JP2011134653A - 燃料電池用セパレータ、燃料電池用ガス流路層とこれらの製造方法 - Google Patents

燃料電池用セパレータ、燃料電池用ガス流路層とこれらの製造方法 Download PDF

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Masafumi Koizumi
雅史 小泉
Katsutoshi Fujisawa
克利 藤沢
Takashi Izeki
崇 伊関
Yuka Yamada
由香 山田
Kazuyuki Nakanishi
和之 中西
Yasuhiro Ozawa
康弘 小澤
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Abstract

【課題】可及的に安価で、耐食性に優れ、しかも、その構成素材である、基材、その表層の中間層、さらにその表層の外周層それぞれの密着性が良好で耐久性に優れた、燃料電池用セパレータと燃料電池用ガス流路層、それらの製造方法を提供する。
【解決手段】ステンレスからなる基材1と、該基材1表面に形成されたチタンからなる中間皮膜2と、該中間皮膜2表面に形成された炭素系素材からなる外周皮膜3と、からなる、燃料電池用セパレータ10である。同様のラミネート構造を呈した燃料電池用ガス流路層であってもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池セルを構成するセパレータやガス流路層と、これらの製造方法、これらを構成部材にもつ燃料電池に関するものである。
固体高分子型燃料電池の燃料電池セルは、イオン透過性の電解質膜と、該電解質膜を挟持するアノード側触媒層(電極層)およびカソード側触媒層(電極層)とからなる膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、該膜電極接合体に燃料ガスもしくは酸化剤ガスを提供するとともに電気化学反応によって生じた電気を集電するためのガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)とセパレータを少なくとも備えている。なお、MEAをGDLで挟持してなる膜電極接合体をMEGA(Membrane Electrode & Gas Diffusion Layer Assembly)と称することもできる。このセパレータは、各燃料電池セルを画成するとともにガス流路層となるものであり、このガス流路層がセパレータから分離された、いわゆるフラットタイプのセパレータも存在している。燃料電池スタックは、所要電力に応じてこの燃料電池セルを所定数だけ積層し、スタッキングすることによって形成されている。
上記する燃料電池では、アノード電極に燃料ガスとして水素ガス等が提供され、カソード電極には酸化剤ガスとして酸素や空気が提供され、各電極では、固有のガス流路層(エキスパンドメタルや金属発泡焼結体等)もしくはセパレータを介して面内方向にガスが流れ、次いでガス拡散層にて拡散されたガスが電極触媒層に導かれて電気化学反応がおこなわれるものである。
上記するセパレータに関してより詳細に説明すれば、その一方側にガス流路となる溝条(上記するガス流路溝)が直線形状や蛇行形状で形成され、その他方側には冷却媒体流路となる溝条が形成されており、たとえば膜電極接合体側(ガス拡散層側)に対向するセパレータ側面のガス流路溝を面内方向に酸化剤ガスや燃料ガスが流れ、その面内方向流れの過程でガス拡散層側へガスが提供され、ガス拡散層を介して膜電極接合体に拡散供給されるようになっている。
