JP2011170806A - 貯水施設の運用支援システム、運用支援方法及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】水力発電による発電電力を増やすことができるように貯水施設の運用を支援する。
【解決手段】貯水施設への水の流入5に係る水量を予測し、予測した流入量や気象情報などに基づいて発電される電力量およびその価格を算出し、売電額が最大となるように所定の単位期間ごとの水位を最適化するとともに、無効放流7および8の水量と、を評価に加えて、第1単位期間を構成する単位期間ごとの貯水池1および2の水位を、各種の制約を満たしつつ最適化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、貯水施設の運用を支援するシステム、方法及びプログラムに関する。
水力発電を効率的に行うために、コンピュータによる運用支援システムが用いられている。例えば、特許文献1では、1日の放水水量に基づいて自動計算した発電機運転計画および水位計画や、過去の発電機運転計画および水位計画の実績データなどを表示し、必要に応じて修正を受け付けて発電運用計画を作成している。
特開2006−39838号公報
水は、高い位置にあるほど位置エネルギーが大きく、流速も早くなり、水力発電における発電電力量も大きくなる。しかしながら、特許文献1に記載の装置では、放水量や実績に応じて水位を計画しているものの、水位計画と発電電力との関係に着目しておらず、発電電力を増加させるような水位の計画を行うことはできない。
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、水力発電による発電電力を増やすことができるように貯水施設の運用を支援するシステム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明のうち主な発明は、第1および第2の貯水池と、前記第1の貯水池からの放水を利用して水力発電を行う第1の発電機と、前記第2の貯水池からの放水を利用して水力発電を行う第2の発電機とを有し、前記第1の発電機において利用された水は前記第2の貯水池に流入する貯水施設の運用を支援するシステムであって、所定期間内の各単位期間における、前記第1の発電機以外から前記第1および第2の貯水池に流入する水の量である流入量の予測値を取得する予測流入量取得部と、前記単位期間の開始時点から終了時点までの貯水池における貯水量の変化量および前記流入量に基づいて前記水力発電に使用する水の量である取水量を算出するための取水量算出モデル、並びに、前記取水量および前記貯水量に基づいて前記水力発電により前記単位期間に発電される電力量を算出するための電力量算出モデルを記憶するモデル記憶部と、前記所定期間内の前記各単位期間について、前記単位期間の開始時点における前記第1の貯水池の貯水量である第1の貯水量および前記第2の貯水池の貯水量である第2の貯水量のそれぞれを変化させるとともに、前記第1の貯水量および前記流入量の予測値を前記取水量算出モデルに適用して第1の取水量を算出し、前記第2の貯水量および前記流入量の予測値に前記第1の取水量を加算した値を前記取水量算出モデルに適用して第2の取水量を算出し、前記第1の取水量および前記第1の貯水量を前記電力量算出モデルに適用して第1の電力量を算出し、前記第2の取水量および前記第2の貯水量を前記電力算出モデルに適用して第2の電力量を算出していき、前記第1および第2の電力量に応じて、発電された電力量の評価値を算出し、前記評価値の合計が最大となる前記第1および第2の貯水量の組合せを、最適な貯水量の計画として決定する最適貯水量決定部と、を備えることとする。
本発明の貯水施設運用支援システムによれば、2つの貯水池の貯水量のそれぞれを変化させてシミュレーションを行い、制約を満たしつつ、電力量の評価値が最大となるような最適な貯水池の貯水量を計画することができる。したがって、貯水施設の運用者は、本発明の貯水施設運用支援システムからの出力に従って貯水池の貯水量を管理することで、最適な貯水量の管理を行うことが可能となり、これまで運用者の経験に基づいて管理してきた貯水量を、経験の浅いものに行わせることもできる。
また、本発明の貯水施設運用支援システムでは、前記最適貯水量決定部は、前記第1および第2の電力量の合計値を前記評価値として算出するようにしてもよい。
また、本発明の貯水施設運用支援システムでは、前記電力量に対する時間帯別の重みを記憶する電力量重み記憶部を備え、前記最適貯水量決定部は、前記各単位期間が属する時間帯に対応する前記重みを前記電力量重み記憶部から読み出し、前記第1および第2の電力量の合計値に前記重みを乗じた値を前記評価値として算出するようにしてもよい。
この場合、時間帯別に発電電力量に重み付けをして評価することができる。したがって、例えば、電力需要の多い時間帯については、発電電力量の評価を高くするなど、時間帯に応じた柔軟な評価を行うことができる。
また、本発明の貯水施設運用支援システムは、前記発電機に与えられずに前記貯水施設から放流される水の量である無効放流量を評価する係数であるペナルティ係数を記憶するペナルティ係数記憶部と、前記発電機が発電のために前記貯水池から受け入れる水の量である取水量の最小値および最大値を含む取水量に対する制約条件を記憶する制約条件記憶部と、を備え、前記電力量算出モデルは、前記単位期間における前記貯水池の貯水量の変化量および前記流入量に基づいて前記貯水池からの放水量を算出する貯水池放水量モデルと、前記取水量および前記貯水池の貯水量に基づいて前記電力量を算出する電力量モデルとを含み、前記最適貯水量決定部は、前記各単位期間について、前記第1の貯水量の変化量および第2の貯水量の変化量を算出し、前記流入量および前記第1の貯水量の変化量を前記貯水池放水量モデルに適用して前記第1の貯水池からの第1の放水量を算出し、前記流入量および前記第2の貯水量の変化量を前記貯水池放水量モデルに適用して前記第2の貯水池からの第2の放水量を算出し、前記第1の放水量のうち前記取水量に対する制約条件を満たす最大の水量を前記第1の取水量とし、前記第2の放水量のうち前記取水量に対する制約条件を満たす最大の水量を前記第2の取水量とし、前記第1の放水量から前記第1の取水量を減じた値と、前記第2の放水量から前記第2の取水量を減じた値とを合計して前記無効放流量を算出し、前記第1および第2の取水量並びに前記第1および第2の貯水量を前記電力量モデルに適用して前記第1および第2の電力量を算出し、前記第1および第2の電力量の合計値から、前記無効放流量に前記ペナルティ係数を乗じた値を減算して前記評価値を算出するようにしてもよい。
この場合、無効放流量を考慮して発電電力量を評価することができる。
また、本発明の貯水施設運用支援システムでは、前記制約条件記憶部はさらに、前記無効放流量に対する制約条件を記憶し、前記最適貯水量決定部は、前記第1および第2の貯水量の組合せのうち、前記無効放流量が前記無効放流量に対する制約条件を満たすものの中で、前記評価値の合計が最大となる組合せを前記最適な貯水量の計画として決定するようにしてもよい。
また、本発明の他の態様は、第1および第2の貯水池と、前記第1の貯水池からの放水を利用して水力発電を行う第1の発電機と、前記第2の貯水池からの放水を利用して水力発電を行う第2の発電機とを有し、前記第1の発電機において利用された水は前記第2の貯水池に流入する貯水施設の運用を支援する方法であって、コンピュータが、所定期間内の各単位期間における、前記第1の発電機以外から前記第1および第2の貯水池に流入する水の量である流入量の予測値を取得し、前記単位期間の開始時点から終了時点までの貯水池における貯水量の変化量および前記流入量に基づいて前記水力発電に使用する水の量である取水量を算出するための取水量算出モデル、並びに、前記取水量および前記貯水量に基づいて前記水力発電により前記単位期間に発電される電力量を算出するための電力量算出モデルをメモリに記憶し、前記所定期間内の前記各単位期間について、前記単位期間の開始時点における前記第1の貯水池の貯水量である第1の貯水量および前記第2の貯水池の貯水量である第2の貯水量のそれぞれを変化させるとともに、前記第1の貯水量および前記流入量の予測値を前記取水量算出モデルに適用して第1の取水量を算出し、前記第2の貯水量および前記流入量の予測値に前記第1の取水量を加算した値を前記取水量算出モデルに適用して第2の取水量を算出し、前記第1の取水量および前記第1の貯水量を前記電力量算出モデルに適用して第1の電力量を算出し、前記第2の取水量および前記第2の貯水量を前記電力算出モデルに適用して第2の電力量を算出していき、前記第1および第2の電力量に応じて、発電された電力量の評価値を算出し、前記評価値の合計が最大となる前記第1および第2の貯水量の組合せを、最適な貯水量の計画として決定することとする。
また、本発明の貯水施設運用支援方法では、前記コンピュータは、前記第1および第2の電力量の合計値を前記評価値として算出するようにしてもよい。
また、本発明の貯水施設運用支援方法では、前記コンピュータは、前記電力量に対する時間帯別の重みを前記メモリに記憶し、前記各単位期間が属する時間帯に対応する前記重みを前記メモリから読み出し、前記第1および第2の電力量の合計値に前記重みを乗じた値を前記評価値として算出するようにしてもよい。
また、本発明の他の態様は、第1および第2の貯水池と、前記第1の貯水池からの放水を利用して水力発電を行う第1の発電機と、前記第2の貯水池からの放水を利用して水力発電を行う第2の発電機とを有し、前記第1の発電機において利用された水は前記第2の貯水池に流入する貯水施設の運用を支援するためのプログラムであって、コンピュータに、所定期間内の各単位期間における、前記第1の発電機以外から前記第1および第2の貯水池に流入する水の量である流入量の予測値を取得するステップと、前記単位期間の開始時点から終了時点までの貯水池における貯水量の変化量および前記流入量に基づいて前記水力発電に使用する水の量である取水量を算出するための取水量算出モデル、並びに、前記取水量および前記貯水量に基づいて前記水力発電により前記単位期間に発電される電力量を算出するための電力量算出モデルをメモリに記憶するステップと、前記所定期間内の前記各単位期間について、前記単位期間の開始時点における前記第1の貯水池の貯水量である第1の貯水量および前記第2の貯水池の貯水量である第2の貯水量のそれぞれを変化させるとともに、前記第1の貯水量および前記流入量の予測値を前記取水量算出モデルに適用して第1の取水量を算出し、前記第2の貯水量および前記流入量の予測値に前記第1の取水量を加算した値を前記取水量算出モデルに適用して第2の取水量を算出し、前記第1の取水量および前記第1の貯水量を前記電力量算出モデルに適用して第1の電力量を算出し、前記第2の取水量および前記第2の貯水量を前記電力算出モデルに適用して第2の電力量を算出していき、前記第1および第2の電力量に応じて、発電された電力量の評価値を算出し、前記評価値の合計が最大となる前記第1および第2の貯水量の組合せを最適な貯水量の計画として決定するステップと、を実行させることとする。
また、本発明のプログラムでは、前記コンピュータに、前記最適な貯水量の計画を決定するステップにおいて、前記第1および第2の電力量の合計値を前記評価値として算出させるようにしてよい。
また、本発明のプログラムでは、前記コンピュータにさらに、前記電力量に対する時間帯別の重みを前記メモリに記憶するステップを実行させ、前記コンピュータに、前記最適な貯水量の計画を決定するステップにおいて、前記各単位期間が属する時間帯に対応する前記重みを前記メモリから読み出し、前記第1および第2の電力量の合計値に前記重みを乗じた値を前記評価値として算出させるようにしてもよい。
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄および図面により明らかにされる。
本発明によれば、水力発電による発電電力を増やすことができるようにすることができる。
