JP2011165567A - 電極活物質、蓄電デバイスならびに電子機器および輸送機器 - Google Patents

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友 大塚
Nobuhiko Hojo
伸彦 北條
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洋二 御崎
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Abstract

【課題】蓄電デバイスの軽量化および高エネルギー密度化に寄与できる有機化合物からなる電極活物質において、充放電サイクル数の増加に伴って、電極活物質が劣化するのを抑制し、高出力および高容量を有し、サイクル特性に優れる蓄電デバイスを提供する。
【解決手段】複数の1,3−ジチオール環分子が、環状構造を有するシクロアルカンの炭素原子に結合し、1,3−ジチオール環分子を環状に配置する。これにより、可逆的な充放電反応が可能な蓄電デバイス用電極活物質が得られる。この蓄電デバイス用電極活物質を用いることにより、高容量、高電圧であり、かつサイクル特性に優れた蓄電デバイスが得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、電極活物質、蓄電デバイスならびに電子機器および輸送機器に関する。さらに詳しくは、本発明は主に、電極活物質の改良に関する。
近年、ガソリンと電気の両方のエネルギーで駆動するハイブリッド電気自動車や、無停電電源、移動体通信機器、携帯電子機器などの、電源を必要とする機器の普及に伴い、その電源として用いられる蓄電デバイスの高性能化の要求が非常に高まっている。具体的には、高出力、高容量、および優れたサイクル特性を有する高性能な蓄電デバイスが要求されている。
蓄電デバイスの高性能化については、様々な取り組みがなされている。特に、電極活物質の高エネルギー密度化は、蓄電デバイス自体の高エネルギー密度化に直接的につながるため、電極活物質の検討が積極的に行われている。
例えば、ハイレートでの充放電が期待される新しい電極活物質として、π電子共役雲を有する有機化合物を用いた蓄電デバイスが提案されている(特許文献1〜3参照)。特許文献1は、化学構造式(A)で表されるテトラチアフルバレン(以下「TTF」とする)に代表される有機化合物を開示する。TTFは、約260mAh/gの高エネルギー密度を有している。
Figure 2011165567
特許文献2は、化学構造式(B)で表される2,2’−エタンジイリデン−ビス−1,3−ジチオール(以下「EBDT」とする)に代表される有機化合物を開示する。EBDTは、約230mAh/gの高エネルギー密度を有している。
Figure 2011165567
さらに、特許文献3は、化学構造式(C)で表されるTTF三量体を開示する。TTF三量体は、3つのTTF骨格を平面的に拡張した構造を有している。TTF三量体は、酸化還元反応に寄与しない置換基をその骨格に導入しなくても、電解質に溶解し難い。したがって、TTF三量体からなる蓄電デバイス用電極活物質は、容量および出力が高く、サイクル特性に優れている。
Figure 2011165567
また、化学構造式(A)、(B)および(C)で代表される骨格およびπ電子共役雲を有する有機化合物からなる電極活物質が提案されている(特許文献4参照)。この電極活物質は、充放電時に結晶質になることが記載されている。この電極活物質を用いると、高容量かつ高出力を有し、かつサイクル特性に優れた蓄電デバイスが得られると記載されている。さらに、充放電時に結晶質になりやすい有機化合物が、平面状の分子構造を有し、かつ平面状の分子構造に対して垂直な方向にπ電子共役雲を有することが記載されている。
一方、下記化学構造式(D)で表されるテトラキス(1,3−ジチオール−2−イリデン)−[4]ラジアレン類を、有機導電材、有機エレクトロクロミック材料として使用することが記載されている(特許文献5参照)。
Figure 2011165567
〔式(D)中、Aは水素原子または低級アルコキシカルボニル基を示す。〕
特開2004−111374号公報 特開2004−342605号公報 特開2008−159275号公報 国際公開第2007/132786号 特開昭61−254582号公報
特許文献1および2に記載のπ電子共役雲を有する有機化合物は、高容量、高出力および優れたサイクル特性を有するものと考えられているが、電解質組成や蓄電デバイスの構成によっては、電解質に溶解することがある。電解質への溶解を抑制するためには、TTFまたはEBDTである反応骨格の両端にエチレンジチオ基などの不溶性置換基を導入して誘導体にするか、または、TTFまたはEBDTを高分子化する必要がある。
しかし、不溶性置換基は酸化還元反応に関与しないので、不溶性置換基の導入は、反応骨格のエネルギー密度を低下させる。高分子化にも、酸化還元反応に関与しない置換基の導入が不可欠である。したがって、得られる誘導体および高分子体は、反応骨格であるTTFおよびEBDTよりもエネルギー密度が低くなる。すなわち、反応骨格と同程度のエネルギー密度を有する誘導体および高分子体を得るのは困難である。
特許文献3のTTF三量体は、置換基を容易に導入できる部位が少ないので、分子設計がその構造に限定される。TTF三量体の誘導体は、分子末端のTTF骨格の炭素原子に結合する水素原子を官能基で置換する場合にのみ得られる。蓄電デバイスは、用途に応じて、電圧、容量などの特性を適宜変更する必要があるが、TTF三量体は多くの誘導体を合成できないので、そのような変更に対応できない。すなわち、TTF三量体は、材料設計の自由度に制限があるという課題を有している。
特許文献4には、平面状の分子構造と、平面状の分子構造に対して垂直な方向に存在するπ電子共役雲とを有する有機化合物が、充放電時に結晶質になり易く、サイクル特性に優れ、蓄電デバイス用電極活物質として好適であると記載されている。しかしながら、具体的にどのような分子構造の有機化合物が、特許文献4に開示された化合物以上に結晶質になりやすく、より良好な特性を得ることができるかに関して十分な知見はなかった。
特許文献5には、テトラキス(1,3−ジチオール−2−イリデン)−[4]ラジアレン類の用途として、導電材料およびエレクトロクロミック材料が記載されるのみであり、電極活物質としての使用は記載されていない。
また、蓄電デバイスのサイクル特性や出力特性を向上させるためには、TTF骨格またはEBDT骨格を含む分子を誘導体化し、結晶質になりやすい分子を設計することが有効であると考えられる。しかしながら、どのような分子を設計すれば、蓄電デバイスのサイクル特性を向上させることができる結晶質の分子が得られるかに関して、特許文献1〜5には十分な知見がない。
本発明の目的は、容量およびエネルギー密度が高い蓄電デバイス用電極活物質、ならびに、高容量および高出力であり、サイクル特性に優れる蓄電デバイスを提供することである。
本発明の蓄電デバイス用電極活物質は、下記一般式(1)で表されるラジアレン化合物を含む。
Figure 2011165567
〔式(1)中、Xは酸素原子または下記一般式(Z)で表される2価基を示す。Yは下記一般式(Z)で表される2価基を示す。nは1から3の整数である。
Figure 2011165567
