JP2011140426A - 金属酸化物ナノ結晶の製造方法、金属酸化物ナノ結晶配列膜の作製方法、金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板及びその製造方法 - Google Patents

金属酸化物ナノ結晶の製造方法、金属酸化物ナノ結晶配列膜の作製方法、金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属酸化物ナノ結晶の形態を制御する新規な方法に基づいて、金属酸化物ナノ結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る金属酸化物ナノ結晶の製造方法は、金属塩の水溶液の上部に、前記水溶液よりも比重の小さい非極性有機溶媒及び有機界面活性剤の混合溶液を加えて二相に分離後に、前記二相のうちの上相に塩基性有機化合物を添加した溶液を加熱して合成することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属酸化物ナノ結晶の製造方法、金属酸化物ナノ結晶配列膜の作製方法、金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板及びその製造方法に関するものであり、特に、触媒、燃料電池、センサー、薄膜キャパシタ等に利用することができる金属酸化物ナノ結晶の製造方法、金属酸化物ナノ結晶配列膜の作製方法、金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板及びその製造方法に関するものである。
酸化セリウム(CeO2)等の金属酸化物のナノ粒子(ナノ結晶)のモルフォロジー(形態)は触媒、磁性及び光学等においてその特性を決定する主要な因子であるため、明確に定義された形態を有するナノ結晶の合成に大きな関心が寄せられている。また、ナノ結晶が規則的に配列した膜はバルクとは異なる優れた特性を示すことが期待されることから、その配列を制御する方法が模索されている。特に酸化セリウムは機械的強度、酸素イオン伝導度、酸素貯蔵容量が高いという優れた特性を有するため、明確に定義された酸化セリウムナノ結晶及びその配列膜は触媒、燃料電池、センサー、薄膜キャパシタその他多くの応用が考えられ、その基礎研究が進められている(非特許文献1~10)。
非特許文献1〜10において、酸化セリウムのナノ結晶の合成方法について報告されている。また、非特許文献7及び10においては、酸化セリウムの立方形状ナノ結晶の配列についても報告されている。
Yang, S.; Gao,L., J. Am. Chem. Soc.,128(2006) 9330-9331 Yang, Z.; Yang, Y.; Liang, H.; Liu, L., Materials Letters 63(200)9) 1774-1777 Yang, Z.; Zhou, K.; Liu, X.; Tain, Q.; Lu., D; Yang, S., Nanotechnology 18(2007) 1-4 Chen, H. I.; Chang, H. Y., Colloids and Surfaces A: Physicochem. Eng. Aspects 242(2004) 61-69 Lu, X.; Li, X.; Chen, F.; Ni, C.; Chen, Z., Journal of Alloys and Compounds 474(2009) 958-962 Hirano, M.; Kato, E., J. Am. Ceram. Soc., 82[3] (1999) 786-788 Zhou, Fu.; Ni, Y.; Zhang, Y.; Zheng, H., Journal of Colloid and Interface Science 307(2007) 135-138 Hirano, M.; Inagaki, M., J. Mater. Chem., 10 (2000) 473-477 Qian L.; Zhu, J.; Du, W.; Qian, X., Materials Chemistry and Physics 115(2009) 835-840 Zhang, J.; Ohara, S.; Umetsu, M.; Hatakeyama, Y.; Adschiri, T., Materials Adv. Mater., 19(2007) 203-206
非特許文献1には、硝酸セリウム(III)水溶液に、トルエン、オレイン酸(OLA)及びt-ブチルアミンを混合して原料溶液を作製し、その原料溶液を用いて水熱反応によって酸化セリウムナノ結晶を合成する方法が開示されている。しかしながら、この方法ではt-ブチルアミンが硝酸セリウム(III)水溶液を急激に加水分解するため、ナノ結晶の形態を制御するのは容易ではない。また、非特許文献10に開示された酸化セリウムのナノ結晶の合成方法では、原料溶液を超臨界状態にする必要がある。
また、非特許文献7及び10において広範囲の領域(例えば、1μm以上)に酸化セリウムナノ結晶を配列された膜の作製方法については開示も示唆もない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、金属酸化物ナノ結晶の形態を制御する新規な方法、及び、金属酸化物ナノ結晶を規則的に配列する新規な方法に基づいて、金属酸化物ナノ結晶の製造方法、金属酸化物ナノ結晶配列膜の作製方法、金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意検討を行なった結果、水相と有機相との二液界面を利用することによって形態を制御して金属酸化物ナノ結晶を製造することができること、また、金属酸化物ナノ結晶を含む分散液を基板に滴下した際に溶媒をすばやく吸収して除去することによって金属酸化物ナノ結晶が規則的に配列した膜を作製することができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
