JP2011181326A - 光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】光電変換効率を大幅に向上させるとともに耐久性に優れたゲル電解質を含有させて、長期にわたり安定した光電変換を行うことが可能な光電変換素子を提供する。
【解決手段】少なくとも、基体2、第1電極3、光電変換層5、電解質層6、第2電極4を有し、光電変換層5にイミダゾロン構造を有する化合物を担持させた半導体材料を含有させ、電解質層6に少なくとも電解液とスメクタイト類を含有するゲル電解質を含有する光電変換素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、光のエネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する光電変換素子に関する。
太陽電池に代表される光電変換素子は、光のエネルギーを電気エネルギーに変換して各種機器に電力を供給する素子で、環境にやさしく無限に存在する太陽光エネルギーを用いることからシリコンを用いた太陽電池等が従来より検討されてきた。シリコンを用いた太陽電池には、人工衛星等に用いられる単結晶シリコン型の太陽電池の他に、多結晶シリコンを用いたものやアモルファスシリコンを用いた太陽電池が産業用や家庭用として普及しつつある。また、携帯電話や携帯端末機等の各種携帯用情報機器の普及に伴い、これらコンパクトな装置にスムーズにセットして安定した電力供給が行える様に、可撓性を有する太陽電池も登場している。これらシリコンを用いた太陽電池は、いずれも、大型で高価な製造装備が必要な上に原料価格も高く製造コストに課題を有し、また、製造時のエネルギー消費量や光電変換効率にも課題を有しており、必ずしも省エネ対応で環境にやさしい電源とはいえなかった。
この様な背景から、シリコンを用いた太陽電池に代わる新しいタイプの光電変換素子の開発が検討される様になり、その中でも色素増感型太陽電池と呼ばれるタイプの光電変換素子の開発が注目される様になった(たとえば、非特許文献1参照)。前記非特許文献1に開示された光電変換素子は、ルテニウム錯体で分光増感させた酸化チタンを用いたもので、半導体材料である酸化チタンを高純度に精製する手間をかけずに可視光領域での光電変換を可能にした。しかしながら、錯体化合物を構成するルテニウム原子は貴金属原子の1つであり、ルテニウム錯体は安定供給の側面で不安を有することや、経時での安定性にも懸念があるため、量産の見地から不向きであると考えられた。
一方、ルテニウム錯体を用いて得られるレベルの光電変換効率が期待される有機色素を用いた光電変換素子の検討も進められていた。すなわち、有機色素は合成により安定供給を実現することから、高い光電変換効率の発現が期待できる構造の有機色素を見出すことにより、その可能性を実現させる試みがなされていた。この様な検討の末、たとえば、ローダニン骨格を有するアミン化合物を用いた光電変換素子では、従来の有機色素では得られなかったレベルの光電変換効率を発現できる知見が得られた(たとえば、特許文献1参照)。この様に、高い光電変換効率の発現が可能な有機色素が見出される様になり、光電変換素子を開発する研究者の間では、新たな有機色素を見出すことにより光電変換効率のさらなる向上を実現する光電変換素子の開発に拍車がかかる様になった。
ところで、色素増感型光電変換素子では液状の電解質が用いられていたが、電解液の漏洩や揮発の発生により光電変換効率が急激に低下する課題を有する一方、光電変換層に十分な浸透性を発現できるので光電変換効率の向上には不可欠なものと考えられていた。そこで、電解液に対して漏洩や揮発は発生せず、かつ、光電変換層への十分な浸透性の確保の実現という相反する2つの課題を両立させる検討が進められた。そして、高分子化合物等の添加により電解液にゾル−ゲル転移の性能を付与させたゲル電解質を光電変換素子に適用させる技術が現れた(たとえば、特許文献2参照)。
ゲル電解質は、電解液中に分子量の高い物質を添加することにより、電解液の粘度が高まり液の流動性が抑えられ、電解液の漏洩や揮発の発生を防ぐことができる。しかしながら、漏洩を防止するレベルの粘度になるまで分子量の高い物質を添加した場合、電解液本来の機能である電荷輸送性能を阻害して、光電変換効率を低下させるおそれがあった。
そこで、少ない添加量でゲル化が可能なスメクタイト類と呼ばれる粘土鉱物を用いて電荷輸送性能の低下を防ぐ様にした光電変換素子が開発された(たとえば、特許文献3参照)。
特開2005−123033号公報 特開2004−87202号公報 特開2007−188809号公報
B.O’Regan,M.Gratzel,Nature,353,737(1991)
ところで、太陽電池に代表される光電変換素子は、温室効果ガス排出の原因となる化石燃料に依存しないタイプの電力供給源として、また、携帯や持ち運びに有利な小型で分散型の電源としてメリットを有している。そして、温室効果ガス排出削減に対する世界的な気運が高まっている最近の状況から、有機色素を用いた光電変換素子の開発においては、光電変換効率を飛躍的に向上させる有機色素の開発と耐久性向上に関する検討がこれまで以上に行われる様になった。
しかしながら、上記有機色素を用いた光電変換素子の開発では、得られる光電変換効率が従来のシリコン系の太陽電池に比べて十分なものが得られず、さらなる検討が求められていた。とりわけ、電解液の漏洩防止のためにゲル電解質を用いた光電変換素子では、光電変換効率のさらなる向上が求められていた。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、電解液にゲル電解質を用いた光電変換素子であっても、電解液の漏洩がなく、かつ、高い光電変換効率が得られる光電変換素子を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題が以下に記載のいずれかの構成により解消されるものであることを見出した。すなわち、請求項1に記載の発明は、
『少なくとも、基体、第1電極、光電変換層、電解質層、第1電極に対向させて配置された第2電極を、この順に設置してなる光電変換素子であって、
前記光電変換層は、少なくとも下記一般式(1)で表される化合物を担持させた半導体材料を含有するものであるとともに、
前記電解質層は、少なくとも、電解液とスメクタイト類を含有するゲル電解質を含有するものであることを特徴とする光電変換素子。
Figure 2011181326
〔式中、Arは置換または未置換のアリーレン基、RとRは置換または未置換のアルキル基またはアリール基を表し、Ar、R、Rは互いに連結して環状構造を形成してもよい。RとRは水素原子、置換または未置換のアルキル基を表す。Rは酸性基Xで置換されたアルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルセレノ基を表し、RはさらにX以外の置換基を有してもよい。mは1以上の整数を表し、mが2以上の場合、酸性基Xは同じものでも異なるものであってもよい。〕』というものである。
請求項2に記載の発明は、
『前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
Figure 2011181326
〔式中、Arは置換または未置換のアリーレン基、RとRは置換または未置換のアルキル基またはアリール基を表し、Ar、R、Rは互いに連結して環状構造を形成してもよい。RとRは水素原子、置換または未置換のアルキル基を表す。また、Yはイオウ原子、酸素原子、セレン原子のいずれかを表し、RとRは水素原子を表す。nは1以上の整数を表し、Xは酸性基を表す。〕
請求項3に記載の発明は、
『前記一般式(2)で表される化合物中のYで表される部位がイオウ原子であることを特徴とする請求項2に記載の光電変換素子。』というものである。
請求項4に記載の発明は、
『前記一般式(1)または(2)で表される化合物中のRで表される部位が水素原子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。』というものである。
請求項5に記載の発明は、
『前記一般式(1)または(2)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
Figure 2011181326
