JP2011132675A - コンクリート型枠用の固定金具およびそれを用いたコンクリート躯体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、コンクリート躯体のPコン跡に充填された充填物の剥離や落下を防止することができるPコンおよびそれを用いたコンクリート躯体の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のPコン(固定金具)は、コンクリート枠体を固定するために使用される。本発明に係るPコン100は、コンクリート躯体に挿入される本体部110と、本体部110の中心に沿って本体部に固定された締結部材120とを有する。本体部110は、頂部から底部に向けて半径が連続的に大きくなる円筒状の第1のテーパ部分112と、第1のテーパ部分112に隣接し半径が連続的に小さくなる円筒状の第2のテーパ部分114とを有する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、コンクリート枠体を用いてコンクリート躯体を製造する方法に関し、特に、コンクリート枠体を固定するときに使用される固定金具(以下、Pコンと称する)に関する。
所望の形状にコンクリート躯体を製造するとき、ベニヤ合板などから構成されたコンクリート型枠が用いられる。コンクリート型枠は、そこに流し込まれたコンクリートの形状を規定する。コンクリート枠体を固定するとき、いわゆるPコンと呼ばれる固定金具が利用される。その一例が、特許文献1に開示されている。図1Aは、コンクリート型枠の取付け状態を示す斜視図、図1Bは、コンクリート型枠にコンクリートを流し込んだ状態を示す断面図、図1Cは、コンクリート型枠およびPコンと取り外した状態を示す断面図である。図1Aに示すように、型枠装置Kは、型枠部材1と型枠部材2を、ボルト3およびナット4を用いて型枠形状を保つ。図1Bに示すように型枠内にコンクリート5を流し込んで、所望形状のコンクリート5を得る。コンクリート5の成型後、型枠装置Kは解体され、ボルト3に固定されていたPコン7もコンクリート5から脱型される。コンクリート5の表面には、Pコン跡6が形成されるが、Pコン跡6内には、ボルト3を被覆するような充填物が充填される。
特開2007−231572号
従来のPコンの正面図と側面図を図2に示す。同図に示すように、Pコン10は、プラスチック等の樹脂から形成されたテーパ状の本体部12と、本体部12の軸方向に固定された金属製の締結部材14とを有する。本体部12は、コンクリート躯体の内部から外部に向かって(頂部から底部に向かって)末広がりとなるようなテーパが形成された円筒形状をしている。本体部12のスカート部12aは、薄肉状となっており、その内側には比較的大きな空洞12bが形成されている。本体部12には、空洞12bに連通して中心軸上を貫通する貫通孔12cが形成され、貫通孔12c内に締結部材14が嵌合されている。締結部材14の一端部は、本体部12の底部側から突出しそこにネジ部14aが形成されている。このネジ部14aには、図1Cに示すようなナット4が締結される。また、締結部材14の他端部は、本体部12の頂部の一部を覆うような円形部14cを有し、その円形部14cの中心から内部に向けて溝14bが形成されている。溝14bの内壁にはネジ部が形成され、このネジ部には、図1Cに示すようなボルト3が締結される。
上記したように、コンクリートを成型した後、コンクリート型枠が脱型され、このとき、Pコンもまたコンクリート躯体の表面から脱型される。Pコン10の本体部12がテーパ形状になっているため、Pコン10は、コンクリート躯体の表面から容易に脱型させることができる。Pコンの脱型によって、コンクリート躯体の表面には、Pコン跡が形成されるが、このPコン跡は、通常、モルタルのようなセメント系の材料からなる充填物によって埋められる。しかし、この充填物は、Pコンと同一のテーパ形状を有することになるため、熱膨張や収縮などの影響により、コンクリート躯体の表面から剥離し、落下するおそれがあった。
充填物の剥離、落下には、次のような原因が考えられる。
