JP2011143089A - 陳列システムおよび陳列装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】容器に付された標記を特定の方向により確実に向ける。
【解決手段】容器載置面31Aは、手前側が奥側よりも下方に位置するように傾斜して配置されている。付言すると、容器載置面31Aと前後方向の水平面とが角度θVをなすように、容器載置面31Aが傾斜して配置されている。また容器載置面31Aは、図中左側のガイド32の方が図中右側のガイド32よりも下方に位置するように傾斜して配置されている。付言すると、容器載置面31Aと左右方向の水平面とが角度θHをなすように、容器載置面31Aが傾斜して配置されている。また本陳列装置30では、上記角度θVの方が上記角度θHよりも大きくなっている。
【選択図】図3
【解決手段】容器載置面31Aは、手前側が奥側よりも下方に位置するように傾斜して配置されている。付言すると、容器載置面31Aと前後方向の水平面とが角度θVをなすように、容器載置面31Aが傾斜して配置されている。また容器載置面31Aは、図中左側のガイド32の方が図中右側のガイド32よりも下方に位置するように傾斜して配置されている。付言すると、容器載置面31Aと左右方向の水平面とが角度θHをなすように、容器載置面31Aが傾斜して配置されている。また本陳列装置30では、上記角度θVの方が上記角度θHよりも大きくなっている。
【選択図】図3
Description
本発明は、陳列システムおよび陳列装置に関する。
例えばコンビニエンスストアなどにおいては、飲料缶やペットボトルなど飲料が充填された容器が、例えば陳列ケースに収容された陳列装置に縦置きに載せられて販売される。そしてこのような陳列装置は、例えば、容器自身の自重により陳列ケースの前方に容器が移動するように傾斜した状態で配置される。そして、手前側(最前列)の1つの容器を抜き取ると、後続の容器が自重で手前側に移動する。
ここで陳列装置の容器が載せられる箇所には、容器の滑りの良さから例えばプラスチックの平板が設けられる。また、近年では回転可能なローラを多数配置した陳列装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、容器の補充は陳列装置の後方側から行うのが一般的であるが、手前側からの容器の投入を可能とするとともに、奥側に移動した容器が、再度手前側に移動し陳列される陳列装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、容器に関するものとして、缶底に形成された環状凸部の内周壁に、内側凹部と縦リブとが円周方向に交互に形成された缶が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
ここで陳列装置の容器が載せられる箇所には、容器の滑りの良さから例えばプラスチックの平板が設けられる。また、近年では回転可能なローラを多数配置した陳列装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、容器の補充は陳列装置の後方側から行うのが一般的であるが、手前側からの容器の投入を可能とするとともに、奥側に移動した容器が、再度手前側に移動し陳列される陳列装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、容器に関するものとして、缶底に形成された環状凸部の内周壁に、内側凹部と縦リブとが円周方向に交互に形成された缶が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
ところで、容器の外面には、商品名や商標名などの標記が設けられるが、この標記が購入者の取り出し方向に向いていないと、商品の識別がしにくくなるとともに、商品の陳列時の見栄えが悪くなる。このため、容器を陳列する陳列装置などにおいては、例えば前方側など、容器の標記が所定の方向に向いていることが好ましくなる。
ここで、容器の外周面に接触可能なガイド等の接触部材を容器の移動経路に沿って設けるとともに、この接触部材に向かうに従い下る傾斜が付与された傾斜面を陳列装置に設けた場合、容器の外周面を接触部材に接触させながら容器を移動させることができる。そしてこの場合、接触部材から容器の外周面に対し抗力が付与されることで容器が周方向に回転し、容器に付された標記が当初の方向とは異なる方向を向くようになる。ところで上記傾斜面の傾斜角度によっては、容器が移動せずに停止してしまったり容器が必要以上に回転したりし、容器に付された標記が意図した方向とは異なる方向を向いてしまう。
ここで、容器の外周面に接触可能なガイド等の接触部材を容器の移動経路に沿って設けるとともに、この接触部材に向かうに従い下る傾斜が付与された傾斜面を陳列装置に設けた場合、容器の外周面を接触部材に接触させながら容器を移動させることができる。そしてこの場合、接触部材から容器の外周面に対し抗力が付与されることで容器が周方向に回転し、容器に付された標記が当初の方向とは異なる方向を向くようになる。ところで上記傾斜面の傾斜角度によっては、容器が移動せずに停止してしまったり容器が必要以上に回転したりし、容器に付された標記が意図した方向とは異なる方向を向いてしまう。
本発明が適用される陳列システムは、標記が付された外周面を有するとともに外周面に且つ周方向における異なる位置に摩擦係数が互いに異なる第1の領域および第2の領域が形成された容器と、容器を陳列する陳列装置と、を有し、陳列装置は、容器が投入される投入部と、投入部に投入され予め定められた移動経路に沿って移動した容器が取り出される取り出し部と、移動経路に沿って設けられるとともに移動経路の一方の側方側および他方の側方側のうちの一方の側方側に設けられ、移動経路を移動する容器の外周面に接触可能な接触部材と、投入部から取り出し部に向かうに従い下る第1の傾斜が付与されるとともに他方の側方側から一方の側方側に向かうに従い下る第2の傾斜が付与された傾斜面を利用し、投入部に投入された容器の外周面を接触部材に接触させながら容器を取り出し部に向けて移動させる移動手段と、を有し、傾斜面に付与された第1の傾斜の傾斜角度の方が、傾斜面に付与された第2の傾斜の傾斜角度よりも大きいことを特徴とする陳列システムである。
ここで、移動経路を移動する容器のうちの他方の側方側に位置する部位に接触し容器に対して抗力を付与する抗力付与部を更に備えていることを特徴とすることができる。また、第1の領域の摩擦係数の方が第2の領域の摩擦係数よりも大きくなるように第1の領域および第2の領域は形成され、接触部材は、容器に形成された第1の領域と接触した際に第1の領域に対し抗力を付与し、容器に形成された第2の領域と接触した際に第2の領域との間で滑りを生じさせることを特徴とすることができる。さらに、第1の領域および第2の領域は、標記と予め定められた所定の位置関係を有して配置されていることを特徴とすることができる。また、容器は、容器本体と、外周面を有し容器本体に装着される装着部材とから少なくとも構成され、第1の領域および第2の領域は、装着部材の外周面に形成されていることを特徴とすることができる。
また、本発明を陳列装置と捉えた場合、本発明が適用される陳列装置は、標記が付され外周面を有する容器が投入される投入部と、投入部に投入され予め定められた移動経路に沿って移動した容器が取り出される取り出し部と、移動経路に沿って設けられるとともに移動経路の一方の側方側および他方の側方側のうちの一方の側方側に設けられ、移動経路を移動する容器の外周面に接触可能な接触部材と、投入部から取り出し部に向かうに従い下る第1の傾斜が付与されるとともに他方の側方側から一方の側方側に向かうに従い下る第2の傾斜が付与された傾斜面を利用し、投入部に投入された容器の外周面を接触部材に接触させながら容器を取り出し部に向けて移動させる移動手段と、を有し、傾斜面に付与された第1の傾斜の傾斜角度の方が、傾斜面に付与された第2の傾斜の傾斜角度よりも大きいことを特徴とする陳列装置である。
ここで、接触部材は、移動経路に沿って設けられた基材と、基材よりも柔軟性を有し基材の表面に貼付された貼付部材とから少なくとも構成されていることを特徴とすることができる。また、貼付部材は、基材の長手方向における全域に対してではなく一部の領域に対して貼付されていることを特徴とすることができる。さらに、移動手段は、一方の側方側に且つ傾斜面上に、回転可能に設けられたロール状部材が投入部から取り出し部にかけて複数設けられた第1のローラ列を有するとともに、他方の側方側に且つ傾斜面上に、回転可能に設けられたロール状部材が投入部から取り出し部にかけて複数設けられた第2のローラ列を有し、第2のローラ列に含まれる複数のロール状部材のうちの少なくとも一部のロール状部材は、回転が出来ないように固定されていることを特徴とすることができる。
