JP2011176110A - 発光素子用基板および発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内層配線による熱抵抗の増加が抑制された発光素子用基板を提供すること。
【解決手段】発光素子11を搭載するための搭載面21を有し、ガラス粉末とセラミックスフィラーとを含むガラスセラミックス組成物の焼結体からなる基板本体2と、前記基板本体2の前記搭載面21側に設けられる素子接続端子3と、前記基板本体2の前記搭載面21側とは反対側に設けられる外部接続端子6と、前記素子接続端子3と前記外部接続端子6とに電気的に接続され、前記搭載面21から100μm以下の範囲内に前記搭載面21と略平行に設けられる内層配線4とを有する発光素子用基板1であって、前記内層配線4は前記発光素子11を搭載するための搭載部と重ならないように設けられているもの。
【選択図】図1
【解決手段】発光素子11を搭載するための搭載面21を有し、ガラス粉末とセラミックスフィラーとを含むガラスセラミックス組成物の焼結体からなる基板本体2と、前記基板本体2の前記搭載面21側に設けられる素子接続端子3と、前記基板本体2の前記搭載面21側とは反対側に設けられる外部接続端子6と、前記素子接続端子3と前記外部接続端子6とに電気的に接続され、前記搭載面21から100μm以下の範囲内に前記搭載面21と略平行に設けられる内層配線4とを有する発光素子用基板1であって、前記内層配線4は前記発光素子11を搭載するための搭載部と重ならないように設けられているもの。
【選択図】図1
Description
本発明は、発光素子用基板およびこれを用いた発光装置に係り、特に熱抵抗の低減された発光素子用基板およびこれを用いた発光装置に関する。
近年、発光ダイオード素子の高輝度、白色化に伴い、携帯電話や大型液晶TVのバックライト等に発光ダイオード素子を用いた発光装置が使用されている。しかしながら、発光ダイオード素子の高輝度化に伴って発熱量が増加し、その温度が過度に上昇するために、必ずしも十分な発光輝度を得られなくなっている。このため発光ダイオード素子等の発光素子を搭載するための発光素子用基板として、発光素子から発生する熱を速やかに放散することができ、十分な発光輝度を得られるものが求められている。
従来、発光素子用基板として、例えばアルミナ基板が用いられている。また、アルミナ基板の熱伝導率が約15〜20W/m・Kと必ずしも高くないことから、より高い熱伝導率を有する窒化アルミニウム基板を用いることも検討されている。
しかしながら、窒化アルミニウム基板は、原料コストが高く、また難焼結性であることから高温焼成が必要となり、プロセスコストが高くなりやすい。さらに、窒化アルミニウム基板の熱膨張係数は4×10−6〜5×10−6/℃と小さく、汎用品である9×10−6/℃以上の熱膨張係数を持つプリント基板に実装した場合、熱膨張差により必ずしも十分な接続信頼性を得ることができない。
このような問題を解決するために、発光素子用基板として低温同時焼成セラミック基板(以下、LTCC基板という)を用いることが検討されている。LTCC基板は、例えばガラスとアルミナフィラーとからなるものであり、これらの屈折率差が大きく、またこれらの界面が多く、その厚みが利用する波長よりも大きいことから、高い反射率を得ることができる。これにより、発光素子からの光を効率よく利用し、結果として発熱量を低減することができる。また、光源による劣化の少ない無機酸化物からなるために、長期間に渡って安定した色調を保つことができる。
このようなLTCC基板は必ずしも熱伝導率が高くないことから、例えば金属のような高熱伝導材料からなるサーマルビアを設け、熱抵抗を低減させることが知られている。サーマルビアとしては、例えば発光素子より小さいものを複数配置するものや、発光素子と略同等の大きさのものを1つのみ配置するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
近年、このような発光素子用基板に複数の発光素子を搭載することが検討されている。図7は、従来の発光素子用基板1を用いた発光装置10の一例を示す平面図である。この発光素子用基板1は、搭載面21に4つの発光素子11が四角形状に搭載されるものである。搭載面21の中央部には、各発光素子11の一方の電極が接続される素子接続端子3が設けられ、その両側には、発光素子11の他方の電極が接続される一対の素子接続端子3が設けられている。これらの素子接続端子3からは、搭載面21の反対側に形成される外部接続端子と接続するために、発光素子用基板1の内部に搭載面21と平行に内層配線4が延ばされている。
