JP2011117805A - マイクロ流体チップ - Google Patents

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裕一 長谷川
Takayuki Mizutani
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Abstract

【課題】複数の流体を混合する場合に混合した混合液に気泡が混入することを防ぐマイクロ流体チップを提供すること。
【解決手段】流体を収容する複数の収容部D10,D11と、各収容部から移送された流体を収容する混合部M1と、を有するマイクロ流体チップ1において、収容部D10,D11と混合部M1とを接続し、ラプラス力によって流体の流通を制御する複数の移送制御流路LF10,LF11を備え、収容部D10,D11は、収容部D10,D11内に流体を導入する流体導入口11,12を有し、混合部M1は、各収容部D10,D11側に設けられた複数の排気口21,22と、混合部M1に流入する流体の流入方向末端部に設けられた排気口23と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、微少量の流体を混合するマイクロ流体チップに関する。
従来、血液や体液等の検体に含まれる免疫成分などを自動的に分析する技術として自動分析装置が知られている。この自動分析装置は、試薬が入った反応容器に検体を加え、反応容器内の試薬との間で生じた反応を光学的に検出するものである。この自動分析装置による検体の分析に必要な試薬量は、一つの検体に対して数ml(ミリリットル)〜数十ml程度と少量で済むが、コスト的な観点から見て、分析に用いる試薬量をさらに低減することのできる技術が待望されていた。また、従来の自動分析装置は、検体や試薬を分注する分注ノズルの洗浄に用いる洗浄水の廃液量も多く、この点においてもコスト面で改善の余地があった。
このような状況を解決しうる技術として、検体の分析に必要な要素を微小なチップ上に集積化することによって流体の秤量および混合を行うことが可能なマイクロ流体チップがある(例えば、特許文献1参照)。このマイクロ流体チップに関しては、流体を収容して秤量することが可能な複数の収容部と、各収容部に収容された流体を収容して混合可能な混合部とを有し、各収容部と混合部との連結部にラプラスバルブを設けて送液を制御するという技術も開示されている。
特開2005−131556号公報
しかしながら、特許文献1に示すマイクロ流体チップは、各流体が各流路を介して収容部から混合部に移送される際に、混合液中に気泡が混入してしまうおそれがあった。混合部に気泡が混入してしまうことによって、各流体の混合比率が変化し、分析結果に影響を及ぼすという問題が生じる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の流体を混合する場合に混合した混合液に気泡が混入することを防ぐマイクロ流体チップを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、流体を収容する複数の収容部と、各収容部から移送された前記流体を収容する移送側収容部とを有するマイクロ流体チップにおいて、前記収容部と前記移送側収容部とを接続し、ラプラス力によって前記流体の流通を制御する複数の移送制御流路を備え、前記収容部は、該収容部内に流体を導入する流体導入口を有し、前記移送側収容部は、各収容部側に設けられた複数の第1排気口と、前記移送側収容部に流入する前記流体の流入方向末端部に設けられた第2排気口と、を有することを特徴とする。
また、本発明にかかるマイクロ流体チップは、上記の発明において、前記第1の排気口は、前記移送側収容部に対する前記流体の接触角が90°以上である場合、前記第1排気口と前記移送側収容部との接続部の直径が0.1mm以下となるように形成されることを特徴とする。
また、本発明にかかるマイクロ流体チップは、上記の発明において、前記第1の排気口は、前記移送側収容部に対する前記流体の接触角が90°未満である場合、前記第1排気口と前記移送側収容部との接続部の直径が0.5mm程度となるように形成されることを特徴とする。
また、本発明にかかるマイクロ流体チップは、上記の発明において、一端が前記収容部に接続され、他端に調整排気口を設けた調節流路をさらに備え、前記調節流路は、前記収容部の容量を超えた前記流体を流通させることを特徴とする。
