JP2011089239A - ポリエステル・綿混用繊維製品からポリエステル素材の単離・採取方法 - Google Patents

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勝善 迫
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Abstract

【課題】
人体由来の脂質、タンパク質、糖質などの汚れ物質、無機物質、塵埃など不特定の微量物質、及び各種微生物雑菌が付着しているポリエステル・綿混用繊維製品を、これら付着物質による酵素阻害を排除してセルラーゼ反応を行い効率的にポリエステル・綿混用繊維製品からポリエステル繊維素材を回収する。
【解決手段】
ポリエステル・綿混用繊維製品を5%以下のアルカリ水溶液中60〜90℃で加熱を行った後に、酸性電解水でアルカリを洗浄除去することにより汚れや雑菌を含む付着物を除き,その後セルラーゼ反応を行う。又、マンガン、コバルト、バリウムの無機塩存在下にセルラーゼ反応を行う。さらに、該酵素反応液に、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルを添加する。
【選択図】 なし

Description

この発明は、ポリエステル・綿混用繊維製品からポリエステル繊維素材を分別・単離・採取する方法に関する。
21世紀は衣料品の製造と販売が低価格既製服の時代となり、安易な使い捨てによる衣料品ライフサイクルの短縮、更に大量の輸入品供給過剰による売れ残り品の増加も加わり、衣料廃棄物の排出量は増加の一途をたどっている。廃棄された衣料品を含む繊維製品の内、再利用されている割合は高々10%程度であって、大部分は焼却されるか埋め立てにまわされているのが現状である。利用されなくなった衣料品即ち古着は、その布地を構成する繊維素材に損傷が生じているので、布地としての再利用はウエス、反毛などに限られている。また、布地を構成する糸に戻し糸として再利用することは、現在の織物紡績技術をもってしても可能であるとは言い難い。この根源には、衣類などの繊維製品が解体再生までを前提にして製造されていないばかりでなく、そのような技術開発が等閑にされている現状がある。
廃棄された衣料などの繊維製品を、繊維の素材分子にまで分解する化学技術、生化学バイオ技術を活用すれば、その素材を繊維に戻すことばかりでなく、他の用途などにも広く利用することも可能となる。既に、ペットボトルの再利用では、ペットボトル素材であるポリエステル即ちポリエチレン・テレフタレートを構成する単分子のエチレングリコールとテレフタル酸ジメチルに化学分解し、再利用する技術が確立され実用化にいたっている。
廃棄されたポリエステル・綿混用繊維製品については、綿のセルロースをセルラーゼによりグルコースに酵素分解するならば、グルコースは酵素反応液に溶解する。他方、酵素分解されないポリエステルは不溶性成分としてグルコースより分離される。分離されたポリエステルは繊維素材として再利用が可能である。また綿のセルロースより生成したグルコースはバイオエタノールなどを製造するための資源として再利用の可能性が見込まれる。
本発明に述べるポリエステル・綿混用繊維製品は、その素材が天然および合成の高分子化合物であり水には溶解しない。他方、綿繊維の主成分であるセルロースを加水分解する酵素セルラーゼは、タンパク質であり水に溶解する。このように水可溶性のセルラーゼの溶液を用いて水不溶性のセルロースを加水分解する反応は不均一系酵素反応といわれている。この反応系において、不溶性のセルロースは分解され、可溶性のグルコースが生成して反応液中に蓄積する。これはセルロース原料よりグルコースを酵素化学的に製造する基本技術であるが、工業技術としては反応速度の遅いことが指摘されている。
