JP2011130913A - 管内移動体用アクチュエータおよびその制御方法、内視鏡 - Google Patents
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Abstract
【課題】膨張収縮部材の外部、特に管内壁に接触して係止する膨張収縮部材の外部に対して有効に力を発生させる。
【解決手段】圧力制御部32は、係止バルーン44の内圧pが極大となる伸長比が1.5の場合、係止バルーン44の伸長比λが1.5以上の領域を使用範囲とし、膨張範囲制御部32bがこの使用範囲の情報である膨張範囲情報と関連付けられて予め格納されている送気流量情報を膨張範囲格納部32aから読み出し、この送気流量情報により係止バルーン44の膨張を流量制御する。
【選択図】図3
【解決手段】圧力制御部32は、係止バルーン44の内圧pが極大となる伸長比が1.5の場合、係止バルーン44の伸長比λが1.5以上の領域を使用範囲とし、膨張範囲制御部32bがこの使用範囲の情報である膨張範囲情報と関連付けられて予め格納されている送気流量情報を膨張範囲格納部32aから読み出し、この送気流量情報により係止バルーン44の膨張を流量制御する。
【選択図】図3
Description
本発明は管内移動体用アクチュエータおよびその制御方法、内視鏡に係り、特に、管壁に推進力を伝えて管内を移動する技術に関する。
内視鏡の大腸挿入は、大腸が体内で曲がりくねった構造であること、体腔に固定されていない部分があることなどから、非常に難しい。そのため、挿入手技の習得には多くの経験を必要とし、挿入手技が未熟の場合には、患者に大きな苦痛を与える結果となる。
大腸部位の中で特に挿入が難しいと言われているのは、S状結腸と横行結腸である。S状結腸と横行結腸はその他の結腸とは異なり体腔内に固定されていない。そのため、自身の長さの範囲にて体腔内で任意な形状をとることができ、また、内視鏡挿入時の接触力により体腔内で変形する。
大腸挿入においては、挿入時の腸管への接触を少しでも減らすために、S状結腸や横行結腸を直線化することが重要である。直線化のために多くの手技がこれまで提案されているが、同時に、曲がった腸管を手繰り寄せて湾曲度合いを低減するための挿入補助具がいくつか提案されている。
例えば、特許文献1,2には、可撓管部の外周面に螺旋状に4本の膨張・収縮が可能な変動チューブ巻回されており、各変動チューブ内の圧力を変動させて4本の変動チューブを順次膨張・収縮させることにより、外皮の外周面を順次膨張・収縮させて先端側から手元側に膨張部を移動させて腸管を手繰り寄せる技術が開示されている。
膨張収縮部材を用いた管内移動体用アクチュエータにおいては、膨張収縮部材は外周面と管内面との間で所定の係止力を発生させる必要がある。
しかしながら、バルーンのような形状では膨張収縮部材内部に圧力を発生させても膨張収縮部材の表面張力と相殺しあってしまい、膨張収縮部材の外部に対して必要な係止力を発生させることが困難という問題があった。そのため、それを回避するためにはさらに大きな圧力をかける必要があるため、膨張収縮部材の破損時等に瞬間的に管内面に大きな圧力が発生するといった問題もある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、膨張収縮部材の外部、特に管内壁に接触して係止する膨張収縮部材の外部に対して有効に力を発生させることのできる管内移動体用アクチュエータおよびその制御方法、内視鏡を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の管内移動体用アクチュエータは、管内移動体に設けられ管内移動方向に並べて配置された第1膨張収縮部材と第2膨張収縮部材と第3膨張収縮部材と、前記第1膨張収縮部材と前記第2膨張収縮部材と前記第3膨張収縮部材の膨張収縮を制御する制御部と、を有し、前記第1膨張収縮部材と前記第2膨張収縮部材はともに前記制御部により膨張させた状態で互いに接触し、前記第1膨張収縮部材と前記第3膨張収縮部材はともに前記制御部により膨張させた状態で互いに接触するように配置され、前記第2膨張収縮部材と前記第3膨張収縮部材はともに前記制御部により膨張させた状態で互いに接触しないように配置されており、前記制御部は、前記第1膨張収縮部材の膨張時における非膨張時からの伸長比に基づく前記第1膨張収縮部材の膨張範囲を予め格納した膨張範囲格納手段と、前記膨張範囲にて前記第1膨張収縮部材を膨張させ、膨張時における前記第1膨張収縮部材の前記伸長比を所定伸長比以上とする膨張範囲制御手段と、を備えたことを特徴する。
