JP2011182677A - セルラーゼ複合体及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】非セルロソーム生産微生物由来のセルラーゼを複数保持した人工セルロソームを構築することにより、セルラーゼ分解活性の良好なセルラーゼ複合体を提供する。
【解決手段】非セルロソーム生産微生物に由来しGHF6に属するセロビオヒドロラーゼの活性ドメインとドックリンドメインとを有する第1のキメラタンパク質と、非セルロソーム生産微生物に由来しGHF7に属するセロビオヒドロラーゼの活性ドメインとドックリンドメインとを有する第2のキメラタンパク質と、非セルロソーム生産微生物に由来しGHF5に属するエンドグルカナーゼ(EG)の活性ドメインとドックリンドメインとの第3のキメラタンパク質と、前記第1、第2及び第3のキメラタンパク質の前記ドックリンドメインと結合する1又は2以上コヘシンドメインを有するコヘシンタンパク質と、を備え、前記コヘシンタンパク質上に前記第1、第2及び第3のキメラタンパク質をコヘシン−ドックリン結合によって保持する、セルラーゼ複合体とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、バイオマスに含まれるセルロースを有効利用するためのセルラーゼ複合体及びその利用に関する。
近年、有限である石油資源を代替するものとして、植物の光合成作用に由来するバイオマスへの期待が高まってきており、バイオマスをエネルギーや各種材料に利用するための各種の試みがなされている。なかでも、セルロースの利用が期待されている。セルロースは、糖であるグルコースがβ−1,4グリコシド結合によって縮合した高分子化合物であり、分子間水素結合により強固な結晶構造を構成している。セルロースを分解し、さらに、グルコースに糖化し発酵原料として用いるには、セルロースを効率よく単糖まで分解(糖化)するには、少なくとも3つのタイプのセルロース分解酵素(セルラーゼ)が必要である。セルロースの効率的な分解・糖化は、これらのセルラーゼが協働して作用することによって初めて可能になると考えられている(以下、こうした効果を相乗効果という。)。
バイオマスの実用的な利用には、単糖まで分解する糖化工程のコストが大きなボトルネックとなっている。そこで、各種検討が行われてきている。自然界には、セルロースを強力に分解するセルラーゼを分泌する糸状菌としてトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)が存在している。セルロースを分解するひとつの手法は、こうしたカビ由来のセルラーゼの酵素製剤を用いることである。また、自然界には、セルロースを効率的に分解するクロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)等のある種の細菌は、その表層にこれらセルラーゼの複合体であるセルロソームを有している。セルロソームは、セルラーゼを保持するための骨格タンパク質であるスキャホールディンタンパク質を細胞表層に保持し、このスキャホールディンタンパク質にセルラーゼが結合されることにより構成されている。スキャホールディンタンパク質は、セルラーゼ結合ドメインであるコヘシンドメインを有しており、セルロソームを構成するセルラーゼは、コヘシンドメインに水素結合等の非共有結合で結合するドックリンドメインを有している。こうしたセルロソームのセルロースの工業的な糖化利用への試みがなされている。例えば、セルロソームを人工的に構築しようとする試みがいくつかなされている。例えば、セルロソーム生産微生物であるC. thermocellumのスキャホールディンタンパク質を利用しこれにセルラーゼを結合させた人工酵素複合体を構築しようとする試みがある(特許文献)。また、酵母においてスキャホールディンタンパク質を発現させて、このスキャホールディンタンパク質に対してセルラーゼを集積化できることも開示されている(特許文献1、非特許文献1)。
特開2009−142260
・APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY, Vol.73, No.12, p3822-3832, 2007
しかしながら、上記した先行技術をもってしても、依然としてこの問題は解決されていない。すなわち、T. reesei等の培養上清から得られる酵素製剤は強力なセルロース分解活性を有するものの、この酵素製剤を用いてセルロースを分解することはコスト的に見合わず、この酵素製剤の効率的な製造方法も見出されていないし、さらなる活性の向上も困難であった。また、上記非特許文献1に記載のように、セルロソームを模倣して酵素複合体を構築できるものの、その協働作用による相乗効果は容易には得られなかった。
セルロソーム生産微生物のセルロソームを構成するセルラーゼは、それ自体の活性は、カビなどのセルロソーム生産微生物以外の微生物(非セルロソーム生産微生物)由来のセルラーゼよりも低い。しかしながら、カビの培養上清のセルロース分解活性は、セルロソームに及ばない。一方、人工的にタンパク質を大量生産する場合には宿主として酵母が用いられるが、セルロソーム構成セルラーゼは酵母で発現可能なものが少なく、天然のセルロソームを模倣してセルロソーム由来のセルラーゼを多数保持したセルロソームを人工的に構築することは困難であった。
そこで、本明細書の開示は、非セルロソーム生産微生物由来のセルラーゼを複数保持した人工セルロソームを構築することにより、セルロース分解活性の良好なセルラーゼ複合体及びその利用を提供することを目的とする。
本発明者らは、人工セルロソームに適した非セルロソーム生産微生物由来のいくつかのセルラーゼにセルロソーム生産微生物由来のドックリンドメインを付加してキメラタンパク質とし、このキメラタンパク質とコヘシンドメインを有するコヘシンタンパク質とからセルラーゼ複合体を構築することで、高いセルロース分解活性を有する人工セルロソームを構築できることを見出した。本明細書の開示は、これらの知見に基づいて提供される。
本明細書の開示によれば、セルラーゼの複合体であって、非セルロソーム生産微生物に由来しGHF6に属するセロビオヒドロラーゼの活性ドメインとドックリンドメインとを有する第1のキメラタンパク質と、非セルロソーム生産微生物に由来しGHF7に属するセロビオヒドロラーゼの活性ドメインとドックリンドメインとを有する第2のキメラタンパク質と、非セルロソーム生産微生物に由来しGHF5に属するエンドグルカナーゼ(EG)の活性ドメインとドックリンドメインとの第3のキメラタンパク質と、前記第1、第2及び第3のキメラタンパク質の前記ドックリンドメインと結合する1又は2以上コヘシンドメインを有するコヘシンタンパク質と、を備え、前記コヘシンタンパク質上に前記第1、第2及び第3のキメラタンパク質をコヘシン−ドックリン結合によって保持する、複合体が提供される。
前記第1のキメラタンパク質及び前記第3のキメラタンパク質のいずれかあるいは双方は、さらに、そのN末端に、前記セロビオヒドロラーゼ又は前記エンドグルカナーゼにおいて前記活性ドメインのN末端側に備えられるセルロース結合ドメインとの間のリンカードメインの少なくとも一部のアミノ酸配列を備えることができる。前記ドックリンドメインは、Clostridium thermocellumのエンドグルカナーゼ由来のドックリンドメインとすることができる。
また、前記GHF6に属するセロビオヒドロラーゼは、Phanerochaete chrysosporium由来のセロビオヒドロラーゼであってもよく、前記GHF7に属するセロビオヒドロラーゼは、Phanerochaete chrysosporium由来のセロビオヒドロラーゼであってもよく、前記GHF5に属するエンドグルカナーゼは、Trichoderma reesei由来のエンドグルカナーゼであってもよい。
本明細書の開示によれば、本明細書に開示されるセルラーゼ複合体を細胞表層に提示する真核微生物が提供される。前記真核微生物は、非セルラーゼ生産微生物であってもよい。
本明細書の開示によれば、セルラーゼを生産する真核微生物であって、非セルロソーム生産微生物に由来しGHF6に属するセロビオヒドロラーゼの活性ドメインとドックリンドメインとを有する第1のキメラタンパク質をコードする第1のDNAと、非セルロソーム生産微生物に由来しGHF7に属するセロビオヒドロラーゼの活性ドメインとドックリンドメインとを有する第2のキメラタンパク質をコードする第2のDNAと、非セルロソーム生産微生物に由来しGHF5に属するエンドグルカナーゼの活性ドメインとドックリンドメインとを有する第3のキメラタンパク質をコードする第3のDNAと、を備え、前記第1、第2及び第3のキメラタンパク質を細胞外に分泌発現する、真核微生物が提供される。
前記真核微生物は、前記第1のキメラタンパク質上の前記ドックリンドメイン、前記第2のキメラタンパク質上の前記ドックリンドメイン及び前記第3のキメラタンパク質上の前記ドックリンドメインと結合する1又は2以上のコヘシンドメインを備えるコヘシンタンパク質をコードするDNAを備え、前記コヘシンタンパク質を細胞表層に提示するものであってもよい。また、細胞表層に提示した前記コヘシンタンパク質上に、前記第1、第2及び第3のキメラタンパク質をコヘシン−ドックリン結合により保持するものであってもよい。