〔式中、Rは水素原子、置換または未置換のアルキル基またはシアノ基を表し、RとRは水素原子を表す。nは1以上の整数を表し、Xは酸性基を表す。また、R、Rは置換、未置換のアルキル基、アルコキシ基、アリール基または複素環基を表す。n8、n9は1〜5の整数を表し、n8、n9が2以上の場合、R、Rは同じものでも異なるものであってもよい。〕』というものである。
請求項6に記載の発明は、
『前記一般式(1)または(2)で表される化合物が、下記一般式(4)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
Figure 2011181326
〔式中、Rは水素原子、置換または未置換のアルキル基またはシアノ基を表し、RとRは水素原子を表す。nは1以上の整数を表し、Xは酸性基を表す。また、Rは置換、未置換のアルキル基、アルコキシ基、アリール基または複素環基を表す。n9は1〜5の整数を表す。〕』というものである。
本発明では、光電変換層に少なくとも一般式(1)で表される有機化合物を担持させた半導体材料を含有させるとともに、電解質層に少なくともスメクタイト類を含有させることにより、前述の課題を解消させることを可能にした。すなわち、上記いずれかの構成により、電解液にゲル電解質を用いた光電変換素子において、高い光電変換効率が得られる様にした。また、電解液の漏洩がないため、安全で、かつ、良好な光電変換効率を安定して発現する高信頼性を実現させる優れた耐久性の光電変換素子の提供を可能にした。
本発明に係る光電変換素子の一例を示す断面構成図である。 電解液であるゲル電解質に振動を与えて粘度を低下させた状態にして電解質層を形成し光電変換素子を完成させる手順を示す模式図である。 「形状係数FF」と「電流密度−電圧特性グラフ」の形状との関係を示す模式図である。
本発明は、少なくとも、基体、第1電極、光電変換層、電解質層、第1電極に対向させて配置された第2電極を、この順に設置してなる光電変換素子に関する。そして、本発明に係る光電変換素子は、特定の構造を有する前述の一般式(1)で表される化合物を光電変換層に含有するとともに、スメクタイト類を電解質層に含有するものである。
本発明者は、前述の一般式(1)で表される化合物を吸着させた光電変換層とスメクタイト類を含有した電解質層を有する光電変換素子が、光電変換効率の低下を抑制して高い光電変換効率を発現するものであることを見出した。電解質層の高粘度化のためにスメクタイト類を用いた光電変換素子は、スメクタイト類が非導電性であるため、添加量によっては電解質層の導電性を低下させ、光電変換効率を低下させる傾向を有していた。
したがって、スメクタイト類を用いる光電変換素子の分野では、高粘度化による液漏れ防止と光電変換効率の向上とがトレードオフの関係になっており、両立が非常に難しいものと考えられていた。しかしながら、本発明に係る光電変換素子は、電解質層にスメクタイト類を用いるものでありながら、光電変換効率の向上と高粘度化による液漏れ防止の両立を可能にしたのである。
本発明に係る光電変換素子が、光電変換効率の向上と液漏れ防止を両立可能にした理由として、スメクタイト粒子と一般式(1)の化合物の間での相互作用によりスメクタイト粒子が一般式(1)の化合物に近接可能な構造をとれる様になったことが考えられる。すなわち、鱗片状の凝集構造をとるスメクタイト粒子間の空間に一般式(1)の化合物が入り込み易く、スメクタイト粒子間に存在する電解質分子も一般式(1)の化合物に接触し易い状態が形成されるものと考えられる。その結果、一般式(1)の化合物から電解質へ電荷がスムーズな移動が実現され、かつ、スメクタイト粒子間の空間で電解質分子が濃縮して導電経路を形成する様に凝集することにより、導電性が向上して光電変換効率を向上させたものと考えられる。
また、スメクタイト類は、粘土という材質上、電解液のもつ反応性に対して化学的に安定な性質を有しているので、たとえ電解液と長期間接触していても分子鎖が切断されることがなく電解液に高粘度を付与し続けられるものと考えられる。
また、一般式(1)の化合物は、分子構造中にアリールアミン構造とイミダゾロン骨格構造を有するので、分子構造中に電気陰性度の高い領域と低い領域が形成され、電荷分離によるキャリア発生が行い易いことが効果の発現に寄与していると考えられる。また、一般式(1)の化合物構造中に存在する電気陰性度の高い領域により、構造式端部の酸性基Xの求核性が強まり、半導体材料表面を構成する金属原子に結合あるいは配位し易くなっていることも効果の発現に寄与していると考えられる。その結果、一般式(1)の化合物は半導体材料表面に安定した形で取り込まれる様になり、半導体材料の光に対する感度を大幅に向上させて、高い光電変換効率が得られる環境を形成しているものと推測される。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明に係る光電変換素子は「光電変換層に少なくとも一般式(1)の化合物を担持させた半導体材料を含有するもの」であるが、「半導体材料に化合物を担持させる」とは一般式(1)の化合物をはじめとする増感色素を物理的あるいは化学的な作用で半導体材料表面に付着、結合させることを意味するものである。具体的には、物理的な吸着や化学結合の形成、さらには、多孔質構造の半導体材料表面に存在する孔に充填させること等が挙げられる。
最初に、本発明に係る光電変換素子の構成について説明する。図1は、本発明に係る光電変換素子の代表的な断面構成図である。図1の光電変換装置1は、固体型色素増感型光電変換素子と呼ばれるもので、基体2上に導電性あるいは半導電性を発現する材質より構成される第1電極3と、第1電極3に対向して配置される第2電極4を有する。そして、第1電極3と第2電極4の間には、第1電極3に近い側から後述する一般式(1)で表される化合物を吸着させた半導体材料を含有する光電変換層5と後述するスメクタイト類を含有する電解質層6が設けられている。
図1は後述する図2に示す光電変換素子の断面構成図と異なるものの様に見えるが、便宜的に各構成層の長さを変え、第2電極4の上方に設けられる基体2や第1電極から第4電極までの各層を側方で保持するスペーサを省略しており図2と同じものである。
先ず、基体2について説明する。基体2は第1電極3、光電変換層5、正孔輸送層6及び第2電極4を支持するもので、平板状の部材で構成されるものである。基体2の構成材料としては、透明性を有するものであればいずれのものでも使用可能で、たとえば、石英やガラス等の透明無機材料や、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、トリメチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアミドイミド、シクロオレフィン重合体、スチレンブタジエン共重合体等の透明樹脂材料を使用することができる。この中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド(PI)等の可撓性を発現することが可能な透明樹脂材料は、フレキシブルな光電変換素子を作製する上で有利である。
基体2の厚さは、材料や用途等により適宜設定が可能で特に限定されるものではないが、たとえば、ガラス等の透明無機材料の様な硬質材料で構成する場合は、その平均厚さは0.1〜1.5mmが好ましく、0.8〜1.2mmがより好ましい。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等の可撓性を有する透明樹脂材料で構成する場合は、その平均厚さは0.5〜150μmが好ましく、10〜75μmがより好ましい。
次に、第1電極3について説明する。第1電極3は、後述する光電変換層5の受光面側に、この受光面を覆う様に設置された平板状の部材である。第1電極3は、後述する光電変換層5で形成された電子の授受を行うもので、光電変換層5より受け取った電子を外部回路に伝達するものである。
第1電極3の構成材料は、電気的に導電性あるいは半導電性を有するとともに、透明電極の様に光電変換層5に光を到達させることが可能な形態のものを使用することができる。具体的には、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ処理した酸化スズ(FTO)、インジウム酸化物(IO)、酸化スズ(SnO)等の金属酸化物、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタル等の金属またはこれらを含有する合金、黒鉛やカーボンブラック等の炭素材料等が挙げられる。