本実施形態で想定される貯水施設を説明するための図である。 本実施形態の水位運用支援システムの全体構成を示す図である。 流入量の変化を示すグラフである。 本実施形態の流入量予測システム10のハードウェア構成を示す図である。 本実施形態の流入量予測システム10のソフトウェア構成を示す図である。 流入量実績データベース153に記憶される気象流入量実績情報の構成例を示す図である。 最適貯水位計算システム20のハードウェア構成を示す図である。 最適貯水位計算システム20のソフトウェア構成を示す図である。 諸元記憶部251に記憶される諸元情報の構成例を示す図である。 諸元情報を入力する画面31の一例を示す図である。 電力価格データベース254の構成例を示す図である。 日別最適水位データベース255の構成例を示す図である。 効率試験結果データベース257の構成例を示す図である。 総合変換効率モデル推計部214による推計処理の流れを示す図である。 河川流量実績データベース258の構成例を示す図である。 河川流量モデル推計部216による推計処理の流れを示す図である。 各日の最適な水位のシミュレーションに用いられる画面60の一例を示す図である。 過去の実績水位についてシミュレーションを行った結果を示すグラフである。 1時間ごとの最適な水位をシミュレーションする際に用いられる画面70の一例を示す図である。 1時間ごとの最適な水位をシミュレーションに係る処理の流れを示す図である。 評価値の算出処理の流れを示す図である。 評価値Eの算出処理の流れを示す図である。 制約違反の検出処理の流れを示す図である。 河川流量および放水量の算出処理の流れを示す図である。 個別最適化を行った場合と一括最適化を行った場合とにおける発電電力量を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係る貯水施設における水位運用支援システムについて説明する。本実施形態の水位運用支援システムは、水力発電に用いるダムなどの貯水施設の水位の計画を支援する。
==貯水施設の構成==
図1は本実施形態において想定される貯水施設を説明するための図である。貯水施設は、2つの貯水池1および2、発電機3および4を含んで構成される。本実施形態の貯水施設では、貯水池1および2が連結された構成となっている。
貯水池1は、河川や山林などから水の流入5を受ける。貯水池1は水を貯めて、貯めた水を放水する。発電機3は、貯水池1から放水された水を受けて(以下、発電機が貯水池から受ける水の量を「取水量」といい、「Q」と表記する。)発電を行う。発電機3は水車発電機であることを想定している。発電機3において発電に使われた水は、発電機3を通って貯水池2に流入する。貯水池2は、河川Aなどからも流入6を受ける。貯水池2も水を貯めて、貯めた水を放水する。発電機4は、貯水池2から放水された水を受けて発電を行う。発電機4において発電に使われた水は、発電機4を通って河川に放水される。なお、本実施形態では、発電機3および4は同じ性能であるものとする。
貯水池1および2からは、常時一定の水量(以下、「維持流量」といい、「S0」と表記する。単位は「m/s」である。)の水が直接河川AおよびBに流される。この維持流量の放水のことは責放流とも呼ばれる。貯水池1からは、発電機3にも与えられず、責放流にも使われず、貯水池1に貯水もされずに、河川Aに放水される無効放流7も発生し得る。無効放流7は、例えば、貯水池1の水位が所定の最高水位を超える場合や、貯水池1が発電機3の取水量と維持流量との合計を超える放水を行う場合に発生することになる。同様に、貯水池2からも無効放流8が発生し得る。
貯水施設においては各種の制約が設けられている。例えば、貯水池1や貯水池2の水位(以下、「H」と表記し、貯水池1および2の水位をそれぞれ「H1」および「H2」とも表記する。単位は「m」である。)、を所定の範囲内にしなくてはいけないという制約がある。なお、貯水施設における制約の詳細については後述する。
本実施形態の水位運用支援システムでは、貯水施設への水の流入5に係る水量(以下、「流入量」といい、「R」と表記する。また、貯水池1および2への流入量をそれぞれ「R1」および「R2」と表記する。)を予測し、予測した流入量や気象情報などに基づいて発電される電力量およびその価格(以下、「売電額」という。)を算出し、売電額が最大となるように所定の単位期間(以下、「第1単位期間」ともいう。本実施形態では1日とする。)ごとの水位を最適化するとともに、無効放流7および8の水量(以下、「無効放流量」といい、「S」と表記する。また、貯水池1および2からの無効放流量はそれぞれ「S1」および「S2」と表記する。単位は「m/s」である。)と、を評価に加えて、第1単位期間を構成する単位期間(以下、「第2単位期間」ともいう。本実施形態では1時間とする。)ごとの貯水池1および2の水位を、各種の制約を満たしつつ最適化する。
以下、詳細について説明する。
==システム構成==
図2は、本実施形態の水位運用支援システムの全体構成を示す図である。
本実施形態の水位運用支援システムは、流入量を予測する流入量予測システム10と、貯水施設における最適水位を計算する最適貯水位計算システム20との2つのサブシステムを含んで構成されている。流入量予測システム10および最適貯水位計算システム20はそれぞれ、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、PDA(Personal Digital Assistance)などのコンピュータである。流入量予測システム10および最適貯水位計算システム20は、複数台のコンピュータにより構成するようにすることもできる。
流入量予測システム10および最適貯水位計算システム20は、通信ネットワーク30を介して互いに通信可能に接続されている。通信ネットワーク30は、例えば、インターネットやLAN(Local Area Network)などである。通信ネットワーク30は、例えば、イーサネット(登録商標)や公衆電話回線網、無線通信網などにより構築される。
==流入量予測システム10==
本実施形態の流入量予測システム10では、融雪量を考慮して流入量の予測を行うことで、予測の精度を向上している。
図3は、流入量の変化を示すグラフである。降水や融雪などがない場合にも、例えば山林などからの滲出によって、所定の流入量は存在する。したがって、降水や融雪がないと、流入量は所定の均衡値(以下、「均衡流入量」という。)に逓減していく(a)。これに対し、降水があると、それに応じて流水量は一時的に増加するが、降水が止むとともに、再度均衡流入量に向けて逓減を始める(b)。一方、気温が上昇すると融雪が発生し、それに応じて流水量も増加するが、融雪は降水に比べて流入量に与える影響の変化が緩やかである(c)。これは、例えば冬季から春季に向けての時期などにおいて、平均気温が上昇している場合に、継続的に融雪が発生するような場合である。
そこで、本実施形態の流入量予測システム10では、降水量、融雪量および均衡流入量に着目し、過去の気温や降水量などの気象データの実績値と後述する回帰モデルとに基づいてパラメタを推計し、推計したパラメタと、例えば気象予報などにより求められる気温の予測値(以下、「予測気温」という。)および降水量の予測値(以下、「予測降水量」という。)を回帰モデルに適用して流入量の予測値を算出する。
図4は、本実施形態の流入量予測システム10のハードウェア構成を示す図である。流入量予測システム10は、CPU101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、入力装置105および出力装置106を備える。記憶装置103は、各種のプログラムやデータを記憶する、例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ、CD−ROMドライブなどである。CPU101は、記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより各種の機能を実現する。通信インタフェース104は、通信ネットワーク30に接続するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタや、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行う通信器などである。入力装置105は、ユーザからデータの入力を受け付ける、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、マイクロフォンなどである。出力装置106は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。
図5は、本実施形態の流入量予測システム10のソフトウェア構成を示す図である。本実施形態の流入量予測システム10は、降雪気温推計部111、融雪量モデル推計部112、流入量モデル推計部113、予測気温取得部114、予測降水量取得部115、予測融雪量取得部116、流入量予測部117、モデル記憶部151、パラメタ記憶部152、および、気象及び流入量実績データベース153を備えている。なお、降雪気温推計部111、融雪量モデル推計部112、流入量モデル推計部113、予測気温取得部114、予測降水量取得部115、予測融雪量取得部116、および流入量予測部117は、流入量予測システム10のCPU101が、記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現される。
気象及び流入量実績データベース153には、気象の各種実績値や流入量の実績値を含む情報(以下、「気象流入量実績情報」という。)の履歴が記憶される。図6は、気象及び流入量実績データベース153に記憶される気象流入量実績情報の構成例を示す図である。同図に示すように、気象流入量実績情報には、日付に対応付けて、気温、降水量、降雪量、積雪量、融雪量、流入量が含まれている。気温は、一日の平均気温である。降水量、降雪量、融雪量は一日の降水量、降雪量、融雪量の累積値である。積雪量は、その日に観測された積雪量である。流入量は、一日にダムなどの貯水施設に流入した水量の累計値である。気温、降水量、降雪量および積雪量は、例えば、気象庁や民間気象会社などが提供するデータである。流入量は、貯水施設において測定した測定値である。流入量は、例えば、河川を管理する自治体などが提供する河川の流量の測定値としてもよい。融雪量は、気象庁や民間気象会社、測量会社などが測定したものであってもよいし、後述するモデルにより計算した値を実績値として記録するようにしてもよい。
モデル記憶部151には、気象流入量実績情報に基づく各種の統計モデルが記憶され、パラメタ記憶部152には、モデル記憶部151に記憶されているモデルに適用される回帰係数や定数などのパラメタが記憶される。モデル記憶部151には、降水量の統計モデル(以下、「降水量モデル1」という。)、降雪量の統計モデル(以下、「降雪量モデル2」という。)、積雪量の統計モデル(以下、「積雪量モデル3」という。)、融雪量の統計モデル(以下、「融雪量モデル4」という。)、および前日からの流入量の増加量に係る統計モデル(以下、「流入量モデル5」という。)が記憶される。パラメタ記憶部152には、降雨が降雪に変わる気温(以下、「降雪気温」という。)δ、均衡流入量μ、融雪が始まる気温μ、回帰係数α〜α、β、βがパラメタ記憶部152に記憶される。なお、均衡流入量μおよび融雪が始まる気温μについては、所定の定数として、予めパラメタ記憶部152に記憶されているものとする。
なお以下の説明において、日付tにおける気温、降水量、降雪量、積雪量、融雪量および流入量をそれぞれ、T、P、S、D、MおよびRとする。前日からの流入量の増加量をΔRとする。気温Ttがδより高い場合の降水量をP1、気温Tがδ以下である場合の降水量をP2とする。
降水量モデル1は、降水量Pが、降雪気温δを境に、P1またはP2となることを示すモデルであり、次式で表される。
Figure 2011170806
降雪量モデル2は、気温Tがδ以下である場合の降水量P2tを説明変数とし、降雪量Stを目的変数とした回帰モデルであり、次式で表される。
Figure 2011170806
積雪量モデル3は、積雪量Dが、前日までの積雪量Dt−1に当日の降雪量Sを加え、そこから融雪量Mを引いたものに一致するという関係を示すモデルであり、次式で表される。
Figure 2011170806
融雪量モデル4は、気温Tから融雪が始まる気温μを減じた値に積雪量Dを乗じた値と、P1とを説明変数とし、融雪量Mを目的変数とした回帰モデルであり、次式で表される。
Figure 2011170806
融雪量モデル4において、気温Tがμよりも低ければ第1項は0になり、前日までの積雪量Dt−1が0であれば融雪量Mは0になる。
流入量モデル5は、均衡流入量μから前日の流入量Rt−1を減じた値と、当日の気温Tがδより高い場合の降水量P1と、当日の融雪量Mとを説明変数とし、流入量の増加量ΔRを目的変数とした回帰モデルであり、次式で表される。