本発明を採用しない場合に比べ、容器の回転などがより確実に行われるようになり、容器に付された標記が特定の方向により確実に向くようになる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る陳列装置30の概略構成を示した図である。図2は、陳列装置30および容器20を陳列装置30の前方から眺めた場合の図である。また図3は、陳列装置30の上面図である。
図1は、本発明の実施形態に係る陳列装置30の概略構成を示した図である。図2は、陳列装置30および容器20を陳列装置30の前方から眺めた場合の図である。また図3は、陳列装置30の上面図である。
図1(A)に示すように本実施形態における陳列装置30は、缶体として形成され飲料が内部に充填された容器20が載せられる載置部31と、容器20の移動経路を形成するとともに容器20の移動を案内するガイド32とを備えている。また、載置部31の一側辺に沿って配置され、容器20の移動を停止させる規制板34を備えている。ここで規制板34は透明に形成することが好ましい。
陳列装置30は、同図(B)に示すように、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどに設置される陳列ケース10の内部に収納される。この陳列ケース10は、直方体状に形成されたケース本体部10Aと、このケース本体部10Aに対して開閉可能に設けられたドア10Bとにより主要部が構成されている。ここで陳列装置30は、陳列ケース10に設けられた棚(不図示)の上に載せられる。この際、陳列装置30は、規制板34が設けられた側がドア10B側に位置するように設置される。また、載置部31は、規制板34が設けられた側が、規制板34が設けられた側とは反対側よりも下方に位置するように配置される。即ち、載置部31は、陳列ケース10の後方側から容器20が取り出される前方側(取り出し部側)に向かって下り傾斜した状態で配置される。
ここで本実施形態における陳列ケース10は、後方側にもドアが設けられ(不図示)、後方側も開放可能となっている。そしてこの後方側より陳列装置30に容器20が投入される。即ち、陳列ケース10の後方側および陳列装置30の後方側に容器20の投入部が設けられた構成となっている。そして、投入された容器20は載置部31上をドア10B側に向かって移動する。なお、本明細書では、ドア10B側を前方側(前方)と称しドア10Bとは反対側を後方側(後方)と称する場合がある。また、陳列ケース10の幅方向(容器20が移動する方向に直交する方向)を横方向、幅方向と称する場合がある。
陳列装置30についてさらに詳細に説明する。図3(A)に示すように、本実施形態における陳列装置30のガイド32は、容器20の移動経路に沿って配置されている。またガイド32は、容器20の移動経路の両側に設けられている。ここでガイド32は、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料などにより形成される。
ここで移動手段として機能する載置部31は、容器20が載置される容器載置面31Aを有している。そしてこの容器載置面31Aは、手前側が奥側よりも下方に位置するように傾斜して配置されている。付言すると、容器載置面31Aと前後方向の水平面とが角度θV(以下、「前後方向傾斜角度θV」と称する場合がある)をなすように、容器載置面31Aは傾斜して配置されている。さらに説明すると、傾斜面の一例としての容器載置面31Aは、容器20の投入部から容器20の取り出し部に向かうに従い下る傾斜(第1の傾斜)が付与されている。
また容器載置面31Aは、図中左側のガイド32の方が図中右側のガイド32よりも下方に位置するように傾斜して配置されている。付言すると、容器載置面31Aと左右方向(幅方向)の水平面とが角度θH(以下、「左右方向傾斜角度θH」と称する場合がある)をなすように、容器載置面31Aは傾斜して配置されている。さらに説明すると、本実施形態では、容器20の移動経路の一方の側方側および他方の側方側のうちの一方の側方側に、後述する抵抗付与部33が設けられている。そして本実施形態における容器載置面31Aには、この他方の側方側からこの一方の側方側に向かうに従い下る傾斜(第2の傾斜)が付与されている。ここで本実施形態では、前後方向傾斜角度θVの方が左右方向傾斜角度θHよりも大きくなっている。なお図3における符号2A,2Bは容器載置面31Aにおける傾斜の状態を示している。また本明細書においては、以下、左方のガイド32を左ガイド32と称し右方のガイド32を右ガイド32と称する場合がある。
さらに載置部31は、容器20が置かれる側の面である容器載置面31Aに、載置部31の幅方向に並列配置された第1ローラ列311、第2ローラ列312を有している。ここで、第1ローラ列311は上記一方の側方側に設けられ、第2ローラ列312は上記他方の側方側に設けられている。また、各ローラ列は、容器20の投入部から取り出し部にかけて並んで配置された複数のロール状部材314を有している。なお、第1ローラ列311に含まれるロール状部材314は、容器20の移動方向に沿った回転が可能であり容器20を陳列装置30の前方に向けて円滑に移動させる。一方で、第2ローラ列312に含まれるロール状部材314は、回転ができないように固定されている。このため、第2ローラ列312に含まれるロール状部材314は、載置部31を移動する容器20に対し移動に対する抗力を付与する。
ここで第2ローラ列312に含まれるロール状部材314は、容器20のうちの上記他方の側方側(抵抗付与部33が設けられている側とは反対側)に位置する部位に接触し容器20に対して抗力を付与する抗力付与部として捉えることができる。なお本実施形態では、第2ローラ列312に含まれる全てのロール状部材314を回転できないように固定したが、一個おきにロール状部材314を固定するなど、一部のロール状部材314を固定してもよい。なお、第2ローラ列312に含まれるロール状部材314の固定は、接着剤等により行うことができる。またテープ等を貼付して固定することもできる。また第2ローラ列312に含まれるロール状部材314を設けず、このロール状部材314に対応する凸部を載置部31の表面に設けることもできる。
さらに本実施形態では、図1(A)および図3(A)に示すように、左ガイド32に、接触する容器20に対して摺動抵抗(摩擦抵抗)を付与する抵抗付与部33(接触部材の一例)が設けられている。この抵抗付与部33は、図1(A)に示すように、容器20の移動経路に沿って設けられている。また抵抗付与部33は、移動経路の一方の側方側および他方の側方側のうちの一方の側方側に設けられている。また抵抗付与部33は、図2に示すように、容器20の移動経路に沿って設けられるとともに左ガイド32に形成された溝に埋め込まれた円柱状の基材33Aと、この基材33Aの外表面に貼付された貼付部材33Bとから構成されている。基材33Aを円柱状(断面を円形)に構成した場合、載置部31の上を移動する容器20が上下方向や左右方向に傾いたとしても、抵抗付与部33と容器20との接触面積が一定となりやすい。なお本実施形態における基材33Aはアルミニウムにより形成され、貼付部材33Bは塩化ビニルにより構成されたビニールテープにより構成されている。付言すると、貼付部材33Bは、基材33Aよりも柔軟性を有する材料により構成されている。
なお抵抗付与部33における貼付部材33Bは、例えば、EPDM(エチレン−プロピレンゴム)などのゴム部材を用いることができる。また抵抗付与部33は、貼付部材33Bを貼付しない構成とすることができる。さらに図3(A)では、貼付部材33Bが基材33Aの全長に渡り設けられた例を示したが、同図(B)に示すように、貼付部材33Bを基材33Aの一部に設けることもできる。また上記では、円柱状の基材33Aを左ガイド32の溝に埋め込んだ例を説明したが、半円状の基材33Aを左ガイド32の表面に貼付することもできる。
次に、図4および図5を用いて容器20について詳細に説明する。
図4は、容器20を説明するための図である。なお、同図(A)は容器20を一方側から図示したものであり、同図(B)は、容器20を他方側から図示したものである。また、同図(C)は同図(A)のS部における断面を示し、同図(D)は同図(A)のT部における断面を示している。また図5は、容器20の底面を示した図である。
図4は、容器20を説明するための図である。なお、同図(A)は容器20を一方側から図示したものであり、同図(B)は、容器20を他方側から図示したものである。また、同図(C)は同図(A)のS部における断面を示し、同図(D)は同図(A)のT部における断面を示している。また図5は、容器20の底面を示した図である。