また、上記するフラットタイプのセパレータに関しては、2枚のプレート(カソード側プレートとアノード側プレート)の間に流路が形成されたプレート(中間層、中間プレート)が介層された3層構造のものや、中間層を樹脂製の枠材とし、2枚のプレートの一方から多数のディンプルや流路を画成するリブを突出させて冷却水流路を形成するものなどがあり(このような構造も3層構造のセパレータに含めることができる)、当該セル自体のアノード側もしくはカソード側のいずれか一方のセパレータであると同時に、燃料電池セルの積層姿勢において隣接するセルのアノード側もしくはカソード側の他方のセパレータとなるものである。すなわち、この3層構造セパレータを有する燃料電池セルのセル構成部材は、一つの3層構造セパレータと、アノード側およびカソード側のガス透過層(エキスパンドメタルや金属発泡焼結体などの金属多孔体からなるガス流路層)と、電極体(膜電極接合体およびガス拡散層)と、からなり、複数の燃料電池セルが積層された姿勢において、任意の燃料電池セルは、その両端にアノード側およびカソード側のセパレータを有することとなる。
上記するガス流路溝が形成されたセパレータ、3層構造のセパレータ、のいずれの形態であっても、その構成素材やその表面処理層には、耐食性や導電性が要求されることに変わりはない。
また、上記する3層構造セパレータを有する燃料電池セルにおいては、既述するエキスパンドメタル、金属発泡焼結体からなるガス流路層が、セパレータ−ガス拡散層間に介層された構造が適用されている。このガス流路層をエキスパンドメタルから形成する形態においても、セパレータと同様の良好な耐食性や導電性が当該エキスパンドメタルに要求されることは理解に易い。
ここで、燃料電池用セパレータの製造方法に関する従来の公開技術として、たとえば、特許文献1〜4を挙げることができる。
まず、特許文献1には、チタンからなるセパレータ基材表面に、当該基材よりも純度の高いチタンの中間層を設け、この中間層の表面にアークイオンプレーティングにてカーボン層(アモルファスカーボン層)を形成する燃料電池用セパレータやその製造方法が開示されている。このセパレータやこの製造方法によって製造されたセパレータによれば、耐食性が向上する、というものであるが、セパレータ基材やさらにはその表層の中間層にチタンを使用することでその製造コスト(材料コスト)が高価となり得ること、アークイオンプレーティング等のPVD法によってカーボンコーティングを実施した場合には、物理的蒸着ゆえにカーボン粒子径が大きくなり易く、結果として形成されたカーボン層の残留応力が比較的高くなってしまい、このことがセパレータの耐久性の低下に繋がってしまうこと、などの課題が危惧される。
一方、特許文献2には、その段落0008には、ステンレス基材の表面上に金からなる中間層が形成され、その表面に炭素系膜が形成されたセパレータが開示されている。このセパレータにおいては、中間層に高価な金が使用されていることで、セパレータの量産に不適であること、さらには、炭素系膜中にチタン等の合金が含有されるとする記載があるが、このような炭素系膜は燃料電池の発電環境下において酸化(腐食)される可能性があることから、改善の余地があるものである。
特許文献3には、チタンやステンレスからなるクラッド基材表面に、浸炭処理、窒化処理、浸ケイ処理等を施して、導電性および耐食性を付与した燃料電池用セパレータの開示がある。この技術に関し、本発明者等による検証(TiCに対しては腐食試験前後のXPS分析、TiNに対してはグロー放電元素分析等)によれば、TiCやTiNが酸化してともにTiO層がセパレータ表面に形成されること、これにより、たとえば、TiCの場合には、スタッキング時の締結圧を模擬した1MPaの圧縮力作用時において、腐食試験前には4mΩであった接触抵抗が、腐食試験後には3700mΩ程度にまで増加することが実証されている。一方、TiNの場合には、1Vの定電位耐久試験(50時間で、pH4,80℃の条件)において、腐食前は10mΩcm未満であった接触抵抗が、腐食試験後には1000mΩcmよりも大きくなることが実証されている。
特許文献4には、チタンを含むステンレス基材を窒化処理し、その表層にTiN層が形成された燃料電池用セパレータが開示されているが、このセパレータにおいても、上記する特許文献3と同様の課題が生じ得ることは理解に易い。