(式(Z)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシアルキル基、チオアルキル基、不飽和脂肪族基または飽和脂肪族基を示す。前記不飽和脂肪族基および前記飽和脂肪族基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子また珪素原子を含んでいてもよい。前記不飽和脂肪族基および前記飽和脂肪族基は、直鎖状または環状である。R1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。)〕
本発明の蓄電デバイスは、正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極および電解質を含み、正極活物質および負極活物質の少なくとも一方が、前述の蓄電デバイス用電極活物質である。
本発明の電子機器は、前述の蓄電デバイスを電源として備えている。
本発明の輸送機器は、前述の蓄電デバイスを電源として備えている。
本発明によれば、有機化合物でありながら電解質に溶解しにくく、容量およびエネルギー密度が高い蓄電デバイス用電極活物質が提供される。この蓄電デバイス用電極活物質を用いると、高出力、高容量および優れたサイクル特性を有する蓄電デバイスが得られる。
本発明の実施形態の1つであるコイン型蓄電デバイスの構成を模式的に示す縦断面図である。 実施例1の蓄電デバイスの充放電試験における10サイクル目の電池容量と電池電圧との関係を示すグラフである。 実施例2の蓄電デバイスの充放電試験における10サイクル目の電池容量と電池電圧との関係を示すグラフである。
本明細書に記載される各一般式において、符号R1およびR2で示される各基は、具体的には次の通りである。
鎖状または環状の飽和脂肪族基には、アルキル基、シクロアルキル基などがある。アルキル基には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、n−ノニル、イソノニル、n−デシル、イソデシル、n−ウンデシル、イソウンデシル、n−ドデシル、イソドデシル、トリデシル、イソトリデシルなどの炭素数1〜22の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基がある。これらの中でも、炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
シクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素数3〜6のシクロアルキル基がある。
鎖状または環状の不飽和脂肪族基には、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルケニル基、置換または無置換のフェニル基などがある。
アルケニル基には、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチル−1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、2−プロペニル、2−ブテニル、1−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、1−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1,3−ブタジエニル、1,3−ペンタジエニル、2−ペンテン−4−イル、2−ヘキセニル、1−ヘキセニル、5−へキセニル、3−ヘキセニル、4−へキセニル、3,3−ジメチル−1−プロペニル、2−エチル−1−プロペニル、1,3,5−ヘキサトリエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル基などの、二重結合を1〜3個有し、炭素数2〜6(好ましくは炭素数2〜4)の直鎖状または分枝鎖状アルケニル基がある。アルケニル基はトランス体およびシス体の両方を包含する。
アルキニル基には、エチニル、2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、2−ヘキシニルなどの、炭素数2〜6(好ましくは炭素数2〜4)の直鎖状または分枝鎖状アルキニル基がある。シクロアルケニル基には、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、メチルシクロペンテニル、メチルシクロヘキセニルなどの炭素数3〜7のシクロアルケニル基がある。
符号R1およびR2で示される不飽和脂肪族基および飽和脂肪族基(以下「脂肪族基」と総称する)は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子および珪素原子よりなる群から選ばれる少なくとも1つの原子を含んでいてもよい。窒素原子は、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミノ基、シアノ基などの形態で脂肪族基の水素原子と置換する。
酸素原子は、水酸基、オキソ基、カルボキシル基などの形態で脂肪族基の水素原子と置換する。硫黄原子は、アルキルチオ基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、メルカプト基などの形態で脂肪族基の水素原子と置換する。珪素原子は、シリル基などの形態で脂肪族基の水素原子と置換する。ここに挙げた各種置換基の中でも、ニトロ基、アルキルチオ基、フェニル基などの電子吸引性の置換基が好ましい。脂肪族基は、ここに挙げた各種置換基から選ばれる少なくとも1つを有することができる。
1およびR2で示される脂肪族基は、互いに結合して環を形成してもよい。
本発明者らは、従来技術の課題を解決できる新しい蓄電デバイス用電極活物質を得るため、鋭意研究を行なった。その結果、シクロアルカンの複数の炭素原子に1,3−ジチオール環が結合した特定のラジアレン化合物が、蓄電デバイス用電極活物質として好適に使用できることを見出した。本発明で使用するラジアレン化合物が、蓄電デバイス用電極活物質として優れている理由は、次のように考えられる。
シクロアルカンの複数の炭素原子に1,3−ジチオール環が結合すると、分子が平面状に広がった構造になり、平面構造をとりやすくなるものと考えられる。また、シクロアルカンの複数の炭素原子に、π電子共役雲で覆われた1,3−ジチオール環が結合すると、分子の回転やねじれが抑制される。その結果、平面分子が積み重なる分子スタックが起こり、酸化状態および還元状態の両方において分子が結晶質になりやすくなるものと考えられる。さらに、本発明のラジアレン化合物は、EBDTおよびTTFよりも分子が平面方向に広がった構造である。このため、分子間に働く分子間力がより大きくなり、結晶としての安定性が増すと考えられる。
このように、本発明者らは、シクロアルカンの複数の炭素原子に1,3−ジチオール環を結合させることにより、結晶質になりやすいラジアレン化合物が得られること、およびこのラジアレン化合物が高い容量およびエネルギー密度を有し、蓄電デバイスのサイクル特性および出力特性を顕著に向上させ得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の蓄電デバイス用電極活物質は、高い容量およびエネルギー密度を有している。本発明の蓄電デバイス用電極活物質は、有機化合物であるにもかかわらず、電解質に含まれる有機溶媒(非水溶媒)に非常に溶解し難く、蓄電デバイスの電極中で結晶として安定に存在する。したがって、本発明の蓄電デバイス用電極活物質は、優れたサイクル特性を蓄電デバイスに付与できる。また、本発明の蓄電デバイス用電極活物質は、有機化合物であるため、蓄電デバイスの小型化および軽量化に寄与できる。
本発明の蓄電デバイスは、本発明の蓄電デバイス用電極活物質を含むことにより、高出力および高容量を有し、高い放電電圧を維持することが可能であり、サイクル特性および出力特性に優れる。特に、本発明の蓄電デバイスは、充放電サイクル回数が増加しても、放電容量の低下が極めて少ないという優れたサイクル特性を有している。
