JP2011115834A - マグネシウム合金圧延板のコイル成形方法および成形機、マグネシウム合金圧延板の製造方法 - Google Patents

マグネシウム合金圧延板のコイル成形方法および成形機、マグネシウム合金圧延板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 歩留まり良くマグネシウム合金圧延板の製造を可能とするコイル成形方法および成形機を提供する。
【解決手段】
コイル形状のマグネシウム合金の圧延板を繰り出し可能に準備するサプライ準備工程と、前記繰り出された圧延板の側端部を連続的に裁断する端部除去工程を備えたマグネシウム合金圧延板のコイル成形方法であって、前記端部除去工程の前に、前記繰り出された圧延板の側端位置を検出し、検出された位置特定情報に基づき裁断する位置を制御する裁断位置制御工程を備えるようにした。ここで裁断位置制御工程は、繰り出された圧延板の側端位置を、圧延板の長手方向複数点の平均的位置として検出するようにした。
【選択図】 図4

Description

本発明は、マグネシウム合金圧延板のコイル成形方法に関するものであり、特にアルミニウム比率の高いアルミニウム合金圧延板の成形時の板幅位置制御を伴う製造方法とその装置に関する。
携帯電話や携帯型コンピュータ等の電気機器類の筐体材料として、マグネシウム合金が検討されている。マグネシウム合金は、従来の樹脂製筐体やアルミニウム合金、ステンレス鋼などの筐体材料に比べて、軽量でかつ重量対比の強度が強く、衝撃吸収性を有するなどの特徴がある。これらの特徴から電気機器類のみならず自動車や鉄道等の外装、内装材料としても期待されている。従来、マグネシウム合金からなる筐体は、ダイカスト法やチクソモールド法による鋳造材で形成されるものが一般的であった。これはマグネシウム合金が細密六方晶という結晶構造をもつことにより常温での塑性加工性に劣ることによる。しかしダイカスト法などでの鋳造では薄い板材を製造することは困難であり、また結晶粒径が大きくなることなどにより表面が粗くなる、加工時に破断しやすい、などの問題がある。そこで、例えばASTM(米国材料試験協会;American Society for Testing and Materials)規格のAZ31合金からなる板に圧延加工、プレス加工を施して形成するための材料や製造方法が種々検討されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
また、アルミニウムの含有量が多く、耐食性や強度により優れた展伸材としてAZ91相当の合金材を利用し、プレス加工に適した圧延材を製造する方法も本願発明者らによって検討されている。たとえば特許文献3では双ロール鋳造素材などで得られたマグネシウム合金素材板を圧延ロールにて圧延する際の条件を定めることにより結晶粒の粗大化を抑制し、かつ表面に亀裂が発生しにくい圧延方法が開示されている。
特許第3821074号公報 特許第3659208号公報 特開2007−98470号公報
このようにマグネシウム合金材を圧延して薄板を製造する方法が検討されているものの、製造時の歩留まりは実用には未だ十分とは言えない。特に合金成分としてアルミニウムを多く含む場合にはアルミニウム比率が低い合金に比べて塑性変形性に劣ることから機械的加工において割れなどの欠陥が生じやすく、歩留まり低下の要因となっていた。そこで本発明は、マグネシウム合金圧延板のコイル成形を伴う製造において、板幅方向側端部に割れ等の凹凸欠陥が少ないマグネシウム合金圧延板を、従来よりも歩留まり良く提供することを目的とする。
本願発明者らは、製造工程の検討を重ねる中で、圧延工程あるいは圧延後の矯正工程における歩留まりに着目し本発明に至った。これらの工程ではマグネシウム合金の板材料を上下ロールで挟み込んで圧延したり、上下複数ロールにより歪み付与して矯正することが行われる。これらのロール成形において割れなどの欠陥が発生する要因の1つが圧延板両側端部の欠陥に起因していることを突き止め、成形後の製品として欠陥の少ない圧延板の提供を可能としたものである。
本願第1の発明は、コイル形状のマグネシウム合金の圧延板を繰り出し可能に準備するサプライ準備工程と、前記繰り出された圧延板の側端部を連続的に裁断する端部除去工程を備えたマグネシウム合金圧延板のコイル成形方法であって、前記端部除去工程の前に、前記繰り出された圧延板の側端位置を検出し、検出された位置特定情報に基づき裁断する位置を制御する裁断位置制御工程を備えたことを特徴とするマグネシウム合金圧延板のコイル成形方法である(請求項1)。
マグネシウム合金圧延板を連続的に製造する工程において、コイル状に巻かれた板材を圧延したり、幅方向の反りや、巻きぐせを修正するための矯正を行ったりする必要がある。これらの工程はマグネシウム合金圧延板に歪みを加える工程である。マグネシウム合金は前述の通り硬く、塑性加工において割れやすいなどの特徴がある。この特性から、ロール成形を加えた圧延板において、その両側端部に多数の割れ、欠け、ひびなどの凹凸が点在することが多い。これらの凹凸(以下、「側端凹凸」と呼ぶ)は、次の工程において歪みが加えられることにより、その割れ等を起点としてさらに深く進行することがわかった。このように割れ等が進行すると良品として必要な板幅が確保出来なくなることから、次の工程に先立って圧延板の両側端部を切断除去(以下、本明細書中で「トリミング」「裁断」ともいう。)することで、割れの起点が無くなり両側端部に欠陥のない板材を歩留まり良く得ることが可能となる。特に、圧延完了後の矯正工程前に端部の裁断を行うことが好ましい。
