JP2011136400A - 切断刃清浄装置、フィルム積層体のハーフカット装置、および、切断刃清浄方法 - Google Patents

切断刃清浄装置、フィルム積層体のハーフカット装置、および、切断刃清浄方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルム積層体のハーフカットにあたり、タクトタイムの短縮に寄与する切断刃清浄装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る清浄装置3は、偏光フィルム、粘着層および保護フィルムを少なくとも含むフィルム積層体2のうち、偏光フィルムおよび粘着層を切断する切断刃4の切断刃清浄装置であり、有機溶剤を吸着可能な多孔質の清浄部9と、清浄部9を保持する保持部10と、清浄部9の一部および有機溶剤を収容する収容部11とを備え、多孔質の清浄部9は、切断刃4によって切断可能である。
【選択図】図2

Description

本発明は、切断刃清浄装置、フィルム積層体のハーフカット装置、および、切断刃清浄方法に関するものである。
従来、光学表示装置は、液晶テレビ、コンピュータディスプレイ、携帯端末機器、携帯ゲーム機器、電卓、時計等の表示部に広く用いられている。光学表示装置は、液晶パネルに偏光フィルムが貼合されることにより製造される。
上記偏光フィルムには、液晶パネルとの貼合に必要な粘着層が塗布されており、上記粘着層は保護フィルムに覆われることによって保護されている。すなわち、液晶表示装置の製造には、3層構成のフィルム積層体が用いられることが一般的である。
上記フィルム積層体から保護フィルムが除去された後に、偏光フィルムと、液晶パネルとが貼合されるが、枚葉状の液晶パネルに対して、上記偏光フィルムは長尺であるため、貼合前に、保護フィルムを切断せずに偏光フィルムおよび粘着層を切断することが必要である。すなわち、フィルム積層体をハーフカットする必要がある。
フィルム積層体をハーフカットする際には、偏光フィルムが切断されることによってフィルム屑が生じる。また、偏光フィルムと共に粘着層も切断されるため、偏光フィルムを切断する切断刃に粘着層の粘着剤が付着するという問題がある。また、上記フィルム屑および粘着剤は、偏光フィルムと液晶パネルとの間に混入し得る。その結果、歩留まりが低下することにより液晶表示パネル1枚当りのタクトタイムが長時間化する。
そこで、簡単な構成であり、フィルム積層体を高品質にハーフカットすることが可能なハーフカット装置が提案されている。具体的には、特許文献1および2に開示されたハーフカット装置が挙げられる。これらのハーフカット装置によれば、ハーフカットの際に偏光フィルムからの発生するフィルム屑の量を減少させることが可能である。
特開2006‐334715号公報(2006年12月14日公開) 特開2007‐260865号公報(2007年10月11日公開)
しかしながら、上記従来のハーフカット装置では、光学表示装置の製造においてタクトタイムが依然として長時間化するという問題を有している。
具体的には、特許文献1および2に開示されたハーフカット装置によれば、フィルム屑の発生量を減少可能であるものの、フィルム屑の発生自体を解消することはできない。さらに、偏光フィルムには粘着層が塗布されているため、ハーフカット装置において切断に用いられる切断刃には粘着剤が付着していくこととなる。したがって、ハーフカットを繰り返すに従い、フィルム屑および粘着剤によって切断刃が汚染され、切断の質が低下すると共に切断刃の寿命も短くなる。
さらに、切断刃に汚染が生じると、ハーフカット装置を含む製造システム置全体を停止させて、オペレータによって切断刃を清浄(清掃)または交換する必要がある。その結果、大幅に製造システムの稼働率が低下してしまうため、タクトタイムが長時間化する。さらには、切断刃にフィルム屑が付着していることにより、製品にフィルム屑が混入し得るため、歩留まりが低下するという他の問題も生じる。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その主たる目的は、フィルム積層体のハーフカットにあたり、タクトタイムの短縮に寄与する切断刃清浄装置を提供することにある。