また、本発明にかかるマイクロ流体チップは、上記の発明において、少なくとも前記移送制御流路の内部表面が疎水性であることを特徴とする。
本発明にかかるマイクロ流体チップは、混合部の各収容部側に排気口を設けるようにしたので、段階的に複数の流体が混合部に送液された場合においても気泡の混入がなく、分析精度を向上させるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるマイクロ流体チップの構成を示す模式図である。 図2は、図1に示すマイクロ流体チップのA−A線断面を示す断面図である。 図3は、図1,2に示す収容セルD10に流体Sを収容した場合を示す断面図である。 図4は、本発明の実施の形態にかかるマイクロ流体チップの流体の移送を示す模式図である。 図5は、従来のマイクロ流体チップの流体の移送を示す模式図である。 図6は、本発明の実施の形態にかかる排気口の直径に対する接触角とストップ力との関係を示すグラフである。 図7は、マイクロ流体チップの内部壁面と流体との接触角が90°以上である場合の気体の排出を示す図である。 図8は、マイクロ流体チップの内部壁面と流体との接触角が90°未満である場合の気体の排出を示す図である。
以下、図面を参照して本発明のマイクロ流体チップを実施するための形態について説明する。本発明は、以下に例示する実施の形態や変形例に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。また、図面の記載において、同一部分には同一符号を付している。
図1は、本発明の実施の形態にかかるマイクロ流体チップの構成を示す模式図であり、図2は、図1に示すマイクロ流体チップ1のA−A線断面図である。図1に示すマイクロ流体チップ1は、光の80%以上を透過する光学的に透明な素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス、環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂を用いて本体部10が形成され、本体部10は、流体導入口11,12、収容セルD10,D11、移送制御流路LF10,LF11、混合セルM1、調節流路F10,F11、排気口21〜25を有し、収容セルD10,D11と混合セルM1とが移送制御流路LF10,LF11によって連結されている。
流体導入口11,12は、マイクロ流体チップ1の上部平面に開口を有する。流体導入口11,12にプローブ等を挿入して検体または試薬である流体を分注することによって、収容セルD10,D11に流体を送り込む。また、流体導入口11,12は、収容セルD10,D11に収容された流体を混合セルM1に送液する場合に、エア等の加圧処理を行うためのプローブまたはチューブ等の挿入口としても使用される。
収容セルD10,D11は、所定の体積となるように形成され、送り込まれた流体が充填された場合に所定体積と秤量することも可能である。なお、セルの形状は、円形でもよく、角形でもよい。
移送制御流路LF10,LF11は、収容セルD10,D11および調節流路F10,F11と比して最も断面積が小さくなるように形成され、その断面積は、0.06mm以下であることが好ましく、特に、0.02mm以下が好ましい。流路の断面積と流体の表面張力とによって、流路出口において流体に流通方向とは逆向きのラプラス力がかかり、流体の流通が停止する。この流体の流通停止によって流体導入口11,12から分注された流体が収容セルD10,D11、移送制御流路LF10,LF11および調節流路F10,F11に充填される。本発明にかかる移送制御流路LF10,LF11は、角形で形成されたものとして説明するが、円形で形成されていてもよい。
なお、移送制御流路LF10,LF11、収容セルD10,D11および調節流路F10,F11内の気体は、流体の流入に従って排気口23、または排気口21,22から排出される。収容した流体を秤量する場合は、収容セルD10,D11からなる秤量部と、移送制御流路LF10,LF11とを秤量単位とし、流路およびセルに充填された流体の総量が対象となる。
調節流路F10,F11は、一方が収容セルD10,D11の各流体導入口11,12近傍に接続され、分注された流体が移送制御流路LF10,LF11、収容セルD10,D11に充填された後、調節流路F10,F11に過剰量の流体が流れ込み、分注された流体の収容量の調節を行なう。また、調節流路F10,F11の他方端部には、調節流路F10,F11内の気体の排気を行なう排気口24,25を有する。