[蓄電デバイス用電極活物質]
本実施形態の蓄電デバイス用電極活物質は、ラジアレン化合物(1)から選ばれる少なくとも1つの化合物を含む。ラジアレン化合物(1)は、容量およびエネルギー密度が高いだけでなく、材料設計の自由度が高い。具体的には、ラジアレン化合物(1)は、分子構造の設計および合成ルートの変更が容易であり、多くの誘導体を容易に合成できる。したがって、ラジアレン化合物(1)を含む本実施形態の蓄電デバイス用電極活物質は、蓄電デバイスの設計変更に容易に対応できる。
ラジアレン化合物(1)は構造対称性および平面構造を有し、酸化還元反応時に構造が大きく変化しないという特徴を有している。また、ラジアレン化合物(1)は、その分子中に1,3−ジチオール環が環状に配置されたラジアレン骨格を含み、1,3−ジチオール環分子が炭素−炭素結合を介して隣り合って存在している。このため、ラジアレン化合物(1)には、電子の授受が可能なπ電子共役電子雲が形成されている。
ラジアレン化合物(1)において、電子授受は、1,3−ジチオール環分子への酸化還元反応によって進行する。例えば、酸化反応(充電反応)時には、1個の1,3−ジチオール環分子から1個のπ電子が抜き取られ、1,3−ジチオール環分子が酸化される。1,3−ジチール環分子が1個だけで存在する場合は、π電子共役電子雲から電子が抜き取られると、分子として安定に存在することが出来ない。このため、電気化学反応に伴う酸化還元反応を起こすことが困難になる。
しかし、ラジアレン化合物(1)では2個以上の1,3−ジチオール環分子が炭素−炭素結合を介して隣り合って存在しているので、それぞれの1,3−ジチオール環分子から1個ずつのπ電子が抜きとられる。このとき、シクロアルカンの炭素−炭素結合が2重結合になることで、分子として安定化される。この場合、電解質中のアニオンがπ電子共役電子雲に配位する。還元反応(放電反応)時には、π電子共役電子雲に配位したアニオンが脱離する。この酸化還元反応を蓄電反応として利用できる。
このように、ラジアレン化合物(1)は、複数の1,3−ジチオール環分子が炭素−炭素結合を介して隣り合って存在することにより、可逆な酸化還元反応すなわち可逆な充放電反応を起こすことが可能になる。
また、ラジアレン化合物(1)は、酸化還元反応において、結合の解裂および再結合といった大きな構造変化を起こさない。このような酸化還元反応は、蓄電デバイスに、高容量、高出力、および優れたサイクル特性を付与できる。
良好な酸化還元特性に重要なのは、環状構造を有するシクロアルカンの炭素原子に、1,3−ジチオール環分子が環状に配置した骨格を有していることであり、1,3−ジチオール環の有する官能基、すなわち一般式(Z)で表される構造におけるR1及びR2の構造に関しては、酸化還元反応に寄与しない部位であれば特に限定されない。
具体的には、R1及びR2の構造は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシアルキル基、チオアルキル基、不飽和脂肪族基または飽和脂肪族基であり、前記不飽和脂肪族基および前記飽和脂肪族基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子また珪素原子を含んでいてもよい。前記不飽和脂肪族基および前記飽和脂肪族基は、直鎖状または環状である。R1及びR2は互いに結合して環を形成してもよい。
また、直鎖状のアルキル鎖に含まれる水素原子が複数の1,3−ジチオール環分子で置換された化合物と比較すると、ラジアレン化合物(1)は、分子が平面的に拡張された長い分子になっている。平面状の分子であるラジアレン化合物(1)は積層し易く、それにより分子間に強い分子間力が作用する。この分子間力により、電解質に対する耐溶解性を有し、サイクル特性に優れた蓄電デバイス用電極活物質になる。
ラジアレン化合物(1)には、炭素数4〜6のシクロアルカンの全ての炭素原子に、1,3−ジチオール環分子由来の2価基すなわち一般式(Z)で表される2価基(以下「2価基(Z)」とする)が結合したラジアレン化合物、および、炭素数4〜6のシクロアルカンの全ての炭素原子のうち、1つの炭素原子に酸素原子が結合しかつ残りの炭素原子に2価基(Z)が結合したラジアレン化合物がある。1つの炭素原子に酸素原子が結合している場合においても、分子構造の対称性が高いラジアレン化合物が得られる。
2価基(Z)において、符号R1およびR2で示される置換基は同じ基であることが好ましい。これにより、ラジアレン化合物(1)の分子構造の対称性が増す。
ラジアレン化合物(1)の中でも、一般式(1)においてn=1〜3であるラジアレン化合物が好ましい。特にn=1または2の場合には、分子構造の対称性が高く、良好なサイクル特性が得られる。逆にn=4以上の場合は、分子が大きくなることで対称性が低下する場合がある。
一般式(1)において、n=1であるラジアレン化合物には、シクロブタンの4つの炭素原子に2価基(Z)が結合したラジアレン化合物、シクロブタンの4つの炭素原子のうち、3つの炭素原子に2価基(Z)が結合しかつ残りの炭素原子に酸素原子が結合したラジアレン化合物などがある。これらの中でも、一般式(2)で表されるラジアレン化合物(2)がさらに好ましい。
Figure 2011165567
〔式(2)中、4つのR1および4つのR2は、それぞれ独立して、前記に同じ。同じ1,3−ジチオール環に結合するR1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。〕
ラジアレン化合物(2)の具体例として、例えば、下記表1に示すラジアレン化合物(2A)〜(2C)が挙げられる。
Figure 2011165567
表1に示すラジアレン化合物(2B)は、表1に示すラジアレン化合物(2A)の誘導体であり、1,3−ジチオール環の所定の炭素原子にカルボキシメチル基が結合している。酸化還元部位である1,3−ジチオール環上に電子求引性置換基であるカルボキシメチル基を配置することで、ラジアレン化合物(2B)の酸化還元電位を制御できる。また、電子供与性置換基を配置することも可能であることから、用途、性能に応じた蓄電デバイス設計が可能になる。
表1に示すラジアレン化合物(2C)は、1,3−ジチオール環にベンゼン環が縮合している。ベンゼン環の炭素原子に結合する水素原子は、種々の官能基に置換可能である。したがって、種々の合成ルートを経由して、ラジアレン化合物(2C)の誘導体を容易に合成できる。
一般式(1)において、n=2であるラジアレン化合物には、シクロペンタンの5つの炭素原子に2価基(Z)が1つずつ結合したラジアレン化合物、シクロペンタンの5つの炭素原子のうち、4つの炭素原子に2価基(Z)が1つずつ結合しかつ残りの炭素原子に酸素原子が結合したラジアレン化合物などがある。これらの中でも、下記一般式(3)であらわされるラジアレン化合物(3)および下記一般式(4)で表されるラジアレン化合物(4)がさらに好ましい。
Figure 2011165567
〔式(3)中、4つのR1および4つのR2は、それぞれ独立して、前記に同じ。同じ1,3−ジチオール環に結合するR1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。〕
Figure 2011165567
〔式(4)中、5つのR1および5つのR2は、それぞれ独立して、前記に同じ。同じ1,3−ジチオール環に結合するR1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。〕
