JP2011090126A - 反射防止フィルムの反射防止膜の反射色分布の測定方法、反射防止フィルムの製造方法、及び反射防止フィルム - Google Patents

反射防止フィルムの反射防止膜の反射色分布の測定方法、反射防止フィルムの製造方法、及び反射防止フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】
反射防止フィルムの反射防止膜の反射色ムラを定量的に測定する方法を提供すること、及び反射色ムラが大幅に低減された反射防止フィルムを提供することにある。
【解決手段】
反射防止フィルムの反射防止膜の反射色分布の測定方法であって、反射防止膜表面のカラー画像を撮影し、該カラー画像のRGB成分をHSV色空間に変換することによって得られた色相値の標準偏差を求めることを特徴とする、反射防止膜の反射色分布の測定方法、及び上記の測定方法で測定された色相値の標準偏差が5度以下である反射防止フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止フィルムの反射防止膜の反射色分布の測定方法、反射防止フィルムの製造方法、及び反射防止フィルム。
ディスプレイとして、CRT、液晶、プラズマ、有機EL等のディスプレイが知られている。これらのディスプレイの画像表示面には、外光の反射を防止するための反射防止フィルムが一般的に配置されている。
ところが、従来から一般的に用いられている反射防止フィルムは、その構成(屈折率の異なる層を積層)上、反射防止膜表面に反射色ムラ(干渉縞を含む)が発生しやすく、この反射色ムラは反射防止フィルムをディスプレイに配置したときに画像品質の低下を招いていた。
反射防止フィルムの反射防止膜表面の反射色ムラを抑制するために、基材フィルム、ハードコート層、反射防止膜、あるいは易接着層の屈折率を調整することが知られているが、未だ、十分に満足するものは実現していない。
また、反射防止フィルムの反射防止膜の反射色ムラ(干渉縞)の評価は、従来から目視での評価が一般的であり(例えば特許文献1〜4)、反射色ムラを定量的に測定する方法は知られていなかった。
特開2007−293324号公報(段落0095) 特開2008−116597号公報(段落0050) 特開2008−139839号公報(段落0154) 特開2009−3354号公報(段落0082)
上述した従来技術の課題に鑑み、本発明の目的は、反射防止フィルムの反射防止膜の反射色ムラを定量的に測定する方法を提供することにある。本発明の第2の目的は、上記の反射防止膜の反射色ムラの測定方法を、反射防止フィルムの製造工程のオンライン上に組み込み、製造工程内で反射防止膜の反射色ムラを監視し、製造工程(塗工工程)にフィードバックして反射色ムラの発生を抑制する、反射防止フィルムの製造方法を提供することにある。本発明の第3の目的は、反射色ムラが大幅に低減された反射防止フィルムを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
(1)反射防止フィルムの反射防止膜の反射色分布の測定方法であって、反射防止膜表面のカラー画像を撮影し、該カラー画像のRGB成分をHSV色空間に変換することによって得られる色相値の標準偏差を求めることを特徴とする、反射防止膜の反射色分布の測定方法。
(2)反射防止フィルムの製造方法であって、基材フィルム上に反射防止膜形成用塗料を塗工する工程(A)、次いで該反射防止膜形成用塗料を乾燥硬化する工程(B)、次いで該基材フィルム上に形成された反射防止膜の表面のカラー画像を撮影する工程(C)を有し、前記工程(C)で撮影されたカラー画像を計算機に取り込み、該カラー画像のRGB成分をHSV色空間の色相値に変換処理し、得られた色相値からその標準偏差を算出し、該標準偏差値が一定の範囲となるように前記工程(A)における、反射防止膜形成用塗料の塗工速度、塗工厚み、塗料の固形分濃度、塗料の溶媒組成及び塗料粘度からなる群の少なくとも1つを制御することを特徴とする、反射防止フィルムの製造方法。
(3)反射防止膜フィルムの反射防止膜表面のカラー画像のRGB成分をHSV色空間に変換することによって得られる色相値の標準偏差が5度以下であることを特徴とする、反射防止フィルム。
本発明によれば、反射防止フィルムの反射防止膜の反射色ムラを定量的に測定することができ、これによって品質管理が容易になる。また、本発明の反射防止フィルムの製造方法によれば、製造工程内で反射防止膜の反射色ムラをオンラインでリアルタイムに測定することができ、これを製造工程(塗工工程)にフィードバックすることによって、反射色ムラによる不良品の発生を大幅に低減することができる。更にまた、本発明によれば、反射色ムラの発生が抑制された反射防止フィルムを提供することができる。
本発明の反射防止フィルムの反射防止膜の反射色分布の測定方法に用いられる測定装置の模式図。
