JP2011162370A - 高放熱性複合ガラス及びそれを用いた放熱方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】閉鎖空間を囲むガラス材であって、透明度を保ちながら、太陽光線等により閉鎖空間内部に蓄積した熱を効率よく外部へ放出させうるもの、及びそれを用いた放熱方法を提供する。
【解決手段】常温熱放射の波長域における放射熱吸収率が85.7%以上のガラス基体1の片面に、常温熱放射の波長域における放射熱透過率が80.7%以上で放射熱吸収率が19.2%以下の被膜2を形成して高放熱性複合ガラスとし、これを閉鎖空間の隔壁の少なくとも一部に使用し且つ前記被膜2が閉鎖空間内部Aに向くように配置することによって、閉鎖空間内部Aに蓄積された熱を外部に放熱する。
【選択図】図1
【解決手段】常温熱放射の波長域における放射熱吸収率が85.7%以上のガラス基体1の片面に、常温熱放射の波長域における放射熱透過率が80.7%以上で放射熱吸収率が19.2%以下の被膜2を形成して高放熱性複合ガラスとし、これを閉鎖空間の隔壁の少なくとも一部に使用し且つ前記被膜2が閉鎖空間内部Aに向くように配置することによって、閉鎖空間内部Aに蓄積された熱を外部に放熱する。
【選択図】図1
Description
本発明は、新規な高放熱性複合ガラスに関する。さらに詳しくは、本発明は、建物や車両、電子機器などの密閉された空間(閉鎖空間)の隔壁に使用されるガラスにおいて、該ガラス面を透過した太陽光線による発熱及び各種電子機器などの発熱で前記閉鎖空間内部に熱が充満したとき、この充満した熱を効率よく外部へ放熱しうる高放熱性複合ガラス、及びそれを用いた放熱方法に関する。
現在、オフィスビルや家庭などに多くの電子機器が導入され、窓ガラスからの日射による熱の入射と重なり、夏季だけではなく冬季においても冷房機器を必要としている状況がある。
このような状況を改善するために、窓ガラスからの日射による熱負荷を軽減させる方法として、窓ガラスを熱線反射ガラスや熱線吸収ガラスに変えたり、通常の窓ガラスに熱線反射フィルムや熱線吸収フィルムを貼付させて太陽光線の入射を遮断させたりしているが、内部の電子機器などの発熱も大きく充分な効果は得られていない。
一般に、密閉された空間、例えば建物や車両などにおいて、ガラス面から入射する太陽光線を遮断するために、太陽光線を吸収させる熱線吸収ガラスや太陽光線を反射させる熱線反射ガラスなどがある。これらは、無機物や金属などをガラスに混合させ、室内に入射する太陽光線を直接吸収したり、反射させたりするものである。
また、ガラス面を透過した太陽光線は内部で反射、吸収を繰り返して、遠赤外線領域の波長に変わる。つまり、内部に入射した太陽光線は、最終的には、そのほとんどが常温熱放射の波長域における波長に変わり内部の壁や床、家具などに吸収され、熱が蓄積される。次に、熱が蓄積された壁や床、家具などから再放射される。そして、その一部はガラス面に向かう。
このような熱線吸収ガラスや熱線反射ガラスは、内部に入射する太陽光線を遮断させることはできるが、内部で発生した熱放射まで吸収したり反射させたりしてしまうので、太陽光線が入射されなくなった夕方や夜間においても電子機器などの発熱と重複して内部の熱負荷が大きいという欠点があった。
また、その日射熱遮断効果を高めるには、太陽光線を吸収したり反射する物質を増加させる方法があるが、ガラス面に太陽光線を多く吸収させると、ガラス面からの再放射が多くなったり、内部で発生した熱放射まで吸収してしまうので室内の熱負荷の低減は大きく見込めない。
同様に、太陽光線を多く反射させると内部に入射する日射熱は大きく削減されるが、内部からの熱放射も多く反射させるので熱ごもりの原因となってしまう。
また、これらの熱線吸収ガラスや熱線反射ガラスは、金属や無機物を用いて吸収や反射をさせているので、可視光帯域においても吸収や反射が起こり、透明度が落ちる欠点があった。
また、これらの熱線吸収ガラスや熱線反射ガラスは、金属や無機物を用いて吸収や反射をさせているので、可視光帯域においても吸収や反射が起こり、透明度が落ちる欠点があった。
これらのことを解決するために、金属層を中央に配置してその両側に金属カバー層を形成することにより屈折率を調整し、可視光線透過率を70%程度まで上げてガラスに貼着することにより赤外線を反射させる多層系の保温材(特許文献1)や、放射を低下させる低放射膜としてSnO2:F膜を用いて、色ムラを低減させるためにSnO2膜とSiO2膜をガラス基板との中間に積層した低放射ガラスと該低放射ガラスを使用したガラス物品(特許文献2)などがあるが、これらのガラスも同様に太陽光線の入射による再放射並びに電子機器などの発熱による再放射まで反射させてしまうので、充分な効果を得ることはできていない。