本明細書の開示によれば、非セルロソーム生産微生物に由来し、GHF6に属するセロビオヒドロラーゼ又はGHF5に属するエンドグルカナーゼの活性ドメインと、ドックリンドメインと、を有し、前記ドックリンドメインを前記活性ドメインのC末端に有するとともに、
前記活性ドメインと前記セロビオヒドロラーゼ又は前記エンドグルカナーゼにおいてそのN末端側に備えられるセルロース結合ドメインとの間のリンカードメイン中の少なくとも一部のアミノ酸配列を前記活性ドメインのN末端に備える、キメラタンパク質が提供される。こうしたキメラタンパク質をコードするDNAも提供される。
本明細書の開示によれば、微生物の発酵により有用物質を生産する方法であって、発酵のための真核微生物の細胞外又は細胞表層に本明細書に開示されるセルラーゼの複合体を存在させた状態で前記真核微生物により、セルロースを少なくとも含む炭素源を発酵して前記有用物質を生産する工程、を備える、方法が提供される。前記生産工程は、前記真核微生物の細胞外又は細胞表層に、β−グルコシダーゼを存在させて行う工程とすることができる。
各種ドックリンを付加した各種キメラ酵素の構造と活性測定結果とを示す図である。 カビ由来の全長型キメラ酵素による集積化効果を示す図である。 カビ由来のCD型キメラ酵素による集積化効果を示す図である。 セルロソーム生産微生物由来セルラーゼであるClostridium thermocellum由来cbhAとcelKについての集積化効果を示す図である。 cbhAとcelKに3種類の全長型キメラ酵素の組み合わせ(TE2,PC2,7C)を添加した場合と、3種類のCD型キメラ酵素の組み合わせ(TE2-CD,PC2-CD,7C-CD)を添加した場合の、それぞれの集積化効果を示す図である。 各種キメラ酵素を集積化しない状態での相乗効果を示す図である。 酵母による各種酵素の活性型での生産結果を示す図である。
本明細書の開示は、バイオマスに含まれるセルロースを有効利用するための効果の高いキメラタンパク質の組み合わせを備えるセルラーゼ複合体及びその利用に関する。本明細書に開示されるキメラタンパク質の組み合わせは、相乗効果の高いセルラーゼの組み合わせであると同時に、コヘシン−ドックリン結合を利用してコヘシンタンパク質上に集積化させたときの相乗効果(集積効果)が高いセルラーゼの組み合わせでもある。したがって、このキメラタンパク質をコヘシンタンパク質上に保持させることで、セルロースの分解能力の良好な人工セルロソームを提供できる。また、この人工セルロソームによれば、効率的にセルロースを分解できる。また、こうした人工セルロソームを、セルロースを炭素源として含有する培地を含む発酵系に存在させることにより、直接セルロースを炭素源として利用して有用物質を発酵生産するCBPも効率的に実現できるようになる。
以下、本明細書の開示に含まれる種々の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書において用いる「GHF(Glycoside Hydrolase Family)」とは、CAZy(Carbohydrate active Enzymes)のホームページ(http://www.cazy.org/fam/acc_GH.html)において提供される、グリコシド加水分解酵素の分類である。
(セルラーゼの複合体)
本明細書に開示される非セルロソーム生産微生物由来のセルラーゼの複合体(以下、本セルラーゼ複合体)は、第1のキメラタンパク質、第2のキメラタンパク質及び第3のキメラタンパク質を有し、第3のキメラタンパク質の3種類のセルラーゼを、コヘシン−ドックリン結合によりコヘシンタンパク質上に備えている。
(第1のキメラタンパク質)
第1のキメラタンパク質は、非セルロソーム生産微生物由来であってGHF6に属するセロビオヒドロラーゼ(CBH)の活性ドメインとドックリンドメインとを少なくとも有するキメラタンパク質である。GHF6に属するCBHは、一般に、セルロースをその非還元末端から切断してセロビオースを生成するII型(CBH II)であるとされている。GHF6に属するCBH IIとしては、各種微生物に由来するものが知られている(http://www.cazy.org/fam/GH6.html)。第1のキメラタンパク質の活性ドメインが由来するCBHとしては、例えば、P. chrysosporium、A. oryzae及びT. reeseiに由来しGHF6に属するCBH IIが挙げられる。
本明細書において、例えば、「P. chrysosporiumに由来するCBH」とは、P. chrysosporiumに分類される微生物(野生株であっても変異株であってもよい。)が生産するCBH又は当該微生物の生産するタンパク質をコードする遺伝子を利用して遺伝子工学的手法によって得られたCBHをいう。したがって、P. chrysosporiumから取得したCBHをコードする遺伝子(又はその改変遺伝子)を導入した形質転換体によって生産された組換体タンパク質であるCBHも、P. chrysosporiumに由来するCBHに該当する。したがって、「P. chrysosporiumに由来するCBH」には、P. chrysosporiumと同属で異種の菌株や同種で他の菌株からそれぞれ取得されるCBHが含まれる。同様のことが「A. oryzaeに由来するCBH」に適用される。また、本明細書に開示される同様の表現についても上記と同様に定義される。
第1のキメラタンパク質の活性ドメインの取得源となるCBH IIは、例えば、P. chrysosporiumに由来する配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるPcCBH2が挙げられる。また、A. oryzaeに由来する配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるAoCBH2Aが挙げられる。さらに、第1のキメラタンパク質の活性ドメインの取得源となるCBH IIとしては、こうした公知の配列情報に基づいて取得できる他の態様のCBH IIを含めることができる。かかるCBH IIについては後段で説明する。好ましくは、P. chrysosporiumに由来するCBH IIが挙げられる。第1のキメラタンパク質における活性ドメインは、以上の各種のCBHIIから選択されるいずれかに由来することができる。なお、本セルラーゼ複合体は、異なる活性ドメイン及び/又はドックリンドメインを有する2以上の第1のキメラタンパク質を備えていてもよい。
(活性ドメイン)
第1のキメラタンパク質における活性ドメインは、公知のデータベースに基づいて、ドックリンリンとキメラ化した第1のキメラタンパク質としてCBH II活性を発揮できるアミノ酸配列配列を含むように選択される。活性ドメインはデータベースに応じて異なる場合がある。したがって、同じCBHについて一つのデータベースにより特定される活性ドメインが第1のキメラタンパク質の活性ドメインとして用いることができる場合もあるが、他のデータベースにより特定される活性ドメインでは第1のキメラタンパク質の活性ドメインとして用いることができない場合がある。
例えば、CBH IIにおいて、各種データベースにおいて決定されている活性ドメインのN末端側にセルロース結合ドメイン(CBD)を有するとき、CBDと活性ドメインとの間のリンカードメインの少なくとも一部、例えば、リンカードメインのうち活性ドメイン(CBD)に隣接するC末端側のアミノ酸配列を適当な長さ含むようにしてもよい。こうすることで、第1のキメラタンパク質においてCBH活性を発揮できる機能的な活性ドメインを取得できる場合がある。すなわち、このような構造を取るCBH IIの場合、活性ドメインのN末端側のアミノ酸配列は当該活性ドメインによる固有の活性に影響を及ぼす場合があるからである。P. chrysosporium由来のCBH IIは、そうした酵素構造を取る。したがって、例えば、P. chrysosporium由来のCBH IIに関しては、活性ドメインは配列番号3で表されるアミノ酸配列とすることができる。このアミノ酸配列は、あるデータベースにおける活性ドメインにさらにN末端側のCBDとのリンカードメインのうち活性ドメインに隣接するC末端側のアミノ酸配列を加えた配列でもある。また、例えば、P. chrysosporium由来のCBH IIに関し、配列番号4で表されるアミノ酸配列のように、活性ドメインとそのN末端側のリンカードメインの全ての配列とからなるアミノ酸配列を活性ドメインとしてもよい。また、CBD、リンカードメイン及び活性ドメインからなる、配列番号1で表されるアミノ酸配列を活性ドメインとしてもよい。
(ドックリンドメイン)