請求項1に記載の管内移動体用アクチュエータでは、前記膨張範囲格納手段が前記第1膨張収縮部材の膨張時における非膨張時からの伸長比に基づく前記第1膨張収縮部材の膨張範囲を予め格納し、前記膨張範囲制御手段が前記膨張範囲にて前記第1膨張収縮部材を膨張させ、膨張時における前記第1膨張収縮部材の前記伸長比を所定伸長比以上とすることで、前記管内壁に接触して係止する前記第1膨張収縮部材の外部に対して有効に力を発生させることを可能とする。
請求項2に記載の管内移動体用アクチュエータのように、請求項1に記載の管内移動体用アクチュエータであって、前記第1膨張収縮部材は、膨張して管内壁に接触した時に前記管内移動体と前記管内壁との間を埋める第1の部分と、前記管内壁と接触して推進力を発生させる第2の部分とを備え、その一部が前記管内移動体に固定され、前記制御部は、前記第2膨張収縮部材による駆動によって前記第1膨張収縮部材の前記第1の部分が前記第2の部分になるようにして前記管内移動体と前記管内壁との相対位置を変化させるように制御することが好ましい。
請求項3に記載の管内移動体用アクチュエータのように、請求項1または2に記載の管内移動体用アクチュエータであって、前記所定伸長比は、前記第1膨張収縮部材の内圧が極大となる伸長比であることが好ましい。
請求項4に記載の管内移動体用アクチュエータのように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の管内移動体用アクチュエータであって、前記所定伸長比は1.5であることが好ましい。
請求項5に記載の管内移動体用アクチュエータは、膨張して管内壁に接触した時に管内移動体と前記管内壁との間を埋める第1の部分と、前記管内壁と接触して推進力を発生させる第2の部分とを備え、その一部が前記管内移動体に固定された第1膨張収縮部材と、前記第1膨張収縮部材を駆動させる第2膨張収縮部材と、膨張して管内壁に接触する保持用膨張収縮部材と、前記第1膨張収縮部材、前記第2膨張収縮部材及び前記保持用膨張収縮部材を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記第1膨張収縮部材の膨張時における非膨張時からの伸長比に基づく前記第1膨張収縮部材の膨張範囲を予め格納した膨張範囲格納手段と、前記膨張範囲にて前記第1膨張収縮部材を膨張させ、膨張時における前記第1膨張収縮部材の前記伸長比を所定伸長比以上とする膨張範囲制御手段と、を備え、前記第1膨張収縮部材または前記保持用膨張収縮部材の少なくともいずれか一方を膨張させて前記管内壁に係止させた状態を保持すると共に、前記第2膨張収縮部材による駆動によって前記第1膨張収縮部材の前記第1の部分が前記第2の部分になるようにして前記管内移動体と前記管内壁との相対位置を変化させるように制御することを特徴とする。
請求項6に記載の管内移動体用アクチュエータのように、請求項5に記載の管内移動体用アクチュエータであって、前記管内移動体に設けられ管内移動方向に前記第1膨張収縮部材、前記第2膨張収縮部材および前記保持用膨張収縮部材とともに並べて配置されるものであって、前記第2膨張収縮部材に対して前記第1膨張収縮部材を挟んで反対側に配置される第3膨張収縮部材を有することが好ましい。
請求項7に記載の管内移動体用アクチュエータのように、請求項5または6に記載の管内移動体用アクチュエータであって、前記所定伸長比は、前記第1膨張収縮部材の内圧が極大となる伸長比であることが好ましい。
請求項8に記載の管内移動体用アクチュエータのように、請求項5ないし7のいずれか1つに記載の管内移動体用アクチュエータであって、前記所定伸長比は1.5であることが好ましい。
請求項9に記載の管内移動体用アクチュエータの制御方法は、管内移動体に設けられ管内移動方向に順に並べて配置された第1膨張収縮部材と第2膨張収縮部材と第3膨張収縮部材と、前記第1膨張収縮部材と前記第2膨張収縮部材と前記第3膨張収縮部材の膨張収縮を制御する制御部と、を有し、前記第1膨張収縮部材と前記第2膨張収縮部材はともに前記制御部により膨張させた状態で互いに接触し、前記第2膨張収縮部材と前記第3膨張収縮部材はともに前記制御部により膨張させた状態で互いに接触するように配置され、前記第1膨張収縮部材と前記第3膨張収縮部材はともに前記制御部により膨張させた状態で互いに接触しないように配置された管内移動体用アクチュエータの制御方法であって、前記第1膨張収縮部材の膨張時における非膨張時からの伸長比に基づく前記第1膨張収縮部材の膨張範囲を予め格納した膨張範囲格納ステップと、前記膨張範囲にて前記第1膨張収縮部材を膨張させ、膨張時における前記第1膨張収縮部材の前記伸長比を所定伸長比以上とする膨張範囲制御ステップと、を備えたことを特徴とする。