また、外部の温度が内部の温度より高いとき、外部の熱を内部に入れないように複層ガラスなどを用いて断熱しているが、これも同様に内部で発生した熱まで断熱させてしまうので熱ごもりの原因となってしまう。
本発明者らは、先に放熱性に優れた複合ガラスを提案している(特許文献3、4)が、さらに優れた放熱効果を有する隔壁用ガラス材の開発が望まれている。
本発明者らは、先に放熱性に優れた複合ガラスを提案している(特許文献3、4)が、さらに優れた放熱効果を有する隔壁用ガラス材の開発が望まれている。
本発明は、閉鎖空間を囲むガラス材であって、透明度を保ちながら、太陽光線等により閉鎖空間内部に蓄積した熱を効率よく外部へ放出させうるもの、及びそれを用いた放熱方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、ガラスの片面に常温熱放射の波長域における放射熱透過率が大きく且つ放射熱吸収率が小さい被膜を形成させ、この複合ガラスを前記被膜が閉鎖空間内に向くように配置することにより、上記課題を解決しうることを見いだした。すなわち、日射を吸収して高温となった室内からの常温熱放射の波長域における熱放射並びに電子機器などからの熱放射を、前記被膜を透過させてガラスに吸収させ、ガラスに吸収された熱が再放射で閉鎖空間内部側に入射するのを低放射層の被膜で阻止させて外部へ選択的に放熱を促進させることにより、閉鎖空間内部に充満した熱を効率よく外部へ放熱しうることを実験により見出した。
ここで、太陽光線の入射熱等を吸収して蓄熱し温度上昇した閉鎖空間内部の壁や床、家具、電子機器などから再放射される放射熱の波長は、常温熱放射の波長域であり、その波長は5〜50μmである。そして、この5〜50μmの波長の放射をガラスはほとんど吸収する。すなわち、ガラスは常温熱放射の波長域における熱放射に対し放射熱吸収層となることができる。
このガラスの閉鎖空間内部に面する側の表面に、常温熱放射の波長域における放射熱透過率が大きい被膜を形成させると、閉鎖空間内部(室内等)で発生しガラスに向かった放射熱はこの被膜を透過してガラスに吸収される。そして、このガラスに吸収された放射熱は、伝導で閉鎖空間の外(外部あるいは外気)側表面及び室内側表面に移動する。次に、その表面から放射熱伝達並びに対流熱伝達の形式で放出される。
この表面から放出される放射熱は、表面の放射率が小さいほど熱伝達は小さくなるので常温熱放射の波長域における放射熱吸収率が小さい被膜からの放射熱伝達は小さくなる。また、キルヒ・ホッフの法則によると放射率=吸収率であるので、被膜の透過率を大きくして吸収率を小さくさせることで、放射率を小さくすることができる。
したがって、ガラスの室内側表面に放射熱吸収率の小さい被膜、すなわち低放射膜を形成すれば、ガラスに吸収された熱が外部及び内部に放射の形式で放出されるとき、内部への熱放射を遮断することができる。
つまり、本発明は、従来の太陽光線の入射をガラス面で直接遮断させるものではなく、太陽光線が内部に入射して高温となった室内からの熱放射だけでなく、電子機器などからの熱放射も常温熱放射の波長域における放射熱透過率が大きく、かつ、放射熱吸収率が小さい被膜をガラスの片面に形成し、それを前記被膜が閉鎖空間側に向くように配置することによって外部に多く放熱させる方法である。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(2)に示す高放熱性複合ガラス、及び(2)に示す放熱方法に関する。
(1)常温熱放射の波長域における放射熱吸収率が85.7%以上のガラス基体の片面に、常温熱放射の波長域における放射熱透過率が80.7%以上で放射熱吸収率が19.2%以下の被膜を形成したことを特徴とする、高放熱性複合ガラス。
(1)常温熱放射の波長域における放射熱吸収率が85.7%以上のガラス基体の片面に、常温熱放射の波長域における放射熱透過率が80.7%以上で放射熱吸収率が19.2%以下の被膜を形成したことを特徴とする、高放熱性複合ガラス。
(2)前記被膜の厚みが0.1〜3μmであることを特徴とする、(1)記載の高放熱性複合ガラス。
(3)前記ガラス基体の厚みが3〜50mmであることを特徴とする、(1)又は(2)記載の高放熱性複合ガラス。
(3)前記ガラス基体の厚みが3〜50mmであることを特徴とする、(1)又は(2)記載の高放熱性複合ガラス。
(4)隔壁の少なくとも一部がガラス材である閉鎖空間内部に蓄積された熱を外部に放熱する方法であって、前記ガラス材として(1)〜(3)のいずれかに記載の高放熱性複合ガラスを用い、且つ前記被膜が閉鎖空間内部に向くように配置することを特徴とする、放熱方法。