第1のキメラタンパク質は、ドックリンドメインを有している。ドックリンドメインは、コヘシン−ドックリン結合により後述するコヘシンタンパク質に第1のキメラタンパク質を結合させる部位である。ドックリンドメインは、例えば、表1に示すセルロソーム生産微生物のセルロソームを構成するセルラーゼの一部に備えられている。本セルラーゼ複合体に用いるドックリンドメインとしては、表1に示す各種のセルロソーム生産微生物のセルラーゼのドックリンドメインから選択される。好ましくは、C. thermocellumのエンドグルカナーゼのドックリンドメインを含むアミノ酸配列が挙げられる。より具体的には、C. thermocellumのcelAのドックリンドメイン(配列番号5)を含むアミノ酸配列が挙げられる。このドックリンドメインは、前記CelAの活性ドメインのC末端側に配置されており、その活性ドメインとのリンカー領域が、30アミノ酸残基程度のアミノ酸配列(配列番号6)となっている。こうしたリンカー配列は、セルラーゼ由来の天然であってもよいし、人工的であってもよいが、活性ドメインの活性確保及びドックリンドメインにおけるコヘシンドメインとの結合性を確保するために適宜備えられる。
ドックリンリンドメインは、活性ドメインのN末端側及びC末端側のいずれの側にあってもよいが、好ましくは、C末端側に配置される。
第1のキメラタンパク質は、セルロース結合ドメインを備えていてもよいが必ずしも備えていなくてもよい。例えば、P. chrysosporium由来のCBHの場合、CBDが成熟タンパク質のN末端側に配置されている。
こうした第1のキメラタンパク質としては、例えば、配列番号7(成熟タンパク質(CBD+リンカードメイン+活性ドメイン+ドックリン),配列番号8(活性ドメイン(リンカードメインのC末端側含む)+ドックリン)及び配列番号9(活性ドメイン(全リンカードメイン含む)+ドックリン)で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質が挙げられる。
(第2のキメラタンパク質)
第2のキメラタンパク質は、GHF7に属するCBHの活性ドメインとドックリンドメインとを有するキメラタンパク質である。GHF7に属するCBHは、一般に、セルロースをその還元末端から切断してセロビオースを生成するI型(CBH I)であるとされている。GHF7に属するCBHとしては、各種微生物に由来するものが知られている(http://www.cazy.org/fam/GH7.html)。なかでも、A. niger、A. aculeatus、P. chrysosporium及びT. reeseiに由来するCBHから選択される1又は2以上とすることができる。さらに、GHF7に属するCBH Iとしては、A. nigerに由来する配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるAncbhA、配列番号11で表されるアミノ酸配列からなるAncbhBが挙げられる。また、A. aculeatusに由来する配列番号12表されるアミノ酸配列からなるAaCBHIが挙げられる。また、P. chrysosporiumに由来する配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるPcCBH7Cが挙げられる。なかでも、P. chrysosporiumに由来するCBH Iを好ましく用いることができる。さらに、GHF7に属するCBH Iとしては、こうした公知の配列情報に基づいて取得できる他の態様のCBHを含めることができる。かかるCBH Iについては後段で説明する。GHF7に属するCBH Iは、以上の各種のCBH Iのなかから1又は2以上を組み合わせて用いることができる。第2のキメラタンパク質における活性ドメインは、以上の各種のCBH Iから選択されるいずれかに由来することができる。なお、本セルラーゼ複合体は、異なる活性ドメイン及び/又はドックリンドメインを有する2以上の第1のキメラタンパク質を備えていてもよい。
GHF6に属するCBH Iの活性ドメインは、GHF7に属するCBH Iの活性ドメインと同様、各種のデータベースから取得することができ、本明細書の開示に従ってキメラ化するにあたり、適切な領域が適宜選択される。例えば、P. chrysosporium由来のCBH Iに関しては、活性ドメインは配列番号14で表されるアミノ酸配列を有することが好ましい。
第2のキメラタンパク質もドックリンドメインを有している。第2のキメラタンパク質におけるドックリンドメインは、第1のキメラタンパク質におけるドックリンドメインと同様、セルロソーム生産微生物のセルロソームを構成するセルラーゼのドックリンドメインから選択される。第2のキメラタンパク質のドックリンドメインは、第1のキメラタンパク質のドックリンドメインと同一であっても異なっていてもよい。コヘシンタンパク質の構成をシンプルにするには、第1のキメラタンパク質のドックリンと共通するドックリンドメインを用いることが好ましい。例えば、すでに例示したC. thermocellumのcelAのドックリンドメインが挙げられる。第2のキメラタンパク質においても、ドックリンドメインは、活性ドメインのN末端及びC末端のいずれにあってもよいが、好ましくは、C末端に備えられる。
第2のキメラタンパク質は、セルロース結合ドメインを備えていてもよいが必ずしも備えていなくてもよい。例えば、P. chrysosporium由来のCBH Iの場合、CBDが成熟タンパク質のC末端側に配置されている。
こうした第2のキメラタンパク質としては、例えば、配列番号15(成熟タンパク質(活性ドメイン+リンカードメイン+CBD+ドックリン),配列番号16(活性ドメイン+ドックリン)で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質が挙げられる。
(第3のキメラタンパク質)
第3のキメラタンパク質は、GHF5に属するエンドグルカナーゼ(EG)の活性ドメインとドックリンドメインとを有するキメラタンパク質である。GHF5に属するEGは、各種微生物に由来するものが知られている(http://www.cazy.org/fam/GH5.html)。なかでも、T. reesei及びA. oryzaeに由来するEGから選択される1又は2以上とすることができる。さらに、GHF5に属するEGとしては、例えば、配列番号17で表されるアミノ酸配列からなるA. oryzaeに由来するAocelE及び配列番号18で表されるアミノ酸配列からなるT. reeseiに由来するTrEG IIが挙げられる。さらに、GHF5に属するEGとしては、こうした公知の配列情報に基づいて取得できる他の態様のEGを含めることができる。かかるEGについては後段で説明する。GHF5に属するEGは、以上の各種のEGのなかから1又は2以上を組み合わせて用いることができる。
GHF5に属するEGの活性ドメインは、GHF7に属するCBHの活性ドメインと同様、各種のデータベースから取得することができ、本明細書の開示に従ってキメラ化するにあたり、適切な領域が適宜選択される。T. reesei由来のEGは、P. chrysosporium由来のCBH IIのような酵素構造(活性ドメインのN末端側にCBDを備える構造)を採る。したがって、例えば、T. reesei由来のEGの活性ドメインは、既述のP. chrysosporium由来のCBH IIの活性ドメインに準じた構成で、配列番号19、配列番号20又は配列番号18で表されるアミノ酸配列を有することが好ましい。
第3のキメラタンパク質もドックリンドメインを有している。第3のキメラタンパク質におけるドックリンドメインは、第1及び第2のキメラタンパク質におけるドックリンドメインと同様、セルロソーム生産微生物のセルロソームを構成するセルラーゼのドックリンドメインから選択される。第3のキメラタンパク質のドックリンドメインは、第1のキメラタンパク質や第2のキメラタンパク質のそれぞれのドックリンドメインと同一であっても異なっていてもよい。コヘシンタンパク質の構成をシンプルにするには、第1のキメラタンパク質及び/又は第2のキメラタンパク質のドックリンと共通するドックリンドメインを用いることが好ましい。例えば、すでに例示したC. thermocellumのcelAのドックリンドメインが挙げられる。第3のキメラタンパク質においても、ドックリンドメインは、活性ドメインのN末端及びC末端のいずれにあってもよいが、好ましくは、C末端に備えられる。
第3のキメラタンパク質は、セルロース結合ドメインを備えていてもよいが必ずしも備えていなくてもよい。例えば、T. reesei由来のEGの場合、CBDが成熟タンパク質のN末端側に配置されている。
こうした第3のキメラタンパク質としては、例えば、配列番号21(成熟タンパク質(CBD+リンカードメイン+活性ドメイン+ドックリン),配列番号22(活性ドメイン(リンカードメインのC末端側含む)+ドックリン)及び配列番号23(活性ドメイン(全リンカードメイン含む)+ドックリン)で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質が挙げられる。
(コヘシンタンパク質)
コヘシンタンパク質は、第1〜第3のキメラタンパク質が有するドックリンドメインを結合する1又は2以上のコヘシンドメインを有している。これにより、コヘシンタンパク質は、第1〜第3のキメラタンパク質をコヘシン−ドックリン結合で保持でき、本セルラーゼ複合体の骨格として機能する。また、本セルラーゼ複合体は、異なるコヘシンドメインの組み合わせあるいは配列を有する2以上のコヘシンタンパク質を備えていてもよい。
