JP2011082052A - 有機薄膜の製造方法、有機薄膜、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、照明装置および表示素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】積層構造を有する有機薄膜の製造方法において、電荷輸送性ユニットを有する化合物とイオン性化合物とを含む薄膜を洗浄する工程、前記薄膜上にさらに薄膜を形成する工程を含む、有機薄膜の製造方法。
【選択図】図1
Description
有機エレクトロニクス素子の一例として有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタなどが挙げられる。
そのため、高分子型有機EL素子の多層化は低分子型有機EL素子に比べ困難であり、発光効率の向上、寿命の改善効果を得ることができなかった。
また、非特許文献2〜4にはこのような課題を克服するために、シロキサン化合物やオキセタン基、ビニル基などの重合反応を利用して化合物の溶解度を変化させ、薄膜を溶剤に対して不溶化する方法が開示されている。
一方で、有機EL素子の発光効率・寿命を改善する目的で、電荷輸送性の化合物に電子受容性化合物を混合して用いる試みがなされている。
また、特許文献4には、正孔輸送性化合物に、電子受容性化合物として塩化鉄(III)(FeCl3)を真空蒸着法により混合して用いることが開示されている。
また、特許文献6には、電荷輸送膜用組成物として、特定のアミニウムカチオンラジカルからなる組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献3〜5における実施例では、電子受容性化合物を混合した電荷輸送膜上への成膜法が真空蒸着法であるとともに、蒸着前の洗浄工程に関する記載はない。
一方、有機EL素子の製造方法において特許文献7では、架橋性有機化合物の非変質部分を溶媒により除去する工程を含む製造工程が開示されている。この工程は、未変質の架橋性化合物を除去するためであり、イオン性化合物あるいは重合性開始剤に関する記載はない。
この重合反応には適切な開始剤を添加する必要があるが、この開始剤およびその分解物が、重合層中、特に隣接する電極や層との界面に残存し、有機EL素子の効率・寿命を低下させる懸念がある。
一方、電荷輸送性化合物に電子受容性化合物を混合する試みがなされているが、過剰な電子受容性化合物が層中、特に隣接する電極や層との界面に残存し、有機EL素子の効率・寿命を低下させる懸念がある。
すなわち、本発明は、下記の事項をその特徴とするものである。
(1) 積層構造を有する有機薄膜の製造方法において、電荷輸送性ユニットを有する化合物(以下、電荷輸送性化合物と呼ぶ)とイオン性化合物とを含む薄膜(以下、電荷輸送膜と呼ぶ)を洗浄する工程(以下、洗浄工程と呼ぶ)、前記薄膜上にさらに薄膜を形成する工程を含むことを特徴とする有機薄膜の製造方法。
(2) 電荷輸送性ユニットが、芳香族アミン、カルバゾール、チオフェンのいずれかである前記の有機薄膜の製造方法。
(3) イオン性化合物が、オニウム塩であることを特徴とする前記の有機薄膜の製造方法。
(4) 電荷輸送性化合物が、ポリマー又はオリゴマーである前記の有機薄膜の製造方法。
(5) ポリマー又はオリゴマーが一つ以上の重合可能な置換基を有することを特徴とする前記の有機薄膜の製造方法。
(6) 重合可能な置換基が、オキセタン基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリレート基、メタクリレート基のいずれかであることを特徴とする前記の有機薄膜の製造方法。
(7) 電荷輸送膜中に重合開始剤が含まれていることを特徴とする前記の有機薄膜の製造方法。
(8) 重合開始剤としてイオン性化合物を含むことを特徴とする前記の有機薄膜の製造方法。
(9) 洗浄工程で使用する洗浄剤において、洗浄剤が塩基性化合物を含むことを特徴とする前記の有機薄膜の製造方法。
(10) 洗浄工程で使用する洗浄剤において、洗浄剤が塩基性化合物と溶媒とを含むことを特徴とする前記の有機薄膜の製造方法。
(11) 前記の有機薄膜の製造方法により製造されてなる有機薄膜。
(12) 前記の有機薄膜を有することを特徴とする有機エレクトロニクス素子。
(13) 基板上に、前記の有機薄膜を有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子。
(14) 有機薄膜が正孔注入層であることを特徴とする前記の有機エレクトロルミネセンス素子。
(15) 有機薄膜が正孔輸送層であることを特徴とする前記の有機エレクトロルミネセンス素子。
(16) 有機薄膜が発光層であることを特徴とする前記の有機エレクトロルミネセンス素子。
(17) 基板が、フレキシブル基板であることを特徴とする前記の有機エレクトロルミネセンス素子。
(18) 基板が、樹脂フィルムであることを特徴とする前記の有機エレクトロルミネセンス素子。
(19) 前記の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子。
(20) 前記の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置。
(21) 前記の照明装置と、表示手段として液晶素子と、を備えた表示素子。
ここで、本発明において「電荷輸送性ユニット」とは、正孔または電子を輸送する能力を有した原子団であり、以下、その詳細について述べる。
また、本発明におけるイオン性化合物は、電荷輸送性向上の観点からオニウム塩であることが好ましい。
また、本発明のポリマー又はオリゴマーは下記一般式(1a)〜(84a)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
この重合開始剤としては、熱、光、マイクロ波、放射線、電子線等の印加によって、重合可能な置換基を重合させる能力を発現するものであればよく、特に限定されないが、光照射および/または加熱によって重合を開始させるものであることが好ましい。
ここで、本発明において、「塩基性化合物」とは、公知のあらゆるものを用いることができるが、代表的なものとして、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などがあげられる。