たとえば、上記金属酸化物を用いて第1電極3を形成すると透明電極にすることができる。また、第1電極3の形状を複数の櫛歯状あるいはメッシュ状にすると、光は複数の櫛歯あるいはメッシュの間を通って光電変換層5に到達することができる。この様に、第1電極3に光透過可能な部位を設けることにより、第1電極3の構成部材が光透過性を有さないものも使用することが可能なので、第1電極3の構成材料や製造方法等の選択の幅を拡大させることができる。
次に、光電変換層5について説明する。基体2の上面には、前述した様に、第1電極3が設けられ、この第1電極3の上面には太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換層5が設けられている。光電変換層5の面上は太陽光を受ける受光面を形成しており、前述した第1電極3はこの受光面を覆う様に配置され、光電変換層5と第1電極3との間で電子の授受が行える様に設計されている。すなわち、第1電極3を通過した光は光電変換層5内に進入し、光電変換層5内に進入した光は、そのまま層内を通過するものもあるが、後述する半導体材料に衝突するものもある。そして、半導体材料に衝突した光は任意の方向に乱反射し光電変換層5内に拡散する。このとき、光は増感色素と接触することにより電子及び正孔(ホール)を発生する。この様にして形成された電子が光電変換層5より第1電極3に向かって移動する。
光電変換層5は、少なくとも後述する一般式(1)で表される化合物を光増感色素として吸着させた半導体材料を含有してなるもので、半導体材料としては、たとえば、酸化チタンや酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)に代表されるn型半導体材料が用いられる。これらn型半導体材料の中でも酸化チタンが好ましく用いられる。また、酸化チタンには、二酸化チタン(TiO)や一酸化チタン(TiO)、三酸化チタン(Ti)等があるが、これらの中でも二酸化チタンが特に好ましく用いられる。
その理由として、二酸化チタンは、特に、電子の輸送に優れる他、光に対する感受性が高くそれ自体でも電子を発生できる等の高い光電変換効率(発電効率)が期待できることから特に好ましいとされるものである。また、二酸化チタンは、その結晶構造が安定しているので、過酷な環境下に曝された場合でも経年変化(劣化)が少なく、所定の性能を長期間安定して得られる利点を有する。
また、二酸化チタンには、アナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタンを主とするもの、ルチル型の結晶構造を有する二酸化チタンを主とするもの、アナターゼ型の二酸化チタンとルチル型の二酸化チタンの混合物を主とするものがある。そして、これらのいずれのものも光電変換素子用の半導体材料として好ましく使用することができる。このうち、アナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタンは、電子をより効率よく輸送することができる利点を有している。また、ルチル型の二酸化チタンとアナターゼ型の二酸化チタンとを混合して用いる場合、ルチル型とアナターゼ型の混合比は特に限定されないが、たとえば、質量比でルチル型:アナターゼ型=95:5〜5:95とすることができ、80:20〜20:80とすることが好ましい。
また、半導体材料は、その表面に複数の孔(細孔)を有するものが好ましく、細孔の存在により半導体材料に衝突した光の乱反射と拡散が促進され、光電変換効率を向上させるメリットを有する。二酸化チタンは、その表面に細孔を有しており、高い光電変換効率が期待できる。光電変換層5に含有させる二酸化チタンの空孔率(二酸化チタン粒子表面の単位面積あたりに占める孔の面積の比率)は、特に限定されるものではないが、たとえば、5%〜90%が好ましく、より好ましくは15%〜50%、特に好ましくは20%〜40%である。二酸化チタンの空孔率が前記範囲のとき、二酸化チタンの表面積は十分大きなものになるので、二酸化チタンの外面及び孔の内面に沿って吸着させる増感色素の吸着面積を十分に確保することができる。その結果、光電変換素子の光電変換効率(発電効率)をさらに向上させることができる。
また、光電変換層5に含有させる二酸化チタンは、比較的厚みを有するものであってもよいが、光電変換素子の小型化や製造コスト低減の観点からは膜状の形態を有するものが好ましい。二酸化チタンの平均膜厚は特に限定されるものではないが、具体的には、0.1μmから50μm程度が好ましく、より好ましくは0.5μmから25μm程度、特に好ましくは1μmから10μm程度である。
光電変換層5に含有される二酸化チタンに代表される半導体材料は、後述する一般式(1)で表される化合物に代表される光増感色素を結合してなるもので、光増感色素は、たとえば、分子間引力や静電引力等の物理的結合や共有結合や配位結合等の化学結合により半導体材料に結合している。この光増感色素は、受光により電子と正孔(ホール)を発生するもので、光電変換層5内で光エネルギーを電気エネルギーに実際に変換しているものである。光増感色素は半導体材料の外面や孔の内面に沿って結合しており、光増感色素が存在する領域が光電変換層5内で光を受けて電子と正孔を発生させる領域である受光層を形成するものである。そして、光増感色素により発生した電子は、光増感色素と結合している半導体材料に移動し、半導体材料より第1電極3に移動する。なお、光増感色素として作用する一般式(1)で表される化合物の具体的な説明は後で詳細に行う。
次に、電解質層6について説明する。電解質層6は、光電変換層5の上面に層状に形成されてなり、光電変換層5を介して第1電極3と対向して設置されている。電解質層6は、光電変換層5で発生した電荷を捕捉し、捕捉した電荷を後述する第2電極を介し、または、電解質層6自体が電極となって外部回路に向けて電荷を輸送するものである。
電解質層6の平均厚さは、特に限定されるものではないが、たとえば、0.1〜100μmとすることが好ましく、より好ましくは0.5〜50μm、特に好ましくは1〜20μmである。
前述の電解質層6で行われる電荷の輸送は、電解液と呼ばれる電解質を溶媒に溶かした液体により行われるものであるが、本発明では電解液に後述するスメクタイト類と呼ばれる粘土鉱物を含有させてゲル状の形態に変換させたゲル電解質と呼ばれるものが使用される。この様に電解液をゲル状のものとすることにより、電解液の素子からの漏れの発生を防いでいる。また、本発明で使用されるゲル電解質は、ゲル状態が常時維持されるものではなく、振動等の作用によりゾル化と呼ばれる液状化への変換を行うことも可能で、必要に応じてゾル化することで、光電変換素子作製時のハンドリング等をより容易に行える様にしている。
この様に、本発明で使用されるゲル電解質は、ゾル−ゲル変換と呼ばれる電解液のゲル化と液状化への変換を繰り返し行えるので、光電変換素子作製時のハンドリング性に優れるとともに、電解液の漏れの防止と電荷輸送を確実かつ効率的に行うことが可能である。なお、本発明に係る光電変換素子を構成する電解質層6に使用されるスメクタイト類や電解質、溶媒については後で詳細に説明する。
次に、第2電極4について説明する。第2電極4は、電解質層6の上面に層状(平板状)に形成されてなり、その平均厚さは材料や用途等により適宜設定され、特に限定されるものではない。
第2電極4の構成材料としては、公知の導電性材料や半導電性材料が挙げられる。導電性材料としては、たとえば、各種イオン導電性材料や、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタル等の金属またはこれらを含む合金、あるいは、黒鉛などの各種炭素材料等が挙げられる。また、半導電性材料としては、たとえば、トリフェニルジアミン(モノマー、ポリマー等)、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、フタロシアニン化合物(たとえば、銅フタロシアニン等)等またはこれらの誘導体等のp型半導体材料が挙げられる。これら導電性材料や半導電性材料を1種または2種以上組み合わせて第2電極4を形成することができる。
