JP2011157392A - プロピレングリコールおよびアルカン酸イソプロピルエステルを含む抗ウイルス製剤 - Google Patents
プロピレングリコールおよびアルカン酸イソプロピルエステルを含む抗ウイルス製剤 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】約15〜約25重量%のプロピレングリコールおよび約10〜約25重量%のC12−C22アルカン酸イソプロピルエステルを含むことを特徴とする医薬担体中に抗炎症糖質コルチコイドおよびヌクレオシド類縁体抗ウイルス薬を含む局所用組成物。
【選択図】なし
Description
本発明においては、低濃度のプロピレングリコールとアルカン酸イソプロピルエステルを組み合わせることにより、従来の抗ウイルス組成物にみられる不安定性が回避されると同時に、抗ウイルス成分の浸透および放出が良好となる。
本明細書で用いる重量パーセンテージは、組成物の重量に対する成分の重量を意味する。
抗ウイルス薬は、0.5〜15重量%、好ましくは1〜7重量%、さらに好ましくは4〜5重量%といったようなそれぞれのヌクレオシドに対して実質的に慣例で用いられる濃度で製剤中に含まれる。
一般に、本発明組成物は、二相であり、水中油型または油中水型の乳液のいずれかとして、不連続の油相と水相を含む。本発明組成物は、分散した油相と連続した水相を含むのが好ましい。アルカン酸イソプロピルエステルおよび代表的に脂質親和性の糖質コルチコイド成分は、優先的に油相に見出され、抗ウイルス薬であるヌクレオシドは、代表的にはプロピレングリコールとともに、一般に水相に見出されるであろう。
好ましいアル換算イソプロピルエステルとして、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸またはベヘン酸エステルが挙げられ、特に、ミリスチン酸イソプロピルが好ましい。本発明組成物は、約10〜約25重量%、好ましくは約12〜約18重量%、さらに好ましくは約15重量%のアルカン酸イソプロピルエステルを含む。プロピレングリコール濃度が、約20重量%である場合に、組成物に外来性の保存剤を必要とすることなく、一般に良好な保存性が達成されるので、慣例的なプロピレングリコール含量は約20重量%である。
非イオン性乳化剤として、セトマクロゴール1000などのセトマクロゴール、モノステアリン酸エチレンまたはジエチエレングリコール、ベヘン酸、オレイン酸、ステアリン酸などのグリセリルエステル、ラウロマクロゴールなどのラウロス化合物、マクロゴールモノメチルエーテル、モノおよびジグリセリド、ノノキシノール、オクトキシノール、ポロキサマー407などのポロキサマー、ポリオキシルヒマシ油、ポリオキシルステアレート、ポリソルベート、ポリビニルアルコール、プロピレングリコールジアセテート、ソルビタンなどが挙げられる。ポロキサマー188が、好ましい非イオン性界面活性剤である。
アニオン性乳化剤として、モノステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、硫酸化ヒマシ油が、ステアリン酸マグネシウム、ペンデカマイン、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。好ましいアニオン性乳化剤はラウリル硫酸ナトリウムである。
本発明組成物は、表面麻酔剤、日焼け止め剤、風味剤、香料、皮膚軟化薬または皮膚色調着色料およびマスク剤といったような慣例の補助剤を含むこともできる。
本発明化合物は、一般に、初期または確認時点の損傷に対して、症状の発現中、1日2〜12回適用する(3時間毎など)。少なくとも、一般に、症状の発現が予期される最初の感覚から3〜10日間後の硬いカサブタ期まで適用を継続するのが好ましい。
本発明組成物の前臨床効能は、本発明実施例またはWO96/24355およびWO96/24963に記載された免疫モデルの養子移入においてアッセイすることができる。
実施例1
下記の成分から本発明組成物を調製する:
油相
セトステアリルアルコール 6.75g 6.75%
ワセリン 10.00g 10.0%
液体パラフィン 5.65g 5.65%
ミリスチン酸イソプロピル 15.00g 15.0%
水相
プロピレングリコール 20.00g 20.0%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.80g 0.8%
ポロキサマー188 1.00g 1.0%
精製水 34.8g 34.8%
有効成分
アシクロビル 5.00g 5.0%
ヒドロコルチゾン 1.00g 1.0%
アシクロビル(Recordati 微粉、USP23/BP93/EurPhIII)の粒子径は、10%=2μm、50%=4μm、90%=7μm、100%=15μmであった。ヒドロコルチゾン(ファルマシア&アップジョン 微粉、USP/BEP/BP)の粒子径は、100%<5μm、幾何平均直径2μmであった。精製水は、逆浸透処理をしている。
油相および水相成分をそれぞれ別の混合容器に入れ、激しく攪拌しながら70℃に加熱する。相が同じ温度になったときに、混合物に空気が入るのを避けるために可能な最高速度で3〜5分間激しく攪拌しながら、上記容器から油相を水相に注ぎ入れる。次いで、このようにして乳化した混合物を均質化し、激しく攪拌しながら32〜35℃に冷却する。有効成分を加え、有効成分が湿潤化し、混和されるまで激しく攪拌を続ける。パッケージに入れる前に、混合物をもう一度均質化し、30℃付近でクリームが濃厚化するまで冷却する。
