実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
同複写機のスキャナ及びADFを示す拡大斜視図。
同ADF及びスキャナを示す拡大構成図。
同複写機の手差しトレイを示す拡大斜視図。
同手差しトレイの第1載置部を示す分解斜視図。
同第1載置部の駆動伝達機構を2つのサイドフェンスとともに示す分解斜視図。
同第1載置部の駆動制限機構を拡大して示す拡大構成図。
同第1載置部の回転検知センサから出力されるパルス信号の波形を示す波形図。
同手差しトレイを横から示す側面図。
同複写機の電気回路の一部を示すブロック図。
複写機の制御部によって実施されるシート位置合わせ処理の各処理工程を示すフローチャート。
位置合わせ及びパルスカウント処理における各処理工程を示すフローチャート。
同複写機の手差しトレイにおける第1サイドフェンス及び第2サイドフェンスと、記録シートとを示す平面図。
同複写機の画像形成部に出し入れされる給紙カセットを示す拡大斜視図。
第1変形例に係る複写機の手差しトレイにおける第1サイドフェンス及び第2サイドフェンスと、記録シートとを示す平面図。
第2変形例に係る複写機における第1載置部の駆動伝達機構を2つのサイドフェンスとともに示す分解斜視図。
第2変形例に係る複写機の駆動制限機構を拡大して示す拡大斜視図。
第3変形例に係る複写機の駆動制限機構を拡大して示す拡大斜視図。
第4変形例に係る複写機の駆動伝達手段を示す平面図。
同駆動伝達手段を部分的に拡大して示す拡大平面図。
第5変形例に係る複写機の手差しトレイにおける駆動伝達手段の一部を拡大して示す拡大平面図。
第6変形例に係る複写機の手差しトレイにおける駆動伝達手段の一部を拡大して示す拡大平面図。
以下、本発明を適用した画像形成装置や画像読取装置を具備する複写機の一実施形態について説明する。なお、実施形態に係る複写機は、あくまでも本発明を適用した形態の一例であって、本発明の適用範囲がこの複写機に限られるものではない。
まず、実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る複写機1を示す概略構成図である。この複写機1は、画像形成部4や給紙部5を具備する画像形成装置と、原稿自動搬送装置(ADF)2やスキャナ3を具備する画像読取装置とを備えている。
画像形成装置の給紙部5は、画像が形成されるシート部材としての記録シート6を収納する給紙カセット41を具備している。また、画像形成装置の画像形成部4は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナー像を作像する4つのプロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20Kや、転写装置30を具備する画像形成装置としての画像形成部4を備えている。また、画像読取装置は、原稿シートの画像を読み取るスキャナ3と、原稿シートをスキャナ3の原稿読取位置に自動的に搬送するADF2とを備えている。なお、同図においては、実施形態に係る複写機をその正面側から示しており、図紙面に直交する方向の手前側が複写機の前方、奥側が複写機の後方に相当する。また、複写機を主体にすると、図中左方向は、複写機の右方向に相当し、図中右方向は複写機の左方向に相当する。
画像形成部4は、鉛直方向におけるほぼ中央に、転写装置30を備えている。この転写装置30は、中間転写体としての無端状の中間転写ベルト32と、これのループ内側に配設された複数のローラとを具備しており、それらローラによって中間転写ベルト32を逆三角形の形状で張架している。逆三角形の形状における3つの頂点位置では、それぞれ支持ローラが中間転写ベルト32をローラ周面に大きな巻き付き角で巻き掛けている。そして、それら3つの支持ローラの何れか1つが、自らの回転駆動によって中間転写ベルト32を図中時計回り方向に無端移動せしめる。
3つの支持ローラのうち、図中で最も左側に配設されている支持ローラに対するベルト掛け回し箇所には、ベルトクリーニング装置がループ外側から当接している。このベルトクリーニング装置は、後述する2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト32表面に付着している転写残トナーを、ベルト表面から除去するものである。
図中で最も左側に配設された支持ローラとの接触位置を通過してから、図中で最も右側に配設された支持ローラとの接触位置に進入する前のベルト領域は、ほぼ水平方向に沿って真っ直ぐに進む水平進行領域になっている。この水平進行領域の上方には、Y,M,C,K用の4つのプロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20Kがベルト移動方向に沿って順に並ぶように配設されている。プロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20Kは、中間転写ベルト32に重ね合わせて転写するためのY,M,C,Kトナー像を作像するためのものである。実施形態に係る複写機は、プロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20Kにより、Y,M,C,Kトナー像をそれぞれ並行して作像するいわゆるタンデム型の構成になっている。なお、実施形態に係る複写機では、Y,M,C,Kという色の並び順を採用しているが、色の並び順はこの順序に限定されるものではない。
画像形成部4において、プロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20Kはそれぞれ、像担持体としてのドラム状の感光体21Y,21M,21C,21Kを具備している。感光体の周りには、帯電ローラ(22Y,22M,22C,22K)を具備する帯電装置、現像装置(24Y,24M,24C,24K)、感光体クリーニング装置(23Y,23M,23C,23K)、図示しない除電装置などが配設されている。帯電装置は、感光体21Y,21M,21C,21Kに対向配置された帯電部材である帯電ローラ22Y,22M,22C,22Kには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加される。これにより、帯電ローラ22Y,22M,22C,22Kと、感光体21Y,21M,21C,21Kとの間で放電が発生することにより、感光体21Y,21M,21C,21Kの表面が一様に帯電せしめられる。実施形態に係る複写機では、帯電ローラ22Y,22M,22C,22Kにより、感光体21Y,21M,21C,21Kの表面をトナーの正規帯電極性と同極性であるマイナス極性に一様帯電させるようになっている。
なお、Y,M,C,K用の帯電装置として、帯電ローラを用いる方式のものに代えて、タングステン等のワイヤを用いるコロナ帯電方式や、導電性ブラシを用いるブラシ帯電方式のものを採用してもよい。また、帯電ローラなどの帯電部材については、感光体21Y,21M,21C,21Kに対して、接触させる接触方式で配設してもよいし、非接触の状態とする非接触方式で配設してもよい。非接触方式は、帯電ローラ等の帯電部材と感光体との間における空隙が感光体の偏心等によって変動することによって帯電ムラを引き起こし易いというデメリットがある反面、接触方式に比べて、帯電部材へのトナー付着による帯電ムラが発生し難いという利点がある。帯電ローラ等の帯電部材に印加する1次転写バイアスとしては、直流電圧に交流電圧を重畳した重畳バイアスを採用することが好ましい。これにより、直流電圧のみを印加する場合に比べて、感光体の表面を均一に帯電させることが可能となる。
4つのプロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20Kの上方には、露光装置10が配設されている。この露光装置10と、Y,M,C,K用の帯電装置とにより、感光体21Y,21M,21C,21Kに静電潜像を形成する潜像形成手段が構成されている。露光装置10は、スキャナ3による画像読み取りで得られた画像情報、あるいは、外部のパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて生成したY,M,C,K用の書込光により、図中反時計回り方向に回転駆動される感光体21Y,21M,21C,21Kにおける一様帯電後の表面を光走査するものである。感光体21Y,21M,21C,21Kの表面全域のうち、光走査を受けた露光部は、光走査を受けていない地肌部に比べて電位を減衰させる。これにより、露光部には静電潜像が担持されることになる。露光装置10としては、レーザーダイオードによって書込光を生成するものや、LEDアレイによって書込光を生成するものを例示することができる。
感光体21Y,21M,21C,21Kの表面に担持されたY,M,C,K用の静電潜像は、現像装置24Y,24M,24C,24KによってY,M,C,Kトナーが付着せしめられることで、Y,M,C,Kトナー像になって可視化する。感光体21Y,21M,21C,21Kは、中間転写ベルト32に当接して1次転写ニップを形成している。そして、Y,M,C,K用の1次転写ニップの裏側では、中間転写ベルト32のループ内側に配設されたY,M,C,K用の1次転写ローラが、感光体21Y,21M,21C,21Kとの間に中間転写ベルト32を挟み込んでいる。それらY,M,C,K用の1次転写ローラには、それぞれトナーの正規帯電極性とは逆極性であるプラス極性の1次転写バイアスが印加されている。そして、Y用の1次転写ニップにおいては、感光体21Y上に形成されたYトナー像が中間転写ベルト32のおもて面に1次転写される。このようにしてYトナー像が1次転写されたベルト表面は、その後、M,C,K用の1次転写ニップを順に通過していく。そして、その過程で、感光体21M,21C,21K上のM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて1次転写されることで、ベルト表面にはカラートナー像が形成される。
Y,M,C,K用の1次転写ニップを通過した後の感光体21Y,21M,21C,21Kの表面は、感光体クリーニング装置23Y,23M,23C,23Kにより、転写残トナーがクリーニングされる。その後、図示しない除電装置によって除電されて再度の画像形成に備える。
中間転写ベルト32のループ内に配設された3つの支持ローラのうち、最も下方に配設された支持ローラに対するベルト巻き付き箇所には、2次転写手段としての2次転写ローラ33がループ外側から当接して2次転写ニップを形成している。この2次転写ローラ33、あるいは、前記支持ローラには、図示しない電源によって2次転写バイアスが印加される。これにより、前記支持ローラと2次転写ローラ33との間には、中間転写ベルト32上のカラートナー像を2次転写ローラ33に向けて静電移動させる2次転写電界が形成される。
2次転写ニップの図中右側方には、互いに当接してレジストニップを形成しながら互いに順方向に回転するローラ対からなるレジストローラ対45が配設されている。後述する給紙部5から送り出された記録シート6は、レジストローラ対45のレジストニップに挟み込まれる。そして、レジストローラ対45により、中間転写ベルト32上のカラートナー像に同期するタイミングで2次転写ニップに向けて送り出される。2次転写ニップに挟み込まれた記録シート6には、2次転写電界やニップ圧の作用によって中間転写ベルト32上のカラートナー像が2次転写される。このようにしてカラートナー像が2次転写された記録シート6は、2次転写ニップから、無端移動する搬送ベルト34を経由した後、定着装置50内に送られる。定着装置50は、定着部材としての定着ローラ51と、加圧ローラ52との当接によって形成している定着ニップ内に挟み込んだ記録シート6に対し、加熱や加圧によるトナー像の定着処理を施す。
定着装置50から送り出された記録シート6は、搬送路繰り替え爪47が配設された搬送路分岐点にさしかかる。この搬送路切換爪47は、自らよりも下流側におけるシート搬送路を、排出路と反転搬送路87とで切り替えるものである。プリント動作モードとして片面プリントモードが選択されている場合には、搬送路切換爪47がシート搬送路として排出路を選択する。また、両面プリントモードが選択され、且つ、2次転写ニップから送り出された記録シート6が両面にそれぞれトナー像を担持している場合にも、搬送路切換爪47がシート搬送路として排出路を選択する。排出路に進入した記録シート6は、排出ローラ対46の排出ニップを経由した後、機外に排出される。そして、筺体外側面に固定された排紙トレイ80上にスタックされる。
一方、両面プリントモードが選択され、且つ2次転写ニップから送り出された記録シート6が両面のうちの第1面だけにトナー像を担持している場合には、搬送路切換爪47がシート搬送路として反転搬送路87を選択する。このため、両面プリントモードにおいて、第1面だけにトナー像を担持している記録シート6は、定着装置50から送り出された後、反転搬送路87に進入する。反転搬送路87には、反転搬送装置89が配設されている。この反転搬送装置89は、定着装置50から送られてくる記録シート6の上下を反転させながら、中継トレイ88内に一時的にスタックしたり、上述したレジストローラ対45のレジストニップに再搬送したりするものである。反転搬送装置89によって給紙路46に戻された記録シート6は、レジストローラ対45から2次転写ニップを再び経由することで、第2面にもトナー像が2次転写される。そして、定着装置50、搬送路切換爪47、排紙路、排紙ローラ対46を順次経た後、排紙トレイ80上にスタックされる。