本発明において、洗浄剤に含まれる溶媒は、塩基性化合物と同一の化合物であってもよく、塩基性化合物を十分に溶解することのできるものであれば、特に制限はないが、具体的には、水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、ペンタン、ヘキサン、オクタン等のアルカン、シクロヘキサン等の環状アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等の芳香族溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、その他、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられるが、好ましくは芳香族溶媒である。
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)は、本発明の有機薄膜の製造方法を用いて形成された重合層を有することをその特徴とするものである。本発明の有機EL素子は、発光層、重合層、陽極、陰極、基板を備えていれば特に限定されず、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層などの他の層を有していてもよい。以下、各層について詳細に説明する。
発光層に用いる材料としては、低分子化合物であっても、ポリマーまたはオリゴマーであってもよく、デンドリマー等も使用可能である。蛍光発光を利用する低分子化合物としては、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクドリン、色素レーザー用色素(例えば、ローダミン、DCM1等)、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8−hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq3))、スチルベン、これらの誘導体があげられる。蛍光発光を利用するポリマーまたはオリゴマーとしては、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン(PPV)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、フルオレンーベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、及びこれらの誘導体や混合物が好適に利用できる。
燐光材料は、低分子又はデンドライド種、例えば、イリジウム核デンドリマーが使用され得る。またこれらの誘導体も好適に使用できる。
ホスト材料としては、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよく、デンドリマーなども使用できる。
塗布法により形成する場合、有機EL素子を安価に製造することができ、より好ましい。発光層を塗布法によって形成するには、燐光材料と、必要に応じてホスト材料を含む溶液を、例えば、インクジェット法、キャスト法、浸漬法、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平板印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法、スピンコーティング法などの公知の方法で所望の基体上に塗布することで行うことができる。
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金であることが好ましい。
陽極としては、金属(例えば、Au)又は金属導電率を有する他の材料、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))を使用することもできる。
電子輸送層、電子注入層としては、例えば、フェナントロリン誘導体(例えば、2,9−dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline(BCP))、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体(2−(4−Biphenylyl)−5−(4−tert−butylphenyl−1,3,4−oxadiazole)(PBD))、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8−hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq3))などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も用いることができる。
本発明の有機EL素子に用いることができる基板として、ガラス、プラスチック等の種類は特に限定されることはなく、また、透明のものであれば特に制限は無いが、ガラス、石英、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。樹脂フィルムを用いた場合には、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能であり、特に好ましい。
本発明の有機EL素子における発光色は特に限定されるものではないが、白色発光素子は家庭用照明、車内照明、時計や液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
本発明の薄膜の製造方法の洗浄工程は、通常、−20〜+300℃の温度範囲、好ましくは10〜100℃、特に好ましくは15〜50℃で実施することができる。
<モノマーの合成>
(モノマー合成例1)
下記反応式に示すように、丸底フラスコに、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(50mmol)、4−ブロモベンジルブロミド(50mmol)、n−ヘキサン(200mL)、テトラブチルアンモニウムブロミド(2.5mmol)及び50質量%水酸化ナトリウム水溶液(36g)を加え、窒素下、70℃で6時間加熱攪拌した。
(合成例1)
下記反応式に示すように、密閉可能なフッ素樹脂製容器に、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(0.4mmol)、4,4’−ジブロモ−4’−n−ブチルトリフェニルアミン(0.32mmol)、重合可能な置換基を有するモノマーA(0.16mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.008mmol)、2M炭酸カリウム水溶液(5.3ml)、Aliquat336(0.4mmol)及びアニソール(4ml)を入れ、窒素雰囲気下、密閉容器中、マイクロ波を照射して90℃、2時間加熱撹拌した。