従来のマグネシウム合金圧延板の製造において、例えば圧延板を最終製品の板幅に裁断する工程では、コイルの繰り出しを行うサプライの位置に対して繰り出された圧延板を裁断する裁断位置は固定位置であった。しかし、かかる工程に供されるコイル状のマグネシウム合金圧延板に、巻きむらによる幅方向の位置むらや、板幅自体の不均一、蛇行など板幅方向の位置変化が含まれる場合がある。そこで、側端部の裁断にあたって、側端部の位置を検出し、板幅方向の裁断位置を制御しながら裁断することで、裁断後の板材として割れなどが残らない良品を歩留まり良く確保することが可能となる。
裁断位置制御工程は、前記繰り出された圧延板の側端位置を、該圧延板の長手方向複数点の平均的位置として検出する工程を含むことが好ましい(請求項2)。
かかる裁断位置制御工程は、前記繰り出された圧延板の側端位置を一定時間間隔で測定し、該測定された側端位置から抽出される圧延板の位置データを時系列データとして記憶し、該記憶された時系列データから複数の位置データを統計処理することにより、前記繰り出された圧延板の位置を特定する位置特定情報を生成する工程であると良い(請求項3)。
コイルから繰り出され搬送されるマグネシウム合金圧延板の幅方向位置を測定するには、板の側端位置を触針等の接触式あるいはレーザ等を用いた光学式の非接触式センサで検出すればよい。例えば板の両側端部を裁断する前に、両側端位置をセンサで検出して、その中央点を板の幅方向中央点とし、両側裁断位置の中央に板幅方向の中央点が通ように板の位置を制御する。または、板の幅が一定として扱って良い場合は、片側端部の位置変化のみを検出して、例えば予め設定した板幅の1/2離れた場所を板の幅方向中央点として位置制御することも出来、センサの数が少なくできる点で有利である。主な位置制御の目的はコイル巻きの幅方向巻きむらや板自体の幅方向長さばらつきを補正しつつ両側を裁断して一定幅のマグネシウム合金圧延板を得ることである。しかし板の側端部に側端凹凸が多く存在する場合、側端位置の検出位置をそのまま幅方向位置制御に用いると、検出された位置が側端凹凸に左右されて真に補正したい位置のばらつきではなく、細かい側端凹凸に追随した制御となってしまう。このため、時には割れを残して裁断したり、不意に大きく位置調整をしてしまい設備と板材が接触したりするなどの不具合が生じてしまう。
そこで、本発明では細かい側端凹凸には応答せず、巻きむら等の大きな幅方向位置変化のみに追随して位置制御を行うように、繰り出された圧延板の側端位置を、圧延板の長手方向複数点の平均的位置として検出するのである。複数点の平均的位置とすることでその複数点の間隔よりも細かい凹凸には直接応答せず、平均的な端部位置変化に追随することが可能となる。平均的位置としたのは複数点の平均、重み付け平均、中央点などを広く含み、厳密な意味での数値平均に限定されるものではないとの意味である。また、検出した位置データを時系列データとして記憶し、記憶された複数の位置データを統計処理することとしても良い。統計処理とは代表的には平均処理であるが厳密に限定されるものではない。平均は単純に数点毎の複数点の平均でもよく、前数点の移動平均が好ましい。
なお、一つのセンサで測定した値の時系列データを扱うことに代えて、あるいは併用して、複数のセンサを圧延板の進行方向に間隔をあけて設け、同時に複数のデータを得ても良い。
裁断位置制御工程は、前記位置特定情報に基づき、前記繰り出される圧延板の繰り出し位置を圧延板の幅方向に移動させる方法により裁断する位置を制御する工程とすればよい(請求項4)。
測定された圧延板の搬送位置と裁断位置を調整する制御方法としては、裁断位置を移動させる場合と、搬送位置を移動させる場合が考えられる。しかし、裁断後の圧延板として搬送方向に直線形状の板が得られること、さらには再び裁断後にコイル状に巻き取られる場合も考慮すると、裁断位置を固定として搬送位置を移動させることが好ましい。搬送位置の制御としてはサプライコイルの軸自体を幅方向に移動させることが最も簡便な手段であり好ましく適用できる。
前記圧延板は、アルミニウムを5質量%以上含むマグネシウム合金である鋳造材にロール圧延を施して製造された圧延板であると、上記発明の効果が一層大きく得られる(請求項5)。
アルミニウムを5質量%以上含むようなマグネシウム合金においては、特に塑性加工が難しく、加工時の割れ等が生じやすい。すなわち圧延工程において端部に割れ等の側端凹凸が生じて、あるいは鋳造以降の工程において割れ等が進展して側端部に残っていることが多く、その割れ等が次の加工工程でさらに進展しやすい。そこで圧延板の両側端部を切断する効果が大きく発揮される。アルミニウムの比率が高いマグネシウム合金ほどその傾向は大きく、アルミニウムを5質量%以上含む場合には本発明の効果が大きい。さらに好ましくはアルミニウムを7%以上含むマグネシウム合金を対象とする場合であり、特に、ASTM規格に定められるAZ91(アルミを約9%、亜鉛を約1%含む合金材)においては、従来よりも歩留まりの高い製造方法が望まれており、上記工程の適用により大幅に歩留まり向上が期待できる。