なお、両面プリントモードであって且つ連続プリントモードである場合には、複数の記録シート6に対してそれぞれ両面プリントを行うことになる。本複写機では、記録シート6の第1面に対するプリントと、第2面に対するプリントとをそれぞれまとめて行うようになっている。例えば、12枚の記録シート6に対してそれぞれ両面プリントを行う場合、まず、第1面にトナー像を定着させた1枚目の記録シート6を上下反転させて中継トレイ88内にスタックする。次に、第1面にトナー像を定着させた2枚目の記録シート6を上下反転させて中継トレイ88内の1枚目の記録シート6の上にスタックする。同様の動作を12枚目の記録シート6まで繰り返す。これにより、それぞれ第1面だけにトナー像を定着させた1、2、3・・・・12枚目の記録シート6の束を中継トレイ88内に収納する。次いで、12枚目の記録シート6を中継トレイ88内から給紙路46に送り出した後、その記録シート6の第2面にもトナー像を形成する。そして、その記録シート6を排紙トレイ80上に排紙する。同様にして、11、10、9・・・1枚目の記録シート6に対しても、第2面に対するトナー像のプリントと、排紙処理とを順次施していく。
画像形成部4の真下に配設された給紙部5は、上下に多段配設された2つの給紙カセット41、給紙路48、複数の搬送ローラ対44などを有している。シート収納装置としての給紙カセット41は、給紙部4の筺体に対して前後方向(図紙面に直交する方向)へのスライド移動によって着脱されるようになっている。給紙部4の筺体にセットされた給紙カセット41内の記録シート束には、筺体内の支持手段によって支持される給紙ローラ42が押し当てられる。この状態で給紙ローラ42が回転駆動すると、記録シート束の最上部の記録シート6が給紙路48に向けて送り出される。送り出された記録シート6は、給紙路48に至る前に、搬送ローラと分離ローラ43との当接による搬送分離ニップに進入する。それら2つのローラのうち、搬送ローラは、記録シート6を給紙カセット41側から給紙路48側に向けて送る方向に回転駆動される。これに対し、分離ローラ43は、記録シート6を給紙路48側から給紙カセット41側に送る方向に回転駆動される。但し、分離ローラ43に対して回転駆動力を伝達する駆動伝達系には、トルクリミッターが設けられており、分離ローラ43が搬送ローラに直接当接している状態ではトルクリミッターに上限を超えるトルクが働く。これにより、回転駆動力が分離ローラ43に繋がれずに、分離ローラ43は搬送ローラに連れ回る。これに対し、複数の記録シート6が重なった状態で搬送分離ニップに進入すると、シート間でスリップが発生することにより、トルクリミッターに働くトルクが上限を下回る。これにより、分離ローラ43が回転駆動して複数の記録シート6のうち、自らに直接接触している記録シート6を給紙カセット41に向けて逆搬送する。この逆搬送は、搬送分離ニップ内の記録シート6が1枚になってシート間のスリップが発生しなくなるまで続く。これにより、記録シート6が最終的に1枚に分離された状態で給紙路48に送られる。そして、給複数の搬送ローラ対44それぞれにおける搬送ニップを経由した後、画像形成部4のレジストローラ対45のレジストニップに至る。
画像形成部4の筺体の図中右側側面は、シート収納装置としての手差しトレイ60を支持している。手差しトレイ60は、そのシート載置面上に載置された記録シート6の束における最上位の記録シート6に手差し給紙ローラ601を押し当てている。そして、手差し給紙ローラ601の回転駆動により、最上位の記録シート6をレジストローラ対45に向けて送り出す。送り出された記録シート6は、レジストローラ対45に至る前に、搬送ローラ603と分離ローラ602との当接による搬送分離ニップを通過する。このとき、給紙トレイ41の側方に配設された搬送分離ニップと同じ原理により、記録シートPが1枚だけに分離される。
図2は、実施形態に係る複写機のスキャナ3及びADF2を示す拡大斜視図である。図示のように、スキャナ3とこれの上に搭載されるADF2とは、ヒンジ399によって接続されており、ADF2はこのヒンジ399によって図中矢印方向に揺動可能するようにスキャナ3に支持されている。その揺動により、ADF2は、スキャナ3の上面を形成している第1コンタクトガラス300や第2コンタクトガラス301を露出させる位置まで移動したり(開いた状態)、それらコンタクトガラスの真上に乗る位置まで移動したり(閉じた状態)する。実施形態に係る複写機において、厚紙原稿や片綴じ原稿など、後述するADF2にセットすることが困難な原稿のコピーをとるときは、図示のように、ADF2を開いてスキャナ3の上面を露出させる。そして、第1コンタクトガラス300の上に原稿をセットした後、ADF2を閉じて、原稿をADF2によって押さえる。そして、スキャナ3に固定されている操作表示部9のコピースタートボタン900を押すことで、複写機にコピー動作を開始させる。
図3は、ADF2及びスキャナ3を示す拡大構成図である。ADF2による自動搬送が可能な原稿シートPのコピーをとる場合には、図示のように、ADF2をスキャナ3に対して閉じた状態で、1枚の原稿シートP、あるいは、原稿シート束、をADF2の原稿トレイ200の上にセットする。そして、上述したコピースタートボタン900を押してコピー動作を開始させる。なお、コピー動作は、スキャナ3による原稿読み取り動作と、画像形成部(4)による画像形成動作とから主に構成され、コピースタートボタンが押された直後は、まず、原稿読み取り動作が開始される。
スキャナ3は、第1コンタクトガラス300や第2コンタクトガラス301の下に、走行体302、結像レンズ310、画像読取センサ320などを有している。また、第2走行体302は、走査ランプ303や複数の反射ミラーを具備しており、図示しない駆動機構によって図中左右方向に走行することが可能である。走査ランプ303から発せられた光は、第1コンタクトガラス300上にセットされた原稿、あるいは、第2コンタクトガラス301上で搬送されている最中の原稿、の画像面で反射して、画像読取光となる。この画像読取光は、走行体302に搭載された複数の反射ミラーでそれぞれ反射した後、スキャナ本体に固定された結像レンズ310を介してCCD等からなる画像読取センサ320に至ってセンサ内の焦点位置で像を結ぶ。これにより、原稿の画像が読み取られる。
スキャナ3は、第1コンタクトガラス300上にセットされた原稿の画像を読み取る場合には、走行体302を図示の位置から図中右方向に向けて走行させながら、原稿を走査する。これにより、原稿の画像を図中の左側領域から右側領域に向けて順次読み取っていく。一方、ADF2にセットされた原稿シートPの画像を読み取る場合には、走行体302を図示の位置で停止させたまま、走査ランプ303を点灯させて、走査ランプ303からの光を第2コンタクトガラス301に向けて照射する。このとき、ADF2は、原稿トレイ200上にセットされた原稿シートPの搬送を開始して、原稿シートPをスキャナ3の第2コンタクトガラス301の真上に通す。これにより、走行体302が停止したままの状態で、原稿シートPの画像が搬送方向の先端側から後端側に向けて順次読み取られていく。
ADF2の原稿トレイ200上には、原稿シートPが原稿読み取り面を上方に向けた姿勢でセットされる。原稿トレイ200の上にセットされた原稿シート束の上方には、図示しないカム機構によって上下方向に移動可能に支持される給紙ローラ202が配設されている。給紙ローラ202が下降移動によって原稿シート束の最上位の原稿シートPに当接した状態で回転駆動することにより、原稿シートPが原稿トレイ200上から送り出される。送り出された原稿シートPは、無端状の搬送ベルト203aとリバースローラ203bとの当接による搬送分離ニップに進入する。搬送ベルト203aは、従動ローラと、回転駆動する駆動ローラとによって張架された状態で、図示しない給紙モータの正転に伴う駆動ローラの正転によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。この搬送ベルト203aの張架面には、前記給紙モータの正転に伴って図中時計回りに回転駆動されるリバースローラ203bが当接して搬送分離ニップを形成している。搬送分離ニップにおいては、搬送ベルト203aの表面が給紙方向に移動する。リバースローラ203bが搬送ベルト203aに直接当接しているときや、搬送分離ニップに原稿シートPが1枚だけ挟み込まれているときには、前記給紙モータからリバースローラ203bに至るまでの駆動伝達経路に配設されたトルクリミッターが働いて、給紙モータからの駆動力をリバースローラ203bに対して断ち切る。これにより、リバースローラ203bは搬送ベルト203aに連れ回って、原稿シートPを給紙方向に搬送する。これに対し、搬送分離ニップに複数の原稿シートPが重なった状態で進入したときには、シート間でスリップが発生することで、前述のトルクリミッターに働くトルクが閾値を下回るようになる。これにより、前記給紙モータからの駆動力がリバースローラ203bに繋がれて、リバースローラ203bが図中時計回り方向に回転駆動する。そして、複数の原稿シートPのうち、自らに直接接触している原稿シートPを原稿トレイ200に向けて搬送する。この逆搬送は、搬送分離ニップ内の記録シートPが1枚だけになるまで続く。これにより、最終的に記録シートPが1枚だけに分離された状態で、搬送分離ニップを通過する。
搬送分離ニップよりもシート搬送方向の下流側には、アルファベットのC字状に大きく湾曲している湾曲搬送路が配設されている。搬送分離ニップを通過した原稿シートPは、この湾曲搬送路内に配設されている搬送ローラ対204の搬送ニップに挟み込まれた状態で、湾曲搬送路に沿って大きく湾曲しながら搬送される。これにより、その上下を反転させて、それまで鉛直方向の上方に向けていた原稿読み取り面を下方に向けるようになる。そして、その原稿読み取り面をスキャナ3の第2コンタクトガラス301に押し付けながら、第2コンタクトガラス301の真上を通過することで原稿が読み取られる。第2コンタクトガラス301の真上を通過した原稿シートPは、読取後第1搬送ローラ対205と、読取後第2搬送ローラ対206とを順次通過する。
読取動作モードとして、片面読取モードが選択されているときには、揺動軸を中心にして揺動可能な切替爪207が図示のような姿勢で揺動を停止させている。この姿勢では、読取後第2搬送ローラ対206を通過した原稿シートPが切替爪207に接触することなく、排紙トレイ209a上に移動してそこにスタックされる。これに対し、両面読取モードが選択され、且つ読取後第2搬送ローラ対206から送り出される原稿シートPが両面のうちの片面しか画像の読み取りがなされていないものであるときには、切替爪207が図示の状態よりも自由端を下方に向ける姿勢をとる。すると、読取後搬送ローラ対206を通過した原稿シートPが、切替爪207を乗り越えて、中継ローラ対210のローラ間に挟み込まれる。このとき、中継ローラ対210の2つのローラは、それぞれ原稿シートPを自らの図中右側方に存在している中継トレイ209bに向けて搬送する方向に回転駆動している。このため、原稿シートPは中継トレイ209b上に移動するが、シート後端部が中継ローラ対210を抜ける直前で、中継ローラ対210の回転駆動が停止する。そして、中継ローラ対210の2つのローラがそれまでとは逆方向に回転駆動し始める。これとほぼ同時に、切替爪207が図示の姿勢の位置まで再び移動する。このようにして、原稿シートPのスイッチバックが行われて、原稿シートPが中継ローラ対210から、読取後搬送ローラ対206のほぼ真上に配設されている再送ローラ対208に向けて搬送される。
再送ローラ対208のローラ間に挟み込まれた原稿シートPは、両面のうち、まだ画像の読み取りがなされていない方の面を鉛直方向の上方に向けた状態になっている。この状態で、再送ローラ対208の回転駆動によって上述した湾曲搬送路に送り込まれることで、まだ画像の読み取りがなされていない方の面を下方に向けながら、第2コンタクトガラス301の真上を通過して、その面の画像が読み取られる。このようにしてもう一方の面の画像も読み取られた原稿シートPが読取後第2搬送ローラ対206を通過するときには、切替爪207が図示の姿勢をとっている。これにより、原稿シートPは、排紙トレイ209a上にスタックされる。
次に、実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。
図4は、実施形態に係る複写機の手差しトレイ60を示す拡大斜視図である。
同図において、手差しトレイ60は、第1載置部61と第2載置部62とを有している。図中の矢印Cは、手差しトレイ60上に載置された図示しない記録シートが手差しトレイ60上から送り出される方向、即ちシート送り出し方向を示している。第1載置部61は、手差しトレイ60上に載置される記録シートにおける送り出し方向の全領域のうち、先端側の領域を受けるものである。また、第2載置部62は、記録シートにおけるシート送り出し方向の全領域のうち、後端側の領域を受けるものであり、揺動軸を中心にして所定の範囲内で揺動するよううに第1載置部61に支持されている。手差しトレイ60においては、第1載置部61の底板610によるシート受け面と、厚板状の第2載置部62によるシート受け面621とにより、記録シートを載置するための載置面が構成されている。底板63によって構成されている前者のシート受け面は、載置面の全領域のうち、記録シートの先端側を載置する先端側載置面として機能している。また、第2載置部62のシート受け面621は、載置面の全領域のうち、記録シートの後端側を載置する後端側載置面として機能している。
同図において、矢印Bは、手差しトレイ60の載置面上における搬送直交方向を示している。また、一点鎖線L1は、手差しトレイ60の搬送直交方向における中心線を示している。第1載置部61の底板610には、矢印Bで示される搬送直交方向に延在するスリットが設けられている。そして、底板610上には、スリットに沿ってスライド移動可能な第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612が配設されている。それらサイドフェンスは、何れも底板610のスリットを通じて底板610の下まで延びる足部を具備しており、この足部が駆動伝達機構に支持されている。
