JP2011124748A - マイクロホンユニット - Google Patents

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Fuminori Tanaka
史記 田中
Ryusuke Horibe
隆介 堀邊
Nobuyuki Umeda
修志 梅田
Takeshi Inota
岳司 猪田
Michitomo Shibuya
道知 澁谷
Atsushi Kasuga
敦史 春日
Kohei Hida
浩平 飛田
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Abstract

【課題】効率良く組み立てられると共に、小型化を図り易い差動型のマイクロホンユニットを提供する。
【解決手段】マイクロホンユニット1は、振動板42を有して音信号を電気信号に変換する電気音響変換部40と、電気音響変換部40を収容空間62に収容し、電気音響変換部40に塞がれる開口(第1の貫通孔21)が形成される筐体60と、筐体60を第1の凹部に搭載する搭載部材10と、を備える。電気音響変換部40の下側には、開口21に連通する下部空間65が形成され、外部音を上側から、下部空間65へと導く第1空間61と、収容空間62へと導く第2空間(第2の貫通孔)31とが形成される。第1空間61は、第1の溝部12が形成される第1の凹部の側壁と、筐体60の外壁との間で形成される空間を用いてなる。
【選択図】図3

Description

本発明は、入力音を電気信号に変換して出力する機能を備えたマイクロホンユニットに関する。
従来、例えば、携帯電話やトランシーバ等の音声通信機器、又は音声認証システム等の入力された音声を解析する技術を利用した情報処理システム、或いは録音機器、といった音声入力装置にマイクロホンユニットが適用されている。近年においては電子機器の小型化が進んでおり、音声入力装置に適用されるマイクロホンユニットについても小型・薄型化が望まれ、そのようなマイクロホンユニットの開発が従来行われている(例えば特許文献1参照)。
なお、特許文献1に示されるマイクロホンユニットは、前ハウジングと後ハウジングとで構成されるケース内に、基板とは別に複数の中間部材を配置する構成であり、部品点数が多く、組み立て作業が必ずしも容易でない。このため、特許文献1に示されるマイクロホンユニットは改良の余地があるものと判断される。
また、上述した音声入力装置に適用されるマイクロホンユニットは、目的の音声を正確に抽出できると共に、目的の音声以外の雑音(背景雑音等)を除去できることが望まれる。このような点を考慮して、例えば特許文献2には、1つの振動板を用いて構成された差動型のマイクロホンユニットが開示されている。
特許文献2に開示される差動型のマイクロホンユニットでは、マイクロホンユニットの近傍で発生して振動板の両面に入射するユーザ音声は、振動板の一方の面と他方の面とで大きな音圧差を生じて振動板を振動させる。一方、遠方から振動板の両面に入射する雑音は、ほぼ同じ音圧になるために互いに打ち消しあって振動板をほとんど振動させない。このため、振動板を振動させる音圧はユーザ音声を示す音圧であるとみなすことができ、振動板の振動に基づいて取得された電気信号は、雑音が除去された、ユーザ音声を示す電気信号であるとみなすことができる。
特開2005−295278号公報 特開2008−258904号公報
ところで、本出願人らは、表面実装可能に設けられる差動型のマイクロホンユニットとして、図19及び図20に示すようなマイクロホンユニットの開発を進めている。なお、図19は、本出願人らが先に開発したマイクロホンユニットの構成を示す分解斜視図である。図20は、本出願人らが先に開発したマイクロホンユニットの構成を示す概略断面図である。以下、図19及び図20に示すマイクロホンユニットを、先行開発のマイクロホンユニットと表現する。
図19及び図20に示されるように、先行開発のマイクロホンユニット100は、箱状のボトムケース101と、MEMS(Micro Electro Mechanical System)チップ111及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)112が搭載されるマイク基板102と、マイク基板102を覆うように配置されるトップケース103と、を備えている。
なお、MEMSチップ111は、半導体製造技術を用いて製造されるマイクロホンチップで、音圧によって変位する振動板113を有して音信号を電気信号に変換する機能を有する。また、ASIC112は、MEMSチップ111から出力される電気信号を増幅処理する集積回路である。
ボトムケース101は、図19に示すようにマイク基板102及びトップケース103が収容される凹部1011を有する。ボトムケース101の凹部1011の底壁1011aには、平面視略矩形状に形成される溝部1012が形成されている。また、ボトムケース101の凹部1011の底壁1011aには、ボトムケース101の底面101aに設けられる電極端子(図示せず)と電気的に接続された電極端子1013が複数設けられている。
なお、複数の電極端子1013には、マイクロホンユニット100に電力を供給するための電源用の電極端子、マイクロホンユニット100で発生した電気信号を外部へと出力するための出力用の電極端子、グランド接続用の電極端子が含まれている。また、ボトムケース101に形成される電極端子は、例えばインサート成形により、ボトムケース101と一体的に形成される。
マイク基板102には、第1の貫通孔1021と第2の貫通孔1022とが形成されている。これらは、外部からの音波をMEMSチップ111が有する振動板113へと導く音道を形成するために設けられるものである。また、マイク基板102には、例えばMEMSチップ111とASIC112とが電気的に接続されるように、更に、ボトムケース101に形成される電極端子1013との電気的な接続が確保されるように、配線パターン1023(詳細は図示されていないが基板内に形成される内部配線を含む)が形成されている。
なお、マイク基板102に搭載されるMEMSチップ111及びASIC112は、例えば、フリップチップ実装されたり、ワイヤボンディング実装されたりする。
トップケース103は、その天板部103aに、平面視略楕円形状の2つの開口1031、1032が形成されている。また、トップケース103には、第1の開口1031と連通する第1の空間部1033と、第1の空間部1033と隔離されて第2の開口と連通する第2の空間部1034と、が形成されている。
先行開発のマイクロホンユニット100は、例えば、ボトムケース101にMEMSチップ111及びASIC112が搭載されたマイク基板102を嵌め込み、次いで、トップケース103をマイク基板102に被せるようにボトムケース101に嵌め込むことによって得られる。