請求項10に記載の管内移動体用アクチュエータの制御方法のように、請求項9に記載の管内移動体用アクチュエータの制御方法であって、前記第1膨張収縮部材は、膨張して管内壁に接触した時に前記管内移動体と前記管内壁との間を埋める第1の部分と、前記管内壁と接触して推進力を発生させる第2の部分とを備え、その一部が前記管内移動体に固定され、前記第2膨張収縮部材による駆動によって前記第1膨張収縮部材の前記第1の部分が前記第2の部分になるようにして前記管内移動体と前記管内壁との相対位置を変化させるように制御することが好ましい。
請求項11に記載の内視鏡は、請求項1ないし8のいずれか1つの管内移動体用アクチュエータを備えたことを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、膨張収縮部材の外部、特に管内壁に接触して係止する膨張収縮部材の外部に対して有効に力を発生させることができるという効果がある。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る管内移動体用アクチュエータおよびその制御方法、内視鏡に関する実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の電子内視鏡1は、被検体の管内に挿入され当該管内を移動する管内移動体である挿入部10と、挿入部10の基端部分に連設された操作部12とを備えている。挿入部10の先端に連設された先端部10aには、被検体内の被観察部位の像光を取り込むための対物レンズと像光を撮像する撮像素子(いずれも図示せず)が内蔵されている。撮像素子により取得された被検体内の画像は、コード14に接続されたプロセッサ装置のモニタ(いずれも図示せず)に内視鏡画像として表示される。
また、先端部10aには、被観察部位に光源装置(図示せず)からの照明光を照射するための照明窓や、鉗子口16と連通した鉗子出口、送気・送水ボタン12aを操作することによって、対物レンズを保護する観察窓の汚れを落とすための洗浄水やエアーが噴射されるノズルなどが設けられている。
先端部10aの後方には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部10bが設けられている。湾曲部10bは、操作部12に設けられたアングルノブ12bが操作されて、挿入部10内に挿設されたワイヤが押し引きされることにより、上下左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部10aが被検体内の所望の方向に向けられる。
湾曲部10bの後方には、可撓性を有する軟性部10cが設けられている。軟性部10cは、先端部10aが被観察部位に到達可能なように、且つ術者が操作部12を把持して操作する際に支障を来さない程度に患者との距離を保つために、1〜数mの長さを有する。
先端部10aには、管内を移動する進行方向に並べて配置され、かつ固定された膨張収縮部材として、後述する第2膨張収縮部材としての第1駆動バルーン42、第3膨張収縮部材としての第2駆動バルーン46と第1膨張収縮部材としての係止バルーン44が取り付けられている。第1駆動バルーン42、第2駆動バルーン46と係止バルーン44は、おもに膨張収縮自在なラテックスゴムからなり、バルーン内の圧力を制御するバルーン制御装置18に接続されている。
なお、先端部10aにおいて第1駆動バルーン42と係止バルーン44、及び係止バルーン44と第2駆動バルーン46は、それぞれ互いに隣接して配置され、挿入部10の周方向に周全体に形成される。また、第1駆動バルーン42、第2駆動バルーン46と係止バルーン44は挿入部10の周方向に一様な形状として軸対称となっていてもよく、また、挿入部10の周方向に一様な形状ではなく軸対称となっていなくてもよい。
また、第1駆動バルーン42、第2駆動バルーン46と係止バルーン44は、湾曲部10bや軟性部10cに配置してもよい。
上記のように構成された電子内視鏡1で、例えば、大腸や小腸のように複雑に屈曲した管路の内壁面を観察する場合には、駆動バルーン20と係止バルーン22が収縮した状態で挿入部10を被検体内に挿入し、光源装置を点灯して被検体内を照明しながら、撮像素子により得られる内視鏡画像をモニタで観察する。
