以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。先ず、図1乃至図2を参照して実施形態に係るパチンコ機の全体構成について説明する。図1は、パチンコ機を示す正面図である。図2は、本体枠及び前面枠を開放した状態のパチンコ機を示す斜視図である。
図1に示すように、遊技機としてのパチンコ機1は、外枠2、本体枠3、遊技盤4、前面枠5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面一側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている
。また、本体枠3は、前枠体8、遊技盤装着枠9、及び機構装着枠10を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前側に形成された前枠体8は、外枠2前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。なお、本実施形態では、パチンコ機1の正面を視認する視線方向を前側(前面側)とし、これとは反対側(例えば、前枠体8に対する本体枠3側)を後側(背面側)とする。
また、本体枠3は、合成樹脂材によって一体に形成されると共に、前面側に遊技盤装着枠9が背面側に機構装着枠10がそれぞれ形成されている。これによって、合成樹脂製の本体枠3は、従来の前枠(内枠、前面枠等と呼ばれることがある)と、機構板(裏機構板、裏セット板等と呼ばれることがある)との機能を兼ね備えている。
前枠体8の後部に一体的に形成された遊技盤装着枠9には、遊技盤4が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。また、遊技盤装着枠9の左側部には、係合突部9aが上下に2つ形成され、遊技盤装着枠9の右側部には、係合凹部(図示しない)が上下に2つ形成されている。また、遊技盤4の盤面(前面)の左側部には係合突部9aと対応する係止穴4e(図4参照)が上下に2つ形成され、遊技盤4の盤面の右側部には係合凹部と対応する係合フック4cが上下に2つ形成されている。係合フック4cは、遊技盤4と遊技盤装着枠9とを係脱可能に係止する。
さらに、遊技盤4の左下部には、係止フック9bが形成され、遊技盤装着枠9の左下部には係止フック9bと対応する付勢ロック部(図示しない)が設けられている。遊技盤4を遊技盤装着枠9に装着した場合には付勢ロック部が係止フック9bを下方に付勢して係止する。なお、付勢ロック部によって係止フック9bを下方に付勢することにより遊技盤4に下方への付勢力を作用しつつ係止することができる。これにより遊技盤4が遊技盤装着枠9の下縁部と密着して下方に押圧固定される。
また、遊技盤4の盤面には、外レールと内レールとを備えた案内レール11が設けられている。また、遊技盤装着枠9よりも下方に位置する前枠体8の前側下部の一側寄りには、下部スピーカ14が装着されている。また、前枠体8前面の下部領域内の上側部分には、遊技盤4の発射通路に向けて遊技球を導く発射レール15が傾斜状に装着されている。一方、前枠体8前面の下部領域内の下側部分には、下前面部材16が装着されている。下前面部材16前面のほぼ中央には、下皿17が設けられ、片側寄りには操作ハンドル18が設けられている。
また、図2に示すように、本体枠3(前枠体8)のヒンジ機構7が設けられる側とは反対側となる開放側の後面には、外枠2に対して本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対して前面枠5を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置19が装着されている。施錠装置19は、外枠2に設けられた閉止具20に係脱可能に係合して本体枠3を閉鎖状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック21と、前面枠5の開放側の後面に設けられた閉止具22に係脱可能に係合して前面枠5を閉鎖状態に施錠する上下複数の扉施錠フック23とを備えている。
しかして、シリンダー錠24の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで、本体枠施錠フック21と外枠2の閉止具20との係合が解除されて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に鍵が回動操作されることで、扉施錠フック23と前面枠5の閉止具22との係合が解除されて前面枠5が解錠されるようになっている。なお、シリンダー錠24の前端部は、パチンコ機1の前方から鍵を挿入して解錠操作が行えるように、前枠体8及び下前面部材16を貫通して下前面部材16の前面に露出して配置されている。
なお、本実施例では、時計回り方向に鍵を回動操作することで外枠2に対して本体枠3
が解錠され、反時計回り方向に鍵を解錠操作することで本体枠3に対して前面枠5が解錠される。このように、回動操作の方向を異ならせるだけで、本体枠3又は前面枠5のいずれかを解錠させることができる。また、施錠装置19は、本体枠3を閉塞状態に施錠したときに、鍵以外の外部操作によって本体枠施錠フック21と外枠2の閉止具20との係合が解除されないように本体枠施錠フック21をロックするロック機構をさらに備えている。しかして、本体枠3を閉塞状態に施錠したときには、ロック機構により本体枠施錠フック21がロックされる。また、本体枠施錠フック21よりも外枠2と本体枠3(前面枠8)との間隙に近い側(図2において右側方)にリブが突設形成され、当該リブにより本体枠施錠フック21が外枠2と本体枠3(前面枠8)との間隙から針金等を差し込んで直接本体枠施錠フック21を操作しようとしてもリブに当接する。従って、外枠2と本体枠3(前面枠3)との間隙から針金等により本体枠3を不正に解錠する不正行為を防止することができる。
本体枠3前面の一側には、ヒンジ機構25によって前面枠5が前方に開閉可能に装着されている。前面枠5は、扉本体フレーム26、上皿28、及び操作ボタン18a(操作手段)を備えて構成されている。扉本体フレーム26は、プレス加工された金属製フレーム部材によって構成され、前枠体8の上端から下前面部材16の上縁に亘る部分を覆う大きさに形成されている。扉本体フレーム26のほぼ中央には、後述する遊技盤4の遊技領域12を前方から透視可能なほぼ円形状の開口窓30が形成されている。また、扉本体フレーム26の後側には、開口窓30よりも大きい矩形枠状をなす窓枠31が設けられ、該窓枠31には、透明板32が装着されている。
なお、本実施例では、遊技盤4の下方にシリンダー錠24を配置し、遊技盤4の右方に配置された施錠装置19を薄型化することで、遊技盤4に形成された遊技領域12の面積を従来よりも拡大することができ、遊技者の視認に対する興趣を高めることができる。また、遊技領域12を拡大することで、遊技領域12の中央部分に後述する球誘導装飾体66が配置されても、該球誘導装飾体66の下方に配置された可変入賞装置に遊技球を誘導し難いとの印象を与えることがない。また、遊技領域12の拡大に合わせて前面枠8の開口窓30も拡大され、該前面枠8の剛性が低下することとなるが、上皿28を一体的に構成する前面枠8とすることで、前面枠8の剛性の低下を抑制している。
扉本体フレーム26の前側には、開口窓30の周囲において、下部に上皿28が前面枠8と一体的に設けられ、左右両側部に枠ランプ27が、上部に上部スピーカ29が装着されている。また、上皿28の左片側寄りには、操作ボタン18aが配設されている。なお、枠ランプ27は、後述する液晶表示器50(表示手段)にて実行される演出の演出態様に応じて点灯・消灯制御され、上部スピーカ29及び上述した下部スピーカ14は、液晶表示器50にて実行される演出の演出態様に応じて複数種類の音出力態様の音出力制御が実行される。このように、液晶表示器50にて実行される演出に同期して枠ランプ27の点灯・消灯制御、上部スピーカ29及び下部スピーカ14の音出力制御、を実行することにより演出効果を高め、遊技者の興趣を向上させるためのものである。また、上部スピーカ29及び下部スピーカ14では、不正行為が実行されたことを報知する警告音、遊技に関するエラー状態が発生したことを報知する情報音、等の出力も行われる。
次に、本体枠3の裏面構成について説明すると、図3に示すように、本体枠3の裏面上側には、遊技島に設置される球揚送装置から供給される遊技球を貯留する球タンク140と、球タンク140と払出装置109とを接続し、球タンクに貯留される遊技球を流下せしめるタンクレール141と、が配置されている。なお、タンクレール141によって球タンク140と接続される払出装置109(球払出手段)は、ユニット状に形成され、タンクレール141からの遊技球を受け入れて遊技球の払い出しを指示する信号に基づいて所定個数の遊技球を払い出す。
また、タンクレール141の下方には、基板等が内蔵される基板保護カバー142が設けられている。なお、基板保護カバー142は、タンクレール141から落下した球によってこれら基板類が損傷するのを防止すると共に、各基板への不正行為を防止する役割を担っている。また、基板保護カバー142は、パチンコ機1の背面側に張り出しており、その下方に主制御基板201が配置されている。また、主制御基板201の遊技盤4背面側にはサブ統合基板211(図7参照)が配置されている。しかして、主制御基板201及びサブ統合基板211の上方がパチンコ機1の背面側に張り出した基板保護カバー142によって覆われ、タンクレール141から落下した球によって主制御基板201及びサブ統合基板211が損傷するのを防止している。
また、本体枠3の裏面下側一側に発射装置235(球発射手段)が取り付けられている。この発射装置235は、発射レール15に送られた球を発射する発射ハンマーと、発射ハンマーに往復回動動作を付与する発射モータ等を集約して設けることにより構成され、操作ハンドル18と関連付けられている。また、発射装置235の右側方には、払出基板205が設けられている。払出基板205は、主制御基板201からの遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信したことに基づいて払出装置209を駆動制御する。
図4は、遊技盤4を単独で示している。遊技盤4は、その前面(盤面)にて遊技領域12を形成し、この遊技領域12内で遊技球を流下させながら遊技を進行させる役割を担う。通常、パチンコ遊技機1における遊技は、遊技領域12内で遊技球が各種入賞口に入賞することにもとづいて内部判定(大当り判定)が行われたり、あるいは賞球の払い出しが行われたりしながら進行する。
遊技盤4は矩形状に成型された遊技板4aを有しており、遊技板4aの表面に円形状の遊技領域12が形成されている。また遊技板4aは、その前面が図示しないセル板を貼着することで装飾されており、さらに遊技領域12を取り囲む上下左右および四隅はパネル装飾体4dによって装飾されている。パネル装飾体4dは装飾としての機能の他に、上記の案内レール11や係合フック4c等を支持する機能をも有している。またパネル装飾体4dの左側縁部には、遊技盤装着枠9の係合突部9aを係止させるため上下2つの係止穴4eが形成されている。
遊技領域12には、遊技の進行に必要な各種構成要素の他に、演出用の各種構成要素が配置されている。すなわち、遊技領域12には多数の傷害釘や風車(図示しない)が適宜の配列で設置されており、発射された遊技球は傷害釘や風車等に誘導されながら遊技領域12内を流下する。また遊技領域12の中央部分から上半分には、ひときわ大きく目を引く球誘導装飾体66が配置されている。球誘導装飾体66は遊技板4aの表面(盤面)から前面側に突出して配置されており、その上縁部および左右側縁部に沿って遊技球を案内することで、遊技球の流下方向に変化を与えることができる。なお、球誘導装飾体66についてはさらに後述する。
遊技領域12の下半分には、その中央に上始動口68および下始動口70が上下に並んで配置されている。本実施形態では、下始動口70に電動チューリップ式の可変入賞装置が適用されており、下始動口70には、図中に実線で示されるように2つの可動片70aが左右に開いた状態にあるときだけ遊技球が入賞可能となる。
また遊技領域12の下部分には、下始動口70よりも下方に大入賞口72(可変入賞装置)が設置されている。本実施形態では、大入賞口72に前後開閉式の条件作動装置が適用されており、大入賞口72には、図示のように開閉部材72aが前面側へ開いた状態にあるときだけ遊技球が入賞可能となる。
その他、遊技領域12の下部分には、左右で一対をなすように2つの通過ゲート74が配置されている。また、遊技領域12の下部分には、大入賞口72の両側に2つずつ普通入賞口76(一般入賞口)が設置されており、これら4つの普通入賞口76は、遊技領域12の下縁部に沿って円弧を描くようにして配置されている。
球誘導装飾体66は全体として横長の額縁状に成型されており、その内側部分が中空となっている。前面側からみて、球誘導装飾体66の内側部分は演出領域(画像の表示や可動体の動作等の演出が行われる領域)として構成されており、球誘導装飾体66は演出領域の周囲を装飾するように配置されている。なお、演出領域や表示装置(液晶表示ユニット)、可動体等については後述する。
球誘導装飾体66には、全体としてパチンコ遊技機1の機種ないしそのゲームコンセプトに基づくデザインが施されている。本実施形態のパチンコ遊技機1では、ある有名な女性歌手をイメージキャラクタとしたゲームコンセプトが採用されており、球誘導装飾体66に施された造形には、その女性歌手自身の持つ流麗で豪華なイメージや、その持ち唄(各種の歌謡ヒット曲、恋愛歌)の持つ繊細なイメージを表現したデザインコンセプトが反映されている。
具体的には、先ず球誘導装飾体66の上縁部に目をやると、その中央位置に宝石状の頂部装飾体66aが配置されている。この頂部装飾体66aは、多面体カットが施された紫水晶(アメジスト)を象ったものであり、その周囲には宝石を支える金台を象った上部装飾体66bが配置されている。上部装飾体66bには微細な立体紋様が形成されており、その表面には光沢のあるクロムめっきが施されている。このため上部装飾体66bは、その微細な造形と金属的な光沢によって、宝石としての頂部装飾体66aを視覚的に引き立てている。
また球誘導装飾体66の左右の両側縁部には、左右で対をなすようにサイド装飾体66cが配置されている。これらサイド装飾体66cは架空動物(中国古代の瑞鳥)である「鳳凰」を象ったものであり、これら左右のサイド装飾体66cは、まさに「鳳凰」がこれから上空へ向かって飛翔しようとする姿を躍動的に表現したものとなっている。左右のサイド装飾体66cの表面には金めっき加工が施されており、その金色の光沢が視覚的に豪華で神秘的な雰囲気を醸し出している。
球誘導装飾体66の内縁(内周部分)には、上縁部から左右の内縁部および下縁部にかけて長く延びた内縁装飾体66dが配置されている。これら内縁装飾体66dは、中央位置の上部装飾体66bの両側から左右の斜め下方に延びた後、奥側へ湾曲するようにして成形されており、そして左右の内縁部の上端位置から下端位置を通り、さらに下縁部まで延びている。図4ではサイド装飾体66cの背後に隠れているが、内縁装飾体66dは左右の内縁部にて保護板120の前面に近接した位置を下方に延び、そして、下方に向かうにつれてサイド装飾体66cの後方から前方へせり出してくるように湾曲している。さらに左右の内縁装飾体66dは、サイド装飾体66cの下端(「鳳凰」の尾の先端に相当する部分)の近傍から下縁部の前面側に露出し、そのまま下縁部の前面を中央付近まで延びている。これら左右の内縁装飾体66dもまた、上部装飾体66bと同様にクロムめっき加工が施されており、このため左右の内縁装飾体66dには上部装飾体66bとの視覚的な一体感が生じ、遊技者からは、あたかも上部装飾体66bと左右の内縁装飾体66dが一続きに成形されているかのように視認される。
また球誘導装飾体66の下縁部には、その内縁に沿って下部装飾体67が設置されている。この下部装飾体67は、球誘導装飾体66の下縁部と保護板120との間を塞ぐよう
にして配置されている。下部装飾体67には、全体として周縁装飾部材122(図5参照)とデザイン上の統一感がある造形が施されているほか、その中央付近には左右で対をなす羽根状の装飾部が形成されている。なお、下部装飾体67の表面にもクロムメッキ加工が施されている。
一方、球誘導装飾体66の上縁部には、上部装飾体66bを中心として左右に広がる上縁装飾体66eが配置されている。この上縁装飾体66eは正面からみて横に並んだ2つ山形状をなしており、また全体としてある程度の奥行き(厚み)を有している。上縁装飾体66eの前面には、宝石を配列したような微細な立体的造形が施されており、その表面には全体的に金めっき加工が施されている。このため、上部装飾体66bおよび内縁装飾体66dの金属的な光沢と、隣接する上縁装飾体66eの金色の光沢とがきらびやかなコントラストをなし、そこには視覚的な高級感やゴージャスな雰囲気が醸し出されている。
発光領域64a,64bは、中央の上部装飾体66bを中心として左右対称の位置に配列されている。このうち、上位に並んだ4つの発光領域64aは、パチンコ遊技機1において特別図柄を表示するものとして機能する。特別図柄は、パチンコ遊技機1において特別図柄判定(大当り判定)が行われ、その当落の結果が出たということを外部に向けて表示する情報(判定情報)となる。すなわち、パチンコ遊技機1における通常遊技状態(大当り遊技でない状態)で上始動口68または下始動口70への入賞があると、それを契機に4つの発光領域67aがいろいろなパターンや発光色で点滅動作を開始し、これにより特別図柄の変動状態が表示される。このような特別図柄の変動開始(いわゆる「始動」)により、遊技者は大当り判定が行われたこと(あるいは、これから判定の結果が出ること)を認識することができる。この後、ある程度の時間が経過すると発光領域64aの点滅動作が停止し、そのときの判定結果(当落結果)を表示する態様で特別図柄が停止表示される。特別図柄の停止表示の態様について、簡易な例では4つの発光領域64aが全て同色で点灯していれば当選(大当り)を表し、4つの発光領域64aのいずれか1つでも点灯色が違っているか、もしくは消灯していれば落選を表すといった態様が挙げられる(ただし、これら以外の態様もある。)。これにより、遊技者は大当り判定に当選したか否かを視覚的に認識することができる。
反対に、下位に並んだ4つの発光領域64bは、パチンコ遊技機1において保留(始動記憶)ランプとして機能する。これら4つの発光領域64bは、そのとき発光(点灯)している個数によって特別図柄の始動記憶数(1〜4の保留球数)を表すことができる。具体的には、遊技中に上始動口68または下始動口70への入賞があると、これを契機として特別図柄の始動条件が記憶され、この状態で特別図柄が変動表示中であれば、最も左に位置する発光領域64bが発光(点灯)して始動記憶数(保留球数)が1であることが表示される。一方、始動条件が記憶されている状態で、特別図柄が変動していなければ(変動状態から停止表示状態になった場合を含む)、記憶された始動条件に基づいて特別図柄の変動表示が開始される。この場合、始動条件の記憶は消去され、あわせて始動記憶数「1」に対応する発光領域64bの発光が停止(消灯)される。なお、本実施形態では始動記憶数(保留球数)の上限が4であるため、上限に達した場合、それ以上の始動条件は記憶されない。なお、上記の特別図柄および始動記憶数の表示は、それぞれ特別図柄・保留表示LED基板144に実装された特別図柄表示LED144aおよび特図始動記憶LED144bにより行われる。これら特別図柄表示LED144aおよび特図始動記憶LED144bについては後述する。
一方、球誘導装飾体66の上縁部には、上部装飾体66bと左右のサイド装飾体66cとの間をつなぐようにして左右の上隅装飾体66fが配置されている。また球誘導装飾体66の下縁部には、左右のサイド装飾体66cの下方にそれぞれ左右の下隅装飾体66gが配置されている。これら上隅装飾体66fおよび下隅装飾体66gには、「鳳凰」にち
なんだ「羽衣」を想起させる立体的な造形が施されており、その波打つような形状が「鳳凰」としてのサイド装飾体66cがこれからまさに飛翔しようとする姿を視覚的に強調している。また、上隅装飾体66fおよび下隅装飾体66gはいずれも光透過性の半透明材料から成形されており、このうち左右の上隅装飾体66fでは、後述するセンター左部上LED基板104またはセンター右部上LED基板106による装飾的な発光動作が行われる。また、左右の下隅装飾体66gでは、後述するセンター左部下LED基板112またはセンター右部下LED基板114による装飾的な発光動作が行われる。
上記のように、球誘導装飾体66はその装飾的な造形やめっき加工によって視覚的な面白みを発揮したり、内蔵されたLEDを光源として各種の発光動作を行ったりする機能を有する。この他に球誘導装飾体66は、遊技領域12内で遊技球の流下を案内し、遊技球の動きに変化を与えることで遊技に面白みを付加する機能を有している。具体的には、球誘導装飾体66の両側縁部には、その内側にワープ通路66hが形成されており、また球誘導装飾体66の下縁部には、その上面にステージ部66iが形成されている。ワープ通路66hは球誘導装飾体66の左右両側から始まって両側縁部の内側を下り、そしてステージ部66iに通じている。さらに球誘導装飾体66の下縁部には、その中央位置に球放出口66jが形成されている。
ワープ通路66hは球誘導装飾体66の両側面にて開口しており、この開口を通じて内部に遊技球を受け入れ可能となっている。左右のワープ通路66hは、サイド装飾体66cの内部を僅かに中央方向に下りながら進むと、そこから奥側(後方)へ向けて折れ曲がり、そして真下方向に少し下った位置で中央方向に集まるようにして湾曲している。左右のワープ通路66hの下端はワープ出口として開口しており、開口から先はそのままステージ部66iにつながっている。また各ワープ通路66h内には、その途中に2つの突起部(図示しない)が段違いに形成されており、各ワープ通路66h内を流下する遊技球は、これら突起部に衝突しながら流下速度を緩和される。そして、遊技球がワープ通路66hの出口から放出されると、その先でステージ部66i上を転動する。
ステージ部66iは、左右のワープ通路66hの間を左右方向に長く延びており、その中央部分が僅かに盛り上がるようにして湾曲している。ステージ部66iの中央位置にはセンター窪み部(図示しない)が形成されており、このセンター窪み部は後方に向けて下り傾斜を有している。センター窪み部の奧で、下部装飾体67の中央位置に球落下穴67dが形成されており、球誘導装飾体66の下縁部には、球落下穴67dから下方に延びる球放出通路(図示しない)が形成されている。球放出通路は球落下穴67dから下方に下った後に前方へ折れ曲がり、そのまま下り傾斜を有したまま前面側の球放出口66jに通じている。
左右のワープ通路66hからステージ部66iに放出された遊技球は、その上面にて左右方向に揺れながら転動する。このうち、中央のセンター窪み部に嵌り込んだ遊技球は、そこから球放出通路を経て、球放出口66jから下方に放出される。球放出口66jから放出された遊技球は、その真下位置にある上始動口68に向けて落下し、相当高い確率で上始動口68に入賞することができる。
これに対し、ステージ部66iの上面にて、左右いずれかの窪み部67bに嵌り込んだ遊技球は、そこから球放出部67fに流下し、そして放出窪み部67cを経て球誘導装飾体66より下方の遊技領域12に落下する。放出窪み部67cはある程度の幅(遊技球が左右に転動できる幅)を有していることから、その落下方向は一定しておらず、あるものは上始動口68に入賞したり、あるものは上始動口68から左右に逸れて入賞しなかったりする。
なお本実施形態では、ステージ部66iや放出部67fは、いずれも遊技板4aの前面より奧、つまり開口部4fの内側に位置している。このため、遊技球が流下する遊技領域12は遊技板4aの表面から開口部4fの内側にまで広がっており、その分だけ遊技球の流下できる範囲が前後方向に拡張され、立体的で多様な遊技球の流下態様が実現されている。また、このように遊技領域12の範囲が開口部4fの内側にまで拡張されていても、本実施形態では保護板120によって遊技板4aより後方への遊技球の落下や飛び込みが確実に防止されている。
