JP2011104536A - 静電塗装装置および静電塗装装置の塗料汚れ防止方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】静電塗装装置による塗装工程の進行状況に応じて、ロボットアームの周囲に存在している塗料ミストの性状が変化する場合において、ロボットアームの塗料汚れを確実に防止することができる静電塗装装置および静電塗装装置の塗料汚れ防止方法を提供する。
【解決手段】車体2に対して塗料を噴霧する塗装ガン3と、塗装ガン3を車体2に対して移動させるロボットアーム4と、塗装ガン3に電圧を印加する高電圧発生装置3bと、ロボットアーム4に、高電圧発生装置3bにより印加する電圧と同じ極性の電圧を印加する高電圧発生装置9と、を備え、高電圧発生装置9は、ロボットアーム4に印加する電圧を変更する手段であるコントローラ9bを有する静電塗装装置1であって、コントローラ9bは、静電塗装装置1による一連の塗装工程におけるロボットアーム4の周囲に存在する塗料ミストの性状に応じて、ロボットアーム4に印加する電圧を変更する。
【選択図】図7
【解決手段】車体2に対して塗料を噴霧する塗装ガン3と、塗装ガン3を車体2に対して移動させるロボットアーム4と、塗装ガン3に電圧を印加する高電圧発生装置3bと、ロボットアーム4に、高電圧発生装置3bにより印加する電圧と同じ極性の電圧を印加する高電圧発生装置9と、を備え、高電圧発生装置9は、ロボットアーム4に印加する電圧を変更する手段であるコントローラ9bを有する静電塗装装置1であって、コントローラ9bは、静電塗装装置1による一連の塗装工程におけるロボットアーム4の周囲に存在する塗料ミストの性状に応じて、ロボットアーム4に印加する電圧を変更する。
【選択図】図7
Description
本発明は、静電塗装装置の技術に関し、より詳しくは、静電塗装装置の塗料汚れを防止するための技術に関する。
従来、静電塗装装置が備える塗装ガンやロボットアームに、塗料ミストが付着して汚れること(即ち、塗料汚れ)を防止するための技術が知られており、例えば、以下に示す特許文献1にその技術が開示され公知となっている。
特許文献1に開示された従来技術では、被塗装物に対して塗料を噴霧する塗装ガンと、塗装ガンを被塗装物に対して移動させるロボットアームを具備する静電塗装装置において、塗装ガンによって塗料に電圧を印加する構成であって、ロボットアームに対しても、塗料に印加する電圧と同極性の電圧を印加し、ロボットアームの周囲に塗料ミストと反発し合う電界バリアを形成することによって、空中を拡散してロボットアームに接近してくる塗料ミストがロボットアームに付着することを防止して、ロボットアームの塗料汚れを防止する構成としている。
空中を拡散してロボットアームに接近してくる塗料ミストは、塗装ガンから被塗装物に向けて噴霧される塗料の噴流の流れに沿って、一旦被塗装物に接近した後に被塗装物に塗着されずにオーバースプレーされ、被塗装物の周囲に間接的に拡散する塗料ミストが大半であり、この塗料ミストによるロボットアーム等の塗料汚れを防止することが、従来技術の主たる目的となっている。尚、このような一旦被塗装物に接近した後に被塗装物に塗着されずにオーバースプレーされ被塗装物の周囲に間接的に拡散する塗料ミストを、以後、間接塗料ミストと呼ぶ。
例えば、自動車の車体を塗装するための塗装ラインにおいて、従来は、車体の上面部を塗装する工程と、車体の側面部を塗装する工程が、塗装ラインの上流・下流に分かれて配置されることが多く、車体の上面部を塗装するための静電塗装装置と、車体の側面部を塗装するための静電塗装装置は、塗装工程ごとに離間して配置される場合が多かった。
このため、ある静電塗装装置の塗装ガンから噴霧された塗料ミストが、他の静電塗装装置に直接的に到達して、複数の静電塗装装置が互いに塗料を掛け合うような状況が生じることは少なかった。尚、このようなある静電塗装装置の塗装ガンから噴霧され他の静電塗装装置に直接的に到達する塗料ミストを、以後、直接塗料ミストと呼ぶ。
このため、ある静電塗装装置の塗装ガンから噴霧された塗料ミストが、他の静電塗装装置に直接的に到達して、複数の静電塗装装置が互いに塗料を掛け合うような状況が生じることは少なかった。尚、このようなある静電塗装装置の塗装ガンから噴霧され他の静電塗装装置に直接的に到達する塗料ミストを、以後、直接塗料ミストと呼ぶ。
一方、昨今では、塗装ラインのコンパクト化を図るニーズが高まっており、各部(上面部や側面部)を塗装するための各静電塗装装置を、より接近させて配置する場合が多くなってきた。
このため、複数の各静電塗装装置で互いに塗料を掛け合う状況が発生するようになり、静電塗装装置(特にロボットアーム)の直接塗料ミストによる塗料汚れが以前にも増して懸念される状況となっていた。
このため、複数の各静電塗装装置で互いに塗料を掛け合う状況が発生するようになり、静電塗装装置(特にロボットアーム)の直接塗料ミストによる塗料汚れが以前にも増して懸念される状況となっていた。
しかしながら、従来技術に係る塗料汚れの防止方法は、主に間接塗料ミストによる塗料汚れのみを防止するものであるため、静電塗装装置による塗装工程の途中で、直接塗料ミストと間接塗料ミストが入り混じりながら発生する場合には、静電塗装装置の塗料汚れを十分に防止することができないという問題があった。
