JP2011159891A - 磁気センサ - Google Patents
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【解決手段】基板1上に下地層2と、シード層3と、ピン層4と、トンネル障壁層5と、フリー層6と、キャップ層7と、がこの順に設けられてなり、前記フリー層6及び前記ピン層4は、一部または全部がアモルファス磁性材料からなる磁化固定層を有し、前記フリー層6及び/または前記ピン層4が有する磁化固定層は、前記トンネル障壁層5側から順に、アモルファス磁性材料層Bと、アモルファス磁性材料層Aとを少なくとも備え、前記アモルファス磁性材料層Bが含有するアモルファス磁性材料bは、前記アモルファス磁性材料層Aが含有するアモルファス磁性材料aよりも、結晶化温度あるいは微細結晶化温度が低いことを特徴とする。
【選択図】図2
Description
特許文献1には、磁気メモリにおけるトンネル障壁層の結晶性改善のため、アモルファス層をその回りに設け、かつその結晶化を行なうためにさらに結晶化促進層等を、アモルファス構造を含めて設けることが示されている。
しかしながら特許文献1では、トンネル障壁層の結晶化における磁気特性の低下について充分な検討がなされておらず、磁気センサに用いることができるような磁気特性が得られない。
しかし、トンネル障壁層への影響等を考慮したものではなく、この点で目的が異なる。また、この特許文献2では静磁気エネルギーの低下を狙い、発生する磁気の制御を意図しているので、各層間の機能として異なるものとなる。
しかしながら、特許文献3〜5のいずれもトンネル障壁層への影響等を検討し、性能改善等を目的としたものではなく、トンネル障壁層の結晶化が充分に検討されていない。
TMR素子においても、さらに素子を構成するトンネル障壁層を当初のAl−OからMgOに換えて用いるように、アモルファスや微結晶、多結晶状態のままで用いる場合から、単結晶化による性能向上が目指されて、一旦成膜した材料をさらに熱処理によって、単結晶性を高めることが行なわれるようになってきている。具体的な方法として、トンネル障壁層の上部と下部層にアモルファス層を設け、その結晶化の際にトンネル障壁層の単結晶化への結晶欠陥を低下させるプロセスを採用することが行なわれるようになってきた。その際に、ピン層は磁化(保磁力)を適度な値や磁化反転に強い値で持ち、フリー層は磁化(保磁力)をできるだけ小さな値にする必要がアプリケーションによっては必要となるが、現状の層構成と作製方法では、不充分な特性しか得られていない。
(1):基板上に下地層と、シード層と、ピン層と、トンネル障壁層と、フリー層と、キャップ層と、がこの順に設けられてなる磁気センサであって、前記フリー層及び前記ピン層は、一部または全部がアモルファス磁性材料からなる磁化固定層を有し、前記フリー層及び/または前記ピン層が有する磁化固定層は、前記トンネル障壁層側から順に、アモルファス磁性材料層Bと、アモルファス磁性材料層Aとを少なくとも備え、前記アモルファス磁性材料層Bが含有するアモルファス磁性材料bは、前記アモルファス磁性材料層Aが含有するアモルファス磁性材料aよりも、結晶化温度あるいは微細結晶化温度が低いことを特徴とする磁気センサである。
前記アモルファス磁性材料層Aが含有するアモルファス磁性材料aの結晶化温度あるいは微細結晶化温度よりも低い温度、且つ、前記アモルファス磁性材料層Bが含有するアモルファス磁性材料bの結晶化温度あるいは微細結晶化温度よりも高い温度で熱処理が行われ、前記アモルファス磁性材料層Bが含有するアモルファス磁性材料bが結晶化してなることを特徴とする上記(1)に記載の磁気センサである。
該反強磁性体材料のブロッキング温度よりも高く、且つ、規則合金温度よりも低い温度で熱処理が行われてなることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の磁気センサである。
該反強磁性体材料のブロッキング温度よりも高く、且つ、規則合金温度よりも高い温度で熱処理が行われてなることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の磁気センサである。