なお、ボトムケース101の凹部底壁1011aに設けられる電極端子1013は、例えば半田や導電ペースト等を用いてマイク基板102に設けられる電極端子と電気接合される。また、マイク基板102とトップケース103とは接着剤を用いて接合される。更に、マイクロホンユニット100における音漏れを防止するために、ボトムケース101にトップケース103を嵌め込んだ後、ボトムケース101とトップケース103の間の隙間を覆うように封止樹脂(例えばエポキシ系の樹脂)が接着される。
図20に示すように、マイクロホンユニット100においては、第1の空間部1033にMEMSチップ111及びASIC112が収容されるように、且つ、第2の空間部1034が第2の貫通孔1022を介して溝部1012と連通するように、トップケース103がマイク基板102上に載置される。
これにより、マイクロホンユニット100の外部で発生した音声は、第1の開口1031及び第1の空間部1033を経てMEMSチップ111が有する振動板113の上面113aに到達する。また、マイクロホンユニット100の外部で発生した音声は、第2の開口1032、第2の空間部1034、第2の貫通孔1022、溝部1012及び第1の貫通孔1021をこの順に経てMEMSチップ111が有する振動板113の下面113bに到達する。
このように構成される先行開発のマイクロホンユニット100は、接話型の音声入力装置(例えば携帯電話等)に適用した場合に、雑音が除去された目的の音声のみを電気信号に変換して出力する高性能のマイクロホンユニットとして機能する。これは、次のような理由による。
音波の音圧(音波の振幅)は、音源からの距離に反比例する。そして、音圧は、音源に近い位置では急激に減衰し、音源から離れる程、なだらかに減衰する。このため、マイクロホンユニット100の近傍で発生し、音孔(第1の開口1031或いは第2の開口1032)を介して振動板113に入射するユーザ音声は、振動板113の上面113aと下面113bとで大きな音圧差を生じ、振動板113を振動させる。一方、遠方から振動板113の両面113a、113bに入射する雑音は、振動板13に到達した時点でほぼ同じ音圧になるために互いに打ち消し合って、振動板113をほとんど振動させない。
このため、振動板113を振動させる音圧はユーザ音声を示す音圧であるとみなすことができ、振動板113の振動に基づいて取得された電気信号は、雑音が除去された、ユーザ音声を示す電気信号であるとみなすことができる。
また、先行開発のマイクロホンユニット100は、従来にない構成として、溝部1012が形成されるボトムケース101を用意して、マイク基板102とトップケース103をボトムケース101に収容保持することで、振動板113の両面113a、113bに音波を導く2つの導音空間を得る構成となっている。この構成の場合、マイク基板102とトップケース103をボトムケース101に嵌め込むだけで、各部材の位置関係を所望の位置関係とすることができる。このため、先行開発のマイクロホンユニット100によれば、差動型のマイクロホンユニットを少ない部品点数で効率良く組み立てることが可能である。
ところで、先行開発のマイクロホンユニット100の場合、2つの音孔(第1の開口1031及び第2の開口1032が該当)の間隔を所定の間隔より短くするのは好ましくなく、2つの音孔の間隔を縮める方向(図20の矢印D方向)と平行な方向の小型化が困難であると考えられていた。
なお、2つの音孔の間隔を所定の間隔より短くするのが好ましくないのは、次の理由による。すなわち、2つの音孔の間隔を所定の間隔(例えば5mm程度)より短くすると、振動板113の上面113aと下面113bとに加わる音圧の差が小さくなってしまう。この結果、音波に入力に伴う振動板113の振幅が小さくなり、マイクロホンユニット100から出力される電気信号のSNR(Signal to Noise Ratio)が悪くなってしまう。
以上の点を鑑みて、本発明の目的は、効率良く組み立てられると共に、小型化を図り易い差動型のマイクロホンユニットを提供することである。
上記目的を達成するために本発明のマイクロホンユニットは、音圧によって変位する振動板を有して音信号を電気信号に変換する電気音響変換部と、前記電気音響変換部を収容する収容空間が形成される筐体と、前記筐体を第1の凹部に搭載する搭載部材と、を備えるマイクロホンユニットであって、前記筐体の前記収容空間は、第1の壁部と、前記第1の壁部に対向する第2の壁部と、前記第1の壁部と前記第2の壁部とを連結する第3の壁部と、によって形成され、前記筐体は、前記第1の壁部が前記第1の凹部の底壁に対向配置されると共に、前記第3の壁部の少なくとも一部が前記第1の凹部の側壁に対向配置されるように前記搭載部材に搭載され、前記第1の壁部側を下側、前記第2の壁部側を上側とした場合に、前記電気音響変換部は、前記振動板が前記第1の壁部の上面に形成される開口の少なくとも一部を覆うと共に、前記開口を塞ぐように前記第1の壁部の上面に配置され、前記電気音響変換部の下側には、前記開口に連通する下部空間が形成され、外部音を前記上側から、前記下部空間へと導く第1空間と、前記収容空間へと導く第2空間とが形成され、前記第1空間及び前記第2空間のうち、少なくともいずれか一方は、前記筐体の壁部と前記第1の凹部の側壁との間で形成される空間を用いてなることを特徴としている。
本構成によれば、第1空間、下部空間、及び開口(第1の壁部に設けられる)を介して外部音を振動板の一方に導くことができると共に、第2空間及び収容空間を介して外部音を振動板の他方の面に導くことができる。そして、第1空間と第2空間とは同一側(上側)から外部音を振動板へ導けるようになっている。このため、本構成によれば、マイクロホンユニットの同一の面側から外部音を振動板の両面へと導ける差動型のマイクロホンユニットを得ることが可能である。
また、本構成においては、第1空間及び第2空間のうち、少なくともいずれか一方は、筐体の壁部と第1の凹部の側壁との間で形成される空間を用いてなる構成のために、外部音を導入する2つの音孔(外部音を導入する入り口部分のこと。以下、同様)の間隔を短くすることなく、2つの音孔の間隔を短くする方向に平行な方向の小型化を図れる。また、本構成によれば、筐体を搭載部材の凹部(第1の凹部)に搭載することによって振動板の両面に音波を導く2つの音道を得られ、各部材間の位置合わせが容易であり、マイクロホンユニットを効率良く組み立てることができる。
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記下部空間は、前記第1の凹部の底壁に形成される第2の凹部を用いてなることとしてもよい。本構成によれば、筐体を搭載部材の凹部(第1の凹部)に搭載することで、簡単に下部空間を得られる。なお、下部空間を得る構成としては、この構成に限らず、例えば、搭載部材の第1の凹部底壁には凹部(第2の凹部)を設けず、第1の壁部の下面側に切り欠き部を設けたり、第1の壁部に中空部を設けたりする構成等として得てもよい。
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記第1の凹部の側壁に、前記第3の壁部の外壁と共に前記第1空間を形成する第1の溝部が形成されていることとしてもよい。本構成によれば、筐体に隔離された2つの空間を設ける必要がなく、外部音を導入する2つの音孔の間隔を短くすることなく、2つの音孔の間隔を短くする方向に平行な方向の小型化を図れる。本構成においては、例えば第2の壁部に貫通孔を形成して第2空間を得るようにしてもよい。
