JP2011172510A - 統合失調症のかかり易さの検出方法 - Google Patents

統合失調症のかかり易さの検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】統合失調症の脆弱性遺伝子として同定されているdysbindin遺伝子以外の統合失調症に関連する遺伝子を検出することで、統合失調症へのかかり易さを検出する方法、及び該方法に用いるキットを提供すること。
【解決手段】工程A:被検者由来の生体試料において、C1qC、Nr4a1、Egr1、Npas4、Arc、Fos、Ctnnd2、Tyrobp、Pdzd2、Olig2、Glu1、Dusp14、Rgs9、Dusp1、Tiparp、Cited2、Homer1、Neurod6、Dio2、及びC1qAからなる群より選ばれる少なくとも1つの遺伝子の発現量を測定する工程、ならびに、工程B:工程Aで得られた被検者由来の生体試料における前記発現量を基準値と対比することにより、被検者の統合失調症のかかり易さを検出する工程、を含む統合失調症のかかり易さを検出するための方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、統合失調症のかかり易さの検出方法に関する。さらに詳しくは、特定の遺伝子発現量を測定することにより統合失調症のかかり易さを検出する方法、及び該方法に用いるキットを提供することに関する。
統合失調症は重度な精神疾患であり、罹患率は全世界人口の約1%と比較的高いものである。統合失調症の原因としては、複数の遺伝的要因の関与が示唆されており、遺伝子解析研究により、ディスバインジン(dysbindin)、ニューレグリン(Neuregulin)、カテコール-0-メチルトランスフェラーゼ(Catechol-O-methyltransferase)、アールジーエスフォー(RGS4)等が最も関連のある遺伝子と同定され、なかでも、dysbindinは統合失調症の脆弱性遺伝子として同定されている。さらに、統合失調症の関連研究において、染色体6pが有力な連鎖領域の一つであると報告されている。
また、遺伝子6p22.3での多型であるディスバインジン1(DTNBP1: dystrobrevin binding protein 1)は、ディストロブレヴィンと相互作用するタンパク質として同定されているが、統合失調症と強く関連することが判明した。これより、dysbindinと統合失調症との関連について多くの検討が行われるようになった。
例えば、本発明者らは、以前、統合失調症患者の脳内では、mRNAレベルとタンパク質レベルで、dysbindinのダウンレギュレーションが生じていることを報告している(非特許文献1参照)。また、最近の研究により、dysbindinがグルタミン酸やドーパミンの放出に関わっていることも本発明者らが明らかにしてきた(非特許文献2、3参照)。またさらに、サンディマウス(sandy mouse、dysbindin KOマウス)が、統合失調症に認められる、記憶障害、社会性の障害、不安増加や感覚入力選別機能障害等の行動異常を示すことが明らかになっている(非特許文献4、5参照)。また、ヒトの研究において、ディスバインジン遺伝子が記憶と関連することを見出しており(非特許文献6、7参照)、サンディマウスは特に、統合失調症の記憶障害のモデルマウスであるといえる。
Weickert CS, Straub RE, McClintock BW et al. Human dysbindin (DTNBP1) gene expression in normal brain and in schizophrenic prefrontal cortex and midbrain. Arch Gen Psychiatry; 61: 544-555., 2004. Numakawa T, Yagasaki Y, Ishimoto T, Okada T, Suzuki T, Iwata N, Ozaki N, Taguchi T, Tatsumi M, Kamijima K, Straub RE, Weinberger DR, Kunugi H, Hashimoto R. Evidence of novel neuronal functions of dysbindin, a susceptibility gene for schizophrenia. Hum Mol Genet, 13(21):2699-2708, 2004.9 Kumamoto N, Matsuzaki S, Inoue K, Hattori T, Shimizu S, Hashimoto R, Yamatodani A, Katayama T, Tohyama M. Hyperactivation of Midbrain Dopaminergic System in Schizophrenia could be attributed to the Down-regulation of Dysbindin. Biochem Biophys Res Commun, 345:904-909, 2006. Hattori S, Murotani T, Matsuzaki S, Ishizuka T, Kumamoto N, Takeda M, Tohyama M, Yamatodani A, Kunugi H, Hashimoto R. Behavioral abnormalities and dopamine reductions in sdy mutant mice with a deletion in Dtnbp1, a susceptibility gene for schizophrenia. Biochem Biophys Res Commun, 373(2):298-302, 2008. Takao K, Toyama K, Nakanishi K, Hattori S, Takamura H, Takeda M, Miyakawa T, Hashimoto R. Impaired long-term memory retention and working memory in sdy mutant mice with a deletion in Dtnbp1, a susceptibility gene for schizophrenia. Mol Brain, 1(1):11, 2008. Hashimoto R, Noguchi H, Hori H, Ohi K, Yasuda Y, Takeda M, Kunugi H. Association between the dysbindin gene (DTNBP1) and cognitive functions in Japanese subjects. Psychiatry Clin Neurosci 63(4):550-6, 2009. Hashimoto R, Noguchi H, Hori H, Nakabayashi T, Suzuki T, Iwata N, Ozaki N, Kosuga A, Tatsumi M, Kamijima K, Harada S, Saitoh O, Takeda M, Kunugi H. A genetic variation in the dysbindin gene (DTNBP1) is associated with memory performance in healthy controls. The World Journal of Biological Psychiatry, 7:1-8, 2009.