ラジアレン化合物(3)の具体例として、例えば、下記表2に示すラジアレン化合物(3A)〜(3C)が挙げられる。表2に示すラジアレン化合物(3B)は、表1に示すラジアレン化合物(2B)と同様に、1,3−ジチオール環の所定の炭素原子にカルボキシメチル基が結合している。これにより、ラジアレン化合物(3B)は、ラジアレン化合物(2B)と同様の効果を有している。表2に示すラジアレン化合物(3C)では、1,3−ジチオール環にベンゼン環が縮合している。したがって、ラジアレン化合物(3C)は、表1に示すラジアレン化合物(2C)と同様に、材料設計の自由度が特に大きい。
Figure 2011165567
また、ラジアレン化合物(4)の具体例として、例えば、下記表3に示すラジアレン化合物(4A)〜(4C)が挙げられる。
Figure 2011165567
ラジアレン化合物(1)は、公知の方法に従って合成できる。ラジアレン化合物(1)は、多くの誘導体を形成することが可能である。ラジアレン化合物(1)のうち、ラジアレン化合物(2)は、たとえば、下記反応式1に従って合成できる。
(反応式1)
Figure 2011165567
〔式中、R1およびR2は前記に同じ。同じ1,3−ジチオール環に結合するR1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。〕
反応式1に示す合成法では、原料化合物として、2,2’−エタンジイリデン−ビス−1,3−ジチオール化合物(5)(以下「化合物(5)」とする)を用いる。
まず、化合物(5)をブロム化して化合物(6)を得る。ブロム化反応は、例えば、不活性溶媒中にて化合物(5)とハロゲン化剤とを接触させることにより実施される。ブロム化剤には、臭素、臭化チオニル、臭化スルフリル、五臭化リン、オキシ臭化リンなどの無機ハロゲン化物、N−ブロモコハク酸イミドなどの有機ハロゲン化物がある。不活性溶媒には、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、o−クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類がある。ブロム化反応は、−30℃〜使用する不活性溶媒の沸点までの温度下に行われ、0.1〜3時間程度で終了する。
次に、化合物(6)を、ニッケル触媒の存在下にカップリング反応させ、化合物(2)を得る。カップリング反応は、例えば、不活性溶媒中にて化合物(6)とニッケル触媒とを接触させることにより実施される。ニッケル触媒には、Ni(PPh34、Ni(bpy)(cod)、Ni(cod)2−PPh3などがある。不活性溶媒には、ブロム化反応で例示した不活性溶媒と同様のものを使用できる。
前記以外の合成方法としては、下記反応式2に示す合成方法が挙げられる。
(反応式2)
Figure 2011165567
〔式中、R1及びR2は前記に同じ。同じ1,3−ジチオール環に結合するR1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。〕
ラジアレン化合物(3)は、たとえば、下記反応式3に従って合成できる。
(反応式3)
Figure 2011165567
〔式中、R1およびR2は前記に同じ。同じ1,3−ジチオール環に結合するR1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。〕
ラジアレン化合物(4)は、たとえば、下記反応式4に従って合成できる。
(反応式4)
Figure 2011165567
〔式中、R1およびR2は前記に同じ。同じ1,3−ジチオール環に結合するR1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。〕
また、ラジアレン化合物(1)は、多くの誘導体を形成することが可能である。これには、オクタクロロ[4]ラジアレンとビニレン−1,2−ジチオレートとの置換反応、メトキシカルボニル体とアルカリ金属ハロゲン化物(LiBr、NaBr、KIなど)とによる脱メトキシカルボニル化反応などを利用できる。
[蓄電デバイス]
本実施形態の蓄電デバイスは、正極および負極のうち少なくとも一方が、ラジアレン化合物(1)から選ばれる少なくとも1つの化合物を含む蓄電デバイス用電極活物質を用いる。例えば、正極および負極のうちいずれか一方の電極に、前記蓄電デバイス用電極活物質を使用し、他方の電極に、蓄電デバイスで常用されている従来の電極活物質を使用できる。勿論、正極および負極の両方に、前記蓄電デバイス用電極活物質を使用してもよい。
本実施形態の蓄電デバイスは、例えば、正極と、負極と、セパレータと、電解質とを含む。正極と負極とは、セパレータを介して対向するように配置される。
正極は、正極集電体と正極活物質層とを含み、正極活物質層がセパレータ側に位置するように配置される。正極集電体にはこの分野で常用されるものを使用でき、例えば、ニッケル、アルミニウム、金、銀、銅、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金などの金属材料からなる多孔性または無孔のシートを使用できる。多孔性シートには、メッシュ体、金属繊維の織布、不織布などがある。無孔シートには、金属箔などがある。
正極集電体の表面にカーボンなどの炭素材料を塗布し、抵抗値の低減、触媒効果の付与、正極活物質層と正極集電体とを化学的または物理的に結合させることによる正極活物質層と正極集電体と結合強化などを図ってもよい。
正極活物質層は正極集電体の少なくとも一方の表面に設けられ、正極活物質を含み、必要に応じて、電子伝導補助剤、イオン伝導補助剤、結着剤などを含む。本実施形態の蓄電デバイス用電極活物質を正極活物質として用いる場合には、負極活物質としては、例えば、黒鉛化炭素(グラファイト)、活性炭などの非晶質炭素材料、金属リチウム、リチウム含有複合窒化物、リチウム含有チタン酸化物、珪素、珪素酸化物、珪素合金などの珪素化合物、錫、錫酸化物、錫合金などの錫化合物などを好ましく使用できる。
電子伝導補助剤およびイオン伝導補助剤は、例えば、電極の抵抗を低減するために用いられる。電子伝導補助剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラックなどの炭素材料、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子化合物などが挙げられる。また、イオン伝導補助剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、例えば、ポリエチレンオキシドなどを含む固体電解質、ポリメタクリル酸メチルなどを含むゲル電解質などが挙げられる。
結着剤は、例えば、電極の構成材料の結着性を向上させるために用いられる。結着剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミドなどが挙げられる。
正極活物質層は、例えば、正極活物質に、必要に応じて電子伝導補助剤、イオン伝導補助剤、結着剤などを混合し、得られた混合物を正極集電体に圧着させることにより形成できる。
負極は、負極集電体と負極活物質層とを含み、負極活物質層がセパレータ側に位置するように配置される。負極集電体には、正極集電体と同様の金属材料からなる多孔性または無孔のシートを使用できる。たとえば、メッシュ体、織布、不織布、金属箔などである。負極集電体の表面にも、正極集電体と同様に、カーボンなどの炭素材料を塗布し、抵抗値の低減、触媒効果の付与、負極活物質層と負極集電体との結合強化などを図ってもよい。