このような内層配線4については、発光素子11と重なるように、すなわち発光素子11の直下を通るように形成される場合がある。従来、内層配線4は発光素子用基板1の内部に埋設されており、その厚みも5〜15μm程度と薄いことから、発光素子11と重なるように形成されていても問題ないと考えられていた。
しかしながら、内層配線4の表面を覆う発光素子用基板1の厚さが100μm以下となる場合、内層配線4の直上となる搭載面21に少なからず凸部が発生し、この凸部によって形成される空間にダイボンド材が多量に存在することで、発光素子11を搭載した場合に熱抵抗が増加する。特に、発光素子11の高輝度化に伴って発熱量が増加していることから、このような熱抵抗の増加を抑制することが求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、内層配線による熱抵抗の増加が抑制された発光素子用基板を提供することを目的としている。また、本発明は、上記発光素子用基板を用いた発光装置を提供することを目的としている。
本発明の発光素子用基板は、発光素子を搭載するための搭載面を有し、ガラス粉末とセラミックスフィラーとを含むガラスセラミックス組成物の焼結体からなる基板本体と、前記基板本体の前記搭載面側に設けられる素子接続端子と、前記基板本体の前記搭載面側とは反対側に設けられる外部接続端子と、前記素子接続端子と前記外部接続端子とに電気的に接続され、前記搭載面から100μm以下の範囲内に前記搭載面と略平行に設けられる内層配線とを有する発光素子用基板であって、前記内層配線は前記発光素子を搭載するための搭載部と重ならないように設けられていることを特徴とする。
前記素子接続端子と前記内層配線とは略同一平面上に設けられていることが好ましい。 前記素子接続端子は3つ以上設けられていることが好ましく、その2つ以上が前記内層配線によって電気的に接続されていることが好ましい。また、前記素子接続端子は、例えば前記搭載面の中央部と、前記中央部の外側となる2つ以上の周辺部とに設けられていることが好ましく、前記周辺部に設けられる前記素子接続端子の2つ以上が前記内層配線によって接続されていることが好ましい。
前記搭載部は複数設けられていることが好ましく、例えば前記中央部を中心として略環状に配置されていることが好ましい。
本発明の発光装置は、発光素子用基板と、前記発光素子用基板に搭載される発光素子とを有することを特徴とする。
本発明によれば、基板本体内に設けられる内層配線のうち、少なくとも搭載面から100μm以下の範囲内に設けられるものについて、発光素子を搭載するための搭載部と重ならないようにすることで、搭載面、特に搭載部における凸部の発生を抑制し、熱抵抗の低減された発光素子用基板とすることができる。また、本発明によれば、このような発光素子用基板に発光素子を搭載することで、十分な発光輝度を得ることができる発光装置とすることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明の発光素子用基板1、およびこれを用いた発光装置10の一例を示す平面図、およびそのX−X線断面図である。また、図2〜5は、発光素子用基板1の各層を示す平面図、およびそのX−X線断面図である。
図1は、本発明の発光素子用基板1、およびこれを用いた発光装置10の一例を示す平面図、およびそのX−X線断面図である。また、図2〜5は、発光素子用基板1の各層を示す平面図、およびそのX−X線断面図である。
本発明の発光素子用基板1は、例えば図1(a)に示すように4個の発光素子11が四角形状等の略環状に搭載されるものである。この発光素子用基板1は、発光素子11がボンディングワイヤ12によって電気的に接続されるとともに、これら発光素子11とボンディングワイヤ12を覆うようにモールド材13が設けられて発光装置10として用いられる。
発光素子用基板1は、これを主として構成する基板本体2を有している。この基板本体2は、ガラス粉末とセラミックスフィラーとを含むガラスセラミックス組成物の焼結体からなるものである。この基板本体2の搭載面21側には、搭載面21に露出するように、発光素子11と電気的に接続される素子接続端子3が設けられている。素子接続端子3は、例えば搭載面21の中央部に円形状に設けられるとともに、その外側となる周辺部、具体的には両側に対向するようにして楕円形状に一対設けられている。