本発明の反射防止フィルムは、基材フィルム上に反射防止膜が積層されたものである。かかる反射防止膜は単一層で構成されていてもよいし、あるいは複数層で構成されていてもよい。単一層の場合は、屈折率が1.3〜1.45の低屈折率層であることが好ましい。複数層の場合は、屈折率が1.5〜1.8の高屈折率層と屈折率が1.3〜1.45の低屈折率層の積層構成が好ましい。
本発明にかかる反射防止フィルムの反射防止膜の反射色分布の測定方法は、反射防止膜表面のカラー画像のRGB成分をHSV色空間に変換し、それによって得られたHSV色空間の色相値からその標準偏差を求めるものである。
言い換えれば、本発明は、反射防止膜の反射色分布をHSV色空間における色相値の標準偏差(以下、単に色相値の標準偏差という)でもって定量化する方法である。
本発明において、反射防止膜の反射色分布は、反射色ムラと同じ意味を表すものであり、反射色分布が大きいことは反射色ムラも大きいこと(強く視認されること)を意味し、逆に反射色分布が小さいことは反射色ムラも小さいこと(あまり視認されないこと)を意味する。
本発明は、反射防止フィルムの反射防止膜表面の目視観察による反射色ムラと、色相値の標準偏差との間に相関があることを見いだすことによって成された。即ち、反射防止膜表面の反射色ムラがほとんど視認できないもの、あるいはあまり視認できないものは、色相値の標準偏差が小さく、一方、反射色ムラが明確に視認できるもの、あるいは強く視認できるものは、色相値の標準偏差が大きいことを確認した。
反射防止フィルムの反射防止膜の反射色ムラを定量化することによって、品質管理が容易になるという利点がある。従来の目視観察による評価は、観察者によって評価がバラツクという問題があるが、この問題は本発明の定量化方法によって解消され、安定した品質管理が可能になる。また、本発明の反射防止フィルムの反射防止膜の反射色分布の測定方法を、反射防止フィルムの製造工程にオンラインで組み込むことによって、反射色ムラが起因する不良品の発生を大幅に低減することができる。
本発明の反射防止フィルムの反射防止膜の反射色分布の測定方法について詳細に説明する。先ず、反射防止フィルムの反射防止膜表面のカラー画像をデジタルカメラ等で撮影する。上記で撮影されたカラー画像の各画素のRGB成分をHSV色空間に変換して、各画素の色相値を得る。次に、各画素の色相値からその標準偏差を算出する。上記のHSV色空間への変換、及び色相値の標準偏差の算出は、必ずしも全画素データについて行う必要はなく、全画素を複数画素(例えば2〜50画素)の集合を1単位として区分し、各集合から1画素を取り出して上記処理を実施してもよい。
ここで、HSV色空間とは、色相、彩度、明度の3つの成分からなる色空間であり、1978年にアルヴィ・レイ・スミス(Alvy Ray Smith)によって考案されたものである。色相値は、色相が配置された色環において、0.0〜360.0の範囲で変化する角度で表される。
色相値の標準偏差を算出するための元となる画像データは、撮像範囲5000mm当たり5千画素〜5000万画素の範囲が適当であり、1万画素〜2000万画素の範囲が好ましく、1万5千画素〜1000万画素の範囲がより好ましく、特に2万画素〜500万画素の範囲が好ましい。画像のデータ量が5千画素より小さくなると解像度が低下して反射色ムラが評価できない場合があり、逆に5000万画素より大きくなると処理に多くの時間がかかるという不都合が生じる。
色相値の標準偏差を算出するための元となる画像データを得るための撮影面積は、500mm以上が適当であり、1000mm以上が好ましく、2000mm以上がより好ましい。上限は、50万mm程度である。
反射防止膜表面のカラー画像は、反射防止膜表面の反射色のカラー画像であり、反射防止膜のカラー画像の撮影に際しては、反射防止膜の裏面側からの透過光や反射光をカットすることが好ましい。従って、反射防止膜表面のカラー画像撮影の前に、反射防止フィルムの裏面、即ち、基材フィルムの反射防止膜が積層されている面とは反対面に、黒インクを塗るか、あるいは黒粘着テープを貼り付けることが好ましい。または、黒色の平板に反射防止フィルムの反射防止膜とは反対面を貼り付けたものを測定用試料としてもよい。
反射防止膜表面の撮影には、通常のデジタルカメラやカラーラインセンサーカメラ等を用いることができるが、カラーラインセンサーカメラが好ましい。カラーラインセンサーカメラを用いる場合は、カラーラインセンサーカメラは固定して試料を移動させるのが好ましい。
撮影の際には、試料に当たる外光はできるだけ遮断した状態で、特定の照明を試料に照射するのが好ましい。照明とカメラとの位置関係は、照明からの光入射に対して正反射となる位置にカメラを設置することが好ましい。照明は自然光に近い光源を用いるのが好ましく、白色光が好ましく用いられる。