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記2の壁部の側面に、前記第1の凹部の側壁と共に前記第2空間を形成する第2の溝部が形成されていることとしてもよい。本構成によれば、筐体の側面に開口面を設けることができ、側面壁の厚さの分だけ、外部音を導入する2つの音孔の間隔を短くすることなく、2つの音孔の間隔を短くする方向に平行な方向の小型化を図れる。本構成においては、例えば、上側から下側に向けて、第2の壁部、第3の壁部、及び第1の壁部を貫通する貫通孔によって第1空間を形成する構成としてもよいし、また、上述の第1の溝部を用いて第1空間を形成する構成としてもよい。
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記3の壁部の全てが、前記第1の凹部の側壁に対向配置されていることとしてもよい。本構成によれば、筐体を搭載部材の第1の凹部に嵌め込むという簡単な作業で、各部材間の位置合わせができた状態のマイクロホンユニットを得られるので便利である。
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記第1の凹部の側面の一部が開口面となっており、前記第3の壁部の一部が前記第1の凹部の側壁に対向配置されていないこととしてもよい。この構成の場合には、筐体を第1の凹部に搭載する際に、一定の方向にスライドして搭載し、各部材間の位置合わせができた状態のマイクロホンユニットを得られる。このため、本構成でも、マイクロホンユニットを効率良く組み立てることが可能である。また、本構成では、第1の凹部の側面の一部を開口面としているために搭載部材の小型化が可能であり、マイクロホンユニットを更に小型化なものとできる。
上記構成のマイクロホンユニットの更に具体的な構成として、前記筐体及び前記第1の凹部は略直方体形状であり、前記第1空間と前記第2空間とが長手方向に並設されていることとしてもよい。本構成により、効率良く組み立てられると共に、マイクロホンユニットの長手方向の小型化を図り易い差動型のマイクロホンユニットを得られる。
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記第1空間の外部音を導入する第1の面と、前記第2空間の外部音を導入する第2の面とがほぼ同一平面上にあることとしてもよい。このように構成すると、マイクロホンユニットを音声入力装置に取り付ける際の構成が複雑とならず、便利である。
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記筐体は、前記電気音響変換部を搭載するマイク基板と、前記マイク基板に被せられる蓋体と、からなるのが好ましい。これにより、少ない部品点数でマイクロホンユニットを構成でき、差動型のマイクロホンユニットの小型化と、組み立て作業の効率化を図り易い。
本発明によれば、効率良く組み立てられると共に、小型化を図り易い差動型のマイクロホンユニットを提供できる。
第1実施形態のマイクロホンユニットの外観構成を示す概略斜視図 第1実施形態のマイクロホンユニットの構成を示す分解斜視図 図1のA−A位置における概略断面図 第1実施形態のマイクロホンユニットが備えるボトムケースを上から見た場合の概略平面図 第1実施形態のマイクロホンユニットが備えるMEMSチップの構成を示す概略断面図 第1実施形態のマイクロホンユニットの効果を説明するための概略断面図 第2実施形態のマイクロホンユニットの外観構成を示す概略斜視図 図7のB−B位置における概略断面図 第2実施形態のマイクロホンユニットが備えるボトムケースの構成を示す概略図 第3実施形態のマイクロホンユニットの外観構成を示す概略斜視図 第3実施形態のマイクロホンユニットが備えるボトムケースの構成を示す概略平面図 第3実施形態のマイクロホンユニットが備える蓋体の構成を示す概略斜視図 図10のC−C位置における概略断面図 第3実施形態のマイクロホンユニットの効果を説明するための概略断面図 第3実施形態のマイクロホンユニットの変形例を示す概略断面図 第4実施形態のマイクロホンユニットの外観構成を示す概略斜視図 図16のD−D位置における概略断面図 実施形態のマイクロホンユニットの変形例を示す概略断面図 本出願人らが先に開発したマイクロホンユニットの構成を示す分解斜視図 本出願人らが先に開発したマイクロホンユニットの構成を示す概略断面図
以下、本発明が適用されたマイクロホンユニットの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態のマイクロホンユニットの構成について、図1から図5を参照しながら説明する。
なお、図1は、第1実施形態のマイクロホンユニットの外観構成を示す概略斜視図である。図2は、第1実施形態のマイクロホンユニットの構成を示す分解斜視図である。図3は、図1のA−A位置における概略断面図である。図4は、第1実施形態のマイクロホンユニットが備えるボトムケースを上から見た場合の概略平面図である。図5は、第1実施形態のマイクロホンユニットが備えるMEMSチップの構成を示す概略断面図である。
第1実施形態のマイクロホンユニット1は、ボトムケース10と、MEMSチップ40及びASIC50が搭載されるマイク基板20と、マイク基板20を覆うように配置される蓋体30と、を備えている。まず、マイクロホンユニット1が備える、これら各部の構成について説明する。
ボトムケース10は、略直方体形状の外形を有し、マイク基板20及び蓋体30が収容される第1の凹部11を有している。ボトムケース10が有する第1の凹部11は、4つの側壁11a〜11dと底壁11eとからなり、第1の凹部11の形状は略直方体形状となっている。なお、ボトムケース10は、本発明の搭載部材の実施形態である。
第1の凹部11の4つの側壁11a〜11dのうち、1つの側壁11aには、第1の凹部11の上面11fから底壁11eへと延びる平面視略矩形状の第1の溝部12が形成されている。また、第1の凹部11の底壁11eには、平面視略矩形状の第2の凹部13が形成されている。第1の溝部12と第2の凹部13とは繋がっており、ボトムケース11を上から見た場合に、第1の溝部12及び第2の凹部13は、図4に示すように略矩形状に見える。
ボトムケース10は、例えば樹脂で形成される。マイクロホンユニット1を、音声入力装置(例えば携帯電話等)の実装基板(図示せず)にリフロー実装する場合には、ボトムケース10は耐熱性の樹脂とするのが好ましい。このような点等を考慮して、ボトムケース10は、例えばLCP(Liquid Crystal Polymer;液晶ポリマ)やPPS(polyphenylene sulfide;ポリフェニレンスルファイド)等の樹脂を用いて形成するのが好ましい。