同図に示す容器20は、いわゆる2ピース缶であり、飲料などの内容物が充填され且つプルタブを有した蓋部材(不図示)が取り付けられている。本容器20は、図4(A)および(B)に示すように、外周面に、第1領域R1〜第4領域R4を有している。ここでこれらの領域は、容器20の周方向において、第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3、第4領域R4の順に設けられている。なお、第1領域R1の表面状態および第3領域R3の表面状態は同様に構成されている。また、第2領域R2の表面状態および第4領域R4の表面状態は同様に構成されている。このため以下の説明では、第1領域R1および第2領域R2を中心に説明する。さらに本実施形態では、表面における摩擦係数は、第1領域R1(第3領域R3)>第2領域R2(第4領域R4)となっている。
また本実施形態における容器20は、図5に示すように、円形状の底部20cを有している。また容器20は、底部20cから離れる方向に向かって突出するとともに周方向に沿って設けられた環状の突出部20dを備えている。そしてこの突出部20dは、頂部に、陳列装置30の載置部31に接触する環状の接触部20eを備えている。
次に、図4(C)を参照し第2領域R2の表面状態について説明する。
同図(C)に示すように、第2領域R2には、容器本体50の表面にインキ層51が設けられている。また、インキ層51の表面にクレーター状の凹凸を有したトップコート層(最外層)52が設けられている。
同図(C)に示すように、第2領域R2には、容器本体50の表面にインキ層51が設けられている。また、インキ層51の表面にクレーター状の凹凸を有したトップコート層(最外層)52が設けられている。
ここでインキ層51に用いるインキには、例えば金属印刷用のものを用いることができる。ここでインキの顔料(色量)としては、各種の有機顔料や無機顔料が用いられる。また、インキのビヒクルは、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の樹脂を主成分としている。ここで熱硬化性樹脂としては、アルキッド型又はポリエステル型の樹脂等が用いられる。また、紫外線硬化性樹脂としては、紫外線ラジカル重合型、紫外線カチオン重合型の樹脂等が用いられる。さらに、インキには添加剤が含有されていても良い。添加剤としては、艶消し剤、ワックス類(天然系、石油系、合成系)、乾燥剤、分散剤、湿潤剤、架橋剤、ゲル化剤、増粘剤、皮張り防止剤、安定剤、消泡剤、光重合開始剤等が用いられる。
またインキ層51は、いわゆるはじきインキにより形成されている。即ち、インキ層51は、このインキ層51の表面にトップコート層52を形成する塗料が塗られた場合にこの塗料をはじくインキにより形成されている。ここでトップコート層52における上記凹凸は、トップコート層52を形成する塗料がこのインキ層51によりはじかれることにより形成されたものである。
なおトップコート層52を形成する塗料をインキ層51によりはじくためには(上記凹凸を形成するためには)、インキ層51の形成に用いるインキの表面張力を、トップコート層52の形成に用いる塗料の表面張力よりも5mN/m以上低く設定することが望ましい。換言すると、インキの表面張力が塗料の表面張力よりも低く、且つ、インキと塗料との間の表面張力の差が5mN/m以上であることが望ましい。ここでインキの表面張力の低下は、例えば、通常のインキにシリコーンを添加することにより行うことができる。
一方、トップコート層52に用いる塗料は、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の樹脂を主成分とするものであり、必要に応じてワックス成分を含有している。熱硬化性樹脂としては、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、アミノ樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂(例:ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、油性樹脂等が用いられる。
さらに、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との組成物を用いても良い。この場合、熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル−マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、アクリル重合体、飽和ポリエステル樹脂等が用いられる。これらの樹脂は、単独でも2種以上を組み合わせても使用できる。また、これらの樹脂組成物には、必要に応じて、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の公知の酸触媒が添加されていても良い。酸触媒を用いる場合は、酸触媒は樹脂に対して0.5〜1質量%添加するのが望ましい。また、これらの樹脂のうち、特に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂と飽和ポリエステル樹脂との組成物や、熱硬化性アクリル樹脂とメラミン−ホルムアルデヒド樹脂との組成物を用いることが塗膜性能面で望ましい。
一方、紫外線硬化性樹脂としては、例えば、カチオン硬化型樹脂、ラジカル硬化型樹脂等が用いられる。カチオン硬化型樹脂としては、紫外線硬化型エポキシ樹脂と光カチオン重合触媒との組成物等が用いられる。
また、トップコート層52に用いる塗料において、上記の樹脂に架橋剤や増感剤を必要に応じて添加しても良い。架橋剤としては、種々のポリオール類(例:ε−カプロラクトントリオール)等が用いられる。増感剤としては、チオキサントン誘導体等が用いられる。さらに、トップコート層52に用いる塗料に、滑りを補うために、ワックス成分として天然系、石油系、合成系のワックス剤を単独で又は複合して添加しても良い。さらに、トップコート層52の表面のレベリング剤として、あるいは/更に、塗料状態での安定性を高めるためや初期滑り性をトップコート層52に付与するために、各種のシリコーンオイルを添加しても良い。
なお、インキ層51およびトップコート層52の組成等の一例を挙げると以下のようになる。
[トップコート層52]
樹脂成分:ポリエステル30%、アクリル13%、アミノ55%、エポキシ2%
ワックス:石油系0.3%、天然系1%、合成系0.2%(樹脂成分に対し)
シリコーンオイル(混合):0.15%(樹脂成分に対し)
表面張力:33mN/m
厚さ:5μm
[インキ層51](はじきインキ)
主樹脂:アルキッド樹脂
顔料:TiO2
表面張力:28mN/m
厚さ:2μm
[トップコート層52]
樹脂成分:ポリエステル30%、アクリル13%、アミノ55%、エポキシ2%
ワックス:石油系0.3%、天然系1%、合成系0.2%(樹脂成分に対し)
シリコーンオイル(混合):0.15%(樹脂成分に対し)
表面張力:33mN/m
厚さ:5μm
[インキ層51](はじきインキ)
主樹脂:アルキッド樹脂
顔料:TiO2
表面張力:28mN/m
厚さ:2μm
なお上記は、第2領域R2の形成方法の一例を説明したものであり、例えば特開2002−361172号公報に開示されている技術を用いて第2領域R2を形成してもよい。即ち、トップコート層52を形成する塗料をインキ層51の表面で斑状に凝集させることで凹凸を形成し第2領域R2を形成してもよい。なお、本特許にて塗布材料により生じさせる上記第2領域R2の凹凸は、最大深さで3〜10μm程度のオーダーであり、通常のコーティング塗料では、深さ1μm程度或いはそれ未満の程度の平滑面を第1領域R1と言っている。
次いで、図4(D)を参照し第1領域R1の表面状態について説明する。
同図(D)に示すように第1領域R1には、上記と同様、容器本体50の表面にインキ層51が設けられている。また、インキ層51の表面に、上記第2領域R2におけるトップコート層52よりも表面が平滑に形成されたトップコート層(最外層)52が設けられている。
同図(D)に示すように第1領域R1には、上記と同様、容器本体50の表面にインキ層51が設けられている。また、インキ層51の表面に、上記第2領域R2におけるトップコート層52よりも表面が平滑に形成されたトップコート層(最外層)52が設けられている。
ここで第1領域R1におけるインキ層51は、トップコート層52を形成する塗料をはじかないインキ(通常インキ)を用いて形成している。付言すれば、インキ層51を形成するインキは、表面張力がトップコート層52を形成する塗料の表面張力と等しいか又はそれよりも高いインキが用いられている。このため第1領域R1では、トップコート層52を形成する塗料がはじかれず、トップコート層52の表面は、第2領域R2におけるトップコート層52に比べ平滑となる。なお、インキ層51を形成するインキの基本的な組成等は上記と同様である。トップコート層52を形成する塗料の基本的な組成等は上記と同様である。