Figure 2011170806
降雪気温推計部111は、降水量モデル1および気象流入量実績情報に基づいて降雪気温δを推計し、推計した降雪気温δをパラメタ記憶部152に登録する。具体的には、降雪気温推計部111は、気象及び流入量実績データベース153から降雪量が0より大きい気象流入量実績情報を取得し、取得した気象流入量実績情報に基づき、モデル
降雪量=a×気温+b×降水量
を回帰分析して、回帰係数aおよびbを推計する。次に、降雪気温推計部111は、気温がδ以下の場合には「a×気象流入量実績情報の気温+b×気象流入量実績情報の降水量」、気温がδより高い場合には「0」を推計降雪量として、推計降雪量と気象流入量実績情報の降雪量との差を2乗した値が最小になるδを算出する。降雪気温推計部111は、例えば、所定範囲の気温を所定ステップごとに増加させたδについて、各気象流入量実績情報がδより高ければ、上記回帰係数aを気温に乗じた値と、上記回帰係数bを降水量に乗じた値とを合計して推計降雪量として算出し、推計降雪量と気象流入量実績情報の降雪量との差を2乗した値を誤差の2乗として算出していき、誤差の2乗が最も小さくなったものをδとして決定することができる。なお、上記誤差の2乗が最も小さくなるように上記δを決定する処理については、一般的な統計手法を利用することが可能である。降雪気温推計部111は、上記のようにして決定したδを、パラメタ記憶部152に登録する。以上のようにして融雪気温δが決定される。
また、降雪気温推計部111は、各日付tについて、日付tに対応する気象流入量実績情報を気象及び流入量実績データベース153から読み出し、読み出した気象流入量実績情報の降水量および気温と、上記推計した降雪気温δを前記降水量モデル1に適用してP2を算出する。降雪気温推計部111は、気象流入量実績情報、P2、および降雪量モデル2に基づいて回帰分析を行い、回帰変数γを推計する。降雪気温推計部111は、推計した回帰変数γをパラメタ記憶部152に登録する。
融雪量モデル推計部112は、積雪量モデル3を融雪量モデル4に代入した式
Figure 2011170806
を回帰分析して、回帰係数αおよびαを推計する。融雪量モデル推計部112は、推計した回帰係数αおよびαをパラメタ記憶部152に登録する。
流入量モデル推計部113は、流入量モデル5および気象流入量実績情報に基づいて回帰係数α、β、およびβを推計する。具体的には、流入量モデル推計部113は、各日付tについて、降水量モデル1、δおよび日付tに対応する気象流入量実績情報の降水量に基づいてP1を算出し、各日付tの気象流入量実績情報と、対応するP1を用いて、流入量モデル5を回帰分析し、回帰係数α、β、およびβを推計する。気象流入量実績情報に融雪量がない場合は,日付t−1の積雪量と日付tのその他の気象情報を用いて,融雪量モデル4を用いて算出したMを用いて,流入量モデル5を回帰分析し、回帰係数α、β、およびβを推計することもできる。流入量モデル推計部113は、推計した回帰係数α、β、およびβをパラメタ記憶部152に登録する。
予測気温取得部114は、気温の予測値(以下、「予測気温」という。)を取得する。予測気温取得部114は、例えば、ユーザから予測気温の入力を受け付けてもよいし、気象庁や民間気象会社のコンピュータにアクセスして予測気温を取得するようにしてもよい。また、予測気温取得部114は、気象流入量実績情報に基づいて気温の予測を行うようにしてもよい。この場合、例えば、一般的な気温の予測に用いられる統計モデルをモデル記憶部151に記憶しておき、予測気温取得部114がその統計モデルと気象流入量実績情報とに基づいて回帰分析を行ってパラメタを推計し、推計したパラメタと気象流入量実績情報とを統計モデルに適用して予測気温を算出することができる。
予測降水量取得部115は、降水量の予測値(以下、「予測降水量」という。)を取得する。予測降水量取得部115は、例えば、ユーザから予測降水量の入力を受け付けてもよいし、気象庁や民間気象会社のコンピュータにアクセスして予測降水量を取得するようにしてもよい。また、予測降水量取得部115は、予測気温取得部114と同様に、気象流入量実績情報に基づいて降水量の予測を行うようにしてもよい。
予測融雪量取得部116は、融雪量の予測値(以下、「予測融雪量」という。)を取得する。本実施形態では、後述するように、予測融雪量取得部116は、融雪量モデル4に基づいて融雪量を算出するものとするが、例えば、ユーザから予測融雪量の入力を受け付けてもよいし、気象庁や民間気象会社のコンピュータにアクセスして予測融雪量を取得するようにしてもよい。また、予測融雪量取得部116は、融雪量の実績値の履歴を記憶しておき、実績値に基づいて予測を行うようにしてもよい。
流入量予測部117は、予測気温取得部114が取得した予測気温、予測降水量取得部115が取得した予測降水量、降雪気温推計部111が推計したパラメタ、気象流入量実績情報、および流入量モデル5を用いて、流入量の予測値(以下、「予測流入量」という。)を算出する。
流入量予測部117は、パラメタ記憶部152からδを読み出し、降水量モデル1にδ、予測気温取得部114が取得した予測気温Tおよび、予測降水量取得部115が取得した予測降水量Pを適用してP1を算出する。すなわち、予測気温Tがδより大きければP1=Pとなり、Tがδ以下であればP1=0となる。
流入量予測部117は、パラメタ記憶部152から、α〜α、β、β、μ、μを読み出し、気象及び流入量実績データベース153から、前日t−1に対応する気象流入量実績情報を読み出す。流入量予測部117は、読み出した気象流入量実績情報の積雪量をDt−1とし、読み出した気象流入量実績情報の流入量をRt−1とする。
予測融雪量取得部116は、融雪量モデル4に、α、T、μ、Dt−1、α、P1を代入して、融雪量の予測値Mを算出する。
流入量予測部117は、流入量モデル5に、α、μ、Rt−1、β、P1、β、Mを代入して流入増加量の予測値ΔRを算出し、Rt−1にΔRを加算して、予測流入量Rを算出する。
以上のようにして、本実施形態の流入量予測システム10によれば、予測気温および予測降水量と、気象流入量実績情報とに基づいて、降水量および融雪量を考慮した流入量の予測を行うことができる。降水がない場合にも融雪により流入量は増加するため、融雪量を考慮して流入量の予測を行うことで、予測の精度を向上することができる。
また、本実施形態の流入量予測システム10によれば、融雪量は、降水量および気温から算出することができる。降水量および気温の予測は、気象予報の手法として様々な手法が存在し、容易に入手可能である。したがって、融雪量の予測が困難である場合でも、容易に取得可能な降水量や気温の予測値に基づいて融雪量の予測を行うことで、融雪量を考慮した流入量の予測を容易に実現することができる。
また、上記流入量モデル5では、第1項を均衡流入量と流入量との差であるものとして、均衡流入量を考慮に入れているので、単に流入量を説明変数とする場合に比べ、より精度の高い流入量予測を行うことができる。
==最適貯水位計算システム20==
最適貯水位計算システム20は、流入量予測システム10が予測した流入量の予測値を用いて貯水池1および2の水位をシミュレーションし、最適的な水位の計画を算出する。
図7は、最適貯水位計算システム20のハードウェア構成を示す図である。同図に示すように、最適貯水位計算システム20は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、および出力装置206を備えている。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ、CD−ROMドライブなどである。CPU201は、記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより各種の機能を実現する。通信インタフェース204は、通信ネットワーク30に接続するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタや、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための通信器などである。入力装置205は、データの入力を受け付ける、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えば、ディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。
図8は、最適貯水位計算システム20のソフトウェア構成を示す図である。同図に示すように、最適貯水位計算システム20は、諸元入力部211、貯水量設定値入力部212、予測流入量取得部213、総合変換効率モデル推計部214、日別最適水位計画部215、河川流量モデル推計部216、時別最適水位計画部217、最適水位出力部218、諸元記憶部251、モデル記憶部252、制約記憶部253、電力価格データベース254、日別最適水位データベース255、時別最適水位データベース256を備えている。なお、諸元入力部211、貯水量設定値入力部212、予測流入量取得部213、総合変換効率モデル推計部214、日別最適水位計画部215、河川流量モデル推計部216、時別最適水位計画部217、最適水位出力部218は、最適貯水位計算システム20が備えるCPU201が、記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現される。また、諸元記憶部251、モデル記憶部252、制約記憶部253、電力価格データベース254、日別最適水位データベース255、時別最適水位データベース256は、最適貯水位計算システム20が備えるメモリ202や記憶装置203が提供する記憶領域として実現される。なお、諸元記憶部251、モデル記憶部252、制約記憶部253、電力価格データベース254、日別最適水位データベース255、時別最適水位データベース256の一部または全部を、最適貯水位計算システム20とは異なるデータベースサーバが管理し、最適貯水位計算システム20がそのデータベースサーバにアクセスするようにしてもよい。
諸元記憶部251(本発明の「ペナルティ係数記憶部」に該当する。)は、貯水施設、河川、発電設備などの各種の諸元の設定値を含む情報(以下、「諸元情報」という。)を記憶する。図9は、諸元記憶部251に記憶される諸元情報の構成例を示す図である。同図に示すように、諸元情報は、諸元名、単位、および設定値が含まれる。本実施形態では、諸元情報には、日時別の設定値も含まれうるものとし、「日/時/別」の形式で設定されるものとする。
諸元入力部211は、諸元情報の入力を受け付け、受け付けた諸元情報を諸元記憶部251に登録する。諸元入力部211は、例えば、キーボードやマウスなどの入力装置205から諸元情報の各項目の入力を受け付けるようにしてもよいし、例えば、電力会社のホストコンピュータにアクセスして諸元情報を取得するようにしてもよい。図10は、諸元入力部211が諸元情報の入力を受け付ける画面31の一例を示す図である。諸元入力部211は、ユーザが画面31に入力した諸元情報を受け付けて諸元記憶部251に登録する。
なお、諸元入力部211は予め、貯水施設に係る諸元として、貯水池1の最高水位(以下、「H1max」と表記する。単位は「m」である。)、並びに貯水池1の最低水位(以下、「H1min」と表記する。単位は「m」である。)、貯水池2の最高水位(以下、「H2max」と表記する。単位は「m」である。)、貯水池2の最低水位(以下、「H2min」と表記する。単位は「m」である。)維持流量S0、発電機3および4に与えることのできる最大の水量(以下、「最大取水量」といい、「Qmax」と表記する。単位は「m/s」である。)、発電に利用可能な最低の水量(以下、「最小取水量」といい、「Qmin」と表記する。単位は「m/s」である。)、発電した後に放水する高さ(以下「放水位」といい、「Hout」と表記する。また、貯水池1および2に係る放水位をそれぞれ「H1out」および「H2out」と表記する。単位は「m」である。)、損失落差(以下、「Hlos」と表記する。また、貯水池1および2に係る損失落差をそれぞれ「H1los」および「H2out」と表記する。単位は「m」である。)、無効放流量Sの上限値(以下、「上限無効放流量」といい、「Smax」と表記する。単位は「m/s」である。)、貯水池1および2の貯水量(以下、「V」と表記する。また、貯水池1および2の貯水量をそれぞれ「V1」および「V2」とも表記する。単位は「m」である。)に係る単位量(以下、「ステップ量」という。単位は「m/s・日」である。)、無効放流量に対する負の評価係数(以下、「ペナルティ係数」といい、「γ」と表記する。)、などの入力を受け付けて、受け付けた諸元についての諸元情報を作成して諸元記憶部251に登録しているものとする。なお、本実施形態では、貯水池1の最高水位H1max、貯水池1の最低水位H1min、維持流量S0、最大取水量Qmax、最小取水量Qmin、貯水池2の最高水位H2max、貯水池2の最低水位H2min、および維持河川流量Lcに係る諸元情報には、日時別の設定値が含まれているものとする。