発光素子11は、例えば中央部の素子接続端子3を中心として環状に搭載され、中央部の素子接続端子3と両側の素子接続端子3との中間線上にそれぞれ2つずつ搭載されている。中央部に設けられる素子接続端子3には、各発光素子11の一方の電極がボンディングワイヤ12を介して電気的に接続されている。一方、両側の素子接続端子3には、各側に搭載される2つの発光素子11の他方の電極がボンディングワイヤ12を介して電気的に接続されている。
中央部の素子接続端子3からは、例えば搭載面21の縁部に向かって基板本体2の内部に内層配線4が延ばされており、この内層配線4は端部に設けられた接続部41によって貫通導体5と接続され、さらに搭載面21の反対側に設けられた外部接続端子6と接続されている。一方、両側の素子接続端子3は他の内層配線4によって互いに接続されるとともに、その途中に設けられる接続部41によって他の貫通導体5と接続され、さらに搭載面21の反対側に設けられる他の外部接続端子6と接続されている。
素子接続端子3は、例えば図1(b)に示すように搭載面21から一段下がるように設けられており、内層配線4は素子接続端子3と接続するように基板本体2の内部に設けられている。すなわち、素子接続端子3と内層配線4とは同一平面上に設けられている。素子接続端子3および内層配線4は、例えば厚みが5〜15μmとされており、搭載面21からこの搭載面21側の表面までの距離(L1)が50〜100μmとされている。
本発明では、このような距離(L1)が100μm以下となる内層配線4が搭載部と重ならないように設けられていることを特徴とする。距離(L1)が100μm以下となるような内層配線4は搭載部に凸部を発生させやすいことから、このような内層配線4を搭載部に重ならないように、すなわち搭載部の直下を通らないように設けることで、搭載部における凸部の発生を抑制し、熱抵抗の低減されたものとすることができる。
具体的には、内層配線4を搭載部に重ならないようにすることで、個々の搭載部における最高部と最低部との高低差を2μm以下とすることができる。ここで、最高部とは、搭載部の中で最も高い部分を意味し、最低部とは、搭載部の中で最も低い部分を意味する。そして、高低差は、この最高部と最低部との高さの差として求められる。
本発明では、距離(L1)が100μm超えるものについては、必ずしも搭載部と重ならないように設けられている必要はないが、より熱抵抗の低減されたものとする観点から、距離(L1)が150μm以下となる内層配線4が搭載部と重ならないように設けられていることが好ましい。なお、このような内層配線4は、通常、距離(L1)が50μm以上となるように形成されていることが好ましい。なお、搭載部とは、実際に発光素子11が搭載される部分であり、発光素子11と同一の面積を有する部分である。
図6は、発光素子用基板1の搭載部近傍を拡大して示す模式的断面図である。搭載部を含む搭載面21には、銀等からなる反射膜7、およびこの反射膜7を覆うオーバーコートガラス膜8を介して、ダイボンド材からなる接着層9により発光素子11が接着されていてもよい。このような場合であっても、距離(L1)の基準となる搭載面21は、これら反射膜7やオーバーコートガラス膜8の表面ではなく、あくまでも基板本体2の表面である搭載面21とする。また、内層配線4の直上となる搭載面21には凸部が形成されるが、距離(L1)の基準となる搭載面21は、このような凸部が発生していない搭載面21を基準とする。
内層配線4は、少なくとも搭載部と重ならないように形成されていればよいが、搭載部の外周から水平方向に測った最短距離(L2)が100μm以上となるように形成されていることが好ましい。最短距離(L2)を100μm以上とすることで、内層配線4による凸部の影響を効果的に抑制することができる。
しかし、熱抵抗を低減する観点から、内層配線4は搭載部の外周からの最短距離(L2)が300μm以下となるように設けられていることが好ましい。内層配線4は熱伝導率が高いことから、搭載部と重ならないようにしつつ、その外周に近い位置に設けることで、搭載部の熱抵抗を効果的に低減することができる。
内層配線4は、少なくとも一部の最短距離(L2)が300μm以下となっていればよいが、熱抵抗を低減する観点から、全ての搭載部における外周部の長さの合計に対する最短距離(L2)が300μm以下となる部分の長さの割合が1/4以上となっていることが好ましい。この割合は、通常、1/2程度までとされていれば十分である。なお、図1に示すものについては、上記割合が約6/16となるものである。