また本実施形態における容器20は、その外面(外周面)に、商品名、商標名など他の商品と識別するための第1識別標記23a、第2識別標記23bを有している(なお本明細書においては、以下単に「識別標記23」と称する場合がある。)。ここで、第1識別標記23aは第1領域R1に形成され、第2識別標記23bは第3領域R3に形成されている。なお、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、上記インキ層51により形成されている。また、同図では、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bが異なる例を図示しているが、同一の形態としてもよい。
次に、陳列装置30における容器20の動作について説明する。
図6は、陳列装置30における容器20の動作を説明するための図である。なお同図(A)は、図3(A)に示した陳列装置30における容器20の動作を示した図であり、同図(B)は図3(B)に示した陳列装置30における容器20の動作を示した図である。
図6は、陳列装置30における容器20の動作を説明するための図である。なお同図(A)は、図3(A)に示した陳列装置30における容器20の動作を示した図であり、同図(B)は図3(B)に示した陳列装置30における容器20の動作を示した図である。
同図(A)および(B)に示すように、載置部31の後方に置かれた容器20は、容器載置面31Aに対し左右方向(幅方向)における傾斜および前後方向における傾斜が付与されているため、左ガイド32によって案内されながら前方に向かって移動する(符号4A参照)。そしてこの際、第1領域R1が抵抗付与部33に接触する状態にあると、第1領域R1と抵抗付与部33との間における滑りが抑制され(第1領域R1に抗力が付与され)、容器20は、時計回りの回転を行いながら前方へ移動する(符号4B参照)。
そして符号4Cのように、第2領域R2が抵抗付与部33に接触する状態となると、第2領域R2と抵抗付与部33との間で滑りが生じ、容器20の回転は停止する。その後、容器20は左ガイド32により案内されながら前方に向かって移動(スライド)する。これにより、陳列装置30の前方に達した容器20は、第2識別標記23bが前方を向いた状態となる。付言すると、本実施形態では、第2領域R2と第2識別標記23bは、予め定められた所定の位置関係を有して配置されている。より詳細には、第2領域R2が左方側(一方向)を向いている場合に第2識別標記23bが前方(一方向と交差する方向、一方向と直交する方向)を向くように配置されている。このため、第2領域R2が抵抗付与部33に接触した状態となると、第2識別標記23bが前方を向く。
なお図6では第1ローラ列311、第2ローラ列312(図3参照)の図示を省略した。ここで、第2領域R2が抵抗付与部33に接触した場合、第2領域R2と抵抗付与部33とは点接触に近い状態で接触する。付言すれば、第2領域R2と抵抗付与部33とは接触面積が低下する状態となる。このため、第2領域R2と抵抗付与部33との間で上記滑りが生じるものと考えられる。
なお本実施形態における陳列装置30では、上述のとおり、第2ローラ列312に含まれるロール状部材314は、回転ができないように固定されている。このため、第2ローラ列312に含まれるロール状部材314は、移動してくる容器20に対し移動に対する抗力を付与することとなる。ここで本実施形態における構成にて、第2ローラ列312から容器20に対し抗力を付与しない場合、第2領域R2と抵抗付与部33とが接触しているにも関わらず容器20が回転してしまう可能性がある。即ち、第2領域R2に対し抵抗付与部33から付与される抗力によって容器20の意図しない回転が起こる可能性がある。このため本実施形態では、第2ローラ列312に含まれるロール状部材314を用いて容器20に対し抗力を与え上記意図しない回転を抑えている。付言すると、容器20のうち抗力付与部33と接触する部位とは反対側に位置する部位に対し抗力を与え、容器20の過度の回転を抑えている。
ところで、識別標記23が前方を向いた後は、抗力付与部33から容器20へ付与される摺動抵抗を極力小さいものとすることが好ましい。そこで、図6(B)に示す陳列装置30では、抵抗付与部33における貼付部材33Bを容器20の移動経路における途中まで配置し、所定位置から容器20の取り出し部にかけては貼付部材33Bを設けない構成としている。即ち、図6(B)に示す陳列装置30では、貼付部材33Bは、基材33Aの長手方向における全域に取り付けられておらず、基材33Aの一部の領域に取り付けられている。
ここで陳列装置30にて容器20が移動している際に容器20に対し作用する荷重について説明する。図7は、容器20に作用する荷重を説明するための図である。
図7(A)に示すように、陳列装置30を移動する容器20に対しては、容器載置面31Aの前後方向の傾斜によって容器20を陳列装置30の前方へ移動させる移動力G1が作用する。また容器20に対しては、第1ローラ列311(図3参照)に含まれるロール状部材314からの抗力G2が作用する。なお以下の説明では、この抗力G2は存在しないものとして取り扱う。第1ローラ列311に含まれるロール状部材314は回転可能に設けられており、このロール状部材314からの抗力は極めて小さくなるためである。また陳列装置30を移動する容器20に対しては、抵抗付与部33から第1摩擦力F1、第2ローラ列312(図3参照)に位置するロール状部材314(固定されたロール状部材314)から第2摩擦力F2が作用する。
図7(A)に示すように、陳列装置30を移動する容器20に対しては、容器載置面31Aの前後方向の傾斜によって容器20を陳列装置30の前方へ移動させる移動力G1が作用する。また容器20に対しては、第1ローラ列311(図3参照)に含まれるロール状部材314からの抗力G2が作用する。なお以下の説明では、この抗力G2は存在しないものとして取り扱う。第1ローラ列311に含まれるロール状部材314は回転可能に設けられており、このロール状部材314からの抗力は極めて小さくなるためである。また陳列装置30を移動する容器20に対しては、抵抗付与部33から第1摩擦力F1、第2ローラ列312(図3参照)に位置するロール状部材314(固定されたロール状部材314)から第2摩擦力F2が作用する。
ここで容器20に対して与えられる総荷重G(陳列装置30における容器20の推進力)は、図7(D)における(式1)により求めることができる。より具体的には、総荷重Gは、移動力G1から第1摩擦力F1および第2摩擦力F2を減じることにより求めることができる。なお、移動力G1は、上述の通りまた図7(B)に示すように、容器20を陳列装置30の前方へ移動させる力である。ここでこの移動力G1は、図7(D)の(式2)により求めることができる。即ち、容器20の重量Wに対してsinθVを乗じることにより求めることができる。
また、上記第1摩擦力F1は、図7(D)に示す(式3)により求めることができる。より具体的には、容器20が抵抗付与部33に与える荷重(垂直荷重)f1(図7(C)参照)に対し、抵抗付与部33の摩擦係数μMを乗じることにより求めることができる。さらに具体的には、容器20の重量Wと、sinθHと、抵抗付与部33の摩擦係数μMとを乗じることにより求めることができる。
また、上記第2摩擦力F2は、同図(D)に示す(式4)により求めることができる。より具体的には、容器20が容器載置面31Aに対し与える荷重(垂直荷重)f2(図7(C)参照)に対し、第2ローラ列312(図3参照)に含まれるロール状部材314の表面の摩擦係数μBを乗じることにより求めることができる。さらに具体的には、容器20の重量Wと、cosθHと、ロール状部材314の摩擦係数μBとを乗じることにより求めることができる。
また、上記第2摩擦力F2は、同図(D)に示す(式4)により求めることができる。より具体的には、容器20が容器載置面31Aに対し与える荷重(垂直荷重)f2(図7(C)参照)に対し、第2ローラ列312(図3参照)に含まれるロール状部材314の表面の摩擦係数μBを乗じることにより求めることができる。さらに具体的には、容器20の重量Wと、cosθHと、ロール状部材314の摩擦係数μBとを乗じることにより求めることができる。
ここで上記(式1)〜(式4)などを用い、前後方向傾斜角度θV、左右方向傾斜角度θHが容器20に与える影響について説明する。本実施形態における陳列装置30にて、例えば、前後方向傾斜角度θVを大きくした場合、(式2)に含まれるsinθVが大きくなるために移動力G1が大きくなる。この結果、(式1)における総荷重Gが大きくなり、陳列装置30における容器20の移動速度が上昇するようになる。
また、本実施形態における陳列装置30にて、例えば、左右方向傾斜角度θHを大きくした場合には、(式3)におけるsinθHが大きくなるために、抵抗付与部33から容器20に付与される第1摩擦力F1が増加する。また、(式4)におけるcosθHが小さくなるために、ロール状部材314(固定されたロール状部材314)から容器に付与される第2摩擦力F2が減少する。この結果、左右方向傾斜角度θHを大きくする前に比べ、容器20は回転しやすくなる。