次に、本発明に係る磁気センサについてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1に示す例では、基板1上に、シード層3を設け、その上に43と磁化固定層40からなるピン層4を設ける。さらにその上に、トンネル障壁層5を設け、フリー層6を設け、キャップ層7を設けMTJ素子として構成され、磁気センサとしてなる。
尚、磁化固定層40からなる層だけでピン層4を構成することも可能である。すなわち、以下に示す実施の形態では、スピンバルブ型素子を前提としているが、用途によっては、保磁力差型素子においても本発明が実現するトンネル障壁層5の特性向上と磁化層(保磁力が異なる2層)の特性を両立させることが可能となる。
本発明に係る磁気センサの第1の実施の形態における構成例を図2に示す。
この磁気センサは、SiやSi上熱酸化SiO2基板を用いて、超高真空スパッタ装置やイオンビームスパッタ装置、EB(electron beam)蒸着装置などを用いて製造することができる。図2に示す構成例においては、基板1側から順に、Ta/Cu/Ta,Ti/Pt,Pt,Cuなどの下地層2、Ta(タンタル)などのシード層3、FeMn、PtMn、IrMn、NiMn、PdPtMn、CrPtMn、CoMnなどのAFM(Antiferromagnetism;反強磁性)層43とCo系やFe系のアモルファス磁性材料層A42およびアモルファス磁性材料層B41で構成される磁化固定層40とをこの順に有するピン層4、トンネル障壁層5、フリー層6、保護のためのキャップ層7で構成される。
フリー層6は基板1側から順にアモルファス磁性材料層B61、アモルファス磁性材料層A62、パーマロイ層63で構成される例が図2に示されている。このとき、アモルファス磁性材料層A62及びアモルファス磁性材料層B61で磁化固定層60が構成されてなる。
なお、以下においてアモルファス磁性材料層A,Bを単にアモルファス層A,Bと称することもある。
すなわち、本発明に係る磁気センサは、保磁力の低減と優れた磁気抵抗変化率との両立が可能となったものであり、アモルファス層の特性を検討の上で実現できたものである。
通常の熱処理はキュリー点まで行なうものであり、図3においては、熱処理温度を高くするほど、保磁力の低下が実現できている傾向を表している。図4の場合には、結晶化温度までは熱処理温度を高くするほど、保磁力の低下傾向が見られたが、結晶化と共に保磁力が増大することがわかる。
一方、フリー層の観点では、アモルファス層の結晶化温度より低い温度でのアニールが好ましく、かつキュリー点を越えることがさらに好ましい。
即ち、本発明において好ましいアニール温度とは、500℃未満であり、より好ましくは460℃未満300℃以上である。300℃未満であるとアモルファス層Bの結晶化が開始されないか不完全であるため好ましくなく、500℃を超えるとBやMn等の移動しやすい元素の拡散が著しくなるため好ましくない。
例えば、金属合金系のアモルファス軟磁性薄膜の一例としては、80年代に島田らによって研究(J.Appl.Phys.53(4),April1982など)が開始されたものであって、従来の金属合金系材料と比較して、飽和磁束密度が大きいことや比較的高抵抗などによって、周波数特性が良好などの特性を有するなどの特徴を持つものであった。
具体的には、CoZrNb、CoZrHf等の薄膜材料が主として研究が進められてきた。これらは比較的厚い1μm程度の膜厚から10nm程度の膜厚でも優れた軟磁性を示したが、数nm程度と薄くすることが必要となる最近の磁気抵抗デバイスにおいても、Ni80Fe20などの金属合金系材料と遜色のない優れた特性を示す場合が多かった。
このときに結晶化温度が低いことがデメリットとなる可能性があるために、温度特性を向上させて、最適化から求めることが一般的であった。例えば、LSIプロセスで必要な400℃を越えるアニール温度を必要とするように、他のプロセスでの履歴の上から不都合が発生する可能性がでてくる。
