JP2011167129A - 歩行型草刈機 - Google Patents
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Abstract
【課題】原動部から伝動ケースに亘る領域の放熱を積極的に行い、これらの高温化を抑制し得る歩行型草刈機を合理的に構成する。
【解決手段】上部にエンジン4を備えた伝動ケース5が、ハウジングAの開口Hを上下に貫通して配置されている。ハウジングAの開口Hの外周には縦姿勢のガイド壁29を備え、伝動ケース5の下端に刈刃7を備え、この刈刃7と一体回転する複数の起風板67が備えられている。起風板67は、ハウジングAの上方の空気をガイド壁29と伝動ケース5との間隙を介して開口Hに導き、ハウジングAの内部に吸引してハウジングAの下端から外方に送り出す気流を作り出し、間隙に流れる気流によって伝動ケース5の冷却を行う。
【選択図】図3
【解決手段】上部にエンジン4を備えた伝動ケース5が、ハウジングAの開口Hを上下に貫通して配置されている。ハウジングAの開口Hの外周には縦姿勢のガイド壁29を備え、伝動ケース5の下端に刈刃7を備え、この刈刃7と一体回転する複数の起風板67が備えられている。起風板67は、ハウジングAの上方の空気をガイド壁29と伝動ケース5との間隙を介して開口Hに導き、ハウジングAの内部に吸引してハウジングAの下端から外方に送り出す気流を作り出し、間隙に流れる気流によって伝動ケース5の冷却を行う。
【選択図】図3
Description
本発明は、車輪と操縦ハンドルとを有したハウジングを備え、上部位置の原動部からの駆動力を下部位置において縦向きの駆動軸芯周りで回転する刈刃に伝える伝動ケースを備えている歩行型草刈機に関する。
上記のように構成された歩行型草刈機として特許文献1には、前輪と後輪とを備えた機体フレームを有し、上部位置のエンジンからの駆動力を伝動ケースの下端位置の刈刃に伝えることで、この刈刃を縦向きの軸芯周りで駆動回転する構成が記載されている。
この特許文献1の歩行型草刈機では、伝動軸の下端のボス部に回転円板が連結され、この回転円板の外周位置に複数の刈刃が支持され、回転円板の上面位置に縦姿勢の拡散羽根を備えている。この構成からエンジンの駆動力で回転円板を回転させ、この回転に伴い刈刃によって草を刈り取り、刈り取られた草は拡散羽根で拡散することが可能となる。
歩行型草刈機では、原動部として小型のエンジンを備えるものが多く、このエンジンは空冷型に構成されるものの、ボリュームの大きい草を刈り取る作業を長時間に亘って継続した場合には、充分な冷却効果を得られないこともあった。このように充分な冷却効果を得られない場合には、このエンジンの熱が伝動ケースに伝わり、伝動ケース内の潤滑油の油温を上昇させ、高温により潤滑油の劣化を早めることや、オイルシールを劣化させることもあった。
このような不都合を解消するために、エンジンの外面に形成される放熱用のフィンの放熱面積の拡大を図ることや、伝動ケースの外面に放熱用のフィンを設けることも考えられる。しかしながら、大型のフィンを備えた場合には歩行型草刈機の全体の大型化や重量化に繋がるものとなり、実現し難いものであった。
本発明の目的は、原動部から伝動ケースに亘る領域の放熱を積極的に行い、これらの高温化を抑制し得る歩行型草刈機を合理的に構成する点にある。
本発明の特徴は、車輪と操縦ハンドルとを有したハウジングを備え、前記ハウジングの上部位置の原動部からの駆動力を前記ハウジングの下部位置において縦向きの駆動軸芯周りで回転する刈刃に伝える伝動ケースを備えている歩行型草刈機であって、
前記ハウジングの上面に前記伝動ケースが上下に貫通して配置される開口が形成され、前記ハウジングの上面で前記開口の外周から立ち上がる姿勢のガイド壁を設け、前記伝動ケースの下端位置に前記駆動軸芯周りでの回転により前記刈刃を駆動する駆動軸と、この駆動軸と一体回転する起風体とを備え、
前記起風体は、ハウジング内の空気を前記ハウジングの下端から外部に送り出すとともに、前記ハウジングの上方の外気を前記ガイド壁と前記伝動ケースとの間隙を介して前記開口に導き、ハウジング内に吸引する気流を作り出す構造を有している点にある。
前記ハウジングの上面に前記伝動ケースが上下に貫通して配置される開口が形成され、前記ハウジングの上面で前記開口の外周から立ち上がる姿勢のガイド壁を設け、前記伝動ケースの下端位置に前記駆動軸芯周りでの回転により前記刈刃を駆動する駆動軸と、この駆動軸と一体回転する起風体とを備え、
前記起風体は、ハウジング内の空気を前記ハウジングの下端から外部に送り出すとともに、前記ハウジングの上方の外気を前記ガイド壁と前記伝動ケースとの間隙を介して前記開口に導き、ハウジング内に吸引する気流を作り出す構造を有している点にある。
この構成によると、作業時には刈刃の回転に伴い、起風体がハウジング内の空気をハウジングの下端から外方に送り出すとともに、外気をガイド壁と伝動ケースとの間隙から開口を介してハウジング内に吸引する。また、ガイド壁と伝動ケースとの間隙を外気が通過する際には、その外気は伝動ケースの近傍を通過することになり、この外気の一部が伝動ケースの表面に接触して、伝動ケースの熱を奪い冷却が実現する。つまり、ガイド壁によと伝動ケースとの間の間隙に外気を導く経路を形成することにより、刈刃で切断された草を起風板で作り出した気流によりハウジング外に送り出すと同時に、外気で伝動ケースを冷却し、かつ、原動部の冷却も可能にする。
従って、原動部から伝動ケースに亘る領域の放熱を積極的に行い、これらの高温化を抑制し得る歩行型草刈機が合理的に構成された。
従って、原動部から伝動ケースに亘る領域の放熱を積極的に行い、これらの高温化を抑制し得る歩行型草刈機が合理的に構成された。
本発明は、前記駆動軸の下端位置に、前記駆動軸芯と直交する姿勢のディスクを備え、このディスクの外周位置に外方に突出する姿勢で前記刈刃を備えると共に、このディスクの上面に縦姿勢で前記起風体が備えられても良い。