本発明において、酵素分解の原料となるポリエステル・綿混用繊維製品は使用済の廃棄物である。そのために多くの汚れが付着している。汚れ物質には脂質、タンパク質、糖質など人体由来の物質ばかりでなく、無機物質、塵埃など不特定の微量物質も含まれている。このような汚れ物質が酵素反応を阻害する可能性は小さくないと考えられる。さらに廃棄された衣料繊維製品には雑菌の付着もあるので、酵素反応への影響ばかりでなく、綿のセルロースから生成したグルコースが酵素反応液中で雑菌により消費される可能性も大である。
付着雑菌を除去する通常の方法では、廃棄繊維製品を熱水に浸して加熱殺菌する。しかしこの方法では、加熱と冷却にエネルギーを二重に使用することとなり、エネルギー消費量が増大する。また、洗剤を使用して、付着している汚れ物質と共に雑菌を洗浄除去することも可能な方法であるが、洗浄した後に洗剤を洗い流すために滅菌した水を必要とするので、滅菌水製造のために多量のエネルギーを消費する。
ポリエステル・綿混用繊維製品の酵素分解は、不均一系酵素反応であるので、反応速度が遅く反応終了までに数日を要することもある。反応速度を高めるために、微粉砕した衣料・織物などを撹拌付反応器に入れて激しく撹拌する方法も可能ではあるが、粉砕プロセスを付け加えなければならない。さらに、酵素分解後に生成グルコースとポリエステルを分離するためのろ過装置が必要になるなどプロセスが煩雑になるために得策ではない。
特開2002−78495号公報 特開2009−1734号公報 特開2009−52175号公報
解決しようとする問題点は、人体由来の脂質、タンパク質、糖質などの汚れ物質、無機物質、塵埃など不特定の微量物質、及び各種微生物雑菌が付着しているポリエステル・綿混用繊維製品を、これら付着物質による酵素阻害を排除してセルラーゼを利用して効率的にポリエステル混用繊維製品からポリエステル繊維素材を単離・採取することである。
本発明は、ポリエステル・綿混用繊維製品を、5%以下のアルカリ水溶液中で60〜90℃の加熱を行った後、アルカリ溶液部を除去し、加熱後のポリエステル・綿混用繊維製品を酸性電解水により中和洗浄し、次いで、セルラーゼを添加した酸性電解水の酵素反応液中でポリエステル・綿混用繊維製品のセルロースを酵素分解して綿繊維素材を可溶化して除去することを特徴とするポリエステル・綿混用繊維製品からポリエステル繊維素材を分別・単離・採取する方法である。
又、マンガン、コバルト、バリウムから選ばれる1種又は2種以上の無機塩の存在下に前記ポリエステル・綿混用繊維製品のセルロースの酵素反応を行うことを特徴とするポリエステル・綿混用繊維製品からポリエステル繊維素材を分別・単離・採取する方法である。
更に、セルロースをセルラーゼで分解するための該酵素反応液に、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルを添加することを特徴とするポリエステル・綿混用繊維製品からポリエステル繊維素材を分別・単離・採取する方法である。
本発明の方法によって、付着雑菌と汚れ物質が大量に付着している、衣料廃棄物が大きな設備投資や多数の工程処理を要することなく、簡単な方法によっ
て廃棄されたポリエステル・綿混用繊維製品から、ポリエステル繊維素材を単離・採取することができる。この採取・回収されたポリエステル繊維素材は様々な目的に再利用可能である。又、酵素反応液の水溶液部には大量のグルコースが含まれておりこれを用いてバイオ燃料の製造も可能である、という副次効果もある。
廃棄繊維製品の汚れは、その程度を目視によって判別することが出来る。目視した結果は、非常に汚れていて見るからに汚い物から、新品ではないかと思えるほどに綺麗な物までさまざまである。他方、付着雑菌は目視することは出来ないので、通常の微生物検査法により雑菌汚染を調べた。即ち、廃棄繊維製品の布切片をSCD液体培地に浸し、その浸漬液の一部をSCD寒天培地に塗抹し、35℃で48時間培養してから生育したコロニーを数えた。その結果を表1に示す。被検布切片のいずれからも、付着雑菌が検出された。
Figure 2011089239