そこで、Co金属系アモルファス材料を用いれば、アニール温度を上げることは十分可能となると考えられ、最適解が存在すると考えられる。1990年代に既に発表されているように、さらにガス系材料であるN2などの添加により700℃の熱処理中においても軟磁気特性に劣化がみられないことが報告されており、これを磁化固定層やフリー層に用いることも作製条件や熱処理条件の広範囲化の点で有利となる。なお、文献等では成膜法を変えて、500℃程度まで結晶化温度を上げた報告もあるが、一般的ではないので、よく知られている350℃程度がCo88Zr3Nb9やCo88Zr4Nb8のCoが88at%場合の一般的な結晶化温度の値であり、Coを90at%以上とすると結晶化温度はさらに低めになり、軟磁性も得にくくなると考えられる。そこで本発明では、2種類のアモルファス組成のグループを用いることで、結晶化温度(または微細結晶化温度)と結晶化に伴うMgOなどの結晶質化することでトンネル障壁のバリア特性が向上されることが可能となることを実現可能である。
また、本発明における微細結晶化温度とは、同一のTEM観察装置において、結晶質の原子像が現れたサンプルの熱処理を行なう際の温度としている。
本発明におけるアモルファス層Bに用いられるアモルファス磁性材料bとしては、FeCoSiやFeCoSiBなどであり、FeCoSiBが特に好ましい。
このことを詳細に記述すると、アモルファス層Aに含有される結晶化したアモルファス磁性材料aは、アモルファス層A中に100〜10wt%含有されることが好ましく、100〜80wt%含有されることが特に好ましい。
このことを詳細に記述すると、アモルファス層Bに含有される結晶化したアモルファス磁性材料bは、アモルファス層B中に60〜0.01wt%含有されることが好ましく、10〜0.01wt%含有されることが特に好ましい。
具体的には、下部ピン層(固定層)構成としているが逆の構成(逆ピン構造)とすることも可能である。上部フリー層部にあたる部分を結晶化させて、保磁力を上げ、高磁界検知用のセンサとする構成の可能である。また、下部固定層部分にあたる部分だけを結晶化させて熱的な安定特性を特に向上させる構成も可能である。2値的な特性に特にすぐれた特性を発揮させてメモリとしても十分機能させることが可能である。
図6に本発明に係る磁気センサの第2の実施の形態における構成例を示す。第1の実施の形態と同様に、ピン層4側にアモルファス層A42とアモルファス層B41を設ける。そして熱処理を行い、アモルファス層B41のみ結晶化がすすむ温度で行なう。アモルファス層B41の保磁力は増大するが、アモルファス層A42の保磁力は低いままに設定可能となる。磁界中熱処理を行なっているので、ピン層4のアモルファス層A42およびアモルファス層B41の磁化方向は印加磁界の方向で固定されるが、そのときの保磁力が低いことで動作点の広いセンサとすることが可能となる。第1の実施の形態と同様に、トンネル障壁層5の特性も向上されるので、抵抗変化率も高く設定可能となる。
図7に本発明に係る磁気センサの第3の実施の形態における構成例を示す。ピン層はスピンバルブ構成としており、反強磁性層43を設けている。この反強磁性層43のブロッキング温度よりも高い温度で熱処理を行なうときに、規則化合金となる温度よりも低い温度に設定しても、図7におけるアモルファス層B41,61の結晶化温度よりも高ければ、トンネル障壁層5の結晶特性を向上させることが可能となる。不規則合金化することでピン層4における保磁力を低くすることが可能となるため、センサとして機能させる部分がより高い磁界においても可能となる。図8に素子特性図として示す。
ここで、本発明における規則化合金となる温度とは、反強磁性体中のうち、好ましくは、性能的に現在優れた実績のあるMn合金を用いるが、IrMn等の不規則合金系においても偏析によって、規則化する領域が発生し始めたサンプルの熱処理温度としている。
図9に本発明に係る磁気センサの第4の実施の形態における磁気特性の一例を示す。本実施の形態も第3の実施の形態と同様にピン層4はスピンバルブ構成としており、反強磁性層43を設けている。この反強磁性層43のブロッキング温度よりも高く、かつ規則化合金となる温度よりも高い温度で熱処理を行なうことで、トンネル障壁層5の結晶特性と向上させることが可能となり、規則合金化することでピン層4における保磁力を高くすることが可能となるため、ピン層4の磁化状態の安定性が高まり、センサとしてより過酷な環境においても機能させることが可能となる。
