JP2011123167A - ベルト装置及び画像形成装置 - Google Patents

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武司 坂下
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徹志 佐久間
Masanori Kichise
允紀 吉▲瀬▼
Yuji Meguro
雄二 目黒
Masato Tsuji
真人 辻
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Abstract

【課題】ベルトのカール癖を十分に矯正することができるベルト装置を提供する。
【解決手段】本発明は、複数の支持部材9,10によって張架され、周方向に走行する無端状のベルト8と、ベルト8のカール癖を矯正するカール癖矯正手段を備えるものである。カール癖矯正手段は、ベルト8の内周面に対して接離可能に設けられた内側押圧部材31と、ベルト8の外周面に対して接離可能に設けられた外側押圧部材32とを有する。内側押圧部材31と外側押圧部材32とがそれぞれ、ベルト8側へ接近してベルト8を押圧した状態で、内側押圧部材31がベルト8を押圧する位置と、外側押圧部材32がベルト8を押圧する位置とが、ベルト8の周方向において離れている。
【選択図】図3

Description

本発明は、周方向に走行可能なベルトを備えたベルト装置、及びそのベルト装置を備えた画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、感光体上の画像が転写される中間転写ベルトや、記録用紙を担持して搬送する搬送ベルト等は、複数のローラ等によって張架された無端状のベルトで構成されている。これらのベルトにはテンションローラ等によって所定の張力が付与されており、この張力はベルトが静止した状態であっても作用している。このため、ベルトを走行させずに長時間放置しておくと、ローラで支持された箇所においてベルトにカール癖が付くことがある。そして、ベルトにカール癖が付いたまま、その上に画像を転写すると、カール癖が付いた部分で画像が良好に転写されず画像欠損が生じるといった問題がある。また、ベルト上に記録用紙を担持して搬送する場合は、ベルトにカール癖が付いていることによって安定した走行が得られないといった問題がある。また、近年の画像形成装置の小型化に伴って、ベルトを張架するローラに小径のものを適用することが多くなってきており、このような小径のローラを使用すると、上記のようなカール癖の発生はより顕著となってしまう。
そのため、従来、ベルトに付いたカール癖を矯正するために、カール矯正手段を備えたベルト装置が提案されている。例えば、図12に示すベルト装置は、カール癖矯正手段として、ベルト100を挟んで互いに対向して配設された一対の押圧ローラ200a,200bを有する(特許文献1参照)。この場合、各押圧ローラ200a,200bによってベルト100を挟み込んだ箇所を、カール癖の付いた部分が通過することによってカール癖が矯正される。
また、図13に示すベルト装置は、カール癖矯正手段として、ベルト100の外周面を押圧可能に構成された押圧ローラ300を有する(特許文献2参照)。この場合、押圧ローラ300によってベルト100を押圧した箇所を、カール癖の付いた部分が通過することによってカール癖が矯正される。
図14(a)は、ベルト100に生じたカール癖Cの拡大図である。なお、同図において、ベルト100の上面が内周面であり、下面が外周面である。
図4(a)に示すように、ベルト100のカール癖Cには、4つの屈曲部X1,X2,Y1,Y2が形成されている。これらの屈曲部X1,X2,Y1,Y2を矯正するには、それぞれの屈曲する向きとは反対向きの曲げ力Fx,Fyを与えなければならない。具体的には、屈曲部X1,X2を矯正するには、図14(b)に示すように、ベルト100の外周面側(図の下方)から押圧ローラQ1によって屈曲部X1,X2を押圧する必要がある。一方、屈曲部Y1,Y2を矯正するには、図14(c)に示すように、ベルト100の内周面側(図の上方)から押圧ローラQ2によって屈曲部Y1,Y2を押圧する必要がある。仮に、ベルト100の内周面側からの押圧のみを行った場合は、屈曲部Y1,Y2を矯正することができても、屈曲部X1,X2を矯正することができず、図14(d)に示すようにカール癖の矯正が不十分となる。また、ベルト100の外周面側からの押圧のみを行った場合は、屈曲部X1,X2を矯正することができても、屈曲部Y1,Y2を矯正することができない。
従って、図13に示すように1つの押圧ローラによってベルトの外側(又は内側)から押圧する構成では、屈曲部の一部が矯正されずに残り、カール癖を十分に矯正することができない。また、このような構成において、カール癖の矯正力を高めるには、押圧ローラの移動ストロークを大きくしてベルトへの押圧力を大きくすることが考えられるが、押圧ローラの移動ストロークを大きくすると、小型化を図りにくくなると言った問題が生じる。
また、図12に示すように2つの押圧ローラによってベルトの同じ位置を内外から挟み込むような構成は、カール癖の屈曲部を平坦に伸ばす程度の曲げ作用は生じるが、図14(b)や(c)に示すような大きな曲げ作用は得られないため、十分なカール矯正力を発揮することはできない。また、図12に示す構成では、各押圧ローラの押圧方向とベルトに生じる張力の方向とが直交しているため、ベルトの張力を、ベルトを押圧ローラに押し付ける力として利用することができず、カール癖矯正力を効果的に発揮することができない欠点がある。
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、ベルトのカール癖を十分に矯正することができるベルト装置、及びこのベルト装置を備えた画像形成装置を提供しようとするものである。
請求項1の発明は、複数の支持部材によって張架され、周方向に走行する無端状のベルトと、前記ベルトのカール癖を矯正するカール癖矯正手段を備え、前記カール癖矯正手段は、前記ベルトの内周面に対して接離可能に設けられた内側押圧部材と、前記ベルトの外周面に対して接離可能に設けられた外側押圧部材とを有し、前記内側押圧部材と前記外側押圧部材とがそれぞれ、前記ベルト側へ接近してベルトを押圧した状態で、前記内側押圧部材が前記ベルトを押圧する位置と、前記外側押圧部材が前記ベルトを押圧する位置とが、前記ベルトの周方向において離れているものである。
