JP2011168842A - 異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板及びその製造方法 - Google Patents

異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自動車分野に適する、圧延方向の加工性の異方性が小さく、かつ、焼入性に優れた高炭素鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.2超〜0.70%、Si:0.01〜0.8%、Mn:0.1〜2.0%未満、P:0.003〜0.030%、S:0.0001〜0.008%、Al:0.005〜0.07%、N:0.0001〜0.02%、O:0.0001〜0.0030%、及び、残部不可避的不純物からなり、かつ、下記A値が0.008以下であって、圧延方向に平行な板厚断面内の板厚をtとした時、(i)4/10t〜6/10tの断面で、長さ100μm以上の非金属介在物の面積率が0.1%以下であり、また、(ii)同断面領域で、炭化物径が下記B値を超える炭化物の面積率が、該領域中の炭化物の10%以下である。A値=O+S+0.033Al。O、S、Al:各元素の含有量。B値(μm)=1.5×C%+0.5
【選択図】図2

Description

本発明は、異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板とその製造方法に関する。
近年、地球環境保護の観点から、自動車のCO2排出量の低減などを目的に、自動車車体の軽量化が進められていて、高強度鋼板の使用が促進されている。また、自動車会社や部品メーカーでは、従来、熱間鍛造で製造していた部品を冷間プレスで製造するなど、工程の簡省略化による製造プロセス自体の省エネルギーや、低コスト化を進めて、製造プロセスの効率化をより図っている。
特に、製造プロセスの効率化の観点では、従来、棒鋼等の材料を熱間鍛造し、次いで、切削加工で部品精度を確保していた部品を、熱間鍛造を省略し、板材を冷間鍛造プレスで製造する、いわゆる、板鍛造プレス化が進められていて、厚み2mm以上の鋼板が被鍛造材として用いられるようになってきている。
ところが、板材の冷間鍛造プレスにおいては、(a)材料の割れが、熱間鍛造に比較して顕著になり、また、(b)棒鋼のような軸対象材では発生し難かった、圧延に起因する板面内の異方性による成形性の不均一性が見られ、結局、特定方向での割れの発生や、プレス後の形状の不均一性等、解決すべき課題が多い。
現状では、割れが発生しないような形状に変更することや、絞り加工後に発生した不均一部(所謂、耳)を切除するなどの処理が必要となり、加工性がより優れ、均一な特性を有する材料が求められている。
また、部品によっては、素材強度ではなく、プレス後の焼入れ焼戻しにより、ビッカース硬度で400以上の高強度が必要なものもあり、そのため、焼入性を必要とする材料も望まれている。
このように、部品成形後の焼入性も確保するためには、高炭素鋼の成分組成を、異方性が小さく、かつ、焼入性を確保できるように設計することが必要であるが、現在、これらの特性を兼ね備えた高炭素鋼板とその製造方法は開示されていない。
本発明は、上記現状に鑑み、従来は熱間鍛造等で製造していた、自動車のトランスミッション等に使用する部品を、板鍛造プレス(冷間成形)で製造するための高炭素鋼板であって、プレス成形後、焼入れ焼戻しに供する、例えば、厚さ2mm以上の高炭素鋼板において、加工時の割れを防止するとともに、圧延方向とその直角方向における加工性の異方性を低減することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意検討した。その結果、本発明者らは、上記加工性の異方性は、単に、圧延条件を変更しただけでは低減できず、成分組成とそれに関連する組織制御を、熱間圧延工程まで一貫して最適化することが重要であることを知見した。
具体的には、製錬時の酸化物量とS量を規定し、熱間圧延条件の最適化を加え、組織制御を行うことで、上記課題を解決し、上記異方性を顕著に改善できることが判明した。
即ち、本発明者らは、(i-1)圧延方向とその直角方向における加工性の異方性の原因は、特に、板厚中心領域に存在する非金属介在物や、パーライトバンドに起因する炭化物(セメンタイト)の密集状態及びその大きさによる塑性変形能の低下であり、さらに、(i-2)上記密集状態及びその大きさの形態が、圧延により、圧延方向に長く連なる形態となることが、塑性変形能の異方性を助長していることを明確にし、(ii-1)成分組成との関係によって、加工性の異方性の増大を抑制できること、また、(ii-2)熱間圧延の圧延条件、冷却条件、及び、巻取条件を、一連の条件として制御することで、圧延方向への展伸度や比率を制御できることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)質量%で、C:0.2超〜0.70%、Si:0.01〜0.8%、Mn:0.1〜2.0%未満、P:0.003〜0.030%、S:0.0001〜0.008%、Al:0.005〜0.07%、N:0.0001〜0.02%、O:0.0001〜0.0030%、及び、残部不可避的不純物からなり、かつ、下記(1)式で示すA値が0.008以下の鋼板であって、圧延方向に平行な板厚断面内の板厚をtとした時、