また本実施形態にて前後方向傾斜角度θVが小さいと、容器20が陳列装置30にて移動しなくなるおそれがある。また左右方向傾斜角度θHが大きくなると、上記のとおり、容器20がより回転しやすくなる。そしてこのような場合、識別標記23が前方を向いた状態の容器20をスライド移動させたいにも関わらず容器20の回転がなされてしまうおそれがある。また左右方向傾斜角度θHを大きくしてしまうと抵抗付与部33から容器20に作用する第1摩擦力F1が大きくなり、容器20の移動が妨げられるおそれもある。そこで本発明者等は、後述する実験を行うことによって上記の不具合が生じにくくなる条件を見出した。より具体的には、前後方向傾斜角度θVを左右方向傾斜角度θHよりも大きくした場合に上記の不具合が生じにくくなることを見出した。なお実験についての詳細は後述する。
次に、上記第1領域R1〜第4領域R4の形成方法についてより詳細に説明する。第1領域R1〜第4領域R4は、例えば、2ピース缶である容器20の製造工程に含まれる印刷工程にて形成することができる。より詳細には、印刷工程に設置された印刷機を用いて形成することができる。
ここで図8は、容器20に対して印刷を行う印刷機を示した図である。
同図に示す印刷機500は、いわゆるオフセット印刷を行う印刷機である。この印刷機500は、ブランケットシリンダ510、図柄に対応した印刷版を有し上記インキ層51を形成するインキをブランケットシリンダ510に塗布するインキ塗布装置520、支持ロール530、上記トップコート層52を形成する塗料を塗布する塗料塗布装置540を備える。
同図に示す印刷機500は、いわゆるオフセット印刷を行う印刷機である。この印刷機500は、ブランケットシリンダ510、図柄に対応した印刷版を有し上記インキ層51を形成するインキをブランケットシリンダ510に塗布するインキ塗布装置520、支持ロール530、上記トップコート層52を形成する塗料を塗布する塗料塗布装置540を備える。
ブランケットシリンダ510は、円盤状に形成されるとともに一方向に回転する。また、ブランケットシリンダ510は、外周面に複数のブランケット(被転写部)511を有している。また、ブランケットシリンダ510は、インキ塗布装置520における上記印刷版からブランケット511に転写されたインキを、転写部Teにて2ピース缶の基体となる素缶体に対して転写しこの素缶体に上記識別標記23を含む図柄を形成する。
インキ塗布装置520は、ブランケットシリンダ510の周方向に沿って色毎に複数設けられている。各インキ塗布装置520は、ブランケットシリンダ510のブランケット511に接触する印刷用シリンダ522、印刷用シリンダ522の外周面にインキを供給するインキ供給装置521を備えている。ここで印刷用シリンダ522は、外周面に上記印刷版を有しインキ供給装置521により供給されたインキをブランケット511に転写する。これにより、各ブランケット511の表面にインキが載せられる。詳細には、各ブランケット511の表面であって印刷用シリンダ522毎に割り当てられた各領域に、印刷用シリンダ522の各々からインキが順次載せられる。この結果、各ブランケット511の表面には、図柄に対応したインキ像が形成される。そして、このインキ像は、ブランケットシリンダ510の回転に伴い、転写部Teまで移動し、周方向に回転している素缶体の外周面に転写される。これによって上記インキ層51が形成される。
支持ロール530は、ブランケットシリンダ510の対向位置に配置されるとともに一方向に回転し、不図示のウォッシャー工程から移動してきた素缶体を上記転写部Teまで搬送する。また支持ロール530は、ウォッシャー工程から移動してきた素缶体を回転させた状態で上記転写部Teまで搬送する。塗料塗布装置540は、上記インキ像が転写された素缶体(インキ層51が形成された素缶体)の外周面に対して塗料を塗布する。これによって上記トップコート層52が形成される。ここでこのような印刷機500を用いる場合、上記第2領域R2におけるインキ層51を担当する印刷用シリンダ522から塗料をはじく機能を有したインキをブランケット511に載せることにより、第2領域R2と、この第2領域R2に隣り合う第1領域R1、第3領域R3との間に表面の違いを形成することができる。
ところで、容器20の外周面における同色の箇所は、通常、共通の(一つの)印刷用シリンダ522からインクが供給される。しかしながら本実施形態では、第1領域R1〜第4領域R4に同色の箇所があったとしても、異なる印刷用シリンダ522からインキの供給が行われる。即ち、第1領域R1、第3領域R3における同色の箇所は、一の印刷用シリンダ522からインキが供給され、第2領域R2、第4領域R4における同色の箇所は、この一の印刷シリンダ522とは異なる他の印刷用シリンダ522(はじきインキを供給する印刷用シリンダ522)からインキが供給される。
また、複数色を用いた模様が容器20の全周に渡り広範囲に存在する場合には、通常の印刷に比べ、印刷用シリンダ522を多数用意する必要がある。即ち、例えば、第1領域R1、第3領域R3における模様を形成するために、まず複数の印刷用シリンダ522を用意する必要がある。そして第2領域R2、第4領域R4における模様を形成するための複数の印刷用シリンダ522をさらに用意する必要がある。
ここで上記のような印刷用シリンダ522の増加を防ぐため、図9(容器20の他の形態を示した図)に示すような形態とすることもできる。なお、同図(A)は容器20の正面図を示し、同図(B)は容器20の背面図を示している。同図に示すように、例えば、第2領域R2および第4領域R4は、容器20の底部側に設けることができる。より詳細には、容器20の周方向に沿い且つ抵抗付与部33の幅よりもわずかに大きい幅を有した帯として形成することができる。さらに詳細に説明すれば、第2領域R2および第4領域R4は、容器20の周方向における長さを、容器20の周長の1/4とすることができる。このような形態とする場合、複数色を用いた模様が容器20の全周に渡り存在していても、第2領域R2、第4領域R4を形成するための一つの印刷用シリンダ522を追加するだけで済む。付言すれば、上記のように多数の印刷用シリンダ522を用意しないで済む。
なお上記ではいわゆるはじきインキを用いて、第2領域R2に凹凸を形成したが、例えば発泡剤を含有したいわゆる発泡インキを用いてインキ層51を形成し、第2領域R2に凹凸を形成してもよい。また上記では、第2領域R2に凹凸を付与することで摺動抵抗を減じたが、フッ素樹脂などを第2領域R2に貼付したり塗布したりして摺動抵抗を減じてもよい。この場合、テフロン(登録商標)加工が施されたテープなどを貼付するとより簡便である。同様に、フッ素系の樹脂(PTFE、PFA、PVDF等)及びそれらのテープ、あるいは、超高分子量ポリエチレンフィルム等の摩擦抵抗の小さいフィルムテープが使用できる。
さらに、第2領域R2におけるトップコート層52を形成する塗料をいわゆるマット塗料とすることで第2領域R2に凹凸を付与し、摺動抵抗を減じてもよい。なおこの場合は、塗料の塗り分けが必要となる。即ち、第2領域R2に対してはマット塗料を塗布し、第1領域R1に対してはマット塗料ではない塗料を塗布する必要がある。また、第2領域R2におけるトップコート層52の表面に更にマット塗料を塗布することで第2領域R2に凹凸を付与し、この領域における摺動抵抗を減じてもよい。また、第2領域R2におけるインキ層51をはじきインキにより形成するとともに、このインキ層51の表面にマット塗料を用いてトップコート層52を形成してもよい。
ここでマット塗料とは、ガラス、シリカ、樹脂等の光を散乱させる粒子が含有され、通常の塗料よりも光沢度が低下する塗料である。マット塗料には、上記のようにガラス、シリカ、樹脂等の粒子が含まれているため、その表面に凹凸が形成される。このためマット塗料を用いた場合にも、左ガイド32と第2領域R2との摺動抵抗が小さくなり上記のような滑りを発生させることが可能となる。
また例えば、第1領域R1〜第4領域R4におけるトップコート層52をマット塗料により形成した後、第1領域R1および第3領域R3に対して、表面を平滑にする塗料(例えば、上記ガラス等が含まれていない塗料)を塗布してもよい。即ち、マット塗料を塗布することで容器20の全周を滑りやすくした後、第1領域R1および第3領域R3に表面を平滑にする塗料を塗布し、第1領域R1および第3領域R3を滑りにくくしてもよい。また例えば、第1領域R1〜第4領域R4におけるトップコート層52をマット塗料により形成した後、このトップコート層52よりも摩擦係数の小さな、例えば前掲のテフロン(登録商標)系のテープやシールなどを第2領域R2および第4領域R4に貼付してもよい。
