JP2011092699A - 組織癒着防止剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 新規な組織癒着防止剤を提供する。
【解決手段】 生体組織接着剤であるフィブリン糊にカテキンまたは塩基性ポリアミノ酸を含有させた組織癒着防止剤を提供する。本願発明の組織癒着防止剤は、(1)手術後において優れた組織癒着抑制効果を有し、(2)腹腔鏡下手術においても容易に適用可能なインジェクタブルな剤型であり、(3)適用部への固定化が容易で局所的に効果を発揮し、さらに、(4)出血部位にも使用可能である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、外科手術後の組織癒着防止剤に関する。さらに詳細には、フィブリノゲンおよびトロンビンを有効成分として含有する組織接着剤に、カテキンまたは塩基性ポリアミノ酸を含有することを特徴とする組織癒着防止剤に関するものである。
術後の組織癒着は、循環器科、消化器外科、整形外科、産科婦人科、眼科などの広い領域にて生じる。例えば、開腹手術後の腹腔内の癒着は生理的な生体の修復反応であり、癒着を皆無にすることが困難なため、手術後の癒着によって癒着性腸閉塞が一定頻度で引き起こされる。癒着性腸閉塞は、一般的には上腹部より下腹部のような剥離面の多い手術に多い。また、その頻度は、手術時間や出血量ともある程度比例すると言われている。癒着性腸閉塞の発生を防止、減少させるために、外科医の丁寧で愛護的な手術操作、最小限の剥離、最小限の出血、最小限の手術時間、手術中の汚染防止、最小限の異物の残存、吸収性の縫合糸の使用、適切なドレナージ、感染防止、手術後の早期離床などが求められ、緊急の汚染手術ではさらに、十分な腹腔内洗浄、術後の体位、術後の抗生剤使用などが求められている。それぞれが癒着性腸閉塞の防止にある程度有効であるものの、これだけで腸閉塞の発生を完全に防止することはできない(福島恒男ら,外科治療,94(6):919-924,2006:非特許文献1)。
産科婦人科領域においては、卵管の癒着は将来の妊孕性低下につながる危険性もあり、重要な問題の一つである。現在までにさまざまな術後癒着防止が試みられているが、完璧な癒着防止法が確立されているわけではない(藤下晃ら,産婦人科手術,13:91-98,2002:非特許文献2)。
米国において腹部癒着の治療に年間13億ドルが費やされたという報告があり(Ray NF. et al.:J. Am. Coll. Surg.,186:1-9,1998:非特許文献3)、医療経済的な面からも可能な限り癒着を軽減させる処置を施すことが重要である。更には、癒着を軽減することで術後合併症を減らし、患者のQOL(Quality Of Life)向上と医療費の削減が期待できる。しかしながら、現状では手術後の組織癒着を完全に防止できないため、外科医を悩ませる大きな問題となっている。
癒着を防止する物理的バリアとしては、現在臨床的使用が認可されている材料として、ヒアルロン酸ナトリウム/カルボキシメチルセルロース(seprafilm(登録商標))等のバリアと、酸化再生セルロース(Interceed(登録商標))、またはポリテトラフッ化エチレン(e-PTFE)(Gore-Tex Surgical Membrane(登録商標))等の癒着防止剤がある。いずれの材料も有効性は限定的であり、外科医を満足させるには至っていない。Gore-Tex Surgical Membrane(登録商標)は、術部に固定化する際に縫合が必要であり、更に生体吸収性ではないため再手術が必要なことから、その使用はごく限定的である(Ahamad G. et al.,Cochrane Database Syst. Rev.:CD000475,2008:非特許文献4)。いずれの材料もシート状であるために適用部への固定化に難渋するという課題が残り、更に腹腔鏡下手術時には挿入が一層困難である。また、シート状材料は出血部位には使用できないという課題もある。