図10に本発明に係る磁気センサの第5の実施の形態における構成例を示す。1.5nm以下のCu、Ru、Rh等の非磁性体層44bをCo−Fe、Co、パーマロイ等の強磁性体層44a,44cの間に設けた積層フェリ構造44をピン層4に設けたものであり、熱処理の高温化と高温での安定性が実現可能となる。反強磁性層43を持つものでもいいし、持たない構成でも基本的なセンサ特性を満足することが可能となる。
反強磁性層43を持たない構成では、反強磁性に用いるMn等の拡散を防ぐことで、拡散に伴う性能劣化を回避できて、歩留まり向上に適する。
2 下地層
3 シード層
4 ピン層
40 磁化固定層
41 アモルファス層B(アモルファス磁性材料層B)
42 アモルファス層A(アモルファス磁性材料層A)
43 反強磁性層
44 積層フェリ構造
44a 強磁性体層
44b 非磁性体層
44c 強磁性体層
5 トンネル障壁層
6 フリー層
61 アモルファス層B(アモルファス磁性材料層B)
62 アモルファス層A(アモルファス磁性材料層A)
63 パーマロイ層
7 キャップ層
Claims (6)
- 基板上に下地層と、シード層と、ピン層と、トンネル障壁層と、フリー層と、キャップ層と、がこの順に設けられてなる磁気センサであって、
前記フリー層及び前記ピン層は、一部または全部がアモルファス磁性材料からなる磁化固定層を有し、
前記フリー層及び/または前記ピン層が有する磁化固定層は、前記トンネル障壁層側から順に、アモルファス磁性材料層Bと、アモルファス磁性材料層Aとを少なくとも備え、
前記アモルファス磁性材料層Bが含有するアモルファス磁性材料bは、前記アモルファス磁性材料層Aが含有するアモルファス磁性材料aよりも、結晶化温度あるいは微細結晶化温度が低いことを特徴とする磁気センサ。 - 前記フリー層が有する磁化固定層は、前記トンネル障壁層側から順に、アモルファス磁性材料層Bと、アモルファス磁性材料層Aとを少なくとも備え、
前記アモルファス磁性材料層Aが含有するアモルファス磁性材料aの結晶化温度あるいは微細結晶化温度よりも低い温度、且つ、前記アモルファス磁性材料層Bが含有するアモルファス磁性材料bの結晶化温度あるいは微細結晶化温度よりも高い温度で熱処理が行われ、前記アモルファス磁性材料層Bが含有するアモルファス磁性材料bが結晶化してなることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。 - 前記ピン層が有する磁化固定層は、前記トンネル障壁層側から順に、アモルファス磁性材料層Bと、アモルファス磁性材料層Aとを少なくとも備え、
前記アモルファス磁性材料層Aが含有するアモルファス磁性材料aの結晶化温度あるいは微細結晶化温度よりも低い温度、且つ、前記アモルファス磁性材料層Bが含有するアモルファス磁性材料bの結晶化温度あるいは微細結晶化温度よりも高い温度で熱処理が行われ、前記アモルファス磁性材料層Bが含有するアモルファス磁性材料bが結晶化してなることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。 - 前記ピン層は、反強磁性体材料を含有し、
該反強磁性体材料のブロッキング温度よりも高く、且つ、規則合金温度よりも低い温度で熱処理が行われてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気センサ。 - 前記ピン層は、反強磁性体材料を含有し、
該反強磁性体材料のブロッキング温度よりも高く、且つ、規則合金温度よりも高い温度で熱処理が行われてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気センサ。 - 前記ピン層は、積層フェリ磁性層であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気センサ。
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