以下に、本発明を画像形成装置であるプリンタのクリーニング装置に適用した一実施形態を説明する。
図1は、いわゆるタンデム型中間転写方式を採用したプリンタの概略構成図である。このプリンタでは、図1に示すように、像担持体として4つのドラム状の感光体101、102、103、104が並列配置されている。この感光体101、102、103、104は、それぞれ、図中反時計方向に回転可能に構成されている。各感光体101、102、103、104の回りには、各感光体上に各色トナー像を形成するトナー像形成手段が配置されている。
なお、各トナー像形成手段は、扱うトナー(色材)の色が異なる以外は、同じ構成であるため、感光体101に対するトナー像形成手段についてのみ詳しく説明し、他の感光体102、103、104に対するトナー像形成手段については説明を省略する。
感光体101の周囲には、その表面を除電する除電装置(不図示)、感光体101の表面を一様に帯電する帯電装置201、レーザ光による光書き込みを行って静電潜像を形成する露光装置(不図示)、形成された静電潜像を現像する現像装置401が順に配置される。また、トナー像転写後の感光体101表面をクリーニングするクリーニング装置301が配置される。
感光体101、102、103、104の下方には、中間転写ユニット500が配置されている。中間転写ユニット500では、中間転写体である中間転写ベルト510が、駆動ローラ511と、複数の支持ローラ511、512、513、514、515、516、517とに張架されて、図中時計回りに回転駆動される。
中間転写ベルト510は、多層構造でも単層構造でもよく、ベース層を例えば伸びの少ないフッ素樹脂やPVDFシート、ゴム、ポリイミド系樹脂などを用いる。また表面をフッ素系樹脂等の平滑性のよいコート層で被ってもよい。
また、近年、記録紙として普通紙だけでなく、表面に凹凸を有する特殊紙を用いるニーズが増えており、良好な二次転写性能が得られない場合がある。そこで、二次転写性を高めるべく、中間転写ベルト510に弾性をもたて特殊紙との接触性を高めることが行われている。
図9は、本実施形態のプリンタで用いた中間転写ベルト510の概略構成図である。この中間転写ベルト510は、少なくとも基層12、弾性層13、表面のコート層14から構成される。中間転写ベルト510は、硬度の低い弾性層13を設け、転写ニップ部でトナー層や平滑性の悪い記録紙に対して変形できるようにしている。中間転写ベルト510表面が、局部的な凸凹に追従して変形できるために、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られる。これにより、文字の転写中抜けやソリッド部における転写ムラがない、均一性に優れた転写画像を得ることができる。
弾性層12に用いられる材料としては、弾性材ゴム、エラストマー等の弾性部材が挙げられる。具体的には、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ウレタンゴム、シンジオタクチック1、2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
弾性層13の厚さは、硬度及び層構成にもよるが、0.07〜0.5mmの範囲が好ましい。さらに好ましくは0.25〜0.5mmの範囲がよい。又、中間転写ベルト510の厚さが0.07mm以下と薄いと、二次転写ニップ部で中間転写体10上のトナーに対する圧力が高くなり、転写中抜けが発生しやすくなり、さらに、トナーの転写率が低下する。
弾性層13の硬度は、10≦HS≦65(JIS−A)であることが好ましい。中間転写ベルト510の層厚によって最適な硬度は異なるものの、硬度が10°JIS−Aより低いと転写中抜けが生じやすい。これに対して硬度が65°JIS−Aより高いものは、ローラヘの張架が困難となり、また、長期の張架によって延伸するために耐久性が無く早期の交換が必要になる。
また、中間転写ベルト510の基層12は、伸びの少ない樹脂で構成している。具体的に、基層12に用いられる材料としては、ポリカーボネート、フッ素樹脂(ETFE、PVDF等)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル 共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ピニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
また、基層12に伸びの大きなゴム材料に帆布などの伸びを防止する材料で構成された芯体層をつくりその上に弾性層13を形成する方法等を用いることができる。このときの、芯体層に用いられる伸びを防止する材料としては、例えば、綿、絹、などの天然繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維などの合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維、鉄繊維、銅繊維等の金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用い、糸状あるいは織布状のものを使用することができる。もちろん、上記材料に限定されるものではない。上記の糸は1本または複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば上記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。一方織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん交織した織布も使用可能であり、導電処理を施すことも可能である。