臨床現場では癒着防止効果に優れ、かつ利便性の高い剤型の薬剤が求められている。特に癒着症例の多い分野である消化器外科や産科婦人科では、開腹手術から、低侵襲・QOL向上を目指した腹腔鏡下手術への術式の移行が進んでいる。また、開腹手術の聖域とされていた肝臓・膵臓手術までもが腹腔鏡下手術へと移行を始めており、腹腔鏡下手術は今後更に拡大するものと言える。
このような術式の移行に伴い、薬剤の剤型として液剤が注目され、多くの報告がなされている。癒着を防止する液剤としては、灌流液として創面被覆に使用されるもの、例えば、32%デキストラン70(田中政信ら,産科と婦人科,67:553-556,2000:非特許文献5)、アルギン酸ナトリウム(特開昭57-167919号公報:特許文献1)、コンドロイチン硫酸ナトリウム(特許2953702号公報:特許文献2)、ヒアルロン酸ナトリウム(Urman B. et al., Fertil. Steril,56:563,1991:非特許文献6)、およびキトサン(特開平10-502663号公報:特許文献3)等があるが、その有効性は十分とは言い難い。また、いずれも高粘度で操作性が悪いため、腹腔内に注入できないといった問題を有する。更に、当該液剤は適用部へ固定化不可能なため、腹腔内に大量の薬剤を注入しなければならない。
従って、臨床現場で求められている薬剤は、(1)高い癒着防止効果を有する薬剤、(2)腹腔鏡下手術でも使用しやすいインジェクタブルな剤型、(3)適用部へ固定化できる薬剤、であると言える。インジェクタブルな剤型で、かつ適用部へ固定化できる薬剤としては、生体組織接着剤であるフィブリン糊がある。フィブリン糊は血液凝固の最終段階を利用した生体組織接着剤であり、含有するフィブリノゲンはトロンビンの作用により可溶性フィブリンとなり、さらにカルシウムイオン存在下でトロンビンにより活性化された血液凝固第XIII因子により、物理的強度をもった尿素不溶性の安定化フィブリンとなり、組織を接着・閉鎖する。これまで、フィブリン糊を癒着防止の目的で適用した報告がなされているが(佐藤孝道ら,産科と婦人科,57(12):2398-2404,1990:非特許文献7)(奥田喜代司ら,産婦人科の世界,45(9):759-764,1993:非特許文献8)、フィブリン糊は組織癒着を完全に防止できないため、外科医を悩ませる大きな問題は未だに解決されていない。
特開昭57−167919号公報 特許2953702号公報 特開平10-502663号公報
福島恒男ら,外科治療,94(6):919-924,2006 藤下晃ら,産婦人科手術,13:91-98,2002 Ray NF. et al.:J. Am. Coll. Surg., 186:1-9,1998 Ahamad G. et al., Cochrane Database Syst. Rev. :CD000475,2008 田中政信ら,産科と婦人科,67:553-556,2000 Urman B. et al.,Fertil. Steril,56:563,1991 佐藤孝道ら,産科と婦人科,57(12):2398-2404,1990 奥田喜代司ら,産婦人科の世界,45(9):759-764,1993
このような状況下、本発明の課題は、(1)手術後における優れた組織癒着抑制効果を有し、(2)腹腔鏡下手術においても容易に適用可能なインジェクタブルな剤型であり、(3)適用部への固定化が容易で局所的に効果を発揮し、さらに、(4)出血部位にも使用可能な組織癒着防止剤を提供することにある。
そこで、本願発明者等は上述の問題に鑑み鋭意検討した結果、生体組織接着剤であるフィブリン糊にカテキンまたは塩基性ポリアミノ酸を包含させて適用することにより、従来技術よりも優れた組織癒着防止効果を発揮することを見出した。以下、詳細に本発明を説明する。
〔1〕フィブリノゲン及びトロンビン、ならびにカテキン又は塩基性ポリアミノ酸もしくはその塩を主成分として含有する組織癒着防止剤。
〔2〕フィブリノゲン組成物及びトロンビン組成物、ならびにカテキン又は塩基性ポリアミノ酸もしくはその塩から成る組織癒着防止剤。