本発明の課題は、統合失調症の脆弱性遺伝子として同定されているdysbindin遺伝子以外の統合失調症に関連する遺伝子を検出することで、統合失調症へのかかり易さを検出する方法、及び該方法に用いるキットを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決する為に検討を重ねた結果、サンディマウスが統合失調症に認められる症状を呈することから、該マウスのゲノムを網羅的に解析することで、統合失調症に関連する新規な遺伝子を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
〔1〕 以下の工程A及びBを含む、統合失調症のかかり易さを検出するための方法、
工程A:被検者由来の生体試料において、コンプリーメントコンポーネント1,qサブコンポーネント,γポリペプチド(COMPLEMENT COMPONENT 1, q SUBCOMPONENT, GAMMA POLYPEPTIDE、C1qC)遺伝子(配列番号1)、核受容体サブファミリー4, グループA, メンバー1(NUCLEAR RECEPTOR SUBFAMILY 4, GROUP A, MEMBER 1、Nr4a1)遺伝子(配列番号2)、早期成長反応1(EARLY GROWTH RESPONSE 1、Egr1)遺伝子(配列番号3)、神経PASドメインタンパク4(NEURONAL PAS DOMAIN PROTEIN 4、Npas4)遺伝子(配列番号4)、活動依存性細胞骨格関連タンパク(ACTIVITY-REGULATED CYTOSKELETON-ASSOCIATED PROTEIN、Arc)遺伝子(配列番号5)、癌遺伝子FOS(ONCOGENE FOS、Fos)遺伝子(配列番号6)、デルタ2カテニン(CATENIN, DELTA-2、Ctnnd2)遺伝子(配列番号7)、チロタンパクチロシンキナーゼ結合タンパク(TYRO PROTEIN TYROSINE KINASE-BINDING PROTEIN、Tyrobp)遺伝子(配列番号8)、PDZドメインコンテイニング2(PDZ DOMAIN-CONTAINING 2、Pdzd2)遺伝子(配列番号9)、オリゴデンドロサイト系統転写因子2(OLIGODENDROCYTE LINEAGE TRANSCRIPTION FACTOR 2、Olig2)遺伝子(配列番号10)、グルタミンシンセターゼ(GLUTAMINE SYNTHETASE、Glu1)遺伝子(配列番号11)、デュアルスペシフィシティーフォスファテーゼ14(DUAL-SPECIFICITY PHOSPHATASE 14、Dusp14)遺伝子(配列番号12)、Gタンパクシグナル制御因子9(REGULATOR OF G PROTEIN SIGNALING 9、Rgs9)遺伝子(配列番号13)、デュアルスペシフィシティーフォスファテーゼ1(DUAL-SPECIFICITY PHOSPHATASE 1、Dusp1)遺伝子(配列番号14)、TCDD誘導ポリADPリボースポリメラーゼ(TCDD-INDUCIBLE POLY(ADP-RIBOSE) POLYMERASE、Tiparp)遺伝子(配列番号15)、GLU/ASPリッチ C末端ドメイン-CBP/p300インターラクティングトランスアクティベーター2(CBP/p300-INTERACTING TRANSACTIVATOR, WITH GLU/ASP-RICH C-TERMINAL DOMAIN, 2、Cited2)遺伝子(配列番号16)、ホマードロソフィアホモログ1(HOMER, DROSOPHILA, HOMOLOG OF, 1、Homer1)遺伝子(配列番号17)、神経原性分化6(NEUROGENIC DIFFERENTIATION 6、Neurod6)遺伝子(配列番号18)、デイオデイナーゼイオドチロニンタイプ2(DEIODINASE, IODOTHYRONINE, TYPE II、Dio2)遺伝子(配列番号19)、及びコンプリーメントコンポーネント1,qサブコンポーネント,αポリペプチド(COMPLEMENT COMPONENT 1, q SUBCOMPONENT, ALPHA POLYPEPTIDE 、C1qA)遺伝子(配列番号20)からなる群より選ばれる少なくとも1つの遺伝子の発現量を測定する工程
工程B:工程Aで得られた被検者由来の生体試料における前記発現量を基準値と対比することにより、被検者の統合失調症のかかり易さを検出する工程
ならびに
〔2〕 コンプリーメントコンポーネント1,qサブコンポーネント,γポリペプチド(COMPLEMENT COMPONENT 1, q SUBCOMPONENT, GAMMA POLYPEPTIDE、C1qC)遺伝子(配列番号1)、核受容体サブファミリー4, グループA, メンバー1(NUCLEAR RECEPTOR SUBFAMILY 4, GROUP A, MEMBER 1、Nr4a1)遺伝子(配列番号2)、早期成長反応1(EARLY GROWTH RESPONSE 1、Egr1)遺伝子(配列番号3)、神経PASドメインタンパク4(NEURONAL PAS DOMAIN PROTEIN 4、Npas4)遺伝子(配列番号4)、活動依存性細胞骨格関連タンパク(ACTIVITY-REGULATED CYTOSKELETON-ASSOCIATED PROTEIN、Arc)遺伝子(配列番号5)、癌遺伝子FOS(ONCOGENE FOS、Fos)遺伝子(配列番号6)、デルタ2カテニン(CATENIN, DELTA-2、Ctnnd2)遺伝子(配列番号7)、チロタンパクチロシンキナーゼ結合タンパク(TYRO PROTEIN TYROSINE KINASE-BINDING PROTEIN、Tyrobp)遺伝子(配列番号8)、PDZドメインコンテイニング2(PDZ DOMAIN-CONTAINING 2、Pdzd2)遺伝子(配列番号9)、オリゴデンドロサイト系統転写因子2(OLIGODENDROCYTE LINEAGE TRANSCRIPTION FACTOR 2、Olig2)遺伝子(配列番号10)、グルタミンシンセターゼ(GLUTAMINE SYNTHETASE、Glu1)遺伝子(配列番号11)、デュアルスペシフィシティーフォスファテーゼ14(DUAL-SPECIFICITY PHOSPHATASE 14、Dusp14)遺伝子(配列番号12)、Gタンパクシグナル制御因子9(REGULATOR