先端部10aが管路に到達すると、バルーン制御装置18により第1駆動バルーン42、第2駆動バルーン46と係止バルーン44の膨張・収縮を制御して、管路の内壁面に押圧力を作用させる。これにより、管路の内壁面が手繰り寄せられ、挿入部10が管路の内壁面に対し相対的に進行方向の前方または後方に推進する。
なお、推進動作のフローの詳しい説明は後述する。また、以下の説明において、先端部10aが進行方向の前方に推進する動作を正進動作とし、先端部10aが進行方向の後方に推進する動作を逆進動作とする。
次に、管内移動体用アクチュエータについて説明する。
図2は、本実施形態における挿入部10の先端部10aの拡大断面図である。図2に示すように、本実施形態においては、挿入部10の先端部10aに進行方向の前方から順に、第1駆動バルーン42と係止バルーン44と第2駆動バルーン46の3つのバルーンが設けられている。
また、係止バルーン44が管壁に接触していない時に、挿入部10の先端部10aの位置を保持するための保持用膨張収縮部材としての保持バルーン23も設けられている。なお、推進動作時においては、係止バルーン44及び保持バルーン23の少なくとも一方が膨張して管壁に当接して係止されるようになっている。
これら第1駆動バルーン42、第2駆動バルーン46、係止バルーン44及び保持バルーン23は、ともに全体が膨張収縮自在なラテックスゴムからなる。
係止バルーン44は膨張時に管壁の内壁面に接して係止することができる膨張特性を有するバルーンであり、第1駆動バルーン42及び第2駆動バルーン46は膨張時であっても先端部10aが管路の断面の略中心位置に位置する限り管壁の内壁面に接しない膨張特性を有するバルーンである。
また、第1駆動バルーン42、第2駆動バルーン46及び係止バルーン22は、互いに形状が異なることが好ましい。
なお、図2に示すように収縮時に係止バルーン44が第1駆動バルーン42あるいは第2駆動バルーン46に必ずしも覆い被さっている必要はなく、後述するように、少なくとも係止バルーン44が膨張して腸壁40(図5参照)を係止した時に、係止バルーン44が第1駆動バルーン42あるいは第2駆動バルーン46の少なくとも一方に覆い被さっていればよい。
また、図3は、第1駆動バルーン42、第2駆動バルーン46、係止バルーン44及び保持バルーン23の圧力を制御する制御部としてのバルーン制御装置18のブロック構成図である。
図3に示すように、バルーン制御装置18は、第1駆動バルーン42、第2駆動バルーン46、係止バルーン44及び保持バルーン23を個々に独立して内圧が調整できるバルブ開閉制御部30と圧力制御部32とを備えた構成となっている。
そして、バルーン制御装置18において、第1駆動バルーン42、第2駆動バルーン46、係止バルーン44及び保持バルーン23は、バルブ開閉制御部30と圧力制御部32を介して、吸引ポンプ34と吐出ポンプ36が接続されている。
図2に示すように、先端部10aの内部には、第1駆動バルーン42に連通し気体が送られる送気管48と、係止バルーン44に連通し気体が送られる送気管50と、第2駆動バルーン46に連通し気体が送られる送気管52と、保持バルーン23に連通し気体が送られる送気管27が設けられている。これら送気管48,50,52,27は、湾曲部10b及び軟性部10c、コード14(図1参照)の内部を通ってバルーン制御装置18(図1,図3参照)に接続されている。
なお、後述する推進動作のフローは、バルブ開閉制御部30によって各バルーンに接続されたバルブ(不図示)の開閉を制御し、圧力制御部32によって吸引ポンプ34と吐出ポンプ36を制御することによって実行される。
また、圧力制御部32は膨張範囲格納手段としての膨張範囲格納部32a及び膨張範囲制御手段としての膨張範囲制御部32bを備えている。この膨張範囲格納部32aは、係止バルーン44の膨張時における非膨張時からの伸長比λが所定値以上となる使用範囲の情報(膨張範囲情報)、例えば伸長比λ≧1.5の領域とする膨張範囲情報と、該膨張範囲情報に関連付けられた送気流量情報とを予め格納している。そして、詳細は後述するが、膨張範囲制御部32bは膨張範囲格納部32aから送気流量情報を読み出し、前記使用範囲となるように係止バルーン44を流量制御するようになっている。
<推進動作のフロー>
「正進動作」
次に、本実施形態における推進動作のうちの正進動作について図4及び図5を用いて説明する。