(1)膨張収縮
a:コンクリートおよびセメント系の材料は、化学反応により膨張・収縮を繰り返し硬化してゆく。しかしながら、両者の物性が異なることから、硬化期間および膨張収縮率ならびに強度の差異が生じる。このため、コンクリートとセメント系の充填物との間にクラックが生じ、やがて充填物が剥離するという結果が生じる。
b:膨張収縮は、上記以外にも、外気温の変動によっても促される。
(2)自然現象および環境
a:振動によるクラック。すなわち、地震、道路交通環境(電車のホーム等)および近隣環境(工事現場等)で振動が生じ、これが原因となったコンクリートと充填物との間にクラックが発生する。
b:風害は、コンクリートと充填物から急激に水分を奪い、適正な化学反応を妨害するため、両者は、本来の強度を保有することができない。
c:海沿いの環境下では、空気中に含まれる塩分により、両者の強度を退化させる。
d:酸性雨により、両者の強度が退化される。
(3)コンクリート躯体表面の目粗し
コンクリート躯体の表面は、以後の工程でタイルなどを施工する場合に備えて、いわゆる目粗し加工が施される。通常、目粗しは、サンダーという砥石の回転部材によって行われるが、充填物の強度が不十分な状態であると、回転部材からの負荷または振動によって充填物が一緒に回転してしまうことがある。つまり、充填物が、コンクリート躯体から剥離してしまう。
(4)充填物の形状が落下しやすい形状である。
つまり、Pコンのテーパ形状を倣うためコンクリート躯体からの剥離が生じると、落下しやすくなる。
上記の落下の原因(1)および(2)を解決することは困難である。そこで、本発明は、充填物の形状を変更することで、充填物の剥離および落下を防止することができるPコンおよびそれを用いたコンクリート躯体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る固定金具は、コンクリート枠体を固定するために使用され、コンクリート枠体に流し込まれたコンクリート躯体の表面に少なくとも一部が挿入されるものであって、コンクリート躯体の表面に少なくとも一部が挿入される本体部と、本体部の中心に沿って当該本体部に固定された締結部材とを有し、前記本体部は、頂部から底部に向けて半径が連続的に大きくなる円筒状の第1のテーパ部分と、第1のテーパ部分に隣接し半径が連続的に小さくなる円筒状の第2のテーパ部分とを有する。
好ましくは前記本体部の中心軸と第1のテーパ部分の表面とが成す第1のテーパ角よりも、前記中心軸と第2のテーパ部分の表面とが成す第2のテーパ角が小さい。好ましくは本体部は、第2のテーパ部分に隣接するフランジ部分を含む。好ましくは固定金具は、Pコンである。好ましくは前記第2のテーパ部分の少なくとも一部に底部から頂部に向けて延びる少なくとも1つの有底のスリットが形成される。好ましくは前記第2のテーパ部分の内側に等間隔で複数のスリットが形成される。好ましくは前記本体部は、中心軸に関し非回転対称である。好ましくは前記第1のテーパ部分と第2のテーパ部分の境界は、前記本体部の中心線に対し傾斜している。
本発明に係る、固定金具を用いてコンクリート躯体を製造する方法は、コンクリート枠体内にコンクリートを流し込み、このとき前記固定金具の本体部がコンクリート内に挿入されており、次いで、コンクリート枠体および固定金具を脱型させ、固定金具の跡に、セメント系の充填物を充填する工程を有する。好ましくは充填物は、モルタルである。前記充填物は、前記固定金具の跡が残るように充填されるようにしてもよい。
本発明によれば、固定金具に第1のテーパ部分と異なる方向にテーパをもつ第2のテーパ部分を形成したので、固定金具の跡に充填された充填物の落下を防止することができる。