本発明は、係る現状の課題を鑑みてなされたものであり、静電塗装装置による塗装工程の進行状況に応じて、ロボットアームの周囲に存在している塗料ミストの性状が変化する場合において、ロボットアームの塗料汚れを確実に防止することができる静電塗装装置および静電塗装装置の塗料汚れ防止方法を提供することを目的としている。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、被塗装物に対して塗料を噴霧する塗装ガンと、前記塗装ガンを前記被塗装物に対して移動させるロボットアームと、前記塗装ガンに電圧を印加する第一の電圧印加手段と、前記ロボットアームに、前記第一の電圧印加手段により前記塗装ガンに印加する電圧と同じ極性の電圧を印加する第二の電圧印加手段と、を備え、前記第二の電圧印加手段は、前記ロボットアームに印加する電圧を変更する手段たる印加電圧変更手段を有する静電塗装装置であって、前記印加電圧変更手段は、前記静電塗装装置による一連の塗装工程における前記ロボットアームの周囲に存在する塗料ミストの性状に応じて、前記ロボットアームに印加する電圧を変更するものである。
請求項2においては、前記印加電圧変更手段は、前記一連の塗装工程における前記静電塗装装置の動作に同期して、前記一連の塗装工程における前記ロボットアームの周囲に存在する塗料ミストの性状に適した電圧を決定するとともに、前記第二の電圧印加手段により前記ロボットアームに印加する電圧を変更する印加電圧変更プログラムが設定され、前記印加電圧変更プログラムに従って、前記印加電圧変更手段によって、前記ロボットアームに印加する電圧を、該ロボットアームの周囲に存在する塗料ミストの性状に適した電圧に変更するものである。
請求項3においては、被塗装物に対して塗料を噴霧する塗装ガンと、前記塗装ガンを前記被塗装物に対して移動させるロボットアームと、前記塗装ガンに電圧を印加する第一の電圧印加手段と、前記ロボットアームに、前記第一の電圧印加手段により前記塗装ガンに印加する電圧と同じ極性の電圧を印加する第二の電圧印加手段と、を備え、前記第二の電圧印加手段は、前記ロボットアームに印加する電圧を変更する手段たる印加電圧変更手段を有する静電塗装装置の塗料汚れ防止方法であって、前記印加電圧変更手段によって、前記静電塗装装置による一連の塗装工程における前記ロボットアームの周囲に存在する塗料ミストの性状に係る情報を取得する工程と、前記塗料ミストの性状に係る情報に基づいて、前記ロボットアームに印加する電圧を変更する工程と、を備えるものである。
請求項4においては、前記塗料ミストの性状に係る情報に基づいて、前記ロボットアームに印加する電圧を変更する工程は、前記印加電圧変更手段に対して、前記一連の塗装工程における前記静電塗装装置の動作に同期して、前記一連の塗装工程における前記ロボットアームの周囲に存在する塗料ミストの性状に適した電圧を決定するとともに、前記第二の電圧印加手段により前記ロボットアームに印加する電圧を変更する印加電圧変更プログラムを設定する工程と、前記印加電圧変更手段によって、前記印加電圧変更プログラムに従って、前記ロボットアームに印加する電圧を、該ロボットアームの周囲に存在する塗料ミストの性状に適した電圧に変更する工程と、を備えるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、ロボットアームに、該ロボットアームの周囲に存在している塗料ミストに対して最適な電圧を常に印加することができる。これにより、ロボットアームの塗料汚れを確実に防止することができる。
請求項2においては、静電塗装装置の装置構成を変更することなく、容易にロボットアームに、該ロボットアームの周囲に存在している塗料ミストに対して最適な電圧を常に印加することができる。
請求項3においては、ロボットアームに、該ロボットアームの周囲に存在している塗料ミストに対して最適な電圧を常に印加することができる。これにより、ロボットアームの塗料汚れを確実に防止することができる。
請求項4においては、静電塗装装置の装置構成を変更することなく、容易にロボットアームに、該ロボットアームの周囲に存在している塗料ミストに対して最適な電圧を常に印加することができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の一実施例に係る静電塗装装置の全体構成について、図1〜図3を用いて説明をする。尚、以下の説明において、塗装ガンやロボットアームに対する印加電圧は全て負の極性を有している。
まず始めに、本発明の一実施例に係る静電塗装装置の全体構成について、図1〜図3を用いて説明をする。尚、以下の説明において、塗装ガンやロボットアームに対する印加電圧は全て負の極性を有している。
図1に示す如く、本発明の一実施例に係る静電塗装装置1は、塗装対象物たる被塗装物(車体2)に対して、静電塗装を行うための装置であり、塗装ガン3、ロボットアーム4等を備えている。
尚、本実施例では、自動車の車体2を塗装する用途に用いられる静電塗装装置1を例示して説明を行うが、本発明に係る静電塗装装置の用途をこれに限定するものではない。
尚、本実施例では、自動車の車体2を塗装する用途に用いられる静電塗装装置1を例示して説明を行うが、本発明に係る静電塗装装置の用途をこれに限定するものではない。
図1および図2に示す如く、塗装ガン3は、被塗装物たる車体2に対して塗料を噴霧するための装置であり、ベルカップ3a、高電圧発生装置3b、リング電極3c等を備えている。
塗装ガン3は、ベルカップ3aを図示しないエアモータ等の駆動手段により回転させて、ベルカップ3aの内面に展延させた流体塗料を遠心力で微粒化させるとともに、高電圧発生装置3bによって、該塗装ガン3に負の静電高電圧を印加して、微粒化した塗料の粒子を負側に帯電させることができる回転霧化型の塗装装置である。
そして、負側に帯電した塗料と接地された(即ち、電位が0Vである)車体2との間で形成される静電電界を利用して、車体2に対する静電塗装を行うことができる。
そして、負側に帯電した塗料と接地された(即ち、電位が0Vである)車体2との間で形成される静電電界を利用して、車体2に対する静電塗装を行うことができる。
図3に示す如く、塗装ガン3は、高電圧発生装置3bにより発生させる負の静電高電圧によって、負側に帯電されるため、塗装ガン3の表面から離れる方向に勾配を有する静電界m1・m1・・・が形成される。そして、この静電界m1・m1・・・によって、塗装ガン3の周囲に、負側に帯電した塗料ミストと反発し合う電界バリアを形成し、この電界バリアの作用により、塗装ガン3の塗料汚れを防止している。
