JP2011125802A - 炭化水素類の製造用触媒組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】CO転化率が高く、ガス成分の生成が少なく、かつ芳香族やナフテン、オレフィン、分岐状のパラフィン炭化水素といった高オクタン価成分の選択性に富むガソリン留分を、合成ガスから1段の反応によって得ることができる炭化水素類の製造用触媒組成物の提供。
【解決手段】フィッシャー・トロプシュ反応に活性を示す1種以上の金属及び炭酸マンガンを含有するフィッシャー・トロプシュ合成触媒と、固体酸を示すゼオライトと、を含有することを特徴とする炭化水素類製造用触媒組成物;前記金属が、ルテニウム及びコバルトからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする前記記載の炭化水素類製造用触媒組成物;並びに、前記ゼオライトがZSM−5であることを特徴とする前記いずれか記載の炭化水素類製造用触媒組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、水素と一酸化炭素を主成分とする混合ガス(以下「合成ガス」という)から、フィッシャー・トロプシュ(FT)反応により炭化水素類を製造する際に用いる触媒組成物に関する。さらに詳しくは、炭酸マンガン及びFT活性金属を含むFT合成触媒と、固体酸を示すゼオライトとを含むことを特徴とする炭化水素類の製造用触媒組成物に関する。
合成ガスから炭化水素類を合成する方法として、フィッシャー・トロプシュ(Fischer−Tropsch)反応(以下「FT反応」という。)やメタノール合成反応などが良く知られている。FT反応は鉄、コバルト、ニッケルの鉄族元素や、ルテニウム等の白金族元素を活性金属とする触媒である。一方、メタノール合成反応は銅系触媒で進行し、C2含酸素(エタノール、アセトアルデヒド等)合成はロジウム系触媒で進行することが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
ところで、近年、大気環境保全の観点から、低硫黄分の軽油が望まれており、今後その傾向はますます強くなるものと考えられる。また、原油資源は有限であるとの観点やエネルギーセキュリティーの面から、石油代替燃料の開発が望まれており、今後ますます強く望まれるようになるものと考えられる。これらの要望に応える技術として、エネルギー換算で原油に匹敵する可採埋蔵量があるといわれる天然ガス(主成分メタン)から灯軽油等の液体燃料を合成する技術であるGTL(gas to liquids)がある。天然ガスは、硫黄分を含まないか、含んでいても脱硫が容易な硫化水素(HS)等であるため、得られる灯軽油等の液体燃料には、その中に殆ど硫黄分が無く、またセタン価の高い高性能ディーゼル燃料に利用できるなどの利点があるため、このGTLは近年ますます注目されるようになってきている。
上記GTLの一環として、FT反応によって、合成ガスから炭化水素類を製造する方法が盛んに研究されている。このFT反応によって得られる炭化水素類は、メタンからワックスに至るまでの幅広い炭化水素と各種アルコールなどの微量の含酸素化合物であり、ある特定の留分を選択的に生成することはできない。そこで、例えば、FT反応によって効率的に灯軽油留分を得るために、FT反応によって生成する直留の灯軽油留分に加えて、それよりも重質なワックス留分を水素化分解して灯軽油留分を生成し、灯軽油留分の収率を増やすことが一般的に行われている。
一方、FT反応によって、ガソリン留分も得ることができる。しかしながら、FT反応によって生成される炭化水素は、直鎖のパラフィンやオレフィンが主成分であるため、FT反応によって得られるガソリン留分は、オクタン価が非常に低く実用性がない。通常、炭化水素のオクタン価は、芳香族炭化水素が最も高く、次いで、ナフテン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、パラフィン系炭化水素の順に低くなる。また、同族の炭化水素では、炭素数の少ない、いわゆる低沸点のものほどオクタン価が高く、同じ炭素数でも分岐の多いものほど高い。
従来から、FT反応によって生成する炭化水素を、ゼオライトなどの固体酸触媒によって分解、異性化することによりガソリン留分を製造する方法が提案されている。例えば、ルテニウムやコバルトといったFT活性金属種(FT反応に活性を示す金属種)を含むFT合成触媒とZSM−5やβゼオライトとが共存する触媒を用いて、1段階の反応により合成ガスからガソリン留分を製造する方法(1段法)が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。また、FT合成触媒による反応と固体酸触媒による反応との2段階の反応により、それぞれを最適な温度で反応させてガソリン留分を製造する方法(2段法)も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開昭62−109888号公報 特開2007−197628号公報 特開2001−288123号公報
「C1ケミストリー」、触媒学会編、講談社発行、1984年、第25ページ。