従来のコンクリート型枠を用いたコンクリート打設方法を説明する図である。 図2Aは従来のPコンの正面図、図2Bはその側面図である。 図3Aは本発明の第1の実施例に係るPコンの正面図、図3Bはその側面図である。 第1の実施例のPコンの製造例を示す図である。 図5Aは本発明の第2の実施例に係るPコンの正面図、図5Bはその側面図である。 第1の実施例のPコンを脱型させた後に、Pコン跡に充填物を充填した例を示す断面図である。 第2の実施例のPコンを脱型させた後に、Pコン跡に充填物を充填した例を示す断面図である。 第3の実施例に係るPコンの側面図と底面図である。 第4の実施例に係るPコンの側面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。但し、図面のスケールは、発明の特徴を分かり易くするために強調しており、必ずしも実際の製品のスケールと同一ではないことに留意すべきである。
図3Aは、本発明の第1の実施例に係るPコンの正面図、図3Bは、その側面図である。第1の実施例に係るPコン100は、ポリエチレンなどのプラスチック材料などから構成される本体部110と、本体部110の軸方向に嵌合された金属製の締結部材120とを含んで構成される。但し、締結部材120は、図2に示した従来のPコンの締結部材14と同一の構成である。
本実施例に係る本体部110は、頂部から底部に向けてテーパを成す第1のテーパ部分112と、第1のテーパ部分112に隣接し第1のテーパ部分112とは逆方向のテーパが形成された第2のテーパ部分114と、第2のテーパ部分114に接続された円形状のフランジ部分116とを含んで構成される。本体部110の内部には、図示しないが、従来のPコン(図2を参照)と同様に空洞12bおよび貫通孔12cが形成されている。
第1のテーパ部分112は、本体部110の頂部である半径R1から半径R2(R2>R1)まで半径が連続的に大きくなる円筒形状を有する。第1のテーパ部分112の表面とPコン100の中心軸Cとが成す第1のテーパ角をθ1、第1のテーパ部分112の軸方向の長さをd1とすると、第1のテーパ角θ1は、tanθ1=(R2−R1)/d1で表される。
第2のテーパ部分114は、半径R2から半径R3(R3<R2)まで半径が連続的に小さくなる円筒形状を有する。第2のテーパ部分114の表面と中心軸Cとが成す第2のテーパ角をθ2、第2のテーパ部分114の軸方向の長さをd2とすると、第2のテーパ角θ2は、tanθ2=(R2−R3)/d2で表される。但し、第2のテーパ角θ2は、第1のテーパ角θ1とは逆方向であり、また好ましくは、第2のテーパ角θ2は第1のテーパ角θ1よりも小さい。フランジ部分116は、本体部110の底部を形成する円盤状を有し、その半径Rは、第2のテーパ部分の半径(R2、R3)よりも大きい。
例えば、R1=11.4mm、R2=13mm、R3=12.88mm、R=14.7mmであり、d1=12.4mm、d2=7mm、d3=4.6mmである。好ましくは、R2−R3=0.12mmであり、第2テーパ角θ2は、約1.0度である。さらに好ましくは、Pコン100のテーパ深度(d2)は、本体部100の薄肉のスカート部12aを構成する空洞12bの軸方向の深さよりも小さい。
第1の実施例に係るPコンは、次のようにして形成することができる。図4に示すように従来と同一形状のPコンを用意し、第2のテーパ部分114に相当する領域Zを削除することによって、簡単に本実施例のPコン100を得ることができる。例えば、本体部110を回転させ、切削工具などによって領域Zを削り取ることによって第2のテーパ部分114とフランジ部分116を得ることができる。勿論、これ以外にも、本体部110を金型を用いた射出成型により形成をすることも可能である。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例に係るPコン100Aの本体部110Aは、第1のテーパ部分112Aとこれに隣接する第2のテーパ部分114Aとを有する。第1のテーパ部分112Aは、第1の実施例と同様に、頂部から底部に向けて半径がR1からR2(R2>R1)まで連続的に変化する円筒形状を有し、第2のテーパ部分114Aは、半径がR2から半径R3(R3<R2)まで連続的に変化する円筒形状を有している。第2の実施例の本体部110Aは、第1の実施例のようなフランジ部分116を備えておらず、第2のテーパ部分114Aの半径R3の領域が本体部110Aの底部となる。