負極活物質層は負極集電体の少なくとも一方の表面に設けられ、負極活物質を含み、必要に応じて、電子伝導補助剤、イオン伝導補助剤、結着剤などを含む。本実施形態の蓄電デバイス用電極活物質を負極活物質として用いる場合には、正極活物質として、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24などのリチウム含有複合金属酸化物などを好ましく使用できる。負極活物質層に含まれる電子伝導補助剤、イオン伝導補助剤および結着剤は、それぞれ、正極活物質層に含まれる電子伝導補助剤、イオン伝導補助剤および結着剤と同じものを使用できる。
負極活物質層は、例えば、負極集電体の表面に負極合剤スラリーを塗布し、乾燥し、圧延することによって形成できる。負極合剤スラリーは、負極活物質および必要に応じて電子伝導補助剤、イオン伝導補助剤、結着剤、増粘剤などを有機溶媒に溶解または分散させることにより調製できる。有機溶媒には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアミン、アセトン、シクロヘキサノンなどを使用できる。
有機溶媒を使用せず、負極活物質および必要に応じて電子伝導補助剤、伝導補助剤、結着剤などを乾式混合し、得られた混合物を負極集電体に圧着させて、負極活物質層を形成してもよい。負極活物質として珪素化合物または錫化合物を用いる場合は、真空蒸着、スパッタリングなどにより負極活物質層を形成してもよい。さらに、負極として、金属リチウム板と負極集電体との積層体を用いてもよい。
セパレータは、正極と負極との間に介在するように配置される。セパレータには、所定のイオン透過度、機械的強度、絶縁性などを併せ持つシートが用いられる。セパレータの具体例としては、例えば、微多孔膜、織布、不織布などの多孔性シートが挙げられる。セパレータの材料には各種樹脂材料を使用できるが、耐久性、シャットダウン機能、電池の安全性などを考慮すると、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが好ましい。なお、シャットダウン機能とは、電池の異常発熱時にセパレータの細孔が閉塞し、それによりイオンの透過を抑制し、電池反応を遮断する機能である。
電解質は、主にセパレータに含浸される液状電解質である。液状電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解可能な支持塩とを含む。支持塩は、カチオンとアニオンとを含む。カチオンには、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のカチオン、マグネシウムなどのアルカリ土類金属のカチオン、テトラエチルアンモニウム、1,3−エチルメチルイミダゾリウムなどの4級アンモニウムカチオンなどがある。カチオンは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、リチウムのカチオンおよび4級アンモニウムカチオンが好ましく、リチウムのカチオン(リチウムイオン)がさらに好ましい。
アニオンには、ハロゲン化物アニオン、過塩素酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、四ホウフッ化物アニオン、トリフルオロリン6フッ化物アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドアニオンなどがある。アニオンは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
支持塩の具体例としては、例えば、フッ化リチウム、塩化リチウム、過塩素酸リチウム、トリフロロメタンスルホン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、六フッ化リン酸リチウム、ビストリフロロメチルスルホニルイミドリチウム、チオシアン酸リチウム、過塩素酸マグネシウム、トリフロロメタンスルホン酸マグネシウム、四フッ化ホウ酸ナトリウム(NaBF4)などが挙げられる。支持塩は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
蓄電デバイスにおいて電気化学反応を生じさせるためには、例えば、支持塩を非水溶媒中で溶解させて解離させる必要がある。このため、非水溶媒の比誘電率が高いことが要求される。また、本実施形態の蓄電デバイス用電極活物質の中には、比誘電率の高い非水溶媒に溶解しやすいものがある。従って、本実施形態の蓄電デバイスにおいて、適切な比誘電率を有する非水溶媒を電解質に用いることが好ましい。
上記の観点から、非水溶媒としては比誘電率10〜30の非水溶媒が好ましい。比誘電率10〜30の非水溶媒としては、前記範囲の比誘電率を有する非水溶媒をそのまま用いてもよい。また、比誘電率の異なる複数の非水溶媒を混合し、得られる混合物の比誘電率を前記範囲に調整してもよい。例えば、比誘電率10以下の非水溶媒と比誘電率30以上の非水溶媒とを混合することにより、比誘電率が前記範囲である非水溶媒が得られる。
比誘電率が10を大幅に下回ると、支持塩の非水溶媒に対する溶解性が低下し、電気化学的な酸化還元反応が円滑に進行しない場合が生ずるおそれがある。支持塩と非水溶媒とを含む液状電解質を用いる蓄電デバイスにおいて、電気化学的な酸化還元反応を行うためには、非水溶媒が支持塩を溶解し、支持塩を構成するイオンの結合および解離を可逆的に行い得る状態にする必要がある。比誘電率が30を大幅に超えると、本実施形態の蓄電デバイス用電極活物質が有機溶媒に対して溶解性を示すおそれがある。本実施形態の蓄電デバイス用電極活物質は誘導体化がなされているものの、比誘電率が30を大幅に超える有機溶媒に対しては、蓄電デバイスの各種特性を低下させる程度の溶解性を示すおそれがある。
比誘電率10以下の溶媒には、鎖状炭酸エステル、鎖状エステル、鎖状エーテルなどがある。これらの中から1または2以上を使用できる。比誘電率が30以上の溶媒には、環状炭酸エステル、環状エーテルなどがある。これらの中から1または2以上を使用できる。
鎖状炭酸エステルには、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジn−プロピルカーボネート、ジn−ブチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどがある。鎖状エステルには、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、吉草酸メチルなどがある。鎖状エーテルには、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジプロピルエーテルなどがある。
環状炭酸エステルには、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどがある。環状エーテルには、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソランなどがある。
また、電解質として、固体電解質やゲル状ポリマー電解質を用いてもよい。
固体電解質には、Li2S−SiS2−リチウム化合物(ここでリチウム化合物はLi3PO4、LiIおよびLi4SiO4よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。)、Li2S−P25、Li2S−B25、Li2S−B25、Li2S−P25−GeS2、ナトリウム/アルミナ(Al23)、相転移温度(Tg)の低い無定形ポリエーテル、無定形フッ化ビニリデンコポリマー、異種ポリマーのブレンド体、ポリエチレンオキサイドなどがある。
