JP2011164048A - 放射線測定装置 - Google Patents

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Fumihiko Kobayashi
文彦 小林
Yoshihiko Ohigata
祐彦 大日方
Yusaku Koga
悠策 古賀
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Abstract

【課題】1つの線源と異なる特性の半導体検出器の組み合わせにより高精度にエネルギー弁別が行える安価でコンパクトな装置を用いて複層膜厚の同時独立算出を可能にした放射線測定装置を提供する。
【解決手段】線源から出射した放射線を放射線感度が異なる複数個の半導体検出器に照射し、前記複数個の半導体検出器の出力をもとに前記放射線のエネルギー強度分布を演算する。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射線(例えばX線,ベータ線、ガンマ線等)を用いた放射線測定装置に関し、1つの線源に対して特性の異なる複数の半導体放射線検出器(以下、単に半導体検出器という)を用い、それぞれの半導体検出器で吸収される線量の割合から放射線のエネルギー弁別を行う装置であって、試料を透過した放射線量を弁別した結果から試料の厚さを算出する放射線測定装置に関するものである。
X線を用いた透視による解析や検査はX線の透過強度を画像化したもので、それを画像処理することでX線の強度情報を得ている。しかし、X線の強度情報のみでは物質の影絵を見ているに過ぎず、物質内部の形状はわかっても材質や状態を詳しく知るには限界がある。一方、人間の目は光の強度情報だけでなく、光の波長(色)情報を捉えることが出来るため、物質の材質や状態を詳しく認識することが出来る。X線の強度情報を捉えるだけではなく、X線の持つエネルギー(波長)情報を捉えるとこが出来れば内部の材質や状態を解析することができる。
図7はX線、β線の2種類の線源1a,1bを用いて異なる素材の厚さ(坪量)を測る装置の一例を示す要部斜視図およびブロック構成図である。被測定物3は矢印P方向へ一定速度で流れており、それぞれの線源1a,1bに対して夫々の検出器(電離箱2a,2b)が正対した位置に配置してある。夫々の線源1a,1bと検出器2a,2bを搭載した異なるフレーム(11a:X線測定装置,11b:β線測定装置)で、X線源1aは電源回路11cおよびX線駆動回路11dを介して、β線源1bはシャッタ駆動回路11eを介して被測定物(シート)3の同一箇所を測定できる様に構成されている。被測定物3としては例えば、磁気フィルムで薄いベースシート上に異なる物質(磁性体)を薄く塗布(蒸着)した複合材料などであり、塗布(蒸着)量及びベースシートの厚さをそれぞれ測るような用途に用いられる。
透過測定方式の吸収の式は、測定厚さをX、透過前の検出器出力をI、透過後の検出器出力をIとすると、I=Iexp(-μx)と表わすことができる。吸収係数μは、β線源の場合はそのエネルギーによって一定値に定まり、被測定物3には影響されない特徴があるため、測定厚さ範囲によって線源の種類を選ぶことになる。
紙・プラスチック等の測定には、通常85Krまたは147Pmのような弱いエネルギーのβ線源が使用される。
X線の場合は被測定物3によっても吸収係数は変化するので測定範囲を考慮して管電圧を最適に選ぶ必要がある。紙やシート材の例では品種や厚さにより変化し、μ=a*x+b(a,bは品種によって決まる定数)と表すことができる。4.5keVのX線の例では、磁気フィルムのベースシートに対し磁性層では約5倍の吸収係数を示す。
透過してきた厚さ情報を持った放射線はキセノンなどの希ガスを封じた電離箱2a,2bで検出される。この際、X線、β線いずれの場合においても線源1a,1bと検出器(電離箱2a,2b)間の空気層も同時に測定してしまうため、この空気層の温度変化の影響が大きい。この影響を除くために、空気層の温度を温度検出器6a,6bで検出して温度補償し、電離箱の微小検出電流を増幅回路4a,4b(プリアンプ)で増幅する。