本発明の切断刃清浄装置は、上記課題を解決するために、偏光フィルム、粘着層および保護フィルムを少なくとも含むフィルム積層体のうち偏光フィルムおよび粘着層を切断する切断刃の切断刃清浄装置において、有機溶剤を吸着可能な多孔質の清浄部と、上記清浄部を保持する保持部と、清浄部の一部および有機溶剤を収容する収容部とを備え、上記多孔質の清浄部は、上記切断刃によって切断可能であることを特徴としている。
上記の切断刃清浄装置における清浄部は有機溶剤を吸着可能であり、切断刃によって切断可能である。本発明に係る切断刃清浄装置は、液晶表示装置の製造において、切断刃の清浄に使用可能であり、上記清浄部を切断刃によって切断することによって、切断刃が清浄部の切断面と接触し、切断刃に付着したフィルム屑および粘着剤などを清浄することができる。すなわち、切断刃の清浄を行うことができる。上記の清浄は、切断刃の切断動作中に行うことが可能であり、清浄のために切断刃を停止させる必要がない。従って、本発明に係る切断刃清浄装置によれば、液晶表示装置の製造において、切断刃の清浄に起因するタクトタイムの長時間化を回避し、タクトタイムの短縮が可能である。
また、本発明の切断刃清浄装置では、上記切断刃の刃先方向に対する垂直面において、清浄部の中心軸を中心として上記保持部を回転させることによって清浄部を回転させる駆動部を備えることが好ましい。
上記切断刃清浄装置によれば、上記駆動部によって、清浄部を切断刃の刃先方向に対して垂直方向に回転させることができる。当該回転動作がなされることによって、清浄部のうち切断されていない新たな面を切断刃に対して配置することができる。このように、切断刃に対する清浄部の面を変更することによって、清浄部を繰り返し切断に用いることができる。すなわち、清浄部の交換頻度を抑制できるため、非常に好ましい。
また、本発明のフィルム積層体のハーフカット装置では、フィルム積層体の幅方向に沿って、上記フィルム積層体を支持する支持台と、上記支持台に支持されたフィルム積層体のうち偏光フィルムおよび粘着層を切断する切断刃と、上記切断刃清浄装置とを備え、上記支持台が上記切断刃清浄装置を備えており、上記清浄部が切断刃の走行線上に配置されていることが好ましい。
本発明のフィルム積層体のハーフカット装置では、切断刃の走行線上に清浄部が配置されているため、切断刃によって偏光フィルムを切断すると共に、清浄部をも切断することができる。上記の構成によれば、偏光フィルムの切断と、清浄部による切断刃の清浄とを一連に行うことができ、ハーフカット装置を停止させることなく、短時間での清浄が可能である。
本発明の切断刃清浄方法は、上記課題を解決するために、偏光フィルム、粘着層および保護フィルムを少なくとも含むフィルム積層体のうち偏光フィルムおよび粘着層を切断する切断刃の切断刃清浄方法において、フィルム積層体の幅方向に沿って、上記フィルム積層体を支持し、支持されたフィルム積層体のうち偏光フィルムおよび粘着層を切断刃によって切断し、切断刃の走行線に沿って配置された、有機溶剤を吸着した多孔質の清浄部を切断刃によって切断することによって当該切断刃を清浄することを特徴としている。
上記清浄部は有機溶剤を吸着可能である。本発明に係る切断刃清浄方法は、液晶表示装置の製造において、切断刃を清浄するために使用可能であり、上記清浄部を切断刃によって切断することによって、切断刃を清浄部の切断面と接触させることができる。これによって、切断刃に付着したフィルム屑および粘着剤などを清浄することができる。すなわち、切断刃の清浄を行うことができる。上記の清浄は、切断刃の切断動作中に行うことが可能であり、清浄のために切断刃を停止させる必要がない。従って、本発明に係る切断刃清浄方法によれば、液晶表示装置の製造において、切断刃の清浄に起因するタクトタイムの長時間化を回避し、タクトタイムの短縮が可能である。
また、本発明の切断刃清浄方法では、上記清浄部を切断刃によって切断した後、切断刃の刃先方向に対する垂直方向に上記清浄部を回転させることが好ましい。
上記切断刃清浄方法によれば、清浄部を切断刃の刃先方向に対して垂直方向に回転させるため、清浄部のうち切断されていない新たな面を切断刃に対して配置することができる。このように、切断刃に対する清浄部の面を変更することによって、清浄部を繰り返し切断に用いることができる。すなわち、清浄部の交換頻度を抑制できるため、非常に好ましい。