以上の様に、図1に示す固体型色素増感型の光電変換素子1Aは、基体2の上に導電性あるいは半導電性を発現する材質より構成される第1電極3、第1電極3に対向して第2電極4を有するものである。そして、第1電極3には増感色素として一般式(1)で表される化合物を含有する光電変換層5、及び、光電変換層5の上にゲル電解質を含有する電解質層6を含有するものである。
次に、前述した光電変換層5に含有される一般式(1)で表される化合物について説明する。本発明に係る光電変換素子を構成する光電変換層は、下記一般式(1)で表される化合物を担持させた半導体材料を含有するものである。
Figure 2011181326
上記一般式(1)で表される化合物は、構造中にイミダゾロン骨格と呼ばれる部位を有するものである。式中のArは置換または未置換のアリーレン基、RとRは置換または未置換のアルキル基またはアリール基で、一般式(1)で表される化合物には、Ar、R、Rが互いに連結して環状構造を形成するものもある。また、式中のRとRは水素原子、置換または未置換のアルキル基またはシアノ基である。また、式中のRは酸性基Xで置換されたアルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルセレノ基を表し、式中のRはさらに前述の酸性基X以外の置換基を有するものであってもよい。
に結合するXで表される酸性基の個数mは1以上で、特に、Rに結合する酸性基の数が2つ以上の場合、すなわち、mが2以上の場合、Rに結合する酸性基Xの種類は同じものでも異なるものでもよい。酸性基Xの具体例としては、たとえば、カルボキシル基(−COOH)、リン酸基(−PO(OH))、スルホン酸基(−SO(OH))、硫酸基(−O−SO(OH))等がある。
本発明では、上記一般式(1)で表される化合物を用いることにより、高い光電変換効率が得られる様になったが、その理由としては以下の様なことが考えられる。先ず、一般式(1)で表される化合物の有するイミダゾロン骨格構造が電子アクセプタとして機能して電気陰性度の高い領域を構造中に形成し易いことが考えられる。すなわち、電気陰性度の高い領域の存在により化合物端部の酸性基の求核性が強まり、半導体材料である酸化チタン表面への結合や配位が促進され、半導体材料の光に対する感度を向上させて光電変換効率が向上することが考えられる。
また、一般式(1)で表される化合物は、電子アクセプタとして機能するイミダゾロン骨格部分にアミド構造を有するので、これを介して電解質層を構成するスメクタイト層の間に親和性を発現する性質を有することも効果発現の理由の1つとして考えられる。すなわち、スメクタイト層を構成するケイ酸塩とイミダゾロン骨格部分のアミド構造の間で親和性が作用して、光電変換層内の一般式(1)で表される化合物の一部がスメクタイト層間に入り込むことが考えられる。このことにより、一般式(1)で表される化合物とスメクタイト層の間に高濃度で存在する電解質成分とが非常に接近した状態になるので、従来の有機色素に比べてイオン導電パスの形成が容易に行える様になり、光電変換効率を向上させたものと考えられる。
さらに、一般式(1)で表される化合物は、その分子間相互作用により凝集構造を形成し易く、凝集により酸化チタン表面を高密度に被覆して、この様な高い被覆密度が光電変換効率の向上に寄与するものと考えられる。また、被覆密度が高くなると吸収波長の長波長側へのシフトが容易に行える様になり、酸化チタン表面での吸収波長領域が拡大して光電変換効率を向上させていることも推測される。この様にして一般式(1)で表される化合物が酸化チタン表面を高密度に被覆することで、光電変換層と電解質層の界面形成が阻害され、両者間で発生する電荷の再結合を抑制していることも考えられる。これらの作用が相乗的に機能することにより大幅な光電変換効率の向上を実現したものと考えられる。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明で使用可能な一般式(1)で表される化合物はこれらに限定されるものではない。なお、以下の各具体例中に示す波線の部分は、一般式(1)で表される化合物における結合部分を表すものである。
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本発明では、前述した一般式(1)で表される化合物の中でも、以下に示す一般式(2)で表される構造を有するものが好ましい。
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すなわち、一般式(2)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物を構成するRに結合する酸性基Xの個数が1個のもので、酸性基Xに結合するRが上記Y、R、R等より構成されるものである。
また、本発明では、上記一般式(2)で表される化合物中のYで表される部位がイオウ原子のものがより好ましく、一般式(1)または(2)で表される化合物中のRで表される部位が水素原子のものがさらに好ましい。
さらに、本発明では、前述した構造中のYで表される部位がイオウ原子で、Rで表される部位が水素原子のもので、以下の構造を有するものを用いるのが特に好ましい。
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上記一般式(3)と(4)で表される化合物を構成するRは水素原子、置換または未置換のアルキル基またはシアノ基を表し、RとRは水素原子を表すものである。また、nは1以上の整数を表し、Xは酸性基を表すものである。また、R、Rは置換、未置換のアルキル基、アルコキシ基、アリール基または複素環基を表すものである。さらに、n8とn9は1〜5の整数を表し、n8とn9が2以上の場合は、RとRは同じものでも異なるものであってもよい。
以上、一般式(1)で表される化合物のより好ましい形態である一般式(2)〜一般式(4)で表される化合物の具体例は、前述した例示化合物中に含まれている。上記一般式(3)で表される化合物に該当する例示化合物としては、たとえば、化合物141、223、343、527等が挙げられる。また、上記一般式(4)で表される化合物に該当するものとしては、たとえば、化合物637、641、642、644等が挙げられる。
本発明は、一般式(1)で表される化合物を光電変換層を構成する半導体材料に担持させる増感色素として使用するものであるが、公知の増感色素用の化合物を併用することも可能である。なお、本発明でいう「半導体材料に担持させる」とは、一般式(1)で表される化合物をはじめとする増感色素を物理的あるいは化学的に半導体材料表面に吸着あるいは結合させることをいう。また、多孔質構造の半導体材料表面に存在する孔に充填させることも含むものである。
また、一般式(1)で表される化合物をはじめとする増感色素の半導体材料への総担持量は、特に限定されるものではないが、光電変換層1mあたり0.01〜100ミリモルで、好ましくは0.1〜50ミリモル、より好ましくは0.5〜20ミリモルである。
次に、本発明に係る光電変換素子を構成する電解質層について説明する。本発明に係る光電変換素子を構成する電解質層6は、酸化還元性の電解質化合物を公知の溶媒に溶解させて形成した電解液とスメクタイト類との組み合わせにより、ゾル−ゲル変換特性を示すゲル電解質を含有するものである。
この様に、電解質層6をスメクタイト類の使用により形成されたゲル電解質で構成することにより、ゲル電解質としての形態を長期にわたり維持することが可能になったものと考えられる。すなわち、電解液に対して化学的に安定な粘土としての性質により、有機高分子を用いたゲル電解質で懸念される様な長期レンジでの劣化の問題がなく、電解液に対して安定した状態を長期にわたり維持できるものと考えられる。この様に、本発明ではスメクタイト類の粘土としての特性が作用することで、形成されたゲル電解質は長期にわたりゲル状態を安定して維持して、分子鎖の劣化による電解液の漏出の発生を起こさないものと考えられる。
以下、本発明に係る光電変換素子を構成する電解質層6の構成要素である電解液とスメクタイト類について具体的に説明する。
本発明に係る光電変換素子を構成する電解質層に使用される電解液について説明する。本発明に係る光電変換素子を構成する電解質層に使用される電解液は、少なくとも、酸化還元種と呼ばれる酸化還元性の電解質と当該電解質を溶解する溶媒より構成される溶液である。そして、本発明で使用される電解液は、後述するスメクタイト類を使用することにより、ゾル−ゲル変換特性を有するゲル電解質を形成するものである。