また、中間転写ベルト510の表面のコート層14は、弾性層13の表面を例えばフッ素樹脂等をコーティングするためのものであり、平滑性のよい層からなるものである。コート層に用いられる材料としては、特に制限はないが、一般的に、中間転写ベルト510表面へのトナーの付着カを小さくして二次転写性を高める材料が用いられる。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上、又は、表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、たとえばフッ素材脂、フッ素化合物、フッ化炭素、酸化チタン、シリコンカーバイド等の粒子を1種類あるいは2種類以上、又は必要に応じて粒径を変えたものを分散させて使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素層を形成させ、表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
また、必要に応じて、基層12、弾性層13又はコート層14は、抵抗を調整する目的で、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物等を用いることができる。ここで、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。ただし、上記材料に限定されるものではない。
このような構成の中間転写ベルト510を挟んで感光体101、102、103、104に対向する位置には、各感光体101、102、103、104上に形成されたトナー像を中間転写ベルト510に転写する1次転写ローラ501、502、503、504が配設される。また、転写ローラ501、502、503、504よりも下流で、中間転写ベルト510を挟んで支持ローラ512に対向する位置には、2次転写装置600が配設されている。以下、支持ローラ512を2次転写対向ローラ512という。なお、図1では、2次転写装置600は2次転写ローラからなるものを示しているが、これ以外に数本の支持ローラと駆動ローラにより掛け渡される2次転写ベルトからなるものであっても良い。
さらに、2次転写装置600より下流部には、2次転写後に中間転写ベルト510上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置520が配設されている。上述の支持ローラ513、514、515は、中間転写ベルト510に一定の張力を付与する働きをもつとともに、中間転写ベルトクリーニング装置520の対向部材である対向ローラも兼ねている。以下、支持ローラ513、514、515を、クリーニング対向ローラ513、514、515という。なお、対向部材としての必要条件として必ずしも一定の張力を付与する働きをもたなければならないということはなく、中間転写ベルト510の回転にともなって従動回転するローラを対向ローラとしても良い。
記録紙Pは、図1中の下方に配置される給紙カセット(不図示)に収納されており、最上位の記録紙Pが給紙ローラで一枚づつ給紙路を経てレジストローラ対に搬送される。また、記録紙の搬送方向に関して2次転写装置600よりも下流には、記録紙P上の転写画像を定着する定着装置(不図示)が配設される。なお、2次転写装置600は、画像転写後の記録紙Pをこの定着装置へと搬送するシート搬送機能も備えている。
上記構成のプリンタにおいて、不図示のスタートスイッチを押す等により画像形成が開始されると、中間転写ベルト510は不図示の駆動モータにより駆動ローラ511が回転駆動される。これに伴い、他のローラ512、513、514、515、516、517が従動回転し、中間転写ベルト510が時計方向に回転走行する。同時に、各トナー像形成手段において各感光体101、102、103、104を回転して、各感光体101、102、103、104上にそれぞれイエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの単色トナー像を形成する。そして、中間転写ベルト510の回転とともに、それらの単色トナー像を順次転写して中間転写ベルト510上に重ね、合成カラー画像が形成する。一方、給紙部からは給紙カセットの1つから記録紙Pを1枚づつ給紙され、レジストローラ対に突き当てられて止められる。そして、中間転写ベルト510上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ対が回転を開始し、中間転写ベルト510と2次転写装置600との間に記録紙Pを送り込み、2次転写装置600の作用下で合成カラー画像が記録紙P上に転写される。画像転写後の記録紙Pは、2次転写装置600から定着装置(不図示)へと送り込まれ、定着装置(不図示)において熱と圧力との作用により定着され、転写画像が定着された記録紙Pは機外に排紙される。
一方、画像転写後の中間転写ベルト510は、多少のトナーが残留することが避けられず、この残留トナーは中間転写ベルトクリーニング装置520によって中間転写ベルト510から除去され、次の画像形成に備えられる。本実施形態のプリンタでは、中間転写ベルトクリーニング装置520として、ベルト状表面移動部材としての中間転写ベルト510に当接するクリーニング部材に、付着物の帯電極性と逆極性の電圧を印加して、静電的に付着物を除去する静電クリーニング方式を採用している。静電クリーニング装置は、弾性部材よりなるクリーニングブレードを中間転写ベルト510の表面に押し当てて付着物を掻き落として除去するブレードクリーニング方式に比べ、小粒径化、球形化が進んだトナーを良好に除去できる。また、上述のように2次転写性能向上のために、中間転写ベルト510に弾性をもたせた場合、ブレードクリーニング方式を採用すると、弾性体同士を当接させることになるため、当接状態が不安定になりクリーニング不良が発生しやすくなる。このため、中間転写ベルトクリーニング装置520として適している静電クリーニング方式が採用される。