太陽光線から照射される波長の範囲は0.3μm〜3.0μmの範囲であり、そのほとんどがガラスを透過して室内に入射する。内部に入射した太陽光線は、内部の壁や床、家具などで反射したり吸収されて内部の温度を上昇させる。そして、太陽光線を吸収した内部の壁や床、家具などから、時間をおいて常温帯域の波長域における5〜50μmの波長を放射する。また、電子機器などは稼働により通常100℃程度まで温度上昇し、そこから発生する熱放射は同じく常温帯域の波長域における波長である。また、数百度まで上がるヒーターやガス器具などから発生する熱放射も室内の各場所で反射・吸収され、常温帯域の波長域における波長を放射する。
このときの熱収支は、次の関係を示す。
(流入した熱量)+(内部発熱量)=(体積要素の温度上昇に使われた熱量)+(流出した熱量)
(流入した熱量)+(内部発熱量)=(体積要素の温度上昇に使われた熱量)+(流出した熱量)
さらに詳しく述べると、両隣にまったく同じ部屋が2つ存在した場合、流入した熱量すなわち太陽光線からの熱量は同じである。そして、内部の壁や床、家具なども同一であるので体積要素の温度上昇に使われる熱量も同じである。同様に外部に流出する熱量も同じであるので、内部の温度は同一になる。
従来の熱線を吸収させる熱線吸収ガラス、熱線吸収フィルム、熱線吸収塗料や熱線を反射させる熱線反射ガラス、熱線反射フィルム、熱線反射塗料などは、熱の流入すなわち太陽光線からの熱の流入を遮断させるものである。これに対し、閉鎖空間内部の熱負荷を低減させるもう一つの方法として、熱の流出を増加させる方法がある。
本発明は、この熱の流出を増加させる方法、すなわち入射した太陽光線を吸収して蓄熱した閉鎖空間内部の壁や床、家具などから発生する熱放射、並びに稼働によって蓄熱した電子機器などから発生する熱放射を、該閉鎖空間の隔壁を構成するガラス材を介して外部へ多く放出させる方法である。
また、密閉された空間(閉鎖空間)すなわち建物や車両などの内部の熱伝達としては、内部の空気の対流による対流熱伝達と放射による熱伝達とがある。そして、小さな空間になるほど空気の対流は小さく、対流熱伝達は小さくなる。一方、放射による熱伝達は、ガラスと内部の物体との熱伝達であり空気の対流には影響されない。つまり、閉鎖空間内部に入射した熱は、その内部においては放射による熱伝達の割合が大きくなる。したがって、閉鎖空間内部から外気(外部)へ熱を多く放出させるには、内部から放射される放射熱を外部へ多く放出させることが有効である。
ガラスは、太陽光線から照射される波長の範囲である0.3μm〜3.0μmの放射熱を透過させるが、閉鎖空間内部から放射される波長の範囲である5.0μm〜50μmの放射熱は透過しない。よって、閉鎖空間内部から放射される放射熱はほとんどがガラスに吸収されて直接外部には放出されない。閉鎖空間内部から放射される放射熱を外部へ多く放出させるには、このガラスに吸収された放射熱が再放射されるときに、外部側へ選択的に再放射されるようにすることが必要である。そのために本発明では、放射率の小さい被膜(低放射膜)をガラスの閉鎖空間内部側表面に形成させて内部への再放射を阻止するか、熱伝導率の小さい物体をガラスの閉鎖空間内部側表面に形成させて高温となったガラスから内部への熱伝導を阻止すれば良い。
しかし、透過率の大きい被膜をガラスに形成させると、加熱されたガラスからの熱放射も透過させ、被膜表面からの放射と重畳されるので、被膜の吸収率とガラスの吸収率との関係が重要になる。
また、ランバート・ベールの法則によると、放射熱は吸収体に照射したとき、最初に衝突したところでほとんどが吸収される。したがって、放射熱はガラスを透過して被膜とガラスの界面でそのほとんどが吸収される。そして発熱し、伝導でガラスの外部側表面及び内部側の被膜表面に移動する。このとき、被膜の熱伝導率が小さいとその分だけ熱抵抗が大きくなり、界面から内部側の被膜表面へ伝導で移動する熱は減少する。
つまり、本発明では、ガラス基体の内部側に常温熱放射の波長域における放射熱透過率が大きく、かつ、放射熱吸収率が小さくなるように被膜を形成して、閉鎖空間内部からの熱放射を被膜が透過させてガラス基体に吸収させる。そして、ガラス基体が吸収した放射熱は熱伝導でガラス表面に移動し、その表面から対流及び放射の形式で外部側及び内部側に移動する。その際に、ガラスの内側表面に低放射膜(常温熱放射の波長5〜50μmにおいて吸収の小さい物質)が形成されていると、ガラス表面からの熱放射を阻止させること、及び被膜の熱抵抗によりガラス基体が吸収した放射熱を選択的に外部側へ放出させることができる。
このとき、被膜は加熱されたガラスからの熱放射を透過させて被膜表面からの放射と重畳される可能性があるが、本発明ではガラスの常温熱放射における波長域の吸収率と被膜の常温熱放射における波長域の透過率及び吸収率の関係を実験により検証し、閉鎖空間内部の熱を効率よく外部へ放熱しうる条件を見出したものである。
本発明の高放熱性複合ガラスは、ガラス基体に、該ガラス基体に対する密着性および耐久性に優れた被膜を均一に形成してなるものであり、日射の影響により高温となった室内からの熱放射並びに電子機器などの発熱体からの常温熱放射の波長域における熱放射を有効に外部(外気)へ放熱しうるものである。