(1)金属塩の水溶液の上部に、前記水溶液よりも比重の小さい非極性有機溶媒及び有機界面活性剤の混合溶液を加えて二相に分離後に、前記二相のうちの上相に塩基性有機化合物を添加した溶液を加熱して合成することを特徴とする金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
(2)前記金属塩が、セリウム塩、インジウム塩、鉄塩、コバルト塩、チタン塩、ジルコニウム塩、バリウム塩、及びストロンチウム塩の群から選択されたことを特徴とする前項(1)に記載の金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
(3)前記非極性有機溶媒がトルエン及びヘキサンの群から選択され、前記有機界面活性剤がオレイン酸、デカン酸などのカルボン酸、ポリエチレンイミン(PEI)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(HTAB)、及びポリエチレンソルビタントリオレアーテ(Tween−85)の群から選択され、前記塩基性有機化合物がt-ブチルアミン、へプチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オレイルアミン、及びヘキサメチレンテトラミンなどのアミン類の群から選択されたことを特徴とする前項(1)又は(2)のいずれかに記載の金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
(4)前記セリウム塩が硝酸セリウムであり、前記非極性有機溶媒がトルエンであり、前記有機界面活性剤がオレイン酸であり、前記塩基性有機化合物がt-ブチルアミンであることを特徴とする前項(3)に記載の金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
(5)前記合成を、前記オレイン酸の濃度:前記セリウムの濃度=7:1〜12:1とし、前記合成の温度を180〜220℃とし、前記合成の時間を30〜60時間として行うことを特徴とする前項(4)に記載の金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
(6)前項(1)〜(5)に記載の金属酸化物ナノ結晶の製造方法によって製造された金属酸化物ナノ結晶を含む前記上相を、基板上に滴下する工程と、滴下した前記上相の溶媒を吸収して除去する工程と、を備えたことを特徴とする金属酸化物ナノ結晶配列膜の作製方法。
(7)前記溶媒の除去を、吸湿部材を用いて行うことを特徴とする前項(6)に記載の金属酸化物ナノ結晶配列膜の作製方法。
(8)前記吸湿部材が濾紙であることを特徴とする前項(7)に記載の金属酸化物ナノ結晶配列膜の作製方法。
(9)基板と、前項(6)〜(8)のいずれか一項に記載の金属酸化物ナノ結晶配列膜の作製方法によって前記基板上に作製された金属酸化物ナノ結晶配列膜と、を備えたことを特徴とする金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板の製造方法。
(10)前記基板が、FTO、ITO、ガラス、シリコン、金属、セラミックス、ポリマー、紙、ゴム、及び、低耐熱性基材の群から選択されたことを特徴とする前項(9)に記載の金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板の製造方法。
(11)基板と、該基板上に、立方形状の金属酸化物ナノ結晶が四方格子状に配列した領域と六方格子状に配列した領域とからなる金属酸化物ナノ結晶膜と、を備えたことを特徴とする金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板。
(12)前記金属酸化物ナノ結晶が酸化セリウムナノ結晶であり、前記四方格子状に配列した領域と前記六方格子状に配列した領域の比が3:1〜1:3であることを特徴とする前項(11)に記載の金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板。
(13)前記基板が、FTO、ITO、ガラス、シリコン、金属、セラミックス、ポリマー、紙、ゴム、及び、低耐熱性基材の群から選択されたことを特徴とする前項(11)又は(12)のいずれかに記載の金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板。
本発明の金属酸化物ナノ結晶の製造方法において、金属塩の水溶液の上部に、その水溶液よりも比重の小さい非極性有機溶媒及び有機界面活性剤の混合溶液を加える際は、水溶液の上部に静かに比重の小さい混合溶液を加えるのが好ましく、混合攪拌操作は行わない。その後に加える塩基性有機化合物が水溶液相に入って急速に加水分解が起こるのを防止するためである。
本発明の金属酸化物ナノ結晶の製造方法は、水相と有機相との二液界面を形成し、この二液界面という狭い二次元領域においてナノ結晶を合成するのが特徴である。すなわち、有機相に添加した塩基性有機化合物は水相と有機相との二液界面まで自然拡散し、その二液界面で加水分解が生じて、金属水酸化物が生成され、金属水酸化物から脱水若しくは酸化により金属酸化物が生成され、この金属酸化物が凝集してナノ結晶が生成される。
例えば、酸化セリウムナノ結晶を製造する場合、二液界面におけるナノ結晶の成長のメカニズムは以下のように考えられる。酸化セリウムナノ結晶は、結晶成長が十分に進むと、表面エネルギーの一番小さな(111)面で囲まれた正八面体になるが、その八面体状のナノ結晶になる途中段階では、(111)面のほかに、八面体状の頂点が面取りされた(100)面を最大6個有する形状の状態(以下「多面形状」という)がある。この際、(111)面よりも(100)面の方が表面エネルギーが大きいために、有機界面活性剤の分子は(111)面よりも(100)面に吸着し易い。そのため、(100)面は結晶成長が進みにくくなるのに対して、(111)面の結晶成長は有機界面活性剤分子に邪魔されずに進み、8個全ての(111)面の成長が進んで頂点を形成すると、全体として立方形状となる。