第2の実施例においても、第1のテーパ部分112Aの第1のテーパ角θ1と逆方向の第2のテーパ角θ2が第2のテーパ部分114Aに形成され、好ましくはθ1>θ2の関係にある。第2の実施例のPコン100Aのテーパ深度(d2)は、好ましくは、薄肉のスカート部12aを構成する空洞12bの軸方向の深さよりも小さい。また、第2の実施例のPコンの本体部110Aは、切削加工によって本体部110Aの一部を削り取ったり、あるいは金型を用いた射出成型によって形成することができる。
次に、本実施例のPコンの使用例について説明する。図1で示すように型枠部材1、2、ボルト3、ナット4およびPコン100を用いてコンクリート枠体が設置される。そして、コンクリート型枠内にコンクリートが流し込まれ、コンクリート躯体の成型が行われる。コンクリート躯体は、一定期間で硬化される。次いで、図6Aに示すように、コンクリート躯体200からコンクリート型枠(図示しない)が脱型され、さらにコンクリート躯体200の表面からPコン100が脱型される。
Pコン100には、コンクリート内部から外部に向けて末広がりとなる第1のテーパ部分112とそれとはテーパが逆の第2のテーパ部分114が形成され、第1のテーパ部分112と第2のテーパ部分114の境界部分の半径R2がPコン100の最大半径(但し、フランジ部分116を除く)となる。しかし、第2のテーパ角θ2は、約1.0度と小さく、言い換えれば、R2−R3=0.12mmと非常に小さく、本体部110が弾性変形することでPコン100の脱型に支障が生じることはない。本体部110の弾性変形は、プラスチック材料自身の弾性変形に加えて、薄肉のスカート部の形状が弾性変形を幾分だけ促進させ得ることが可能である。
Pコン100を脱型すると、コンクリート躯体200の表面には、Pコン跡210が形成される。Pコン跡210には、第1のテーパ部分112、第2のテーパ部分114およびフランジ部分116に倣うテーパを有する第1の内壁部分212、逆テーパを有する第2の内壁部分214、フランジ窪み216が形成される(Pコン跡内のボルトの図示は省略されている)。次に、図6Bに示すように、Pコン跡210には、セメント系材料であるモルタルのような充填物220が充填される。充填物220は、図6Bのようにコンクリート躯体200の表面と同一となるように形成されてもよいし、図6Cに示すように第2の内壁部分214の高さまで充填されるような充填物222であってもよい。この場合、コンクリート躯体200の表面に形成されたフランジ窪み216が、コンクリート表面の意匠性を提供する。さらには、充填物は、図6Bと図6Cの中間の高さに充填されるようにしてもよく、この場合、フランジ窪み216の一部が覆われる。こうして形成された充填物220、222は、コンクリート躯体200の表面から内部に向けて末広がりの逆テーパ部分を有するため、コンクリート躯体200からの落下が防止される。
図7は、第2の実施例のPコン100Aの使用例を説明する図である。図7Aに示すように、コンクリート躯体200が成型された後、コンクリート型枠およびPコン110Aが脱型される。Pコン100Aには、コンクリート内部から外部に向けて末広がりとなる第1のテーパ部分112Aとそれとはテーパが逆の第2のテーパ部分114Aが形成され、第1のテーパ部分112Aと第2のテーパ部分114Aの境界部分の半径R2がPコン100の最大半径となる。しかし、第2のテーパ角θ2は、約1.0度と小さく、言い換えれば、R2−R3=0.12mmと非常に小さく、本体部110Aが弾性変形することでPコン100Aの脱型に支障が生じることはない。本体部110Aの弾性変形は、プラスチック材料自身の弾性変形に加えて、薄肉のスカート部の形状が弾性変形を幾分だけ促進させ得ることが可能である。
Pコン100Aの脱型によりコンクリート躯体200の表面には、Pコン跡210Aが形成される。Pコン跡210Aには、第1のテーパ部分112Aの外形を反映した第1の内壁部分212Aと、第2のテーパ部分114Aの外形を反映した第2の内壁部分214Aが形成される。次いで、図7Bに示すように、Pコン跡210Aがモルタルのような充填物220Aによって充填される。また図7Cに示すように、Pコン跡210Aの一部に窪み216Aが生じる程度に充填物220Aを充填し、表面に意匠性を持たせるようにしてもよい。