第1規制部材としての第1サイドフェンス611は、載置面上に載置された図示しない記録シートの搬送直交方向における一端の位置を規制するためのものである。また、第2規制部材としての第2サイドフェンス612は、載置面上に載置された図示しない記録シートの搬送直交方向における他端の位置を規制するためのものである。これら2枚のサイドフェンスは、矢印Cで示される送り出し方向に延在する姿勢を保ったまま、互いに中心線L1に近づくようにスライド移動したり、互いに中心線L1から遠ざかるようにスライド移動したりする。図示の状態では、2つのサイドフェンスは何れも移動可能範囲において中心線L1から最も遠ざかった位置で停止している。その位置が、それぞれのサイドフェンスにおけるホームポジションである。
第2載置部62の後端部には、延長ガイド63を出し入れ可能に収容するためのガイド収容部が形成されている。同図では、延長ガイド63が第2載置部62の中に収容されている状態が示されているが、この状態から、延長ガイド63を図中矢印A方向に引き出すことで、延長ガイド63を第2載置部62の後方に向けて延伸させることができる。長さの大きな記録シートを載置するときには、このようにして延長ガイド63を延伸させる。
図5は、手差しトレイ60の第1載置部61を示す分解斜視図である。同図においては、図4に示した底板63を撤去した状態の第1載置部61を示している。第1載置部61は、底板の下に、第1ラックギヤ613、第2ラックギヤ614、連結ピニオンギヤ615、駆動制限機構616などを具備する駆動伝達機構が配設されており、図示しない駆動モータの回転駆動力がこの駆動伝達機構を介して第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612に伝えられることにより、それらサイドフェンスが底板上で搬送直交方向に沿ってスライド移動する。
図6は、第1載置部61の駆動伝達機構を2つのサイドフェンスとともに示す分解斜視図である。同図において、第1ラックギヤ613は、第1サイドフェンス611の足部と一体形成されており、その足部から、図示しない底板(図4の63)の搬送直交方向(矢印B方向)における中心線L1に向けて搬送直交方向に沿って真っ直ぐに延在するように、その足部によって片持ち支持されている。また、第2ラックギヤ614は、第2サイドフェンス612の足部と一体形成されており、その足部から中心線L1に向けて搬送直交方向に沿って真っ直ぐに延在するように、その足部に片持ち支持されている。
円盤状の連結ピニオンギヤ615は、中心線L1の位置で鉛直方向に沿って延在している回動軸に支持されながら、その回動軸を中心にして回動する。この連結ピニオンギヤ615に対しては、板状の第1ラックギヤ613が噛み合っている。また、連結ピニオンギヤ615の全周のうち、第1ラックギヤ613に噛み合っている領域とは180[°]の点対称の位置にある領域に対しては、板状の第2ラックギヤ614が噛み合っている。
板状の第1ラックギヤ613における2つの長辺のうち、一方には、連結ピニオンギヤ615に噛み合わせるための歯部が形成されている。また、他方の長辺には、後述する駆動制限機構616の従動側駆動伝達部材のギヤ部に噛み合わせるための歯部が形成されている。第1ラックギヤ613においては、後者の歯部が原動側の歯部になっているのに対し、前者の歯部が従動側の歯部になっている。
駆動制限機構616の側方には、駆動源としての駆動モータ617が配設されており、この駆動モータ617のモータギヤには、無端状のタイミングベルト618が巻き掛けられている。このタイミングベルト618は、駆動制限機構616の後述するタイミングプーリーにも巻き掛けられることで、所定のテンションで張架されている。駆動モータ617が正転方向に回転駆動すると、その回転駆動力が、タイミングベルト618と駆動制限機構616とに伝達された後、駆動制限機構616の従動側駆動伝達部材のギヤ部と第1ラックギヤ613との噛み合い部で回転方向の力が搬送直交方向の力に変換される。そして、第1ラックギヤ613に一体形成されている第1サイドフェンス611が図示の位置から中心線L1に向けてスライド移動する。同時に、第1サイドフェンス611の搬送直交方向の力が、第1サイドフェンス611と連結ピニオンギヤ615との噛み合い部で回転方向の力に変換されて、連結ピニオンギヤ615が正回転方向に回転する。この回転力は、連結ピニオンギヤ615と第2ラックギヤ614との噛み合い部で搬送直交方向の力に変換されて、第2ラックギヤ614に一体形成されている第2サイドフェンス612が図示の位置から中心線L1に向けて直線上をスライド移動する。
一方、駆動モータ617が逆転方向に回転駆動すると、その回転駆動力が、タイミングベルト618と駆動制限機構616とに順次伝わった後、第1サイドフェンス611を中心線L1側から搬送直交方向の一端側(第1サイドフェンス611が同図で位置している側)に向けて直線上をスライド移動する。同時に、第1サイドフェンス611に一体形成された第1ラックギヤ613が連結ピニオンギヤ615を逆転させながら直線上をスライド移動する。そして、連結ピニオンギヤ615の逆転方向の回転力が、第2ラックギヤ614に伝わって、第2サイドフェンス612を中心線L1側から搬送直交方向の他端側(第2サイドフェンス612が同図で位置している側)に向けてスライド移動する。
このように、駆動モータ617が正転方向に回転駆動すると、2つのサイドフェンスが搬送直交方向の端側から中心線L1側に向けて互いに近づくようにスライド移動する。これにより、2つのサイドフェンス間の距離が徐々に短くなっていく。一方、駆動モータ617が逆転方向に回転駆動すると、2つのサイドフェンスが搬送直交方向(矢印B方向)の中心線L1側から端側に向けて互いに遠ざかるようにスライド移動する。これにより、2つのサイドフェンス間の距離が徐々に遠ざかっている。なお、2つのサイドフェンスの移動位置にかかわらず、中心線L1から第1サイドフェンス611までの距離と、第2サイドフェンス612から中心線L1までの距離とは互いに等しくなる。よって、2つのサイドフェンスの移動位置にかかわらず、フェンス間の中心は、中心線L1の位置になる。
駆動モータ617の側方には、透過型フォトセンサからなるホームポジションセンサ650が配設されている。同図では、第1サイドフェンス611、第2サイドフェンス612がそれぞれホームポジションに位置している状態を示している。この状態では、図示のように、第1サイドフェンス611が、自らの足部から下方に向けて突出させている被検部を、ホームポジションセンサ650の発光素子と受光素子との間に介在させる。これにより、ホームポジションセンサ650は、第1サイドフェンス611がホームポジションに位置していることを検知する。なお、このホームポジションセンサ650のように、第1サイドフェンス611がホームポジションに位置したことを光学的に検知する方式のものに代えて、磁気的な検知など、他の方式による検知を行うものを採用してもよい。
作業者は、先に図4に示した手差しトレイ60に記録シートを1枚だけ、あるいはシート束の状態で載置する際には、まず、シートの載置に先立って複写機の操作表示部に設けられた図示しない手差し実行ボタンを押す。すると、画像形成部(4)に設けられたCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などからなる駆動制御手段としての制御部は、ホームポジションセンサ650によって第1サイドフェンス611のホームポジションへの移動が検知されるまで、駆動モータ617を逆転方向に駆動する。これにより、第1サイドフェンス611、第2サイドフェンス612がそれぞれ、ホームポジションの位置で停止する。なお、第1載置部61は、底板610に設けられた図示しない開口部の下に、図示しない紙検知センサを具備している。この紙検知センサは、反射型フォトセンサ等からなり、底板610の上に記録シートが載置されると、図示しない開口部を通してその記録シートを検知する。
図7は、第1載置部(61)の駆動制限機構616を拡大して示す拡大構成図である。駆動制限機構616は、原動側駆動伝達部材616aと、従動側駆動伝達部材616dとを有している。従動側駆動伝達部材616dは、自らよりも従動側に存在している第1ラックギヤ(図6の613)と噛み合うギヤ部616eと、回転方向に所定のピッチで並ぶ複数の図示しないスリットを具備するスリット円盤616fとが一体に形成されたものである。また、原動側駆動伝達部材616aは、自らよりも原動側に存在しているタイミングベルト(図6の618)が掛け回されるタイミングプーリ616bを具備している。これら原動側駆動伝達部材616a及び従動側駆動伝達部材616dは、何れもそれらに貫通している支持軸616hによって回動自在に支持されている。また、原動側駆動伝達部材616aは、図示しない付勢手段によって従動側駆動伝達部材616dに向けて付勢されている。これにより、原動側駆動伝達部材616aが従動側駆動伝達部材616dに圧接している。
タイミングベルト(図6の618)の無端移動によって原動側駆動伝達部材616aが回転すると、従動側駆動伝達部材616dが原動側駆動伝達部材616aに連れ回る。そして、従動側駆動伝達部材616dのギヤ部616eが、図示しない第1ラックギヤ(図6の613)をスライド移動させる。但し、従動側駆動伝達部材616dに所定の閾値を超える負荷がかかると、その負荷によって従動側駆動伝達部材616dの回転を妨げようとする力が、従動側駆動伝達部材616dと原動側駆動伝達部材616aとの圧接部における両者間の摩擦力を上回る。すると、圧接部において、原動側駆動伝達部材616aが従動側駆動伝達部材616aの表面上でスリップするようになることから、原動側駆動伝達部材616aの回転駆動力が従動側駆動伝達部材616dに伝わらなくなる。これにより、それまでスライド移動していた図示しない第1サイドフェンス(図6の611)や第2サイドフェンス(図6の612)のスライド移動が停止する。このように、駆動制限機構616は、従動側駆動伝達部材616dにかかる負荷が所定の閾値を超えた場合に、原動側駆動伝達部材616aから従動側駆動伝達部材616dへの駆動力の伝達を断つことで、移動中の第1サイドフェンスを停止させる停止手段として機能している。
先に示した図4において、第1載置部61の底板610や、第2載置部62のシート受け面621からなる載置面の上に図示しない記録シートをセットした作業者は、操作表示部(図2の9)の位置合わせボタンを押す。すると、制御部が駆動モータ(図6の617)の正転方向の駆動を開始する。これにより、ホームポジションに位置していた第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612がそれぞれ中心線L1に向けてスライド移動し始める。このとき、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612との距離は、両者間に載置された図示しない記録シートの搬送直交方向(矢印B方向)の寸法よりも大きくなっている。この状態では、図示しない記録シートが、搬送直交方向において2つのサイドフェンスの間を自由に移動することが可能である。このため、スライド移動を開始した第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612が記録シートに当接したとしても、その記録シートを中心線L1に向けて押しながらスムーズにスライド移動する。その後、第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612は、両者間に記録シートを挟み込む位置、即ち、両者間の距離を記録シートの搬送直交方向の寸法と等しくする位置、まで移動する。このとき、それらサイドフェンスが互いに記録シートを介して押し合うようになることから、それらサイドフェンスに加わる圧力が急激に上昇して所定の閾値を超えるようになる。同時に、上述した駆動制限機構(616)の従動側駆動伝達部材(616d)に対して所定の閾値を超える負荷がかかるようになって、原動側駆動伝達部材(616a)が従動側駆動伝達部材(616d)の表面上でスリップする。これにより、第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612の中心線L1に向けてのスライド移動を停止させる。そして、手差しトレイ60の上に無造作におかれた記録シートが、中心線L1の位置に位置合わせされるとともに、搬送方向(矢印C方向)に真っ直ぐに沿った姿勢に矯正される。
かかる構成においては、第1サイドフェンス611、第2サイドフェンス612、駆動モータ617、駆動伝達機構などにより、手差しトレイ60のシート載置面上で記録シートの搬送直交方向の位置を所定位置である中心線L1の位置に合わせるシート位置合わせ装置が構成されている。そして、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612との距離を両者間にセットされた記録シートの搬送直交方向の寸法とほぼ同じにした位置でそれらサイドフェンスのスライド移動を停止させる。これにより、記録シートとして、サイズの解らない不定型サイズ紙が用いられたとしても、それを載置面上の搬送方向(矢印C方向)に沿った真っ直ぐな姿勢に確実に矯正することができる。
なお、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612との間に記録シートが挟み込まれた瞬間に従動側駆動伝達部材616dにかかる負荷を閾値を、従動側駆動伝達部材616d上での原動側駆動伝達部材616aのスリップを生起させ得る値に設定するには、次のようにすればよい。即ち、従動側駆動伝達部材616dに前述の負荷がかかったときに発揮される、従動側駆動伝達部材616dの回転を止めようとする力よりも、僅かに弱い摩擦力を原動側駆動伝達部材616aと従動側駆動伝達部材616dとの圧接部で発生させるようにすればよい。また、前記摩擦力については、原動側駆動伝達部材616aの圧接領域の表面摩擦抵抗や、従動側駆動伝達部616dの圧接領域の表面摩擦抵抗を適切に設定することで、任意の値に調整することが可能である。