本願第2の発明は、マグネシウム合金素材を溶解して双ロール鋳造により圧延用母材を連続鋳造する鋳造工程と、該圧延用母材をロール圧延してコイル状のマグネシウム合金圧延板とする圧延工程と、該マグネシウム合金圧延板を温間矯正する矯正工程と、該温間矯正されたマグネシウム合金圧延板を研磨する研磨工程とを有し、該矯正工程の前に前述の端部除去工程を含むことを特徴とするマグネシウム合金圧延板の製造方法である(請求項6)。
このようにマグネシウム合金圧延板を製造することにより、特に矯正工程での歩留まりが改善され、効率よく所望のマグネシウム合金圧延板を得ることが可能となる。マグネシウム合金圧延板の側端部に入る割れ等は、圧延時に進展しやすく、矯正工程での歪み付与は一般的には小さい歪みであるため新たな割れは生じ難い。そこで、圧延工程と矯正工程の間で、圧延工程までに生じた割れ等の側端凹凸を除去することにより、側端部の割れ等を効果的に除去することができ、製品歩留まりが向上できる。ここで矯正工程は温間矯正工程であると良い。すなわち圧延板を矯正前に加熱する予熱工程と、予熱された圧延板を複数のロールにより矯正するロール矯正工程であって、ロール自体も加熱されている矯正工程が好ましい。マグネシウム合金においては特に150℃から300℃程度に加熱した状態であると塑性変形が容易である。特にロール矯正のロールに通す前に予熱する工程を設け、またロール自体をも加熱することで矯正時に割れ等の欠陥を生じ難くすることができる。
本願第3の発明は、コイル状のマグネシウム合金の圧延板を繰り出し可能に保持するサプライ部と、該サプライ部から繰り出された圧延板の側端位置を計測する側端計測部と、該側端計測部の計測結果に基づき前記圧延板の裁断位置を制御する制御部と、前記圧延板の側端部を裁断する裁断部とを有するマグネシウム合金圧延板の成形機であって、該側端計測部は、前記圧延板の側端位置を、該圧延板の長手方向複数点の平均的位置として検出する側端位置平均化機構を有することを特徴とするマグネシウム合金圧延板の成形機である(請求項7)。
ここで、側端位置平均化機構は、圧延板の側端部に外表面を接し、該側端部の板幅方向の形状変化に応じて該板幅方向に変位するように配置される1本または複数本のローラーを有する端部検出器と、該ローラーの前記板幅方向の変位を検出する変位検出器とを備えたものが用いられる(請求項8)。
また、側端位置平均化機構は、圧延板の側端位置を一定時間間隔で測定し、該測定された側端位置から抽出される圧延板の位置データを時系列データとして記憶し、該記憶された時系列データから複数の位置データを統計処理することにより前記繰り出された圧延板の位置を位置特定情報として生成するものが用いられる(請求項9)。
このような成形機を用いることにより、上述のように圧延板側端部の凹凸を適切に除去出来るので、歩留まり良くマグネシウム合金圧延板の製造が可能となる。よって、特にアルミニウムを5質量%以上含むマグネシウム合金である鋳造材にロール圧延を施して製造された圧延板であると、上記発明の効果が一層大きく得られ、好ましくはAZ91材に用いると良い。
上記本願発明によれば、マグネシウム合金圧延板のコイル成形を伴う製造において、板幅方向側端部に割れ等の凹凸欠陥が少ないマグネシウム合金圧延板を、従来よりも歩留まり良く提供することが可能となる。
本発明によるマグネシウム合金圧延板の矯正方法を備えた矯正機の構成を説明する図である。 トリミングの構成を模式的に説明する図であり、(a)は圧延板を上から見た図、(b)は搬送方向から見た図である。 トリミングにより裁断される圧延板端部の状態を説明する図である。 トリミング装置における板幅検出を模式的に説明する図であり、(a)は圧延板を横方向から見た図、(b)は上から見た構成に測定制御部をブロック図で表した図である。 搬送される圧延板を上から見た状態を説明する図である。 圧延板の両側端位置検出と裁断位置を説明する図である。 本発明に好ましく用いられる端部検出器の構成を示す図である。 本発明に好ましく用いられる端部検出器および板幅検出装置の作用を説明する図である。
以下に、本発明にかかるマグネシウム合金圧延板のコイル形成方法を含む、マグネシウム合金圧延板の製造方法を説明する。ここでは例示として、本発明の効果が顕著であるAZ91材の製造方法を示すが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
《組成》
マグネシウム合金は、Mgに添加元素を含有した種々の組成のもの(添加元素以外の残部はMg及び不可避不純物)、が挙げられる。本発明にかかる板は、添加元素に少なくともAlを5質量%以上12質量%以下含有するMg−Al系合金からなる。Al以外の添加元素は、Zn,Mn,Si,Ca,Sr,Cu,Ag及び希土類元素から選択された1種以上の元素が挙げられる。これら元素を含む場合、その含有量は、0.01質量%以上10質量%以下、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下が挙げられる。より具体的なMg−Al系合金は、例えば、ASTM規格におけるAZ系合金(Mg−Al−Zn系合金、Zn:0.2〜1.5質量%)、AM系合金(Mg−Al−Mn系合金、Mn:0.15〜0.5質量%)、Mg−Al−RE(希土類元素)系合金などが挙げられる。特に、Alを8.3〜9.5質量%、Znを0.5〜1.5質量%含有するMg−Al系合金、代表的にはAZ91合金は、AZ31合金といった他のMg−Al系合金と比較して、耐食性や強度、耐塑性変形性といった機械的特性に優れる一方で、Alの組成比が大きいことから硬く塑性加工性に劣るため、加工時に割れ等の欠陥が生じやすく、本発明を適用する効果が大きい。すなわち本発明はAlを5質量%以上含むマグネシウム合金に適用すると良く、このましくはAlの含有量が7質量%以上、特に好ましくは9質量%以上のマグネシウム合金に用いると良い。
