JP2011144692A - 導電性高分子を用いた流体搬送装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型軽量かつ低電圧で静音動作が可能であり、流体の吸入吐出量が大きく、安定に動作可能な流体搬送装置を提供する。
【解決手段】流体を吸入吐出するポンプの機能を有し、流体を内部に含むポンプ室と、ポンプ室壁面の一部を構成する筺体部と、電解伸縮を行う導電性高分子膜で形成されポンプ室壁面の一部を構成するダイヤフラムと、内部に含まれた電解液がダイヤフラムに接する閉空間部と、ポンプ室内のダイヤフラムに接した部分に少なくとも電解液が配置され、さらに、前記電解液中に前記ダイヤフラムと対向して配置された電極とを備える。
【選択図】図3A

Description

本発明は、特にCPUを含む電子機器を冷却するための冷却用液体の循環装置、血液検査チップへの血液若しくは反応液体の搬送装置、又は、燃料電池における燃料液体の供給装置などに用いられて、流体の吸入と吐出を行う、導電性高分子を用いた流体搬送装置に関する。
流体を搬送する装置であるポンプは、CPUなどの発熱素子の冷却用液体の搬送、血液検査用チップへの血液の搬送、人体への医薬品の微量投与、生化学実験若しくは生化学操作をダウンサイジングして集積化して行うためのLab on a chip(ラボオンチップ)、又は、燃料電池における燃料液体の供給を行うためなどに開発が進められている。これらの用途においては、小型化、軽量化、低電圧化、及び、静音化などが要求される。
これらの要求に応えることのできる従来のポンプとしては、導電性高分子膜をダイヤフラムとして膨張伸縮させるダイヤフラム型のポンプが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図8A、図8Bは、特許文献1に記載された従来のダイヤフラム型のポンプの構造を示すものである。
図8Aのポンプは、筺体102の内側に、それぞれ、導電性高分子膜からなるダイヤフラム103、104を備えている。ダイヤフラム103を第1ダイヤフラムと定義するとともに、ダイヤフラム104を第2ダイヤフラムと定義する。筺体102は、円筒形状であり、かつ内部空間を有する。第1及び第2ダイヤフラム103と104は、それぞれ、円板状の導電高分子膜であり、それぞれの周辺部が固定部分130と131において筐体102にそれぞれ固定されている。また、第1及び第2ダイヤフラム103、104は、それぞれの中央部分において接続部材106によって互いに接続されている。このようにして、第1及び第2ダイヤフラム103,104は、それぞれ膜面方向に張力がかかる状態で設置されて、それぞれ、円錐状の形状となる。第1及び第2ダイヤフラム103、104及び筐体102で囲まれたリング状の空間部109を閉空間部と定義する。閉空間部109には電解液が満たされている。第1及び第2ダイヤフラム103,104はそれぞれリード線110a,110bを介して電源110cに接続される。第1及び第2ダイヤフラム103,104に互いに逆位相の電圧をそれぞれ印加することにより、第1及び第2ダイヤフラム103,104のそれぞれの導電性高分子膜が伸縮運動を行う。筐体102と第1ダイヤフラム103で囲まれた第1空間部分107を第1ポンプ室と呼び、筐体102と第2ダイヤフラム104で囲まれた第2空間部分108を第2ポンプ室と呼ぶ。図8Aで示した状態では、第1ダイヤフラム103が伸張して、第2ダイヤフラム104が収縮した状態である。この状態では、第1吸入弁112を備えた第1吸入口111aから第1ポンプ室107の外部の液体を第1ポンプ室107の内部に吸入して、第2吐出弁124を備えた第2吐出口113bから第2ポンプ室108の内部の液体を第2ポンプ室108の外部に吐出する。また、逆に、第1ダイヤフラム103が収縮して第2ダイヤフラム104が伸張した状態では、第2吸入弁123を備えた第2吸入口111bから第2ポンプ室108の外部の液体を第2ポンプ室108の内部に吸入して、第1吐出弁122を備えた第1吐出口113aから第1ポンプ室107の内部の液体を第1ポンプ室107の外部に吐出する。これらの状態の切り替えを連続して行うことによって、第1ポンプ室107及び第2ポンプ室108の体積の増減が繰り返されて、それに応じてそれぞれのポンプ室に対する液体の吸入と吐出が繰り返される。このことによって、ポンプの機能を果たす。
また、図8Bのポンプは、図8Aのポンプとほぼ同様の構成であるが、接続部材106が無い点が異なる。本構成においては、閉空間部109に満たされた電解液を介して第1及び第2ダイヤフラム103と104が力を及ぼし合う。このことによって、図8Aと同様の動作を行う。図8Bのポンプにおいては、電解液室109の内部の電解液の圧力を、第1ポンプ室内部の流体及び第2ポンプ室内部の流体の圧力よりも大きくするか、若しくは、小さくすることによって、第1ダイヤフラム103及び第2ダイヤフラム104が弛まずに張った状態とすることができる。
図9は、図8Aに示した従来のポンプにおける、ダイヤフラムの伸縮動作を説明する断面図である。導電性高分子膜からなるダイヤフラム103及び104に、閉空間部109に満たされた電解液中の正イオン(カチオン)が出入りする様子を示したものである。図9中に示す+−の極性の電圧が電源110cからダイヤフラム103及び104に印加された場合、第1ダイヤフラム103にはカチオンが閉空間部109側から入り込み第1ダイヤフラム103は伸張し、第2ダイヤフラム104からはカチオンが閉空間部109側に抜け出し第2ダイヤフラム104は収縮する様子を示している。ここでは説明の簡便のため、カチオンが主に出入りする場合について述べたが、電解液の種類によっては負イオン(アニオン)が主に出入りする場合もある。いずれの場合も、イオン種は電解液で満たされた閉空間部109側の片側からのみダイヤフラム103及び104に出入りし、ダイヤフラム103及び104の伸縮動作がなされる。
