JP2011104964A - 熱転写受像シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明による熱転写受像シートは、基材と、前記基材上に、多孔質層と、プライマー層と、受容層とを有し、前記受容層が、樹脂および親水性バインダーを含み、前記受容層における親水性バインダーの含有量が、樹脂および親水性バインダーの総固形分質量に対して、0.1質量%以下であり、前記多孔質層から前記受容層間を構成する全ての層が、水系塗布かつ同時重層塗布方式によって形成されるものである。本発明の組成を満たす熱転写受像シートを用いることで、塗工適性および離型性等の各種性能を維持しながら、印画物の画像濃度を向上することができる。
【選択図】なし
Description
基材と、前記基材上に、多孔質層と、プライマー層と、受容層とを有する熱転写受像シートであって、
前記受容層が、樹脂および親水性バインダーを含み、前記受容層における親水性バインダーの含有量が、樹脂および親水性バインダーの総固形分質量に対して、0.1質量%以下であり、
前記多孔質層から前記受容層間を構成する全ての層が、水系塗布かつ同時重層塗布方式によって形成される、熱転写受像シートを提供するものである。
本発明の熱転写受像シートは、基材と、該基材上に、多孔質層と、プライマー層と、受容層とをこの順に有するものである。好ましい態様では、熱転写受像シートは中間層や離型層等のその他の層をさらに有してもよい。
本発明における基材は、受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、過熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有する材料であることが好ましい。
本発明における多孔質層は、熱転写による画像形成時に加えられた熱が、基材等への伝熱によって損失されることを防止できる断熱性を有するものである。また、多孔質層は、中空粒子を含むものであり、親水性バインダーやその他の添加剤をさらに含んでもよい。好ましい態様によれば、多孔質層は2層以上からなるものであってもよい。多孔質層は、中空粒子を含むことにより、クッション性を備える。ここで、多孔質層のクッション性の程度は、熱転写受像シートの用途等に応じて適宜調整することができるものである。なお、多孔質層のクッション性の程度についても、例えば、多孔質層の厚みを変更することにより任意の範囲に調整することができる。多孔質層の厚みは、断熱性、クッション性等を所望の程度に調整できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、10μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、10μm〜50μmの範囲内であることがより好ましい。また、多孔質層の密度は、例えば0.1g/cm3〜0.8g/cm3の範囲内、なかでも0.2g/cm3〜0.7g/cm3の範囲内であることが好ましい。
本発明で用いる中空粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜5μmである。中空粒子の平均粒子径が、上記範囲程度であれば、断熱性およびクッション性を多孔質層に与えることができる。平均粒子径が小さすぎると、中空粒子の使用量が増えコストが高くなり、平均粒子径が大きすぎると、平滑な多孔質層を形成することが困難になるからである。また、中空粒子の平均中空率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30〜80%である。中空粒子の平均中空率が、上記範囲程度であれば、断熱性およびクッション性を多孔質層に与えることができる。さらに、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。また、上記中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。本発明においては、市販の中空粒子を用いることもでき、例えば、HP−1055、HP−91、およびローペイクSE(ロームアンドハース(株)製)、ならびにMH−5055(日本ゼオン)等が好ましい。
本発明におけるプライマー層は、多孔層と受容層とを良好に接着する役割を有するとともに、高温高湿度環境下における、染料の多孔質層側への移行を防止して画像保存性を向上させる機能を有するものである。好ましい態様では、プライマー層は、中空粒子、樹脂、および親水性バインダーを含むものであり、樹脂としては、アクリル系樹脂を含むものが好ましい。プライマー層の厚みとしては特に限定されるものではないが、例えば1μm〜40μmであることが好ましく、1μm〜20μmがより好ましく、1μm〜10μmがさらに好ましい。
本発明において、アクリル系樹脂とは、アクリル酸またはメタクリル酸のモノマーの重合体もしくはその誘導体、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのモノマーの重合体もしくはその誘導体、アクリル酸またはメタクリル酸のモノマーと他のモノマーとの共重合体もしくはその誘導体、およびアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのモノマーと他のモノマーとの共重合体もしくはその誘導体を含むものである。