次に、本発明の反射防止フィルムの反射防止膜の反射色分布を測定するための装置について説明する。図1は、上記測定装置の模式図である。かかる測定装置は、試料(反射防止フィルム)取り付けるための平板(試料取り付け用平板)1をセットするための試料設置台2、試料取り付け用平板1の試料に照明を当てるためのランプ3、ランプ3の光を拡散するための拡散板4、試料の反射画像を撮影するためのカメラ5、及び撮影された画像データを取り込み、各種処理をするためのコンピューター6が配置されている。
試料取り付け用平板1は、試料の取り付け面が黒色であることが好ましい。試料(反射防止フィルム)は、試料取り付け用平板1に取り付ける前に、試料(反射防止フィルム)の反射防止膜とは反対面に予め黒粘着テープを貼り付けておくことが好ましい。上記したように、試料取り付け用平板1の試料の取り付け面が黒色の場合は、上記の黒粘着テープの貼り付けを省略してもよい。
ランプ3と試料取り付け用平板1との間には、ランプ3の照明が試料取り付け用平板1の試料に均一に当たるように、拡散板4が配置されている。
ランプ3とカメラ5の位置は、試料取り付け用平板1に対してランプ3からの光の入射角aと反射角bが同じ角度となるように配置(固定)するのが好ましい。即ち、照明(ランプ3)からの光入射に対して正反射となる位置にカメラ5を設置することが好ましい。ランプ3としては、照度が強い、白色LEDランプが好ましい。
カメラ5は、試料取り付け用平板1から200〜1000mm程度の間隔で配置するのが好ましい。カメラ5としては、カラーラインセンサーカメラが好ましい。カメラ5で撮影されたカラー画像データは、コンピューター6に取り込まれ、各種処理(RGB成分のHSV色空間への変換処理、色相値の標準偏差の算出等)が実施される。
カメラ5としてラインセンサーカメラを用いる場合、試料取り付け用平板1に垂直でかつランプ3及びカメラ5を含む平面に対して、ラインセンサーカメラ内の撮像素子(CCD)の配列方向が垂直となるようにカメラ5を設置する。また、試料設置台2には、試料取り付け用平板1を、平板面に平行でかつラインセンサーカメラ内の撮像素子の配列方向に垂直な方向に移動するための移動手段(図示せず)を備える。撮影時には、試料取り付け用平板1を平板面に平行に移動させる。試料取り付け用平板1の移動速度は、2〜20mm/秒の範囲が適当であり、5〜15mm/秒の範囲が好ましい。
本発明にかかる反射防止フィルムは、反射防止膜表面のカラー画像のRGB成分をHSV色空間に変換することによって得られた色相値の標準偏差が5度以下である。本発明にかかる反射防止フィルムは反射色ムラの発生がなく、特にプラズマディスプレイの表示画面に配置される反射防止フィルムとして好適である。
本発明にかかる反射防止フィルムは、色相値の標準偏差は4度以下が好ましく、3度以下がより好ましく、特に2度以下が好ましい。色相値の標準偏差は小さいほど好ましく、下限は0度である。
本発明にかかる反射防止フィルムは、視感反射率が1.5%以下であることが好ましく、1.3%以下であることがより好ましい。しかし、反射防止フィルムの視感反射率が低くなるほど、反射色ムラが強く発生する傾向にあり、その観点から、視感反射率が1.5%以下、更には1.3%以下の反射防止フィルムの反射色ムラの発生を低減することは大きな意味がある。
また、反射防止フィルムの視感反射率が低くなりすぎると、反射色ムラの発生を十分に抑制することは難しくなるので、本発明にかかる反射防止フィルムの視感反射率の下限は、0.5%以上が好ましく、0.6%以上がより好ましく、特に0.7%以上が好ましい。
反射防止フィルムの視感反射率を1.5%以下、更には1.3%以下にするには、反射防止膜は、最表面に厚みが80〜120nmで屈折率が1.3〜1.45の低屈折率層を有するものが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に反射防止膜として厚みが80〜120nmで屈折率が1.3〜1.45の低屈折率層が積層された反射防止フィルム、あるいはPETフィルム上に反射防止膜として厚みが0.08〜3μmで屈折率が1.55〜1.75の高屈折率層と厚みが80〜120nmで屈折率が1.3〜1.45の低屈折率層がこの順に積層をされた反射防止フィルムが挙げられる。
本発明おいては、後者の反射防止フィルムが好ましい。以下、後者の反射防止フィルムについて詳細に説明する。後者の反射防止フィルムにおいて、反射防止膜(高屈折率層と低屈折率層の積層)とPETフィルムとの間に、厚みが0.5〜5μmのハードコート層を設けることができるが、反射防止膜を構成する高屈折率層がハードコート層を兼ねた高屈折率ハードコート層であることが好ましい。かかる高屈折率ハードコート層の厚みは、反射色ムラの発生を抑制するという観点から、3μm以下が好ましく、2.5μm以下がより好ましく、更に2.2μm以下が好ましく、特に2μm以下が好ましい。下限は、ハードコート性(硬度)を確保するという観点から、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましく、特に1.2μm以上が好ましい。