OF G PROTEIN SIGNALING 9、Rgs9)遺伝子(配列番号13)、デュアルスペシフィシティーフォスファテーゼ1(DUAL-SPECIFICITY PHOSPHATASE 1、Dusp1)遺伝子(配列番号14)、TCDD誘導ポリADPリボースポリメラーゼ(TCDD-INDUCIBLE POLY(ADP-RIBOSE) POLYMERASE、Tiparp)遺伝子(配列番号15)、GLU/ASPリッチ C末端ドメイン-CBP/p300インターラクティングトランスアクティベーター2(CBP/p300-INTERACTING TRANSACTIVATOR, WITH GLU/ASP-RICH C-TERMINAL DOMAIN, 2、Cited2)遺伝子(配列番号16)、ホマードロソフィアホモログ1(HOMER, DROSOPHILA, HOMOLOG OF, 1、Homer1)遺伝子(配列番号17)、神経原性分化6(NEUROGENIC DIFFERENTIATION 6、Neurod6)遺伝子(配列番号18)、デイオデイナーゼイオドチロニンタイプ2(DEIODINASE, IODOTHYRONINE, TYPE II、Dio2)遺伝子(配列番号19)、及びコンプリーメントコンポーネント1,qサブコンポーネント,αポリペプチド(COMPLEMENT COMPONENT 1, q SUBCOMPONENT, ALPHA POLYPEPTIDE 、C1qA)遺伝子(配列番号20)からなる群より選ばれる少なくとも1つの遺伝子のmRNA又は該mRNAに由来するcDNAに、特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドを含有してなる、統合失調症のかかり易さを検出するためのキット
に関する。
本発明の方法により、より高い精度で、統合失調症のかかり易さを判断することができる。これによって、サンプル提供者は統合失調症と診断されるべき蓋然性が高いと判断されることができ、早期に治療を開始することができる。
図1は、リアルタイムPCR(RT-PCR)による解析によって、サンディマウス(Sdyマウス)とコントロールマウス(DBA/2Jマウス)の海馬での発現量が異なる遺伝子を示す図である。DBA/2Jマウスの平均発現量を1とした場合のSdyマウスの発現量を示す。 図2は、リアルタイムPCR(RT-PCR)による解析によって、サンディマウス(Sdyマウス)とコントロールマウス(DBA/2Jマウス)の線条体での発現量が異なる遺伝子を示す図である。DBA/2Jマウスの平均発現量を1とした場合のSdyマウスの発現量を示す。 図3は、リアルタイムPCR(RT-PCR)による解析によって、サンディマウス(Sdyマウス)とコントロールマウス(DBA/2Jマウス)の前頭葉での発現量が異なる遺伝子を示す図である。DBA/2Jマウスの平均発現量を1とした場合のSdyマウスの発現量を示す。
本発明は、遺伝子発現量を測定する工程(工程A)及び測定された量を基準値と対比することにより統合失調症のかかり易さを検出する工程(工程B)を含む、統合失調症のかかり易さを検出するための方法であって、前記遺伝子が、サンディマウス(sandy mouse、dysbindin KOマウス)と、そのストレインであるコントロールマウスの両群における量の差を解析することにより見出されたものであることに一つの特徴を有する。このような遺伝子を用いることにより、統合失調症のかかり易さを判定することが可能となる。遺伝子としてはDNA及びRNAが挙げられるが、本発明においては前記遺伝子に対するmRNAが好ましい。なお、「統合失調症のかかり易さを検出」するとは、統合失調症のかかり易さ、即ち、将来的に統合失調症を発症する可能性や、サンプル提供時点で統合失調症の状態にあるか否かを、決定及び/又は判定することを含む。
統合失調症は特有の症状によって規定される多因子性の精神疾患であり、家族集積性が高く、遺伝要因と環境要因の両方によって発症する「ありふれた病気」であると考えられているが、その発症機序はいまだ不明のままである。そこで、遺伝子解析が行われた結果、2002年にディスバインジン1(dysbindin-1:DTNBP 1、dystrobrevin binding protein 1)が統合失調症脆弱性遺伝子としてクローニングされた。
dysbindin-1は、約150kbの領域にあり、最も主要なアイソフォームはエクソンが10個あり、351アミノ酸のタンパク質をコードする。この遺伝子について、世界中(アイルランド、ドイツ/ハンガリー/イスラエル、ウェールズ、スコットランド、オランダ、フィンランド、スウェーデン、ポーランド、ブルガリア、スペイン、イタリア、アメリカ、中国、韓国、台湾、インド、オーストラリア、日本など)で統合失調症との関連性について追試が行なわれた。しかし、否定的な結果が得られる追試例が多く、脆弱性遺伝子としては疑問の余地が残る結果となっている。そこで、本発明者らは、以下に示す方法により、統合失調症に関連する新たなマーカー遺伝子を見出した。
Dysbindinは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの原因遺伝子の一つであるdystrobrevinの結合タンパク質として2001年に新規にクローニングされた。その後、2003年にDysbindinはリソソーム関連の細胞小器官の輸送に関与しているリソソーム関連オルガネラ生物発生複合体1(biogenesis of lysosome-related organelles complex 1、BLOC-1)を構成する分子であること、その欠損マウス(サンディマウス、sandy mouse)のフェノタイプは白皮症の一種であるハーマンスキー・パドラック症候群(Hermansky-Pudlak syndrome、HPS)であることが報告されている。また、統合失調症の死後脳ではdysbindinの発現低下が認められるので、このサンディマウスの性状を調べたところ、新奇環境における探索意欲の減退や、不安の増強、社会的相互作用の異常、記憶・学習の障害等が認められ、統合失調症のモデルマウスとして用いることができることが明らかになった。