(i)4/10t〜6/10tの断面で、長さ100μm以上の非金属介在物の面積率が0.1%以下であり、また、
(ii)同断面領域で、炭化物径が下記(2)式で示す値を超える炭化物の面積率が、領域中の炭化物の10%以下である、
ことを特徴とする異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板。
A値=O+S+0.033Al ・・・(1)
O、S、Al:各元素の含有量
B値(μm)=1.5×C%+0.5 ・・・(2)
(2)前記鋼板が、質量%で、Nb:0.003〜0.1%、Ti:0.001〜0.05%、V:0.001〜0.05%、Ta:0.01〜0.5%、W:0.01〜0.5%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)に記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板。
(3)前記鋼板が、質量%で、Cr:0.1〜2.0%、Ni:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜1.0%、Mo:0.005〜0.5%、B:0.0005〜0.01%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板。
(4)前記鋼板が、質量%で、Mg:0.0005〜0.003%、Ca:0.0005〜0.003%、Y:0.001〜0.03%、Zr:0.001〜0.03%、La:0.001〜0.03%、Ce:0.001〜0.03%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板を製造する製造方法において、
(i)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の成分組成の連続鋳造鋳片又は鋼塊を1150℃以上1300℃以下で加熱し、次いで、
(ii-1)粗圧延を1000℃以上1150℃以下で終了し、仕上圧延温度をAe3以上とする熱間圧延を行い、その後、
(ii-2)1〜10秒の空冷時間をとり、10〜70℃/sの冷却速度で巻取温度まで冷却して450〜650℃で巻き取り、
(ii-3)巻取り後、酸洗し、焼鈍する
ことを特徴とする異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板の製造方法。
(6)前記焼鈍を、600℃以上Ac1以下の温度で、8時間以上行うことを特徴とする前記(5)に記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板の製造方法。
(7)前記焼鈍を、Ac1〜Ac1+50℃の温度で行い、その後、5℃/時間以下の冷却速度で、Ac1−30℃の温度以下まで冷却することを特徴とする前記(5)に記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板の製造方法。
(8)前記焼鈍を、水素95%以上で、かつ、400℃までの露点が−20℃未満、400℃以上の露点が−40℃未満の雰囲気中で行うことを特徴とする前記(5)〜(7)のいずれかに記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板の製造方法。
(9)前記酸洗の後、焼鈍の前に、高炭素鋼板に、圧下率10%以上の冷間圧延を施すことを特徴とする前記(5)〜(8)のいずれかに記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板の製造方法。
(10)前記圧下率10%以上の冷間圧延を施した高炭素鋼板を焼鈍した後、該高炭素鋼板に、再度、圧下率10%以上の冷間圧延を施し、次いで、前記(6)〜(8)のいずれかに記載の焼鈍を施すことを特徴とする異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板の製造方法。
本発明によれば、自動車部品の材料として使用する高強度鋼板の異方性を改善し、加工性に優れた鋼板を製造することが可能となる。その結果、自動車部品の製造において、製造工程の簡略化、及び/又は、製造コストの低減が可能となる。