高屈折率ハードコート層の厚みを上記のように小さくすることによって厚みムラが小さくなるので、それによって反射色ムラも軽減される。
また、高屈折率ハードコート層の屈折率は、1.6〜1.7の範囲が好ましく、1.62〜1.68の範囲がより好ましい。
低屈折率層の屈折率は1.35〜1.45の範囲が好ましく、1.38〜1.43の範囲がより好ましい。
以下、高屈折率ハードコート層について、詳細に説明する。
高屈折率ハードコート層は、屈折率を1.55以上と高くするために、金属酸化物微粒子を含有することが好ましい。かかる金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は、150nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。金属酸化物微粒子の平均一次粒子径の下限は3nm程度である。
金属酸化物微粒子の含有量は、高屈折率ハードコート層の全成分100質量%に対して30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、特に50質量%以上が好ましい。これによって、高屈折率ハードコート層の屈折率を高くすることができる。金属酸化物微粒子の含有量の上限は、高屈折率ハードコート層の高い透明性の確保と言う観点から、高屈折率ハードコート層の全成分100質量%に対して、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
高屈折率ハードコート層に含有させる金属酸化物微粒子としては、屈折率が1.6以上のものが好ましく、特に屈折率が1.7〜2.8のものが好ましく用いられる。かかる金属酸化物微粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化鉄、アンチモン酸亜鉛、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化錫等が挙げられ、これらの金属酸化物微粒子は単独で用いても良いし、複数併用してもよい。
高屈折率ハードコート層は、反射防止フィルムの表面に傷が発生するのを防止するために、硬度が高いことが好ましく、JIS K5600−5−4(1999年)で定義される鉛筆硬度が、H以上が好ましく、2H以上がより好ましい。上限は9H程度である。
高屈折率ハードコート層の硬度を高くするために、高屈折率ハードコート層は樹脂成分として少なくとも紫外線硬化型アクリル樹脂を含有することが好ましい。かかる紫外線硬化型アクリル樹脂は、重合性のアクリルモノマーを重合硬化して形成されたものである。かかる重合性アクリルモノマーとしては、1分子中に3個以上、好ましくは4個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを挙げることができる。該モノマーの1分子中の(メタ)アクリロイル基は10個以下であることが好ましい。
かかる重合性アクリルモノマーの具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレートなどが挙げられる。
高屈折率ハードコート層には、紫外線照射によって上記モノマーの重合を開始させるために、光重合開始剤を含有することが好ましい。かかる光重合開始剤の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は、高屈折率ハードコート層の全成分100質量%に対して0.05〜5質量%の範囲が適当である。
高屈折率ハードコート層には、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、レベリング剤、帯電防止剤などを含有させることができる。
以下、高屈折率ハードコート層上に積層される低屈折率層について詳細に説明する。
低屈折率層は、内部に空洞を有するシリカ系微粒子及び/または含フッ素化合物を含有することが好ましい。
上記の内部に空洞を有するシリカ系微粒子としては、外殻によって包囲された空洞部を有するシリカ系微粒子(中空シリカ)や多数の空洞部を有する多孔質のシリカ系微粒子等が挙げられる。内部に空洞を有するシリカ系微粒子の屈折率は、1.20〜1.40であるのが好ましく、1.20〜1.35であるのがより好ましい。
上記の含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーや含フッ素高分子化合物が挙げられる。
含フッ素モノマーとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