内側及び外側押圧部材によってベルトを押圧した状態でベルトを走行させ、ベルトに生じたカール癖が各押圧部材によるベルト押圧箇所を通過すると、カール癖の屈曲部が、その屈曲する向きと同方向及びそれと逆方向に曲げられる。これにより、カール癖を確実かつ効果的に矯正することが可能である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のベルト装置において、前記内側押圧部材と前記外側押圧部材とによって押圧しない状態で張架された前記ベルトの配設位置よりも、前記内側押圧部材を外側へ移動可能に構成すると共に前記外側押圧部材を内側へ移動可能に構成したものである。
これにより、ベルトに対する各押圧部材の押圧力をより大きくすることができ、カール癖矯正効果を向上させることができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のベルト装置において、前記内側押圧部材と前記外側押圧部材とをそれぞれ押圧ローラとし、前記ベルトのカール癖の原因となる前記支持部材が支持ローラである場合、前記各押圧ローラの外径を前記カール癖の原因となる支持ローラの外径よりも小さくしたものである。
これにより、より大きなカール癖矯正効果を得ることができる。
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載のベルト装置において、前記ベルトのカール癖の原因となる前記支持部材が、前記ベルトに張力を付与するテンションローラである。
テンションローラで支持された箇所において発生したベルトのカール癖を矯正することができる。
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のベルト装置において、前記ベルトのカール癖の原因となる前記支持部材が、前記ベルトを走行させるための駆動ローラである。
駆動ローラで支持された箇所において発生したベルトのカール癖を矯正することができる。
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載のベルト装置において、前記ベルトに前記内側押圧部材と前記外側押圧部材とを押圧させない状態で、当該ベルトに作用する張力によってベルトが前記支持部材に押し付けられる方向の力を、カール癖発生力をFaとし、前記ベルトに前記内側押圧部材と前記外側押圧部材とを押圧させた状態で、当該ベルトに作用する張力によってベルトが前記内側押圧部材又は前記外側押圧部材に押し付けられる方向の力を、カール癖矯正力をFbとすると、Fb≧Fa×1.5となるようにしたものである。
カール癖発生力Faに対してカール癖矯正力Fbを上記のように設定することにより、カール癖を確実かつ効果的に矯正することができる。
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載のベルト装置において、前記内側押圧部材及び前記外側押圧部材によって前記ベルトを押圧するときの当該ベルトの走行速度を、前記内側押圧部材及び前記外側押圧部材によって前記ベルトを押圧しないときの当該ベルトの走行速度よりも、遅くなるようにしたものである。
これにより、カール癖が各押圧部材によるベルト押圧箇所を通過する時間を長くすることができ、より大きなカール癖矯正効果が得られる。
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載のベルト装置において、前記内側押圧部材及び前記外側押圧部材における前記ベルトとの接触面を清掃する清掃手段を設けたものである。
上記清掃手段によって、各押圧部材の外周面に付着した異物を除去することができるので、各押圧部材に付着した異物がベルトに当接することによるベルトの傷の発生を防止することが可能となる。
請求項9の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載のベルト装置において、前記内側押圧部材及び前記外側押圧部材における前記ベルトとの接触面の最大高さ粗さを、JISB0601:2001で規定する最大高さ粗さで70μm以下となるようにしたものである。
各押圧部材とベルトとの接触面の最大高さ粗さを上記のように設定することにより、各押圧部材によってベルトを押圧した際のベルトの傷の発生を低減することができる。
請求項10の発明は、請求項1から9のいずれか1項に記載のベルト装置において、前記内側押圧部材及び前記外側押圧部材における前記ベルトとの接触面を、軟層で構成したものである。
これにより、各押圧部材の表面に付着した硬い異物がベルトに当接しても、軟層が異物とベルトとの間で緩衝材としての役割を果たすため、ベルトへの傷の発生を抑制することが可能となる。
請求項11の発明は、請求項1から10のいずれか1項に記載のベルト装置において、前記ベルトに生じたカール癖を検知するカール癖検知手段を設けたものである。
カール癖検知手段を設けることによって、カール癖の有無を検知することができるようになる。これにより、必要な場合にのみカール癖矯正動作を行うことができ、不要なカール癖矯正動作を行うことによるベルト等の劣化を防止することができると共に、無駄な電力消費も削減することが可能となる。また、カール癖の位置も把握できるようになるので、各押圧部材の一方の押圧箇所から他方の押圧箇所に渡って、カール癖を往復移動させれば、カール癖を集中的に矯正することができる。また、カール癖矯正動作を行った後に、上記カール癖検知手段によってカール癖の有無を検知することにより、カール癖が矯正されたか否かを確認ことも可能となる。
請求項12の発明は、請求項11に記載のベルト装置において、前記カール癖検知手段を、前記ベルトの表面に当接して清掃するクリーニング部材の振動を検知する振動検知手段としたものである。
ベルトに発生したカール癖がクリーニング部材の位置を通過すると、クリーニング部材はカール癖の段差によって振動する。このときの振動を振動検知手段によって検知することにより、ベルトに生じたカール癖を検知することができる。
請求項13の発明は、請求項11に記載のベルト装置において、前記カール癖検知手段を、前記複数の支持部材のうち少なくとも1つの振動を検知する振動検知手段としたものである。
この場合は、カール癖が支持部材の位置を通過した際、そのときの支持部材に生じる振動を振動検知手段が検知することによって、ベルト上のカール癖を検知することが可能である。
請求項14の発明は、請求項11に記載のベルト装置において、前記カール癖検知手段を、前記内側押圧部材と前記外側押圧部材の少なくとも一方の振動を検知する振動検知手段としたものである。