〔3〕カテキンが、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする、〔1〕または〔2〕記載の組織癒着防止剤。
〔4〕カテキンが、エピガロカテキンガレートであることを特徴とする、〔1〕または〔2〕記載の組織癒着防止剤。
〔5〕カテキンが、0.005〜0.05%(w/v)の濃度であることを特徴とする、〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の組織癒着防止剤。
〔6〕塩基性ポリアミノ酸が、ポリリシンまたはその塩であることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の組織癒着防止剤。
〔7〕ポリリシンまたはその塩が、0.01〜0.5%(w/v)の濃度であることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、または〔6〕に記載の組織癒着防止剤。
〔8〕さらに血液凝固第XIII因子を含む調製物を含有する〔1〕から〔7〕のいずれかに記載の組織癒着防止剤。
本発明に従えば、生体組織接着剤であるフィブリン糊にカテキンまたは塩基性ポリアミノ酸を包含させた組織癒着防止剤が提供される。従来技術よりも優れた組織癒着防止効果を発揮することができる。フィブリン糊はフィブリノゲン溶液とトロンビン溶液を反応ささせることで瞬時に凝固し、接着することから、腹腔鏡下手術においてトロッカー(腹腔内に手術器具を挿入するための器具)により容易に腹腔内へ注入することができ、更に適用部へ瞬時に薬剤を固定化することができる。また、臨床使用されている癒着防止剤は出血部位に使用できないが、本発明の組織癒着防止剤は生体組織接着剤であるフィブリン糊を使用しているため、出血部位にも使用することができる。
本発明の組織癒着防止剤は、フィブリノゲン及びトロンビン、ならびにカテキンまたは塩基性ポリアミノ酸もしくはその塩を含む。また、本発明の組織癒着防止剤は、フィブリノゲン組成物及びトロンビン組成物、ならびにカテキンまたは塩基性ポリアミノ酸もしくはその塩を含む。
フィブリノゲン組成物は、フィブリノゲンが好適な溶媒に溶解された組成物である。フィブリノゲン組成物中のフィブリノゲン濃度は、3%〜15%(w/v)であることが好ましい。
トロンビン組成物は、トロンビンが好適な溶媒に溶解された組成物である。トロンビン組成物中のトロンビン濃度は、5U/mL〜1000U/mLであることが好ましい。
カテキンとしては、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。特に、エピガロカテキンガレートは好適な一例である。当該カテキンは、0.005〜0.05%(w/v)の濃度で使用されることが好ましい。当該カテキンは、フィブリノゲン組成物またはトロンビン組成物に前もって添加して提供してもよく、それらの組成物と別容器として提供しても構わない。
塩基性ポリアミノ酸は、ポリリシンまたはその塩であることが好ましい。当該ポリリシンまたはその塩は、0.01〜0.5%(w/v)の濃度で使用されることが好ましい。さらに当該ポリリシンまたはその塩が、α体、ε体のいずれかより選択されることが好ましい。当該ポリリシンまたはその塩は、フィブリノゲン組成物またはトロンビン組成物に前もって添加して提供してもよく、それらの組成物と別容器として提供しても構わない。
フィブリノゲン組成物は、さらにフィブリンゲル−マトリックス内の架橋形成および線溶阻害の目的で付加的に血液凝固第XIII因子またはアプロチニンを含有することができる。さらに、当該フィブリノゲン組成物は、人血清アルブミン、ポリソルベート80等の非イオン界面活性剤、各種アミノ酸を含有することができる。
トロンビン組成物は、付加的にアプロチニンや人血清アルブミンを含有することができる。