(コヘシンドメイン)
コヘシンタンパク質が備える、1又は2以上のコヘシンドメインは、セルロソームのスキャホールディンタンパク質が備えるコヘシンドメインに由来している。セルロソームは、すでに説明したように、細菌の細胞表層に形成されるセルラーゼとそのセルラーゼが結合する骨格タンパク質(スキャホールディンタンパク質)との複合体である。
コヘシンドメインは、セルロソーム生産微生物の形成するセルロソームにおけるタイプI〜III骨格タンパク質に備えられる触媒活性のあるセルラーゼ等を非共有結合で結合するドメインとして知られている(粟冠ら、蛋白質核酸酵素、Vol.44、No.10(1999)、p41-p50、Demain, A. L., et al., Microbiol Mol. Biol Rev., 69(1), 124-54(2005), Doi, R. H., et al., J. Bacterol., 185(20), 5907-5914(2003)等)。すなわち、コヘシンドメインとしては、セルロソームのタイプI骨格タンパク質上のタイプIコヘシンドメイン、同タイプII骨格タンパク質上のタイプIIコヘシンドメイン及びタイプIII骨格タンパク質上のタイプIIIコヘシンドメインが挙げられる。こうした各種タイプのコヘシンドメインとしては、各種セルロソーム生産微生物において多数その配列が決定されている。これらの各種のタイプのコヘシンのアミノ酸配列及びDNA配列は、NCBIのHP(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)等を介してアクセス可能な各種のタンパク質データベースやDNA配列のデータベースにより容易に取得することができる。
コヘシンドメインは、こうしたコヘシンドメインに由来するドメインであって、キメラタンパク質のドックリンドメインと結合することができる。セルラーゼの活性ドメインへのドックリンドメインのキメラ化は活性ドメインの活性が意図せずに低下することなどにより困難な場合があることから、キメラタンパク質のドックリンドメインに応じてコヘシンドメインを選択することができる。また、コヘシン−ドックリン結合の強度等も考慮してコヘシンドメインを選択することができる。
本セルラーゼ複合体にあっては、例えば、キメラタンパク質のドックリンドメインが例えば、C. thermocellumのcelAのドックリンドメインに対して、C. thermocellumのスキャホールディンタンパク質のコヘシンドメイン(配列番号24)が挙げられる。
コヘシンドメインは、セルロソーム生産微生物に由来する天然のコヘシンドメイン又は対応するドッケリドメインに対する結合性を有する限りそのコヘシンのアミノ酸配列において1又は2以上の変異(付加、挿入、欠失及び置換)を導入した改変コヘシンドメインであってもよい。
コヘシンタンパク質には、1又は2以上のコヘシンドメインを備えている。コヘシンドメインの種類は、第1のキメラタンパク質〜第3のキメラタンパク質が備えるドックリンドメインよっても異なるが、本セルラーゼ複合体に共通に1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。2以上のコヘシンドメインを備える場合、2以上のコヘシンドメインは、1つのコヘシンタンパク質にタンデム状に備えられていてもよいし、2又はそれ以上のコヘシンタンパク質に分散して備えられていてもよい。コヘシンタンパク質上における2以上のコヘシンドメインは、ドックリンドメインを有するタンパク質の結合を妨げない程度のインターバルを置いて配置される。コヘシンタンパク質におけるコヘシンドメイン以外のアミノ酸配列は、天然のセルロソームの骨格タンパク質のアミノ酸配列を適宜参考にして決定することができる。
コヘシンタンパク質は、コヘシンドメイン以外に、タイプI〜IIIから選択される骨格タンパク質のセルロース結合ドメイン(CBD)を有していることが好ましい。CBDは、各種骨格タンパク質において基質であるセルロースに結合するドメインとして知られている(前述粟冠ら)。セルロース結合ドメインは、1又は2以上有していてもよい。各種のセルロソーム生産微生物のセルロソームにおけるCBDのアミノ酸配列及びDNA配列の多くが決定されている。これらの各種のCBDのアミノ酸配列及びDNA配列は、NCBIのHP(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)等を介してアクセス可能な各種のタンパク質データベースやDNA配列のデータベースにより容易に取得することができる。
本セルラーゼ複合体は、第1〜第3のキメラタンパク質のほか、β−グルコシダーゼ(BGL)活性を有するタンパク質をコヘシンタンパク質上に保持していてもよい。BGLは、セロビオース等を分解してグルコースを生成する。当該タンパク質は、BGLの活性ドメインとともにドックリンドメインを有して、コヘシン−ドックリン結合によってコヘシンタンパク質のコヘシンドメインに結合されたコヘシンタンパク質に保持されていることが好ましい。BGLは、セルロソーム生産微生物のほか、セルロース分解微生物が保持しており、これらのBGLのアミノ酸配列及びDNA配列の多くが決定されており、NCBIのHP(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)等を介してアクセス可能な各種のタンパク質データベースやDNA配列のデータベースにより容易に取得することができる。
なお、本セルラーゼ複合体に用いるのに好ましい第1〜第3のキメラタンパク質の活性ドメインやドックリンドメイン、コヘシンドメイン等は、当該ドメインについて公知の配列情報と一定の関係を有しかつ固有の活性や能力を有するドメインであってもよい。
こうしたドメインの一態様としては、例えばあるドメインについて開示される特定のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、固有の活性(能力)を有するドメインが挙げられる。各アミノ酸配列に対するアミノ酸の変異は、すなわち、欠失、置換若しくは付加は、いずれか1種類であってもよいし、2種類以上が組み合わされていてもよい。また、これらの変異の総数は、特に限定されないが、好ましくは、1個以上10個以下程度である。より好ましくは、1個以上5個以下である。アミノ酸置換の例としては、保存的置換が好ましく、具体的には以下のグループ内での置換が挙げられる。(グリシン、アラニン)(バリン、イソロイシン、ロイシン)(アスパラギン酸、グルタミン酸)(アスパラギン、グルタミン)(セリン、トレオニン)(リジン、アルギニン)(フェニルアラニン、チロシン)。
他の一態様としては、あるドメインについて開示される特定のアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ固有の活性(能力)を有するドメインが挙げられる。同一性は好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは、90%以上であり、一層好ましくは95%以上である。最も好ましくは、98%以上である。
本明細書において同一性又は類似性とは、当該技術分野で知られているとおり、配列を比較することにより決定される、2以上のタンパク質あるいは2以上のポリヌクレオチドの間の関係である。当該技術で“同一性 ”とは、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きのそのような配列間のアラインメントによって決定されるような、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間の配列不変性の程度を意味する。また、類似性とは、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きの部分的な配列間のアラインメントによって決定されるような、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間の相関性の程度を意味する。より具体的には、配列の同一性と保存性(配列中の特定アミノ酸又は配列における物理化学特性を維持する置換)によって決定される。なお、類似性は、後述するBLASTの配列相同性検索結果においてSimilarity と称される。同一性及び類似性を決定する方法は、対比する配列間で最も長くアラインメントするように設計される方法であることが好ましい。同一性及び類似性を決定するための方法は、公衆に利用可能なプログラムとして提供されている。例えば、AltschulらによるBLAST (Basic Local Alignment Search Tool) プログラム(たとえば、Altschul SF, Gish W, Miller W, Myers EW, Lipman DJ., J. Mol. Biol., 215: p403-410 (1990), Altschyl SF, Madden TL, Schaffer AA, Zhang J, Miller W, Lipman DJ., Nucleic Acids Res. 25: p3389-3402 (1997))を利用し決定することができる。BLASTのようなソフトウェアを用いる場合の条件は、特に限定するものではないが、デフォルト値を用いるのが好ましい。