本発明の切断刃清浄装置は、以上のように、偏光フィルム、粘着層および保護フィルムを少なくとも含むフィルム積層体のうち偏光フィルムおよび粘着層を切断する切断刃の切断刃清浄装置において、有機溶剤を吸着可能な多孔質の清浄部と、上記清浄部を保持する保持部と、清浄部の一部および有機溶剤を収容する収容部とを備え、上記多孔質の清浄部は、上記切断刃によって切断可能であるものである。
また、本発明の切断刃清浄方法は、以上のように、偏光フィルム、粘着層および保護フィルムを少なくとも含むフィルム積層体のうち偏光フィルムおよび粘着層を切断する切断刃の切断刃清浄方法において、フィルム積層体の幅方向に沿って、上記フィルム積層体を支持し、支持されたフィルム積層体のうち偏光フィルムおよび粘着層を切断刃によって切断し、切断刃の走行線に沿って配置された、有機溶剤を吸着した多孔質の清浄部を切断刃によって切断することによって当該切断刃を清浄する方法である。
それゆえ、上記両発明によれば、上記清浄部を切断刃によって切断することによって、切断刃を清浄部の切断面と接触させ、切断刃に付着したフィルム屑および粘着剤などを清浄することができる。すなわち、切断刃の清浄を行うことができる。上記の清浄は、切断刃の切断動作中に行うことが可能であり、清浄のために切断刃を停止させる必要がない。従って、本発明に係る切断刃清浄装置によれば、液晶表示装置の製造において、切断刃の清浄に起因するタクトタイムの長時間化を回避し、タクトタイムの短縮が可能である。
本実施の形態に係る光学表示装置の製造システムを示す断面図である。 本実施の形態に係る清浄装置を側面方向から示した断面図である。 本実施の形態に係るハーフカット装置を示す斜視図である。
本発明の一実施形態について図1ないし図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。まず、本実施の形態に係る切断刃清浄装置が使用される光学表示装置の製造システムについて説明する。
〔光学表示装置の製造システム〕
図1は、光学表示装置の製造システム(以下、単に「製造システム」と適宜略す)を示す断面図である。本実施の形態に係る製造システム20は、大別すると、下部に示すフィルム搬送部と上部に示す液晶パネル搬送部を備えている。
まず、ガイドロールを介してフィルム積層体2(偏光フィルム2aおよび保護フィルム2bを含む)を搬送するフィルム搬送部について説明する。フィルム搬送部には、巻出部1、清浄装置3、切断刃4、支持台14、ナイフエッジ5および巻取部1aが備えられている。以下、各部材について説明する。
巻出部1は、偏光フィルムを含むフィルム積層体2を巻き出す部材であり、公知の巻出部を用いることができる。本実施の形態において、フィルム積層体2を巻き出す速度、張力等は適宜調整すればよい。巻出部1のサイズは、使用するフィルム積層体2のサイズによって適宜変更すればよく、特に限定されるものではない。例えば、フィルム積層体2のフィルム幅が300mm以上、1200mm以下であり、上記フィルム積層体2を保持可能な巻出部1を用いればよい。
フィルム積層体2は、一般的に3層構造になっており、公知の偏光フィルムの構造を採用できる。フィルム積層体2は、偏光フィルム2a、図示しない粘着層および保護フィルム2bから構成されている。具体的には、偏光子フィルムの両面に保護フィルムとしてTAC(トリアセチルセルロース)フィルム等が貼合されており、さらに一方または両方のTACフィルムに粘着剤を介して、保護フィルムが積層された構成となっている。フィルム積層体2としては、一方のTACフィルムに保護フィルム2bが積層された構成となっているが、両方のTACフィルムに保護フィルムが積層されていてももちろんよい。
上記偏光子フィルムとしては、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素等によって染色がなされており、1軸方向に延伸されたフィルムを用いることができる。また、上記ポリビニルアルコールフィルムに代えて、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルム等、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム等を使用することもできる。
偏光フィルム2aおよび保護フィルム2bの総厚さは、特に限定されないが、100μm以上、500μm以下とすることができる。なお、偏光フィルム2aのうち偏光子フィルムの厚さは、概して10μm以上、50μm以下である。さらに、フィルム積層体2の実用上、問題ない範囲にて上記3層以外にさらに他の層を含んでいてもよい。
