JP2011102224A - 吸水防止剤の施工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、吸水防止剤を土木建築構造物に塗装する際の問題点を解決すること、すなわち土木建築構造物の垂直面に適用しても揮発・飛散が抑制され、付着効率に優れ、塗りムラによる残留物による基材の汚損が少ないスプレー塗装方法を提供すること。
【解決手段】土木建築用多孔質材料表面に吸水防止層を形成する施工法において、液滴の体積メジアン径が0.3〜1.7mmで、アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物およびシリカからなる土木建築用吸水防止剤をスプレー塗装することを特徴とする施工法。
【選択図】なし

Description

本発明は,土木建築構造物の改質工法に係り、詳しくは、吸水防止剤をスプレーすることにより、コンクリート基材表層部に吸水防止層を形成する工法に関する。
シラン化合物やポリシロキサンなどの有機ケイ素化合物を各種の建材に塗布することにより、建材表面を疎水性とし、建材内部への水の浸透を抑制することは従来から知られている。対象となる建材はコンクリート、モルタル、軽量気泡コンクリート、レンガなどの無機の多孔質材料であり、多孔質材料の細孔に上記化合物が浸透して表層を疎水化することにより、これら建材の劣化・老朽化が抑制される。更に撥水性も付与されることで埃の付着、カビの発生が抑制され汚れを付きにくくするという効果もある。特に土木建築構造物基材に使用されるコンクリートに塗布した場合、コンクリート表面の細孔から基材に浸透して細孔の内面に吸水防止層を形成するため、細孔を遮蔽することなく水蒸気の通気性が維持されることにより、建材内の水分の蒸発を妨げず、かつ、水分の浸透を防止することによって中性化の進行による鉄筋のさび・膨張による剥離などの劣化を抑制する効果がある。
これらの吸水防止剤は、橋梁、道路、トンネルなどの大規模な土木建築構造物に適用されることが多いため施工スピードが速いスプレー塗装が一般的である。しかしながら、噴霧液の揮発及び飛散により、作業環境の臭い、基材表面への付着効率の低下が問題となっており、スプレー塗装が可能な組成物としてはすでに各種の提案がされてきた。
例えば、特許文献1ではアルキルアルコキシシランおよびポリオルガノシロキサンを有効成分とし且つ該有効成分を水系媒体中に75重量%以上の量で含有するシラン・シロキサン系クリーム状の組成物、特許文献2ではこのシラン・シロキサン系撥水材を一回塗りまたは重ね塗りでコンクリート表層部にシリコーン系の含浸塗膜を形成することを特徴とするコンクリートの改質工法が開示されている。これらは水系であるため、シラン類の揮発が少ないが、エアスプレー塗装ではノズル内圧によりクリームが破壊され、シラン・シロキサンと水の低粘度の液体に分離し、基材表面に液だれ及び塗りムラが発生し、シラン・シロキサン全量が基材の内部に浸透しないことがある。
また、特許文献3では、アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物と無機鉱物、特にベントナイト、及び極性溶媒からなる吸水防止剤を用いると、アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物の揮発を抑えられ、ほぼ全量が基材の内部に浸透し、基材表層部にアルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物の深い浸透層が形成され、長期にわたって吸水防止性能を維持される吸水防止剤が開示されている。しかしながら、この吸水防止剤は、ダイラタンシー特性を有するためスプレー塗装ではノズル内のせん断速度の増加により増粘し、ノズル詰まりや塗りムラが発生し、さらに揮発・飛散により付着効率が低下することがある。また、無機好物が基材の表面に残留することによる着色、更には、無機鉱物の除去は容易ではない。
上記の問題を解決するため、特許文献4では、アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物にシリカを組み合わせることにより土木建築構造物の垂直面に適用しても液だれが抑えられ、優れた浸透性を有し、表面撥水性に優れ、乾燥後基材表面上の残留物の除去が容易な吸水防止剤組成物が開示されている。この吸水防止剤をスプレー塗装する場合、水を含有しないためノズル内圧による分離が発生しない。また、チキソトロピー特性により、ノズル内では粘度が低下するためノズル詰まりや塗りムラが発生せず、基材に付着すると増粘し、液だれしない点で優れているが、揮発性のアルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物を含有するため、スプレー塗装の場合、周囲が臭ったり、飛散により付着効率が低下することがある。
特開平10−81824号公報 特許4338908号公報 特開2003−221576号公報 特開2009−35704号公報
