JP2011080578A - メカニカルシール - Google Patents
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Abstract
【課題】 従動環の従動性を阻害しないメカニカルシールを提供する
【解決手段】 Oリング3と押圧リング4は、ケーシングCに形成された収納溝5に収納されており、Oリング3は押圧リング4に押圧されて、ケーシングCと従動環1に密着してケーシングCと従動環1の間を従動可能にシールし、機内Yと大気X側の間をシールする。
【選択図】 図1
Description
この発明は、メカニカルシールに関する。
メカニカルシールは、回転軸に装着された回転環とケーシング(機器)側に装着された非回転環の端面を摺動接触させて摺動シール面を形成することにより、回転軸とケーシング(機器)との間をシールする装置として、種々の分野において広く使用されている。
前記摺動シール面は、使用するに従って摩耗するため、これを補償する必要があり、また振動や軸振れに追随するために、前記回転環か非回転環のどちらかを軸線方向に移動可能な従動環として構成するのが普通である。
従動環は、前記したようにケーシング或は回転軸に装着されるが、これら装着体との間はOリングによりシールされ、該Oリングとの摺動により従動可能に構成して、フローティングパッキンとするのが普通である。
Oリングは周知のように、所定の圧力を加えることにより対象物に密着してシール機能を発揮するものであるが、メカニカルシールの場合、フローティングパッキンであるOリングは、通常ケーシング或は回転軸である装着体に形成された溝に装着され、該溝をOリングの断面径よりも小さな径の溝として、この溝により締代を与えて装着体に密着させる構成を採用している。
前記摺動シール面は、使用するに従って摩耗するため、これを補償する必要があり、また振動や軸振れに追随するために、前記回転環か非回転環のどちらかを軸線方向に移動可能な従動環として構成するのが普通である。
従動環は、前記したようにケーシング或は回転軸に装着されるが、これら装着体との間はOリングによりシールされ、該Oリングとの摺動により従動可能に構成して、フローティングパッキンとするのが普通である。
Oリングは周知のように、所定の圧力を加えることにより対象物に密着してシール機能を発揮するものであるが、メカニカルシールの場合、フローティングパッキンであるOリングは、通常ケーシング或は回転軸である装着体に形成された溝に装着され、該溝をOリングの断面径よりも小さな径の溝として、この溝により締代を与えて装着体に密着させる構成を採用している。
しかし、該Oリングの締代は、Oリング自体の線径や溝の径の公差などによって、変動する問題がある。締代が大きくなると、Oリングと従動環との間の抵抗が大きくなり、従動環の従動が阻害され、シール性能の悪化をもたらす問題がある。また、逆に締代が小さくなるとOリングと従動環との間のシール性が悪くなる問題がある。
このため、Oリングの締代を溝の径により与えるのではなく、Oリングにガータースプリングなどを装着して半径方向に押圧力を加え、軸線方向にはスプリングにより押圧力を加えるように構成する提案もなされているが、半径方向と軸線方向の両方の押圧力付与のため部品が必要であるため、部品点数が多くなり、構造が複雑になり、コスト高となる問題がある。
また、Oリングの太さ(断面径)を大きくして、溝の径の公差の影響を低減する方法も考えられるが、Oリングの断面径を大きくすると、従動環との接触面積が大きくなり、摺動抵抗が増して従動性を阻害する欠点がある。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
このため、Oリングの締代を溝の径により与えるのではなく、Oリングにガータースプリングなどを装着して半径方向に押圧力を加え、軸線方向にはスプリングにより押圧力を加えるように構成する提案もなされているが、半径方向と軸線方向の両方の押圧力付与のため部品が必要であるため、部品点数が多くなり、構造が複雑になり、コスト高となる問題がある。