粘着層は、保護フィルム2bが除去された後に、偏光フィルム2aと液晶パネル7とを貼合するために用いられる。粘着層に用いられる粘着剤としては、特に限定されるものではなく、アクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系などの粘着剤を用いることができるが、保護フィルム2bから剥離し易い必要がある。このため、保護フィルム2bに応じて粘着剤の種類は選択される。なお、粘着剤層の厚さは適宜変更すればよく、例えば、0.5μm以上、75μm以下とすることができる。
保護フィルム2bとしては公知の保護フィルムを用いればよい。具体的には、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルムなどを用いることができる。上記剥離フィルムの厚さとしては、特に限定されないが、5μm以上、100μm以下の剥離フィルムを好ましく用いることができる。なお、保護フィルム2bは、一般的に剥離フィルム、セパレータなどと称されることもあり、同義である。
フィルム積層体2は各ガイドロールを介して巻き出されるが、液晶パネル7は枚葉状であるため、貼合前に長尺の偏光フィルムおよび粘着層を切断する必要がある。すなわち、フィルム積層体2をハーフカットする必要がある。ハーフカットを行うための部材が、切断刃4および支持台14である。また、支持台14には、切断刃4を清浄する清浄装置(切断刃清浄装置)3が備えられている。これらについては、図2および図3を用いてより詳細に説明する。
ナイフエッジ5は、フィルム積層体2から保護フィルム2bを除去するための部材である。ナイフエッジ5はその側面の形状として三角形形状を有しており、ナイフエッジ5の底面(斜面)は保護フィルム2b側に沿って配置されている。粘着層および保護フィルム2b間の剥離力は小さく設計されている。一方、ナイフエッジ5は、保護フィルム2bと摩擦力を生じ難い材料で構成されている。このため、保護フィルム2bは、ナイフエッジ5に沿って移動することとなる。ナイフエッジ5を構成する材料としては、金属材料、樹脂材料等が適用可能であり、特に制限されないが、ステンレス、アルミニウム、樹脂材料などの使用が耐蝕性の点より推奨される。
次に、製造システム20の上部に備えられた液晶パネル搬送部について説明する。液晶パネル搬送部では、液晶パネル7が偏光フィルム2aとの貼合のために搬送される。
液晶パネル7としては、公知の液晶パネルを用いることができ、例えば、ガラス基板などの基板と液晶層との間に配向膜が配置された液晶パネルを使用可能である。
搬送ローラ8は、液晶パネル7、および、偏光フィルム2aが貼合された液晶パネル7を搬送する部材である。搬送ローラ8は、液晶パネル7を搬送することができればよく、搬送ローラ8に代えてロボットアームなどの他の構成を用いてもよい。
フィルム搬送部および液晶パネル搬送部の間には、ニップロール6・6a(部材番号間における「・」は「および」を意味する)が配置されている。ニップロール6・6aは、搬送された偏光フィルム2aおよび液晶パネル7を貼合する部材である。ニップロール6・6aは相対距離を変更可能な構成を有しており、偏光フィルム2aの粘着層面および液晶パネル7を圧着することによって貼合を行う。貼合時におけるニップロール6・6aの圧力および温度は、粘着剤の種類、偏光フィルム2aの厚さなどに応じて適宜調整すればよい。
〔清浄装置〕
上記製造システム20に備えられた清浄装置3について図2を用いて説明する。図2は、清浄装置3を側面方向から示した断面図である。清浄装置3には、清浄部9、保持部10、収容部11および駆動部12が備えられている。
清浄部9は、多孔質であり、有機溶剤を吸着可能な構造を有している。すなわち、清浄部9には無数の細孔が形成されている。さらに、清浄部9は、切断刃4によって切断可能である。清浄部9は、フィルム屑、粘着剤などが付着した切断刃4が清浄部9を切断することによって清浄部9に吸着された有機溶剤によって切断刃4を清浄するものである。
このように、清浄部9は有機溶剤を吸着する必要があるため、一定の細孔を有する必要がある。清浄部9の多孔度が小さい場合、有機溶剤の吸着量が小さくなるおそれがある。一方、多孔度が大きすぎる場合、清浄部9の硬度が低下するおそれがある。
