JP2011133417A - 活性酸素種濃度測定用センサーを用いた皮膚化粧料用抗酸化物質の簡便なスクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】選択的かつ迅速にスーパーオキシドアニオンラジカル消去能を評価できる皮膚化粧料用抗酸化物質のスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】疑似角質層細胞間脂質モデルに抗酸化物質を加えて試料とし、該試料に紫外線を照射してスーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーによりそのスーパーオキシドアニオンラジカル強度を測定して、ブランクの疑似角質層細胞間脂質モデルのスーパーオキシドアニオンラジカル強度と対比し評価することを特徴とし、抗酸化能を有する機能性化粧品や皮膚外用薬などの開発および肌における酸化・抗酸化レベルの簡便なスクリーニング方法を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】疑似角質層細胞間脂質モデルに抗酸化物質を加えて試料とし、該試料に紫外線を照射してスーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーによりそのスーパーオキシドアニオンラジカル強度を測定して、ブランクの疑似角質層細胞間脂質モデルのスーパーオキシドアニオンラジカル強度と対比し評価することを特徴とし、抗酸化能を有する機能性化粧品や皮膚外用薬などの開発および肌における酸化・抗酸化レベルの簡便なスクリーニング方法を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、皮膚化粧料用抗酸化物質の簡便なスクリーニング方法に関するものである。
基底状態の酸素 (O2) が一電子還元されたスーパーオキシドアニオンラジカル(O2 -・)をはじめとする活性酸素種(ROS: Reactive Oxygen Species)は生体内の恒常性を維持するために必要不可欠な因子である。しかし、生体内でROSの生成と消去のバランスが崩れて、酸化ストレス状態になると、O2 -・から派生するヒドロキシラジカル (・OH)や過酸化水素 (H2O2) など、より反応性の高いラジカル種が多量に生成され、老化および癌や炎症などの各種疾患を引き起こす要因となる。したがって、生体内の恒常性のバランスを保つ方法として、食品から抗酸化成分を効率良く摂取したり、化粧品組成物に抗酸化成分を配合することも必要となり、抗酸化物質の活性評価は大変重要であることが認識されてきている。特に、前述したように、ROSの発生源となるO2 -・の消去作用を有する抗酸化物質が注目されている。
抗酸化物質のスーパーオキシドアニオンラジカル消去能を評価する方法は数多く研究されており、シトクロムc(cyt.c)還元法やニトロブルーテトラゾリウム(NBT)還元法の吸光光度法、化学発光法、ESR法などがその代表的なものである(非特許文献1−4)。しかし、迅速性、選択性、簡便性および適用範囲の広さのすべてにおいて、満足のいく方法は確立されていない。
中野 念, 二木鋭雄, 浅田浩二,"活性酸素‐化学・生物学・医学‐",医歯薬出版株式会社, (1988)。
中野 稔, 浅田浩二, 大柳義彦,"活性酸素‐生物での生成・消去・作用の分子機構−",共立出版, (1996)。
F.Lisdat, B.Ge.E.Ehrentreich-Forster,R.Reszka, and F.W.Scheller, Anal.Chem., 71, 1359 (1997)。
浅田浩二, 中野 念, 柿沼カツ子,"活性酸素測定マニュアル",講談社サイエンティフィック, (1992)。
本発明が解決しようとする課題は、選択的かつ迅速にスーパーオキシドアニオンラジカル消去能を評価できる皮膚化粧料用抗酸化物質のスクリーニング方法を提供することである。
上記課題を解決するため本発明者が鋭意研究を重ねた結果、スーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーと疑似角質層細胞間脂質モデルを用いることにより、紫外線照射によって発生するスーパーオキシドアニオンラジカルを選択的、迅速かつ簡便に検出できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
本発明は以下の要旨にかかるものである。
(1) 疑似角質層細胞間脂質モデルに抗酸化物質を加えて試料とし、該試料に紫外線を照射してスーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーによりそのスーパーオキシドアニオンラジカル強度を測定して、ブランクの疑似角質層細胞間脂質モデルのスーパーオキシドアニオンラジカル強度と対比し評価することを特徴とする皮膚化粧料用抗酸化物質の簡便なスクリーニング方法。
(2) 疑似角質層細胞間脂質モデルが不飽和脂肪酸、中和剤および多価アルコールを含む脂質組成物であることを特徴とする(1)に記載のスクリーニング方法。
(3) 疑似角質層細胞間脂質モデルの構造がラメラ液晶構造であることを特徴とする(2)に記載のスクリーニング方法。
(4) 不飽和脂肪酸がオレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、アラキドン酸、イコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である(2)に記載のスクリーニング方法。