なお、上記する、チタンから形成された基材、ステンレスから形成された基材に関し、双方の耐食性に言及するに、ステンレスの場合は、燃料電池環境における電位によっては、たとえば電位が0ボルト付近、電位が1ボルト付近で溶解し易いこと、この溶解領域の間の電位環境では、ステンレスを構成するクロムが酸化して酸化クロムの膜を形成して不動態化状態となり、この領域では腐食が抑制されるものである。この不動態化状態は、ステンレス基材がpHの高い環境下に置かれることで、溶解に至り得る電位が低下して不動態化の範囲が狭くなることも分かっている。これに対してチタンからなる基材の場合には、たとえば通常の燃料電池環境である、上記する0〜1ボルトの電位領域の全領域に亘ってチタンは不動態化状態となっていることから、ステンレスからなる基材に比して耐食性能に優れている。
特開2008−204876号公報 特開2007−134107号公報 特開2000−323148号公報 特開2003−331861号公報
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、可及的に安価で、耐食性に優れ、しかも、その構成素材である、基材、その表層の中間皮膜、さらにその表層の外周皮膜それぞれの密着性が良好で耐久性に優れた、燃料電池用セパレータと燃料電池用ガス流路層、さらには、それらの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による燃料電池用セパレータは、燃料電池用のセパレータであって、前記セパレータは、ステンレスからなる基材と、該基材表面に形成されたチタンからなる中間皮膜と、該中間皮膜表面に形成された炭素系素材からなる外周皮膜と、からなるものである。
本発明者等によれば、ステンレスとチタン、チタンと炭素系素材、それぞれの密着性はともに良好であること、基材にステンレスを使用することで、基材にチタンを使用する場合に比して製造コスト(材料コスト)を格段に廉価とできること、ステンレス自体の有する耐食性に加えて、チタンからなる中間皮膜の有する耐食性が付加されることでセパレータの有する耐食性が格段に向上すること、が実証されている。
たとえば、ステンレスからなる基材の厚みが0.1mm程度、その表層に形成されたチタン皮膜の厚みが数十nm〜数μmに調整されている場合には、チタンから基材が形成される従来の形態に比して、チタン使用量は1/100〜1/1000程度に抑制でき、上記する材料コストの低減に繋がる。
また、炭素系素材とは、主として炭素(カーボン)単体を指称しているが、炭素と他の元素との化合物を排除するものではない。ステンレスからなる基材、チタンからなる中間皮膜、の双方が炭素系素材からなる外周皮膜で包囲されていることで、ステンレスを構成する鉄、クロム等、中間皮膜を形成するチタン、それぞれの金属イオン溶出量を効果的に抑止できることもまた、本発明者等によって実証されている。
さらに、カーボンからなる外周皮膜にピンホールが存在する場合を例示するに、仮にチタンからなる中間皮膜が存在しない従来の形態においては、このピンホールを起点として基材内にも孔食が進展し、これがガスリーク路となり得る危険性がある。これに対して、チタンからなる中間皮膜が基材表面に存在する本発明のセパレータでは、ピンホールを介してチタン層が酸化してなる酸化チタンが、このピンホールのバリア作用を奏することとなり、基材への孔食が効果的に抑止されることから、セパレータの耐食性、耐久性の向上に繋がるものである。
なお、本発明のセパレータは、既述するように、ガス流路溝を備えたセパレータ、いわゆる3層構造のフラットタイプのセパレータ、の双方をその対象とするものであり、3層構造のセパレータの場合には、その両側2枚のプレートがともに、上記する3層のラミネート構造を呈するものである。
また、ステンレスからなる基材、チタンからなる中間皮膜、炭素系素材からなる外周皮膜のラミネート構造は、燃料電池セルを構成する上記セパレータに加えて、ガス流路層(ガス透過層)にも適用することができる。
すなわち、実際のガス流路層は、エキスパンドメタルからなるもの、金属発泡焼結体からなるもの、の双方が存在しているが、本発明においては、上記ラミネート構造の面材をせん断加工して多孔構造のエキスパンドメタルとしたガス流路層をその対象とするものである。