「正進動作」
次に、本実施形態における推進動作のうちの正進動作について図4及び図5を用いて説明する。
図4は、推進動作における正進動作のタイムチャート図である。また、図5は、図4に示すタイムチャート図に対応させて、各バルーンの膨張および収縮の様子を示した概略断面図である。
まず、第1駆動バルーン42と係止バルーン44と第2駆動バルーン46をともに収縮させた状態で、電子内視鏡1の先端部10aを測定対象(ここでは例えば、大腸とする)内に挿入している状態を考える。なお、このとき、保持バルーン23を膨張させて腸壁40に係止させておく。
そして、保持バルーン23を膨張させ腸壁40に係止させた状態を保持し、第1駆動バルーン42と係止バルーン44と第2駆動バルーン46をともに収縮させた状態から、第2駆動バルーン46に気体を充填して膨張させる(図4の工程A)。この時のバルーンの膨張の様子は、図5(A)のように表わすことができる。図5(A)に示すように、第2駆動バルーン46が膨張することにより、係止バルーン44は第1駆動バルーン42側に押し出され、第1駆動バルーン42に覆い被さる状態になる。
次に、係止バルーン44に気体を充填して膨張させて、係止バルーン44を腸壁40に係止させる(図4の工程B)。この時のバルーンの膨張および収縮の様子は、図5(B)のように表わすことができる。
また、ここで、係止バルーン44において、膨張して腸壁40に接触した時に挿入部10と腸壁40の間を埋める部分を第1の部分とし、腸壁40に接触している部分を第2の部分として考える。
次に、保持バルーン23と第2駆動バルーン46から気体を吸引して収縮させる(図4の工程C)。この時のバルーンの収縮の様子は、図5(C)のように表わすことができる。
そして、第1駆動バルーン42に気体を充填して膨張させる(図4の工程D)。この時のバルーンの膨張の様子は、図5(D)のように表わすことができる。
図5(D)に示されるように、第1駆動バルーン42を膨張させていくことにより、第1駆動バルーン42は係止バルーン44を徐々に押圧していく。さらに、第2駆動バルーン46を収縮させていくので、係止バルーン44は、先端部10aの進行方向の後方に向かってその表面が腸壁40に接した状態で順々に繰り出されるように押されていく、または、その表面を移動させるように押されていく。また、前記のように、係止バルーン44において第1の部分と第2の部分を備えていると考えたときには、先端部10aの進行方向の前方側の第1の部分の腸壁40側の一部が腸壁40に接触して第2の部分になるように押されていく、と考えることができる。これにより、係止バルーン44は、腸壁40に対し先端部10aの進行方向の後方(図5(D)の黒矢印)に向かって押圧力を与える。
すなわち、係止バルーン44がいわゆるキャタピラ(登録商標)のように(無限軌道のように)、腸壁40を当接しながら先端部10aの進行方向の後方に向かって繰り出される。
そのため、腸壁40は先端部10aの進行方向の後方に手繰り寄せられる。したがって、図5(D)の白矢印のように、電子内視鏡1の先端部10aは腸壁40に対し相対的に進行方向の前方に推進(正進)する。
次に、保持バルーン23に気体を充填して膨張させて腸壁40に係止させる(図4の工程E)。この時のバルーンの膨張の様子は、図5(E)のように表わすことができる。
次に、保持バルーン23を膨張させ腸壁40に係止させた状態を保持し、第1駆動バルーン42と係止バルーン44から気体を吸引して収縮させる(図4の工程F)。この時のバルーンの収縮の様子は、図5(F)のように表わすことができる。
次に、第2駆動バルーン46に気体を充填して膨張させる(図4の工程A)ことにより、上記の図5(A)で示した状態に戻る。
以降、正進動作を継続する場合には、図4の工程A〜工程Fを繰り返す。
「逆進動作」
次に、本実施形態における推進動作のうちの逆進動作について図6及び図7を用いて説明する。
次に、本実施形態における推進動作のうちの逆進動作について図6及び図7を用いて説明する。
図6は、推進動作における逆進動作のタイムチャート図である。また、図7は、図6に示すタイムチャート図に対応させて、各バルーンの膨張および収縮の様子を示した概略断面図である。
まず、第1駆動バルーン42と係止バルーン44と第2駆動バルーン46をともに収縮させた状態で、電子内視鏡1の先端部10aを測定対象(ここでは例えば、大腸とする)内に挿入している状態を考える。なお、このとき、保持バルーン23を膨張させて腸壁40に係止させておく。