さらに他の一態様として、あるドメインについて開示される特定のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAによってコードされ、固有の活性(能力)を有するドメインが挙げられる。ストリンジェントな条件とは、たとえば、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、塩基配列の同一性が高い核酸、すなわち、所定の塩基配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましく95%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAの相補鎖がハイブリダイズし、それより相同性が低い核酸の相補鎖がハイブリダイズしない条件が挙げられる。より具体的には、ナトリウム塩濃度が15〜750mM、好ましくは50〜750mM、より好ましくは300〜750mM、温度が25〜70℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは55〜65℃、ホルムアミド濃度が0〜50%、好ましくは20〜50%、より好ましくは35〜45%での条件をいう。さらに、ストリンジェントな条件では、ハイブリダイゼーション後のフィルターの洗浄条件が、通常はナトリウム塩濃度が15〜600mM、好ましくは50〜600mM、より好ましくは300〜600mM、温度が50〜70℃、好ましくは55〜70℃、より好ましくは60〜65℃である。なお、以上のことから、さらなる他の一態様として、所定の塩基配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましく95%以上の同一性を有する塩基配列を有するDNAによってコードされ、固有の活性(能力)を有するタンパク質が挙げられる。
本セルラーゼ複合体は、タンパク質の複合体として、それ自体独立した形態であってもよいし、適当なキャリアに固定化ないし保持されていてもよい。また、後述するように、酵母等の微生物の表層に提示された状態であってもよい。本セルラーゼ複合体は、例えば、それぞれのタンパク質を公知のタンパク質製造方法により取得し、これらのタンパク質を接触させる条件下において、コヘシンタンパク質に対してキメラタンパク質を自己集合させることにより、本セルラーゼ複合体を取得できる。
また、本セルラーゼ複合体は、その構成タンパク質のうち1又は2以上を分泌発現する微生物の培養上清又はそのタンパク質精製物を混合してすべての構成タンパク質を接触させて自己集合させることによって取得できる。なお、構成タンパク質のすべてが微生物によって分泌発現されなくてもよく、必要に応じ微生物によって生産されない構成タンパク質を別途製造して混合してもよい。また、構成タンパク質のすべてを分泌発現する微生物の場合、この微生物の培養上清に、これらタンパク質が自己集合可能な状態で含まれるため、その培養上清に、本セルラーゼ複合体を取得できる。
(セルラーゼ複合体を表層提示する真核微生物)
本セルラーゼ複合体を表層提示する真核微生物は、コヘシンタンパク質が細胞表層に結合させて保持させ(提示させた)コヘシンタンパク質のコヘシンドメインに、キメラタンパク質を結合させて保持することができる。本セルラーゼ複合体のこうした細胞表層提示形態によれば、本セルラーゼ複合体を表層提示する微生物が本セルラーゼ複合体によるセルロースの分解物であるグルコース等を利用して増殖、発酵が可能である場合に有利である。すなわち、CBPに好適である。また、当該微生物に本セルラーゼ複合体の構成タンパク質の一部又は全部を自己生産させることにより、構成タンパク質の取得工程を簡略化してセルロースの利用コストを低減することができる。
真核微生物は、特に限定しないが、例えば、公知の各種酵母を利用できる。後述するエタノール発酵等を考慮すると、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)等のサッカロマイセス属の酵母、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等のシゾサッカロマイセス属の酵母、キャンディダ・シェハーテ(Candida shehatae)等のキャンディダ属の酵母、ピヒア・スティピティス(Pichia stipitis)等のピヒア属の酵母、ハンセヌラ(Hansenula)属の酵母、トリコスポロン(Trichosporon)属の酵母、ブレタノマイセス(Brettanomyces)属の酵母、パチソレン(Pachysolen)属の酵母、ヤマダジマ(Yamadazyma)属の酵母、クルイベロマイセス・マーキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluveromyces lactis)等のクルイベロマイセス属の酵母が挙げられる。なかでも、工業的利用性等の観点からサッカロマイセス属酵母が好ましい。なかでも、サッカロマイセス・セレビジエが好ましい。また、真核微生物は、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・アキュリータス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus soya)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・サイトイ(Aspergillus saitoi)等の麹菌であってもよい。異種タンパク質を大量に発現させるには、セルラーゼ非生産菌がより好ましい。
本セルラーゼ複合体を表層提示する真核微生物は、コヘシンタンパク質をコードするDNAを、当該タンパク質を自己生産可能に保持していることが好ましい。コヘシンタンパク質をコードするコード化DNAは、真核微生物内において当該タンパク質を発現可能に保持されていればよく、その保持形態は特に限定されない。例えば、宿主微生物で作動可能なプロモーターの制御下に連結されるとともに適切なターミネーターをその下流に有した状態で保持されている。プロモーターは、構成的プロモーターであっても誘導的プロモーターであってもよい。このような状態のDNAは、宿主染色体内に組み込まれた形態であってもよいし、宿主核内に保持される2μプラスミドや核外に保持されるプラスミドのような形態であってもよい。一般には、こうした外来DNAの導入に伴って、宿主において利用可能な選択マーカー遺伝子も同時に保持されている。
コヘシンタンパク質は、真核微生物において細胞表層に提示(保持)されることが好ましい。コヘシンタンパク質に細胞表層提示性を付与するには、公知の分泌シグナルや表層提示用のシステムを用いることができる。例えば、分泌シグナルや凝集性タンパク質又はその一部のアミノ酸配列が付与される。分泌シグナルとしては、例えば、Rhizopus oryzaeやC. albicansのグルコアミラーゼ遺伝子の分泌シグナル、酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダーなどが挙げられる。また、凝集性タンパク質としては、α−アグルチニンをコードするSAG1遺伝子の5’領域の320アミノ酸残基からなるペプチドが挙げられる。また、所望のタンパク質を細胞表層に提示するためのポリペプチドや手法は、WO01/79483号公報や、特開2003−235579号公報、WO2002/042483号パンフレット、WO2003/016525号パンフレット、特開2006−136223号公報、藤田らの文献(藤田ら,2004. Appl Environ Microbiol 70:1207-1212および藤田ら, 2002. Appl Environ Microbiol 68:5136-5141.)、村井ら, 1998. Appl Environ Microbiol 64:4857-4861.に開示されている。
キメラタンパク質は、好ましくは、コヘシンタンパク質を自己生産し表層提示する真核微生物において自己生産される。第1〜第3のキメラタンパク質のうち、少なくとも1以上、好ましくは2以上、より好ましくはすべてのキメラタンパク質が自己生産される。コヘシンタンパク質を表層提示される真核微生物ですべてのキメラタンパク質が生産されない場合には、残りのキメラタンパク質を外部から供給するか、残りのキメラタンパク質を分泌発現する真核微生物とコヘシンタンパク質表層提示微生物と共培養される。
キメラタンパク質を自己生産する真核微生物は、キメラタンパク質をコードするDNAを、当該タンパク質を自己生産可能に保持していることが好ましい。キメラタンパク質をコードするコード化DNAは、コヘシンタンパク質のコード化DNAと同様、真核微生物内において当該タンパク質を発現可能に保持されていればよく、その保持形態は特に限定されない。キメラタンパク質は、細胞外に分泌される。こうすることで、真核微生物は増殖と同時に、細胞表層にコヘシンタンパク質を提示し、同時にキメラタンパク質が細胞外に分泌されて、キメラタンパク質はコヘシンタンパク質に結合され、結果として、本セルラーゼ複合体が細胞表層に提示される。セルラーゼなどの酵素は、本来的に細胞外分泌のためのシグナルを有していることが多い。ドックリンタンパク質に細胞外分泌性を付与するには、公知の分泌シグナルを用いることができる。分泌シグナルは、すでに説明したように、用いる真核微生物の種類に応じて適宜選択される。