先ず、電解液を構成する電解質は、その濃度が溶媒に対して0.1モル/リットルから1.5モル/リットルが好ましく、0.5モル/リットルから1.5モル/リットルがより好ましいものである。
光電変換素子に使用可能な電解質の代表例としては、たとえば、LiI、NaI、KI、CaI等の金属ヨウ化物とヨウ素Iを組み合わせたものがある。また、前述の組み合わせにヨウ化イミダゾリウム誘導体を加えたものや金属ヨウ化物に代えてヨウ化イミダゾリウム誘導体を組み合わせたものもある。
ヨウ化イミダゾリウム誘導体は、ヨウ化イミダゾリウム塩とも呼ばれる化合物で、−20℃から200℃の温度範囲内で液体として存在するものである。たとえば、後述する1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドは、−20℃付近までほとんど結晶化せず、200℃付近まで分解しない性質を有するものである。
以下に、ヨウ化イミダゾリウム誘導体の具体例を示すが、光電変換素子用の電解質に使用可能なものは以下のもののみに限定されるものではない。すなわち、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソプロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソブチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−t−ブチルイミダゾリウムアイオダイド、1,1−ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソヘキシルイミダゾリウムアイオダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−3−イソプロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−プロピル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド等がある。
また、電解液中に「可逆的な酸化還元対」を含有させることも可能である。ここで「可逆的な酸化還元対」とは、有機色素との間で電荷の授受を行う性質を有する原子や原子団のことで、有機色素との電荷の授受によりアニオン性とカチオン性を可逆的に示すものである。この様に自身のもつ電荷授受性により光電変換層と電解層との間に形成されるイオン導電パスを補助することができる。たとえば、Iの様な負の還元種は酸化された有機色素より正孔を受け取り易い性質を有しており、この様な酸化還元対の存在により電解液の電荷輸送速度を速めることができる。この様な性質を示す「可逆的な酸化還元対」は、たとえば、ヨウ素(I)とヨウ化物の混合物、ヨウ化物、臭化物、ハイドロキノン、TCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノンジメタン)錯体等から供給することが可能である。この中でもヨウ素(I)とヨウ化物の混合物より供給されるIとI からなる酸化還元対が好ましい。
次に、前述の電解質の溶解が可能な溶媒について説明する。ここで、「前述の電解質の溶解が可能な溶媒」とは、「前述の電解質の溶解度が5質量%以上である溶媒」のことを意味するもので、具体例として以下に挙げる環状あるいは鎖状のカーボネート化合物、環状あるいは鎖状のエーテル化合物等がある。たとえば、環状カーボネート化合物にはエチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等があり、鎖状カーボネート化合物にはジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等がある。また、環状エーテル化合物にはテトラヒドロフランや2−メチルテトラヒドロフラン等があり、鎖状エーテル化合物にはジメトキシエタンやジエトキシエタン等がある。その他、γ−ブチロラクトンやアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の有機化合物も前述の電解質の溶解が可能な溶媒として使用することが可能である。
上述した電解質の溶解が可能な溶媒の中でも、ゲル電解質にしたときにその粘度が0.003Pa・s以下になるものが好ましい。すなわち、ゲル電解質中の溶媒の粘度が低くなるほど、ゲル電解質中でイオン(電荷)が移動し易くなる傾向を示すので、ゲル電解質にしたときの粘度が0.003Pa・s以下になる溶媒が好ましい。また、電解質の溶解が可能な溶媒の沸点は、ゲル電解質からの溶媒の揮発を防ぐ観点から高いものが好ましく、具体的には単独の化合物よりなる溶媒及び複数の化合物を混合してなる溶媒のいずれの場合も70℃以上のものが好ましい。
次に、本発明に係る光電変換素子を構成する電解質層に使用されるスメクタイト類について説明する。本発明に係る光電変換素子を構成する電解質層は、前述した様に、電解液とスメクタイト類との組み合わせによるゾル−ゲル変換特性を示すゲル電解質を含有するものである。スメクタイト類とは、粘土の中に含有される板状構造を有する粘土鉱物の総称である。スメクタイト類の板状構造は、シリコンイオンより構成される四面体構造の層(四面体層)と、2価と3価のカチオンより構成される八面体構造の層(八面体層)より構成され、四面体層−八面体層−四面体層の3層構造を基本結晶構造とするものである。
スメクタイト類に含まれる粘土鉱物には、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイトといったものがあり、これらのグループ名称として「スメクタイト類」という用語が用いられている。
スメクタイト類は、水や水系媒体中でゲル化する性質を有し、ゾル−ゲル変換特性と呼ばれる粘性低下と粘性増大を繰り返す特性を発現するものである。これは、前述の四面体層−八面体層−四面体層の結晶同士が水分子を介して弱いネットワーク構造を形成することによるものである。このネットワーク構造は、液に振動等のシェアが加わると個々の結晶が流れに対して平行に配列することにより解除され、その結果、液の粘性は低下することになる。一方、液を再び静止状態にすると結晶は水分子と水素結合を形成して会合することにより結晶間のネットワーク構造が再び形成され、その結果、液の粘性は増大することになる。この様な仕組みで液のゾル−ゲル変換特性が発現されるものと考えられる。
本発明では、水や水系媒体中に前述の電解質や溶媒を添加し、さらに、スメクタイト類を存在させることによりゲル電解質を形成している。そして、ゲル電解質にシェアを加えることで粘性を低下させてゾル化を起こし、電解液を静置することで粘性を増大させてゲル状態に戻すことができる。
また、スメクタイト類は、粘土鉱物のもつ電解質や溶媒の反応性に対して影響を受けにくい化学的に安定な性質を有するもので、電解質や溶媒の反応性により分子鎖が劣化、切断されるおそれもなく、長期にわたりゲル状態を安定的に維持できるものと考えられる。
さらに、本発明では前述した様に、光電変換層の有機色素である一般式(1)で表される化合物がスメクタイトの層間部分と相互作用を発現し易い構造を有することも考えられる。したがって、有機色素とスメクタイトの層間部分に高濃度で存在する電解質とが接近し易い状態になるので従来の有機色素に比べてイオン導電パスを形成し易く、光電変換効率の向上に寄与するものと考えられる。
本発明で使用可能なスメクタイト類は、特に限定されるものでなく、市販の親水性及び親油性の合成スメクタイト類等を好ましく使用することができる。親油性の合成スメクタイトは、親水性のスメクタイトを有機修飾することにより形成されるもので、各種有機溶剤に対して安定した分散性を発現することができるので、前述の有機溶媒を使用してゲル電解質を作製する本発明で好ましく使用される。市販の親油性スメクタイトとしては、たとえば、コープケミカル株式会社製の「ルーセンタイトSPN」や「同SAN」、「同STN」等がある。
本発明に係る光電変換素子を構成する電解質層6は、上述した構成のものを用いて形成することができる。なお、電解質層6の具体的な作製方法については後述する。
次に、本発明に係る光電変換素子の製造方法について説明する。
本発明に係る光電変換素子は、たとえば、以下に示す〔1〕〜〔4〕の手順により作製することが可能である。なお、本発明に係る光電変換素子は、以下に示す工程を経て作製されるものに限定されるものではない。