(5) 中和剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルギニン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン及びモノエタノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種である(2)に記載のスクリーニング方法。
(6) 多価アルコールがグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール及びペンチレングリコールなる群より選ばれる少なくとも1種である(2)に記載のスクリーニング方法。
(7) 水の濃度が10wt%以下である(2)に記載のスクリーニング方法。
(8) 水の濃度が20wt%以下である(2)に記載のスクリーニング方法。
(9) スーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーが導電性部材の表面に鉄ポルフィリン錯体の重合膜を形成してなるスーパーオキシドアニオンラジカル用電極、対極及び参照電極を含むスーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定センサーであることを特徴とする(1)に記載のスクリーニング方法。
(10) 鉄ポルフィリン錯体の重合物が、鉄5,10,15,20-テトラキス(3-チエニル)ポルフィリン(FeT3ThP)にN−メチルイミダゾールを軸配位子として導入した鉄ポルフィリン錯体の重合物であることを特徴とする(9)に記載のスクリーニング方法。
(11) スーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーが、電気絶縁性材料で調製された細管中に導電性部材を入れ、更にこの細管の外側を対極となる金属等の材料で被覆して対極部分とし、導電性部材端面上に金属ポルフィリン重合膜を形成させてなり、ニードルの形状であることを特徴とする(9)に記載のスクリーニング方法。
本発明により、皮膚化粧料用抗酸化物質を簡便かつ迅速にスクリーニングすることができる。
以下、本発明を実施するための形態を述べる。
本発明において対象となる抗酸化物質は、疑似角質層細胞間脂質モデル中で、紫外線照射され、スーパーオキシドアニオンラジカル濃度がスーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーで測定することにより、
皮膚酸化度を迅速かつ簡便に測定することができ、皮膚化粧料用の抗酸化物質をスクリーニングすることができる。
皮膚酸化度を迅速かつ簡便に測定することができ、皮膚化粧料用の抗酸化物質をスクリーニングすることができる。
疑似角質層細胞間脂質モデルを用いることによる作用機構としては、不飽和脂肪酸の不飽和度の増加とともにスーパーオキシドアニオンラジカルセンサーの電流増加量も増大したことから、疑似角質層細胞間脂質モデル中の不飽和脂肪酸の不飽和部位に紫外線照射によって発生した活性酸素種(例:一重項酸素、スーパーオキシドアニオンラジカル)が攻撃し、脂質過酸化の過程で誘導されるスーパーオキシドアニオンラジカルを検出していると考えられる。
本発明の疑似角質層細胞間脂質モデルとは、不飽和脂肪酸、中和剤、多価アルコール及び水かなり、ラメラ液晶構造のものである。疑似角質層細胞間脂質モデル中の不飽和脂肪酸が紫外線照射により過酸化脂質となって、スーパーオキシドアニオンラジカルが発生し、抗酸化物質のスーパーオキシドアニオンラジカル消去能を評価することができる。
疑似角質層細胞間脂質モデルの不飽和脂肪酸として、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、アラキドン酸、イコサペンタエン酸及びドコサヘキサエンからなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
疑似角質層細胞間脂質モデルにおける中和剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルギニン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン及びモノエタノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
疑似角質層細胞間脂質モデルにおける多価アルコールとして、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール及びペンチレングリコールなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
疑似角質層細胞間脂質モデル中の水の濃度は、20wt%以下、好ましくは15wt%以下、より好ましくは10wt%以下である。
ラメラ液晶構造の疑似角質層細胞間脂質モデルは、不飽和脂肪酸を溶解した多価アルコール溶液に、中和剤を含む水溶液を攪拌下滴下することで調製される。
本発明では抗酸化物質のスクリーニングを行うために、疑似角質層細胞間脂質モデルに抗酸化物質を加えて、紫外線を照射し、スーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーでスーパーオキシドアニオンラジカルの強度を測定するが、紫外線の照射の条件は以下のとおりである。
紫外線照射条件としては、紫外線ランプを測定試料を入れた石英セルから0.5cmから30cmの距離に設置し、照射時間は1から30秒である。