(O+S+0.033Al)と、極限変形能の異方性(φc/φL)の関係を示す図である。 極限変形能の異方性(φc/φL)に及ぼす非金属介在物及び炭化物の影響を示す図である。
以下に、本発明について詳細に説明する。本発明者らは、前述したように、加工性の異方性は、単に、圧延条件を変更しただけでは低減できず、成分組成とそれに関連する組織制御を、熱間圧延工程まで一貫して最適化することが重要であることを知見した。
そこで、成分組成の影響を調査することとし、0.54%C−0.2%Si−0.6%Mnを基本の成分組成とし、S、O、及び、Alを変化させた50kg鋼塊を実験室にて真空溶解し、1200℃で加熱した後、100mm厚みから4mmまで圧延した。
熱間圧延は900℃で終了し、3秒の空冷後、30℃/sで500℃まで冷却して、600℃の炉に1時間保定後、炉冷して巻取りをシミュレートした。熱延板を、酸洗後、水素100%、露点−55℃の雰囲気にて、700℃で24時間焼鈍し、炉冷した鋼板の圧延方向及びその直角方向から、直径3.5mmの丸棒引張試験片を作製して引張試験を行った。
引張試験後の試験片の断面収縮率から、極限変形能を算出し、圧延方向の極限変形能をφL、圧延方向に直角な方向の極限変形能をφcとして、比(φc/φL)と成分組成との関係を調査した。
極限変形能は下式で示される。
極限変形能φ=ln(A0/A)
ここでA0:引張試験前の試験片の断面積
A:引張試験後の破断部の断面積
図1に示すように、極限変形能の異方性(φc/φL)と(O+S+0.033Al)の間には、よい相関関係があり、(O+S+0.033Al)が0.008以下になると、圧延方向に直角な方向の断面収縮率が、圧延方向の断面収縮率に近づき、比率0.9以上となって、異方性が小さくなる。
この理由は、酸素を低減すると、非金属介在物の総量が減り、また、Alを過剰に添加しないことで、粗大なアルミナ系非金属介在物が低減し、さらに、SによるMnS等の影響が、O及びAlの影響と併せて抑制されたからであるといえる。この知見に従えば、異方性の小さい鋼板を製造することができる。
また、実機で製造した0.53%C−0.18%Si−0.31%Mn−0.022%P−0.0015%S−0.027%Al−0.0016%Oの成分組成を有するスラブを用いて、成分組成と製造条件の関係を調査した。その結果、極限変形能の異方性に対して、非金属介在物や熱延板焼鈍時の炭化物の存在状態が影響を及ぼすことが判明した。
特に、実機で製造したスラブでは、板厚中心部において、鋳造に起因する高C領域が生成したり、Mnの偏析によるパーライトの比率が表層部に比べて多くなり、そのため、焼鈍後の球状化セメンタイトが粗大化したり、MnS等の非金属介在物の存在比率が高くなり易い。
そこで、本発明者らは、極限変形能の異方性と、上記炭化物の大きさや、非金属介在物の存在状態との関係を詳細に調査した。その結果、圧延方向に平行な板厚断面内の板厚をtとした時、4/10t〜6/10tの断面において、(x)長さ100μm以上の非金属介在物の面積率が0.1%以下で、(y)1.3μm以上の炭化物の面積率が10%以上になると、極限変形能の異方性(φc/φL)が0.9を下回って異方性が大きくなることが判明した。
粗大な炭化物が多くなるほど、炭化物は、焼入前の加熱時にて溶体化し難くなり、高周波焼入れ等において、熱処理時間を短縮することは難しくなるので、粗大な炭化物の比率を低減することは有効な手法である。
図2に、極限変形能の異方性と、炭化物の大きさや、非金属介在物の存在状態との関係を示す。図2から、圧延方向に100μ以上に長く伸びたMnS等の非金属介在物を低減するとともに、粗大炭化物の面積率を一定値以下に保つことが重要であることが解る。
さらに、成分組成の影響について調査したところ、上記炭化物の径は、C量と相関し、上記炭化物の臨界径(B)は、次式で求めることができることが判明した。その結果、C量に応じて、影響を及ぼす炭化物の径を求めることができるようになった。
B値(μm)=1.5×C%+0.5
上記介在物及び炭化物の測定は、圧延方向に平行な板厚断面組織を観察して行う。非金属介在物については、研磨したままの状態を、光学顕微鏡を用いて100〜1000倍で観察し、その面積率を求めた。炭化物については、ナイタールエッチング液で軽くエッチングし、走査型電子顕微鏡(SEM)にて、板厚4/10t〜6/10tの領域を、1000〜3000倍で、10〜20枚撮影し、画像解析装置で面積率を求めた。
まず、本発明の熱延鋼板(以下「本発明鋼板」ということがある。)の成分組成に係る限定理由について説明する。なお、「%」は「質量%」を意味する。
C:0.2超〜0.70%
Cは、鋼板の強度を確保するために重要な元素であるが、本発明が対象とする自動車部材は、部品加工後に焼入れ焼戻しを行うことが必要であるので、焼入性及び焼入れ後の硬度の観点から、0.2超%必要である。必要とする硬度に応じ、C量を増加するが、0.70%を超えると、焼入れ時の割れや、部品組み立て時の溶接部での割れが顕著となるので、上限は0.70%とした。好ましくは0.2〜0.6%である。