下記の成分から本発明ペンシクロビル/ヒドロコルチゾン組成物を調製する:
油相
セトステアリルアルコール 6.75g 6.75%
ワセリン 10.00g 10.0%
液体パラフィン 5.65g 5.65%
ミリスチン酸イソプロピル 15.00g 15.0%
水相
プロピレングリコール 20.00g 20.0%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.80g 0.8%
ポロキサマー188 1.00g 1.0%
精製水 34.8g 34.8%
有効成分
ペンシクロビル 5.00g 5.0%
ヒドロコルチゾン 1.00g 1.0%
ヒドロコルチゾン(ファルマシア&アップジョン 微粉、USP/BEP/BP)の粒子径は、100%<5μm、幾何平均直径2μmであった。精製水は、逆浸透処理をしている。ペンシクロビルは、平均直径5μmまで微粉化した。
油相および水相成分をそれぞれ別の混合容器に入れ、激しく攪拌しながら70℃に加熱する。相が同じ温度になったときに、混合物に空気が入るのを避けるために可能な最高速度で3〜5分間激しく攪拌しながら、上記容器から油相を水相に注ぎ入れる。次いで、このようにして乳化した混合物を均質化し、激しく攪拌しながら32〜35℃に冷却する。有効成分を加え、有効成分が湿潤化し、混和されるまで激しく攪拌を続ける。パッケージに入れる前に、混合物をもう一度均質化し、30℃付近でクリームが濃厚化するまで冷却する。
下記の成分から、EP44543に記載された先行技術のMAC担体を用いるアシクロビル/ヒドロコルチゾン組成物を調製する:
油相
セトステアリルアルコール 33.75g 6.75%
ワセリン 50.00g 10.0%
液体パラフィン 28.25g 5.65%
水相
プロピレングリコール 200.0g 40.0%
ラウリル硫酸ナトリウム 4.0g 0.8%
ポロキサマー188 5.0g 1.0%
精製水 148.82g 29.8%
有効成分
アシクロビル 28.19g 5.0%
ヒドロコルチゾン 5.02g 1.0%
実質的に実施例1と同様にして各成分を混和した。
下記の成分から、低ポリエチレングリコール(PG)濃度(先行文献MAC製剤と比較して)を用いるが、本発明組成物のアルカン酸イソプロピルエステル(IPM)は用いないアシクロビル/ヒドロコルチゾン組成物を調製する:
油相
セトステアリルアルコール 6.75g 6.75%
ワセリン 10.00g 10.0%
液体パラフィン 5.65g 5.65%
水相
プロピレングリコール 25. 0g 25%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.80g 0.8%
ポロキサマー188 1.0 g 1.0%
精製水 44.8g 44.8%
有効成分
アシクロビル 5.00g 5.0%
ヒドロコルチゾン 1.00g 1.0%
実質的に実施例1と同様にして各成分を混和した。
本発明組成物および比較例の組成物の抗ウイルス効力をモルモットモデルでアッセイする(Aleniusら、J.Inf.Dis.145、569−573(1982))。簡単に述べると、該モデルには、モルモットの背面の脱毛領域に単純ヘルペスウイルスの1次感染を起こすことが含まれる。接種の24時間後、テスト組成物およびプラシーボ組成物を初期のヘルペス損傷に塗布する。この局所投与を3〜4日間1日2回繰り返す。損傷の外観について、二重盲検様式にて毎日スコアをつけ、複数の動物からの該スコアを平均する。ここで、
0は、損傷の発達がないことを表す。
1は、2,3個の損傷が散在することを表す。
2は、数個の損傷があり、ある程度融合していることを表す。
3は、融合性の損傷が最大に発達していることを表す。
最初にプラシーボ製剤に言及すると、抗ウイルス薬と糖質コルチコイドを組合せない場合、3日以内に重篤な損傷が現れ、8日以上にわたって治癒しないままであることがわかる。
図3に示す比較例2については、MAC製剤の種々の態様および適用に関する前記EP44543、WO91/11187、EP416739およびWO93/00905の記載から予測されるように、これらの特許および出願が勧告する“少なくとも30重量%”以下にプロピレングリコール濃度を低下させると、抗ウイルス効力が有意に引き下げられ、プラシーボよりも僅かに良いにすぎない製剤しか得られない。特に、損傷スコアは、損傷を起こす時間や治癒する時間においてほとんど測定不可能な減少しか示さないプラシーボよりも0.5単位少ないだけである。
図4および図5は、実質的先行技術製剤(図4、比較例1)を表す組成物および本発明組成物(図5、実施例1)の40倍率の顕微鏡写真である。
まず、25℃で6ヶ月貯蔵後の本発明組成物を示す図5に言及すると、結晶アシクロビルと油相の小球体が、水相中によく分散していることがわかる。6ヶ月貯蔵後のこの製剤の外見は、製剤が新たに製造されたときと事実上同一である。