可動体124は非作動時に左右で4つずつのグループに分かれ、遊技者から視認されない位置(遊技板4aの背後で開口部4fよりも下方の位置)に隠れて待機している。そして作動時に個々の可動体124はそれぞれ角度の異なる作動位置まで変位し、全体として扇を象るようにして配置される。なお、個々の可動体124の表面には「鳳凰の羽根」を象った緻密な造形が施されており、これにより球誘導装飾体66のデザインとの統一が図られている。
この状態を遊技者の視点からみると、先ず最も手前側に球誘導装飾体66の装飾面(前面)が位置し、これより少し奧の位置に遊技球が左右方向に揺れ動くステージ部66iや内縁部の装飾面が位置し、次に保護板120を挟んで奧の空間部内に可動体124が位置し、そして可動体124よりもさらに奧に液晶表示ユニット150の表示画面が位置することになる。したがって、遊技者が最も奧の表示画面に視線を送るとき、その手前側に空間部や可動体124、保護板120、球誘導装飾体66の装飾面やステージ部66i等を視界の中に認めることとなり、これらの前後方向への重なりによって視覚的な奥行き感や立体感が強調される。
球誘導装飾体66の他に、遊技領域12の下縁部には左右で対をなすサイド装飾部材82が設置されている。4つの普通入賞口76のうち、右上および左上に位置する普通入賞口76はサイド装飾部材82と一体に形成されている。またサイド装飾部材82には、球誘導装飾体66のデザインコンセプトと統一感のあるデザインが施されている。なお本実施形態では、下始動口70を構成する可変入賞装置や、右下および左下に位置する普通入賞口76にも装飾的な造形が施されており、そのデザインには球誘導装飾体66やサイド装飾部材82のデザインとの統一が図られている。
左側のサイド装飾体82の上部には、2つの発光領域82aと4つの発光領域82bとが左右方向に配列されている。このうち、右側に並んだ2つの発光領域82aは、パチンコ遊技機1において普通図柄を表示するものとして機能する。普通図柄は、パチンコ遊技機1において普通図柄判定が行われ、その当落の結果が出たということを外部に向けて表示する情報(判定情報)となる。また、左側に並んだ4つの発光領域82bは、パチンコ遊技機1において普通図柄の保留(始動記憶)ランプとして機能する。これら4つの発光領域82bは、そのとき発光(点灯)している個数によって普通図柄の始動記憶数(1〜4の保留球数)を表すことができる。なお、上記の普通図柄および始動記憶数の表示は、それぞれ普通図柄・保留表示LED基板146に実装された普通図柄表示LED146aおよび普図始動記憶LED146bにより行われる。これら普通図柄表示LED146aおよび普図始動記憶LED146bについては後述する。
また、右側のサイド装飾体82の上部には、2つの発光領域82cと4つの発光領域82dとが左右方向に配列されている。このうち、左側に並んだ2つの発光領域82cは、そのときいずれの発光領域82cが発光(点灯)しているかによって大当り遊技状態の種類に関する情報を表すことができる。また、右側に並んだ4つの発光領域82dは、そのときいずれの発光領域82dの組み合わせが発光(点灯)しているかによって確率変動状態中等の遊技状態に関する情報を表すことができる。なお、これら遊技状態の表示は、状
態表示LED基板148に実装されたラウンド表示LED148aおよび状態表示LED148bにより行われる。これらラウンド表示LED148aおよび状態表示LED148bについても後述する。
図5は、遊技盤4を構成部品に分けた状態で示している。上記のように、遊技板4aの前面には各種入賞口等の他に球誘導装飾体66やサイド装飾部材82等の装飾部品が取り付けられているが、遊技板4aには、これら装飾部品の取付位置にそれぞれ開口部4f,4gが形成されている。開口部4f,4gは遊技板4aを前後方向(厚み方向)に貫通して形成されており、このうち中央に大きく形成された開口部4fの開口縁形状は球誘導装飾体66の外形に対応し、また左右に対をなして形成された開口部4gの開口縁形状は左右のサイド装飾部材82の外形に対応している。球誘導装飾体66および左右のサイド装飾部材82は、いずれも前面側から各開口部4f,4gに嵌め込んだ状態で遊技板4aに取り付けられる。
一方、遊技板4aの背面には大型の背面取付ユニット100が取り付けられている。この背面取付ユニット100は、遊技領域12内での演出動作に関する全ての電装品を1つに集合させたユニットとして構成されている。ここでいう演出動作には、例えば画像の表示や各種の発光動作、可動体の動作等が含まれる。本実施形態において、背面取付ユニット100は上記の球誘導装飾体66とともにパチンコ遊技機1の演出動作を行う構成要素である。以下、本実施形態において球誘導装飾体66と背面取付ユニット100とを総称して演出装置(図中参照符号400)と呼ぶものとする。
演出装置400を構成する球誘導装飾体66は、遊技板4aの前面側から開口部4fに嵌め込むようにして取り付けられている。これに対し、演出装置400のもう1つの構成要素である背面取付ユニット100は、遊技板4aの背面側に取り付けられた状態で3つの開口部4f,4gを背面側から覆うだけの大きさを有している。すなわち、背面取付ユニット100には、球誘導装飾体66において演出動作を行うために必要な電装品だけでなく、左右のサイド装飾部材82において演出動作(発光)を行うために必要な電装品が装備されている。
背面取付ユニット100は大きく分けて2つのパーツから構成されており、具体的には上側のアッパーパーツ100aおよび下側のロワーパーツ100bを有する。このうちアッパーパーツ100aは球誘導装飾体66に対応する電装品が組み込まれた部分であり、一方のロワーパーツ100bは左右のサイド装飾部材82に対応する電装品が組み込まれた部分となっている。
アッパーパーツ100aは球誘導装飾体66の外形に合わせて横長の矩形に成型されており、その上縁部にセンター上LED基板102が設置されているほか、左右の上隅位置にそれぞれセンター左部上LED基板104、センター右部上LED基板106が設置されている。またアッパーパーツ100aの左右の側縁部には、それぞれセンター左部中LED基板108、センター右部中LED基板110が設置されている。さらにアッパーパーツ100aの左右の下隅部には、それぞれセンター左部下LED基板112、センター右部下LED基板114が設置されている。そしてアッパーパーツ100aの下縁部の中央位置には、センター下LED基板116が設置されている。これらLED基板は球誘導装飾体66の背後から前方または側方に向けて光を発することで、球誘導装飾体66の発光領域を装飾的に発光させることができる。また、センター下LED基板116には、保護板120の後方で上向きに光を発するLEDが実装されており、これら上向きのLEDから発せられた光は、表示画面の前面側で可動体124を照射する。
アッパーパーツ100aの中央位置には、透明な保護板120が設置されている。保護
板120は横長の矩形状をなし、アッパーパーツ100aに対してその前面側から嵌め込むようにして取り付けられている。上記のセンター左部下LED基板112やセンター右部下LED基板114、センター下LED基板116は、アッパーパーツ100a内にて保護板120の背面側に設置されている。また、センター左部上LED基板104およびセンター右部上LED基板106は、その下側の一部分が保護板120の背面側に位置している。
なお、左右側縁部に位置するセンター左部中LED基板108およびセンター右部中LED基板110は保護板120の両外側にあり、それぞれの実装面が保護板120に対して垂直となる姿勢でアッパーパーツ100aに取り付けられている。この状態で、センター左部中LED基板108およびセンター右部中LED基板110に実装されているLEDが互いに中央を向き合うようにして位置付けられている。また、これらLEDから発せられた光は、その一部がエッジライトとして保護板120の両側端面から保護板120の透明材料に導入され、内部を全反射しながら導かれる。このため本実施形態では、透明な保護板120が導光板としての機能をも有している。
アッパーパーツ100aの内側には、保護板120よりも背後の位置に四角枠形状の周縁装飾部材122が設置されている。周縁装飾部材122は、保護板120の上下左右の周縁部に沿うようにして配置されており、前面側からは透明な保護板120を透過して視認可能である。
またアッパーパーツ100aの下縁部には、保護板120より背後の位置に左右の可動体124が設置されている。左右の可動体124は細長い板状部材から成型されており、アッパーパーツ100aの内側には、このような板状の可動体124が左右でそれぞれ前後方向に4枚ずつ重ね合わせられた状態で収容されている。なお左右の可動体124は中央位置から左右対称に斜め下方へ垂れ下がったような姿勢を保持している。
また、アッパーパーツ100aの下縁部には、保護板120の下方位置に可動体駆動部モータ126が設置されているほか、ギヤボックスからなる可動体駆動部128が設置されている。可動体駆動部モータ126は、可動体124を作動させる駆動源となり、また可動体駆動部128は、可動体駆動部モータ126の駆動力を各可動体124に伝達し、実際に可動体124を予め決められた態様で作動させる機能を有する。
また可動体駆動部128には、可動体モータセンサ234(図9に符号のみ記載)が内蔵されている。可動体モータセンサ234は透過式のフォトスイッチからなり、この可動体モータセンサ234により、可動体駆動部モータ126の作動時における可動体124の位置を検出可能となっている。
もう一方のロワーパーツ100bは、ちょうどアッパーパーツ100aの下側にぶら下がるようにして連結されており、その全体的な外形がアルファベットのW字形状をなしている。すなわち、ロワーパーツ100bの左右両側部分は上方へ拡開するようにして延びており、一方、左右両側部分の間をつなぐ連結部分は、その中央位置が僅かに上方へ山形に盛り上がっている。これにより、ロワーパーツ100bを全体としてみるとW字形状をなしていることがわかる。
ロワーパーツ100bの左右両側部分には、それぞれサイドLED基板130が設置されている。これらサイドLED基板130は、左右のサイド装飾部材82の背後から前方に向けて光を発することで、各サイド装飾部材82の発光領域を装飾的に発光させることができる。
本実施形態では、パチンコ遊技機1において行われる内部判定(特別図柄判定、普通図柄判定等)に関する情報が多色または単色のLEDを用いて表示されるものとなっており、そのための電装品として各種のLED基板が背面取付ユニット100に設置されている。
先ずアッパーパーツ100aの上縁部には、センター上LED基板102の後方に特別図柄・保留表示LED基板144(図9に符号のみ記載)が設置されている。この特別図柄・保留表示LED基板144には、4つの特図表示LED144aおよび4つの特図始動記憶LED144bが実装されている。例えば、パチンコ遊技機1において内部的な判定(大当りを決める判定)が行われると、これら特別図柄表示LED144aや特図始動記憶LED144bが決まったパターンで点灯または点滅(あるいは消灯)し、判定に関する情報を表示するものとなっている。
次に、ロワーパーツ100bの左側部分には、その上部位置に普通図柄・保留表示LED基板146が設置されている。この普通図柄・保留表示LED基板146には、2つの普図表示LED146aおよび4つの普図始動記憶LED146bが実装されている。上記の大当り判定とはべつの普通図柄判定が行われると、普図表示LED146aや普図始動記憶LED146bが決まったパターンで点灯または点滅(あるいは消灯)し、判定に関する情報を表示するものとなっている。
また、ロワーパーツ100bの右側部分には、その上部位置に状態表示LED基板148が設置されている。この状態表示LED基板148には、2つのラウンド表示LED148aおよび4つの状態表示LED148bが実装されている。上記の大当り判定で当選し、大当りになるとラウンド表示LED148aや状態表示LED148bが決まったパターンで点灯または点滅(あるいは消灯)し、大当り中や確率変動中等の遊技状態に関する情報を表示するものとなっている。
このように、本実施形態では演出装置400において各種の発光動作(装飾的な発光の他に、遊技者の利益に関わる判定情報の表示を含む)を行って遊技者の興趣を高めたり、遊技者の利益に関わる情報を提供したりしているが、特に本実施形態では、遊技板4aの前面側に取り付けられる球誘導装飾体66に多数の発光領域が設けられているにもかかわらず、その発光源となるLED基板は全て遊技板4aの背面側(背面取付ユニット100)に設けられている。このため、演出装置400の動作に必要なLED基板や電気配線を全て背面取付ユニット100に収容することができ、球誘導装飾体66にはLED基板や電気配線を別に設ける必要がない。
図6は、背面取付ユニット100を構成要素に分けた状態で示している。背面取付ユニット100には、アッパーパーツ100aの背面側に液晶表示ユニット150が組み付けられるものとなっている。液晶表示ユニット150は、表示制御基板220と液晶表示器(LCDモジュール)50とが一体化されて構成されており、表示制御基板220は、基板ボックス150aに収容された状態で液晶表示器50の背面に設置されている。また本実施形態では、基板ボックス150aの背面に放熱または冷却用のファン150bが設置されている。
ロワーパーツ100b(連結部分)の背面側にはパネル中継端子板151が設置されている。このパネル中継端子板151には、上記の特別図柄・保留表示LED基板144や普通図柄・保留表示LED基板146、状態表示LED基板148にそれぞれ対応するハーネスが1箇所に集合した状態で接続されており、各LED基板は、パネル中継端子板151を経由して主制御基板201に接続されるものとなっている。
液晶表示ユニット150を支持するため、アッパーパーツ100aの背面側には、その下縁部に受け部100cが形成されているほか、背面側からみて左側縁部に2つの係止部100dが形成されており、さらに右側縁部には上下スライド式のロック部材100eが設置されている。またアッパーパーツ100aの背面は、平坦な受け面として形成されており、液晶表示ユニット150がアッパーパーツ100aに対して背面側から組み付けられると、その受け面に液晶表示ユニット150の表示画面がぴったり密着する関係にある。また、合わせて周縁装飾部材122の後端が液晶表示ユニット150の前面に接触し、液晶表示ユニット150を受け止める受け部材としての機能を果たす。
図6には示されていないが、基板ボックス150aの左側縁部には2つの係止部100dに対応して突起部が形成されており、液晶表示ユニット150がアッパーパーツ100aに組み付けられると、2つの係止部100dにそれぞれ突起部が入り込んだ状態で、液晶表示ユニット150がアッパーパーツ100aに係止される。また上下方向に関していえば、液晶表示ユニット150の下面はアッパーパーツ100aの受け部100cに支持され、その落下が防止されることになる。また、基板ボックス150aの右側縁部にはロック爪150cが形成されており、液晶表示ユニット150をアッパーパーツ100aの受け面に密着させた状態で上記のロック部材100eを上方へスライドさせると、ロック爪150cを介して液晶表示ユニット150がロックされ、これにより液晶表示ユニット150の後方への脱落が確実に防止される。本実施形態では、このようなロック爪150cおよびロック部材100eを用いて液晶表示ユニット150を係止することにより、背面取付ユニット100に対して液晶表示ユニット150を容易に取り付けることができる。反対に、液晶表示ユニット150を取り外す際はロック部材100eの係止を解除するだけで容易に液晶表示ユニット150の取り外しが可能となる。これにより液晶表示ユニット150の着脱が容易となり、特にパチンコ遊技機1の中でも高価な電装品である液晶表示ユニット150のリサイクルやリユースが容易となる。
上記のように、背面取付ユニット100には各種LED基板をはじめ、可動体駆動部モータ126や液晶表示ユニット150等の演出動作に必要な全ての電装品が装備されているが、これら電装品につながる全ての電気配線(ハーネス類)は、背面取付ユニット100において1箇所にまとめた状態でサブ統合基板201に中継されている。すなわち、背面取付ユニット100にはランプ駆動基板156が装備されており、演出動作を目的とした全ての電装品につながる電気配線は全てランプ駆動基板156に集められ、基板上の中継回路に接続される。なおランプ駆動基板156には、サブ統合基板211に接続するためのコネクタが実装されている。
ランプ駆動基板156は、開閉動作式の基板ケース158に収容された状態で背面取付ユニット100に取り付けられる。基板ケース158はアッパーパーツ100aの背面側にヒンジ158aを介して開閉式の基板ケース158が取り付けられており、このため基板ケース158は、背面取付ユニット100の背面側にて開閉可能となっている。また基板ケース158の上縁部に係止部158bが形成されており、これに対応してアッパーパーツ100aの上縁部に受け部100fが形成されている。図6に示される位置から基板ケース158をアッパーパーツ100aの背面に沿うようにして閉じると、係止部158bが受け部100fに差し込まれて係止される。これにより、基板ケース158が閉位置で係止されることになる。
図6に示されているように、液晶表示ユニット150は、ランプ駆動基板156の基板ケース158を背面側へ開放させた状態で背面取付ユニット100から着脱可能となる。また、液晶表示ユニット150が組み付けられた状態で基板ケース158を閉位置に移動させると、ランプ駆動基板156は液晶表示ユニット150の背面に沿うようにして位置付けられる。なお、ここでいう「開閉」や「開放」、「閉位置」等は、いずれも本実施形
態において基板ケース156の前後方向への動きを扉に見立てて表現したものである。厳密にいうと、基板ケース156そのものが何らかの開口や出入口を開閉しているわけではないが、ここでは直感的な理解を容易にするため便宜的に「開閉」等と表現している。以下の説明においても、基板ケース156や制御基板ボックス等の動きについて、扉に見立てた表現を適宜使用するものとする。
図7は、遊技盤4の背面側における背面取付ユニット100の着脱を示している。図示のように、主制御基板ボックス201aとともにサブ統合基板ボックス211aを遊技板4aの後方へ回動させた状態では、後述する下裏誘導部材160の中央部分が大きく後方へ開放されている。したがって、この状態で背面取付ユニット100は単独で遊技板4aに対して容易に着脱可能となっている。
背面取付ユニット100とは別に遊技板4aの背面には、その下縁部の位置に下裏誘導部材160が設置されている。下裏誘導部材160は遊技板4aの幅寸法より僅かに短い横幅を有しており、その両側端部に形成された4本の挿入部160cが遊技板4aに差し込まれた状態で背面側からねじ止めにより固定されている。下裏誘導部材160には、全ての入賞口に入賞した遊技球を誘導するための全入賞球誘導通路160aが形成されており、この全入賞球誘導通路160aには、上記の上始動口68、下始動口70、大入賞口72、普通入賞口76に入賞した遊技球が落下して回収されるものとなっている。図7には詳しく示されていないが、全入賞球誘導通路160aは遊技板4aの背面に沿って幅方向に長く延びており、そして下裏誘導部材160の下端位置で下方に開放されている。なお、全入賞球誘導通路160aから下方に放出された遊技球は本体枠3に形成されている入賞球回収経路を通り、その後、球放出部(図3中、払出基板205の直ぐ下方に位置する)から島設備の回収経路に向けて放出される。
上記のように遊技盤4の背面側には、主制御基板201とともにサブ統合基板211が設置されているが、これら主制御基板201およびサブ統合基板211は、いずれも対応する主制御基板ボックス201aまたはサブ統合基板ボックス211aに収容されている。このうち主制御基板ボックス201aは、背面側からみて左側縁部が上下2箇所のヒンジ部80c(図7には上方1箇所のみ示されている)を介してサブ統合基板ボックス211aの背面側に回動自在に支持されている。
一方のサブ統合基板ボックス211aは、背面側からみて左側縁部が上下2箇所のヒンジ部162bを介して下裏誘導部材160に支持されている。このためサブ統合基板ボックス211aを後方へ開放すると、これと一緒に主制御基板ボックス201aが開放される。本実施形態では、サブ統合基板ボックス211aの右側縁部に係止部162cが形成されており、一方、下裏誘導部材160には係止部162cに対応する受け部160bが形成されている。このためサブ統合基板ボックス211aを遊技板4aの背面に向けて押し込むと、係止部162cが受け部160bに係止され、サブ統合基板ボックス211aが取付位置で固定される。また主制御基板ボックス201aの右側縁部にも係止部80dが形成されており、この係止部80dは、サブ統合基板ボックス211aの係止部162cに係止される。したがって、係止部80dの係止を解除することで、主制御基板ボックス201aがサブ統合基板ボックス211aに対して単独で開閉可能となっている。
下裏誘導部材160の下部には、左右の2箇所に突出部160d,160eが形成されている。これら突出部160d,160eは遊技板4aの後方へ向けて突出しており、このうち一方(図7でみて左側)の突出部160dは、サブ統合基板ボックス211aのヒンジ部162bを受ける部材として利用されている。本実施形態では、遊技盤4を単独で台上や床上に置いたとき、2箇所の突出部160d,160eが遊技盤4の後方で支えとなり、その後方への転倒を防止することができる。これにより、ホールでの盤替え作業時
において、遊技盤4を台上や床上に仮置きしておく際の安定性が増し、作業性を向上することができる。なお、このとき突出部160d,160eと合わせてサブ統合基板ボックス212aや主制御基板ボックス201aを支えに利用してもよい。
図8は、遊技板4aに取り付けられる各種構成要素の配置関係を示している。球誘導装飾体66は、遊技板4aの前面側から開口部4fに嵌め込まれた状態で遊技板4aの背面側にまで突出している。これにより遊技者は、遊技板4aの前面から奥行きDだけ入り込んだ位置まで球誘導装飾体66の立体的な装飾形状を視認することができるので、そこに視覚的な奥行きを感じることができる。
一方、背面取付ユニット100は遊技板4aの背面に取り付けられているが、球誘導装飾体66が遊技板4aの背面側に突出している分、上記の保護板120は遊技板4aの背面よりも後方に位置している。なお本実施形態では、背面取付ユニット100が取り付けられた状態で、保護板120の前面がちょうど球誘導装飾体66の後端面に接触するか、もしくは極めて近接する構造となっており、この位置で保護板120は遊技領域12内から後方への遊技球の落下を防止し、その背後にある可動体124や液晶表示ユニット150を保護している。
また保護板120は、遊技板4aの後方で開口部4fの開口面積よりも大きい範囲に広がっているため、保護板120による開口部4fから後方への遊技球の飛び込み防止がより一層確実となる。
保護板120の前面側では、開口部4fの周囲が各種の装飾体(内縁装飾体66d,下部装飾体67等)によって縁取られており、一方、保護板120の後方では、周縁装飾部材122によって液晶表示ユニット150の表示画面が縁取りされているが、前後でこれら縁取りの大きさを比較すると、保護板120の前面側の縁取りに比較して、その後方の周縁装飾部材122による表示画面の縁取りの方が大きくなっている。このため、保護板120の後方で液晶表示ユニット150の表示画面サイズを開口部4fの開口面積よりも大きく確保することができ、それだけ迫力のある演出表示が可能となるし、表示画面の奥行き感が強調される。
また液晶表示ユニット150は、保護板120の後方に間隔Sだけ離れた位置に設けられており、このため保護板120と液晶表示ユニット150の表示画面との間には、前後方向に厚み(間隔S)を有した空間部が形成されている。上記の可動体124はこの空間部内に配置されており、図示のように作動時の位置に変位した状態で、可動体124は液晶表示ユニット150の表示画面を部分的に覆っている。