サンディマウス(Sdyマウスともいう)は、その野生型であるコントロールマウス(DBA/2J mouse)において、染色体劣性毛色変異を突然変異で生じて得られる。Sdyマウスは、イントロン5の3701ヌクレオチドから、イントロン7の12377ヌクレオチドまでが欠損し、これによりdysbindin-1が欠失している。本発明では、SdyマウスとDBA/2Jマウスは、それぞれヘテロ交配により得られたものを用いる。なお、SdyマウスとDBA/2Jマウスの遺伝子型は、体毛により同定できるが、遺伝子解析によっても同定することができる。例えば、DBA/2Jマウスは、
プライマー(forward) i6f (5’-GCACTCAGGAGACCATGACA-3’)(配列番号21)
プライマー(reverse) i6r (5’-GGTTGACACTCTTGCGGAAT-3’)(配列番号22)
を用いてPCR増幅を行い、305bpのPCR産物が得られることにより確認することができる。一方、Sdyマウスは、
プライマー(intron 5) i5 (5’-CCTAGCCCCTCAGGAATTGT-3’)(配列番号23)
プライマー(intron 7) i7 (5’-GGGAATGGGGTCTTAATGGT-3’)(配列番号24)
を用いてPCR増幅を行い、733bpのPCR産物が得られることにより確認することができる。
かかるSdyマウスとDBA/2Jマウスのそれぞれの脳から、公知の方法に従って、海馬、線条体、及び前頭葉を採取する。得られた組織中に存在するtotalRNAを、公知の方法、例えば、酸性チオシアン酸グアニジン・フェノール・クロロホルム(AGPC)法により抽出する。なお、得られたtotalRNAは公知の方法に従って精製することができる。
次に、得られたtotalRNAは、公知の方法に従って同定することができるが、本発明では、同一操作で多数のRNAを検出可能なマイクロアレイ解析により同定する。
マイクロアレイ解析としては、例えば、Affymetrix社のMouse Genome 460 2.0 Array plateを好適に用いて行うことができる。本発明においては、SdyマウスとDBA/2Jマウスのそれぞれの脳の3組織からtotalRNAを抽出し(n=3)、組織毎に、3サンプルずつ等量混ぜてプールしたサンプルを調製して発現量を解析し、Sdyマウス群とDBA/2Jマウス群において発現量の差が認められた遺伝子を候補遺伝子とする。なお、3組織のうち、少なくとも1組織において発現量の差が認められた場合には候補遺伝子として、以降の解析に供する。
次に、候補遺伝子をリアルタイムRT-PCRによって解析する。該方法は特に限定されず、公知の方法に従って行うことができる。なお、リアルタイムRT-PCRに用いるプライマーは、適宜設計して又は市販品を用いることができる。
リアルタイムRT-PCRにより確認されたmRNA発現量は、公知の統計学的手法(例えば、Student’s-test)によって解析処理を行う。解析処理は、SdyマウスとDBA/2Jマウスの間での比較、及び同組織間での比較を行うことが好ましい。
かかる解析処理、例えば、Student’s-testにおいて、SdyマウスとDBA/2Jマウスの脳において、p<0.01で発現量が異なる遺伝子として認められた、コンプリーメントコンポーネント1,qサブコンポーネント,γポリペプチド(COMPLEMENT COMPONENT 1, q SUBCOMPONENT, GAMMA POLYPEPTIDE、C1qC)遺伝子(配列番号1)、核受容体サブファミリー4, グループA, メンバー1(NUCLEAR RECEPTOR SUBFAMILY 4, GROUP A, MEMBER 1、Nr4a1)遺伝子(配列番号2)、早期成長反応1(EARLY GROWTH RESPONSE 1、Egr1)遺伝子(配列番号3)、神経PASドメインタンパク4(NEURONAL PAS DOMAIN PROTEIN 4、Npas4)遺伝子(配列番号4)、活動依存性細胞骨格関連タンパク(ACTIVITY-REGULATED CYTOSKELETON-ASSOCIATED PROTEIN、Arc)遺伝子(配列番号5)、癌遺伝子FOS(ONCOGENE FOS、Fos)遺伝子(配列番号6)、デルタ2カテニン(CATENIN, DELTA-2、Ctnnd2)遺伝子(配列番号7)、チロタンパクチロシンキナーゼ結合タンパク(TYRO PROTEIN TYROSINE KINASE-BINDING PROTEIN、Tyrobp)遺伝子(配列番号8)、PDZドメインコンテイニング2(PDZ DOMAIN-CONTAINING 2、Pdzd2)遺伝子(配列番号9)、オリゴデンドロサイト系統転写因子2(OLIGODENDROCYTE LINEAGE TRANSCRIPTION FACTOR 2、Olig2)遺伝子(配列番号10)、グルタミンシンセターゼ(GLUTAMINE SYNTHETASE、Glu1)遺伝子(配列番号11)、デュアルスペシフィシティーフォスファテーゼ14(DUAL-SPECIFICITY PHOSPHATASE 14、Dusp14)遺伝子(配列番号12)、Gタンパクシグナル制御因子9(REGULATOR OF G PROTEIN SIGNALING 9、Rgs9)遺伝子(配列番号13)、デュアルスペシフィシティーフォスファテーゼ1(DUAL-SPECIFICITY PHOSPHATASE 1、Dusp1)遺伝子(配列番号14)、TCDD誘導ポリADPリボースポリメラーゼ(TCDD-INDUCIBLE POLY(ADP-RIBOSE) POLYMERASE、Tiparp)遺伝子(配列番号15)、GLU/ASPリッチ C末端ドメイン-CBP/p300インターラクティングトランスアクティベーター2(CBP/p300-INTERACTING TRANSACTIVATOR, WITH GLU/ASP-RICH C-TERMINAL DOMAIN, 2、Cited2)遺伝子(配列番号16)、ホマードロソフィアホモログ1(HOMER, DROSOPHILA, HOMOLOG OF, 1、Homer1)遺伝子(配列番号17)、神経原性分化6(NEUROGENIC DIFFERENTIATION 6、Neurod6)遺伝子(配列番号18)、デイオデイナーゼイオドチロニンタイプ2(DEIODINASE, IODOTHYRONINE, TYPE II、Dio2)遺伝子(配列番号19)、及びコンプリーメントコンポーネント1,qサブコンポーネント,αポリペプチド(COMPLEMENT COMPONENT 1, q SUBCOMPONENT, ALPHA POLYPEPTIDE 、C1qA)遺伝子(配列番号20)を、本発明における統合失調症のかかり易さに関連するマーカー遺伝子(統合失調症のマーカー遺伝子ともいう)と同定した。これらのなかでも、海馬、線条体、前頭葉の何れの組織においても発現量の増加が認められたことから、C1qCが好ましい。なお、前記遺伝子全てが統合失調症のかかり易さに関連するマーカータンパク質であるということは、本発明者らが初めて見出したことである。