〔1〕第1電極の形成
先ず、ポリエチレンナフタレート(PEN)等で構成された均一な厚さを有する基体を用意し、パルスレーザ蒸着法等の公知の製膜装置等により、当該基体上に第1電極を形成する。
〔2〕光電変換層の形成
次に、第1電極の上面に半導体材料を用いて光電変換層5を形成する。光電変換層5を構成する半導体材料は、たとえば、ゾル−ゲル法、蒸着法、スパッタリング法等の公知の方法により形成することが可能であり、この中でもゾル−ゲル法により形成することが好ましい。その理由としては、光電変換層を構成する半導体材料を形成する際、半導体材料のゾル液を用いると表面が多孔質の半導体材料を形成し易いことが挙げられる。すなわち、ゾル液を使用し易いゾル−ゲル法によれば、表面多孔質の半導体材料からなる光電変換層の形成が有利なことが挙げられる。
ゾル−ゲル法により極めて簡単な操作で表面多孔質の半導体材料を形成できることに加え、この様にして作製したゾル液を公知の塗布方法で第1電極上面に塗布できるので、大がかりな装置を必要とせずに好適に光電変換層を膜状に形成することができる。また、塗布法を用いることにより、たとえば、マスク等でマスキングが行えて、所望のパターン形状の光電変換層を容易に作製することができる。ゾル−ゲル法と併用可能な公知の塗布方法としては、たとえば、ディッピング法、滴下法、ドクターブレード法、スピンコート法、刷毛塗り法、スプレー塗布法、ロールコータ法等が挙げられる。
半導体材料の平均粒径は、特に限定されるものではないが、1nm〜1μmが好ましく、5〜50nmがより好ましい。半導体材料の平均粒径を前記範囲内にすることにより、ゾル液を形成したときに半導体材料の均一性を向上させることができる。すなわち、半導体材料の平均粒径の平均粒径を小さくすると光電変換層を構成する半導体材料の比表面積がより大きなものになり、増感色素の吸着量が増大して発電効率の向上に寄与することができる。
以下、光電変換層を構成する半導体材料の形成方法について一例を挙げて説明する。
(1)酸化チタン粉末の調製
ルチル型の二酸化チタン粉末とアナターゼ型の二酸化チタン粉末とを所定の配合比になる様に混合する。ルチル型の二酸化チタン粉末の平均粒径とアナターゼ型二酸化チタン粉末の平均粒径は、それぞれ異なっていても同じであってもよいが、異なっている方が好ましい。
(2)ゾル液の調製
下記(a)〜(e)の手順によりゾル液を調製する。すなわち、
(a)公知の有機チタン化合物や公知の無機チタン化合物を1種または2種以上組み合わせたものを、有機溶媒に溶解させる。このとき、有機あるいは無機のチタン化合物の有機溶媒中の濃度(含有量)は、特に限定されるものではないが、たとえば0.1〜3.0モル/リットルとするのが好ましい。
なお、有機チタン化合物の具体例としては、たとえば、チタンテトライソプロポキシド(TPT)、チタンテトラミトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドやチタンオキシアセチルアセトナート(TOA)等がある。また、無機チタン化合物としては、たとえば、四塩化チタン(TTC)等がある。さらに、有機溶媒としては、たとえば、無水エタノール、2−ブタノール、2−プロパノール、2−n−ブトキシエタノール等があり、これらの混合溶媒を用いることも可能である。
上記溶液中には、必要に応じて各種添加物を添加することが可能である。たとえば、チタンアルコキシドを有機チタン化合物を用いる場合、チタンアルコキシドは化学的安定性が低いので、酢酸、アセチルアセトン、硝酸等を添加することにより、チタンアルコキシドを化学的に安定化させることができる。これら添加物とチタンアルコキシドとの配合比は、特に限定されるものではないが、たとえば、モル比で1:2〜8:1程度とすることが好ましい。
(b)上記溶液中に、蒸留水、超純水、イオン交換水、RO水等の水を混合する。水とチタン化合物のとの配合比は、モル比で1:4〜4:1程度とすることが好ましい。
(c)上記溶液中に、前記工程(1)で調製した二酸化チタン粉末を混合して懸濁液(分散液)を作製する。
(d)上記懸濁液を前述した有機溶媒(混合溶媒でもよい)で希釈してゾル液を調製する。ゾル液を調製するときの希釈倍率は、たとえば、1.2〜3.5倍程度が好ましい。また、二酸化チタン粉末のゾル液中の含有量は、特に限定されるものではないが、たとえば、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。これにより、光電変換層を構成する半導体材料の空孔率を好適に前記範囲内にすることができる。
(3)光電変換層の形成
第1電極の上面に、前述した塗布方法によりゾル液を塗布した後、たとえば、80℃〜180℃、好ましくは100℃〜160℃に加熱処理して塗膜を形成する。この様な塗布と加熱処理を、たとえば、1〜10回、好ましくは5〜7回行うことにより前述した平均厚さを有する光電変換層を形成する。
(4)光電変換層への増感色素吸着
上記手順で形成した光電変換層を構成する半導体材料を、前述した一般式(1)で表される化合物に代表される光増感色素を含有してなる液に接触させることにより、半導体材料の外表面及び孔に光増感色素を吸着、結合させる。具体的には、基体、第1電極、光電変換層より構成される積層体を光増感色素含有液に浸漬することにより、光電変換層を構成する半導体材料の外面と孔の内面に沿って光増感色素を吸着、結合させることができる。ここで、光増感色素を含有してなる液とは、たとえば、光増感色素を溶媒に溶解させてなる溶液や光増感色素を溶媒中に分散させた懸濁液等が挙げられる。
前述の光増感色素を溶解あるいは分散させる溶媒は、特に限定されるものではないが、たとえば、以下のものがある。すなわち、蒸留水、超純水、イオン交換水、RO水等の各種水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、N−メチルピロリドン(NMPともいう)等がある。
前記積層体を光増感色素含有液中への浸漬後、前記積層体を取り出し、たとえば、自然乾燥、あるいは空気や窒素ガス等の気体吹き付けにより溶媒を除去する。さらに、必要に応じて、前記積層体をたとえば60℃〜100℃の温度で0.5時間〜2時間乾燥処理することもできる。この様にすることにより、光電変換層を構成する半導体材料に光増感色素をより強固に吸着、結合させることができる。
〔3〕第2電極の形成
第2電極は、電解質層の上面に形成される。第2電極は、たとえば、金等で構成される第2電極材料を蒸着法、スパッタリング法、印刷法等の公知の方法を用いて隣接層上や基体上に形成することが可能である。第2電極は、たとえば、隣接する電解質層が塗布法等で形成して最終的に表面が固化あるいは電極を形成することが可能な状態になるものであれば、上記方法で電解質層上に直接形成することができる。
一方、電解液等の乾燥させない液体を用いて電解質層を形成する場合、電解質層表面はぬれているので電解質層上に第2電極を直接形成することは困難である。この場合、予め第2電極を基体上に公知の方法で形成しておき、光電変換層の上に第2電極を形成した基体をかぶせて光電変換層と第2電極の間に空隙を設け、当該空隙に電解液を注入して電解質層を形成する手順を採ることにより光電変換素子を作製する。
本発明では、液状のゲル電解質で電解質層を形成するので、電解質層を形成する前に第2電極を光電変換装置に配置し、光電変換層と第2電極の間に形成された空隙にゲル電解質を注入して光電変換素子を作製することが好ましい。
以下、図2を用いて下記〔4〕の電解質層の形成、すなわち、第2電極を光電変換素子に配置した後に電解質層を形成し、さらに、光電変換素子を完成させるまでの手順を具体的に説明する。なお、図2は電解液であるゲル電解質に振動を与えて粘度を低下させた状態にして電解質層を形成し光電変換素子を完成させる手順を示す模式図であり、図中、白矢印で示す様に、(a)、(b)、(c)、(d)の順番に作業が進められることを表す。
〔4〕電解質層の形成
本発明では、液状のゲル電解質を用いて電解質層を形成するが、たとえば、特開2007−188809号公報に開示されている「ゲル電解質に振動を与えて粘度を低下させた状態にして電解質層に注入する方法」等により電解質層を形成することができる。この方法では、予め光電変換層と第2電極の間に空隙を形成しておき、当該空隙にゲル電解質を注入することにより電解質層を形成するものである。この方法を前述の図2を用いて説明する。