本発明で用いるスーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーは、スーパーオキシドアニオンラジカルの強度を測定できるものであれば特に限定されないが、例えば鉄ポルフィリン錯体の重合物を電極触媒とした電気化学センサーを挙げることができる。
すなわち、スーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーが導電性部材の表面に鉄ポルフィリン錯体の重合膜を形成してなるスーパーオキシドアニオンラジカル用電極、対極及び参照電極を含むスーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定センサーである。
本発明で用いるスーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーのスーパーオキシドアニオンラジカル用電極(以下、「電極」とする)は、導電性部材の表面に鉄ポルフィリン錯体の重合膜を形成してなるものである。
本発明の電極を構成する導電性部材としては、一般に電極用として使用される部材であれば特に制限なく使用でき、例えばグラッシーカーボン(Glassy Carbon:GC)、グラファイト、パイロリティックグラファイト(PG)、ハイリーオリエンティッドパイロリティックグラファイト(HOPG)、活性炭等のカーボン類、又は白金、金、銀等の貴金属、又はIn2O3/SnO2(ITO)等を使用することができるが、特に経済性、加工性、軽量性などを考慮して、グラッシーカーボンを用いることが好ましい。
また、導電性部材の形状は、電極として使用できる形状であれば特には制限はなく、円柱状、角柱状、ニードル状、繊維(ファイバー)状等の各種形状とすることができる。
鉄ポルフィリン錯体としては、鉄5,10,15,20-テトラキス(3-チエニル)ポルフィリン(FeT3ThP)にN−メチルイミダゾールを軸配位子として導入した鉄ポルフィリン錯体を挙げることができるが、その他にはマンガン{5,10,15,20−テトラキス(2−メチルピリジル)ポルフィリン}、マンガン{5,10,15,20−テトラキス(4−メチルピリジル)ポルフィリン}、鉄{5,10,15,20−テトラキス(2−メチルピリジル)ポルフィリン}、鉄{5,10,15,20−テトラキス(4−メチルピリジル)ポルフィリン}等を挙げることができる。
導電性部材の表面に上記の鉄ポルフィリン錯体の重合膜を形成させるには、電解重合法、溶液重合法、不均一重合法等の各種重合法を用いることができる。このうち電解重合法を用いて重合膜を形成するのが好ましく、具体的には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等の有機溶媒中、テトラブチルアンモニウムパークロレート(TBAP:Bu4NClO4)、テトラプロピルアンモニウムパークロレート(TPAP:Pr4NClO4)、テトラエチルアンモニウムパークロレート(TEAP:Et4NClO4)等適当な支持電解質を加え、導電性部材を作用極、白金(Pt)電極等の貴金属電極、チタン電極、カーボン類電極、ステンレス綱電極等の不溶性電極を対極、飽和カロメル電極(SCE)、銀−塩化銀電極等を参照極として、2電極(作用極−対極)式電解、あるいは3電極(作用極−対極−参照極)式の定電位、定電流、可逆電位掃引、パルス式の電解等を行い、重合させることにより導電性部材の表面に鉄ポルフィリン重合膜を形成させることができる。
スーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーに用いられる対極の構成材料としては特に限定されないが、白金、金、銀等の貴金属、チタン、ステンレス綱、鉄−クロム合金等の耐食性合金、カーボン類等の材料を使用することができるが、対極を生体と接触させることもあるため、安全性の高い材料(例えば白金、金、銀等の貴金属、チタン、ステンレス綱、カーボン類等)で構成することが好ましい。
スーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーに用いられるアースの構成材料としては特に限定されないがしては、白金、金、銀等の貴金属、チタン、ステンレス鋼、鉄クロム合金等の耐食性合金、カーボン類等の材料を使用することができる。
活性酸素測定用センサーの構造は特に限定されないが、図1に示したようにニードル型の電極とすることにより取り扱いが容易となり、好ましい。
図1(A)は、ニードル型電極の説明図であり、6は対極用配線、7はアース用配線、4はニードル型の電極である。
図1(B)はニードル型の電極4の断面図であり、1は対極部分、2は鉄ポルフィリン錯体の重合膜が形成された導電性部材、3は電気絶縁性材料、5はアース部分である。
スーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーを用いて、疑似角質層細胞間脂質モデルのスーパーオキシドアニオンラジカル濃度を測定するに方法を図2に基づいて説明する。4はニードル型の電極、8は測定試料を入れる石英セル、9は測定試料。10はUVランプ、11はポテンシオスタット、7はX−Yレコーダーを示す。
測定試料(抗酸化物質を配合した疑似角質層細胞間脂質モデル)9を石英セル8に入れ、UVランプ10で紫外線を照射し、ニードル型電極4を用いて、鉄ポルフィリン錯体の重合膜を表面に形成した導電性部材2と対極1との間の酸化電位差を測定することによりスーパーオキシドアニオンラジカルの強度を測定することができ、抗酸化物質の抗酸化能をブランクのスーパーオキシドアニオンラジカル強度と比較することにより効率的に皮膚化粧料用抗酸化物質をスクリーニングすることができる。