特開2005−207406号公報
特許文献1に開示された導電性高分子膜を用いたポンプは、背景技術で説明したようにイオンの出し入れが膜の片側からのみ行われるため、膜厚方向の全域にイオンを出し入れするのに時間がかかり、動作が遅いという課題を有していた。また、限られた時間内での導電性高分子膜の膨張収縮量が小さく、したがって単位時間当たりの流体の吐出量及び吸入量が小さいという課題を有していた。
さらに、特許文献1に開示された導電性高分子を用いたポンプは、ダイヤフラムを構成する導電性高分子膜の片側のみが電解液と接しており、その反対側は吐出又は吸入させる流体(搬送流体)と接しており、導電性高分子膜で、異なる液体を隔離する構成となっている。このため、導電性高分子膜を通じて異なる液体間での浸透圧の差異などにより、電解液中のイオン種が、搬送流体へ流出したり、吐出又は吸入させる搬送流体が電解液中に混入したりするなど、動作が不安定となる要因を持つ課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、単位時間当たりの流体の吐出量及び吸入量が大きく、安定して動作可能な、導電性高分子を用いた流体搬送装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、流体を吸入及び吐出する、導電性高分子を用いた流体搬送装置であって、
前記流体を内部に含む一対のポンプ室と、
前記一対のポンプ室が内部に形成されかつ前記一対のポンプ室のそれぞれの壁面の一部を構成する筺体部と、
前記筺体部内にそれぞれ支持されて一部分若しくは全部分が電解伸縮を行う導電性高分子膜でそれぞれ形成されて、前記筺体部と共に前記一対のポンプ室の壁面をそれぞれ構成する一対のダイヤフラムと、
前記筺体部に配置されかつ前記一対のポンプ室のそれぞれにおいて前記流体の吐出及び吸入を行う開口部と、
前記一対のポンプ室とは隔離されかつ前記筺体部と前記一対のダイヤフラムとで囲まれかつ内部に電解液を含み、その電解液の一部が前記一対のダイヤフラムと接する閉空間部と、
前記各ポンプ室内の前記各ダイヤフラムに接した部分に少なくとも電解液が配置され、さらに、前記電解液中に前記各ダイヤフラムと対向して配置された電極と、
前記一対のダイヤフラムのそれぞれと前記電極のそれぞれに電圧を印加する電源と、
を備える、導電性高分子を用いた流体搬送装置を提供する。
本構成によって効率良く安定に流体の吸入及び吐出をさせることができる。
本発明の導電性高分子を用いた流体搬送装置においては、導電性高分子膜よりなる一対のダイヤフラムのそれぞれの両面に電解液が接する構成を採っている。このことにより、導電性高分子膜の両面から電解液のイオン種を同時に出し入れすることができ、従って、導電性高分子膜の膜厚方向の全域に速やかにイオン種を出し入れさせることができ、流体の吐出吸入を高速に動作させることが可能となる。さらに、単位時間当たりの吐出量及び吸入量を大きくすることができる。
また、導電性高分子膜よりなる一対のダイヤフラムのそれぞれの両面に同じイオン種を含んだ電解質を接した構成とすることができ、導電性高分子膜を通してイオン種が流出することがなく、長期にわたって安定した動作をさせることができる。
本発明の第1実施形態にかかる流体搬送装置の斜視図である。 本発明の第1実施形態にかかる流体搬送装置の平面図である。 本発明の第1実施形態にかかる流体搬送装置の正面図である。 本発明の第1実施形態にかかる流体搬送装置の断面図である。 本発明の第1実施形態にかかる流体搬送装置の断面図である。 本発明の第1実施形態にかかる流体搬送装置の断面図である。 本発明の第1実施形態にかかる流体搬送装置の動作説明の断面図である。 本発明の第1実施形態にかかる流体搬送装置の動作説明の断面図である。 本発明の第2実施形態にかかる流体搬送装置の断面図である。 本発明の第2実施形態にかかる流体搬送装置の断面図である。 本発明の第2実施形態にかかる流体搬送装置の断面図である。 本発明の第3実施形態にかかる流体搬送装置の断面図である。 本発明の第3実施形態にかかる流体搬送装置の断面図である。 本発明の第4実施形態にかかる流体搬送装置の断面図である。 本発明の第4実施形態にかかる流体搬送装置の断面図である。 本発明の第4実施形態にかかる流体搬送装置の断面図である 従来例のポンプの構造を示す断面図である 従来例のポンプの構造を示す断面図である 従来例のポンプの動作説明を示す断面図である
以下に、本発明にかかる実施の形態を、図面を参照しながら説明する前に、本発明の種々の態様について説明する。
本発明の第1態様によれば、流体を吸入及び吐出する、導電性高分子を用いた流体搬送装置であって、
前記流体を内部に含む一対のポンプ室と、
前記一対のポンプ室が内部に形成されかつ前記一対のポンプ室のそれぞれの壁面の一部を構成する筺体部と、
前記筺体部内にそれぞれ支持されて一部分若しくは全部分が電解伸縮を行う導電性高分子膜でそれぞれ形成されて、前記筺体部と共に前記一対のポンプ室の壁面をそれぞれ構成する一対のダイヤフラムと、
前記筺体部に配置されかつ前記一対のポンプ室のそれぞれにおいて前記流体の吐出及び吸入を行う開口部と、