そして、係止バルーン44と第2駆動バルーン46を収縮させた状態を保持し、第1駆動バルーン42に気体を充填して膨張させる(図6の工程A)。この時のバルーンの膨張の様子は、図7(A)のように表わすことができる。図7(A)に示すように、第1駆動バルーン42が膨張することにより、係止バルーン44は第2駆動バルーン46側に押し出され、第2駆動バルーン46に覆い被さる状態になる。
次に、係止バルーン44に気体を充填して膨張させて、係止バルーン44を腸壁40に係止させる(図6の工程B)。この時のバルーンの膨張の様子は、図7(B)のように表わすことができる。また、ここで、係止バルーン44において、腸壁40に接触した時に挿入部10と腸壁40の間を埋める部分を第1の部分とし、腸壁40に接触している部分を第2の部分として考える。
次に、保持バルーン23と第1駆動バルーン42から気体を吸引して収縮させる(図6の工程C)。この時のバルーンの収縮の様子は、図7(C)のように表わすことができる。
続いて、第2駆動バルーン46に気体を充填して膨張させる(図6の工程D)。この時のバルーンの膨張の様子は、図7(D)のように表わすことができる。
図7(D)に示すように、第2駆動バルーン46を膨張させていくことにより、第2駆動バルーン46は係止バルーン44を徐々に押圧していく。そして、係止バルーン44は、先端部10aの進行方向の前方に向かってその表面が順々に繰り出されるように押されていく、または、その表面を移動させるように押されていく。また、前記のように、係止バルーン44において第1の部分と第2の部分を備えていると考えたときには、先端部10aの進行方向の後方側の第1の部分の腸壁40側の一部が腸壁40に接触して第2の部分になるように押されていく、と考えることができる。これにより、係止バルーン44は、腸壁40に対し先端部10aの進行方向の前方(図7(D)の黒矢印)に向かって押圧力を与える。
すなわち、係止バルーン44がいわゆるキャタピラ(登録商標)のように(無限軌道のように)、腸壁40を当接しながら先端部10aの進行方向の前方に向かって繰り出される。
そのため、腸壁40は先端部10aの進行方向の前方に手繰り寄せられる。したがって、図7(D)の白矢印のように、電子内視鏡1の先端部10aは腸壁40に対し相対的に進行方向の後方に推進(逆進)する。
次に、保持バルーン23から気体を吸引して収縮させて、保持バルーン23を腸壁40から離間させる(図6の工程E)。この時のバルーンの収縮の様子は、図7(E)のように表わすことができる。
次に、係止バルーン44と第2駆動バルーン46から気体を吸引して収縮させる(図6の工程F)。この時のバルーンの収縮の様子は、図7(F)のように表わすことができる。
以降、逆進動作を継続する場合には、図6の工程A〜工程Fを繰り返す。
次にバルーン制御装置18の圧力制御部32(図3参照)による、係止バルーン44の膨張制御について説明する。
ここで、係止バルーン44が膨らむときの表面張力Tおよび内部圧力(内圧)pについて、図8及び図9を用いて説明する。図8は係止バルーンを球形風船モデルとした場合の膨張制御を説明するための図である。図9は図8の膨張制御に関して係止バルーンの伸張比λに対する内圧p, 表面張力Tの関係を示す図である。
なお、以下の(a)、(b)を仮定する。
(a)係止バルーン44は球体である
(b)係止バルーン44の材質としての使用するゴム材料は、2軸引張時の公称応力と伸張比のグラフが直線に乗る
図8に示すように、
p: 係止バルーン44の内圧 [kPaGk]
T: 係止バルーン44の表面張力[N/m]
σ: 係止バルーン44の面内方向応力
E: 2軸引張時の伸長比と真応力の傾き[Mpa]
r0: 係止バルーン44の膨張前半径[m]
r1: 係止バルーン44の膨張後半径[m]
t0: 係止バルーン44の膨張前厚み[m]
t1: 係止バルーン44の膨張後厚み[m]
λ: 伸張比(=r1/r0)
としたとき、以下の式(1)〜式(5)が成立する。
(a)係止バルーン44は球体である
(b)係止バルーン44の材質としての使用するゴム材料は、2軸引張時の公称応力と伸張比のグラフが直線に乗る
図8に示すように、
p: 係止バルーン44の内圧 [kPaGk]
T: 係止バルーン44の表面張力[N/m]
σ: 係止バルーン44の面内方向応力
E: 2軸引張時の伸長比と真応力の傾き[Mpa]
r0: 係止バルーン44の膨張前半径[m]
r1: 係止バルーン44の膨張後半径[m]