本発明は、二液界面において加水分解を生じてさせて金属水酸化物を生成すると共に、界面活性剤が界面に集中する性質を利用して、二液界面という狭い二次元領域において、立方形状の酸化セリウムナノ結晶の成長を行うことにより、各ナノ結晶の成長環境や成長時間等のばらつきを抑制することで、ナノ結晶の形態やサイズを制御するものである。
本発明の金属酸化物ナノ結晶配列膜の作製方法において、金属酸化物ナノ結晶を含む上相を基板上に滴下した後、滴下した上相の溶媒を吸収して除去する構成によって、溶媒を自然乾燥によってゆっくり除去するのではなく、吸収によって急速に除去する。この構成により、滴下した液滴の乾燥過程で、液滴に含まれるナノ結晶と界面活性剤からなる微細構造の破壊を防ぎ、規則的な配列構造を広範囲に形成することを可能にしている。
本発明の金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板において、「立方形状の金属酸化物ナノ結晶…からなる膜」は、透過電子顕微鏡(TEM)像において、立方形状の金属酸化物ナノ結晶のみが観察され、多面形状の金属酸化物ナノ結晶は観察されないことで確認できるが、後述の実施例においては、透過電子顕微鏡(TEM)の電子回折スポットで、(111)面(これと等価な面を含む)に対応するスポットを目視できないことにより確認した。
本発明の金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板の製造方法で製造した金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板は、金属酸化物ナノ結晶が酸化セリウムナノ結晶である場合、立方形状の金属酸化物ナノ結晶が四方格子状に配列した領域と六方格子状に配列した領域の比が3:1〜1:3となる。
本発明の金属酸化物ナノ結晶の製造方法は、金属塩の水溶液の上部に、その水溶液よりも比重の小さい非極性有機溶媒及び有機界面活性剤の混合溶液を加えて二相に分離後に、二相のうちの上相に塩基性有機化合物を添加する構成なので、塩基性有機化合物が水相に入って急速に加水分解が起こり、酸化セリウムナノ結晶の形態を制御することが困難になるという不都合を回避できる。
また、本発明の金属酸化物ナノ結晶の製造方法では、水相と有機相の二液界面という狭い二次元領域においてナノ結晶の合成を行うため、その形態の制御が容易である。例えば、合成されるナノ結晶が酸化セリウムナノ結晶の場合は全てのナノ結晶を立方形状にすることができる。
また、本発明の金属酸化物ナノ結晶の製造方法では、水相と有機相の二液界面という狭い二次元領域においてナノ結晶の合成を行うため、そのサイズの制御も容易であり、ナノ結晶のサイズのばらつきが小さい。例えば、合成されるナノ結晶が酸化セリウムナノ結晶の場合は、サイズのばらつきを、合成される酸化セリウムナノ結晶のうちの80%以上で3nm以下にすることができる。ナノ結晶の性質はサイズ依存性が大きいため、ばらつきが小さいナノ結晶を用いると特性を正確に制御することが可能になる。
本発明の金属酸化物ナノ結晶の製造方法において、金属塩としてセリウム塩、インジウム塩、鉄塩、コバルト塩、チタン塩、ジルコニウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩の群から選択し、非極性有機溶媒としてトルエン及びヘキサンの群から選択し、有機界面活性剤としてオレイン酸、デカン酸などのカルボン酸、ポリエチレンイミン(PEI)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(HTAB)、ポリエチレンソルビタントリオレアーテ(Tween−85)の群から選択し、塩基性有機化合物としてt-ブチルアミン、へプチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オレイルアミン、ヘキサメチレンテトラミンなどのアミン類の群から選択する構成とするのが好ましく、この場合、酸化セリウム、酸化インジウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸バリウムストロンチウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸ストロンチウム、チタン酸ジルコン酸バリウムストロンチウムのナノ結晶を合成することができる。
本発明の金属酸化物ナノ結晶の製造方法において、セリウム塩が硝酸セリウムであり、非極性有機溶媒がトルエンであり、有機界面活性剤がオレイン酸であり、塩基性有機化合物がt-ブチルアミンであり、合成を、オレイン酸の濃度:セリウムの濃度=7:1〜12:1とし、合成の温度を180〜220℃とし、合成の時間を30〜60時間として行うのが好ましく、この構成とすることにより、立方形状の酸化セリウムナノ結晶をサイズのばらつきが抑制された状態で合成することができる。これに対して、かかる数値範囲外で酸化セリウムナノ結晶を合成した場合には、結晶サイズが大きな酸化セリウムナノ結晶が含まれたり、また、立方形状ではなく、球状形状や多面形状の酸化セリウムナノ結晶の割合が高くなるという不都合が生ずる。
この構成によって合成される立方形状の酸化セリウムナノ結晶は、80%以上は5nm〜8nmのサイズであって、かつ、そのばらつきは80%以上の立方形状の酸化セリウムナノ結晶を3nm以下である。