このような発光素子用基板1は、例えばガラス粉末とセラミックスフィラーとを含むガラスセラミックス組成物からなる4枚のグリーンシートを積層し、焼成することにより製造されるものであり、例えば第1層22〜第4層25の4層からなるものとされている。
第1層22は、図2に示すように搭載面21が露出するような径大な円形状の孔部221を有するものとされている。第2層23は、図3に示すように中央部に円形状の孔部231を有するとともに、その両側に一対の楕円形状の孔部232を有するものとされている。中央部の孔部231は、中央部の素子接続端子3と同様の大きさ、またはこれよりもわずかに小さい大きさとされている。また、両側の孔部232は、両側の素子接続端子3と同様の大きさ、またはこれよりもわずかに小さい大きさとされている。
第3層24は、図4に示すように表面の中央部に円形状の素子接続端子3が形成されるとともに、この素子接続端子3の両側に一対の楕円形状の素子接続端子3が形成されている。中央部の素子接続端子3からは内層配線4が延ばされ、その端部に接続部41が設けられている。また、両側の素子接続端子3を繋ぐように他の内層配線4が延ばされており、その途中に接続部41が設けられている。
第3層24の内部には、一対の内層配線4(接続部41)と接続するように一対の貫通導体5が形成されている。また、第4層25の内部にも、図5に示すように一対の貫通導体5が形成されており、これらは搭載面21の反対側に設けられる一対の外部接続端子6と接続されている。
本発明の発光装置10は、このような発光素子用基板1の搭載部にシリコーンダイボンド剤等のダイボンド剤により発光ダイオード素子等の発光素子11が搭載され、その図示しない電極がボンディングワイヤ12によって素子接続端子3に接続されるとともに、発光素子11やボンディングワイヤ12を覆うようにモールド材13が設けられることにより構成されている。
本発明の発光装置10によれば、熱抵抗の小さい発光素子用基板1を用いることで、発光素子11の過度な温度上昇を抑制し、高輝度に発光させることができる。このような本発明の発光装置10は、例えば携帯電話や大型液晶ディスプレイ等のバックライト、自動車用あるいは装飾用の照明、その他の光源として好適に用いることができる。
次に、本発明の発光素子用基板1の製造方法について説明する。
本発明の発光素子用基板1は、内層配線4が発光素子11の搭載部と重ならないように形成する以外は、基本的に従来の発光素子用基板と同様にして製造することができる。
本発明の発光素子用基板1は、内層配線4が発光素子11の搭載部と重ならないように形成する以外は、基本的に従来の発光素子用基板と同様にして製造することができる。
すなわち、発光素子用基板1は、未焼成第1層22〜未焼成第4層25を別々に製造した後、これらを重ね合わせて未焼成発光素子用基板1とし、脱脂し、焼成することにより製造することができる。
未焼成第1層22〜未焼成第4層25となるグリーンシートは、基板用ガラス粉末とセラミックスフィラーとを含むガラスセラミックス組成物にバインダー、必要に応じて可塑剤、溶剤等を添加してスラリーを調製し、これをドクターブレード法等によりシート状に成形し、乾燥させることで製造することができる。
基板用ガラス粉末は、必ずしも限定されるものではないものの、ガラス転移点(Tg)が550〜700℃のものが好ましい。ガラス転移点(Tg)が550℃未満の場合、脱脂が困難となるおそれがあり、700℃を超える場合、収縮開始温度が高くなり、寸法精度が低下するおそれがある。
また、850〜900℃で焼成したときに結晶が析出するものであることが好ましい。結晶が析出しないものの場合、十分な機械的強度を得ることができないおそれがある。さらに、DTAにより測定される結晶化ピーク温度(Tc)が880℃以下のものが好ましい。結晶化ピーク温度(Tc)が880℃を超える場合、寸法精度が低下するおそれがある。
基板用ガラス粉末としては、例えばSiO2を57〜65mol%、B2O3を13〜18mol%、CaOを9〜23mol%、Al2O3を3〜8mol%、K2OおよびNa2Oから選ばれる少なくとも一方を合計で0.5〜6mol%含有するものが好ましい。このようなものを用いることで、搭載面21における凹凸の発生を抑制しやすくなる。
ここで、SiO2は、ガラスのネットワークフォーマとなるものである。SiO2の含有量が57mol%未満の場合、安定なガラスを得ることが難しく、また化学的耐久性も低下するおそれがある。一方、SiO2の含有量が65mol%を超える場合、ガラス溶融温度やガラス転移点(Tg)が過度に高くなるおそれある。SiO2の含有量は、好ましくは58mol%以上、より好ましくは59mol%以上、特に好ましくは60mol%以上である。また、SiO2の含有量は、好ましくは64mol%以下、より好ましくは63mol%以下である。