これによると、ディスクの外周に備えた刈刃によって草の刈り取りが可能になり、ディスクの上面に備えた起風体によって作り出した気流をディスクの上面にそって外周方向に送り出すことも可能となり、刈り取った草を効率的にハウジング外に送り出せる。
本発明は、前記ハウジングのうち前記開口が形成された部位に左右向き水平姿勢の揺動軸芯が設定され、この揺動軸芯周りで揺動自在に前記伝動ケースが前記ハウジングに支持され、この伝動ケースの揺動量の設定により前記刈刃の先端位置と地面との相対距離の変更を行う刈高さ調節機構が構成されても良い。
これによると、ハウジングの開口が空気の流通を許すように構成されているので、伝動ケースの揺動量の設定により刈刃の先端位置と地面との相対距離の変更を行って刈高さの調節を行うために伝動ケースが揺動軸芯周りで揺動する際にも、ハウジングの開口において伝動ケースの揺動を可能にする空間の確保が容易となり、刈高さ調節の調節量も大きくできる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1〜図5に示すように、走行機体を構成するハウジングAの前端位置に前車輪1を備え、後端位置に後車輪2を備えると共に、ハウジングAの側部位置のハンドル支持部Bに操縦ハンドル3の基端部を支持し、原動部としてのエンジン4を上部に備えた伝動ケース5をハウジングAに対して上下に貫通する状態で備え、伝動ケース5の下端の駆動軸6からの駆動力により縦向きの駆動軸芯Y周りで回転する複数の刈刃7を有する刈取機構Cをハウジング内に備え、また、伝動ケース5からの駆動力を前車輪1及び後車輪2に伝える走行伝動機構Dを備えて歩行型草刈機が構成されている。
〔基本構成〕
図1〜図5に示すように、走行機体を構成するハウジングAの前端位置に前車輪1を備え、後端位置に後車輪2を備えると共に、ハウジングAの側部位置のハンドル支持部Bに操縦ハンドル3の基端部を支持し、原動部としてのエンジン4を上部に備えた伝動ケース5をハウジングAに対して上下に貫通する状態で備え、伝動ケース5の下端の駆動軸6からの駆動力により縦向きの駆動軸芯Y周りで回転する複数の刈刃7を有する刈取機構Cをハウジング内に備え、また、伝動ケース5からの駆動力を前車輪1及び後車輪2に伝える走行伝動機構Dを備えて歩行型草刈機が構成されている。
図1〜図5及び図7に示すように、ハウジングAは、上側に滑らかに突出するように湾曲する上壁を有する天板20Aと、天板20Aの両側部において縦壁状の側板20Bと、天板20Aの前後端部において縦壁状となる端部板20Cを一体的に形成した構造のフレーム20を有している。このフレーム20の天板20Aの中央位置には開口Hが穿設され、ハウジングAの上面で開口Hの外周から立ち上がる姿勢のガイド壁29が設けられている。
この開口Hを上下方向に挿通する位置関係で、かつ、左右向き水平姿勢の揺動軸芯X周りで揺動自在に伝動ケース5がハウジングAに支持され、これによりガイド壁29と伝動ケース5の外面との間に間隙Haが形成されている。前述した操縦ハンドル3のハンドル支持部BはハウジングAの一方の側板20Bから外方に突出する形態で形成されている。特に、伝動ケース5は、駆動軸芯Yが地面に対して垂直となる中立姿勢を基準にして、駆動軸芯Yの上端が走行機体の前側の方向と、後側の方向とに等しく揺動できるように揺動領域が設定されている。
原動部としてのエンジン4は、リコイル式のスタータ4Aと、燃料タンク4Bとを備えている。図6に示すように、伝動ケース5の上部位置には、主クラッチMCを備え、この主クラッチMCからの駆動力を駆動力下端の駆動軸6に伝える刈取用の伝動系に刈取クラッチCCを介装している。また、主クラッチMCからの駆動力を前車輪1及び後車輪2に伝える走行用の伝動系には、駆動速度(単位時間あたりの回転数)を高低2段に切り換える速度切換機構SMと、この速度切換機構SMからの駆動力を前進のための正転駆動力、又は、後進のための逆転駆動力に変換して出力軸8に伝える前後進切換機構FRMとを備えている。
刈取クラッチCCは、エンジン4からの駆動力が伝えられる駆動回転体101に対し、駆動軸6にスプライン嵌合するクラッチ部材102を駆動軸芯Yに沿ってシフトすることにより伝動状態と動力遮断状態とを現出するドッグクラッチ式に構成されている。
速度切換機構SMは、エンジン4からの駆動力がウオームギヤ機構Wによって減速されて伝えられる減速軸103と動力取出軸104とが平行姿勢で配置されると共に、減速軸103に遊転支承した減速側の第1ギヤ105と、これに噛合することで動力取出軸104に動力を伝える第2ギヤ106と、減速軸103に遊転支承した増速側の第3ギヤ107と、これに噛合することで動力取出軸104に動力を伝える第4ギヤ108とを備え、更に、減速軸103にスプライン嵌合し、シフト作動により第1ギヤ105又は第3ギヤ107の何れかに噛合するシフト部材109を備えている。
前後進切換機構FRMは、動力取出軸104と一体回転するベベルギヤ110と、このベベルギヤ110に噛合するように出力軸8に遊転支承した一対の切換ギヤ111と、出力軸8にスプライン嵌合し、シフト作動により一対の切換ギヤ111の何れかに噛合する切換部材112とを備えている。
前述した出力軸8が、揺動軸芯Xと同軸芯上で、かつ、前述したハンドル支持部Bと反対側に突出する形態で配置されている。走行伝動機構Dとして、出力軸8からの駆動力が伝えられる主チェーンケース10と、この主チェーンケース10の前端側からの駆動力を前車輪1に伝える前部チェーンケース11と、主チェーンケース10の後端部からの駆動力を後車輪2に伝える後部チェーンケース12とを備えている。
操縦ハンドル3は、その基端部がハンドル支持部Bに対し縦向き姿勢の切換軸芯Pを中心として回動自在に支持されると共に、横向きの横軸芯Qを中心として姿勢変更自在に支持され、延出端にループ状のグリップ3Gが備えられている。また、基端部には、切換軸芯Pを中心とした回動姿勢を保持する第1ロック機構L1と、横軸芯Qを中心とした揺動姿勢を保持する第2ロック機構L2とを備えている。