図9は、パチンコ機1の動作を制御するための構成を概略的に示している。パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板のグループと周辺基板のグループとで分担されており、このうち主基板のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示等)を制御している。これら基板類は、いずれもパチンコ機1の背面側に設置されており、通常、本体枠3の施錠を解除した上で本体枠3を開放しない限り前面側から視認されたり、操作されたりすることはない。この他にも、パチンコ機1には電源基板や発射制御基板、インタフェース基板(CR機の場合)等が装備されているが、いずれも公知のものを適用できるため、ここでは図示とともに詳細な説明を省略する。
主基板グループは、主制御基板201と払出基板205とから構成されている。主制御基板201は、中央演算装置としてのCPU202をはじめ、読み出し専用メモリとしてのROM203や読み書き可能メモリとしてのRAM204等を備えている。このうちC
PU202は、ROM203に格納されている遊技制御プログラムを実行し、この実行に伴いパチンコ機1で行われる各種遊技を制御する。またCPU202は、周辺基板グループや払出基板205に送信するコマンド(演出コマンド、払出コマンド等)を作成する。また、RAM204には、主制御基板201で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。
なお、主制御基板201には、始動口スイッチ68a,70b、ゲートスイッチ74a、カウントスイッチ72a、普通入賞口スイッチ76a等が接続されており、主制御基板201には、これらスイッチ類から検出信号が入力される。なお、始動口スイッチ68a,70bを除く全ての電装品(ゲートスイッチ74a、カウントスイッチ72a、普通入賞口スイッチ76a、ソレノイド71a,73a、特別図柄表示LED144a、特図始動記憶LED144b、普通図柄表示LED146a、普図始動記憶LED146b、ラウンド表示LED148a、状態表示LED148b)はパネル中継端子板151を介して主制御基板201に接続されている。
具体的には、ゲートスイッチ74aは遊技領域12内の通過ゲート74に対応して設置されており、遊技球が流下する過程で通過ゲート74を通過すると、その通過がゲートスイッチ74aにより検出され、そして検出信号がパネル中継端子板151を介して主制御基板201に入力される。また、始動口スイッチ68aは上始動口68に対応して設置されており、また始動口スイッチ70bは、下始動口70に対応して設置されている。したがって、遊技球が上始動口68または下始動口70に入賞すると、対応する始動口スイッチ68a,70bから主制御基板201に検出信号が直接入力される。またカウントスイッチ72a(第1の入賞球検出手段)は大入賞口72に対応して設置されており、大当り遊技中に大入賞口72に遊技球が入賞すると、カウントスイッチ72aからパネル中継端子板151を介して主制御基板201に検出信号が入力される。そして、普通入賞口スイッチ76a(第2の入賞球検出手段)は普通入賞口76に対応して配置されており、遊技球が普通入賞口76に入賞すると、普通入賞口スイッチ76aからパネル中継端子板151を介して主制御基板201に検出信号が入力される。
そして、CPU202は、これら入力された検出信号に応じた処理を実行する。すなわちCPU202は、入力された検出信号に基づいてソレノイド71a,73a、特別図柄表示LED144a、特図始動記憶LED144b、普通図柄表示LED146a、普図始動記憶LED146b、ラウンド表示LED148a、状態表示LED148b等に対し、パネル中継端子板151を介してそれぞれの駆動信号を出力する。さらにCPU202は、入賞に応じた遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを払出基板205に対して出力する。
払出基板205もまた、中央演算装置としての払出CPU206をはじめ読み出し専用メモリとしての払出ROM207や読み書き可能メモリとしての払出RAM208等を備えている。なお、上述した始動口スイッチ68a,70bやカウントスイッチ72a、普通入賞口スイッチ76a等により遊技球の入賞が検出されると、各スイッチから検出信号がパネル中継端子板151を介して主制御基板201に入力される。そして主制御基板201では、入力された検出信号に基づいてCPU202から払出基板205に対して規定個数の遊技球の払い出しを指示する払出コマンドが送信される。そして、払出基板205は、主制御基板201から受けとった払出コマンドを処理し、規定個数分の遊技球の払い出しを実行するべく払出装置209(払出モータ)に対して駆動信号を出力する。この結果、実際に払出装置209によって規定個数分の遊技球の払い出しが行われる。
また払出基板205には、発射モータを備えた発射装置235が接続されており、発射装置235は、発射モータの動力を用いて遊技球を遊技領域12に向けて発射する動作を
行うことができる。遊技者が操作ハンドル18を操作(捻り操作)すると、発射装置235の発射モータが駆動され、これにより遊技球が打ち出される。
図9には示されてないが、発射装置235には、遊技者の身体が操作ハンドル18に触れていることを検知するためのタッチセンサが内蔵されている。発射装置235は、遊技者が操作ハンドル18に触れていることが検知されている場合に発射モータを駆動可能な状態となる。そして、この状態で操作ハンドル18が初期の位置から時計回り方向に捻り操作されると、発射装置235は実際に発射モータを駆動して遊技球を発射する。
あるいは、下皿17が満タン、つまり、払い出された遊技球で下皿17が満杯になったことを検出する下皿満タンスイッチを設け、この下皿満タンスイッチからの検出信号が入力されたときに操作ハンドル18の操作を受付不能な状態とする制御を行い、これにより発射装置235による発射モータの駆動を不可能な状態にすることもできる。すなわち、払出装置209から払い出された遊技球はひとまず上皿28に貯留されるが、上皿28に貯留しきれない数の遊技球が払い出された場合には、その貯留しきれない分の遊技球は上皿28と連通した下皿17に貯留される。この状態でさらに払出装置209により遊技球が払い出され、いよいよ下皿17が満タンになると、上記の下皿満タンスイッチから検出信号が出力されるので、これにより操作ハンドル18の操作が受付不能な状態に制御される。またこの場合、下皿満タンスイッチからの検出信号が出力されなくなると、操作ハンドル18の操作を受付可能な状態に復帰する制御が行われる構成としてもよい。
周辺基板グループは、サブ統合基板211やランプ駆動基板156、表示制御基板220等から構成されている。このうちサブ統合基板211は、統合CPU212(表示制御手段、操作検出手段)をはじめ統合ROM213、統合RAM214を備えている。また、サブ統合基板211は、音出力に関する制御を行う音源IC228を備えるほか、音出力に関する読み出し専用メモリとしての音ROM227をも備えている。統合CPU212は、統合ROM213に格納されている演出制御プログラムを実行することにより主制御基板201から受信された演出コマンドに基づく処理を実行する。また、統合RAM214には、サブ統合基板211で実行される種々の処理において生成される各種データや入出力信号、主制御基板201から受信された演出コマンド等の情報が一時的に記憶される。そして、統合CPU212は、RAM214に記憶されている演出コマンドを読み出すと、この読み出した演出コマンドに基づいて表示制御基板220に対して表示コマンドを送信したり、ランプ駆動基板156にランプ点灯信号や駆動信号を送信したり、あるいは、枠ランプ27に駆動信号を出力したりする。またサブ統合基板211は、音源IC228によって演出コマンドに基づく音出力態様を音ROM227から読み出し、この読み出した音出力態様に応じた駆動信号を上部スピーカ29および下部スピーカ14に出力する。また、統合CPU212には、操作ボタン18aの操作に応じて操作信号が入力されたり、ランプ駆動基板156を介して可動体モータセンサ234の検出信号が入力されたりする。
ランプ駆動基板156は、サブ統合基板211から受信したランプ点灯信号をセンターLED基板102,104,106,108,110,112,114,116やサイドLED基板130に送信し、また、サブ統合基板211から受信した駆動信号を可動体駆動部モータ126に送信する。センターLED基板102,104,106,108,110,112,114,116やサイドLED基板130および可動体駆動部モータ126は、演出装置400に装備されているものであり、このうちセンターLED基板102,104,106,108,110,112,114,116やサイドLED基板130は演出装置400において発光演出に用いられ、また可動体駆動部モータ126は、可動体124の駆動に用いられる。なお、ランプ駆動基板156は、サブ統合基板211から送信されるランプ点灯信号を各LED別に振り分けてLED基板に受け渡すほか、サブ統
合基板211から送信される駆動信号を可動体駆動部モータ126にそのまま受け渡すものであり、実質的なLED基板および可動体駆動部モータ126の制御はサブ統合基板211が行っている。以下、ランプ駆動基板156を省略して説明する場合がある。
表示制御基板220は、中央演算装置としての表示CPU221を備えるほか、読み出し専用メモリとしての表示ROM222や読み書き可能メモリとしての表示RAM223を備えている。このうち表示CPU221は、サブ統合基板211からの表示コマンドに基づいて液晶表示器50を制御する。
次に、上述した各種の構成部材や装置等が設けられた遊技盤4にて実現される遊技について説明する。先ず、遊技者が操作ハンドル18を捻り操作することにより、パチンコ機1の裏面側に設けられた発射装置235によって遊技球が打ち出される。発射装置235から打ち出された遊技球は、発射レール15および案内レール11に沿って上昇すると遊技領域12の上部に放出され、この後は遊技領域12内を障害釘(障害部材)等に衝突しながら流下する。
遊技領域12を流下する遊技球が通過ゲート74を通過すると、ゲートスイッチ74aによって遊技球の通過が検出され、この検出信号に基づいて普通図柄表示LED146a(2つの発光領域82a)では普通図柄の変動表示(緑色のLEDと赤色のLEDとが交互に点灯する表示態様)が開始される。
すなわちゲートスイッチ74aにより遊技球が検出されると、主制御基板201のCPU202は所定範囲の普通図柄当り判定乱数を更新するカウンタから普通図柄当り判定乱数を抽出する。そしてCPU202は、普通図柄表示LED146aによる普通図柄の変動開始時に普通図柄当り判定乱数に基づいて当りとするか否かの判定を行い、この判定結果に応じた態様(本実施形態では、当りであれば赤色のLEDの点灯表示、はずれであれば緑色のLEDの点灯表示)で最終的に普通図柄を停止表示させる。
また、普通図柄表示LED146aにおいて普通図柄の変動表示中に遊技球が通過ゲート74を通過すると、CPU202にて抽出された普通図柄当り判定乱数は、所定個数(本実施形態では4個)までRAM204に記憶される。このとき、記憶された普通図柄当り判定乱数の個数は普図始動記憶LED146b(発光領域62b)の点灯態様によって表示される。具体的には、通過ゲート74の通過が有効である間(普通図柄の始動記憶数が4未満のとき)にゲートスイッチ74aにより遊技球の通過が検出されると、その都度、普図始動記憶LED146bの点灯態様を切り替える。
本実施形態では、例えば普図始動記憶数が1である場合に左側の普図始動記憶LED146b(発光領域62b)が1つだけ点灯し、さらに普図始動記憶数が増えていくと、左側の普図始動記憶LED146bに加えて右側の普図始動記憶LED146bが順に点灯する。そして、普図始動記憶数が最大の4に達すると、4つの普図始動記憶LED148がともに点滅状態になる。反対に、普通図柄表示LED146aにて普通図柄の変動表示が開始されると、その都度、普図始動記憶数が1つずつ減っていくので、この場合は上記と逆の態様により普図始動記憶LED148が点灯・点滅することになる。
本実施形態では、普通図柄の変動開始時にCPU202において普通図柄当り判定乱数に基づいて当りとする判定がなされた場合には、所定期間経過後に普通図柄表示LED146a(発光領域64c)が赤色に点灯した状態で停止表示される。そしてこの後、ソレノイド71aを作動状態(通電状態)に切り替えることで左右の可動片70aを拡開させ、可変入賞装置を所定期間(例えば0.5秒間)にわたり開放状態にする制御が行われる。これにより、下始動口70への入賞が可能な状態となる。またこの後、所定期間が経過
するとソレノイド71aを非作動状態(非通電状態)に戻すことで可動片70aを初期位置に復帰させ、可変入賞装置を閉塞状態に戻す制御が行われる。
これに対し、普通図柄の変動開始時にCPU202において普通図柄当り判定乱数に基づいてはずれとする判定がなされた場合、所定期間経過後に普通図柄表示LED146b(発光領域62b)が緑色に点灯した状態で停止表示されるだけであり、特に可変入賞装置は開放状態に制御されない。したがって、この場合は依然として下始動口70には入賞できない状態であるが、上始動口68への入賞は引き続き可能となっている。
遊技領域12内を流下する遊技球が上始動口68または下始動口70に入賞すると、始動口スイッチ68aまたは始動口スイッチ70bにより遊技球の入賞が検出される。この場合、特別図柄の変動表示が開始可能な状態(例えば、大当り遊技中でない状態であるか、または特別図柄・装飾図柄の変動表示中でない状態)であれば、特別図柄表示LED144a(4つの発光領域64a)にて特別図柄の変動表示が開始されるとともに、液晶表示器50で装飾図柄(例えば数字の「一」〜「七」をデザインしたもの)の変動表示が開始される。本実施形態では、特別図柄が4つの発光領域64aの点灯の組み合わせで表される。また装飾図柄は、液晶表示器50画面上にて左装飾図柄、中装飾図柄および右装飾図柄の3つが表され、これらはいずれも装飾図柄の列が画面上を一定方向へ順送り(スクロール)されるようにして変動表示される。
特別図柄や装飾図柄の変動表示は所定期間経過後に停止され、その停止時に特別図柄が特定の態様(大当りとなる複数の発光領域64aの点灯の組み合わせ:大当り図柄)で表示されると、これに合わせて装飾図柄の停止図柄(左・中・右の装飾図柄全てが停止した状態)も特定の態様(同一の装飾図柄の組み合わせ:大当り図柄)で表示される。この場合、主制御基板201のCPU202は「大当り遊技状態」の制御を開始する。なお、変動表示が行われる期間は、大当り判定乱数やその他の乱数に応じて数秒〜数十秒の範囲内で決定される。
大当り遊技状態では、CPU202はソレノイド73aを作動させて条件作動装置を開放させる制御を行う。すなわち、ソレノイド73aが作動すると、開閉部材72aがその下縁部を支点としてパチンコ機1の手前方向に倒れ込むようにして回動し、これにより大入賞口72への入賞を可能とする。このような条件作動装置の開放制御は、所定時間(例えば、30秒)が経過するか、もしくは所定個数(例えば、9個)の遊技球が大入賞口72に入賞したことがカウントスイッチ73aにより検出されるかのいずれかの条件が満たされるまで継続して行われる。
上記のいずれかの条件が満たされると、CPU202はソレノイド73aを非作動(非通電)の状態に戻し、それまで手前方向へ倒れていた開閉部材72aを盤面に沿って起立させる。これにより大入賞口72が閉じた状態となり、条件作動装置は閉塞状態に制御されることになる。大当り遊技状態において、CPU202は条件作動装置を開放状態にしてから閉塞状態に戻すまでを1回の開閉サイクル(以下、これをラウンドともいう)とする制御を繰り返し実行し、この制御を所定回数(15ラウンド)まで繰り返すと、そこで大当り遊技状態を終了させる(可変入賞動作制御手段)。このように、大当り遊技状態に移行すると大入賞口72が開放されるので、この開放された大入賞口72に遊技球を入賞させることで、上始動口68や下始動口70、普通入賞口76等に遊技球を入賞させるよりも短時間で多量の遊技球を獲得可能であることから、遊技者の興趣を高めることができる。
また本実施形態では、左・中・右の装飾図柄は、左装飾図柄→右装飾図柄→中装飾図柄の順に停止するように制御される。装飾図柄の停止図柄とは、左・中・右の装飾図柄の変
動表示を開始して中装飾図柄が停止表示されることにより左・中・右の装飾図柄全てが停止表示された状態の図柄の組み合わせをいう。
また本実施形態では、特別図柄の停止時に表示される特定の態様には、さらに特別態様(確変大当りとなる複数の発光領域64aの点灯の組み合わせ)があり、停止時の特別図柄が特別態様で表示された場合には、装飾図柄の停止図柄も特別態様(確変大当り図柄:本実施形態では、同一の奇数図柄の組み合わせ)となる。この場合、いわゆる「確変大当り」となり、大当り遊技状態の終了後、次に大当り遊技状態となる確率(当選確率、大当り確率)が高くなる(本実施形態では、確率変動状態では70分の1の確率であり、確率変動状態以外では490分の1の確率である。)。すなわち、停止時の特別図柄が特別態様であった場合は、大当り遊技の終了後に「確率変動状態」という遊技者にさらに有利な状態になる。
この実施の形態では、大当り遊技の終了後に確率変動状態になると、上記大当り確率が高くなることに加えて時短制御が行われる。すなわち、確率変動状態では、特別図柄表示LED144a(4つの発光領域64a)にて特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を停止表示するまでの変動時間を通常状態よりも短縮する制御、普通図柄表示LED146a(発光領域82a)普通図柄の変動表示を開始してから普通図柄を停止表示するまでの変動時間を通常状態よりも短縮する制御、普通図柄表示LED146a(発光領域82a)における普通図柄の変動表示の結果が「当り」となる確率を高める制御、普通図柄表示LED146a(発光領域82a)にて普通図柄の変動表示の結果「当り」となったことに基づいて開放される可動片70aの開放時間を通常状態よりも延長する制御(本実施形態では、通常状態では、0.5秒、時短状態及び確率変動状態では、0.8秒)、可変入賞装置が開放状態にされる開放回数を通常状態よりも増加させる制御(本実施形態では、通常状態では、1回、時短状態及び確率変動状態では、3回)、等の時短制御も行われる。
一方、大当り遊技の終了後に確率変動状態にならない場合、特別図柄の変動表示が実行される回数が所定の回数(本実施形態では100回)に達するまでの間、時短制御が行われ、「時短状態」という遊技者に有利な状態になる。時短制御では、下始動口70への入賞確率が増加して、一定期間内での特別図柄の変動表示の実行回数を増加させることができる(つまり、大当りの判定機会が増える)ため、それだけ遊技者にとって有利な状態となる。なお、通常状態とは、上述した確率変動状態または時短状態ではない状態を意味する。
なお本実施形態では、上始動口68に遊技球が入賞し、始動口スイッチ68aによって検出されたときに規定個数として3個の遊技球が払い出され、また、下始動口70に遊技球が入賞し、始動口スイッチ70bによって検出されたときに規定個数として4個の遊技球が払い出される。このように、上始動口68と下始動口70とで払出個数に差を設けることで、以下の効果を奏する。
すなわち、下始動口70は通常、可動片70aによって閉塞されており、普通図柄の変動表示の結果が「当り」とならない限り入賞の機会がない構造であるのに対し、上始動口68は、常に上方から遊技球を受け入れ可能な構造であることから、上始動口68への遊技球1個の入賞に対する払出個数が多すぎると、遊技場運営者に比較して遊技者が有利になりすぎる。そうすると、遊技場運営者の不利益解消策として始動口(上始動口68および下始動口70)への入賞が抑制されてしまい、結果的に判定遊技(大当り遊技状態とするか否かの判定)の期待が減ることで遊技者に不快感を与えてしまいかねない。反対に、上始動口68への入賞に対する払出個数が少なすぎると、それだけ判定遊技に必要とする遊技球の数が増大してしまい、結果的に過度の投資が必要となって遊技者に不利益を与え
てしまうことになる。
一方の下始動口70は、時短状態および確率変動状態においては遊技者に有利な遊技を提供するものであり、可動片70aの開放時間と開放回数の延長制御を行うことで、下始動口70への入賞確率を増加させている。しかし、遊技球の入賞に対する払出個数が少なすぎると、発射球の数に対して払い出しの数が少なくなり、結果的に有利な遊技状態であるにも関わらず、遊技球の残数が次第に減っていくことで遊技者に不快感を与えてしまうことになる。これらの事象を考慮し、本実施形態では上始動口68および下始動口70それぞれの払出個数(3,4個)が設定されている。
また、特別図柄表示LED144aにおける特別図柄の表示結果と、液晶表示器50における装飾図柄の表示結果とは対応している。すなわち、特別図柄の変動開始時に大当りとしない判定がなされた場合には、上記の特定の態様とは異なる態様、つまり、はずれの態様によりLED(4つの発光領域64a)を点灯させて特別図柄を停止表示するとともに、液晶表示器50では、はずれの態様(はずれ図柄:大当り図柄以外の図柄、本実施形態では少なくとも2種類以上の識別情報(図柄)の組み合わせ)により装飾図柄の画像が表示される。
また装飾図柄は、特別図柄とは異なる演出用の図柄であり、特別図柄の変動表示(4つの発光領域64aの点滅)の内容を演出用の装飾図柄の変動表示によって演出的に表現することで、見た目上の演出効果を高めるものである。つまり、特別図柄表示LED144aが特定の態様で点灯表示されると大当り遊技状態に移行する制御が行われるが、万が一、液晶表示器50において装飾図柄の表示結果が特定の態様となったとしても、特別図柄表示LED144aが特定の態様で点灯表示されていない場合、大当り遊技状態に移行する制御が行われることはない。
また本実施形態では、大当り遊技状態で実行されるラウンド数として「15回」が設定された1種類の大当り遊技状態に制御可能であるが、大当り遊技状態として遊技者に付与される利益が異なる複数種類の大当り遊技状態に制御可能に構成してもよい。例えば、大当り遊技状態にて実行されるラウンド数が異なる複数種類の大当り遊技状態に制御するように構成してもよい。この場合には、大当り判定乱数(当落判定手段)に基づいて大当りとする判定がなされた後、大当り遊技状態にて実行するラウンド数を決定するようにしてもよいし、大当り判定乱数に基づいて異なるラウンド数が設定された複数種類の大当り遊技状態のうちいずれかに制御するか否かの判定を行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、状態表示LED148b(4つの発光領域82d)を上述した確率変動状態、時短状態、確率変動状態、大当り遊技状態の遊技状態に対応させ、現在の遊技状態に応じた状態表示LED148b(1つの発光領域82d)を点灯制御する一方、それ以外の状態表示LED148b(3つの発光領域82d)を消灯制御する。
また本実施形態では、大当り遊技中に上述したラウンド表示LED148a(2つの発光領域82c)が点灯する。具体的には、大当り遊技状態の種類に応じて、ラウンド表示LED148aとなる左右2つの発光領域82cのいずれか一方か、もしくは両方が点灯する。本実施形態では、1種類の大当り遊技状態にのみ制御可能であるため、ラウンド表示LED148aを点灯させる必要はないが、複数種類の大当り遊技状態に制御可能に構成した場合には、複数種類の大当り遊技状態に対応してラウンド表示LED148aを点灯・消灯制御することにより、大当り遊技状態の種類を外部から容易に把握することができる。
例えば、複数種類の大当り遊技状態として、大当り遊技状態にて実行されるラウンド数
として「2回」が設定された第1大当り遊技状態と、大当り遊技状態にて実行されるラウンド数として「15回」が設定された第2大当り遊技状態とを実行可能な構成とした場合を想定する。この場合、第1大当り遊技状態の実行中にラウンド表示LED148aの右側の発光領域82cに対応するLEDを点灯させ、第2大当り遊技状態の実行中に左側の発光領域82cに対応するLEDを点灯させる制御を実行するようにしてもよい。このように、本実施形態のパチンコ機1は、複数種類の大当り遊技状態に制御可能な構成にも対応可能であることが理解される。