また、上記ではいわゆる2ピース缶を例示したが、3ピース缶であっても上記と同様の機能を付与可能である。また、フィルム(ラベルシール(シュリンクフィルムが多い))が外周面に装着された容器20であっても上記と同様の機能を付与できる。このような容器20としては、外周にフィルムが装着されたペットボトル、金属製缶等があげられる。なおこのような容器20では、例えば図10(容器20の他の形態を示した図)に示すように、容器20に装着される前のフィルムFに対して上記第1領域R1〜第4領域R4を形成しておき、この第1領域R1〜第4領域R4が形成されたフィルムFを容器20の本体に巻き付け容器20を形成する。このような場合の第1領域R1〜第4領域R4の作成については、すべての領域を塗布材料を用いて塗分けてもよい。また、フィルムF自体の表面摩擦抵抗を利用することもできる。より具体的に説明すると、第1領域R1及び第3領域R3のグループ、および、第2領域R2及び第4領域R4のグループのうちの一方のグループに対し塗布材料を塗布し、他方のグループに対しは塗布材料を塗布せずにフィルムF自体の表面を露出させる態様とすることができる。
また上記では、第2領域R2および第4領域R4に凹凸を形成するとともに、第1領域R1および第3領域R3における表面を、第2領域R2および第4領域R4における表面よりも平滑にすることで識別標記23を前方に向けた。ところで容器20の回転/非回転には、例えばトップコート層52を構成する材料なども影響する。このため、第1領域R1および第3領域R3に凹凸が形成され、第2領域R2および第4領域R4が平滑に形成される場合であっても識別標記23を前方に向けることが可能な場合がある。即ち、本実施形態では、識別標記23が設けられた箇所を平滑にするとともに識別標記23が設けられていない箇所に凹凸を付与したが、例えば金属ボトル缶の金属表面とフィルム面、あるいは、粘着性の塗料と通常の塗料の組み合わせのように、摩擦係数の異なる少なくとも2つの領域を識別標記23に対応させて形成しておけば識別標記23を前方に向けることが可能となる。
またペットボトルの外周面に装着されたフィルムでは、自販機などにおいて詰まりを発生させないようにするため、印刷面(外面)に、滑性を持たせるための外面塗料が塗られている場合がある。そこで、この種のフィルムを利用して、上記第2領域R2、第4領域R4に相当する領域を形成することができる。
ここで図11は、容器20の他の一形態を示した図である。なお、同図(A)は正面図であり、同図(B)は背面図であり、同図(C)は底面図である。
本図に示す容器20は、いわゆるペットボトルであり、その外周面には滑性を持たせたフィルムFが装着されている。このフィルムFは、容器20の本体部60の外周面に巻き付くように装着されるとともに、第1識別標記23aの下部に、本体部60の外周面の一部を露出させる第1露出部621を備えている。また、第2識別標記23bの下部に、本体部60の外周面の一部を露出させる第2露出部622を備えている。
本図に示す容器20は、いわゆるペットボトルであり、その外周面には滑性を持たせたフィルムFが装着されている。このフィルムFは、容器20の本体部60の外周面に巻き付くように装着されるとともに、第1識別標記23aの下部に、本体部60の外周面の一部を露出させる第1露出部621を備えている。また、第2識別標記23bの下部に、本体部60の外周面の一部を露出させる第2露出部622を備えている。
ここで識別標記23が陳列装置30の側方を向いている場合には、例えば第1露出部621が抵抗付与部33に接触するようになり、この第1露出部621を通じて容器20に回転力が付与される。この結果、例えば第2識別標記23bが陳列装置30の前方を向くようになる。その一方で、識別標記23が陳列装置30の前方を向いている場合には、抵抗付与部33とフィルムFとが接触する状態となり、抵抗付与部33とフィルムFとの間で滑りが生じる。このため、容器20は、識別標記23が前方を向いた状態で陳列装置30の前方側まで移動してくる。
さらに、図12(容器20の他の一形態を示した図)のように、上記第1領域R1〜第4領域R4が印刷等により形成されたテープTを、容器20に付された識別標記23と予め定められた所定の位置関係を有するように容器20に貼り付けることで、容器20の塗装状況に関係無く、第1領域R1〜第4領域R4を容器20の外周面に付与可能となる。ここで第1領域R1〜第4領域R4の各々の長さ(テープTの長手方向における長さ)は、テープTの全長の約1/4となっている。ここで、容器20の外周面の全体の摩擦係数が大きい場合には、上記第2領域R2および第4領域R4に対応する箇所に、摩擦係数の小さいテフロンテープ等のテープを貼付することができる。また、容器20の外周面の全体の摩擦係数が小さい場合には、上記第1領域R1および第3領域R3に対応する箇所に、摩擦係数の大きい樹脂テープ等のテープを貼付することができる。
また、図13(容器20の他の一形態を示した図)に示すように、容器20には第1領域R1〜第4領域R4を設けず、容器20に装着する装着部材64の外周面に第1領域R1〜第4領域R4を設けることもできる。なおこの場合、装着部材64は、容器20の底部に装着するのが好ましい。また、装着部材64の材質は、摺動抵抗の小さいものが好ましい。また装着部材64は、その底部形状をドーム状にすることができ、この場合、装着部材64と陳列装置30の載置部31(図1参照)との接触面積が小さくなる。
ここで、装着部材64における第1領域R1〜第4領域R4は、インキ等の塗布材料を塗布することにより、また、シールやテープ等を貼付することにより形成することができる。なお図13では、装着部材64の周囲に、第1領域R1〜第4領域R4が形成されたテープTを貼付した場合を例示している。なお、容器20と装着部材64との位置がずれないように、容器20の底部や装着部材64の内部に、凹凸状の噛み合い部を設けることができる。また、装着部材64をゴム等の摩擦係数の大きなもので形成することで、容器20に対する装着部材64のずれを抑制できる。
また上記では、2つの識別標記23が180°のずれを有した状態で配置された場合を例示した。ここで、図14(容器20の他の一形態を示した図)の(A)に示すように、2つの識別標記23が180度の位置関係にない状態で存在する場合には、識別標記23の位置と抵抗付与部33(図1参照)の位置とを考慮に入れ、第1領域R1〜第4領域R4の領域巾を均一にせずに設定することができる。また、図14(B)のように3つの識別標記23が存在する場合は、摩擦係数の大きい第1領域R1、第3領域R3、第5領域R5、および、摩擦係数の小さい第2領域R2、第4領域R4、第6領域R6を設けることができる。なお、第1領域R1〜第6領域R6の各領域は、識別標記23a、23b、23cの位置、および、抵抗付与部33(図1参照)の位置により決定される。
ところで、陳列装置30の容器載置面31Aの前後方向傾斜角度θVが小さいと、上記のとおり、容器20が陳列装置30にて移動できなくなるおそれがある。また左右方向傾斜角度θHが大きくなると、容器20が回転しやすくなる。そしてこの場合、識別標記23が前方を向いた状態の容器20をスライド移動させたいにも関わらず容器20の回転がなされてしまうおそれがある。また左右方向傾斜角度θHを大きくしてしまうと抵抗付与部33から容器20に作用する第1摩擦力F1が大きくなり、容器20の移動が妨げられるおそれもある。そこで本発明者等は、以下の実験を行うことによって上記の不具合が生じにくくなる条件を見出した。より具体的には、前後方向傾斜角度θVを左右方向傾斜角度θHよりも大きくした場合に上記の不具合が生じにくくなることを見出した。
より詳細に説明すると、本発明者等は、前後方向傾斜角度θVおよび左右方向傾斜角度θHが容器20(容器20の動作)に与える影響を調査するため、図15(実験に用いた陳列装置30を示した図)に示す陳列装置30を用いて実験を行った。付言すると、図3(A)にて説明した陳列装置30とほぼ同じ構成を有する陳列装置30を用いて実験を行った。また本実験では、図16(実験に用いた容器20を説明する図)に示す容器20を用いた。
ここで、本実験に用いた陳列装置30では、図15に示すように、第2ローラ列312に位置するロール状部材314の一端部(右ガイド32に近い側の端部)に対してテープTを貼付し、第2ローラ列312に位置するロール状部材314を固定した。また、本実験では、前後方向傾斜角度θVおよび左右方向傾斜角度θHの各々を変化させるとともに容器20を陳列装置30に投入し、容器20の回転角度(回転量)を調査した。またこの際、容器20の挙動も観察した。
なお、容器20の回転角度は、容器20に付されたマークM(図16参照)が一定の方向を向いた状態の容器20を陳列装置30に対して投入するとともに、容器20が所定の距離Dt(図15参照)を移動した後におけるマークMの位置を把握することにより取得した。より具体的には、容器20を投入する際のマークMの位置と、容器20が所定の距離Dtを移動した後におけるマークMの位置とに基づき容器20の回転角度を取得した。なお、上記所定の距離Dtは、コンビニエンスストア等で現在一般的に用いられている陳列装置30の全長の約半分の長さ(具体的には250mm)とした。