参考例1
擬似角質層細胞間脂質モデルの調製
本発明では表皮最外層である角質層の角質層細胞間脂質構造に着目し、その電気化学的検出に適した擬似モデルを作製し、構造確認した。以降、この作製したモデルを用いて、in vitro におけるスーパーオキシドアニオンラジカル(以下、O2 -・と表記する)センサーによる酸化ストレスとして紫外線を照射した際のO2 -・の電気化学的検出を試みた。
擬似細胞間脂質モデルの組成を表1に示す。
擬似角質層細胞間脂質モデルの調製
本発明では表皮最外層である角質層の角質層細胞間脂質構造に着目し、その電気化学的検出に適した擬似モデルを作製し、構造確認した。以降、この作製したモデルを用いて、in vitro におけるスーパーオキシドアニオンラジカル(以下、O2 -・と表記する)センサーによる酸化ストレスとして紫外線を照射した際のO2 -・の電気化学的検出を試みた。
擬似細胞間脂質モデルの組成を表1に示す。
擬似角質層細胞間脂質モデルは以下のように調製した。
(1) 20 mLビーカーにL-アルギニン5 gを採り、注射用水5 gを加えた。
(2) 30 mLビーカーにグリセリン6.25 gを採り、エチレングリコール18.75 gを加え攪拌した。
(3) 100 mLビーカーにリノール酸3.215 g、オレイン酸11.78 gを採り攪拌しながら、(2)を少しずつ加えた。
(1) 20 mLビーカーにL-アルギニン5 gを採り、注射用水5 gを加えた。
(2) 30 mLビーカーにグリセリン6.25 gを採り、エチレングリコール18.75 gを加え攪拌した。
(3) 100 mLビーカーにリノール酸3.215 g、オレイン酸11.78 gを採り攪拌しながら、(2)を少しずつ加えた。
(4) (3)を攪拌しながら、90℃以上で溶解させた(1)を少しずつ加えた。
(5) (4)をよく攪拌した後、500 mLビーカーに移し変えて真空脱泡したのち、Ar置換して遮光保存した。
(5) (4)をよく攪拌した後、500 mLビーカーに移し変えて真空脱泡したのち、Ar置換して遮光保存した。
擬似角質層細胞間脂質モデルの構造評価
作製した擬似角質層細胞間脂質モデルについて光学顕微鏡およびSAXSを用いて構造確認を行った。
作製した擬似角質層細胞間脂質モデルについて光学顕微鏡およびSAXSを用いて構造確認を行った。
図3に偏光顕微鏡で観察した結果を示す。作製した擬似角質層細胞間脂質モデルは、ラメラ構造特有の偏光性を示すことが明らかとなり、ラメラ構造を有することが確認された。
擬似角質層細胞間脂質モデルのラメラ構造の確認として、SAXSを用いて測定した。
図4に擬似細胞間脂質モデルのSAXS測定結果を示す。図4より、小角散乱領域での第一散乱ピークと第二散乱ピークの比率は1 : 1/2 であった。このことから、ラメラ構造を形成していることが確認された。
以上のことから、作製した擬似角質層細胞間脂質モデルが実際の角質層細胞間脂質と同じラメラ構造をとることが、光学偏光顕微鏡およびSAXS測定により明らかになった。
図4に擬似細胞間脂質モデルのSAXS測定結果を示す。図4より、小角散乱領域での第一散乱ピークと第二散乱ピークの比率は1 : 1/2 であった。このことから、ラメラ構造を形成していることが確認された。
以上のことから、作製した擬似角質層細胞間脂質モデルが実際の角質層細胞間脂質と同じラメラ構造をとることが、光学偏光顕微鏡およびSAXS測定により明らかになった。
実施例1
擬似角質層細胞間脂質モデル中のスーパーオキシドアニオンラジカル(O 2 - ・)の電気化学的検出
図1に示した構造のO2 -・センサー(鉄ポルフィリン錯体:鉄5,10,15,20-テトラキス(3-チエニル)ポルフィリンにN−メチルイミダゾールを軸配位子として導入した鉄ポルフィリン錯体の重合物)を用いて、参考例1の疑似角質層細胞間脂質モデルに紫外線を照射した際のO2 -・の検出を試みた。
擬似角質層細胞間脂質モデル中のスーパーオキシドアニオンラジカル(O 2 - ・)の電気化学的検出
図1に示した構造のO2 -・センサー(鉄ポルフィリン錯体:鉄5,10,15,20-テトラキス(3-チエニル)ポルフィリンにN−メチルイミダゾールを軸配位子として導入した鉄ポルフィリン錯体の重合物)を用いて、参考例1の疑似角質層細胞間脂質モデルに紫外線を照射した際のO2 -・の検出を試みた。
(測定方法)
(1) 石英セルに調製した脂質モデルをつめて、図2に示すような2電極式セルを組み立て、O2 -・センサーを作用極として +0.5 V vs. ステンレスの電圧を印加した。
(2) クロノアンペロメトリーにより紫外線(紫外線ランプ:理工科学産業(株)・低圧水銀ランプ32LB−ランプ)照射(照射条件:紫外線ランプの位置は測定試料を入れた石英セルから1.5cmの距離に設置し、照射時間は5秒)した際の電流値変化を観測した。
(1) 石英セルに調製した脂質モデルをつめて、図2に示すような2電極式セルを組み立て、O2 -・センサーを作用極として +0.5 V vs. ステンレスの電圧を印加した。
(2) クロノアンペロメトリーにより紫外線(紫外線ランプ:理工科学産業(株)・低圧水銀ランプ32LB−ランプ)照射(照射条件:紫外線ランプの位置は測定試料を入れた石英セルから1.5cmの距離に設置し、照射時間は5秒)した際の電流値変化を観測した。
(結果)
O2 -・センサーを疑似角質層細胞間脂質モデルに挿入し、+0.5 V vs.ステンレスの電圧を印加して紫外線照射した際の電流値の変化を図5に示す。
O2 -・センサーを疑似角質層細胞間脂質モデルに挿入し、+0.5 V vs.ステンレスの電圧を印加して紫外線照射した際の電流値の変化を図5に示す。