なお、図示しないが、ボトムケース10の第1の凹部11の底壁11e、及びボトムケース10の底面10aには、例えば、インサート成形を利用して複数の電極端子が形成されている。これは、図19及び図20に示す先行開発のマイクロホンユニット100と同様であり、複数の電極端子には、マイクロホンユニット1に電力を供給する電源用の電極端子と、マイクロホンユニット1で発生した電気信号を外部に出力する出力用の電極端子と、グランド接続用の電極端子と、が含まれる。
マイク基板20は、平面視略矩形状に形成され、そのサイズはボトムケース10の第1の凹部11の幅X及び奥行きY(図4参照)とほぼ等しく(詳細には若干小さく)形成されている。マイク基板20には、平面視略矩形状の第1の貫通孔21(本発明の開口の実施形態)が形成されている。マイク基板20には、この第1の貫通孔21を塞ぐようにMEMSチップ40が配置されている。なお、MEMSチップ40は、本発明の電気音響変換部の実施形態である。
MEMSチップ40はシリコンチップからなり、図5に示すように、絶縁性のベース基板41と、振動板42と、絶縁層43と、固定電極44と、を有し、コンデンサ型のマイクロホンを構成している。ベース基板41には平面視略円形状の開口41aが形成されている。ベース基板41の上に設けられる振動板42は、音圧を受けて振動(上下方向に振動)する薄膜で、導電性を有して電極の一端を形成している。固定電極44は、絶縁層43を挟んで振動板42と対向するように配置されている。これにより、振動板42と固定電極44との間で容量が形成される。なお、固定電極44には音波が通過できるように複数の貫通孔44aが形成されている。
MEMSチップ40の振動板42は、上面42aから加わる音圧pfと、下面42bから加わる音圧pbとの差に応じて振動する。振動板42が振動すると、振動板42と固定電極44との間隔Gpが変化して、振動板42と固定電極44との間の静電容量が変化する。この結果、MEMSチップ40に入射した音波(音信号)を電気信号として取り出せる。
ASIC50は、MEMSチップ40の静電容量の変化に基づいて取り出される電気信号を増幅処理する集積回路である。この信号処理部として機能するASIC50は、MEMSチップ50にバイアス電圧を印加するためのチャージポンプ回路と、MEMSチップ50における静電容量変化を検出するアンプ回路とを含む構成としても良い。
マイクロホンユニット1においては、MEMSチップ40は、振動板42がマイク基板20とほぼ平行となると共に、振動板42の少なくとも一部が第1の貫通孔21を覆うように、マイク基板20に搭載されている。また、マイク基板20上には、MEMSチップ40に隣接してASIC50が配置される。MEMSチップ40及びASIC50は、マイク基板20に例えばフリップチップ実装やワイヤボンディング実装される。
マイク基板20には、図示しない配線パターン(内部配線含む)が形成されている。これにより、MEMSチップ40から取り出されASIC50で増幅処理された電気信号は、ボトムケース10に形成される電極端子を介してマイクロホンユニット1の外部へと出力できるようになっている。また、ボトムケース10に形成される電極端子を介して外部から電源電力を供給できるようになっている。その他、マイク基板20には、グランド接続用の配線も形成されている。
MEMSチップ40は、第1の貫通孔21を囲むように形成される額縁状の接続パッド(図示せず)に、その下面(MEMSチップ40の下面)が例えば半田等によって接合される。そして、これにより、マイク基板20の上面とMEMSチップ40の下面との間にできる隙間から音が漏れ込むということが発生しないようになっている。
なお、MEMSチップ40をマイク基板20に搭載にあたって、上述の半田による接合(フリップチップ実装の一例)以外の接合方法として、次のような接合方法(ワイヤボンディング実装の一例)を採用しても構わない。すなわち、MEMSチップ40がマイク基板20に搭載される部分にダイアタッチ(ダイボンド接着剤)を塗布して、MEMSチップ40をダイボンド接着する。そして、MEMSチップ40とASIC50との間、及び、ASIC50とマイク基板20に形成される電極との間をワイヤボンディングにより電気的に接合する。ここで、マイク基板20の上面とMEMSチップ40の下面とは隙間なく完全にダイボンド接着し、隙間から音が漏れることがないようにする必要がある。
また、マイク基板20を構成する基板の材質は特に限定されるものではなく、例えば、ガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、シリコン基板、ガラス基板等が用いられる。ただし、リフロー時の加熱冷却によるMEMSチップ40への応力を低減するために、マイク基板20の線膨張係数がMEMSチップ40の線膨張係数に近くなるように、基板の材質を選択するのが好ましい。
蓋体30は、平面視略矩形状の第2の貫通孔31が形成される天板部30aと、4つの面を有する側壁部30bと、からなっている。蓋体30の外形は略直方体形状であり、蓋体30は略直方体形状の凹部を有する。蓋体30の幅及び奥行きは、マイク基板20のサイズとほぼ同一となっている。このため、蓋体30をマイク基板20に被せた状態で、その外形(蓋体20とマイク基板20とからなる筐体の外形)が略直方体形状となる。
蓋体30は、例えば樹脂で形成される。マイクロホンユニット1を、音声入力装置(例えば携帯電話等)の実装基板(図示せず)にリフロー実装する場合には、蓋体30は耐熱性の樹脂とするのが好ましい。このような点等を考慮して、蓋体30は、例えばLCP(Liquid Crystal Polymer;液晶ポリマ)やPPS(polyphenylene sulfide;ポリフェニレンスルファイド)等の樹脂を用いて形成するのが好ましい。
次に、ボトムケース30に、MEMSチップ40及びASIC50が搭載されたマイク基板20及び蓋体30が嵌め込まれたマイクロホンユニット1の構成について説明する。
ここで、ボトムケース10にマイク基板20及び蓋体30を嵌め込むにあたっては、マイク基板20、蓋体30をこの順に嵌め込むこととしてもよい。また、他の方法として、蓋体30をマイク基板20に被せて、MEMSチップ40及びASIC50が収容される内部空間62(本発明の収容空間の実施形態)を有する筐体60を先に構成し、この筐体60をボトムケース10に嵌め込むようにしてもよい。
なお、マイク基板20と蓋体30とは、例えば接着剤によって接合される。ボトムケース10とマイク基板20とは、半田や導電ペースト等を用いて、それぞれの接続端子同士が電気的に接続されるように接合処理される。また、マイクロホニンユニット1における音漏れを防止するために、筐体60とボトムケース10の間の隙間(一応断っておくが音道として用いられない隙間を指す)を覆うように、エポキシ樹脂等の封止樹脂を接着するのが好ましい。
マイクロホンユニット1は、マイク基板20及び蓋体30からなる筐体60をボトムケース10の第1の凹部11に嵌め込んだ構成とも言える(図3参照)。このように見た場合、筐体60は、筐体60を構成するマイク基板20がボトムケース10の第1の凹部11の底壁11eに対向配置されると共に、筐体60を構成する蓋体30の側壁部30bがボトムケース10の第1の凹部11の側壁11a〜11dに対向配置されるように、ボトムケース10に搭載されている。