次に、本発明の第3の実施例に係るPコンについて説明する。図8は、第3の実施例に係るPコンの側面図と底面図を示している。図8Aに示すように、本体部110Bは、第2の実施例と同様の形状をしているが、本体部110Bの内周の軸方向には、複数のスリット(または溝)130が形成されている。図示する例では、4つのスリット130が、90度間隔で第2のテーパ部分114Aに均等に形成され、各スリットは、第2のテーパ部分114Aの薄肉のスカート部の内側に一定の深さを持つように底部から頂部の軸方向に向けて形成されている。本体部110Bの内側に有底のスリット130を形成することで、本体部110Bが半径方向に変形し易くなるため、Pコン100Bのコンクリート躯体からの脱型を容易にすることができる。
スリット130の溝形状は、矩形状、三角形上、または半円状などにすることができる。さらにスリット130は、図8Aのように底部から頂部に向けて一様な幅を有するものに限らず、頂部から底部に向けて幅が広がる形状やその他の形状であってもよい。また、スリット130の個数は、4つに限らず、これより多くてもよいし、1つであってもよい。但し、複数のスリットを形成する場合には、それらが等間隔で形成されることが望ましい。さらにスリット130は、第2のテーパ部分114Aに形成されているが、スリット130の長さは、第2のテーパ部分114Aの一部であってもよいし、第1のテーパ部分112Aにまで延在するものであってもよい。
1つの好ましい態様として、締結部材120は、図8Bに示すように、ナット124の形状を有し、ナット124は、本体部110B内の壁部に当接する。ナット124は、例えば図1Cに示すように、Pコンをボルト3に締結するときに利用される。
次に、本発明の第4の実施例に係るPコンについて説明する。図9は、第4の実施例に係るPコンの側面図であり、図9Bは、図9AのPコンを180度回転させた状態を示している。第1ないし第3の実施例のPコンでは、第1のテーパ部分と第2のテーパ部分の境界は、中心軸Cに対して直交するが、第4の実施例に係るPコン100Cは、図示するように第1のテーパ部分112Cと第2のテーパ部分114Cとの境界140が、中心軸Cに対して直交せず傾斜している。すなわち第1ないし第3の実施例のPコンは、中心軸Cに関し回転対称の構成であるが、第4の実施例のPコン100Cは、中心軸Cに関し非回転対称の構成である。
第4の実施例に係るPコンを用いた場合、このPコンの形状を反映した充填物がPコン跡に充填される。コンクリート躯体の表面の目粗し加工を行うとき、表面は、砥石を含む回転部材によって施工される。従来の充填物は、回転対称の構造であるため、回転する方向の力を受けると、その接合強度が不十分であれば容易に回転してしまうことがあった。これに対し、本実施例の充填物は、回転対称ではない構造であり、回転する方向に力を受けたとき、充填物の回転が抑止されるため充填物の剥離防止をより顕著なものにすることができる。
次に、充填物220の落下防止について説明する。Pコン跡210は、Pコン100の外形を反映した形状であり、充填物220は、Pコンの外形と等しい外形を有する。Pコン跡210には、逆テーパとなる第2の内壁部分214が形成されているため、充填物220にも同様の逆テーパとなる部分が形成される。従って、仮に、充填物220とコンクリート躯体200との間にクラック等の剥離が生じた場合であっても、充填物220は、逆テーパとなる部分によってその落下が抑制される。
第1の実施例において、Pコンの最大半径となる部分は、第1のテーパ部分112と第2のテーパ部分114の境界である半径R2である(但し、フランジ部分116は、実質的に充填物220の落下防止に寄与しないのでここでは除外する)。第2のテーパ部分114のR2−R3の差分が約0.12mm(第2のテーパ角を約1.0度)であるときの落下防止を以下に検証する。