本発明の課題は、特許文献4で開示されている吸水防止剤を土木建築構造物に適用する際の問題点を解決すること、すなわちアルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物及びシリカからなる吸水防止剤を、土木建築用多孔質材料表面に適用する際、揮発・飛散が抑制され、付着効率に優れた、スプレー塗装方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために、塗装条件について鋭意研究を重ねた結果、噴霧液を水とした場合の液滴径が特定の範囲になるようノズル径を選定かつ圧力を調整した後、アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物にシリカを組み合わせた吸水防止剤をスプレー塗装することにより、課題が解決されることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち本発明は、
[1]土木建築用多孔質材料表面にアルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物(A)およびシリカ(B)からなる土木建築用吸水防止剤をスプレー塗装することにより吸水防止層を形成する施工法において、水を噴霧液とした場合に液滴の体積メジアン径が0.3〜1.7mmとなる条件でスプレー塗装することを特徴とする施工法。
[2]ノズルチップ口径が0.4〜0.6mmのエアレススプレーガンを用いてスプレー塗装する[1]記載の施工法。
[3]吸水防止剤のアルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物(A)のアルキルアルコキシシランが、一般式(1)で表される
Si(OR4−X (1)
[式中、Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基または水素原子、Xは1または2の整数][1]または[2]のいずれかに記載の施工法。
[4]吸水防止剤のシリカ(B)が乾式シリカである[1]ないし[3]のいずれかに記載の施工法。
[5]吸水防止剤が、更に、シロキサンユニットの平均組成が式(2)で表される、
SiO(4−a−b)/2 (2)
[式中、Rは、O、N、SまたはP原子のいずれか一種以上を含む基で置換され、ハロゲン原子で置換されていてもよい、同一または異なっていてもよい炭素数1〜20の1価の炭化水素基、あるいはヒドロキシル基である。Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基である。aは0.001〜1.0、bは0.9〜2.4で、a+bは1.0〜2.5である。]変性シリコーン(C)を含む[1]ないし[4]のいずれかに記載の施工法。
[6]土木建築用多孔質材料がコンクリートでありその水セメント比が0.5以下である[1]ないし[5]のいずれかに記載の施工法。
基材表層部にスプレー塗装したアルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物及びシリカからなる土木建築用吸水防止剤が、液ダレせず、塗りムラなく、飛散・揮発による損失なく付着し、ほぼ全量が基材の内部に浸透し深い吸水防止層が形成される。
以下、本願発明について具体的に説明する。
本発明で使用する土木建築用吸水防止剤に使用されるアルコキシシラン(A)は一般式(1)で表わされるものである。
Si(OR4−X (1)
式(1)中のRは同一または異なっていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基または水素原子、Xは1または2の整数である。式(1)中のRの例は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等であって、これらの一種または2種以上であってもよい。これらのアルキル基の中では、炭素数6ないし10のアルキル基が好ましい。
式(1)中のRの例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基のようなアルキル基であり、分子中で同一または異なっていてもよい。これらのなかでも好ましいRは炭素数1または2のアルキル基である。
このようなアルキルアルコキシシランの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエ
トキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルメチルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
中でも、式(1)中のRで示されるアルキル基の炭素数が6以上のヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランが好適に用いられる。これらのアルキルアルコキシシランは、部分縮合物または混合物として用いることもできる。