次に、パチンコ機1の遊技進行に応じて主制御基板201で実行される種々の制御処理について図10乃至図17を参照して説明する。図10は、主制御基板201に搭載されるCPU202が実行するメイン処理の一例を示すフローチャートである。図11は、電源断発生時処理の一例を示すフローチャートである。図12は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。図13は、主制御基板201で更新される乱数を示す一覧表図である。図14は、遊技処理の一例を示すフローチャートである。図15は、変動開始処理を示すフローチャートである。図16は、大当り判定処理の一例を示すフローチャートである。図17は、変動表示パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。図18は、変動表示パターンテーブルの一例を示す一覧表図である。なお、タイマ割込処理は、主制御基板201に搭載されるCPU202により所定のタイミング(本実施形態では、4ms毎)で実行される。
図10に示すように、パチンコ機1へ電力の供給が開始されると、CPU202は、電源投入時処理を実行する(ステップS1)。この電源投入時処理では、RAM204に記憶されているバックアップデータが正常であるか(停電発生時の設定値となっているか)否か判別し、正常であればRAM204に記憶されているバックアップデータに従って停電発生時の状態に戻す処理(復電時処理)を実行し、バックアップデータが異常であればRAM204をクリアしてCPU周辺のデバイス設定(通常の初期設定:割込タイミングの設定等)を行う。なお、遊技途中でパチンコ機1への電力供給が停止すると、RAM204に現在の遊技状態がバックアップデータとして記憶される。また、電源投入時処理にてRAM204に記憶されているバックアップデータのクリアを指示するRAM消去スイッチがオンであれば、RAM204をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理にて主制御基板201に搭載されるRAM204にバックアップデータが保存されていない場合には、RAM204をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理では、通常の初期設定を実行したときにサブ統合基板211に主制御基板201が起動したことを示す電源投入コマンドを送信可能な状態にセットする処理も実行される。電源投入コマンドは、主制御基板201が起動したことをサブ統合基板211に通知するものである。なお、遊技店の閉店時等にパチンコ機1への電力供給を停止した場合(電源を落とした場合)にもRAM204にバックアップデータが記憶され、再びパチンコ機1への電力供給を開始したときには電源投入時処理が実行される。
電源投入時処理が終了すると、CPU202は、遊技用の各処理を繰り返し実行するループ処理を開始する。このループ処理の開始時には、CPU202は、まず、停電予告信号が検知されているか否かを判定する(ステップS2)。なお、この実施の形態では、パチンコ機1にて使用する電源電圧は、電源基板(図示しない)によって生成する。すなわち、パチンコ機1に搭載される複数種類の装置はそれぞれ異なる電源電圧で動作するため、外部電源からパチンコ機1に供給される電源電圧を電源基板にて所定の電源電圧に変換した後、各装置に供給している。しかして、停電が発生し、外部電源から電源基板に供給される電源電圧が所定の電源電圧以下となると、電源基板から主制御基板201に電源電圧の供給が停止することを示す停電予告信号が送信される。そして、ステップS2で主制御基板201に搭載されるCPU202により停電予告信号を検知すると、電源断発生時処理を実行する(ステップS4)。この電源断発生時処理は、停電後に電源基板に供給さ
れる電源電圧が(この実施の形態では、24V)復旧した場合に(以下、復電と呼ぶ)、遊技機の動作を停電前の状態から開始するために停電発生時の状態をRAM204にバックアップデータとして記憶する処理である。処理内容は後述するが、本実施例においては、図示する通り、電源断発生時処理は、割込処理ではなく、ループの開始直後に停電予告信号の検知有無に応じて実行される分岐処理としてメイン処理(主制御処理)内に組み込まれている。
ステップS2で停電予告信号が検知されていない場合、すなわち外部電源からの電力が正常に供給されている場合には、遊技にて用いられる各種乱数を更新する乱数更新処理2を行う(ステップS3)。なお、乱数更新処理2にて更新される乱数については後述する。
図11は、電源断発生時処理(ステップS4)の一例を示すフローチャートである。上述したように、電源断発生時処理は、メイン処理において、停電予告信号が検出された時に実行される処理である。CPU202は、まず、割込処理が実行されないように割込禁止設定を行う(ステップS4a)。そして、RAM204のチェックサムを算出し、RAM204の所定領域に保存する(ステップS4b)。このチェックサムは、復電時に停電前のRAM204の内容が保持されているか否かをチェックするのに使用される。
次いで、CPU202は、RAM204の所定領域に設けられたバックアップフラグに、電源断発生時処理が行われたことを示す規定値を設定する(ステップS4c)。以上の処理を終えると、CPU202は、RAM204へのアクセスを禁止し(ステップS4d)、無限ループに入って電力供給の停止に備える。なお、この処理では、ごく短時間の停電等(以下、「瞬停」と呼ぶ)によって、電源電圧が不安定となることによって、電源断発生時処理が開始されてしまった場合、実際には電源電圧は停止されないため、上記処理では、無限ループから復帰することができなくなるおそれがある。かかる弊害を回避するため、本実施例のCPU202には、ウォッチドックタイマが設けられており、所定時間、ウォッチドックタイマが更新されないとリセットがかかるように構成されている。ウォッチドックタイマは、正常に処理が行われている間は定期的に更新されるが、電源断発生時処理に入り、更新が行われなくなる。この結果、瞬停によって、電源断発生時処理に入り、図11の無限ループに入った場合でも、所定期間経過後にリセットがかかり、電源投入時と同じプロセスでCPU202が起動することになる。
図12は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、この実施の形態では、メイン処理の実行中に主制御基板201に搭載されるCPU202により4ms毎にタイマ割込処理が実行される。タイマ割込処理において、CPU202は、レジスタの退避処理を実行した後(ステップS10)、ステップS11からステップS19の処理を実行する。ステップS11のスイッチ入力処理では、上述したスイッチ(ゲートスイッチ74a、始動口スイッチ68a,70b、カウントスイッチ72a、普通入賞スイッチ76a等)の検出信号を監視する処理を実行する。ステップS12の払出動作処理では、スイッチ入力処理(ステップS11)にて検出された信号にもとづいて払出基板205に遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを送信する。ステップS13の乱数更新処理1では、遊技にて用いられる各種乱数を更新する処理を実行する。なお、この実施の形態では、乱数更新処理1にて更新される乱数と、上述した乱数更新処理2にて更新される乱数と、は異なる。乱数については後述するが、乱数更新処理2にて更新される乱数を乱数更新処理1でも更新するようにしてもよい。
また、ステップS14の遊技処理では、遊技の進行状態に応じてパチンコ機1を制御する処理が実行される。ステップS15の普通図柄遊技では、普通図柄表示LED146aに関わる制御処理を実行する。ステップS16の普通電動役物遊技では、開閉部材56a
の開閉制御するための処理を実行する。ステップS17の特別図柄遊技では、遊技処理(ステップS14)の処理の結果にもとづいて特別図柄表示LED144aを変動表示する制御を実行する。ステップS18の特別電動役物遊技では、ソレノイド73aを可動制御して開閉部材72aの開閉制御を実行する。ステップS19のコマンド伝送出力処理では、遊技処理(ステップS14)でセットされた演出コマンドをサブ統合基板211に送信する処理を実行する。また、コマンド伝送出力処理(ステップS19)では、パチンコ機1への電力供給が開始されたときに電源投入時処理(ステップS1)でセットされた電源投入コマンドをサブ統合基板211に送信する処理も行われる。ステップS20のI/Oポート出力処理では、パチンコ機1の外部(例えば、管理コンピュータ等)に遊技状態を示す状態信号を出力する処理、特図始動記憶ランプ147に駆動信号を出力する処理、等を実行する。ステップS11からステップS20の処理を実行すると、レジスタの復帰処理(ステップS21)を実行して、処理を終了する。
ここで、上述した乱数更新処理1(ステップS13)および乱数更新処理2(ステップS3)で主制御基板201に搭載されるCPU202により更新される各種乱数について図13を参照して説明する。図13に示すように、この実施の形態では、遊技にて用いられる各種乱数として、大当り遊技状態を発生させるか否かの判定(大当り判定)に用いられる大当り判定乱数、大当り判定において大当り遊技状態を発生させると判定されたときに確変大当りとするか否かの判定(確変判定)に用いられる確変判定乱数、大当り判定にて大当り遊技状態を発生させないと判定されたときにリーチ態様を伴うはずれとするか否かの判定(リーチ判定)に用いられるリーチ判定乱数、特別図柄表示LED144aに表示されている特別図柄の変動表示パターンを決定するために用いられる変動表示パターン乱数、入球装置56の開閉部材56aを開放状態に制御するか否かの判定(普通図柄当り判定)に用いられる普通図柄当り判定乱数、等がある。なお、リーチ判定用乱数を用いて特別図柄の変動表示パターンを決定するとともに、液晶表示器50にて表示制御される装飾図柄の変動表示パターンを決定するようにしてもよい。
これらの乱数のうち、乱数更新処理1では、大当り遊技状態の発生に関わる大当り判定乱数、確変判定乱数、および入球装置56の開閉部材56aを開放状態に制御するか否かに関わる普通図柄当り判定乱数の更新を行う。すなわち、大当り遊技状態の発生および条件作動装置の開閉部材72aを開放状態に制御するか否かに関わる判定に用いられる乱数は所定のタイミングとして4ms毎に更新される。このようにすることにより、それぞれの乱数における所定期間における確率(大当り遊技状態を発生させると判定する確率、条件作動装置の開閉部材72aを開放状態に制御すると判定する確率)を一定にすることができ、遊技者不利な状態となることを防止できる。一方、乱数更新処理2では、大当り遊技状態の発生および普通図柄の表示結果に関わらないリーチ判定乱数および変動表示パターン乱数の更新を行う。なお、主制御基板201で更新される乱数は、上記したものに限られず、乱数更新処理2では、大当り判定乱数を更新するカウンタが1周したときに次にカウントを開始させる大当り判定乱数の初期値を決定するための初期値決定乱数等の更新も行う。
図14は、遊技処理(ステップS14)の一例を示すフローチャートである。遊技制御処理において、CPU202は、まず、上始動口68および下始動口70に遊技球が入賞したか否かを判別する(ステップS30)。具体的には、始動口スイッチ68a,70bから検出信号が出力されたか否かを判別し、始動口スイッチ68a,70bから検出信号が出力された場合には上始動口68および下始動口70に遊技球が入賞した(ステップS30にてYES)と判別し、始動口スイッチ68a,70bからの検出信号が出力されていなければ上始動口68および下始動口70に遊技球が入賞していない(ステップS30にてNO)と判別する。ステップS30にて上始動口68および下始動口70に遊技球が入賞したと判別したときには、各種乱数(大当り判定乱数、確変判定乱数、等)を取得し
、RAM204に設けられている保留球数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判別する(ステップS31)。そして、ステップS31で保留球数カウンタが4未満であれば、始動記憶格納処理を行う(ステップS32)。なお、ステップS30で始動口スイッチ68a,70bがオンしていない場合、およびステップS31で保留球数カウンタの値が4である場合、には、始動記憶格納処理を実行しない。その後、CPU202は、遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値を参照してステップS40〜ステップS44のうちいずれかの処理を行う。
始動記憶格納処理では、保留球数カウンタに「1」を加算する処理と、保留球数カウンタの加算に伴って特図始動記憶LED144bの点灯表示態様(点灯表示させるLEDの個数)を変更する処理と、取得した乱数値(この実施の形態では、大当り判定乱数、確変判定乱数)をRAM204に設けられた始動記憶の保存領域に保留球数カウンタのカウント値に対応させて記憶する処理と、を行う。このように、保留球数カウンタは、始動記憶の保存領域に記憶される乱数値の数を示すカウンタである。また、ステップS31において保留球数カウンタの値が上限値である場合にはステップS30で取得した乱数値を破棄する。なお、ステップS30で上始動口68または下始動口70に遊技球が入賞したと判別したときには、ステップS30〜ステップS32の間で各種乱数を取得すればよく、例えば、ステップS30で各種乱数を取得せずに、ステップS31で保留球数カウンタが上限値未満であることを判別した後に、各種乱数を取得してもよいし、始動記憶格納処理(ステップS32)で取得するようにしてもよい。
処理選択フラグが「0」のときに実行される変動開始処理(ステップS40)では、始動記憶数を確認し、始動記憶数が0でなければ、特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、大当り遊技状態を発生させるか否かの判定を行い、大当り遊技状態を発生させる場合には、確変大当りとするか否かを判定する。処理選択フラグが「1」のときに実行される変動表示パターン設定処理(ステップS41)では、特別図柄および装飾図柄の変動表示に関わる設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、特別図柄の変動表示パターンを決定し、当該変動表示パターンに対応して設定される変動時間(特別図柄表示LED144aにて特別図柄の変動表示を開始してから停止表示するまでの時間)をタイマにセットする。処理選択フラグが「2」のときに実行される変動中処理(ステップS42)では、変動表示パターン設定処理(ステップS41)で変動時間が設定されたタイマを監視し、タイマがタイムアウトしたことにもとづいて特別図柄表示LED144aにおける特別図柄の変動表示を停止させる処理を行う。このとき、変動開始処理(ステップS40)にて大当り遊技状態とする判定がなされていれば、処理選択フラグを「3」に更新し、大当り遊技状態とする判定がなされていなければ処理選択フラグを「0」に更新する。
また、処理選択フラグが「3」のときに実行される大当り遊技開始処理(ステップS43:利益付与状態制御手段)では、大当り遊技状態を開始するための設定を行う。具体的には、サブ統合基板211に大当り遊技状態の開始表示の実行を指示する大当り開始コマンドを送信するとともに、条件作動装置の開放回数等の設定を行う。
処理選択フラグが「4」のときに実行される大当り遊技中処理(ステップS44:利益付与状態制御手段)では、大当り遊技状態が開始された場合に、カウントスイッチ72aによって検出された遊技球の個数を判別し、所定個数(この実施の形態では、9個)の遊技球が大入賞口62に入賞したとき、または、所定期間(この実施の形態では、30秒)が経過したとき条件作動装置を閉塞状態にするための処理を行う(実行期間制限手段)とともに、サブ統合基板211に大当り遊技状態中の表示(例えば、ラウンド表示等)の実行を指示する大当り中コマンドを送信する。また、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数(この実施の形態では、15回)に達していなければ、再び、条件作動装置を
開放状態にするための処理を行い、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数に達したときには、サブ統合基板211に大当り遊技状態の終了表示の実行を指示する大当り終了コマンドを送信するとともに処理選択フラグを「0」に更新する。
図15は、変動開始処理(ステップS40)の一例を示すフローチャートである。変動開始処理において、CPU202は、保留球数カウンタの値が0であるか否か判別する(ステップS401)。上述したように、保留球数カウンタの値は、始動記憶の保存領域に格納される乱数値の数を示すものであるため、ステップS401で保留球数カウンタの値が0であれば、始動記憶がないと判別されて処理を終了する。
一方、ステップS401で保留球数カウンタの値が0でなければ、始動記憶移行処理を実行する(ステップS402)。始動記憶移行処理では、保留球数カウンタを1減算する処理と、RAM204に設けられた始動記憶の保存領域に記憶される各種乱数をシフトした後、始動記憶の保存領域のうち保留球数カウンタの0に対応する保存領域に保存される各種乱数(大当り判定乱数等)を読み出す処理と、を行う。具体的には、始動記憶の保存領域にて保留球数カウンタのn(n=1、2、3、4)に対応する保存領域に記憶されている各種乱数を始動記憶の保存領域における保留球数カウンタのn−1(n=0、1、2、3)に対応する保存領域に記憶させる。
次いで、ステップS402で保留記憶の保存領域のうち保留球数カウンタの0に対応する保存領域から読み出した大当り判定乱数を用いて大当り遊技状態を発生させるか否かの判定を行い、大当り遊技状態を発生させる場合には、確変大当りとするか否かを判定する大当り判定処理を行った後(ステップS403)、処理選択フラグを「1」に更新する(ステップS404)。処理選択フラグを「1」に更新することにより、次にタイマ割込処理が発生し、遊技処理(ステップS14)が実行されたときに変動表示パターン設定処理(ステップS41)が実行可能となる。
図16は、大当り判定処理(ステップS404)の一例を示すフローチャートである。大当り判定処理において、CPU202は、大当り遊技中処理(ステップS44)でセットされる確変フラグがON状態であるか(セットされているか)否かを判別する(ステップS51)。確変フラグがON状態であれば、確変状態時大当り判定テーブル(図示しない)を選択し(ステップS52:高確率状態制御手段)、確変状態フラグがON状態でなければ(OFF状態であれば)、通常・時短状態時大当り判定テーブル(図示しない)を選択する(ステップS53:通常状態制御手段)。なお、確変状態時大当り判定テーブルでは、0〜979までの980個の大当り判定乱数のうち大当り判定乱数と一致することにより大当り遊技状態を発生させることが決定される大当り判定値が14個設定され、大当りとなる確率である大当り確率が1/70となっている。一方、通常・時短状態時大当り判定テーブルでは、0〜979までの980個の大当り判定乱数のうち大当り判定値が2個設定され、大当り確率が1/490となっている。
そして、ステップS52,S53で選択した確変状態時大当り判定テーブル、または、通常・時短状態時大当り判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS402の始動記憶移行処理で読み出した大当り判定乱数の値と、が一致するか否かによって、大当り遊技状態を発生させるか否か判定する(ステップS54)。ステップS52,S53で選択した確変状態時大当り判定テーブル、または、通常・時短状態時大当り判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS402の始動記憶移行処理で読み出した大当り判定乱数の値(保留球数カウンタの0に対応する保存領域に保存される大当り判定乱数の値)と、が一致することにもとづいて大当り遊技状態を発生させると判定したときには、大当りフラグをON状態(セット)とした後に(ステップS55)、所定の判定値が設定された確変判定テーブル(図示しない)にもとづいて確変大当りとするか否かを判定する(ス
テップS56:高確率状態判定手段)。具体的には、ステップS402の始動記憶移行処理で読み出した確変判定乱数の値(保留球数カウンタの0に対応する保存領域に保存される確変判定乱数の値)と、確変判定テーブルに設定されている判定値と、が一致するか否かにもとづいて確変大当りとするか否か判定する。なお、本実施形態では、確変突入率(大当りのうち確変大当りとする割合)が2/3となるように、すなわち、0〜8までの9個の確変判定乱数のうち確変大当りとすることに決定される6個の判定値が確変判定テーブルに設定されている。
ステップS56で、確変判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS402の始動記憶移行処理で読み出した確変判定乱数の値と、が一致したことにもとづいて確変大当りと判定されたときには、確変状態フラグをON状態(セット)とする(ステップS57)。一方、ステップS54で大当りとしない(はずれとする)と判定されたとき、および、ステップS56で確変大当りとしない(非確変大当りとする)と判定されたとき、には、以下の処理を実行することなく処理を終了する。なお、大当りフラグおよび確変状態フラグのON/OFF状態(セット状態、リセット状態)は、RAM204に記憶される。また、大当りフラグおよび確変状態フラグのOFF状態(リセット状態)とは「0」の値がセットされることであり、大当りフラグおよび確変状態フラグのON状態(セット状態)とは「1」の値がセットされることである。
なお、大当りフラグは、大当り遊技状態への移行制御を示すフラグであり、大当り遊技開始処理(ステップS43)にて大当りフラグがセットされていれば、大当り遊技状態を発生させる。また、確変状態フラグは、大当り遊技状態終了後に確率変動状態への移行制御を示すフラグであり、大当り遊技中処理(ステップS44)にて大当り遊技状態を終了するときに確変状態フラグがセットされていれば、確変状態フラグをリセットし、確変状態を示す確変フラグをセットする処理が実行される。確変フラグがセットされた状態では、上述した確率変動状態に制御され、例えば、上述したステップS52の確変状態時大当り判定テーブルが選択されて確率変動状態以外の状態(通常状態、時短状態)よりも大当り遊技状態を発生させると判定される確率が高まる。また、大当り遊技開始処理(ステップS43)にて確変フラグがセットされている場合には、確変フラグをリセットする処理が実行される。
図17は、変動表示パターン設定処理(ステップS41)の一例を示すフローチャートである。変動表示パターン設定処理において、CPU202は、今回の変動表示の結果、大当りとするか否か、すなわち、大当りフラグがセットされているか否かを判別し(ステップS410)、大当りフラグがセットされていれば(ON状態であれば)、大当りとなる場合に用いられる変動表示パターンが設定された大当り時変動表示パターンテーブル(図18参照)を選択する(ステップS412)。また、大当りフラグがセットされていなければ(OFF状態であれば)、リーチ判定乱数を取得し、RAM204の所定の保存領域に記憶するとともに、所定の判定値が設定されたリーチ判定テーブルに設定されている判定値と、取得したリーチ判定乱数の値と、が一致するか否かによって、リーチとするか否かを判定する(ステップS411)。リーチ態様とすると判定されたときには、リーチ態様を伴うはずれ図柄を導出する態様が示された変動表示パターンが設定されたリーチ時変動表示パターンテーブル(図18参照)を選択し(ステップS413)、リーチ態様としないと判定されたときには、リーチ態様を伴わないはずれ図柄を導出する態様が示された変動表示パターンが設定されたはずれ時変動表示パターンテーブル(図18参照)を選択する(ステップS414)。なお、リーチ判定テーブルでは、リーチ確率(リーチ態様とする割合)が1/12.5となるように、すなわち、0〜24までの25個のリーチ判定乱数のうち2個の判定値がリーチ判定テーブルに設定されている。
そして、変動表示パターン乱数を取得し、RAM204の所定の保存領域に記憶すると
ともに、ステップS411,S413,S414で選択された大当り時変動表示パターンテーブル、リーチ時変動表示パターンテーブル、はずれ時変動表示パターンテーブル、のいずれか1つの変動表示パターンテーブルに設定されている判定値と、取得した変動表示パターン乱数の値と、が一致する変動表示パターンに決定する(ステップS415)。