しかしながら、セリウムの濃度に対するオレイン酸の濃度が上記7:1よりも低い場合には、10nm以上の立方形状の酸化セリウムナノ結晶も形成されてしまい、また、上記12:1よりも高い場合は、酸化セリウムナノ結晶のサイズ及び形状の制御が困難である。
また、上記7:1よりも低い場合には、基板上に規則的に配列させるのが難しいという不都合もある。
また、合成の温度が180℃より低い場合には、(111)面に対応するスポットが現れるほど、多面形状の酸化セリウムナノ結晶の割合が高く、また、220℃より高い場合は、酸化セリウムナノ結晶のサイズ及び形状の制御が困難である。
また、合成の時間を30時間よりも短い場合、及び、60時間よりも長い場合には、(111)面に対応するスポットが現れるほど、多面形状の酸化セリウムナノ結晶の割合が高くなる。
本発明の金属酸化物ナノ結晶配列膜の作製方法において、金属酸化物ナノ結晶を含む上相を基板上に滴下した後、滴下した上相の溶媒を吸収して除去するのが好ましく、この構成とすることによって、金属酸化物ナノ結晶を基板上の広範囲の領域(1μm以上)においても規則的に配列させて金属酸化物ナノ結晶の配列膜を製造することができる。
この溶媒の除去は吸湿部材を用いて行うのが好ましく、この吸湿部材としては濾紙が好ましい。
吸湿部材を利用して溶媒を急速に除去することにより、滴下した液滴の乾燥過程で、液滴に含まれるナノ結晶と界面活性剤からなる微細構造の破壊を防ぎ、規則的な配列構造を広範囲に形成することを可能にしている。
本発明の金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板の製造方法により製造した金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板では、単結晶からなる金属酸化物ナノ結晶が規則的に配列された金属酸化物ナノ結晶配列膜を備えているので、ナノ結晶一つ一つの性質や、ナノ結晶間の界面が導く機能を有効に発現させることができ、様々な電子デバイスへの応用が可能になる。
本発明の金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板は、基板上に、立方形状の金属酸化物ナノ結晶が四方格子状に配列した領域と六方格子状に配列した領域とからなる金属酸化物ナノ結晶膜を備えた金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板であって規則的に配列された金属酸化物ナノ結晶の配列膜を備えているので、ナノ結晶一つ一つの性質や、ナノ結晶間の界面が導く機能を有効に発現させることができ、様々な電子デバイスへの応用が可能になる。
本発明の金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板において、その金属酸化物ナノ結晶が酸化セリウムナノ結晶であり、酸化セリウムナノ結晶が規則的に配列された金属酸化物ナノ結晶配列膜を備えているので、ナノ結晶一つ一つの性質や、ナノ結晶間の界面が導く機能を有効に発現させることができ、様々な電子デバイスへの応用が可能になる。
本発明を適用した一実施形態である酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板表面の透過型電子顕微鏡像である。 本発明を適用した一実施形態である酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板表面の透過型電子顕微鏡の高分解能像である。 本発明の実施例1における2種類の領域(a)及び(b)のTEM像、電子回折スポット像、及びTEM像の2次元パターンのFFT像である。 本発明の(a)実施例2、(b)実施例3、及び(c)比較例1、のそれぞれのTEM像、電子回折スポット像、及びTEM像の2次元パターンのFFT像である。 本発明の(a)実施例4、(b)実施例5、(c)実施例6、及び(d)比較例2、のそれぞれのTEM像、電子回折スポット像、及びTEM像の2次元パターンのFFT像である。 本発明の実施例7における2種類(a)及び(b)の領域のTEM像、電子回折スポット像、及びTEM像の2次元パターンのFFT像である。 本発明の実施例8における2種類(a)及び(b)のTEM像、電子回折スポット像、及びTEM像の2次元パターンのFFT像である。 (a)比較例3、(b)比較例4、及び(c)比較例5のTEM像、電子回折スポット像、及びTEM像の2次元パターンのFFT像である。 比較例6のTEM像、及び電子回折スポット像である。
以下、本発明を適用した一実施形態である酸化セリウムナノ結晶及び酸化セリウムナノ結晶配列膜について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態である酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の表面の透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM 2010(200kV))で観察した広範囲のTEM像である。酸化セリウムナノ結晶配列膜を被覆した基板はTEMグリッドである。
700nm×700nmの広範囲に、酸化セリウムナノ結晶が整然と並んで配列しているのが観察できる。10μm×10μm以上の広範囲にわたってこのような規則的な酸化セリウムナノ結晶の配列膜が確認できた。
図2(a)は、本発明を適用した一実施形態である酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の表面の透過型電子顕微鏡で観察した高分解能のTEM像である。酸化セリウムナノ結晶配列膜を被覆した基板は図1と同様にTEMグリッドである。
図2(b)及び図2(d)はそれぞれ、図2(a)において符号1で示した酸化セリウムナノ結晶の拡大像、符号2で示した酸化セリウムナノ結晶の拡大像である。図2(c)及び図2(e)はそれぞれ、図2(b)、図2(d)の電子回折スポット像である。