図5から明らかなように、紫外線の照射開始と同時に電流が増加し、その後緩やかに減衰した。これよりO2 -・センサーを用いて脂質モデル中のO2 -・測定が可能であることが考えられる。対照実験として、注射用水中での測定結果を図6に示す。注射用水中では、照射に伴う若干のノイズと思われるベースラインの変化はあるが、紫外線照射しても図5のような電流値の増加は見られなかった。以上よりO2 -・の発生には脂質が関与していることが明らかとなった。
実施例2
TBA法による脂質の酸化評価とO 2 - ・センサーによる電流増加の観測結果との相関性
紫外線照射による疑似角質層細胞間脂質モデルの酸化の程度について、チオバルビツール酸法 (TBA法) により検討を行い、O2 -・センサーによるデータとの相関性について検討を行った。このTBA法は、各成分の酸化レベルを求める際に皮膚等の研究分野で一般的に用いられる手法である。
TBA法による脂質の酸化評価とO 2 - ・センサーによる電流増加の観測結果との相関性
紫外線照射による疑似角質層細胞間脂質モデルの酸化の程度について、チオバルビツール酸法 (TBA法) により検討を行い、O2 -・センサーによるデータとの相関性について検討を行った。このTBA法は、各成分の酸化レベルを求める際に皮膚等の研究分野で一般的に用いられる手法である。
(測定方法)
(1) 脂質モデル0.32 mLを25 mLメスフラスコに採り、アセトンでメスアップした。
(2) (1)を100 μL分取し10 mLねじ口瓶に移し、乾燥させた。
(3) キャップをはずしたまま2時間UV照射した。
(4) (3)に0.8% (w/w) BHT(ジブチルヒドロキシトルエン) (in CH3OOH)を0.3 mL加え、次に8.1% SDS 溶液を0.4 mL加え、さらに10% (w/w) CH3COOH緩衝溶液 (pH4.0)を3.0 mL加えた。
(5) (4)に0.56% (w/w) TBA溶液を4.3 mL加えよく混合した。
(6) (5)をふたをしめて95℃の沸騰水浴中で2時間加熱した。
(7) 室温まで冷却し、その後遠沈管に3 mL移した。
(8) (7)にn-ブタノールを5 mLを加えて混合した後、室温で10分間、遠心分離器 (3000r.p.m)にかけた。
(9) 上層のブタノール1 mLを0.50 μmのメンブランフィルターでろ過した。
(10) (9)にn-ブタノール7 mLを加え混合した後、石英セルに3 mL移し、蛍光スペクトル測定を行った。[励起波長 : 515 nm, 蛍光波長 : 551 nm]
(1) 脂質モデル0.32 mLを25 mLメスフラスコに採り、アセトンでメスアップした。
(2) (1)を100 μL分取し10 mLねじ口瓶に移し、乾燥させた。
(3) キャップをはずしたまま2時間UV照射した。
(4) (3)に0.8% (w/w) BHT(ジブチルヒドロキシトルエン) (in CH3OOH)を0.3 mL加え、次に8.1% SDS 溶液を0.4 mL加え、さらに10% (w/w) CH3COOH緩衝溶液 (pH4.0)を3.0 mL加えた。
(5) (4)に0.56% (w/w) TBA溶液を4.3 mL加えよく混合した。
(6) (5)をふたをしめて95℃の沸騰水浴中で2時間加熱した。
(7) 室温まで冷却し、その後遠沈管に3 mL移した。
(8) (7)にn-ブタノールを5 mLを加えて混合した後、室温で10分間、遠心分離器 (3000r.p.m)にかけた。
(9) 上層のブタノール1 mLを0.50 μmのメンブランフィルターでろ過した。
(10) (9)にn-ブタノール7 mLを加え混合した後、石英セルに3 mL移し、蛍光スペクトル測定を行った。[励起波長 : 515 nm, 蛍光波長 : 551 nm]
(結果)
TBA法結果を図7に示す。
TBA法結果を図7に示す。
図7に示した結果より、紫外線照射したサンプルでは過酸化脂質由来の蛍光強度が得られたため、脂質の酸化が進んだことが認められたが、紫外線照射を行っていないサンプルでは蛍光が見られなかった。したがってO2 -・センサーによる電流増加の観測結果と合わせると、紫外線照射による脂質の酸化反応進行過程でO2 -・が生成していると考えられる。このことから、TBA法による脂質の酸化評価とO2 -・センサーによる電流増加の観測結果との間には良い相関性があると考えられ、O2 -・センサーと擬似角質層細胞間脂質モデルを用いることによって、紫外線照射によって発生するO2 -・の迅速、選択的および簡便な検出方法を提供できることが見出された。
実施例3
紫外線照射におけるO 2 - ・センサーの応答性確認
紫外線照射に伴ってO2 -・が発生するのか確認するために、紫外線を5秒おきに照射と停止を繰り返した。測定条件は実施例2と同様である。結果を図8に示す。
紫外線照射の開始に伴って直ちに電流が増加して、照射を停止すると電流値はベースラインに戻った。このことから、紫外線照射とO2 -・センサーの電流応答が連動していることがわかり、O2 -・の発生が紫外線に起因することが明らかになった。さらに、紫外線を照射するにつれて電流値が下がっていったのは、モデル脂質中の溶存酸素が次第に減少したため、産生されるO2 -・量も減少していくものと考えられる。
紫外線照射におけるO 2 - ・センサーの応答性確認
紫外線照射に伴ってO2 -・が発生するのか確認するために、紫外線を5秒おきに照射と停止を繰り返した。測定条件は実施例2と同様である。結果を図8に示す。