また、Oリングの太さ(断面径)を大きくして、溝の径の公差の影響を低減する方法も考えられるが、Oリングの断面径を大きくすると、従動環との接触面積が大きくなり、摺動抵抗が増して従動性を阻害する欠点がある。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、装着体に対して軸線方向に従動可能に装着された従動環を有するメカニカルシールにおいて、前記従動環と装着体の間に該従動環を軸線方向に従動可能なように装着され、該従動環と装着体の間を低圧側と高圧側とにシールするOリングと、該Oリングを従動環と装着体に押圧する紐状体と、前記装着体に形成された環状の溝であって、前記Oリングと紐状体を収納し、前記紐状体に締代を付与する溝と、を有し、前記環状の溝が内周面と、高圧側側面と低圧側側面とを有し、前記紐状体は前記内周面と高圧側面とに接触し、所定の締代を付与され、前記Oリングは、該紐状体により押圧されて、従動環と低圧側側面とに接触し、シール部を形成する、ことを特徴とするメカニカルシール。
本発明のメカニカルシールによれば、溝の公差は押圧リングにより吸収され、Oリングと従動環との摺動抵抗への影響は抑制される。また、Oリングの径を大きくする必要がなく、接触面積の増大による摺動抵抗の増大がない、等の効果がある。
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のメカニカルシールユニットAの一実施例を示す断面図である。
このメカニカルシールユニットAは、回転軸J上に装着され、回転軸JとケーシングCとの間をシールし、機内Y側からの大気X側への漏れをシールする構成になっている。機内Y側は高圧、大気X側は低圧になっている。
図1は、本発明のメカニカルシールユニットAの一実施例を示す断面図である。
このメカニカルシールユニットAは、回転軸J上に装着され、回転軸JとケーシングCとの間をシールし、機内Y側からの大気X側への漏れをシールする構成になっている。機内Y側は高圧、大気X側は低圧になっている。
メカニカルシールユニットAは、従動環1と非従動環2を有し、従動環1と非従動環2が形成する摺動シール面Sにより、ケーシングCの機内Yをシールするように構成されている。
従動環1は、装着体であるケーシングC側に従動可能に装着された非回転環であり、Oリング3と押圧リング4を介してケーシングCに装着されている。ケーシングCと従動環1との間はOリング3により従動可能にシールされている。
一方非従動環2は回転軸J上に回転可能に装着され、ねじ21により回転軸J上に固定されており、非従動の回転環になっている。非従動環2と回転軸Jの間はOリング20によりシールされている。
Oリング3と押圧リング4は、ケーシングCに形成された収納溝5に収納されており、Oリング3は押圧リング4に押圧されて、ケーシングCと従動環1に密着してケーシングCと従動環1の間を従動可能にシールし、機内Yと大気X側の間をシールするように構成されている。
収納溝5は、ケーシングCの内周側面に円環状に形成されており、内周面52と機内Y側の高圧側側面53と大気X側の大気側側面54とを有する。
押圧リング4は、Oリングであって、図3に示すように切断部45においてその1ヶ所を切断した弾性を有する紐状体になっており、収納溝5内に簡単に装着できるようになっている。押圧リング4として、Oリング以外の他の弾性を有するものを使用可能である。
図2に示すように、Oリング3は、半径方向の切断面において、所定の直径aを有し、押圧リング4も半径方向の切断面において、所定の直径bを有しており、直径a<直径bになっている。直径a=直径bであっても良いが、直径aを大きくすると、従動環1との接触面積が大きくなり、摺動抵抗が大きくなって従動性を阻害するので最大直径a=直径bとする。
この押圧リング4により、Oリング3そのものの公差と収納溝5の公差の影響を吸収し、Oリング3を押す力の変化を少なくすることができるため、Oリング3と従動環1との摺動抵抗の変動を少なくすることができる。またOリング3の直径aを大きくする必要がないため、従動環1との接触面積を増加させることがなく、従動環1の従動性を阻害しない。