その出力はA/D変換器5a,5bでA/D変換されて演算部16(マイクロコンピュータ)に含まれる信号処理部7a,7bへ送られて演算に供される。信号処理部7a,7bでは、予め被測定物3と同一の材質であって厚さの異なる坪量が既知の試料の測定により作成された検量線の校正データ8a,8bと比較することにより、所望材質の厚さを判定することが出来る。これを測定に用いる夫々の線源1a,1bについて行っておき、記憶部(図示せず)に格納しておく。特に、上記に示した複合材料による積層の材料で夫々の厚さを求める際には、夫々の線源により得られた測定値が材料毎の吸収係数と厚さの積の総和である事から、これを比較演算処理部9で連立演算として解く事により算出が可能となる。
なお、それらの厚さ情報は表示部や生産管理サーバ10へ送出される。
また、センサ部(線源1a,1bおよび電離箱2a,2b)は被測定物(シート)3の幅方向に機械的に走査され、厚さの幅方向分布を測定できるように構成されている。双方の測定ポイントは同一箇所を比較演算できるように同期を取っている。
特開昭63−171387 特開平6−66947
ところで、上記従来の放射線測定装置においては、
1)異なる線源を2台搭載するとともに、測定装置を2台配置したシステム構成にしなければならないため、システム価格が高価となり、また、線源や検出器のスペースも2台分必要になる。
2)2つの線源の安定制御(安定駆動)にそれぞれ独立した制御機構を設ける必要がある。特に、成膜の高速化により同一位置を測定するための同期制御は困難になってきている。また、同一位置を正確にトラッキング(線源及び検出器のシート幅方向への走査位置)ができない場合には測定誤差を大きくする事になる。
3)線源の経時変化補正の如何によって、測定精度が悪くなる可能性がある。
という課題があった。
従って本発明は、複層膜厚の測定のために2つの線源を用いなくても、1つの線源と異なる特性の半導体検出器の組み合わせにより高精度にエネルギー弁別が行える安価でコンパクトな装置を用いて複層膜厚の同時独立算出を可能にした放射線測定装置を提供することを目的としている。
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の放射線検査装置の発明は、
線源から出射した放射線を放射線感度が異なる複数個の半導体検出器に照射し、前記複数個の半導体検出器の出力をもとに前記放射線のエネルギー強度分布を演算することを特徴とする。
請求項2においては、請求項1に記載の放射線測定装置において、
前記複数個の半導体検出器のうちの少なくとも一つに印加された逆バイアスを変化させることで空乏層の厚さを変化させるように構成したことを特徴とする。
請求項3においては、請求項1または2に記載の放射線測定装置において、
前記複数個の半導体検出器の内の放射線感度が同等の複数個を直線状に配列した第1半導体検出器と、該第1半導体検出器とは放射線感度が異なるとともに放射線感度が同等の複数個を直線状に配列した第2半導体検出器からなり、前記第1、第2半導体検出器を並列にかつ近接して配置したことを特徴とする。
請求項4においては、請求項1または2に記載の放射線測定装置において、
前記複数個の半導体検出器の内の放射線感度が異なる2つの半導体検出器を一対とし、該一対の半導体検出器を複数個作成し、該半導体検出器を近接して直線状に配置して前記放射線のエネルギー強度分布を演算することを特徴とする。
請求項5においては、
線源から出射した放射線を逆バイアスが印加された半導体検出器に照射し、前記半導体検出器に印加された逆バイアスを変化させることで空乏層の厚さを変化させ、前記半導体検出器の出力を元に前記放射線のエネルギー強度分布を演算することを特徴とする。
請求項6においては、請求項5に記載の放射線測定装置において、
前記半導体検出器を近接して直線状に配置して前記放射線のエネルギー強度分布を演算することを特徴とする。
本発明によれば以下のような効果がある。
請求項1〜6によれば、