なお、調節流路F10,F11の断面積は、収容セルD10,D11の断面積と比して小さく形成される。これにより、流体導入口11,12から分注された流体は、収容セルD10,D11を優先的に選択して流通する。
混合セルM1は、収容セルD10の体積と収容セルD11の体積とを加算し、さらに若干量の体積を加算した体積となるように形成される。また、混合セルM1内の気体は、接続流路F12によって混合セルM1と接続された排気口23によって排出される。なお、排気口23は、混合セルM1に収容された混合物を吸引する吸引口として用いてもよい。また、接続流路F12は、移送制御流路LF10,LF11と同様に、ラプラス力がかかる径で形成されていてもよい。
排気口21,22は、混合セルM1の各移送制御流路LF10,LF11近傍に設けられ、移送制御流路LF10,LF11を介して各収容セルD10,D11から混合セルM1に送り込まれる各流体中の気泡、または混合中に生じた気泡を排出する。
ここで、収容セルD10に流体が収容された場合について、図3を参照して説明する。図3は、図1,2に示す収容セルD10に流体Sを収容した場合を示す断面図である。流体導入口11から分注された流体Sは、毛細管現象によって移送制御流路LF10に入り込むが、移送制御流路LF10の混合セルM1側の端部にかかる流通方向とは逆向きのラプラス力によって流体Sの流通が停止する。この流通停止によって流体Sは、収容セルD10に充填される。
なお、移送制御流路LF10,LF11の断面積は、下式(1)によって決定される。ラプラス力は、流体の表面張力、流路壁面に対する検体、試薬、または反応液の接触角、流路幅、流路深さによって決定され、毛細管力による液の流通を抑制している。ここで、γを表面張力、θを接触角(0<θ≦180)、wを流路幅、hを流路深さ(移送流路の断面が円であればwと同値)とした場合、下式(1)によって決定されるラプラス力Pをもとに移送制御流路LF10の断面積を構成するwおよびhが設定される。ラプラス力Pは、任意に設定されるものとする。
P=2γ(1/w+1/h)Sinθ ・・・(1)
つぎに、マイクロ流体チップ1内における流体の移送について、図4を参照して説明する。図4は、本発明の実施の形態にかかるマイクロ流体チップ1の流体の移送を示す模式図である。まず、流体導入口11から第1流体S1を分注すると、分注された第1流体S1は、収容セルD10に送り込まれる。収容セルD10に送り込まれた第1流体S1は、毛細管力によって移送制御流路LF10に入り込み、ラプラス力により移送制御流路LF10の混合セルM1側端部で流通を停止する。第1流体S1は、移送制御流路LF10端部に停止後、収容セルD10を充填する(図4(a))。また、収容セルD10内に予め収容されていた気体は、排気口23または排気口21から排出される。第1流体S1は、収容セルD10を充填後、調節流路F10に流れ込む(図4(b))。なお、調節流路F10に予め収容されている気体は、排気口24から排出される。
第1流体S1の分注が終了すると、第1流体S1と同様にして、第2流体S2の分注を行なう(図4(c))。第2流体S2は、流体導入口12から分注され、収容セルD11に流れ込み、移送制御流路LF11の混合セルM1側端部で流通を停止した後、収容セルD11内を充填する。また、余剰量の第2流体S2は、調節流路F11に送り込まれる。このとき、収容セルD11、移送制御流路LF11および調節流路F11内の気体は、排気口23,22、排気口25によってそれぞれ排気される。
第1流体S1および第2流体S2の分注が終了すると、排気口24を封止部材によって封止し、流体導入口11からプローブ等を用いて送風等により第1流体S1を加圧し、移送制御流路LF10にかかる流通抑止力を解除する(図4(d))。加圧されることによって調節流路F10の収容分を除く第1流体S1は、混合セルM1内に流入する。調節流路F10に収容された第1流体S1は、排気口24の封止による内部圧力によって収容セルD10内には流入しない。なお、この封止に用いる部材は、樹脂等で形成されたキャップ等の封止部材またはシール部材が好ましい。
ここで、流体導入口11から加圧されて流動する第1流体S1は、混合セルM1に流入した際に、送風による加圧によって第1流体S1内に混入した気泡がある場合でも、排気口21から気泡を排出することができる。従って、第1流体S1は、流体内に気泡の混入なく、混合セルに流入することができる。