(1)熱膨張・収縮
[コンクリート]
熱膨張率:1.0〜1.8×10−5/℃
収縮率:0.08〜0.10%
[モルタル・セメント系材料]
熱膨張率:コンクリートと同様
収縮率:0.05〜0.2%
(2)条件
一辺の長さが全て1m(容積1m)のコンクリート
一辺の長さが全て1m(容積1m)のモルタル
上記試験体を用い、Pコン跡の相当部分(一辺3cm)に換算する
A)28日間、気温(20℃)変化なし
[コンクリート]
熱膨張:1.3×10−5/℃×20℃×10mm=0.26mm
収縮:0.10%×10mm=1mm
実質変化量=熱膨張−収縮=0.26mm−1mm=−0.74mm
(収縮0.74mm)
[モルタル]
熱膨張:1.3×10−5/℃×20℃×10mm=0.26mm
収縮:0.20%×10mm=2mm
実質変化量=熱膨張−収縮=0.26mm−2mm=−1.74mm
(収縮1.74mm)
[実質変化量の差異]
1.74mm−0.74mm=1mm
[Pコン相当への換算]
1mm÷100cm×3cm=0.03mm
[結果]
0.12mm>0.03mm
B)28日間、気温(38℃)変化なし、表面温度70℃と想定
[コンクリート]
熱膨張:1.3×10−5/℃×70℃×10mm=0.91mm
収縮:0.10%×10mm=1mm
実質変化量=熱膨張−収縮=0.91mm−1mm=−0.09mm
(収縮0.09mm)
[モルタル]
熱膨張:1.3×10−5/℃×70℃×10mm=0.91mm
収縮:0.20%×10mm=2mm
実質変化量=熱膨張−収縮=0.91mm−2mm=−1.09mm
(収縮1.09mm)
[実質変化量の差異]
1.09mm−0.09mm=1mm
[Pコン相当への換算]
1mm÷100cm×3cm=0.03mm
[結果]
0.12mm>0.03mm
C)28日経過後
28日以降も、コンクリートとモルタルともに、熱膨張、収縮を繰り返すが、両者の熱膨張率が同じであるため、実質変化量の差異は上記と同様であり、収縮の差異のみとなる。従って、上記と同様の結果となる。
[実質変化量の差異]
1.09mm−0.09mm=1mm
[Pコン相当への換算]
1mm÷100cm×3cm=0.03mm
[結果]
0.12mm>0.03mm
[逆テーパ深度]
逆テーパ深度(第1の実施例のPコンは距離d2、第2の実施例のPコンは距離d2)は、好ましくは9mmであり、この逆テーパ深度は、充填物220の落下を防止するために十分なテーパ機能を確保することができる。また、Pコン跡を埋める際の仕上げ方法として、一般に化粧Pコンと呼ばれる、意匠性に重点を置いた仕上げ方法にも対応することが可能である。化粧Pコンとは、Pコンを埋めるセメント系材料の仕上げ位置を、コンクリート表面から3〜4mm程度、コンクリートの内部よりにし、コンクリート全体に意匠性を持たせる工法である。通常は、コンクリート表面と同じ位置で仕上げる。
上記実施例では、Pコンの逆テーパ角度を約1.0度を例示したが、これ以外の角度であっても、Pコンの脱型を可能にしつつ充填物の落下を防止することが可能である。表1は、第2のテーパ角θ2と脱型の容易さの関係のテスト結果を示している。◎は、脱型の抵抗が小さい、○は、脱型の抵抗が中程度、△は、脱型の抵抗が大きく脱型できない場合があり、×は脱型ができない、を表している。従って、第2のテーパ角θ2が、2.0度までならば、Pコンの脱型が可能である。
Figure 2011132675
表2は、第2のテーパ部分の深度と脱型の容易さの関係のテスト結果を示している。第1の実施例のPコン100の本体部110の軸方向の長さ(d1+d2+d3)は、約24mmであり、第2の実施例のPコン110Aの本体部110Aの軸方向の長さ(d1+d2)は、約24mmである。第2のテーパ部分の深度は、第1の実施例ではd2の距離であり、第2の実施例ではd2の距離である。◎は、脱型の抵抗が小さい、○は、脱型の抵抗が中程度、△は、脱型の抵抗が大きく脱型できない場合があり、を表している。表2からも明らかなように、テーパ深度が、7.0ないし11.0mmの範囲で、脱型には何ら支障は生ぜず、テーパ深度が12.0mmのとき脱型の抵抗がやや大きくなり、脱型ができない場合が生じする。その結果、本体部110、110Aの長さに対し、約5割合であれば、脱型が可能である。