図2は、本実施形態に係る中間転写ベルトクリーニング装置の概略構成図である。この中間転写ベルトクリーニング装置520は、中間転写ベルト510に当接する導電性のクリーニング部材として、上流側から第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522、第3クリーニングブラシ523の3つを備えている。第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522、第3クリーニングブラシ523は何れも導電性繊維により形成されており、図示しない駆動手段により回転する。第1クリーニングブラシ521は、中間転写ベルト510上のトナーのうち正規帯電極性である負極性トナーをクリーニングするために正極性の電圧が印加される(不図示)。第2クリーニングブラシ522は、第1クリーニングブラシ521でクリーニングできなかった残トナーのうち正極性トナーをクリーニングするものであり、負極性の電圧が印加される(不図示)。さらに、第3クリーニングブラシ523は、第1クリーニングブラシ521でクリーニングできなかった負極性トナーをクリーニングするものであり、正極性の電圧が印加される(不図示)。この第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522、第3クリーニングブラシ523と中間転写ベルト510を挟んで対向する位置には、上述のクリーニング対向ローラ513、514、515がそれぞれ配置されている。クリーニング対向ローラ513、514、515は、導電性であり、それぞれ第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522、第3クリーニングブラシ523との間にクリーニング電界を形成するために接地されている(不図示)。なお、図2では、クリーニング部材として導電性クリーニングブラシを用いたものを示したが、これに限られるものではなく、導電性樹脂ローラを用いても構わない。
また、第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522、第3クリーニングブラシ523に付着したトナーを各ブラシから回収する回収ローラ524、525、526を備えている。また、回収ローラ524、525、526表面に当接して回収したトナーを掻き取る回収ブレード527、528、529を備えている。また、各回収ローラ、各回収ブレードにより回収したトナーを、プリンタ本体に備えられた廃トナータンク(不図示)に搬送するための搬送手段としてのトナー排出コイル530、531を備えている。
第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522、第3クリーニングブラシ523への電圧の印加は、各ブラシの軸芯金を介して行われているが、各ブラシにトナーが多く付着した場合にブラシ先端の電位が低下してしまうことがある。このような電位低下を抑制するために、第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522、第3クリーニングブラシ523の表面に電荷を付与する導電性のブラシ表面電荷付与部材(不図示)を備えていてもよい。このブラシ表面電荷付与部材は、例えば金属の丸棒や金属の板状部材である。
また、中間転写ベルト510の表面保護の観点から、クリーニングブラシにより中間転写ベルト510表面に潤滑剤塗布を行うこともできる。この場合、固形化した潤滑剤を導電性ブラシに当接させることで塗布するようにしてもよい。さらに、クリーニングブラシで塗布した潤滑剤を中間転写ベルト表面に薄膜を形成する塗布ブレードを備え、潤滑性が向上するようにしてもよい。潤滑剤としては、脂肪酸金属塩が適し、なかでも、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸銅、パルチミン酸マグネシウム、パルチミン酸カルシウム、オイレン酸マンガン、オイレン酸鉛などが適している。
また、中間転写ベルト表面への潤滑剤塗布をクリーニングブラシを用いず、別途潤滑剤塗布用のブラシを設けておこなうことも可能である。クリーニングブラシで潤滑材を塗布するものでは、クリーニングブラシにトナーが常時回収されているため、トナーと潤滑剤とが交じり合い、潤滑剤塗布時にいったん回収したトナーを再度中間転写ベルト上に付着させるおそれがある。しかし、別途、潤滑剤塗布用のブラシを設けることで、かかる問題を防ぐことができる。
次に、本実施形態の特徴部である、第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522、第3クリーニングブラシ523の導電性のクリーニング対向ローラ513、514、515について説明する。なお、クリーニング対向ローラ513、514、515は、同じ構成であるので、以下クリーニング対向ローラ513を用いて説明を行う。