一応断っておくが、マイクロホンユニット1においては、筐体60を構成する側壁部30bの全て(4つの面全て)が、凹部11の側壁に対向配置された構成となっている。また、筐体60の上面(詳細には蓋体30の天板部30aの上面が該当)とボトムケース10の上端(第1の凹部11の上面11fに同じ)とは同一平面にあり、マイクロホンユニット1の上部は平面となっている。
なお、マイク基板20は本発明の第1の壁部の実施形態である。また、蓋体30の天板部30aは本発明の第1の壁部に対向する第2の壁部の実施形態であり、蓋体30の側壁部30bは本発明の第1の壁部と第2の壁部を連結する第3の壁部の実施形態である。
マイクロホンユニット1においては、筐体60は第1の凹部11の幅X及び奥行きY(X、Yは図4参照)とほぼ同一のサイズであるために、ボトムケース10の第1の凹部11に筐体60を嵌め込むことによって、第1の凹部11は筐体60によって占有される。
一方、第1の凹部11の側壁11a(第1の凹部11の長手方向に対向する2つの側壁11a、11cのうち、第2の貫通孔31から距離が遠い方)に形成される第1の溝部12、及び、第1の凹部11の底壁11eに形成される第2の凹部13は、その空間が筐体60に占有されない。このために、第1の凹部11に筐体60が嵌め込まれることによって、第1の溝部12と筐体60の外面(蓋体30の側壁部30bの外壁面)とによって形成される第1空間61と、第2の凹部13と筐体60の外面(マイク基板20の下面)とを用いて形成されると共に第1空間61に繋がる下部空間65と、によって導音空間が形成される。なお、筐体60は、第1の貫通孔21が第2の凹部13の一部と重なるように、第1の凹部11に搭載されている。
上記の第1空間61においては、溝部12の上側端面12a(本発明の第1の面の実施形態)が外部音導入のための音孔となっており、この音孔12aから第1空間61に導入された外部音が下部空間65及び第1の貫通孔21を介して振動板42の下面42bへと至るようになっている。なお、マイクロホンユニット1には、これとは別に、第2の貫通孔31(本発明の第2空間の実施形態)の上側端面31a(本発明の第2の面の実施形態;音孔)から、蓋体30をマイク基板20に被せることによって形成される内部空間62を通って振動板42の上面42aへと至る導音空間も形成されている。このため、マイクロホンユニット1は、振動板42の両面に加わる音圧の差に基づいて振動板42を振動させる差動型のマイクロホンユニットを構成している。
なお、音波が音孔12a(溝部12の上側端面)から振動板42の下面42bへと至る時間と、音波が音孔31a(第2の貫通孔31の上側端面)から振動板42の上面42aへと至る時間とがほぼ等しくなるように、上記2つの導音空間を形成するのが好ましい。このような意味で、2つの導音空間の容積の差は、±30%以内に収めるのが好ましい。
また、マイクロホンユニット1においては、2つの音孔12a、31aが平面視略矩形状になる構成としたが、音孔の形状はこの構成に限定される趣旨ではない。すなわち、音孔の形状として、例えば平面視略半円形状や平面視略楕円形状等を採用しても構わない。ただし、マイクロホンユニット1のように、音孔12a、31aの長軸が2つの音孔の並び方向(マイクロホンユニット1の長手方向)に対して垂直となる長孔形状とするのが好ましい。これにより、マイクロホンユニット1の長手方向(図3の左右方向が該当)のサイズを小型化しやすく、また、音響特性的にも有利とできる。
また、マイクロホンユニット1においては、2つの音孔12a、31aの中心間距離Lが4mm以上6mm以下となるように構成するのが好ましく、更には中心間距離Lが5mm程度とするのが好ましい。これは、2つの音孔12a、31aの中心間距離Lを短くしすぎると、振動板42の上面42a及び下面42bに加わる音圧の差が小さくなって振動板42の振幅が小さくなり、ASIC50から出力される電気信号のSNRが悪くなってしまうからである。また、2つの音孔12a、31aの中心間距離Lが長くなりすぎると、マイクロホンユニット1の小型化に不利であるばかりではなく、音源から発せられた音波が、2つの音孔12a、31aから振動板42へ至る時間の差、すなわち位相差が大きくなり、雑音除去性能が低下してしまうからである。
次に、このように構成されるマイクロホンユニット1の作用効果について説明する。マイクロホンユニット1は、ボトムケース10、マイク基板20、及び蓋体30の3つの部材で、振動板42の両面に音波を導く2つの導音空間を有するケースを構成している。このため、差動型のマイクロホンユニットの少ない部品点数で構成でき、小型化を図りやすい。
そして、マイクロホンユニット1は、差動型のマイクロホンユニットであるために、先行開発のマイクロホンユニット100(図19及び図20参照)と同様に、接話型の音声入力装置に適用された場合に、雑音が除去されたユーザ音声のみを示す電気信号の取得が可能である。
また、マイクロホンユニット1は、複数の部品を組み合せて2つの導音空間を形成する構成であるために、各部材間の相対的な位置関係が重要となる。この点、マイクロホンユニット1は、ボトムケース10の第1の凹部11にマイク基板20及び蓋体30を嵌め込んでなる構成であるために、位置合わせが容易であり、組み立て時の作業性が良い。
また、マイクロホンユニット1は、上部が平面となっているために、音声入力装置に適用する場合に、音声入力装置に形成する導音空間を複雑とせずに済み、便利である。ただし、本発明はマイクロホンユニット1の上部が平面でない構成(例えば、ボトムケース10の第1の凹部11上面11fに対して筐体60の上部側が突出しているような構成等)も含んでおり、マイクロホンユニット1は本発明の望ましい形態と言える。
更に、マイクロホンユニット1は、長手方向(図3の左右方向が該当)のサイズを小型化できる点で有利である。これについて、図6を参照しながら説明する。なお、図6は、第1実施形態のマイクロホンユニットの効果を説明するための概略断面図で、上段は第1実施形態のマイクロホンユニット1を示し、下段は先行開発のマイクロホンユニット100を示す。
図6に示すように、マイクロホンユニット1は、2つの音孔12a、31aの距離(中心間距離L)を、先行開発のマイクロホンユニット100の2つの音孔1031、1032の距離と同一としつつ、長手方向のサイズをΔdだけ縮めることができている。これは、次の理由による。
マイクロホニンユニット1と先行開発のマイクロホンユニット100とは、外部音を振動板42、113の上面42a、113aに導くための導音空間は同様となっている。しかし、マイクロホニンユニット1と先行開発のマイクロホンユニット100とは、外部音を振動板42、113の下面42b、113bに導くための導音空間が異なる構成となっている。