《マグネシウム合金圧延板の大きさ》
本発明を適用するマグネシウム合金圧延板は、コイル状で提供される板材に加工を施して再び巻き取る工程を経て、最終的には切断されて単尺の板材とされるものであり、その幅は製造する設備との関係で製造可能であれば特に限定されるものではない。一方、本発明が対象とするマグネシウム合金圧延板は、曲げ加工や絞り加工といったプレス成形が施され、筐体といった薄型軽量の部材の素材に利用されることが多い。このため圧延板の厚さは、2.0mm以下、特に1.5mm以下、更に1mm以下が好ましく適用される。
《製造方法》
[準備工程]
鋳造板は、双ロール法といった連続鋳造法、特に、WO/2006/003899に記載の鋳造方法で製造した鋳造板を利用することが好ましい。連続鋳造法は、急冷凝固が可能であるため、酸化物や偏析などを低減でき、圧延性に優れる鋳造板が得られる。鋳造板の大きさは特に問わないが、厚過ぎると偏析が生じ易いため、10mm以下、特に5mm以下が好ましい。
[熱処理工程]
上記鋳造板には、溶体化処理を施して、組成の均質化を図る。溶体化処理は、保持温度を350℃以上とする。特に、保持温度を380〜420℃で保持時間60〜2400分とすることが好ましく、Alの含有量が高いほど、保持時間を長くすることが好ましい。
[圧延工程]
上記溶体化処理が施された板材に、圧延を施し薄板を製造する。塑性加工性(圧延性)を高めるために、少なくとも板材を250℃以上の温度に加熱した状態で圧延を施すとよい。加熱温度が高いほど、塑性加工性を高められるが、350℃を超えると、焼き付きが発生したり、結晶粒が粗大化して圧延後の板材の機械特性が低下したりするなどの問題があることから、350℃以下が好ましく、より好ましい加熱温度は、270℃以上330℃以下である。複数回(多パス)の圧延を施すことで、所望の板厚にできると共に、平均結晶粒径を小さくしたり、プレス加工性を高めたりることができる。
[矯正工程]
上記圧延された圧延板に所定の歪みを付与することにより歪みの矯正を行う。矯正にはローラーレベラーを用いることが好ましい。ローラーレベラーは、1つ以上のローラーを具え、ローラーにより曲げを付与するものであり、特に、千鳥状に配置されたローラー間に圧延板を通過させて、圧延板に繰り返し曲げを付与可能なものが好ましく用いられる。上記ローラーは、加熱手段、例えばヒータを具えるものを利用するとさらによい。矯正のために付与する歪み量の調整は、ローラーの大きさ、数、ローラー間の間隔などを調整することで行える。
[研磨および切断工程]
矯正を経たコイル状の圧延板は、コイルから繰り出され、あるいは単尺に切断された後に研磨工程により表面仕上げをされ、最終的には単尺の板材としてその後のプレス加工等に提供される。
図1は、本発明にかかるコイル形成方法の代表的な適用例として、コイル圧延工程により薄板に加工されたマグネシウム合金圧延板に、コイル矯正を施す矯正機の構成を模式的に説明する図である。すなわち、コイル形状のマグネシウム合金の圧延板の側端部を連続的に裁断する端部除去工程を含み、端部除去工程の前に、繰り出された圧延板の側端位置を検出し、検出された位置特定情報に基づき裁断する位置を制御する裁断位置制御工程を備えている。図1の構成を説明する。図の左端には圧延され、コイル形状に巻かれたマグネシウム合金圧延板1が、繰り出し可能に準備されたサプライ装置10が配置されている。圧延板1は代表的には幅が200mm〜350mm、板厚は0.2mm〜1.0mmである。サプライ装置10からはサプライの駆動あるいはコイル材の引き出し等の手段によってマグネシウム合金圧延板1が繰り出され、トリミング装置20に供給される。トリミング装置20に備えられた本発明の位置制御については後述する。
トリミング装置により裁断された板は、温間矯正を行うために、次に予熱装置30により矯正に適した温度に加熱される。加熱手段は特に限定されないが、電磁誘導による方法や熱風による方法が好ましく用いられる。このように歪みの付与は、圧延板を加熱した状態で行われる。具体的な加熱温度は、100℃以上250℃以下が好ましい。常温を含む100℃未満では、付与される歪み量が過剰となり、後の温間塑性加工中に転位密度が増大して加工硬化が生じることから破断を生じ易い他、歪み付与時に割れなどが生じる恐れがある。250℃超では、付与される歪み量が小さく、温間塑性加工中に連続的な再結晶が生じ難いという不都合がある。より好ましくは、150℃以上200℃以下である。
ここで、ローラーレベラー40のローラー自体も加熱することが好ましい。具体的な加熱温度は、150℃以上300℃以下が好ましい。常温を含む150℃未満では、圧延板を所望の温度に維持し難く、圧延板の温度が低下して、上述のように付与される歪み量が過剰となり易く、300℃超では、圧延板の温度が上昇して、上述のように付与される歪み量が小さくなり易い。より好ましくは、200℃以上250℃以下である。