キメラタンパク質は、コヘシンタンパク質を表層提示する真核微生物に対して外部から供給されてもよい。すなわち、酵母や大腸菌などを用いて得られるキメラタンパク質や無細胞合成系を用いて得られるキメラタンパク質であってもよい。表層提示用微生物とドックリンドメインを有するタンパク質の接触させる方法は特に限定しない。真核微生物が生存でき、タンパク質が変成しないpH、塩濃度、温度の液体中において、両者を混合等させればよい。適宜、撹拌により接触確率を向上させてもよい。
好適な真核微生物としては、第1のキメラタンパク質のコード化DNA、第2のキメラタンパク質のコード化DNA及び第3のキメラタンパク質のコード化DNAから選択される1又は2以上のコード化DNAを備え、これらキメラタンパク質を細胞外に分泌発現する、真核微生物が提供される。この真核微生物によれば、第1〜第3のキメラタンパク質を容易に取得できる。また、この真核微生物とコヘシンタンパク質を細胞表層に提示する真核微生物と共培養するか、キメラタンパク質を分泌発現する真核微生物の培養上清とコヘシンタンパク質を表層提示する微生物に供給することで、容易に細胞表層に本セルラーゼ複合体を表層提示する真核微生物を得ることができる。
本セルラーゼ複合体を細胞表層提示する真核微生物は、BGLを分泌発現することが好ましい。こうすることで、BGLを外部添加することなく本微生物によりセルロースをグルコースにまで糖化できる。真核微生物は、BGLを分泌発現するように外来性のBGLのコード化DNAを導入したものであることが好ましい。BGLは、さらに真核微生物の細胞表層に保持されるようにすることが好ましい。その場合、本セルラーゼ複合体のコヘシンタンパク質に保持させるようにしてもよいし、別個に細胞表層に提示させるようにしてもよい。
以上説明した本明細書に開示される真核微生物及びタンパク質を細胞表層提示した真核微生物は、いずれも、モレキュラークローニング第3版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー等に記載されている方法に準じて作製することができる。真核微生物の形質転換のためのベクター及びその構築方法は、当業者において周知であって、モレキュラークローニング第3版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー等に開示されている。また、コヘシンタンパク質やドックリンドメインを有するタンパク質を真核微生物において発現させるためのベクター及びその構築方法も、同様に、当業者において周知である。なお、ベクターの形態は、使用形態に応じて様々な形態を採ることができる。例えば、DNA断片の形態を採ることができるほか、2マイクロプラスミドなどの適当な酵母用ベクターの形態を採ることもできる。
このようなベクターで真核微生物を形質転換することによって本明細書に開示される真核微生物を得ることができる。形質転換にあたり、従来公知の各種方法、例えば、トランスフォーメーション法や、トランスフェクション法、接合法、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、酢酸リチウム法等を用いることができる。
本明細書に開示される本セルラーゼ複合体及び当該複合体を表層提示する微生物は、これらのキメラタンパク質によるセルロースの分解のための相乗効果がコヘシンタンパク質への集積化によってより増強されている。したがって、セルロースの効率的分解に有用である。セルロースとしては、その誘導体も包含する。また、セルロースのグルコースの重合度は特に限定しない。誘導体としては、カルボキシメチル化、アルデヒド化、若しくはエステル化などの誘導体が挙げられる。また、セルロースは、その部分分解物を含むものであってもよい。さらに、セルロースは、配糖体であるβ−グルコシド、リグニン及び/又はヘミセルロースとの複合体であるリグノセルロース、さらにペクチンなどとの複合体であってもよい。セルロースは、結晶性セルロースであってもよいし、非結晶性セルロースであってもよい。セルロースの由来も特に限定しないで、天然由来のものでも、人為的に合成したものでもよい。
セルロースは、通常、セルロースの他に併存成分を含むセルロース含有材料として分解に供される。セルロース含有材料は、少なくともセルロースを含んでいれば足り、綿や麻などの天然繊維品、レーヨン、キュプラ、アセテート、リヨセルなどの再生繊維品、稲ワラ、籾殻、木材チップなどのリグノセルロース系の農産廃棄物などのいわゆる実バイオマスであってもよいし、その前処理物であってもよい。また、セルロースは、前処理されたセルロース又はセルロース含有材料であってもよい。前処理とは、例えば、セルロースとともにリグニンやヘミセルロースが併存する状態の材料に対して、それらの複合状態を緩和するあるいは解除するような処理又は結晶性セルロースの結晶性を低下させるような処理が挙げられる。このような処理としては、例えば、水熱処理やイオン液体により処理が挙げられる。水熱処理としては、例えば、180℃〜240℃の温度で、30分から90分程度処理することが挙げられる。また、イオン液体による処理としては、60℃〜150℃で30分から2時間程度、疎水性又は親水性イオン液体に浸漬するなどの処理等が挙げられる。
本セルラーゼ複合体及び当該複合体を細胞表層に提示する真核微生物は、その増強された相乗効果により、セルロースの分解、糖化、及び糖化と発酵とを同時進行させるCBP(連結バイオプロセス(糖化発酵同時進行))において、セルロースの分解効率を高めて、セルロースの効率的利用を具現化することができる。
なお、本明細書の開示によれば、本セルラーゼ複合体を構成する第1〜第3のキメラタンパク質及び当該キメラタンパク質をコードするDNAも提供される。
(キメラタンパク質及び当該キメラタンパク質をコードするDNA)
本明細書の開示によれば、キメラタンパク質であって、非セルロソーム生産微生物に由来しGHF6に属するセロビオヒドロラーゼ又はGHF5に属するエンドグルカナーゼの活性ドメインと、ドックリンドメインと、を有し、ドックリンドメインを活性ドメインのC末端に有するとともに、セロビオヒドロラーゼ又はエンドグルカナーゼにおいてそのN末端側に備えられるセルロース結合ドメインとその活性ドメインとの間のリンカードメイン中の少なくとも一部のアミノ酸配列を前記活性ドメインのN末端に備える、キメラタンパク質が提供される。このキメラタンパク質によれば、非セルロソーム生産微生物のセルラーゼをセルロソーム生産微生物由来のコヘシンドメインを有するコヘシンタンパク質に結合させて、そのセルラーゼ固有の活性又は能力をコヘシンタンパク質上で発現させることができる。ドックリンリンドメインは、C. thermocellumのエンドグルカナーゼ由来のドックリンリンドメインとしてもよい。
(有用物質生産方法)
本明細書に開示される有用物質の生産方法は、微生物の発酵により有用物質を生産する方法であって、発酵のための真核微生物の細胞外又は細胞表層に本セルラーゼ複合体を存在させた状態で前記真核微生物により、セルロースを少なくとも含む炭素源を発酵して前記有用物質を生産する工程、を備えることができる。本生産方法によれば、セルロース分解活性に大きな相乗効果を有するセルラーゼの組み合わせが、コヘシンタンパク質へ集積化されることにより、一層相乗効果がより増強される。この結果、効率的にセルロースを分解して、発酵のための真核微生物がセルロース由来の炭素源を供給できる。このため、効率的なCBPが可能となる。なお、細胞表層に本セルラーゼ複合体を存在させて行うとき、発酵のための真核微生物は、本明細書に開示される複合体表層提示微生物である。
前記生産工程では、真核微生物の細胞外又は細胞表層に、BGLを存在させて行う工程としてもよい。第1〜第3のキメラタンパク質を保持する本セルラーゼ複合体のセルロース分解産物はセロビオースであるため、グルコースまでの糖化にはBGLが必要となるからである。好ましくは、発酵用微生物がBGLを細胞外に分泌するか又は細胞表層に提示することが好ましい。
発酵用の真核微生物は、酵母などのエタノール生産微生物や麹菌等、すでに説明した複合体表層提示微生物を好ましく用いることができる。真核微生物は、人工的に取得された微生物であってもよい。例えば、グルコースからの代謝系の1種又は2種以上の酵素を遺伝子組換えにより置換、追加等して得られる本来の代謝物でない化合物を産生可能に遺伝子工学的に改変したものであってもよい。このような微生物を用いることで、例えば、イソプレノド合成経路の追加によるファインケミカル(コエンザイムQ10、ビタミン及びその原料等)、解糖系の改変によるグリセリンの生産、プラスチック・化成品原料を生産するなどのバイオリファイナリー技術に適用できる。有用物質としては特に限定しないが、グルコースを利用して微生物が生成可能なものが好ましく、上記したように、バイオリファイナリー技術全般にわたる物質を対象とすることができる。