電力価格データベース254は、日付別および時間帯別の電力価格を記憶する。図11は電力価格データベース254の構成例を示す図である。同図に示すように、電力価格データベース254には、日付又は時間帯に対応付けて電力価格の評価値(単位は、「円/kWh」である。)が記憶されている。なお、電力価格は、実際に販売される電力価格と一致させる必要はなく、発電に係るコストや需要変動などを考慮した電力量についての重みを価格として設定するものとする。また、電力価格データベース254は、日付に代えて、月や季節などに対応する電力価格を記憶するようにしてもよいし、季節や月、日付と時間帯とに対応付けて電力価格を記憶するようにしてもよい。本実施形態では、電力価格は予めユーザから入力されて電力価格データベース254に登録されているものとする。
貯水量設定値入力部212は、運用計画の対象となる期間(以下、「運用期間」という。本実施形態では、運用期間の長さは6日間とする。)と、貯水池1および2のそれぞれについての、運用期間の初日の開始時点(0時)における貯水量の予定値(以下、「初期貯水量」という。)および最終日の終了時(24時、すなわち7日目の開始時点でもある。)における貯水量の目的値(以下、「最終目的貯水量」という。)との入力を受け付ける。貯水量設定値入力部212は、例えば、図10の画面31から初期貯水量および目標貯水量の入力を受け付けることができる。なお、貯水量設定値入力部212は、例えば、現在の貯水施設の貯水量を取得して初期貯水量としてもよい。また、貯水量設定値入力部212は、過去の水位から初期貯水量および最終目的貯水量のいずれかを予測するようにしてもよい。
予測流入量取得部213は、流入量予測システム10にアクセスして、流入量予測システム10が予測した、運用期間内の各日についての流入量Rの予測値を取得する。なお、予測流入量取得部213は、例えば、キーボードやマウスなどの入力装置205から、流入量の予測値の入力を受け付けるようにしてもよい。本実施形態では、河川等からの貯水池1および2への流入量は同じであるものとする。貯水池2には、河川等からの流入に加えて発電機3からの流入が存在するので、R2=R1+Qとなる。
日別最適水位データベース255は、運用期間中の各日における貯水池1および2の最適な水位を記憶する。図12は、日別最適水位データベース255の構成例を示す図である。同図に示すように、日別最適水位データベース255は、運用期間中の各日(0〜6日目)について、最適な水位H1およびH2を記憶する。
日別最適水位計画部215(本発明の「最適貯水量決定部」に該当する。)は、シミュレーションにより、貯水池1および2の各日の最適な水位H1およびH2をそれぞれ算出し、算出した各日の最適な水位H1およびH2を日別最適水位データベース255に登録する。日別最適水位計画部215がシミュレーションに用いる統計モデルは、モデル記憶部252に記憶されている。モデル記憶部252には、以下のモデルA1〜A13が記憶されている
モデルA1は、貯水量Vに基づいて水位Hを算出するためのもの(水位算出モデル)であり、次式により表される。なお、a、b、cは貯水池に固有の定数である。
Figure 2011170806
モデルA2は、最高水位Hmax(最高水位H1maxまたは最高水位H2max)に基づいて貯水量の上限値(以下、「上限貯水量」といい、Vmaxと表記する。貯水池1および2についての上限貯水量はそれぞれ「V1max」および「V2max」と表記する。単位は「m」である。)を算出するためのものであり、次式により表される。
Figure 2011170806
モデルA3は、最低水位Hmin(第1最低水位H1minまたは第2最低水位H2min)に基づいて貯水量の下限値(以下、「下限貯水量」といい、「Vmin」と表記する。貯水池1および2についての下限貯水量はそれぞれ「V1min」「V2min」と表記する。単位は「m」である。)を算出するためのものであり、次式により表される。
Figure 2011170806
モデルA4は、1日の0時から24時(すなわち次の日の0時)の貯水量に基づいて、単位期間の開始時点から終了時点までの貯水量の差(以下、「貯水量差」といい、「ΔV」と表記する。)を算出するものであり、ある日付tの0時における貯水量をVとして、次式により表される。
Figure 2011170806
モデルA5は、流入量から維持流量および貯水量差を引いた水量(R0)を算出するためのものであり、次式により表される。
Figure 2011170806
モデルA6は、最小取水量Qmin、最大取水量Qmax、およびR0に基づいて、取水量Qを決定するためのもの(取水量算出モデル)であり、次式により表される。
Figure 2011170806
すなわち、R0が、最小取水量Qmin以上であり、かつ、最大取水量Qmax以下である場合には、R0が取水量Qとなり、R0が最小取水量Qminよりも小さい場合には最小取水量Qminが取水量Qとなり、R0が最大取水量よりも大きい場合には最大取水量Qmaxが取水量Qとなる。
モデルA7は、R0および取水量Qに基づいて、無効放流量Sを算出するためのものであり、次式により表される。
Figure 2011170806
モデルA8は、1日の終了時点における水位、放水位Houtおよび損失落差Hlosに基づいて、有効落差hnを算出するためのものであり、日付tの0時における水位をHとし、水位を海抜高さに変換するための所定の定数をdとして、次式により表される。
Figure 2011170806
モデルA9(総合変換効率モデル)およびモデルA10(電力量算出モデル)は、取水量Qおよび有効落差hnに基づいて1日に発電される発電電力Pn(以下、貯水池1に係る発電電力、すなわち発電機3により発電される電力量を「Pn1」と表記し、貯水池2に係る発電電力、すなわち発電機4により発電される電力量を「Pn2」と表記する。)を算出するためのものであり、発電機3および4における水力発電の変換効率(以下、「総合変換効率」という。)をce、重力加速度をgとして、次式により表される。なお、後述するように、モデルA9を用いて、総合変換効率ceを目的変数とし、有効落差hnおよび取水量Qの1〜n乗を説明変数として回帰分析が行われる。aおよびb21〜b2nはその回帰分析により求められる回帰係数であり、cは定数である。
Figure 2011170806
Figure 2011170806
モデルA11は、発電電力Pnに基づいて1日に発電される発電電力量En(単位は「MWh」である。)を算出するためのもの(電力量算出モデル)であり、次式により表される。
Figure 2011170806
モデルA12は、ある日付についての発電電力量Enと、その日付に対応する電力価格とに基づいて売電額(単位は「千円」である。)を算出するためのものであり、次式により表される。
Figure 2011170806
モデルA13は、河川の流量に基づいて河川の水位を決定するためのもの(河川流量モデル)であり、次式により表される。なお、後述するように、モデルA13を用いて、河川Bの水位(以下、「河川水位」といい、「Hr」と表記する。単位は「m」である。)を目的変数とし、河川Bの流量(以下、「L」と表記する。単位は「m/s」である。)の1〜n乗を説明変数として回帰分析が行われる。a41〜a4nはその回帰分析により求められる回帰係数であり、cは定数である。
Figure 2011170806
制約記憶部253(本発明の「制約条件記憶部」に該当する。)には、貯水施設における各種の制約を表すモデル(以下、「制約モデル」という。)が記憶される。制約記憶部253には、次の制約モデルB1〜B9が記憶されている。
貯水池1には次のような制約がある。すなわち、貯水量V1は下限貯水量V1min以上、かつ、上限貯水量V1max以下でなければならない。また、貯水池1の水位H1は、最低水位H1min以上、かつ、最高水位H1max以下でなければならない。一方で、無効放流量S1は、上限無効放流量Smaxより少なくてはならない。これらの制約は次の制約モデルB1〜B3で表される。
Figure 2011170806
Figure 2011170806
Figure 2011170806
なお、水位H1は貯水量V1に応じて一意に定まるので、上記制約モデルB1およびB2は等価である。
発電機3および4には、次のような制約がある。すなわち、発電機3および4の取水量(以下、「Q」と表記する。)は、所定の最小水量(以下、「最小取水量」といい、「Qmin」と表記する。単位は「m/s」である。)以上、かつ、所定の最大水量(以下、「最大取水量」といい、「Qmax」と表記する。単位は「m/s」である。)以下でなければならない。この制約は次の制約モデルB4で表される。
Figure 2011170806
貯水池2には次のような制約がある。すなわち、貯水量2は下限貯水量V2min以上、かつ、上限貯水量V2max以下でなければならない。また、貯水池2の水位H2は、最低水位H2min以上、かつ、最高水位H2max以下でなければならない。一方で、無効放流量S2は、上限無効放流量Smaxより少なくてはならない。さらに、貯水池2から河川Bに放水される水量(以下、「放水量」といい、「F」と表記する。)の所定の単位時間(本実施形態では、30分とするが、10分や15分など、第2単位時間よりも短い任意の時間とすることができる。)あたりの変化量の絶対値(以下、「放水量変化量」といい、「ΔF」と表記する。)が所定の閾値(以下、「放水許容値」といい、「ΔFmax」と表記する。)を超えてはならない。その一方で、河川Bの流量Lが所定の最低量(以下、「維持河川流量」といい、「Lc」と表記する。単位は「m/s」である。)以上になるように、貯水池2から河川Bに放水が行われなくてはならない。これらの制約は次の制約モデルB5〜B9で表される。
Figure 2011170806
Figure 2011170806
Figure 2011170806
Figure 2011170806
Figure 2011170806
なお、上述したように貯水池2の水位H2は、貯水池2の貯水量V2に基づいて一意に定まるので、上記式B5およびB6は等価である。
また、本実施形態では、河川Bへの放水量の制約は、30分あたりの河川水位の増加量(以下、「ΔHr」と表記する。単位は「m」である。)に対する上限値(以下、「ΔHrmax」と記載する。単位は「cm/30分」である。)として指定されるものとする。すなわち、ΔHrmaxは、例えば、30分あたり河川水位の増加量ΔHrは10cmを超えない10(cm/30分)と設定される。したがって、放水許容値ΔFmaxは次の式のように表される。
Figure 2011170806
ここで、単位水量あたりの水位変動(ΔHr÷ΔF)は、上記式A13を微分して次式により表される。
Figure 2011170806
したがって、放水許容値ΔFmaxは次式(C2)となる。なお、式C1およびC2もモデル記憶部151に記憶されているものとする。
Figure 2011170806
総合変換効率モデル推計部214は、総合変換効率ceと有効落差hnおよび取水量Qとの関係を示すモデルA9に係る推計を行う。総合変換効率ceの説明変数として、有効落差hnおよび取水量Qを選定した経緯は以下の通りである。
フランシス水車のような反動水車は、有効落差hnや取水量Qの変動に対して効率が変化する特性を有している。例えばフランシス水車では、水の圧力が速度に変わり流水の反動でランナーが回転することにより発電を行う。有効落差hnが変化すると、水の速度も変化するため、有効落差hnが下がると、水車発電機におけるランナー出力も低下し、総合変換効率ceは低下することになる。また、水車発電機では、取水量Qにかかわらず一定の損失があるため、取水量Qが少なくなると、取水により得られるエネルギーに対して相対的にこの損失が大きくなり、やはり総合変換効率ceは低下することになる。逆に、取水量Qが大きくなった場合にも、例えば、ランナーを回転させた後の水が排出される吸出管における流水が乱流となって損失が大きくなることがある。このように、総合発電効率ceは、有効落差hnおよび取水量Qに影響を受けることから、本実施形態では、総合変換効率ceの説明変数として有効落差hnおよび取水量Qを選定した。
