JP2011092509A - 心臓治療装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】神経刺激による心臓への治療効果を明確に把握してその治療効果の向上を図る。
【解決手段】心臓Aに配置される電極4a〜4cにより心拍を検出する心拍検出手段5と、該心拍検出手段5によって検出された心拍に基づいて、心臓Aの拍動を抑制する神経Bを刺激する神経刺激手段7と、心拍検出手段5によって検出された心拍を含む心臓イベントの時間履歴を、神経刺激手段7による神経刺激の有無と関連付けて記憶する制御部8とを備える心臓治療装置1を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、心臓治療装置に関するものである。
従来、迷走神経に電気的刺激を与えることにより、心拍数を低下させて頻脈や細動を治療する心臓治療装置が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。また、心臓イベントに関する情報を体内埋め込み型の医療デバイスに記憶し、記憶された情報を外部機器により取得し、心臓の状態をヒストグラムで表示する装置および方法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。医師は、表示されたヒストグラムを用いて患者の心臓の状態を診断したり治療方法を検討したりする。
特開2004−173790号公報 特開平8−38625号公報 米国特許第6941167号明細書
しかしながら、特許文献3では、神経刺激による心臓の治療について考慮していない。したがって、神経刺激による心臓の治療を行った際に特許文献3に記載の手段を用いて心臓の状態を診断しようとしても、心拍数の分布が患者の本来のものなのか、神経刺激によってもたらされたものなのかが不明であり、神経刺激による治療効果の有無や程度が分からないという問題がある。また、迷走神経に与える刺激の強度など心臓治療装置の仕様が適切であるか否かが判断できず、神経刺激の設定を最適化して治療効果の向上を図ることができないという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、神経刺激による心臓への治療効果を明確に把握してその治療効果の向上を図ることができる心臓治療装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、心臓に配置される電極により心拍を検出する心拍検出手段と、該心拍検出手段によって検出された心拍に基づいて、前記心臓の拍動を抑制する神経を刺激する神経刺激手段と、前記心拍検出手段によって検出された心拍を含む心臓イベントの時間履歴を、前記神経刺激手段による神経刺激の有無と関連付けて記憶する記憶部とを備える心臓治療装置を提供する。
本発明によれば、心臓に頻脈や細動などが発生して心拍検出手段により検出された心拍の時間間隔が短くなると、神経刺激手段によって神経が刺激されることにより、拍動を抑制して心拍数を低下させることができる。また、記憶部に記憶された心拍の時間履歴の情報を心臓治療装置から取得して処理することにより、心拍の時間履歴が記憶されていた期間の心臓の状態を診断することができる。
この場合に、心拍の時間履歴を、神経刺激がある場合の心拍と、神経刺激が無い場合の心拍とに分けて処理する。これにより、神経刺激が無いときの心拍の時間履歴から、患者本来の心臓の状態を明確に把握するとともに、神経刺激が有るときの心拍の時間履歴から、神経刺激による心臓の治療効果の有無やその程度を明確に把握して心臓の治療効果の向上を図ることができる。
上記発明においては、前記神経刺激手段が、前記心拍検出手段によって検出された心拍の時間間隔に基づいて、異なる強度で前記神経を刺激し、前記記憶部は、前記神経刺激が有る場合に、該神経刺激の強度と関連づけて前記心拍の時間履歴を記憶することとしてもよい。
このようにすることで、心臓の状態に合わせて強度が変更されながら神経刺激が行わる場合でも、強度ごとの神経刺激の治療効果を把握して、神経刺激の各強度の設定を適切に調整することができる。
また、上記発明においては、前記記憶部は、前記神経刺激手段による神経刺激を、該神経刺激から所定の遅延時間後に検出された心拍に関連付けて記憶することとしてもよい。
このようにすることで、神経刺激と、該神経刺激に実際に心臓が応答しているときの心拍とが関連付けられ、神経刺激の治療効果をより正確に把握することができる。
また、上記発明においては、前記神経の、前記神経刺激手段による刺激部位から前記心臓までの長さに基づいて、前記所定の遅延時間を算出する遅延時間算出部を備えることとしてもよい。