Si:0.01〜0.8%
Siは、固溶強化元素であり、比較的安価に、鋼板の強度を上昇させることができる。また、Siは、スケール疵との関係から微量の添加が必要であるので、0.01%以上添加するが、0.8%を超えて添加しても、添加効果が飽和するだけであるので、Siは、0.01〜0.8%とした。好ましくは0.05〜0.6%である。
Mn:0.1〜2.0未満%
Mnは、固溶強化元素であり、また、焼入性向上元素であり、鋼板の熱処理条件等の関係で、熱延鋼板に所望の高張力を確保するために重要な元素である。Mnが0.1%未満では、必要な強度や焼入性を確保するために、他の元素の添加が必要となり、コスト高となり、一方、2.0%を超えて添加しても、強度や、焼入性が飽和するだけであるので、Mnは、0.1〜2.0%とした。好ましくは0.3〜1.5%である。
P:0.003〜0.030%
Pは、固溶強化元素であり、比較的安価に鋼板の強度を上昇させることができる元素であるが、焼入れ焼戻し後の靱性の観点から、過剰に添加することは好ましくないので、Pは、0.03%以下とした。精錬の観点で、Pを0.003%未満に低減することはコストの上昇を招くので、Pは、0.003〜0.030%とした。
S:0.0001〜0.008%
Sは、冷間で成形する鋼板においては、延性や靭性を低下させる原因となり、特に、異方性を大きくするMnS量を低減する観点からも、低減する必要があるので、0.008%以下とした。Sを、0.0001%未満に低減することは、精錬コストを大幅に上昇させるので、Sは、0.0001〜0.008%とした。好ましくは0.0001〜0.003%である。
Al:0.005〜0.07%
Alは、鋼の脱酸のために添加する元素であるが、0.005%未満では、脱酸効果が十分でなく、一方、0.07%を超えて含有させても、脱酸効果は飽和するだけでなく、湾曲型の連続鋳造時における鋳片曲げ矯正時、AlNの析出による割れを助長し、かつ、経済的に不利になるので、Alは、0.005〜0.07%とした。好ましくは0.01〜0.04%である。
N:0.0001〜0.02%
Nは、湾曲型の連続鋳造時における鋳片曲げ矯正時に、窒化物として析出すると、鋳片の割れの原因となるので、Nは、0.02%以下とした。Nを、0.0001%未満に低減することは、精錬コストの上昇を招くので、Nは、0.0001〜0.02%とした。
O:0.0001〜0.0030%
Oは、一部、酸化物として存在するので、冷間での加工性に影響し、延性や靭性を低下させる原因となる。O量が増大すると、介在物も大きくなり、介在物が凝集すると、著しく延性が低下する。Oは、極力、低減することが望ましいので、0.0030%とするが、不可避的に、0.0001%以上は存在するので、Oは、0.0001〜0.0030%とした。本発明では、下記式を満足することで加工性の低下を抑制することができる。
A値=O+S+0.033Al≦0.008
Nb:0.003〜0.1%
Nbは、鋼板の強度を高めるとともに、細粒化作用によって、鋼板の靱性を改善する元素であり、選択元素として添加する。Nbが0.003%未満では、添加効果が十分に現れず、一方、0.1%を超えると、添加効果は飽和し、経済的に不利となり、また、熱間圧延時の再結晶挙動が遅延するので、Nbは、0.003〜0.1%とした。
Ti:0.001〜0.05%
Tiは、N固定の観点から、必要に応じ添加する。Tiは、鋳片の脆化や材質の安定化に寄与するが、0.05%を超えると、添加効果は飽和し、一方、0.001%未満では、添加効果が得られないので、Tiは、0.001〜0.05%とした。
V:0.001〜0.05%
Vは、炭窒化物の析出により、熱延鋼板を強化するため、必要に応じ添加する。0.001%未満では、添加効果が小さく、一方、0.05%を超えると、添加効果は飽和するので、Vは、0.001〜0.05%とした。
Ta:0.01〜0.5%
Taは、Nb、Vと同様に、炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化防止や靭性改善等に有効な元素であり、必要に応じて添加する。0.01%未満では、添加効果が小さく、一方、0.5%を超えると、添加効果が飽和し、また、コスト増や過剰な炭化物形成による再結晶の遅延等が生じて、異方性が増大するので、Taは、0.01〜0.5%とする。
W:0.01〜0.5%
Wは、Nb、V、Taと同様に、炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化防止や靭性の改善等に有効な元素であり、必要に応じて添加する。0.01%未満では、添加効果が小さく、一方、0.5%を超えると、添加効果が飽和し、また、コスト増や、過剰な炭化物形成による再結晶の遅延等が生じて、異方性が増大するので、Wは、0.01〜0.5%とした。