B2O3は、ガラスのネットワークフォーマとなるものである。B2O3の含有量が13mol%未満の場合、ガラス溶融温度やガラス転移点(Tg)が過度に高くなるおそれがある。一方、B2O3の含有量が18mol%を超える場合、安定なガラスを得ることが難しく、また化学的耐久性も低下するおそれがある。B2O3の含有量は、好ましくは14mol%以上、より好ましくは15mol%以上である。また、B2O3の含有量は、好ましくは17mol%以下、より好ましくは16mol%以下である。
Al2O3は、ガラスの安定性、化学的耐久性、および強度を高めるために添加される。Al2O3の含有量が3mol%未満の場合、ガラスが不安定となるおそれがある。一方、Al2O3の含有量が8mol%を超える場合、ガラス溶融温度やガラス転移点(Tg)が過度に高くなるおそれがある。Al2O3の含有量は、好ましくは4mol%以上、より好ましくは5mol%以上である。また、Al2O3の含有量は、好ましくは7mol%以下、より好ましくは6mol%以下である。
CaOは、ガラスの安定性や結晶の析出性を高めると共に、ガラス溶融温度やガラス転移点(Tg)を低下させるために添加される。CaOの含有量が9mol%未満の場合、ガラス溶融温度が過度に高くなるおそれがある。一方、CaOの含有量が23mol%を超える場合、ガラスが不安定となるおそれがある。CaOの含有量は、好ましくは12mol%以上、より好ましくは13mol%以上、特に好ましくは14%以上である。また、CaOの含有量は、好ましくは22mol%以下、より好ましくは21mol%以下、特に好ましくは20%以下である。
K2O、Na2Oは、ガラス転移点(Tg)を低下させるために添加される。K2OおよびNa2Oの合計した含有量が0.5mol%未満の場合、ガラス溶融温度やガラス転移点(Tg)が過度に高くなるおそれがある。一方、K2OおよびNa2Oの合計した含有量が6mol%を超える場合、化学的耐久性、特に耐酸性が低下するおそれがあり、電気的絶縁性も低下するおそれがある。K2OおよびNa2Oの合計した含有量は、0.8〜5mol%であることが好ましい。
なお、基板用ガラス粉末は、必ずしも上記成分のみからなるものに限定されず、ガラス転移点(Tg)等の諸特性を満たす範囲で他の成分を含有することができる。他の成分を含有する場合、その合計した含有量は10mol%以下であることが好ましい。
基板用ガラス粉末は、上記したようなガラス組成を有するガラスを溶融法によって製造し、乾式粉砕法や湿式粉砕法によって粉砕することにより得ることができる。湿式粉砕法の場合、溶媒として水を用いることが好ましい。粉砕は、例えばロールミル、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機を用いて行うことができる。
基板用ガラス粉末の50%粒径(D50)は0.5〜2μmであることが好ましい。基板用ガラス粉末の50%粒径が0.5μm未満の場合、ガラス粉末が凝集しやすく、取り扱いが困難となると共に、均一に分散させることが困難となる。一方、基板用ガラス粉末の50%粒径が2μmを超える場合、ガラス軟化温度の上昇や焼結不足が発生するおそれがある。粒径の調整は、例えば粉砕後に必要に応じて分級することにより行うことができる。
一方、セラミックスフィラーとしては、従来からこの種の基板の製造に用いられるものを特に制限なく用いることができる。具体的には、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、またはアルミナ粉末とジルコニア粉末との混合物を好適に用いることができる。セラミックスフィラーの50%粒径(D50)は、例えば0.5〜4μmであることが好ましい。なお、基板用ガラス粉末やセラミックスフィラーの粒径は、レーザー回折・散乱法による粒子径測定装置(日機装社製、商品名:MT3100II)により測定した。
このような基板用ガラス粉末とセラミックスフィラーとを、例えば基板用ガラス粉末が30〜50質量%、セラミックスフィラーが50〜70質量%となるように配合、混合することによりガラスセラミックス組成物を得ることができる。また、このガラスセラミックス組成物に、バインダー、必要に応じて可塑剤、溶剤等を添加することによりスラリーを得ることができる。
