨地面33となる多数の微細な凸部32aの抜き方向に緩斜面3dを形成したので、成形品32を型抜きする際の離型力が小さくなり、型抜きする際に、この成形品32に形成された梨地面33の摺動による摩損が低減されるばかりでなく、キャビティ31a側に与える損傷をも緩和させることができる。
又、成形品32の抜き勾配を大きくすることなく、この成形品32の表面に多数の微細な凸部32aを形成することができるので、成形品32の肉厚がほぼ一定となり、大きなヒケやヒケ巣の発生を抑制することができ、冷却固化の管理が容易となり、製品の不良率を低減させることができる。
図8に完成した成形品32の離型力を計測する離型力試験器41を示す。この離型力試験器41は、試験器本体42と計測器43とを備え、試験器本体42にノックピン42aが設けられている。計測器43は、試験器本体42に装着された成形品32をノックピン42aで押し出す際の押圧力(離型力)とそのときのストロークを計測する。
この離型力試験器41は、成形用金型31に形成されているキャビティ31aの周囲の部材(入れ子)が取り出せるようになっていて、成形終了後に、成形品が付いた状態の入れ子を取り出し、これを試験器本体42としている。尚、試験器本体42はキャビティ部44を挟んで図8の左右に縦割りされている。
そして、試験器本体42のノックピン42aを押圧し、その圧力及びストロークを計測器43で計測する。図10にはそれぞれのサンプルの計測結果が示されている。粗部3の抜き方向の傾斜角θ1を8〜15°とした本実施形態による成形品32(梨地あり(傾斜緩))は、表面に梨地が形成されておらず比較的平坦な面を有する成形品(梨地なし)を押し出す際の離型力(押圧力)に比し、若干高い値を示すが、エッチングの方法により梨地を形成した従来の成形品(梨地有り)の離型力(押圧力)に比し、かなり低い値を示している。
上述したように、本実施形態では、成形品32の凸部32aとなる入れ子2の粗部3を機械加工工具11を用いて形成したので、離型力試験器41による計測結果に基づき、粗部3の寸法(深さD、長さL、幅W、傾斜角θ1,θ2)を適宜設定することで最適な離型力を設定することができる。
尚、図10に、参考として梨地を形成する粗部3の抜き方向の傾斜角θ1を、傾斜角θ2と同一の角度(50〜80°)で形成した成形品(梨地あり(傾斜急))の計測結果を示す。同図に示すように、本実施形態による成形品32に比し、離型力(押圧力)が高く、梨地面33の凸部32aが大きな抵抗となっていることが分かる。
因みに、図9(a),(b)に示すように、抜き勾配5°,10°で形成した成形品32’,32''の押圧力(離型力)を離型力試験器41で計測した。この計測結果によれば、成形品32’,32''は、最初の離型力(押圧力)のみは、本実施形態とほぼ同じ値を示すが、その後の離型力(押圧力)は、抜き勾配が比較的大きいため急激に低下する。但し、抜き勾配によって、先端部から基部にかけての肉厚が大きく変化しているため、基部にはヒケやヒケ巣が発生し易く、成形品32’,32''を冷却固化させる際の温度管理が難しい。
尚、本発明は、上述した実施形態に限るものではなく、例えば粗部3は、上述した凹部とは対称形状の凸部であってもよく、この場合、入れ子2の表面全体を切削工具を用いて切削することで凸部を形成する。又、粗部3が凸部の場合、入れ子2を可動金型34に取付けるに際しては、緩やかな傾斜面を反型抜き方向に指向させる。
又、上述した実施形態では、粗部3の円弧部3a側の傾斜面3eが急傾斜に形成されているが、この傾斜面3eも緩やかな傾斜で形成するようにしても良い。
1…マシニングセンタ、
2…入れ子、
3…粗部、
3d,3e…傾斜面、
11…機械加工工具、
12…押圧工具、
12a…シャンク、
12b…押圧チップ、
13…切削工具、
13a…シャンク、
13b…切削チップ、
21…制御装置、
31…成形用金型、
31a…キャビティ、
32…成形品、
32a…凸部、
33…梨地面、
41…離型力試験器、
42…計測器本体、
42a…ノックピン、
43…計測器、
44…キャビティ部、
44a…凹部、
θ1…傾斜角、
θ2…傾斜角

Claims (14)

  1. キャビティの型抜き方向に沿う壁面に、該キャビティによって形成される成形品の表面に梨地面を形成するための多数の微小な粗部が形成されている成形用金型において、
    前記各粗部に前記成形品を型抜きする際のガイドとなる緩い傾斜面が形成されていることを特徴とする成形用金型。
  2. 前記粗部が凹部であり、
    前記傾斜面が型抜き方向に形成されていることを特徴とする請求項1記載の成形用金型。
  3. 前記粗部が凸部であり、
    前記傾斜面が反型抜き方向に形成されていることを特徴とする請求項1記載の成形用金型。
  4. 前記傾斜面の傾斜角が2〜30度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形用金型。
  5. 前記粗部が行列状に多数形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形用金型。
  6. 前記粗部が千鳥格子状に多数形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形用金型。
  7. 前記粗部がランダム状に多数形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形用金型。
  8. キャビティの型抜き方向に沿う壁面に、成形品表面に梨地面を形成するための多数の微小な粗部を形成する成形用金型の製造方法において、
    前記各粗部を機械加工にて形成すると共に、該機械加工により該各粗部に対して前記成形品を型抜きする際のガイドとなる緩い傾斜面を形成することを特徴とする成形用金型の製造方法。
  9. 前記粗部が凹部であり、該凹部を、前記型抜き方向に向けて緩い傾斜面が形成されている刃先を有する押圧工具を押圧して形成することを特徴とする請求項8記載の成形用金型の製造方法。
  10. 前記粗部が凹部であり、該凹部を切削工具を用いて形成すると共に該切削工具にて前記凹部の前記型抜き方向の壁面に対して緩い傾斜面を形成することを特徴とする請求項8記載の成形用金型の製造方法。
  11. 前記粗部が凸部であり、該凸部を切削工具を用いて形成すると共に該切削工具にて前記凸部の反型抜き方向の壁面に対して緩い傾斜面を形成することを特徴とする請求項8記載の成形用金型の製造方法。
  12. 前記粗部を行列状に多数形成することを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の成形用金型の製造方法。
  13. 前記粗部を千鳥格子状に多数形成することを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の成形用金型の製造方法。
  14. 前記粗部をランダム状に多数形成することを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の成形用金型の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015198036A (ja) * 2014-04-02 2015-11-09 東レプラスチック精工株式会社 コイン形電池用パッキンおよびその製造方法
CN106142453A (zh) * 2015-03-27 2016-11-23 天津博信汽车零部件有限公司 制备塑料产品的模具型材、模具以及塑料产品

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