紫外線照射の開始に伴って直ちに電流が増加して、照射を停止すると電流値はベースラインに戻った。このことから、紫外線照射とO2 -・センサーの電流応答が連動していることがわかり、O2 -・の発生が紫外線に起因することが明らかになった。さらに、紫外線を照射するにつれて電流値が下がっていったのは、モデル脂質中の溶存酸素が次第に減少したため、産生されるO2 -・量も減少していくものと考えられる。
実施例4
疑似角質層細胞間脂質モデルの不飽和度変化におけるO 2 - ・の電気化学的検出
O2 -・の検出において、疑似角質層細胞間脂質モデルの関与が重要であることは前述の通りであるが、モデル構成成分のうちの不飽和脂肪酸であるオレイン酸およびリノール酸量の混合比を変化させて、脂質モデルの不飽和度を変化させた場合のO2 -・生成量を比較した。混合比率を表2に示す4種の脂質モデルa 〜 d を作製し、紫外線照射を行った。
疑似角質層細胞間脂質モデルの不飽和度変化におけるO 2 - ・の電気化学的検出
O2 -・の検出において、疑似角質層細胞間脂質モデルの関与が重要であることは前述の通りであるが、モデル構成成分のうちの不飽和脂肪酸であるオレイン酸およびリノール酸量の混合比を変化させて、脂質モデルの不飽和度を変化させた場合のO2 -・生成量を比較した。混合比率を表2に示す4種の脂質モデルa 〜 d を作製し、紫外線照射を行った。
O2 -・センサーによる測定結果を図9に示す。またTBA法による脂質の酸化度合いの比較を図10に示す。
リノール酸量を増やすほど、すなわち脂質の不飽和度を大きくするほど、発生するO2 -・も増大することが明らかとなった。紫外線照射では主に1O2が発生するといわれており、また一般に不飽和脂肪酸の過酸化はヒドロキシラジカル (・OH)、O2 -・、1O2およびヒドロペルオキシラジカル (・OOH) などの酸素分子種がフリーラジカル機構によって開始されるといわれている。本実施例では、不飽和度の増加と共に電流増加量も増大したことから、不飽和部位に紫外線照射によって発生したスーパーオキシドアニオンラジカルが攻撃し、脂質過酸化の過程で誘導されるO2 -・を検出しているのではないかと考えられる。
図10に示すTBA法による測定結果においてもリノール酸量の増大に比例して蛍光強度も増加することがわかった。すなわち紫外線照射によって発生した活性酸素により脂質の酸化反応が進み、不飽和度の大きい脂質モデルほど過酸化が進行することが明らかになった。
以上によりO2 -・センサーによる結果とTBA法による結果には高い相関性があるということが示された。
実施例5
抗酸化物質によるO 2 - ・中和実験
O2 -・の中和実験を行うにあたり、脂溶性ビタミンであるd-α-トコフェロールを用いた。d-α-トコフェロールはO2 -・や・OHなどの消去剤で脂質過酸化を抑制し、生体膜を安定化する作用を持つ。ヒト体内では皮下脂肪をはじめとして広く分布・貯蔵されている。本実施例では皮膚に存在する抗酸化剤を用いて活性酸素の中和を行い、O2 -・センサーの選択性を確認する。
抗酸化物質によるO 2 - ・中和実験
O2 -・の中和実験を行うにあたり、脂溶性ビタミンであるd-α-トコフェロールを用いた。d-α-トコフェロールはO2 -・や・OHなどの消去剤で脂質過酸化を抑制し、生体膜を安定化する作用を持つ。ヒト体内では皮下脂肪をはじめとして広く分布・貯蔵されている。本実施例では皮膚に存在する抗酸化剤を用いて活性酸素の中和を行い、O2 -・センサーの選択性を確認する。
(方法)
(1) d-α-トコフェロールを0.1〜0.4 wt%となるように秤量した。
(2) 脂質モデルに(1)を加えて混合した後、真空脱泡した。
(3) (2)をAr雰囲気下で遮光保存し、一日ねかせた。
(4) (3)で作製した抗酸化物質混入脂質モデルを用いて、O2 -・センサーによる測定とTBA法による測定を行った。
(1) d-α-トコフェロールを0.1〜0.4 wt%となるように秤量した。
(2) 脂質モデルに(1)を加えて混合した後、真空脱泡した。
(3) (2)をAr雰囲気下で遮光保存し、一日ねかせた。
(4) (3)で作製した抗酸化物質混入脂質モデルを用いて、O2 -・センサーによる測定とTBA法による測定を行った。
(d-α-トコフェロールによる測定結果)
O2 -・センサーによる測定を行った結果を図11に示す。
O2 -・センサーによる測定を行った結果を図11に示す。
また図12にはd-α-トコフェロールを各割合で混入した脂質モデルのO2 -・センサーによる電流増加量とTBA法結果を示す。
d-α-トコフェロールの混入量に応じて電流増加量は減少した。またTBA法結果においても同様の傾向が見られた。これはO2 -・の抗酸化剤であるd-α-トコフェロールの濃度が高くなるほど、O2 -・を消失しているためである。よって本O2 -・センサーは紫外線によって生じるO2 -・を選択的に検出していると確認された。電流値が30 nA以下に下がらない理由としては、d-α-トコフェロールがUV-B領域の紫外線で抗酸化能が劣化する可能性があること、およびd-α-トコフェロールの混入量を増やすことにより疑似角質層細胞間脂質モデルの構造が変化し、拡散係数などの電気化学的測定環境が変化するためと考えられる。
なおd-α-トコフェロールとO2 -・の中和反応は以下の式に示すような機構で起こると考えられる。
なおd-α-トコフェロールとO2 -・の中和反応は以下の式に示すような機構で起こると考えられる。
実施例6
抗酸化物質によるO 2 - ・中和実験
O2 -・の中和実験を行うに当たり、高い抗酸化能を有すると言われるFilipendula Ulmaria Maximowicz(シモツケソウ)の花弁抽出物に多く含有されるケルセチン(Q)と没食子酸(G)の組合せ効果を検討した。本実施例では、O2 -・センサーによる抗酸化物質のスクリーニング手法としての確認を行った。