続いて、排気口25を封止部材等によって封止して、第1流体S1と同様に、流体導入口12からプローブ等を用いて送風等により第2流体S2を加圧し、移送制御流路LF11にかかる流通抑止力を解除する(図4(e))。流体導入口12からの加圧によって、第2流体S2が混合セルM1に流れ込み、第1流体S1と第2流体S2とが混合セルM1内において混合して混合液S3となる。なお、第1流体S1と同様に、調節流路F11内の第2流体S2は収容セルD11内には流入しない。
さらに、流体導入口11,12から収容セルD10,D11の加圧を行なうと、混合セルM1に収容された混合液S3は、排気口23側に流動する(図4(f))。図4(f)に示す処理を行うことによって、送風等の加圧によって混入しうる気泡を除去した混合液S3を混合セルM1内に収容することができる。
なお、混合セルM1に送液した第1流体S1および第2流体S2が収容セルD10,D11へ逆流することを防止するため、第1流体S1および第2流体S2の各送液終了後に、流体導入口11,12を封止部材によって封止してもよい。
一方、従来の流体の移送について、図5を参照して説明する。図5は、従来のマイクロ流体チップの流体の移送を示す模式図である。従来のマイクロ流体チップは、流路の合流点近傍に排気口が設けられていない構成である。図5に示すように、流路100を流通する第1流体S4と流路101を流通する第2流体S5とを、混合するための流路102に流通する場合、2液が共に流通している場合に気泡の混入はなく混合でき、混合した混合液S6が流路102を流通する(図5(a))。
しかしながら、流体の体積または送液のタイミングの差異によっては、図5(b)に示すように、流体の流通の終点が異なる場合があり、一方の流体、図5の場合は第2流体S5の終端が流路101を通過すると、送液するための加圧用気体が第2流体S5端部と第1流体S4との間、または第1流体S4中に入り込み(図5(c))、その結果、混合液S6と第1流体S4との間に気泡Bとして残ってしまうおそれがあった(図5(d))。この気泡の混入によって混合する比率が変化し、分析結果に影響を及ぼしていた。また、段階的に流体を送液した場合、同時に送液した場合と比して、気泡の混入が顕著に現れるおそれがある。
これに対して、移送制御流路近傍に設けられた本発明にかかる排気口が、収容セルに収容された流体を気泡の混入なく混合させ、保持させることを可能とする。さらに、2液を同時に混合セルに送液した場合においても、排気口21,22から気体(気泡)を排出することが可能であるため、段階的に送液した場合でも、同時に送液した場合でも混合液に気泡の混入なく、混合セルに収容させることができる。なお、混合セルM1に対して測光装置を配置して、混合された流体の測光処理を行うことも可能である。
つぎに、排気口21,22が行う気体の排出について説明する。気体の排出は、収容する流体との接触角によって排出様態が異なる。まず、流体に対する排気口のストップ力について図6および表1を参照して説明する。図6は、本発明の実施の形態にかかる排気口の直径に対する接触角とストップ力との関係を示すグラフである。図6に示すグラフにおいて、ストップ力が正の値の場合、流体は、排気口21,22には浸入せず、ストップ力が負の値の場合、流体は、排気口21,22にかかる毛細管現象によって排気口21,22内に浸入する。グラフから、各排気口の直径においても、接触角が90°付近を境にストップ力の正負の値が逆転していることがわかる。
また、表1は、図6に示すグラフにおける接触角が85°〜120°の各排気口の直径に対するストップ力の値を示す表である。この表においても、各直径において接触角が90°を境に正負の値が逆転し、接触角θが高くなるにつれてストップ力が大きくなっていることが読み取れる。なお、グラフ、表ともに、このときの流体の表面張力は0.072N/mである。
Figure 2011117805
なお、図6に示すグラフおよび表1にかかるストップ力Pは、下式(2)によって与えられる。ここで、γは流体の表面張力、θは接触角(0<θ≦180)、wは流路幅、hは流路深さ(移送流路の断面が円であればwと同値)である。式(2)から、ストップ力の正負の基準点は、接触角θが90°となることがわかる。
=−2γ(1/w+1/h)Cosθ ・・・(2)
ここで、マイクロ流体チップの内部壁面と流体との接触角が90°以上である場合の気体の排出について、図7を参照して説明する。図7は、マイクロ流体チップの内部壁面と流体との接触角が90°以上である場合の気体の排出を示す図である。図7は、図1,2に示すマイクロ流体チップと同等の構成における排気口21a近傍を示す断面図であり、壁面に対する流体S7の接触角は、90°以上である。