本発明で使用する吸水防止剤中のシリカ(B)は当業者には公知の方法により製造されたものが使用できる。例えばケイ酸ソーダと鉱酸をアルカリ側で反応させろ過しやすいシリカを析出させる沈降法により合成される湿式シリカ、気化させた四塩化ケイ素と水素を混合させたものを1000〜1200℃以上にて空気中で燃焼させ10nm程度の非常に微細な粒子を得る燃焼法により合成される乾式シリカ、乾式シリカを疎水化表面処理剤および水蒸気を不活性のキャリアーガスとともに約400℃に加熱し、乾式シリカ表面の親水性であるシラノール基と疎水化表面処理剤を反応させ合成される疎水性乾式シリカ等が挙げられる。疎水化表面処理剤としてはオルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等があげられる。本発明において、シリカは乾式シリカであることが好ましく、特に疎水性乾式シリカが好適に用いられる。これらのシリカは1種単独でも2種以上併用してもよい。
シリカ(B)成分は、アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物(A)成分100重量部に対して0.5〜25重量部であることが必要であり、好ましくは2〜10重量部である。0.5重量部未満では、シリカ添加の効果が十分でないため液だれすることにより、十分な深さの吸水防止層が形成されず、表面撥水性に劣る。また25重量部より多くすると、吸水防止剤組成物の粘度が高すぎて塗布の作業性が劣り、また基材表面に多量の残留物が固着する欠点が生じる。
本発明で使用する吸水防止剤は、さらに、粘度調整剤として極性基を有するポリオルガノシロキサン(C)、いわゆる変性シリコーンを用いてもよい。この極性基を有するポリオルガノシロキサンは、そのシロキサンユニットの平均組成が、一般式(2)
SiO(4−a−b)/2 (2)
で表されるポリオルガノポリシロキサンである。式(2)中のRは、O、N、SまたはP原子のいずれか一種以上を含む基で置換され、ハロゲン原子で置換されていてもよい、同一または異なっていてもよい炭素数1〜20の1価の炭化水素基、あるいはヒドロキシル基である。aは0.001〜1.0、bは0.9〜2.4で、a+bは1.0〜2.5である。本発明で使用する極性基を有するポリオルガノシロキサン(C)成分は、アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物(A)成分の100重量部に対して、0.1〜10重量部用いることができる。
の例としては、極性基を構造中に含有する炭化水素基が挙げられる。Rを構成するO、N、SまたはP原子のいずれか一種以上を含む極性基の例としては、メチルアクリレート基、アクリレート基、エポキシ基(グリシジル基)、アミノ基、アミノアルキル基、ヒドロキシアミノ基、カルボニル基、ジカルボニル基、酸無水物基、アルデヒド基、イソシアネート基、メルカプト基、アルキルメルカプト基、ポリオキシアルキレン基、ホルムアミド基、アセトアミド基、シアノ基、アミド基、イミド基、水酸基、オキサゾリン基等をあげることができる。Rを構成する炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基などのアラルキル基;これらの炭化水素基中の水素原子の一部がハロゲン原子によって置換されたクロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、クロロフェニル基、ジブロモフェニル基、テトラクロロフェニル基、ジフルオロフェニル基などのハロゲン置換炭化水素基等が挙げられる。Rは分子中で同一であっても、異なっていてもよい。Rの好ましい具体例として、アミノプロピル基、N−アミノエチル−アミノプロピル基、メルカプトプロピル基、メチルアクリレートプロピル基、ポリオキシエチレンプロピル基、ポリキシエチレンポリオキシプロピレンプロピル基をあげることができる。
本発明の施工法であるスプレー塗装方法は、土木建築構造物のような大面積を迅速に塗装する方法であって、エアスプレーガンを用いるエアスプレー方式(吸上式)と、エアレススプレーガンを用いるエアレススプレー方式(圧送式)が一般的である。
エアスプレーガンは日本工業規格のJISとして定められていて、このうち吸上げ式のエアスプレーは、塗料容器がスプレーガンの下に取り付けられ、塗料がスプレーガンから噴出する空気によって生じる負圧によって吸い上げられた液体状の塗料をエアスプレーガン先端のエアキャップから噴出された圧送エアにより霧状にして吐出させて塗装する方式である。一方、エアレススプレー方式(圧送式)は、プランジャーポンプ等の高圧ポンプで加圧・圧送された塗料をエアレススプレーガン先端のノズルチップの吐出口(小口径のオリフィス)
から扇形状に噴出させ、塗料が空気に衝突することによって霧状になることを利用して塗装を行う方式である。