硬度が低下すると、切断刃4が清浄部9を切断した後、切断刃4と清浄部9の切断面とが接触し難くなる。その結果、切断刃4に有機溶剤が接触し難くなるため好ましくない。
上記の要素を考慮すると、清浄部9の多孔度は、80%以上、98%以下であることが好ましく、90%以上、96%以下であることがさらに好ましい。
なお、清浄部9の多孔度P(%)は、細孔を含めた清浄部9の全体積をVとし、細孔の全体積をVとし以下の式(1)にて表すことができる。また、多孔度P(%)は、清浄部9を構成する純物質の密度(ポリエチレンなど)および見掛け密度を用いて以下の式(2)にて表すこともできる。
P(%)=V/V×100・・・式(1)
P(%)=(純物質の密度−見掛け密度)/純物質の密度×100・・・式(2)
また、清浄部9は、切断刃4によって切断可能である必要がある。このため、清浄部9の硬さを25%圧縮硬さで示した場合、0.005MPa以上、0.500MPa以下であることが好ましい。清浄部9の見かけ密度は、0.01g/cm以上、0.300g/cm以下である。
上記のような物性を有する清浄部9を構成する材料としては、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリスチレン、メラミンなどの発泡素材が挙げられる。上記発泡素材は化学架橋剤による発泡方法、放射線による発泡方法などの公知の方法によって製造することができる。また、市販品を用いてもよい。これらの発泡素材には、切断刃4により切断された後に、フィルム屑を生じ難いという利点がある。清浄部9の厚さとしては、特に限定されないが、一例として、1mm以上、50mm以下とすることができる。
図2における清浄部9の形状は平坦な円柱構造である。円柱構造は回転対称な構造であるため好ましい。すなわち、切断刃4によって清浄部9を切断した後、清浄部9を回転させたとしても切断刃4に対する清浄部9の面(面の角度など)を一定に保持することができる。しかしながら、他の形状、例えば、直方体、立方体などの形状であっても、清浄装置3による清浄作用を得ることは可能である。
保持部10は清浄部9を保持する部材であり、清浄部9の周囲を覆う形状を有している。図2のように、具体的形状として円筒状の形状を示すが、保持部10の形状は特に限定されるものではない。また、保持部10には、有機溶剤を清浄部9に接触させるために、開口部が形成されていてもよい。保持部10の上面は清浄部9を完全に覆っておらず、清浄部9が側面に突出している。上位形状により、切断刃4が清浄部9のみを切断し、保持部10の切断を回避可能とすることが可能である。保持部10を構成する材料は、有機溶剤によって腐食されなければ特に限定されるものではなく、例えば、ステンレス鋼を挙げることができる。
収容部11は、清浄部9の一部および有機溶剤を収容する部材である。本構成によれば、収容部11において清浄部9が有機溶剤を吸着することができる。清浄装置3において使用可能な有機溶剤としては、(1)清浄部9(清浄部9の細孔)に吸着可能であり、(2)粘着剤を清浄可能、すなわち、粘着剤を溶解可能であり、(3)清浄部9を溶解しないものであればよい。(3)に関しては事前に溶解性試験を行い、容易に確認可能である。
上記(1)〜(3)を考慮し、粘着剤の種類によって有機溶剤が適宜選択される。有機溶剤の具体例としては、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N‐メチルピロリドン、アセトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンなどの公知の有機溶剤を使用することができる。また、上記有機溶剤は単独または2種以上を混合して使用してもよい。なお、図2に示すように、収容部11には保持部10も収容される構造としてもよい。
清浄装置3によれば、有機溶剤を吸着した清浄部9が切断刃4によって切断されることによって、切断刃4の清浄がなされる。すなわち、切断刃4の切断動作中に切断刃4の清浄を行うことができる。一般的に、切断刃の清浄は、ハーフカット装置を含む製造システム全体を停止させた後、オペレータによってなされる。これに対して、本実施の形態に係る清浄装置3によれば、切断動作中の切断刃4を清浄することが可能であるため、図3に示すハーフカット装置21を含む製造システム20全体を停止させることなく、切断刃4の清浄が可能である。すなわち、清浄に係る時間を大きく短縮でき、光学表示装置の製造においてタクトタイムを短縮できる。