1.線源が1つで済むため、システム価格が低く抑えられ、またスペースも2台分の測定フレームを必要しなくなるため、フットプリントに有利であり生産ラインの短縮に寄与する。
2.線源の安定制御(安定駆動)は1つの線源について行えば良いため、1つの制御機構で済む。
3.透過特性の校正も、1つの線源から得られ、事前の校正データ取得が容易である。
4.線源の経時変化補正が高精度でなくても、夫々の半導体検出器は1つの線源に同期して依存するためエネルギー弁別精度が悪くならない。
本発明の実施形態の一例を示す放射線測定装置の構成を示す断面図(a)、および半導体検出器を構成する素子の感度特性を示す(b)である。 半導体検出器の空乏層に逆方向のバイアス電圧を与えるように構成した断面図である。 本発明を応用してシート状物質の物理特性を測定するための構成を示す図である。 放射線エネルギーの強度と感度の関係を示す説明図である。 放射線測定装置の応用例を示す説明図である。 本発明を応用してシート状物質の物理特性を測定するための他の構成を示す図である。 従来の放射線測定装置の一例を示す要部斜視図およびブロック構成図である。
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。
図1aは、本発明において、X線、β線、γ線などの放射線を測定する際の半導体検出器の構成を示す断面図であり、放射線が入射して出力電流が流れる様子も模式的に示している。(イ),(ロ),(ハ)は、放射線を検出する半導体検出器の素子の模式図であり、これらの半導体検出素子は例えば、SiのPINフォトダイオードにより形成される。図では省略しているが、半導体検出素子には、一定の逆バイアス電圧を印加してもよい。
本発明では、これらの素子を複数個並べて使用する。図1では、3個の素子を使用する例を示している。それぞれの素子は、放射線を吸収して電流に変換する“吸収層”の厚さのみが異なっている。(イ),(ロ),(ハ)は、それぞれ吸収層の厚さがd0,d1,d2(d0>d1>d2)となっている。
図1(a)では、電気的および物理的に完全に分離された素子を示しているが、同一の基板上に作成した集積素子などであってもよい。
測定対象となる放射線のエネルギー分布および強度は、半導体検出素子(イ),(ロ),(ハ)の入射面内で均一であることが本発明での条件である。この条件は、全放射線検出素子を、放射線が面内で均一な領域に配置することで実現する。
図1(b)に半導体検出器を構成する素子の感度特性を示す。横軸が入射放射線のエネルギーで、縦軸が感度である。半導体検出素子(イ),(ロ),(ハ)は吸収層の厚さが異なるため、感度特性が異なる。吸収層厚d0が(イ)の素子、d1が(ロ)の素子、d2が(ハ)の素子の特性を示す。ここで感度は、一定強度の放射線が半導体検出素子に入力したときに、それぞれの半導体検出素子から出力される電流量に対応する。
低エネルギーでは、吸収層厚が比較的薄くても全エネルギーを吸収できるため、感度が飽和して平らな特性を示している。ここでは、素子表面での入射放射線の反射、吸収や散乱が小さく無視できるか、あるいは、感度が平らな部分では、量子効率が100%であると考える。同じ吸収層厚では、高エネルギーの放射線は、低エネルギーの放射線より吸収される割合が小さくなるため、量子効率が100%より小さくなり、感度の低下が現れる。吸収層厚が厚いほど高エネルギーにおいての感度の低下は小さくなる。つまり、吸収層厚が厚いほど高エネルギーにおける感度は高くなる。したがって、(イ),(ロ),(ハ)の順に高エネルギーでの感度が高い。
次に、図1(b)を用いて、放射線のエネルギーを弁別する手法を説明する。
測定対象の放射線の最大エネルギーをEmaxとする。また、(イ),(ロ),(ハ)の図1(b)の特性は、予め測定や計算により求めておくものとする。ここで、(イ)の特性は、エネルギーEmaxまで量子効率100%の感度であり、(ロ)はE1=Emax-ΔE1まで、(ハ)はE2=E1-ΔE2まで量子効率100%の感度であるとする。