さらに、高電圧発生装置3bにより発生させる負の静電高電圧は、リング電極3cに対しても印加される。リング電極3cには、複数の針状電極3d・3d・・・が、該リング電極3cの半径方向外側に向けて突設されている。そして、各針状電極3d・3d・・・によって形成される静電界m2・m2・・・によって、リング電極3cの周囲に負側に帯電した塗料ミストと反発しあうより強力な電界バリアを形成し、この電界バリアの作用により、塗装ガン3の塗料汚れをより確実に防止する構成としている。
図1に示す如く、ロボットアーム4は、その下部において基台部7に回動可能に連結される上下アーム5と、該上下アーム5の上部にその後端部が回動可能に連結される水平アーム6とから構成され、前記上下アーム5、水平アーム6を各回動支点で回動させることで、前記水平アーム6の先端部に設けた塗装ガン3が、被塗装物(車体2)に対して移動されるように構成されている。
また、水平アーム6は、その先端部に塗装ガン3の連結筒3eが連結される第一アーム部6aと、その先端部に前記第一アーム部6aが連結される第二アーム部6bと、その先端部に前記第二アーム部6bが連結され、その後端部に前記上下アーム5が回動可能に連結される第三アーム部6cと、を有する構成としている。
また、第三アーム部6cは、前記上下アーム5を介して接地(アース接続)される構成としている。
また、第三アーム部6cは、前記上下アーム5を介して接地(アース接続)される構成としている。
また、図1および図2(a)に示す如く、第一アーム部6aには、二つの屈折部6d・6eが設けられ、各屈折部6d・6eにおいて第一アーム部6aが屈折動作される構成となっており、これにより、塗装ガン3が、図中における時計方向、又は、反時計方向に角度を変更することができる。
また、塗装ガン3を先端に取り付ける連結筒3eは、第一アーム部6aに対し、軸方向に回転駆動される構成となっており、これにより、塗装ガン3が、連結筒3eの軸を中心として角度を変更することができる。これにより、塗装ガン3の被塗装物(車体2)に対する角度が自由に設定できるように構成されている。
また、第一アーム部6aには、ロボットアーム4に対する電圧印加手段である高電圧発生装置9が内蔵され、第一アーム部6aの外周表面全体に、塗装ガン3と同極性の高電圧が印加される。
図1および図2(a)(b)に示す如く、高電圧発生装置9は、高電圧発生部9aと、コントローラ9bと、を備えている。
高電圧発生部9aは、所謂カスケードと呼ばれる昇圧回路を備えた部位であり、電源部によって生じさせる負極性の電圧を昇圧して、例えば、数十kV程度の負極性の高電圧を発生させることができる。
高電圧発生部9aは、所謂カスケードと呼ばれる昇圧回路を備えた部位であり、電源部によって生じさせる負極性の電圧を昇圧して、例えば、数十kV程度の負極性の高電圧を発生させることができる。
コントローラ9bは、高電圧発生部9aにおいて発生させる高電圧の電圧値をコントロールするための部位であり、コントローラ9bに設定しておくプログラムに従って、高電圧発生部9aによって発生する高電圧の電圧値を変更することができる。
そして、図3に示す如く、高電圧発生装置9により第一アーム部6aに電圧を印加することによって、第一アーム部6aの表面から離れる方向に勾配を有する静電界m3・m3・・・が形成される。そして、この静電界m3・m3・・・によって、第一アーム部6aの周囲に、負側に帯電した塗料ミストと反発し合う電界バリアを形成し、この電界バリアの作用により、第一アーム部6a(即ち、ロボットアーム4)の塗料汚れを防止している。
また、図1および図2(a)に示す如く、第一アーム部6aの外周には、高電圧発生装置3bにより塗料に印加される電圧と同極性の電圧が印加されるリング電極8(リング状の静電電極)がさらに設けられており、このリング電極8には、円錐形状の複数の針状電極8a・8a・・・が、リング電極8から半径方向外側へ向けて放射状に突設されている。
図3に示す如く、高電圧発生装置9により発生させる高電圧をリング電極8にも印加することによって、針状電極8a・8a・・・からは、リング電極8から離れる方向に勾配を有する静電界m4・m4・・・が形成される。
また、この静電界m4・m4・・・によって、第一アーム部6a(リング電極8)の周囲に、負側の帯電した塗料ミストと反発し合うより強力な電界バリアを形成し、この電界バリアの作用により、第一アーム部6a(即ち、ロボットアーム4)の塗料汚れをより確実に防止する構成としている。
また、この静電界m4・m4・・・によって、第一アーム部6a(リング電極8)の周囲に、負側の帯電した塗料ミストと反発し合うより強力な電界バリアを形成し、この電界バリアの作用により、第一アーム部6a(即ち、ロボットアーム4)の塗料汚れをより確実に防止する構成としている。
尚、本実施例では、ロボットアーム4にリング電極8を備える態様を例示しているが、本発明に係る静電塗装装置が備えるロボットアームは、必ずしもリング電極を備えていなくてもよい。
また、本実施例では、高電圧発生装置9を、ロボットアーム4内に内蔵している態様の静電塗装装置1を例示しているが、本発明に係る静電塗装装置の態様をこれに限定するものではなく、例えば、高電圧発生装置をロボットアームの外部に備える態様の静電塗装装置とすることも可能である。
また、本実施例では、高電圧発生装置9を、ロボットアーム4内に内蔵している態様の静電塗装装置1を例示しているが、本発明に係る静電塗装装置の態様をこれに限定するものではなく、例えば、高電圧発生装置をロボットアームの外部に備える態様の静電塗装装置とすることも可能である。