操縦ハンドル3の延出端のグリップ3Gの近傍には主クラッチレバー13と、前述した前後進切換機構FRMを変速操作する前後進切換レバー14と、第1ロック機構L1の解除操作を行う第1ロック解除レバー15と、第2ロック機構L2の解除操作を行う第2ロック解除レバー16とを備えている。尚、エンジン4の回転速度を設定するスロットル操作具と、速度切換機構SMを操作する変速操作具と、刈取クラッチCCを操作するクラッチ操作具は図面に示していない。
主クラッチレバー13は、横向き姿勢の軸芯周りで揺動自在に支持されると共に、切り方向にバネ付勢されている。このような構成から、作業者が主クラッチレバー13をバネの付勢力に抗して握る操作を行うことにより主クラッチMCが入り状態に達し、刈刃7と前車輪1及び後車輪2に駆動力が伝えられる。また、作業者が主クラッチレバー13から手を離す等の動作により主クラッチMCがバネの付勢力で切り位置に達し、刈刃7と走行とに対する動力の伝達が遮断され作業が停止する。
また、前後進切換レバー14は、縦向き姿勢の軸芯周りでの操作で前進位置Fと中立位置Nと後進位置Rとに切換自在に構成され、作業者の操作により走行方向の切り換えを可能にする。第1ロック解除レバー15と第2ロック解除レバー16とは、ロック状態を維持する方向にバネ付勢され、作業者の握り操作によりロック解除を行い操縦ハンドル3の姿勢の調節が可能となる。
〔刈取作業の概要〕
このような構成から歩行型草刈機で草を刈り取る作業を行う際には、切換軸芯Pを中心として回動量と、横軸芯Qを中心とした揺動量との設定により操縦ハンドル3の延出方向と延出端の高さとを作業に適した位置に設定できる。そして、エンジン4を始動し、走行速度と走行方向を設定して主クラッチMCと刈取クラッチCCとを入り操作して走行を開始することで、エンジン4からの駆動力が前車輪1と後車輪2とに伝えられると同時に、刈刃7に伝えられる。これにより走行に伴い刈取機構Cの刈刃7によって草の刈り取りが行われる。また、このような刈り取り時には出力軸8の回転に伴う反作用(後述する)により、図3又は図4に示すように揺動軸芯Xを中心として伝動ケース5が揺動し、この傾斜量が刈高さ調節機構Eによって規制された値に達する。つまり、刈刃7の先端の軌跡と地面との相対距離が刈高さ調節機構Eによって設定され、刈高さの調節が可能となる。このような形態での刈取を実現するため歩行型草刈機の構成の詳細を以下に説明する。
このような構成から歩行型草刈機で草を刈り取る作業を行う際には、切換軸芯Pを中心として回動量と、横軸芯Qを中心とした揺動量との設定により操縦ハンドル3の延出方向と延出端の高さとを作業に適した位置に設定できる。そして、エンジン4を始動し、走行速度と走行方向を設定して主クラッチMCと刈取クラッチCCとを入り操作して走行を開始することで、エンジン4からの駆動力が前車輪1と後車輪2とに伝えられると同時に、刈刃7に伝えられる。これにより走行に伴い刈取機構Cの刈刃7によって草の刈り取りが行われる。また、このような刈り取り時には出力軸8の回転に伴う反作用(後述する)により、図3又は図4に示すように揺動軸芯Xを中心として伝動ケース5が揺動し、この傾斜量が刈高さ調節機構Eによって規制された値に達する。つまり、刈刃7の先端の軌跡と地面との相対距離が刈高さ調節機構Eによって設定され、刈高さの調節が可能となる。このような形態での刈取を実現するため歩行型草刈機の構成の詳細を以下に説明する。
〔車輪〕
ハウジングAを構成するフレーム20の左右の側板20Bの前端位置にブラケット21Aを介して丸パイプ状の前車軸フレーム21を連結し、この前車軸フレーム21に対して前車輪1に連結する前車軸1Aがボールベアリング等の軸受により回転自在に支持されている。これと同様に左右の側板20Bの後端位置にブラケット22Aを介して丸パイプ状の後車軸フレーム22を連結し、この後車軸フレーム22に対して後車輪2に連結する後車軸2Aがボールベアリング等の軸受により回転自在に支持されている。
ハウジングAを構成するフレーム20の左右の側板20Bの前端位置にブラケット21Aを介して丸パイプ状の前車軸フレーム21を連結し、この前車軸フレーム21に対して前車輪1に連結する前車軸1Aがボールベアリング等の軸受により回転自在に支持されている。これと同様に左右の側板20Bの後端位置にブラケット22Aを介して丸パイプ状の後車軸フレーム22を連結し、この後車軸フレーム22に対して後車輪2に連結する後車軸2Aがボールベアリング等の軸受により回転自在に支持されている。
図14及び図15に示すように、前車輪1と後車輪2とも、前車軸1A又は後車軸2Aに外嵌する筒状のボス軸23に対して、車輪状のホイル体24を溶接等により固設し、このホイル体24の外周部分に金属板の複数のラグ板25をスポット溶接等により備え、ボス軸23と車軸(前車軸1A又は後車軸2A)とに亘って固定ピン26を挿通することで、車軸(前車軸1A又は後車軸2A)と車輪(前車輪1又は後車輪2)とを一体回転させる。尚、ホイル体24は金属板のプレス加工によりホイル状に成形された一対のディスク状部材の外周のフランジ部分をスポット溶接等により連結することで、一対のディスク状部材の中間に空間を形成した構造を有している。
特に、前車軸1Aと後車軸2Aとのうちボス軸23が外嵌する部位の外端部を小径化してグリス空間Gを形成してグリスを充填しており、このグリス空間Gを挟む位置にOリング27を備えている。このような構造から長期に亘る使用によって外部に錆が発生する状況であっても、一対のOリング27と、これに挟まれる位置のグリス空間Gの部位とが前車軸1Aと後車軸2Aとのボス軸23との間への錆の侵入を阻止することになり、錆による固着を阻止して、ボス軸23と一体的に前車軸1A又は後車軸2Aを取り外せるように構成している。
また、前車輪1又は後車輪2の外周の上方を覆うフェンダー28を、ハウジングAに備えても良い。このようにフェンダー28を備えることで、前車輪1又は後車輪2の部位からの塵埃の発生を抑制し、前車輪1又は後車輪2に対する草の巻き付きを抑制できる。
〔ハウジング〕