前記一対のポンプ室とは隔離されかつ前記筺体部と前記一対のダイヤフラムとで囲まれかつ内部に電解液を含み、その電解液の一部が前記一対のダイヤフラムと接する閉空間部と、
前記各ポンプ室内の前記各ダイヤフラムに接した部分に少なくとも電解液が配置され、さらに、前記電解液中に前記各ダイヤフラムと対向して配置された電極と、
前記一対のダイヤフラムのそれぞれと前記電極のそれぞれに電圧を印加する電源と、
を備える、導電性高分子を用いた流体搬送装置を提供する。
本発明の第2態様によれば、吸入及び吐出する前記流体が電解液であり、前記一対のポンプ室のそれぞれの内部が前記電解液により満たされている第1の態様に記載の、導電性高分子を用いた流体搬送装置を提供する。
本発明の第3態様によれば、前記筺体部に支持され、かつ、吸入及び吐出する前記流体と、前記一対のポンプ室内のそれぞれに満たされた電解液とを隔離するフレキシブル膜をさらに備える第1の態様に記載の、導電性高分子を用いた流体搬送装置を提供する。
本発明の第4態様によれば、前記電解液がイオン液体である第1〜3のいずれか1つの態様に記載の、導電性高分子を用いた流体搬送装置を提供する。
本発明の第5態様によれば、前記導電性高分子膜が、有機導電性高分子及びその誘導体を含む部材、又は、導電性微粒子分散高分子及びその誘導体を含む部材である第1〜4のいずれか1つの態様に記載の、導電性高分子を用いた流体搬送装置を提供する。
本発明の第6態様によれば、前記電源が2電極電源であり、前記一対のダイヤフラムに電圧を印加するとともに、前記一対のダイヤフラムのそれぞれと対向して配置された前記電極に前記電圧と逆極性の電圧を印加する第1〜5のいずれか1つの態様に記載の、導電性高分子を用いた流体搬送装置を提供する。
本発明の第7態様によれば、前記電源がバイポーラ電源であり、前記一対のダイヤフラムに電圧をバイポーラ印加するとともに、前記一対のダイヤフラムのそれぞれと対向した配置された前記電極を接地電位とする第1〜5のいずれか1つの態様に記載の、導電性高分子を用いた流体搬送装置を提供する。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる、導電性高分子を用いた流体搬送装置の斜視図である。図1の流体搬送装置の外観には、筺体2と、流体管部1と、第1及び第2ダイヤフラムに接続されたリード3a及び3bと、前記ダイヤフラムに対向した電極のリード6c及び6dの各部分を備えている。筐体2の外形の全体形状は、直方体筒形状あるいは円筒あるいはこれらの組み合わせた形状などの任意の形状とすることができるが、この図1の場合はおおよそ円筒状である。筐体2は、円筒形状の中央の筐体2aの上下に、円筒形状の中間部の筐体部2bを介して円板状の端部の筐体部2cをそれぞれ配置することにより、複数の筐体部2a、2b及び2cとで構成されている。中央の筐体部2aと上側と下側の中間部の筐体部2bとの間に、リード3a及び3bを配置し、第1ダイヤフラム3及び第2ダイヤフラム4を中央の筐体部2aと上側と下側の中間部の筐体部2bとの間に挟持する構造としている。第1ダイヤフラム3と第2ダイヤフラム4とが筺体部2を介して導通しないようにするため、筺体部2自体を絶縁体より構成するか、又は、第1ダイヤフラム3又は第2ダイヤフラム4又はその両方と筺体部2とが絶縁体を介して固定されるようにしている。後述する電極についても、ダイヤフラム3,4と同様である。
さらに、上下の円板状の端部の筐体部2cには、それぞれ一対の流体管部1を有し、流体管部1の吐出口1a及び吸入口1bより流体が吐出及び吸入される。
図2A及び図2Bは、本発明の第1実施形態にかかる流体搬送装置の平面図及び正面図である。図中の各記号は、前記の図1の斜視図の場合と同様である。
図3A及び図3Bは、本発明の第1実施形態にかかる流体搬送装置の縦断面図である。図3Aは、第1ダイヤフラム3が伸びかつ第2ダイヤフラム4が縮んだ状態であって、第1ポンプ室7の吸入口1aより第1ポンプ室7外の流体を吸入し、第2ポンプ室8の吐出口1bより第2ポンプ室8内の流体を吐出する状態の断面図を示す。図3Bは第1ダイヤフラム3が縮みかつ第2ダイヤフラム4が伸びた状態で、同様に、第1ポンプ室7の吐出口1bより第1ポンプ室7内の流体を吐出し、第2ポンプ室8の吸入口1aより第2ポンプ室8外の流体を吸入する状態の縦断面図を示す。
図3Cは、図3Aと同様の本発明の第1実施形態にかかる流体搬送装置の縦断面図を示すが、第1ポンプ室7、第2ポンプ室8、及び閉空間部9をハッチング表示して明示したものである。
図3Cにおいて、第1ポンプ室7は、上側の中間部の筐体部2bの内壁面と、導電性高分子膜よりなる第1のダイヤフラム3の壁面により形成されている。第1ポンプ室7には、流体の吐出吸入を行うための一対の開口部5がそれぞれ独立して設けられている。第2ポンプ室8は、同様に、下側の中間部の筐体部2bの内壁面と、導電性高分子膜よりなる第2のダイヤフラム4の壁面により形成されている。第2ポンプ室8には、流体の吐出吸入を行うための一対の開口部5が同様にそれぞれ独立して設けられている。
図3Cにおいて、閉空間部9は、中央の筐体部2aの内壁面と、それぞれ導電性高分子膜よりなる第1のダイヤフラム3及び第2のダイヤフラム4の壁面より円環状に形成され、その内部に電解液を満たしている。
本第1実施形態では、第1ポンプ室7の第1ダイヤフラム3に接した部分に電解液を配置するため、第1ポンプ室7の全体にも、前記閉空間部9の電解液と同種の電解液を満たして、この電解液中に、第1ダイヤフラム3と対向して電極6aを上側の中間部の筐体部2bの内壁に設けている。同様に、第2ポンプ室8の第2ダイヤフラム4に接した部分に電解液を配置するため、第2ポンプ室8の全体にも。同様の電解液を満たして、この電解液中に、第2ダイヤフラム4と対向して電極6bを下側の中間部の筐体部2bの内壁に設けている。よって、本第1実施形態は、第1ポンプ室7と第2ポンプ室8とで吸入吐出する流体を、電解液とするものである。