本実施形態の中間転写ベルトクリーニング装置520では、クリーニング対向ローラ513の表面に、全域に渡って溝または凹部を形成する。図3は、クリーニング対向ローラの要部拡大斜視図であり、(a)はクリーニング対向ローラの表面に長手方向の溝1を形成したもの、(b)はクリーニング対向ローラの表面に凹部2を形成したものである。また、図4(a)、(b)は、図3(a)、(b)の表面形状を有するクリーニング対向ローラ513の表面に、経時で機内の飛散トナーが付着する様子をしめす説明図である。経時でクリーニングなどによる飛散トナーがクリーニング対向ローラ513の表面に付着していく際、図4(a)、(b)に示すように、溝1または凹部2以外の平坦部4に比べて、溝1または凹部2に多くの飛散トナーを溜めることができる。この結果、クリーニング対向ローラ513では、溝1または凹部2へ付着する異物が多く、それ以外の平坦部4に付着する飛散トナーが相対的に少なくなる。
また、クリーニング対向ローラ513では、溝1または凹部2以外の平坦部4が中間転写ベルト510の内周部に接触し、第1クリーニングブラシ521に印加された電圧により、第1クリーニングブラシ521と中間転写ベルト510との間にクリーニング電界を形成するためのアース部となる。このため、従来の表面に溝または凹部がない平坦な表面を有し、表面全体がアース部となる形状のクリーニング対向ローラに比べると、表面全域に渡って溝1または凹部2が形成されたクリーニング対向ローラ513では、アース部となる平坦部4への飛散トナーの付着を抑制できる。これにより、アース部の表層抵抗は上昇し難く、第1クリーニングブラシ521と中間転写ベルト510との間に形成されるクリーニング電界が、初期の大きさから変動し難くなる。よって、経時でも良好なクリーニング性能が維持されやすい。なお、第2クリーニングブラシ522と中間転写ベルト510との間に形成されるクリーニング電界、第3クリーニングブラシ523と中間転写ベルト510との間に形成されるクリーニング電界についても同様の効果を得る。
図3(a)、(b)のクリーニング対向ローラの材質はステンレスを用いることができる。図5は、溝の形状を示す値である、溝深さ、溝幅、溝ピッチ、平坦部幅等の説明の断面図である。図3(a)のクリーニング対向ローラの表面に形成される溝深さは0.5mm、円周方向の溝ピッチは3mm、溝幅は0.5mmである。また、図3(b)のクリーニング対向ローラの表面に形成される凹部深さは0.5mm、円周方向の凹部ピッチは3mm、凹部幅は0.5mm、長手方向の凹部長さは5mmである。
クリーニング対向ローラ513の外径は15mmで、中間転写ベルト510との接触幅(巻きつけ幅)は約1mmとしている。このとき、接触幅とクリーニング対向ローラ513の円周方向に関する溝1または凹部2の幅、及び、ピッチに気をつけなければならない。以下、図3(a)の溝を用いて説明する。
図6は、溝幅および溝ピッチと接触幅との関係の説明図である。図6(a)のように、溝幅が小さい場合は、中間転写ベルト510とクリーニング対向ローラ513との接触幅aを十分確保でき、且つ、転写ベルト510とクリーニング対向ローラ513との接触部の位置を安定させることができる。一方、図6(b)のように、溝幅が小さい場合は、中間転写ベルト510とクリーニング対向ローラ513との接触幅aよりも溝幅が大きくなってしまい、且つ、転写ベルト510とクリーニング対向ローラ513との接触部の位置が大きく変化してしまう。これにより、クリーニング電界および中間転写ベルト510の位置が変化するためクリーニング性能の低下に繋がる。また、溝ピッチについても、同様に、中間転写ベルト510とクリーニング対向ローラ513とで十分な接触幅を確保できる大きさにする必要がある。
また、図3(c)のようにクリーニング対向ローラ513として導電性の発泡ローラを用い、表面全域に渡って凹部を形成してもよい。導電性の発泡ローラの材質としては、NBRを用いることができる。ただし、これらに限ったものではなく、導電性のものであれば他材質でもかまわない。発泡ローラを用いることにより、経時で飛散トナーが発泡ローラに付着していく際、飛散トナーが発泡ローラの内部に入っていくため、それ以外の平坦部4に付着する飛散トナーが相対的に少なくなる。よって、図3(a)、(b)の場合と同様に、アース部へのトナー付着による抵抗上昇は抑制され、適正なクリーニング電界を維持することができ、良好なクリーニング性が保たれる。
上記構成の中間転写ベルトクリーニング装置520のクリーニング動作についてさらに詳しく説明する。本実施形態のプリンタでは、画像形成時に、2次転写装置600よりも下流の中間転写ベルト510上に、中間転写ベルト510上から記録紙に転写できなかった転写残トナーが付着する。また、画像形成時以外でも、後述する作像プロセス条件制御やリフレッシュモードのトナーパターンとして、中間転写ベルト510上に1次転写され、記録紙に転写しない未転写トナーが付着する。中間転写ベルトクリーニング装置520は、このような転写残トナーや未転写トナーを静電的に除去する。
中間転写ベルト510上の転写残トナーおよび未転写トナーは、中間転写ベルト510の移動により第1クリーニングブラシ521の位置に移送される。第1クリーニングブラシ521には、電源(不図示)によりトナーの正規帯電極性(負極性)とは逆極性の電圧(正極性)が印加されており、回転しながら転写残トナー中の負極性トナー、および、未転写トナー中に多く含まれる負極性トナーを静電的に吸着する。本実施形態の第1クリーニングブラシ521では、後述するリフレッシュモードの未転写トナー(ほとんどが負極性トナー)を約90%クリーニングするための正極性電圧を印加する。第2クリーニングブラシ522には、電源(不図示)によりトナーの正規帯電極性(負極性)と同極性の電圧(負極性)が印加され、回転しながら転写残トナー中の正極性トナー、および未転写トナー中に少量含まれる正極性トナーを静電的に吸着する。さらに、第3クリーニングブラシ523には、電源(不図示)よりトナーの正規帯電極性(負極性)とは逆極性の電圧(正極性)が印加されており、回転しながら第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ523でクリーニングできなかった負極性トナーを静電的に吸着する。