尚、図2で示したTEM像のみ、株式会社日立製作所製H−9000UHR III(300kV)を用いて測定したものであり、以下の図3〜図9については図1と同様に日本電子株式会社製JEM 2010(200kV)を用いた。
図2(a)において、符号1及び2で示した酸化セリウムナノ結晶のサイズはいずれも、5nm×5nmであった。
また、図2(b)及び図2(d)で示したいずれの酸化セリウムナノ結晶においても、結晶の格子点が整然と並んでいることが確認できる。
さらに、電子回折スポット像の各点のスポットの位置からそのナノ結晶の格子面間隔を決定できるが、図2(c)で示した2個の1.91Åのスポットはそれぞれ、酸化セリウム単結晶の(220)面、(2−20)面に対応する(尚、本明細書では、ミラー指数の表記において、“−”はその直後の指数につくバーを意味する)。また、2.71Å及び2.70Åのスポットはそれぞれ、酸化セリウム単結晶の(200)面、(020)面に対応する。また、図2(e)で示した2個の1.91Åのスポットもそれぞれ、同様に(220)面、(2−20)面に対応し、2.71Å及び2.70Åのスポットはそれぞれ、(200)面、(0−20)面に対応する。
従って、本発明を適用した酸化セリウムナノ結晶は、酸化セリウムの単結晶からなることがわかる。
符号1及び2で示した酸化セリウムナノ結晶の像は正方形を示しており、この正方形のTEM像は酸化セリウムナノ結晶の(200)面が基板に平行に配置していることを示している。
尚、酸化セリウムナノ結晶の像が略長方形(長辺が短辺の1.4倍程度)を示す場合は、立方形状の酸化セリウムナノ結晶の対角面である(220)面を基板に平行に配置していることを示す。
図2で示した酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板では、酸化セリウムナノ結晶の合成条件は、オレイン酸の濃度:セリウムの濃度(OLA:Ce)の比については、8:1であり、合成温度及び合成時間はそれぞれ、180℃、24時間であった。二液の調製条件と合成時間が最適なものでなかったために、酸化セリウムナノ結晶の配列は良好ではなかったが、以下に良好な配列を有する実施例を示す。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。但し、これらの実施例はあくまでも本発明を容易に理解するための一助として開示するためのものであって、本発明をこれによって限定する趣旨ではない。
図3及び図4に、本発明の実施例1〜3と比較例1のTEM像、電子回折スポット像、及びTEM像の2次元パターンのFFT像を示す。
[実施例1]
(1)酸化セリウムナノ結晶(金属酸化物ナノ結晶)の合成
まず、金属塩である硝酸セリウム(III)の水溶液15mL(16.7mmol)を、50mLのオートクレーブに投入した。次いで、トルエン(非極性有機溶媒)15mL、及び、オレイン酸(OLA)(有機界面活性剤)0.6mL(OLA:Ce=8:1)の混合溶液を、オートクレーブ内の硝酸セリウム(III)水溶液の上部にそっと(静かに)加えた。硝酸セリウム(III)水溶液、トルエン及びオレイン酸の混合溶液からなる原料溶液は、比重が大きな硝酸セリウム(III)水溶液が下相で、比重が小さいトルエン及びオレイン酸の混合溶液が上相となって二相に分離した。二相に分離した原料溶液の上相に、t-ブチルアミン(塩基性有機化合物)0.15mLを滴下した。次いで、密閉したオートクレーブを180℃で36時間加熱した後、室温まで冷却した。
(2)酸化セリウムナノ結晶(金属酸化物ナノ結晶)の配列膜の作製及びその配列膜被覆基板の製造
次いで、上澄み溶液を遠心分離(5500rpm、60分間)して、固体不純物を除去した。その上澄み液を濾紙上に配置したTEMグリッド(基板)上に滴下して、グリッド上に酸化セリウムナノ結晶の配列膜を作製した。上澄み液中の溶媒は直ちに濾紙に吸収されて除去された。TEMグリッドはカーボンで被覆した銅(メッシュをコロジオン膜で支持した構造)からなる。
(3)酸化セリウムナノ結晶(金属酸化物ナノ結晶)配列膜被覆基板の透過型電子顕微鏡(TEM)による測定
酸化セリウムナノ結晶の形態及びその配列について、透過型電子顕微鏡を用いて解析した。
図3(a)及び(b)は、実施例1における2種類の領域の200nm×200nmの範囲のTEM像、電子回折スポット像(右下)、及びTEM像の2次元パターンのFFT像(右上)を示す。
図3(a)では、TEM像の酸化セリウムナノ結晶は略正方形又は略長方形を示している。略正方形の像は上述の通り、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が(200)面を基板に平行にして配置していることを示しており、他方、略長方形の像は、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が(220)面を基板に平行にして配置していることを示している。このTEM像の観察結果は電子回折スポット像にそれぞれ、(200)面及びそれと等価な面のスポット、(220)面及びそれと等価な面のスポットが現れていることで確認することができる。また、目視では立方形状の頂点が面取りされた(111)面に対応する明確なスポット(すなわち、多面形状の酸化セリウムナノ結晶に対応するスポット)は現れていなかった。
また、TEM像から酸化セリウムナノ結晶が略四方格子状に配列していることがわかるが、このことはFFT像が4回対称パターンを示していることで確認することができる。
また、この観察領域での酸化セリウムナノ結晶のサイズは、80%以上が6.3±1.0nmの範囲内であった。
図3(b)においても、TEM像の酸化セリウムナノ結晶は略正方形又は略長方形を示している。