この場合、カール癖が内側押圧部材又は外側押圧部材の位置を通過した際、そのときの内側押圧部材又は外側押圧部材に生じる振動を振動検知手段が検知することによって、ベルト上のカール癖を検知することが可能である。
請求項15の発明は、請求項1から14のいずれか1項に記載のベルト装置と、前記ベルト装置が備えるベルトに対向して設けられ、画像を担持する像担持体と、前記像担持体上の画像をベルト上に転写させる転写手段とを備えた画像形成装置である。
この場合、画像を転写するベルトに生じたカール癖を矯正することができる。
請求項16の発明は、請求項1から14のいずれか1項に記載のベルト装置と、前記ベルト装置が備えるベルトに対向して設けられ、画像を担持する像担持体と、前記像担持体上の画像を前記ベルト上で搬送される記録媒体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置である。
この場合、記録媒体を搬送するベルトに生じたカール癖を矯正することができる。
請求項17の発明は、請求項15又は16に記載の画像形成装置において、前記内側押圧部材と前記外側押圧部材は、前記ベルトと前記像担持体とが対向する位置以外の位置で、それぞれベルトを押圧するように構成したものである。
これにより、各押圧部材によるベルトの押圧が画像の転写に影響を与えないようにすることができる。
本発明は、図12に示すようなベルト同じ位置を押圧する構成と異なり、ベルトの周方向に離れた位置を押圧するように構成されているので、ベルトを内側と外側に十分に曲げることができ大きなカール矯正力を発揮することができる。また、本発明の構成によれば、ベルトに生じる張力を、ベルトを押圧部材に押し付ける力に利用することができるので、より効果的にカール癖を矯正することが可能である。
また、本発明は、図13に示すようなベルトの一方向のみからの押圧する構成ではなく、ベルトの内側と外側の両方から押圧する構成となっているので、確実にカール癖を矯正することができる。また、本発明は、内側押圧部材と外側押圧部材とが、それぞれベルトに対して接近して押圧するように構成されているので、ベルトに対する押圧部材の接近離間距離(移動ストローク)が短くても大きな押圧力を発揮することができる。このように、本発明の構成によれば、押圧部材の接近離間距離を短くすることができるので、装置の小型化を図ることが可能である。
本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。 本発明の実施形態に係る転写装置の概略構成図である。 内側押圧ローラ及び外側押圧ローラが中間転写ベルト押圧している状態を示す図である。 本発明に係るカール癖矯正のメカニズムについて説明するための図である。 本発明の他の実施形態の構成を示す図である。 本発明のさらに別の実施形態の構成を示す図である。 カール癖発生力を説明するための図である。 カール癖矯正力を説明するための図である。 カール癖矯正力Fbに対するカール癖発生力Faの相対値(Fb/Fa)と、カール癖高さとの関係を示すグラフである。 押圧ローラの最大高さ粗さと、ベルトに生じる傷の凹み量との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態において中間転写ベルトにカール癖が生じた状態を示す図である。 従来のベルト装置の概略構成図である。 他の従来のベルト装置の概略構成図である。 カール癖矯正のメカニズムについて説明するための図である。
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkを備えている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、画像形成装置本体50に対して着脱可能に構成してある。また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。
具体的には、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、静電潜像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体2上の静電潜像を現像化する現像手段としての現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード5を備えている。
図1において、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、感光体2の表面を露光する露光手段としての露光装置6が配設されている。一方、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、転写装置7が配設されている。転写装置7は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト8を有する。中間転写ベルト8は、支持部材としての複数の支持ローラ9,10によって張架されている。本実施形態では、図の右側に配設された支持ローラ9は駆動ローラ、図の左側に配設された支持ローラ10はテンションローラとして機能する。駆動ローラ9は、図示しない駆動装置から駆動力を得て図の反時計回りに回転するように構成されており、この駆動ローラ9の回転によって、中間転写ベルト8は周方向(図の矢印の方向)に走行可能となっている。テンションローラ10は、付勢手段としてのバネ23によって中間転写ベルト8側へ押圧されており、これにより中間転写ベルト8には所定の張力が付与されている。
4つの感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が配設されている。各一次転写ローラ11と各感光体2とによって中間転写ベルト8を挟み込んだ箇所には、一次転写ニップが形成されている。また、駆動ローラ9に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。この二次転写ローラ12と駆動ローラ9とによって中間転写ベルト8を挟み込んだ箇所には、二次転写ニップが形成されている。
中間転写ベルト8の図の右端側の外周面には、中間転写ベルト8の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置13が配設されている。本実施形態のベルトクリーニング装置13は、クリーニング部材として、中間転写ベルト8の表面に当接して清掃するクリーニングブレード33を有している。また、ベルトクリーニング装置13から図示しない廃トナー移送ホースが取り付けられており、このトナー移送ホースの先端は、転写装置7の下方に配設された廃トナー収容器14の入り口部に接続されている。