本発明に使用されるフィブリノゲン、トロンビン、アルブミン、アプロチニン、血液凝固第XIII因子を製造する方法は特に限定されることはなく、例えばヒト血液より分離する方法あるいは遺伝子組み換え技術により作製する方法などによって製造することができる。
組織癒着防止剤の構成は、(1)3種類の容器からなる場合、つまり、フィブリノゲン組成物含有容器、トロンビン組成物含有容器、カテキンまたは塩基性ポリアミノ酸含有容器、からなる場合、(2)2種類の容器からなる場合、つまり、フィブリノゲン組成物およびカテキンまたは塩基性ポリアミノ酸含有容器、トロンビン組成物含有容器からなる場合、または、トロンビン組成物およびカテキンまたは塩基性ポリアミノ酸含有容器、フィブリノゲン組成物含有容器からなる場合、(3)1種類の容器からなる場合、つまり、フィブリノゲン組成物およびトロンビン組成物、ならびにカテキンまたは塩基性ポリアミノ酸含有容器からなる場合、を含みうる。ただし、組織癒着防止剤が1種類の容器となる場合、トロンビンがフィブリノゲンを活性化しない剤形設定とされる。
組織癒着防止剤の剤形は、当該防止剤を構成する容器毎に異なっても、同一であってもよく、液状、粉末状(乾燥粉末、凍結乾燥粉末)、凍結状態のいずれであっても構わない。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に何等限定されるものではない。
エピガロカテキンガレート溶液は、注射用水(大塚製薬株式会社製)で0.01%(w/v)(−)−没食子酸エピガロカテキン(和光純薬工業株式会社製)をpH7.0〜7.3となるように調製した。
フィブリノゲン溶液は、約8.5%(w/v)フィブリノゲン、約10U/mL第XIII因子、1.0%(w/v)人血清アルブミン、1.75%(w/v)塩化ナトリウム、1.18%(w/v)クエン酸3ナトリウム、0.35%(w/v)イソロイシン、0.43%(w/v)グリシン、1.05%(w/v)アルギニン塩酸塩、0.8%(w/v)グルタミン酸ナトリウム、0.02%(w/v)ポリソルベート80を含むpH7.0〜7.3となるように調製した。トロンビン溶液は、ボルヒール(登録商標、財団法人化学及血清療法研究所製)のトロンビン凍結乾燥粉末とトロンビン溶解液(塩化カルシウム溶液)を用いて調製した。フィブリンは、スプレー塗布器具を用いてフィブリノゲン溶液とトロンビン溶液を1:1の割合で混合して作製した。
エピガロカテキンガレート加フィブリノゲン溶液は、0.02%(w/v)(−)-没食子酸エピガロカテキンを含む前記フィブリノゲン溶液となるように調製した。エピガロカテキンガレート加フィブリンは、スプレー塗布器具を用いてエピガロカテキンガレート加フィブリノゲン溶液とトロンビン溶液を1:1の割合で混合して作製した。
現在臨床使用されている癒着防止剤であるInterceed(登録商標、Johnson & Johnson製)を比較対照として用いた。
腹腔内組織癒着動物モデルは、7〜9週齢SD系雄性ラットを用いて作製した。塩酸メデトミジンと塩酸ケタミン麻酔下で剣状突起から下方約2.5cmの部分から正中線に沿って下部へ約3cm切開して開腹した。盲腸を露出させて、ガーゼで表面の直径1.5cmの円内部を50回擦過し、メス刃で擦過部をさらに50回擦過して点状出血させた。次に出力40Wの電気メスで盲腸の擦過部に接する腹壁の表面の直径1.5cmの円内部を焼灼した。盲腸の擦過部と腹壁の焼灼部が接するように、7‐0ナイロン縫合糸で4箇所を固定した。開腹創の腹壁と皮膚を縫合して閉腹した。30日間の通常飼育後、開腹して盲腸擦過部と腹壁焼灼部間の癒着状態を評価した。盲腸擦過部と腹壁焼灼部間を剥離する際の程度、出血量、癒着のエリア、および癒着のタイプにより、表1の尺度でスコア化して癒着を評価した。癒着スコアは評価項目A〜Dのスコアのトータルとした。
Figure 2011092699