1.高放熱性複合ガラス
本発明の高放熱性複合ガラスは、ガラス基体と該基体の少なくとも片面に形成された被膜とからなるものである。
本発明の高放熱性複合ガラスは、ガラス基体と該基体の少なくとも片面に形成された被膜とからなるものである。
(1)ガラス基体
本発明で用いられるガラス基体は、常温熱放射の波長域における放射熱吸収率が85.7%以上、好ましくは90%以上のものである。そのようなガラス基体に用いられるガラスの種類には特に制限はなく、透明板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラスなど常温熱放射の波長域において吸収するものであれば良い。
本発明で用いられるガラス基体は、常温熱放射の波長域における放射熱吸収率が85.7%以上、好ましくは90%以上のものである。そのようなガラス基体に用いられるガラスの種類には特に制限はなく、透明板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラスなど常温熱放射の波長域において吸収するものであれば良い。
本発明で用いられるガラス基体の厚みは特に限定されないが、好ましくは3〜50mm、より好ましくは3〜22mmである。ガラス基体の厚みが薄すぎるとガラスの常温帯域の吸収が小さくなるという欠点が生じる場合があり、厚すぎると被膜との熱膨張率の違いにより剥離や亀裂が生じるという場合がある。
(2)被膜
本発明の高放熱性複合ガラスは、上記ガラス基体の少なくとも片面に、常温熱放射の波長域における放射熱透過率が80.7%以上で放射熱吸収率が19.2%以下の被膜を形成したことを特徴とする。これにより、ガラス基体に吸収された熱を効率的に外部へ放熱することができるため、高放熱性の複合ガラスを得ることができる。
本発明の高放熱性複合ガラスは、上記ガラス基体の少なくとも片面に、常温熱放射の波長域における放射熱透過率が80.7%以上で放射熱吸収率が19.2%以下の被膜を形成したことを特徴とする。これにより、ガラス基体に吸収された熱を効率的に外部へ放熱することができるため、高放熱性の複合ガラスを得ることができる。
温度をもつ物体からは常に放射が発生している。そして、その放射熱量Qは、黒体の場合、次の式で表わされ、これは真空中においても伝達可能である。
Q=σ・(T/100)4
ただし、σはステファン・ボルツマン定数、Tは物体の絶対温度である。
Q=σ・(T/100)4
ただし、σはステファン・ボルツマン定数、Tは物体の絶対温度である。
相対する物体が黒体のときの熱伝達は、
Q=σ・「(T1/100)4―(T1/100)4」
で表され、高温物体から放射する放射量と低温物体から放射する放射量の差である。
Q=σ・「(T1/100)4―(T1/100)4」
で表され、高温物体から放射する放射量と低温物体から放射する放射量の差である。
次に、金属のような物体は、放射熱の一部を吸収して、他をすべて反射するので吸収率α、反射率ρの間に次の関係式「α+ρ=1」が成り立つ。
この場合の放射による熱伝達量Q2は、物体表面から低温帯域の物体及び流体に伝達される。これを式で表わすと次のようになる。
Q2=σ×[εr(Tr/100)4−ε0(T0/100)4]
=σ×f(ε)×[(Tr/100)4−(T0/100)4]
この場合の放射による熱伝達量Q2は、物体表面から低温帯域の物体及び流体に伝達される。これを式で表わすと次のようになる。
Q2=σ×[εr(Tr/100)4−ε0(T0/100)4]
=σ×f(ε)×[(Tr/100)4−(T0/100)4]
ただし、σはステファン・ボルツマン定数、εrは高温物体の表面放射率、ε0は低温物体の表面放射率、f(ε)は物体間の放射伝熱の放射係数、Trは物体の表面温度(K)、T0は低温帯域の物体の表面温度(K)である。
この式からも放射熱は低温側から高温側に移動することが分かる。
そして、物体表面間の放射伝熱の放射係数を小さくすればその物体間の放射熱伝達量は減少する。
この式からも放射熱は低温側から高温側に移動することが分かる。
そして、物体表面間の放射伝熱の放射係数を小さくすればその物体間の放射熱伝達量は減少する。
放射伝熱係数は次の式で表される。
f(ε)=1/(1/ε1)+(1/ε2)−1
ただし、ε1=高温帯域側の物質の放射率、ε2=低温帯域側の物質の放射率
f(ε)=1/(1/ε1)+(1/ε2)−1
ただし、ε1=高温帯域側の物質の放射率、ε2=低温帯域側の物質の放射率
したがって、物体間の一方の放射率を小さくすれば、放射伝熱係数f(ε)は小さくなり放射熱伝達量は減少する。
上記から明らかなように、放射率を小さくすればその物体から放射される熱量は少なくなる。
上記から明らかなように、放射率を小さくすればその物体から放射される熱量は少なくなる。