第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522、第3クリーニングブラシ523に付着したトナーを各クリーニングブラシから回収する回収ローラ524、525、526は、図示しない駆動手段により回転する。この回収ローラ524、525、526には、回収する各クリーニングブラシと同極性で、さらに高い電圧が印加されており、各ブラシローラとの間に電位差を形成し、この電位差により付着したトナーを回収ローラ524、525、526側に移動させる。また、回収ローラ524、525、526として金属を用いる場合は、第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522、第3クリーニングブラシ523の軸芯金に電圧を印加しないで、回収ローラ524、525、526にのみ電圧を印加する。そして、各クリーニングブラシの繊維抵抗によって電位降下することを利用して、各回収ローラ電位との間に電位差を設け、この電位差により付着したトナーを回収ローラ524、525、526側に移動させるようにしても構わない。回収ローラ524、525、526のトナーは、回収ブレード527、528、529により各回収ローラ524、525、526上から掻き落とされ、トナー排出コイル530、531の回転により装置外に排出される。
本実施形態の第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ523、第3クリーニングブラシ524として使用される導電性ブラシローラの具体的な構成条件は以下のとおりである。
ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステルである、いわゆる芯鞘構造)
ブラシ抵抗:107Ω
ブラシ軸印加電圧:2000V
ブラシ繊維:植毛密度 10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端に毛倒れ処理
ブラシ径:16mm
中間転写ベルト510へのブラシ繊維喰い込み量:1mm
なお、ブラシ植毛密度、ブラシ抵抗、繊維径、印加電圧、繊維種類、ブラシ繊維喰込量はシステムによって最適化できるため、これに限らない。また、使用できる繊維の種類としては、ナイロン、アクリル、ポリエステルなどがある。
また、本実施形態の回収ローラ524、525、526の具体的な構成条件は以下のとおりである。
回収ローラ芯金:材質SUS、直径15mm
回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
回収ローラ抵抗:107〜8Ω(10℃15%環境下、32℃80%環境下でそれぞれ電圧1000V印加して電流を測定)
回収ローラへのブラシ繊維喰い込み量:1.5mm
回収ローラ芯金印加電圧:+2400V
回収ブレード条件:ブレード当接角度20°、ブレード厚み0.1mm
回収ローラへのブレード喰い込み量:1.0mm
ただし、回収ローラ材質、ブレード厚み、ブラシ繊維喰込量、印加電圧、ブレード当接角度はシステムによって最適化できるため、これに限らない。
また、上記形態の回収ローラのみならず、導電性芯金に数μm〜100μmの高抵抗弾性チューブを被せたり、あるいは、さらに絶縁コーティングさせたりして、ローラ抵抗を1012〜13Ωとしたものを用いても同じ性能を得られるが、印加電圧を多く要する。また、回収ローラとしては、上述のように金属ローラを用いてもよい。
以上、中間転写ベルトクリーニング装置520の各種条件について述べたが、使用する材料や電圧値はこれに限るものではなく、適宜選択すべきものである。
次に、上記中間転写ベルトクリーニング装置520でクリーニングされる中間転写ベルト510に付着するトナーについて説明する。上述のように、画像形成時は、2次転写装置600により中間転写ベルト510上の全てのトナーが記録紙Pに転写されるわけでなく、多少のトナーが残留することが避けられない。このため、画像形成時は中間転写ベルト510上に転写残トナーが付着している。また、転写残トナー以外に、プロセスコントロールやリフレッシュモード時に、中間転写ベルト510上に1次転写され、記録紙に転写しない未転写トナーが付着する。
はじめに、作像プロセス条件制御時の未転写トナーについて説明する。
従来、プリンタでは、同じ画像のリピートで色味が再現するように、画像濃度を常に一定維持することが望まれている。二成分現像剤を用いた場合は、トナーとキャリアの混合により摩擦帯電されてトナー帯電量を一定にする必要がある。しかしながら、前回の作像動作から数時間が経過すると現像剤中のトナーの帯電量が減衰しているため、攪拌動作を行わないですぐに作像すると、低トナー帯電量では現像量が多めになってしまうという問題がある。また、連続して作像が行われると現像装置内のトナー濃度が低下するため、現像装置にトナー補給を行う必要がある。過不足なくトナー補給するために、現像剤中のトナー濃度を現像剤の透磁率を検知するセンサーなどで検知しトナー補給を行っている。このような状況のもと、実際に画像形成領域以外にトナーパターンを作成して、トナーパターンの画像濃度検出し、検出した画像濃度に基づき作像プロセス条件を制御することが行われている。