対照的に、図4は、先行技術、いわゆる約40重量%プロピレングリコールを用いて製剤される、担体中に糖質コルチコイドおよびヌクレオシド類縁体抗ウイルス薬を含む製剤の40倍率の顕微鏡写真である。新たに調製するとき、この製剤は、図5における対応する製剤とは微視的に区別がつかなかった。しかし、25℃にて3ヶ月と3週間貯蔵しただけで、この先行技術製剤には、長い針状結晶が成長した。分析により、これらの針状物が、油相中の溶液から析出した製剤のヒドロコルチゾン成分を含み、有意に最適状態に及ばない局所的にバイオアベイラブルな量の製剤中のこの成分が導かれることがわかる。さらに、油相が、図5の顕微鏡写真よりも明らかに分散の程度が低いこともわかる。
本発明を、抗ウイルス薬であるアシクロビル、アルカン酸イソプロピルエステルIPMといったような特定の目論見的および具体的な例に関して詳細に説明したが、本発明が、この記載に限定されることなく、請求の範囲の内容に拡大されることを理解されたい。
Claims (20)
- 担体が、約15〜約25重量%(製剤の総重量に対して)のプロピレングリコールおよび約10〜約25重量%(製剤の総重量に対して)のC12−C22アルカン酸イソプロピルエステルを含むことを特徴とする医薬担体中に抗炎症糖質コルチコイドおよびヌクレオシド類縁体抗ウイルス薬を含む局所用組成物。
- 担体が、約18〜約22重量%、好ましくは約20重量%のプロピレングリコールを含む請求項1に記載の組成物。
- 担体が、約12〜約18重量%、好ましくは約15重量%のアルカン酸イソプロピルエステルを含む請求項1に記載の組成物。
- アルカン酸イソプロピルエステルが、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸またはベヘン酸エステルもしくはその混合物から選ばれる請求項3に記載の組成物。
- アルカン酸イソプロピルエステルが、ミリスチン酸イソプロピルである請求項4に記載の組成物。
- ヌクレオシド類縁体が、ガンシクロビル、N−7ガンシクロビル、ビス−ヒドロキシメチルシクロプロピルメチルグアニン、ロブコビル、シドフォビル、アデフォビル、ペンシクロビル、9−[4−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニンおよびアシクロビルまたはその皮膚的に加水分解されるプロドラッグもしくはその混合物から選ばれる請求項1に記載の組成物。
- ヌクレオシド類縁体が、ペンシクロビル、9−[4−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニンまたはアシクロビルである請求項6に記載の組成物。
- ヌクレオシド類縁体が、アシクロビルである請求項7に記載の組成物。
- ヌクレオシド類縁体が、組成物の1〜15重量%、好ましくは4〜7重量%を構成する請求項1に記載の組成物。
- 糖質コルチコイドが、アルクロメタゾン、デソニド、フルプレドニデン、フルメタゾン、ヒドロコルチゾンおよび酪酸ヒドロコルチゾンまたは酢酸ヒドロコルチゾンといったようなそのエステル、クロベタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン、ブデノシド、デスオキシメタゾン、ジフロラゾン、フルオシノロン、フルオシノニドアセトニド、フルオコルトロン、フルチカゾン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンアセポネート、モメタゾン、ロフレポニドからなるグループから選ばれる請求項1に記載の組成物。
- 糖質コルチコイドが、マイルド糖質コルチコイドである請求項1に記載の組成物。
- 糖質コルチコイドが、ヒドロコルチゾンまたはそのエステルである請求項10に記載の組成物。
- 糖質コルチコイドが、組成物の0.005〜12重量%、好ましくは0.1〜10重量%を構成する請求項1に記載の組成物。
- 糖質コルチコイドが、ヒドロコルチゾンまたはそのエステルであり、抗ウイルス薬が、アシクロビルまたはペンシクロビルもしくはその皮膚的に加水分解されるプロドラッグである請求項1に記載の組成物。
- アシクロビルが、組成物の4〜7重量%を構成し、ヒドロコルチゾンが、組成物の0.5〜2重量%を構成する請求項14に記載の組成物。
- ペンシクロビルが、組成物の1〜7重量%を構成し、ヒドロコルチゾンが、組成物の0.5〜2重量%を構成する請求項14に記載の組成物。
- 油中水型または好ましくは水中油型の乳液である請求項1に記載の組成物。
- ヘルペスウイルス感染の治療または予防のための薬剤の製造における請求項1に記載の組成物の使用。
- 治療または予防を必要とする患者に請求項1に記載の組成物を局所投与することを特徴とするヘルペスウイルス感染の治療または予防方法。
- 10〜25重量%(予定の製剤の総重量に対して)のC12−C22アルカン酸イソプロピルエステルを含む油相を特定の温度にし、15〜25重量%(予定の製剤の総重量に対して)のプロピレングリコールを含む水相を特定の温度にし、混和し、必要に応じて二相を均質化し、必要に応じて混和物を比較的定温に冷却し、有効量の抗炎症糖質コルチコイドとヌクレオシド類縁体抗ウイルス薬を加え、次いで、得られる混和物を均質化することを特徴とする局所用組成物の製造方法。
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