また、吸収率α、反射率ρ及び透過率τの間に次の関係式「α+ρ+τ=1」が成り立つ物質の場合は、透過率が大きいと吸収率αは小さくなる。すなわち、キルヒ・ホッフの法則によると吸収率と放射率とは等しいので表面放射率が小さくなる。
つまり、高温帯域から放射された放射熱が低温帯域の物体に放射されたとき、低温帯域の物体は、この放射熱を透過させてしまうので高温帯域に反射及び放射で戻る放射熱が減少する。同様に、低温帯域から放射された放射熱が高温帯域の物体に放射されたとき、高温帯域の物体は、この放射熱を透過させてしまうので低温温帯域に反射及び放射で戻る放射熱が減少する。
したがって、「α+ρ+τ=1」が成り立つ物質の場合は、高温物体と低温物体の間の放射熱熱伝達が減少する。
「α+ρ=1」が成り立つガラスの表面に「α+ρ+τ=1」が成り立つ被膜を内部側に形成させたときの放射熱伝達を考える。
「α+ρ=1」が成り立つガラスの表面に「α+ρ+τ=1」が成り立つ被膜を内部側に形成させたときの放射熱伝達を考える。
室内が高温でガラスが低温の場合、室内の高温の物体から低温のガラスに熱が放射されると、放射熱は、被膜面で一部が反射・吸収されるが、その多くが被膜を透過してガラスに向かう。そして、ガラスで一部が反射され、そのほとんどが吸収されて温度が上がる。次に、ガラスに吸収された熱は伝導でガラスの表面に移動する。そして、外部側へはガラス表面から対流、放射の形式で、中側には被膜表面から放射の形式で放出される。ガラスの温度が室内の温度より低いので対流による熱伝達は生じない。
そして、内部側に形成した被膜の放射率は小さいので、被膜からの熱放射も小さく、そのほとんどは外部へ放出される。しかし、被膜は加熱されたガラスからの熱放射も透過させるので、ガラスからの熱放射と被膜からの熱放射は重畳される。
また、閉鎖空間内部が低温でガラスが高温の場合、室内の低温の物体から高温のガラスに熱が放射されると、同様に、放射熱は被膜面で一部が反射・吸収されるが、その多くが被膜を透過してガラスに向かう。そして、ガラスで一部が反射され、そのほとんどが吸収されて温度が上がる。次に、ガラスに吸収された熱は伝導でガラスの表面に移動する。このとき被膜により、伝導で内部側に移動する熱は減少する。
そして、外部側へはガラス表面から対流・放射の形式で、内部側には被膜表面から対流・放射の形式で、熱が放出される。ガラスの温度が閉鎖空間内部の温度より高いので対流による熱伝達も起こる。そして、内部側に形成した被膜の放射率が小さいので、被膜面から内部に移動する熱放射は減少する。
つまり、ガラスの内部側表面に常温帯域における波長域の吸収、反射が小さく透過が大きい物質をガラスの内部側表面に形成させると、ガラスの温度が閉鎖空間内部の温度より高くても、低くても閉鎖空間内部からの常温帯域における熱放射は、一度ガラスに吸収され、外部に放出されることが分かる。
しかし、前記と同様に、被膜は加熱されたガラスからの熱放射も透過させるので、ガラスからの熱放射と被膜からの熱放射は重畳される。
つまり、太陽光線が密閉空間の中に入射し、太陽光線を吸収した内部の壁や床、家具などから発生する熱放射並びに電子機器などからの熱放射を、被膜を透過させてガラスに吸収させ、外部に選択的に放熱させることができるので、日射のない夜間においても放熱させることができると考えられる。
つまり、太陽光線が密閉空間の中に入射し、太陽光線を吸収した内部の壁や床、家具などから発生する熱放射並びに電子機器などからの熱放射を、被膜を透過させてガラスに吸収させ、外部に選択的に放熱させることができるので、日射のない夜間においても放熱させることができると考えられる。
本発明の被膜を形成させる物質としては、プラスチックスが最適と考えられる。
一般的に、プラスチックスは、可視光帯域と常温熱放射における波長域の透過率が大きく、吸収率の小さい物質である。そして、ランバート・ベールの法則によると、物質の厚さを薄くすれば薄くするほど透過率が大きくなる。
一般的に、プラスチックスは、可視光帯域と常温熱放射における波長域の透過率が大きく、吸収率の小さい物質である。そして、ランバート・ベールの法則によると、物質の厚さを薄くすれば薄くするほど透過率が大きくなる。
つまり、プラスチックスを薄く形成して常温熱放射における波長域の透過率を大きくして吸収率が小さくなるように被覆すると被膜の放射率も小さくなる。
そして、その薄い被膜面を密閉された空間すなわち建物や車両などの中側に配置すると、太陽光線を吸収した内部の壁や床、家具などから発生する熱放射並びに電子機器などからの熱放射を吸収したガラスの熱を、建物や車両などの内部に入射させず、その熱を外部に多く放射させて内部の熱負荷を低減させる放熱ガラスができる。
そして、その薄い被膜面を密閉された空間すなわち建物や車両などの中側に配置すると、太陽光線を吸収した内部の壁や床、家具などから発生する熱放射並びに電子機器などからの熱放射を吸収したガラスの熱を、建物や車両などの内部に入射させず、その熱を外部に多く放射させて内部の熱負荷を低減させる放熱ガラスができる。