ハウジングAは、図3、図5、図7に示すように、フレーム20の内部の中央位置において開口Hより下方側で両側の側板20Bに貫通する状態で夫々の側板20Bに連結する丸パイプ状の一対の横フレーム30が横長姿勢で平行姿勢で備えられている。一対の横フレーム30のうちハンドル支持部Bに近い側で開口Hに露出する部位に対して上方に突出する形状の第1ブラケット31を連結し、フレーム20の天板20Aの上面のうち主チェーンケース10に近い側に対して上方に突出する形状の第2ブラケット32を連結している。また、第1ブラケット31の筒状軸受31Aの軸芯と、第2ブラケット32に支持されるボールベアリング32Aの軸芯とを前記揺動軸芯Xと一致させている。
ハウジングAは、図3、図5、図7に示すように、フレーム20の内部の中央位置において開口Hより下方側で両側の側板20Bに貫通する状態で夫々の側板20Bに連結する丸パイプ状の一対の横フレーム30が横長姿勢で平行姿勢で備えられている。一対の横フレーム30のうちハンドル支持部Bに近い側で開口Hに露出する部位に対して上方に突出する形状の第1ブラケット31を連結し、フレーム20の天板20Aの上面のうち主チェーンケース10に近い側に対して上方に突出する形状の第2ブラケット32を連結している。また、第1ブラケット31の筒状軸受31Aの軸芯と、第2ブラケット32に支持されるボールベアリング32Aの軸芯とを前記揺動軸芯Xと一致させている。
そして、第1ブラケット31の筒状軸受31Aに対して伝動ケース5に備えた軸体33を回転自在に挿通し、第2ブラケット32のボールベアリング32Aに対して伝動ケース5の出力軸8を回転自在に支持している。これにより、ハウジングAに対して伝動ケース5が揺動軸芯Xを中心として揺動自在に支持される。
ハウジングAは、鋼板をプレス加工することで天板20Aと、この天板20Aの左右端部を下方に折り曲げて形成した側板20Bと、この天板20Aの前後端部を下方に折り曲げて形成して端部板20Cを一体的に形成した構造のフレーム20として構成されている。このため、フレーム自体が高い強度を有する。そして、このフレーム20の中央部を横方向に貫通する一対の横フレーム30を連結し、更に、このフレーム20の前後両端に前車軸フレーム21、後車軸フレーム22を固設しているので、ハウジングAの強度を一層高め、外力が作用した際にも変形や歪みを招かない構造を現出している。
特に、次に説明するように、一対の横フレーム30の端部を側板20Bより外方に突出し、この突出部位にハンドル支持部Bを形成することにより、ハウジングAに対して特別にフレーム類を付加しない構造でありながら、強固なハンドル支持部Bを作り出している。尚、この歩行型草刈機では、ハウジングをFRP等の樹脂によって構成しても良く、横フレーム30を3つ以上備えても良く、横フレーム30として丸パイプ材以外に、例えば、角パイプ材やアングル材を採用しても良い。
〔ハウジング:ハンドル支持部〕
横フレーム30のうち走行伝動機構Dと反対側(出力軸8と反対側)の端部を側板20Bより突出させ、この突出部位にハンドル支持部Bが形成されている。このハンドル支持部Bは、切換軸芯Pと同軸芯で配置される縦向き姿勢の筒状体35と、この筒状体35の上端部に備えた水平姿勢の支持プレート36と、筒状体35に対して回転自在に挿入された回転軸37と、支持プレート36の上面に摺接して移動可能となるように回転軸37に連結固定された回転プレート38と、回転軸37の上端において横軸芯Qを中心として揺動自在に支持され操縦ハンドル3に連結する揺動フレーム39と、横軸芯Qを中心とする円弧面を有し回転プレート38に支持されたロックフレーム40とを備えている。
横フレーム30のうち走行伝動機構Dと反対側(出力軸8と反対側)の端部を側板20Bより突出させ、この突出部位にハンドル支持部Bが形成されている。このハンドル支持部Bは、切換軸芯Pと同軸芯で配置される縦向き姿勢の筒状体35と、この筒状体35の上端部に備えた水平姿勢の支持プレート36と、筒状体35に対して回転自在に挿入された回転軸37と、支持プレート36の上面に摺接して移動可能となるように回転軸37に連結固定された回転プレート38と、回転軸37の上端において横軸芯Qを中心として揺動自在に支持され操縦ハンドル3に連結する揺動フレーム39と、横軸芯Qを中心とする円弧面を有し回転プレート38に支持されたロックフレーム40とを備えている。
前述した第1ロック機構L1は、支持プレート36に対して切換軸芯Pを中心とする円弧状の領域上に穿設された多数の係合孔36Aと、これらの係合孔36Aに係入する方向にバネ付勢され回転プレート38に支持された第1ロックピン41と、前述した第1ロック解除レバー15の操作力で第1ロックピン41を係合孔36Aから引き出す方向に操作する第1操作ワイヤW1とを備えている。この構成から第1ロック解除レバー15を作業者が握り操作することにより、切換軸芯Pを中心とした操縦ハンドル3の回動姿勢を任意に設定することが可能となり、握り操作を解除することで、第1ロックピン41が係合孔36Aに係入し、切換軸芯Pを中心とした操縦ハンドル3の姿勢が維持される。
前述した第2ロック機構L2は、ロックフレーム40に穿設された多数の係合孔40Aと、これらの係合孔40Aに係入する方向にバネ付勢され揺動フレーム39に支持された第2ロックピン42と、前述した第2ロック解除レバー16の操作力で第2ロックピン42に対して係合孔40Aから引き出す方向に作用させる第2操作ワイヤW2とを備えている。この構成から第2ロック解除レバー16を作業者が握り操作することにより、横軸芯Qを中心とした操縦ハンドル3の揺動姿勢を任意に設定することが可能となり、握り操作を解除することで、第2ロックピン42が係合孔40Aに係入し、横軸芯Qを中心とした操縦ハンドル3の姿勢が維持される。
特に、ハウジングAの一方側(右側)に主チェーンケース10と前部チェーンケース11と後部チェーンケース12とで成る走行伝動機構Dが配置され、ハウジングAの他方側(左側)に操縦ハンドル3が配置されることから、重量物を左右に対称的に配置することになり、走行機体の左右方向での重量バランスを良好にしている。
〔ハウジング:下部構造等〕