次に、塗装ラインにおける静電塗装装置の配置状況について、図4および図5を用いて説明をする。ここでは、図4に示すように、車体2・2・・・に対する塗装工程を実施するための塗装ライン10において、車体2の主に上面部を塗装するための静電塗装装置1Aと、車体2の主に側面部やハッチの裏面部を塗装するための静電塗装装置1Bと、が配置される場合を例示して説明をする。
図4に示す如く、各静電塗装装置1A・1Bは、車体2の上面部や側面部等を同時に塗装することができるように、接近して配置されており、静電塗装装置1Aから噴霧された塗料が、直接的に静電塗装装置1Bまで到達する可能性があるとともに、静電塗装装置1Bから噴霧された塗料が、直接的に静電塗装装置1Aまで到達する可能性がある。
このため、静電塗装装置1Bのロボットアーム4Bの周囲には、静電塗装装置1Aから噴霧され、直接的に静電塗装装置1Bに接近する直接塗料ミストXと、静電塗装装置1Bから車体2に向けて噴霧され、車体2に一旦接近してから間接的にロボットアーム4Bに接近する間接塗料ミストYと、が混在している。
また、静電塗装装置1Aのロボットアーム4Aの周囲には、静電塗装装置1Bから噴霧され、直接的に静電塗装装置1Bに接近する直接塗料ミストXと、静電塗装装置1Aから車体2に向けて噴霧され、車体2に一旦接近してから間接的にロボットアーム4Aに接近する間接塗料ミストYが混在している。
ここで、各静電塗装装置1A・1Bの離間距離が小さいほど、各ロボットアーム4A・4Bの周囲に存在する直接塗料ミストXが増加する傾向にあり、各静電塗装装置1A・1Bの離間距離が大きいほど、各ロボットアーム4A・4Bの周囲に存在する直接塗料ミストXが減少する傾向にある。また、各静電塗装装置1A・1Bの離間距離が一定距離以上になれば、各ロボットアーム4A・4Bの周囲に存在する直接塗料ミストXは存在しなくなる(あるいは考慮する必要がない程度に少なくなる)。
ここで、直接塗料ミストXおよび間接塗料ミストYの各特性について、図5および図6を用いて説明をする。
図5に示す如く、直接塗料ミストXは、例えば、静電塗装装置1Aから噴霧され、直接的に静電塗装装置1Bに接近するため、塗装ガン3の高電圧発生装置3bによって印加された静電荷(電子)を車体2によって奪われることなく静電塗装装置1Bの周囲に拡散し浮遊するため、印加された静電荷(電子)をほぼそのまま保持している。
一方、間接塗料ミストYは、図5に示すように、例えば、静電塗装装置1Bからハッチの裏面部に向けて噴霧され、車体2に一旦接近してから間接的にロボットアーム4に接近するため、塗装ガン3の高電圧発生装置3bによって印加された静電荷(電子)を車体2に奪われつつ、静電塗装装置1Bのロボットアーム4の周囲に拡散し浮遊するため、印加された静電荷(電子)に比して、間接塗料ミストYが保持している静電荷(電子)は減少している。
つまり、直接塗料ミストXと間接塗料ミストYは、拡散経路が異なるために帯電量が相異するという特性があり、直接塗料ミストXと間接塗料ミストYの静電荷(電子)の帯電量を比較すると、直接塗料ミストXの方が間接塗料ミストYに比して、帯電量が相対的に大きくなる傾向にある。
次に、直接塗料ミストXと間接塗料ミストYのそれぞれについて、静電塗装装置のロボットアームに対する印加電圧と、ロボットアームの汚れ面積(汚れ具合)との関係を求めた図6に示す実験結果に基づいて、各塗料ミストX・Yの特性を説明する。
まず、直接塗料ミストXに係る実験結果について、説明する。
図6に示す如く、本実験に用いられた直接塗料ミストXは、ロボットアームに対する印加電圧が−45kV付近である場合に汚れ面積比が最小となっている。また、印加電圧を−45kVよりも低く(即ち、0Vに近く)していくと、汚れ面積比が増大していき、印加電圧が0Vのときに汚れ面積比が最大となっている。この印加電圧が0Vである状況は、ロボットアームが接地されている状況に等しく、ロボットアームに対して積極的に静電塗装を行うのと同じ状況になるため、印加電圧が0Vのときに汚れ面積比が最大となるのは当然の結果と言える。
図6に示す如く、本実験に用いられた直接塗料ミストXは、ロボットアームに対する印加電圧が−45kV付近である場合に汚れ面積比が最小となっている。また、印加電圧を−45kVよりも低く(即ち、0Vに近く)していくと、汚れ面積比が増大していき、印加電圧が0Vのときに汚れ面積比が最大となっている。この印加電圧が0Vである状況は、ロボットアームが接地されている状況に等しく、ロボットアームに対して積極的に静電塗装を行うのと同じ状況になるため、印加電圧が0Vのときに汚れ面積比が最大となるのは当然の結果と言える。
また、印加電圧を−45kVよりも高く(即ち、より負側に大きく)していくと、それに伴って汚れ面積比も微増していく傾向が認められる。尚、ここで言う汚れ面積比とは、ロボットアームの表面上に所定面積の測定範囲を設定した場合における、当該測定範囲の面積に対する当該測定範囲における塗料の付着面積の割合を意味している。
つまり、直接塗料ミストXとロボットアームに対する印加電圧との関係は、ロボットアームに対する印加電圧が高すぎても低すぎても、直接塗料ミストXによる塗料汚れを防止する効果(以後、防汚効果と記載する)が低下する関係にあり、直接塗料ミストXの帯電量に応じた印加電圧の最適値が存在していることが判る。
そして、本実験に用いられた直接塗料ミストXに対しては、ロボットアームに対する印加電圧の最適値は−45kV付近であり、印加電圧を−45kV付近に設定すれば、直接塗料ミストXに対して、最も高い防汚効果が得られることが判る。
次に、間接塗料ミストYに係る実験結果について、説明する。
図6に示す如く、本実験に用いられた間接塗料ミストYは、ロボットアームに対する印加電圧が−15kV付近である場合に汚れ面積比が最小となっている。また、印加電圧を−15kVよりも低く(即ち、0Vに近く)していくと、汚れ面積比が増大している。