含フッ素高分子化合物としては、例えば、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等である。架橋性基付与のためのモノマーとしてはグリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。
低屈折率層は、樹脂成分として少なくとも紫外線硬化型アクリル樹脂を含有することが好ましい。かかる紫外線硬化型アクリル樹脂は、前述の高屈折率ハードコート層における説明と同義であり、説明を省略する。また、低屈折率層には、高屈折率ハードコート層と同様に、光重合開始剤を含有することが好ましい。
低屈折率層には、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、レベリング剤、帯電防止剤、滑剤などを含有させることができる。特にポリシロキサン樹脂等の滑剤を含有させることが好ましい。
本発明にかかる反射防止フィルムの基材フィルムとしては、プラスチックフィルムが好ましい。かかるプラスチックフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アートン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びセルロース樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂が好ましく用いられる。プラスチックフィルムの厚みとしては、50〜300μmの範囲が適当であるが、コストの観点及び前面フィルターの剛性を確保するという観点から80〜250μmの範囲が特に好ましい。
本発明に用いられる基材フィルムは、易接着層が予め積層されたプラスチックフィルムが好ましく、特に易接着層が予め積層されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が好ましい。
PETフィルムの屈折率は1.62〜1.65程度であり、前述した反射防止膜を構成する高屈折率ハードコート層の屈折率は、1.62〜1.68の範囲がより好ましいが、PETフィルムと高屈折率ハードコート層の間に介在する易接着層の屈折率は、反射色ムラ低減の観点から1.62〜1.68の範囲が好ましい。更に、PETフィルムの屈折率と易接着層の屈折率の差、及び易接着層と高屈折率ハードコート層の屈折率の差は、いずれも0.03以内にあることが好ましい。
以下、PETフィルムに予め積層される易接着層について説明する。かかる易接着層は、上記したように屈折率は1.62〜1.68の範囲が好ましいが、このように易接着層の屈折率を高くするためには、易接着層に、芳香族環を有する化合物を含有させることが好ましい。特に、縮合多環式芳香族環を有する化合物を含有する易接着層が好ましい。上記の縮合多環式芳香族環を有する化合物は、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の高分子化合物が好ましく、特にポリエステル樹脂には比較的多くの縮合多環式芳香族環を導入することができるのでより好ましい。
縮合多環式芳香族環としては、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環等が挙げられるが、特にフルオレン環が好ましい。
易接着層は、架橋剤を含有することが好ましい。かかる架橋剤としては、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤が挙げられる。これらの中でも、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤が好ましく用いられる。
易接着層は、更に易滑性や耐ブロッキング性の向上のために、無機微粒子を含有することが好ましい。かかる無機微粒子としては、コロイダルシリカが好ましく用いられる。
易接着層の厚みは、3〜80nmの範囲が好ましく、5〜50nmの範囲がより好ましく、特に10〜30nmの範囲が好ましい。
色相値の標準偏差が5度以下である本発明の反射防止フィルムは、上述した構成に基づき、更に、反射防止膜形成用塗料の固形分濃度、粘度、有機溶媒組成等を調整することによって、より一段と得られ易くなる。
以下、反射防止膜が高屈折率ハードコート層と低屈折率層との積層構成の場合について説明する。高屈折率ハードコート層形成用塗料の固形分濃度は10〜60質量%の範囲が好ましく、20〜50質量%の範囲がより好ましく、特に25〜45質量%の範囲が好ましい。ここでは、常温で液状の重合性アクリルモノマーは固形分として取り扱う。高屈折率ハードコート層形成用塗料の粘度(23℃の粘度)は、2〜20mPa・Sの範囲が好ましく、3〜15mPa・Sの範囲がより好ましく、特に4〜10mPa・Sの範囲が好ましい。高屈折率ハードコート層形成用塗料の有機溶媒組成としては、グリコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等)と、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)とを併用することが好ましい。