このようにすることで、遅延時間をより適切に設定して、神経刺激による治療効果をより正確に把握することができる。
本発明によれば、神経刺激による心臓への治療効果を明確に把握してその治療効果の向上を図ることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る心臓治療装置と、該心臓治療装置により取得された心臓イベントのデータを処理する外部装置との全体構成図である。 図1の心臓治療装置および外部装置の機能を示すブロック図である。 図1の心臓治療装置による神経刺激方法を説明する図である。 図1の心臓治療装置による神経刺激と該神経刺激による心拍数の変化との関係を説明する図である。 図1の心臓治療装置の動作を説明するフローチャートである。 図5のフローチャートの心臓イベント記憶ルーチンを示すフローチャートである。 図1の外部装置により作成された心拍数のヒストグラムの一例であり、(a)神経刺激が有るときと(b)神経刺激が無いときのヒストグラムである。 図1の外部装置により作成されたヒストグラムの変形例を示す図である。 図1の外部装置により作成されるヒストグラムのもう1つの変形例を示す図であり、(a)神経刺激が有るときと(b)神経刺激が無いときのヒストグラムである。 図1の外部装置による処理結果の変形例である。 図1の心臓治療装置が異なる刺激強度で迷走神経を刺激したときに外部装置により作成されるヒストグラムの一例であり、(a)刺激強度が適切な場合、(b)刺激強度が強すぎた場合を示している。
本発明の一実施形態に係る心臓治療装置(IMD)1について、図1〜図11を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るIMD1は、図1に示されるように、患者の体内に埋め込んで用いられ、心臓Aを治療しながら心臓Aに発生した心臓イベントを記憶するものであり、IMD1により一定期間記憶された心臓イベントの情報は、患者の体外に配置された外部装置2に出力されて統計的に処理される。
図2は、IMD1および外部装置2の機能を示すブロック図である。
IMD1は、図2に示されるように、リード3を介して心臓Aと接続された心拍検出部(心拍検出手段)5および心臓刺激部(心臓刺激手段)6と、もう1つのリード3を介して迷走神経Bと接続された神経刺激部(神経刺激手段)7と、心臓刺激部6および神経刺激部7の動作を制御する制御部8と、心臓イベントを記憶するIMD記憶部9と、外部装置2と無線で通信するIMD側通信部10とを備えている。
各リード3の先端には電極4a〜4dが設けられ、該各電極4a〜4dはそれぞれ、右心房、右心室、左心室および心臓Aの近傍に存在する迷走神経(神経)Bに配置されている。
心拍検出部5は、右心房、右心室および左心室に配置された各電極4a〜4cの電位変化を検出し、検出された電位の大きさまたは変化率が所定の閾値を越えたときにR波が出現したと判定することにより心拍を検出する。
心臓刺激部6は、心臓Aを刺激して収縮させるペーシングパルスを生成し、生成したペーシングパルスを心臓Aに配置された各電極4a〜4cを介して心臓Aに供給する。これにより、心臓Aの拍動がペーシングされて徐脈が治療される。
神経刺激部7は、迷走神経Bを刺激する刺激パルスを生成し、該刺激パルスを迷走神経Bに配置された電極4dを介して迷走神経Bに供給する。これにより、迷走神経Bが興奮させられることにより拍動が抑制され、頻脈および細動が治療される。このときに、神経刺激部7は、所定のパルス幅Xの刺激パルスを、時間間隔をあけながら所定の周期Yで所定の持続時間Zにわたって供給するようになっている。
制御部8は、タイマを有し、心拍検出部5によって心拍が検出される度にタイマのカウントを0にリセットしながら、心拍と次の心拍との時間間隔を計測する。制御部8は、計測されたタイマのカウントが閾値を超えた場合、すなわち心拍数が所定値よりも低い場合、心臓刺激部6から心臓Aにペーシングパルスを供給させる。
また、制御部8は、計測されたタイマのカウントが閾値に達する前に次の心拍が検出された場合、すなわち心拍数が所定値よりも高い場合、神経刺激部7から迷走神経Bに刺激パルスの供給を開始させることにより、神経刺激を開始する。このときに、制御部8は、刺激パルスの供給を開始させてから、刺激パルスの供給が終了して所定の待ち時間Wが経過するまでの間に計測されたタイマのカウントの平均値を算出する。
例えば、図3に示されるように、神経刺激部7は、刺激パルスを持続時間Z=10秒間にわたって供給する。制御部8は、刺激パルスの供給終了後に待ち時間W=50秒間待ち、刺激パルス供給開始時から60秒後までの間に計測されたタイマのカウントの平均値を算出する。算出されたカウントの平均値は、神経刺激によって心拍数が低下して安定な状態になったか、または、心拍数が上昇したままであるかを示している。