清浄装置3は、好ましい形態として駆動部12を備えている。駆動部12は回転可能な機構を有しており、回転軸12aを介して保持部10と連結している。駆動部12としては、モータ等を採用することができる。駆動部12は、回転することによって保持部10を回転させることができ、切断刃4の刃先方向に対する垂直面において、清浄部9の中心軸を中心として保持部10を回転させる。これにより、清浄部9をも回転させることができる。なお、図2では、清浄部9の中心軸は、回転軸12aに沿って配置されている。
清浄部9を切断刃4によって切断した後、当該回転動作がなされることによって、清浄部9のうち切断されていない新たな面を切断刃4に対して配置することができる。このように、切断刃4に対する清浄部9の面を変更することによって、清浄部9を繰り返し清浄に用いることができ、清浄部9の交換頻度を抑制できるため、非常に好ましい。
〔ハーフカット装置および切断刃清浄方法〕
上述した清浄装置3を備えるハーフカット装置21について図3を用いて説明する。図3は、ハーフカット装置21を示す斜視図である。ハーフカット装置21は、フィルム積層体2のうち偏光フィルム2aを切断する装置であり、支持台14、切断刃4および清浄装置3を備えている。
以下、ハーフカット装置21の構成および動作と共に、本実施の形態に係る切断刃清浄方法について説明する。当該方法は、フィルム積層体の幅方向に沿って、フィルム積層体を支持し、支持されたフィルム積層体のうち偏光フィルムおよび粘着層を切断刃によって切断し、切断刃の走行線に沿って配置された、有機溶剤を吸着した多孔質の清浄部を切断刃によって切断することによって、切断刃4を清浄する方法である。上記方法は、ハーフカット装置21の動作によって理解されるが、上記方法はハーフカット装置21を用いずとも実施可能である。
支持台14は、偏光フィルム2aを切断刃4によって切断する際に、フィルム積層体2を支持する部材である。また、切断刃4は、移動台13上に配置されている。切断刃4は、偏光フィルム2aを切断可能であれば特に限定されず、直線状の平刃を用いることも可能であるが、フィルム屑を発生させ難い観点から丸刃であることが好ましい。また、丸刃を用いる場合、回転することによって切断を行う回転型を用いてもよいが、非回転型の丸刃を用いることが好ましい。非回転型であれば、切断刃4の一部が磨耗した場合、切断刃4の位置を変更することにより、磨耗していない部分にて偏光フィルム2aの切断を行うことができる。すなわち、切断刃4を長期間に亘り使用可能である。
本実施の形態では、切断刃4として丸刃を用いている。一例として、丸刃の外径は、10mm以上、150mm以下であり、丸刃の厚さは0.3mm以上、2.0mm以下である。
移動台13は、フィルム積層体2の幅方向に沿って移動する構成であり、切断刃4を移動させる部材である。ハーフカットがなされる際には、フィルム積層体2の巻き出しが停止され、移動台13によって切断刃4がフィルム積層体2の幅方向に移動される。切断刃4は、刃の深さがフィルム積層体2のうち偏光フィルム2aおよび粘着層に接触する位置に配置され、フィルム積層体2の幅方向に沿った切断刃4の走行線15に沿って偏光フィルム2aのみを切断することができる。このように、切断刃4はフィルム積層体2の幅方向に移動できればよいため、移動台13に代えて、ロボットアームなどを用いることもできる。
清浄装置3は、走行線15上に沿って配置されている。より詳細には、清浄装置3は、保持部10から突出した清浄部9を切断刃4が切断可能な位置に配置されている。このため、駆動部12および回転軸12aは、支持台14に埋め込まれており(図2の破線から右側部分に相当する)、清浄部9、保持部10および収容部11が支持台14の表面から露出している(図2に示す破線から左側部分に相当する)。
移動台13の移動によって、切断刃4によって偏光フィルム2aおよび粘着層を切断した後、走行線15に沿って配置された清浄部9を切断刃4によって切断する。清浄部9は有機溶剤が吸着されているため、上記切断と共に、清浄部9(詳細には、清浄部9の切断面)によって切断刃4が清浄される。清浄部9の切断は、清浄部9を往復してなされてもよいし、一方の方向にのみなされてもよい。