(イ)の素子では、測定対象の放射線の最大エネルギーEmaxまで量子効率が100%であるので、入射した放射線は全て吸収層で吸収されて電流に変換される。このときの出力電流はIとなる。
(ロ)の素子は、E1〜Emaxにおいて量子効率が(イ)の素子より、すなわち、100%より小さい。そのため、E1〜Emaxのエネルギーの放射線が電流に変換される割合が小さくなり、出力電流IはIより小さくなる。(ロ)の素子で、E1とEmaxの差が小さければ、E1〜Emaxのエネルギーに対する(ロ)の素子の感度は、S1(Emax)の一定値と近似できる。
その範囲での(イ)の素子の感度からの低下をΔS1(Emax)とすれば、Iは次のように表わすことができる。
I=I-A1・ΔS1(Emax)・・・・・(1)
ここで、A1は比例定数であり、E1〜Emaxのエネルギーの放射線の強度に相当する。
I,Iは測定値で、ΔS1(Emax)は、予め求めた感度特性から求められる量であるので、A1が求められる。
(ハ)の素子は、E1〜EmaxおよびE2〜E1において量子効率が(ロ)より小さい。出力電流IのIからの減少分を、E1〜Emaxのエネルギーの放射線の寄与分と、E2〜E1のエネルギーの放射線の寄与分とに分けて考えると、Iは次のように表わすことができる。
ここで、(ハ)の素子で、E1とEmax、E2とE1の差が小さくそれらの区間でも感度が、S2(Emax)およびS2(E1)の一定値で近似できるとする。
I=I-A1・ΔS2(Emax)- A2・ΔS2(E1) ・・・・・(2)
ここで、A2は比例定数であり、E2〜E1のエネルギーの放射線の強度に相当する。
以上のように、3個の素子を使用して、Emax〜E1のエネルギーを持つ放射線の強度A1と、E2〜E1のエネルギーを持つ放射線の強度A2を求めることができる。素子数を増やせば、同様にして、E3〜E2間、E4〜E5間、・・・と、順次低エネルギー側の放射線の強度を求めることができる。
図2は図1(a)の構成において、(イ),(ロ),(ハ)を、可変の逆方向のバイアス電圧を与えるように構成した1つの半導体検出素子で置き換えた図である。このような構成においてバイアス電圧を変化させると、空乏層の厚さが変化し、感度特性が変化する。例えば、3種類の異なるバイアス電圧を与えると、そのバイアス電圧に応じて図1(b)の(イ),(ロ),(ハ)のように素子の感度特性が変化する。この感度差を利用してエネルギー弁別を行うことができる。バイアス電圧を時間軸に沿って掃引したり、複数の設定値を与えて規定厚での測定を行ったりすれば、1つの線源と1つの半導体検出器の組み合わせでエネルギー弁別が可能となる。
図3(a)は、図1(a)の素子を厚さ計へ搭載したシステムの例を示す。図3(a)では、図2の(イ)が第1半導体検出器22a、(ロ)が第2半導体検出器22bであるとし、第3半導体検出器(ハ)は図では省略するが、第1,第2半導体検出器と同様に放射線が照射され、同様に生成された電気信号がプリアンプで増幅され、A/D変換されて演算部6に入力されているものとする。
図3(a)のシステムで、被測定物として、異なる2種類の物質が2層に積層された物質の坪量を測定するには、被測定物3を透過した放射線の強度を、2種類のエネルギーにおいて求め、それらの値を演算することで実現する。2種類のエネルギーでの放射線の強度は、上述の(1),(2)式により求める。演算については後述する。
システムについて簡単に説明する。
図3(a)は要部ブロック構成図である。これらの図において、従来例の図7と同一要素には同一符号を付している。
X線またはβ線またはγ線などの放射線源21に正対する位置に第1半導体検出器22aと第2半導体検出器22b,第3半導体検出器(図示省略)を近接させ且つ、被測定物3の搬送方向Pに対して直交するように併設してある。また、余分な放射線が漏れないようにコリメータ23や照射筒(図示せず)などが設けられている。
第1半導体検出器22aと第2半導体検出器22b及び第3半導体検出器(図示省略)は上面が略一致するように揃えてあり、被測定物 (シート状試料)3は夫々のセンサの上空を通過するものとし、夫々のセンサの検出部間の距離と被測定物の搬送速度から、第1半導体検出器22aと第2半導体検出器22b、第3半導体検出器(図示省略)は同一の測定箇所を同期して演算できるように構成されている。