図3Aにおいて、第1ダイヤフラム3と第2ダイヤフラム4は、それらの中央部分において、中央の連結部材13a及び上下端部の連結部材13bをねじ13cで固定することにより連結する構造としており、各ダイヤフラムが緩まないよう張った状態で筐体部2に固定する。
第1ダイヤフラム3に接続されたリード3aと、第2ダイヤフラム4に接続されたリード3bには、電源10例えば2電極電源10aの配線部11bと11aが接続されている。同様に第1ダイヤフラム3と対向した電極6aのリード6cと、第2ダイヤフラム4と対向した電極6bのリード6dにも、同様に2電極電源10aの配線部11aと11bが接続されている。2電極電源10aから配線部11aと配線部11bとの間に電圧を印加することにより、第1ダイヤフラム3と第2ダイヤフラム4は伸縮動作をする。
図3Bにおいても、その構成要素及び記号は前記と同様であるが、2電極電源10aから配線部11aと配線部11bとの間に図2Aの場合とは逆の電圧を印加し、第1ダイヤフラム3と第2ダイヤフラム4が逆の伸縮動作をしている状態を示している。
前述したように、図3A及び図3Bは、本発明の第1実施形態にかかる流体搬送装置の断面図である。図3Aは、第1ダイヤフラム3が伸び第2ダイヤフラム4が縮んで、吸入口1aより流体を吸入し吐出口1bより流体を吐出する状態を示す。図3Bは第1ダイヤフラム3が縮み第2ダイヤフラム4が伸びて、同様に吸入口1aより流体を吸入し吐出口1bより流体を吐出する状態を示す。
このような状態になる動作の説明として、図4Aと図4Bに本発明の第1実施形態にかかる流体搬送装置の動作説明の断面図を示す。図4Aは図3Aの動作状態、図4Bは図3Bの動作状態に対応している。
図4Aにおいて、導電性高分子膜よりなる第1ダイヤフラム3に負電圧(−V)が印加され、導電性高分子膜よりなる第2ダイヤフラム4には正電圧(+V)が印加されると、この間にある閉空間部9に満たされた電解液中の正イオン20aが、第1ダイヤフラム3側に引き寄せられ、導電性高分子膜である第1ダイヤフラム3の内部に入り込み、この正イオン20aの嵩により導電性高分子膜が伸び(伸びを矢印21のように図示している。)、一方、導電性高分子膜である第2ダイヤフラム4の内部の正イオン20aが閉空間部9の電解液中に抜け出すことによって、導電性高分子膜よりなる第1ダイヤフラム3が縮む(縮みを矢印22のように図示している。)様子を示している。
さらに、導電性高分子膜よりなる第1ダイヤフラム3と対向する電極6aには逆極性の正電圧(+V)が印加され、ポンプ室7の電解液中の正イオン20bも、同様に、第1ダイヤフラム3側に引き寄せられ、ポンプ室7側からも導電性高分子膜である第1ダイヤフラム3の内部に入り込み、この正イオン20bの嵩によって導電性高分子膜よりなる第1ダイヤフラム3が伸びる(伸びを矢印21のように図示している。)。
同様に、導電性高分子膜よりなる第2ダイヤフラム4と対向する電極6bには逆極性の負電圧(−V)が印加され、導電性高分子膜である第2ダイヤフラム4の内部の正イオン20cがポンプ室8の電解液中に抜け出すことによって、導電性高分子膜よりなる第2ダイヤフラム4が縮む(縮みを矢印22のように図示している。)。
このようなダイヤフラム3,4の駆動動作により第1ポンプ室7の電解液である流体は、筐体部2に設けられた開口部5の吸入弁12aを通して吸入され、同時に第2ポンプ室8の電解液である流体は、筐体部2に設けられた開口部5の吐出弁12bを通して吐出される。
図4Bは、図4Aの場合に対して各電極リードに図4Aの場合の逆の極性の電圧を印加した場合の動作説明断面図である。動作状態を分かりやすくするため、図4Aの動作状態のダイアフラム3,4の位置を点線で図示している。この場合は、図4Aの場合とは逆に、第1ダイヤフラム3は縮み(縮みとして矢印22を参照。)第2ダイヤフラムは伸びる(伸びとして矢印21を参照。)ことにより、第1ポンプ室7からは吐出弁12bを通じて電解液である流体が吐出され、第2ポンプ室8へは吸入弁12aを通じて電解液である流体が吸入される。
このように本第1実施形態の構成によれば、第1ダイヤフラム3と第2ダイヤフラム4間に満たされた電解液中からのイオンの出し入れだけでなく、これらと対向する別の電極6a、6bを設けて、この間に満たされた電解液中からもイオンを出し入れし、第1ダイヤフラム3と第2ダイヤフラム4を構成する導電性高分子膜の両面から電解液のイオン種を同時に出し入れすることができる。このことにより、導電性高分子膜の膜厚方向の全域に速やかにイオン種を出し入れさせることができ、導電性高分子膜よりなるダイヤフラム3,4の膨張収縮動作を高速にさせることができ、流体の吐出吸入を高速に動作させることができる。さらに、単位時間当たりの吐出量及び吸入量も大きくすることができる。
導電性高分子膜中のイオンの移動は主に拡散により行われ、拡散時間は拡散距離の2乗に比例して長くなることが知られている。従って、導電性高分子膜の膜厚全体にイオンを行き渡らすために要する時間は、導電性高分子膜の片面からイオンを拡散させる場合に比べて、この第1実施形態によれば導電性高分子膜の両面からイオンを拡散させる場合には約4分の1の時間で済むことになり、導電性高分子膜の膨張収縮を高速にさせることができ、流体の吐出吸入を高速に動作させることができる。さらに、この第1実施形態によれば、単位時間当たりの吐出量及び吸入量も大きくすることができる。