ローラーレベラー40は、複数のローラー41,42を千鳥状に配置し、その間に板材を通すことによって曲げ歪みを付与する装置である。対象とする板の材質、サイズ等や付与したい歪み量などの条件に応じてローラーの大きさや数を選定すればよい。一例として、上ロール42を20個、下ロール41を21個、合計41個のロールを具え(図1ではロール数を簡略して示す)、各ロールは直径40mm、上ロールと下ロールの中心間の水平距離が43mmとする。ロール間隔(上ロールと下ロールの中心間の垂直距離)が、ロール部の上流側から下流側に向かって線形的に変化すると良い。具体的には、ロール間隔は、上流側ほど狭く、下流側ほど広くなっており、予熱装置30から搬送されてきた圧延板を導入する側のロール間隔が39mm、ロール間を通過した圧延板を外部に排出する側のロール間隔が41mmとするとよい。
ローラーレベラーにて歪み付与され、矯正が完了したマグネシウム合金圧延板1は、巻き取り装置50により再びコイル状に巻き取られる。なお、以上の説明においては、付帯する装置は省略している。例えばサプライ装置10から繰り出された圧延板1の巻きぐせを取るラフレベラをトリミング装置20の手前に設けたり、トリミングにて裁断された裁断くずを予熱装置の手前で回収したり、その他付帯する装置を適宜設けることが行われる。
[トリミング装置]
図2はトリミング装置の機能を説明するための模式図である。図2(a)はトリミング装置における圧延板1を上から見た状態、(b)は圧延板1の後方からみた図である。ここで裁断する刃に該当する裁断部21を説明のために模式的に圧延板の上部に記載しているが、裁断部21の構造を表すものではなく、裁断位置を示すものである。サプライから繰り出され、矢印の方向に搬送される圧延板1(幅L1)は、幅方向両側端部に設けられた裁断部21によって、一定幅L2に裁断される。この例においては、L1は200mm〜350mmであり、両端を10〜15mm裁断してL2が170mm〜320mm程度である。裁断部21は、例えばディスクカッターやレーザーカッターなど金属板の切断に一般的に用いられる裁断器が用いられる。図3に裁断される端部の拡大説明図を示す。マグネシウム合金圧延板1の両側端部には、割れや欠けなどによる側端凹凸2が多く存在する。トリミング装置は圧延板を製品としての板幅L2に仕上げると共に、このような側端凹凸を除去して歪み付与工程に側端凹凸の無い圧延板を供給することを目的とした装置である。このように歪み付与工程に側端凹凸の無い圧延板を供給することによって、歪み付与工程において、端部の割れ等が進展し側端凹凸2が大きく(深く)なるというマグネシウム合金圧延板に特有の割れやすいという問題を予防するのである。よって、裁断後の不良率が減少し、製造歩留まりが向上できる。
[板幅検出手段]
次に本発明による、トリミング装置に備えられた板幅検出手段について説明する。図4はサプライ装置10から裁断部21に至る圧延板1の流れを示している。図4(a)は圧延板を横から見た図、(b)は上から見た図である。上述の通り裁断部21において圧延板の両側端部が裁断されるが、サプライに供されたコイル状の圧延板に巻きむらがあると、裁断部に搬送される圧延板は巻きむらの分だけ左右幅方向に位置がずれることになる。図4(b)においてdで表した長さが巻きむらの最大値とする。すなわち、裁断される両側端部の板端部からの裁断幅が巻きむらdの幅だけずれることになる。巻きむらdが大きい場合には本来は裁断したい両側端部の側端凹凸が適切に裁断されない事となり、それを防止するためには予めコイル状圧延板の板幅を大きくする必要がある。図4においては裁断部21の手前に板幅検出装置22を設け、両側端部を検出することで裁断部と圧延板の幅方向位置関係を測定する。板幅検出装置22は既存のレーザセンサや画像センサなどが適用できる。
板幅検出装置の出力が繰り出される圧延板の幅方向位置制御に用いられる構成を、図4(b)に機能ブロック図で併記する。板幅検出装置22の出力は位置測定回路23に入力され、板幅方向の調整幅を示す位置特定情報として出力される。例えば搬送される板の中心を検出してそれが板の搬送方向(図の右方向)に向いて右側(図の下方向)にずれている場合をプラス方向とし、左側にずれている場合をマイナスとして0.1mm単位の数値データを出力するなどである。位置測定回路23は通常のマイクロコンピュータなど演算手段と記憶手段を備えた回路で良い。位置特定情報は、サプライ装置10のコイル軸を幅方向に制御する駆動軸制御回路12に送られる。駆動軸制御回路12は、入力された位置特定情報に従って、繰り出す板の中心が裁断中心に合致するようにコイルの駆動軸を幅方向に調整する。駆動軸制御回路12の構成は特に限定されず既知の制御回路が適用できる、制御の安定は通常のフィードバック制御手法により実現することが可能である。
以下、搬送される板の巻きむらに起因する幅方向の位置ずれ、側端凹凸と、それらの幅方向位置調整について詳しく説明する。ここでは説明の容易のため、コイルから繰り出され搬送される圧延板においてコイルの巻きむらによる位置ずれのみを取り上げる。このようなコイルの端部を幅方向に位置が固定されたカッターで切断しようとすると、両側端部に余裕を設けて切断する必要が生じる。図5にその様子を示す。図5は繰り出されてトリミング装置に向けて搬送される圧延板1を上から見た状態を説明のためばらつき等を誇張して示した図である。図4に示した巻きむらdの最大幅ずれをもって圧延板1が蛇行した状態を表現している。この蛇行は一定周期で生じるとは限らないが、その板材の蛇行の山と山の平均的な間隔を図に示すように位置ずれの周期Pと呼ぶ。Pの具体的な求め方は、例えば、板の全長に亘って側端部のうねりの山と谷を測定して、山あるいは谷の数で全長を割ることにより求められる。