Cr:0.1〜2.0%
Crは、鋼板の強化に有効であり、特に、Mnの代替元素として使うことが可能な元素であり、選択元素として添加する。0.1%未満では、添加効果がなく、一方、2.0%を超えると、添加効果が飽和するので、Crは、0.1〜2.0%とした。
Ni:0.01〜1.0%
Niは、鋼板の靭性や強化に有効な元素であり、選択元素として添加する。0.01%未満では、添加効果がなく、一方、1.0%を超えると、添加効果が飽和するので、Niは、0.01〜1.0%とした。
Cu:0.01〜1.0%
Cuは、Cr、Niと同様に、鋼板の強度確保に有効な元素であり、選択元素として添加する。0.01%未満では、添加効果がなく、一方、1.0%を超えると、添加効果が飽和するので、Cuは、0.01〜1.0%とした。
Mo:0.005〜0.5%
Moは、組織強化や靭性改善に効果的な元素であり、選択元素として添加する。0.005%未満では、添加効果は小さく、一方、0.5%を超えると、添加効果は飽和するので、Moは、0.001〜0.05%とした。
B:0.0005〜0.01%
Bは、微量の添加で、焼入性を向上させるので、高価な合金元素を低減して、コストを下げるのに有効な元素であり、必要に応じて添加する。0.0005%未満では、添加効果がなく、一方、0.01%を超えると、鋳造性が低下し鋳片の割れを助長するので、Bは、0.0005〜0.01%とした。
Mg:0.0005〜0.003%
Mgは、微量の添加で、酸化物、硫化物の形態制御に有効な元素であり、必要に応じて添加する。0.0005%未満では、添加効果は得られず、一方、0.003%を超えると、添加効果は飽和するので、Mgは、0.0005〜0.003%とした。
Ca:0.0005〜0.003%
Caは、Mgと同様に、微量の添加で、酸化物、硫化物の形態制御に有効な元素であり、必要に応じて添加する。0.0005%未満では、添加効果は得られず、一方、0.003%を超えると、添加効果は飽和するので、Caは、0.0005〜0.003%とした。
Y:0.001〜0.03%
Yは、Ca、Mgと同様に、酸化物、硫化物の形態制御に有効な元素であり、必要に応じて添加する。0.001%未満では、添加効果は得られず、一方、0.03%を超えると、添加効果は飽和し、鋳造性が劣化するので、Yは、0.001〜0.03%とした。
Zr:0.001〜0.03%
Zrは、Y、Ca、Mgと同様に、酸化物、硫化物の形態制御に有効な元素であり、必要に応じて添加する。0.001%未満では、添加効果は得られず、一方、0.03%を超えると、添加効果は飽和し、鋳造性が劣化するので、Zrは、0.001〜0.03%とした。
La:0.001〜0.03%
Laは、Zr、Y、Ca、Mgと同様に、酸化物、硫化物の形態制御に有効な元素であり、必要に応じて添加する。0.001%未満では、添加効果は得られず、一方、0.03%を超えると、添加効果は飽和し、鋳造性が劣化するので、Laは、0.001〜0.03%とした。
Ce:0.001〜0.03%
Ceは、La、Zr、Y、Ca、Mgと同様に、酸化物、硫化物の形態制御に有効な元素であり、必要に応じて添加する。0.001%未満では、添加効果は得られず、一方、0.03%を超えると、添加効果は飽和し、鋳造性が劣化するので、Ceは、0.001〜0.03%とした。
その他の元素については、特に規定しないが、Sn、Sb、Zn、Zr、As等の元素がスクラップから不可避的不純物として混入する場合がある。これらの元素が、不純物量程度の量で混入しても、本発明鋼の特性に著しい影響を与えない。
以下に、本発明鋼板を製造する方法(以下「本発明製造方法」ということがある。)について説明する。
本発明製造方法は、本発明の成分組成を満たす連続鋳造鋳片又は鋼塊を、直接、又は、冷却後に、加熱炉に装入し、(i)1150℃以上に加熱し、次いで、(ii-1)粗圧延を1000℃以上で終了し、仕上温度をAe3以上とする熱間圧延を行い、その後、(ii-2)1〜10秒の空冷時間をとり、10〜70℃/sの冷却速度で巻取温度まで冷却して400〜650℃で巻き取り、(ii-3)巻取り後、酸洗、焼鈍することを特徴とする。
熱間圧延に供する連続鋳造鋳片又は鋼塊は、1150℃以上1300℃以下で加熱する。加熱温度が1150℃未満(低温加熱)であると、熱間圧延時の圧延温度が低下し、粗圧延時の再結晶挙動や、連続熱間圧延後の空冷中での再結晶挙動が進行せず、鋼板組織中に展伸粒が残存して、異方性が増大する。
したがって、連続鋳造鋳片又は鋼塊の加熱温度は1150℃以上とするが、加熱温度が1300℃を超えると、結晶粒が粗大化し、異方性が増大するので、加熱温度は、1300℃以下が好ましい。好ましい加熱温度範囲は1150〜1270℃である。