また本実験では、第1領域R1〜第4領域R4の4つの領域が形成された容器20を用いるのではなく、図16(A)に示すように、第1領域R1のみが形成された容器20(以下、「第1容器20A」と称する場合がある)を用意した。また、図16(B)に示すように、第2領域R2のみが形成された容器20(以下、「第2容器20B」と称する場合がある)を用意した。すなわち本実験では、第1容器20Aおよび第2容器20Bの2種類の容器20を用意した。そして本実験では、前後方向傾斜角度θVおよび左右方向傾斜角度θHを変更する度に、第1の容器20Aおよび第2容器20Bを投入し、これらの容器20の回転角度等を取得した。
なお第1容器20Aおよび第2容器20Bには、内容物である液体が350ml充填されている。付言すると、第1容器20Aおよび第2容器20Bの各々は、総重量が約350gとなっている。また、第1容器20Aおよび第2容器20Bは、図16(C)(第1容器20Aおよび第2容器20Bの底部を説明する図)に示すように、底部20cに、底部20cから離れる方向に向かって突出するとともに周方向に沿って設けられた環状の突出部20dを備えている。そしてこの突出部20dは、頂部に、陳列装置30の載置部31に接触する環状の接触部20eを備えている。なお、第1容器20Aおよび第2容器20Bの直径d1(図16(C)参照)は、約66mmとなっている。また接触部20eの直径d2(図16(C)参照)は、約48mmとなっている。
また本陳列装置30では、左ガイド32を陳列装置30の幅方向にスライド可能に設けた。そして本実験では、左ガイド32から第2ローラ列312に位置するロール状部材314までの距離L(図15参照)が50mmとなるように左ガイド32を固定したうえで第1容器20Aおよび第2容器20Bを投入した。そして、これらの容器20の回転角度等を調査した。また、距離Lが55mmの状態にて第1容器20Aおよび第2容器20Bを投入し、これらの容器20の回転角度等を調査した。
また本実験では、室温が約5°の環境下に陳列装置30を設置し実験を行った。また本実験に用いた陳列装置30では、アルミニウムにより形成され直径が6mmで形成された基材33A(図2参照)に対し塩化ビニルにより形成された貼付部材33Bを貼付した抵抗付与部33を用いた。また、基材33Aの直径が8mmの抵抗付与部33も用意し、この抵抗付与部33を用いての実験も行った。また本実験では、同一の条件下において、第1容器20Aおよび第2容器20Bの各々を陳列装置30に対して4回投入し、各回における回転角度を把握した。また把握した4つの回転角度をもとに、回転角度の最大値、回転角度の最小値、回転角度の平均値、標準偏差を把握した。
なお、実験結果としては、第1容器20Aを陳列装置30に投入した際の回転角度が90°以上となる結果が好ましくなる。この場合、図4に示した第1領域R1或いは第3領域R3が抵抗付与部33に接触した状態で容器20が移動する際に、この容器20が180°回転するようになる。そしてこの場合、陳列装置30の後方側を識別標記23が向いていたとしてもこの識別標記23が陳列装置30の前方を向くようになる。
付言すると、回転角度が30°など90°未満である場合、陳列装置30にて容器20が十分回転せず、識別標記23が陳列装置30の前方を向かないおそれがある。さらに説明すると、上記距離Dt(=250mm、一般的な陳列装置30の全長の半分の長さ)を容器20が移動する過程において容器20が90°以上回転するということは、上記一般的な陳列装置30にて容器20が180°以上回転することを意味する。そしてこの場合、上記のとおり、陳列装置30の後方側を識別標記23が向いていたとしてもこの識別標記23が陳列装置30の前方を向くようになる。
また、実験結果としては、第2容器20Bを陳列装置30に投入した際の回転角度が±10°以内となる結果が好ましくなる。このような結果を得られた場合、図4に示した第2領域R2或いは第4領域R4が抵抗付与部33に接触した状態で容器20が移動する際の容器20の回転角度が、上記一般的な陳列装置30にて、±20°以内に収まることを意味する。そしてこのように、回転角度が±20°以内に収まる場合、陳列装置30のほぼ前方を識別標記23が向くようになる。
続いて実験結果について詳細に説明する。
図17および図18は、実験結果(第1容器20A、第2容器20Bの回転角度)を示した図である。また図19〜図21は、比較例における実験結果(第1容器20A、第2容器20Bの回転角度)を示した図である。
図17および図18は、実験結果(第1容器20A、第2容器20Bの回転角度)を示した図である。また図19〜図21は、比較例における実験結果(第1容器20A、第2容器20Bの回転角度)を示した図である。
ここで、図17(A)は、前後方向傾斜角度θVが7°であり、左右方向傾斜角度θHが4°であり、前後方向傾斜角度θVが左右方向傾斜角度θHよりも大きい場合における実験結果を示した図である。同図の平均値に示すように、第2容器20Bの回転角度は、L=50mmの条件下にて3°となり、L=55mmの条件下にて3°となり、何れの条件においても回転角度が±10°以内となった。また、同図の平均値に示すように、第1容器20Aの回転角度は、L=50mmの条件下にて170°となり、L=55mmの条件下にて163°となり、何れの条件においても回転角度が90°以上となった。
図17(B)は、基材33Aの直径が6mmの抵抗付与部33を用いた場合における実験結果を示した図である。なお、他の条件は、図17(A)の実験条件と同様である。本実験では、図17(B)の平均値に示すように、第2容器20Bの回転角度は、L=50mmの条件下にて10°となり、L=55mmの条件下にて3°となり、何れの条件においても回転角度が±10°以内となった。また、同図の平均値に示すように、第1容器20Aの回転角度は、L=50mmの条件下にて175°となり、L=55mmの条件下にて153°となり、何れの条件においても回転角度が90°以上となった。
図18(A)は、前後方向傾斜角度θVが6°であり、左右方向傾斜角度θHが4°であり、前後方向傾斜角度θVが左右方向傾斜角度θHよりも大きい場合における実験結果を示した図である。なお本実験では、基材33Aの直径が8mmの抵抗付与部33を用いた。本実験では、図18(A)の平均値に示すように、第2容器20Bの回転角度は、L=50mmの条件下にて0°となり、L=55mmの条件下にて−5°となり、何れの条件においても回転角度が±10°以内となった。また、同図の平均値に示すように、第1容器20Aの回転角度は、L=50mmの条件下にて123°となり、L=55mmの条件下にて118°となり、何れの条件においても回転角度が90°以上となった。
図18(B)は、前後方向傾斜角度θVが6°であり、左右方向傾斜角度θHが5°であり、前後方向傾斜角度θVが左右方向傾斜角度θHよりも大きい場合における実験結果を示した図である。なお本実験でも、基材33Aの直径が8mmの抵抗付与部33を用いた。本実験では、図18(B)の平均値に示すように、第2容器20Bの回転角度は、L=50mmの条件下にて3°となり、L=55mmの条件下にて8°となり、何れの条件においても回転角度が±10°以内となった。また、同図の平均値に示すように、第1容器20Aの回転角度は、L=50mmの条件下にて170°となり、L=55mmの条件下にて168°となり、何れの条件においても回転角度が90°以上となった。
次に、図19〜図21を参照し、比較例における実験結果について説明する。
ここで、図19(A)は、前後方向傾斜角度θVが4°であり、左右方向傾斜角度θHが5°であり、左右方向傾斜角度θHの方が前後方向傾斜角度θVよりも大きい場合における実験結果を示した図である。本実験においては、L=50mmの条件下において、第2容器20Bの回転角度の平均値が−10°を超えてしまった。またL=50mmの条件下では、第1容器20Aが移動しなかった(図中「×」で表示)。またL=55mmの条件下では、第2容器20Bの回転角度の平均値が±10°以内に収まったものの、第1容器20Aの回転角度の平均値が90°以上とならなかった。また、L=50mmの条件下において、第2容器20Bの動作は不安定であった(図中「動作不安定」と表示)。より具体的に説明すると、L=50mmの条件下において第2容器20Bの投入を行った際、いくつかの第2容器20Bは、ロール状部材314(図15参照)に引っ掛かり停止してしまった。なお、L=50mmにおける第2容器20Bの回転角度は、ロール状部材314に引っ掛からず回転を行った第2容器20Bの回転角度を示している。