画像形成装置本体50の下部には、記録媒体としての記録用紙Pを収容した給紙トレイ15や、給紙トレイ15から記録用紙Pを搬出する給紙ローラ16等が設けてある。一方、画像形成装置本体50の上部には、記録用紙を外部へ排出するための一対の排紙ローラ17と、排出された記録媒体をストックするための排紙トレイ18とが配設されている。
また、画像形成装置本体50内には、下部の給紙トレイ15から上部の排紙トレイ18へ記録用紙を案内するための搬送経路Rが形成されている。この搬送経路Rにおいて、給紙ローラ16から二次転写ローラ12に至る途中には、一対のレジストローラ19が配設されている。また、二次転写ローラ12から排紙ローラ17に至る途中に、記録用紙上の画像を定着させるための定着装置20を配設している。この定着装置20は、加熱源によって加熱される定着部材としての定着ローラ21と、その定着ローラ21を加圧する加圧部材としての加圧ローラ22とを有する。定着ローラ21と加圧ローラ22とが互いに圧接した箇所には定着ニップが形成されている。
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体2の表面が帯電ローラ3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体2の表面には、露光装置6からレーザ光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として現像化(可視画像化)される。
駆動ローラ9が図の反時計回りに回転駆動されることにより、中間転写ベルト8が図の矢印で示す方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ11と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト8はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。このトナー画像の転写後、各感光体2の表面に残留するトナーは、クリーニングブレード5によって除去される。次いで、感光体2の表面が図示していない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
また、作像動作が開始されると、給紙ローラ16の回転を開始し、給紙トレイ15に収容された記録用紙Pが給紙ローラ16によって搬送経路Rに送り出される。搬送経路Rに送り出された記録用紙Pは、レジストローラ19によって一旦停止される。その後、レジストローラ19の駆動を再開し、記録用紙Pを、上記中間転写ベルト8上のトナー画像とタイミングを合わせて、二次転写ローラ12と駆動ローラ9との間の二次転写ニップに送る。このとき二次転写ローラ12には、中間転写ベルト8上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、記録用紙Pと中間転写ベルト8上のトナー画像とが二次転写ニップに到達した際、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上のトナー画像が記録用紙P上に一括して転写される。また、転写後の中間転写ベルト8上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置13のクリーニングブレード33によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー収容器14へ搬送され回収される。トナー画像が転写された記録用紙Pは、定着手段20へと搬送され、定着ローラ21と加圧ローラ22によって記録用紙Pが加熱及び加圧されてトナー画像が定着される。その後、記録用紙Pは排紙ローラ17によって排紙トレイ18へと排出される。
以上の説明は、記録用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
先に述べた通り、本実施形態の画像形成装置に用いられる中間転写ベルト8は、主として駆動ローラ9とテンションローラ10によって張架されている。このため、長期間使用しない状態で放置されると、図11(a)に示すように、中間転写ベルト8は駆動ローラ9とテンションローラ10によって支持された箇所で各ローラ9,10の曲率の影響を受け、中間転写ベルト8にカール癖Cが付くことがある。そして、図11(b)に示すように、カール癖Cが付いたまま中間転写ベルト8を走行させると、カール癖Cの付いた部分で画像が良好に転写されず画像欠損が生じる虞がある。そこで、本発明に係る画像形成装置では、中間転写ベルト8に生じたカール癖Cを矯正するカール癖矯正手段を設けている。以下、本発明に係るカール矯正手段について説明する。
図2は、上記転写装置7の概略構成図である。
図2に示すように、転写装置7は、カール矯正手段として、中間転写ベルト8の内周面に対して接離可能に設けられた内側押圧ローラ31と、中間転写ベルト8の外周面に対して接離可能に設けられた外側押圧ローラ32とを有する。内側押圧ローラ31と外側押圧ローラ32は、それぞれ図示しない支持部材によって、中間転写ベルト8対して接離可能、かつ、回転可能に支持されている。また、各押圧ローラ31,32は、中間転写ベルト8を介して互いに対向していない。すなわち、各押圧ローラ31,32は、中間転写ベルト8の周方向に異なる位置に配設されている。本実施形態では、各押圧ローラ31,32の外径D31,D32は、中間転写ベルト8のカール癖の原因となる駆動ローラ9及びテンションローラ10の外径D9,D10よりも小さく形成されている。
図3は、内側押圧ローラ31及び外側押圧ローラ32が、それぞれ中間転写ベルト8に接近して中間転写ベルト8押圧している状態を示す。
図3に示すように、内側押圧ローラ31と外側押圧ローラ32は、それぞれ中間転写ベルト8の周方向に離れた位置を押圧している。また、図3において、各押圧ローラ31,32によって押圧されていない状態で張架された中間転写ベルト8´(以下、非押圧状態の中間転写ベルト8´という。)の配設位置を、図の二点鎖線で表すと、各押圧ローラ31は非押圧状態の中間転写ベルト8´の配設位置を越えて移動可能に構成されている。すなわち、内側押圧ローラ31は非押圧状態の中間転写ベルト8´の配設位置よりも外側へ移動可能となっており、外側押圧ローラ32は非押圧状態の中間転写ベルト8´の配設位置よりも内側へ移動可能に構成されている。なお、各押圧ローラ31,32が非押圧状態の中間転写ベルト8´の配設位置を越える部分は、各押圧ローラ31,32の一部であってもよい。また、各押圧ローラ31,32による中間転写ベルト8の押圧がトナー画像の転写に影響を与えないように、各押圧ローラ31,32は中間転写ベルト8と上記感光体2とが対向する位置(転写位置)以外の位置で押圧するようになっている。