低屈折率層形成用塗料の固形分濃度は、0.5〜6質量%の範囲が好ましく、1〜5質量%の範囲が好ましく、特に1.5〜4質量%の範囲が好ましい。ここでは、常温で液状の重合性アクリルモノマーは固形分として取り扱う。低屈折率層形成用塗料の粘度(23℃の粘度)は、0.2〜4mPa・Sの範囲が好ましく、0.5〜3mPa・Sの範囲がより好ましく、特に0.7〜2mPa・Sの範囲が好ましい。低屈折率層形成用塗料の有機溶媒組成としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、tert―ブタノール等)と、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)とを併用することが好ましい。
また、高屈折率ハードコート層形成用塗料及び低屈折率層形成用塗料の塗工に際しては、マイクログラビアロールを基材フィルムの搬送方向に対して逆回転させて塗工する、所謂マイクログラビアロールを用いたリバースコート方式が好ましい。
次に、本発明にかかる反射防止フィルムの製造方法について詳細に説明する。本発明の反射防止フィルムの製造方法は、基材フィルム上に反射防止膜形成用塗料(以下、単に塗料という)を塗工する工程(A)、次いで該塗料を乾燥硬化する工程(B)、次いで該基材フィルム上に形成された反射防止膜の表面のカラー画像を撮影する工程(C)を有し、前記工程(C)で撮影されたカラー画像を計算機に取り込み、該カラー画像のRGB成分をHSV色空間の色相値に変換処理し、得られた色相値からその標準偏差を算出し、該標準偏差値が一定の範囲となるように前記工程(A)における、塗料の塗工速度、塗工厚み、塗料の固形分濃度、塗料の溶媒組成及び塗料粘度からなる群の少なくとも1つを制御する製造方法である。
以下、本発明の反射防止フィルムの製造方法における各工程を詳細に説明する。
工程(A)は、基材フィルム上に反射防止膜形成用塗料を塗工する工程である。本発明にかかる反射防止膜は、単一層で構成されていても、あるいは複数層で構成されていてもよい。反射防止膜が複数層で構成されている場合は、1層ずつ複数回に分けて塗工してもよいし、複数層を同時に重層して塗工してもよい。1層ずつ複数回に分けて塗工する場合は、1つの製造ラインでタンデム方式で塗工する方式を採用することができる。ここでタンデム方式とは、1つの製造ラインに複数の塗工装置を直列に設置して、連続的に塗り重ねていく方式である。
工程(A)に用いられる塗料は、前述した反射防止膜の各成分を有機溶媒に混合、溶解したものである。塗料の固形分濃度は、1〜60質量%の範囲で調製されることが好ましく、塗料の粘度は0.2〜20mPa・Sの範囲で調製されることが好ましい。塗料の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、tert―ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、トルエン、シクロヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールアルキルエーテル類が挙げられ、これらを単独もしくは2種以上併用して用いることができる。
工程(A)における塗工方式としては、ディップコーティング法、スピンコート法、スリットダイコート法、グラビアリバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、スプレー法、ロールコーティング法等の公知のウェットコーティング法を用いることができる。これらの中でも、グラビアリバースコート法が好ましく用いられる。
工程(A)における塗工速度は、5〜100m/分の範囲が適当であり、10〜80m/分の範囲が好ましく、特に20〜50m/分の範囲が好ましい。反射防止膜の反射色ムラの発生に対しては塗工速度は比較的小さい方が好ましい。
工程(A)で基材フィルム上に塗料が塗工された後、工程(B)で乾燥、硬化されて反射防止膜が形成される。ここで、硬化の手段としては、熱による硬化、紫外線照射による硬化があるが、紫外線照射硬化が好ましく用いられる。
次に、工程(A)及び工程(B)を経て反射防止膜が形成された後、工程(C)で反射防止膜表面のカラー画像を撮影する。工程(C)は、工程(A)及び工程(B)の後に同一の製造ライン内でオンラインで行ってもよく、いったん工程(B)で造られたものを検査ラインに移して行ってもよい。工程(C)での撮像結果を迅速に工程(A)に反映するためにはオンラインで行うことが好ましい。