すなわち、先行開発のマイクロホニンユニット100では、外部音を振動板113の下面113bへと導く導音空間を得るために、蓋体(トップケース)103にMEMSチップ111及びASIC112を収容するための空間1033以外に、もう一つの空間1034を設けている。一方、マイクロホンユニット1では、蓋体30には1つの空間しか設けていない。そして、外部音を振動板42の下面42bへと導く導音空間を得るために、ボトムケース10の第1の凹部11の側壁11aに、第1の凹部11の底壁11eに設けられる第2の凹部13に繋がる第1の溝部12を設けることとしている。
このように、ボトムケース10の第1の凹部11の側壁11aに第1の溝部12を設けて導音空間を得る場合、蓋体30の長手方向のサイズを小さくできるために、2つの音孔の距離Lを維持しつつ、マイクロホンユニット1の長手方向の小型化が可能である。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のマイクロホンユニットについて、図7から図9を参照しながら説明する。
なお、図7は、第2実施形態のマイクロホンユニットの外観構成を示す概略斜視図である。図8は、図7のB−B位置における概略断面図である。図9は、第2実施形態のマイクロホンユニットが備えるボトムケースの構成を示す概略図で、図9(a)はボトムケースを斜め上方から見た場合の概略斜視図、図9(b)はボトムケースを上から見た場合の概略平面図である。
第2実施形態のマイクロホンユニット2は、ボトムケース10の構成が若干異なる点を除いて、第1実施形態のマイクロホンユニット1と同様の構成である。このため、重複する部分については同一の符号を付し、特に説明の必要がない場合には、その説明を省略する。
第2実施形態のマイクロホンユニット2のボトムケース10においては、略直方体形状の第1の凹部11が、3つの側壁11a〜11c、開口面11g、及び底壁11eによって形成されている。すなわち、第1の凹部11の4つの側面のうち、1つの側面が開口面となっている点が第1実施形態の構成と異なる。そして、この結果、蓋体30の側壁部30bの一部(4つの面のうちの1つの面)が第1の凹部11の側壁に対向配置されない構成となっている。なお、第1実施形態のマイクロホンユニット1では、第1の凹部11の側面は全て壁となっており、蓋体30の側壁部30bは全て第1の凹部11の側壁と対向配置されている。
このために、マイクロホンユニット2のボトムケース10は、第1実施形態のマイクロホンユニット1のボトムケース10に比べて、第1の凹部11の側壁の厚み分だけ長手方向(図8の左右方向が該当)の長さが短くなっている。このために、第2実施形態のマイクロホンユニット2は、第1実施形態のマイクロホンユニット1に比べて、更に長手方向のサイズを小型とすることができる。
マイクロホンユニット2では、ボトムケース10の第1の凹部11の一部側面が開口面11gとなっているために、マイクロホンユニット2を組み立てる際に、単にボトムケース10の第1の凹部11にマイク基板20及び蓋体30(或いは筐体60)を上から嵌め込むだけで、各部材間の位置合わせが完了する訳ではない。しかし、マイクロホンユニット2は、次のように組み立てることができるので、この構成の場合も組み立て時の作業性は良い。
マイクロホンユニット2を組み立てる場合、ボトムケース10の第1の凹部11の開口面11gからマイク基板20及び蓋体30(或いは筐体60)を、第1の凹部11の側壁11aに向けてスライド挿入する。この場合、マイク基板20及び蓋体30が第1の凹部11の側壁11aに当った位置を、各部材間の位置合わせが正しく行えた位置とできる。このために、マイク基板20及び蓋体30を側壁11aに押し当てる治具を使いながら簡単にマイクロホンユニット2を組み上げられる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態のマイクロホンユニットについて、図10から図14を参照しながら説明する。
図10は、第3実施形態のマイクロホンユニットの外観構成を示す概略斜視図である。図11は、第3実施形態のマイクロホンユニットが備えるボトムケースの構成を示す概略平面図である。図12は、第3実施形態のマイクロホンユニットが備える蓋体の構成を示す概略斜視図である。図13は、図10のC−C位置における概略断面図である。図14は、第3実施形態のマイクロホンユニットの効果を説明するための概略断面図である。なお、図14において、上段は第3実施形態のマイクロホンユニット3を示し、下段は先行開発のマイクロホンユニット100を示す。
第1実施形態のマイクロホンユニット1においては、音孔の間隔を短くすることなくマイクロホンユニット1の長手方向の長さを小型化するために、外部音を振動板42の下面42bに導く導音空間の構成について工夫を行った(第1空間61が、筐体60の壁部と第1の凹部11の側壁との間に形成される空間を用いてなる構成とした)。この第3実施形態のマイクロホンユニット3は、音孔の間隔を短くすることなくマイクロホンユニット1の長手方向の長さを小型化するために、外部音を振動板42の上面42bに導く導音空間の構成について工夫を行っている。すなわち、第2空間が、筐体60の壁部と第1の凹部11の側壁との間に形成される空間を用いてなる構成としている。
以下、第3実施形態のマイクロホンユニット3について説明するが、第1実施形態の構成と重複する部分については同一の符号を付し、特に説明の必要がない場合については説明を省略する。
図11に示すように、マイクロホンユニット3が備えるボトムケース10は、第1実施形態の場合と同様に、第1の凹部11が4つの側壁11a〜11dを有し、第1の凹部11の底壁11eには第2の凹部13が形成されている。ただし、第1の凹部11のいずれの側壁11a〜11dにも溝部が設けられていない点で第1実施形態の構成と異なる。
図12に示すように、マイクロホンユニット3が備える蓋体30は、天板部30a(第2の壁部の実施形態)と側壁部30b(第3の壁部の実施形態)とからなっている。蓋体30の4つの側面のうちの1つは開口面30cとなっているために、側壁部30bは3つの壁面を有する。蓋体30には、天板部30a、及び、側壁部30bを構成する3つの壁のうちの1つを上側から下側へと貫通する貫通孔32が形成されている(図13参照)。この貫通孔32は、蓋体30と接合されて筐体60を構成するマイク基板10(第1の壁部の実施形態)に形成される貫通孔22(図13参照)と繋がっており、この2つの貫通孔22、32によって第3の貫通孔63(本発明の第1空間の実施形態)を形成している。
この第3の貫通孔63は、筐体60がボトムケース10に搭載されると、ボトムケース10の第2の凹部13と繋がる。これにより、第3の貫通孔63の上側端面63a(本発明の第1の面の実施形態;音孔63a)から導入された外部音は、第3の貫通孔63、第2の凹部13と筐体60の外面(マイク基板20の下面)とを用いて形成される下部空間65、及び第1の貫通孔21を介して振動板42の下面42bへと至るようになっている。
また、図12に示すように、天板部30aの開口面30b側の側面には上側から見た場合に略矩形状に見える第2の溝部33が形成されている。この第2の溝部33は、天板部30aの上面から下面へと延びている。この第2の溝部33は、筐体60がボトムケース10に搭載されると、ボトムケース10の第1の凹部11の側壁11cとの間で、筐体60の収容空間62と連通する第2空間64を形成する(図13参照)。これにより、第2の溝部33の上側端面33a(本発明の第2の面の実施形態;音孔33a)から導入された外部音は、第2空間64及び収容空間62を介して振動板42の上面42aへと至るようになっている。