本複写機においては、センター基準方式で各色の感光体(21Y,M,C,K)にトナー像を形成するようになっている。センター基準方式は、使用される記録シートのサイズにかかわらず、感光体の回転軸線方向の中心を基準にして画像を形成する方式である。かかるセンター基準方式では、記録シートのサイズにかかわらず、画像形成部4内において感光体の軸線方向中心の位置で記録シートを搬送する必要がある。このため、図4において、手差しトレイ60上で中心線L1の位置に記録シートを位置合わせするようになっている。そして、記録シートのサイズにかかわらず、記録シートを中心線L1の位置に位置合わせすることを可能にするために、次のような構成を採用している。即ち、第1サイドフェンス611だけでなく、第2サイドフェンス612も載置面上でスライド移動可能に配設し、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612とに対して、搬送直交方向に沿って互いに逆方向の力を伝達するように駆動伝達機構を構成している。更に、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612とを互いに同じタイミングで停止させるように、駆動制限機構616等を具備する停止手段たる駆動伝達機構を構成している。
画像の基準位置を定める方式としては、センター基準方式の他に、サイド基準方式がある。サイド基準方式は、使用される記録シートのサイズにかかわらず、感光体の回転軸線方向の一端位置を基準にして画像を形成する方式である。かかるサイド基準方式では、記録シートのサイズにかかわらず、画像形成部4内において感光体の軸線方向の一端位置で記録シートを搬送する必要がある。このため、サイド基準方式を採用する場合には、2枚のサイドフェンスをスライド移動させる構成の代わりに、次のような構成を採用することが望ましい。即ち、搬送直交方向において、第2サイドフェンス612を感光体の回転軸線方向の一端位置の延長線上に固定配置する。そして、第1サイドフェンス611だけをスライド移動させて、載置面上にセットされた記録シートを第2サイドフェンス612の位置に位置合わせする。なお、サイド基準方式においては、スライド移動可能なサイドフェンスを1つだけ設け、もう一方のサイドフェンスの役割については、トレイ側壁に担わせてもよい。
実施形態に係る複写機のように、原動側からの駆動力の従動側への伝達を断つことで第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612のスライド移動を停止させるものにおいては、駆動モータ617を駆動させたままの状態で、それらサイドフェンスを停止させることができる。このため、サイドフェンスを停止させるときに駆動モータ617の駆動を停止させることは必須ではないが、いつもまでも駆動モータ617を駆動し続けることは、無駄なエネルギー消費や、機器消耗による低寿命化などを招くため好ましくない。よって、サイドフェンス停止後、それほど時間をおかずに、駆動モータ617を停止させることが望ましい。そこで、実施形態に係る複写機においては、従動側駆動伝達部材616dについて、動作しているか否かを検知する動作検知手段を設けている。そして、その動作検知手段によって従動側駆動伝達部材616dの動作を検知しなくなったことに基づいて駆動モータ617の正回転方向の駆動を停止させる処理を実施するように、駆動制御手段たる制御部を構成している。動作検知手段としては、従動側駆動伝達部材616dのスリット円盤616fの回転を検知する回転検知センサ619を用いている。図6に示したように、この回転検知センサ619は、スリット円盤616fの上面に対向するように配設された発光素子と、スリット円盤616fの下面に対向するように配設された受光素子との間に、スリット円盤616fを挟み込んでいる。回転方向に所定のピッチで並ぶようにスリット円盤616fに設けられた複数のスリットが、スリット円盤616fの回転に伴って前記発光素子との対向位置を通過する度に、前記受光素子が前記発光素子からの光を受光する。これにより、従動側駆動伝達部材616dが一定の角速度で回転しているときには、回転検知センサ619から、図8に示すようなパルス信号が一定の周期(△t)で繰り返し出力される。これに対し、従動側駆動伝達部材616dの回転が停止すると、回転検知センサ619からパルス信号が一定の周期(△t)で出力されなくなる。このときの出力は、スリット円盤616fの回転停止姿勢によって異なってくる。具体的には、スリット円盤616fがそのスリット間箇所を回転検知センサ619の発光素子との対向領域に位置させる姿勢で回転を停止させている場合には、回転検知センサ619の受光素子に対して発光素子からの光が入射しなくなる。このため、回転検知センサ619の出力はOFFの状態が続く。一方、スリット円盤616fがそのスリットを回転検知センサ619の発光素子との対向領域に位置させる姿勢で回転を停止させている場合には、回転検知センサ619の受光素子に対して発光素子からの光が入射し続ける。このため、回転検知センサ619の出力はONの状態が続く。何れの場合であっても、OFFあるいはONの状態が、パルス信号の発生周期(△t)を超えて継続することになる。そこで、制御部は、回転検知センサ619からのパルス信号が一定の周期で出力されている状態から、出力のOFF状態やON状態が「周期△t+定数α」を超えて継続する状態に変化したときに、従動側駆動伝達部材616dについて回転が停止したと判断する。そして、この判断を行うと直ちに、駆動モータ617の正転方向への駆動を停止させる。
2枚のサイドフェンスの駆動開始から駆動停止までの駆動量は、それらサイドフェンスにおけるホームポジションから停止位置までの移動量の合計と相関する。また、前記合計は、フェンス間にセットされた記録シートの搬送直交方向の寸法(以下、シート幅寸法という)と相関する。このため、前記駆動量に基づいてシート幅寸法を求めるための関数式又はデータテーブルを構築することが可能である。そこで、本複写機の制御部は、図8に示したように、前記駆動量として、駆動開始から駆動停止までのパルス数積算値を計数する処理を実施する。また、データ記憶手段たるROMに、パルス数積算値に基づいてシート幅寸法を求めるための関数式又はデータテーブルを記憶している。そして、パルス数積算値の計数結果を関数式に代入してシート幅寸法を求める処理、あるいは、計数結果に対応するシート幅寸法をデータテーブルから特定する処理を実施する。これにより、手差しトレイ60の載置面上にセットされた記録シートのシート幅寸法を特定する。かかる構成では、手差しトレイ60の載置面上にセットした記録シートのシート幅寸法を、操作表示部に入力することなく、制御部に自動で特定させることができる。
なお、2枚のサイドフェンスの位置にかかわらず、駆動モータ617を一定の駆動速度で駆動してそれらフェンスをスライド移動させる場合には、駆動開始から駆動停止までの駆動量として、パルス数積算値に代えて、駆動開始から駆動停止までに要した時間である駆動時間を採用してもよい。この場合、シート幅寸法Lxは、「Lx=L0−tf×2Vf」という関数式で求められる。この関数式において、L0は、2枚のサイドフェンスがそれぞれホームポジションにあるときの初期フェンス間距離[cm]を表している。また、tfは、フェンス移動時間[s]を表している。また、Vfは、それぞれのサイドフェンスにおける移動速度[cm/s]を表しており、搬送直交方向に沿って一端側に向かうのか、あるいは他端側に向かうのかという移動方向を示すための正負の符号をもたない値をとるものである。
既に説明したように、図7において、停止手段としての駆動制限機構616は、従動側駆動伝達部材616dにかかる負荷が所定の閾値を超えた場合に、原動側駆動伝達部材616aから従動側駆動伝達部材616dへの駆動力の伝達を断つことで、移動中の第1サイドフェンスを停止させる。本複写機では、負荷が所定の閾値を超えた場合に原動側駆動伝達部材616aから従動側駆動伝達部材616dへの駆動力の伝達を断つことを実現するための方式として、回転する原動側駆動伝達部材616aとの圧接によって従動側駆動伝達部材616dを回転させる方式を採用している。かかる方式に代えて、直線的に移動する原動側駆動伝達部材との圧接によって従動側駆動伝達部材を同じ方向に直線的に移動させる方式を採用してもよい。
従動側駆動伝達部材616dにかかる負荷の閾値としては、スライド移動している2枚のサイドフェンスの間に1枚の薄紙が挟み込まれたときに発生する負荷(以下、薄紙挟み込み時負荷という)よりも小さくすることが望ましい。こうすることで、1枚の薄紙がセットされた場合であっても、それを2枚のサイドフェンス間に挟み込んだ瞬間に、2枚のサイドフェンスに対する駆動伝達を切ることが可能になるからである。この一方で、閾値としては、手差しトレイ60上に載置可能な最大積載量の記録シート束が載置された場合に、その記録シート束をスライド移動させるときに発生する負荷(以下、最大積載束移動時負荷という)よりも大きくすることが望ましい。このようにしないと、最大積載量の記録シート束をサイドフェンスでスライド移動させることができずに、位置合わせが行えなくなるからである。よって、「最大積載束移動時負荷<閾値<薄紙挟み込み時負荷」という関係を満足させることが望ましい。そのためには、薄紙挟み込み時負荷が最大積載束移動時負荷よりも大きくなければならないが、その逆の大小関係になってしまうのが一般的である。
そこで、実施形態に係る複写機においては、次のような構成を採用している。即ち、先に図4に示したように、手差しトレイ60において、後端側載置面として機能しているシート受け面621は、先端側載置面として機能している底板610に対して、屈折角θをもって屈折した姿勢をとるように設けられている。屈折角θは、先端側載置面のシート搬送方向(矢印C方向)の延長線と、後端側載置面のシート搬送方向の延長線とのなす角であり、図示の例では180[°]未満の値になっている。このように、先端側載置面(底板610)と、後端側載置面(シート受け面621)とが互いに屈折していると、載置面の上におかれた記録シートが、屈折角θに沿って屈折した姿勢をとる。そして、第2サイドフェンス612は、図9に示すように、記録シート6の屈折部に当接し得る位置でスライド移動するように配設されている。また、第1サイドフェンス611も同様に、記録シート6の屈折部に当接し得る位置でスライド移動するように配設されている。この屈折部は、2枚のサイドフェンスに挟み込まれたときに、屈折していないシート箇所に比べて大きな負荷を従動側駆動伝達部材616dにかける。これにより、薄紙挟み込み時負荷を最大積載束移動時負荷よりも大きくすることで、「最大積載束移動時負荷<閾値<薄紙挟み込み時負荷」という関係を実現する閾値の設定を行うことが可能になった。閾値の調整については、前述の関係が実現されるように、従動側駆動伝達部材616dの圧接部の表面摩擦抵抗や、原動側駆動伝達部材616aの圧接部の表面摩擦抵抗を調整することで行っている。このようにすることで、手差しトレイ60の載置面の上に薄紙を1枚だけセットした場合であっても、スライド移動中のサイドフェンスを途中で停止させてしまうことなく、その普通紙を中心線L1の位置に良好に位置合わせすることができる。また、1枚の普通紙がフェンス間に挟み込まれた瞬間に、閾値を超える負荷を確実に従動側駆動伝達部材616dにかける。これにより、フェンス間距離をシート幅寸法よりも狭くしない適切なタイミングで、サイドフェンスのスライド移動を停止させることができる。
なお、実施形態に係る複写機においては、手差しトレイ60の上にセットされた記録シートを確実に屈折角θに沿って屈折させるように、記録シートの屈折を助長するための押さえコロを設けている。図1に示したように、この押さえコロ605は、画像形成部4の筺体側面に揺動可能に支持される揺動アーム604の先端に、回動可能に取り付けられている。そして、手差しトレイ60の上にセットされた記録シート6における底板610とシート受け面612との間の領域に対して、押さえコロ605をソフトタッチさせることで、記録シート6を確実に屈折角θに沿って屈折させる。
図10は、実施形態に係る複写機の電気回路の一部を示すブロック図である。同図においては、駆動制御手段としての制御部400は、複写機に搭載されている各種機器の駆動を制御するものである。この制御部400には、様々な機器が接続されているが、同図においては、手差しトレイ(60)上での記録シートの位置合わせに関連する機器だけを示している。制御部400には、既に説明した、駆動モータ617、ホームポジションセンサ650、回転検知センサ619、紙検知センサ66、操作表示部900などが接続されている。また、給紙昇降モータ67やコロ揺動モータ68も接続されている。紙検知センサ66は、図4に示した底板610の図示しない開口部を通して、底板610上の記録シートを検知するものである。また、給紙昇降モータ67は、図1に示した給紙ローラ601を手差しトレイ60に対して昇降させるためのモータである。また、コロ揺動モータ68は、押さえコロ605を揺動アーム604とともに揺動させるためのモータである。
図11は、制御部400によって実施されるシート位置合わせ処理の各処理工程を示すフローチャートである。制御部(400)は、作業者によって操作表示部(900)の手差し実行ボタンが押下されると(ステップ1でY:以下、ステップをSと記す)、コロ離間処理(S2)、給紙ローラ上昇処理(S3)、及び、フェンスホーム合わせ処理(S4)を順に実行する。コロ離間処理(S2)は、コロ揺動モータ68を所定のタイミングになるまで逆転駆動することで、押さえコロ(605)を手差しトレイ(60)の載置面から大きく離間させる位置まで上昇させる処理である。また、給紙ローラ上昇処理(S3)は、給紙昇降モータ(68)を所定のタイミングになるまで逆転駆動することで、給紙ローラ(601)を載置面上のシート束に接触させない位置まで上昇させる処理である。また、フェンスホーム合わせ処理(S4)は、ホームポジションセンサ(610)によって第1サイドフェンス(611)が検知されるようになるまで、駆動モータ(617)を逆転駆動する処理である。これにより、第1サイドフェンス(611)及び第2サイドフェンス(612)がそれぞれ、ホームポジションまでスライド移動する。