従来法のうちの1段法では、FT合成触媒と固体酸触媒の最適反応温度域が異なるため、両反応を共に効率よく行うことができない、という問題がある。例えば、FT合成触媒に最適な比較的低温で反応を行った場合、CHなどの低級炭化水素の生成は抑えられ炭素数5以上の高級炭化水素が効率よく生成するが、低温のため固体酸触媒の活性が低く、生成した炭化水素の分解や異性化反応が低下し、ガソリン収率が低下するとともに、芳香族炭化水素や分岐状の炭化水素といった高オクタン価な炭化水素の生成も低下する。逆に、固体酸触媒に最適な温度で反応を行った場合、FT反応で、CHなどの低級炭化水素やCOといったガス成分の生成が促進され、ガソリン収率が低下するといった問題が生じる。
一方で2段法では、それぞれの触媒の最適温度で反応を進行させることが可能であり、効率よくガソリン留分を製造することが可能である。しかしながら、プロセスのコストが向上するといった問題や、2段目の反応前に水素を投入して水素化分解を進行させるために、生成物中のイソパラフィンは生成されるがオレフィン分が減少し、オクタン価の低下に繋がるといった問題がある。
本発明では、CO転化率が高く、ガス成分の生成が少なく、かつ芳香族やナフテン、オレフィン、分岐状のパラフィン炭化水素といった高オクタン価成分の選択性に富むガソリン留分を、合成ガスから1段の反応によって得ることができる炭化水素類の製造用触媒組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく研究を進めたところ、炭酸マンガン及びFT反応に活性な金属種を含有するFT合成触媒と、固体酸を示すゼオライトとからなる触媒組成物を用いることによって、従来報告されている合成ガスからガソリン留分を製造する方法に比較して活性が高く、ガス成分の生成が少なく、かつ芳香族やナフテン、オレフィン、分岐状のパラフィンに富み高オクタン価なガソリン留分を製造可能なことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) フィッシャー・トロプシュ反応に活性を示す1種以上の金属及び炭酸マンガンを含有するフィッシャー・トロプシュ合成触媒と、固体酸を示すゼオライトと、を含有することを特徴とする炭化水素類製造用触媒組成物、
(2) 前記金属が、ルテニウム及びコバルトからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする前記(1)記載の炭化水素類製造用触媒組成物、
(3) 前記ゼオライトがZSM−5であることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の炭化水素類製造用触媒組成物、
を提供するものである。
本発明の炭化水素類の製造用触媒組成物を用いることにより、原料合成ガスのCO転化率が高く、また、ガス成分の生成が少なく、かつ芳香族やナフテン、オレフィン、分岐状のパラフィン炭化水素といった高オクタン価成分の選択性に富むガソリン留分を、合成ガスから1段の反応によって効率的に得ることができる。
実施例1(図中、「●」)及び比較例1(図中、「◆」)において、得られた生成物の組成分析結果を示した図である。
本発明に係る触媒組成物は、炭酸マンガン及びFT活性金属種を含有する1種以上のFT合成触媒と、固体酸を示すゼオライトとを含有するものである。本発明の触媒組成物により、従来公知の方法に比べて非常に効率よく高オクタン価なガソリン留分を製造し得ることに関する詳細については、未だ解明されておらず、現在、鋭意検討中ではあるが、以下のように推察される。本発明に係る触媒組成物を用いた反応においては、合成ガスからFT合成触媒により合成された炭化水素類が、固体酸を示すゼオライトに接触することにより、適度に分解又は異性化される。一般的に、ゼオライトによる炭化水素類の分解又は異性化反応等を効率よく行うためには、230℃以上でゼオライトを反応させることが好ましい。本発明においては、FT合成触媒として炭酸マンガンを含有するFT合成触媒を用いることにより、高い反応温度においても、炭素数1〜4の低級炭化水素やCOといったガス成分の生成が抑制され、効率的に炭化水素を生成することができるとともに、高温度で固体酸触媒(ゼオライト)が有効に作用し、高オクタン価なガソリン留分製造が可能になると推察している。
以下、本発明に係る触媒組成物の調製から、その触媒組成物を用いた炭化水素類の製造方法までを順次説明する。
<触媒組成物の調製>
本発明の触媒組成物を構成するFT合成触媒中に含有されるFT活性金属種としては、ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウムが挙げられる。中でも、より高活性な金属種としてルテニウムやコバルトが好ましく選択される。また、これらの金属種は単独で用いることも可能であり、2種以上を複合させて用いることも可能である。
本発明の触媒組成物を構成するFT合成触媒中に含有される炭酸マンガンとしては、市販の試薬を用いてもよく、また、従来公知の方法で製造されたものを用いてもよい。従来公知の炭酸マンガンの製法としては、可溶性マンガン塩溶液とアンモニアあるいはアルカリの炭酸塩溶液とを反応させる方法が挙げられる。また、二価のマンガンイオンと炭酸イオンあるいは重炭酸イオンとの反応によっても、炭酸マンガンを得ることができる。