ここで、図19(A)は、前後方向傾斜角度θVが4°であり、左右方向傾斜角度θHが5°であり、左右方向傾斜角度θHの方が前後方向傾斜角度θVよりも大きい場合における実験結果を示した図である。本実験においては、L=50mmの条件下において、第2容器20Bの回転角度の平均値が−10°を超えてしまった。またL=50mmの条件下では、第1容器20Aが移動しなかった(図中「×」で表示)。またL=55mmの条件下では、第2容器20Bの回転角度の平均値が±10°以内に収まったものの、第1容器20Aの回転角度の平均値が90°以上とならなかった。また、L=50mmの条件下において、第2容器20Bの動作は不安定であった(図中「動作不安定」と表示)。より具体的に説明すると、L=50mmの条件下において第2容器20Bの投入を行った際、いくつかの第2容器20Bは、ロール状部材314(図15参照)に引っ掛かり停止してしまった。なお、L=50mmにおける第2容器20Bの回転角度は、ロール状部材314に引っ掛からず回転を行った第2容器20Bの回転角度を示している。
図19(B)は、前後方向傾斜角度θVが5°であり、左右方向傾斜角度θHが5°であり、左右方向傾斜角度θHと前後方向傾斜角度θVが等しい場合における実験結果を示している。本実験においては、L=50mmの条件下にて、第2容器20Bの回転角度の平均値が±10°以内に収まったが、第1容器20Aが移動しなかった。またL=55mmの条件下では、第1容器20Aの回転角度の平均値が90°以上となったものの、第2容器20Bの回転角度の平均値が±10°以内に収まらなかった。
また図20(A)は、前後方向傾斜角度θVが5°であり、左右方向傾斜角度θHが6°であり、左右方向傾斜角度θHの方が前後方向傾斜角度θVよりも大きい場合における実験結果を示している。本実験においては、L=50mmの条件下にて、第2容器20Bの回転角度の平均値が±10°以内に収まり、また、第1容器20Aの回転角度の平均値が90°以上となった。しかしながらこの条件下では、第1容器20Aの移動速度が極めて小さいものとなった。
またL=55mmの条件下では、第1容器20Aの回転角度の平均値が90°以上となったものの、第2容器20Bの回転角度の平均値が±10°以内に収まらなかった。またL=55mmの条件下では、第1容器20Aおよび第2容器20Bの移動速度が大きくなることが確認された。コンビニエンスストア等においてこの移動速度で容器20が実際に移動した場合、陳列装置30に設けられた規制板34(図1参照)等に対して容器20が衝突し、容器20に傷などが生じるおそれがある。
図20(B)は、前後方向傾斜角度θVが6°であり、左右方向傾斜角度θHが6°であり、左右方向傾斜角度θHと前後方向傾斜角度θVが等しい場合における実験結果を示している。本実験においては、L=50mmの条件下にて、第1容器20Aの回転角度の平均値が90°以上となったものの、第2容器20Bの回転角度の平均値が±10°以内に収まらなかった。また、L=55mmの条件下においても、第1容器20Aの回転角度の平均値が90°以上となったものの、第2容器20Bの回転角度の平均値が±10°以内に収まらなかった。また、L=50mmの条件下およびL=55mmの条件下では、上記と同様、第1容器20Aおよび第2容器20Bの移動速度が大きくなることが確認された。
図21は、前後方向傾斜角度θVが6°であり、左右方向傾斜角度θHが7°であり、左右方向傾斜角度θHの方が前後方向傾斜角度θVよりも大きい場合における実験結果を示している。本実験においても、L=50mmの条件下にて、第1容器20Aの回転角度の平均値が90°以上となったが、第2容器20Bの回転角度の平均値が±10°以内に収まらなかった。また、L=55mmの条件下においても、第1容器20Aの回転角度の平均値が90°以上となったものの、第2容器20Bの回転角度の平均値が±10°以内に収まらなかった。また、L=55mmの条件下では、第1容器20Aおよび第2容器20Bの移動速度が大きくなることが確認された。
20…容器、23a…第1識別標記、23b…第2識別標記、30…陳列装置、31…載置部、31A…容器載置面、33…抵抗付与部、33A…基材、33B…貼付部材、64…装着部材、311…第1ローラ列、312…第2ローラ列、314…ロール状部材、R1…第1領域、R2…第2領域
Claims (9)
- 標記が付された外周面を有するとともに当該外周面に且つ周方向における異なる位置に摩擦係数が互いに異なる第1の領域および第2の領域が形成された容器と、
前記容器を陳列する陳列装置と、
を有し、
前記陳列装置は、
前記容器が投入される投入部と、
前記投入部に投入され予め定められた移動経路に沿って移動した前記容器が取り出される取り出し部と、
前記移動経路に沿って設けられるとともに当該移動経路の一方の側方側および他方の側方側のうちの当該一方の側方側に設けられ、当該移動経路を移動する前記容器の前記外周面に接触可能な接触部材と、
前記投入部から前記取り出し部に向かうに従い下る第1の傾斜が付与されるとともに前記他方の側方側から前記一方の側方側に向かうに従い下る第2の傾斜が付与された傾斜面を利用し、当該投入部に投入された前記容器の前記外周面を前記接触部材に接触させながら当該容器を当該取り出し部に向けて移動させる移動手段と、
を有し、
前記傾斜面に付与された前記第1の傾斜の傾斜角度の方が、当該傾斜面に付与された前記第2の傾斜の傾斜角度よりも大きいことを特徴とする陳列システム。 - 前記移動経路を移動する前記容器のうちの前記他方の側方側に位置する部位に接触し当該容器に対して抗力を付与する抗力付与部を更に備えていることを特徴とする請求項1記載の陳列システム。
- 前記第1の領域の摩擦係数の方が前記第2の領域の摩擦係数よりも大きくなるように当該第1の領域および当該第2の領域は形成され、
前記接触部材は、前記容器に形成された前記第1の領域と接触した際に当該第1の領域に対し抗力を付与し、当該容器に形成された前記第2の領域と接触した際に当該第2の領域との間で滑りを生じさせることを特徴とする請求項1又は2に記載の陳列システム。 - 前記第1の領域および前記第2の領域は、前記標記と予め定められた所定の位置関係を有して配置されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の陳列システム。
- 前記容器は、容器本体と、外周面を有し当該容器本体に装着される装着部材とから少なくとも構成され、
前記第1の領域および前記第2の領域は、前記装着部材の前記外周面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の陳列システム。 - 標記が付され外周面を有する容器が投入される投入部と、
前記投入部に投入され予め定められた移動経路に沿って移動した前記容器が取り出される取り出し部と、
前記移動経路に沿って設けられるとともに当該移動経路の一方の側方側および他方の側方側のうちの当該一方の側方側に設けられ、当該移動経路を移動する前記容器の前記外周面に接触可能な接触部材と、
前記投入部から前記取り出し部に向かうに従い下る第1の傾斜が付与されるとともに前記他方の側方側から前記一方の側方側に向かうに従い下る第2の傾斜が付与された傾斜面を利用し、当該投入部に投入された前記容器の前記外周面を前記接触部材に接触させながら当該容器を当該取り出し部に向けて移動させる移動手段と、
を有し、
前記傾斜面に付与された前記第1の傾斜の傾斜角度の方が、当該傾斜面に付与された前記第2の傾斜の傾斜角度よりも大きいことを特徴とする陳列装置。 - 前記接触部材は、前記移動経路に沿って設けられた基材と、当該基材よりも柔軟性を有し当該基材の表面に貼付された貼付部材とから少なくとも構成されていることを特徴とする請求項6記載の陳列装置。
- 前記貼付部材は、前記基材の長手方向における全域に対してではなく一部の領域に対して貼付されていることを特徴とする請求項7記載の陳列装置。
- 前記移動手段は、前記一方の側方側に且つ前記傾斜面上に、回転可能に設けられたロール状部材が前記投入部から前記取り出し部にかけて複数設けられた第1のローラ列を有するとともに、前記他方の側方側に且つ当該傾斜面上に、回転可能に設けられたロール状部材が当該投入部から当該取り出し部にかけて複数設けられた第2のローラ列を有し、
前記第2のローラ列に含まれる複数の前記ロール状部材のうちの少なくとも一部のロール状部材は、回転が出来ないように固定されていることを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の陳列装置。
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JP2010006631A JP2011143089A (ja) | 2010-01-15 | 2010-01-15 | 陳列システムおよび陳列装置 |
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