例えば、帯電バイアスおよび現像バイアスを変えながら中間転写ベルト510上に各色数個ずつトナーパターンを作成する。このトナーパターンの画像濃度をフォトセンサで読み取り、画像濃度と現像ポテンシャル(現像バイアスと感光体表面電位の差)の関係を求める。そして、制御部に格納してある画像濃度と現像ポテンシャルのデータテーブルに従って、常に画像が目標濃度になるように、帯電バイアスと現像バイアスを決定、補正する制御が行われている。作成するトナーパターンは、具体的には、各色10個づつの画像濃度が異なる2cm×2cmの面積のトナーパターンを中間転写ベルト510上に作成する。このトナーパターンのトナー付着量は最小で0.1[mg/cm2]、最大で0.55[mg/cm2]ほどあり、トナーQ/d分布を測定すると、ほぼ正規帯電極性にそろっている。このトナーパターンは、フォトセンサで読み取った後は、そのまま未転写トナーとして中間転写ベルト510上から中間転写ベルトクリーニング装置520により除去される。
また、各色のトナー像をずれなく重ね合わせるために、色ずれ調整のための作像プロセス条件制御を行うこともある。色ずれ補正用のトナーパターンを中間転写ベルト上に作成し、それをフォトセンサで読み取って画像位置を測定し、書き込み位置を補正する。色ずれ補正用のトナーパターンとしては、フォトセンサが誤検知しないように、画像濃度を高くしたベタ状で、一定の画像濃度、一定の大きさのトナーパターンを、中間転写ベルト走行方向に決まった色の順番でY、M、C、K、Y、M、C、Kと繰り返し作像する。これを中間転写ベルト510に対向して非接触で配置されたフォトセンサでよみとり、各色のパターンの位置を読み取り、ずれ量を算出し、正しい位置からのズレ量を、感光体書き込みタイミングをずらすことで補正している。このトナーパターンのトナー付着量は0.3[mg/cm2]ほどであり、トナーQ/d分布を測定すると、ほぼ正規帯電極性にそろっている。このトナーパターンも、フォトセンサで読み取った後は、そのまま未転写トナーとして中間転写ベルト510上から中間転写ベルトクリーニング装置520により除去される。
次いで、リフレッシュモードについて説明する。
従来、プリンタでは、現像装置内のトナー濃度を常に一定にしつつ、帯電不良を起こすトナーを現像装置から強制的に排出させる、トナーリフレッシュモードを有する場合がある。これは、低画像面積の画像形成動作が続くと、現像装置内に長時間とどまりつづける古いトナーが増えてきて、トナー帯電特性が劣化する。このようなトナーを画像形成にもちいると画像品質が低下(現像能力低下、転写性低下)することが知られている。そこで、古いトナーが現像装置内に滞留しないように一定のタイミングで感光体の非画像領域に強制的にトナー像を現像して吐き出させ、吐き出し後にトナー濃度が低下した現像装置に新しいトナーを補給する。このような動作をトナーリフレッシュモードという。非画像領域において、このトナーリフレッシュモードが実行されると、単位面積あたりの最大トナー付着量が1.0[mg/cm2]ほどになることがあり、またトナーQ/d分布を測定するとほぼ正規帯電極性にそろっている。
このように、中間転写ベルト510上には、記録紙Pに転写されない未転写トナーのトナーパターンが作成されルことがあり、このような未転写トナーのトナーパターンは中間転写ベルトクリーニング装置520で回収しなければならない。未転写トナーは、転写残トナーに比べるとトナー付着量が多く、かつ、ほぼ正規帯電極性(負極性)に揃っている。このため、特許文献1に記載される2本のクリーニングブラシを搭載した静電クリーニング装置では、正極性を印加した1本目のクリーニングブラシで除去することになるが、1本目のクリーニングブラシで一度に除去しきれなくなる場合があった。除去しきれなかったトナーは、次のプリント動作時に転写紙上に転写され、異常画像を発生させてしまう。そこで、本実施形態の中間転写ベルトクリーニング装置520では、第3クリーニングブラシ523を設けて、第1クリーニングブラシ521と同様に正極性の電圧が印加する。そして、第3クリーニングブラシ523により、第1クリーニングブラシ521でクリーニングできなかった負極性トナーをクリーニングする。これにより、クリーニング不良に伴う以上画像の発生を防止している。
<変形例1>
次に、中間転写ベルトクリーニング装置の変形例について説明する。図4は、変形例に係る中間転写ベルトクリーニング装置540の概略構成図である。変形例の中間転写ベルトクリーニング装置540は、上記図2の中間転写ベルトクリーニング装置520で、クリーニング部材として、第3クリーニングブラシ523を無く、第1クリーニングブラシ521と第2クリーニングブラシ522とを有するものである。
詳しくは、第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522と、それらからトナーを回収する回収ローラ524、525と、各回収ローラからトナーを掻き取る回収ブレード527、528と、回収したトナーを搬送するトナー搬送コイル520とを備える。また、第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522、中間転写ベルト510を挟んでクリーニング対向ローラ513、514と対向し、クリーニング対向ローラ513、514は接地されている。クリーニング対向ローラ513、514は、図2の中間転写ベルトクリーニング装置520と同様に、図3の形状を有するものを使用する。第1クリーニングブラシローラ521へは電源(不図示)によりトナーの正規帯電極性とは逆極性の電圧(正極性)が印加され、転写残トナー中の負極性トナー、および未転写トナー中に多く含まれる負極性トナーを静電的に吸着する。また、第2クリーニングブラシ522へは電源(不図示)によりトナーの正規帯電極性と同極性の電圧(負極性)が印加され、転写残トナー中の正極性トナー、および未転写トナー中に少量含まれる正極性トナーを静電的に吸着する。上述の図2の中間転写ベルトクリーニング装置520に比べ、中間転写ベルト510上に付着して入力されるトナー量が低減されている場合には、変形例1のようにクリーニング部材を2個とすることも可能である。