炭酸マンガンとFT活性金属種とを含有させる方法の一つに、FT活性金属種を炭酸マンガンに含浸担持させる方法がある。炭酸マンガンへのFT活性金属種の担持は通常の含浸担持で行われる。例えば、ルテニウム塩やコバルト塩の水溶液に炭酸マンガンを浸漬させることにより、ルテニウム塩やコバルト塩を炭酸マンガンに含浸させた後、乾燥、焼成を行う。FT活性金属種として2種以上の金属を炭酸マンガンに担持させる場合、ルテニウム塩とコバルト塩を両方含む水溶液を調製し、当該水溶液を炭酸マンガンに含浸させた後に乾燥、焼成をする方式でもよく、ルテニウム塩水溶液とコバルト塩水溶液を、それぞれ別個に炭酸マンガンに含浸させた後に乾燥、焼成をする段階方式でも良く、特に規定はしない。
ルテニウム塩としては、塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム、酢酸ルテニウム、塩化六アンモニアルテニウムなどの水溶性ルテニウム塩が挙げられる。また、コバルト塩としては、塩化コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト、硫酸コバルト、ギ酸コバルトが好ましく用いられる。なお、含浸担持に用いるルテニウム塩やコバルト塩の溶液を、水溶液にかえて、アルコール、エーテル、ケトンなどの有機溶媒の溶液とすることも可能である。この場合は、各種有機溶媒に可溶な塩を選択する。
FT合成触媒中のルテニウムの含有量は、触媒基準に対し、金属量換算で0.1〜5mass%、好ましくは0.3〜4.5mass%、より好ましくは0.5〜4mass%である。ルテニウムの含有量は活性点数と関連する。ルテニウムの含有量が0.1mass%未満の場合には、活性点数が不足となり十分な触媒活性が得られなくなるおそれがある。一方で、ルテニウムの含有量が5mass%を超過した場合には、炭酸マンガン等の担体上にルテニウムが十分担持されなくなり、分散性の低下や、担体成分と相互作用を持たないルテニウム種の発現が起こりやすくなる。よって、必要以上のルテニウムの担持は、単に触媒コストを増加させるため好ましくない。
FT合成触媒中のコバルトの含有量は、触媒基準に対し、金属量換算で5〜40mass%、好ましくは5〜35mass%、より好ましくは5〜30mass%である。コバルトの含有量が5mass%未満の場合には、活性金属であるコバルトが少なすぎ、顕著な活性向上の効果が認められなくなるおそれがある。一方で、コバルトの含有量が40mass%を超過した場合には、この後の乾燥、焼成処理やFT反応条件下において、コバルトの凝集が進行しやすく、活性点の低下に繋がるおそれがある。さらに、コバルトの含有量が過剰となると、触媒の比表面積や細孔容積の低下を招く可能性があるとともに、生成物中のガス成分の生成量が増加しやすくなるため好ましくない。
本発明の触媒組成物を構成するFT合成触媒には、炭酸マンガン及びFT活性金属種によるFT反応を阻害しない程度において、その他の成分を含有させることもできる。その他の成分としては、例えば、シリカ、アルミナ、シリカーアルミナなど、通常担体として用いられる無機酸化物が挙げられる。これらの担体(無機酸化物)成分のFT合成触媒における含有量は、炭酸マンガンやFT活性金属種の効果を阻害しない限りにおいて適宜設定することができるが、一般に、担体(これらの担体成分含有量と炭酸マンガン含有量との総和)基準で5〜50mass%が適当である。
さらに、本発明の触媒組成物を構成するFT合成触媒には、炭酸マンガン及びFT活性金属種に加えて、アルカリ金属種を含有させることもできる。アルカリ金属種としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどが挙げられるが、中でもナトリウムやカリウムが好ましく選択される。これらのアルカリ金属種は単独で用いることも可能であり、2種以上を複合させて用いることも可能である。
FT合成触媒に、炭酸マンガン及びFT活性金属種に加えてアルカリ金属種を含有させる方法は、特に限定しない。例えば、FT活性金属種と同様にして、炭酸マンガンにアルカリ金属種を含浸担持させることができる。具体的には、例えば、ナトリウム塩やカリウム塩の水溶液を炭酸マンガンに含浸させた後、乾燥、焼成を行う。なお、FT活性金属種とアルカリ金属種を炭酸マンガンに担持させる順序は、特に限定されず、両者を含む水溶液に炭酸マンガンを浸漬させて同時に担持させることもできる。また、炭酸マンガンに含浸担持させるナトリウム塩やカリウム塩としては、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩などの水溶性の塩が好ましい。
FT合成触媒中のナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属の含有量は、触媒基準に対し、金属量換算で好ましくは0.05〜3mass%、より好ましくは0.05〜2mass%、さらに好ましくは0.1〜1.5mass%である。ナトリウムやカリウムの含有量を0.05mass%以上とすることにより、ガス成分の生成量を抑制する効果が顕著となる。また、3mass%以下とすることにより、FT活性を低下させることなく、ガス成分の生成量を抑制することが可能となる。