図6に示す如く、本実験に用いられた間接塗料ミストYは、ロボットアームに対する印加電圧が−15kV付近である場合に汚れ面積比が最小となっている。また、印加電圧を−15kVよりも低く(即ち、0Vに近く)していくと、汚れ面積比が増大している。
また、印加電圧を−15kVよりも高く(即ち、より負側に大きく)していくと、それに伴って汚れ面積比も増大していき、印加電圧が−120kVのとき(本実験における最も負側に大きい電圧の印加時)に汚れ面積比が最大となっている。
つまり、間接塗料ミストYとロボットアームに対する印加電圧との関係は、ロボットアームに対する印加電圧が高すぎても低すぎても、間接塗料ミストYに対する防汚効果が低下する関係にあり、間接塗料ミストYの帯電量に応じた印加電圧の最適値が存在していることが判る。
そして、本実験に用いた間接塗料ミストYに対しては、ロボットアームに対する印加電圧の最適値は−15kV付近であり、印加電圧を−15kV付近に設定すれば、間接塗料ミストYに対して、最も高い防汚効果が得られることが判る。
そして、このような直接塗料ミストXおよび間接塗料ミストYに係る各実験結果を総合すると、直接塗料ミストXの方が間接塗料ミストYに比して、帯電量が相対的に大きくなる傾向が認められることの裏付けができた。そして、直接塗料ミストXおよび間接塗料ミストYとでは、帯電量に応じて最も高い防汚効果が得られる印加電圧が決まることや、直接塗料ミストXと間接塗料ミストYとでは、最も高い防汚効果が得られる印加電圧が異なっていること、さらに、ロボットアームに対する印加電圧が適正でなければ、電界バリアによる防汚効果が低下すること等が判明した。
さらに、ロボットアームの周囲に、直接塗料ミストXと間接塗料ミストYが混在している場合には、双方の塗料ミストX・Yに対する防汚効果を考慮して、ロボットアームに対する印加電圧を−30kVに設定することによって、双方の塗料ミストX・Yに対して一定の防汚効果が得られることが判明した。
また、図5に示すように、車体2の外板部、内板部およびハッチの裏面部等は、それぞれ形状が異なっているため、各部を塗装部位とした場合における間接塗料ミストYの拡散状態(塗料ミストの車体2に対する接近距離、接近時間およびオーバースプレー量等)は、塗装部位に応じて異なってくる。
つまり、塗装部位に応じて、ロボットアーム4の周囲に存在している間接塗料ミストYの帯電量は変化する。
つまり、塗装部位に応じて、ロボットアーム4の周囲に存在している間接塗料ミストYの帯電量は変化する。
さらに、車体2の外板部、内板部およびハッチの裏面部等を塗装する場合における各塗装ガン3・3の動作は、プログラムに従って行われるため、各塗装部位における直接塗料ミストXの発生量は、塗装部位に応じて異なってくる。
つまり、塗装部位に応じて、ロボットアーム4の周囲に存在している直接塗料ミストXの性状(帯電量および存在の有無)は変化する。
つまり、塗装部位に応じて、ロボットアーム4の周囲に存在している直接塗料ミストXの性状(帯電量および存在の有無)は変化する。
即ち、ロボットアーム4の周囲に存在する各塗料ミストX・Yの性状(帯電量および存在の有無)は、各静電塗装装置1A・1Bの配置状況や、塗装工程の進行状況等に応じて様々に変化している。このため、各状況におけるロボットアーム4の周囲に存在する各塗料ミストX・Yの性状を把握した上で、ロボットアーム4の周囲に存在する塗料ミストの性状に応じた防汚対策を行わなければ、十分な防汚効果を確保することは困難であることが判った。
そこで、本発明に係る静電塗装装置および静電塗装装置の塗料汚れ防止方法では、ロボットアームの周囲に存在する塗料ミストの性状に合わせて最適な電圧をロボットアームに印加することにより、常に最適な防汚効果を確保して、ロボットアームに対する塗料汚れの改善を図るようにしている。
尚、本実施例では、ロボットアーム4の周囲に存在する塗料ミストの「性状」の意味を、塗料ミストの帯電量および塗料ミストの存在の有無を含む概念として規定している。
尚、本実施例では、ロボットアーム4の周囲に存在する塗料ミストの「性状」の意味を、塗料ミストの帯電量および塗料ミストの存在の有無を含む概念として規定している。
次に、本発明の一実施例に係る静電塗装装置の塗料汚れ防止方法について、図7および図8を用いて説明をする。ここでは、静電塗装装置から発生する塗料ミストが、図6を用いて説明した実験結果に示す各塗料ミストX・Yである場合を例示するものとし、直接塗料ミストXに対する印加電圧の最適値をV1(−45kv)と規定し、間接塗料ミストYに対する印加電圧の最適値をV2(−15kv)と規定している。また、各塗料ミストX・Yが混在している状況における印加電圧の最適値をV3(−30kv)と規定して、以下の説明を行う。
塗装工程では、形状が決まっている車体2に対して、静電塗装装置1の制御装置(図示せず)に予め設定しておく塗装プログラムに従って、ロボットアーム4による一連の塗装動作を制御し、塗装ガン3の変位および姿勢や、塗装ガン3による塗料の噴霧量等をコントロールすることによって、車体2に対する静電塗装が施す構成としている。
ここで、塗装部位(車体2)の形状が決まっており、かつ、各塗装ガン3・3の塗装動作(塗装プログラム)が決まっていれば、一連の塗装動作におけるロボットアーム4の周囲に存在する各塗料ミストX・Yの性状も決まってくる。このため、各塗料ミストX・Yの性状は、塗装プログラムと同期して、所定の規則性をもって変化する。
つまり、車体2に対する塗装工程では、塗装ライン10に配置される各静電塗装装置1・1・・・に対する塗装プログラムが決定されていれば、一連の塗装工程において各ロボットアーム4・4・・・の周囲に存在する塗料ミストの性状の変化が決定される。
つまり、車体2に対する塗装工程では、塗装ライン10に配置される各静電塗装装置1・1・・・に対する塗装プログラムが決定されていれば、一連の塗装工程において各ロボットアーム4・4・・・の周囲に存在する塗料ミストの性状の変化が決定される。