C1qCは免疫系の分子であり、全身性エリテマトーデス(SLE)に関連しているといわれている。SLEでは、統合失調症様の精神病症状を併発する頻度が高いことが知られており、この分子の脳内における発現上昇が統合失調症の病態に関与しており、創薬のターゲットとなる可能性がある。さらに、この分子の脳脊髄液中や血液中の量が、統合失調症のマーカーとなる可能性がある。
<統合失調症のかかり易さを検出するための方法>
かくして同定された統合失調症のマーカー遺伝子を用いて、本発明の方法を行う。以下に、本発明の各工程について説明する。
工程Aでは、被検者由来の生体試料、好ましくは、海馬、線条体及び前頭葉からなる群より選ばれる少なくとも1つにおいて、前記統合失調症のマーカー遺伝子の発現量を測定する。
遺伝子の発現量を測定する方法としては、特に限定はないが、例えば、測定対象の遺伝子に対するmRNA量を測定する方法が好適例として挙げられる。
測定対象の遺伝子に対するmRNA量を測定する方法としては、遺伝子の発現を検出する公知の方法を用いることができる。例えば、ノーザンブロッティング法、リアルタイムPCR法、RT-PCR法、ハイブリダイゼーション法及びDNAアレイ法などが挙げられる。
前記方法においては、測定対象の遺伝子に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA配列を有するポリヌクレオチドをプローブとして用いることができる。当該プローブは、前記遺伝子のcDNAを適当な制限酵素で切断することによって得ることができる。あるいは、公知配列に基づいて、チオホスファイト法を利用したDNA合成機、フォスフォアミダイト法を利用したDNA合成機などを用いて化学合成してもよく、市販品も用いることができる。なお、プローブには、ラジオアイソトープ標識(RI標識)や、蛍光標識、ビオチン標識等を公知の方法に従って行うことができる。また、プローブは、ガラスビーズやガラス基板等の支持体に固定化して使用することもでき、測定対象の遺伝子について作製したプローブを支持体上に固定化したマイクロアレイ又はDNAチップの形で用いることもできる。支持体としては、例えば、ガラス板、シリコンウエハ、無機材料、天然高分子材料、合成高分子材料等を挙げることができる。また、支持体上で目的のオリゴヌクレオチドを合成できる、いわゆるアフィメトリックス型のDNAチップ技術を用いることもできる。
なお、本発明において「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、例えば、前記プローブを42℃で1×SSC(0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム)、0.1%のSDS(Sodium dodecyl sulfate)を含む緩衝液において、ハイブリダイゼーションを行った後、42℃での洗浄処理によってもハイブリダイズを維持することを意味する。
工程Bは、前記工程Aで得られた被検者由来の生体試料における前記発現量を基準値と対比することにより、被検者の統合失調症のかかり易さを検出する工程である。
基準値としては、統合失調症を発症していない患者群(非患者群)の生体試料における、前記マーカー遺伝子の発現量から算出した値を「基準値」とする。そして、該基準値と、被検者の生体試料における前記マーカー遺伝子の発現量とを対比する。各基準値は、複数の非患者群に由来する生体試料における前記マーカー遺伝子の発現量を測定して、その統計から設定できる。なお、対比は、工程Aにおいて測定された遺伝子それぞれについて行う。
次に、かかり易さを検出する方法を説明する。例えば、被検者の量が基準値に対して有意に多いあるいは少ない場合を変動ありとして、被検者は統合失調症にかかり易い状態にあると判定することが可能である。具体的には、非患者群に基づく基準値と比較して、好ましくは25%以上、より好ましくは50%以上上昇又は減少していることを指標として行うことができる。また、前記対比により変動が認められない場合は、被検者は統合失調症にかかり難い状態にあると判定することが可能である。なお、前記対比において、少なくとも1つ、好ましくは5個以上の遺伝子について変動が認められる場合を「変動あり」と判断し、上記に従ってその後の判定を行うことができる。
<統合失調症のかかり易さを検出するためのキット>
本発明の別の態様では、統合失調症のかかり易さを検出するためのキットが提供される。
本発明のキットには、コンプリーメントコンポーネント1,qサブコンポーネント,γポリペプチド(COMPLEMENT COMPONENT 1, q SUBCOMPONENT, GAMMA POLYPEPTIDE、C1qC)遺伝子(配列番号1)、核受容体サブファミリー4, グループA, メンバー1(NUCLEAR RECEPTOR SUBFAMILY 4, GROUP A, MEMBER 1、Nr4a1)遺伝子(配列番号2)、早期成長反応1(EARLY GROWTH RESPONSE 1、Egr1)遺伝子(配列番号3)、神経PASドメインタンパク4(NEURONAL PAS DOMAIN PROTEIN 4、Npas4)遺伝子(配列番号4)、活動依存性細胞骨格関連タンパク(ACTIVITY-REGULATED CYTOSKELETON-ASSOCIATED PROTEIN、Arc)遺伝子(配列番号5)、癌遺伝子FOS(ONCOGENE FOS、Fos)遺伝子(配列番号6)、デルタ2カテニン(CATENIN, DELTA-2、Ctnnd2)遺伝子(配列番号7)、チロタンパクチロシンキナーゼ結合タンパク(TYRO PROTEIN TYROSINE KINASE-BINDING