図7(a)において、混合セルM1に流体S7が収容され、この流体S7が排気口21a近傍に差しかかった場合においても、上述したストップ力によって流体S7は排気口21aには浸入しない。なお、排気口の直径(φ)は、図6または表1で挙げたいずれかの値である。
その後、送風等による加圧によって、流体S7が排気口21aの下部領域を通過すると、混合セルM1のこの下部領域に空間が形成されるが、加圧の気体は、破線矢印で示す経路を辿って外部に排出される(図7(b))。このため、混合セルM1に流体S7を所定位置まで送液した後にも余分な圧力がかかることなく処理することができる。
なお、送風等に加圧は、ポンプ圧力によって制御することが可能である。表2は、ポンプ圧力(kPa)によって各直径(φ)の排気口にかかる圧力(Pa)を示している。この圧力は、排気口のストップ力に対して逆方向の力であるため、圧力がストップ力を超えた場合、流体が排気口内に浸入することとなる。流体が排気口内に一度浸入してしまうと、連続的に流れ出してしまうおそれもある。表2に示す圧力は、図1に示すマイクロ流体チップ1の流体導入口11からポンプ圧力によって送り込まれた気体による排気口21aにかかる圧力を示している。
Figure 2011117805
たとえば、表1において、接触角が95°で排気口の直径(φ)が0.1mmの場合、排気口のストップ力は254Paである。一方、排気口の直径(φ)が0.1mmの場合にポンプ圧力によって排気口にかかる圧力は、ポンプ圧力が5kPaで22Pa、20kPaで88Pa、100kPaで441Paとなっている。ここで、表1の接触角が95°の場合に戻ると、排気口のストップ力は254Paであるため、送液のためのポンプ圧力を100kPaに設定すると、排気口に441Paにかかり、排気口内に流体が浸入し、外部に排出されてしまう。そのため、表1および表2から、接触角が95°の場合は、送液のためのポンプ圧力を50kPa以下に設定する。
上述したように、表1および表2から接触角、ストップ力および排気口にかかる圧力の関係を参照し、ポンプ圧力を設定することによって、排気口に流体が外部に排出されるのを防止し、気泡のみを排出させることが可能となる。なお、表2に示すように、排気口の直径(φ)が小さくなるにつれて、排気口にかかる圧力は小さくなるため、比較的大きいポンプ圧力に設定できる。また、この場合の排気口21aの直径(φ)は、0.1mm以下となるように形成されることが好ましい。
これに対し、接触角がマイクロ流体チップの内部壁面と流体との接触角が90°未満である場合の気体の排出について、図8を参照して説明する。図8は、マイクロ流体チップの内部壁面と流体との接触角が90°未満である場合の気体の排出を示す図である。図8は、図1,2に示すマイクロ流体チップと同等の構成における排気口21b近傍を示す断面図であり、壁面に対する流体S8の接触角は、90°未満、たとえば75°であるとする。
図8(a)において、混合セルに収容された流体S8は、接触角が75°と低いため図6のグラフに示すように、排気口21bから吸引される方向の力を受ける。そのため、流体S8は、排気口21bに入り込んだ状態となる。また、排気口21bの外部側の開口部では、ラプラス力が働き、流体S8は外部には排出されず、排気口21b端部に保持される。
その後、送液のための加圧を継続すると、混合セルM1内の流体S8は、加圧方向(図右方向)に流動する。また、排気口21b内に保持されている流体S8は、ラプラス力または流体の張力によって、排気口21b内に残る(図8(b))。
さらに加圧を継続すると、排気口21bに保持されている流体S8が外部に排出され、排気口21bから気体を排出することが可能となる(図8(c))。排気口21bから流体S8が排出されると、図7(b)と同様、混合セルM1に流体S8を所定位置まで送液した後にも余分な圧力がかかることなく処理することができる。
なお、排気口21bから一部の流体S8が排出されるが、分析処理においては、この排出量を誤差範囲として分析処理を行うか、もしくは排出される体積分を予め計算して収容セルを形成することによって、分析処理を行うことが可能となる。
ここで、排気口21bにおける気体の排出は、排気口21bに保持された流体S8を外部に排出する必要がある。流体S8には、排気口21bからのラプラス力がかかっている。流体S8を排気口21b外部に排出するには、ラプラス力による制止を解除できる力を加える必要がある一方で、必要量以上の流体S8の排出を防止するため、ラプラス力による流通抑制力も必要となる。