バインダーとしては、例えばポリビニルブチラール、アクリル樹脂等を好適に用いることができる。可塑剤としては、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル等を用いることができる。また、溶剤としては、トルエン、キシレン、ブタノール等の有機溶剤を好適に用いることができる。
このスラリーをドクターブレード法等によりシート状に成形し、乾燥させることで、未焼成第1層22〜未焼成第4層25となるグリーンシートを製造することができる。この際、未焼成第2層23となるグリーンシートの厚みを調整することで、最終的な発光素子用基板1における搭載面21から内層配線4までの距離(L1)を調整することができる。
未焼成第1層22となるグリーンシートには、円形状の孔部221を形成する。また、未焼成第2層23となるグリーンシートには、中央に円形状の孔部231を形成するとともに、その両側に一対の楕円形状の孔部232を形成する。
未焼成第3層24となるグリーンシートには、貫通導体5となる部分に孔部を形成した後、金属ペーストを充填することにより未焼成貫通導体5を形成するとともに、素子接続端子3および内層配線4となる部分に金属ペーストを塗布することにより、未焼成素子接続端子3および未焼成内層配線4を形成する。この際、未焼成内層配線4の形成位置を調整することで、最終的に発光素子11の搭載部に重ならないように内層配線4を形成することができる。
第4層25となるグリーンシートにも、貫通導体5となる部分に孔部を形成した後、金属ペーストを充填することにより未焼成貫通導体5を形成するとともに、外部接続端子6となる部分に金属ペーストを塗布することにより未焼成外部接続端子6を形成する。
未焼成接続端子3、6、未焼成内層配線4、および未焼成貫通導体5の形成方法は、特に限定されるものではなく、例えばスクリーン印刷法により金属ペーストを塗布、充填することにより行うことができる。金属ペーストとしては、例えば銅、銀、金等を主成分とする金属粉末に、エチルセルロース等のビヒクル、必要に応じて溶剤等を添加してペースト状としたものを用いることができる。
また、図6に示すように反射膜7を形成する場合、未焼成第2層23の搭載面21となる部分にスクリーン印刷法によって上記したような金属ペーストにより未焼成反射膜7を形成する。また、オーバーコートガラス膜8を設ける場合、未焼成第2層23の搭載面21となる部分、あるいは未焼成反射膜7が設けられている場合には、その表面にスクリーン印刷法によりガラスペーストを塗布して未焼成オーバーコートガラス膜8を形成する。
ガラスペーストは、コート用ガラス粉末に、エチルセルロース等のビヒクル、必要に応じて溶剤等を添加してペースト状としたものを用いることができる。コート用ガラス粉末としては、未焼成第1層22〜未焼成第4層25と同時に焼成して膜状のガラスを得られるものであればよく、その50%粒径(D50)は0.5〜2μmであることが好ましい。
このような未焼成第1層22〜未焼成第4層25は重ね合わせて、例えば熱圧着することにより一体化して未焼成発光素子用基板1とする。その後、バインダー等を除去する脱脂を行い、ガラスセラミックス組成物等を焼結させる焼成を行って発光素子用基板1とすることができる。
脱脂は、例えば500〜600℃の温度で1〜10時間保持することにより行うことができる。脱脂温度が500℃未満もしくは脱脂時間が1時間未満の場合、バインダー等を十分に除去することができないおそれがある。一方、脱脂温度は600℃程度、脱脂時間は10時間程度とすれば、十分にバインダー等を除去することができ、これを超えるとかえって生産性等が低下するおそれがある。
また、焼成は、例えば850〜900℃の温度で20〜60分保持することにより行うことができ、特に860〜880℃の温度で行うことが好ましい。焼成温度が850℃未満、焼成時間が20分未満の場合、緻密なものが得られないおそれがある。一方、焼成温度は900℃程度、焼成時間は60分程度とすれば、十分に緻密なものが得られ、これを超えるとかえって生産性等が低下するおそれがある。また、銀を主成分とする金属粉末を含有する金属ペーストを用いた場合、焼成温度が880℃を超えると、過度に軟化するために所定の形状を維持できなくなるおそれがある。
このような発光素子用基板1には、搭載部にシリコーンダイボンド剤等のダイボンド剤を用いて発光ダイオード素子等の発光素子11を搭載し、その図示しない電極と素子接続端子3とをボンディングワイヤ12によって接続するとともに、これら発光素子11とボンディングワイヤ12とを覆うようにモールド材13を設けることにより発光装置10とすることができる。