以上のように、マイクロホンユニット3は、振動板42の両面に加わる音圧の差に基づいて振動板42を振動させる差動型のマイクロホンユニットを構成している。なお、このマイクロホンユニット3においても第1実施形態と同様に、マイク基板10と蓋体30とからなる筐体60の長さ、奥行き、及び高さは、第1の凹部11の長さX、奥行きY(以上図11参照)及び高さ(凹部の深さのこと)とほぼ同じとなっている。
このように構成されるマイクロホンユニット3は、ボトムケース10、マイク基板20、及び蓋体30の3つの部材で、振動板42の両面に音波を導く2つの導音空間を有するケースを構成している。このため、差動型のマイクロホンユニットの少ない部品点数で構成でき、小型化を図りやすい。また、マイクロホンユニット3は、ボトムケース10の第1の凹部11にマイク基板20及び蓋体30を嵌め込んでなる構成であるために、位置合わせが容易であり、組み立て時の作業性が良い。
更に、マイクロホンユニット3は、図14に示すように、先行開発のマイクロホンユニット100における蓋体103の側面を構成する壁の1つを取り除くことが可能となっている。このために、2つの音孔63a、33aの距離(中心間距離L)を、先行開発のマイクロホンユニット100の2つの音孔1031、1032の距離と同一としつつ、長手方向のサイズをΔdだけ縮めることができる。
なお、第3実施形態におけるボトムケース10について、第1の凹部11の側壁11aを第2実施形態のように取り除いて(なお、第2実施形態では、第1の凹部11の側壁11cが取り除かれている)、図15に示すようなマイクロホンユニットとしても構わない(図15の破線部分が取り除かれた部分である)。このように構成することによって、第1の凹部11の側壁11aの厚み分だけ長手方向(図15の左右方向が該当)の長さが短くなる。このために、マイクロホンユニット3の長手方向のサイズを更に小型とすることができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態のマイクロホンユニットについて、図16及び図17を参照しながら説明する。図16は、第4実施形態のマイクロホンユニットの外観構成を示す概略斜視図である。図17は、図16のD−D位置における概略断面図である。説明にあたって、第1実施形態及び第3実施形態と重複する部分については同一の符号を付し、特に説明の必要がない場合には、その説明を省略する。
第4実施形態のマイクロホンユニット4は、第1実施形態のマイクロホンユニット1の特徴部分と第3実施形態のマイクロホンユニット3の特徴部分とを合わせた構成となっている。すなわち、ボトムケース10の第1の凹部11の側壁11aに第1の溝部12が形成されている。そして、外部音が、第1の溝部12と筐体60の外壁とで形成される第1空間61、下部空間65(第2の凹部13を用いてなる空間)、及び第1の貫通孔21を介して、振動板42の下面42bに至る構成となっている。なお、第1の溝部12の上側端面12aは本発明の第1の面の実施形態であり、音孔を構成している。
また、筐体60を構成する天板部30aの側面には、その上面33aが第1の溝部12の上側端面12aと長手方向に並設されると共に、天板部30aの上面から下面へと延びる第2の溝部33が形成されている。そして、外部音が、第2の溝部33とボトムケース10の第1の凹部11の側壁11cとで形成される第2空間64、及び収容空間62を介して、振動板42の上面42aに至る構成となっている。なお、第2の溝部33の上側端面33aは本発明の第2の面の実施形態であり、音孔を構成している。
このように構成されるマイクロホンユニット4は、ボトムケース10、マイク基板20、及び蓋体30の3つの部材で、振動板42の両面に音波を導く2つの導音空間を有するケースを構成している。このため、差動型のマイクロホンユニットの少ない部品点数で構成でき、小型化を図りやすい。また、マイクロホンユニット4は、ボトムケース10の第1の凹部11にマイク基板20及び蓋体30を嵌め込んでなる構成であるために、位置合わせが容易であり、組み立て時の作業性が良い。更に、2つの音孔12a、33aの距離(中心間距離L)を、先行開発のマイクロホンユニット100の距離と同一としつつ、長手方向のサイズを縮めることができる。
(その他)
以上に示したマイクロホンユニット1〜4は本発明の例示であり、本発明の適用範囲は、以上に示した実施形態の構成に限定されるものではない。すなわち、本発明の目的を逸脱しない範囲で、以上に示した実施形態について種々の変更を行っても構わない。
例えば、以上に示した実施形態では、MEMSチップ40の下側に設けられる下部空間65を、ボトムケース10に設けられる第2の凹部13を用いてなる構成とした。しかし、本発明の適用範囲は、この構成に限定される趣旨ではない。すなわち、図18に示すように、例えばボトムケース10の底壁は平坦としつつマイク基板20の下面に溝部14を設けて、ボトムケース10と筐体60の壁部との間で形成される空間を用いて下部空間を得るようにしてもよい。この場合、溝部14は、例えば厚い基板を切り欠いて得てもよいし、切り欠いた基板と切り欠きを有しない基板とを貼り合わせて得るようにしてもよい。その他、下部空間はマイク基板20に形成される中空部としてもよい。
また、以上に示した第1、第2、及び第4実施形態においては、第1空間61を、ボトムケース10の第1の凹部11の側壁11aに形成される第1の溝部12と、筐体60の外壁と、で形成する構成とした。しかし、これに限らず、例えばボトムケース10の第1の凹部11の側壁と、筐体60の外壁に設けた溝部と、で第1空間を形成する構成としてもよいし、ボトムケース10の第1の凹部11の側壁に設けた溝部と、筐体60の外壁に設けた溝部とによって第1空間を形成する構成としても構わない。また、以上に示した第3及び第4実施形態では、第2空間64を、蓋体30(筐体60)の天板部30aに形成された第2の溝部33と、ボトムケース10の第1の凹部11の側壁11cと、で形成する構成とした。しかし、これに限らず、例えば蓋体30の天板部30aの側面部と、ボトムケース10の第1の凹部11の側壁11cに形成された溝部と、で第2空間を形成する構成としても構わないし、蓋体30(筐体60)の天板部30aに形成された溝部と、ボトムケース10の第1の凹部11の側壁に形成された溝部と、で第2空間を形成する構成としても構わない。また、例えば第2空間を得るために、天板部30aに溝を設けるのではなく、第2の溝部33を設ける場合と側壁部30bの長さは同じとしつつ、天板部30aの長さが短くなるように蓋体30を切り欠く構成としても構わない。要は、第1の凹部11の側壁と筐体60の壁部との間で形成される空間を用いて第1空間或いは第2空間を形成する構成として、その結果、音孔の間隔を一定距離に維持しつつマイクロホンユニットの長手方向を小型化できるのであれば、実施形態に示した構成以外でも構わないのである。