総合変換効率ceと有効落差hnおよび取水量Qとの関係については、貯水池1について予め実験がなされているものとする。その実験結果が効率試験結果データベース257に記憶される。図13は、効率試験結果データベース257の構成例を示す図である。同図に示すように、効率試験結果データベース257は、貯水池1および2のそれぞれに対応する、有効落差、貯水池から放水される水を利用する発電機に係る取水量および総合変換効率を対応付けて記憶している。
総合変換効率モデル推計部214は、効率試験結果データベース257に記憶されているレコードをモデルA9に適用して回帰分析を行う。
図14は、総合変換効率モデル推計部214による推計処理の流れを示す図である。総合変換効率モデル推計部214は、nに1を設定する(S401)。総合変換効率モデル推計部214は、nが1より大きければ(S402:YES)、効率試験結果データベース257に記憶されている各レコードについてQのn乗を算出し、算出したQのn乗をレコードの新たな項目として追加する(S403)。総合変換効率モデル推計部214は、総合変換効率ceを目的変数とし、hnと、Qの1乗からQのn乗のそれぞれを説明変数とするモデルA9を生成し、生成したモデルA9に効率試験結果データベース257の各レコードの内容を適用して回帰係数a、b21〜b2nおよびcの推計を行う(S404)。総合変換効率モデル推計部214は、統計検定を行い(S405)、検定結果が有意でなければ(S406:NO)、nをインクリメントして(S407)、ステップS402からの処理を行う。なお、ステップS406においては、総合変換効率モデル推計部214は、効率試験結果データベース257の各レコードについて、レコードに含まれる効率と、レコードに含まれるhnおよびQの1乗からQのn乗までをモデルA9に適用した結果との差を算出し、算出した差の合計が所定の閾値以下であるか否かを判断してもよい。また、総合変換効率モデル推計部214は、回帰式の決定係数が所定値以上であるか否かを判定してもよい。総合変換効率モデル推計部214は、検定結果が有意であれば(S406:YES)、総合変換効率ceを目的変数とし、有効落差hnと、取水量Qの1乗からQのn乗のそれぞれを説明変数とする回帰式に、上記回帰計算により算出した回帰係数を含むモデルA9を作成してモデル記憶部252に登録する(S408)。
以上のようにして、有効落差hnおよび取水量Qと総合変換効率ceとの関係を有意なモデルA9とした表現することができるので、発電電力量のシミュレーションを正確に行うことが可能となる。なお、本実施形態では、発電機3および4は同じ性能であることを前提とするので、上記総合変換効率ceの推計は1度のみ行うものとする。
日別最適水位計画部215は、諸元記憶部251からステップ量を読み出し、貯水量設定値入力部212が受け付けた貯水池1および2の初期貯水量を運用期間の初日の貯水量V1およびV2とし、貯水量設定値入力部212が受け付けた貯水池1および2の最終目的貯水量を7日目の貯水量V1およびV2として、各日付t(t=2〜6)について、0時における貯水量V1をV1min,tからV1max,tの間で、貯水量V2をV2min,tからV2max,tの間で、それぞれステップ量で変化させてシミュレーションを行い、運用期間のEnの総和が最大となるようにV1およびV2の組合せを決定する。日別最適水位計画部215は、このシミュレーションにおいて、動的計画法を用いるものとする。動的計画法を用いることで、最適なV1およびV2の組合せを迅速に算出することができる。
河川流量モデル推計部216は、河川水位Hrと河川流量Lとの関係を示すモデルA13に係る推計処理を行う。河川水位Hrの説明変数として河川流量Lを選定した経緯は以下の通りである。
河川や人口水路などの流速の算定には次のマニングの公式が用いられている。
Figure 2011170806
ここでv(m/s)は流速、nは粗度係数、rは径深(m)、iは動水勾配である。長方形水路の場合、水路幅B、水深hであれば、流積A=B×hであり、潤辺長C=B+2hである。径深r=流積A÷潤辺長Cであるから、上記公式は次のように変形できる。
Figure 2011170806
ここで、水路幅Bが水深hに比して十分広い(h<<B)とすると、vは次式に近似できる。
Figure 2011170806
流量L=流積A×流速vであり、A=Bhであるから、流量Lは次式により表される。
Figure 2011170806
したがって、水深hは、流量Lの3/5乗に比例することが分かる。そこで、本実施形態では、河川水位Hrの説明変数として河川流量Lを説明変数として選定した。
河川水位Hrおよび河川流量Lの実績値は予め河川流量実績データベース258に登録されているものとし、河川流量モデル推計部216は、河川流量実績データベース258に記憶されているレコードをモデルA13に適用して回帰分析を行う。図15は、河川流量実績データベース258の構成例を示す図である。同図に示すように、河川流量実績データベース258は、河川水位と河川流量とを対応付けて記憶している。
図16は、河川流量モデル推計部216による推計処理の流れを示す図である。河川流量モデル推計部216は、nに1を設定する(S441)。河川流量モデル推計部216は、nが1より大きければ(S442:YES)、河川流量実績データベース258に記憶されている各レコードについて河川流量Lのn乗を算出し、算出したLのn乗をレコードの新たな項目として追加する(S443)。河川流量モデル推計部216は、河川水位Hrを目的変数とし、河川流量Lの1乗からLのn乗のそれぞれを説明変数としたモデルA13を生成し、生成したモデルA13に河川流量実績データベース258の各レコードの内容を適用して回帰係数a41〜a4nおよびcの推計を行う(S444)。河川流量モデル推計部216は、統計検定を行い(S445)、検定結果が有意でなければ(S446:NO)、nをインクリメントして(S447)、ステップS442からの処理を行う。なお、ステップS446においては、河川流量モデル推計部216は、河川流量実績データベース258の各レコードについて、レコードに含まれる水位Hrと、レコードに含まれるLの1乗からLのn乗までをモデルA13に適用した結果との差を算出し、算出した差の合計が所定の閾値以下であるか否かを判断してもよい。また、河川流量モデル推計部216は、回帰式の決定係数が所定値以上であるか否かを判定してもよい。河川流量モデル推計部216は、検定結果が有意であれば(S446:YES)、河川水位Hrを目的変数とし、河川流量Lの1乗からLのn乗のそれぞれを説明変数とする回帰式に、上記回帰計算により算出した回帰係数を含むモデルA13を作成し、モデル記憶部252に登録する(S448)。
以上のようにして、河川流量と河川水位との関係を示すモデルA13がモデル記憶部252に登録される。
時別最適水位計画部217(本発明の「最適水位決定部」に該当する。)は、日別最適水位データベース255に記憶されている各日の水位に基づいて、毎時の最適な水位を計画する。時別最適水位計画部217は、上述したA1〜A6の制約を満たすように、貯水量V1およびV2を変化させるシミュレーションを行う。時別最適水位計画部217は、次のモデルA14により発電電力量の評価値Eを算出し、発電電力量の評価値Eが最大となるような貯水池1の水位を決定する。
Figure 2011170806
ここで、tは時間であり、wfは時間帯別の重み係数である。本実施形態において、wfは電力価格データベース254に登録されている時間帯別の電力価格とする。なお、上記モデルA14は予めモデル記憶部252に記憶されているものとする。
時別最適水位計画部217は、最適化処理の対象日における0時から24時までの各時について、貯水池1の水位H1(貯水量V1)と貯水池2の水位H2(貯水量V2)とのシミュレーションを行う。時別最適水位計画部217は、対象日を受け付け、対象日に対応する貯水池1および2の水位H1およびH2を日別最適水位データベース255から読み出し、読み出した水位H1およびH2をそれぞれ、0時の水位H1およびH2とし、対象日の翌日に対応する貯水池1および2の水位H1およびH2を日別最適水位データベース255から読み出し、読み出した水位H1およびH2をそれぞれ、24時の水位H124およびH224とする。また、時別最適水位計画部217は、0時の水位H1およびH2並びに24時の水位H124およびH224とモデルA1とに基づいて、0時並びに24時の貯水量V1およびV2並びにV124およびV224を算出する。時別最適水位計画部217は、諸元記憶部251からステップ量を読み出し、0時から24時までの各時に対応する電力価格を電力価格データベース254から読み出し、1時から23時までの各時tについて、水位H1およびH2のそれぞれをステップ量で変化させてシミュレーションを行い、A1〜A9の制約を全て満たすH1およびH2(t=0〜24)の組合せの推移(計画)のうち、モデルA14の評価値Eが最大となるような計画を決定する。時別最適水位計画部217は、決定したH1およびH2の組合せの計画を時別最適水位データベース256に登録する。
最適水位出力部218は、日別最適水位データベース255に記憶されている水位や、時別最適水位データベース256に記憶されている最適水位を、出力装置206に出力する。
==日別の最適水位のシミュレーション==
図17は、貯水池1および2についての第1単位期間ごとの水位のシミュレーションに用いられる画面60の一例を示す図である。画面60には、運用期間の入力欄611、初期貯水量の入力欄612、最終目的貯水量の入力欄613、および各種諸元の表示欄621〜627が設けられている。
日別最適水位計画部215は、諸元記憶部251から、最低水位および最高水位に対応する設定値HminおよびHmax(H1minおよびH1max、または、H2minおよびH2max)を読み出し、読み出したHminおよびHmaxを表示欄621および表示欄622に表示する。日別最適水位計画部215は、諸元記憶部251から、維持流量に対応する設定値(S0)を読み出し、読み出したS0を表示欄623に表示する。日別最適水位計画部215は、諸元記憶部251から、最小取水量および最大取水量に対応する設定値(QminおよびQmax)を読み出し、読み出したQminおよびQmaxを表示欄624および625にそれぞれ表示する。日別最適水位計画部215は、諸元記憶部251から、放水位に対応する設定値Hout(H1outまたはH2out)を読み出し、読み出したHoutを表示欄626に表示する。日別最適水位計画部215は、諸元記憶部251から、損失落差に対応する設定値Hlos(H1losまたはH2los)を読み出し、読み出したHlosを表示欄627に表示する。
また、日別最適水位計画部215は、上述したモデルA2およびモデルA3を用いて、VmaxおよびVminを算出し、算出したVmaxおよびVminを表示欄631および表示欄632にそれぞれ表示する。
予測流入量取得部213は、流入量予測システム10にアクセスして、流入量予測システム10が予測した、運用期間内の各日についての流入量Rの予測値を取得し、取得したRを表示欄633に表示する。なお、貯水池2についてのシミュレーションの場合には、貯水池2には、河川等からの流入6に加えて、発電機3から放水される水も受け付けることになるので、日別最適水位計画部215は、流入量予測システム10から取得した流入量Rに対し、発電機3から放水される水の量、すなわち発電機3の取水量Qを加算する。
入力欄611、612および613に運用期間、初期貯水量および最終目的貯水量が入力され、ボタン641が押下されると、貯水量設定値入力部212は、入力欄611、612および613に入力された運用期間、初期貯水量、および最終目的貯水量の入力を受け付け、日別最適水位計画部215は、運用期間中の各日について貯水量Vをシミュレーションする。日別最適水位計画部215は、例えば以下のようにして貯水量Vのシミュレーションを行う。なお、図17の例では、貯水施設に固有の係数a=30000であり、水位を海抜高さに変換する定数b=500であるものとしている。また、日別最適水位計画部215は、貯水池1および2のそれぞれについて、以下のシミュレーションを行うものとする。