上記の方式のうち、エアスプレー方式は、エアレススプレー方式に比較して、構成が簡単で扱いやすいという利点があるが、塗料を霧化させることに利用する空気により、被塗物に付着しないで飛散する塗料の量が多く、塗着効率が悪い傾向にある。一方、エアレススプレー方式は、圧送空気を使わずに塗料を霧化する方式であるため、エアスプレー方式に比べて付着効率が良いという利点があるが、塗料を圧送するための高圧ポンプを必要とし、高圧の塗料を扱うため作業上危険を伴うという欠点がある。
本発明の施工法はエアスプレーとエアレススプレー塗装いずれでも適用可能であるが、揮発・飛散の抑制および付着効率に優れたエアレススプレーの使用が好ましい。
本発明では、水が噴霧液の場合の液滴の体積メジアン径が0.3mmから1.7mmとなるような条件で前記の吸水防止剤をスプレー塗装することを必要とする。液滴の体積メジアン径が0.3mm未満ではその液滴の分布からミスト状の液滴の比率が高くなり好ましくない。一方、1.7mmより大きいと、大きい液滴を含むため垂直面、天井面に塗装する際、液だれが起こるために好ましくない。水で測定した場合の体積メジアン径の好ましい範囲は0.4〜1.4mmである。
液滴径の測定法には、
大気中を落下する液滴にレーザー光線を照射し非接触で高精度に直径を測定する方法、落下する液滴に向けて高性能ストロボをフラッシュさせその対抗位置から液滴をCCDカメラで撮影し画像解析により求める方法等が知られているが、吸水防止剤で使用されているアルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物は揮発性が高いため測定が困難である。そのため、本発明では揮発性の低い水を噴霧液としその液滴径を測定して、その条件を適用することによる。
上記の特定の範囲の液滴径を得るために最適なスプレーガンのノズル口径は、エアレススプレーの場合に、0.4から0.6mmである。ノズル口径が0.4mm未満では、噴霧液が吸水防止剤の場合ノズル詰まりが発生する。一方、ノズル口径が0.6mmより大きいと、噴霧液が吸水防止剤の場合塗りムラや液だれが起きる原因となる。
本発明の施工法は、土木建築構造物基材、特にコンクリート、モルタル、軽量気泡コンクリート、レンガなどのような無機の多孔質建材に対して適用される。乾燥方法としては、室温下に放置して乾燥させても良いし、天日乾燥、加熱乾燥によっても良い。
また、本発明の施工法では吸水防止剤の土木建築構造物基材に対する塗布量は通常は200〜500g/mであるが特に限定されるものではない。また、一度の塗装で所要量を塗布することが可能だが、重ね塗りすることもできる。
なお、本発明の施工法は、すでに設置されている土木建築構造物基材のコンクリート面に用いるときに特にその効果を発揮する。好適に用いられる土木建築構造物基材としては、現場打設のものだけでなく、工場やヤードで製作したプレキャストコンクリートの製品・部材等も含まれるが、特に緻密な多孔質材料、すなわち水セメント比0.5以下のコンクリートに対し効果を発揮する。
本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例における 吸水防止剤の調製方法、モルタル供試体、液滴径の測定方法、飛散の評価方法、塗りムラの評価方法、ノズル詰まりの評価方法は以下のとおりである。
(吸水防止剤の調製方法)
イソオクチルトリエトキシシラン94重量部、疎水性乾式シリカ(商品名;WACKER HDK H30、Wacker Chemie AG社製)6重量部をホモミキサーを用いて、高速で撹拌混合して本発明の吸水防止剤を得た。得られた吸水防止剤は半透明のペースト状で、ウエルズ−ブルックフィールド・コーン/プレート粘度計(DVツープラスプロ)により25℃のせん断速度4s−1の粘度は1100mPa・sであった。
(モルタル供試体)
JIS R5201に準じたJISモルタル(210×210×20mm)を供試体として用いた。
(液滴径の測定方法)
噴霧液を25℃の水としてスプレー塗装し、株式会社 日本レーザー社製、画像解析式粒子径分布測定システム「VisiSizer」により、液滴の体積メジアン径を測定した。
(飛散の評価方法)
噴霧液を25℃の吸水防止剤としてスプレー塗装し、塗装箇所以外の飛散・浮遊を目視で観察した。
(塗りムラの評価方法)
噴霧液を25℃の吸水防止剤としてスプレー塗装した直後のモルタル供試体表面に付着したシリカの塗りムラを目視で観察した。
(ノズル詰まりの評価方法)
噴霧液を25℃の吸水防止剤として15分間連続スプレー塗装し、ノズルの詰まりが生じるまでの時間を測定した。
[実施例1]
エアレススプレー機「スーパー60L」(精和産業(株)社製)に、ノズルチップ口径0.41mmの扇形ノズルチップ及び噴霧液に水を用いて液滴の体積メジアン径が0.3mmになるようスプレー圧力を調整した。次に、噴霧液に吸水防止剤を用いて、上記と同じ口径のノズルチップ及び調整したスプレー圧力で、モルタル供試体に塗布量が約200g/mになるようスプレー塗装した。吸水防止剤の飛散、塗りムラ及びノズル詰まりの評価結果を表1に示す。
[実施例2]