本発明における受容層は、熱転写による画像形成時に熱転写インクシートから転写される昇華性染料を受容するとともに、受容した昇華性染料を受容層に保持することで、受容層の面に画像を形成かつ維持することができる。受容層の形成に用いる樹脂には、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル等のビニルポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、特に好ましいものは、アクリル系樹脂および/または塩化ビニル系樹脂である。また、受容層には、親水性バインダーが含まれてもよいが、少なければ少ない程良く、親水性バインダーの含有量は、樹脂および親水性バインダーの総固形分質量に対して、0.1質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以下である。受容層に含まれる親水性バインダーの量を上記程度まで低減することで、印画時の画像濃度を改善することができる。また、受容層の乾燥時の膜厚は0.5〜5.0μmであることが好ましい。乾燥時の膜厚がこの範囲内であれば、塗工適性をさらに向上することができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記の多孔質層、プライマー層、および受容層に含まれる親水性バインダーとしては、ゼラチンおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸およびその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、ならびにアラビアゴムを挙げることができ、特にゼラチンが好ましい。このような親水性バインダーを用いることで、各層の層間接着性を向上させることができる。特に、水系塗布および同時重層塗布方式により各層を形成する場合には、ゼラチンを用いることで、各塗工液の粘度を所望の範囲に調整し、所望の膜厚を得ることができる。本発明においては、市販のゼラチンを用いることもでき、例えば、RR、R、およびCLV(新田ゼラチン(株)製)等が好ましい。
本発明における受容層に含まれる離型剤としては、シリコーンオイル(反応硬化型シリコーンを含む)、リン酸エステル系可塑剤、およびフッ素系化合物を挙げることができ、特にシリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーン等の各種の変性シリコーンを用いることができる。具体的には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーン、アミド変性シリコーン等を用い、これらを混合したり、各種の反応を用いて重合させて用いることもできる。また、2種以上の離型剤を混合して用いてもよい。このような離型剤を用いることで、印画時に熱転写インクシートと熱転写受像シートの受容層との融着および印画感度低下などの問題を改善することができる。本発明においては、ポリエーテル変性シリコーン型の離型剤を用いることが特に好ましい。ポリエーテル変性シリコーン型の離型剤を2種以上用いてもよく、その他の離型剤と併用しても良い。本発明においては、市販の離型剤を用いることもでき、例えば、KF615AおよびKF352A(信越化学工業(株)製)、ならびにFZ−2101(東レダウコーニング(株)製)等が好ましい。
本発明においては、上記の離型剤を受容層に添加せず、受容層上に別途離型層として設けても良い。
本発明においては、多孔質層とプライマー層の間やプライマー層と受容層の間に少なくとも1層の中間層を設けてもよい。中間層を設けることで、耐溶剤、高温/高湿下での画像保存時の染料拡散バリア、層間接着、白色付与、基材のギラつき感/ムラの隠蔽、および帯電防止等の機能を付加するこができる。中間層の形成手段としては公知の手段を用いることができ、例えば、中間層に、蛍光増白剤、無機微粒子、中空微粒子、および導電性フィラーやポリアニリンスルホン酸のような有機導電材等を添加する方法が挙げられる。
本発明の熱転写受像シートの製造には、公知の製造方法を用いることができる。熱転写受像シートの各層の塗布には、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、およびカーテンコート等の公知の方法を用いることができ、スライドコートやカーテンコート等の複数の層を同時重層塗布できる方法が好ましい。本発明においては、多孔質層から受容層間を構成する全ての層を、水系塗布および同時重層塗布方式により形成することで、熱転写受像シートの各層の層間接着性の向上やコスト改善等の効果が得られる。
本発明の熱転写受像シートと共に用いる熱転写インクシートは、基材上に熱拡散性色素を含むインク層を有するものである。このようなものであれば、公知の熱転写インクシートでよく、特に限定されるものではない。
本発明の熱転写受像シートを用いる画像形成方法においては、熱転写受像シートと、熱拡散性色素を含有する熱転写インクシートとを重ね合わせて、記録信号に応じて加熱することにより、該熱転写インクシートが含有する熱拡散性色素を、該熱転写受像シートに転写することにより画像形成することできる。
熱転写受像シート1の作製
基材シートとしてRCペーパー(三菱製紙(株)製、商品名:STF−150)を用い、下記組成の、多孔質層1形成用塗工液、多孔質層2形成用塗工液、プライマー層形成用塗工液、および受容層形成用塗工液1を40℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ2μm、5μm、5μm、3μmとなるように塗布し、5℃にて30秒間冷却した後、50℃にて2分間乾燥し、熱転写受像シート1(層構成:基材/多孔質層1/多孔質層2/プライマー層/受容層)を得た。
・MH−5055(中空粒子、日本ゼオン(株)製、平均粒子径0.5μm)60重量部
・RR(ゼラチン、新田ゼラチン(株)製) 20重量部
・DM820(MBR、DIC(株)製) 20重量部
多孔質層2形成用塗工液の組成
・MH−5055(中空粒子、日本ゼオン(株)製、平均粒子径0.5μm)70重量部
・RR(ゼラチン、新田ゼラチン(株)製) 25重量部
・AP40(水性ポリウレタン、DIC(株)製) 5重量部
プライマー層形成用塗工液の組成
・MH−5055(中空粒子、日本ゼオン(株)製、平均粒子径0.5μm)70重量部
・RR(ゼラチン、新田ゼラチン(株)製) 15重量部