日別最適水位計画部215は、入力欄612に入力された初期貯水量を第1日目の貯水量Vとし、入力欄613に入力された最終目的貯水量を第7日目の貯水量Vとし、第1日目から第6日目までの貯水量Vのシミュレーションを行い、貯水量Vを表示欄651に表示する。
日別最適水位計画部215は、各日付tについての貯水量VをモデルA1に適用して水位Hを算出し、算出した水位Hを表示欄652に表示する。運用水位計画部215は、1〜6日目の日付tについて、VおよびVt+1をモデルA4に適用して、各日付tについての貯水量差ΔVを算出し、算出した貯水量差ΔVを表示欄653に表示する。
運用水位計画部215は、流入量の予測値R、維持流量S0、および貯水量差ΔVをモデルA5に適用してR0を算出し、モデルA6によりR0に応じた取水量Qを決定し、決定した取水量Qを表示欄654に表示する。運用水位計画部215は、R0および取水量QをモデルA7に適用して無効放流量Sを算出し、算出したSを表示欄655に表示する。
運用水位計画部215は、1〜6日目の各日tについて、上記算出した水位Ht+1、放水位Houtおよび損失落差HlosをモデルA8に適用して、有効落差hnを算出し、算出したhnを表示欄656に表示する。
運用水位計画部215は、取水量Q、有効落差hnをモデルA9に適用して、発電電力Pnを算出するとともに、算出したPnをモデルA11に適用して発電電力量Enを算出し、算出した発電電力Pnを表示欄657に表示し、算出したEnを表示欄660に表示する。
運用水位計画部215は、運用期間中の各日の日付に対応する電力価格を電力価格データベース254から読み出すとともに、上記Enおよび読み出した電力価格をモデルA12に適用して、売電額を算出し、読み出した電力価格を表示欄659に表示し、算出した売電額を表示欄658に表示する。
運用水位計画部215は、貯水量V(t=2〜6)を最大Vmin,tからVmax,tまで変化させて、上記の処理を繰り返すことによりシミュレーションを行い、運用期間中の売電額の合計額が最大となる貯水量Vの組合せを決定する。なお、運用水位計画部215は、動的計画法により、貯水量Vの組合せを決定することで、効率的に最適な貯水量を決定することができる。運用水位計画部215は、決定した貯水量Vの組合せに対応するように表示欄651〜660を表示する。
運用水位計画部215は、貯水池1の貯水量V1と、貯水池2の貯水量V2とのそれぞれについて上記シミュレーションを行うことにより、売電額が最大となるように、貯水池1および2の最適な各日の貯水量V1およびV2の計画を作成することができる。
==日別の最適水位シミュレーションの結果==
図18は、ある1つの貯水池において、過去の実績水位についてシミュレーションを行った結果を示すグラフである。
図18(a)は、比較的豊水期として知られている2003年7月における取水量および水位の変化を示すグラフである。貯水施設では、運用者の経験によって水位が決定されており、2003年7月期における売電額の実績値は約258(百万円)であった。これに対して、上記シミュレーションの結果の貯水量Vの組合せに対応する売電額は約269(百万円)となった。すなわち、約4%の売電額の上昇がみられた。
図18(b)は、比較的渇水期として知られている2007年4月における取水量および水位の変化を示すグラフである。2007年4月期における売電額の実績値は107(百万円)であったところ、上記シミュレーションの結果の貯水量Vの組合せに対応する売電価格は114(百万円)となり、約6%の上昇がみられた。
このように、上記シミュレーションにより、売電額が最大になるように貯水量Vの組合せを決定して水位Hを運用することで、運用者の経験による運用に比べて売電額の上昇が可能になることが確認された。
以上説明したように、本実施形態の水位運用支援システムによれば、初期貯水量および最終目的貯水量に応じて、売電額が最大になるような水位を提示することができる。また、本実施形態のように2つの貯水池1および2が連結された構成においても、発電機3から貯水池2への流入を考慮して発電機4による発電電力の売電額が最大となるように、貯水池2の貯水量Vを決定することができるので、全体として売電額が大きくなるように貯水量Vの組合せを決定することができる。したがって、貯水施設の運用者は、水位運用支援システムからの提示を参考にして、貯水位施設の水位を運用することで、より効率的かつ効果的に水力発電を行うことができる。
==時別の最適水位のシミュレーション==
図19は、第2単位期間(1時間)ごとの最適な水位およびをシミュレーションする際に用いられる画面70の一例を示す図である。また、図22は、上記シミュレーションに係る処理の流れを示す図である。
時別最適水位計画部217は、シミュレーションの対象となる日(以下、「対象日」という。)の指定を受け付ける(S801)。時別最適水位計画部217は、例えば、上述した図17に示す画面60の表示欄611に表示されている日がクリックされることにより、対象日の指定を受け付けるようにすることができる。時別最適水位計画部217は、対象日に対応する貯水池1の水位H1を日別最適水位データベース255から読み出し、読み出したH1と水位算出モデルA1から貯水量V1を算出してV1とし(S802)、対象日の次の日に対応する貯水池1の水位H1を日別最適水位データベース255から読み出し、読み出したH1と水位算出モデルA1から貯水量V1を算出してV124とする(S803)。また、時別最適水位計画部217は、対象日に対応する貯水池2の水位H2を日別最適水位データベース255から読み出し、読み出したH2と水位算出モデルA1から貯水量V2を算出してV2とし(S804)、対象日の次の日に対応する貯水池1の水位H2を日別最適水位データベース255から読み出し、読み出したH2と水位算出モデルA1から貯水量V2を算出してV224とする(S805)。時別最適水位計画部217は、図19に示す画面70の表示欄711にV1を表示し、表示欄712にV124を表示する。また、時別最適水位計画部217は、画面70の表示欄713にV2を表示し、表示欄714にV224を表示する。
時別最適水位計画部217は、諸元記憶部251から、維持流量(S0)、貯水池1および2の放水位(H1outおよびH2out)、貯水池1および2の損失落差(H2losおよびH2los)、維持河川流量(Lc)を読み出す(S806)。時別最適水位計画部217は、読み出した維持流量S0を表示欄715に表示し、河川維持流量Lcを表示欄716に表示する。
時別最適水位計画部217は、対象日に対応する、上記予測流入量取得部213が取得した貯水池1への流入量Rの予測値を24で割って各時の貯水池1への予測流入量R1(t=0〜23)とし(S807)、貯水池1への予測流入量R1を表示欄721に表示する。なお、時別最適水位計画部217は、流入量取得部213が予め予測流入量R1の入力を受け付けておき、受け付けた予測流入量R1を表示欄721に表示するようにしてもよい。
時別最適水位計画部217は、発電電力量の評価値Eの最大値Emaxに「−99999」などの極めて小さな値を設定し(S808)、最適な各時の貯水量の組合せ(以下、「最適計画」という。)を空のリストとする(S809)。
時別最適水位計画部217は、各時の貯水池1の貯水量V1(t=1〜23)を下限貯水量V1minから上限貯水量V1maxまでステップ量ずつ変化させるとともに、貯水池2の貯水量V2(t=1〜23)を下限貯水量V2minから上限貯水量V2maxまでステップ量ずつ変化させた、全てのV1およびV2の組合せのそれぞれについて、以下の処理を行う。
時別最適水位計画部217は、図21に示す評価値の算出処理を行う(S810)。
時別最適水位計画部217は、貯水池1の貯水量V1を表示欄722に表示し、貯水池2の貯水量V2を表示欄723に表示し、各時t(t=1〜23)のそれぞれについて以下の処理を行う。
時別最適水位計画部217は、V1を水位算出モデルA1に適用して貯水池1の水位H1を算出し(S821)、H1を表示欄731に表示する。時別最適水位計画部217は、V2を水位算出モデルA1に適用して貯水池2の水位H2を算出し(S822)、H2を表示欄732に表示する。時別最適水位計画部217は、t時における河川Bの流量の予測値Lを取得する(S823)。時別最適水位計画部217は、例えば、ユーザから河川Bの流量Lの入力を受け付けるようにしてもよいし、河川流量実績データベース258に記憶されている河川流量に基づいて予測するようにしてもよい。時別最適水位計画部217は、取得したLを表示欄733に表示する。時別最適水位計画部217は、取得したLをモデルA13に適用して河川水位Hrを算出する(S824)。時別最適水位計画部217は、電力価格データベース254からtに対応する電力価格を読み出してwfとする(S825)。以上の処理を繰り返すことにより、各時t(t=1〜23)についてのH1、H2、L、Hr、wfが算出される。
次に時別最適水位計画部217は、各時t(t=1〜23)のそれぞれについて、時別最適水位計画部217は、図22に示す、評価値Eの算出処理を行う(S826)。時別最適水位計画部217は、貯水池1の貯水量V1およびV1t+1をモデルA4に適用して、貯水池1の貯水量差ΔV1を算出し(S841)、貯水池1への流入量R1、維持流量S0、および貯水量差ΔV1をモデルA5およびA6に適用して、発電機3の取水量Q1を算出する(S842)。時別最適水位計画部217は、取水量Q1を表示欄734に表示する。時別最適水位計画部217は、流入量R1、維持流量S0、貯水量差ΔV1および取水量Q1をモデルA5およびA7に適用して、貯水池1からの無効放流量S1を算出し(S843)、無効放流量S1を表示欄735に表示する。時別最適水位計画部217は、次の時間の貯水池1の水位H1t+1、放水位H1outおよび損失落差H1losをモデルA8に適用して、貯水池1の有効落差hn1を算出し(S844)、hn1およびQ1をモデルA9に適用して、発電機3に係る総合変換効率ce1を算出する(S845)。時別最適水位計画部217は、発電機3の総合変換効率ce1を表示欄736に表示する。時別最適水位計画部217は、ce1、Q1およびH1をモデルA10に適用して、発電機3による発電電力量Pn1を算出し(S846)、発電電力量Pn1を表示欄737に表示する。
次に時別最適水位計画部217は、貯水池2への流入量R2に、発電機3の取水量Q1を加算して(S847)、流入量R2を表示欄738に表示する。時別最適水位計画部217は、貯水池2の貯水量V2およびV2t+1をモデルA4に適用して貯水池2の貯水量差ΔV2を算出し(S848)、流入量R2、維持流量S0、および貯水量差ΔV2をモデルA5およびA6に適用して、発電機4の取水量Q2を算出し(S849)、取水量Q2を表示欄739に表示する。時別最適水位計画部217は、流入量R2、維持流量S0、貯水量差ΔV2および取水量Q2をモデルA5およびA7に適用して、貯水池2からの無効放流量S2を算出し(S850)、無効放流量S2を表示欄740に表示する。時別最適水位計画部217は、次の時間の貯水池2の水位H2t+1、放水位H2outおよび損失落差H2losをモデルA8に適用して、貯水池2の有効落差hn2を算出し(S851)、hn2およびQ2をモデルA9に適用して、発電機4に係る総合変換効率ce2を算出して(S852)、発電機4の総合変換効率ce2を表示欄741に表示する。時別最適水位計画部217は、ce2、Q2およびH2をモデルA10に適用して、発電機4による発電電力量Pn2を算出し(S853)、発電電力量Pn2を表示欄742に表示する。時別最適水位計画部217は、wf、Pn1、S1、Pn2、S2をモデルA14に適用して、発電電力量の評価値Eを算出する(S854)。
図21に戻り、時別最適水位計画部217は、各時についてのEを合計して評価値Eを算出する(S829)。
図19に戻り、時別最適水位計画部217は、図23に示す制約違反の検出処理を行う(S811)。
図23の制約違反の検出処理では、時別最適水位計画部217は、各時t(t=1〜23)について、以下の処理を行う。