なお、はずれ時変動表示パターンテーブルは、後述する変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンのみ設定されるテーブルと、変動番号2の「短縮変動」の変動表示パターンのみ設定されるテーブルと、を有し、上述した時短制御が実行されていない場合には、変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンのみ設定されるテーブルが選択され、時短制御が実行されている場合には、変動番号2の「短縮変動」の変動表示パターンのみ設定されるテーブルが選択される。すなわち、時短制御が実行されていない場合には、変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンに決定され、時短制御が実行されている場合には、変動番号2の「短縮変動」の変動表示パターンに決定される。また、変動番号2の「短縮変動」の変動表示パターン(テーブル)は、時短制御が実行されていない場合であっても、始動口スイッチ68a,170aにより検出されたことにもとづいて抽出された大当り判定乱数の記憶数を示す保留球数カウンタの値が上限値、確率変動状態、等の条件のうちいずれかが成立したときに選択され得る。
次いで、ステップS415で決定した変動表示パターンを指定する演出コマンドとして変動表示パターンコマンドをセットし(ステップS416)、当該変動表示パターンに応じた変動時間を主制御基板201に搭載されるRAM204に設けられたタイマ(この実施の形態では、有効期間タイマ)にセットする(ステップS417)。ステップS417では、ステップS415で決定した変動表示パターンに設定されている変動時間を有効期間タイマにセットする。なお、ステップS416でセットされた変動表示パターンコマンドは、コマンド伝送出力処理(ステップS19)にてサブ統合基板211に送信される。また、変動表示パターンコマンドをコマンド伝送出力処理でサブ統合基板211に送信するときには、特別図柄遊技にて特別図柄表示LED144aに駆動信号を出力し、特別図柄の変動表示を開始させる。
ここで、変動表示パターンコマンドは、2バイト構成のデータであり、各変動表示パターンコマンドには、特別図柄表示LED144aにて特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄の変動表示が停止表示されるまでの変動時間やリーチ演出を特定するためのデータが含まれる。この2バイト構成の変動表示パターンコマンドのうち、1バイト目は、変動表示パターンであることを特定可能なデータであり、2バイト目は、変動番号(変動表示パターン)を特定可能なデータである。すなわち、サブ統合基板211に搭載される統合CPU212は、1バイト目のデータにもとづいて変動表示パターンであることを認識可能であり、さらに、2バイト目のデータにもとづいて変動表示パターンを特定する。
なお、ステップS415で決定される変動表示パターンを図18を参照して説明する。図18は、変動表示パターンの一例を示す一覧表図である。液晶表示器50には、特別図柄の変動時間(特別図柄表示LED144aにて特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄の変動表示が停止表示されるまでの時間)に、変動表示パターンに従った演出態様が画像表示される。
変動番号1の「通常変動」とは、リーチ態様を伴わない変動表示パターンである。変動番号2の「短縮変動」とは、特別図柄および装飾図柄の変動時間が「通常変動」よりも短い変動表示パターンである。変動番号3,4の「ノーマルリーチ」とは、リーチ態様を伴ってノーマルリーチ演出の実行後にスーパーリーチ演出を実行しない変動表示パターンである。なお、スーパーリーチ演出は、ノーマルリーチ演出の実行後に後述する「歌リーチA」、「歌リーチB」、「歌リーチC」のいずれが実行されるかを示唆する分岐演出が実
行され、当該分岐演出から継続して行われるリーチ演出のことである。
また、変動番号5〜16の「歌リーチ」とは、ノーマルリーチ演出の実行後のスーパーリーチ演出として、演出期間中に流れる楽曲に応じて未だ停止表示されていない装飾図柄の停止図柄を決定する歌リーチ演出を実行する変動表示パターンである。歌リーチ演出では、当該歌リーチ演出中に変動表示パターンにもとづく楽曲が各スピーカ14,36から流れ、これに伴った演出表示(例えば、楽曲に合わせて歌詞が順次表示される)が液晶表示器50にて実行される。
なお、「歌リーチ」は、変動番号5〜8の「歌リーチA」と、変動番号9〜12の「歌リーチB」と、変動番号13〜16の「歌リーチC」と、でそれぞれ異なる楽曲が設定されたリーチ演出に分類される。また、「歌リーチ」の各々は、変動番号5,6,9,10,13,14の「歌リーチ(前半)」と、該「歌リーチ(前半)」に比べて演出期間が長く設定された変動番号7,8,11,12,15,16の「歌リーチ(後半)」と、に分類される。そして、「歌リーチ」の各々は、「歌リーチ(後半)」に設定された楽曲の一部(前半部)が「歌リーチ(前半)」に設定され、「歌リーチ(前半)」では楽曲の前半部のみを演奏する一方で、「歌リーチ(後半)」では楽曲の前半部から後半部にかけてを演奏する。
また、変動番号17の「全回転リーチ」とは、ノーマルリーチ演出を実行しない大当り確定演出として、大当り図柄の組み合わせとなった装飾図柄を同期変動し、確変大当り図柄と非確変大当り図柄とのいずれか一方の大当り図柄で停止表示する全回転リーチ演出を実行する変動表示パターンである。
また、各々の変動表示パターンには、特別図柄の変動時間(特別図柄表示LED144aにて特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄の変動表示が停止表示されるまでの時間)が設定されている。特別図柄の変動時間は、サブ統合基板211に送信される変動表示パターンコマンドによって指定される装飾図柄の変動時間とほぼ一致して設定されており、ステップS415では特別図柄の変動時間に応じた装飾図柄の変動時間を有する変動表示パターンに決定される。すなわち、特別図柄の変動時間と装飾図柄の変動時間とは、完全に一致していなくてもよい。
また、各々の変動表示パターンには、リーチ態様とした後にリーチ演出が多く実行されるほど演出の実行時間が長くなることに伴って、特別図柄および装飾図柄の変動時間が長く設定されている。具体的には、特別図柄および装飾図柄の変動時間は、ノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターン(例えば、変動番号3,4)よりも、ノーマルリーチ演出の実行後にスーパーリーチ演出として「歌リーチ」を実行する変動表示パターン(例えば、変動番号5〜16)の方が長く設定されている。さらに、「歌リーチ」を実行する変動表示パターンの中では、「歌リーチ(前半)」を実行する変動表示パターン(例えば、変動番号5,6,9,10,13,14)よりも、「歌リーチ(後半)」を実行する変動表示パターン(例えば、変動番号7,8,11,12,15,16)の方が楽曲の後半部に相当する実行時間だけ長く設定されている。
また、変動番号3〜16の変動表示パターンでは、当落の結果に応じて大当り時とはずれ時とで同一または類似した演出態様でリーチ演出が実行され、また、該リーチ演出に応じた特別図柄および装飾図柄の変動時間がほぼ一致して設定されていることから、演出を見るだけでは当否の認識が困難となり、遊技者をハラハラドキドキさせることができ、遊技の興趣を低下させることがない。
この実施の形態では、ステップS411で選択される大当り時変動表示パターンテーブ
ルには、変動番号3〜17の変動表示パターンのうち当落の結果が大当りとなる変動表示パターン(図18に示す変動表示パターンテーブルの当落にて○が付されている変動表示パターン)が設定され、これらの変動表示パターンに判定値が振り分けられている。また、ステップS413で選択されるリーチ時変動表示パターンテーブルには、変動番号3〜17の変動表示パターンのうち当落の結果がはずれとなる変動表示パターン(図18に示す変動表示パターンテーブルの当落にて×が付されている変動表示パターン)が設定され、これらの変動表示パターンに判定値が振り分けられている。
また、はずれ時変動表示パターンテーブルのうち上述した時短制御が実行されていない場合に選択されるテーブルには、当落の結果がはずれとなる変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンに判定値が振り分けられ、はずれ時変動表示パターンテーブルのうち時短制御が実行されている場合に選択されるテーブルには、当落の結果がはずれとなる変動番号2の「短縮変動」の変動表示パターンに全ての判定値が振り分けられている。
また、大当り時変動表示パターンテーブルおよびリーチはずれ時変動表示パターンテーブルでは、リーチ演出の種別に応じて大当り期待度(当該リーチ演出が実行される割合(全出現率)のうち大当りとなる割合(大当り時の出現率);大当り期待度=大当り時の出現率/全出現率)が異なるように各々の変動表示パターンに対して判定値が振り分けられている。具体的には、ノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターンよりもスーパーリーチ演出を実行する変動表示パターンの方が大当り期待度が高くなるように設定され、さらにスーパーリーチ演出として「歌リーチ」を実行する変動表示パターンの中では、「歌リーチ(前半)」を実行する変動表示パターンよりも「歌リーチ(後半)」を実行する変動表示パターンの方が大当り期待度が高くなるように設定されている。なお、「歌リーチ(前半)」を実行する変動表示パターンでは、変動番号5,6の「歌リーチA(前半)」、変動番号9,10の「歌リーチB(前半)」、変動番号13,14の「歌リーチC(前半)」の順で大当り期待度が高くなるように設定されている。また、「歌リーチ(後半)」を実行する変動表示パターンでは、変動番号7,8の「歌リーチA(後半)」、変動番号11,12の「歌リーチB(後半)」、変動番号15,16の「歌リーチC(後半)」の順で大当り期待度が高くなるように設定されている。
変動表示パターン設定処理のステップS417に次いで、CPU202は、確変状態フラグがセットされているか否か確認し(ステップS418)、確変状態フラグがセットされているときには、確変大当りであることを示す演出コマンドである確変大当りコマンドをセットする(ステップS419)。そして、処理選択フラグを「2」に更新する(ステップS420)。なお、ステップS419にてセットされた確変大当りコマンドは、変動表示パターンコマンドとともにコマンド伝送出力処理(ステップS19)にてサブ統合基板211に送信される。これによりサブ統合基板211に搭載される統合CPU212に今回の変動表示の結果、確変大当りとなることを認識させることが可能となる。
なお、変動表示パターン設定処理では、当落の結果を示す演出コマンドとして確変大当りコマンド以外にも、大当りフラグおよび確変状態フラグがセットされているか否かを確認し、大当りフラグがセットされているが確変状態フラグがセットされていないときに非確変大当りを示す当落コマンドや、大当りフラグがセットされていないときにはずれを示す当落コマンドをセットする処理が実行される。サブ統合基板211に搭載される統合CPU212は、変動表示パターンコマンドとともに送信された当落コマンドにより今回の変動表示の結果、非確変大当りとなることを認識することができる。この実施の形態では、変動表示パターンコマンドにも当落の結果を示す情報が含まれており、統合CPU212は、変動表示パターンコマンドと当落コマンドとの示す当落の結果が一致するか否かを判別している。これにより、統合CPU212に今回の変動表示の結果を確実に認識させることができ、外部ノイズの影響等が原因でコマンド受信に失敗し、間違った変動表示の
結果を表示するといった誤動作を防止することができる。
また、変動表示パターン設定処理では、遊技状態を示す演出コマンドとして、確変フラグまたは時短フラグがセットされているか否かを確認し、確変フラグがセットされているときに遊技状態が確変状態であることを示す遊技状態コマンドや、時短フラグがセットされているときに遊技状態が時短状態であることを示す遊技状態コマンドをセットする処理が実行される。遊技状態コマンドは、変動表示パターンコマンドおよび当落コマンドとともにコマンド伝送出力処理(ステップS19)にてサブ統合基板211に送信される。サブ統合基板211に搭載される統合CPU212は、遊技状態コマンドが確変状態を示すことで遊技状態が確変状態であることを認識することができ、時短状態を示すことで遊技状態が時短状態であることを認識することができる。
なお、時短フラグは、大当り判定処理のステップS56で確変大当りとしない(非確変大当りとする)と判定されたときにセットされるフラグであり、大当り遊技中処理(ステップS44)にて大当り遊技状態を終了するときにセットする処理が実行される。時短フラグがセットされている場合には、時短状態に制御され、例えば、ステップS414ではずれ時変動表示パターンテーブルから特別図柄の変動時間を通常状態よりも短縮した変動番号2の「短縮変動」の変動表示パターンが選択される。また、大当り遊技状態終了後に所定回数の特別図柄の変動表示が実行されるまでに大当り判定処理のステップS54で次回の大当り遊技状態を発生させると判定された場合、または、大当り遊技状態終了後に所定回数の特別図柄の変動表示が実行された場合、には、時短フラグをリセットする処理が実行される。なお、時短フラグのON/OFF状態(セット状態、リセット状態)は、RAM204に記憶される。また、時短フラグのOFF状態(リセット状態)とは「0」の値がセットされることであり、時短フラグのON状態(セット状態)とは「1」の値がセットされることである。
また、ステップS417で変動時間がセットされた有効期間タイマは、コマンド伝送出力処理(ステップS19)で変動表示パターンコマンドをサブ統合基板211に送信するときにスタートし、変動中処理(ステップS42)で有効期間タイマがタイムアウトしたときに特別図柄表示LED144aに駆動信号を出力して特別図柄の変動表示をCPU202により停止制御させるとともに、サブ統合基板211に装飾図柄の変動表示停止を指示する演出コマンド(変動停止コマンド)を送信する。なお、サブ統合基板211では、変動停止コマンドを受信したことにもとづいて装飾図柄の停止を確定表示するための制御を行う。
また、表示装置に複数の表示領域を設け、それぞれの表示領域にて図柄を変動表示する場合には、上述した大当り判定処理にて大当りとする判定がなされたときに、特定の表示結果で停止表示する表示ラインを複数有する場合には、いずれかの表示ラインにて未だ停止していない図柄が所定の図柄で停止することにより当該表示ラインに停止表示される図柄が特定の表示結果となる状態、または、いずれかの表示ラインにて全ての図柄が特定の表示結果となるような組み合わせで同期して変動表示している状態、をリーチ態様という。すなわち、リーチ態様とは、特定の表示結果(大当り表示)の一歩手前を表す態様(大当りとなる直前の態様)である。この実施の形態では、上述した表示ラインを1つだけ有し、液晶表示器50に表示される左・中・右の装飾図柄のうち左装飾図柄と右装飾図柄と(任意の2つの装飾図柄の組み合わせでもよい)が同一の図柄で停止し、中装飾図柄(任意の2つの装飾図柄の組み合わせが停止した状態では残りの装飾図柄)については変動表示している状態、または、液晶表示器50に表示される全ての装飾図柄が同一の図柄の組み合わせで同期して変動表示している状態(例えば、左・中・右の装飾図柄が常に同一の図柄となるように同期して変動表示している状態)をリーチ態様といい、リーチ態様となった後、枠ランプ27、センターLED基板102,104,106,108,110,
112,114,116やサイドLED基板130、液晶表示器50、上部スピーカ29、および下部スピーカ14等により実行される演出(例えば、枠ランプ27やセンターLED基板102,104,106,108,110,112,114,116、サイドLED基板130を所定の態様で点灯・点滅、液晶表示器50にて所定の画像表示、上部スピーカ29および下部スピーカ14にて所定の音声出力)をリーチ演出という。
次に、サブ統合基板211に搭載される統合CPU212によって実行される処理について説明する。図19はサブメイン処理の一例を示すフローチャートであり、図19は16ms定常処理の一例を示すフローチャートである。
図19に示すように、パチンコ機1への電力供給が開始されると、統合CPU212は、初期設定処理を行う(ステップS71)。この初期設定処理は、サブ統合基板211に搭載される統合RAM214をクリアする処理等が行われる。なお、この初期設定処理中では割込禁止となっており、初期設定処理のあと割込許可となる。初期設定処理(ステップS71)が終了すると、16ms経過フラグTがセットされたか否かを監視するループ処理を開始する(ステップS72)。
この実施の形態では、統合CPU212は、2ms経過毎に割込を発生させ、2ms定常処理を実行する。2ms定常処理では、16ms経過監視カウンタをカウントアップする(16ms経過監視カウンタを1加算する)処理が実行され、16ms経過監視カウンタの値が8になったとき、すなわち、16ms経過したときに16ms経過フラグTをセットするとともに、16ms経過監視カウンタをリセット(0にする)処理が実行される。このように、16ms経過フラグTは、2ms定常処理にて16ms毎に「1」に設定(セット)され、通常は「0」に設定(リセット)されている。ステップS72で16ms経過フラグがセットされている(16ms経過フラグTが「1」)ときには、16ms経過フラグをリセットした後(ステップS73)、16ms定常処理を行う(ステップS74)。
この16ms定常処理では、主制御基板201から受信した演出コマンドにもとづいて液晶表示器50、枠ランプ27、センターLED基板102,104,106,108,110,112,114,116、サイドLED基板130、スピーカ14,29等を制御する処理が実行される。16ms定常処理が終了すると、再びステップS72に戻り、16ms経過フラグTがセットされる毎に、つまり16ms毎に上述したステップS73〜ステップS74を繰り返し行う。一方、ステップS72で16ms経過フラグTがセットされていない(16ms経過フラグTが「0」)ときには、16ms経過フラグTがセットされるまでループ処理を行う。
図20は、サブメイン処理にて16ms毎に実行される16ms定常処理の一例を示すフローチャートである。16ms定常処理において、統合CPU212は、ステップS91〜ステップS95の処理を実行する。ステップS91のコマンド解析処理では、主制御基板201から受信した演出コマンドを解析する。ステップS92の演出制御処理では、変動表示パターンコマンドにもとづいて液晶表示器50に関わる制御処理を実行する。具体的には、後述する予告演出の設定、装飾図柄の停止図柄の決定、等を行う。
また、ステップS93の音制御処理では、スピーカ14,29に関わる制御処理を実行する。ステップS94のランプ制御処理では、センターLED基板102,104,106,108,110,112,114,116、サイドLED基板130、枠ランプ27に関わる制御処理を実行する。ステップS95の情報出力処理では、表示制御基板220に表示コマンドを送信するとともに、ランプ駆動基板156に駆動信号およびランプ点灯信号を送信する。ステップS96の乱数更新処理では、演出制御処理(ステップS92)
で各種設定に用いられる乱数を更新する処理を実行する。
ここで、上述した乱数更新処理(ステップS96)でサブ統合基板211に搭載される統合CPU212により更新される各種乱数について図21を参照して説明する。図21に示すように、この実施の形態では、装飾図柄の停止図柄として確変大当り図柄の決定に用いられる確変大当り図柄乱数、装飾図柄の停止図柄として非確変大当り図柄の決定に用いられる非確変大当り図柄乱数、装飾図柄の停止図柄としてはずれ図柄の決定に用いられるはずれ図柄乱数、背景画像を切替えるか否かの判定(例えば、背景画像を通常背景から特殊背景に移行するか否かの判定や、特殊背景から通常背景に移行して当該特殊背景を終了するか否かの判定)に用いられる特殊背景判定乱数、等がある。なお、各種乱数(確変大当り図柄乱数、非確変大当り図柄乱数、はずれ図柄乱数、特殊背景判定乱数、等)は、コマンド解析処理(ステップS91)にて主制御基板201から受信した演出コマンドが変動表示パターンであるときに取得される。
また、16ms定常処理におけるステップS91〜ステップS96の処理は16ms以内に終了する。仮に、16ms定常処理を開始してから当該16ms定常処理の終了までに16ms以上かかったとしても、16ms定常処理を開始してから16ms経過したときに直ぐに16ms定常処理を最初から(後述するステップS91のコマンド解析処理から)実行しない。すなわち、16ms定常処理の実行中に16ms経過したときには、16ms経過フラグのセットのみを行い、当該16ms定常処理の終了後にステップS72で16ms経過フラグがセットされていると判定されたときに16ms定常処理を開始する。
また、この実施の形態では、16ms定常処理にて乱数更新処理(ステップS96)を実行して各種乱数を更新するように構成しているが、各種乱数を更新する時期(タイミング)はこれに限られるものではない。例えば、サブメイン処理におけるループ処理および16ms定常処理のいずれか一方または両方にて各種乱数を更新するように構成してもよい。
図22は、コマンド解析処理(ステップS91)の一例を示すフローチャートである。コマンド解析処理において、統合CPU212は、まず、主制御基板201から演出コマンドを受信したか否かを判別する(ステップS601)。この実施の形態では、主制御基板201から演出コマンドを受信すると、16ms定常処理等の他の処理を中断してコマンド受信割込処理を発生させ、受信したコマンドを、サブ統合基板211に搭載される統合RAM214における受信コマンド格納領域に保存する。なお、受信コマンド格納領域は、演出コマンドの受信順に対応して複数の領域が設けられ、コマンド受信割込処理では、演出コマンドの受信順に対応して各領域に保存する。ステップS601では、受信コマンド格納領域の内容を確認し、受信コマンドが記憶されていれば、受信コマンド格納領域の受信順が先の演出コマンドを読み出す(ステップS602)。
そして、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであるか判別し(ステップS603)、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであれば(ステップS603にてYES)、変動表示パターン受信フラグをセットするとともに、サブ統合基板211に搭載される統合RAM214における変動表示パターン格納領域に格納する(ステップS604)。
一方、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドでなければ(ステップS603にてNO)、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドであるか判別し(ステップS605)、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドであれば(ステップS605にてYES)、確変大当りフラグをセットする(ステップS606)。また、読み出し
た演出コマンドが確変大当りコマンドでなければ(ステップS605にてNO)、受信した演出コマンド(確変大当りコマンド以外の当落コマンド、遊技状態コマンド、変動停止コマンド、大当り開始コマンド等)に対応したフラグをセットする(ステップS607)。
図23は、演出制御処理(ステップS92)の一例を示すフローチャートである。演出制御処理において、統合CPU212は、遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値を参照してステップS700〜ステップS702のうちいずれかの処理を行う。