また、TEM像から酸化セリウムナノ結晶が略六方格子状に配列していることがわかるが、このことはFFT像が6回対称パターンを示していることで確認することができる。
また、この観察領域での酸化セリウムナノ結晶のサイズは、80%以上が5.8±1.0nmの範囲内であった。
他の2000個の領域を観察した結果、実施例1の酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の配列膜は、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が四方格子状に配列した領域と六方格子状に配列した領域とからなり、四方格子状に配列した領域と六方格子状に配列した領域の比は1:2であった。
[実施例2]
実施例2は、合成温度を200℃にした以外は実施例1と同じ条件で作製した。
図4(a)は、実施例2の200nm×200nmの範囲のTEM像、電子回折スポット像(右下)、及びTEM像の2次元パターンのFFT像(右上)を示す。
図4(a)では、電子回折スポット像に、(200)面及びそれと等価な面のスポット、(220)面及びそれと等価な面のスポットが現れている。また、(111)面に対応するスポットは現れていなかった。
また、FFT像が4回対称パターンを示している。これは、TEM像からもわかるが、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が四方格子状に配列している領域を示すものである。
実施例2の他の領域において六方格子状に配列している領域もあった。
従って、実施例2の酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の配列膜は、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が四方格子状に配列した領域と六方格子状に配列した領域とからなることがわかった。
[実施例3]
実施例3は、合成温度を220℃にした以外は実施例1と同じ条件で作製した。
図4(b)は、実施例2の200nm×200nmの範囲のTEM像、電子回折スポット像(右下)、及びTEM像の2次元パターンのFFT像(右上)を示す。
図4(b)では、電子回折スポット像に、(200)面及びそれと等価な面のスポット、(220)面及びそれと等価な面のスポットが現れている。また、(111)面に対応するスポットは現れていなかった。
また、FFT像が4回対称パターンを示している。これは、TEM像からもわかるが、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が四方格子状に配列している領域を示すものである。
実施例3の他の領域において六方格子状に配列している領域もあった。
従って、実施例3の酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の配列膜は、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が四方格子状に配列した領域と六方格子状に配列した領域とからなることがわかった。
[比較例1]
比較例1は、合成温度を160℃にした以外は実施例1と同じ条件で作製した。
図4(c)は、実施例2の200nm×200nmの範囲のTEM像、電子回折スポット像(右下)、及びTEM像の2次元パターンのFFT像(右上)を示す。
図4(c)では、(111)面に対応するスポットが現れている。
また、FFT像が6回対称パターンを示している。
比較例1の酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の配列膜においては、多面形状の酸化セリウムナノ結晶からなる領域が存在していた。
図5に、OLA/Ceを10:1にした以外は実施例1と同じ条件で作製した、本発明の実施例4〜6と比較例2のTEM像、電子回折スポット像、及びTEM像の2次元パターンのFFT像を示す。
[実施例4]
実施例4は、OLA/Ceを10:1にした以外は実施例1と同じ条件で作製した。
図5(a)は、実施例2の200nm×200nmの範囲のTEM像、電子回折スポット像(右下)、及びTEM像の2次元パターンのFFT像(右上)を示す。
図5(a)では、電子回折スポット像に、(200)面及びそれと等価な面のスポット、(220)面及びそれと等価な面のスポットが現れている。また、(111)面に対応するスポットは現れていなかった。
また、FFT像が4回対称パターンを示している。
実施例4の酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の配列膜において、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が四方格子状に配列していることがわかった。
実施例4の他の領域において六方格子状に配列している領域もあった。
従って、実施例4の酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の配列膜は、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が四方格子状に配列した領域と六方格子状に配列した領域とからなることがわかった。
[実施例5]
実施例5は、合成温度を200℃にした以外は実施例4と同じ条件で作製した。
図5(b)は、実施例2の200nm×200nmの範囲のTEM像、電子回折スポット像(右下)、及びTEM像の2次元パターンのFFT像(右上)を示す。
図5(b)では、電子回折スポット像に、(200)面及びそれと等価な面のスポット、(220)面及びそれと等価な面のスポットが現れている。また、(111)面に対応するスポットは現れていなかった。
また、FFT像が6回対称パターンを示している。