また、ガラスからの熱放射を小さくさせるには、反射率が大きく吸収率の小さい金属などをガラス面に被覆して吸収率を小さくさせることもできる。
したがって、従来の技術による製品も結果的にガラスからの放射を低減しているが、常温熱放射の波長域における透過率が小さく、家具などから発生する熱放射並びに電子機器などからの熱放射まで反射させるので、逆に、熱ごもりの原因となってしまう。
したがって、従来の技術による製品も結果的にガラスからの放射を低減しているが、常温熱放射の波長域における透過率が小さく、家具などから発生する熱放射並びに電子機器などからの熱放射まで反射させるので、逆に、熱ごもりの原因となってしまう。
そして、金属層を多層系の中央に配置すると低放射面が閉鎖空間の内部側に配置されないので、本発明の効果を得ることはできない。
すなわち本発明の高放熱性複合ガラスは、ガラス基体の閉鎖空間内部側に放射熱吸収率の小さい被膜を形成させて、内部側からの常温帯域における熱放射(波長域は5〜50μmの範囲である)を外部に選択的に放熱させ、閉鎖空間の熱負荷を低減させるというものであり、このような方法で効率的に放熱しうることはこれまで知られていなかった。
すなわち本発明の高放熱性複合ガラスは、ガラス基体の閉鎖空間内部側に放射熱吸収率の小さい被膜を形成させて、内部側からの常温帯域における熱放射(波長域は5〜50μmの範囲である)を外部に選択的に放熱させ、閉鎖空間の熱負荷を低減させるというものであり、このような方法で効率的に放熱しうることはこれまで知られていなかった。
本発明は、ガラスの閉鎖空間内部側の表面に、常温帯域おける熱放射に対し透過率が大きく、吸収率が小さい被膜を形成させ、内部の壁や床、家具などから発生する熱放射並びに電子機器などからの熱放射を吸収したガラス表面から密閉された空間すなわち建物や車両などの内部への熱放射を阻止して、外部に多く放射させることで内部の熱負荷を低減することを目的としてなされたものである。
次に、ここでいう被膜の常温熱放射の波長域における吸収率の測定方法を示す。
JIS−R−3106の常温熱放射の波長域における測定に準拠して、一般の化学分析用の赤外分光光度計を用い、ガラス板の上に被膜を形成してATR(全反射)法により、透過率、反射率を測定した。そして、灰色体の吸収率αと反射率ρと透過率τの間にはα+ρ+τ=1の関係式が成り立つので、吸収率αは、「吸収率α=1−(反射率ρ+透過率τ)」により求めた。
JIS−R−3106の常温熱放射の波長域における測定に準拠して、一般の化学分析用の赤外分光光度計を用い、ガラス板の上に被膜を形成してATR(全反射)法により、透過率、反射率を測定した。そして、灰色体の吸収率αと反射率ρと透過率τの間にはα+ρ+τ=1の関係式が成り立つので、吸収率αは、「吸収率α=1−(反射率ρ+透過率τ)」により求めた。
また、被膜の常温熱放射の波長域における吸収率は、その種類により異なるので、放射率を小さくするには常温熱放射の波長域5〜50μmの範囲において吸収率が小さい物質を用いて被覆すればよい。
また、ランバート・ベールの法則によると、放射、例えば光を吸収する材料の厚さを厚くすると吸収量が増加するし、小さくすると吸収量は減少する。
したがって、本発明による被膜は、常温熱放射の波長域における吸収率を小さくさせるために、その厚さを薄くすることで常温熱放射の波長域における透過率を大きくさせて吸収率も小さくできる。具体的には、本発明の被膜の厚さは、好ましくは0.1〜3μm、より好ましくは0.2〜1μmである。
したがって、本発明による被膜は、常温熱放射の波長域における吸収率を小さくさせるために、その厚さを薄くすることで常温熱放射の波長域における透過率を大きくさせて吸収率も小さくできる。具体的には、本発明の被膜の厚さは、好ましくは0.1〜3μm、より好ましくは0.2〜1μmである。
次に添付図面に従って、本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、ガラス基体1と被膜2とからなる本発明の高放熱性複合ガラスの構造を示す断面図である。被膜2は、常温熱放射の波長域における放射熱吸収率が19.2%以下、好ましくは0.31〜19.2%、より好ましくは0.31〜4.78の範囲になるように形成されている。そして、図1に示すように、この高放熱性複合ガラスを被膜表面が閉鎖空間内部A側に向くように配置して閉鎖空間を囲み、該閉鎖空間内部からの熱放射を効率的に外部に放熱させる。
図1は、ガラス基体1と被膜2とからなる本発明の高放熱性複合ガラスの構造を示す断面図である。被膜2は、常温熱放射の波長域における放射熱吸収率が19.2%以下、好ましくは0.31〜19.2%、より好ましくは0.31〜4.78の範囲になるように形成されている。そして、図1に示すように、この高放熱性複合ガラスを被膜表面が閉鎖空間内部A側に向くように配置して閉鎖空間を囲み、該閉鎖空間内部からの熱放射を効率的に外部に放熱させる。