以上、本発明の発光素子用基板1、発光装置10について説明したが、本発明の発光素子用基板1については、少なくとも搭載面21からこの搭載面21側の表面までの距離(L1)が100μm以下となる内層配線4を有し、かつこの内層配線4が搭載部と重ならないように形成されるものであればよく、搭載部や素子接続端子3の個数や配置については必ずしも限定されるものではないが、搭載部に内層配線4が重なりやすい形状のもの、例えば搭載部が2つ以上、また素子接続端子3が3つ以上であるもの、特にこのようなものにおいて中央部の素子接続端子3から内層配線4が引き出されるとともに、その周辺部の2つ以上の素子接続端子3が内層配線4により接続されるものの場合に特に顕著な効果を発揮することができる。また、発光素子用基板1は、必ずしも第1層22〜第4層25の4層構造のものに限られるものではなく、例えば第4層25を省略して、第3層24の裏面に外部接続端子6を設ける3層構造等とすることもできる。
以下、本発明について実施例を参照してさらに詳細に説明する。
(実施例1)
発光素子用基板1として図1に示すものを製造した。なお、各発光素子11(発光部)は、0.40mm×0.24mmの大きさの長方形状とし、その長手方向が3つの素子接続端子3の配列方向(図1中、左右方向)となるようにした。
発光素子用基板1として図1に示すものを製造した。なお、各発光素子11(発光部)は、0.40mm×0.24mmの大きさの長方形状とし、その長手方向が3つの素子接続端子3の配列方向(図1中、左右方向)となるようにした。
まず、未焼成第1層22〜未焼成第4層25となるグリーンシートを製造した。すなわち、SiO2が60.4mol%、B2O3が15.6mol%、Al2O3が6mol%、CaOが15mol%、K2Oが1mol%、Na2Oが2mol%となるように原料を配合、混合し、この原料混合物を白金ルツボに入れて1600℃で60分間溶融させた後、この溶融状態のガラスを流し出し冷却した。このガラスをアルミナ製ボールミルにより40時間粉砕して基板用ガラス粉末を製造した。なお、粉砕時の溶媒にはエチルアルコールを用いた。
この基板用ガラス粉末が40質量%、アルミナフィラー(昭和電工社製、商品名:AL−45H)が60質量%となるように配合し、混合することによりガラスセラミックス組成物を製造した。このガラスセラミックス組成物50gに、有機溶剤(トルエン、キシレン、2−プロパノール、2−ブタノールを質量比4:2:2:1で混合したもの)15g、可塑剤(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)2.5g、バインダーとしてのポリビニルブチラール(デンカ社製、商品名:PVK#3000K)5g、さらに分散剤(ビックケミー社製、商品名:BYK180)を配合し、混合してスラリーを調製した。
このスラリーをPETフィルム上にドクターブレード法により塗布し、乾燥させ、未焼成第1層22〜未焼成第4層25となる4枚のグリーンシートを製造した。なお、各グリーンシートの厚みは、焼成後の厚みが0.5mm (未焼成第1層22用)、 0.06mm (未焼成第2層23用)、0.25mm(未焼成第3層24用)、0.25mm(未焼成第4層25用)となるようにした。各グリーンシートには、孔空け機を用いて所定の孔部を形成した。
一方、導電性粉末(大研化学工業社製、商品名:S550)、ビヒクルとしてのエチルセルロースを質量比85:15の割合で配合し、固形分が85質量%となるように溶剤としてのαテレピネオールに分散した後、磁器乳鉢中で1時間混練を行い、さらに三本ロールにて3回分散を行って金属ペーストを製造した。
この金属ペーストをスクリーン印刷法によりグリーンシートの所定の孔部に充填して未焼成貫通導体5を形成すると共に、所定の表面に印刷して、未焼成素子接続端子3、未焼成内層配線4、および未焼成外部電極端子6を形成して、未焼成第1層22〜未焼成第4層25を製造した。
そして、未焼成第1層22〜未焼成第4層25を重ね合わせ、熱圧着により一体化して未焼成発光素子用基板1とした後、550℃で5時間保持する脱脂を行い、さらに870℃で30分間保持する焼成を行って発光素子用基板1を製造した。