また、第1実施形態では、導電性高分子膜よりなるダイヤフラム3,4の両面に同じイオン種を含んだ電解質を接した構成としており、ダイヤフラムの片面のみを電解質に接した構成の場合に比べて、導電性高分子膜を通してイオン種が流出することがなく、長期にわたって安定した動作をさせることができる。
尚、前記の動作説明は、導電性高分子膜に主に正イオン(カチオン)が出入りする場合について簡便化して説明したが、使用する導電性高分子及び電解液の種類によっては、主に負イオン(アニオン)が出入りする場合、又は、両イオン種が同時に出入りする場合もある。
導電性高分子膜の材料としてポリピロールを、電解液としてイオン液体を用いた実施例について述べる。ピロールのモノマーを支持電解質となるプロピレンカーボネート中に溶解した有機溶媒中で、カーボン電極を析出電極としてガルバノスタットモード(定電流制御モード)にてポリピロールを電解重合により合成した膜を用い、電解液としてイオン性液体であるエチルメチルイミダゾリウム・トリフロロメタンスルフォニルイミド(EMI・TFSI)を用いた。この電解液は、EMI(エチルメチルイミダゾリウム)有機カチオンとTFSI(トリフロロメタンスルフォニルイミド)アニオンよりなるイオン結合性の常温で液体である常温溶融塩である。
このような導電性高分子膜と電解液を用いたダイヤフラムは、±1V〜2Vの低駆動電圧にて無音で駆動可能である。この場合、主にEMIカチオンがポリピロール膜に出入りすることによりダイヤフラムの伸縮動作が行われる。従って、前記図4A及び図4Bで動作説明した通り、導電性高分子膜に主にカチオンが出入りする動作モデルの通りの駆動動作をする。比較的イオン半径が大きい有機カチオンであるEMIカチオンの出入りに伴う、導電性高分子膜の伸縮を利用することができるので、発生変位の大きなダイヤフラムとすることができ、流体の吐出吸入を大きくすることができるとともに、大きな吐出圧力を得ることができる。
第1実施形態は、電解液そのものを吐出吸入する流体搬送装置である。この電解液に前記材料のごとくイオン液体を使用することは、CPUなどの発熱素子の冷却用液体としてのイオン液体の搬送装置、又は、摺動部材の潤滑油としてのイオン液体の搬送装置などに特に有効である。イオン液体は、冷却用液体として良く使われる水に対して、比熱容量が大きく冷却用媒体として優れている。ダイヤフラムを構成する導電性高分子膜の駆動特性は一般に温度上昇により活性化して上昇する。即ち、同じ駆動電圧に対して発生変位が大きくなったり高速に動作するようになる。従って、冷却に伴うイオン液体の温度上昇は好都合である。また、イオン液体は、高温でも分解されにくく摺動部材の潤滑油として優れた特性を持っていることが知られており、この搬送装置としても有用である。
本流体搬送装置の実施例の材質及び部材の主要寸法について参考まで述べる。駆動用ダイヤフラムの材料として前記のポリピロール膜を使用し、その厚みは例えば、厚さ数μm〜100μmのものを使用することができる。厚ければ仕事量を大きくすることができるが動作速度は遅くなる傾向があり、単位時間あたりの吐出量及び吸入量を大きくするには動作速度をある程度早くさせる必要がある。このため、適度な厚み5μm〜30μm程度を選択する。直径は、用途に応じて約10mm〜45mmの例えば円板形状とし、1サイクル動作当たりの吐出量及び吸入量を目的に応じて設計することができる。筐体の材質は、前記のイオン液体を使用する場合、アクリルではイオン液体によりその壁面が溶出するため適当でなく、これに不溶の材質、例えばポリカーボネート又はポリプロピレンなどを用い、直径はダイヤフラムの径に合わせて約10mm〜50mm程度、高さは1サイクル動作当たりの吐出吸量に応じて5mm〜数10mm程度に設計する。前記寸法はこれに限るものではなく、例えば、第1実施形態の構成の流体搬送装置を、シリコンウエファー上にマイクロマシニングにより多数連結した構成のマイクロ流体搬送装置とすることもでき、このような場合には前記寸法は適用されない。
導電性高分子膜の材料としてポリピロールを、電解液として食塩水を用いた実施例について述べる。ピロールのモノマーを支持電界質となるパラフェノールスルフォン酸を溶解した水溶液中で、カーボン電極を析出電極としてガルバノスタットモード(定電流制御モード)にてポリピロールを電解重合により合成した膜を用い、電解液として食塩水を用いた。このような導電性高分子膜と電解液を用いたダイヤフラムは、実施例1と同様±1V〜2Vの低駆動電圧にて無音で駆動可能である。この場合、主に塩素アニオンがポリピロール膜に出入りすることによりダイヤフラムの伸縮動作が行われる。
第1実施形態は、電解液そのものを吐出吸入する流体搬送装置である。この電解液に前記材料のごとく食塩水を使用できることは、血液などの生体内生理食塩水で動作可能であることを示しており、血液検査用チップへの血液の搬送、人体への医薬品の微量投与、又は、生化学実験若しくは生化学操作をダウンサイジングして集積化して行うためのラボオンチップなどへの応用に用いることができる。
前記実施例1及び実施例2については、導電性高分子膜の材質としポリピロールの場合について述べたが、導電性高分子膜は、それ自体電子導電性をもつ有機導電性高分子及びその誘導体を含む部材、又は導電性微粒子分散高分子及びその誘導体を含む部材であっても同様の原理で動作可能である。有機導電性高分子及びその誘導体を含む部材としては、ポリアニリン又はポリチオフェン基体、その他のπ 共役ポリマー又はその誘導体を含む部材が適用可能である。導電性微粒子分散高分子及びその誘導体を含む部材としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、ブラックカーボン、有機導電性高分子例えば各種活性炭などの炭素微粒子を分散した高分子及びその誘導体、導電性微粒子分散高分子、例えば、金、白金、ニッケル、チタン、銀などの金属微粒子を分散した高分子及びその誘導体、又は、さらに、これらを任意に組み合わせて含有する部材が適用可能である。