また、以上に示した実施形態においては、蓋体30は短手方向に対向する2つの側壁を有する構成とした。しかし、これに限らず、短手方向に対向する2つの側壁のうちの両方、或いは一方を設けない構成としても構わない。
また、以上に示した実施形態においては、筐体60の外形が直方体形状となる構成としたが、この構成に限定されない。すなわち、例えばマイク基板20に対して蓋体30の方がサイズが大きい構成や、蓋体30に対してマイク基板20が大きい構成等である場合にも本発明は適用可能である。
また、以上に示した実施形態では、MEMSチップ40とASIC50とは別チップで構成したが、ASIC50に搭載される集積回路はMEMSチップ40を形成するシリコン基板上にモノリシックで形成するものであっても構わない。
また、以上に示した実施形態では、音圧を電気信号に変換する電気音響変換部が、半導体製造技術を利用して形成されるMEMSチップ40である構成としたが、この構成に限定される趣旨ではない。例えば、電気音響変換部がエレクトレック膜を使用したコンデンサマイクロホン等であっても構わない。
また、以上の実施形態では、マイクロホンユニットが備える電気音響変換部(本実施形態のMEMSチップ40が該当)の構成として、いわゆるコンデンサ型マイクロホンを採用した。しかし、本発明はコンデンサ型マイクロホン以外の構成を採用したマイクロホンユニットにも適用できる。例えば、動電型(ダイナミック型)、電磁型(マグネティック型)、圧電型等のマイクロホン等が採用されたマイクロホンユニットにも本発明は適用できる。
また、以上に示した実施形態では、マイクロホンユニットの長手方向のサイズが小型化できる構成を示した。しかし、本発明は、マイクロホンユニットが備える2つの音孔の間隔を短くすることなく、2つの音孔の間隔を縮める方向と平行な方向の小型化を図れるという利点を有するものである。このため、例えば、マイクロホンユニットの短手方向のサイズを小型化するために本発明を適用しても構わない。
その他、以上に示した実施形態のマイクロホンユニット1〜4の形状は例示であり、本発明の適用範囲が実施形態に示した形状に限定されないのは言うまでもない。例えば、マイクロホンユニットの形状が楕円柱形状等であっても本発明は適用できる。
本発明のマイクロホンユニットは、例えば携帯電話、トランシーバ等の音声通信機器や、入力された音声を解析する技術を採用した音声処理システム(音声認証システム、音声認識システム、コマンド生成システム、電子辞書、翻訳機、音声入力方式のリモートコントローラ等)、或いは録音機器やアンプシステム(拡声器)、マイクシステムなどに好適である。
1、2、3、4 マイクロホンユニット
10 ボトムケース(搭載部材)
11 第1の凹部
11a〜11d 第1の凹部の側壁
11e 第1の凹部の底壁
11f 第1の凹部の上面
11g 第1の凹部の開口面
12 第1の溝部
12a 第1の溝部の上側端面(第1の面)
13 第2の凹部
20 マイク基板(第1の壁部、筐体の一部)
21 第1の貫通孔(開口)
30 蓋体(筐体の一部)
30a 蓋体の天板部(第2の壁部)
30b 蓋体の側壁部(第3の壁部)
31 第2の貫通孔(第2空間)
31a 第2の貫通孔の上側端面(第2の面)
33 第2の溝部
33a 第2の溝部の上側端面(第2の面)
40 MEMSチップ(電気音響変換部)
42 振動板
60 筐体
61 第1空間
62 内部空間(収容空間)
63 第3の貫通孔
63a 第3の貫通孔の上側端面(第1の面)
64 第2空間
65 下部空間

Claims (9)

  1. 音圧によって変位する振動板を有して音信号を電気信号に変換する電気音響変換部と、
    前記電気音響変換部を収容する収容空間が形成される筐体と、
    前記筐体を第1の凹部に搭載する搭載部材と、
    を備えるマイクロホンユニットであって、
    前記筐体の前記収容空間は、第1の壁部と、前記第1の壁部に対向する第2の壁部と、前記第1の壁部と前記第2の壁部とを連結する第3の壁部と、によって形成され、
    前記筐体は、前記第1の壁部が前記第1の凹部の底壁に対向配置されると共に、前記第3の壁部の少なくとも一部が前記第1の凹部の側壁に対向配置されるように前記搭載部材に搭載され、
    前記第1の壁部側を下側、前記第2の壁部側を上側とした場合に、
    前記電気音響変換部は、前記振動板が前記第1の壁部の上面に形成される開口の少なくとも一部を覆うと共に、前記開口を塞ぐように前記第1の壁部の上面に配置され、
    前記電気音響変換部の下側には、前記開口に連通する下部空間が形成され、
    外部音を前記上側から、前記下部空間へと導く第1空間と、前記収容空間へと導く第2空間とが形成され、
    前記第1空間及び前記第2空間のうち、少なくともいずれか一方は、前記筐体の壁部と前記第1の凹部の側壁との間で形成される空間を用いてなることを特徴とするマイクロホンユニット。
  2. 前記下部空間は、前記第1の凹部の底壁に形成される第2の凹部を用いてなることを特徴とする請求項1に記載のマイクロホンユニット。
  3. 前記第1の凹部の側壁に、前記第3の壁部の外壁と共に前記第1空間を形成する第1の溝部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロホンユニット。
  4. 前記2の壁部の側面に、前記第1の凹部の側壁と共に前記第2空間を形成する第2の溝部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマイクロホンユニット。
  5. 前記3の壁部の全てが、前記第1の凹部の側壁に対向配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマイクロホンユニット。
  6. 前記第1の凹部の側面の一部が開口面となっており、
    前記第3の壁部の一部が前記第1の凹部の側壁に対向配置されていないことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマイクロホンユニット。
  7. 前記筐体及び前記第1の凹部は略直方体形状であり、
    前記第1空間と前記第2空間とが長手方向に並設されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のマイクロホンユニット。
  8. 前記第1空間の外部音を導入する第1の面と、前記第2空間の外部音を導入する第2の面とがほぼ同一平面上にあることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のマイクロホンユニット。
  9. 前記筐体は、前記電気音響変換部を搭載するマイク基板と、前記マイク基板に被せられる蓋体と、からなることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のマイクロホンユニット。
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