ゲル状ポリマー電解質としては、液状電解質をポリマーでゲル化したものなどを使用できる。液状電解質としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの低分子量非水溶媒を含むものが好ましい。ポリマーとしては、例えば、ポリアクリロニトリル、エチレンとアクリロニトリルとのコポリマー、これらの架橋物などを使用できる。
本実施形態の蓄電デバイスは、電気化学的な酸化還元反応によって得られた電気エネルギーを内部に蓄えることができる装置である。蓄電デバイスの具体例としては、例えば、一次電池、二次電池、電気化学キャパシタ、電解コンデンサ、センサー、エレクトロクロミック素子などが挙げられる。
本実施形態の蓄電デバイスは、電子機器、輸送機器などの主電源または補助電源として好適に使用できる。電子機器には、パーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器、携帯情報端末(PDA)、携帯用ゲーム機器、ビデオカメラなどの携帯用電子機器がある。輸送機器には、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、燃料自動車などの、電池を主電源または補助電源とする輸送機器がある。
[電子機器および輸送機器]
本実施形態の電子機器は、従来の電源用二次電池に代えて本実施形態の蓄電デバイスを用いる以外は、従来の電子機器と同じ構成を有している。本実施形態の輸送機器は、従来の主電源用二次電池および/または補助電源用二次電池に代えて本実施形態の蓄電デバイスを用いる以外は、従来の輸送機器と同じ構成を有している。
以下に合成例、実施例、比較例および試験例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(合成例1)
以下に示す合成工程(I)および合成工程(II)に従って、表1に示すラジアレン化合物(2A)である電極活物質を合成した。
(1)化合物(10)の合成
Figure 2011165567
化合物(8)507mg(1mmol)とグリオキサールの40重量%水溶液290mg(2mmol)とをテトラヒドロフラン15ml中に取り、トリエチルアミン5mlを加えて攪拌した。室温で攪拌後、オレンジ色溶液を得た。さらに1時間攪拌し、テトラヒドロフランと過剰のトリエチルアミンとを減圧により取り除き、ジクロロメタン100mlで抽出した。その後水で洗浄し、Na2SO4にて乾燥し、黄色の化合物(10)188mgを得た。収率は70%であった。融点111−112℃。なお、合成工程(I)では、まず、化合物(8)とトリエチルアミンとが反応して化合物(9)が生成し、さらに化合物(9)とグリオキサールとが反応して、化合物(10)が生成する。
1HNHR(CDCl3)δ;3.93、6.68、9.48
IR(KBr)2720、1730、1630、1570、1470、1250、
1086、1030、1010、895、750cm-1
mass m/e 260
元素分析値 C9852としての実測値:C 41.53、H 3.10、
O 30.73、S 24.64.理論値:C 41.33、H 3.07、
O 30.90、S 24.48.
(2)ラジアレン化合物(2A)の合成
Figure 2011165567
(2−1)化合物(11)の合成
化合物(8)507mg(1mmol)と化合物(10)260mg(1mmol)とをテトラヒドロフラン20ml中に取り、溶解させた後、トリエチルアミン0.5mlを加えて攪拌した。反応後、赤色となった液体をさらに1時間攪拌した。溶媒を蒸留により取り除き、得られた残渣をメタノールで洗浄し、濾過し、化合物(11)337mgを得た。収率は73%であった。融点:184−185℃
13CNHR(CDCl3)δ;53.1、111.3、128.6、129.6、
131.8、159.5、159.7、
IR(KBr)3000、1716、1570、1260、1080、1018cm-1
mass m/e 462
元素分析値 C161484としての実測値:C 41.55、H 3.05、
O 27.67、S 27.73.理論値:C 41.57、H 3.03、
O 27.47、S 27.60.
(2−2)化合物(12)の合成
化合物(11)462mg(1mmol)をジクロロエタン40mlに加え、さらに臭素320mg(2mmol)の四塩化炭素(80ml)溶液を室温にて加えた。反応が終了したことを確認したのち、溶媒を除去し、橙黄色の化合物(12)581mgを得た。収率は94%であった。
1HNHR(CDCl3)δ;3.86
13CNHR(CDCl3)δ;53.3、96.8、130.4、131.8、
132.8、140.4、158.9、159.0
IR(KBr)2935、1725、1580、1226、1255、1090、
1029cm-1
mass m/e 620(M+
元素分析値 C161284Br2としての実測値:C 30.99、H 1.95、S 20.67.理論値:C 31.27、H 1.92、S 20.55.
(2−3)ラジアレン化合物(2B)の合成
乾燥テトラヒドロフラン20mlに、Ni(PPh32Br2(403mg,0.543mmol)、PPh3(286mg,1.09mmol)およびZn−Cu(355mg,5.43mmol)を加え、アルゴン雰囲気中で室温下30分攪拌し、深赤色液体を得た。この深赤色液体に化合物(12)689mg(1.11mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液を滴下した。14時間攪拌後、Zn−Cuを濾過し、テトラヒドロフラン溶液をアルミナクロマトグラフィーに直接展開した。
溶液をエバポレーションし、残渣をジクロロメタンに溶解し、得られた溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに展開した。展開溶媒にはジクロロメタンを用いた。赤色に発色した層をジクロロメタンに溶解し、これを再度シリカゲルカラムクロマトグラフィーに展開した。展開溶媒にはCH2Cl2/酢酸エチル(8:1)を用いた。第1層から化合物(11)81mgを、第2層から紫色の針状結晶であるラジアレン化合物(2B)153mgをそれぞれ得た。ラジアレン化合物(2B)の収率は30%であった。
1HNHR(CDCl3)δ;3.86
IR(KBr)2940、1728、1575、1428、1260、1085、
1029cm-1
mass m/e 920(M+
元素分析値 実測値(C3224168として):C 41.73、H 2.63、
S 27.85.理論値:C 42.00、H 2.56、S 27.82.
(2−4)ラジアレン化合物(2A)の合成
ラジアレン化合物(2B)100mg(0.109mmol)とLiBr・H2O(400mg,3.81mmol)とをヘキサメチルリン酸トリアミド(15ml)に加え、95℃で1時間反応させ、その後ベンゼンでバブリングさせながら155℃で1時間反応させた。この反応液を室温まで冷却した後、窒素雰囲気下にて水中に注ぎ、抽出した。ベンゼン抽出は水洗浄で行い、乾燥後、濃縮した。得られた残渣をベンゼンと中性アルミナにてクロマトグラフィーを行い、赤橙色結晶のラジアレン化合物(2A)44mgを得た。収率は89%であった。融点:195℃
1HNHR(CDCl3)δ;6.36
IR(KBr)2950、1550、1520、820、800cm-1
mass m/e 456(M+
元素分析値 実測値(C1688として):C 42.08、H 1.76. 理論値:C 42.24、H 1.74.