被測定物3を透過してきた厚さ情報を持った放射線は第1,第2,半導体検出器22aと22b及び第3半導体検出器(図示省略)で検出される。この際、X線、β線いずれの場合においても線源21と半導体検出器間の空気層も同時に測定してしまうため、この空気層の温度変化の影響が大きい。この影響を除くために、空気層の温度を温度検出器6a,6bで検出して温度補償し、第1,第2半導体検出器22a,22b及び第3半導体検出器で検出した微小検出電流を増幅回路4a,4b及び4c(図示省略)(プリアンプ)で増幅する。
その出力はA/D変換器5a,5bでA/D変換されて演算部16(マイクロコンピュータ)に含まれる信号処理部7a,7b,7c(図示省略)へ送られて演算に供される。その後、比較演算処理部9へ送られ、予め取得した、第1,第2半導体検出器22a,22b及び第3半導体検出器の感度特性、注目する2種類のエネルギーにおける基準強度、すなわち、被測定物を透過しない状態での放射線強度、および、被測定物3を構成する2種類の物質それぞれの吸収係数のデータ8a,8b,8c(図示省略)とを演算することにより、所望材質の厚さを判定することが出来る。ここでの厚さ判定は、まず前述の(1),(2)式において2種類のエネルギーでの放射線の強度を算出し、続いて、後述の(5),(6)式により厚さに変換する。
なお、それらの厚さ情報は表示部や生産管理サーバ10へ送出される。
なお、センサ部(線源21及び第1,第2半導体検出器22a,22b及び第3半導体検出器)は被測定物(シート)の幅方向に機械的に走査され、厚さの幅方向分布を測定できるように構成されている。
図3(b)は、測定対象となる2層の物質について示す。xが第1の物質、yが第2の物質で、坪量がそれぞれBW1、BW2であるとする。注目する放射線のエネルギーをEh,Elとする。Eh,Elは“高エネルギー(Eh)”および“低エネルギー(El)”を意味し、図1(b)では、例えば、それぞれE1,E2に対応する。それぞれのエネルギーの放射線がx,yを透過する前後の強度を、それぞれI(Eh),I(Eh)、および、I(El),I(El)とする。また、x,yそれぞれで、Eh,Elそれぞれでの吸収係数を、μ1(Eh),μ1(El),μ2(Eh),μ2(El)とする。
I,Iは、図1(a,b)の説明で示した測定から、μ1,μ2は、シミュレーション、あるいは、予め単層の測定物を測定することで求めることができる。測定物の透過前後の放射線強度には次の関係がある。
I(Eh)=I(Eh)exp(-μ1(Eh)BW1-μ2(Eh)BW2) ・・・・・(3)
I(El)=I(El)exp(-μ1(El)BW1-μ2(El)BW2) ・・・・・(4)
したがって、坪量BW1、BW2は次の式によって得ることができる。
BW1 ={μ2(El)・ln(I(Eh)/I(Eh))-μ2(Eh)・ln(I(El)/I(El))/
{μ1(El)・μ2(Eh)-μ1(Eh)・μ2(El)}・・・・・(5)
BW2 ={μ1(Eh)・ln(I(El)/I(El))-μ1(El)・ln(I(Eh)/I(Eh))/
{μ1(El)・μ2(Eh)-μ1(Eh)・μ2(El)}・・・・・(6)
図4(a)のように、放射線のエネルギー強度分布が、E1,E2に2つのピークを持ち、放射線が、概ねE1,E2の2種類のエネルギーで構成されていると考えて差し支えない場合は、図1の構成の半導体検出器が2つあればエネルギーを弁別することができる。半導体検出器をD0,D1とし、それぞれの感度を図4(b)に示すように選定すれば、D0とD1の出力電流の差は、E1のエネルギーの放射線の感度差によるものである。D0の電流をI、D1の電流をIとすると、前述の(1)の関係がある。ただしA1は、図4(a)(b)のE1のエネルギーの放射線の強度である。放射線がE1,E2の2種類のエネルギーで構成されていると考えると、D0の電流Iは次の式で表すことができる。