処理選択フラグが「0」のときに実行される装飾図柄変動開始処理(ステップS700)では、変動表示パターンコマンドを受信していれば装飾図柄の変動表示を開始させるための設定を行う。具体的には、変動表示パターンコマンドおよび確変大当りコマンドに応じて装飾図柄の停止図柄を決定するとともに、予告演出等の設定を行い、処理選択フラグを「1」に更新する。
処理選択フラグが「1」のときに実行される装飾図柄変動処理(ステップS701)では、変動停止コマンドを受信したときに表示制御基板220に表示コマンドを送信して装飾図柄の変動表示を停止させる制御を行い、主制御基板201から大当り開始コマンドを受信していれば処理選択フラグを「2」に更新し、主制御基板201から大当り開始コマンドを受信していなければ処理選択フラグを「0」に更新する。
処理選択フラグが「2」のときに実行される大当り表示処理(ステップS702)では、主制御基板201から送信される大当り開始コマンドに応じて液晶表示器50に大当り遊技状態の開始を示す表示を行うとともに、主制御基板201から送信される大当り中コマンドに応じて大当り遊技状態中の表示(例えば、ラウンド表示等)を行うための制御を実行し、大当り終了コマンドを受信していれば大当り遊技状態の終了表示を行い、処理選択フラグを「0」に更新する。
図24は、装飾図柄変動開始処理(ステップS700)の一例を示すフローチャートである。装飾図柄変動開始処理において、統合CPU212は、まず、変動表示パターン受信フラグがセットされているか判別する(ステップS710)。変動表示パターン受信フラグは、上述したコマンド解析処理(ステップS91)のステップS604でセットされ、主制御基板201から変動表示パターンコマンドを受信したことを示すフラグである。すなわち、ステップS710で変動表示パターン受信フラグがセットされていなければ(ステップS710にてNO)、変動表示パターンコマンドを受信していないと判別して処理を終了する。
一方、変動表示パターン受信フラグがセットされていれば(ステップS710にてYES)、変動表示パターン受信フラグをリセットし(ステップS711)、受信した当落コマンドが当りを示すコマンドであるか判別するとともに、受信した変動表示パターンコマンドにもとづく変動表示パターンが大当りを発生させる変動表示パターンであるか(当りパターンであるか)判別する(ステップS712)。当りパターンであるか否かは、変動表示パターンコマンドの2バイト目のデータを参照することにより確認できる。
当落コマンドが当りを示すコマンドでなければ(ステップS712にてNO)、はずれ図柄の停止図柄を決定する(ステップS713)。また、変動表示パターンが当りパターンであれば(ステップS712にてYES)、確変大当りフラグがセットされているか判別し(ステップS714)、確変大当りフラグがセットされていれば(ステップS714にてYES)、確変大当り図柄の停止図柄を決定する(ステップS715)。そして、確変確定タイミング決定用乱数の抽選に基づいて確変確定タイミングを決定する(ステップ
S715a:判定結果表示決定手段)。具体的には、図35(A)に示す「0〜3」の計4個の確変確定タイミング決定用乱数の抽出を行い、その抽出値に基づいて確変確定タイミングを、大当り図柄の導出時点で確定するか、一旦非確変大当り図柄を導出した後、大当り遊技状態の開始以前に確変大当り図柄とする再抽選で確定するか(利益付与前判定表示制御手段)、あるいは一旦非確変大当り図柄を導出した後、大当り遊技状態中に確変大当り図柄とする昇確で確定するかを決定する。なお、確変確定タイミング決定用乱数は、図35(B)に示すように、大当り図柄導出時の確定タイミングに2個の乱数が振り分けられ、再抽選の確定タイミングに1個の乱数が振り分けられ、大当り中昇確の確定タイミングに1個の乱数が振り分けられている。即ち、確変大当りする場合、50%の確率で大当り図柄の導出時に確変が確定され、25%の確率で再抽選で確変が確定され、25%の確率で大当り中昇確で確変が確定されるようになっている。
次に、ステップS715aの抽選において、大当り中昇確パターンが決定されたか否かを判定する(ステップS715b)。大当り中昇確パターンであれば(ステップS715bにてYES)、昇確フラグをセットし(ステップS715c)、その後、液晶表示器50に表示する仮停止図柄を決定する(ステップS715d)。なお、ステップS715dで決定する仮停止図柄は、非確変大当り図柄となるように決定される。また、大当り中昇確パターンでなければ(ステップS715bにてNO)、ステップS715aの抽選において、再抽選パターンが決定されたか否かを判定する(ステップS715e)。再抽選パターンであれば(ステップS715eにてYES)、前記ステップS715dに移行して仮停止図柄を決定する。再抽選パターンでなければ(ステップS715eにてNO)、そのまま後述するステップS717に移行する。
一方、ステップS714で確変大当りフラグがセットされていなければ(ステップS714にてNO)、非確変大当り図柄の停止図柄を決定する(ステップS716)。また、確変大当りフラグは、大当り表示処理(ステップS702)にて大当り遊技状態を開始するときにリセットされる。なお、確変大当りフラグがリセットされる時期はこれに限らず、例えば、装飾図柄変動処理(ステップS701)で装飾図柄の変動表示を停止させるとき、具体的には、変動停止コマンドを受信したときにリセットするようにしてもよいし、大当り表示処理(ステップS702)で大当り遊技状態を終了するときにリセットするようにしてもよい。
この実施の形態では、装飾図柄の確変大当り図柄として同一の奇数図柄(特定図柄)の組み合わせのうちいずれかの組み合わせの図柄を停止図柄として決定し、装飾図柄の非確変大当り図柄として同一の偶数図柄(非特定図柄)の組み合わせのうちいずれかの組み合わせの図柄を停止図柄として決定する。また、ステップS713ではずれ図柄の停止図柄を決定するときに、リーチ態様を伴う変動表示パターンであるかを判別し、リーチ態様を伴う変動表示パターンであれば、左・中・右の装飾図柄のうち左および右の装飾図柄が同一図柄であり、中の装飾図柄は左および右の装飾図柄とは異なる図柄となる停止図柄に決定する。一方、リーチ態様を伴わない変動表示パターンであれば、左・中・右の装飾図柄のそれぞれが異なる図柄となる停止図柄に決定する。
次いで、統合CPU212は、予告演出を実行するか否かの判定や当該予告演出の種別の決定を行う予告選択処理(ステップS717)を実行した後、背景画像の種別の決定を行う背景選択処理(ステップS717a)を実行し、変動表示パターンと、後述する予告種類格納領域に記憶される予告パターンと、ステップS713,S715,S716で決定した装飾図柄の停止図柄と、に応じた表示コマンドをセットする(ステップS718)。そして、処理選択フラグを「1」に更新して処理を終了する(ステップS719)。なお、ステップS718でセットされた表示コマンドは、情報出力処理(ステップS95)にて表示制御基板220に送信され、表示制御基板220に搭載される表示CPU221
により当該表示コマンドを受信したことにもとづいて液晶表示器50にて装飾図柄の変動表示の実行を開始する。また、ステップS718で予告種類格納領域に記憶される予告パターンを読み出したときには、当該予告パターンを読み出した後、予告種類格納領域の内容をクリアする。これにより、次回の装飾図柄の変動表示にて誤って以前の装飾図柄の変動表示を開始するときに決定した予告パターンの予告演出が実行されることを防止できる。
図25および図26は、装飾図柄変動開始処理(ステップS700)で実行される背景選択処理(ステップS717a)の一例を示すフローチャートである。背景選択処理において、統合CPU212は、先ず、この処理で用いられる特殊背景判定乱数を抽出し(ステップS811)、統合RAM214の所定の保存領域に記憶する。なお、特殊背景判定乱数は、乱数更新処理(ステップS96)にて更新されている。
次いで、統合CPU212は、遊技状態が確率変動状態または時短状態であるか判別する(ステップS812)。なお、遊技状態が確率変動状態または時短状態であるか否かは、主制御基板201から確率変動状態または時短状態を示す遊技状態コマンドを受信し、コマンド解析処理(ステップS91)のステップS607でセットされた確率変動状態または時短状態を示す遊技状態コマンドに対応したフラグにより確認できる。遊技状態が確率変動状態または時短状態であれば(ステップS812にてYES)、遊技状態に対応する背景パターンに応じた表示コマンドをセットする(ステップS813)。なお、ステップS813でセットされた表示コマンドは、情報出力処理(ステップS95)にて表示制御基板220に送信され、表示制御基板220に搭載される表示CPU221により当該表示コマンドを受信したことにもとづいて、装飾図柄の変動表示の開始からリーチ態様が形成されるか否かまでの通常変動期間に、液晶表示器50にて確率変動状態または時短状態であることを遊技者に告知する背景画像を表示制御する。
そして、特殊背景実行フラグがセットされているか判別し(ステップS814)、特殊背景実行フラグがセットされている場合には(ステップS814にてYES)、特殊背景実行フラグをリセット(ステップS815)して処理を終了する。なお、特殊背景実行フラグは、後述するステップS821でセットされ、特殊背景の終了条件が成立するまで背景画像として特殊背景を継続して表示制御することを示すフラグである。このように、遊技状態を通常状態から確率変動状態または時短状態に移行したときに特殊背景実行フラグをリセットすることで、確率変動状態または時短状態の移行前に背景画像として特殊背景を表示制御していても、確率変動状態または時短状態の終了後には背景画像を通常背景に戻して表示制御する(但し、確率変動状態または時短状態の終了後の最初の変動表示において特殊背景の開始条件が成立した場合を除く)。
ステップS812で遊技状態が確率変動状態または時短状態でなければ(ステップS812にてNO)、特殊背景実行フラグがセットされているか判別する(ステップS816)。特殊背景実行フラグがセットされていなければ(ステップS816にてNO)、変動表示パターンが変動番号1の「通常変動」または変動番号3〜17のうち当りパターンであるか否か判別する(ステップS817)。変動表示パターンが当りパターンであるか否かは、受信した変動表示パターンコマンドの2バイト目のデータを参照することにより確認できる。
ステップS817で変動表示パターンが変動番号1の「通常変動」または変動番号3〜17のうち当りパターンであれば(ステップS817にてYES)、特殊背景移行判定テーブル(図27(A)参照)を選択する(ステップS818)。そして、特殊背景移行判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS811で抽出した特殊背景判定乱数の値と、が一致するか否かにもとづいて背景画像を通常背景から特殊背景に移行するか否か
を決定し(ステップS819;特殊背景移行判定)、一致することにもとづいて特殊背景に移行することを決定する。なお、図27(A)に示す特殊背景移行判定テーブルでは、0〜255の256個の特殊背景判定乱数のうち特殊背景に移行する判定値の個数が1個であり、特殊背景に移行する割合が1/256に設定されている。
次いで、統合CPU212は、ステップS819で特殊背景移行判定により背景画像を通常背景から特殊背景に移行することを決定したときに(ステップS820)、特殊背景実行フラグをセットし(ステップS821)、特殊背景を演出表示する特殊背景パターンに応じた表示コマンドをセットする(ステップS822)。なお、特殊背景実行フラグのセット/リセット状態(ON/OFF状態)は、統合RAM214に記憶される。
一方、ステップS817で変動表示パターンが変動番号1の「通常変動」または変動番号3〜17のうち当りパターンでない(ステップS817にてNO)、または、ステップS819で特殊背景移行判定により背景画像を特殊背景に移行しないことを決定したとき(ステップS820にてNO)に、通常背景を演出表示する通常背景パターンに応じた表示コマンドをセットする(ステップS823)。なお、ステップS822,S823でセットされた表示コマンドは、情報出力処理(ステップS95)にて表示制御基板220に送信され、表示制御基板220に搭載される表示CPU221により当該表示コマンドを受信したことにもとづいて、装飾図柄の変動表示の開始からリーチ態様が形成されるか否かまでの通常変動期間に、液晶表示器50にて各々の背景パターンにもとづく背景画像を表示制御する。ここで、詳細については後述するが、リーチ態様が形成される場合(変動表示パターンがリーチパターンである場合)には、通常背景パターンよりも特殊背景パターンに応じた表示コマンドを受信したときの方がリーチ態様を形成するタイミングを遅くすることから、通常背景パターンと特殊背景パターンとで通常変動期間が異なる。
この実施の形態では、前回の変動表示で背景画像として通常背景を表示制御した場合、変動表示パターンが変動番号1の「通常変動」または変動番号3〜17のうち当りパターンであり(ステップS817にてYES)、且つ、特殊背景移行判定により背景画像を通常背景から特殊背景に移行することを決定することで(ステップS820にてYES)、当該変動表示で特殊背景を表示制御する。すなわち、特殊背景の開始条件は、変動表示パターンが変動番号1の「通常変動」または変動番号3〜17のうち当りパターンであり、且つ、特殊背景移行判定により通常背景から特殊背景に移行する判定がなされたときに成立する。
ここで、特殊背景移行判定テーブルでは、「通常背景を継続する」よりも「特殊背景に移行する」に振り分けられる判定値の数が極めて少ない。すなわち、特殊背景移行判定では、背景画像を特殊背景に移行する判定がなされるよりも極めて高い割合で通常背景を継続する判定がなされる。このように構成することで、特殊背景の開始条件が成立する割合は極めて低く、背景画像が通常背景から特殊背景に移行した変動表示において「何かが起こるのでは?」といった期待感を特に高めることができ、遊技の興趣にメリハリを生じさせることができる。
また、この実施の形態では、変動表示パターンが変動番号1の「通常変動」または変動番号3〜17のうち当りパターンであるときに特殊背景の開始条件が成立する可能性があるが、変動番号3〜17のうちリーチはずれパターンであるときに特殊背景の開始条件が成立することはない。すなわち、背景画像が通常背景から特殊背景に移行した変動表示においてリーチ態様が形成された場合には、必ず変動番号3〜17の当りパターンにもとづくリーチ態様の形成であり、当該変動表示の結果、大当りが導出される。このように構成することで、背景画像が通常背景から特殊背景に移行した変動表示においては、リーチ態様が形成されるか否かを視認するだけで大当りが導出されるか否かを判別可能であり、全
ての装飾図柄を停止表示(確定表示)する以前に大当りが導出されることを知り得ることで、遊技者に優越感を生じさせることができる。
また、ステップS816で特殊背景実行フラグがセットされていれば(ステップS816にてYES)、特殊背景を演出表示する特殊背景パターンに応じた表示コマンドをセットする(ステップS824)。そして、特殊背景の演出表示が上限回数(この実施の形態では、25回)であるか否か判別し(ステップS825)、上限回数に達している場合には(ステップS825にてYES)、ステップS831に移行する。なお、特殊背景の演出表示が上限回数であるか否かは、上述したステップS822で特殊背景実行フラグをセットしたときに上限回数を回数カウンタにセットするとともに、ステップS822,S824で特殊背景パターンに応じた表示コマンドをセットする毎に1減算する当該回数カウンタを参照することにより判別される。すなわち、回数カウンタが0になったときに、特殊背景の演出表示が上限回数であると判別する。
ステップS825で特殊背景の演出表示が上限回数でなければ(ステップS825にてNO)、変動表示パターンがリーチパターン(リーチ態様を伴う変動番号3〜17の変動表示パターン)であるか否か判別する(ステップS826)。変動表示パターンがリーチパターンであるか否かは、変動表示パターンコマンドの2バイト目のデータを参照することにより確認できる。変動表示パターンがリーチパターンであれば(ステップS826にてYES)、特殊背景終了判定テーブル(図27(B)参照)を選択する(ステップS827)。そして、特殊背景終了判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS811で抽出した特殊背景判定乱数の値と、が一致するか否かにもとづいて特殊背景を終了するか否かを決定し(ステップS828;特殊背景終了判定)、一致することにもとづいて当該変動表示にて特殊背景を終了することを決定する。すなわち、次回の変動表示にて背景画像を特殊背景から通常背景に移行することを決定する。なお、図27(B)に示す特殊背景終了判定テーブルでは、0〜255の256個の特殊背景判定乱数のうち特殊背景を終了する判定値の個数が85個であり、特殊背景を終了する割合が約1/3に設定されている。また、この実施の形態では、特殊背景に移行するか否かの特殊背景移行判定(ステップS819)と、特殊背景を終了するか否かの特殊背景終了判定(ステップS828)と、で同一の特殊背景判定乱数を用いているが、それぞれ別の乱数を用いてもよい。
次いで、統合CPU212は、ステップ825で特殊背景の演出表示が上限回数に達したとき(ステップS825にてYES)、または、ステップS828で特殊背景終了判定により特殊背景を終了することを決定したとき(ステップS829にてYES)に、特殊背景実行フラグをリセットする(ステップS831)。一方、ステップS826で変動表示パターンがリーチパターンでない(ステップS826にてNO)、または、ステップS828で特殊背景終了判定により特殊背景を終了しないことを決定したとき(ステップS829にてNO)には、特殊背景実行フラグのセット状態を継続して処理を終了する。
この実施の形態では、当該変動表示で背景画像として特殊背景を表示制御した場合、特殊背景の演出表示が上限回数であること(ステップS825にてYES)、または、変動表示パターンがリーチパターンであり(ステップS826にてNO)、且つ、特殊背景終了判定により特殊背景を終了することを決定することで(ステップS829にてYES)、次回の変動表示で通常背景を表示制御する(ただし、次回の変動表示において特殊背景の開始条件が成立した場合を除く)。すなわち、特殊背景の終了条件は、特殊背景の演出表示が上限回数に達したとき、または、変動表示パターンがリーチパターンであり、且つ、特殊背景終了判定により特殊背景を終了する判定がなされたときに成立する。
ここで、特殊背景の終了条件は、変動表示パターンがリーチパターンであり、且つ、特殊背景終了判定により特殊背景を終了することを決定するよりも高い割合で特殊背景の演
出表示が上限回数であることにより成立する。具体的には、変動表示パターンがリーチパターンであり、且つ、特殊背景終了判定により特殊背景を終了する判定がなされるまでに特殊背景の演出表示が継続実行される平均回数が37回程度である一方、特殊背景の演出表示の上限回数が25回であることによる。このように、特殊背景の終了条件として、特殊背景の演出表示に上限回数を設定することに加えて、変動表示パターンがリーチパターンであり、且つ、特殊背景終了判定により特殊背景を終了する判定を設定することで、特殊背景の演出表示が上限回数に達したときに特殊背景の終了条件が成立することを基本としながらも、特殊背景の終了タイミングにある程度のランダム性を有することができ、遊技の興趣にメリハリを生じさせることができる。
また、特殊背景の演出表示の上限回数と、変動表示パターンがリーチパターンであり、且つ、特殊背景終了判定により特殊背景を終了する判定がなされるまでに特殊背景の演出表示が継続実行される平均回数と、のいずれの場合であっても、通常背景の演出表示が継続実行される平均回数である278回程度と比べて非常に少ない。すなわち、特殊背景の開始条件が成立するよりも非常に高い割合で特殊背景の終了条件が成立する。このように構成することで、特殊背景の演出表示が継続実行される回数は非常に少なく、特殊背景が演出表示される変動表示において「何かが起こるのでは?」といった期待感を特に高めることができ、遊技の興趣にメリハリを生じさせることができる。
次に、液晶表示器50にて表示制御される演出態様のタイミングチャートの一例について図28乃至図29を参照して説明する。図28(A)は、ノーマルリーチ演出を実行する変動表示パターン(変動番号3,4の変動表示パターン)と、通常背景パターンと、にもとづく演出態様のタイミングチャートであり、図28(B)は、ノーマルリーチ演出を実行する(変動番号3,4の変動表示パターン)と、特殊背景パターンと、にもとづく演出態様のタイミングチャートである。図29(A)は、スーパーリーチ演出を実行する変動表示パターン(変動番号5〜16の変動表示パターン)と、通常背景パターンと、にもとづく演出態様のタイミングチャートであり、図29(B)は、スーパーリーチ演出を実行する(変動番号5〜16の変動表示パターン)と、特殊背景パターンと、にもとづく演出態様のタイミングチャートである。
まず、サブ統合基板211にて変動表示パターンに応じた変動表示パターンコマンドを受信すると、背景選択処理(ステップS718a)で背景パターンに応じた表示コマンドをセットする。ここで、背景パターンとして、通常背景の演出表示の継続期間中(特殊背景実行フラグのリセット状態)であって、特殊背景の開始条件が成立するか否か判定し、特殊背景の開始条件が成立しない場合(ただし、はずれパターンである場合には、特殊背景の開始条件が必ず成立しない)には、ステップS823で通常背景パターンに応じた表示コマンドをセットする一方、通常背景の演出表示の継続期間中(特殊背景実行フラグのリセット状態)であって、特殊背景の開始条件が成立するか否か判定し、特殊背景の開始条件が成立した場合、および、特殊背景の演出表示の継続期間中(特殊背景実行フラグのセット状態)である場合には、ステップS822,S824で特殊背景パターンに応じた表示コマンドをセットする。
そして、通常背景パターンまたは特殊背景パターンのいずれかの背景パターンに応じた表示コマンドとともに、装飾図柄変動開始処理のステップS718で変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドもセットし、これらの表示コマンドを情報出力処理(ステップS95)で表示制御基板220に送信する。表示制御基板220に搭載される表示CPU221は、受信した表示コマンドにもとづいて表示ROM222からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいてタイマ(表示画像の切替タイミング等を示す)を設定するとともに、液晶表示器50に駆動信号を出力して装飾図柄の変動表示や背景画像を表示制御する。
この実施の形態では、変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドが同一であっても、背景パターンに応じた表示コマンドが異なる場合に、背景画像だけではなく、装飾図柄の変動表示や演出態様も変更して表示制御するプロセスデータが読み出される。変動表示パターンには、装飾図柄の変動時間(装飾図柄の変動表示を開始してから全ての装飾図柄を停止表示するまでの時間)や変動表示、リーチ演出等の演出態様が設定されており、通常背景パターンに応じた表示コマンドを受信した場合には、この変動表示パターンにもとづく装飾図柄の変動時間にてリーチ演出等の演出態様を表示制御したり、各々の装飾図柄を停止表示したりするプロセスデータが読み出される。一方で、特殊背景パターンに応じた表示コマンドを受信した場合には、変動表示パターンにもとづく装飾図柄の変動時間ではあるが、変動表示パターンとは異なるリーチ演出等の演出態様(例えば、ノーマルリーチ演出や分岐演出を実行することなく、これらの演出とは別の特殊背景演出を実行する)を表示制御したり、左右の装飾図柄を異なる停止表示タイミングで停止表示したりするプロセスデータが読み出される。ただし、リーチ演出を伴わない変動表示パターンに応じた表示コマンドを受信した場合には、背景画像のみを変更して表示制御するプロセスデータが読み出される。