制御部(400)は、フェンスホーム合わせ処理(S4)を終えると、次に、操作表示部(900)の位置合わせボタンが作業者によって押下されるまで待機する。そして、位置合わせボタンが押下されると(S5でY)、紙検知センサ(66)によって載置面上の記録シートが検知されているか否かを判断する(S6)。そして、検知されていない場合には(S6でN)、操作表示部(900)の液晶画面に記録シートがセットされていない旨のエラーメッセージを表示させた後(S7)、処理フローをS5にループさせる。これにより、位置合わせボタンの押下がなされるまで再び待機する。一方、載置面上の記録シートが紙検知センサによって検知されている場合には(S6でY)、コロ押さえ処理(S8)、位置合わせ及びパルスカウント処理(S9)、及びサイズ特定処理(S10)を順に実行する。コロ押さえ処理(S8)は、コロ揺動モータ(68)を所定のタイミングになるまで正転駆動することで、押さえコロ(605)を手差しトレイ(60)上の記録シートに非常に弱い接触圧で接触させて、記録シートの屈折を助長する処理である。また、位置合わせ及びパルスカウント処理(S9)は、2枚のサイドフェンスのスライド移動によって記録シートを中止線L1の位置に位置合わせしたり、回転検知センサ(619)から出力されるパルス信号の数を計数したりする処理である。また、サイズ特定処理(S10)は、計数によって得られたパルス数積算値に基づいて、手差しトレイ(60)上に載置された記録シートのシート幅寸法を特定する処理である。その詳細は既に説明した通りである。
サイズ特定処理(S10)によって記録シートのシート幅寸法を特定した制御部(400)は、その値をRAM(400b)に記憶した後(S11)、給紙ローラ下降処理(S12)を実行して、一連の処理フローを終了する。給紙ローラ下降処理(S12)は、給紙昇降モータ(68)を所定のタイミングになるまで正転駆動することで、給紙ローラ(601)を載置面上のシート束の最上位の記録シートに接触させる位置まで下降させる処理である。
図12は、位置合わせ及びパルスカウント処理(S9)における各処理工程を示すフローチャートである。制御部(400)は、位置合わせ及びパルスカウント処理(S9)を開始すると、まず、駆動モータ(617)の正転駆動を開始して(S9a)、2枚のサイドフェンスをそれぞれホームポジションから中心線L1に向けてスライド移動させ始める。これとほぼ同時に、回転検知センサ(619)から出力されるパルス信号の計数を開始する(S9b)。その後、回転検知センサ(619)の出力について、出力ONの持続時間が「パルス周期△t+定数α」を上回ったか否かを判定したり(S9c)、出力OFFの持続時間が「パルス周期△t+定数α」を上回ったか否かを判定したり(S9d)する。そして、何れか一方の持続時間が「パルス周期△t+定数α」を上回ったときに(S9cでY、あるいはS9dでY)、駆動モータ(617)の駆動を停止させる(S9e)。これにより、フェンス間距離をシート幅寸法とほぼ同じ値にする位置で2枚のサイドフェンスをそれぞれ停止させる。その後、パルス数積算値をRAM(400b)に記憶して、位置合わせ及びパルスカウント処理を終了する。
図13は、実施形態に係る複写機の手差しトレイにおける第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612と、記録シートとを示す平面図である。本複写機においては、同図に示すように、第1サイドフェンス611として、手差しトレイの図示しない載置面上に載置された記録シート6の搬送直交方向(同図における左右方向)の端に接触する接触部611bと、接触部を保持する保持部611aとを設けたものを用いている。そして、接触部611bと保持部611aとの間には、両者間に介在しながら接触部611bを第2サイドフェンス612に向けて付勢する付勢手段としての付勢コイルバネ611cを設けている。第2サイドフェンス612においても、第1サイドフェンス611と同様の接触部612b、保持部612a、及び付勢コイルバネ612cを設けている。第2サイドフェンス612の付勢コイルバネ612cは、接触部612bを第1サイドフェンス611に向けて付勢する。
かかる構成において、互いに重ね合わせられた多数の記録シートが上記搬送直交方向において不揃いの状態で載置面上に載置されたとする。すると、不揃いの記録シートが移動する第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612によって載置面の中心線L1に向けて押されていく過程で、シート間に比較的大きな摩擦力が働くことにより、全ての記録シートが中心線L1の位置まで移動する前に、駆動制限機構616の従動側駆動伝達部材616dが空回りして、サイドフェンスの移動が停止する。このようにして、移動中の第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612が正規の位置合わせ位置よりも手前で停止してしまうことがある。このような場合であっても、付勢コイルバネ611cによって付勢している接触部611bによって記録シートを第2サイドフェンス612に向けて押し続けたり、付勢コイルバネ612cによって付勢している接触部612bによって記録シートを第1サイドフェンス611に向けて押し続けたりする。これにより、中心線L1からズレた状態にある記録シートをそれに接触している記録シートとの摩擦力に打ち勝って中心線L1に向けて移動させて、中心線L1に位置合わせすることができる。
なお、付勢手段としては、コイルバネの他、板バネ等のコイルバネとは異なるタイプのバネや、スポンジ等の発泡体、又はゴムやエラストマー樹脂などの弾性を有する弾性体を例示することができる。
実施形態に係る複写機においては、先に図6に示したように、第1規制部材たる第1サイドフェンス611だけではく、第2規制部材たる第2サイドフェンス612も、搬送直交方向(矢印B方向)にスライド移動可能に構成している。また、本複写機においては、第1ラックギヤ613、第2ラックギヤ614、連結ピニオンギヤ615、駆動制限機構616、タイミングベルト618などの組合せが、駆動源たる駆動モータ17によって発揮される駆動力を、第1規制部材たる第1サイドフェンス611に伝達して、第1サイドフェンス611を搬送直交方向に移動させる駆動伝達手段として機能している。この駆動伝達手段は、既に説明したように、駆動モータ617の駆動力を、第1サイドフェンス611に加えて、第2サイドフェンス612にも伝達しながら、第2サイドフェンス612を搬送直交方向に沿って第1サイドフェンス611とは逆方向に移動させるようになっている。また、停止手段たる駆動制限機構616は、第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612の両方を停止させるようになっている。更には、先に図13に示したように、第1サイドフェンス611の付勢コイルバネ611cと、第2サイドフェンス612の付勢コイルバネ612cとからなる付勢手段を、次のように構成している。即ち、第1サイドフェンス611の接触部611bを付勢コイルバネ611cによって第2サイドフェンス612に向けて付勢しながら、第2サイドフェンスの接触部612bを付勢コイルバネ612cによって第1サイドフェンス611に向けて付勢するようになっている。かかる構成では、移動中の第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612を正規の位置合わせ位置よりも手前で停止させてしまった場合に、次のようにして記録シートの位置を修正する。即ち、中央よりも第1サイドフェンス611側にずれた位置にある記録シートを第1サイドフェンス611の接触部611bによって中央に向けて押し続けながら、中央よりも第2サイドフェンス612側にずれた位置にある記録シートを第2サイドフェンス612の接触部612bによって中央に向けて押し続けて、それぞれの記録シートを中央に移動させる。これにより、付勢手段によって第1サイドフェンス611だけを付勢する構成に比べて、記録シートをより正確に中央に位置合わせすることができる。
先に示した図1において、実施形態に係る複写機は、手差しトレイ60だけでなく、画像形成部4の給紙トレイ41、画像形成部4の排紙トレイ80、スキャナ3の原稿トレイ200、スキャナ3の中継トレイ209bにもそれぞれ、本発明に係るシート位置合わせ装置を搭載している。それらシート位置合わせ装置の構成は、手差しトレイ60に搭載されているシート位置合わせ装置と同様である。
図14は、給紙カセット41を示す拡大斜視図である。シート収納装置としての給紙カセット41は、図示しない記録シートを載置する載置面の全域のうち、先端側載置面として機能する底板413を有している。また、底板413の表面上を搬送直交方向(図中矢印B方向)にスライド移動するように配設された第1サイドフェンス411及び第2サイドフェンス412、図示しない記録シートの給紙カセット41内における先端位置を規制するためのエンドフェンス414なども有している。図中でL2という符号が付された一点鎖線は、給紙カセット41の搬送直交方向における中心線を示しており、これは、搬送直交方向において、手差しトレイの中心線(L1)や、感光体の回転軸線方向の中心線と同じ位置に延在している。
同図では示されていないが、底板413の下には、手差しトレイ(60)のシート位置合わせ装置と同様に、駆動制限機構、第1ラックギヤ、第2ラックギヤ、連結ピニオンギヤ、駆動モータ、タイミングベルト、ホームポジションセンサ、回転検知センサ、紙検知センサなどが配設されている。そして、第1サイドフェンス411及び第2サイドフェンス412は、手差しトレイ(60)のシート位置合わせ装置と同様の原理で、フェンス間に載置された記録シートの位置を中心線L2の位置に合わせるようにスライド移動する。なお、給紙カセット41に搭載された駆動モータや各種センサは、給紙カセット41が画像形成部の所定の位置にセットされたときに、画像形成部の筺体内の制御部との電気接点が繋がるようになっている。
先に図1に示したように、給紙カセット41内に収納された記録シートの束には、給紙ローラ42が当接している。この給紙ローラ42は、給紙カセット41ではなく、画像形成部4の筺体内に支持されている。給紙カセット41が画像形成部4の筺体内にセットされている状態で、作業者が操作表示部の紙補充ボタンを押すと、制御部(400)が筺体内の給紙ローラ昇降モータを所定のタイミングまで逆転駆動する。これにより、2つの給紙カセット41においてそれぞれ、給紙ローラ42をカセットから大きく離間させる。また、制御部は、2つの給紙カセット41にそれぞれ個別に搭載されている駆動モータの逆転駆動して、給紙カセット41におけるサイドフェンスをそれぞれホームポジションまで移動させる。この状態の給紙カセット41を画像形成部4の筺体から引き抜いた作業者は、給紙カセット41の底板(413)の上に記録シートの束をセットした後、給紙カセット41を筺体内に戻す。そして、操作表示部のカセット内シート位置合わせボタンを押下する。すると、制御部(400)が、給紙カセット41の駆動モータの正転駆動を開始して、手差しトレイ(60)における位置合わせ及びカウント処理と同様の処理を行う。これにより、給紙カセット41にセットされた記録シートの束を、中心線L2の位置に位置合わせする。
なお、2枚のサイドフェンスを駆動モータの駆動によって搬送直交方向スライド移動させて記録シートの搬送直交方向の位置を自動で位置合わせするのに代えて、次のような位置合わせを行うようにしてもよい。即ち、エンドフェンス414を記録シートの搬送方向(矢印E方向やそれと正反対の方向)にスライド移動可能にしたエンドフェンス414を、実施形態に係る複写機の給紙カセット41のサイドフェンスと同様の構成で駆動するのである。カセット上に載置された記録シートの後端に当接させたエンドフェンス414を、先端側に向けてスライド移動させながら、記録シートをカセット先端側に向けてスライド移動させる。そして、記録シートの先端をカセットの先端側壁に突き当てた瞬間にエンドフェンス414に対する駆動伝達を切ることで、記録シートを先端側壁との突き当たり位置に位置合わせするのである。この場合、記録シートの搬送直交方向の全域のうち、中央部の領域に屈折部ができるように、給紙カセット41の底板を屈折させて、その記録シートの屈折部にエンドフェンス414を接触させるようにすることが望ましい。
先に示した図3において、ADF2のシート収納装置としての原稿トレイ200には、手差しトレイ(60)と同様の構成のシート位置合わせ装置を備えている。そして、このシート位置合わせ装置は、シート載置面としてのトレイ上面200aの上で、搬送直交方向(図紙面に直交する方向)にスライド移動可能な第1サイドフェンス211及び第2サイドフェンス212を有している。また、手差しトレイ(60)と同様に、それらサイドフェンスをスライド移動させるための、第1ラックギヤ213、第2ラックギヤ214、連結ピニオンギヤ215、駆動制限機構216、駆動モータ217なども有している。そして、手差しトレイ(60)のシート位置合わせ装置と同様の原理により、第1サイドフェンス211及び第2サイドフェンス212を搬送直交方向の中心線に向けてスライド移動させて、トレイ上面200aの上に載置された原稿シートPを中心線の位置に位置合わせする。
AFD2は、原稿シートPをトレイ上面200a上から送り出すための給紙ローラ202をトレイ上面200aから大きく離間させ、且つ、トレイ上面200a上の2枚のサイドフェンスをそれぞれホームポジションに位置させた状態で、作業者からの命令を待機している。そして、トレイ上面200aに原稿シートPをセットした作業者によってコピースタートボタンが押下されると、まず、2枚のサイドフェンスをスライド移動させて原稿シートPを中心線の位置に位置合わせする。そして、給紙ローラ202を下降させて原稿シートPに接触させてから、原稿シートPの送り出しを開始する。