I=A1・S0(E1)+ A2・S0(E2)・・・・・(7)
ここでS0(E1)、S0(E2)は、D0の素子の、エネルギーE1およびE2の放射線に対する感度で、A2は図4(a)(b)のE2のエネルギーの放射線の強度である。(7)式よりA2が求められる。以上のようにしてE1,E2のエネルギーの放射線を弁別できるので、(5),(6)式により膜厚を求めることができる。
図5(a)は図3の構成において、第1〜第3半導体検出器を、第1〜第3ラインセンサとした状態を示すものである。図5(b)は第1ラインセンサを模式的に示すもので、例えば図1(a)に示す半導体検出器(イ),(ロ),(ハ)のいずれかを直線状に並べたものであり、図ではaで示す半導体検出器が16個(実用上は数百個)を配置した例を示している。
ここで、ラインセンサとは、ある時刻における1次元の放射線強度分布を測定できる半導体検出器のことである。簡単化して考えると、複数の半導体検出器を、直線上に連続して配置し、全体でひと纏まりとした半導体検出器である。
図5(b)は22aで示す全体が第1ラインセンサであり、aが構成要素となる半導体検出器(以下、構成素子)の一つを示している。
まず、次の構成を考える。第1〜第3ラインセンサ内の構成素子の感度はそれぞれのセンサ内ですべて同じで、かつ、第1〜第3ラインセンサでは構成素子の感度が異なる。
図5(c)はそのイメージを示すもので、感度の異なるa,b,cの構成素子が直線状に並べられた第1〜第3ラインセンサ22a,22b,22cが近接して配置されている。
このような構成において、第1ラインセンサ内の構成素子と、それと同位置にある第2,第3ラインセンサ内の構成素子の測定データを使用してエネルギー弁別の操作を行えば、構成素子のそれぞれの位置における試料の厚さを知ることができる。構成素子は、ほぼラインセンサの長さに渡って配置されているので、ラインセンサの長さの領域に渡って試料の厚さを知ることができる。ラインセンサが試料の全幅をカバーすれば、試料の全幅に渡る測定が、同時に可能となる。
図5(d)は他の実施例を示すもので、この例においては、図5(c)に示すa,b,cの構成素子22dを一組としてその複数組を直線状に近接して並べたもので、測定スポットは荒くなるが一つのラインセンサで3種類のセンサを構成することができる。
上述の構成によれば、各まとまり内の構成素子を使ってエネルギー弁別の操作を行えば、各まとまりの位置における試料の厚さを知ることができる。ラインセンサが試料の全幅をカバーすれば、試料の全幅に渡る測定が、同時に可能となる。
以上の説明における感度特性の異なる構成素子は、吸収層の厚さが異なる素子でもよいし、また、同一構造の素子であって、印加される逆バイアス電圧が異なる素子でもよい。
また、可変の逆バイアス電圧を印加できるように構成された1種類の素子で構成した一つのラインセンサであってもよい。
試料を透過した放射線の強度だけを測定するのでは、試料の組成に関する情報を得ることは難しい。一方、試料を透過した放射線のエネルギー強度分布を測定すれば、試料の組成に関する情報を比較的容易に得やすい。
本発明の装置を用いることで、試料を透過した放射線をエネルギー弁別してエネルギー強度分布を取得すれば、その情報を試料の品質向上に役立てることができる。
図6(b)は図3(a)に示すシステム構成に、一点差線で囲ったQで示す部分の下記の要素を追加したものである。なお、この場合においても図6(a)に示すように第1〜第3ラインセンサ22a,22b,22cを用いるが、図6(b)では図3(a)で説明したように第3半導体検出器は省略して表示している。
即ち、図6(b)において、比較演算処理部9の後段に基準となる試料に対する弁別情報を、基準データとして保存するために機能する基準データ30、この基準データ30と各測定時の弁別情報を比較し、その差異を品質情報として出力し、表示部、生産管理サーバ10に与えるために機能する弁別情報比較部31、品質情報を解析・演算して、操作端33を操作するための情報を生成し、操作端に出力するために機能する制御演算部32を追加する。