・NKJ300(メタクリル酸エステル・アクリル共重合体、新中村化学工業(株)製)
15重量部
受容層形成用塗工液1の組成
・VB900(塩化ビニル系樹脂、日信化学工業(株)製) 100重量部
・KF615A(シリコーン系離型剤、信越化学工業(株)製) 9重量部
この液に対し、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを0.2重量部添加した。
熱転写受像シート2の作製
受容層形成用塗工液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1−1と同様にして熱転写受像シート2を作製した。
受容層形成用塗工液2の組成
・VB900(塩化ビニル系樹脂、日信化学工業(株)製) 95重量部
・RR(ゼラチン、新田ゼラチン(株)製) 5重量部
・KF615A(シリコーン系離型剤、信越化学工業(株)製) 9重量部
この液に対し、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを0.2重量部添加した。
熱転写受像シート3の作製
受容層形成用塗工液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1−1と同様にして熱転写受像シート3を作製した。
受容層形成用塗工液3の組成
・エマルジョン1(スチレン−アクリル系樹脂、新中村化学工業(株)製)100重量部
・KF615A(シリコーン系離型剤、信越化学工業(株)製) 9重量部
この液に対し、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを0.2重量部添加した。
熱転写受像シート4の作製
受容層形成用塗工液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1−1と同様にして熱転写受像シート4を作製した。
受容層形成用塗工液4の組成
・エマルジョン1(スチレン−アクリル系樹脂、新中村化学工業(株)製) 90重量部
・RR(ゼラチン、新田ゼラチン(株)製) 10重量部
・KF615A(シリコーン系離型剤、信越化学工業(株)製) 9重量部
この液に対し、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを0.2重量部添加した。
熱転写受像シート5の作製
受容層形成用塗工液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1−1と同様にして熱転写受像シート5を作製した。
受容層形成用塗工液5の組成
・エマルジョン1(スチレン−アクリル系樹脂、新中村化学工業(株)製) 95重量部
・RR(ゼラチン、新田ゼラチン(株)製) 5重量部
・KF615A(シリコーン系離型剤、信越化学工業(株)製) 9重量部
この液に対し、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを0.2重量部添加した。
熱転写受像シート6の作製
受容層形成用塗工液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1−1と同様にして熱転写受像シート6を作製した。
受容層形成用塗工液6の組成
・エマルジョン1(スチレン−アクリル系樹脂、新中村化学工業(株)製) 98重量部
・RR(ゼラチン、新田ゼラチン(株)製) 2重量部
・KF615A(シリコーン系離型剤、信越化学工業(株)製) 9重量部
この液に対し、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを0.2重量部添加した。
上記で作製した熱転写受像シート1〜6について、(1)画像濃度評価、(2)塗工適正評価、および(3)離型性評価を行った。
昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS(株)製、型式:MEGAPIXELIII)にて、作製した熱転写受像シートに、RGB値が15×n(n=0〜17)の18階調グラデーション画像を印画し、光学濃度計(グレタグマクベス(株)製spectrolino)による光学反射濃度が最大となる値を測定した。
熱転写受像シートの同時重層塗布適性を評価した。
・評価基準
○:問題なく生産機にて塗工できた。
×:生産機にて塗工できなかった。
あらかじめヘッド温度が35℃となるまで暖めた昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS(株)製、型式:MEGAPIXELIII)にて、作製した熱転写受像シートに黒ベタ画像を印画し、その際に剥離音が聞こえるかどうかを官能評価した。
・評価基準
○:剥離音が聞こえなかった、あるいは機械音にまぎれる程度であった。
△:剥離音が聞こえた。
×:印画できず、リボンと受像紙の貼りつきが発生した。
Claims (4)
- 基材と、前記基材上に、多孔質層と、プライマー層と、受容層とを有する熱転写受像シートであって、
前記受容層が、樹脂および親水性バインダーを含み、前記受容層における親水性バインダーの含有量が、樹脂および親水性バインダーの総固形分質量に対して、0.1質量%以下である、熱転写受像シート。 - 前記多孔質層から前記受容層間を構成する全ての層が、水系塗布かつ同時重層塗布方式によって形成される、請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 前記親水性バインダーが、ゼラチンである、請求項1または2に記載の熱転写受像シート。
- 前記樹脂が、アクリル系樹脂および/または塩化ビニル系樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
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