[実施例1]
ITOを1.6mm幅にパターンニングしたガラス基板上に、PEDOT:PSS分散液(シュタルク・ヴィテック社製、AI4083 LVW142)を1500min−1でスピン塗布し、ホットプレート上で空気中200℃/10分加熱乾燥して正孔注入層(40nm)を形成した。以後の実験は乾燥窒素環境下で行った。
また、寿命特性として、定電流を印加しながらトプコン株式会社製BM−7で輝度を測定し、輝度が初期輝度(1000cd/m2)から半減する時間を測定したところ、60時間であった。
正孔輸送層を形成した後の洗浄工程に用いる溶液を、トリエチルアミンの0.5質量%トルエン溶液(50ml)に変更した以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。この有機EL素子に電圧を印加したところ、3.5Vで赤色発光が観測され、輝度1000cd/m2における電流効率は8.03cd/A、電力効率は2.98lm/Wであった。また寿命特性を測定したところ、101時間で輝度が半減した。
正孔輸送層を形成した後に洗浄工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。この有機EL素子に電圧を印加したところ、3.5Vで赤色発光が観測され、輝度1000cd/m2における電流効率は4.87cd/A、電力効率は1.91lm/Wであった。また寿命特性を測定したところ、46時間で輝度が半減した。
[実施例3]
実施例1と同様にして、PEDOT:PSS分散液を用いて正孔注入層(40nm)を、オリゴマーAと光開始剤(実施例1と同じ)を用いて正孔輸送層を形成した。この基板をトルエン(50ml)に浸漬し、10秒間揺り動かして洗浄した。
この白色有機EL素子および照明装置に電圧を印加したところ、均一な白色発光が観測された。
正孔輸送層の洗浄工程を行わなかった以外、実施例3と同様にして白色有機EL素子および照明装置を作製した。
この白色有機EL素子および照明装置に電圧を印加したところ、白色発光が観測されたが、発光寿命は実施例3の1/3であった。
2 陽極
3 正孔注入層
4 陰極
5 電子注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 基板
Claims (21)
- 積層構造を有する有機薄膜の製造方法において、電荷輸送性ユニットを有する化合物(以下、電荷輸送性化合物と呼ぶ)とイオン性化合物とを含む薄膜(以下、電荷輸送膜と呼ぶ)を洗浄する工程(以下、洗浄工程と呼ぶ)、前記薄膜上にさらに薄膜を形成する工程を含むことを特徴とする有機薄膜の製造方法。
- 電荷輸送性ユニットが、芳香族アミン、カルバゾール、チオフェンのいずれかである請求項1記載の有機薄膜の製造方法。
- イオン性化合物が、オニウム塩であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機薄膜の製造方法。
- 電荷輸送性化合物が、ポリマー又はオリゴマーである請求項1〜3のいずれかに記載の有機薄膜の製造方法。
- ポリマー又はオリゴマーが一つ以上の重合可能な置換基を有することを特徴とする請求項4に記載の有機薄膜の製造方法。
- 重合可能な置換基が、オキセタン基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリレート基、メタクリレート基のいずれかであることを特徴とする請求項5に記載の有機薄膜の製造方法。
- 電荷輸送膜中に重合開始剤が含まれていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有機薄膜の製造方法。
- 重合開始剤としてイオン性化合物を含むことを特徴とする請求項7記載の有機薄膜の製造方法。
- 洗浄工程で使用する洗浄剤において、洗浄剤が塩基性化合物を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の有機薄膜の製造方法。
- 洗浄工程で使用する洗浄剤において、洗浄剤が塩基性化合物と溶媒とを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の有機薄膜の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の有機薄膜の製造方法により製造されてなる有機薄膜。
- 請求項11に記載の有機薄膜を有することを特徴とする有機エレクトロニクス素子。
- 基板上に、請求項11に記載の有機薄膜を有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子。
- 有機薄膜が正孔注入層であることを特徴とする請求項13記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
- 有機薄膜が正孔輸送層であることを特徴とする請求項13に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
- 有機薄膜が発光層であることを特徴とする請求項13に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
- 基板が、フレキシブル基板であることを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
- 基板が、樹脂フィルムであることを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
- 請求項13〜18のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子。
- 請求項13〜18のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置。
- 請求項20に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子と、を備えた表示素子。
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