先ず、図2(a)は第2電極4と光電変換層5が対向する様に第2電極4を有する基体2を配置した光電変換素子1で図中の右側端部はスペーサ8で遮蔽され、左側端部は開口状態になっている。そして、光電変換層5と第2電極4の間には空隙7が形成されている。スペーサ8はたとえばエポキシ樹脂等で形成することができる。
次に、図2(b)に示す様に、光電変換素子1の開口状態になっている図の左側端部にゲル電解質を充填した注入口9を配置し注入口9より空隙7にゲル電解質6を注入する。このとき、注入口(9)ではゲル電解質6に振動を付与して液の粘度を低下させた状態にして空隙7へゲル電解質6を注入する。この様に、光電変換層5と第2電極4の間に形成された空隙7にゲル電解質6を注入し、図2(c)に示す様に空隙7をゲル電解質6で充填することにより電解質層6を形成する。
そして、空隙7へのゲル電解質6の注入が完了後、光電変換素子1の開口状態になっている図中左側端部を図2(d)に示す様にスペーサ8で封鎖することにより光電変換素子1を完成させることができる。
以上の工程を経ることにより、本発明に係る光電変換素子の作製が可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、下記文中に記載の「部」は「質量部」を表すものである。
1.「電解質A〜C」の作製と液漏れ防止適正評価
下記手順により、3種類の電解液である「電解質A〜C」を作製した。
(1)「電解質A」の作製
先ず、溶媒である3−メトキシプロピオニトリル中に電解質であるヨウ化リチウムとヨウ素を添加して電解液を作製した。なお、電解質液中のヨウ化リチウムの濃度は0.5モル/リットル、ヨウ素の濃度は0.05モル/リットルである。この溶液を高速撹拌機で撹拌しながら、市販の合成スメクタイト「ルーセンタイトSPN(コープケミカル(株)製)」を8質量%になる様に添加し、さらに超音波分散処理を行うことにより、ゲル電解質の形態を有する「電解質A」を作製した。
(2)「電解質B」の作製
前記「電解質A」の作製で使用した合成スメクタイト「ルーセンタイトSPN」に代えて以下の手順で作製される高分子化合物Bを8質量%になる様に添加した。その他は同じ手順でゲル電解質の形態を有する「電解質B」を作製した。
(高分子化合物Bの作製)
下記構造を有するモノマー(1,4−ブタンジオールジアクリレート)をプロピレンカーボネートに20質量%の濃度で溶解させ、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)をモノマー単位に対して1質量%の濃度で溶解させてモノマー溶液を調製した。当該モノマー溶液を85℃で30分間加熱して重合反応を行うことにより高分子化合物Bを作製した。
Figure 2011181326
(3)「電解質C」の作製
前記「電解質A」の作製で使用した合成スメクタイト「ルーセンタイトSPN」を添加せず、前述の3−メトキシプロピオニトリル中にヨウ化リチウムとヨウ素を添加した電解液を「電解質C」とした。
(4)「電解質A〜C」の液漏れ防止適性と電気化学的安定性の評価
上記手順で作製した「電解質A〜C」の各々について、以下の手順で液漏れ防止適性と電気化学的安定性を評価した。液漏れ防止適性の評価は、各電解液を蓋に直径0.1mmの孔を開けたサンプル管に入れ、蓋が下になる様に保管し、40℃、10時間静置した後、目視観察を行って液漏れの発生の有無を評価したものである。目視観察により、容器外部に液漏れの発生が見られなかったものを液漏れ防止適性有り(○:合格)と評価し、液漏れの発生が見られたものを液漏れ防止適性なし(×:不合格)と評価した。
また、電気化学的安定性の評価は、6モル/リットルのKOH水溶液中及び各電解液で白金電極を用いて公知の方法でサイクリックボルタンメトリーを実施して行った。評価は、当業者周知の白金電極上での水素発生、水素の吸着と脱着、白金表面酸化物の生成と還元及び酸素発生に基づく反応電流が見られるものの、電解液に添加した化合物の分解に起因する反応電流が認められなかったものを電気化学的安定性が良好と評価した。また、電解液に添加した化合物の分解に起因する反応電流が認められたものを電気化学的安定性が不良と評価した。
評価は、各電解質を上記手順で作製後、24時間経過したときに上記手順で1回目の評価を行った。また、2回目の評価として上記「電解質AとB」を77℃で50日間保存し、液の温度が室温になったところでサンプル管に入れ、上記手順で液漏れ防止適性評価を行った。以上の結果を下記表1に示す。
Figure 2011181326
表1に示す様に、スメクタイト類を添加して形成した「電解質A」は高温環境下で保存後も液漏れの発生がないことが確認された。一方、1回目の評価では液漏れの発生が見られなかったと評価した「電解液B」は高温環境下で保存後は液漏れが発生した。以上の結果より、スメクタイト類を添加して形成された電解液は、他の電解液と比べてゲル状態を安定して維持することが可能なものであることが確認された。
2.「光電変換素子1〜23」、「比較用光電変換素子1〜3」の作製
2−1.「光電変換素子1」の作製
以下の手順により、図1に示す構成を有する「光電変換素子1」を作製した。
(1)基体の用意
縦30mm、横35mm、厚さ1.0mmの市販のソーダガラス基体を用意し、当該基体を硫酸と過酸化水素水の混合液よりなる85℃の洗浄液に浸漬して洗浄処理を行うことにより、その表面を清浄化した。
(2)第1電極の形成
公知の蒸着法の製膜装置を用い、前記ソーダガラス基体上に、縦30mm、横35mm、厚さ1μmのFTO(フッ素ドープ酸化スズ)の層を形成して第1電極とした。
(3)光電変換層の形成
次に、前記FTO層の第1電極の上面に以下の手順で酸化チタンからなる光電変換層を形成した。なお、酸化チタンは以下の手順で作製した。
(酸化チタン粉末の調製)
ルチル型二酸化チタン粉末とアナターゼ型二酸化チタン粉末との混合物からなる二酸化チタン粉末を用意した。酸化チタン粉末の平均粒径は40nmであり、ルチル型二酸化チタン粉末とアナターゼ型二酸化チタン粉末の配合比を質量比で60:40とした。
(ゾル液の調製)
先ず、チタンテトライソプロポキシドを2−プロパノールに1モル/リットルとなる様に溶解した後、この溶液に酢酸と蒸留水とを混合した。ここで、酢酸はチタンテトライソプロポキシドに対してモル比で1:1になる様に添加した。また、蒸留水もチタンテトライソプロポキシドに対してモル比で1:1になる様に添加した。
次に、上述の溶液に前述した様に調製した酸化チタン粉末を混合して懸濁液とし、さらにこの懸濁液を2−プロパノールで2倍に希釈することによりゾル液を調製した。なお、前記ゾル液中の酸化チタン粉末の含有量が3質量%となる様に調製した。
(光電変換層の形成)
前述のソーダガラス基体上にFTO薄膜の第1電極を形成した積層体を140℃に加熱したホットプレート上に載置し、当該積層体上に前記ゾル液を滴下法により塗布後、乾燥処理を行った。この操作を3回繰り返し行うことにより、平均厚さ2.1μmの酸化チタンよりなる光電変換層を形成した。この様にして、ソーダガラス基体上にFTO層の第1電極上に光電変換層を形成した積層体を作製した。
(光増感色素の吸着)
次に、一般式(1)で表される化合物に該当する前述の「化合物1」を4×10−4モル/リットルとなる様に調製した脱水エタノール溶液200mlを用意し、上記光電変換層を前述のソーダガラス基体ごと3時間浸漬処理した。浸漬処理後、上記光電変換層をエタノールで洗浄処理し、さらに真空乾燥処理して、光電変換層を構成する酸化チタンの外面及び孔の内面に沿って一般式(1)で表される化合物に該当する「化合物1」を吸着、結合させた。
(4)第2電極の形成
次に、第2電極である白金をつけた厚さ1μmのFTO(フッ素ドープ酸化スズ)の層を形成したソーダガラス基板を、直径15μmのスペーサを利用して前述の光電変換層を設けたソーダガラス板上に設置した。そして、市販のエポキシ系樹脂を用い、周囲に電解質注入口を残す様に2枚のソーダガラス板を固定して、図2に示す構造の光電変換素子ユニットを作製した。なお、第2電極は、第1電極と同様、縦30mm、横35mm、厚さ1μmとした。
(5)電解質層の形成
次に、図2(b)、(c)に示す様に、光電変換素子ユニットの開口部に注入口より、振動を与えて液の粘度を低下させた状態で前記「電解液A」を光電変換層上方の空隙に注入し、注入後、前記ユニットの開口部を市販のエポキシ樹脂で封鎖した。その後、60℃で30分間ホットプレートで加熱処理を行い、図2(d)に示す構造の「光電変換素子1」を作製した。以上の手順により図1に示す積層構造の「光電変換素子1」を作製した。