図2に示すように、Oリング3の半径方向切断面の中心O3と押圧リング4の半径方向切断面の中心O4を結ぶ直線L上の接触部Pにおいて、Oリング3は押圧リング4と接触し押圧され、従動環1及び低圧側側面54方向に押されるようになっている。
直線Lと従動環1の外周側面15とのなす角度θを0<θ<90の範囲に設定してある。この実施形態では約θ=45度に設定してある。θ=45度とした場合、Oリング3は従動環1とケーシングCに対して同一の押圧力で密着するため、θ=45度とするのが望ましい。また、この角度θを変えることにより、シール部S1とシール部S2におけるOリング3の押圧力を変えることが可能である。
なお、外周側面15は回転軸Jの軸心とほぼ平行であるから、前記角度θは直線Lと軸心とのなす角度と定義できる。
直線Lと従動環1の外周側面15とのなす角度θを0<θ<90の範囲に設定してある。この実施形態では約θ=45度に設定してある。θ=45度とした場合、Oリング3は従動環1とケーシングCに対して同一の押圧力で密着するため、θ=45度とするのが望ましい。また、この角度θを変えることにより、シール部S1とシール部S2におけるOリング3の押圧力を変えることが可能である。
なお、外周側面15は回転軸Jの軸心とほぼ平行であるから、前記角度θは直線Lと軸心とのなす角度と定義できる。
収納溝5は、その半径方向の深さ50と軸線方向の幅51のサイズを、押圧リング4に対して所定の締代40を付与するように設定してある。
即ち、Oリング3と押圧リング4の組み合わせの径方向の断面長さdに対してd>深さ50となっている。厳密にはd>深さ50+gとなっている。gはケーシングCの内周側面と従動環1の外周側面との間のギャップgである。
またOリング3と押圧リング4の組み合わせの軸線方向の幅eに対してe>幅51となるように、収納溝5の寸法を限定している。
この構成により、押圧リング4は収納溝5の内周面52と機内Y側の側面である高圧側側面53により、締代40、40を付与される構成になっている。
即ち、Oリング3と押圧リング4の組み合わせの径方向の断面長さdに対してd>深さ50となっている。厳密にはd>深さ50+gとなっている。gはケーシングCの内周側面と従動環1の外周側面との間のギャップgである。
またOリング3と押圧リング4の組み合わせの軸線方向の幅eに対してe>幅51となるように、収納溝5の寸法を限定している。
この構成により、押圧リング4は収納溝5の内周面52と機内Y側の側面である高圧側側面53により、締代40、40を付与される構成になっている。
この押圧リング4に付与される締代40により、押圧リング4は接触部PにおいてOリング3を押圧し、Oリング3は直線L方向に押圧され、従動環1の外周側面15に対してF1の押圧力で押されて、外周側面15との間でシール部S1を形成し、またケーシングCの収納溝5の大気側の側面である低圧側側面54に対して押圧力F2で押されて、シール部S2を形成し、ケーシングCと従動環1との間を従動可能にシールするように構成されている。
また押圧リング4には切断部45が形成されているため、Oリング3に対する機内Y側の高圧を遮断することがない。
また押圧リング4には切断部45が形成されているため、Oリング3に対する機内Y側の高圧を遮断することがない。
収納溝5には、低圧側側面54に収納溝5内部において高圧側側面53方向に突出する突条55が形成されている。突条55は軸線方向に所定長さの幅57を有し、半径方向に所定の深さ56を有しており、突条55内部に段差を形成するようになっている。低圧側側面54には、突条55のない部分がOリングの直径直径a以上の長さ(深さ)だけ残るように、突条55の深さ56を制限している。
この突条55により押圧リング4を高圧側側面53側に安定して装着でき、その結果Oリング3を低圧側側面54と外周側面15に接触するように容易に装着できる。
この突条55により押圧リング4を高圧側側面53側に安定して装着でき、その結果Oリング3を低圧側側面54と外周側面15に接触するように容易に装着できる。