このため、決定した塗装プログラムに基づいて、車体2に対する一連の塗装動作におけるロボットアーム4の周囲に存在する各塗料ミストX・Yの性状の変化を実験やシミュレーション等により把握することができる。そして、把握結果に基づいて一連の塗装動作におけるロボットアーム4に対する印加電圧をコントロールすれば、常にロボットアーム4に対する塗料汚れの防止効果を最適に保持することができる。
具体的には、把握結果に基づいてどの印加電圧の設定値(即ち、各印加電圧V1〜V3)のどの値を選択するかと、各印加電圧V1〜V3を切り替えるタイミングと、を制御するプログラム(以下、印加電圧変更プログラムと呼ぶ)を高電圧発生装置9のコントローラ9bに設定しておくとともに、該印加電圧変更プログラムを塗装プログラムに同期して実行する。
本発明の一実施例に係る静電塗装装置の塗料汚れ防止方法では、具体的には、図8に示すような印加電圧変更プログラムを、コントローラ9bに設定しておく。そして、塗装工程の進行に同期して、印加電圧変更プログラムに従って、高電圧発生部9aによって発生させる印加電圧を変更することによって、塗装工程の各状況において、高電圧発生装置9によって、ロボットアーム4に対する最適な電圧を印加する構成としている。
尚、コントローラ9bに印加電圧変更プログラムを設定するには、まず一連の塗装工程において、各ロボットアーム4A・4Bの周囲に存在する各塗料ミストX・Yの性状の変化を予め実験やシミュレーション等によって把握しておく。そして、実験やシミュレーション等による把握結果に基づいて、塗装工程の各進行状況(各タイミング)における各ロボットアーム4A・4Bに対する最適な印加電圧を予め求めておく。
そして、予め求めておいた塗装工程の各進行状況(各タイミング)における各ロボットアーム4A・4Bに対する最適な印加電圧をコントローラ9bに設定しておくことによって、コントローラ9bに印加電圧変更プログラムが設定される。
そして、印加電圧変更プログラムに従うことによって、塗装工程の進行状況に同期して各ロボットアーム4A・4Bに対する最適な印加電圧を決定することができる。そして、塗装工程の各進行状況(各タイミング)において、コントローラ9bにおける印加電圧の設定値を決定した最適な印加電圧に変更することができる。尚、実際のロボットアーム4A・4Bの汚れ状況を確認しながら、印加電圧変更プログラムを適宜修正していくことも可能である。
このように、印加電圧V1〜V3を塗装工程の進行状況に応じて切り替えることで、ロボットアーム4に対して、塗装工程の進行状況に応じて、直接塗料ミストXに対する最適な防汚効果や間接塗料ミストYに対する最適な防汚効果、あるいは、直接塗料ミストXと間接塗料ミストYが混在している状況に最適な防汚効果を得ることが可能になり、常にロボットアーム4に対する塗料汚れの防止効果を最適に保持することができる。
尚、本実施例では、印加電圧をV1〜V3の3つの値から選択する構成としているが、本発明に係る印加電圧変更プログラムにおいて選択できる印加電圧の設定数をこれに限定するものではない。
尚、本実施例では、印加電圧をV1〜V3の3つの値から選択する構成としているが、本発明に係る印加電圧変更プログラムにおいて選択できる印加電圧の設定数をこれに限定するものではない。
即ち、本発明の一実施例に係る静電塗装装置1において、コントローラ9bは、一連の塗装工程における静電塗装装置1の動作に同期して、一連の塗装工程におけるロボットアーム4の周囲に存在する塗料ミストの性状に適した電圧を決定するとともに、高電圧発生装置9によりロボットアーム4に印加する電圧を変更する印加電圧変更プログラムが設定され、印加電圧変更プログラムに従って、コントローラ9bによって、ロボットアーム4に印加する電圧を、該ロボットアーム4の周囲に存在する塗料ミストの性状に適した電圧に変更するものである。
また、本発明の一実施例に係る静電塗装装置1の塗料汚れ防止方法は、塗料ミストの性状に係る情報に基づいて、ロボットアーム4に印加する電圧を変更する工程は、コントローラ9bに対して、一連の塗装工程における静電塗装装置1の動作に同期して、一連の塗装工程におけるロボットアーム4の周囲に存在する塗料ミストの性状に適した電圧を決定するとともに、高電圧発生装置9によりロボットアーム4に印加する電圧を変更する印加電圧変更プログラムを設定する工程と、コントローラ9bによって、印加電圧変更プログラムに従って、ロボットアーム4に印加する電圧を、該ロボットアーム4の周囲に存在する塗料ミストの性状に適した電圧に変更する工程と、を備えるものである。
このような構成により、静電塗装装置1の装置構成を変更することなく、容易にロボットアーム4に、該ロボットアーム4の周囲に存在している塗料ミストに対して最適な電圧を常に印加することができる。
このような構成により、静電塗装装置1の装置構成を変更することなく、容易にロボットアーム4に、該ロボットアーム4の周囲に存在している塗料ミストに対して最適な電圧を常に印加することができる。
次に、塗装ライン10上に接近して配置される静電塗装装置1A・1Bに、本発明の一実施例に係る静電塗装装置の汚れ防止方法を適用する場合を例示して、図7および図8を用いて説明する。
本実施例では、塗装ライン10上に配置される静電塗装装置1Aによって、車体2の外板の上面部を塗装し、静電塗装装置1Bによって、外板の側面部とハッチの裏面部を塗装する場合を想定している。
本実施例では、塗装ライン10上に配置される静電塗装装置1Aによって、車体2の外板の上面部を塗装し、静電塗装装置1Bによって、外板の側面部とハッチの裏面部を塗装する場合を想定している。
このような配置例の塗装ライン10において、図7(a)に示すような静電塗装装置1Bが備えるロボットアーム4Bの塗装ガン3によって、外板の側面部を塗装している塗装工程の進行状況では、ロボットアーム4Bの周囲には、静電塗装装置1Aが備えるロボットアーム4Aの塗装ガン3から噴霧される直接塗料ミストXが存在している。また、ロボットアーム4Bの周囲には、ロボットアーム4Bの塗装ガン3から噴霧される間接塗料ミストYも存在している。