なお、内層配線4は、厚みを10μmとし、搭載面21からこの搭載面21側の表面までの距離(L1)が50μmとなるようにした。また、搭載部(図1(a)、左上)に沿った内層配線4は、最短距離(L2)が100μmとなるようにこの搭載部の2辺(0.40mm+0.24mm)に沿って設けるとともに、搭載部(図1(a)、左下および右下)に沿った内層配線4は、最短距離(L2)が100μmとなるようにこの搭載部の2辺(0.40mm+0.24mm)に沿って設けた。また、内層配線4の幅は200μmとした。
(実施例2〜8)
実施例1の発光素子用基板1の製造において、距離(L1)、距離(L2)を表1に示すように変更して発光素子用基板1を製造した。
実施例1の発光素子用基板1の製造において、距離(L1)、距離(L2)を表1に示すように変更して発光素子用基板1を製造した。
(比較例1、2)
実施例1の発光素子用基板1の製造において、図7に示すように3つの搭載部に重なるように内層配線4を形成するとともに、距離(L1)を表1に示すものとして発光素子用基板1を製造した。なお、内層配線4の幅は、実施例1の発光素子用基板1と同様に200μmとした。
実施例1の発光素子用基板1の製造において、図7に示すように3つの搭載部に重なるように内層配線4を形成するとともに、距離(L1)を表1に示すものとして発光素子用基板1を製造した。なお、内層配線4の幅は、実施例1の発光素子用基板1と同様に200μmとした。
次に、実施例および比較例の発光素子用基板1の4つの搭載部に、ダイボンド材(信越化学工業株式会社製、商品名:KER−3000−M2)を用いて発光ダイオード素子(昭和電工社製、商品名:GQ2CR460Z)を搭載し、さらにモールド材(信越化学工業株式会社、商品名:SCR−1016A)を用いて封止を行った。
この発光素子用基板1について、熱抵抗測定器(嶺光音電機株式会社製、商品名:TH−2167)を用いて熱抵抗を測定した。なお、印加電流は35mAとし、電圧降下が飽和する時間まで通電し、降下した電圧と発光ダイオード素子の温度−電圧降下特性から導かれる温度係数によって飽和温度Tj(℃/W)を算出した。
結果を表1にまとめて示す。なお、表中、「◎」、「○」、「△」、「×」は、実施例1の飽和温度に対する飽和温度の上昇の割合を示し、「◎」は5%未満、「○」は5%以上10%未満、「△」は10%以上20%未満、「×」は20%以上を示す。
表1から明らかなように、搭載部に重ならないように、かつ搭載部の近傍に内層配線4を設けた実施例の発光素子用基板1は、熱抵抗が有効に低減されていることが認められた。特に、搭載部からの内層配線4までの最短距離(L2)を100〜300μmとしたものは、効果的に熱抵抗を低減できることが認められた。
1…発光素子用基板
2…基板本体
3…素子接続端子
4…内層配線
6…外部接続端子
10…発光装置
11…発光素子
21…搭載面
2…基板本体
3…素子接続端子
4…内層配線
6…外部接続端子
10…発光装置
11…発光素子
21…搭載面
Claims (7)
- 発光素子を搭載するための搭載面を有し、ガラス粉末とセラミックスフィラーとを含むガラスセラミックス組成物の焼結体からなる基板本体と、前記基板本体の前記搭載面側に設けられる素子接続端子と、前記基板本体の前記搭載面側とは反対側に設けられる外部接続端子と、前記素子接続端子と前記外部接続端子とに電気的に接続され、前記搭載面から100μm以下の範囲内に前記搭載面と略平行に設けられる内層配線とを有する発光素子用基板であって、
前記内層配線は前記発光素子を搭載するための搭載部と重ならないように設けられていることを特徴とする発光素子用基板。 - 前記素子接続端子と前記内層配線とは略同一平面上に設けられていることを特徴とする請求項1記載の発光素子用基板。
- 前記素子接続端子を3つ以上有し、その2つ以上が前記内層配線によって電気的に接続されていることを特徴とする請求項2記載の発光素子用基板。
- 前記素子接続端子は、前記搭載面の中央部と、前記中央部の外側となる2つ以上の周辺部とに設けられ、前記周辺部に設けられる前記素子接続端子の2つ以上が前記内層配線によって接続されていることを特徴とする請求項3記載の発光素子用基板。
- 前記搭載部を複数有することを特徴とする請求項4記載の発光素子用基板。
- 前記中央部を中心として前記複数の搭載部が略環状に配置されていることを特徴とする請求項5記載の発光素子用基板。
- 請求項1乃至5のいずれか1項記載の発光素子用基板と、
前記発光素子用基板に搭載される発光素子と
を有することを特徴とする発光装置。
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