ルテニウムやコバルトといったFT活性金属種を炭酸マンガンに含浸させた後、乾燥、焼成を行う。このときの乾燥は、原則、FT活性金属種を炭酸マンガンに含浸担持させるときに用いた水等の溶媒を蒸散させるために行い、温度は80〜200℃が好ましく、100〜150℃がより好ましい。乾燥温度を80℃以上とすることにより、水等の蒸散を充分に促進することができる。一方、乾燥温度を200℃以下とすることにより、水等の急激な蒸散による活性金属成分の不均一化を抑制することができる。
また、焼成温度は150〜350℃が好ましく、150〜300℃がより好ましく、150〜250℃がさらに好ましい。焼成温度が350℃を大きく超えると、触媒成分中の炭酸マンガンが、マンガン酸化物と炭酸ガスへ分解するため好ましくない。本発明に係るFT合成触媒成分の炭酸マンガンは、炭酸塩の形態で存在することが必須であり、酸化マンガンでは本発明の効果は得られない。一方で、焼成温度が低すぎると、FT活性金属種の活性化が図られないため好ましくない。
乾燥や焼成の時間については、処理量によって一概には決まらないが、通常1〜10時間である。処理時間が1時間未満では水分の蒸散が不十分となる可能性や、FT活性金属種の活性化が希薄となり好ましくない。また、処理時間が10時間を超えても、触媒活性は10時間以下の場合とほとんど変わらないため、作業性や生産性を考慮すると10時間以下が好ましい。なお、この乾燥や焼成処理は空気中で行うことも、あるいは窒素やヘリウムといった不活性ガス雰囲気でも、水素などの還元ガス雰囲気でもよく、特に規定はしない。
上述の含浸担持法以外に、炭酸マンガン及びFT活性金属種を含有するFT合成触媒の製造方法としては、炭酸マンガン及びFT活性金属種を含む水系のスラリーを調製し、これをスプレードライする方法が挙げられる。このときのスラリーの濃度は特に規定しないが、スラリー濃度が低すぎると炭酸マンガンの沈殿が発生し、触媒成分が不均一となり好ましくない。逆にスラリー濃度が高すぎると、スラリーの送液が困難となるため、適度なスラリー濃度を選択する。さらにこのとき、スラリーの濃度調製や触媒の成形性の向上、球状化を目的に、シリカゾル等をバインダー成分として添加することも可能である。このときのバインダーの添加量としては、触媒活性を低下させない程度が好ましく、一般には5〜20mass%の範囲で選択される。
スプレードライ法でFT合成触媒を得る場合、炭酸マンガン、FT活性金属種、及びバインダー成分を同時に含有させたスラリーをスプレーする方法や、炭酸マンガン及びバインダーを含むスラリーをスプレーし、その後、上述の含浸担持方法に則って、得られたスプレードライ品にFT活性金属種を添加する方法がある。なお、スプレードライ法における送風温度は、上記の乾燥及び焼成温度内で実施することが好ましい。
さらに他の本発明の触媒組成物を構成するFT合成触媒の調製法としては、炭酸マンガンをFT活性金属種の水溶液に浸漬させて、活性金属を炭酸マンガン上に吸着させる方法や、イオン交換により活性金属を炭酸マンガンに付着させる方法、炭酸マンガンをFT活性金属種の水溶液に浸漬させる際に、アルカリなどの沈殿剤を加えることにより、活性金属を炭酸マンガンに沈着させる方法等が挙げられる。
上述の焼成処理は、FT活性金属種の活性化を図る目的があるが、焼成処理以外に、若しくは焼成処理に加えて、アルカリ性水溶液処理によって活性化を達成することも可能である。具体的には、炭酸マンガンにFT活性金属種を担持させたFT合成触媒を、アルカリ性水溶液に浸漬させる後処理を行う。アルカリ性水溶液としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液などを用いることができ、好ましくはアンモニア水を用いることができる。アルカリ性水溶液中のアルカリの濃度は、0.05〜1N、好ましくは0.05〜0.5N、より好ましくは0.05〜0.2Nである。アルカリの濃度が0.05N未満である場合には、アルカリ性水溶液処理効果が希薄となり、その後に焼成処理を行っても触媒活性の向上があまり見られないおそれがある。逆に1Nを超える場合には、未反応のアルカリ分が多くなり、不経済であることに加えて、洗浄処理に要する水量や時間が多くなる。なお、アルカリ性水溶液処理の時間は、アルカリ分の濃度にも依るが、通常1〜10時間が好ましい。
アルカリ性水溶液で処理した後、水洗し、余剰のアルカリ分を充分に洗浄した後に、上述の乾燥、焼成処理を行う。なお、このアルカリ性水溶液処理は、炭酸マンガンにFT活性金属種を含浸担持させた後、乾燥後に行ってもよく、焼成後に行ってもよく、特に限定しない。さらに、スプレードライを行って得られた触媒や、成型した触媒に対して実施することもできる。
本発明に係る触媒組成物を構成するゼオライトとしては、固体酸を示すゼオライトであれば、特に限定されるものではなく、公知のゼオライトの中から適宜選択して用いることができる。固体酸とは、固体の表面がブレンステッド酸性やルイス酸性を示すものであり、均一系や不均一系の酸触媒反応に活性を有するものである。FT反応により合成された炭化水素類は、ゼオライトの固体表面の酸に接触することにより、水素化分解又は異性化される。