このため、図7(a)に示すような塗装工程の進行状況においては、ロボットアーム4Bの周囲には、両塗料ミストX・Yが混在している状況にある。また、ロボットアーム4Aの周囲においても同様に、両塗料ミストX・Yが混在している。
このため、図7(a)に示すような塗装工程の進行状況においては、ロボットアーム4Bの周囲には、両塗料ミストX・Yが混在している状況にある。また、ロボットアーム4Aの周囲においても同様に、両塗料ミストX・Yが混在している。
このような状況では、図8(a)に示すように、コントローラ9bにおいて設定されるロボットアーム4Bに対する印加電圧の設定値が、印加電圧変更プログラムによって、両塗料ミストX・Yが混在している状況に最適な印加電圧V3に変更される。そして、高電圧発生装置9の高電圧発生部9aによって、印加電圧V3が発生され、ロボットアーム4Bに対して印加電圧V3が印加される。
また、図8(b)に示すように、コントローラ9bにおいて設定されるロボットアーム4Aに対する印加電圧の設定値も、印加電圧変更プログラムによって、両塗料ミストX・Yが混在している状況に最適な印加電圧V3に変更される。そして、高電圧発生装置9の高電圧発生部9aによって、印加電圧V3が発生され、ロボットアーム4Aに対しても印加電圧V3が印加される。
次に、このような状況から塗装工程が進行して、図7(b)に示すように、ロボットアーム4Bの塗装ガン3による噴霧が停止した状況では、ロボットアーム4Bの周囲には、ロボットアーム4Aの塗装ガン3によって噴霧された直接塗料ミストXのみが存在している状況となる。
このような状況では、図8(a)に示すように、コントローラ9bにおいて設定されるロボットアーム4Bに対する印加電圧の設定値が、印加電圧変更プログラムによって、直接塗料ミストXに対する最適値である印加電圧V1に変更される。そして、高電圧発生装置9の高電圧発生部9aによって、印加電圧V1が発生され、ロボットアーム4Bに対して印加電圧V1が印加される。
一方このとき、ロボットアーム4Aの周囲には、ロボットアーム4Aの塗装ガン3によって噴霧された間接塗料ミストYのみが存在している状況となる。
このような状況では、図8(b)に示すように、コントローラ9bにおいて設定されるロボットアーム4Aに対する印加電圧の設定値は、印加電圧変更プログラムによって、間接塗料ミストYに対する最適値である印加電圧V2に変更される。そして、高電圧発生装置9の高電圧発生部9aによって、印加電圧V2が発生され、ロボットアーム4Aに対して印加電圧V2が印加される。
このような状況では、図8(b)に示すように、コントローラ9bにおいて設定されるロボットアーム4Aに対する印加電圧の設定値は、印加電圧変更プログラムによって、間接塗料ミストYに対する最適値である印加電圧V2に変更される。そして、高電圧発生装置9の高電圧発生部9aによって、印加電圧V2が発生され、ロボットアーム4Aに対して印加電圧V2が印加される。
次に、さらに塗装工程が進行して、図7(c)に示すように、ロボットアーム4Bの塗装ガン3によって、ハッチの裏面部を塗装する工程に移行すると、各ロボットアーム4A・4Bの距離が離間するため、ロボットアーム4Bの周囲において、ロボットアーム4Aの塗装ガン3から噴霧される直接塗料ミストXが減少するとともに、ロボットアーム4B自身の塗装ガン3から噴霧される間接塗料ミストYが増加する。また、ロボットアーム4Aの周囲においても同様に、間接塗料ミストYが増加する。
このような状況では、図8(a)に示すように、コントローラ9bにおいて設定されるロボットアーム4Bに対する印加電圧の設定値が、印加電圧変更プログラムによって、間接塗料ミストYに対する最適値である印加電圧V2に変更される。そして、高電圧発生装置9の高電圧発生部9aによって、印加電圧V2が発生され、ロボットアーム4Bに対して印加電圧V2が印加される。
またこのとき、図8(b)に示すように、コントローラ9bにおいて設定されるロボットアーム4Aに対する印加電圧の設定値は、印加電圧変更プログラムによって、間接塗料ミストYに対する最適値である印加電圧V2に引き続き維持される。そして、高電圧発生装置9の高電圧発生部9aによって、印加電圧V2が発生され、ロボットアーム4Aに対して印加電圧V2が継続して印加される。
このように、本発明の一実施例に係る静電塗装装置およびその塗料汚れ防止方法では、各ロボットアーム4A・4Bは、その配置状態、塗装工程の進行状況、塗装ガン3による塗装部位の変化等によって、その周囲に存在している各塗料ミストX・Yの性状(即ち、各塗料ミストX・Yの帯電量および存在の有無)が変化するため、各ロボットアーム4A・4Bに対する高電圧発生装置9・9による印加電圧を、塗装工程の進行状況に応じて適宜V1〜V3に変更することによって、各状況において各ロボットアーム4A・4Bの周囲に存在する塗料ミストの性状に応じて常に最適化する構成としている。
即ち、本発明の一実施例に係る静電塗装装置1は、被塗装物たる車体2に対して塗料を噴霧する塗装ガン3と、塗装ガン3を車体2に対して移動させるロボットアーム4と、塗装ガン3に電圧を印加する第一の電圧印加手段たる高電圧発生装置3bと、ロボットアーム4に、高電圧発生装置3bにより塗装ガン3に印加する電圧と同じ負の極性の電圧を印加する第二の電圧印加手段たる高電圧発生装置9と、を備え、高電圧発生装置9は、ロボットアーム4に印加する電圧を変更する手段であるコントローラ9bを有する静電塗装装置1であって、コントローラ9bは、静電塗装装置1による一連の塗装工程におけるロボットアーム4の周囲に存在する塗料ミストの性状に応じて、ロボットアーム4に印加する電圧を変更するものである。