制御部8は、算出されたカウントの平均値が閾値以上の場合には、神経刺激を終了する。一方、制御部8は、算出されたカウントの平均値が閾値より小さい場合には、再び刺激パルスを10秒間迷走神経Bに供給させ、カウントの平均値が閾値以上になるまで50秒間隔で神経刺激を繰り返すようになっている。
また、制御部8は、タイマをリセットする直前のカウントを逐次IMD記憶部9に入力し、該IMD記憶部9は、制御部8から入力されてきた順にカウントの情報を記憶することにより、心拍の時間履歴の情報を蓄積していく。このときに、制御部8は、刺激パルスの供給開始から所定の遅延時間Td経過した時刻から、さらに持続時間Z経過した時刻までに計測されたカウントには、神経刺激有りを示すタグを付してからIMD記憶部9入力する。
神経刺激部7から刺激パルスの出力が開始されると、図4に示されるように、刺激パルスによる迷走神経Bの興奮が心臓に到達するまでの伝達時間と、迷走神経Bからの興奮が心臓に到達して拍動が抑制されるまでの心臓の生理的応答時間の分だけ遅れて、心臓Aは刺激パルスに対して応答する。すなわち、実際に刺激パルスに心臓Aが応答しているときのカウントに、刺激有りのタグが付される。
本実施形態に係る外部装置2は、IMD1と無線で通信する外部装置側通信部11と、IMD1から取得した心臓イベントの情報の時間履歴を記憶する外部装置記憶部12と、該外部装置記憶部12に記憶された心臓イベントの時間履歴から心拍数を算出する心拍数算出部13と、該心拍数算出部13により算出された心拍数から、心拍数の度数分布を示すヒストグラムを作成する度数データ作成部14とを備えている。
外部装置側通信部11は、IMD1から心臓イベントの時間履歴の情報を受信すると、外部装置記憶部12に出力する。
外部装置記憶部12は、外部装置側通信部11から入力された心臓イベントの情報を記憶し、心臓イベントに含まれるタイマのカウントの情報に、神経刺激有りを示すタグが付されている場合にはその情報も共に記憶する。
心拍数算出部13は、外部装置記憶部12に記憶されたタイマの各カウントを60秒で除算することにより心拍数を算出する。
度数データ作成部14は、心拍数を複数の階級に区分し、心拍数算出部13によって算出された心拍数が属する階級の度数を積算していく。このときに、度数データ作成部14は、神経刺激有りのタグが付されたカウントから算出された心拍数と、タグが付されていないカウントから算出された心拍数とを分けて度数を積算する。これにより、刺激パルスが供給されて心臓Aが刺激パルスに応答しているときの心拍数とそれ以外のときの心拍数との度数分布を示す度数データがそれぞれ作成される。度数データ作成部14は、作成した各度数データからそれぞれヒストグラムを作成する。
このように構成されたIMD1および外部装置2の動作および作用について、図5および図6のフローチャートを参照して以下に説明する。
本実施形態に係るIMD1は、タイマによる時間の計測を開始し(ステップS1)、心拍が検出されたか否かを判断し(ステップS2)、所定時間内に心拍が検出されない場合(ステップS3)、心臓Aを刺激して拍動をペーシングする(ステップS4)。一方、所定時間内に心拍が検出された場合、IMD1は、すでに神経刺激が開始されていて未だ所定の待ち時間Wが経過していない神経刺激中であれば(ステップS5)神経刺激を行わず、神経刺激中でなければ(ステップS5)神経刺激を開始する(ステップS6)。
続いて、IMD1は、心臓イベントの情報を記憶する(ステップS7)。すなわち、IMD1は、心拍が検出された時刻が、刺激パルスに心臓Aが応答している期間中であるか否かを判断し(ステップS71)、刺激パルスに応答していない期間中でなければそのままタイマのカウントを記憶する(ステップS72)。一方、IMD1は、心拍が検出された時刻が、刺激パルスに応答している期間中であれば、神経刺激有りを示すタグを付して(ステップS73)タイマのカウントを記憶する(ステップS72)。
そして、IMD1は、タイマのカウントをゼロにリセットする(ステップS8)。
以上のようにして、タイマのカウントの履歴がIMD1に蓄積される。
一定期間IMD1に蓄積された心臓イベントの情報は、例えば、医師による定期健診時に、病院に設置された外部装置2に出力される。外部装置2は、IMD1から取得したタイマのカウントから心拍数を算出し、神経刺激有りを示すタグの有無によって分けながら、算出された心拍数が該当する階級の度数を積算してヒストグラムを作成する。そして、作成されたヒストグラムを外部装置2からモニタ15に出力することにより、ヒストグラムがモニタ15上に表示される。医師は、モニタ15に表示されたヒストグラムを見て患者の心臓Aの状態を診断し、IMD1の仕様が適切であるか否かを検討し、必要であればIMD1の刺激パルスの強度等を調節する。