実施例5の酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の配列膜において、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が六方格子状に配列していることがわかった。
実施例5の他の領域において四方格子状に配列している領域もあった。
従って、実施例5の酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の配列膜は、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が四方格子状に配列した領域と六方格子状に配列した領域とからなることがわかった。
[実施例6]
実施例6は、合成温度を220℃にした以外は実施例4と同じ条件で作製した。
図5(c)は、実施例2の200nm×200nmの範囲のTEM像、電子回折スポット像(右下)、及びTEM像の2次元パターンのFFT像(右上)を示す。
図5(c)では、電子回折スポット像に、(200)面及びそれと等価な面のスポット、(220)面及びそれと等価な面のスポットが現れている。また、(111)面に対応するスポットは現れていなかった。
また、FFT像が6回対称パターンを示している。
実施例6の酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の配列膜において、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が六方格子状に配列していることがわかった。
実施例6の他の領域において四方格子状に配列している領域もあった。
従って、実施例6の酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の配列膜は、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が四方格子状に配列した領域と六方格子状に配列した領域とからなることがわかった。
[比較例2]
比較例2は、合成温度を160℃にした以外は実施例4と同じ条件で作製した。
図5(d)は、実施例2の200nm×200nmの範囲のTEM像、電子回折スポット像(右下)、及びTEM像の2次元パターンのFFT像(右上)を示す。
図5(d)では、(111)面に対応するスポットが現れている。
また、FFT像が4回対称パターンを示している。
比較例2の酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の配列膜においては、多面形状の酸化セリウムナノ結晶からなる領域が存在していた。
[実施例7]
図6(a)及び(b)は、実施例7における2種類の領域のTEM像、電子回折スポット像、及びTEM像の2次元パターンのFFT像を示す。
実施例7は、合成時間を48時間にした以外は実施例3と同じ条件で作製した。
図6(a)は、実施例7の200nm×200nmの範囲のTEM像、電子回折スポット像(右下)、及びTEM像の2次元パターンのFFT像(右上)を示す。
図6(a)では、電子回折スポット像に、(200)面及びそれと等価な面のスポット、(220)面及びそれと等価な面のスポットが現れている。また、(111)面に対応するスポットは現れていなかった。
また、FFT像が4回対称パターンを示している。
図6(b)では、TEM像の酸化セリウムナノ結晶は略正方形又は略長方形を示しており、多角形状のものはない。
また、FFT像が6回対称パターンを示している。
従って、実施例7の酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の配列膜は、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が四方格子状に配列した領域と六方格子状に配列した領域とからなることがわかった。
[実施例8]
図7(a)及び(b)は、実施例8における2種類の領域のTEM像、電子回折スポット像、及びTEM像の2次元パターンのFFT像を示す。
実施例8は、合成時間を48時間にした以外は実施例6と同じ条件で作製した。
図7(a)では、TEM像の酸化セリウムナノ結晶は略正方形又は略長方形を示しており、多角形状のものはない。
また、FFT像が4回対称パターンを示している。
図7(b)は、電子回折スポット像に、(200)面及びそれと等価な面のスポット、(220)面及びそれと等価な面のスポットが現れている。また、(111)面に対応するスポットは現れていなかった。
また、FFT像が6回対称パターンを示している。
従って、実施例8の酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の配列膜は、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が四方格子状に配列した領域と六方格子状に配列した領域とからなることがわかった。
[比較例3]
図8(a)に、OLA/Ceを4:1にし、合成時間を24時間にした以外は実施例1と同じ条件で作製した比較例3のTEM像を示す。
TEM像からわかるように、酸化セリウムナノ結晶のサイズのばらつきが大きく、その形状も立方形状のものがある領域が一部にあるが、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が四方格子状に配列した領域と六方格子状に配列した領域とからなる膜を形成していなかった。
[比較例4]
図8(b)に、OLA/Ceを6:1にし、合成時間を24時間にした以外は実施例1と同じ条件で作製した比較例4のTEM像を示す。
TEM像からわかるように、酸化セリウムナノ結晶のサイズのばらつきは比較例3ほどではないが、実施例よりも酸化セリウムナノ結晶のサイズが大きく、膜中に、酸化セリウムナノ結晶が存在していない領域もあり、立方形状の酸化セリウムナノ結晶が四方格子状に配列した領域と六方格子状に配列した領域とからなる膜を形成していなかった。