抗酸化物質によるO 2 - ・中和実験
O2 -・の中和実験を行うに当たり、高い抗酸化能を有すると言われるFilipendula Ulmaria Maximowicz(シモツケソウ)の花弁抽出物に多く含有されるケルセチン(Q)と没食子酸(G)の組合せ効果を検討した。本実施例では、O2 -・センサーによる抗酸化物質のスクリーニング手法としての確認を行った。
(方法)
(1) QとAの比率を表3のように変化させ、脂質モデルに0.5mg/mlとなるように添加し、真空脱泡した。
(2) (1)の試料をAr雰囲気下で遮光保存し、1日ねかせた。
(3) (2)で作製したQとG混入脂質モデルを用いて、O2 -・センサーによる測定とTBAによる測定を行った。
(4) QとGの各比率の溶液を用いて、一重項酸素消去活性の測定をMukai等の方法(Kazuo Mukai, et al., J.Org.Chem. 56, 4188-4192(1991))に従って行った。すなわち、評価反応系は、3-(1,4-epidioxy-4-methyl -1,4-dihydro-1-naphtyl)propionic acid (EP)を一重項酸素ドナーとし、2,5-diphenyl-3,4-benzofuran (DPBF)をアクセプターとするようにデザインされている。EPは40℃において持続的に一重項酸素を発生し、一重項酸素消去剤が反応中に共存しない場合、DPBFと速やかに反応し、DPBFの415nmにおける吸光度を経時的に減少させる。一重項酸素消去活性を有する成分が反応液に添加された場合、DPBFの消化速度は低下し、その消化速度の低下と一重項酸素消去剤の反応系中の濃度とは相対関係にある。従って、本評価条件において、QとGを含まず溶媒のみで測定したブランクの減少速度から、DPBFの自然減少速度を差し引いた値を100とし、この減少速度のうちの10%を低下させるために必要となる評価反応液中の一重項酸素消去剤の量をEC10と表示する。この値が少ない方が一重項酸素消去活性値が高い。
(1) QとAの比率を表3のように変化させ、脂質モデルに0.5mg/mlとなるように添加し、真空脱泡した。
(2) (1)の試料をAr雰囲気下で遮光保存し、1日ねかせた。
(3) (2)で作製したQとG混入脂質モデルを用いて、O2 -・センサーによる測定とTBAによる測定を行った。
(4) QとGの各比率の溶液を用いて、一重項酸素消去活性の測定をMukai等の方法(Kazuo Mukai, et al., J.Org.Chem. 56, 4188-4192(1991))に従って行った。すなわち、評価反応系は、3-(1,4-epidioxy-4-methyl -1,4-dihydro-1-naphtyl)propionic acid (EP)を一重項酸素ドナーとし、2,5-diphenyl-3,4-benzofuran (DPBF)をアクセプターとするようにデザインされている。EPは40℃において持続的に一重項酸素を発生し、一重項酸素消去剤が反応中に共存しない場合、DPBFと速やかに反応し、DPBFの415nmにおける吸光度を経時的に減少させる。一重項酸素消去活性を有する成分が反応液に添加された場合、DPBFの消化速度は低下し、その消化速度の低下と一重項酸素消去剤の反応系中の濃度とは相対関係にある。従って、本評価条件において、QとGを含まず溶媒のみで測定したブランクの減少速度から、DPBFの自然減少速度を差し引いた値を100とし、この減少速度のうちの10%を低下させるために必要となる評価反応液中の一重項酸素消去剤の量をEC10と表示する。この値が少ない方が一重項酸素消去活性値が高い。
50μlのEP溶液(2mg/ml)と50μlのDPBF溶液(0.1mg/ml)を100μlのQとGの各溶液に加え40℃で加温した。一重項酸素消去活性はDPBFの吸収(415nm)の減少速度を分光光度計で測定することで算出し、O2 -・センサーによる測定結果との相関性も含めて検討を行った。
(結果)
QとGを表3に示す各比率で混入した脂質モデルのO2 -・センサーによる電流増加量とTBA法の結果を図13に示す。
QとGを表3に示す各比率で混入した脂質モデルのO2 -・センサーによる電流増加量とTBA法の結果を図13に示す。
QとGの混合比率に応じて電流増加量が変化し、またTBA法の結果においても同様の傾向が見られた。つまり、QとG単独においても、それぞれの数値に見られるように、紫外線照射によって主として発生するO2 -・を抑制する能力は高く出ており、それらの結果はTBA法での結果と高い相関性がある。さらに、それらを組合わせることでより高いO2 -・発生抑制力が生じることが分かり、これに関してもTBA法結果と高い相関性が見出された。このように、O2 -・センサーを用いることで簡便に抗酸化物質の酸化抑制効果を検証することができることが分かる。
次に、QとGの組合せによる一重項酸素消去活性効果の結果を表4に示す。
表4の結果より、QとGの混合比率に応じてEC10の値が変化していることが分かる。つまり、QとGがそれぞれ単独の場合には、カテキン、ビタミンCやビタミンEと同等、あるいは若干高い一重項酸素消去活性を示すが、QとGを組み合わせることで非常に高い一重項酸素消去活性を示すことが明らかとなった。こうした組み合わせ効果結果は、O2 -・センサーによるO2 -・発生抑制力の結果と同様の傾向を示すことが分かった。
以上の結果から、本発明により迅速かつ簡便に皮膚化粧料用抗酸化物質をスクリーニングすることができることが分かる。