本発明の高放熱性複合ガラスにおける被膜の材料としては、常温熱放射の波長域すなわち5〜50μmの範囲において透過率が80.7%以上、好ましくは95.1%以上と大きく、且つ常温熱放射の波長域における放射熱吸収率が19.2%以下、好ましくは4.78%以下という吸収率の小さいプラスチックスを用いるのが好ましい。
また、被膜の材料としては、各種物質を混合させてもよく、混合の結果、可視光線帯域及び日射熱帯域において吸収や反射があっても常温熱放射の波長域において透過率が大きく、かつ、吸収率が小さいものであれば良い。
具体的には、被膜の材料として、常温熱放射の波長域である5〜50μmの範囲で小さい吸収を示すプラスチックス、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル・スチレン共重合体、メタクリル酸メチル・アクリル酸エチル・スチレン共重合体、ポリメタクリル酸ブチル、ケイ素樹脂、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ジアリルフタレート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルブチラール、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・α‐オレフィン共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体、アクリル酸・塩化ビニル共重合体、ポリメチルペンテン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ナイロン66、エポキシ樹脂、ブタジエン・スチレン樹脂、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、MBS樹脂、ポリブタジエン、ポリエーテルスルホンなどの各種物質やこれらの混合物を用いるのが好ましい。
上記プラスチックス中、より好ましくは透明度の高いアクリル樹脂が用いられ、特に好ましくはメタクリル酸メチル・アクリル酸エチル・スチレン共重合体が用いられる。
ただし、常温熱放射の波長域における放射熱透過率が80.7%以上で放射熱吸収率が19.2%以下のものであれば金属、セラミックスなどを用いることもできる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
<実施例1>
測定装置として、厚さ5mmの発泡スチロール製で一面が開放された25×25×25cmの箱体を7個用意した。そして、黒色塗料を用いて内面を黒く塗布した。箱の開口部を上面に向けて、その下側中央部に陶器製の板を置き、その上に熱源として100V・150Wのヒーターを置いた。さらに、箱内の対流を抑制させるためにヒーターの周りを黒く塗布したアルミニウム製の箱を用いて囲った。
測定装置として、厚さ5mmの発泡スチロール製で一面が開放された25×25×25cmの箱体を7個用意した。そして、黒色塗料を用いて内面を黒く塗布した。箱の開口部を上面に向けて、その下側中央部に陶器製の板を置き、その上に熱源として100V・150Wのヒーターを置いた。さらに、箱内の対流を抑制させるためにヒーターの周りを黒く塗布したアルミニウム製の箱を用いて囲った。
次に、25cm×25cm×3mmの透明板ガラスを7枚用意した。そして、被膜の断熱性を同じにさせるために、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル−スチレン共重合体(日本化薬(株)製)を酢酸エチルで希釈した溶液を一度に作成した。
そして、小分けした一部の溶液に染料として商品名「KAYASET BLACK A-N」(日本化薬(株)製)、赤外線吸収剤として(日本化薬社製、商品名「IRG・820B」)を適量混合して常温熱放射の波長域における透過率及び吸収率の異なる溶液を調整した。
次に、この溶液を流し塗りの方法でガラス板の表面に塗布した。このときの常温熱放射の波長域における吸収率の値は、ATR法により測定した。
次に、厚さ5mmの発泡スチロール製の箱の開口部に被膜を形成していない厚さ3mmのガラス板、そして、もう一つの箱の開口部に被膜を形成した厚さ3mmのガラス板の被膜面を中側(箱内側)にして取り付けた。
次に、厚さ5mmの発泡スチロール製の箱の開口部に被膜を形成していない厚さ3mmのガラス板、そして、もう一つの箱の開口部に被膜を形成した厚さ3mmのガラス板の被膜面を中側(箱内側)にして取り付けた。