また、第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522それぞれに当接する回収ローラ524、525には、当接するクリーニングブラシに印加する電圧と同極性で絶対値が大きい電圧を印加する。各クリーニングブラシと各回収ローラとの電位差により、各クリーニングブラシに付着したトナーは、回収ローラ524、525上に移動する。回収ローラ524、525上のトナーは回収ブレード527、528により掻き落とされ、トナー排出コイル530で装置外に排出される。
変形例1の中間転写ベルトクリーニング装置540においても、クリーニング対向ローラ513、514として、図3にしめす表面に溝1、凹部2を有するローラ、または、発泡ローラ3を用いる。これにより、クリーニング対向ローラ513、514のアース部へのトナー付着による抵抗上昇は抑制され、適正なクリーニング電界を維持することができる。よって、良好なクリーニング性が保たれる。
<変形例2>
次に、中間転写ベルトクリーニング装置の他の変形例について説明する。図4は、変形例2に係る中間転写ベルトクリーニング装置550の概略構成図である。変形例の中間転写ベルトクリーニング装置550は、図2の中間転写ベルトクリーニング装置520において、第1クリーニングブラシ521の代わりに、ローラ形状の第1クリーニングローラ551を用いたものである。第1クリーニングローラ551の回転方向は中間転写ベルト移動方向に対して従動方向とする。このように、クリーニング部材を導電性ローラに変更することにより、回収ローラ524が不要となり、装置の簡略化が行える。導電性ローラとしては、金属ローラ表面に導電性ナイロンチューブを被覆し、ローラ抵抗を107〜8Ωに調整したものを用いることができる。また、金属ローラ表面に導電性PVDFチューブを被覆し、ローラ抵抗を107〜8Ωに調整したものを用いることができる。第1クリーニングローラ551表面からトナーを掻き落とすクリーニングブレード552としては、金属ブレードや、ゴムブレードを使用することができる。また、これ以外の構成は、図2の中間転写ベルトクリーニング装置520と略同一である。
クリーニング部材への電圧の印加は、図2の中間転写ベルトクリーニング装置520と同様である。すなわち、第1クリーニングローラ551、および、第3クリーニングブラシ523へは電源(不図示)によりトナーの正規帯電極性とは逆極性の電圧(正極性)が印加され、転写残トナー中の負極性トナー、および、未転写トナー中に多く含まれる負極性トナーを静電的に吸着する。また、第2クリーニングブラシ522へは電源(不図示)によりトナーの正規帯電極性と同極性の電圧(負極性)が印加され、転写残トナー中の正極性トナー、および未転写トナー中に少量含まれる正極性トナーを静電的に吸着する。第1クリーニングローラ551に付着したトナーはクリーニングブレード552により掻き落とされ、廃トナーとなりトナー搬送コイル310により装置外へ搬送される。第2クリーニングブラシ522、第3クリーニングブラシ523に当接する回収ローラ525、526には、当接するクリーニングブラシに印加する電圧と同極性で絶対値が大きい電圧を印加する。各クリーニングブラシと各回収ローラとの電位差により、各クリーニングブラシに付着したトナーは、回収ローラ525、526上に移動する。回収ローラ525、526上のトナーは回収ブレード528、529により掻き落とされ、トナー排出コイル530で装置外に排出される。
変形例2の中間転写ベルトクリーニング装置550においても、クリーニング対向ローラ513、514、515として、図3にしめす表面に溝1、凹部2を有するローラ、または、発泡ローラ3を用いる。これにより、クリーニング対向ローラ513、514、515のアース部へのトナー付着による抵抗上昇は抑制され、適正なクリーニング電界を維持することができる。よって、良好なクリーニング性が保たれる。
次に、本実施形態のカラー用のプリンタに好適に使用されるトナーについて説明する。
600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径は3〜6μmが好ましい。また、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。
図10(a)は、形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π)/4・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
図10(b)は、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。 形状係数SF−2は、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×100/(4π)・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