また、本発明の一実施例に係る静電塗装装置1の塗料汚れ防止方法は、コントローラ9bによって、静電塗装装置1による一連の塗装工程におけるロボットアーム4の周囲に存在する塗料ミストの性状に係る情報を取得する工程と、塗料ミストの性状に係る情報に基づいて、ロボットアーム4に印加する電圧を変更する工程と、を備えるものである。
このような構成により、ロボットアーム4に、該ロボットアーム4の周囲に存在している塗料ミストに対して最適な電圧を常に印加することができる。これにより、ロボットアーム4の塗料汚れを確実に防止することができる。
1 静電塗装装置
2 車体
3 塗装ガン
3b 高電圧発生装置
4 ロボットアーム
9 高電圧発生装置
9a 高電圧発生部
9b コントローラ
2 車体
3 塗装ガン
3b 高電圧発生装置
4 ロボットアーム
9 高電圧発生装置
9a 高電圧発生部
9b コントローラ
Claims (4)
- 被塗装物に対して塗料を噴霧する塗装ガンと、
前記塗装ガンを前記被塗装物に対して移動させるロボットアームと、
前記塗装ガンに電圧を印加する第一の電圧印加手段と、
前記ロボットアームに、前記第一の電圧印加手段により前記塗装ガンに印加する電圧と同じ極性の電圧を印加する第二の電圧印加手段と、
を備え、
前記第二の電圧印加手段は、
前記ロボットアームに印加する電圧を変更する手段たる印加電圧変更手段を有する静電塗装装置であって、
前記印加電圧変更手段は、
前記静電塗装装置による一連の塗装工程における前記ロボットアームの周囲に存在する塗料ミストの性状に応じて、前記ロボットアームに印加する電圧を変更する、
ことを特徴とする静電塗装装置。 - 前記印加電圧変更手段は、
前記一連の塗装工程における前記静電塗装装置の動作に同期して、前記一連の塗装工程における前記ロボットアームの周囲に存在する塗料ミストの性状に適した電圧を決定するとともに、前記第二の電圧印加手段により前記ロボットアームに印加する電圧を変更する印加電圧変更プログラムが設定され、
前記印加電圧変更プログラムに従って、
前記印加電圧変更手段によって、前記ロボットアームに印加する電圧を、該ロボットアームの周囲に存在する塗料ミストの性状に適した電圧に変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の静電塗装装置。 - 被塗装物に対して塗料を噴霧する塗装ガンと、
前記塗装ガンを前記被塗装物に対して移動させるロボットアームと、
前記塗装ガンに電圧を印加する第一の電圧印加手段と、
前記ロボットアームに、前記第一の電圧印加手段により前記塗装ガンに印加する電圧と同じ極性の電圧を印加する第二の電圧印加手段と、
を備え、
前記第二の電圧印加手段は、
前記ロボットアームに印加する電圧を変更する手段たる印加電圧変更手段を有する静電塗装装置の塗料汚れ防止方法であって、
前記印加電圧変更手段によって、前記静電塗装装置による一連の塗装工程における前記ロボットアームの周囲に存在する塗料ミストの性状に係る情報を取得する工程と、
前記塗料ミストの性状に係る情報に基づいて、前記ロボットアームに印加する電圧を変更する工程と、
を備える、
ことを特徴とする静電塗装装置の塗料汚れ防止方法。 - 前記塗料ミストの性状に係る情報に基づいて、前記ロボットアームに印加する電圧を変更する工程は、
前記印加電圧変更手段に対して、前記一連の塗装工程における前記静電塗装装置の動作に同期して、前記一連の塗装工程における前記ロボットアームの周囲に存在する塗料ミストの性状に適した電圧を決定するとともに、前記第二の電圧印加手段により前記ロボットアームに印加する電圧を変更する印加電圧変更プログラムを設定する工程と、
前記印加電圧変更手段によって、前記印加電圧変更プログラムに従って、前記ロボットアームに印加する電圧を、該ロボットアームの周囲に存在する塗料ミストの性状に適した電圧に変更する工程と、
を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の静電塗装装置の塗料汚れ防止方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009263164A JP2011104536A (ja) | 2009-11-18 | 2009-11-18 | 静電塗装装置および静電塗装装置の塗料汚れ防止方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009263164A JP2011104536A (ja) | 2009-11-18 | 2009-11-18 | 静電塗装装置および静電塗装装置の塗料汚れ防止方法 |
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ID=44228662
Family Applications (1)
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JP2009263164A Pending JP2011104536A (ja) | 2009-11-18 | 2009-11-18 | 静電塗装装置および静電塗装装置の塗料汚れ防止方法 |
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JP (1) | JP2011104536A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017001032A (ja) * | 2011-11-04 | 2017-01-05 | 旭硝子株式会社 | 膜付き基材の製造方法 |
-
2009
- 2009-11-18 JP JP2009263164A patent/JP2011104536A/ja active Pending
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