ハウジングAの下部位置で伝動ケース5の直下位置で一対の横フレーム30の下面に対して左右一対の補助フレーム43を備え、この一対の補助フレーム43の下面には下側に開放する椀状の巻き付き防止体44を備え、この巻き付き防止体44の中央位置の中央開口44Aに伝動ケース5の下端部を挿通させている。また、刈刃7の先端回転軌跡の外方に位置を設定して防塵カバー45を左右の側板20Bに備え、ハウジングAの前端と後端とには保護ロッド46を備えている。
ハウジングAの下部位置で伝動ケース5の直下位置で一対の横フレーム30の下面に対して左右一対の補助フレーム43を備え、この一対の補助フレーム43の下面には下側に開放する椀状の巻き付き防止体44を備え、この巻き付き防止体44の中央位置の中央開口44Aに伝動ケース5の下端部を挿通させている。また、刈刃7の先端回転軌跡の外方に位置を設定して防塵カバー45を左右の側板20Bに備え、ハウジングAの前端と後端とには保護ロッド46を備えている。
この歩行型草刈機では、操縦ハンドル3がハウジングAの一方の側部に配置されていることから、この側部の近傍に作業者が位置することも多く、前述した左右の防塵カバー45のうち、操縦ハンドル3が配置された側(左側)のものの下端位置と地面との距離を他方側(右側)のものより短くすることで、作業者に対する塵埃の飛散を抑制できるように構成しても良い。
〔走行伝動機構〕
前述したように走行伝動機構Dは、主チェーンケース10と前部チェーンケース11と後部チェーンケース12とに内蔵されたチェーン式の伝動機構(後述する主駆動チェーン59と、伝動チェーン63とで構成されている)を備えている。図6、図16、図19に示すように、主チェーンケース10の内部には、出力軸8と一体回転する出力スプロケット50と、前端側の前部入力軸51と一体回転する前部入力スプロケット52と、後端側の後部入力軸53と一体回転する後部入力スプロケット54とを備え、これらに亘って無端チェーンとしての主駆動チェーン59が巻回されている。
前述したように走行伝動機構Dは、主チェーンケース10と前部チェーンケース11と後部チェーンケース12とに内蔵されたチェーン式の伝動機構(後述する主駆動チェーン59と、伝動チェーン63とで構成されている)を備えている。図6、図16、図19に示すように、主チェーンケース10の内部には、出力軸8と一体回転する出力スプロケット50と、前端側の前部入力軸51と一体回転する前部入力スプロケット52と、後端側の後部入力軸53と一体回転する後部入力スプロケット54とを備え、これらに亘って無端チェーンとしての主駆動チェーン59が巻回されている。
この走行伝動機構Dでは、主チェーンケース10はアルミニウム合金の成形物をボルト等で連結することで主駆動チェーン59が収容される密封空間を形成しており、この密封空間にオイルやグリス等の潤滑油が封入されている。また、前部チェーンケース11と後部チェーンケース12とは金属板のプレス成形物の外周を溶接固定することで伝動チェーン63が収容される密封空間を形成しており、この密封空間にオイルやグリスが封入されている。更に、この前部チェーンケース11と後部チェーンケース12とは共通した構造のものを用いることにより、部品点数の低減を実現している。
出力軸8にボス部55Aが遊転支承される前部テンションアーム55と、出力軸8にボス部57Aが遊転支承される後部テンションアーム57とが、出力スプロケット50を揺動軸芯X(出力軸8の出力軸芯と一致する)に沿う方向で出力スプロケット50を挟む位置に配置されている。出力スプロケット50と前部入力スプロケット52とに亘る領域の主駆動チェーン59に張力を作用させる前部テンション部材としての前部テンションスプロケット56が前部テンションアーム55の延出端に遊転支承されている。また、出力スプロケット50と後部入力スプロケット54とに亘る領域の主駆動チェーン59に張力を作用させる後部テンション部材としての後部テンションスプロケット58が後部テンションアーム57の延出端に遊転支承されている。
前部テンションアーム55と後部テンションアーム57との延出端同士を引き寄せる方向に付勢力を作用させる付勢手段としてスプリング60が備えられている。このスプリング60を備えることにより、前部テンションスプロケット56と後部テンションスプロケット58とは揺動軸芯Xを中心にした揺動により夫々が近接する方向に付勢力が作用する。尚、前部テンションアーム55と後部テンションアーム57とは同形状のものを用いることで兼用化が図れ、コストの低減を実現している。この走行伝動機構Dでは前部テンションスプロケット56、後部テンションスプロケット58に代えて、テンションローラを用いても良い。
前部チェーンケース11の一方の端部に前述した前部入力軸51が貫通し、他方の端部に前車軸1Aが貫通している。この前部チェーンケース11の内部には前部入力軸51と一体回転する第1スプロケット61を備え、前車軸1Aと一体回転する第2スプロケット62を備え、これらに巻回する伝動チェーン63を備えている。後部チェーンケース12の一方の端部に後部入力軸53が貫通し、他方の端部に後車軸2Aが貫通しており、この後部チェーンケース12の内部には後部入力軸53と一体回転する第1スプロケット61を備え、後車軸2Aと一体回転する第2スプロケット62を備え、これらに巻回する伝動チェーン63を備えている。また、前車軸1Aと後車軸2Aとは、長さ方向の中央部位の一部が切削されることにより軽量化が図られている。
このような構成から、走行機体の前進時にも後進時にも出力軸8からの駆動力が主チェーンケース10の伝動系に伝えられ、更に、前部チェーンケース11から前車輪1に伝えられると共に、後部チェーンケース12から後車輪2に伝えられる。更に、主チェーンケース10において図19に示す如く主駆動チェーン59と、前部入力スプロケット52と、後部入力スプロケット54との位置関係が設定されているものでは、走行が停止している際には、同図(b)に示すように、前部テンションスプロケット56と後部テンションスプロケット58とが等しい量だけ揺動して主駆動チェーン59に張力を作用させる。