なお、本セルラーゼ複合体及び複合体表層提示微生物は、CBPのみならず、セルロースの低分子化及び糖化にも有用である。すなわち、本明細書の開示によれば、本セルラーゼ複合体又は複合体表層提示微生物を用い、必要に応じてBGLを共存させて、セルロースを低分子化するセルロース分解工程を備える、セルロースの低分子化方法も提供される。本方法によれば、効率的にセルロースを低分子化し、セルロースオリゴマー又はグルコースを生産できる。BGLは、複合体表層提示微生物に表層提示又は分泌発現されるものであることが好ましい。
なお、この分解工程において、セルロースを効率的にセルロースオリゴマーにまで分解するには、BGLの実質的な非存在下でセルロースを分解し、その後、BGLでグルコースまで分解することが好ましい場合もある。BGLによる生産物阻害の影響を回避又は抑制できるからである。なお、「BGLの実質的な非存在下」とは、BGLが存在しないほか、BGLによる生産物阻害を回避又は抑制できる範囲でBGLが存在していてもよい、ことを意味している。
以下、本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下に述べる遺伝子組換え操作は既出のMolecular Cloningに従い行った。
(各種カビ由来セルラーゼへのドックリン配列の付加)
P. chrysosporium由来のGHF6のCBH(以下、PcCBH2)、P. chrysosporium由来GHF7のCBH(以下、PcCBH7C)、T. reesei由来GHF5のEG(以下、TrEG2)の酵素の各アミノ酸配列(配列番号1,13,18)C末端の終始コドンを削除し、C. thermocellum由来のcelA由来であって、その活性ドメインへのリンカーを含むドックリン配列(配列番号25)を付加したキメラ遺伝子(以下、PC2、7C、TE2、配列番号7,15、21)を作製した。意図したキメラ酵素の構造を図1に示す。図1中、最上段に天然の成熟型の酵素を示し、2段目に、本実施例で作製したキメラ酵素(以下、TEG2、PC2、7C)を示す。本実施例のキメラ酵素は、いずれもセルロース結合ドメイン(CBD)を備えている。
(触媒ドメイン酵素の作製とドックリン配列の付加)
実施例1で作製したキメラ酵素には、セルロース結合ドメイン(以下、CBD)と触媒ドメイン(以下、CD)があることから、PC2、7C及びTE2につき、それぞれCBDを削除し、CDのみの酵素(CD)(配列番号26,14,27)及びこれらのCDに実施例1と同様のドックリン配列を付加したキメラ酵素(CD+doc)(配列番号28,16,29)を作製した。また、PC2とTE2に関しては、それぞれCDに関するデータベースにおいて最も広範囲な配列を持つCD部分(pCD)にドックリン配列を付加したキメラ酵素(pCD+doc)(配列番号8,22)を作製した。更に、これらの酵素については、各CDのN末側のリンカー配列をすべて付加したCDにドックリン配列を付加したキメラ酵素(Linker+CD+doc)(配列番号9,23)を作製した。図1に、構築したこれらの酵素の概要を示す。
(大腸菌由来無細胞合成系による各種酵素の活性型での生産)
実施例1及び2で作製したこれらのキメラの酵素を以下に示す大腸菌無細胞合成系によって取得し、CMCに対する活性は、以下のようにして測定した。すなわち、0.5%CMCを含有する寒天プレートに無細胞合成液各1μlをスポットし、40℃で24時間反応後に、染色液(コンゴーレッド)を滴下重層して染色し、セルラーゼが反応して反応して脱色されたハロの大きさを測定し、相対活性とした。結果を合わせて図1に示す。なお、野生型において得られた活性を100として各キメラ酵素の活性を相対活性で表した。
各キメラ酵素の上流側に、開始コドン、T7 promoter、rbs(リボソーム結合部位)をPCRにより連結した。下流側には、T7 terminatorをPCRにより連結した。全長のPCR産物をエタノール沈殿したものを、転写翻訳反応の鋳型として用いた。シャペロン(大腸菌由来のDnaK/DnaJ, GrpE, GroEL/GroES)を高発現した大腸菌を破砕後、S30画分を還元剤(ジチオスレイトール;DTT)未添加で調製したものを無細胞合成の抽出液として用いた。大腸菌抽出液に、上記の鋳型DNA、56.4mM Tris-acetate,pH7.4、1.2mM ATP、1mM GTP、1mM CTP、1mM UTP、40mMクレアチンフォスフェート、0.7mM 20アミノ酸ミックス、4.1%(w/w)ポリエチレングリコール6000、35μg/ml フォリン酸、0.2mg/ml大腸菌tRNA、36mM酢酸アンモニウム、0.15mg/mlクレアチンキナーゼ、10mM 酢酸マグネシウム、100mM酢酸カリウム、10μg/mlリファンピシン、7.7μg/ml T7 RNAポリメラーゼ及びカビ由来PDI(特開平06-038752)と1mM GSH/0.1mM GSSGを加え、26℃、1〜3時間、転写翻訳共役反応を行なった。
図1に示すように、7Cにおいては、CDのみの酵素(CD)、及びCDのみの酵素にドックリンを付加したキメラ酵素(CD+doc)も野生型等と同様の活性を示した。一方、TE2とPC2ではCD+docに活性が認められなかった。さらに、pCD+docとしたとき、活性が認められた。さらにまた、各CDのN末端側にリンカー配列を付加し、C末端にドックリン配列を付加した(linker+CD+doc)でも活性を認めた。これらのことから、コヘシンドメインを有するコヘシンタンパク質へのセルラーゼの集積化には、各セルラーゼについての全長型キメラ酵素(野生型+doc)を用いるとともに、CD型キメラ酵素としては、PcCBH7Cについては、キメラ酵素(CD+doc:以下、7C-CD)、PcCBH2については、キメラ酵素(linker+CD+doc:以下、PC2-CD)、TrEG2については、キメラ酵素(pCD+doc:TE2-CD)を用いることとした。
(酵母によるコヘシンの発現と表層への固定化)
特開2009-142260に開示されるコヘシンタンパク質(コヘシンドメイン4個とCBD3とaga2)(配列番号30)を分泌発現する酵母を用いて、コヘシンタンパク質(4個のコヘシン+CBD3+aga2)を発現させた。コヘシンタンパク質は、酵母表層に提示させたaga1タンパク質と結合することにより、酵母表層に提示した。ネガティブコントロール株として、aga1タンパク質(配列番号31)のみを発現した酵母を用いた。
(足場タンパク質発現酵母へのドックリン付加キメラ酵素の結合)
実施例4の酵母660nmのODが5.0の酵母懸濁液100μlに、実施例3で生産した無細胞合成による結合させようとするキメラ酵素と1mMCaCl2を含む50mM酢酸バッファーpH5.0を合わせて300μlとなるように添加し、4℃で1〜5時間、放置した。その間、30分に1回程度、混合した。その後、1mMCaCl2を含む50mM酢酸バッファーpH5.0で菌体を2回洗浄し、100μlの50mM酢酸バッファーpH5.0に懸濁した。ネガティブコントロール株の酵母に無細胞合成酵素を添加したものでも同様に実施した。また、C. thermocellum由来のcelK及びcbhAについても、同様にして集積化させた。
(集積化効果の評価)
実施例5でキメラ酵素を表層に結合した酵母100μlに、1%PSC(リン酸膨潤アビセル) 100μlを加えて、40℃で反応し、0時間と4時間後の分解活性を測定した。分解活性は、還元糖量をTZアッセイ法を用いて測定することにより実施した。結果を図2〜図5に示す。縦軸の還元糖量は、キメラ酵素を表層提示した酵母の4時間後の活性から、キメラ酵素を表層提示した酵母の0時間の活性とネガティブコントロール株の酵母を用いた場合の活性を引いた値を示す。
図2に、カビ由来のドックリンを付加した全長型キメラ酵素による集積化効果を示す。図の左から、TE2・7C・PC2;それぞれ単独酵素の場合の活性、全長型キメラ酵素の2種の組み合わせ(TE2,7C);TE2と7Cを同時に添加結合した場合の活性について、単独での活性を相加した予測値と実測値、全長型キメラ酵素の3種の組み合わせ(TE2,PC2,7C);3種類を同時に添加結合した場合の活性について、単独での活性を相加した予測値と実測値を示す。図3には、図2と同様に、CDのみにドックリンを付加したCD型キメラ酵素を用いた実験結果を示す。
図2に示すように、全長型キメラ酵素の組み合わせについての集積化効果(実測値/相加予測値)は、2種類の全長型キメラ酵素の組み合わせ(TE2,7C)では3.5倍、3種類の全長型キメラ酵素の組み合わせ(TE2,PC2,7C)では6.4倍であった。また、図3に示すように、CD型キメラ酵素の集積化効果は、2種類のCD型キメラ酵素の組み合わせ(TE2-CD,7C-CD)では3.5倍、3種類のCD型キメラ酵素の組み合わせ(TE2-CD,PC2-CD,7C-CD)では6.5倍に向上していた。これらの結果から、これらの組み合わせ、すなわち、2種類及び3種類の非セルロソーム生産微生物由来のセルラーゼ活性を有するキメラタンパク質のコヘシン−ドックリン結合を介したコヘシンタンパク質への集積化が、有効であることがわかった。