具体的には、図28(A)に示すように、ノーマルリーチ演出を実行する変動番号3,4の変動表示パターンと、通常背景パターンと、に応じた表示コマンドを表示CPU221が受信した場合には、当該変動表示パターンにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始し、左右の装飾図柄50a,50cを同一の図柄で順に停止表示することでリーチ態様を形成し、リーチ態様が形成されたことを告知する「リーチ確定画面51c」を表示制御する。そして、「リーチ確定画面51c」を表示制御した後、さらに変動表示パターンにもとづいてノーマルリーチ演出を実行し、当該ノーマルリーチ演出にて中装飾図柄50bを停止表示することで全ての装飾図柄50a〜50cを停止表示(確定表示)する。この場合には、装飾図柄50a〜50cの変動開始からリーチ態様が形成されるまでの期間(通常変動期間)に、通常背景パターンにもとづいて通常背景を表示制御する。
また、図28(B)に示すように、ノーマルリーチ演出を実行する変動番号3,4の変動表示パターンと、特殊背景パターンと、に応じた表示コマンドを表示CPU221が受信した場合には、当該変動表示パターンにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始し、上記した通常背景にてリーチ態様を形成するタイミングで特殊背景演出を実行開始し、当該特殊背景演出にて左右の装飾図柄50a,50cを同一の図柄で順に停止表示することでリーチ態様を形成した後、中装飾図柄50bを停止表示することで全ての装飾図柄50a〜50cを停止表示(確定表示)する。この場合には、装飾図柄50a〜50cの変動開始から停止表示するまでの期間に、特殊背景パターンにもとづいて特殊背景を表示制御し、特殊背景の演出表示の継続期間中(特殊背景フラグのセット状態)である限り、当該特殊背景を継続して表示制御する。
このように、特殊背景パターンに応じた表示コマンドを表示CPU221が受信した場合には、通常背景パターンに応じた表示コマンドを受信した場合と装飾図柄の変動時間が同一であるが、変動表示パターンにもとづくノーマルリーチ演出を変更し、この演出とは別の特殊背景演出を実行している。特殊背景演出は、装飾図柄50a〜50cの変動開始から表示制御される特殊背景をそのまま利用して行われる演出であり、特殊背景演出の開始前後で一体感のある演出が実行される。また、通常背景パターンに応じた表示コマンドを受信した場合には、ノーマルリーチ演出の実行前に左右の装飾図柄50a,50cが停止表示されるのに対し、特殊背景パターンに応じた表示コマンドを表示CPU221が受信した場合には、特殊背景演出の実行中(終了前)に左右の装飾図柄50a,50cが停止表示される。すなわち、特殊背景演出が実行されることに伴って、変動表示パターンにもとづく左右の装飾図柄50a,50cの停止表示タイミングが遅延されている。
また、図29(A)に示すように、スーパーリーチ演出を実行する変動番号5〜16の変動表示パターンと、通常背景パターンと、に応じた表示コマンドを表示CPU221が受信した場合には、当該変動表示パターンにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始し、左右の装飾図柄50a,50cを同一の図柄で順に停止表示することでリーチ態様を形成し、リーチ態様が形成されたことを告知する「リーチ確定画面51c」を表示制御する。そして、「リーチ確定画面51c」を表示制御した後、さらに変動表示パターンにもとづいてノーマルリーチ演出、分岐演出、スーパーリーチ演出を順次実行し、当該スーパーリーチ演出にて中装飾図柄50bを停止表示することで全ての装飾図柄50a〜50cを停止表示(確定表示)する。この場合にも、装飾図柄50a〜50cの変動開始からリーチ態様が形成されるまでの期間(通常変動期間)に、通常背景パターンにもとづいて通常背景を表示制御する。
また、図29(B)に示すように、スーパーリーチ演出を実行する変動番号5〜16の変動表示パターンと、特殊背景パターンと、に応じた表示コマンドを表示CPU221が受信した場合には、当該変動表示パターンにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始し、上記した通常背景にてリーチ態様を形成するタイミングで特殊背景演出を実行開始し、当該特殊背景演出にて左右の装飾図柄50a,50cを同一の図柄で順に停止表示することでリーチ態様を形成した後、さらに変動表示パターンにもとづいてスーパーリーチ演出を実行し、当該スーパーリーチ演出にて中装飾図柄50bを停止表示することで全ての装飾図柄50a〜50cを停止表示(確定表示)する。この場合には、装飾図柄50a〜50cの変動開始からリーチ態様が形成されるまでの期間(通常変動期間)に、特殊背景パターンにもとづいて特殊背景を表示制御する。
このように、スーパーリーチ演出を実行する変動番号5〜16の変動表示パターンと、特殊背景パターンと、に応じた表示コマンドを受信した場合には、変動パターンにもとづくノーマルリーチ演出および特殊背景演出を変更し、これらの演出とは別の特殊背景演出を実行している。この場合、ノーマルリーチ演出を実行する変動番号3,4の変動表示パターンに応じた表示コマンドを受信した場合とは異なり、ノーマルリーチ演出だけでなく分岐演出も実行されることなく、特殊背景演出に次いでスーパーリーチ演出が実行される。
この実施の形態では、特殊背景演出を実行するか否かを、主制御基板201にて変動表示パターン設定処理(ステップS41)のステップS415で決定される変動表示パターンに設定するのではなく(すなわち、特殊背景演出を実行する変動表示パターンを設けるのではなく)、サブ統合基板211にて背景選択処理(ステップS718a)で特殊背景の演出表示の継続期間中(特殊背景実行フラグのセット状態)であるか否かによって決定している。このように構成することで、特殊背景演出が実行される割合が少ないながらも、特殊背景演出を実行する変動表示パターンを主制御基板201のROM203に別に設ける必要がなく、主制御基板201の制御負担を増大させることがない。
なお、変動表示パターンテーブルには設定されていないが、例えば、すべり変動を伴う変動表示パターン等に対しても特殊背景演出を実行することができる。すべり変動とは、リーチ態様を形成するか否か判別するための装飾図柄が高速変動から低速変動に移行した後、この装飾図柄を数コマだけコマ送りして停止するかのように表示するが、再び高速変動へと移行し、高速変動から低速変動に移行した後に停止表示する態様である。この場合、すべり変動を伴わない変動表示パターンに比べてすべり変動を行う期間だけ変動時間が長くなるが、これに伴って特殊背景演出の演出期間も長くなる。
また、この実施の形態では、サブ統合基板211にて変動表示パターンに応じた変動表
示パターンを受信したことにもとづいて、変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドと、背景表示パターンに応じた表示コマンドと、の2つの表示コマンドを表示制御基板220に送信し、当該表示制御基板220にて2つの表示コマンドに対応したプロセスデータを判別するとともに表示ROM222から読み出しているが、表示制御基板220に送信する表示コマンドを変動表示パターンと停止図柄と予告パターンと背景パターンとに応じた1つの表示コマンドとし、この1つの表示コマンドに対応したプロセスデータを表示ROM222から読み出してもよい。
次に、液晶表示器50にて表示制御される通常背景51aを伴った演出態様の一例について図30乃至図31を参照して説明する。図30は、変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンと、通常背景パターンと、にもとづく演出態様の一例を示す説明図である。サブ統合基板211にて変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンに応じた変動表示パターンコマンドを受信すると、背景選択処理(ステップS718a)で特殊背景51bの開始条件が成立するか否か判定し、特殊背景51bの開始条件が成立しない場合には、背景選択処理のステップS823で通常背景パターンに応じた表示コマンドをセットする。また、装飾図柄変動開始処理のステップS718で当該変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドもセットし、これらの表示コマンドを情報出力処理(ステップS95)で表示制御基板220に送信する。表示制御基板220に搭載される表示CPU221は、受信した表示コマンドにもとづいて表示ROM222からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいてタイマ(表示画像の切替タイミング等を示す)を設定するとともに、液晶表示器50に駆動信号を出力して通常背景51aを表示制御する。ここでは、通常背景51aとして、夜の街に立ち並ぶ高層ビル群をライトアップし、その付近で大花火を打ち上げるといった賑やかな背景画像が描かれている。
そして、プロセスデータにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始する(図30(A))。なお、装飾図柄50a〜50cは、変動表示の開始時に不透明の態様で変動表示されているが、装飾図柄50a〜50cが液晶表示器50の上方から下方に向けて高速変動に移行する過程で、背景画像を見通せるように半透明の態様に変更される。また、装飾図柄50a〜50cは、各々が停止表示される前の低速変動に移行する過程で、再び装飾図柄50a〜50cを認識しやすい不透明の態様に変更される。
また、装飾図柄50a〜50cには、「一」〜「七」の7種類の数字図柄が用いられている。装飾図柄50a〜50cは、「一」、「三」、「五」、「七」の4種類の奇数図柄(特定図柄)と、「二」、「四」、「六」の3種類の偶数図柄(非特定図柄)と、から構成され、表示制御基板220の表示ROM222に記憶されている。
図30(A)で装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に左装飾図柄50aおよび右装飾図柄50cを順に停止表示する(図30(B),(C))。このとき、右装飾図柄50cは、主制御基板201から送信された変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンがリーチ態様を伴わない変動表示パターンであり、左装飾図柄50aとは異なる停止図柄(同図中では、「七」および「三」を例示)で停止表示される。
図30(B),(C)で左右の装飾図柄50a,50cを順に停止表示した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に中装飾図柄50bを停止表示(確定表示)する(図30(D))。停止表示された装飾図柄50a〜50cの組み合わせが同一図柄の組み合わせとならないことで、当該変動表示の結果、「はずれ」であることを遊技者に認識させる。
図31は、リーチ態様を伴う変動表示パターンと、通常背景パターンと、にもとづく演
出態様の一例を示す説明図である。ここでは、リーチ態様を伴う変動表示パターン(変動番号3〜17の変動表示パターン)のうち、ノーマルリーチ演出の実行後にスーパーリーチ演出として「歌リーチ」を実行する変動表示パターン(変動番号5〜16の変動表示パターン)の場合を例示する。サブ統合基板211にて変動番号5〜16の変動表示パターンに応じた変動表示パターンコマンドを受信すると、背景選択処理(ステップS718a)で特殊背景51bの開始条件が成立するか否か判定し、特殊背景51bの開始条件が成立しない場合(ただし、はずれパターンである場合には、特殊背景51bの開始条件が必ず成立しない)には、背景選択処理のステップS823で通常背景パターンに応じた表示コマンドをセットする。また、装飾図柄変動開始処理のステップS718で当該変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドもセットし、これらの表示コマンドを情報出力処理(ステップS95)で表示制御基板220に送信する。表示制御基板220に搭載される表示CPU221は、受信した表示コマンドにもとづいて表示ROM222からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいてタイマ(表示画像の切替タイミング等を示す)を設定するとともに、液晶表示器50に駆動信号を出力して通常背景51aを表示制御する。
そして、プロセスデータにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始する(図31(A)参照)。装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に左装飾図柄50aおよび右装飾図柄50cを順に停止表示する(図31(A))。このとき、右装飾図柄50cは、主制御基板201から送信された変動番号5〜16の変動表示パターンがリーチ態様を伴う変動表示パターンであり、左装飾図柄50aと同一の停止図柄(同図中では、「七」を例示)で停止表示される。停止表示された左右の装飾図柄50a,50cが同一図柄であることでリーチ態様となり、画面内中央にリーチ演出の開始を遊技者に告知する「リーチ確定画面51c」を表示制御する(図31(B))。
図31(B)で「リーチ確定画面51c」を表示制御した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、ノーマルリーチ演出を開始する(図31(C))。ノーマルリーチ演出では、図31(C)に示すように、背景画像を通常背景51aからノーマルリーチ演出用の背景に変更して表示制御するとともに、既に停止表示された左右の装飾図柄50a,50cを画面内の左右下方に小さく表示制御するのに対して未だ変動表示中の中装飾図柄50bを画面内の中央縦ラインに大きく表示制御する。また、変動表示中の中装飾図柄50bは、リーチ態様が形成されるまでの通常変動期間と比べて、中装飾図柄50bの各々の図柄が遊技者に十分視認できるほどゆっくりとした態様(同図中では、「一」から「二」、「二」から「三」、「三」から「四」の順に1図柄ずつゆっくりと進行する変動態様を例示)で、画面内の中央縦ラインにおける上方から下方に向けて変動表示している(図31(C)〜図31(E))。
図31(C)〜(E)で中装飾図柄50bを数図柄に亘ってゆっくりと低速変動で表示制御した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、中装飾図柄50bをさらにゆっくりと、当該中装飾図柄50bが停止表示されるか否かの超低速変動で表示制御する(図31(F))。このとき、黒系統色の背景を画面内上方から下方に向けて、幕を下ろすかの如く表示制御し、ノーマルリーチ演出から分岐演出に移行する(図31(G))。分岐演出では、図31(G)に示すように、黒系統色の背景内に羽ばたく鳥がいずれの発色で輝くかによって、当該分岐演出の実行後にいずれのスーパーリーチ演出を実行するかを示唆する演出態様を表示制御する。具体的には、変動番号5〜16の変動表示パターンにもとづく「歌リーチA」、「歌リーチB」、「歌リーチC」をそれぞれ青色、黄色、赤色に対応させ、黒系統色の背景内に羽ばたく鳥が最終的に赤色、青色、黄色のいずれかに輝くかによって、スーパーリーチ演出の実行前にいずれの「歌リーチ」が実行されるかを遊技者に認識させる。
図31(G)で分岐演出にもとづく演出態様を表示制御した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定のスーパーリーチ演出を開始する。なお、リーチ態様を伴う変動表示パターン(変動番号3〜11の変動表示パターン)のうち、スーパーリーチ演出を実行することなく、ノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターン(変動番号3,4の変動表示パターン)の場合には、図31(F)に示す中装飾図柄50bが停止表示されるか否かの超低速変動で表示制御されたときに、黒系統色の背景を画面内上方から下方に向けて表示制御することなく、当該中装飾図柄50bを当落に応じた停止図柄(同図中では、例えば、当りパターンであれば同一図柄の組み合わせとなる「七」、はずれパターンであれば同一図柄の組み合わせとはならない「一」〜「六」のいずれか)で停止表示(確定表示)する。
次に、液晶表示器50にて表示制御される特殊背景51bを伴った演出態様の一例について図32乃至図33を参照して説明する。図32は、変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンと、特殊背景パターンと、にもとづく演出態様の一例を示す説明図である。サブ統合基板211にて変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンに応じた変動表示パターンコマンドを受信すると、背景選択処理(ステップS718a)で特殊背景実行フラグがセットされている場合、または、特殊背景51bの開始条件が成立するか否か判定して特殊背景51bの開始条件が成立した場合には、背景選択処理のステップS821,S824で特殊背景パターンに応じた表示コマンドをセットする。また、装飾図柄変動開始処理のステップS718で当該変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドもセットし、これらの表示コマンドを情報出力処理(ステップS95)で表示制御基板220に送信する。表示制御基板220に搭載される表示CPU221は、受信した表示コマンドにもとづいて表示ROM222からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいてタイマ(表示画像の切替タイミング等を示す)を設定するとともに、液晶表示器50に駆動信号を出力して通常背景51aとは異なる特殊背景51bを表示制御する。
そして、プロセスデータにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始する(図32(A))。特殊背景51bでは、通常背景51aにて表示制御される色彩に富んだ賑やかな背景画像とは異なり、セピア色で描かれた部屋とともに長方形状の額縁51cが表示制御されることで、厳かに演出が進行する。また、額縁51cは、内部に描かれた絵画とともにゆっくりとした態様(同図中では、画面内の左方から中央、中央から右方に移動する態様を例示)で、画面内の左方から右方に向けて移動している(図32(B))。なお、この実施の形態では、額縁51cに描かれる絵画として有名な女性歌手の肖像画が描かれているが、人物以外にも動物や風景等が描かれたり、それらの写真であってもよい。
そして、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に左装飾図柄50aおよび右装飾図柄50cを順に停止表示する(図32(C),(D))。このとき、右装飾図柄50cは、主制御基板201から送信された変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンがリーチ態様を伴わない変動表示パターンであり、左装飾図柄50aとは異なる停止図柄(同図中では、「七」および「四」を例示)で停止表示される。
図32(C),(D)で左右の装飾図柄50a,50cを順に停止表示した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に中装飾図柄50bを停止表示(確定表示)する(図32(E))。停止表示された装飾図柄50a〜50cの組み合わせが同一図柄の組み合わせとならないことで、当該変動表示の結果、「はずれ」であることを遊技者に認識させる。このとき、画面内の左方から右方に向けて移動していた額縁51cは、画面内の右端まで到達することで非表示としているが、次回の装飾図柄50a〜
50cの変動表示を開始したときには、額縁51cを再び画面内の右端に表示制御する(図32(F))。すなわち、装飾図柄50a〜50cを変動表示する毎に、画面内の左方から右方に向けての移動を繰り返し表示制御している。また、額縁51cに描かれる肖像画は、表示ROM222に複数種類の肖像画が記憶されており、装飾図柄50a〜50cを変動表示する毎に次の肖像画に切替えて表示制御される。なお、表示ROM222に記憶された最後の絵画が表示制御されたときには、最初の絵画に戻って表示制御される。
図33は、リーチ態様を伴う変動表示パターンと、特殊背景パターンと、にもとづく演出態様の一例を示す説明図である。ここでは、リーチ態様を伴う変動表示パターン(変動番号3〜17の変動表示パターン)のうち、ノーマルリーチ演出の実行後にスーパーリーチ演出として「歌リーチ」を実行する変動表示パターン(変動番号5〜16の変動表示パターン)の場合を例示する。サブ統合基板211にて変動番号5〜16の変動表示パターンに応じた変動表示パターンコマンドを受信すると、背景選択処理(ステップS718a)で特殊背景51bの開始条件が成立するか否か判定し、特殊背景51bの開始条件が成立しない場合(ただし、はずれパターンである場合には、特殊背景51bの開始条件が必ず成立しない)には、背景選択処理のステップS823で通常背景パターンに応じた表示コマンドをセットする。また、装飾図柄変動開始処理のステップS718で当該変動表示パターンと停止図柄と予告パターンとに応じた表示コマンドもセットし、これらの表示コマンドを情報出力処理(ステップS95)で表示制御基板220に送信する。表示制御基板220に搭載される表示CPU221は、受信した表示コマンドにもとづいて表示ROM222からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいてタイマ(表示画像の切替タイミング等を示す)を設定するとともに、液晶表示器50に駆動信号を出力して通常背景51aとは異なる特殊背景51bを表示制御する。
そして、プロセスデータにもとづいて装飾図柄50a〜50cの変動表示を開始する(図33(A))。絵画は、特殊背景51bにて画面内の左方から右方に移動する態様を表示制御するが、所定のタイミング(通常背景51aにて左右の装飾図柄50a,50cを停止表示するタイミング)で画面内の中央付近に停止表示し、特殊背景演出を開始する(図33(B))。特殊背景演出では、特殊背景51bの一部として表示制御されている額縁51cを画面内の中央付近で停止表示した状態で、当該額縁51cに描かれた絵画を順に切替えて表示制御する(図33(B)〜(E))。このように、特殊背景演出を実行しない場合や特殊背景演出の開始前には、額縁51cが画面内の左方から右方に移動する態様であるが、特殊背景演出の開始後には、画面内の中央付近で停止表示する態様となることで、額縁51cに描かれた絵画をじっくりと鑑賞することができ、当該絵画の内容を十分に堪能することができる。なお、表示ROM222に記憶された最後の絵画が表示制御されたときには、最初の絵画に戻って表示制御される。
そして、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に左装飾図柄50aおよび右装飾図柄50cを順に停止表示する(図33(E),(F))。このとき、右装飾図柄50cは、主制御基板201から送信された変動番号5〜16の変動表示パターンがリーチ態様を伴う変動表示パターンであり、左装飾図柄50aと同一の停止図柄(同図中では、「七」を例示)で停止表示される。
図33(E),(F)で左右の装飾図柄50a,50cを順に停止表示した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、画面内の中央付近に停止表示されている額縁51cとともに絵画を画面前方に向かって徐々に拡大表示する(図33(G))。そして、背景画像を特殊背景51bからスーパーリーチ演出用の背景に変更して表示制御するとともに、所定のスーパーリーチ演出を実行する。なお、リーチ態様を伴う変動表示パターン(変動番号3〜11の変動表示パターン)のうち、スーパーリーチ演出を実行することなく、ノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターン(変動番号3,4の変動表示パ
ターン)の場合には、額縁51cとともに絵画を画面前方に向かって拡大表示することなく、当該中装飾図柄50bを当落に応じた停止図柄(同図中では、例えば、当りパターンであれば同一図柄の組み合わせとなる「七」、はずれパターンであれば同一図柄の組み合わせとはならない「一」〜「六」のいずれか)で停止表示(確定表示)する。