噴霧液に水を用いた液滴の体積メジアン径が1.7mmになるようスプレー圧力を調整した以外は、実施例1と同様に吸水防止剤をスプレー塗装した。吸水防止剤の飛散、塗りムラ及びノズル詰まりの評価結果を表1に示す。
[実施例3]
ノズルチップ口径0.58mmの扇形ノズルチップを用いた以外は、噴霧液に水を用いた液滴の体積メジアン径が0.3mmになるようスプレー圧力を調整して、実施例1と同様に吸水防止剤をスプレー塗装した。吸水防止剤の飛散、塗りムラ及びノズル詰まりの評価結果を表1に示す。
[実施例4]
ノズルチップ口径0.58mmの扇形ノズルチップを用い、噴霧液に水を用いた液滴の体積メジアン径が1.7mmになるようスプレー圧力を調整した以外は、実施例1と同様に吸水防止剤をスプレー塗装した。吸水防止剤の飛散、塗りムラ及びノズル詰まりの評価結果を表1に示す。
[比較例1]
ノズルチップ口径0.41mmの扇形ノズルチップを用い、噴霧液に水を用いた液滴の体積メジアン径が0.2mmになるようスプレー圧力を調整した以外は、実施例1と同様に吸水防止剤をスプレー塗装した。吸水防止剤の飛散、塗りムラ及びノズル詰まりの評価結果を表1に示す。
[比較例2]
ノズルチップ口径0.58mmの扇形ノズルチップを用い、噴霧液に水を用いた液滴の体積メジアン径が2.0mmになるようスプレー圧力を調整した以外は、実施例1と同様に吸水防止剤をスプレー塗装した。吸水防止剤の飛散、塗りムラ及びノズル詰まりの評価結果を表1に示す。
[比較例3]
ノズルチップ口径0.38mmの扇形ノズルチップを用いた以外は、噴霧液に水を用いた液滴の体積メジアン径が0.3mmになるようスプレー圧力を調整した以外は、実施例1と同様に吸水防止剤をスプレー塗装した。吸水防止剤の飛散、塗りムラ及びノズル詰まりの評価結果を表1に示す。
[比較例4]
ノズルチップ口径0.66mmの扇形ノズルチップを用いた以外は、噴霧液に水を用いた液滴の体積メジアン径が1.7mmになるようスプレー圧力を調整した以外は、実施例1と同様に吸水防止剤をスプレー塗装した。吸水防止剤の飛散、塗りムラ及びノズル詰まりの評価結果を表1に示す。
本発明の施工法で吸水防止剤組成物を土木建築構造物基材の垂直面に適用すると、液ダレせず、飛散・揮発による損失なく、塗りムラなく、ほぼ全量が基材の内部に浸透し深い吸水防止層が形成される。さらに短時間で施工でき、周囲の臭いも少ないという効果があり、産業上極めて有用である。

Claims (6)

  1. 土木建築用多孔質材料表面にアルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物(A)およびシリカ(B)からなる土木建築用吸水防止剤をスプレー塗装することにより吸水防止層を形成する施工法において、水を噴霧液とした場合に液滴の体積メジアン径が0.3〜1.7mmとなる条件でスプレー塗装することを特徴とする施工法。
  2. ノズルチップ口径が0.4〜0.6mmのエアレススプレーガンを用いてスプレー塗装する請求項1記載の施工法。
  3. 吸水防止剤のアルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物(A)のアルキルアルコキシシランが、一般式(1)で表される
    Si(OR4−X (1)
    [式中、Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基または水素原子、Xは1または2の整数]請求項1または請求項2のいずれかに記載の施工法。
  4. 吸水防止剤のシリカ(B)が乾式シリカである請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の施工法。
  5. 吸水防止剤が、更に、シロキサンユニットの平均組成が式(2)で表される、
    SiO(4−a−b)/2 (2)
    [式中、Rは、O、N、SまたはP原子のいずれか一種以上を含む基で置換され、ハロゲン原子で置換されていてもよい、同一または異なっていてもよい炭素数1〜20の1価の炭化水素基、あるいはヒドロキシル基である。Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基である。aは0.001〜1.0、bは0.9〜2.4で、a+bは1.0〜2.5である。]変性シリコーン(C)を含む請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の施工法。
  6. 土木建築用多孔質材料がコンクリートでありその水セメント比が0.5以下である請求項1ない請求項5のいずれかに記載の施工法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104030727A (zh) * 2014-06-09 2014-09-10 西南科技大学 水泥基材料表面渗透防护剂及其制备方法

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