好ましいゼオライトとしては、ZSM−5、βゼオライト、Y型ゼオライト、USYゼオライト、モルデナイトなどが挙げられるが、特にZSM−5が好ましい。ゼオライトは、市販品を用いてもよく、公知の方法で水熱合成したものを用いることもできる。これらのゼオライトは、通常、イオン交換可能な陽イオンとしてアルカリ金属を含有するが、本発明に用いるゼオライトは、陽イオンの50%以上をプロトン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン、又は希土類金属イオンで置換されたものであって、固体酸性を有するものが好ましく、特にH(プロトン)−ZSM−5が好適に用いられる。
本発明に係る触媒組成物は、FT合成触媒とゼオライトとを含有していればよく、従来公知のいずれの方法を用いて調製してもよい。例えば、FT合成触媒とゼオライトをそれぞれ別個に調製した後に、両者を物理的に混合することによって、本発明に係る触媒組成物を調製することができる。また、炭酸マンガンとゼオライトの複合成型体に、FT活性金属を上述の方法で含浸担持させることによっても、本発明に係る触媒組成物を調製することができる。
別個に調製したFT合成触媒及びゼオライトを混合する方法としては、例えば、FT合成触媒及びゼオライトを物理的に混合して均一な混合物としてもよく、FT合成触媒とゼオライトとを一の容器に積層して充填した積層体としてもよい。積層体とする場合には、両者が少なくとも1層ずつ形成されたものであればよく、一の容器にFT合成触媒とゼオライトを交互に充填し、FT合成触媒からなる層とゼオライトからなる層を交互に積層させた積層体であってもよい。
また、触媒組成物を実装置に用いる場合、成型が必要となるが、成型に関しても従来公知の方法を用いることができる。例えば、FT合成触媒及びゼオライトの混合物を、公知の成型方法に供することにより、本発明に係る触媒組成物を成型することができる。その他、炭酸マンガンとゼオライトの複合成型体に、FT活性金属を上述の方法で含浸担持させて得られた触媒組成物を、公知の成型方法に供することにより、本発明に係る触媒組成物を成型することができる。このような公知の成型方法としては、例えば、打錠成型、押し出し成型、ビード化などが挙げられる。なお、これらの成型方法は、常法により行うことができる。
成型する際に、触媒組成物に対して、成型性向上のために、シリカやアルミナなどをバインダー成分として混合することや、押出し性向上のために、セルロース系成型助剤やエポキシ系成型助剤、PVAなどの成型助剤を触媒活性に影響を及ぼさない範囲で添加することも可能である。
本発明に係る触媒組成物においては、触媒組成物中のFT合成触媒の含有割合が10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜60重量%である。FT合成触媒を10重量%以上含有させた場合には、FT反応による炭化水素の生成が十分進行するため好ましい。また、FT合成触媒の含有量が90重量%以下の場合には、触媒組成物中に十分量のゼオライトを含有させることができる。
また、本発明に係る触媒組成物としては、触媒組成物中のゼオライトの含有量が10重量%以上であることが好ましい。ゼオライトを10重量%以上含有させた場合には、生成した炭化水素類がゼオライト上で効率よく分解又は異性化され、ガソリン留分へと変換されるため好ましい。
<本発明に係る触媒組成物を用いた炭化水素類の製造方法>
本発明に係る触媒組成物を用いた炭化水素類の製造方法においては、上記の如くして調製された触媒組成物を用い、反応に供する。反応器の形式に関しては、固定床、流動床、懸濁床、スラリー床などが挙げられ、特に限定はしない。その一例として、以下に、固定床による炭化水素類の製造方法を記載する。
固定床にて触媒の活性評価を行う場合は、粉体触媒ではリアクター内での差圧の発生が懸念されるため、触媒の形状としては押出し品やビード品等の成型品であることが好ましい。触媒組成物の大きさとしては、反応器の規模にもよるが、触媒形状として粒子径が0.5mm〜5mmであることが好ましく、1.0mm〜3mmであることがより好ましい。粒子径が0.5mm以上の場合には、リアクター内の差圧の上昇を十分に抑制することができる。一方、粒子径を3mm以下とすることにより、触媒の有効係数を向上させ、効率よく反応を進行させることが可能となる。
本発明に係る触媒組成物は、反応に供する前に、予め還元処理(活性化処理)される。この還元処理により、触媒が反応において所望の触媒活性を示すように活性化される。この還元処理を行わなかった場合には、FT活性金属種が十分に還元されず、所望の触媒活性を示さない。還元処理温度は、140〜350℃が好ましく、150〜300℃がより好ましい。140℃未満では、FT活性金属種が十分に還元されず、十分な反応活性が得られない。また、350℃を大幅に超える高温では、触媒成分の炭酸マンガンの酸化マンガンへの分解が進行して活性低下を招く可能性が高くなる。