この実施の形態では、少なくともノーマルリーチ演出を実行する変動表示パターン(変動番号3〜16の変動表示パターン)であるときに、背景パターンが通常背景パターンまたは特殊背景パターンのいずれの背景パターンであるかによって、それぞれノーマルリーチ演出(および分岐演出)または特殊背景演出のいずれかの演出態様が表示制御される。ここで、通常背景パターンにもとづいて通常背景51aが表示制御された場合には、賑やかな背景画像を伴った演出(ノーマルリーチ演出等)が進行する一方で、特殊背景パターンにもとづいて特殊背景51bが表示制御された場合には、厳かな背景画像を伴った演出(特殊背景演出等)が進行する。このように、背景パターンによって演出の趣向をがらりと変えることで、遊技中において実行割合の少ない特殊背景51bを際立たせ、特殊背景51bが演出表示される変動表示において「何かが起こるのでは?」といった期待感を特に高めることができ、遊技の興趣にメリハリを生じさせることができる。
また、この実施の形態では、背景パターンにもとづく背景画像の変化に伴って、上部スピーカ29および下部スピーカ14から出力される音出力態様も同期して変化させる。すなわち、通常背景パターンにもとづいて通常背景51aが表示制御された場合には、テンポの早い賑やかな音出力態様で出力する一方で、特殊背景パターンにもとづいて特殊背景51bが表示制御された場合には、テンポの遅い落ち着いた音出力態様で出力する。このように、演出表示装置50にて表示制御される演出態様に合わせて、上部スピーカ29および下部スピーカ14から出力される音出力態様の趣向も変えることで、遊技中において実行割合の少ない特殊背景51bをさらに際立たせ、特殊背景51bが演出表示される変動表示において「何かが起こるのでは?」といった期待感を相乗的に高めることができ、遊技の興趣にメリハリをさらに生じさせることができる。
また、この実施の形態では、特殊背景パターンにもとづいて特殊背景51bが表示制御される場合には、少なくともノーマルリーチ演出を実行する変動表示パターン(変動番号3〜16の変動表示パターン)に決定されたときであっても、ノーマルリーチ演出を実行することがない。ここで、ノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターン(変動番号3,4の変動表示パターン)は、ノーマルリーチ演出の実行後にスーパーリーチ演出を実行する変動表示パターン(変動番号5〜16の変動表示パターン)に比べて導出割合が高いが、リーチ演出を実行する変動表示パターンの中でノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターンが大当り期待度がもっとも低くなるように設定されている。すなわち、ノーマルリーチ演出から分岐演出を経てスーパーリーチ演出に移行する割合が低いとともに、ノーマルリーチ演出にて「はずれ」となる(はずれ図柄の組み合わせで停止表示される)割合が高く、ノーマルリーチ演出が頻繁に実行される割に、遊技者にとって大当りとなる期待感が高まらない演出となっている。この実施の形態では、特殊背景パターンにもとづいて特殊背景51bが表示制御される場合に、ノーマルリーチ演出を実行しないことで、大当りとなる期待感が高まらないノーマルリーチ演出に対する遊技者の退屈感(つまらなさ)を省くことができる。
また、ノーマルリーチ演出では、リーチ態様を形成した後、中装飾図柄50bの各々の図柄が遊技者に十分視認できるほどゆっくりとした態様で変動表示し、「どうせ当らないのに」とイライラを募らせる遊技者がいることも想定される。しかしながら、特殊背景パターンにもとづいて特殊背景51bが表示制御される場合に、特殊背景演出を実行し、当該特殊背景演出の実行後にリーチ態様を形成する(左右の装飾図柄50a,50cの停止表示タイミングを遅延させる)ことで、ノーマルリーチ演出に対するイライラを募らせる
ことがなく、通常背景51aにてノーマルリーチ演出が実行されるはずであった演出期間に、特殊背景演出にて装飾図柄の変動表示に期待をもって注目させることができる。
また、この実施の形態では、特殊背景パターンにもとづいて特殊背景51bが表示制御される場合には、スーパーリーチ演出を実行する変動表示パターン(変動番号5〜16の変動表示パターン)に決定されたときであっても、ノーマルリーチ演出とともに分岐演出も実行することがない。ここで、大当りとなる割合の高いスーパーリーチ演出に移行する割合が低い(例えば、はずれとなる場合に、変動番号5〜8の「歌リーチA」の変動表示パターンよりも変動番号13〜16の「歌リーチC」の変動表示パターンに決定する割合が低い)ことから、分岐演出においても、大当りとなる割合の低いスーパーリーチ演出(例えば、変動番号5〜8の「歌リーチA」の変動表示パターン)を示唆する割合が高い。この実施の形態では、特殊背景パターンにもとづいて特殊背景51bが表示制御される場合に、ノーマルリーチ演出とともに分岐演出も実行しないことで、「どうせ大当りとなる割合の低いスーパーリーチ演出が示唆されるのに」といった分岐演出に対する遊技者の退屈感(つまらなさ)も省くことができる。また、特殊背景演出にてリーチ態様を形成した後、突然、スーパーリーチ演出が実行されることで、遊技者に驚きを与えることができる。すなわち、演出表示に意外性を与えることで、遊技が単調になることがない。
続いて、大当り表示処理について、図34乃至図36を参照して説明する。図34は、大当り表示処理(ステップS702)の一例を示すフローチャートである。図35(A)は、確変確定用の各種決定用乱数を示す一覧表図であり、図35(B)は、確変確定タイミング決定用乱数の振り分けを示す一覧表図であり、図35(C)は、昇確タイミング決定用乱数の振り分けを示す一覧表図である。図36は、大当り中の昇確演出の一例を示す説明図である。
図34に示すように、大当り表示処理において、統合CPU212は、まず、大当り開始コマンドの受信フラグがセットされているか判別する(ステップS751)。この受信フラグは、上述したコマンド解析処理(ステップS91)でセットされ、主制御基板201から大当り開始コマンドを受信したことを示すフラグである。そして、大当り開始コマンドの受信フラグがセットされていれば(ステップS751においてYES)、その受信フラグをリセットし、液晶表示器50にオープニング画面を表示させる(ステップS752)。オープニング画面とは、大当り動作を発生させる場合に、それに先立って通知される、抽選結果(例えば「大当り」という表示画面)である。つまり、主制御基板201では、この画面が液晶表示器50で表示された後、大入賞口72を開放状態とし、遊技球が多量に入賞しやすい状態(有利遊技状態)とする。
一方、ステップS751で大当り開始コマンドの受信フラグがセットされていなければ(ステップS751にてNO)、次に、開放表示コマンドの受信フラグがセットされているか判別する(ステップS753)。この受信フラグは、上述したコマンド解析処理(ステップS91)でセットされ、主制御基板201から各ラウンド毎の大入賞口72の開放中の表示コマンドを受信したことを示すフラグである。そして、開放表示コマンドの受信フラグがセットされていれば(ステップS753においてYES)、その受信フラグをリセットし、液晶表示器50に各ラウンド毎の大入賞口72の開放中の表示画面を表示させる(ステップS754)。また、ステップS753で開放表示コマンドの受信フラグがセットされていなければ(ステップS753にてNO)、そのまま、後述するステップS763に移行する。
ステップS754で大入賞口72の開放中の表示画面を表示させたときは、昇確フラグがセットされているか判別する(ステップS755)。昇確フラグは、前述した装飾図柄変動開始処理における確変確定タイミング決定抽選(ステップS715a)に基づいてス
テップS715cでセットされるものである。昇確フラグがセットされていなければ(ステップS755においてNO)、そのままステップS763に移行する。一方、昇確フラグがセットされていれば(ステップS755においてYES)次に、昇確タイミング決定用乱数の抽選に基づいたラウンド中の昇確タイミングであるか否かを判定する(ステップS756)。昇確タイミング決定用乱数(高確率判定結果導出決定手段)は、図35(A)に示すように、「0〜1023」の計1024個の乱数からなり、前記ステップS715aの確変確定タイミング決定抽選時に大当り中昇確パターンが決定された場合、乱数の抽出が行われて大当り中のいずれのタイミングで昇確するかを決定するようになっている。なお、タイミング決定用の振り分けは、図35(C)に示す通りであり、各ラウンド(1〜15ラウンド)の各(1個目〜9個目)入賞時点毎にタイミングが設定されている。具体的には、1ラウンド目の1個目の入賞時には、1024個の乱数のうち3個の乱数が振り分けられ、1ラウンド目の2個目の入賞時には、1024個の乱数のうち2個の乱数が振り分けられる等となっている。また、最終ラウンドの終了時における昇確として「またね逆転」のタイミングが設けられ(動作終了時表示制御手段)、1024個の乱数のうち128個の乱数が振り分けられている。なお、実施形態中では、10ラウンド目の7個目の入賞時が最も多く確変確定タイミング決定用乱数の振り分けが行われている。また、前半のラウンド(1〜7ラウンド)に比べて後半のラウンド(8〜15ラウンド)において、確変確定タイミング決定用乱数の振り分けを多く設定している。これにより、大当り遊技状態の後半の方が昇確演出が行われ易くすることで、大当り遊技状態全般に亘って遊技者に緊張感を持たせるようになっている。
ステップS756でラウンド中の昇確タイミングであれば(ステップS756においてYES)、そのまま後述するステップS761に移行する。ステップS756でラウンド中の昇確タイミングでなければ(ステップS756においてNO)、統合CPU212は、操作ボタン18aからの操作信号の入力が許可されるボタン入力有効期間であるか判別する(ステップS757)。但し、昇確タイミング決定用乱数の抽選において、最終ラウンド終了時の「またね逆転」のタイミングが決定された場合、ステップS756でラウンド中の昇確タイミングでないと判定して、ステップS757に移行する。
ステップS757でボタン入力有効期間でなければ(ステップS757でNO)、操作ボタン18aからの操作信号の入力が許可されていないと判別してステップS763に移行する。なお、ボタン入力有効期間は、大当り中の昇確パターンが決定された場合に、各ラウンド毎の大入賞口72の開放期間がそのままボタン入力有効期間として設定される。一方、ボタン入力有効期間であれば(ステップS757でYES)、操作ボタン18aから操作信号が入力されたか判別する(ステップS758)。そして、操作ボタン18aから操作信号が入力されていれば(ステップS758にてYES)、操作ボタン18aが遊技者によって操作されたと判別して、ボタン昇確決定用乱数の抽選に基づいて昇確するか否かを判定する(操作検出判定手段)。具体的には、図35(A)に示す「0〜255」の計256個のボタン昇確決定用乱数の抽出を行い(ステップS759)、その抽出値が予め定めた1個の決定値と一致するか否かを判定する(ステップS760)。ボタン昇確決定用乱数の抽出値が昇確当り(決定値)でなければ(ステップS760にてNO)、そのままステップS763に移行する。一方、ボタン昇確決定用乱数の抽出値が昇確当り(決定値)であれば(ステップS760にてYES)、大当り中の表示画面を確変確定画面に切り替えて表示すると共に(ステップS761:高確率決定結果表示制御手段、操作検出判定表示制御手段)、昇確フラグをリセットして(ステップS762)、ステップS763に移行する。即ち、昇確フラグがセットされており、昇確タイミング決定用乱数の抽選に基づいたラウンド中の昇確タイミングでない場合、操作ボタン18aの操作毎にボタン昇確決定用乱数の抽選を行い、1/256の確率でボタン昇確当りとなると、昇確タイミング決定用乱数の抽選に基づいたラウンド中の昇確タイミング以前に昇確を行うようになっている。
ステップS763では、閉鎖表示コマンドの受信フラグがセットされているか判別する。この受信フラグは、上述したコマンド解析処理(ステップS91)でセットされ、主制御基板201から各ラウンド毎の大入賞口72の閉鎖中の表示コマンドを受信したことを示すフラグである。そして、閉鎖表示コマンドの受信フラグがセットされていれば(ステップS763においてYES)、その受信フラグをリセットし、液晶表示器50に各ラウンド毎の大入賞口72の閉鎖中の表示画面を表示させる(ステップS764)。また、ステップS763で閉鎖表示コマンドの受信フラグがセットされていなければ(ステップS763にてNO)、そのまま大当り表示処理を終了する。
ステップS764で大入賞口72の閉鎖中の表示画面を表示させたときは、その表示画面が最終ラウンドの大入賞口72の閉鎖中の表示画面であるか否かを判定する(ステップS765)。最終ラウンドの大入賞口72の閉鎖中の表示画面でなければ(ステップS765にてNO)、そのまま大当り表示処理を終了する一方、最終ラウンドの大入賞口72の閉鎖中の表示画面であれば(ステップS765においてYES)、昇確フラグがセットされているか判別する(ステップS766)。昇確フラグがセットされていなければ(ステップS766においてNO)、そのまま大当り表示処理を終了する。昇確フラグがセットされていれば(ステップS766においてYES)、最終ラウンド終了後の表示画面を確変確定画面に切り替えて表示すると共に(ステップS767)、昇確フラグをリセットして(ステップS768)、大当り表示処理を終了する。即ち、昇確タイミング決定用乱数の抽選において、最終ラウンド終了時の「またね逆転」のタイミングが決定されると共に、ボタン昇確決定用乱数の抽選に基づいた昇確が行われないときには、ステップS767で最終ラウンド終了後の表示画面を確変確定画面に切り替えて表示する。
次に、大当り中の液晶表示器50による昇確演出の一例を図36を参照して説明する。先ず、図36(A)に示すように、液晶表示器50における大当り中の表示画面には、現在進行中のラウンド回数を示すラウンド表示部52a(図36(A)中には「13ROUND」の文字を例示:実行回数表示制御手段)と、大当り遊技状態の発生を決定した大当り図柄の種類を示す図柄表示部52b(図36(A)中には「六」の非確変図柄を例示)と、現在のラウンド中における大入賞口72への入賞球数を示す入賞球数表示部52c(図36(A)中には「6COUNT」の文字を例示:入賞球数表示制御手段)とが表示される。また、表示画面のほぼ中央位置には、パチンコ遊技機1のゲームコンセプトである女性歌手のキャラクタが歌を歌う動画表示部53aが表示され、該動画表示部53aの映像に合わせてスピーカ14,29から楽曲が演奏されるようになっている(なお、図36中では、プレミアムの動画となる犬が表示されている場合を例示する)。動画表示部53aの下方には、スピーカ14,29からの楽曲(歌詞)に応じた歌詞を表示する歌詞表示部53bが表示され、動画表示部53aの右上方となる表示画面の右上隅には、女性歌手の名前を表示する名前表示部53cが表示される(なお、図36中では、プレミアムの動画となる犬の名前が表示されている場合を例示する)。また、入賞球数表示部52cの隣接部位には、演出表示用の蝶54(特定キャラクタ)が表示される。
そして、図36(A)の表示画面において、遊技者が操作ボタン18aを押圧操作すると、これに基づいて表示画面中の蝶54が羽根を羽ばたかせる演出表示が行われる(図36(B)参照)。また、このとき、操作ボタン18aの押圧操作により、前述したようにボタン昇確決定用乱数の抽選が行われる。同図中では、ボタン昇確決定用乱数の抽選がはずれとなり、この時点では昇確演出が行われない場合を例示している。但し、表示画面中の蝶54が羽根を羽ばたかせる演出表示は、操作ボタン18aの押圧操作に限らず、大入賞口72への遊技球の入賞(カウントスイッチ72aによる遊技球の検出)に基づいても同様に行われるようになっている。
その後、図36(C)に示すように、大入賞口72に遊技球が入賞すると、入賞球数表示部52cの表示がカウントアップして表示され(図36(C)中には「7COUNT」の文字を例示)、遊技者が操作ボタン18aを押圧操作すると、図36(B)の表示画面と同様に、表示画面中の蝶54が羽根を羽ばたかせる演出表示が行われる。そして、この時点での操作ボタン18aの押圧操作に基づくボタン昇確決定用乱数の抽選が当りになると、図36(D)に示すように、羽根を羽ばたかせた蝶54が入賞球数表示部52cの隣接部位から表示画面の右上隅方向に向って飛び立つ演出表示が行われる。
その後、蝶54が動画表示部53aの中央位置まで移動すると、図36(E)に示すように、羽根の色を変化させた蝶54’(実施形態中では、藤色を基調色とした蝶54から桃色を基調色とした蝶54’に変化する)に切り替わって表示され、この時点から蝶54’が表示画面外に移動するまでの期間で、表示画面全体(蝶54’を除く)が白色に表示されて一旦、ラウンド表示部52a、図柄表示部52b、入賞球数表示部52c、動画表示部53a、歌詞表示部53b、及び名前表示部53cが消える(図36(F)参照)。
その後、蝶54’が表示画面から消えると、図36(G)に示すように、ラウンド表示部52a、図柄表示部52b、入賞球数表示部52c、動画表示部53a、及び歌詞表示部53bが再び表示される。但し、このとき、表示画面における背景の基調色が変化して表示される(実施形態中では、藤色を基調色とした背景から桃色を基調色とした背景に変化する)。また、表示画面の右上隅には、名前表示部53cに替わって「確変」の文字55(特定文字)が表示される(高確率決定結果導出手段)。その後は、図36(H)に示すように、蝶54’が表示画面の右下隅から現れて動画表示部53aの右下隅部分に止まり、この表示形態を基にその後の大当り中の演出表示が行われる。
即ち、本実施形態では、蝶が飛び立つ演出表示を起点として背景色を切り替えると共に「確変」の文字55を表示することで、確変確定(昇確)した旨を遊技者に認識させる昇確演出を行うようになっている。なお、実施形態中では、操作ボタン18aの押圧操作に基づくボタン昇確決定用乱数の抽選が当りとなったことにより、蝶54を飛び立たせて昇確演出を行う場合を例示しているが、昇確タイミング決定用乱数の抽選に基づいて昇確演出を実行する場合も同様の昇確演出が行われる。具体的には、昇確タイミング決定用乱数の抽選に基づいて決定された昇確タイミングで大入賞口72への遊技球の入賞(カウントスイッチ72aによる遊技球の検出)があると、これに基づいて蝶が飛び立つ演出表示を行い、その後、背景色を切り替えると共に「確変」の文字55を表示して、確変確定(昇確)した旨を遊技者に認識させる。なお、実施形態中では、特定キャラクタを蝶としているが、これに限定するものではない。但し、飛び立つ動作を行うことで昇確演出を盛り上げるようなキャラクタ(例えば、龍など)であることが望ましい。
以上のように、本実施形態の構成によれば、大当り遊技状態の制御が開始されてから当該大当り遊技状態の制御が終了するまでの期間内で、確率変動状態に制御する判定がなされた旨を遊技者に認識させる判定結果を液晶表示器50に表示する構成であり、判定結果の表示タイミングは、大当り遊技状態の発生に伴う大入賞口72の複数回の開閉動作(例えば、16ラウンド)において大入賞口72に遊技球が入賞する複数のタイミングのうちいずれかに決定する。これにより、確率変動状態に制御する判定がなされた旨を遊技者に認識させるタイミングを大当り遊技状態中の不特定タイミングに設定することができ、ひいては大当り遊技状態の期間全般に亘って遊技者に緊張感を持たせることができる。
また、本実施形態の構成によれば、判定結果を表示する遊技球の入賞タイミングに合わせて、確率変動状態に制御する判定がなされた旨を遊技者に認識させる特定文字(実施形態中では、「確変」の文字55)を表示する。これにより、確率変動状態に制御する判定がなされた旨を遊技者に分かり易く認識させることができる。また、特定文字を表示する
タイミングに合わせて液晶表示器50の表示画面における背景色を切り替えて表示する。これにより、液晶表示器50の表示画面全体におけるイメージを一変させることができるので、特定文字を表示することに加えて、確率変動状態に制御する判定がなされた旨を遊技者により一層分り易く認識させることができる。また、特定文字を表示する前段階で、大当り遊技状態において液晶表示器50に表示される特定キャラクタ(実施形態中では、蝶54)を特定動作態様(飛び立つ動作態様)で表示制御する。これにより、特定キャラクタが特定動作を行うことを契機に、確率変動状態に制御する判定がなされた旨を遊技者に認識させる特定文字を表示する構成にできる。このため、大当り遊技状態中に特定キャラクタの動きに対して遊技者の関心を集めることができ、確率変動状態に制御する判定がなされたか否かの判定に対して視覚的な興趣を持たせることができる。
また、本実施形態の構成によれば、大当り遊技状態における現在進行中の大入賞口72の開閉動作の実行回数をラウンド表示部52aとして液晶表示器50に表示すると共に、現在進行中の大入賞口72の開閉動作中に大入賞口72に入賞した遊技球の個数を入賞球数表示部52cとして液晶表示器50に表示する。これにより、大入賞口72の開閉動作の実行回数と大入賞口72への入賞個数とをその都度遊技者に認識させることができるので、判定結果が表示される可能性のあるタイミングをその都度遊技者に認識させることができ、確率変動状態に制御する判定がなされたか否かの緊張感を視覚的に高めることができる。
また、本実施形態の構成によれば、大当り遊技状態の制御が開始されてから当該大当り遊技状態の制御が終了するまでの期間内の判定結果が表示される以前で、操作ボタン18aの操作検出に基づいて確率変動状態に制御する判定がなされた旨を遊技者に認識させる判定結果を液晶表示器50に表示するか否かを判定し、判定結果を表示する判定がなされたことに基づいて液晶表示器50に判定結果を表示する。これにより、遊技者が操作ボタン18aを操作することで、予め設定された判定結果の表示タイミング以前に判定結果を表示し得る構成にできるので、確率変動状態に制御する判定結果の表示に対して意欲的に遊技者を参加させることができる。
また、上記したような操作ボタン18aの操作に基づいた判定結果の表示判定は、大当り遊技状態の制御が開始されてから判定結果が表示されるまでの期間を操作検出有効期間として、該操作検出有効期間中に操作ボタン18aが操作される毎に行われる。これにより、操作検出有効期間内で操作ボタン18aがより多く操作されることで判定機会を増やすことができるので、t確率変動状態に制御する判定がなされたことを前提として、操作ボタン18aを操作する回数が増える程、確率変動状態に制御する判定結果を表示させる可能性を高めることができる。このため、大当り遊技状態中に遊技者に対して操作ボタン18aを積極的に操作させることができ、遊技者の参加意欲をより一層高めることができる。また、大当り遊技状態での大入賞口72の複数回の開閉動作が終了してから大当り遊技状態の制御が終了するまでの期間内で判定結果を表示する構成(「またね逆転」の演出表示)を含むことで、遊技者に敗者復活的な喜びをもたらすことができる。
また、本実施形態の構成によれば、大当り図柄が停止表示されてから当該大当り図柄の停止表示に基づいて発生する大当り遊技状態が開始されるまでの期間内で、確率変動状態に制御する判定がなされた旨を遊技者に認識させる判定結果を表示する構成(再抽選演出)を含み、該再抽選演出によって判定結果を表示するか、あるいは大当り遊技状態中の昇確演出により判定結果を表示するかを確変確定タイミング決定用乱数の抽選によって決定する。これにより、大当り遊技状態の制御が開始される以前に確率変動状態に制御する判定がなされた旨を遊技者に認識させる判定結果を表示する構成にでき、然も大当り遊技状態の制御が開始される以前に確率変動状態に制御する判定がなされなかったときでも、大当り遊技状態中の大入賞口72への入賞タイミング毎で確率変動状態に制御する判定結果
が表示される可能性が残るため、長期間に亘って確率変動状態に制御する判定がなされるか否かの緊張感を遊技者に持たせることができる。なお、実施形態中では、操作ボタン18aの操作に応じて乱数の抽選を行い、これに基づいて昇確演出を実行するか否かを決定する構成としているが、これに限らず、大入賞口72への入賞毎に乱数の抽選を行って、これに基づいて昇確演出を実行するか否かを決定するようにしてもよい。