PROTEIN、Tyrobp)遺伝子(配列番号8)、PDZドメインコンテイニング2(PDZ DOMAIN-CONTAINING 2、Pdzd2)遺伝子(配列番号9)、オリゴデンドロサイト系統転写因子2(OLIGODENDROCYTE LINEAGE TRANSCRIPTION FACTOR 2、Olig2)遺伝子(配列番号10)、グルタミンシンセターゼ(GLUTAMINE SYNTHETASE、Glu1)遺伝子(配列番号11)、デュアルスペシフィシティーフォスファテーゼ14(DUAL-SPECIFICITY PHOSPHATASE 14、Dusp14)遺伝子(配列番号12)、Gタンパクシグナル制御因子9(REGULATOR OF G PROTEIN SIGNALING 9、Rgs9)遺伝子(配列番号13)、デュアルスペシフィシティーフォスファテーゼ1(DUAL-SPECIFICITY PHOSPHATASE 1、Dusp1)遺伝子(配列番号14)、TCDD誘導ポリADPリボースポリメラーゼ(TCDD-INDUCIBLE POLY(ADP-RIBOSE) POLYMERASE、Tiparp)遺伝子(配列番号15)、GLU/ASPリッチ C末端ドメイン-CBP/p300インターラクティングトランスアクティベーター2(CBP/p300-INTERACTING TRANSACTIVATOR, WITH GLU/ASP-RICH C-TERMINAL DOMAIN, 2、Cited2)遺伝子(配列番号16)、ホマードロソフィアホモログ1(HOMER, DROSOPHILA, HOMOLOG OF, 1、Homer1)遺伝子(配列番号17)、神経原性分化6(NEUROGENIC DIFFERENTIATION 6、Neurod6)遺伝子(配列番号18)、デイオデイナーゼイオドチロニンタイプ2(DEIODINASE, IODOTHYRONINE, TYPE II、Dio2)遺伝子(配列番号19)、及びコンプリーメントコンポーネント1,qサブコンポーネント,αポリペプチド(COMPLEMENT COMPONENT 1, q SUBCOMPONENT, ALPHA POLYPEPTIDE 、C1qA)遺伝子(配列番号20)からなる群より選ばれる少なくとも1つの遺伝子の発現量を検出することができるものであれば全て含まれる。具体的には、前記遺伝子に対するmRNA又は該mRNAに由来するcDNAに、特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドを含有するキットが挙げられる。
本発明のキットを用いて、対照者と被検者のサンプル中に存在する統合失調症のマーカー遺伝子の発現量を測定して、両者の量に有意差が生じた場合には、被検者の将来的な統合失調症の罹患を予測し、統合失調症の疑いがある者の統合失調症の診断を行うことができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、実施例は本発明をより良く理解するために例示するものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されることを意図するものではない。
1、マーカー遺伝子の同定
<サンディマウス(Sdyマウス)とコントロールマウス(DBA/2Jマウス)のサンプル調製>
Sdyマウス〔Jackson Laboratory (Bar Harbor, ME)から購入、12週齡、♂〕及びそのリッターメイトであるDBA/2Jマウス(12週齡、♂)から、麻酔下で海馬、線条体、及び前頭葉をそれぞれ摘出した(各群3匹)。各組織から、Isogen(Nippon Gene社)を用いて、酸性チオシアン酸グアニジン・フェノール・クロロホルム(AGPC)法により、totalRNAを抽出後、Qiagen RNA easy Kit(Qiagen社)を用いて精製した。得られたtotalRNAは、RNA 6000 Nano LabChip Kit とAgilent 2100 Bioanalyzer (Agilent社)を用いて、純度を確認した。
<マイクロアレイ>
各totalRNAサンプルを組織毎に混合後、Affymetrix Mouse Genome 460 2.0 Array plates (Affymetrix社)を用いてマイクロアレイ解析を行った。解析により、群間変動が認められた候補遺伝子を表1に示す。
Figure 2011172510
表1より、海馬、線条体、前頭葉の3組織あわせて、92個(85種)の遺伝子が候補遺伝子として同定された。なお、以降の表も含めて表中の「up」とは、コントロールに比べて遺伝子発現が増加したものを、「down」とは、コントロールに比べて遺伝子発現が減少したものを示す。
<リアルタイムRT-PCR>
2μgのRNAについて、Superscript IITM(登録商標) Reverse Transcription reagents (Invitrogen社)と、Power SYBR Green PCR Master Mix (Applied Biosystems社)を用いて、リアルタイムRT-PCRを行った。プライマーセットは、DNASIS Pro (Hitachi Software Engineering社)により設計したものを用いた。
<統計解析>
RT-PCRの結果より、Student’s-testにより群間比較を行った。結果を表2に示す。また、コントロールマウスにおける発現量を1とした場合の相対発現量について、海馬における結果を図1に、線条体における結果を図2に、前頭葉における結果を図3に示す。
Figure 2011172510
表2より、海馬、線条体、前頭葉の3組織において、p<0.01で、C1qC遺伝子、Nr4a1遺伝子、Egr1遺伝子、Npas4遺伝子、Arc遺伝子、Fos遺伝子、Ctnnd2遺伝子、Tyrobp遺伝子、Pdzd2遺伝子、Olig2遺伝子、Glu1遺伝子、Dusp14遺伝子、Rgs9遺伝子、Dusp1遺伝子、Tiparp遺伝子、Cited2遺伝子、Homer1遺伝子、Neurod6遺伝子、Dio2遺伝子、C1qA遺伝子の発現量変動が認められた。なかでも、C1qC遺伝子は、海馬、線条体、前頭葉のいずれにおいても発現量が増加しており、有効なマーカー遺伝子であることが示唆される。
実施例3<ヒトでの統合失調症のかかり易さの判定>