本実施の形態に係るハーフカット装置21では、切断刃4の走行線15上に清浄部が配置されているため、切断刃4によって偏光フィルム2aおよび粘着層を切断すると共に、清浄部9をも切断することができる。上記の構成によれば、偏光フィルム2aおよび粘着層の切断と、清浄部9による切断刃4の清浄とを一連に行うことができ、ハーフカット装置21を停止させることなく、短時間での清浄が可能である。
偏光フィルム2aおよび粘着層が切断された後には、フィルム積層体2が一定間隔だけ送り出され、再度、フィルム積層体2の巻き出しが停止される。この場合、清浄装置3側に位置する切断刃4が初期位置の方向へ移動することにより、偏光フィルム2aおよび粘着層の切断がなされる。ハーフカット装置21では、清浄装置3は、支持台14の一方の端部に配置されているが、支持台14の両端部に配置されていてもよい。両端部に備えられていることによって、切断刃4の清浄を行う頻度が上がるため、切断刃4をより清浄に保たれる。
また、本実施の形態に係る切断刃清浄方法では、清浄部9を切断刃4によって切断した後、切断刃の刃先方向に対する垂直方向に清浄部9を回転させることが好ましい。これにより、清浄部9のうち切断されていない新たな面を切断刃4に対して配置することができる。このように、切断刃4に対する清浄部9の面を変更することによって、清浄部9を繰り返し清浄に用いることができ、清浄部9の交換頻度を抑制できるため、非常に好ましい。
以上、本実施の形態に係る清浄装置およびハーフカット装置について説明したが、これら発明は、切断刃による偏光フィルムの切断と、切断刃の清浄を一連の動作中に行うことに着眼して完成されたものである。すなわち、従来、当業者が想到しなかった新たな技術思想に基づく発明であることを付言する。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明に係る清浄装置は、偏光フィルムを切断する切断装置の部品として用いることが可能であり、本発明は、偏光フィルムと液晶パネルとを貼合する液晶表示装置の製造システムまたはハーフカット装置にて利用することが可能である。
1 巻出部
1a 巻取部
2 フィルム積層体
2a 偏光フィルム
2b 保護フィルム
3 清浄装置(切断刃清浄装置)
4 切断刃
5 ナイフエッジ
6・6a ニップロール
7 液晶パネル
8 搬送ローラ
9 清浄部
10 保持部
11 収容部
12 駆動部
13 移動台
14 支持台
15 走行線
21 ハーフカット装置(フィルム積層体のハーフカット装置)

Claims (5)

  1. 偏光フィルム、粘着層および保護フィルムを少なくとも含むフィルム積層体のうち偏光フィルムおよび粘着層を切断する切断刃の切断刃清浄装置において、
    有機溶剤を吸着可能な多孔質の清浄部と、
    上記清浄部を保持する保持部と、
    清浄部の一部および有機溶剤を収容する収容部とを備え、
    上記多孔質の清浄部は、上記切断刃によって切断可能であることを特徴とする切断刃清浄装置。
  2. 上記切断刃の刃先方向に対する垂直面において、清浄部の中心軸を中心として上記保持部を回転させることによって清浄部を回転させる駆動部を備えることを特徴とする請求項1に記載の切断刃清浄装置。
  3. フィルム積層体の幅方向に沿って、上記フィルム積層体を支持する支持台と、
    上記支持台に支持されたフィルム積層体のうち偏光フィルムおよび粘着層を切断する切断刃と、
    請求項1または2に記載の切断刃清浄装置とを備え、
    上記支持台が上記切断刃清浄装置を備えており、上記清浄部が切断刃の走行線上に配置されていることを特徴とするフィルム積層体のハーフカット装置。
  4. 偏光フィルム、粘着層および保護フィルムを少なくとも含むフィルム積層体のうち偏光フィルムおよび粘着層を切断する切断刃の切断刃清浄方法において、
    フィルム積層体の幅方向に沿って、上記フィルム積層体を支持し、
    支持されたフィルム積層体のうち偏光フィルムおよび粘着層を切断刃によって切断し、
    切断刃の走行線に沿って配置された、有機溶剤を吸着した多孔質の清浄部を切断刃によって切断することによって当該切断刃を清浄することを特徴とする切断刃清浄方法。
  5. 上記清浄部を切断刃によって切断した後、切断刃の刃先方向に対する垂直方向に上記清浄部を回転させることを特徴とする請求項4に記載の切断刃清浄方法。
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