以下、本発明に係るカール癖矯正動作について説明する。
カール癖矯正動作は、非画像形成時において、画像形成装置に設けた制御装置の指示によって開始される。また、ユーザー等が必要に応じて、画像形成装置に設けた操作パネルや操作ボタン、あるいは画像形成装置に接続されたパソコンを操作することによってカール癖矯正動作の開始の指示を行えるようにしてもよい。
カール癖矯正動作の開始の指示があった場合、図2に示す中間転写ベルト8に対して非接触状態に配置された各押圧ローラ31,32を、図示しない制御装置及び駆動装置によって、図3に示す中間転写ベルト8を押圧する状態となるように移動させる。次に、駆動ローラ9を回転させ中間転写ベルト8を走行させる。そして、中間転写ベルト8のカール癖が付いた部分(図11(b)の符号Cで示す部分)を少なくとも1回、内側押圧ローラ31が押圧する箇所と外側押圧ローラ32が押圧する箇所を通過させる。本実施形態では、中間転写ベルト8の2箇所(駆動ローラ9とテンションローラ10とによって支持される部分)にカール癖が生じる場合があるため、2つのカール癖が各押圧ローラ31,32の押圧箇所を通過するように中間転写ベルト8を一周させる。このように、カール癖が各押圧ローラ31,32の押圧箇所を通過することにより、カール癖は押圧ローラ31,32によって矯正され、カール癖がなくなる、もしくは大きく低減される。
図4を参照して、本発明に係るカール癖矯正のメカニズムについて詳しく説明する。
図4(a)は、外側押圧ローラ32が中間転写ベルト8を押圧する箇所の拡大図であり、図4(b)は、内側押圧ローラ31が中間転写ベルト8を押圧する箇所の拡大図である。
まず、中間転写ベルト8のカール癖が付いた部分が外側押圧ローラ32の押圧箇所を通過することによって、図4(a)に示すように、上記カール癖Cの4つの屈曲部X1,X2,Y1,Y2(図14(a)参照)は、中間転写ベルト8の外方向の曲げ力Fxを受けて外方向に曲げられる。次いで、カール癖が付いた部分が内側押圧ローラ31の押圧箇所を通過することにより、図4(b)に示すように、各屈曲部X1,X2,Y1,Y2は、中間転写ベルト8の内方向の曲げ力Fyを受けて内方向に曲げられる。このように、各屈曲部X1,X2,Y1,Y2を、外側押圧ローラ32と内側押圧ローラ31のそれぞれの押圧箇所を通過させることによって、各屈曲部X1,X2,Y1,Y2に対して、それぞれの屈曲する向きと同じ向きの曲げ力と、それとは反対向きの曲げ力の、両方を与えることができるので(カウンター効果)、カール癖を確実かつ効果的に矯正することが可能である。
上記カール癖矯正動作を終了した後は、各押圧ローラ31を再び図2に示す非接触状態に戻す。各押圧ローラ31,32によって中間転写ベルト8を押圧したままの状態にしておくと、中間転写ベルト8を押圧しない状態に比べて、中間転写ベルト8に作用する張力が高い状態で維持されるため、カール癖の発生が増長するからである。また、本実施形態における各押圧ローラ31,32は、駆動ローラ9やテンションローラ10よりも小径のローラで構成されているため、押圧ローラ31,32を押圧状態で放置しておくと、特に押圧ローラ31,32の押圧箇所でカール癖が生じる虞があるからである。
図5(a)〜(c)は、本発明の他の実施形態の構成を示す図である。
図5(a)に示す構成では、内側押圧ローラ31及び外側押圧ローラ32に、それぞれの外周面(中間転写ベルト8との接触面)を清掃する清掃手段34を設けている。ここでは、清掃手段34として、各押圧ローラ31,32の外周面に当接するPET等のシート部材34aを用いている。内側押圧ローラ31と外側押圧ローラ32とがそれぞれ図の矢印の方向に回転することにより、各押圧ローラ31,32の外周面に付着した異物を各シート部材34aで掻き取って除去することができる。そして、外側押圧ローラ32に配設されたシート部材34aで掻き取られた異物は重力下方へ落下し、内側押圧ローラ31に配設されたシート部材34aで掻き取られた異物は回収部35に回収されるようになっている。
また、図5(b)に示すように、上記清掃手段34を、各押圧ローラ31,32の外周面に当接するブレード部材34bで構成してもよい。あるいは、図5(c)に示すように、清掃手段34を、各押圧ローラ31,32の外周面に接触するスポンジ材34c、フェルト材、布材等で構成してもよい。
上記のように、各押圧ローラ31,32に清掃手段34を設けることによって、各押圧ローラ31,32の外周面に付着した異物を除去することができるので、各押圧ローラ31,32に付着した異物が中間転写ベルト8に当接することによる中間転写ベルト8の傷の発生を防止することが可能となる。なお、図5に示す実施形態において、その他の構成については上述の実施形態の構成と同様であるので説明を省略する。
図6(a)〜(d)は、本発明のさらに別の実施形態の構成を示す図である。
図6(a)に示す構成では、ベルトクリーニング装置13が有するクリーニングブレード33に、そのクリーニングブレード33の振動を検知する振動検知手段36を設けている。ここでは、振動検知手段36として加速度ピックアップ計36aを用いている。クリーニングブレード33は中間転写ベルト8に当接しているため、中間転写ベルト8に発生したカール癖がクリーニングブレード33の位置を通過すると、クリーニングブレード33はカール癖の段差によって振動する。このときの振動を加速度ピックアップ計36aで検知することにより、中間転写ベルト8に生じたカール癖を検知することができる。言い換えれば、加速度ピックアップ計36aは、中間転写ベルト8に生じたカール癖を検知するカール癖検知手段として機能する。
また、図6(b)に示すように、加速度ピックアップ計36aを、中間転写ベルト8を張架する支持部材、例えば、テンションローラ10や駆動ローラ9に設けてもよい。あるいは、図6(c)に示すように、加速度ピックアップ計36aを、外側押圧ローラ32又は内側押圧ローラ31に設けてもよい。これらの場合も、カール癖が加速度ピックアップ計36aを設けたローラの位置を通過した際、当該ローラに生じる振動を加速度ピックアップ計36aが検知することによって、中間転写ベルト8上のカール癖を検知することが可能である。