(合成例2)
ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.,1988,110,628−629)に記載の方法に従って、表2に示すラジアレン化合物(3B)である電極活物質を合成した。
(合成例3)
ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.,1988,110,628−629)に記載の方法に従って、表2に示すラジアレン化合物(3C)である電極活物質を合成した。
(合成例4)
テトラヘドロン・レター(Tetrahedron Letters.,30,39,5289,1989)に記載の方法に従って、表3に示すラジアレン化合物(4A)である電極活物質を合成した。
(合成例5)
テトラヘドロン・レター(Tetrahedron Letters.,30,39,5289,1989)に記載の方法に従って、直鎖アルキルの炭素原子に1,3−ジチオール環が4個置換した、下記化学構造式(W)で表されるラジアレン化合物を合成した。
Figure 2011165567
(実施例1)
本実施形態の蓄電デバイスとして、図1に示すコイン型蓄電デバイス1を作製した。図1は、本実施形態の実施形態の1つであるコイン型蓄電デバイス1の構成を模式的に示す縦断面図である。
合成例3で得られたラジアレン化合物(3C)を乳鉢で粉砕した。粉砕後のラジアレン化合物(3C)の粒子径はおよそ10μmであった。これを正極活物質として用いた。ラジアレン化合物(3C)12.5mgおよびアセチレンブラック(導電剤)100mgを均一に混合し、さらにポリテトラフルオロエチレン(結着剤)25mgを加えて混合することにより、正極合剤を調製した。
この正極合剤をアルミニウム製金網からなる正極集電体12の上に圧着し、真空乾燥を行い、正極集電体12上に正極活物質層13を形成した。これを打ち抜き裁断して、直径13.5mmの円盤状の正極21を作製した。正極活物質の塗布重量は、正極21の単位面積あたり1.5mg/cm2であった。
負極活物質層16として金属リチウム板(厚み300μm)を直径15mmの円盤状に打ち抜き、これを直径15mmの円盤状のステンレス鋼製の負極集電体17に重ね合わせ、負極22を作製した。
電解質として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(体積比1:5、比誘電率:18)に、支持塩としてホウ酸フッ化リチウム(LiBF4)を1mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。
ケース11の内面に正極集電体12が接触するように正極21を配置し、正極21の上に多孔性ポリエチレンシートからなるセパレータ14を設置した。上記で得られた電解質をケース11内に注液した。封口板15の内面に負極22を圧着し、封口板15の周縁部に樹脂製の封止リング18を装着した。この封口板15を、正極21と負極22とがセパレータ14を介して対向するように、ケース11の開口部に装着した。そして、プレス機でケース11の開口端部を、封止リング18を介して封口板15の周縁部にかしめて、ケース11を封口板15で封口した。このようにして、コイン型蓄電デバイス1を作製した。
(実施例2)
正極活物質として、ラジアレン化合物(3C)に代えて合成例2で得られたラジアレン化合物(3B)を用いる以外は、実施例1と同様にして、コイン型蓄電デバイスを作製した。
(比較例1)
正極活物質として、ラジアレン化合物(3C)に代えて合成例5で得られたラジアレン化合物(W)を用いる以外は、実施例1と同様にして、コイン型蓄電デバイスを作製した。
(試験例1)
実施例1〜2および比較例1のコイン型蓄電デバイスについて、それぞれ、電流0.02mA、所定の電圧範囲内で10サイクルの定電流充放電サイクル試験を実施した。試験を実施した電圧範囲は、実施例1の蓄電デバイスは3.0V〜3.5Vであり、実施例2および比較例1の蓄電デバイスは3.0V〜3.9Vであった。なお、実施例2および比較例1の蓄電デバイスは、実施例1の電圧範囲では充電が完了しないので、電圧上限を3.9Vにして充放電を行った。
実施例1の蓄電デバイスのサイクル試験結果を図2に示す。図2は、実施例1の蓄電デバイスの充放電試験における10サイクル目の電池容量と電池電圧との関係を示すグラフである。図2から、実施例1の蓄電デバイスは、およそ3.3Vの放電電圧で、可逆な充放電動作が可能であることが確認された。
実施例2の蓄電デバイスのサイクル試験結果を図3に示す。図3は、実施例2の蓄電デバイスの充放電試験における10サイクル目の電池容量と電池電圧との関係を示すグラフである。図3から、実施例2の蓄電デバイスは、およそ3.5Vの放電電圧で、可逆な充放電動作が可能であることが確認された。
比較例1の蓄電デバイスは、1サイクル目から放電容量を得ることができなかった。定電流充放電サイクル試験後の比較例1の蓄電デバイスを分解して観察したところ、セパレータに着色が見られた。このことから、電極活物質が電解液に溶解したために、可逆充放電が確認されなかったと考えられる。
表4に、実施例1、2および比較例1の蓄電デバイスのサイクル試験結果を示す。表4中に記載の10サイクル後放電容量維持率は、1サイクル目の放電容量に対する10サイクル目の放電容量の百分率である。また、放電電圧は、放電電圧曲線における電圧平坦部の電圧を示す。
Figure 2011165567
これらの結果から、比較例1の蓄電デバイスでは可逆な充放電反応を確認できなかったのに対し、本実施形態の蓄電デバイス用活物質を含む実施例1および2の蓄電デバイスは、可逆な充放電動作することが判った。この理由について、以下に考察をする。
実施例1、2で正極活物質として用いた本実施形態の電極活物質は、1,3−ジチオール環が環状に配置された環状構造を有している。一方、比較例1のラジアレン化合物(W)は、1,3−ジチオール環が鎖状に配置された構造を有している。いずれの化合物も、基本的な分子構造は類似しており、充放電が可能な分子であると考えるのが一般的である。しかしながら、電極活物質としての機能には大きな差異が見られた。
これは、分子構造の違いに起因する、充放電時の電解質に対する溶解性の違いによると考えられる。すなわち、環状構造を有する実施例1、2のラジアレン化合物(3C)および(3B)は分子構造の平面性が増して結晶化しやすくなり、電解質に対して不溶化したと考えられる。逆に、鎖状構造を有する比較例1のラジアレン化合物(W)は分子構造の平面性を有さないことから結晶化せず、電解質に溶解しやすくなったと考えられる。
実施例1の蓄電デバイスは、実施例2の蓄電デバイスと比較して、10サイクル後容量維持率が高く、よりサイクル特性に優れることがわかった。これは、正極活物質として使用したラジアレン化合物の分子末端の官能基の違いであり、ラジアレン化合物(3C)が有するベンゼン環は、ラジアレン化合物(3B)が有するCOOMe基よりもサイクル特性向上に寄与すると考えられる。
実施例2の蓄電デバイスは、実施例1の蓄電デバイスと比較して、放電電圧が高く、より高容量であることがわかった。これは、分子末端の官能基の違いであり、ラジアレン化合物(3B)が有するCOOMe基は、ラジアレン化合物(3C)が有するベンゼン環よりもが放電電圧の向上に寄与すると考えられる。