表3は、排気口21bの各直径(φ)に対するラプラス力を示している。また、流体の表面張力γは0.072N/mであり、壁面に対する流体の接触角θは75°である。
Figure 2011117805
この場合、排気口21b上部でラプラス力によって流体S8の流通を停止させ、かつ加圧によって流体S8を外部に排出するために適したラプラス力は、0.5kPa程度であり、表3を参照すると、排気口21bの直径(φ)は、0.5mm前後となる。なお、移送制御流路LF10,LF11は、断面積が0.06mm以下であり、この流路にかかるラプラス力は、およそ1kPaである。断面積が小さくなるに従ってかかるラプラス力は大きくなるため、本発明における移送制御流路LF10,LF11にかかるラプラス力は1kPa以上となる(式(1)参照)。
なお、接触角θは、マイクロ流体チップの内部壁面の形状を変化させて形成することによって調節可能である。たとえば、表面を加工もしくは樹脂を表面に塗布することで、接触角を変化させることができる。また、マイクロ流体チップを形成する樹脂を変更することによって接触角を調節することも可能である。樹脂としては、COC(環状オレフィン・コポリマー)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂、PDMS(ポリジメチルシロキサン)樹脂等が挙げられる。
上述したマイクロ流体チップを用いることによって、各収容セルに収容された流体を気泡の混入なく混合セルに移送して、流体を混合させることができる。また、送液を行なうために送液ポンプを使用する場合においても、流体の粘性等に関わらず、一定のポンプ圧力によって各流体を気泡の混入なく送り込むことが可能である。
なお、接触角θが異なる、特に、90°以上と90°未満の流体を使用する場合、図7,8に示した排気口21a,21bに示す排気口を流体に対応させてそれぞれ形成させることで処理を行うことが可能である。
以上のように、本発明にかかるマイクロ流体チップは、複数の流体を混合するのに有用であり、特に、微量分析に適している。
1 マイクロ流体チップ
10 本体部
11,12 流体導入口
21,21a,21b,22〜25 排気口
D10,D11 収容セル
F10,F11 調節流路
F12 接続流路
LF10,LF11 移送制御流路
M1 混合セル
S,S7,S8 流体
S1,S4 第1流体
S2,S5 第2流体
S3,S6 混合液

Claims (5)

  1. 流体を収容する複数の収容部と、各収容部から移送された前記流体を収容する移送側収容部とを有するマイクロ流体チップにおいて、
    前記収容部と前記移送側収容部とを接続し、ラプラス力によって前記流体の流通を制御する複数の移送制御流路を備え、
    前記収容部は、該収容部内に流体を導入する流体導入口を有し、
    前記移送側収容部は、
    各収容部側に設けられた複数の第1排気口と、
    前記移送側収容部に流入する前記流体の流入方向末端部に設けられた第2排気口と、
    を有することを特徴とするマイクロ流体チップ。
  2. 前記第1の排気口は、
    前記移送側収容部に対する前記流体の接触角が90°以上である場合、前記第1排気口と前記移送側収容部との接続部の直径が0.1mm以下となるように形成されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体チップ。
  3. 前記第1の排気口は、
    前記移送側収容部に対する前記流体の接触角が90°未満である場合、前記第1排気口と前記移送側収容部との接続部の直径が0.5mm程度となるように形成されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体チップ。
  4. 一端が前記収容部に接続され、他端に調整排気口を設けた調節流路をさらに備え、
    前記調節流路は、前記収容部の容量を超えた前記流体を流通させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のマイクロ流体チップ。
  5. 少なくとも前記移送制御流路の内部表面が疎水性であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のマイクロ流体チップ。
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