図7(a),(b)に、モニタ15に表示されるヒストグラムの一例を示す。図7(a)は、神経刺激が無いときの心拍数のヒストグラムであり、刺激パルスに心臓Aが応答しているとき以外のときの心臓Aの状態を表し、心拍数の分布から、各種類の不整脈の有無やその発生頻度等が分かる。図7(b)は、刺激パルスに心臓Aが応答しているときのヒストグラムである。例えば、心拍数が閾値αを越えたときに刺激パルスが出力されるようにIMD1が設定されているとすると、心拍数の度数が閾値αより低い領域に偏って分布していることから、刺激パルスにより拍動が効果的に抑制され、刺激パルスの設定が適切であることが分かる。
このように、本実施形態によれば、医師がヒストグラムを一目見ただけで、不整脈の発生の有無などの心臓Aの状態が明確に分かり正しく診断することができるとともに、神経刺激の治療効果の有無やその仕様が適切であるか否かを正確に判断することができるという利点がある。また、これにより、刺激パルスの強度などのIMD1の仕様の適切な調節が可能となり、心臓Aの治療効果を向上することができるという利点がある。
上記実施形態においては、神経刺激が有るときの心拍数の度数分布と神経刺激が無いときの心拍数の度数分布とを別々のヒストグラムを用いて表示することとしたが、これに代えて、図8に示されるように、1つのヒストグラムに表示することとしてもよい。この場合、神経刺激が有るときと無いときの度数を、ハッチングや色などの態様を異ならせて表示することにより、1つのヒストグラム中であっても視覚的に両者が区別される。このようにしても、心臓Aの状態が正確に診断可能であり、また、刺激パルスの効果も明確に知ることができる。また、ヒストグラムの各階級において、神経刺激が有るときと無いときとの度数の比率を一目で認識することができる。
また、上記実施形態においては、心拍数の度数分布を示すヒストグラムを作成することとしたが、これに代えて、図9(a),(b)に示されるように、不整脈の種類別の度数を示すヒストグラムを作成することとしてもよい。図9(a)は神経刺激が無いときのヒストグラム、図9(b)は神経刺激が有るときのヒストグラムである。
この場合、各不整脈について設定した閾値を度数データ作成部14に記憶し、度数データ作成部14は、記憶された閾値に基づいて、心拍数算出部13によって算出された心拍数がいずれの不整脈に該当するかを判定し、判定された不整脈の種類の度数を積算する。このようにしても、各ヒストグラムから心臓Aの状態と神経刺激の効果とを明確に把握することができる。なお、図中において、APは心房徐脈、VPは心室徐脈、ATは心房頻脈、Afは心房細動、VT1は比較的心拍レートが遅い心室頻脈、VTは比較的心拍レートが速い心室頻脈、VFは心室細動である。
また、上記実施形態においては、心拍数の度数分布を示すヒストグラムを作成して表示することとしたが、これに代えて、図10に示されるように、各階級における全度数を同一の値に正規化し、神経刺激が有るときと神経刺激が無いときとの度数の比率を表す比率分布を作成して表示することとしてもよい。この場合、度数データ作成部14は、各階級について、神経刺激が有るときと無いときの度数をその階級の全度数でそれぞれ除算することにより、神経刺激が有るときと無いときとの度数の比率を算出し、算出された比率から比率分布を作成して表示させる。このようすることで、神経刺激が有るときと無いときとの心拍の度数の比率を各階級間で容易に対比することができる。
また、上記実施形態においては、制御部8が、心拍数に応じて刺激パルスのエネルギの大きさを制御することとしてもよい。このようにすることで、頻脈または細動の場合、心拍数が速いほど迷走神経Bをより強く刺激して、治療効果を向上することができる。この場合に、IMD1は、刺激パルスのエネルギの大きさをヒストグラムに反映させることとしてもよい。
例えば、刺激パルスのパルス幅を短くまたは長くすることにより神経刺激の強度を弱、中、強の3段階に分け、心拍数が閾値α以上閾値β未満のときには強度が弱の刺激を、心拍数が閾値β以上閾値γ未満のときには強度が中の刺激を、心拍数が閾値γ以上のときには強度が強の刺激を迷走神経Bに与えることとする。制御部8は、これらの刺激の強度の情報を刺激有りのタグと共にタイマのカウントに関連づけてIMD側通信部10に出力する。度数データ作成部14は、カウントに付された刺激の強度の情報毎に分けて心拍数の度数を積算し、強度によってハッチングや色などの表示態様を異ならせたヒストグラムを表示させる。