実施形態に係る複写機においては、ADF2におけるシート収納装置としての中継トレイ209bにも、手差しトレイ(60)と同様のシート位置合わせ装置を搭載している。ADF2は、通常時には、中継トレイ209b上で搬送直交方向にスライド移動可能に配設された図示しない中継第1サイドフェンス、中継第2サイドフェンスをそれぞれ、ホームポジションに待避させている。そして、第2コンタクトガラス301上を通過して片面の画像が読み取られた原稿シートPを上下反転させて再び第2コンタクトガラス301の上に通す際には、次のような処理を行う。即ち、まず、切替爪の自由端側を図示の状態よりも下降させるように切替爪の姿勢を変化させた後、中継ローラ対210の2つのローラを所定時間だけ正回転させる。これにより、読取後第2搬送ローラ対206の搬送ニップを通過した後の原稿シートPを、中継トレイ209b上に送り込む。次に、中継ローラ対210の回転駆動を停止させた状態で、中継ローラ対210の2つのローラのうち、上側のローラを上昇移動させて下側のローラから離間させる。これにより、それまで中継ローラ対210の搬送ニップに挟み込んでいた原稿シートPをフリーな状態にする。この状態で、中継トレイ209b上の図示しない中継第1サイドフェンスや中継第2サイドフェンスの中心線に向けてのスライド移動を開始して、中継トレイ209b上の原稿シートPを中心線の位置に位置合わせする。その後、搬送ニップを形成する位置まで中継ローラ対210における上側のローラを下降移動させた後、中継ローラ対210の逆転を開始して、原稿シートPの再送を開始する。
また、実施形態に係る複写機においては、反転搬送装置89のシート収納装置としての中継トレイ88にも、手差しトレイ60と同様のシート位置合わせ装置を搭載している。中継トレイ88は、通常時には、自らのシート載置面上で搬送直交方向にスライド移動可能に配設された図示しない中継第1サイドフェンス、中継第2サイドフェンスをそれぞれ、ホームポジションに待避させている。また、給紙ローラ42を、中継トレイ88のシート載置面から大きく離間させる位置に待避させている。両面プリントモードにおいて、片面プリント済みの全ての記録シート6が中継トレイ88内に収納されると、中継トレイ88は、中継第1サイドフェンス及び中継第2サイドフェンスを搬送直交方向の中心線に向けてスライド移動させて、中継トレイ88内に収納された記録シート6を中心線の位置に位置合わせする。その後、給紙ローラ42を下降移動させて中継トレイ88内の記録シート6に当接させてから、給紙ローラ42を回転駆動させて、中継トレイ88からレジストローラ対45に向けての記録シート6の再送を開始する中継トレイ88内の記録シート6を位置合わせしてから再送することで、ジャムやスキュー搬送の発生を抑えることができる。
また、実施形態に係る複写機においては、画像形成部4におけるシート収納装置としての排紙トレイ80にも、手差しトレイ60と同様のシート位置合わせ装置を搭載している。排紙トレイ80は、通常時には、自らのシート載置面上で搬送直交方向にスライド移動可能に配設された図示しない排紙第1サイドフェンス、排紙第2サイドフェンスをそれぞれ、ホームポジションに待避させている。画像形成部4による連続プリントジョブが終了して連続プリントにおける全ての記録シート6が排紙トレイ80上にスタックされると、排紙第1サイドフェンス及び排紙第2サイドフェンスを搬送直交方向の中心線に向けてスライド移動させて、排紙トレイ80上にスタックされた記録シート6を中心線の位置に位置合わせする。
なお、排紙トレイ80には、後処理装置を接続することが可能である。後処理装置は、次に列記する処理の少なくとも何れか1つを実施するものである。即ち、画像形成部4によって画像が形成された記録シートPを綴じるステイプル処理、画像が形成された記録シートPを仕向け先毎に仕分けする仕分け処理、シート先端を揃えたりシートのスキューを矯正したりする整合処理、複数の原稿シートPをページ順に並べ替えるソート処理などである。かかる処理を実施する後処理装置にも、本発明に係るシート位置合わせ装置を搭載することが可能である。ステイプル処理では、綴じる前の複数の記録シート6の位置合わせを行うようにしてもよいし、複数の記録シート6の綴じた後の綴じ束を複数重ねた後に、それら綴じた場の位置合わせを行うようにしてもよい。前者の場合には、複数の記録シート6を位置合わせによってずれのない状態にしてから綴じるので、シートずれのない綴じ束を得ることができる。また、後者の場合には、複数の綴じ束をずれなく積み重ねることができる。
次に、実施形態に係る複写機における一部の構成を他の構成に置き換えた各変形例の複写機について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各変形例に係る複写機の構成は、実施形態と同様である。
[第1変形例]
第1変形例に係る複写機は、次に説明する点が、実施形態に係る複写機と異なっている。即ち、手差しトレイ60は、図7に示される駆動制限機構616の代わりに、従動側駆動伝達部材と原動側駆動伝達部材とを摺擦不能に一体形成した駆動伝達機構を備えている。かかる構成の駆動伝達機構では、従動側駆動伝達部材にかかる負荷が所定の閾値を超えたとしても、原動側駆動伝達部材から従動側駆動伝達部材への駆動力の伝達を断つことはできない。つまり、この駆動伝達機構は、サイドフェンスを停止させる停止手段としては機能しない。
図15は、第1変形例に係る複写機の手差しトレイ(60)における第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612と、記録シート6とを示す平面図である。第1サイドフェンス611の保持部611aにおいて、付勢コイルバネ611cが当接している箇所には、付勢コイルバネ611cから付与される搬送直交方向の加圧力を検知する第1圧力検知センサ611dが配設されている。また、第2サイドフェンス612の保持部612aにおいて、付勢コイルバネ612cが当接している箇所には、付勢コイルバネ612cから付与される搬送直交方向の加圧力を検知する第2圧力検知センサ612dが配設されている。
制御部(400)によって上述した位置合わせ及びパルスカウント処理(図11のS9)が開始されると、第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612がそれぞれホームポジションから中心線(L1)に向けてスライド移動を開始する。このとき、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612との距離は、両者間に載置された記録シート6の搬送直交方向の寸法よりも大きくなっている。この状態では、記録シート6は搬送直交方向においてフェンス間スペース内を自由に移動することが可能である。このため、2枚のサイドフェンスは何れも、たとえ記録シート6に当接したとしても、その記録シート6を中心線(L1)に向けて押しながらスムーズにスライド移動する。その過程で、第1サイドフェンス611の接触部611bに記録シート6が当接すると、第1圧力検知センサ611dによって検知される圧力が僅かに上昇するが、大きく上昇することはない。また、第2サイドフェンス612の接触部612bに記録シート6が当接した場合も同様であり、当接によって第2圧力検知センサ612dよって検出される圧上昇は僅かである。
その後、2枚のサイドフェンスは、両者間に記録シート6を挟み込む位置まで移動する。このとき、2枚のサイドフェンスが互いに記録シート6を介して押し合うようになることから、第1圧力検知センサ611dによって検知される圧力や、第2圧力検知センサ612dによって検知される圧力が、何れも所定の閾値を超える。制御部(400)は、第1圧力検知センサ611dによって検知される圧力が閾値を超え、且つ、第2圧力検知センサ612dによって検知される圧力も閾値を超えると、直ちに駆動モータ617の正転駆動を停止させる。これにより、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612との距離を記録シート6の搬送直交方向の寸法とほぼ同じにした位置でそれらサイドフェンスのスライド移動を停止させる。このようにしてサイドフェンスを適切な位置で停止させることで、記録シート6を搬送方向に沿った真っ直ぐな姿勢に矯正することができる。つまり、第1変形例に係る複写機においては、圧力検知センサ(611d、612d)や制御部(400)などの組合せが停止手段として機能している。この停止手段は、第1サイドフェンス611の保持部611aや、第2サイドフェンス612の保持部612aに対して作用するフェンス移動方向(搬送直交方向)の加圧力を検知する圧力検知センサ(611d、612d)が所定の閾値を超える加圧力を検知した場合に、駆動モータの駆動を停止させることで、それらサイドフェンスの移動を停止させる。
なお、複数枚の記録シート6が不揃いの状態で載置面上におかれた場合、シート間に大きな摩擦力が働くことによって2枚のサイドフェンスを本来よりも僅かに手前の位置で停止させてしまうことがある。このような場合であっても、付勢コイルバネの付勢力によって中心線L1に向けて付勢しているサイドフェンスの接触部(611b、612b)により、記録シートを中心線L1に向けて付勢し続けることで、記録シートを中心線L1上まで移動させることが可能である。圧力検知センサ(611d、612d)としては、圧検知部の変形量の程度によって圧力換算用の入力値を変化させる方式のものを用いることが好ましい。
[第2変形例]
第2変形例に係る複写機は、第1サイドフェンスや第2サイドフェンスとして、先に図13に示した接触部(611b、612b)や付勢コイルバネ(611c、612c9を具備していないものを有している。つまり、第1サイドフェンスや第2サイドフェンスには、接触部を中心線に向けて付勢する付勢手段が設けられていない。
図16は、第2変形例に係る複写機における第1載置部61の駆動伝達機構を2つのサイドフェンスとともに示す分解斜視図である。この駆動伝達機構は、駆動モータ617と、第1ラックギヤ613との間における駆動伝達系が、実施形態に係る複写機と異なっている。具体的には、駆動モータ617のモータギヤには、中継ギヤ651が噛み合っている。更に、この中継ギヤ651には、中継ユニット652のギヤ部が噛み合っている。中継ユニット652は、ギヤ部の他に、プーリー部を具備しており、このプーリー部には無端状のタイミングベルト618が巻き掛けられている。そして、このタイミングベルト618は、駆動制限機構616の後述するタイミングプーリーにも巻き掛けられることで、所定のテンションで張架されている。駆動モータ617が正転方向に回転駆動すると、その回転駆動力が、中継ギヤ651と中継ユニット652とタイミングベルト618と駆動制限機構616とに順に伝達された後、駆動制限機構616の従動側駆動伝達部材のギヤ部と第1ラックギヤ613との噛み合い部で回転方向の力が搬送直交方向の力に変換される。そして、第1ラックギヤ613に一体形成されている第1サイドフェンス611が図示の位置から中心線L1に向けてスライド移動する。同時に、第1サイドフェンス611の搬送直交方向の力が、第1サイドフェンス611と連結ピニオンギヤ615との噛み合い部で回転方向に力に変換されて、連結ピニオンギヤ615が正回転方向に回転する。この回転力は、連結ピニオンギヤ615と第2ラックギヤ614との噛み合い部で搬送直交方向の力に変換されて、第2ラックギヤ614に一体形成されている第2サイドフェンス612が図示の位置から中心線L1に向けてスライド移動する。
図17は、第2変形例に係る複写機の駆動制限機構616を拡大して示す拡大斜視図である。この駆動制限機構616の原動側駆動伝達部材は、タイミングプーリー616bと、突起部616mとから構成されている。また、駆動制限機構616の従動側駆動伝達部材は、回転軸部材616i、ギヤ部616e、本体部616j、本体突起部616k、スリット円盤616f等から構成されている。図示しないタイミングベルトにより、タイミングブーリー616bが図中矢印方向(反時計回り方向)に回転駆動され、これによって回転軸部材616i等からなる従動側駆動伝達部材も図中矢印方向に回転駆動されると、この回転駆動力が図示しない第1ラックギヤ等に伝達されて、2枚のサイドフェンスがホームポジションから中心線に向けてスライド移動する。
原動側駆動伝達部材としてのタイミングプーリー616bは、中心部に円状の貫通口を有するリング状の形状になっている。このタイミングプーリー616bの貫通口には、従動側駆動伝達部材の回転軸部材616iが貫通せしめられている。従動側駆動伝達部材の回転軸部材616iには、ギヤ部616e、本体部616j、及びスリット円盤616fが固定されている。これら回転軸部材616j、ギヤ部616e、本体部616j、及びスリット円盤616fは、回転軸部材616jを中心にして一体的に回転するようになっている。
従動側駆動伝達部材の回転軸部材616iは、コイルバネ616nのコイル内に挿入されており、このコイルバネ616nは、回転軸部材616iとともにタイミングプーリー616bの貫通口内に挿入されている。コイルバネ616nの上端部は、図中矢印αで示すように、本体部616jに固定されている。また、このコイルバネ616nの下端部は、タイミングプーリー616bの貫通口内周面に固定されている。このようにして固定されたコイルバネ616nは、巻線方向のバネ力(ねじれ力)により、タイミングプーリー616bに対して図中時計回り方向(矢印方向とは反対方向)の力を付与するとともに、従動側駆動伝達部材の本体部616jに対して図中反時計回り方向(矢印方向)の力を付与する。図示しない2枚のサイドフェンスがホームポジションで停止している状態では、図示のように、コイルバネ616nのねじれ力によって図中時計回り方向に付勢されるタイミングプーリー616bの突起部616mと、同ねじれ力によって図中反時計回り方向に付勢される本体部616jの本体突起部616kとが互いに圧接した状態で、タイミングプーリー616bや従動側駆動伝達部材が回転を停止させている。