ここで、圧延板1の両側端部には側端凹凸2が点在し、この両側端部を裁断して、一定幅の良品板材を得ることがトリミングの目的である。両端の裁断幅lは側端凹凸の最大深さと必要な良品の幅、元の板幅を考慮して決定される。いま図5では、元の板幅をL1、裁断幅をk(両側同じ)として、本来得られる裁断後の板幅をL2とする。このためには裁断位置を元の板の巻きむらに追随して変化させ、図の点線Aのように裁断する必要がある。しかし、仮に裁断位置の制御を行わないとすれば、繰り出される圧延板1の幅方向の位置変動にかかわらず固定位置であるため、裁断位置は図では直線状になる。すなわち、L2の幅で裁断位置を設定してしまえば板の側端部を越える範囲になったり、両側端部の側端凹凸を含む裁断になってしまうため、適正な裁断ができない。よって、図の点線Bのようにしか裁断することができず、得られる板幅はL3が限度となってしまう。逆に、L2の幅が必要であれば、その分だけL1の大きな幅の広い材料を準備する必要がある。
具体的には例えば、切断後に必要な板幅を210mmとした場合に、両側端部の側端凹凸を考慮した切断幅を10mmとした場合、本来は230mmの圧延板を供給すればいいところ、巻きずれが±10mmあるとすれば、さらに左右に10mmの余裕を見込んだ250mmの圧延板を用意しなければならないことになる。ここで、サプライから繰り出された圧延板の両側端部位置から幅方向の位置を検出するセンサを設けて、その検出位置から幅方向の位置変動を測定し、それに従ってサプライ軸の左右位置を制御することとすれば、理想的には余裕の±10mmを必要とせずに230mm幅の圧延板を用意することで足りる。
以下、端部位置検出と裁断位置制御について説明する。巻きむらによる板幅方向の位置変動は、トリミング装置に供給された板の両側端部位置を検出し、その中央点を求めることで測定可能である。図6は両側端位置検出と裁断位置の関係を説明する図であり、図6(a)は両側端部に側端凹凸が無い場合、(b)と(c)は凹部が存在した場合であって、(a)と(b)は検出点毎に裁断位置を制御した場合、(c)は検出点の平均位置に基づき制御した場合を模式的に示す。図は裁断部21に供給されて矢印の方向に搬送される板の左側端101と右側端102を実線で示しており、その内側に裁断される線を点線で示している。両側端位置の検出が離散的に行われる状態を示しており、l1からl7が左側端の検出点、r1からr7が右側端の検出点、そしてm1からm7が両検出点それぞれの中央位置を測定した結果である。裁断位置は測定された中央位置から左右両側に一定幅の位置とする。1つ前に測定された中央位置に基づいて板を左右に動かすことにより、測定時間間隔だけの時間遅れを伴って裁断位置が板の幅方向変化に追随出来る。なお、図示はしていないが、裁断される板は図に示された前後に続いている。なお、図では板を基準に裁断位置を制御した状態を描いているので裁断線が左右に変化しており、裁断結果として得られる板が点線のような形をしているかのように見えるが、実際に裁断位置を固定して搬送される板の位置を制御する場合は、板自体を点線のように動かしながら裁断位置が固定なので、得られる板は両端部が直線で一定幅の形状である。
図6(a)は側端凹凸がない状態であり、裁断位置は検出間隔に応じて調整されつつ板の両側端101,102に追随している。図6(b)は、検出点l3とr4の部分にちょうど凹部が存在した場合を示す。このため、両側端の検出点の中央点として求まる板の中央位置m3とm4が影響を受け、裁断線が点線の如くにぶれてしまう。その結果r4の場所に存在した凹部を含む裁断を行うこととなり裁断後の製品不良となってしまう。すなわち、本来はコイルの巻きむらに起因する板全体の大きな幅方向の変化を測定して裁断位置を制御する目的であるにもかかわらず、側端凹凸に影響されて不適切な裁断位置制御になってしまうことを表している。
図6(c)は上記の不具合を解決する手段を説明する図である。図6(c)では、両側端の検出点のそれぞれ(例えばl2,r2)から中央点(例えばm2)を都度求めるのではなく、現在の検出点を含む前N点(ここではN=3)の検出点の平均として求まる中央点をaとして測定している。例えば、中央点a5は、検出点l5,l4,l3およびr5,r4,r3から求まる平均的な中央点である。このようにすることで、細かい個々の側端凹凸に直接影響されることなく、両側端から求まる包絡的な位置変化を測定することが可能となり、結果として巻きむらなどの周期の長い変動に追随した裁断部の位置制御が可能となる。
板材の繰り出される長さ方向に見た場合、巻きむらによる大きな変動周期(図5に示すP)に比べて、側端凹凸の周期は極めて短い。実際に幅200mm〜350mm程度のAZ91材マグネシウム合金圧延板の製造において、巻きむらの周期Pは数m(1〜5m)で変動幅3mm〜15mm程度であるのに対し、両側端には深さ5mm〜15mmの側端凹凸がピッチ5〜10mmで生じる。ここで圧延板の搬送速度は5〜15mm/分で行われる。巻きむらの補正の目的には補正対象の周期Pの1/5(少なくとも1/3)以下の細かい位置制御が好ましいため、Pの最小を1mと考えると200mm間隔で制御のための位置情報が必要となる。逆に細かすぎる制御は実際に制御対象がコイルの軸であり重量が大きいために動かすためのエネルギーが無駄に大きくなるなどの不利益がある。好ましい範囲はPの1/3〜1/20、より好ましくは1/5〜1/10である。前述の通り、例えば200mmに1点だけの側端部検出を行い、そのまま板の中央点を測定して制御すると、その場所に側端凹凸があった場合には不適切な裁断につながるため、複数点の位置を統計処理した代表的な測定点を求めるとよい。最も簡単には複数検出点の平均的中央点を移動平均で求めることが好ましい。