廃棄繊維製品の付着雑菌と汚れ物質はセルラーゼの酵素反応に悪影響を及ぼす恐れがあるので、酵素反応の前に除去しなければならない。付着雑菌と汚れ物質を同時に除去するために、本発明においては、苛性ソーダなどの低濃度アルカリ水溶液で廃棄繊維製品を加熱し、次いでアルカリを酸性電解水で洗浄した後、酵素反応を行う。酸性電解水の洗浄は、3〜4回繰り返す。洗浄に当たって使用する酸性電解水はそのpHが酸性領域にあるので、セルラーゼの反応液としても適している。通常、セルラーゼの反応液はpHを安定させるために酢酸緩衝液が使われているが、酸性電解水を使用してもセルラーゼ反応液のpHは安定していることを見出した。本発明において使用するセルラーゼは一般に市販されているものでよく、夫々の特性に応じて最適条件を設定すればよい。用いられる酵素の例としては、上記の外、セルソフトL(ノボノルディスク製)、メイセラーゼ(明治製菓製)、セルラーゼオノズカ(ヤクルト製)等が挙げられる。
本発明者らは、ポリエステル・綿混用繊維製品を苛性ソーダなどの低濃度アルカリ水溶液中で加熱することにより、セルロースの酵素分解におけるグルコース生成量が増大し、結果としてポリエステル繊維素材の分離・採取の効率が向上することを見出した。ポリエステル即ちポリエチレン・テレフタレートがアルカリ溶液に溶解することは既に知られていることである。従ってポリエステル・綿混用繊維に対する低濃度アルカリ溶液加熱の効果は、ポリエステルを部分的に溶解することに起因しているものと考えられる。
本発明の主眼とするところは、ポリエステル綿混用繊維製品をそのままの形態で酵素分解することにある。酵素反応液の液相に溶解していない繊維製品の布地に対して、液相に溶解している酵素のセルラーゼを効率よく接触させるための物理的・機械的方法として、本発明者らは、角瓶型の蓋付四角フラスコにアクリルボールを投入して撹拌を行う酵素反応容器を考案した。本発明の実験例と実施例はこの酵素反応方法によって完成されたものである。通常の三角フラスコ等を使用した場合であっても、本発明の実施は可能であるが、グルコース生成効率やポリエステル繊維素材の単離効率は良くない。
さらに本発明者らは、セルラーゼの酵素分解反応を行うに当たって、酸性電解水の酵素溶液中にポリエステル・綿混用繊維製品の布切片を均一に分散させるための方法として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルを添加する方法を考案した。その結果、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルの分散作用により、セルラーゼによる綿セルロースからのグルコース生成量が増大した。
セルラーゼによりセルロースを分解してグルコースを生成する酵素反応において、本発明では酸性電解水を反応液として使用している。この酸性電解水は水道水を電気分解して生成されたものであるが、電気分解によって水道水中の陽イオンは陰極側へ移動する。その結果陽極側に生成する酸性電解水には殆ど陽イオンが含まれていない。そのために、セルラーゼの酵素反応に有用な無機陽イオンを反応液に添加して酵素反応を行った。陽イオンとしてナトリウム、カリウム、マグネシューム、カルシューム、バリウム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛の各塩化物を1種類ずつ酸性電解水の反応液に添加してセルラーゼの酵素反応実験を行った結果、バリウム、マンガン、コバルトのそれぞれ塩化物の1種又は2種以上の存在がセルロースからグルコースの生成量を増加させることに有効であり、ポリエステル繊維素材の分離効率も向上する。反対に鉄と銅の塩化物は酵素反応を阻害し、グルコースの生成量が低下した。この酵素反応を工業規模で実施する場合、使用する水によっては微量の鉄と銅のイオンが含まれていることもあり得るが、そのような水は電解水生成装置を通すことにより阻害金属イオンを除去することが可能である。