また、カラー用のプリンタに好適に使用されるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマーと、ポリエステルと、着色剤と、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−イソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2や、1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR1、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSYVP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LR1−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に、0.01〜2.0wt%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−4μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
またトナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。図11(a)、(b)、(c)はトナーの形状を模式的に示す図である。図11(a)、(b)、(c)において、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、本発明のトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)(図11(b)参照)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)(図11(c)参照)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。
なお、r1、r2、r3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
以上、本実施形態によれば、ベルト状表面移動部材である中間転写ベルト510上のトナーを静電クリーニング方式の中間転写ベルトクリーニング装置520で除去する。中間転写ベルトクリーニング装置520は、中間転写ベルト510に当接する導電性のクリーニング部材として第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522、第3クリーニングブラシ523を備える。これらのクリーニングブラシと中間転写ベルト510を挟んで対向する導電性の対向部材として、接地されたクリーニング対向ローラ513、514、515を備える。第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522、第3クリーニングブラシ523にそれぞれ電圧を印加して、静電的に中間転写ベルト510上のトナーを除去する。このクリーニング対向ローラ513、514、515は、それぞれ表面全域に渡って溝1または凹部2を設けたものである。経時で、中間転写ベルト510周囲に浮遊している飛散トナーがクリーニング対向ローラ513、514、515の表面に付着していく際、溝1または凹部2以外の平坦部4に比べて、溝2または凹部3に多くの飛散トナーを溜めることができる。この結果、この形状のクリーニング対向ローラ513、514、515では、溝1または凹部2へ付着する飛散トナーが多く、それ以外の平坦部4に付着する飛散トナーが相対的に少なくなる。また、この形状のクリーニング対向ローラ513、514、515では、溝1または凹部2以外の平坦部4が中間転写ベルト510の内周面に接触し、第1クリーニングブラシ521、第2クリーニングブラシ522、第3クリーニングブラシ523それぞれと中間転写ベルト510との間にクリーニング電界を形成するためのアース部となる。このため、従来の表面全域が平坦でアース部となる形状のクリーニング対向ローラに比べると、この形状のクリーニング対向ローラではアース部となる、溝1または凹部2以外の平坦部4への飛散トナーの付着を抑制できる。このため、アース部の表層抵抗は上昇し難く、クリーニング電界が、初期の大きさから変動し難くなる。よって、経時でも良好なクリーニング性能が維持されやすい。
また、本実施形態によれば、クリーニング部材としてブラシローラを用い、クリーニング対向ローラとして発泡ローラを用いる。これにより、良好に付着物を除去できると共に、容易に表面に凹部を有するクリーニング対向ローラを構成することができる。
また、本実施形態によれば、クリーニング部材を複数設け、互いに異なる極性の電圧が印加されるものを少なくとも一つづつ有するよう構成することにより、付着物の帯電極性がばらついている場合でも、良好に付着物を除去することができる。
また、本実施形態によれば、中間転写ベルト510に弾性を持たせることにより、記録紙との接触性を高めて2次転写効率を高めている。このような弾性を有する中間転写ベルトのクリーニング装置として静電クリーニング方式を採用した中間転写ベルトクリーニング装置は良好なクリーニング性能を得ることができる。
また、本実施形態によれば、中間転写ベルト上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像を被転写体に転写する転写手段と、中間転写ベルト上の転写残トナーを除去するクリーニン手段を備えたプリンタでで、上記中間転写ベルトクリーニング装置を採用することで、良好なクリーニング性能が得られる。
また、本実施形態によれば、トナー像形成に用いられるトナーの形状係数SF1が100〜150であることで、良好な転写性能を得ることができる。