そして、走行機体の前進走行時には、出力スプロケット50を基準にして前部テンションスプロケット56と後部テンションスプロケット58との間のうち張力が上昇する領域のテンションスプロケット(同図(a)では後部テンションスプロケット58)が主駆動チェーン59の直線的な経路と接する位置まで移動すると同時に、張力が低下する領域のテンションスプロケット(同図では前部テンションスプロケット56)が主駆動チェーン59の弛みを取る位置まで移動する。
これとは逆に後進時には、主駆動チェーン59のうち、出力スプロケット50を基準にして逆方向の領域の張力が上昇するため、同図(c)に示すように前部テンションスプロケット56と後部テンションスプロケット58の姿勢が変化し、主駆動チェーン59の弛みを取ることになる。これにより走行機体の前進と後進とを頻繁に行っても、前部テンションスプロケット56と後部テンションスプロケット58とが主駆動チェーン59から外れることなく、この主駆動チェーン59の張力が低下する領域の弛みを取り除くことが可能となり、この主駆動チェーン59の出力スプロケット50に巻回する長さを低下させず良好な伝動を実現する。尚、走行機体の走行が停止している状態では、同図(b)に示す如く、前部テンションスプロケット56と後部テンションスプロケット58との揺動量は等しくなる。
〔刈取機構〕
刈取機構Cは、図3〜図5、図20に示すように、伝動ケース5の下端に突出する駆動軸6の下端のフランジ部6Aの下端に対して駆動軸芯Yと直交する姿勢で連結されたディスク65と、このディスク65の外周位置に縦向き姿勢のピン66を介して揺動自在に連結された刈刃7と、ディスク65の上面に備えた複数の起風板67と、前述した巻き付き防止体44とを備えている。
刈取機構Cは、図3〜図5、図20に示すように、伝動ケース5の下端に突出する駆動軸6の下端のフランジ部6Aの下端に対して駆動軸芯Yと直交する姿勢で連結されたディスク65と、このディスク65の外周位置に縦向き姿勢のピン66を介して揺動自在に連結された刈刃7と、ディスク65の上面に備えた複数の起風板67と、前述した巻き付き防止体44とを備えている。
ディスク65は、全体が円盤状で中央部が上方に膨出する連結部が形成されると共に、周囲を僅かに上方に折り曲げた構造を有している。連結部に駆動軸6のフランジ部6Aがボルト連結し、このディスク65の外周位置に対し周方向で等間隔(駆動軸芯Yを中心として90度の角度)で4つのピン66が上下に貫通して支持されている。
刈刃7は、短冊状の金属板で構成され、連結部を挟んで対向する1組の刈刃7の基端をディスク65の下面側に揺動自在に支持し、連結部を挟んで対向する他方の1組の刈刃7の基端をピン66の上端側に揺動自在に支持している。また、下面側の刈刃7は先端側を下方に向けて僅かに折曲げ、上端側の刈刃7は先端側を上方に向けて僅かに折曲げている。これにより、ディスク65の周方向で4つの刈刃7がディスク65の下面側の低レベルと、ピン66の上端側の高レベルとに交互に配置されることになる。
起風板67の上端縁を切り欠いた凹部67Aを形成することで、この凹部67Aに対して前述した巻き付き防止体44の下端縁が入り込む空間が確保されている。この起風板67は、ハウジングAの上方の外気(空気)をガイド壁29と伝動ケース5との間の間隙Haを介して開口Hに導き、ハウジングAの内部に吸引し、このように吸引した空気をディスク65の上面に沿って円周方向に送り、ハウジングAの下端からハウジングAの外方に送り出す気流を作り出す機能を有している。このように作り出された気流が間隙Haに導かれる際にエンジン4の外面を通過し、間隙Haを通過する空気が伝動ケース5の外面に接触することにより、エンジン4と伝動ケース5の冷却を行い、伝動ケース5の内部のオイルの温度上昇を抑制する。
図20に示すように、起風板67は、横断面形状が平面視で、その外端と内端が折り曲げられた形状に形成されており、この実施形態では4枚の起風板67が、ディスク65の上面側に平面視で駆動軸芯Yを中心とした放射状に且つ2枚ずつ互いに近づいた不等ピッチで配置されている。
図5に示すように、起風板67における凹部67Aより径方向内側に位置する内側部分の上端の高さは、起風板67における凹部67Aより径方向外側に位置する外側部分の上端の高さよりも高く形成され、この起風板67の内側部分が巻き付き防止体44の内部空間に入り込んでいる。凹部67Aにおける径方向外側の部分は、外方上方に向けて斜めに傾斜した形状に切り欠かれている。
特に冷却を効果的に行うために、天板20Aの開口Hの略全周を取り囲む位置にガイド壁29を設けたものを示しているが、このガイド壁29を両側部だけに備えても、開口Hの外周部の前後位置にだけに備えても良い。
〔刈高さ調節機構〕
刈高さ調節機構Eは、図2に示すように、ハウジングAの上面でハウジングAの横幅方向での中央位置に配置され、この刈高さ調節機構Eから伝動ケース5の横幅方向での中央位置に対して規制力を作用させる。具体的な構成として、図8〜図13に示すように、刈高さ調節機構Eは、ハウジングAの上面でハウジングAの横幅方向での中央位置に固定された支持体71と、シャフト72と、規制部材73と、人為操作具としての調節レバー74と、コイルバネ75と、接当部材としての規制ピン76とを備えると共に、リンク体77を備えている。
刈高さ調節機構Eは、図2に示すように、ハウジングAの上面でハウジングAの横幅方向での中央位置に配置され、この刈高さ調節機構Eから伝動ケース5の横幅方向での中央位置に対して規制力を作用させる。具体的な構成として、図8〜図13に示すように、刈高さ調節機構Eは、ハウジングAの上面でハウジングAの横幅方向での中央位置に固定された支持体71と、シャフト72と、規制部材73と、人為操作具としての調節レバー74と、コイルバネ75と、接当部材としての規制ピン76とを備えると共に、リンク体77を備えている。
支持体71は、一対の側壁部71Aとレバーガイド壁71Bとを有すると共に、一対の側壁部71Aにはシャフト72が挿通する貫通孔71Cと、規制ピン76が挿通する長孔状のガイド孔71Dが形成され、レバーガイド壁71Bにはスリット状のレバーガイド71Eが形成されている。