これらの統計処理は、センサから得られた両側位置のデータあるいはそれから求まる中央位置のデータを測定間隔毎の時系列データとしてメモリに記憶し、記憶された時系列データから複数のデータを随時読み出して算術演算を行うことにより可能である。検出点のN数は、上記制御のための位置情報の間隔の間に3点以上、好ましくは5点以上、なめらかな制御のためにさらに好ましくは10点以上が必要である。例えば200mm間隔で平均的中央点を求めるとすれば、10mm〜50mm間隔で位置検出することが好ましい。もちろん、単純な平均算出ではなく、最大値と最小値を除外して平均する手法や、1つ前の値との差分が予め定めたしきい値以上の場合は除外する手法など、なめらかな平均値を求めるための既知の手法を用いると好ましい。
なお、一つのセンサで測定した値の時系列データを扱うことに代えて、あるいは併用して、複数のセンサを圧延板の進行方向に一定で設けておき、同時に複数のデータを得ても良い。例えば5個のセンサを用いれば1つのセンサで時間をあけて5回計測した時系列データが一度に得られるので、短時間の検出や、より多くの検出点の統計処理を求める場合に好ましい。
なお、板幅検出装置は圧延板の幅方向の変位、言い換えれば板の中心位置を検出することが主目的であるため、必ずしも板の幅自体を測る装置でなくても位置が測定できれば良い。また必ずしも両側端部位置を検出する必要は無い。
図5に板幅検出装置に好ましく用いられる端部検出器を示す。この検出器は圧延板の側端に機械的にローラーを押し当てることにより、かかるローラーの位置変位を測定することで端部位置の変位を検知し(その意味で接触式センサ)、ローラーの変位を光学式センサで測定する(その意味で非接触センサ)ものである。ローラーの径と構成に特徴を持たせることで、端部の細かい割れ等の凹凸には左右されることなく平均的な板の幅方向の位置変化を検出できるように構成されている。
図5の構成を説明する。二本のローラー61a、61bが上下の連結部材62によって、それぞれ軸回転可能に連結されている。連結部材62間は垂直連結部材63に固定または回動可能に取り付けられている。また、垂直連結部材には遮蔽板65が取り付けられている。
図6は、かかる端部検出器の機能と板幅検出装置の機能を説明するための模式図である。図6(a)は圧延板の側端に押し当てられている端部検出器を板上方から眺めた様子を説明する図、図6(b)は同じく圧延板の進行方向から水平に眺めた図である。ここでは板幅検出の機能を併せて模式的に示している。これら両図を参照して以下説明する。圧延板1の端部を倣うようにローラー61aおよびローラー61bが端部にばね80によって押し当てられている。図では圧延板端部の凹凸2を模式的に表している。ばね80は端部検出器の垂直連結部材を圧延板方向に押しつける向きに作用するばねであればコイルばね、板ばね、その他の弾性部材が適用できる。垂直連結部材には遮蔽板65が固定されており、ローラーが圧延板端部に倣って変位すると、遮蔽板65も板幅方向に変位することになる。遮蔽板のかかる変位は、光線式検出器によって検出される。光線式検出器は光源部71と受光部72によって構成され、光源部71から発せられる平行光線の強度を受光部72で受光して計測する。図6(a)に点線で示す領域70が光源部71から受光部72への光線の範囲を示している。遮蔽板65はこの領域70を遮るように配置されており、遮蔽板の変位、すなわち圧延板端部を倣うローラーの変位に応じて遮られる領域の面積が変化することになる。したがって、受光される光強度の変化から圧延板端部位置の変化を検出できるのである。
ここで、板の幅が一定として扱って良い場合は、板の一方端にのみ板幅検出装置を置くことにより、検出した端部から一定である板幅の1/2の距離を取ることで板中心が求められるので、かかる板中心の変位に応じて圧延板のサプライを変化させれば常に中心を一定にした圧延板の繰り出しが可能である。一方、板幅自体も変動があり得る場合は、両端部にこの板幅検出装置を置くことで、中心位置の変位と併せて板幅の変化をも検出することが出来る。以上のような原理により、図5の端部検出器を用いた板幅検出装置が構成できる。
上記の端部検出器の特徴部分の一つはローラーの径である。対象とする圧延板の端部には切除されるべき多数の割れ等の凹凸が存在する。かかる凹凸は深さ数mm〜十数mm程度であり周期的ではないものの平均的には概ね5〜10mm程度のピッチで生じている。端部検出の目的は割れ等の凹凸の検出ではなく、板全体の幅方向の位置ずれ(板幅の中心位置)であり、かかる凹凸には左右されないことが好ましい。そのためローラーの直径を凹凸の平均的なピッチの2倍以上とすることで、細かい凹凸には追随せず板全体の幅方向位置変化を検出することが可能となる。ローラー径の上限は設備への取り付け、配置などを考慮して設計すればよいが、あまりに大きいとローラー自体の重量が大きくなり、そのためにローラーを板に押しつける力が大きくなる。板の側端を大きな力で押さえると、前述の割れ等の凹凸にさらに欠けが生じるなどの悪影響が生じる。そこで、ローラーの直径は凹凸ピッチの2倍から10倍、好ましくは2倍から5倍が良い。ここで凹凸のピッチは、板の所定長(想定されるピッチの50倍以上が好ましく、例えば1mとすればよい)に生じる凹部の底(谷)の数を測定し、所定長を凹部の底の数で割った値として求めれば良い。なお本例ではローラー直径は30mm、ローラー長さは40mmとした。