また、図6(d)に示す構成では、上記カール癖検知手段として、中間転写ベルト8に対向して配設された反射型の光学センサ36bを用いている。この光学センサ36bによっても中間転写ベルト8上のカール癖を検知することができる。なお、中間転写ベルト8上でトナー画像の濃度や位置を検知するためのトナーマークセンサを設けている場合は、これをカール癖を検知する光学センサとして利用することも可能である。
上記のように、中間転写ベルト8上のカール癖を検知することができれば、カール癖の有無を検知することができるようになる。これにより、必要な場合にのみカール癖矯正動作を行うことができ、不要なカール癖矯正動作を行うことによるベルト等の劣化を防止することができると共に、無駄な電力消費も削減することが可能となる。また、カール癖の位置も把握できるようになるので、各押圧ローラ31,32の一方の押圧箇所から他方の押圧箇所に渡って、カール癖を往復移動させれば、カール癖を集中的に矯正することができる。なお、この場合は、中間転写ベルト8を通常の走行方向とは反対方向にも走行させるように構成する必要がある。
また、カール癖矯正動作を行った後に、上記カール癖検知手段によってカール癖の有無を検知することにより、カール癖が矯正されたか否かを確認ことができる。そして、カール癖が矯正されていない場合は、カール癖が検知されなくなる、あるいはカール癖が目標の大きさに矯正されるまで、矯正動作を繰り返すことにより、確実にカール癖を矯正することが可能となる。なお、図6に示す実施形態において、その他の構成については上述の実施形態の構成と同様であるので説明を省略する。
ところで、中間転写ベルト8に発生するカール癖は、中間転写ベルト8が駆動ローラ9又はテンションローラ10に押し付けられる力によって生じる。従って、本実施形態において、中間転写ベルト8にカール癖を生じさせるカール癖発生力は、中間転写ベルト8に各押圧ローラ31,32を押圧させない状態で、そのとき作用する中間転写ベルト8への張力によって、当該中間転写ベルト8が駆動ローラ9又はテンションローラ10に押し付けられる方向の力で表される。また、カール癖発生力をFa[N/mm]とすると、この力Faは下記式(1)のように表すことができる。
Fa={Ta×cos(θa÷2)}÷A・・・(1)
上記式(1)におけるTa、θa、Aについて図7を参照して説明すると、Ta[N]は、各押圧ローラ31,32(図示省略)によって中間転写ベルト8を押圧しない状態で、当該中間転写ベルト8に作用する張力であり、θa[°]は、そのときのテンションローラ10への中間転写ベルト8の巻き掛け角度であり、A[mm]は、そのときのテンションローラ10に対する中間転写ベルト8の接触幅である。なお、テンションローラ10の代わりに駆動ローラ9とした場合も同じ式(1)を用いてカール癖発生力Faを表すことができる。
一方、各押圧ローラ31,32によってカール癖を矯正するカール癖矯正力は、中間転写ベルト8に各押圧ローラ31,32を押圧させた状態で、そのとき作用する中間転写ベルト8への張力によって、当該中間転写ベルト8が内側押圧ローラ31又は外側押圧ローラ32に押し付けられる方向の力で表される。また、カール癖矯正力をFb[N/mm]とすると、この力Fbは下記式(2)のように表すことができる。
Fb={Tb×cos(θb÷2)}÷B・・・(2)
上記式(2)におけるTb、θb、Bについて図8を参照して説明すると、Tb[N]は、各押圧ローラ31,32によって中間転写ベルト8を押圧している状態で、当該中間転写ベルト8に作用する張力であり、θb[°]は、そのときの外側押圧ローラ32への中間転写ベルト8の巻き掛け角度であり、B[mm]は、そのときの外側押圧ローラ32に対する中間転写ベルト8の接触幅である。なお、外側押圧ローラ32の代わりに内側押圧ローラ31とした場合も同じ式(2)を用いてカール癖矯正力Fbを表すことができる。
また、中間転写ベルト8のカール癖を効果的に矯正するには、上記カール癖発生力Faに対して上記カール癖矯正力Fbが大きいほど好ましい。言い換えれば、カール癖矯正力Fbに対するカール癖発生力Faの相対値(Fb/Fa)が大きいほど、カール癖を効果的に矯正することが可能となる。
そこで、本発明者は、カール癖矯正力Fbに対するカール癖発生力Faの相対値(Fb/Fa)を様々に変化させた場合のカール癖の矯正度合いを調べる試験を行った。
試験は、ベルトを張架してカール癖を発生させた後、内側押圧ローラと外側押圧ローラによってベルトを押圧した状態で、ベルトを3周走行させて、つまり、カール癖を各押圧ローラによる押圧箇所を3回ずつ通過させて、カール癖の矯正を行った。ベルトに発生させたカール癖は、基準のカール発生力Faで発生させた高さHのカール癖と、その半分の高さH/2のカール癖と、2倍の高さ2Hのカール癖の、3種類用意した。また、使用したベルトは、ヤング率1000MPaのPVDF(ポリフッ化ビニルデン)であり、カール癖矯正動作時の装置内温度は25℃であった。この試験結果を図9に示す。
図9に示すグラフの横軸は、カール癖矯正力Fbに対するカール癖発生力Faの相対値(Fb/Fa)を示し、縦軸は、矯正動作後のベルトのカール癖の高さを示している。また、同図において、一点鎖線Vで示すのは、画像形成に影響を及ぼさないカール癖高さの許容上限値である。すなわち、カール癖が生じていても、その高さが一点鎖線V以下の範囲であれば、画像形成に影響を及ぼすことはない。そして、図9に示す試験結果を見れば、Fb/Faの値が1.5以上である場合に、全ての種類のカール癖において、画像形成に影響を及ぼさない高さまでカール癖を矯正することができることが分かる。
従って、上記試験結果によれば、カール癖を確実かつ効果的に矯正するには、カール癖矯正力Fbを、カール癖発生力Faに対して1.5倍以上(Fb≧Fa×1.5)となるように設定することが好ましい。ただし、当然、カール癖矯正力Fbは、中間転写ベルト8の耐久性を考慮した範囲で設定する必要がある。なお、上記試験を、その他のベルト、例えば、ヤング率が2500MPaのポリカ系(PC)のベルトや、ヤング率が4000MP以上のポリイミド系(PI)のベルト、ポリアミドイミド系(PAI)のベルトなどで行っても、図9に示す結果と同様の結果が得られており、Fb/Faの値が1.5以上であれば、ベルトの種類に依存せず画像形成に影響を及ぼさない高さまでカール癖を矯正できることが分かっている。
また、本発明の一実施例として、上記Fa及びFbを以下のように設定した。