次に、開口部に被膜を形成していない厚さ3mmのガラス板、そして、開口部に被膜を形成した厚さ3mmのガラス板を取り付けた発泡スチロール製の箱を、各々ガラス面を上に向けて配置し、25℃に設定された室内に置いた。そして、ヒーターに電源を入れて箱内温度が平衡になったときの温度を測定した。なお、ガラス単体の常温帯域の熱放射における吸収率は90.3%であった。ガラスの吸収率はJIS−R−3106により測定した。その結果を表1に示す。
ヒーターで加熱したときの箱内の平衡温度は、被膜の常温帯域の熱放射における透過率が80.7%、かつ、吸収率が19.2%以下のときに、ガラス単体のみの場合より0.2〜2.4℃低くなり、加熱されて高温となった箱内からの放射熱の放熱が増加したことが分かる。
<実施例2>
次に、厚さ6mmの熱線吸収ガラスを7個用意し、実施例1と同じ溶液を流し塗りの方法で塗布した。実施例1と同様の測定装置を用いて同様の方法で測定を行った。なお、熱線吸収ガラス単体の常温帯域の熱放射における吸収率は85.7%であった。結果を表2に示す。
次に、厚さ6mmの熱線吸収ガラスを7個用意し、実施例1と同じ溶液を流し塗りの方法で塗布した。実施例1と同様の測定装置を用いて同様の方法で測定を行った。なお、熱線吸収ガラス単体の常温帯域の熱放射における吸収率は85.7%であった。結果を表2に示す。
ヒーターで加熱したときの箱内の平衡温度は、被膜の常温帯域の熱放射における透過率が80.7%、かつ、吸収率が19.2%以下のときにガラス単体だけより0.4〜2.7℃低くなり加熱されて高温となった箱内からの放射熱の放熱が増加したことが分かる。
<実施例3>
次に、厚さ5mm(ガラス)−6mm(Air)−5mm(ガラス)からなる複層ガラスを7個用意し前記と同じ溶液を流し塗りの方法で塗布した。
実施例1と同様の測定装置を用いて同様の方法で測定を行った。なお、ガラス単体(室内側に位置するガラス板)の常温帯域の熱放射における吸収率は90.3%であった。結果を表3に示す。
次に、厚さ5mm(ガラス)−6mm(Air)−5mm(ガラス)からなる複層ガラスを7個用意し前記と同じ溶液を流し塗りの方法で塗布した。
実施例1と同様の測定装置を用いて同様の方法で測定を行った。なお、ガラス単体(室内側に位置するガラス板)の常温帯域の熱放射における吸収率は90.3%であった。結果を表3に示す。
ヒーターで加熱したときの箱内の平衡温度は、被膜の常温帯域の熱放射における透過率が80.7%、かつ、吸収率が19.2%以下のときに、ガラス単体のみの場合より0.5〜3.2℃低くなり、加熱されて高温となった箱内からの放射熱の放熱が増加したことが分かる。
本発明によれば、日射を吸収して高温となった室内からの常温熱放射の波長域における熱放射並びに電子機器などからの熱放射を、前記被膜を透過させてガラスに吸収させ、ガラスに吸収された熱が再放射で閉鎖空間内部側に入射するのを低放射層の被膜で阻止させて外部へ選択的に放熱を促進させることにより、閉鎖空間内部に充満した熱を効率よく外部へ放熱することができる。
Claims (4)
- 常温熱放射の波長域における放射熱吸収率が85.7%以上のガラス基体の片面に、常温熱放射の波長域における放射熱透過率が80.7%以上で放射熱吸収率が19.2%以下の被膜を形成したことを特徴とする、高放熱性複合ガラス。
- 前記被膜の厚みが0.1〜3μmであることを特徴とする、請求項1記載の高放熱性複合ガラス。
- 前記ガラス基体の厚みが3〜50mmであることを特徴とする、請求項1又は2記載の高放熱性複合ガラス。
- 隔壁の少なくとも一部がガラス材である閉鎖空間内部に蓄積された熱を外部に放熱する方法であって、前記ガラス材として請求項1〜3のいずれかに記載の高放熱性複合ガラスを用い、且つ前記被膜が閉鎖空間内部に向くように配置することを特徴とする、放熱方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010024565A JP2011162370A (ja) | 2010-02-05 | 2010-02-05 | 高放熱性複合ガラス及びそれを用いた放熱方法 |
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Publications (1)
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Family Applications (1)
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-
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- 2010-02-05 JP JP2010024565A patent/JP2011162370A/ja active Pending
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