なお、連続鋳造鋳片又は鋼塊を、直接、又は、再加熱して熱間圧延に供する場合、熱間圧延は、通常の熱間圧延でもよく、仕上圧延にてスラブを接合する連続熱間圧延でもよく、鋼板の特性に差は殆ど生じない。
本発明製造方法においては、圧延による異方性を低減するため、熱間圧延中の再結晶挙動を活用することが望ましい。通常のリバース圧延において、5パス以上行う粗圧延での再結晶挙動を促進するため、粗圧延の終了温度を1000℃以上とし、仕上圧延前の再結晶により、異方性の低減を行う。粗圧延の終了温度が1000℃未満であると、再結晶後の粒成長が不十分となり、仕上圧延開始時の長手方向の組織に不均一が生じ、異方性にばらつきが生じる。
粗圧延の終了温度は、再結晶の観点から、高いほど望ましいが、高すぎると、再結晶後の結晶粒成長が顕著となりすぎるので、逆に、粒径が粗大化する。粒径が粗大化しすぎると、仕上げ圧延時の展伸粒の発達等に悪影響を及ぼすので、1150℃以下で、粗圧延を終了することが必要である。粗圧延の終了温度は、1000〜1100℃が好ましい。
仕上圧延において、仕上圧延温度を、Ae3以上として、再結晶を促進する。Ar3を、圧延終了温度の目安とした場合、オーステナイト組織で圧延を終了しても、組織が過冷状態にあると、再結晶が十分に進行せず、異方性が助長される。それ故、本発明製造方法では、連続熱間圧延の終了温度をAe3以上とし、再結晶の進行状況との兼ね合いで1〜10秒の空冷時間をとり、次いで、冷却する。空冷時間が10秒を超えると、鋼板温度の低下が著しくなり、再結晶挙動が緩慢となり、異方性改善効果が飽和する。
空冷後、鋼板を、冷却速度10〜70℃/sで冷却し、450〜650℃で巻き取るが、冷却速度が10℃/s未満では、粗大なフェライトと粗大なパーライトが生成して、焼鈍後の炭化物が粗大になり、塑性変形能自体が低下して、極限変形能の異方性が大きくなるので、冷却速度は10℃/s以上とする。
冷却速度が70℃/s超であると、鋼板の幅方向において冷却むらが生じる。特に、熱延鋼板のエッジ近傍が過冷されて硬質化して、熱延鋼板の材質にばらつきが生じ、鋼板エッジのトリム作業が必要になり、歩留まりが低下するので、冷却速度は70℃/s以下とする。
熱延鋼板の冷却後の巻取りは、450〜650℃で行う。巻取温度が450℃未満であると、マルテンサイト変態が生じて、鋼板強度が上昇し、加工性が低下するとともに、巻戻し時のハンドリングが困難になる。
一方、巻取温度が650℃を超えると、フェライト変態時に排出されたCが、オーステナイト中に濃縮し、フェライトと炭化物が濃縮したパーライト組織が生成し、焼鈍後の炭化物の分布が不均一となり、塑性変形能にばらつきが生じるので、巻取温度は650℃以下にする。
また、巻き取った熱延鋼板は、その後、製品板厚や必要な軟質化レベルに応じて、酸洗が施され、次いで、焼鈍や、冷間圧延が施される。その際の条件について説明する。
熱延鋼板を巻き取った後、該鋼板に酸洗を施し、次いで、焼鈍を施して、パーライト組織を球状化し、軟質化させる。焼鈍は、600℃以上で8時間以上、行うことが必要である。この焼鈍により、炭化物の球状化を進めるとともに、フェライト粒の粒成長を促して、軟質化を行う。焼鈍温度が600℃未満、又は、焼鈍時間が8時間未満であると、炭化物の球状化やフェライト粒の成長が進まず、加工性を確保することができない。
焼鈍時間の上限は、鋼種により異なるので、特定の時間に限定できないが、焼鈍時間が長すぎると、軟質化は進むものの、炭化物が粗大になり、極限変形能が低下する。そのため、実用上、焼鈍温度が600℃以上の場合、焼鈍時間は200時間以下が好ましい。
焼鈍、Ac1以下の温度で行うのが好ましいが、設備的に高温加熱や冷却制御が可能であれば、短時間で、より軟質化を進めるため、Ac1以上の温度で高温焼鈍を施すことも可能である。なお、Ac1以上で行う高温焼鈍については後述する。
焼鈍雰囲気は、窒素を主体とする雰囲気でも可能であるが、水素を95%以上含む雰囲気が好ましいが、鋼材に要求される軟質化レベルと、焼入性を考慮して、雰囲気を選択することが可能である。
ただし、焼入性の観点からBを添加した成分組成の鋼板を、窒素を主体とする雰囲気中で焼鈍すると、吸窒により、鋼板表層部の焼入性が劣化する可能性があるので、B含有鋼板を焼鈍する場合は、水素を95%以上含む雰囲気、望ましくは100%水素を用いるのが好ましい。
水素を主体とする雰囲気で焼鈍する場合、昇温時、安全性の観点から、雰囲気を、一旦、窒素主体の雰囲気にし、その後、水素で置換して昇温するが、400℃までは、露点を−20℃以下とし、400℃以上及び保定時には、露点を−40℃以下にする。
このことは、鋼板の表層部の酸化による固溶Bの低減や、脱炭による表層部の成分組成の変動を防止する観点から重要である。焼入性向上のためBを添加した鋼材では、軟質化のため、660℃以上で焼鈍するが、雰囲気の露点は−40℃以下とする。
本発明製造方法は、以下に説明するように、種々の態様をとることができる。