図7において、テンションローラ10の直径(Da)を20[mm]、中間転写ベルト8に作用する張力(Ta)を40[N]、テンションローラ10への中間転写ベルト8の巻き掛け角度(θa)を0[°]としたとき、このときのカール癖を生じさせる力Faを、上記式(1)を用いて計算すると、下記式(3)に示される計算結果となる。なお、図7に示す中間転写ベルト8の接触幅(A)に対応する中心角αは、(180°−θa)と表されるので、中間転写ベルト8の接触幅(A)は下記式(4)によって得ている。
Fa={40×cos(0÷2)}÷(20×3.14×180÷360)
=1.274・・・・・(3)
A=Da×3.14×(180−θa)÷360・・・(4)
また、図8において、外側押圧ローラ32の直径(Db)を10[mm]、中間転写ベルト8に作用する張力(Tb)を44[N]、外側押圧ローラ32への中間転写ベルト8の巻き掛け角度(θb)を120[°]としたとき、このときのカール癖を矯正する力Fbを、上記式(2)を用いて計算すると、下記式(5)に示される計算結果となる。なお、図8に示す中間転写ベルト8の接触幅(B)に対応する中心角βは、(180°−θb)と表されるので、中間転写ベルト8の接触幅(B)は下記式(6)によって得ている。
Fb={44×cos(120÷2)}÷(10×3.14×60÷360)
=4.2・・・・・(5)
B=Db×3.14×(360−θb)÷360・・・(6)
この実施例においては、式(3)及び式(5)の計算結果から、カール癖発生力Faは1.274[N/mm]となり、カール癖矯正力Fbは4.2[N/mm]となる。この場合、カール癖矯正力Fbはカール癖発生力Faに対して3.3倍(4.2÷1.274=3.3)となるので、力Fbは力Faに対して1.5倍以上であり、カール癖を十分に矯正することが可能である。
また、内側押圧ローラ31と外側押圧ローラ32のそれぞれの外径を小さくするほど、より大きなカール癖の矯正効果が得られる。そのため、本実施形態では、図2に示すように、内側押圧ローラ31の外径D31と、外側押圧ローラ32の外径D32を、カール癖の原因となる駆動ローラ9及びテンションローラ10の外径D9,D10よりも小さく形成している。さらに、各押圧ローラ31,32の外径D31,D32を、駆動ローラ9及びテンションローラ10の外径D9,D10の2分の1以下となるように形成することが好ましい。
また、カール癖の矯正効果を向上させるために、カール癖矯正動作時における中間転写ベルト8の走行速度を、画像形成時における中間転写ベルト8の走行速度よりも遅くするように制御してもよい。これにより、カール癖が各押圧ローラ31,32によるベルト押圧箇所を通過する時間を長くすることができ、より大きなカール癖矯正効果が得られる。また、内側押圧ローラ31又は外側押圧ローラ32と中間転写ベルト8との接触幅(図8に示す符号Bの範囲)を大きくすることによっても、カール癖が内側押圧ローラ31又は外側押圧ローラ32による押圧箇所を通過する時間を長くすることができ、カール癖矯正効果を大きくすることが可能である。
また、内側押圧ローラ31と外側押圧ローラ32のそれぞれの表面粗さは、小さい方が各押圧ローラ31,32によって中間転写ベルト8を押圧した場合に中間転写ベルト8への傷の発生を低減することができる。
そこで、本発明者は、ベルトを押圧する押圧ローラの表面粗さと、そのときに発生するベルトの傷(スジ部)の凹み量との関係を調べる試験を行った。
試験は、押圧ローラによってベルトを押圧した状態で、ベルトを30000回転させた後、ベルトに発生した傷の凹み量を測定した。また、押圧ローラで押圧したベルトには、カール癖を矯正する力Fbとして3[N/m]が作用し、ベルトを30000回転させた場合の押圧ローラの回転数は780000となった。また、試験に使用したベルトは、ヤング率1000MPaのPVDF(ポリフッ化ビニルデン)であった。この試験結果を図10に示す。なお、押圧ローラの表面粗さは、JISB0601:2001で規定する最大高さ粗さ(Rz)で表示した。
図10に示すグラフの横軸は、押圧ローラの最大高さ粗さ(Rz)を示し、縦軸は、ベルトに生じた傷の凹み量を示している。また、同図において、一点鎖線で示すのは、画像形成に影響を及ぼさない傷の凹み量の許容上限値である。この場合、最大高さ粗さ(Rz)が9μm以上となると、画像形成に影響が及ぶ。一方、最大高さ粗さ(Rz)が9μm未満であれば、画像形成に影響が及ばないということになるが、本発明に係る内側押圧ローラ31及び外側押圧ローラ32のそれぞれの最大高さ粗さ(Rz)においては、多少余裕を持たせて7μm以下に設定することが望ましい。これにより、中間転写ベルト8に発生する傷を、画像形成に影響を及ぼさない程度まで低減させることができる。
さらに、中間転写ベルト8への傷の発生を抑制するために、各押圧ローラ31,32の外周面にゴム等で形成された軟層を配設してもよい。これにより、各押圧ローラ31,32の表面に付着した硬い異物が、押圧ローラ31,32の回転に伴い中間転写ベルト8に当接しても、軟層が異物と中間転写ベルト8との間で緩衝材としての役割を果たすため、中間転写ベルト8への傷の発生を抑制することが可能となる。また、軟層の厚さは2mm以下に設定することが好ましい。これにより、軟層を配設したことによるカール癖矯正効果の低下を、極めて小さくすることが可能である。
以上説明したように、本発明によれば、中間転写ベルト8のカール癖が、内側及び外側の各押圧ローラ31,32によるベルト押圧箇所を通過することにより、カール癖の屈曲部に対しその屈曲する向きと同方向の曲げ力及びそれと逆方向の曲げ力を与えることができ(カウンター効果)、カール癖を確実かつ効果的に矯正することができる。
すなわち、本発明は、図12に示すようなベルト同じ位置を押圧する構成と異なり、ベルトの周方向に離れた位置を押圧するように構成されているので、ベルトを内側と外側に十分に曲げることができ大きなカール矯正力を発揮することができる。また、上記図8において説明したように、本発明の構成によれば、ベルトに生じる張力を、ベルトを押圧ローラに押し付ける力に利用することができるので、より効果的にカール癖を矯正することが可能である。