上記するセパレータをアノード側およびカソード側に有する燃料電池セル、上記するガス流路層をアノード側およびカソード側に有する燃料電池セル、上記するセパレータおよびガス流路層の双方をアノード側およびカソード側に有する燃料電池セルを製造し、これを積層させ、スタッキングすることで本発明の燃料電池が形成できる。この燃料電池においては、その構成部材であるセパレータ、および/またはガス流路層の耐食性が高く、しかも可及的にその製造コストが廉価であることから、燃料電池自体の耐食性、耐久性の向上、製造コストの低減に繋がるものである。
また、本発明による燃料電池用セパレータの製造方法は、ステンレスからなる基材と、該基材表面に形成されたチタンからなる中間皮膜と、該中間皮膜表面に形成された炭素系皮膜と、からなる、燃料電池用セパレータの製造方法であって、前記基材表面に、PVD法もしくは溶射法にてチタンからなる中間皮膜を形成する第1の工程、前記中間皮膜表面に、プラズマCVD法にて炭素系素材からなる外周皮膜を形成する第2の工程、からなるものである。
たとえば純チタンを使用して中間皮膜を基材表面に形成する第1の工程では、アークイオンプレーティングやスパッタリング等のPVD法、もしくは溶射法を適用する(真空蒸着、低真空蒸着、定圧蒸着のいずれであってもよい)。PVD法等にてチタンを基材表面に蒸着させることで、薄層の中間皮膜を基材表面に形成することが可能となる。なお、純チタンを蒸着させるに際し、化学分解された元素の蒸着を図るCVD法が適用できないことは言うまでもないことである。
基材表面に形成された中間皮膜に対し、今度は、プラズマCVD法を適用して、少なくとも炭素元素を有する適宜の有機ポリマーから炭素元素を化学分解させ、当該炭素元素を中間皮膜表面に蒸着させる。プラズマCVD法を適用して炭素を中間皮膜表面に蒸着させることで、極めて緻密で薄層のカーボンからなる外周皮膜を形成することが可能となる。
また、既述する従来工法のように、PVD法を適用してカーボン層を形成するものでないことから、外周皮膜内で相対的に粒子径の大きな炭素が堆積し、その結果として残留応力が高くなり、外周皮膜の耐久低下に繋がるといった問題は生じ得ない。なお、CVD法によって炭素皮膜を形成した場合の該皮膜中の残留応力が0.1〜数GPaであるのに対して、これをPVD法にて形成した場合の残留応力は1〜数十GPaであり、10倍程度もの応力差が存在することが本発明者等によって特定されている。
さらに、緻密なカーボンからなる外周皮膜が形成されることで、これが、たとえば燃料電池環境下でセパレータやエキスパンドメタルの内部に侵入し得る、H、SO 2−、Clなどのイオンの侵入バリアとなり得る。したがって、基材や中間皮膜の溶解や溶出を効果的に抑止することにも繋がる。
さらに、本発明による燃料電池用ガス流路層の製造方法として、上記するセパレータの製造方法を適用することができ、同様に、耐食性、耐久性に優れたガス流路層(エキスパンドメタル)が得られるものである。
以上の説明から理解できるように、本発明の燃料電池用セパレータ、燃料電池用ガス流路層によれば、基材がステンレスから形成され、可及的に薄層のチタンからなる中間皮膜が基材表面に形成され、この中間皮膜表面に、チタン、ステンレスを構成する鉄やクロムなどの溶出を抑制する炭素系素材の外周皮膜が形成されていることで、耐食性、耐久性に優れたセパレータ、ガス流路層を得ることができる。また、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法、燃料電池用ガス流路層の製造方法によれば、中間皮膜をプラズマPVD法もしくは溶射法にて形成し、外周皮膜をプラズマCVD法にて形成することで、薄層のチタンからなる中間被膜を形成でき、さらには、緻密で薄層のカーボンからなる外周皮膜を形成することができるため、可及的に安価で、耐食性および耐久性に優れたセパレータ、ガス流路層、ひいては燃料電池を製造することができる。