本発明により、20個の有効なマーカーが見出された。これらのマーカー遺伝子をヒトにおいて、測定することにより、統合失調症のかかり易さが判定できると考えられる。具体的には、ヒトの血液サンプルから、RNAを抽出し、これらのマーカー群の遺伝子発現量を測定し、それぞれの遺伝子においてその量の増減の組み合わせから、統合失調症のかかり易さを判定する。これら20個のマーカー遺伝子はすべて、脳において発現しているが、最も簡便に得られるヒト試料である血液サンプルにおいて、発現しているかどうかは今後の検討を必要とするが、一般的に、脳に発現している分子の約70%が血中にも発現しているため、14個程度の遺伝子発現が測定できると考えられる。また、ヒトにおいて臭神経細胞を採取し、この神経細胞を用いてマーカー遺伝子の発現定量を行い、統合失調症のかかり易さを判定する。さらに、脳の状態をもっとも反映すると考えられる一般的な生体試料としては、脳脊髄液があるが、脳脊髄液にて、これらのマーカー分子を測定することも一つの判定方法であると考えられる。
本発明の方法により、サンプル提供者が統合失調症の状態にあるか否かを判定することができる。これにより、サンプル提供者は統合失調症の進行を阻止する手段を講じることができるため、有用である。
配列表の配列番号1は、C1qC遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号2は、Nr4a1遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号3は、Egr1遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号4は、Npas4遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号5は、Arc遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号6は、Fos遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号7は、Ctnnd2遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号8は、Tyrobp遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号9は、Pdzd2遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号10は、Olig2遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号11は、Glu1遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号12は、Dusp14遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号13は、Rgs9遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号14は、Dusp1遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号15は、Tiparp遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号16は、Cited2遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号17は、Homer1遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号18は、Neurod6遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号19は、Dio2遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号20は、C1qA遺伝子のオリゴヌクレオチドである。
配列表の配列番号21は、DBA/2Jマウス用プライマー(forward、i6f)である。
配列表の配列番号22は、DBA/2Jマウス用プライマー(reverse、i6r)である。
配列表の配列番号23は、Sdyマウス用プライマー(intron 5、i5)である。
配列表の配列番号24は、Sdyマウス用プライマー(intron 7、i7)である。

Claims (5)

  1. 以下の工程A及びBを含む、統合失調症のかかり易さを検出するための方法。
    工程A:被検者由来の生体試料において、コンプリーメントコンポーネント1,qサブコンポーネント,γポリペプチド(COMPLEMENT COMPONENT 1, q SUBCOMPONENT, GAMMA POLYPEPTIDE、C1qC)遺伝子(配列番号1)、核受容体サブファミリー4, グループA, メンバー1(NUCLEAR RECEPTOR SUBFAMILY 4, GROUP A, MEMBER 1、Nr4a1)遺伝子(配列番号2)、早期成長反応1(EARLY GROWTH RESPONSE 1、Egr1)遺伝子(配列番号3)、神経PASドメインタンパク4(NEURONAL PAS DOMAIN PROTEIN 4、Npas4)遺伝子(配列番号4)、活動依存性細胞骨格関連タンパク(ACTIVITY-REGULATED CYTOSKELETON-ASSOCIATED PROTEIN、Arc)遺伝子(配列番号5)、癌遺伝子FOS(ONCOGENE FOS、Fos)遺伝子(配列番号6)、デルタ2カテニン(CATENIN, DELTA-2、Ctnnd2)遺伝子(配列番号7)、チロタンパクチロシンキナーゼ結合タンパク(TYRO PROTEIN TYROSINE KINASE-BINDING PROTEIN、Tyrobp)遺伝子(配列番号8)、PDZドメインコンテイニング2(PDZ DOMAIN-CONTAINING 2、Pdzd2)遺伝子(配列番号9)、オリゴデンドロサイト系統転写因子2(OLIGODENDROCYTE LINEAGE TRANSCRIPTION FACTOR 2、Olig2)遺伝子(配列番号10)、グルタミンシンセターゼ(GLUTAMINE SYNTHETASE、Glu1)遺伝子(配列番号11)、デュアルスペシフィシティーフォスファテーゼ14(DUAL-SPECIFICITY