本発明者らは、ポリエステル・綿混用繊維製品を酵素分解する際に低濃度のアルカリ溶液で加熱し、その後酸性電解水で洗浄することによって、セルロースからのグルコース生成量が増大することを発見した。アルカリ溶液中での加熱は雑菌と汚れの除去にも有効であった。その結果を以下に述べる。表1に記載のAユニフォーム夏上着T/C 80/20(粗セルロース含有量18.5%)の布切片10gを3%以下の低濃度苛性ソーダ溶液100mLに入れ80℃で60分加熱した。加熱後、pH3.2の酸性電解水100mLで3回洗浄した。洗浄後T/C 80/20の布切片を酸性電解水に入れ、セルラーゼを添加し、pH4.4に調整して酵素反応液とした。この反応液100mLを500mL容の蓋付四角フラスコに入れ、振盪培養機で撹拌しながら、50℃、24時間の酵素反応を行った。酵素反応後のグルコース生成量は、0.3%苛性ソーダ加熱が12.27g/L、3%苛性ソーダ加熱が13.04g/Lであり、苛性ソーダなしの加熱では11.43g/Lであった。5%以上の苛性ソーダ溶液で加熱を行っても、3%苛性ソーダ溶液の結果以上にグルコース生成量を高める効果は認められなかった。また、3%苛性ソーダ溶液による加熱の結果、雑菌は検出されなくなり、さらに苛性ソーダ蒸煮と3回の酸性電解水洗浄によって供試したT/C 80/20布切片の汚れは除去されていた。このように低濃度の苛性ソーダ溶液がグルコース生成に著しい効果を示したことは、工業規模で苛性ソーダを使用する際に、作業上の安全性と共に経済的にも有利なことである。
上述の実験例は、低濃度苛性ソーダ溶液中での加熱を80℃で行った結果であるが、次に3%苛性ソーダ溶液を用いて、加熱温度と酵素反応のグルコース生成量との関係を調べた実験例を述べる。苛性ソーダ濃度を3%とし、加熱温度を60℃〜90℃の範囲に設定した以外の実験条件は上述の実験例のとおりである。AユニフォームT/C 80/20の布切片を用いた3%苛性ソーダの加熱温度と酵素反応によるグルコース生成量の結果を以下に記す。加熱温度60℃でのグルコース生成量は12.99g/L、同じく65℃で13.2g/L、79℃で13.77g/L、83℃で13.39g/L、90℃で13.40g/Lであった。この結果によると、加熱温度の60℃から79℃までは、徐々にグルコース生成量が増加しているが、79℃を最高生成量として、それ以上の温度である83℃から90℃までは生成量に変化がない。このことはポリエステル(ポリエチレン・テレフタレート)のガラス転移温度が80℃付近にあることと関連する可能性が高い。本発明者らは、ポリエチレン・テレフタレートの布切片(T100)を、3%苛性ソーダ溶液中で80℃の加熱をおこなうと、3〜5%のポリエチレン・テレフタレートの減量が生ずる結果を得ている。綿とポリエチレン・テレフタレートの混紡であるT/C 80/20においては、苛性ソーダ加熱によりT(ポリエチレン・テレフタレート)の一部が可溶化したために、T/C 80/20の綿セルロースに対してセルラーゼが作用しやすくなったものと考えられる。
苛性ソーダの他にも、苛性カリ、水酸化バリウムなどの低濃度アルカリ溶液もポリエステル・綿混用繊維製品の酵素分解に有効であった。その結果を以下に示す。苛性ソーダ、苛性カリ、水酸化バリウムの各3%溶液を調製し、AユニフォームT/C
90/10 (粗セルロース含有量8.8%)の布切片10gを100mLの各アルカリ溶液に投入して、80℃で60分の加熱を行った。以下の実験条件は上述のAユニフォームT/C 80/20の実験例と同じである。酵素反応24時間後のグルコース生成量は、苛性ソーダ加熱が5.35g/L、苛性カリ加熱が4.28g/L、水酸化バリウム加熱が5.38g/Lであり、アルカリ無しの加熱は3.13g/Lであった。セルラーゼに対する阻害作用がない限り、多くのアルカリ溶液にはこのような効果がある。