(第2実施形態)
図5A及び図5Bは本発明の第2実施形態にかかる、導電性高分子を用いた流体搬送装置の断面図である。図5Aは、第1ダイヤフラム3が伸び第2ダイヤフラム4が縮んで、第1ポンプ室7aの吸入口1aより流体を吸入し、第2ポンプ室8aの吐出口1bより流体を吐出する状態の断面図を示す。図5Bは、第1ダイヤフラム3が縮み第2ダイヤフラム4が伸びて、同様に第1ポンプ室7aの吐出口1bより流体を吐出し、第2ポンプ室8aの吸入口1aより流体を吸入する状態の断面図を示す。
図5Cは、図5Aと同様の本発明の第2実施形態にかかる流体搬送装置の断面図を示すが、第1ポンプ室7a、第1ポンプ室7aの電解液部7b、第2ポンプ室8a、第2ポンプ室8aの電解液部8b、及び、閉空間部9をハッチング表示して明示したものである。
図5Cにおいて、第1ポンプ室7は、筐体部2bの壁面と、導電性高分子膜よりなる第1のダイヤフラム3の壁面とにより形成されている。第1ポンプ室7は、さらに、フレキシブル膜14により2つに仕切られ、搬送流体を吐出吸入する第1ポンプ室7aと、第1ダイヤフラム3と接した電解液部7bとに分割されている。また、上側と下側の円筒形状の中間部の筐体部2bも、それぞれ、円筒形状の第1中間筐体部2bと円筒形状の第2中間筐体部2bとに分割されており、第1中間筐体部2bと第2中間筐体部2bとでフレキシブル膜14を挟持している。第1ポンプ室7aは、第1中間筐体部2bとフレキシブル膜14とにより囲まれて搬送流体を吐出吸入するポンプ室を構成し、第1ポンプ室の電解液部7bは、第2中間筐体部2bと第1ダイヤフラム3とフレキシブル膜14とにより囲まれて、閉空間部9の電解液と同種の電解液が満たされている。
同様に、図5Cにおいて、第2ポンプ室8は、筐体部2bの壁面と、導電性高分子膜よりなる第2のダイヤフラム4の壁面とにより形成されている。第2ポンプ室8は、さらに、フレキシブル膜14により仕切られ、搬送流体を吐出吸入する第2ポンプ室8aと、第2ダイヤフラム4と接した電解液部8bとに分割されている。第2ポンプ室8aは、筐体部2bとフレキシブル膜14とにより囲まれて搬送流体を吐出吸入するポンプ室を構成し、第2ポンプ室8aの電解液部7bは、筐体部2bと第2ダイヤフラム4とフレキシブル膜14とにより囲まれて、同様の電解液が満たされている。
電極への電圧印加により、第1ダイヤフラム3と第2ダイヤフラム4が拮抗して膨張収縮する動作は、図4A及び図4Bで説明したのと同様である。この第1ダイヤフラム3と第2ダイヤフラム4の膨張収縮に伴い、以下のように流体の吐出吸入動作がされる。第1ダイヤフラム3と第2ダイヤフラム4の間の電解液で満たされた閉空間部9と、さらに、これらに対向して設けられた一対のフレキシブル膜14で仕切られ電解液で満たされたポンプ室の電解液部7b及び8bは、ともに非圧縮性流体である電解液で満たされており、その体積はほぼ一定である。従って、第1ダイヤフラム3と第2ダイヤフラム4の膨張収縮による変形は、それと対向して設けられた一対のフレキシブル膜14に伝えられフレキシブル膜を変形させる。その結果、フレキシブル膜14により仕切られた第1ポンプ室7a及び第2ポンプ室8aに満たされた搬送流体は、吸入口1a及び吐出口1bより吸入、吐出される。
本第2実施形態の構成では、搬送流体と、ダイヤフラム3,4の駆動動作のための電解液が、フレキシブル膜14により隔離されているため、搬送流体の材質を電解液とは独立に選択することができる。前述の第1実施形態と同様、搬送流体を電解液とする場合も、ダイヤフラム3,4を駆動するのに適した電解液と、搬送流体に適した電解液を独立に材料選択できる。例えば、本流体搬送装置を、血液検査用チップへの血液の搬送、人体への医薬品の微量投与、又は、化学実験若しくは化学操作をダウンサイジングして集積化して行うためのLab on a chip(ラボオンチップ)などへ応用する場合、搬送に必要な流体が応用ごとに異なり、ダイヤフラム3,4を駆動するための電解液と独立に材料選択できることは、各システムの設計上有利である。また、搬送流体として電解液以外の流体を選ぶことができることは、勿論である。
フレキシブル膜14に必要な機能としては、ダイヤフラムの変形に伴ってこのフレキシブル膜も同様に弾性変形可能であることが求められる。さらに、このフレキシブル膜の両面に接する異なる種類の液体が、このフレキシブル膜を通して浸透しないことも求められる。これらに適合したフレキシブル膜の材質として、軟質のシリコーンゴムが好都合であった。
本実施例の流体搬送装置として前述した第1実施形態、実施例1に準じた部材を用いる。駆動用の電解液としてイオン性液体であるエチルメチルイミダゾリウム・トリフロロメタンスルフォニルイミド(EMI・TFSI)を用い、搬送流体としてエチレングリコールを主成分とする不凍の水溶液を使用する。駆動用ダイヤフラムの材料としてポリピロール膜を使用し、厚み5μm〜30μm程度のものを使用する。直径は、用途に応じて約10mm〜45mmの例えば円板形状とし、1サイクル動作当たりの吐出量及び吸入量を目的に応じて設計する。筐体の材質は、例えばポリカーボネートなどを用い、直径はダイヤフラムの径に合わせて約10mm〜50mm程度、高さは1サイクル動作当たりの吐出量及び吸入量に応じて10mm〜50mm程度に設計する。