PHOSPHATASE 14、Dusp14)遺伝子(配列番号12)、Gタンパクシグナル制御因子9(REGULATOR OF G PROTEIN SIGNALING 9、Rgs9)遺伝子(配列番号13)、デュアルスペシフィシティーフォスファテーゼ1(DUAL-SPECIFICITY PHOSPHATASE 1、Dusp1)遺伝子(配列番号14)、TCDD誘導ポリADPリボースポリメラーゼ(TCDD-INDUCIBLE POLY(ADP-RIBOSE) POLYMERASE、Tiparp)遺伝子(配列番号15)、GLU/ASPリッチ C末端ドメイン-CBP/p300インターラクティングトランスアクティベーター2(CBP/p300-INTERACTING TRANSACTIVATOR, WITH GLU/ASP-RICH C-TERMINAL DOMAIN, 2、Cited2)遺伝子(配列番号16)、ホマードロソフィアホモログ1(HOMER, DROSOPHILA, HOMOLOG OF, 1、Homer1)遺伝子(配列番号17)、神経原性分化6(NEUROGENIC DIFFERENTIATION 6、Neurod6)遺伝子(配列番号18)、デイオデイナーゼイオドチロニンタイプ2(DEIODINASE, IODOTHYRONINE, TYPE II、Dio2)遺伝子(配列番号19)、及びコンプリーメントコンポーネント1,qサブコンポーネント,αポリペプチド(COMPLEMENT COMPONENT 1, q SUBCOMPONENT, ALPHA POLYPEPTIDE 、C1qA)遺伝子(配列番号20)からなる群より選ばれる少なくとも1つの遺伝子の発現量を測定する工程
    工程B:工程Aで得られた被検者由来の生体試料における前記発現量を基準値と対比することにより、被検者の統合失調症のかかり易さを検出する工程
  2. 遺伝子がmRNAである、請求項1記載の方法。
  3. 生体試料が、海馬、線条体、及び前頭葉からなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項1又は2記載の方法。
  4. 遺伝子がコンプリーメントコンポーネント1,qサブコンポーネント,γポリペプチド(COMPLEMENT COMPONENT 1, q SUBCOMPONENT, GAMMA POLYPEPTIDE、C1qC)遺伝子(配列番号1)である、請求項1〜3いずれか記載の方法。
  5. コンプリーメントコンポーネント1,qサブコンポーネント,γポリペプチド(COMPLEMENT COMPONENT 1, q SUBCOMPONENT, GAMMA POLYPEPTIDE、C1qC)遺伝子(配列番号1)、核受容体サブファミリー4, グループA, メンバー1(NUCLEAR RECEPTOR SUBFAMILY 4, GROUP A, MEMBER 1、Nr4a1)遺伝子(配列番号2)、早期成長反応1(EARLY GROWTH RESPONSE 1、Egr1)遺伝子(配列番号3)、神経PASドメインタンパク4(NEURONAL PAS DOMAIN PROTEIN 4、Npas4)遺伝子(配列番号4)、活動依存性細胞骨格関連タンパク(ACTIVITY-REGULATED CYTOSKELETON-ASSOCIATED PROTEIN、Arc)遺伝子(配列番号5)、癌遺伝子FOS(ONCOGENE FOS、Fos)遺伝子(配列番号6)、デルタ2カテニン(CATENIN, DELTA-2、Ctnnd2)遺伝子(配列番号7)、チロタンパクチロシンキナーゼ結合タンパク(TYRO PROTEIN TYROSINE KINASE-BINDING PROTEIN、Tyrobp)遺伝子(配列番号8)、PDZドメインコンテイニング2(PDZ DOMAIN-CONTAINING 2、Pdzd2)遺伝子(配列番号9)、オリゴデンドロサイト系統転写因子2(OLIGODENDROCYTE LINEAGE TRANSCRIPTION FACTOR 2、Olig2)遺伝子(配列番号10)、グルタミンシンセターゼ(GLUTAMINE SYNTHETASE、Glu1)遺伝子(配列番号11)、デュアルスペシフィシティーフォスファテーゼ14(DUAL-SPECIFICITY PHOSPHATASE 14、Dusp14)遺伝子(配列番号12)、Gタンパクシグナル制御因子9(REGULATOR OF G PROTEIN SIGNALING 9、Rgs9)遺伝子(配列番号13)、デュアルスペシフィシティーフォスファテーゼ1(DUAL-SPECIFICITY PHOSPHATASE 1、Dusp1)遺伝子(配列番号14)、TCDD誘導ポリADPリボースポリメラーゼ(TCDD-INDUCIBLE POLY(ADP-RIBOSE) POLYMERASE、Tiparp)遺伝子(配列番号15)、GLU/ASPリッチ C末端ドメイン-CBP/p300インターラクティングトランスアクティベーター2(CBP/p300-INTERACTING TRANSACTIVATOR, WITH GLU/ASP-RICH C-TERMINAL DOMAIN, 2、Cited2)遺伝子(配列番号16)、ホマードロソフィアホモログ1(HOMER, DROSOPHILA, HOMOLOG OF, 1、Homer1)遺伝子(配列番号17)、神経原性分化6(NEUROGENIC DIFFERENTIATION 6、Neurod6)遺伝子(配列番号18)、デイオデイナーゼイオドチロニンタイプ2(DEIODINASE, IODOTHYRONINE, TYPE II、Dio2)遺伝子(配列番号19)、及びコンプリーメントコンポーネント1,qサブコンポーネント,αポリペプチド(COMPLEMENT COMPONENT 1, q SUBCOMPONENT, ALPHA POLYPEPTIDE 、C1qA)遺伝子(配列番号20)からなる群より選ばれる少なくとも1つの遺伝子のmRNA又は該mRNAに由来するcDNAに、特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドを含有してなる、統合失調症のかかり易さを検出するためのキット。
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