次に特徴部分の二つめは、ローラーを二本用いていることにある。ローラーが一本のみの場合はローラー径に比べて小さい凹凸にはローラー軸は追随しないものの、例えば凸部先端にはそのまま追随してしまう。しかしローラーを複数本用いてその連結部材の変位を検出することにより、複数本のローラーの平均的な変位を検出することが可能となる。したがって、より平均的包絡的な端部の変化を捉えることが可能となるのである。代表的にはローラーの数は二本として連結部材の中央位置変化を測定するのが簡便であり好ましい。なお本例ではローラー間隔を200mmとした。
1 マグネシウム合金圧延板
2 側端凹凸
10 サプライ装置
11 軸
12 駆動軸制御回路
20 トリミング装置
21 裁断部
22 板幅検出装置
23 位置測定回路
30 予熱装置
40 ローラーレベラー
41,42 ローラー
50 巻き取り装置
61a,61b ローラー
62 連結部材
63 垂直連結部材
65 遮蔽板
71 光源部
72 受光部
70 領域
80 ばね
101,102 側端

Claims (9)

  1. コイル形状のマグネシウム合金の圧延板を繰り出し可能に準備するサプライ準備工程と、
    前記繰り出された圧延板の側端部を連続的に裁断する端部除去工程を備えたマグネシウム合金圧延板のコイル成形方法であって、
    前記端部除去工程の前に、前記繰り出された圧延板の側端位置を検出し、検出された位置特定情報に基づき裁断する位置を制御する裁断位置制御工程を備えた
    ことを特徴とするマグネシウム合金圧延板のコイル成形方法。
  2. 前記裁断位置制御工程は、
    前記繰り出された圧延板の側端位置を、該圧延板の長手方向複数点の平均的位置として検出する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金圧延板のコイル成形方法。
  3. 前記裁断位置制御工程は、
    前記繰り出された圧延板の側端位置を一定時間間隔で測定し、該測定された側端位置から抽出される圧延板の位置データを時系列データとして記憶し、該記憶された時系列データから複数の位置データを統計処理することにより、前記繰り出された圧延板の位置を特定する位置特定情報を生成する工程を含む
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のマグネシウム合金圧延板のコイル成形方法。
  4. 前記裁断位置制御工程は、
    前記位置特定情報に基づき、前記繰り出される圧延板の繰り出し位置を圧延板の幅方向に移動させる方法により裁断する位置を制御する工程を含む
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のマグネシウム合金圧延板のコイル成形方法。
  5. 前記圧延板は、アルミニウムを5質量%以上含むマグネシウム合金である鋳造材にロール圧延を施して製造された圧延板であることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のマグネシウム合金圧延板のコイル成形方法。
  6. マグネシウム合金素材を溶解して双ロール鋳造により圧延用母材を連続鋳造する鋳造工程と、
    該圧延用母材をロール圧延してコイル状のマグネシウム合金圧延板とする圧延工程と、
    該マグネシウム合金圧延板を温間矯正する矯正工程と、
    該温間矯正されたマグネシウム合金圧延板を研磨する研磨工程と
    を有し、
    該矯正工程の前に、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のコイル成形方法による端部除去工程を含むことを特徴とするマグネシウム合金圧延板の製造方法。
  7. コイル状のマグネシウム合金の圧延板を繰り出し可能に保持するサプライ部と、
    該サプライ部から繰り出された圧延板の側端位置を計測する側端計測部と、
    該側端計測部の計測結果に基づき前記圧延板の裁断位置を制御する制御部と、
    前記圧延板の側端部を裁断する裁断部と
    を有するマグネシウム合金圧延板の成形機であって、
    該側端計測部は、
    前記圧延板の側端位置を、該圧延板の長手方向複数点の平均的位置として検出する側端位置平均化機構を有する
    ことを特徴とするマグネシウム合金圧延板の成形機。
  8. 前記側端位置平均化機構は、前記圧延板の側端部に外表面を接し、該側端部の板幅方向の形状変化に応じて該板幅方向に変位するように配置される1本または複数本のローラーを有する端部検出器と、該ローラーの前記板幅方向の変位を検出する変位検出器とを備えたことを特徴とする請求項7に記載のマグネシウム合金圧延板の成形機。
  9. 前記側端位置平均化機構は、前記圧延板の側端位置を一定時間間隔で測定し、該測定された側端位置から抽出される圧延板の位置データを時系列データとして記憶し、該記憶された時系列データから複数の位置データを統計処理することにより前記繰り出された圧延板の位置を位置特定情報として生成することを特徴とする請求項7に記載のマグネシウム合金圧延板の成形機。
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