時別最適水位計画部217は、まず図24に示す河川流量および放水量の算出処理を行う(S860)。時別最適水位計画部217は、時間tにおける貯水池2の貯水量V2に時間tにおける発電機4の取水量Q2を加算し、そこから時間t+1における貯水池2の貯水量V2t+1を引くことにより、貯水池2からの放水量Fを算出し(S871)、放水量FからFt−1を引いた値の絶対値をとって放水量変化量ΔFを算出する(S872)。時別最適水位計画部217は、河川Bの流量Lに放水量Fを加算した値を、図19に示す画面70の表示欄743に表示する。時別最適水位計画部217は、t時における河川Bの流量の予測値Lおよび河川水位の増加量の上限値ΔHrmaxを取得し(S873)、取得したLを図19に示す画面70の表示欄733に表示する。なお、時別最適水位計画部217は、例えば、ユーザから河川Bの流量Lやその増加量の上限値上限値ΔHrmaxの入力を受け付けるようにしてもよいし、河川流量実績データベース258に記憶されている河川流量に基づいて河川Bの流量Lやその増加量の上限値上限値ΔHrmaxを予測するようにしてもよい。時別最適水位計画部217は、取得したLをモデルC1に適用してHr(L)’を算出し(S874)、算出したHr(L)’と上記ΔHrmaxとを上述したモデルC2に適用して放水許容値ΔFmaxを算出する(S875)。なお、河川流量が少ないときなどには、流量変化に伴う河川水位変動は大きくなるため、河川流量Lに代えて、放水前後の平均流量(L+L+F)/2を用いることで、より正確なシミュレーションを行うことができる。
次に時別最適水位計画部217は、図23に戻り、貯水池1の貯水量V1が、下限貯水量V1min以上であり、かつ上限貯水量V1max以下であり(S861:YES)、貯水池2の貯水量V2が、下限貯水量V2min以上であり、かつ上限貯水量V2max以下であり(S862:YES)、貯水池1からの無効放流量S1が上限無効放流量Smax未満であり(S863:YES)、貯水池2からの無効放流量S2が上限無効放流量Smax未満であり(S864:YES)、発電機3の取水量Q1が、最小取水量Qmin以上であり、かつ、最大取水量Qmax以下であり、発電機4の取水量Q2が、最小取水量Qmin以上であり(S865:YES)、かつ、最大取水量Qmax以下であり(S866:YES)、貯水量差ΔFが、放水許容値ΔFmax以下であり(S867:YES)、河川Bの流量Lに放水量Fを加算した値が、維持河川流量Lc以上であれば(S868:YES)、全ての制約を満たすと判定し(S869)、そうでなければ制約に違反すると判定する(S870)。
図22に戻り、時別最適水位計画部217は、全ての制約を満たすと判定した場合に(S812:YES)、評価値EがEmaxより大きければ(S813:YES)、EをEmaxとし(S814)、V1(t=0〜24)およびV2(t=0〜24)の組合せを最適計画とする(S815)。
以上の処理をV1およびV2の全ての組合せについて繰り返すことにより、1日における発電電力量の評価値Eが最大となる貯水池1および2の貯水量の組合せを決定することができる。
以上説明したように、本実施形態の最適水位計算システム20によれば、貯水池1および2の貯水量V1およびV2を変化させてシミュレーションを行い、各種の制約を満たしつつ発電電力量の評価値Eが最大となるような貯水池1および2の水位を計画することができる。また、モデルA14では、無効放流量Sの2乗にペナルティ係数を乗じた値を発電電力量から減算して、発電電力量を評価することができる。したがって、無効放流量を考慮しつつ、発電電力量をなるべく大きくなるように貯水池の水位を計画することができる。よって、無効放流発生前に対応が必要な放流河川へのパトロール等に伴う支出軽減も考慮して、貯水池の水位を調整することができる。
また、貯水施設のオペレータは本実施形態の最適水位計算システム20からの出力を参考に水位を参考に貯水池の水位を運用することにより、高い発電電力量を確保することができるので、これまで運用者の経験に基づいて管理してきた水位を、経験の浅いものに行わせることも可能となる。
なお、本実施形態の最適貯水位計算システム20では、売電額が最大になるように日別の貯水量Vの組合せを決定するものとしたが、発電電力量Enが最大となるような組合せを決定するようにしてもよい。この場合、価格の変動に関わらず、より効率的な発電を行うことが可能となる。また、発電電力量Enに応じた評価値Eが最大となるような組合せを決定するようにすることもできる。この場合、評価値Eは、例えば、次のモデルA14’により算出するようにすることができる。
Figure 2011170806
上記モデルA14’では、無効放流量Sの2乗にペナルティ係数を乗じた値を発電電力Pnから減じて評価値Eを算出しているので、無効放流量が少なくなるように貯水量Vまたは対応する水位Hを決定することができる。
また、本実施形態では、時別のシミュレーションにおいて、貯水池1の貯水量V1と貯水池2の貯水量V2とをともに変化させて、発電機3および4の両方における発電電力量の合計をモデルA14により評価するものとしたが、日別のシミュレーションのように、貯水池1についての最適な水位と、貯水池2についての最適な水位とを別々に求めるようにしてもよい。この場合、時別最適水位計画部215は、貯水池1の貯水量V1を変化させて、例えば、モデルA11やモデルA12、上位モデルA14’により求められる、発電電力量Enや売電額、評価値Eが最大となる貯水量V1の組合せを決定し、次に、貯水池2の貯水量V2を変化させて、同様に発電電力量Enや売電額、評価値Eが最大となる貯水量V2の組合せを決定して、最適水位計画とすることができる。
もっとも、上述の日別のシミュレーションのように、貯水池1についての最適水位と、貯水池2についての最適水位とを別々に求める場合(以下、「個別最適化」という。)と、上述の時別のシミュレーションのように、貯水池1および貯水池2の最適水位を同時に求める場合(以下、「一括最適化」という。)とでは、一括最適化の方がより大きな発電電力量の評価値となるような貯水量の組合せを求めることができる。図25は、個別最適化を行った場合と一括最適化を行った場合とにおける発電電力量を示すグラフである。図25のグラフに示すように、発電機Aについては、個別最適化の方が一括最適化よりも発電電力量は大きくなっているが、発電機Bについては、一括最適化の方が発電電力量は大きく、また発電機AおよびBの発電電力量の合計についても、一括最適化の方が発電電力量は大きくなっている。したがって、一括最適化を行う方が好適である。そこで、本実施形態では、日別のシミュレーションにおいては個別最適化を行うものとしたが、一括最適化を行うようにしてもよい。
また、最適貯水位計算システム20は、無効放流量Sの上限を設けて、シミュレーションを行うようにしてもよい。この場合、日別最適水位計画部215は、ユーザから上限値の入力を受け付けて、無効放流量Sが上限値を超えない各日の貯水量Vの組合せのうち、売電額が最大になるものを決定するようにする。
また、最適貯水位計算システム20は、最低運転出力の下限を設けて、シミュレーションを行うようにしてもよい。この場合、日別最適水位計画部215は、ユーザから下限値の入力を受け付けて、運転出力が下限値を下回らない貯水量Vの組合せのうち、売電額が最大になるものを決定するようにする。実際の発電所運転では、水車の機械的制約から著しく小さい取水で運転することができないので、より実態に合ったシミュレーションが可能となる。
最低運転出力値を「Q0min」と表記すると、モデルA6は、最小取水量Qmin、最大取水量Qmax、およびR0に基づいて、取水量Qを決定するためのもの(取水量算出モデル)であり、次式により表される。
Q0min≦Qminの場合、
Figure 2011170806
Q0min>Qminの場合、
Figure 2011170806
また、本実施形態では、貯水施設には貯水池が2つ含まれるものとしたが、多段に連接する3つ以上の貯水池が含まれるようにしてもよい。この場合、2段目以降の貯水池の流入量には、上段の貯水池からの放水量(上段の発電機の取水量)を加算するようにする。
また、本実施形態では、発電機3および4は同じ性能であるものとしたが、発電機3および4が異なる性能である場合には、図14の総合変換効率の推計処理において、まず発電機3に対応するレコードのみを読み出して推計処理を行い、発電機3についての総合変換効率ce1を求め、その後、発電機4に対応するレコードのみを読み出して推計処理を行い、発電機4についての総合変換効率ce2を求めるようにする。また、最大取水量や最小取水量を発電機ごとに設定するようにしてもよい。
また、本実施形態の流入量予測システム10では、ダムなどの貯水施設に河川から流入する水量についての予測を行うものとしたが、河川を流れる水量の予測を行うシステムにも容易に適用することができる。この場合、河川の上流域における気温や降水量の予報値および実績値などを取得して記録するものとする。
また、本実施形態の流入量予測システム10では、均衡流入量μおよび融雪が始まる気温μについては、予めパラメタ記憶部152に記憶されているものとしたが、これに限らず、過去の気象流入量実績情報に基づいて当てはまりのよい値を推計するようにしてもよい。また、本実施形態の各回帰モデルについて、誤差項に系列相関があるような場合には、降雪気温推計部111がPrais-Winstein変換やコクラン・オーカット法によりパラメタを推計するようにしてもよい。この場合、流入量モデルA5は、1期前の流入量Rt−1ではなく、系列相関がなくなる所定期(n期)前の流入量Rt−nを説明変数とするようにしてもよい。
また、本実施形態の最適貯水位計算システム20では、流入量予測システム10から流入量Rを取得するものとしたが、これに限らず、例えば、流入量Rの入力をユーザから受け付けるようにしてもよい。また、過去の流入量の実績値をデータベースに記憶しておき、過去の実績値をRとして読み出してシミュレーションするようにしてもよい。
また、本実施形態の最適貯水位計算システム20では、予め電力価格は電力価格データベース254に記憶されているものとしたが、例えば、日本卸電力取引所における電力価格(JEPX価格)を自動的に取得するようにしてもよい。この場合、電力価格データベース254を省略して、日別最適水位計画部215によるシミュレーションの度に、JEPX価格を取得するようにすることもできる。また、電力価格に代えて電力需要に応じた重み係数や電力会社における最上積み発電単価(増分燃料費)を記憶しておき、この重み係数や発電単価を発電電力量に乗じた値が最大となるように、貯水池の水位を計画するようにしてもよい。
また、本実施形態の最適貯水位計算システム20では、時別のシミュレーションを計算する期間を24時間であるものとしたが、これに限らず、48時間や72時間など適宜な長さの計算期間についてシミュレーションを行うようにしてもよい。この計算期間は、諸元入力部211が入力を受け付けて諸元記憶部251に登録しておくようにすることもできる。
また、本実施形態の最適貯水位計算システム20では、第2単位期間は1時間であるものとして、毎時の貯水量Vについてシミュレーションを行うものとしたが、これに限らず、例えば、第2単位期間を6時間毎や3時間毎などとしてシミュレーションを行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、時別のシミュレーションにおいて、貯水量Vを変化させるものとしたが、水位Hを変化させるようにしてもよい。
また、本実施形態の最適貯水位計算システム20では、貯水池1の貯水量V1および貯水池2の貯水量V2(t=0〜23)の全ての組合せについて発電電力量の評価値Eを算出し、評価値Eが最大となる組合せを最適計画として決定するようにしたが、組合せの最適化に動的計画法を用いるようにしてもよい。動的計画法を用いることにより、貯水量の膨大な組合せから最適なものを効率よく決定することができる。
また、本実施形態の最適貯水位計算システム20では、モデルA14において、無効放流量Sの評価には、Sの2乗にペナルティ係数を乗じた値を用いるものとしたが、Sを2乗せず、絶対値|S|を用いてもよい。また、無効放流量Sは負になることはないので、Sそのものを用いてもよい。
また、本実施形態の最適貯水位計算システム20では、1日の予測流入量を24で割って各時の予測流入量を算出するものとしたが、流入量予測システム10が各時の流入量の予測を行い、最適貯水位計算システム20の予測流入量取得部213が毎時の流入量の予測値を取得するようにしてもよい。この場合、流入量予測システム10は、例えば、1時間単位での気象流入量実績情報を記憶しておくようにし、各時の気象流入量実績情報を用いて流入量モデル5を推計し、予測流入量を算出するようにすることができる。また、流入量予測システム10は、任意の時間(例えば6時間)ごとの気象流入量実績情報を記憶しておくようにし、上記任意の時間ごとの気象流入量実績情報を用いて流入量モデル5を推計し、上記任意の時間ごとの流入量の予測値を算出し、上記任意の時間ごとの流入量の予測値を第2単位時間(1時間)単位に割って毎時の流入量とすることもできる。