t0: 係止バルーン44の膨張前厚み[m]
t1: 係止バルーン44の膨張後厚み[m]
λ: 伸張比(=r1/r0)
としたとき、以下の式(1)〜式(5)が成立する。
そこで、本実施形態においては、バルーン制御装置18の圧力制御部32は、係止バルーン44の制御として、膨張範囲格納部32a及び膨張範囲制御部32bにより、係止バルーン44の伸長比λを所定値以上の使用範囲にて係止バルーン44の膨張を制御する。
具体的な一例として、圧力制御部32は、図9に示すように、例えば、係止バルーン44の内圧pが極大となる伸長比が1.5の場合、係止バルーン44の伸長比λが1.5以上の領域を使用範囲(膨張範囲)とし、膨張範囲制御部32bがこの使用範囲の情報である膨張範囲情報と関連付けられて予め格納されている送気流量情報を膨張範囲格納部32aから読み出し、この送気流量情報により係止バルーン44の膨張を流量制御する。
一般にバルーンの膨張において、伸長比λが所定の値までは膨張すればするほど内外の圧力差が増大し、所定の値に達するとその後は膨張に伴い圧力が減少してゆく(図9参照)。
係止バルーン44を管内で膨らませると、管の内壁に当たった時点で、それを避けて他の部分が膨張し始める。その後、伸長比がこの所定の値を超えた領域に入ると、同じ圧力を維持したままでも係止バルーン44が管の内壁に沿って成長し始め、管の内壁面との間で大きな接触面積を確保することができる。
本実施形態では、圧力制御部32の膨張範囲制御部32bは、膨張範囲格納部32aに格納されている係止バルーン44の伸長比λが所定値以上の使用範囲、例えば伸長比λ≧1.5の領域となる使用範囲となる送気流量情報を読み出し、この送気流量情報により係止バルーン44の膨張を流量制御するので、弱い圧力でも係止バルーン44と管の内壁面の間で大きな係止力を発生させることができる。
なお、前記使用範囲は、伸長比λ≧1.5の領域に限らず、係止バルーン44の伸長比と公称応力の関係に基づき内圧pが極大となる伸長比がλ0の場合、伸長比λ≧λ0の領域となる使用範囲とすればよい。
この場合、該使用範囲に基づく送気流量情報を膨張範囲格納部32aに予め格納しておくことで、膨張範囲制御部32bは、膨張範囲格納部32aから送気流量情報を読み出し、この送気流量情報により係止バルーン44の膨張を流量制御する。
以上、本発明の管内移動体用アクチュエータおよびその制御方法、内視鏡について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
1…電子内視鏡、10…挿入部、10a…先端部、18…バルーン制御装置、44…係止バルーン、23…保持バルーン、32…圧力制御部、32a…膨張範囲格納部、32b…膨張範囲制御部、42…第1駆動バルーン、46…第2駆動バルーン
Claims (11)
- 管内移動体に設けられ管内移動方向に並べて配置された第1膨張収縮部材と第2膨張収縮部材と第3膨張収縮部材と、
前記第1膨張収縮部材と前記第2膨張収縮部材と前記第3膨張収縮部材の膨張収縮を制御する制御部と、を有し、
前記第1膨張収縮部材と前記第2膨張収縮部材はともに前記制御部により膨張させた状態で互いに接触し、前記第1膨張収縮部材と前記第3膨張収縮部材はともに前記制御部により膨張させた状態で互いに接触するように配置され、
前記第2膨張収縮部材と前記第3膨張収縮部材はともに前記制御部により膨張させた状態で互いに接触しないように配置されており、
前記制御部は、
前記第1膨張収縮部材の膨張時における非膨張時からの伸長比に基づく前記第1膨張収縮部材の膨張範囲を予め格納した膨張範囲格納手段と、前記膨張範囲にて前記第1膨張収縮部材を膨張させ、膨張時における前記第1膨張収縮部材の前記伸長比を所定伸長比以上とする膨張範囲制御手段と、を備えた
ことを特徴とする管内移動体用アクチュエータ。 - 前記第1膨張収縮部材は、膨張して管内壁に接触した時に前記管内移動体と前記管内壁との間を埋める第1の部分と、前記管内壁と接触して推進力を発生させる第2の部分とを備え、その一部が前記管内移動体に固定され、
前記制御部は、