以上の結果から、O2 -・センサーを用いた疑似角質層細胞間脂質モデルでの紫外線照射により発生するO2 -・の検出に成功し、本発明のO2 -・センサーと擬似角質層細胞間脂質モデルを用いる方法により、紫外線照射によって発生するO2 -・の迅速、選択的および簡便な検出方法が、抗酸化能を有する機能性化粧品や皮膚外用薬などの開発および肌における酸化・抗酸化レベルの予想に大いに役立つことが見出された。
1 対極部分
2 導電性部材端部
3 電気絶縁性材料
4 ニードル型電極
5 アース部分
6 対極用配線
7 アース用配線
8 石英セル
9 測定試料
10 紫外線ランプ
11 ポテンシオスタット
12 X−Yレコーダー
2 導電性部材端部
3 電気絶縁性材料
4 ニードル型電極
5 アース部分
6 対極用配線
7 アース用配線
8 石英セル
9 測定試料
10 紫外線ランプ
11 ポテンシオスタット
12 X−Yレコーダー
Claims (11)
- 疑似角質層細胞間脂質モデルに抗酸化物質を加えて試料とし、該試料に紫外線を照射してスーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーによりそのスーパーオキシドアニオンラジカル強度を測定して、ブランクの疑似角質層細胞間脂質モデルのスーパーオキシドアニオンラジカル強度と対比し評価することを特徴とする皮膚化粧料用抗酸化物質の簡便なスクリーニング方法。
- 疑似角質層細胞間脂質モデルが不飽和脂肪酸、中和剤および多価アルコールを含む脂質組成物であることを特徴とする請求項1に記載のスクリーニング方法。
- 疑似角質層細胞間脂質モデルの構造がラメラ液晶構造であることを特徴とする請求項2に記載のスクリーニング方法。
- 不飽和脂肪酸がオレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、アラキドン酸、イコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載のスクリーニング方法。
- 中和剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルギニン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン及びモノエタノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載のスクリーニング方法。
- 多価アルコールがグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール及びペンチレングリコールなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載のスクリーニング方法。
- 水の濃度が10wt%以下である請求項2に記載のスクリーニング方法。
- 水の濃度が20wt%以下である請求項2に記載のスクリーニング方法。
- スーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーが導電性部材の表面に鉄ポルフィリン錯体の重合膜を形成してなるスーパーオキシドアニオンラジカル用電極、対極及び参照電極を含むスーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定センサーであることを特徴とする請求項1に記載のスクリーニング方法。
- 鉄ポルフィリン錯体の重合物が、鉄5,10,15,20-テトラキス(3-チエニル)ポルフィリン(FeT3ThP)にN−メチルイミダゾールを軸配位子として導入した鉄ポルフィリン錯体の重合物であることを特徴とする請求項9に記載のスクリーニング方法。
- スーパーオキシドアニオンラジカル濃度測定用センサーが、電気絶縁性材料で調製された細管中に導電性部材を入れ、更にこの細管の外側を対極となる金属等の材料で被覆して対極部分とし、導電性部材端面上に金属ポルフィリン重合膜を形成させてなり、ニードルの形状であることを特徴とする請求項9に記載のスクリーニング方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015040230A (ja) * | 2013-08-20 | 2015-03-02 | 学校法人東京理科大学 | 抗酸化組成物およびこれを含む化粧品製剤 |
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JP2006516047A (ja) * | 2002-10-28 | 2006-06-15 | トランスフォーム・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド | マグネットクランプを備えた経皮アッセイ |
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2009
- 2009-12-25 JP JP2009294575A patent/JP2011133417A/ja active Pending
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JPN6013014521; 湯浅真、外4名: '活性酸素センサーを用いた抗酸化物質のO2-・消去能の評価' 材料技術 Vol.25,No.4, 20070725, p.175-181 * |
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