Figure 2011132675
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。なお、第1ないし第4の実施例をそれぞれ個別に述べたが、本発明は、第1ないし第4の実施例を組み合わせたPコンの構成を用いることができることは言うまでもない。
100、100A、100B、100C:Pコン
110、110A、110B、110C:本体部
112、112A、112C:第1のテーパ部分
114、114A、114C:第2のテーパ部分
116:フランジ部分
120、14:締結部材
200:コンクリート躯体
210、210A:Pコン跡
220、220A:充填物
θ1:第1のテーパ角
θ2:第2のテーパ角
R1、R2、R3:本体部の各部の半径
d1、d2、d3:本体部の各部の軸方向の長さ

Claims (15)

  1. コンクリート枠体を固定するために使用され、コンクリート枠体に流し込まれたコンクリート躯体の表面に少なくとも一部が挿入される固定金具であって、
    コンクリート躯体の表面に少なくとも一部が挿入される本体部と、
    本体部の中心に沿って当該本体部に固定された締結部材とを有し、
    前記本体部は、頂部から底部に向けて半径が連続的に大きくなる円筒状の第1のテーパ部分と、第1のテーパ部分に隣接し半径が連続的に小さくなる円筒状の第2のテーパ部分とを有する、固定金具。
  2. 前記本体部の中心軸と第1のテーパ部分の表面とが成す第1のテーパ角よりも、前記中心軸と第2のテーパ部分の表面とが成す第2のテーパ角が小さい、請求項1に記載の固定金具。
  3. 前記第2のテーパ角は、2度以下である、請求項2に記載の固定金具。
  4. 前記第2のテーパ部分の軸方向の長さは、前記本体部の軸方向の長さの少なくとも5割以内である、請求項3に記載の固定金具。
  5. 前記第2のテーパ部分の少なくとも一部に底部から頂部に向けて延びる少なくとも1つの有底のスリットが形成される、請求項1ないし4いずれか1つに記載の固定金具。
  6. 前記第2のテーパ部分の内側に等間隔で複数のスリットが形成される、請求項5に記載の固定金具。
  7. 前記本体部は、中心軸に関し非回転対称である、請求項1ないし6いずれか1つに記載の固定金具。
  8. 前記第1のテーパ部分と第2のテーパ部分の境界は、前記本体部の中心線に対し傾斜している、請求項7に記載の固定金具。
  9. 前記本体部は、第2のテーパ部分に隣接するフランジ部分を含む、請求項1ないし8いずれか1つに記載の固定金具。
  10. 前記固定金具は、Pコンである、請求項1ないし9いずれか1つに記載の固定金具。
  11. 請求項1ないし10いずれか1つに記載の固定金具を用いてコンクリート躯体を製造する方法であって、
    コンクリート枠体内にコンクリートを流し込み、このとき前記固定金具の本体部がコンクリート内に挿入されており、
    次いで、コンクリート枠体および固定金具を脱型させ、
    固定金具の跡に、セメント系の充填物を充填する工程を有する、コンクリート躯体の製造方法。
  12. 前記充填物は、前記第1のテーパ部分に対応する外形と前記第2のテーパ部分に対応する外形とを有する、請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記第2のテーパ部分に対応する外形は、軸方向との成すテーパ角度が2度以下である、請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記充填物は、前記固定金具の跡が残るように充填される、請求項11ないし13いずれか1つに記載の製造方法。
  15. 前記充填物は、モルタルである、請求項11ないし14いずれか1つに記載の製造方法。
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