図示しない駆動モータの駆動により、タイミングプーリー616bが図中反時計回り方向に回転駆動されると、コイルバネ616bのねじれ力によって図中反時計回り方向への力が付与されている本体部616jがそれに追従して反時計回り方向に回転する。この回転力は、ギヤ部616eを介して図示しない第1ラックギヤに伝達されて、第1サイドフェンスや第2サイドフェンスを中心線に向けてスライド移動させる。
第1サイドフェンスや第2サイドフェンスが互いの間に記録シートを挟み込む位置まで移動すると、本体部616jに対して作用する図中時計回り方向のトルクが、コイルバネ616bのねじれ力を超える。これにより、本体部616j等からなる従動側駆動伝達部材の反時計回り方向の回転が停止して、2枚のサイドフェンスの中心線に向けてのスライド移動が停止する。すると、制御部(400)が、スリット円盤616fのスリットを検知する回転検知センサ(図16の619)からの出力に基づいて、従動側駆動伝達部材の回転停止を検知する。そして、駆動モータ(617)の駆動を停止させる。これにより、タイミングプーリー616bの反時計回り方向の回転駆動が停止する。駆動モータ(617)が駆動している状態で、従動側駆動伝達部材の反時計回り方向の回転が停止してから、その停止の検知結果に基づいて駆動モータの駆動が停止されるまでには、ある程度のタイムラグがある。このタイムラグの間は、従動側駆動伝達部材の回転が停止している状態で、タイミングプーリー616bだけが図中反時計回り方向に回転する。このため、制御部によって駆動モータの駆動が停止されたときには、タイミングプーリー616bは、自らの突起部616mを本体部616jの本体突起部616kとの突き当たり位置よりも所定の角度だけ反時計回り方向に回転させた位置で回転を停止させる。この状態では、コイルバネ616nのねじれ力によって図中反時計回り方向に付勢される本体部616jが、反時計回り方向に回転しようとすることで、ネジ部616eを反時計回りに回転させようとする。そして、この力が、図示しない第1ラックギヤ等を介して、第1サイドフェンスや第2サイドフェンスに伝達される。そして、第1サイドフェンスや第2サイドフェンスがそれぞれ、中心線に向けて付勢される。このように、付勢手段としてのコイルバネ616nは、原動側駆動伝達部材としてのタイミングプーリー616bと、本体部616j等からなる従動側駆動伝達部材との間に介在しつつ、それら駆動伝達部材に互いに反発する反発力を付与する。これにより、本体部616j等からなる従動側駆動伝達部材を介して、第1サイドフェンスに対して第2サイドフェンスに向かう(中心線L1に向かう)付勢力を付与する。かかる構成では、サイドフェンスに付勢手段を設けることなく、サイドフェンスを中心線に向けて付勢することができるので、サイドフェンスに付勢手段を設けることによるサイドフェンスの構造複雑化を回避することができる。
かかる構成において、原動側駆動伝達部材たるタイミングプーリー616bと、本体部616j等からなる従動側駆動伝達部材との間に介在するバネ部材としてのコイルバネ616nは、従動側駆動伝達部材に所定の閾値を超えるトルクがかかっていないときには、自らのバネ力によって従動側駆動伝達部材をタイミングプーリー616bに連れ回らせる。一方、従動側駆動伝達部材に閾値を超えるトルクがかかったときには、従動側駆動伝達部材は、タイミングプーリー616bに連れ回らずに、回転を停止させる。そして、停止手段の構成要素である制御部(400)は、駆動モータを駆動している状態で、回転検知センサ(619)によって従動側駆動伝達部材の回転停止が検知された場合に、駆動モータの駆動を停止させる。
駆動制限機構616内のバネ部材として機能するコイルバネ616nは、従動側駆動伝達部材を介して第1サイドフェンスを中心線に向けて付勢しつつ、第2サイドフェンスを中心線に向けて付勢する付勢手段として兼用されている。そして、コイル軸線を従動側駆動伝達部材の回転軸線に沿わせる姿勢で配設された状態で、コイル軸線方向の一端部(下端部)がタイミングプーリー616bに接続され、且つ他端部(上端部)が従動側駆動伝達部材たる本体部616jに接続されている。本複写機では、このようなコイルバネ616nのねじれ力により、従動側駆動伝達部材を原動側駆動伝達部材たるタイミングプーリーに連れ回らせる。かかる構成では、図17に示したように、コイルバネ616nのコイル内に従動側駆動伝達部材を挿入したレイアウトを採用して、省スペース化を図ることができる。なお、従動側駆動伝達部材の代わりに、原動側駆動伝達部材をコイルバネのコイル内に挿入したレイアウトを採用してもよい。また、コイルバネ616nの代わりに、回転軸部材616iを貫通せしめたゼンマイバネを用いてもよい。
[第3変形例]
第3変形例に係る複写機は、以下に特筆する点の他が、第2変形例に係る複写機と同様の構成になっている。
図18は、第3変形例に係る複写機の駆動制限機構616を拡大して示す拡大斜視図である。この駆動制限機構616において、コイルバネ616nには回転軸部材616iが挿入されていない。コイルバネ616nは、タイミングプーリー616bの上端面上において、自らの軸線方向をタイミングプーリ616bの回転方向に沿わせる姿勢をとりながら、その一端部がタイミングプーリー616bの突起部616mに固定されている。また、コイルバネ616nの他端部は、本体部616jの本体突起部616kに固定されている。図示の状態では、コイルバネ616nの延伸力により、タイミングプーリー616bに対して図中矢印方向(反時計回り方向)とは反対方向の回転力が付与される。また、本体部616jに対して図中矢印方向の回転力が付与される。
制御部(400)により、図示しない駆動モータが駆動されて、タイミングプーリー616bが図中矢印方向に回転駆動されると、その回転駆動力がコイルバネ616nを介して本体部616jに伝達されて、本体部616j等からなる従動側駆動伝達部材が矢印方向に回転する。これにより、図示しない2つのサイドフェンスがそれぞれホームポジションから中心線に向けてスライド移動する。2つのサイドフェンスが互いの間に記録シートを挟み込む位置まで移動すると、本体部616jに対して作用する図中時計回り方向のトルクが、コイルバネ616bの延伸力を超える。これにより、本体部616j等からなる従動側駆動伝達部材の反時計回り方向の回転が停止して、2枚のサイドフェンスの中心線に向けてのスライド移動が停止する。すると、制御部(400)が、スリット円盤616fのスリットを検知する回転検知センサ(図16の619)からの出力に基づいて、従動側駆動伝達部材の回転停止を検知する。そして、駆動モータ(617)の駆動を停止させる。これにより、タイミングプーリー616bの反時計回り方向の回転駆動が停止する。駆動モータ(617)が駆動している状態で、従動側駆動伝達部材の反時計回り方向の回転が停止してから、その停止の検知結果に基づいて駆動モータの駆動が停止されるまでには、ある程度のタイムラグがある。このタイムラグの間は、従動側駆動伝達部材の回転が停止している状態で、タイミングプーリー616bだけが図中反時計回り方向に回転する。このため、制御部によって駆動モータの駆動が停止されたときには、タイミングプーリー616bは、自らの突起部616mを本体部616jの本体突起部616kとの突き当たり位置よりも所定の角度だけ反時計回り方向に回転させた位置で回転を停止させる。この状態では、コイルバネ616nの延伸力によって図中反時計回り方向に付勢される本体部616jが、反時計回り方向に回転しようとすることで、ネジ部616eを反時計回りに回転させようとする。そして、この力が、図示しない第1ラックギヤ等を介して、第1サイドフェンスや第2サイドフェンスに伝達される。そして、第1サイドフェンスや第2サイドフェンスがそれぞれ、中心線に向けて付勢される。このように、付勢手段としてのコイルバネ616nは、原動側駆動伝達部材としてのタイミングプーリー616bと、本体部616j等からなる従動側駆動伝達部材との間に介在しつつ、それら駆動伝達部材に互いに反発する反発力を付与する。これにより、本体部616j等からなる従動側駆動伝達部材を介して、第1サイドフェンスに対して第2サイドフェンスに向かう(中心線L1に向かう)付勢力を付与する。かかる構成では、コイルバネ616nのバネ定数の調整により、コイルバネ616nの延伸力を容易に調整することができるので、サイドフェンスのスライド移動を停止させる際の上記トルクの閾値を容易に調整することができる。
[第4変形例]
第4変形例に係る複写機は、以下に特筆する点の他が、第2変形例に係る複写機と同様の構成になっている。手差しトレイ60は、図16に示される中継ギヤ651、中継ユニット652、タイミングベルト618、及び駆動制限機構616を有していない。
図19は、第4変形例に係る複写機の駆動伝達手段を示す平面図である。同図において、図示しない駆動モータのモータギヤ617aには、第3ラックギヤ663が噛み合っている。この第3ラックギヤ663は、その長手方向をサイドフェンス(611、612)のスライド移動方向に沿わせ、且つ、第1ラックギヤ613と所定の間隙を介してシート搬送方向に向かい合うように配設されている。第3ラックギヤ663のギヤ部は、第3ラックギヤ663における第1ラックギヤ対向側面とは反対側の側面に形成されている。第3ラックギヤ663における第1ラックギヤ対向側面には、第1ラックギヤ613に向けて突出する突出部663aが形成されている。また、第1ラックギヤ613における第3ラックギヤ対向側面には、第3ラックギヤ663に向けて突出する突出部613aが形成されている。そして、第3ラックギヤ663の突出部663aと、第1ラックギヤ613の突出部613aとの間には、コイルバネ664が、そのコイル軸線をそれらラックギヤの移動方向に延在させる姿勢で配設されている。
第1ラックギヤ613と第3ラックギヤ663とに着目すると、それら2つの部材間では、第3ラックギヤ663が原動側駆動伝達部材として機能し、且つ、第1ラックギヤ613が従動側駆動伝達部材として機能している。これらは何れも、直線軌道上を往復移動する駆動伝達部材である。付勢手段としてのコイルバネ664は、コイル軸線をその直線軌道に沿わせる姿勢で配設されており、コイル軸線方向の一端部が第3ラックギヤ663の突出部663aに接続され、且つ他端部が第1ラックギヤ613の突出部613aに接続されている。このように配設されたコイルバネ664は、その収縮力により、第1ラックギヤ613と第3ラックギヤ663とに対して互いにコイル軸線方向に沿った逆方向の反発力を付与する。具体的には、第1ラックギヤ613に対しては、第1サイドフェンス611側から第2サイドフェンス側に向かう力を付与する。これに対し、第3ラックギヤ663に対しては、第2サイドフェンス612側から第1サイドフェンス611側に向かう力を付与する。
第1ラックギヤ613における第3ラックギヤ対向側面には、ラックギヤの移動方向に沿って所定ピッチで並ぶ複数の光反射部(図示せず)が設けられている。また、第1ラックギヤ613と第3ラックギヤ663との間には、反射型フォトセンサを具備するリニアエンコーダセンサ662が配設されている。第1ラックギヤ613が図中左右方向(搬送直交方向)に移動すると、第1ラックギヤ613の第3ラックギヤ対向側面に設けられた複数の光反射部が、リニアエンコーダセンサ662との対向部を順次通過する。リニアエンコーダセンサ662は、自らとの対向位置を通過する複数の光反射部を検知することで、第1ラックギヤ613の図中左右方向の移動を検知する。
同図においては、第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612がそれぞれホームポジションに位置している。この状態で、図示しない駆動モータが駆動して第3ラックギヤ663を図中右側から左側に向けて移動させると、その移動力が、コイルバネ664を介して第1ラックギヤ613に伝達されて、第1ラックギヤ613が図中右側から左側に向けて移動する。これにより、第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612がそれぞれ、中心線L1に向けて移動する。その後、第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612は、両者間に記録シートを挟み込む位置、即ち、両者間の距離を記録シートの搬送直交方向の寸法とほぼ等しくする位置、まで移動する。このとき、それらサイドフェンスが互いに記録シートを介して押し合うようになることから、それらサイドフェンスに加わる圧力が急激に上昇して所定の閾値を超えるようになる。同時に、第1サイドフェンス611を停止させようとする力が、コイルバネ664の収縮力を上回って、コイルバネ664が伸張し始める。これにより、第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612の中心線L1に向けてのスライド移動が停止して、その停止がリニアエンコーダセンサ662によって検知される。制御部(400)は、リニアエンコーダセンサ662によって第1サイドフェンス611の移動停止が検知されると、駆動モータの駆動を停止させる。かかる構成においては、コイルバネ664が、第1ラックギヤ613等の駆動伝達系に所定の閾値を超える負荷がかかるようになったことにより、第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612の移動を停止させる停止手段の一部として機能している。
本複写機において、複数枚の記録シート6が不揃いの状態で手差しトレイの載置面上におかれた場合、シート間に大きな摩擦力が働くことによって2枚のサイドフェンスを本来よりも僅かに手前の位置で停止させてしまうことがある。このような場合であっても、図20に示すように、コイルバネ664の収縮力により、第1ラックギヤ613に対して図中右側から左側に移動させる方向の力を付与することで、第1サイドフェンスや第2サイドフェンスをそれぞれホームポジション側から中心線L1側に向けて付勢し続ける。これにより、駆動モータ617を停止させた状態で、記録シートを中心線L1上まで移動させることができる。
[第5変形例]