また、本発明は、図13に示すようなベルトの一方向のみからの押圧する構成ではなく、ベルトの内側と外側の両方から押圧する構成となっているので、確実にカール癖を矯正することができる。また、本発明は、内側押圧ローラと外側押圧ローラとが、それぞれ中間転写ベルトに対して接近して押圧するように構成されているので、図13に示す構成に比べて、ベルトに対する押圧ローラの接近離間距離(移動ストローク)が短くても大きな押圧力を発揮することができる。このように、本発明の構成によれば、押圧ローラの接近離間距離を短くすることができるので、装置の小型化を図ることが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。上述の実施形態では、中間転写ベルト8を押圧する押圧部材としてローラ(内側押圧ローラ及び外側押圧ローラ)を適用しているが、ローラ以外にパッド部材等の回転しない押圧部材を用いてもカール癖を矯正することが可能である。ただし、押圧部材をローラで構成している場合は、中間転写ベルト8の走行に伴ってローラが回転するので、中間転写ベルト8の走行を円滑に行い得る。また、上述の実施形態では、内側押圧ローラと外側押圧ローラを一対(1つずつ)配設しているが、各押圧ローラを二対以上配設してもよい。また、各押圧ローラは、それぞれ少なくとも1つ以上であればよく、互いに同数でなくてもよい。すなわち、外側押圧ローラを2つ配設し、内側押圧ローラを1つ配設してもよい。また、本発明の構成は、中間転写ベルトを備えたベルト装置(転写装置)以外に、記録用紙を担持して搬送する搬送ベルトを備えたベルト装置や、その他のベルト装置にも適用可能である。また、本発明に係るベルト装置を備える画像形成装置は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
8 中間転写ベルト
9 駆動ローラ
10 テンションローラ
23 バネ
31 内側押圧ローラ
32 外側押圧ローラ
33 クリーニングブレード
34 清掃手段
36 振動検知手段
C カール癖
特開2002−258629号公報 特開2003−122132号公報

Claims (17)

  1. 複数の支持部材によって張架され、周方向に走行する無端状のベルトと、
    前記ベルトのカール癖を矯正するカール癖矯正手段を備え、
    前記カール癖矯正手段は、前記ベルトの内周面に対して接離可能に設けられた内側押圧部材と、前記ベルトの外周面に対して接離可能に設けられた外側押圧部材とを有し、
    前記内側押圧部材と前記外側押圧部材とがそれぞれ、前記ベルト側へ接近してベルトを押圧した状態で、前記内側押圧部材が前記ベルトを押圧する位置と、前記外側押圧部材が前記ベルトを押圧する位置とが、前記ベルトの周方向において離れていることを特徴とするベルト装置。
  2. 前記内側押圧部材と前記外側押圧部材とによって押圧しない状態で張架された前記ベルトの配設位置よりも、前記内側押圧部材を外側へ移動可能に構成すると共に前記外側押圧部材を内側へ移動可能に構成した請求項1に記載のベルト装置。
  3. 前記内側押圧部材と前記外側押圧部材とをそれぞれ押圧ローラとし、前記ベルトのカール癖の原因となる前記支持部材が支持ローラである場合、前記各押圧ローラの外径を前記カール癖の原因となる支持ローラの外径よりも小さくした請求項1又は2に記載のベルト装置。
  4. 前記ベルトのカール癖の原因となる前記支持部材が、前記ベルトに張力を付与するテンションローラである請求項1から3のいずれか1項に記載のベルト装置。
  5. 前記ベルトのカール癖の原因となる前記支持部材が、前記ベルトを走行させるための駆動ローラである請求項1から4のいずれか1項に記載のベルト装置。
  6. 前記ベルトに前記内側押圧部材と前記外側押圧部材とを押圧させない状態で、当該ベルトに作用する張力によってベルトが前記支持部材に押し付けられる方向の力を、カール癖発生力をFaとし、
    前記ベルトに前記内側押圧部材と前記外側押圧部材とを押圧させた状態で、当該ベルトに作用する張力によってベルトが前記内側押圧部材又は前記外側押圧部材に押し付けられる方向の力を、カール癖矯正力をFbとすると、
    Fb≧Fa×1.5となるようにした請求項1から5のいずれか1項に記載のベルト装置。
  7. 前記内側押圧部材及び前記外側押圧部材によって前記ベルトを押圧するときの当該ベルトの走行速度を、前記内側押圧部材及び前記外側押圧部材によって前記ベルトを押圧しないときの当該ベルトの走行速度よりも、遅くなるようにした請求項1から6のいずれか1項に記載のベルト装置。
  8. 前記内側押圧部材及び前記外側押圧部材における前記ベルトとの接触面を清掃する清掃手段を設けた請求項1から7のいずれか1項に記載のベルト装置。
  9. 前記内側押圧部材及び前記外側押圧部材における前記ベルトとの接触面の最大高さ粗さを、JISB0601:2001で規定する最大高さ粗さで70μm以下となるようにした請求項1から8のいずれか1項に記載のベルト装置。
  10. 前記内側押圧部材及び前記外側押圧部材における前記ベルトとの接触面を、軟層で構成した請求項1から9のいずれか1項に記載のベルト装置。
  11. 前記ベルトに生じたカール癖を検知するカール癖検知手段を設けた請求項1から10のいずれか1項に記載のベルト装置。
  12. 前記カール癖検知手段を、前記ベルトの表面に当接して清掃するクリーニング部材の振動を検知する振動検知手段とした請求項11に記載のベルト装置。
  13. 前記カール癖検知手段を、前記複数の支持部材のうち少なくとも1つの振動を検知する振動検知手段とした請求項11に記載のベルト装置。
  14. 前記カール癖検知手段を、前記内側押圧部材と前記外側押圧部材の少なくとも一方の振動を検知する振動検知手段とした請求項11に記載のベルト装置。
  15. 請求項1から14のいずれか1項に記載のベルト装置と、
    前記ベルト装置が備えるベルトに対向して設けられ、画像を担持する像担持体と、
    前記像担持体上の画像をベルト上に転写させる転写手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
  16. 請求項1から14のいずれか1項に記載のベルト装置と、
    前記ベルト装置が備えるベルトに対向して設けられ、画像を担持する像担持体と、
    前記像担持体上の画像を前記ベルト上で搬送される記録媒体に転写する転写手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
  17. 前記内側押圧部材と前記外側押圧部材は、前記ベルトと前記像担持体とが対向する位置以外の位置で、それぞれベルトを押圧するように構成した請求項15又は16に記載の画像形成装置。
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