この還元処理には、水素を主成分とする還元性ガスを好ましく用いることができる。用いる還元性ガスには、水素以外の成分、例えば水蒸気、窒素、希ガスなどを、還元を妨げない範囲である程度の量を含んでいても良い。この還元処理は、上記処理温度と共に、水素分圧及び処理時間にも影響される。還元処理における水素分圧は、0.1〜10MPaが好ましく、0.5〜6MPaがより好ましく、0.9〜3MPaが最も好ましい。還元処理時間は、触媒量、水素通気量等によっても異なるが、一般に、0.1〜72時間が好ましく、1〜48時間がより好ましく、3〜48時間が最も好ましい。処理時間が0.1時間未満では、触媒の活性化が不十分となるおそれがある。一方、72時間を超える長時間還元処理をしたとしても、触媒に与える悪影響は無いが、触媒性能の向上も見られないため、処理コストが嵩むなどの好ましくない問題を生じる。
炭化水素類の製造方法においては、上記の如く還元処理した本発明に係る触媒組成物に、合成ガスを通気させて行うことができる。
用いる合成ガスは、水素及び一酸化炭素を主成分としていれば良く、反応を妨げない範囲において、他の成分が混入されていても差し支えない。例えば、一例として、本発明に係る触媒組成物を用いた炭化水素類の製造方法においては、バイオマスをガス化した合成ガスを用いることができる。この際のバイオマスの種類としては、食糧、建材、パルプなどの農林水産資源バイオマスや、農業、林産、畜産廃棄物などの廃棄物バイオマス、サトウキビ、パームヤシ、海藻などのプランテーションバイオマスなどが挙げられる。中でも、食糧と競合しない未利用の廃棄物バイオマスを用いることが好ましい。バイオマスのガス化方法については特に制限はされない。例えば、バイオマスのガス化方法としては、直接ガス化、間接ガス化、常圧ガス化、加圧ガスなど各種あり、また、ガス化炉形式としては固定床、流動床、噴流床など多岐にわたる。本発明に係る触媒組成物を用いた炭化水素類の製造方法においては、これらのいずれの方法を用いてガス化したバイオマスを用いてもよい。
反応の速度(k)は、水素分圧に約一次で依存するため、水素及び一酸化炭素の分圧比(H/COモル比)は、0.6以上であることが望まれる。この反応は、体積減少を伴う反応であるため、水素及び一酸化炭素の分圧の合計値が高いほど好ましい。水素及び一酸化炭素の分圧比は、前述したバイオマスのガス化では、原料種やガス化方法の違いにより変動するが、本発明ではその上限は特に制限されない。
現実的なこの水素及び一酸化炭素の分圧比の範囲としては、0.6〜2.7が適当であり、好ましくは0.8〜2.5、より好ましくは1〜2.3である。この分圧比が0.6未満では、生成する炭化水素類の収量が低下する傾向が見られ、また、この分圧比が2.7を超えると生成する炭化水素類においてガス成分が増える傾向が見られる。
さらに、本発明に係る触媒組成物を用いた炭化水素類の製造方法においては、合成ガス中に二酸化炭素が共存しても問題はない。合成ガス中に共存させる二酸化炭素としては、例えば石油製品の改質反応や天然ガス等から得られるものでも問題なく用いることができる。また、FT反応を妨げない他の成分が混入されている二酸化炭素も、合成ガス中に共存させることができる。例えば、石油製品等の水蒸気改質反応から出るもののように水蒸気や部分酸化された窒素等が含有された二酸化炭素でも良い。
このような二酸化炭素を、二酸化炭素が含有されてない合成ガスに積極的に添加したガスを、本発明に係る触媒組成物に通気させてもよい。また、天然ガスを自己熱改質法あるいは水蒸気改質法等で改質して得られた、二酸化炭素を含有する合成ガスを、脱炭酸処理することなくそのまま、本発明に係る触媒組成物に通気させて反応に供することもできる。二酸化炭素を含有する合成ガスをそのまま反応に供することにより、脱炭酸処理に要する設備建設コスト及び運転コストを削減することができ、得られる炭化水素類の製造コストを低減することができる。
反応に供する合成ガス(混合ガス)の全圧(全成分の分圧の合計値)は、0.3〜10MPaが好ましく、0.5〜7MPaがより好ましく、0.8〜5MPaがさらに好ましい。低圧では、連鎖成長が不十分となり、ガソリン分、灯軽油分、ワックス分などの収率が低下する傾向が見られるため好ましくない。平衡上は、水素及び一酸化炭素の分圧が高いほど有利になるが、該分圧が高まるほどプラント建設コスト等が高額となりやすく、また、圧縮に必要な圧縮機などの大型化により運転コストが上昇する傾向にある。したがって、産業上の観点から該分圧の上限は規制される。
FT反応における合成ガスと触媒との接触時間(以下W/Fと記す:weight/flow[g・h/mol])は、好ましくは1〜100、より好ましくは1.5〜90、さらに好ましくは2〜80である。W/Fの値は、処理量や用いる触媒の性能によって異なるが、一般に、W/Fが1以上であれば、十分なCO転化率が得られ、液体生成物の収率が向上する。また、W/Fが100以下であれば、用いる触媒量の増加による不必要な反応器の大型化を抑制することができる。