前記第2膨張収縮部材による駆動によって前記第1膨張収縮部材の前記第1の部分が前記第2の部分になるようにして前記管内移動体と前記管内壁との相対位置を変化させるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の管内移動体用アクチュエータ。 - 前記所定伸長比は、前記第1膨張収縮部材の内圧が極大となる伸長比である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の管内移動体用アクチュエータ。 - 前記所定伸長比は1.5である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の管内移動体用アクチュエータ。 - 膨張して管内壁に接触した時に管内移動体と前記管内壁との間を埋める第1の部分と、前記管内壁と接触して推進力を発生させる第2の部分とを備え、その一部が前記管内移動体に固定された第1膨張収縮部材と、
前記第1膨張収縮部材を駆動させる第2膨張収縮部材と、
膨張して管内壁に接触する保持用膨張収縮部材と、
前記第1膨張収縮部材、前記第2膨張収縮部材及び前記保持用膨張収縮部材を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記第1膨張収縮部材の膨張時における非膨張時からの伸長比に基づく前記第1膨張収縮部材の膨張範囲を予め格納した膨張範囲格納手段と、前記膨張範囲にて前記第1膨張収縮部材を膨張させ、膨張時における前記第1膨張収縮部材の前記伸長比を所定伸長比以上とする膨張範囲制御手段と、を備え、前記第1膨張収縮部材または前記保持用膨張収縮部材の少なくともいずれか一方を膨張させて前記管内壁に係止させた状態を保持すると共に、前記第2膨張収縮部材による駆動によって前記第1膨張収縮部材の前記第1の部分が前記第2の部分になるようにして前記管内移動体と前記管内壁との相対位置を変化させるように制御する
ことを特徴とする管内移動体用アクチュエータ。 - 前記管内移動体に設けられ管内移動方向に前記第1膨張収縮部材、前記第2膨張収縮部材および前記保持用膨張収縮部材とともに並べて配置されるものであって、前記第2膨張収縮部材に対して前記第1膨張収縮部材を挟んで反対側に配置される第3膨張収縮部材を有すること、
を特徴とする請求項5に記載の管内移動体用アクチュエータ。 - 前記所定伸長比は、前記第1膨張収縮部材の内圧が極大となる伸長比である
ことを特徴とする請求項5または6に記載の管内移動体用アクチュエータ。 - 前記所定伸長比は1.5である
ことを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1つに記載の管内移動体用アクチュエータ。 - 管内移動体に設けられ管内移動方向に順に並べて配置された第1膨張収縮部材と第2膨張収縮部材と第3膨張収縮部材と、前記第1膨張収縮部材と前記第2膨張収縮部材と前記第3膨張収縮部材の膨張収縮を制御する制御部と、を有し、前記第1膨張収縮部材と前記第2膨張収縮部材はともに前記制御部により膨張させた状態で互いに接触し、前記第2膨張収縮部材と前記第3膨張収縮部材はともに前記制御部により膨張させた状態で互いに接触するように配置され、前記第1膨張収縮部材と前記第3膨張収縮部材はともに前記制御部により膨張させた状態で互いに接触しないように配置された管内移動体用アクチュエータの制御方法であって、
前記第1膨張収縮部材の膨張時における非膨張時からの伸長比に基づく前記第1膨張収縮部材の膨張範囲を予め格納した膨張範囲格納ステップと、前記膨張範囲にて前記第1膨張収縮部材を膨張させ、膨張時における前記第1膨張収縮部材の前記伸長比を所定伸長比以上とする膨張範囲制御ステップと、を備えた
ことを特徴とする管内移動体用アクチュエータの制御方法。 - 前記第1膨張収縮部材は、膨張して管内壁に接触した時に前記管内移動体と前記管内壁との間を埋める第1の部分と、前記管内壁と接触して推進力を発生させる第2の部分とを備え、その一部が前記管内移動体に固定され、
前記第2膨張収縮部材による駆動によって前記第1膨張収縮部材の前記第1の部分が前記第2の部分になるようにして前記管内移動体と前記管内壁との相対位置を変化させるように制御する
ことを特徴とする請求項9に記載の管内移動体用アクチュエータの制御方法。 - 請求項1ないし8のいずれか1つの管内移動体用アクチュエータを備えたことを特徴とする内視鏡。
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JP2009292924A JP2011130913A (ja) | 2009-12-24 | 2009-12-24 | 管内移動体用アクチュエータおよびその制御方法、内視鏡 |
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