(a)〜(c)の順に、本発明のセパレータの製造方法を概説したフロー図である。 本発明によるセパレータもしくはガス流路層(実施例)と、比較例と、に関し、双方の定電位耐久試験(溶出試験)の結果を示したグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図示例は、基材、中間皮膜、外周皮膜からなるラミネート構造を呈したセパレータの製造方法を概説したものであるが、同様のラミネート構造を呈するエキスパンドメタル(ガス流路層)の製造方法にも適用できることは勿論のことであり、エキスパンドメタルの製造方法においては、3層のラミネート構造の面材が製造され、これをせん断加工することで、多孔構造のガス流路層が製造されることになる。
図1は、図1a、b、cの順に、本発明のセパレータの製造方法を概説したフロー図である。
まず、図1aで示すように、ステンレスからなる基材1を用意する。ここで、このステンレスとしては、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト二相系、析出硬化系、などのうちのいずれであってもよく、したがって、Fe−Cr合金のクロム鋼、Fe−Cr−Ni合金のクロム−ニッケル鋼のいずれか一種を使用でき、SUS201、202、301〜305、316,317、329、403、405、420,430などのうちのいずれか一種を使用できる。
この用意される基材1は、通常一般に用いられているセパレータと同程度の厚みである、0.1〜0.5mm程度のものを使用できる。
用意された基材1表面に対し、PVD法(真空蒸着であるのが好ましい)を用いて、薄層でチタンからなる中間皮膜2を形成する(図1b参照、第1の工程)。
ここで、中間皮膜2の厚みは、基材1の厚みが0.1mm程度であるのに対して、10nm〜1μmの厚みに形成することができる。なお、この中間皮膜の厚み管理は、JIS H 8501中の蛍光X線式試験方法や、(FE−)SEM(走査電子顕微鏡)を使用した断面観察等などによって実施できるが、前者による管理が非破壊で測定が容易であることから好ましい。
この中間皮膜2を形成するチタンは、たとえば電位が0〜1V程度の燃料電池環境下において不動態化状態を維持できる等の観点から、純チタンを使用するのが望ましい。
高耐食性のチタンからなる中間皮膜2の厚みが上記範囲程度(基材1に対して格段に薄厚)に調整されていることで、ステンレス等に比して高価なチタン量を可及的に低減することができ、ステンレスからなる基材1の有する耐食性に中間皮膜2の有する耐食性が付与され、一層耐食性に優れたセパレータが得られる。
また、この中間皮膜2は、後述するカーボンからなる外周皮膜にたとえば局所的なピンホールが存在する場合でも、これを起点として孔食がステンレス基材1へ進展するのを効果的に抑止できるという効果をも奏するものである。
第1の工程において、基材1の表面に薄層のチタンからなる中間皮膜2が形成されたら、次に、プラズマCVD法を適用して、中間皮膜2の表面に炭素系素材(カーボン)からなる外周皮膜を形成し(図1c参照、第2の工程)、セパレータ10が製造される。
このプラズマCVD法の適用に際し、たとえば炭化水素を用意し、これをプラズマCVD法にて化学分解してなるカーボンを、中間皮膜2の表面に厚さ10nm〜1μmで蒸着させるものである。
プラズマCVD法を適用することで、PVD法に比して一層緻密なカーボン層(外周皮膜3)を形成することができる。したがって、燃料電池環境下でセパレータ内部に侵入し得る、H、SO 2−、Clなどのイオンに対して遮断性の高い侵入バリアを形成できるため、基材1や中間皮膜2の溶解や溶出を効果的に抑止することが可能となる。
製造されるセパレータ10は、1枚の面材の一方面にガス流路溝が形成され、面材の他方面に冷却媒体流路溝が形成される形態、2枚の面材(のそれぞれが図示するセパレータ10である)の間にガス流路が形成された、いわゆるフラットタイプの3層構造セパレータの形態、のいずれであってもよい。
[本発明によるセパレータもしくはガス流路層(実施例)と、比較例と、に関する定電位耐久試験(溶出試験)と、その結果]
本発明者等は、硫酸ベースの燃料電池環境模擬溶液を用意し、この中に、図1cで示すセパレータ10(もしくはエキスパンドメタル)を浸漬させ、さらに、別途、2種類のセパレータ(比較例1,2)を用意して同様に上記模擬溶液に浸漬させ、実施例、比較例1,2を構成する金属素材の金属イオン溶出量を測定した。