ポリエステル・綿混用繊維製品のセルラーゼによるセルロース分解反応は不均一系酵素反応である。この反応を促進する物理的手段として、四角フラスコとアクリルボールを用いる布切片の高効率撹拌方法を本発明者らは考案したが、さらに酵素反応を促進する方法として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルを酵素反応液に添加することにより、セルラーゼの酵素反応が一層促進され、グルコースの生産性が向上することを付け加えて本発明を完成した。その実験例を表2に示し、実験方法の概要を以下に述べる。ポリエステル・綿混衣料として表1に記載のAユニフォーム夏上着T/C 80/20(粗セルロース含有量18.5%)の布切片3gを3%の苛性ソーダ溶液50mLに入れ80℃で60分加熱した。加熱後、pH3.2の酸性電解水50mLで3回洗浄した。3回目の酸性電解水洗浄液がpH3.2となっていることを確認してから流して捨てた。酸性電解水を含んだ布切片を500mL容の蓋付四角フラスコに移し、フラスコ重量を計量しながら酸性電解水(pH3.2)の総量が30g(30mL)となるように加えた。使用した酸性電解水は市販の電解水生成装置(ホシザキ電気製HOX−40A)を用い水道水を電気分解して作成した。さらに、バリウム、マンガン、コバルトのそれぞれ塩化物およびポリエチレングリコール脂肪酸エステルを添加し、最後にセルラーゼのエンチロンMCH(洛東化成製)を加えてpH4.4に調整した。ポリエチレングリコール脂肪酸エステルの効果は、表2に示すように3種類の脂肪酸エステルをそれぞれ別個のフラスコに入れ、24時間の酵素反応を行って比較した。酵素反応液に生成蓄積したグルコース濃度とpH変化の結果を表2に示す。
Figure 2011089239
酸性電解水の酵素反応液におけるポリエチレングリコール脂肪酸エステルの効果は大きく、酵素反応液中に多量のグルコースを生成蓄積することが可能であった。ポリエチレングリコール脂肪酸エステルを添加しない酵素反応液においては、ユニフォーム布切片が撹拌によって纏わるのに対して、添加した反応液では均一に分散していることがフラスコ目視によって認められた。ポリエチレングリコール脂肪酸エステルの例としては、ポリエチレングリコール・モノラウレート,ポリエチレングリコール・モノパルミテート,ポリエチレングリコール・モノステアレート,ポリエチレングリコール・モノオレートなどが挙げられる。
実施例1
AユニフォームT/C
80/20(粗セルロース含有量18.5%)の布切片3gを約50mLの3%苛性ソーダ溶液に入れ、80℃で60分加熱した。加熱後、苛性ソーダ溶液を除いてからpH3.2の酸性電解水50mLで布切片を3回洗浄した。最後の酸性電解水洗浄液はpH3.2であることを確認して流した。酸性電解水を含んだ布切片を500mL容の蓋付四角フラスコに移し、フラスコ重量を計量しながらpH3.2の酸性電解水の総量が30g(30mL)となるように加えた。この布切片を含む酸性電解水に、無機塩として塩化バリウム0.67g/L、塩化マンガン0.5g/L、塩化コバルト0.5g/Lを添加し、さらにポリエチレングリコール・オレート0.75g/Lを添加し、最後にセルラーゼのエンチロンMCH 6g/Lを加えてpH4.4に調製して酵素反応液とした。フラスコに直径20mmのアクリルボール12個を入れ、50℃に設定した震とう培養機で24時間撹拌した。酵素反応24時間後の反応液はpH4.4に保たれており、反応液中に生成蓄積したグルコース濃度は15.6g/Lであった。T/C 80/20の粗セルロース量に対して84.3%の収率でグルコースが製造された。
この酵素反応液終了液より不溶性残渣を取り出し、水道水で充分に洗って酵素分解されなかったポリエステルを分離した。得られたポリエステル布切片を、2000rpmで遠心脱水してから乾燥した。乾燥重量として2.4gのポリエステル残渣を回収した。回収率はNaOH加熱による溶解量を除いて98.1%である。回収ポリエステル即ちポリエチレン・テレフタレートの分子内炭素割合をCN元素分析計で測定した結果、ポリエチレン・テレフタレートの純度は98.9%であった。また、元素分析では窒素は検出されなかったので、ポリエステル残渣に酵素タンパク質の付着はない。廃棄されたポリエステル・綿混紡ユニフォームより繊維素材としてリサイクル可能なポリエステルを分離した。