このようにして作成された神経刺激が有るときのヒストグラムの一例を図11(a)、(b)に示す。図11(a)は、強度が適切に調節されているとき、図11(b)は強度が不適切なときを示している。図11(a)において、各強度の度数は、その心拍数の閾値α,β,γより低い領域にも分布し、いずれの強度の神経刺激によっても心拍数が低下させられていることが分かる。
一方、図11(b)において、強度が中の神経刺激については、閾値βより心拍数が高い領域にのみ度数が分布しており、刺激強度が不十分なために心拍を低下させる効果が表れていないことが分かる。また、強度が強の神経刺激については、閾値γよりも大幅に低い心拍数にまで度数が分布し、刺激強度が強すぎたために拍動が過剰に抑制されて心拍数が低下し過ぎていることが分かる。
このようにすることで、IMD1の各強度の神経刺激の効果やその程度が一目で明確に分かり、煩雑な刺激強度の設定も適切に行えるように支援することができる。
また、上記実施形態においては、IMD1が一定期間にわたって心臓イベントの時間履歴を記憶することとしたが、これに代えて、IMD1が検出した心臓イベントの情報を逐次外部装置2に出力し、該外部装置2が外部装置記憶部12に心臓イベントの時間履歴を蓄積していくこととしてもよい。この場合、外部装置2は、患者の体表に取り付けられるなどして常時携帯されることが好ましい。そして、医師による定期健診時などに、それまで蓄積されたタイマのカウントの時間履歴から作成されたヒストグラムをモニタ15に表示する。このようにしても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態においては、IMD1が、制御部(遅延時間算出部)8が、遅延時間Tdを算出する遅延時間算出部を備えることとしてもよい。この場合、制御部8が、遅延時間算出部の機能を兼ね備えることとしてもよい。
例えば、制御部8は、迷走神経Bの興奮の伝達速度、電極4dから心臓Aまでの迷走神経Bの長さ、および、迷走神経Bから伝達された興奮に対する心臓Aの生理的応答時間から、遅延時間Tdを算出する関数が設定されている。
そして、IMD1を患者の体内に設置した際に、電極4dが設置された位置から心臓Aまでの迷走神経Bの長さを見積もり、その値を制御部8に入力することにより、その患者に適した遅延時間Tdが算出される。このようにすることで、刺激有りのときの心拍が、心臓Aの神経刺激への応答時とより正確に対応付けられ、神経刺激の治療効果をより正確に評価することができる。
また、上記実施形態においては、IMD1が、心拍に心臓刺激の有無を関連付けて記憶することとしてもよい。
この場合、度数データ作成部14は、心拍数算出部13によって算出された心拍数を、神経刺激有り、心臓刺激有り、および、神経刺激・心臓刺激無しに分けて積算する。このようにすることで、心臓刺激有りの心拍数の度数から徐脈の発生頻度を把握して、患者の心臓Aの状態をより正確に診断することができる。
1 心臓治装置
2 外部装置
3 リード
4a〜4d 電極
5 心拍検出部(心拍検出手段)
6 心臓刺激部(心臓刺激手段)
7 神経刺激部(神経刺激手段)
8 制御部(遅延時間算出部)
9 IMD記憶部
10 IMD側通信部
11 外部装置側通信部
12 外部装置記憶部
13 心拍数算出部
14 度数データ作成部
15 モニタ
A 心臓
B 迷走神経

Claims (4)

  1. 心臓に配置される電極により心拍を検出する心拍検出手段と、
    該心拍検出手段によって検出された心拍に基づいて、前記心臓の拍動を抑制する神経を刺激する神経刺激手段と、
    前記心拍検出手段によって検出された心拍を含む心臓イベントの時間履歴を、前記神経刺激手段による神経刺激の有無と関連付けて記憶する記憶部とを備える心臓治療装置。
  2. 前記神経刺激手段が、前記心拍検出手段によって検出された心拍の時間間隔に基づいて、異なる強度で前記神経を刺激し、
    前記記憶部は、前記神経刺激が有る場合に、該神経刺激の強度と関連づけて前記心拍の時間履歴を記憶する請求項1に記載の心臓治療装置。
  3. 前記記憶部は、前記神経刺激手段による神経刺激を、該神経刺激から所定の遅延時間後に検出された心拍に関連付けて記憶する請求項1に記載の心臓治療装置。
  4. 前記神経の、前記神経刺激手段による刺激部位から前記心臓までの長さに基づいて、前記所定の遅延時間を算出する遅延時間算出部を備える請求項1に記載の心臓治療装置。
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