これら部材の寸法に合わせて前記フレキシブル膜として軟質のシリコーンゴム製の厚み50μm、直径約10mm〜50mm程度の膜を使用することにより、ダイヤフラムの変形を、このフレキシブル膜に効率良く伝えることができ、前記搬送流体の吐出吸入をさせることができた。このようにダイヤフラムの変形がフレキシブル膜の変形に変換されるのは、非圧縮性流体である電解液を通じて、ダイヤフラムの変形により発生する圧力がフレキシブル膜を変形する圧力として伝わるためである。この圧力伝達は静水圧により行われえるため、フレキシブル膜の強度はそれほど要求されない。フレキシブル膜の膜面内の引っ張り応力が、その弾性範囲内の大きさである限り、弾性率が十分に小さい柔らかい膜を使うことができる。
シリコーンゴム膜は、本実施例のように、それと接している駆動用の電解液であるイオン性液体と搬送流体である水溶液を隔離して、相互に浸透させない機能があることが確認できた。
(第3実施形態)
図6A及び図6Bは本発明の第3実施形態にかかる、導電性高分子を用いた流体搬送装置の断面図である。図6Aは、第1ダイヤフラム3が伸び第2ダイヤフラム4が縮んで、第1ポンプ室7の吸入口1aより流体を吸入し、第2ポンプ室8の吐出口1bより流体を吐出する状態の断面図を示す。図6Bは第1ダイヤフラム3が縮み第2ダイヤフラム4が伸びて、同様に第1ポンプ室7の吐出口1bより流体を吐出し、第2ポンプ室8の吸入口1aより流体を吸入する状態の断面図を示す。図6A及び図6Bは図3A及び図3Bの場合と異なり、その電源10aをバイポーラ電源10bとするものであり、その他の構成は同じである。
バイポーラ電源10bの両極端子の一方の配線部11bを、第1ダイヤフラム3に接続されたリード3aに接続し、両極端子のもう一方の配線部11aを、第2ダイヤフラム4に接続されたリード3bに接続する。さらに、バイポーラ電源10bの接地電極となる配線部11cを、第1及び第2ダイヤフラム3,4と対向して設けられた電極6a及び6bのリード6c,6dに接続する構成とする。この場合も、各電極6a及び6bに印加される電圧の極性は第1実施形態の図3A及び図3Bの場合と同じであり、導電性高分子膜よりなる第1ダイヤフラム3と第2ダイヤフラム4の両面からイオン種が同時に出入りする点は同じであり、効率的で安定な駆動動作が可能である。
第3実施形態は、第1実施形態と同様、電解液そのものを搬送流体とする流体搬送装置である。第1実施形態と異なる点は、吐出吸入口側に設けられた電極6a及び6bを接地電位としているため、吐出吸入口から吐出吸入される電解液を無電界で搬送することができる特徴がある。このことは、生化学実験又は生化学操作をダウンサイジングして集積化して行うためのラボオンチップなどへ応用する場合、分析結果などに影響を少なくすることができ好都合である。
(第4実施形態)
図7A及び図7B及び図7Cは、本発明の第4実施形態にかかる、導電性高分子を用いた流体搬送装置の断面図である。図7Aは、第1ダイヤフラム3が伸び第2ダイヤフラム4が縮んで、第1ポンプ室7の吸入口1aより流体を吸入し、第2ポンプ室8の吐出口1bより流体を吐出する状態の断面図を示す。図7Bは、第1ダイヤフラム3が縮み第2ダイヤフラム4が伸びて、同様に第1ポンプ室7の吐出口1bより流体を吐出し、第2ポンプ室8の吸入口1aより流体を吸入する状態の断面図を示す。図7Cは、圧力調整手段15を説明するため、閉空間部9内の圧力が所定の圧力よりも増加した場合を示す断面図である。
本第4実施形態では、図7A及び図7B及び図7Cは、図3A及び図3Bの場合と異なり、第1ダイヤフラム3と第2ダイヤフラム4とは、連結部13で固定することのない構造とし、第1ダイヤフラム3と第2ダイヤフラム4と筐体部2aとで囲まれた閉空間部9を構成している。両ダイヤフラム3,4が緩まないようにするため、この第4実施形態では、閉空間部9に接続された圧力調整手段15で閉空間部9の圧力を調整、設定することにより両ダイヤフラム3,4に張力を加える。
圧力調整手段15の一例としては弾性膜部で構成されている。ここでは、弾性膜部15は、中央の筐体部2aの側壁の貫通穴2gの内側の開口縁部に固定されている。閉空間部9内が所定の圧力に維持されている状態では、図7A及び図7Bに示すように閉空間部9の外側から閉空間部9内に向けて断面山型の形状である。閉空間部9内の圧力が所定の圧力よりも減少した場合には、弾性膜部15が、より内向きに張り出して初期状態の圧力に戻す一方、閉空間部9内の圧力が所定の圧力よりも増加した場合(図7C参照)には、弾性膜部15が、内向きへの張り出し量を減少させるか又は外向きに張り出して初期状態の圧力に戻す。この結果、弾性膜部15の働きによって、ダイヤフラム3及び4に加えられる張力が一定範囲内に保つことができて、圧力調整機能を発揮することができる。