また、図4には、セルロソーム生産微生物由来のセルラーゼであるClostridium thermocellum由来cbhAとcelKについての集積化効果の測定結果を示す。図4に示すように、コヘシンタンパク質への集積化効果は1.7倍であった。図5には、cbhAとcelKに3種類の全長型キメラ酵素の組み合わせ(TE2,PC2,7C)を添加した場合と、3種類のCD型キメラ酵素の組み合わせ(TE2-CD,PC2-CD,7C-CD)を添加した場合の、それぞれの実測値と相加予測値を示した。集積化効果は、それぞれ、1.6倍と1.3倍であった。
以上のことから、非セルロソーム生産微生物由来のセルラーゼ活性を有するキメラタンパク質(キメラ酵素)は、C. thermocellumなどのセルロソーム生産微生物由来のセルラーゼよりも、コヘシンへの集積効果が予想を超えて高いことがわかった。
(未集積化での相乗効果の評価)
実施例7においてキメラ酵素に認められた活性が、酵素の組み合わせによる相乗効果のみでなく、コヘシン上に集積化したことによる集積化効果が寄与していることを確認するために、全長型キメラ酵素(TE2、PC2、7Cの3種類)と、CD型キメラ酵素(TrEG2-CD、PC2-CD、7C-CDの3種類)を用いて、コヘシンと結合させない状態(集積化させない状態)で単に混合した状態での活性を評価した。結果を図6に示す。
図6に示すように、全長型キメラ酵素(TE2,PC2,7C)の相乗効果では、各酵素単独の活性を相加した相加予測値と比較して、約1.3倍の相乗効果が認められた。CD型キメラ酵素(TE2-CD,PC2-CD,7C-CD)では、各酵素単独の活性を相加した相加予測値と比較して、約1.4倍の相乗効果が認められた。実施例7におけるコヘシンへ集積化した場合の活性の方が、実施例8における集積化していない場合の活性よりも明らかに高いことから、実施例7で認められた活性は、コヘシン上でのこれらのキメラ酵素の集積化効果が大きく寄与していることを確認できた。
以上のことから、本明細書に開示されるキメラタンパク質の組み合わせは、これらをコヘシンタンパク質に集積化させるのに極めて有効な組み合わせであることがわかった。また、本来的に相乗効果がある非セルロソーム生産微生物由来のセルラーゼ活性を有するキメラタンパク質を集積化することにより、更に相乗効果を高められることがわかった。
(酵母による各種酵素の活性型での生産)
全長型キメラ酵素(TE2、PC2、7Cの3種類)をPCRで増幅し、酵母分泌発現ベクターであるpRS436GAPSSRGにサブクローニングした。pRS436GAPSSRG はTDH3プロモーター下流に、分泌シグナルを持ち菌体外に酵素を分泌する事が可能である。本ベクターを酵母(BJ5465株)に形質転換し、SD-URA寒天培地(yeast nitrogen base without amino acids without ammonium sulfate 1.7g、カザミノ酸5g、アミノ酸mix、グルコース20g、寒天20g、脱イオン水1000ml)で30℃、3日間培養した。生育したコロニーを各4クローンずつSD-URA液体培地(yeast nitrogen base without amino acids without ammonium sulfate 1.7g、カザミノ酸5g、-URAアミノ酸mix 0.77g、グルコース20g、脱イオン水1000ml)に植菌し、30℃、20時間、前培養し、1/100量を同培地に植菌して本培養とした。培養上清を回収し、限外ろ過フィルターで10倍に濃縮し、CMCプレートへ1μlスポットした。22時間反応後にコンゴレッド染色し、脱色した。ハロの面積を算出し、相対活性で示した結果を、図7に示す。図7に示すように、ドックリン配列を付加した各種酵素は、酵母において活性型で発現できることがわかった。

Claims (17)

  1. セルラーゼの複合体であって、
    非セルロソーム生産微生物に由来しGHF6に属するセロビオヒドロラーゼの活性ドメインとドックリンドメインとを有する第1のキメラタンパク質と、
    非セルロソーム生産微生物に由来しGHF7に属するセロビオヒドロラーゼの活性ドメインとドックリンドメインとを有する第2のキメラタンパク質と、
    非セルロソーム生産微生物に由来しGHF5に属するエンドグルカナーゼ(EG)の活性ドメインとドックリンドメインとの第3のキメラタンパク質と、
    前記第1、第2及び第3のキメラタンパク質の前記ドックリンドメインと結合する1又は2以上コヘシンドメインを有するコヘシンタンパク質と、
    を備え、
    前記コヘシンタンパク質上に前記第1、第2及び第3のキメラタンパク質をコヘシン−ドックリン結合によって保持する、複合体。
  2. 前記第1のキメラタンパク質及び前記第3のキメラタンパク質のいずれかあるいは双方は、さらに、そのN末端に、前記セロビオヒドロラーゼ又は前記エンドグルカナーゼにおいて前記活性ドメインのN末端側に備えられるセルロース結合ドメインとの間のリンカードメイン中の少なくとも一部のアミノ酸配列を備える、請求項1に記載の複合体。
  3. 前記ドックリンドメインは、Clostridium thermocellumのエンドグルカナーゼ由来のドックリンドメインである、請求項1又は2に記載の複合体。
  4. 前記GHF6に属するセロビオヒドロラーゼは、Phanerochaete chrysosporium由来のセロビオヒドロラーゼである、請求項1〜3のいずれかに記載の複合体。
  5. 前記GHF7に属するセロビオヒドロラーゼは、Phanerochaete chrysosporium由来のセロビオヒドロラーゼである、請求項1〜4のいずれかに記載の複合体。
  6. 前記GHF5に属するエンドグルカナーゼは、Trichoderma reesei由来のエンドグルカナーゼである、請求項1〜5のいずれかに記載の複合体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の複合体を細胞表層に提示する真核微生物。
  8. 前記真核微生物は、非セルラーゼ生産微生物である、請求項7に記載の真核微生物。
  9. セルラーゼを生産する真核微生物であって、
    非セルロソーム生産微生物に由来しGHF6に属するセロビオヒドロラーゼの活性ドメインとドックリンドメインとを有する第1のキメラタンパク質をコードする第1のDNAと、
    非セルロソーム生産微生物に由来しGHF7に属するセロビオヒドロラーゼの活性ドメインとドックリンドメインとを有する第2のキメラタンパク質をコードする第2のDNAと、
    非セルロソーム生産微生物に由来しGHF5に属するエンドグルカナーゼの活性ドメインとドックリンドメインとを有する第3のキメラタンパク質をコードする第3のDNAと、
    を備え、
    前記第1、第2及び第3のキメラタンパク質を細胞外に分泌発現する、真核微生物。
  10. 前記第1のキメラタンパク質上の前記ドックリンドメイン、前記第2のキメラタンパク質上の前記ドックリンドメイン及び前記第3のキメラタンパク質上の前記ドックリンドメインと結合する1又は2以上のコヘシンドメインを備えるコヘシンタンパク質をコードするDNAを備え、
    前記コヘシンタンパク質を細胞表層に提示する、請求項9に記載の真核微生物。
  11. 細胞表層に提示した前記コヘシンタンパク質上に、前記第1、第2及び第3のキメラタンパク質をコヘシン−ドックリン結合により保持する、請求項10に記載の真核微生物。
  12. 前記ドックリンドメインは、Clostridium thermocellumのエンドグルカナーゼ由来のドックリンドメインである、請求項9〜11のいずれかに記載の真核微生物。
  13. キメラタンパク質であって、
    非セルロソーム生産微生物に由来し、GHF6に属するセロビオヒドロラーゼ又はGHF5に属するエンドグルカナーゼの活性ドメインと、
    ドックリンドメインと、
    を有し、
    前記ドックリンドメインを前記活性ドメインのC末端に有するとともに、
    前記セロビオヒドロラーゼ又は前記エンドグルカナーゼにおいてそのN末端側に備えられるセルロース結合ドメインとその活性ドメインとの間のリンカードメイン中の少なくとも一部のアミノ酸配列を前記活性ドメインのN末端に備える、キメラタンパク質。
  14. 前記少なくとも一部のアミノ酸配列は、前記リンカードメインのうちその活性ドメインに隣接するC末端側の適当長の長さのアミノ酸配列である、請求項13に記載のキメラタンパク質。
  15. 請求項13又は14に記載のキメラタンパク質をコードするDNA。
  16. 微生物の発酵により有用物質を生産する方法であって、
    発酵のための真核微生物の細胞外又は細胞表層に請求項1〜6のいずれかにセルラーゼの複合体を存在させた状態で前記真核微生物により、セルロースを少なくとも含む炭素源を発酵して前記有用物質を生産する工程、を備える、方法。
  17. 前記生産工程は、前記真核微生物の細胞外又は細胞表層に、β−グルコシダーゼを存在させて行う工程である、請求項16に記載の方法。
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