実施例1では、以下の処置群を評価した。(1)生理食塩液、(2)エピガロカテキンガレート溶液、(3)フィブリン、(4)エピガロカテキンガレート加フィブリン、(5)Interceed。(1)〜(4)の適用方法は、盲腸擦過部と焼灼部を含む腹壁の直径1.5cmの円内部にそれぞれ0.3mLをスプレー塗布した。(5)の適用方法は、腹壁の焼灼部を被うように2cm×2cmの癒着防止剤を貼付した。癒着スコアを評価した結果を表2に示した。表内の癒着スコアは、表1のA〜Dのスコアを足し合わせたものを示した。
Figure 2011092699
表2から明らかなように、フィブリンにエピガロカテキンガレートを添加することで高い癒着防止効果を確認した。また、既存の癒着防止剤(Interceed)と比較しても優れた癒着防止効果が確認された。本発明のエピガロカテキンガレート加フィブリンの効果は、Mann-WhitneyのU検定により他の全ての群と比較して有意差が認められた(*:p<0.05)。
実施例2では、実施例1における(−)−没食子酸エピガロカテキンの代わりにα‐ポリ‐L‐リシンを用いて、実施例1と同様の条件で実施した。ただし、ポリリシン溶液は、注射用水で0.1%(w/v)α‐ポリ‐L‐リシン塩酸塩(SIGMA−ALDRICH社製)をpH7.0〜7.4となるように調製した。また、ポリリシン加フィブリノゲン溶液は、0.2%(w/v)α‐ポリ‐L‐リシン塩酸塩を含む前記フィブリノゲン溶液となるように調製した。
実施例2では、以下の処置群を評価した。(1)生理食塩液、(2)ポリリシン溶液、(3)フィブリン、(4)ポリリシン加フィブリン、(5)Interceed。(1)〜(4)の適用方法は、盲腸擦過部と焼灼部を含む腹壁の直径1.5cmの円内部にそれぞれ0.3mLをスプレー塗布した。(5)の適用方法は、腹壁の焼灼部を被うように2cm×2cmの癒着防止剤を貼付した。癒着スコアを評価した結果を表3に示した。表内の癒着スコアは、表1のA〜Dのスコアを足し合わせたものを示した。
Figure 2011092699
表3から明らかなように、フィブリンにポリリシンを添加することで高い癒着防止効果を確認した。また、既存の癒着防止剤(Interceed)と比較しても優れた癒着防止効果が確認された。本発明のポリリシン加フィブリンの効果は、Mann-WhitneyのU検定により他の全ての群と比較して有意差が認められた(*:p<0.05)。
本発明の組織癒着防止剤は、従来技術よりも優れた効果を発揮すると共に、腹腔鏡下手術においても容易に使用することができ、更に適用部へ瞬時に薬剤を固定化することができる。本発明は、有効性と利便性の高い組織癒着防止剤を提供する。

Claims (8)

  1. フィブリノゲン及びトロンビン、ならびにカテキン又は塩基性ポリアミノ酸もしくはその塩を主成分として含有する組織癒着防止剤。
  2. フィブリノゲン組成物及びトロンビン組成物、ならびにカテキン又は塩基性ポリアミノ酸もしくはその塩から成る組織癒着防止剤。
  3. カテキンが、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の組織癒着防止剤。
  4. カテキンが、エピガロカテキンガレートであることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の組織癒着防止剤。
  5. カテキンが、0.005〜0.05%(w/v)の濃度であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の組織癒着防止剤。
  6. 塩基性ポリアミノ酸が、ポリリシンまたはその塩であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の組織癒着防止剤。
  7. ポリリシンまたはその塩が、0.01〜0.5%(w/v)の濃度であることを特徴とする、請求項1、請求項2、または請求項6に記載の組織癒着防止剤。
  8. さらに血液凝固第XIII因子を含む調製物を含有する請求項1から請求項7のいずれかに記載の組織癒着防止剤。
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