規制部材73は、支持体71の一対の側壁部71Aの内面に摺接する一対の側壁板73Aと、これに連なる端壁板73Bとを有すると共に、一対の側壁板73Aには規制領域としての規制開口73Cと、シャフト72が挿通する貫通孔73Dとが形成され、端壁板73Bにはレバー孔73Eが形成されている。規制開口73Cは図8〜図11に示す如く、複数の領域幅として最も狭い第1開口幅e1と、中間の第2開口幅e2と、最も広い第3開口幅e3との3種の開口幅が設定され、最も狭い第1開口幅e1では接当部材としての規制ピン76が密接する状態で嵌り込み、最も大きい第3開口幅e3では、規制ピン76が最も大きく変位でき、中間の第2開口幅e2では、最も大きい第3開口幅e3より小さく規制ピン76が変位できる。
リンク体77の一方の端部には規制ピン76が挿通する孔部が形成され、他方の端部には伝動ケース5に備えたブラケット78と連結する連結ピン79が挿通する孔部が形成されている。尚、リンク体77はブラケット78を介して伝動ケース5の横幅方向での中央位置に連結する。
刈高さ調節機構Eは、支持体71の内部に規制部材73を嵌め込み、レバー孔73Eとレバーガイド71Eとに挿通するように調節レバー74を配置し、貫通孔71C、73Dと、調節レバー74の基端と、コイルバネ75とにシャフト72を挿通させている。また、支持体71のガイド孔71Dと、規制部材73の規制開口73Cと、リンク体77の一方の孔部とに規制ピン76を挿通している。更に、リンク体77の他方の孔部と伝動ケース5のブラケット78とに亘って連結ピン79を挿通している。尚、コイルバネ75は、調節レバー74をレバーガイド71Eの3つの係合凹部の何れかに係合させる方向に付勢力を作用させる。
このような構成から、調節レバー74の操作により規制開口73Cのうち最も狭い第1開口幅e1に規制ピン76を導入した場合には、調節レバー74がレバーガイド71Eの上端の凹部に係合し、図11に示すように駆動軸芯Yが地面に対して垂直となる中立姿勢に維持される。走行機体を走行させても伝動ケース5が揺動軸芯Xを中心として揺動することがなく刈取機構Cの姿勢が変化しないため刈り高さが最も高い値に維持される。
また、調節レバー74の操作により規制開口73Cのうち開口幅の最も広い第3開口幅e3に規制ピン76を導入した場合には、調節レバー74がレバーガイド71Eの下端の凹部に係合し、図3、図8、図9に示すように第3開口幅e3において規制ピン76の変位が可能であるため、伝動ケース5は揺動軸芯Xを中心として最大の揺動が許される。
更に、調節レバー74の操作により規制開口73Cのうち中間の第2開口幅e2に規制ピン76を導入した場合には、調節レバー74がレバーガイド71Eの中間の凹部に係合し、図10に示すように第2開口幅e2において規制ピン76の変位が可能であるため、伝動ケース5は揺動軸芯Xを中心として前述した最大の揺動より小さい揺動が許される。
この刈高さ調節機構Eでは、走行機体の走行時において、出力軸8の回転力が第2ブラケット32のボールベアリング32Aを介してフレーム20と伝動ケース5との間に作用する際の反力が伝動ケース5を揺動させ、この揺動により駆動軸芯Yを傾斜させて刈高さが設定される。具体的には、例えば、第3開口幅e3に規制ピン76が導入されている状況において走行機体を前進させた場合には、図3に示すように、出力軸8が矢印の回転し、この回転に伴う反作用がボールベアリング32Aから伝動ケース5に対して矢印の方向に作用する。このように反力が作用した場合には、エンジン4と伝動ケース5と刈取機構Cとが揺動軸芯Xを中心にして一体的に矢印の方向に揺動することになり、刈取機構Cが前下がり方向に揺動する。
これとは逆に、走行機体を後進させた場合には図4及び図9に示すように、出力軸8が矢印の方向に回転し、この回転に伴う反作用がボールベアリング32Aから伝動ケース5に対して矢印の方向に作用する。このように反力が作用した場合には、エンジン4と伝動ケース5と刈取機構Cとが揺動軸芯Xを中心にして一体的に矢印の方向に揺動することになり、刈取機構Cが後下がり方向に揺動する。
このように刈高さ調節機構Eは、調節レバー74の操作により規制開口73Cのうち第2開口幅e2又は第3開口幅e3に規制ピン76を導入した状態において走行機体を走行させることにより、出力軸8から前車輪1と後車輪2とに伝えられる回転駆動力に起因する反作用を伝動ケース5に伝えることにより、作業者が伝動ケース5を揺動させる操作を行わずとも、エンジン4と伝動ケース5と刈取機構Cとが揺動軸芯Xを中心にして一体的に揺動する結果、調節レバー74で設定した刈高さでの刈取作業を行えるのである。
〔刈高さ調節機構の別実施形態〕
この刈高さ調節機構Eは、支持体71、規制部材73と、この規制部材73の規制開口73Cに挿入される接当部材としての規制ピン76とを伝動ケース5に支持し、規制ピン76に一方の端部が連結するリンク体77の他方の端部をハウジングAに支持しても良い。このように構成する場合、規制開口73Cに規制ピン76を導入するよう規制部材73を操作する人為操作具としての調節レバー74を伝動ケース5に備えても良い。
この刈高さ調節機構Eは、支持体71、規制部材73と、この規制部材73の規制開口73Cに挿入される接当部材としての規制ピン76とを伝動ケース5に支持し、規制ピン76に一方の端部が連結するリンク体77の他方の端部をハウジングAに支持しても良い。このように構成する場合、規制開口73Cに規制ピン76を導入するよう規制部材73を操作する人為操作具としての調節レバー74を伝動ケース5に備えても良い。
また、規制部材73に対して規制開口73Cに代えて領域幅を有した溝を形成しても良い。更に、領域幅が段階的に変化するものに代えて、例えば、規制開口73Cの対向する内面同士を傾斜する(非平行となる)姿勢に設定することにより、領域幅が無段階(連続的)に変化するように構成しても良い。
〔前後進操作系〕
図17に示すように、前後進切換レバー14は、縦向き姿勢のレバー軸14Aを中心とした揺動により前進位置F、中立位置N、後進位置Rの夫々の操作位置に設定自在に支持され、基端部には一対のアーム14Bが形成されている。伝動ケース5には前後進切換機構FRMの切換部材112の切換操作を行う切換軸81を回動操作する切換レバー82が備えられ、一対のアーム14Bと切換レバー82の揺動端の対向する位置とに亘って2本の変速操作ワイヤ83が備えられている。