反射防止膜表面のカラー画像の撮影には、カラーラインセンサーカメラを用いるのが好ましい。
次に、カラーラインセンサーカメラで撮影されたカラー画像はコンピューターに取り込まれ、カラー画像のRGB成分がHSV色空間の色相値に変換され、更に得られた色相値からその標準偏差が算出される。ここで、色相値の標準偏差の算出(1単位の算出)は、撮影時間で0.1〜2秒間における画像データに基づいて算出される。
次に工程(C)で算出された色相値の標準偏差が一定の範囲内となるように、工程(A)における、反射防止膜形成用塗料の塗工速度、塗工厚み、塗料の固形分濃度、塗料の溶媒組成、及び塗料粘度のいずれか、またはこれらの複数を制御する。制御は制御装置によって自動で行ってもよく、人が手動で制御してもよい。
具体的には、工程(C)で算出された色相値の標準偏差が、設定値(例えば5度)より高くなれば、工程(A)における、塗工速度、塗工厚み、塗料の固形分濃度、塗料の溶媒組成、及び塗料粘度のいずれかにフィードバックされて調整される。例えば、工程(C)で算出された色相値の標準偏差が設定値より高い場合は、塗工速度を低くする操作、あるいは塗工厚みを小さくする操作が自動もしくは手動で行われる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
尚、本実施例における、測定方法及び評価方法を以下に示す。
(1)HSV色空間における色相値の標準偏差
<試料の作成>
実施例及び比較例の各反射防止フィルムを150mm×150mmに切り出し、PETフィルムの反射防止膜とは反対側の面に黒粘着テープ(日東電工製“ビニルテープNo.21 トクハバ 黒”)を貼り付けた。更に黒粘着テープが貼り付けられた反射防止フィルムの黒粘着テープ側の面を平板に貼り付けた。
<反射防止膜表面のカラー画像の撮影>
図1の測定装置を用い、試料取り付け用平板1に黒粘着テープが貼り付けられた反射防止フィルムの黒粘着テープ側の面を貼り付けた。試料取り付け用平板1を試料設置台2にセットし、試料取り付け用平板1を垂直方向に80mm/秒の速度で移動させながら撮影した。照明は白色LEDランプ、カメラはカラーラインセンサーカメラ(BASLER製 spL4096−20k/kc)を用いた。
白色LEDランプの入射方向に対し正反射方向で、かつ試料(反射防止フィルム)から500mmはなれた位置にカメラを固定した。
<撮影条件>
撮影モード:カラーモード
駆動周波数:50MHz
解像度:12bit
試料からの距離:500mm
入射角度a、反射角度b:いずれも75度
試料の移動速度:80mm/秒
撮影面積:横幅120mm、縦長さ45mm
<色相値の標準偏差の算出>
上記で撮影されたカラー画像データ(300万画素分のRGBデータ)をコンピューターに取り込み、30万画素分のRGBデータについてHSV色空間に変換し、得られた色相値の標準偏差を算出した。画像全データの300万画素を、10画素を1つの集合として区分し、各集合から1画素を選択して30万画素分を取り出して上記の処理を行った。
(2)目視による反射色ムラ
実施例及び比較例の各反射防止フィルムを150mm×150mmに切り出し、PETフィルムの反射防止膜とは反対側の面に黒粘着テープ(日東電工製“ビニルテープNo.21 トクハバ 黒”)を貼り付け、暗室三波長蛍光灯下にて目視にて反射防止膜の反射色ムラの評価を以下の基準で行った。
◎:反射色ムラが視認されない。
○:反射色ムラが僅かに視認される。
△:反射色ムラが明確に視認される。
×:反射色ムラが強く視認される。
(3)視感反射率の測定
上記(2)の「目視による反射色ムラ」の評価と同様にして測定試料を作製した。
分光光度計(島津製作所製、UV3150PC)を用いて、測定面から5度の入射角で波長380〜780nmの範囲で反射率(片面反射)を算出し、視感反射率(JIS Z8701−1999において規定されている反射の刺激値Y)を求めた。分光光度計で分光立体角を測定し、JIS Z8701−1999に従って反射率(片面光線反射)を算出する。算出式は以下の通りである。
T=K・ ∫S(λ)・y(λ)・ R(λ) ・dλ (ただし、積分区間は380〜780nm)
T:片面光線反射率
S(λ) :色の表示に用いる標準の光の分布
y(λ) :XYZ表示系における等色関数
R(λ) :分光立体角反射率。
(実施例1)
以下の要領で反射防止フィルムを作製した。
<易接着層が積層されたPETフィルム>
厚み100μmのPETフィルムの一方の面に、フルオレン環を有するポリエステル樹脂(フルオレン共重合ポリエステル樹脂)を主成分とし、該にフルオレン共重合ポリエステル樹脂に対して、メラミン系架橋剤を5質量%、コロイダルシリカを1質量%含有する易接着層を、乾燥厚みが21nmとなるように積層した。PETフィルムの屈折率は1.64、易接着層の屈折率は1.64であった。