ここで、基準データ30は、感度特性の異なる複数の素子を用いて、または、一つの素子でバイアス電圧を掃引または複数設定することによって求めたエネルギー強度分布である。
弁別情報比較部31では、現在の厚さ情報を用いて補正した基準データと、現在の弁別情報とを比較する。両者が一致すれば組成に大きな変化はなく品質は保たれているものとする。
不一致と判断されれば、組成などの品質に係わる部分に変化が発生していると判断される。
そして、品質に変化がある場合は、その変化を打ち消すように、操作端33を操作する。この操作のための情報は、制御演算部32が生成する。ここで操作端33とは、被測定物(試料)3の作製時に、材料の供給量を調整することによって、あるいは、試料3の物理的あるいは化学的な性質を変えることによって、試料の厚さや品質などを変えることができる装置を指している。
操作端33が操作された後に作製された試料は、再び本システムによって測定され、品質情報が取り出され、必要であれば再び操作端33の操作を行って品質を調整する。
以上のように、図6によれば、試料の品質情報を取得する機能(基準データ30、弁別情報比較部31)と、作製する試料の品質を調整できる機能(制御演算部32、操作端33)とが一つのシステムに組み込まれ、フィードバックループを形成することで、自動的に品質を維持・改善する機能を有する放射線測定装置を構成することができる。
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。従って本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形を含むものである。
1,21 線源
2 電離箱
3 被測定物(試料)
4 プリアンプ
5 A/D変換器
6 温度検出器
7 信号処理部
8 校正データ
9 比較演算処理部
10 表示部、生産管理サーバ
11a X線測定装置
11b β線測定装置
11c 電源回路
11d X線駆動回路
16 演算部(マイクロコンピュータ)
22a 第1半導体検出器
22b 第2半導体検出器
22c 第3半導体検出器
30 基準データ
31 弁別情報比較部
32 制御演算部
33 操作端

Claims (6)

  1. 線源から出射した放射線を放射線感度が異なる複数個の半導体検出器に照射し、前記複数個の半導体検出器の出力をもとに前記放射線のエネルギー強度分布を演算することを特徴とする放射線測定装置。
  2. 前記複数個の半導体検出器のうちの少なくとも一つに逆バイアスを印加して空乏層の厚さを変化させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の放射線測定装置。
  3. 前記複数個の半導体検出器の内の放射線感度が同等の複数個を直線状に配列した第1半導体検出器と、該第1半導体検出器とは放射線感度が異なるとともに放射線感度が同等の複数個を直線状に配列した第2半導体検出器からなり、前記第1、第2半導体検出器を並列にかつ近接して配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の放射線測定装置。
  4. 前記複数個の検出器の内の放射線感度が異なる2つの半導体検出器を一対とし、該一対の半導体検出器を複数個作成し、該半導体検出器を近接して直線状に配置して前記放射線のエネルギー強度分布を演算することを特徴とする請求項1乃至3に記載の放射線測定装置。
  5. 線源から出射した放射線を逆バイアスが印加された半導体検出器に照射し、前記半導体検出器に印加された逆バイアスを変化させることで空乏層の厚さを変化させ、前記半導体検出器の出力を元に前記放射線のエネルギー強度分布を演算することを特徴とする。
  6. 前記半導体検出器を近接して直線状に配置して前記放射線のエネルギー強度分布を演算することを特徴とする請求項5に記載の放射線測定装置。
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