FT合成触媒上では、一般に、合成ガスのH/COモル比が同一であれば、反応温度が低いほど連鎖成長確率やC5+選択性(炭素数5以上の炭化水素類の合成の選択性)が高くなるが、CO転化率は低くなる。逆に、反応温度が高くなれば、連鎖成長確率及びC5+選択性は低くなるが、CO転化率は高くなる。また、H/CO比が高くなれば、CO転化率が高くなり、連鎖成長確率及びC5+選択性は低下し、H/CO比が低くなれば、その逆となる。これらのファクターがFT反応に及ぼす効果は、用いる触媒の種類等によってその大小が異なるが、本発明においては、反応温度は230〜350℃を採用し、240〜310℃が好ましく、250〜300℃がさらに好ましい。反応温度が230℃以上であれば、FT合成触媒及びゼオライトの双方が有効に作用し、炭化水素類の生成及びその分解反応や異性化反応等によって高オクタン価なガソリン留分の製造が可能になる。また、反応温度を350℃以下とすることで、FT合成触媒上での好ましくないガス成分の生成を抑制すること、及びゼオライト上での過分解によるガス成分の生成を抑えることが可能となる。
なお、CO転化率、及び各種生成物の選択率は下記式で定義されるものである。
〔CO転化率〕
CO転化率=[(単位時間当たりの原料ガス中のCOモル数)−(単位時間当たりの出口ガス中のCOモル数)]/(単位時間当たりの原料ガス中のCOモル数)×100
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、CO分析は、Active Carbon(60/80mesh)を分離カラムに用いた熱伝導度型ガスクロマトグラフ(TCD−GC)を用いて行った。原料ガスには、内部標準としてArを25vol%添加した合成ガス(HとCOの混合ガス)を用いた。定性及び定量分析は、COのピーク位置及びピーク面積をArと比較することにより行った。また、生成物の組成分析は、キャピラリーカラム(TC−1)を用い、水素炎イオン検出器ガスクロマトグラフ(FID−GC)を用いて行った。触媒の化学成分の同定は、ICP発光分光分析法(CQM−10000P、島津製作所製)により求めた。
[実施例1]
炭酸マンガンとして和光純薬工業製の炭酸マンガン(II)n水和物を使用した。予め150℃で5時間乾燥させた炭酸マンガン8.00gを秤量し、バインダー成分として用いる触媒化成工業製のシリカゾルSI−550(SiO含有量20.6%)9.71g中に分散させ、その後、空気中120℃で3時間乾燥後、空気中200℃で焼成した。この焼成品4.85gに、塩化ルテニウム(小島化学製、Ru Assay 40.79mass%)0.368gを溶解した水溶液を含浸させて1時間放置した。その後、空気中、80℃で3時間乾燥し、さらに150℃で3時間焼成し、FT合成触媒である触媒aを得た。X線回折法にて構造分析を行った結果、触媒a中のマンガンは炭酸マンガンの状態を維持していた。また、ICP発光分光分析法にて触媒aの化学組成分析を行った結果、ルテニウムは金属換算で2.9mass%であった。
触媒aを4gとH−ZSM−5(ズードケミー製MFI−90)4gとを乳鉢で十分混合し、本発明に係る触媒組成物である触媒Aを得た。
触媒Aの活性を確認するため、触媒A6gを100meshの炭化ケイ素34.6gで希釈し、内径10mmの反応管に充填し、水素分圧0.9MPa・G、温度170℃、流量100(STP)ml/min(STP:standard temperature and pressure)で水素を通気させて3時間還元した。還元後、H/CO比約2の合成ガス(Arを約25vol%含む)に切り換え、温度260℃、全圧0.9MPa・Gに設定して反応を行った。
触媒Aに対する合成ガス(H+CO)の接触時間(W/F:weight/flow[g・h/mol])は約13.4g・h/molであった。なお、混合したH−ZSM−5はFT反応に対して全く活性を示さないことから、W/Fは、触媒A中のFT合成触媒である触媒aに対する合成ガスの接触時間で表している。反応結果及びこの時得られた生成物の組成分析結果を表1及び図1に、さらに生成物の炭化水素タイプ別分析結果を表2に、それぞれ示す。なお、図1中、「●」が実施例1の結果を示す。
[比較例1]
炭酸マンガンに代えて和光純薬工業製の酸化マンガン(III)(Mn)を使用した以外は実施例1と同様にして触媒bを得た。X線回折法にて構造分析を行った結果、マンガンはMnであった。ICP発光分光分析法にて触媒bの化学組成分析を行った結果、ルテニウムは金属換算で3.0mass%であった。この触媒bを、ゼオライトとは混合せずにそのままFT反応に供した。FT反応は、実施例1と同様の方法で行った。反応結果及びこの時得られた生成物の組成分析結果を表1及び図1に、さらに生成物の炭化水素タイプ別分析結果を表2に示す。なお、図1中、「◆」が比較例1の結果を示す。
[実施例2]
触媒Aを用いて、反応温度を270℃で実施した以外は、実施例1と同様の方法で反応を行った。反応結果及びこの時得られた生成物の組成分析結果を表1に示す。
[実施例3]
触媒Aを用いて、反応温度を280℃で実施した以外は、実施例1と同様の方法で反応を行った。反応結果及びこの時得られた生成物の組成分析結果を表1に示す。
[実施例4]