<反射防止膜の積層>
上記の易接着層が積層されたPETフィルムの易接着層面に、下記の高屈折率ハードコート層と低屈折率層を順次積層して、反射防止フィルムを作製した。
<高屈折率ハードコート層の積層>
主成分として紫外線硬化型アクリル樹脂と五酸化アンチモン粒子を質量比で3:7の割合で含有し、これらの成分が有機溶媒(メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンの混合溶媒)に溶解・分散した高屈折率ハードコート層形成用塗料を用意した。この塗料の固形分濃度は30質量%で、粘度(23℃)は6mPa・Sである。
この塗料をマイクログラビアコーターでリバース塗工し、乾燥した後、紫外線照射を行って、厚みが1.6μmの高屈折率ハードコート層(屈折率1.64)を形成した。
<低屈折率層の積層>
主成分として、中空シリカと紫外線硬化型アクリル樹脂を質量比で3:7の割合で含有し、これらの成分が有機溶媒(イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンの混合溶媒)に溶解・分散した低屈折率層形成用塗料を用意した。この塗料の固形分濃度は3質量%で、粘度(23℃)は1mPa・Sである。
この塗料をマイクログラビアコーターで塗工し、乾燥した後、紫外線照射を行って、厚みが100nmの低屈折率層(屈折率1.41)を形成した。
(実施例2)
実施例1の高屈折率ハードコート層の厚みを、2.4μmに変更する以外は、実施例1と同様にして反射防止フィルムを作製した。
(比較例1)
低屈折率層の積層を以下のように変更する以外は、実施例1と同様にして反射防止フィルムを作製した。
<低屈折率層の積層>
主成分として、中空シリカと紫外線硬化型アクリル樹脂を質量比で5:5の割合で含有し、これらの成分が有機溶媒(イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンの混合溶媒)に溶解・分散した低屈折率層形成用塗料を用意した。この塗料の固形分濃度は3質量%で、粘度(23℃)は1mPa・Sである。
この塗料をマイクログラビアコーターで塗工し、乾燥した後、紫外線照射を行って、厚みが100nmの低屈折率層(屈折率1.35)を形成した。
(比較例2)
実施例1の高屈折率ハードコート層の厚みを、5μmに変更する以外は、実施例1と同様にして反射防止フィルムを作製した。
(比較例3)
市販されている反射防止フィルム(日油(株)製“Realook7800”)を用意した。
(比較例4)
市販されている反射防止フィルム(日立マクセル(株)製“ピュアビスタA500”)を用意した。
<評価>
上記で作製した各反射防止フィルムについて、HSV色空間における色相値の標準偏差、反射防止膜表面の反射色ムラ、及び視感反射率を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2011090126
表1の結果から、色相値の標準偏差と反射色ムラの目視評価の結果が一致していることが確認された。
また、本発明の反射防止フィルムは、色相値の標準偏差が5度以下であり、反射色ムラは視認されないか、もしくは僅かに視認される程度である。
一方、比較例は、色相値の標準偏差が5度を超えており、反射色ムラが明確にもしくは強く視認される。
1 試料取り付け用平板
2 試料設置台
3 ランプ
4 拡散板
5 カメラ
6 コンピューター

Claims (3)

  1. 反射防止フィルムの反射防止膜の反射色分布の測定方法であって、反射防止膜表面のカラー画像を撮影し、該カラー画像のRGB成分をHSV色空間に変換することによって得られる色相値の標準偏差を求めることを特徴とする、反射防止膜の反射色分布の測定方法。
  2. 反射防止フィルムの製造方法であって、基材フィルム上に反射防止膜形成用塗料を塗工する工程(A)、次いで該反射防止膜形成用塗料を乾燥硬化する工程(B)、次いで該基材フィルム上に形成された反射防止膜の表面のカラー画像を撮影する工程(C)を有し、前記工程(C)で撮影されたカラー画像を計算機に取り込み、該カラー画像のRGB成分をHSV色空間の色相値に変換処理し、得られた色相値からその標準偏差を算出し、該標準偏差値が一定の範囲となるように前記工程(A)における、反射防止膜形成用塗料の塗工速度、塗工厚み、塗料の固形分濃度、塗料の溶媒組成及び塗料粘度からなる群の少なくとも1つを制御することを特徴とする、反射防止フィルムの製造方法。
  3. 反射防止膜フィルムの反射防止膜表面のカラー画像のRGB成分をHSV色空間に変換することによって得られる色相値の標準偏差が5度以下であることを特徴とする、反射防止フィルム。
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