また、本実施形態の最適貯水位計算システム20では、総合変換効率を取水量Qに応じて変動する値であるものとしたが、所定の定数として用いることもできる。この場合、上記モデルA9に代えて、総合変換効率ceを定数とし、モデルA10を、次のモデルA10’とすることができる。
Figure 2011170806
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
例えば、本実施形態では、流入量予測システム10と最適貯水位計算システム20とは異なるコンピュータであるものとしたが、1台のコンピュータにより実現することもできる。また、流入量予測システム10および最適貯水位計算システム20の少なくともいずれかを、複数台のコンピュータにより実現するようにすることもできる。
1 貯水池、2 貯水池、3 発電機、4 発電機、5 流入、6 流入、
7 無効放流、8 無効放流、10 流入量予測システム、
20 最適貯水位計算システム、30 通信ネットワーク、
101 CPU、102 メモリ、103 記憶装置、
104 通信インタフェース、105 入力装置、106 出力装置、
111 降雪気温推計部、112 融雪量モデル推計部、
113 流入量モデル推計部、114 予測気温取得部、
115 予測降水量取得部、116 予測融雪量取得部、
117 流入量予測部、151 モデル記憶部、152 パラメタ記憶部、
153 気象及び流入量実績データベース、201 CPU、
202 メモリ、203 記憶装置、204 通信インタフェース、
205 入力装置、206 出力装置、211 諸元入力部、
212 貯水量設定値入力部、213 予測流入量取得部、
214 総合変換効率モデル推計部、215 日別最適水位計画部、
216 河川流量モデル推計部、217 時別最適水位計画部、
218 最適水位出力部、251 諸元記憶部、252 モデル記憶部、
253 制約記憶部、254 電力価格データベース、
255 日別最適水位データベース、256 時別最適水位データベース、
257 効率試験結果データベース、258 河川流量実績データベース

Claims (11)

  1. 第1および第2の貯水池と、前記第1の貯水池からの放水を利用して水力発電を行う第1の発電機と、前記第2の貯水池からの放水を利用して水力発電を行う第2の発電機とを有し、前記第1の発電機において利用された水は前記第2の貯水池に流入する貯水施設の運用を支援するシステムであって、
    所定期間内の各単位期間における、前記第1の発電機以外から前記第1および第2の貯水池に流入する水の量である流入量の予測値を取得する予測流入量取得部と、
    前記単位期間の開始時点から終了時点までの貯水池における貯水量の変化量および前記流入量に基づいて前記水力発電に使用する水の量である取水量を算出するための取水量算出モデル、並びに、前記取水量および前記貯水量に基づいて前記水力発電により前記単位期間に発電される電力量を算出するための電力量算出モデルを記憶するモデル記憶部と、
    前記所定期間内の前記各単位期間について、前記単位期間の開始時点における前記第1の貯水池の貯水量である第1の貯水量および前記第2の貯水池の貯水量である第2の貯水量のそれぞれを変化させるとともに、前記第1の貯水量および前記流入量の予測値を前記取水量算出モデルに適用して第1の取水量を算出し、前記第2の貯水量および前記流入量の予測値に前記第1の取水量を加算した値を前記取水量算出モデルに適用して第2の取水量を算出し、前記第1の取水量および前記第1の貯水量を前記電力量算出モデルに適用して第1の電力量を算出し、前記第2の取水量および前記第2の貯水量を前記電力算出モデルに適用して第2の電力量を算出していき、前記第1および第2の電力量に応じて、発電された電力量の評価値を算出し、前記評価値の合計が最大となる前記第1および第2の貯水量の組合せを、最適な貯水量の計画として決定する最適貯水量決定部と、
    を備えることを特徴とする貯水施設運用支援システム。
  2. 請求項1に記載の貯水施設運用支援システムであって、
    前記最適貯水量決定部は、前記第1および第2の電力量の合計値を前記評価値として算出すること、
    を特徴とする貯水施設運用支援システム。
  3. 請求項1に記載の貯水施設運用支援システムであって、
    前記電力量に対する時間帯別の重みを記憶する電力量重み記憶部を備え、
    前記最適貯水量決定部は、前記各単位期間が属する時間帯に対応する前記重みを前記電力量重み記憶部から読み出し、前記第1および第2の電力量の合計値に前記重みを乗じた値を前記評価値として算出すること、
    を特徴とする貯水施設運用支援システム。
  4. 請求項1に記載の貯水施設運用支援システムであって、
    前記発電機に与えられずに前記貯水施設から放流される水の量である無効放流量を評価する係数であるペナルティ係数を記憶するペナルティ係数記憶部と、
    前記発電機が発電のために前記貯水池から受け入れる水の量である取水量の最小値および最大値を含む取水量に対する制約条件を記憶する制約条件記憶部と、
    を備え、
    前記電力量算出モデルは、前記単位期間における前記貯水池の貯水量の変化量および前記流入量に基づいて前記貯水池からの放水量を算出する貯水池放水量モデルと、前記取水量および前記貯水池の貯水量に基づいて前記電力量を算出する電力量モデルとを含み、
    前記最適貯水量決定部は、前記各単位期間について、
    前記第1の貯水量の変化量および第2の貯水量の変化量を算出し、
    前記流入量および前記第1の貯水量の変化量を前記貯水池放水量モデルに適用して前記第1の貯水池からの第1の放水量を算出し、
    前記流入量および前記第2の貯水量の変化量を前記貯水池放水量モデルに適用して前記第2の貯水池からの第2の放水量を算出し、
    前記第1の放水量のうち前記取水量に対する制約条件を満たす最大の水量を前記第1の取水量とし、
    前記第2の放水量のうち前記取水量に対する制約条件を満たす最大の水量を前記第2の取水量とし、
    前記第1の放水量から前記第1の取水量を減じた値と、前記第2の放水量から前記第2の取水量を減じた値とを合計して前記無効放流量を算出し、
    前記第1および第2の取水量並びに前記第1および第2の貯水量を前記電力量モデルに適用して前記第1および第2の電力量を算出し、
    前記第1および第2の電力量の合計値から、前記無効放流量に前記ペナルティ係数を乗じた値を減算して前記評価値を算出すること、
    を特徴とする貯水施設運用支援システム。
  5. 請求項4に記載の貯水施設運用支援システムであって、
    前記制約条件記憶部はさらに、前記無効放流量に対する制約条件を記憶し、
    前記最適貯水量決定部は、前記第1および第2の貯水量の組合せのうち、前記無効放流量が前記無効放流量に対する制約条件を満たすものの中で、前記評価値の合計が最大となる組合せを前記最適な貯水量の計画として決定すること、
    を特徴とする貯水施設運用支援システム。
  6. 第1および第2の貯水池と、前記第1の貯水池からの放水を利用して水力発電を行う第1の発電機と、前記第2の貯水池からの放水を利用して水力発電を行う第2の発電機とを有し、前記第1の発電機において利用された水は前記第2の貯水池に流入する貯水施設の運用を支援する方法であって、
    コンピュータが、
    所定期間内の各単位期間における、前記第1の発電機以外から前記第1および第2の貯水池に流入する水の量である流入量の予測値を取得し、
    前記単位期間の開始時点から終了時点までの貯水池における貯水量の変化量および前記流入量に基づいて前記水力発電に使用する水の量である取水量を算出するための取水量算出モデル、並びに、前記取水量および前記貯水量に基づいて前記水力発電により前記単位期間に発電される電力量を算出するための電力量算出モデルをメモリに記憶し、
    前記所定期間内の前記各単位期間について、前記単位期間の開始時点における前記第1の貯水池の貯水量である第1の貯水量および前記第2の貯水池の貯水量である第2の貯水量のそれぞれを変化させるとともに、前記第1の貯水量および前記流入量の予測値を前記取水量算出モデルに適用して第1の取水量を算出し、前記第2の貯水量および前記流入量の予測値に前記第1の取水量を加算した値を前記取水量算出モデルに適用して第2の取水量を算出し、前記第1の取水量および前記第1の貯水量を前記電力量算出モデルに適用して第1の電力量を算出し、前記第2の取水量および前記第2の貯水量を前記電力算出モデルに適用して第2の電力量を算出していき、前記第1および第2の電力量に応じて、発電された電力量の評価値を算出し、前記評価値の合計が最大となる前記第1および第2の貯水量の組合せを、最適な貯水量の計画として決定すること、
    を特徴とする貯水施設運用支援方法。
  7. 請求項6に記載の貯水施設運用支援方法であって、
    前記コンピュータは、前記第1および第2の電力量の合計値を前記評価値として算出すること、
    を特徴とする貯水施設運用支援方法。
  8. 請求項6に記載の貯水施設運用支援方法であって、
    前記コンピュータは、
    前記電力量に対する時間帯別の重みを前記メモリに記憶し、
    前記各単位期間が属する時間帯に対応する前記重みを前記メモリから読み出し、前記第1および第2の電力量の合計値に前記重みを乗じた値を前記評価値として算出すること、
    を特徴とする貯水施設運用支援方法。
  9. 第1および第2の貯水池と、前記第1の貯水池からの放水を利用して水力発電を行う第1の発電機と、前記第2の貯水池からの放水を利用して水力発電を行う第2の発電機とを有し、前記第1の発電機において利用された水は前記第2の貯水池に流入する貯水施設の運用を支援するためのプログラムであって、
    コンピュータに、
    所定期間内の各単位期間における、前記第1の発電機以外から前記第1および第2の貯水池に流入する水の量である流入量の予測値を取得するステップと、
    前記単位期間の開始時点から終了時点までの貯水池における貯水量の変化量および前記流入量に基づいて前記水力発電に使用する水の量である取水量を算出するための取水量算出モデル、並びに、前記取水量および前記貯水量に基づいて前記水力発電により前記単位期間に発電される電力量を算出するための電力量算出モデルをメモリに記憶するステップと、
    前記所定期間内の前記各単位期間について、前記単位期間の開始時点における前記第1の貯水池の貯水量である第1の貯水量および前記第2の貯水池の貯水量である第2の貯水量のそれぞれを変化させるとともに、前記第1の貯水量および前記流入量の予測値を前記取水量算出モデルに適用して第1の取水量を算出し、前記第2の貯水量および前記流入量の予測値に前記第1の取水量を加算した値を前記取水量算出モデルに適用して第2の取水量を算出し、前記第1の取水量および前記第1の貯水量を前記電力量算出モデルに適用して第1の電力量を算出し、前記第2の取水量および前記第2の貯水量を前記電力算出モデルに適用して第2の電力量を算出していき、前記第1および第2の電力量に応じて、発電された電力量の評価値を算出し、前記評価値の合計が最大となる前記第1および第2の貯水量の組合せを最適な貯水量の計画として決定するステップと、
    を実行させるためのプログラム。
  10. 請求項9に記載のプログラムであって、
    前記コンピュータに、前記最適な貯水量の計画を決定するステップにおいて、前記第1および第2の電力量の合計値を前記評価値として算出させること、
    を特徴とするプログラム。
  11. 請求項9に記載のプログラムであって、
    前記コンピュータにさらに、前記電力量に対する時間帯別の重みを前記メモリに記憶するステップを実行させ、
    前記コンピュータに、前記最適な貯水量の計画を決定するステップにおいて、前記各単位期間が属する時間帯に対応する前記重みを前記メモリから読み出し、前記第1および第2の電力量の合計値に前記重みを乗じた値を前記評価値として算出させること、
    を特徴とするプログラム。
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