本発明の蓄電デバイス用電極活物質のように、複数の1,3−ジチオール環分子が環状に配置された環状構造を設計することにより、サイクル特性の向上した蓄電デバイスを提供することができる。また、本実施形態の蓄電デバイス用活物質は、高容量、高電圧であり、かつサイクル特性に優れることが判った。
これらの結果から、本発明の蓄電デバイス用電極活物質は、蓄電デバイス用電極活物質として動作することが判った。また、本発明の蓄電デバイス用活物質は、高容量、高電圧を有し、かつサイクル特性に優れていることが判った。
本発明の蓄電デバイスは、従来の蓄電デバイスと同様の用途に使用でき、特に、携帯用電子機器の電源として有用である。携帯用電子機器には、パーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器、携帯情報端末(PDA)、携帯用ゲーム機器、ビデオカメラなどがある。また、本発明の蓄電デバイスは、ハイブリッド電気自動車、燃料電池自動車、プラグインHEVなどにおける電気モータ駆動用の主電源または補助電源、電動工具、掃除機、ロボットなどの駆動用電源などとしての利用も期待される。
1 蓄電デバイス
11 ケ−ス
12 正極集電体
13 正極活物質層
14 セパレ−タ
15 封口板
16 負極活物質層
17 負極集電体
18 封止リング
21 正極
22 負極

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)で表されるラジアレン化合物を含む蓄電デバイス用電極活物質。
    Figure 2011165567
    〔式(1)中、Xは酸素原子または下記一般式(Z)で表される2価基を示す。Yは下記一般式(Z)で表される2価基を示す。nは1から3の整数である。
    Figure 2011165567
    (式(Z)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシアルキル基、チオアルキル基、不飽和脂肪族基または飽和脂肪族基を示す。前記不飽和脂肪族基および前記飽和脂肪族基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子また珪素原子を含んでいてもよい。前記不飽和脂肪族基および前記飽和脂肪族基は、直鎖状または環状である。R1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。)〕
  2. 前記ラジアレン化合物が、前記一般式(1)においてn=1のラジアレン化合物である請求項1に記載の蓄電デバイス用電極活物質。
  3. 前記一般式(1)においてn=1の前記ラジアレン化合物が、下記一般式(2)で表されるラジアレン化合物である請求項2に記載の蓄電デバイス用電極活物質。
    Figure 2011165567
    〔式(2)中、4つのR1および4つのR2は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシアルキル基、チオアルキル基、不飽和脂肪族基または飽和脂肪族基を示す。前記不飽和脂肪族基および前記飽和脂肪族基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子また珪素原子を含んでいてもよい。前記不飽和脂肪族基および前記飽和脂肪族基は、直鎖状または環状である。同じ1,3−ジチオール環に結合するR1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。〕
  4. 前記ラジアレン化合物が、前記一般式(1)においてn=2のラジアレン化合物である請求項1に記載の蓄電デバイス用電極活物質。
  5. 前記一般式(1)においてn=2の前記ラジアレン化合物が、下記一般式(3)で表されるラジアレン化合物である請求項4に記載の蓄電デバイス用電極活物質。
    Figure 2011165567
    〔式(3)中、4つのR1および4つのR2は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシアルキル基、チオアルキル基、不飽和脂肪族基または飽和脂肪族基を示す。前記不飽和脂肪族基および前記飽和脂肪族基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子また珪素原子を含んでいてもよい。前記不飽和脂肪族基および前記飽和脂肪族基は、直鎖状または環状である。同じ1,3−ジチオール環に結合するR1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。〕
  6. 前記一般式(1)においてn=2の前記ラジアレン化合物が、下記一般式(4)で表されるラジアレン化合物である請求項4に記載の蓄電デバイス用電極活物質。
    Figure 2011165567
    〔式(4)中、5つのR1および5つのR2は、それぞれ独立して、水素原子、カルボキシアルキル基、チオアルキル基、不飽和脂肪族基または飽和脂肪族基を示す。前記不飽和脂肪族基および前記飽和脂肪族基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子また珪素原子を含んでいてもよい。前記不飽和脂肪族基および前記飽和脂肪族基は、直鎖状または環状である。同じ1,3−ジチオール環に結合するR1およびR2は互いに結合して環を形成してもよい。〕
  7. 正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極および電解質を含み、前記正極活物質および前記負極活物質の少なくとも一方が、請求項1〜6のいずれか1つに記載の蓄電デバイス用電極活物質である蓄電デバイス。
  8. 前記電解質が、比誘電率10〜30である非水溶媒と、前記非水溶媒中に溶解しているアニオンおよびカチオンからなる塩とを含有する請求項7に記載の蓄電デバイス。
  9. 前記非水溶媒が、比誘電率10以下の溶媒と、比誘電率30以上の溶媒との混合物である請求項8に記載の蓄電デバイス。
  10. 前記比誘電率10以下の溶媒が、鎖状炭酸エステル、鎖状エステルおよび鎖状エーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1つであり、かつ、前記比誘電率30以上の溶媒が、環状炭酸エステルおよび環状エーテルから選ばれる少なくとも1つである請求項9に記載の蓄電デバイス。
  11. 前記カチオンが4級アンモニウムイオンを含む請求項8〜10のいずれか1つに記載の蓄電デバイス。
  12. 前記カチオンがリチウムイオンを含む請求項8〜10のいずれか1つに記載の蓄電デバイス。
  13. 前記負極が金属リチウム、リチウム合金またはリチウムイオンを吸蔵放出可能な材料を含む請求項12に記載の蓄電デバイス。
  14. 請求項7〜13のいずれか1つに記載の蓄電デバイスを電源として備える電子機器。
  15. 請求項7〜13のいずれか1つに記載の蓄電デバイスを電源として備える輸送機器。
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