炭酸マンガンとして和光純薬工業製の炭酸マンガン(II)n水和物を使用した。予め150℃で5時間乾燥した後、炭酸マンガン4.5gを秤量し、水3.0gに硝酸コバルト(和光純薬工業製、Co(NO)・6HO)2.46gを溶解した水溶液を含浸させて1時間放置した。その後、空気中、80℃で3時間乾燥し、さらに200℃で5時間焼成し、FT合成触媒である触媒cを得た。X線回折法にて構造分析を行った結果、触媒c中のマンガンは炭酸マンガンの状態を維持していた。また、ICP発光分光分析法にて触媒cの化学組成分析を行った結果、コバルトは金属換算で10.0mass%であった。
触媒c4gとH−ZSM−5(ズードケミー製MFI−90)4gとを乳鉢で十分混合し、本発明に係る触媒組成物である触媒Bを得た。触媒Bを用いて、還元温度を350℃で実施した以外は、実施例1と同様の方法で反応を行った。結果を表3に示す。
[比較例2]
炭酸マンガンに代えて富士シリシア化学製の球状シリカ(Q−30)を用いて、FT合成触媒を製造した。具体的には、予め充分乾燥させた球状シリカ(Q−30)4.5gを秤量し、水5.54gに硝酸コバルト(和光純薬工業製、Co(NO)・6HO)2.46gを溶解した水溶液を含浸させて1時間放置した。その後、空気中、80℃で3時間乾燥し、さらに200℃で3時間焼成し、触媒dを得た。ICP発光分光分析法にて触媒dの化学組成分析を行った結果、コバルトは金属換算で10.1mass%であった。
[比較例3]
触媒d4gとH−ZSM−5(ズードケミー製MFI−90)4gとを乳鉢で十分混合して触媒eを得た。触媒eを用いて、実施例4と同様の方法で反応を行った結果を表3に示す。
Figure 2011125802
表1の結果より、FT活性金属と炭酸マンガンとを含有するFT合成触媒とゼオライトとを含む触媒組成物を用いた場合(実施例1)には、FT活性金属と酸化マンガンとを含有するFT合成触媒を含み、ゼオライトは含まない触媒組成物を用いた場合(比較例1)に比べて、ガス選択率やC5+選択率には大きな違いは認められないが、CO転化率が非常に高く、かつ生成物中のガソリン留分の割合が非常に高くなることが明白である。特に、図1に示す通り、ゼオライトを触媒組成物中に含有することによって、炭素数の長い炭化水素が選択的に分解又は異性化され、ガソリン留分へ転換されていることが明らかである。
また、本発明に係る触媒組成物を用いることにより、反応温度が260〜280℃という高温であっても、十分に反応が進行することも明らかである。
Figure 2011125802
表2に示すように、反応により得られた生成物の炭化水素タイプを比較すると、ゼオライトとの混合によって、オクタン価の高い芳香族やナフテン、オレフィン、分岐状パラフィンの割合が高くなることが分かる。
Figure 2011125802
表3から明らかな通り、炭酸マンガンを含有しコバルトをFT活性金属とするFT合成触媒を用いた場合(実施例4)においても、FT活性金属としてルテニウムを用いた場合(実施例1)と同様に、ゼオライトの混合によって効率的にガソリン留分を製造することが可能である。さらに、炭酸マンガンの代わりにシリカを用いた場合(比較例2及び3)には、ゼオライトと混合させることによって生成物中のガソリン留分の割合は高められるものの(比較例3)、ガス成分の生成が非常に高く(C5+選択率が非常に低い)、CO転化率も低いことが明らかである。これらの結果から、ガソリン留分を効率的に製造するためには、炭酸マンガンを含有するFT合成触媒とゼオライトの両方を含有する本発明に係る触媒組成物を用いることが非常に重要であることが明らかとなった。
[実施例5]
触媒Aを用いて、原料合成ガスとしてH/CO比約1.5の合成ガス(Arを約38vol%含む)を導入した以外は、実施例1と同様の方法で反応を行った。反応結果及びこのとき得られた生成物の組成分析結果を表4に示す。
[比較例4]
触媒eを用いた以外は、実施例5と同様な反応を行った。反応結果及びこのとき得られた生成物の組成分析結果を表4に示す。
[実施例6]
触媒Aを用いて、原料合成ガスとしてH/CO比約2.5の合成ガス(Arを約13vol%含む)を導入した以外は、実施例1と同様の方法で反応を行った。反応結果及びこのとき得られた生成物の組成分析結果を表4に示す。
[比較例5]
触媒eを用いた以外は、実施例6と同様な反応を行った。反応結果及びこのとき得られた生成物の組成分析結果を表4に示す。
Figure 2011125802
表4から明らかな通り、本発明によると原料合成ガスのH/CO比が多少変動しても効率的に液状炭化水素を得ることができる。すなわち、本発明の触媒組成物は、種々の由来する合成ガスを原料ガスとして反応を行うことができる。

Claims (3)

  1. フィッシャー・トロプシュ反応に活性を示す1種以上の金属及び炭酸マンガンを含有するフィッシャー・トロプシュ合成触媒と、
    固体酸を示すゼオライトと、
    を含有することを特徴とする炭化水素類製造用触媒組成物。
  2. 前記金属が、ルテニウム及びコバルトからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする請求項1記載の炭化水素類製造用触媒組成物。
  3. 前記ゼオライトがZSM−5であることを特徴とする請求項1又は2記載の炭化水素類製造用触媒組成物。
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