第1ポンプ室7の第1ダイヤフラム3に接した部分に電解液を配置するため、第1ポンプ室7の全体にも電解液を満たし、この電解液中に、第1ダイヤフラム3と対向して電極6aを設けている。同様に、第2ポンプ室8の第2ダイヤフラム4に接した部分に電解液を配置するため、第2ポンプ室8の全体にも電解液を満たし、この電解液中に、第2ダイヤフラム4と対向して電極6bを設けている。本第4実施形態は、吸入吐出する流体を電解液とする点は第1実施形態と同様である。第1ダイヤフラム3に接続されたリード3aと、第2ダイヤフラム4に接続されたリード3bには、2電極電源10aの配線部11bと11aが接続されており、第1ダイヤフラム3に接続されたリード3aと第2ダイヤフラム4に接続されたリード3bの間に電圧を印加する。かつ第1ダイヤフラム3と対向した電極6aのリード6cと、第2ダイヤフラム4と対向した電極6bのリード6dにも、同様に、2電極電源10aの配線部11aと11bが接続されており、第1ダイヤフラム3に接続されたリード3aと第1ダイヤフラム3と対向した電極6aのリード6cの間に前記とは逆極性の電圧を印加する。第2ダイヤフラム4に接続されたリード3bと第2ダイヤフラム4と対向した電極6bのリード6dとの間にも、同様に、逆極性の電圧を印加する。このことにより、両ダイヤフラム3,4は拮抗して膨張伸縮し、流体の吐出吸入作用をさせることができる。
本第4実施形態は、第1ダイヤフラム3と第2ダイヤフラム4を連結部13で連結してダイヤフラム3,4が緩まないよう張った状態で筐体部2に固定して組み込むようなアセンブル要素を排除できるため、例えば、第4実施形態の構成の流体搬送装置を、シリコンウエファー上にマイクロマシニングにより多数連結した構成のマイクロ流体搬送装置を形成する際に有利な簡便な構成の流体搬送装置を提供できる。
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明にかかる、導電性高分子を用いた流体搬送装置は、単位時間当たりの流体の吐出量及び吸入量が大きく、安定してに動作可能であり、特にCPUを含む電子機器を冷却するための冷却用液体の循環装置、血液検査チップへの血液若しくは反応液体の搬送装置、又は、燃料電池における燃料液体の供給装置などに用いることができて、流体の吸入と吐出を高効率で行う流体搬送装置として有用である。
1 流体管部
1a 流体管部の吸入口
1b 流体管部の吐出口
2 筺体部
2a 閉空間部と接する筺体部
2b ポンプ室と接する筺体部
2b ポンプ室と接する筺体部
2b ポンプ室の電解液と接する筺体部
2c 流体管部を有する筺体部
3 第1ダイヤフラム
3a 第1ダイヤフラムに接続されたリード
4 第2ダイヤフラム
4a 第2ダイヤフラムに接続されたリード
5 開口部
6 電極
6a 第1ダイヤフラムと対向した電極
6c 電極のリード
6b 第2ダイヤフラムと対向した電極
6d 電極のリード
7 第1ポンプ室
7a 第1ポンプ室
7b 第1ポンプ室内の電解液部
8 第2ポンプ室
8a 第2ポンプ室
8b 第2ポンプ室内の電解液部
9 閉空間部
10 電源
10a 2電極電源
10b バイポーラ電源
11 配線部
11a、11b、11c 配線部
12 弁
12a 吸入弁
12b 吐出弁
13 連結部
13a、13b 連結部材
13c ねじ
14 フレキシブル膜
15 圧力調整手段
20 カチオン
20a 閉空間部の電解液中のカチオン
20b ポンプ室の電解液中のカチオン
20c ポンプ室の電解液中のカチオン
21 伸び
22 縮み

Claims (7)

  1. 流体を吸入及び吐出する、導電性高分子を用いた流体搬送装置であって、
    前記流体を内部に含む一対のポンプ室と、
    前記一対のポンプ室が内部に形成されかつ前記一対のポンプ室のそれぞれの壁面の一部を構成する筺体部と、
    前記筺体部内にそれぞれ支持されて一部分若しくは全部分が電解伸縮を行う導電性高分子膜でそれぞれ形成されて、前記筺体部と共に前記一対のポンプ室の壁面をそれぞれ構成する一対のダイヤフラムと、
    前記筺体部に配置されかつ前記一対のポンプ室のそれぞれにおいて前記流体の吐出及び吸入を行う開口部と、
    前記一対のポンプ室とは隔離されかつ前記筺体部と前記一対のダイヤフラムとで囲まれかつ内部に電解液を含み、その電解液の一部が前記一対のダイヤフラムと接する閉空間部と、
    前記各ポンプ室内の前記各ダイヤフラムに接した部分に少なくとも電解液が配置され、さらに、前記電解液中に前記各ダイヤフラムと対向して配置された電極と、
    前記一対のダイヤフラムのそれぞれと前記電極のそれぞれに電圧を印加する電源と、
    を備える、導電性高分子を用いた流体搬送装置。
  2. 吸入及び吐出する前記流体が電解液であり、前記一対のポンプ室のそれぞれの内部が前記電解液により満たされている請求項1に記載の、導電性高分子を用いた流体搬送装置。
  3. 前記筺体部に支持され、かつ、吸入及び吐出する前記流体と、前記一対のポンプ室内のそれぞれに満たされた電解液とを隔離するフレキシブル膜をさらに備える請求項1に記載の、導電性高分子を用いた流体搬送装置。
  4. 前記電解液がイオン液体である請求項1〜3のいずれか1つに記載の、導電性高分子を用いた流体搬送装置。
  5. 前記導電性高分子膜が、有機導電性高分子及びその誘導体を含む部材、又は、導電性微粒子分散高分子及びその誘導体を含む部材である請求項1〜4のいずれか1つに記載の、導電性高分子を用いた流体搬送装置。
  6. 前記電源が2電極電源であり、前記一対のダイヤフラムに電圧を印加するとともに、前記一対のダイヤフラムのそれぞれと対向して配置された前記電極に前記電圧と逆極性の電圧を印加する請求項1〜5のいずれか1つに記載の、導電性高分子を用いた流体搬送装置。
  7. 前記電源がバイポーラ電源であり、前記一対のダイヤフラムに電圧をバイポーラ印加するとともに、前記一対のダイヤフラムのそれぞれと対向した配置された前記電極を接地電位とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の、導電性高分子を用いた流体搬送装置。
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