冷間圧延は、製品板厚を確保するためや、焼鈍と組み合わせて軟質化を効率的に実施するために用いるが、圧下率が10%以上であると、炭化物の球状化が促進され、核生成を伴わない再結晶や、再結晶完了時の粒成長で結晶粒の粗大化が起こり易く、軟質化が促進される。
圧下率の上限は特に定めないが、圧下率が60%を超えると、冷間圧延による鋼板組織の均一性が、さらに向上するが、一方、焼鈍時の再結晶粒が微細になり、軟質化のために、長時間、焼鈍しなければならず、また、冷間圧延で生じた異方性が発達するので、圧下率は、60%以下が好ましい。ただし、圧下率は、製造コストと特性の均質化の観点から適宜決定する。
本発明製造方法においては、上記焼鈍の後、鋼板に、再度、圧下率10%以上の冷間圧延を施し、次いで、再度、焼鈍を施してもよい。
前述したように、本発明では、焼鈍設備が高温焼鈍やその後の冷却制御が可能であれば、水素を95%以上含む雰囲気中で、鋼板に焼鈍を施す場合、Ac1〜Ac1+50℃の温度で焼鈍し、焼鈍後、5℃/hr以下の冷却速度で、Ac1−30℃まで緩冷却する。
Ac1〜Ac1+50℃の温度で焼鈍する理由は、フェライト相とオーステナイト相を共存する温度範囲とし、フェライト相に炭化物を残存させるためである。上記温度範囲より温度を上げて、焼鈍温度がオーステナイト単相域に近くなると、冷却時のパーライト変態を防止できず、硬質化させてしまう可能性があるので、上記温度範囲で焼鈍する。
焼鈍後、5℃/hr以下の冷却速度で、Ac1−30℃まで緩冷却する理由は、上記焼鈍時に、フェライト相に存在する炭化物を起点として炭化物の球状化を促進、フェライト粒のオーステナイト相への成長を進展させ、軟質化を進めるためである。
冷却速度が5℃/hr以下より速いと、冷却時に、パーライト変態が生じて硬質化したり、フェライト相のオーステナイト相への粒成長が進まないで、軟質化しないからである。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例の条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
表1及び表2(表1の続き)に示す成分組成を有する50kg鋼塊を、実験室にて、真空溶解して溶製し、表3及び表4(表3の続き)に示す熱延条件で、板厚4mmの鋼板を製造した。得られた鋼板より、組織観察用のサンプルと、極限変形能測定用の丸棒引張試験片及び焼入れ用のサンプルを採取した。表5及び表6(表5の続き)に、サンプルに施した冷延条件及び焼鈍条件を示した。
Figure 2011168842
Figure 2011168842
Figure 2011168842
Figure 2011168842
Figure 2011168842
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組織観察は、圧延方向に平行な板厚方向断面を研磨した後、研磨したままの状態を光学顕微鏡で観察して行い、4/10t〜6/10t部に存在する長さ100μm以上の非金属介在物の面積率をポイントカウントで求めた。
また、同断面領域に存在する炭化物の状態を観察するため、該領域を、ナイタールで軽くエッチングし、光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡を用いて、上記中心部に存在する炭化物の面積率、及び、炭化物径を求め、B値との関係を調査した。
丸棒引張試験片は、直径3.5mmの試験片とし、引張試験を行って破断した後の破断部の面積を求め、先に示した極限変形能の式に従い、圧延方向の極限変形能をφL、圧延方向に直角な方向の極限変形をφcとして、その比φc/φLを求めた。上記の非金属介在物の面積率、B値以上の炭化物径を有する炭化物の上記4/10〜6/10t部内の炭化物に対する面積率、及び、極限変形能比を求めた。
焼入れ実験は、サンプルを高周波加熱にて、100℃/secの加熱速度で1000℃まで昇温し、2秒保定後、水冷した。サンプルを切断後、断面の組織観察を行って、焼入れ状態を観察した。表層部にパーライト等の不良組織が観察されるものを、表7及び表8(表7の続き)に、焼入れ特性不良として示した。
以上の結果をまとめて、表7及び表8(表7の続き)に示す。
Figure 2011168842
Figure 2011168842
表7及び表8に示すように、本発明の成分組成、及び、製造条件を満足するものは、極限変形比0.9以上の良好な値を示し、板鍛造プレス時の特定方向の割れ発生防止に有効な加工性の指標である塑性変形能において異方性が小さくなる結果が得られている。また焼入性も良好であり、異方性が小さく、焼入性も良好な結果となっている。
これに対し、成分組成が本発明の範囲を外れたり、成分組成が本発明の範囲内であっても、製造条件が本発明の範囲を満足しない鋼板は、極限変形能比が0.9以下となって、異方性を改善できないし、また、雰囲気が、本発明条件を外れる場合には、鋼板表層部の脱炭や脱ボロンにより焼入性が低下して、所望の鋼板特性が得られないことが解る。