図17に示すように、前後進切換レバー14は、縦向き姿勢のレバー軸14Aを中心とした揺動により前進位置F、中立位置N、後進位置Rの夫々の操作位置に設定自在に支持され、基端部には一対のアーム14Bが形成されている。伝動ケース5には前後進切換機構FRMの切換部材112の切換操作を行う切換軸81を回動操作する切換レバー82が備えられ、一対のアーム14Bと切換レバー82の揺動端の対向する位置とに亘って2本の変速操作ワイヤ83が備えられている。
具体的な構造として、変速操作ワイヤ83のうち伝動ケース側の端部のアウタ部83Aは、伝動ケース5のホルダ84に対してナット83Nによって締付により固定され、インナ部83Bは連結ピン85を介して切換レバー82に連結されている。また、変速操作ワイヤ83のうち操縦ハンドル3のグリップ側のアウタ部83Aは、操縦ハンドル3の支持フレーム86に対して一対のナット83Nの締付により固定され、インナ部83Bはコイルバネ83Sを介してアーム14Bに連結されている。
この前後進操作系では、前後進切換レバー14が前進位置F、中立位置N、後進位置Rの夫々の操作位置に対応する変速状態を適正に現出するための調節機構を備えている。この調節機構は、伝動ケース5の支持片87に備えられたロックボルト88と、切換レバー82の揺動端に形成された係合凹部82Aとで構成されている。この係合凹部82Aは、前後進切換機構FRMが中立位置にある姿勢においてロックボルト88と向かい合うように位置関係が設定されている。
この調節機構によって調節を行う際には、図18に示すように、切換レバー82を中立位置に設定し、ロックボルト88の操作により、このロックボルト88の先端を係合凹部82Aに係合させておく。この状態において操縦ハンドル3のグリップ側のナット83Nを操作して前後進切換レバー14を中立位置Nに調節する。具体的には、アウタ部の82Aの端部を移動させることで、インナ部83Bに作用する張力が変化し、張力に対応して前後進切換レバー14の位置も変化する。このような調節により前後進切換レバー14が中立位置Nにあるようナット83Nの操作を行うことになる。この調節の後には、ロックボルト88の係合を解除することで前後進切換レバー14の操作で適正な前後進の切換が実現する。
この調節機構を備えることにより、操縦ハンドル3のグリップ3Gの部位から前後進切換レバー14の位置の確認を行いながらナット83Nの調節を行うことが可能となり、前後進切換機構FRMの切換レバー82と前後進切換レバー14とを適正に連係できる。尚、調節を行う際に、変速操作ワイヤ83のうち伝動ケース側の端部のナット83Nの操作を行っても良い。
本発明は、縦向きの軸芯周りで駆動回転する刈刃を備えた歩行型草刈機全般に利用することができる。
1 車輪(前車輪)
2 車輪(後車輪)
3 操縦ハンドル
4 原動部(エンジン)
5 伝動ケース
6 駆動軸
7 刈刃
29 ガイド壁
65 ディスク
67 起風板
A ハウジング
E 刈高さ調節機構
H 開口
Ha 間隙
X 揺動軸芯
Y 駆動軸芯
2 車輪(後車輪)
3 操縦ハンドル
4 原動部(エンジン)
5 伝動ケース
6 駆動軸
7 刈刃
29 ガイド壁
65 ディスク
67 起風板
A ハウジング
E 刈高さ調節機構
H 開口
Ha 間隙
X 揺動軸芯
Y 駆動軸芯
Claims (3)
- 車輪と操縦ハンドルとを有したハウジングを備え、前記ハウジングの上部位置の原動部からの駆動力を前記ハウジングの下部位置において縦向きの駆動軸芯周りで回転する刈刃に伝える伝動ケースを備えている歩行型草刈機であって、
前記ハウジングの上面に前記伝動ケースが上下に貫通して配置される開口が形成され、前記ハウジングの上面で前記開口の外周から立ち上がる姿勢のガイド壁を設け、前記伝動ケースの下端位置に前記駆動軸芯周りでの回転により前記刈刃を駆動する駆動軸と、この駆動軸と一体回転する起風体とを備え、
前記起風体は、ハウジング内の空気を前記ハウジングの下端から外部に送り出すとともに、前記ハウジングの上方の外気を前記ガイド壁と前記伝動ケースとの間隙を介して前記開口に導き、ハウジング内に吸引する気流を作り出す構造を有している歩行型草刈機。 - 前記駆動軸の下端位置に、前記駆動軸芯と直交する姿勢のディスクを備え、このディスクの外周位置に外方に突出する姿勢で前記刈刃を備えると共に、このディスクの上面に縦姿勢で前記起風体が備えられている請求項1記載の歩行型草刈機。
- 前記ハウジングのうち前記開口が形成された部位に左右向き水平姿勢の揺動軸芯が設定され、この揺動軸芯周りで揺動自在に前記伝動ケースが前記ハウジングに支持され、この伝動ケースの揺動量の設定により前記刈刃の先端位置と地面との相対距離の変更を行う刈高さ調節機構が構成されている請求項1又は2記載の歩行型草刈機。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010034638A JP2011167129A (ja) | 2010-02-19 | 2010-02-19 | 歩行型草刈機 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103999629A (zh) * | 2013-05-07 | 2014-08-27 | 昆山瑞恒峰技术咨询有限公司 | 一种新型的带有吸尘器的草坪割草机 |
-
2010
- 2010-02-19 JP JP2010034638A patent/JP2011167129A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103999629A (zh) * | 2013-05-07 | 2014-08-27 | 昆山瑞恒峰技术咨询有限公司 | 一种新型的带有吸尘器的草坪割草机 |
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