第5変形例に係る複写機は、以下に特筆する点の他が、第4変形例に係る複写機と同様の構成になっている。
図21は、第5変形例に係る複写機の手差しトレイにおける駆動伝達手段の一部を拡大して示す拡大平面図である。同図において、一端部が第1ラックギヤ613の突出部613aに接続され、且つ、他端部が第3ラックギヤ663の突出部663aに接続されたコイルバネ664は、その伸張力により、第1ラックギヤ613と第3ラックギヤ663とに対して互いにコイル軸線方向に沿った逆方向の反発力を付与する。具体的には、第1ラックギヤ613に対しては、第1サイドフェンスのホームポジション側から中心線L1側に向かう力を付与する。これに対し、第3ラックギヤ663に対しては、第2サイドフェンスのホームポジション側から中心線L1側に向かう力を付与する。
図示しない第1サイドフェンスや第2サイドフェンスをそれぞれホームポジションに位置させている状態で、図示しない駆動モータを駆動して第3ラックギヤ663を図中右側から左側に向けて移動させると、その移動力が、コイルバネ664を介して第1ラックギヤ613に伝達される。そして、第1ラックギヤ613が図中右側から左側に向けて移動する。これにより、第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612がそれぞれ、中心線L1に向けて移動する。その後、第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612は、両者間に記録シートを挟み込む位置、即ち、両者間の距離を記録シートの搬送直交方向の寸法とほぼ等しくする位置、まで移動する。このとき、それらサイドフェンスが互いに記録シートを介して押し合うようになることから、それらサイドフェンスに加わる圧力が急激に上昇して所定の閾値を超えるようになる。同時に、第1サイドフェンス611を停止させようとする力が、コイルバネ664の伸張力を上回って、コイルバネ664が収縮し始める。これにより、第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612の中心線L1に向けてのスライド移動が停止して、その停止がリニアエンコーダセンサによって検知される。制御部(400)は、リニアエンコーダセンサ662によって第1サイドフェンス611の移動停止が検知されると、駆動モータの駆動を停止させる。
[第6変形例]
第6変形例に係る複写機は、以下に特筆する点の他が、第4変形例に係る複写機と同様の構成になっている。
図22は、第6変形例に係る複写機の手差しトレイにおける駆動伝達手段の一部を拡大して示す拡大平面図である。同図において、コイルバネ664は、コイル軸線を第1ラックギヤ613や第3ラックギヤ663の直線軌道に直交する方向に沿わせる姿勢で配設されている。そして、コイル軸線方向の一端部が原動側駆動伝達部材としての第3ラックギヤ663の突出部663aに接続され、且つ他端部が従動側駆動伝達部材たる第1ラックギヤ613の突出部613aに接続されている。このように配設されたコイルバネ664は、コイルバネの巻線方向のねじれ反発力によって両ラックギヤに対して互いに反発する反発力を付与する。
図示しない第1サイドフェンスや第2サイドフェンスをそれぞれホームポジションに位置させている状態で、図示しない駆動モータを駆動して第3ラックギヤ663を図中右側から左側に向けて移動させると、その移動力が、コイルバネ664を介して第1ラックギヤ613に伝達される。そして、第1ラックギヤ613が図中右側から左側に向けて移動する。これにより、第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612がそれぞれ、中心線L1に向けて移動する。その後、第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612は、両者間に記録シートを挟み込む位置、即ち、両者間の距離を記録シートの搬送直交方向の寸法とほぼ等しくする位置、まで移動する。このとき、それらサイドフェンスが互いに記録シートを介して押し合うようになることから、それらサイドフェンスに加わる圧力が急激に上昇して所定の閾値を超えるようになる。同時に、第1サイドフェンス611を停止させようとする力が、コイルバネ664のねじれ収縮力を上回って、コイルバネ664が巻線方向に伸張し始める。これにより、第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612の中心線L1に向けてのスライド移動が停止して、その停止がリニアエンコーダセンサによって検知される。制御部(400)は、リニアエンコーダセンサ662によって第1サイドフェンス611の移動停止が検知されると、駆動モータの駆動を停止させる。
以上、実施形態に係る複写機においては、第2規制部材たる第2サイドフェンス612を上記搬送直交方向に移動可能に構成し、第1サイドフェンス611に加えて、第2サイドフェンス612にも駆動力を伝達しながら、第2サイドフェンス612を搬送直交方向に沿って第1サイドフェンス611とは逆方向に移動させるように、各種ラックギヤ等からなる駆動伝達手段を構成している。そして、駆動制限機構616の従動側駆動伝達部材616dに対して所定の負荷がかかったことに基づいて第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612の両方を停止させるように停止手段たる駆動制限機構616を構成している。更に、第1サイドフェンス611を第2サイドフェンス612に向けて付勢しながら、第2サイドフェンス612を第1サイドフェンス611に向けて付勢するように、付勢コイルバネ611cや付勢コイルバネ612cからなる付勢手段を構成している。かかる構成では、第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612の両方を付勢手段によってそれぞれ中心線L1に向けて付勢することで、何れか一方のサイドフェンスだけを付勢手段によって付勢する場合に比べて、記録シートをより正確に中央に位置合わせすることができる。
また、実施形態に係る複写機においては、第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612としてそれぞれ、載置面上に載置された記録シートの搬送直交方向の端に接触する接触部(611b、612b)と、それを保持する保持部(611a、612a)とを設けたものを用いている。そして、付勢手段として、第1サイドフェンス611の接触部611bと保持部611aとの間に介在しながら接触部611bを第2サイドフェンス612に向けて付勢する付勢コイルバネ611cと、第2サイドフェンス612の接触部612bと保持部612aとの間に介在しながら接触部612bを第1サイドフェンス611に向けて付勢する付勢コイルバネ612cとを設けている。かかる構成では、それぞれの接触部により、中心線L1からずれた位置にある記録シートを中心線L1に向けて付勢することができる。
また、第2変形例、第3変形例、第4変形例、第5変形例、第6変形例に係る複写機においては、手差しトレイの各種ラックギヤ等からなる駆動伝達手段における原動側駆動伝達部材と従動側駆動伝達部材との間に介在しつつ、それら駆動伝達部材に互いに反発する反発力を付与することで、従動側駆動伝達部材を介して第1サイドフェンス611に対して第2サイドフェンス612に向かう付勢力を付与するように、付勢手段(コイルバネ)を構成している。かかる構成では、サイドフェンスに付勢手段を設けることなく、サイドフェンスを中心線に向けて付勢することができるので、サイドフェンスに付勢手段を設けることによるサイドフェンスの構造複雑化を回避することができる。
また、第4変形例、第5変形例、第6変形例に係る複写機においては、原動側駆動伝達部材たる第3ラックギヤ663及び従動側駆動伝達部材たる第1ラックギヤ613としてそれぞれ、直線軌道上を往復移動するものを用いている。そして、付勢手段として、コイルバネ664を用い、そのコイルバネ664によって両ラックギヤに対して互いに反発する反発力を付与させるようにしている。かかる構成では、クラッチを用いることなく、原動側から従動側への駆動力伝達を切ることができる。
また、第4変形例、第5変形例に係る複写機においては、コイル軸線を上記直線軌道に沿わせる姿勢で配設し、コイル軸線方向の一端部を第3ラックギヤ663に接続し、且つ他端部を第1ラックギヤ613に接続したコイルバネ664の伸縮力(収縮力又は伸張力)により、両ラックギヤに対して互いに反発する反発力を付与させるようにしている。かかる構成では、コイルバネ664のバネ定数の調整により、サイドフェンスの移動を停止させる際の負荷閾値を容易に調整することができる。
また、第6変形例に係る複写機においては、コイル軸線を上記直線軌道に直交する方向に沿わせる姿勢で配設し、コイル軸線方向の一端部を第3ラックギヤ663に接続し、且つ他端部を第1ラックギヤ613に接続したコイルバネ664の巻線方向のねじり反発力によって両ラックギヤに対して互いに反発する反発力を付与させるようにしている。かかる構成では、コイルバネ664のねじり反発力及びねじり伸張力を利用して、原動側から従動側への駆動力伝達を入切することができる。
また、第2変形例に係る複写機においては、互いに同じ回転軸線上で回転する原動側駆動伝達部材(タイミングプーリー616b)及び従動側駆動伝達部材(本体部616j等)と、両者間に介在するバネ部材たるコイルバネ616nとを駆動伝達手段の一部をなす駆動制限機構616に設け、前記従動側駆動伝達部材に所定の閾値を超えるトルクがかかっていないときには、コイルバネ616nの力によって前記従動側駆動伝達部材を前記原動側駆動伝達部材に連れ回らせる一方で、前記従動側駆動伝達部材に前記閾値を超えるトルクがかかったときには、前記従動側駆動伝達部材の連れ回りを停止させるように駆動制限機構616を構成している。そして、駆動源たる駆動モータ617が駆動されている状態で、前記従動側駆動伝達部材の回転停止が検知された場合に、駆動モータ617の駆動を停止させる処理を実施するように停止手段の一部をなす制御部400を構成している。更に、前記従動側駆動伝達部材を介して第1サイドフェンス611を付勢する付勢手段として、コイルバネ616nを兼用している。かかる構成では、原動側から従動側への駆動伝達の入切を制御するためのバネ部材と、サイドフェンスを中心線L1に向けて付勢するための付勢手段とを兼用して、低コスト化及び省スペース化を図ることができる。
また、第2変形例に係る複写機においては、前記バネ部材として、コイルバネ616nを用い、コイル軸線を本体部616jの回転軸線に沿わせる姿勢で配設し、コイル軸線方向の一端部を原動側駆動伝達部材(タイミングプーリー616b)に接続し、且つ他端部を本体部616j等からなる従動側駆動伝達部材に接続したコイルバネ616nの巻線方向の力により、従動側駆動伝達部材を原動側駆動伝達部材に連れ回らせるようにしている。かかる構成では、コイルバネ616nのコイル内に従動側駆動伝達部材を挿入したレイアウトを採用して、省スペース化を図ることができる。
また、第3変形例に係る複写機においては、前記バネ部材として、コイルバネ616nを用い、コイル軸線を原動側駆動伝達部材(タイミングプーリー616b)の回転方向に沿わせる姿勢で配設し、コイル軸線方向の一端部を原動側駆動伝達部材に接続し、且つ他端部を本体部616j等からなる従動側駆動伝達部材に接続したコイルバネ616nの軸線方向の伸縮力により、従動側駆動伝達部材を原動側駆動伝達部材に連れ回らせるようにしている。かかる構成では、バネ定数の調整により、第2変形例に比べて、サイドフェンスのスライド移動を停止させる際の上記トルクの閾値を容易に調整することができる。
また、第1変形例に係る複写機においては、停止手段として、第1サイドフェンスの保持部611aと、第2サイドフェンス612の保持部612aとに対して作用するサイドフェンス移動方向の加圧力を検知する圧力検知センサ(611d、612d)が所定の閾値を超える加圧力を検知した場合に、駆動モータ617の駆動を停止させることで、両サイドフェンスを停止させるもの、を用いている。かかる構成では、前記閾値に基づいてサイドフェンスを停止させるための機構を設けることなく、駆動の制御により、前記閾値に基づいたサイドフェンスの停止を実現することができる。
また、実施形態に係る複写機においては、手差しトレイの載置面に記録シートが載置される際の第1サイドフェンス611の搬送直交方向における待避位置であるホームポジションに、第1サイドフェンス611が位置しているか否かを検知するホームポジションセンサ650を設けるとともに、操作者からの命令に基づいて、第1サイドフェンス611をホームポジションに移動させるまで駆動モータ617を逆駆動する処理を実施するように、制御部400を構成している。かかる構成では、操作者が記録シート6を載置面に載置する際に、第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612を載置の邪魔にならないホームポジションに待避させておくことができる。
また、実施形態に係る複写機においては、手差しトレイ60におけるシート載置面の全域のうち、記録シート6の搬送方向の後端側を載置するための後端側載置面として機能する底板610が、記録シート6の先端側を載置するための先端側載置面として機能するシート受け面621に対して所定の屈折角θをもって屈折する姿勢をとるように設けられている。更に、第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612が、シート載置面上に載置されている記録シートの全域のうち、少なくとも屈折角θに沿って屈折している屈折部に当接し得る位置で、搬送直交方向に沿って移動可能に配設されている。かかる構成では、既に説明したように、記録シートとして普通紙が1枚だけ載置面上にセットされた場合であっても、2枚のサイドフェンスをそれぞれ適切な位置に停止させつつ、埃等の付着に起因するサイドフェンスの誤停止の発生を抑えることができる。