前述したように、本発明によれば、自動車部品の材料として使用する高強度鋼板の異方性を改善し、加工性に優れた鋼板を製造することが可能となる。その結果、自動車部品の製造において、製造工程の簡略化、及び/又は、製造コストの低減が可能となる。したがって、本発明は、省エネルギーにも貢献するので、鉄鋼産業において利用可能性が大きいものである。

Claims (10)

  1. 質量%で、C:0.2超〜0.70%、Si:0.01〜0.8%、Mn:0.1〜2.0%未満、P:0.003〜0.030%、S:0.0001〜0.008%、Al:0.005〜0.07%、N:0.0001〜0.02%、O:0.0001〜0.0030%、及び、残部不可避的不純物からなり、かつ、下記(1)式で示すA値が0.008以下の鋼板であって、圧延方向に平行な板厚断面内の板厚をtとした時、
    (i)4/10t〜6/10tの断面で、長さ100μm以上の非金属介在物の面積率が0.1%以下であり、また、
    (ii)同断面領域で、炭化物径が下記(2)式で示す値を超える炭化物の面積率が、領域中の炭化物の10%以下である、
    ことを特徴とする異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板。
    A値=O+S+0.033Al ・・・(1)
    O、S、Al:各元素の含有量
    B値(μm)=1.5×C%+0.5 ・・・(2)
  2. 前記鋼板が、質量%で、Nb:0.003〜0.1%、Ti:0.001〜0.05%、V:0.001〜0.05%、Ta:0.01〜0.5%、W:0.01〜0.5%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板。
  3. 前記鋼板が、質量%で、Cr:0.1〜2.0%、Ni:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜1.0%、Mo:0.005〜0.5%、B:0.0005〜0.01%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板。
  4. 前記鋼板が、質量%で、Mg:0.0005〜0.003%、Ca:0.0005〜0.003%、Y:0.001〜0.03%、Zr:0.001〜0.03%、La:0.001〜0.03%、Ce:0.001〜0.03%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板を製造する製造方法において、
    (i)請求項1〜4のいずれか1項に記載の成分組成を有する連続鋳造鋳片又は鋼塊を1150℃以上1300℃以下で加熱し、次いで、
    (ii-1)粗圧延を1000℃以上1150℃以下で終了し、仕上圧延温度をAe3以上とする熱間圧延を行い、その後、
    (ii-2)1〜10秒の空冷時間をとり、10〜70℃/sの冷却速度で巻取温度まで冷却して450〜650℃で巻き取り、
    (ii-3)巻取り後、酸洗し、焼鈍する
    ことを特徴とする異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板の製造方法。
  6. 前記焼鈍を、600℃以上Ac1以下の温度で、8時間以上行うことを特徴とする請求項5に記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板の製造方法。
  7. 前記焼鈍を、Ac1〜Ac1+50℃の温度で行い、その後、5℃/時間以下の冷却速度で、Ac1−30℃の温度以下まで冷却することを特徴とする請求項5に記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板の製造方法。
  8. 前記焼鈍を、水素95%以上で、かつ、400℃までの露点が−20℃未満、400℃以上の露点が−40℃未満の雰囲気中で行うことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板の製造方法。
  9. 前記酸洗の後、焼鈍の前に、高炭素鋼板に、圧下率10%以上の冷間圧延を施すことを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板の製造方法。
  10. 前記圧下率10%以上の冷間圧延を施した高炭素鋼板を焼鈍した後、該高炭素鋼板に、再度、圧下率10%以上の冷間圧延を施し、次いで、請求項6〜8のいずれか1項に記載の焼鈍を施すことを特徴とする異方性が小さく焼入性に優れた高炭素鋼板の製造方法。
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