実施例2
AユニフォームT/C 90/10(粗セルロース含有量8.8%)の布切片3gを約50mLの3%水酸化バリウム溶液に入れ、80℃で60分加熱した。加熱後、水酸化バリウム溶液を除いてからpH3.2の酸性電解水50mLで布切片を3回洗浄した。最後の酸性電解水洗浄液はpH3.2であることを確認して流した。酸性電解水を含んだ布切片を500mL容の蓋付四角フラスコに移し、フラスコ重量を計量しながらpH3.2の酸性電解水の総量が30g(30mL)となるように加えた。この布切片を含む酸性電解水に、無機塩として塩化バリウム0.67g/L、塩化マンガン0.5g/L、塩化コバルト0.5g/Lを添加し、さらにポリエチレングリコール・ラウレート0.75g/Lを添加し、最後にセルラーゼのエンチロンMCH 6g/Lを加えてpH4.4に調製して酵素反応液とした。以下、実施例1と同様にして酵素反応を行った。酵素反応24時間で、T/C 90/10の粗セルロース量に対して61.3%の収率でグルコースが製造された。
この酵素反応液終了液より不溶性残渣を取り出し、実施例1と同様にしてポリエステル残渣を回収した。回収率は91.5%であった。
参考例 1
AユニフォームT/C 90/10(粗グルコース含有量8.8%)の布切片10gを約100mLの3%苛性ソーダ溶液に入れ、80℃で60分加熱した。加熱後苛性ソーダ溶液を除いてからp3.2の酸性電解水100mLで布切片を3回洗浄した。洗浄3回目の酸性電解水洗浄液はpH3.2であることを確認して流した。酸性電解水を含んだ布切片を500mL容の蓋付四角フラスコに移し、フラスコ重量を計量しながらpH3.2の酸性電解水の総量が100g(100mL)となるように加えた。この布切片を含む酸性電解水に無機塩として塩化バリウム0.67g/L、塩化マンガン0.5g/L、塩化コバルト0.5g/Lを添加し、最後にセルラーゼのエンチロンMCH 6g/Lを加えてpH4.4に調整した。フラスコに直径20mmのアクリルボール12個を入れ、50℃に設定した震とう培養機で撹拌して24時間の酵素反応を行った。反応液に生成蓄積したグルコースは4.0g/Lであり、pHは4.4であった。

Claims (3)

  1. ポリエステル・綿混用繊維製品を、5%以下のアルカリ水溶液中で60〜90℃の加熱を行った後、アルカリ溶液部を除去し、加熱後の該ポリエステル・綿混用繊維製品を酸性電解水により中和洗浄し、次いで、該ポリエステル・綿混用繊維製品を酸性電解水溶液中セルラーゼの存在下にセルロースを酵素分解して綿繊維素材を可溶化除去し、反応液から酵素分解されなかった不溶性のポリエステル繊維素材を分離回収することを特徴とするポリエステル繊維素材の分離、採取方法。
  2. マンガン、コバルト、バリウムから選ばれる1種又は2種以上の無機塩の存在下にポリエステル・綿混用繊維製品のセルロースの酵素分解反応を行うことを特徴とする請求項1のポリエステル繊維素材の分離、採取方法。
  3. ポリエステル・綿混用繊維製品のセルロースをセルラーゼで分解するための該酵素反応液に、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルを添加することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリエステル繊維素材の回収方法。
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JP2021511445A (ja) * 2018-01-15 2021-05-06 レンツィング アクツィエンゲゼルシャフト セルロースおよび合成プラスチックを含有する混紡織物を再利用する方法

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