2−2.「光電変換素子2〜23」の作製
前記「光電変換素子1」の作製において、光電変換層を作製する際に使用した一般式(1)で表される化合物に該当する「化合物1」を、表2に示す同じ一般式(1)で表される化合物に該当する各化合物にそれぞれ変更した。その他は同じ手順を採ることにより「光電変換素子2〜23」を作製した。
2−3.「比較用光電変換素子1〜3」の作製
(1)「比較用光電変換素子1」の作製
前記「光電変換素子1」の作製において、光電変換層を作製する際に使用した「化合物1」を下記に示すイミダゾロン構造を有さない「化合物801」に変更した他は同じ手順を採ることにより「比較用光電変換素子1」を作製した。
Figure 2011181326
(2)「比較用光電変換素子2、3」の作製
前記「光電変換素子1」の作製において、電解質層を形成する際に使用した「電解液A」に代えて、「電解液B、C」を使用した他は同じ手順をとることにより「比較用光電変換素子2、3」を作製した。
上記「光電変換素子1〜23」と「比較用光電変換素子1〜3」を作製する際に使用した光電変換層の作製で使用した化合物と正孔輸送層の作製で使用した化合物を下記表2に示す。
Figure 2011181326
2.評価実験
評価は、以下に示す様に、初期段階より短絡が発生せず高い光電変換効率が得られること、及び、耐久試験を実施した後も電解質層より液漏れが発生しないことを確認するものとした。
前記「光電変換素子1〜23」と「比較用光電変換素子1〜3」を用いて下記評価を行った。評価は、市販のソーラシミュレータ「WXS−85−H((株)ワコム電創製)」により形成される照射強度100mW/cmの擬似太陽光を各光電変換素子に照射することにより行ったものである。前記擬似太陽光は、前記ソーラシミュレータによりキセノンランプ光をAMフィルタ(AM1.5)に通過させて形成されたものである。
最初に、室温環境(温度20℃)下で前記擬似太陽光照射時における各光電変換素子の電流−電圧特性を、市販のI−Vテスタを用いて測定して、短絡電流密度Jscと開放電圧Voc、及び、電流密度−電圧特性グラフより形状係数FFを算出した。そして、これらの値を用いて後述する計算式より光電変換効率を算出した。次に、温度77℃の暗所下に240時間放置した後、再び上記と同じ条件で擬似太陽光照射を行い、短絡電流密度Jscと開放電圧Voc、形状係数FFを算出して光電変換効率を算出した。この様にして光電変換効率の変動を評価した。さらに、上記温度77℃の暗所下に40日間放置して、合計50日間高温の暗所に保存した光電変換素子について液漏れ発生の有無を評価した。
ここで、「光電変換素子1〜23」を用いて行った評価を「実施例1〜23」、「比較用光電変換素子1〜3」を用いて行った評価を「比較例1〜3」とした。また、評価項目中の「開放電圧」とは、光電変換素子に電圧負荷をかけたときに電流が流れなくなる電圧のことをいうものである。また、「短絡電流密度」とは、光電変換素子に電圧負荷をかけていない状態の時に流れる単位面積あたりの電流値のことで、本発明の課題である「正孔輸送物質が光電変換層に過剰に浸透することにより発生する短絡」でいう「短絡」とは無関係のものである。さらに、「形状係数FF」は、後述する光電変換効率を測定する際の電流密度−電圧特性グラフにおいて、Pmaxを短絡電流密度Jscと開放電圧Vocの積で除して得られる値である。なお、図3に「形状係数FF」の数値と「電流密度−電圧特性グラフ」の形状との関係の例を示す。
また、光電変換効率(%)は、前述の短絡電流密度Jscと開放電圧Voc、形状係数FFの積を照射強度で除して得られた値を100倍することにより得られる。すなわち、前記ソーラシミュレータでAM1.5フィルタ、照射強度100mW/cmの疑似太陽光を照射したときに得られる各光電変換素子の光電変換効率η(%)は、短絡電流密度をJsc(mA/cm)、開放電圧をVoc(V)、形状係数をFFとしたとき、
η(%)
=〔Jsc(mA/cm)×Voc(V)×FF/100(mW/cm)〕×100
より算出される。
以上の結果を表3に示す。すなわち、
Figure 2011181326
表3に示す様に、「光電変換素子1〜23」を用いた「実施例1〜23」は、初期及び擬似太陽光照射後のいずれも、開放電圧、短絡電流値、光電変換効率の変動がみられず、光電変換効率の向上と短絡の発生防止を発現することが確認された。また、これらは77℃の環境下で50日間保存した後も液漏れを発生するものはなかった。一方、本発明の構成を有さない「比較用光電変換素子1」を用いた「比較例1」は、初期段階より短絡が発生して良好な光電変換効率が得られず、「比較例2、3」は77℃の環境下で50日間保存後にいずれも液漏れを発生させた。この様に、「比較例1〜3」は安定した性能を発現することが困難なものであった。
1 光電変換素子
2 基体
3 第1電極
4 第2電極
5 光電変換層(ゲル電解質)
6 電解質層
7 空隙
8 スペーサ

Claims (6)

  1. 少なくとも、基体、第1電極、光電変換層、電解質層、第1電極に対向させて配置された第2電極を、この順に設置してなる光電変換素子であって、
    前記光電変換層は、少なくとも下記一般式(1)で表される化合物を担持させた半導体材料を含有するものであるとともに、
    前記電解質層は、少なくとも、電解液とスメクタイト類を含有するゲル電解質を含有するものであることを特徴とする光電変換素子。
    Figure 2011181326
    〔式中、Arは置換または未置換のアリーレン基、RとRは置換または未置換のアルキル基またはアリール基を表し、Ar、R、Rは互いに連結して環状構造を形成してもよい。RとRは水素原子、置換または未置換のアルキル基を表す。Rは酸性基Xで置換されたアルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルセレノ基を表し、RはさらにX以外の置換基を有してもよい。mは1以上の整数を表し、mが2以上の場合、酸性基Xは同じものでも異なるものであってもよい。〕
  2. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
    Figure 2011181326
    〔式中、Arは置換または未置換のアリーレン基、RとRは置換または未置換のアルキル基またはアリール基を表し、Ar、R、Rは互いに連結して環状構造を形成してもよい。RとRは水素原子、置換または未置換のアルキル基を表す。また、Yはイオウ原子、酸素原子、セレン原子のいずれかを表し、RとRは水素原子を表す。nは1以上の整数を表し、Xは酸性基を表す。〕
  3. 前記一般式(2)で表される化合物中のYで表される部位がイオウ原子であることを特徴とする請求項2に記載の光電変換素子。
  4. 前記一般式(1)または(2)で表される化合物中のRで表される部位が水素原子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記一般式(1)または(2)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 2011181326
    〔式中、Rは水素原子、置換または未置換のアルキル基またはシアノ基を表し、RとRは水素原子を表す。nは1以上の整数を表し、Xは酸性基を表す。また、R、Rは置換、未置換のアルキル基、アルコキシ基、アリール基または複素環基を表す。n8、n9は1〜5の整数を表し、n8、n9が2以上の場合、R、Rは同じものでも異なるものであってもよい。〕
  6. 前記一般式(1)または(2)で表される化合物が、下記一般式(4)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 2011181326
    〔式中、Rは水素原子、置換または未置換のアルキル基またはシアノ基を表し、RとRは水素原子を表す。nは1以上の整数を表し、Xは酸性基を表す。また、Rは置換、未置換のアルキル基、アルコキシ基、アリール基または複素環基を表す。n9は1〜5の整数を表す。〕
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