[比較例5]
図8(c)に、OLA/Ceを8:1にし、合成時間を24時間にした以外は実施例1と同じ条件で作製した比較例5の300nm×300nmの範囲のTEM像、電子回折スポット像(右下)、及びTEM像の2次元パターンのFFT像(右上)を示す。
図8(c)では、(111)面に対応するスポットが現れている。
また、FFT像が4回対称パターンを示している。
比較例5の酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の配列膜においては、多面形状の酸化セリウムナノ結晶からなる領域が存在していた。
[比較例6]
図9に、OLA/Ceを8:1にし、合成時間を72時間にした以外は実施例1と同じ条件で作製した、200nm×200nmの範囲のTEM像、及び電子回折スポット像を示す。
図9では、TEM像から、膜中に酸化セリウムナノ結晶が存在していない領域が多数あり、(111)面に対応するスポットが現れている。
比較例6の酸化セリウムナノ結晶配列膜被覆基板の配列膜においては、多面形状の酸化セリウムナノ結晶からなる領域が存在していた。
本発明に係る金属酸化物ナノ結晶、金属酸化物ナノ結晶配列膜、金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板は、触媒、燃料電池、センサー、薄膜キャパシタ等に利用することができる。

Claims (13)

  1. 金属塩の水溶液の上部に、前記水溶液よりも比重の小さい非極性有機溶媒及び有機界面活性剤の混合溶液を加えて二相に分離後に、前記二相のうちの上相に塩基性有機化合物を添加した溶液を加熱して合成することを特徴とする金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
  2. 前記金属塩が、セリウム塩、インジウム塩、鉄塩、コバルト塩、チタン塩、ジルコニウム塩、バリウム塩、及びストロンチウム塩の群から選択されたことを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
  3. 前記非極性有機溶媒がトルエン及びヘキサンの群から選択され、前記有機界面活性剤がオレイン酸、デカン酸などのカルボン酸、ポリエチレンイミン(PEI)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(HTAB)、及びポリエチレンソルビタントリオレアーテ(Tween−85)の群から選択され、前記塩基性有機化合物がt-ブチルアミン、へプチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オレイルアミン、及びヘキサメチレンテトラミンなどのアミン類の群から選択されたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
  4. 前記セリウム塩が硝酸セリウムであり、前記非極性有機溶媒がトルエンであり、前記有機界面活性剤がオレイン酸であり、前記塩基性有機化合物がt-ブチルアミンであることを特徴とする請求項3に記載の金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
  5. 前記合成を、前記オレイン酸の濃度:前記セリウムの濃度=7:1〜12:1とし、前記合成の温度を180〜220℃とし、前記合成の時間を30〜60時間として行うことを特徴とする請求項4に記載の金属酸化物ナノ結晶の製造方法。
  6. 請求項1〜5に記載の金属酸化物ナノ結晶の製造方法によって製造された金属酸化物ナノ結晶を含む前記上相を、基板上に滴下する工程と、
    滴下した前記上相の溶媒を吸収して除去する工程と、
    を備えたことを特徴とする金属酸化物ナノ結晶配列膜の作製方法。
  7. 前記溶媒の除去を、吸湿部材を用いて行うことを特徴とする請求項6に記載の金属酸化物ナノ結晶配列膜の作製方法。
  8. 前記吸湿部材が濾紙であることを特徴とする請求項7に記載の金属酸化物ナノ結晶配列膜の作製方法。
  9. 基板と、
    請求項6〜8のいずれか一項に記載の金属酸化物ナノ結晶配列膜の作製方法によって前記基板上に作製された金属酸化物ナノ結晶配列膜と、を備えたことを特徴とする金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板の製造方法。
  10. 前記基板が、FTO、ITO、ガラス、シリコン、金属、セラミックス、ポリマー、紙、ゴム、及び、低耐熱性基材の群から選択されたことを特徴とする請求項9に記載の金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板の製造方法。
  11. 基板と、
    該基板上に、立方形状の金属酸化物ナノ結晶が四方格子状に配列した領域と六方格子状に配列した領域とからなる金属酸化物ナノ結晶膜と、を備えたことを特徴とする金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板。
  12. 前記金属酸化物ナノ結晶が酸化セリウムナノ結晶であり、前記四方格子状に配列した領域と前記六方格子状に配列した領域の比が3:1〜1:3であることを特徴とする請求項11に記載の金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板。
  13. 前記基板が、FTO、ITO、ガラス、シリコン、金属、セラミックス、ポリマー、紙、ゴム、及び、低耐熱性基材の群から選択されたことを特徴とする請求項11又は12のいずれかに記載の金属酸化物ナノ結晶配列膜被覆基板。
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