より具体的には、600mLの模擬溶液内に実施例、比較例1,2を浸漬させ、1(V vs.SHE)の設定電位のもと、評価時間を100時間とし、各サンプル面積を20cmとして、ICP分析装置(株式会社堀場製作所製)を使用して、各種金属イオンの溶出量を測定した。
ここで、実施例の試験体は、SUS316Lからなる基材と、その表層にチタンからなる中間皮膜がスパッタリングされ、その表層にカーボンからなる外周被膜がプラズマCVD法にて形成されたものである。一方、比較例1は、SUS316Lからなる基材と、その表層にチタンからなる外周皮膜が形成されたものである。さらに、比較例2は、SUS316Lからなる基材のみからなるものである。溶出量を測定した結果を図2に示している。
同図より、比較例1では、チタン層が外周皮膜であることから、その溶出量が6000〜7000ppb程度に及び、さらには、ステンレス基材の構成成分であるFe,Cr,Niの溶出量も1000ppb前後にまで至っている。
また、比較例2においては、チタン層が存在せず、ステンレス基材がむき出しになっていることより、その構成成分の溶出量は比較例1よりも多くなっており、ステンレス基材の有する耐食性が著しく低減することが理解できる。
一方、チタンからなる中間皮膜、緻密なカーボンからなる外周皮膜を有する実施例では、この外周皮膜による溶出抑止作用により、チタンの溶出量は比較例1の1/60〜1/70程度にまで抑えることができ、ステンレス基材においては、クロム、ニッケルの溶出が検出されないという結果が得られた。
この実験結果より、本発明による、ステンレス基材、チタンからなる中間皮膜、緻密なカーボンからなる外周皮膜のラミネート構造を呈するセパレータ(もしくはエキスパンドメタル)においては、燃料電池環境下において、構成素材の金属イオンの溶出が効果的に抑制され、耐食性、耐久性に優れたセパレータもしくはエキスパンドメタルとなることが実証された。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…基材、2…中間皮膜、3…外周皮膜、10…セパレータ

Claims (6)

  1. 燃料電池用のセパレータであって、
    前記セパレータは、ステンレスからなる基材と、該基材表面に形成されたチタンからなる中間皮膜と、該中間皮膜表面に形成された炭素系素材からなる外周皮膜と、からなる、燃料電池用セパレータ。
  2. 燃料電池用のエキスパンドメタルからなるガス流路層であって、
    前記ガス流路層は、ステンレスからなる基材と、該基材表面に形成されたチタンからなる中間皮膜と、該中間皮膜表面に形成された炭素系素材からなる外周皮膜と、からなる、燃料電池用ガス流路層。
  3. 請求項1に記載のセパレータをアノード側およびカソード側に具備する燃料電池セルが積層されてなる、燃料電池。
  4. 請求項2に記載のガス流路層をアノード側およびカソード側に具備する燃料電池セルが積層されてなる、燃料電池。
  5. ステンレスからなる基材と、該基材表面に形成されたチタンからなる中間皮膜と、該中間皮膜表面に形成された炭素系皮膜と、からなる、燃料電池用セパレータの製造方法であって、
    前記基材表面に、PVD法もしくは溶射法にてチタンからなる中間皮膜を形成する第1の工程、
    前記中間皮膜表面に、プラズマCVD法にて炭素系素材からなる外周皮膜を形成する第2の工程、からなる、燃料電池用セパレータの製造方法。
  6. ステンレスからなる基材と、該基材表面に形成されたチタンからなる中間皮膜と、該中間皮膜表面に形成された炭素系皮膜と、からなる、燃料電池用ガス流路層の製造方法であって、
    前記基材表面に、PVD法もしくは溶射法にてチタンからなる中間皮膜を形成する第1の工程、
    前記中間皮膜表面に、プラズマCVD法にて炭素系素材からなる外周皮膜を形成する第2の工程、からなる、燃料電池用ガス流路層の製造方法。
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