図3に、Oリング3と押圧リング4の全体的な断面図を示す。Oリング3は所定の内径r1と外径r2を有し、押圧リング4は所定の内径R1と外径R2を有する。前記したように角度θを0<θ<90とするためには、R2>r2>R1>r1とする必要があることは明らかである。なお、r2=r1+2a、R2=R1+2bとなる。
好適な実施形態においては、最初に回転軸Jの径に応じたOリング3の径r1直径aを決定し、次に図2に示す角度θを決定する。このθにより、押圧力F1、F2の分圧が決定できるので、目的に応じてθを決定する。通常は45度とする。次に押圧リング4の直径bと収納溝5の深さ50と幅51を、適切な締代40を得られように、決定する。押圧リンツ4の長さは、切断部45の離間幅(カット幅)をできるだけ小さくするように決定する。
押圧リング4としては、前記したように一箇所が切断されたOリング或は弾性を有する紐状のものを使用可能である。
押圧リング4としては、前記したように一箇所が切断されたOリング或は弾性を有する紐状のものを使用可能である。
図4により組み立て方法を説明する。
まず、収納溝5に押圧リング4を装着する。押圧リング4は内周面52と高圧側側面53に接触させて装着する(ア)。
次にOリング3を溝5に挿入する。Oリング3は低圧側側面54に接触させ、押圧リング4に接触する(イ)。
そして、ケーシングCと軸Jの間に従動環1を押し込む。これにより押圧リング4に締代40、40が付与され、Oリング3は押圧リング4に押されて低圧側側面54と従動環1の外周側面15に接触、押圧されてシール部S1、S2を形成する。
まず、収納溝5に押圧リング4を装着する。押圧リング4は内周面52と高圧側側面53に接触させて装着する(ア)。
次にOリング3を溝5に挿入する。Oリング3は低圧側側面54に接触させ、押圧リング4に接触する(イ)。
そして、ケーシングCと軸Jの間に従動環1を押し込む。これにより押圧リング4に締代40、40が付与され、Oリング3は押圧リング4に押されて低圧側側面54と従動環1の外周側面15に接触、押圧されてシール部S1、S2を形成する。
上記実施形態では、押圧リング4としてOリングを用いたが、他の弾性を有するリング或は紐状体を用いることも可能である。またOリングよりも硬度の低い軟質材を用いることも可能である。
以上の構成によれば、Oリング3は押圧リング4に押圧されて従動環1とケーシングCに密着し、シール部S1とシール部S2を形成する。収納溝5のサイズ、特に深さ50に公差があっても、その公差は押圧リング4により吸収され、押圧力F1に大きな影響は及ぼさない。そのため従動環1の従動方向の動きを阻害することがなく、良好なシール性能を維持できる。
また、Oリング3の断面の直径aを大きくする必要がないため、接触面積の増加による摺動抵抗の増加がなく、同様に従動環1の従動性を阻害することがない。
また、Oリング3の断面の直径aを大きくする必要がないため、接触面積の増加による摺動抵抗の増加がなく、同様に従動環1の従動性を阻害することがない。
1:従動環、2:非従動環、3:Oリング、4:押圧リング、5:収納溝、10:スプリング、11:廻り止め、15:外周側面、20:Oリング、21:ねじ、40:締代、45:切断部45、51:幅、52:内周面、53:高圧側側面53、54:低圧側側面54、55:突条、56:深さ、57:幅。
Claims (4)
- 装着体に対して軸線方向に従動可能に装着された従動環を有するメカニカルシールにおいて、
前記従動環と装着体の間に該従動環を軸線方向に従動可能なように装着され、該従動環と装着体の間を低圧側と高圧側とにシールするOリングと、
該Oリングを従動環と装着体に押圧する紐状体と、
前記装着体に形成された環状の溝であって、前記Oリングと紐状体を収納し、前記紐状体に締代を付与する溝と、を有し、
前記環状の溝が内周面と、高圧側側面と低圧側側面とを有し、
前記紐状体は前記内周面と高圧側面とに接触し、所定の締代を付与され、
前記Oリングは、該紐状体により押圧されて、従動環と低圧側側面とに接触し、シール部を形成する、
ことを特徴とするメカニカルシール。 - 前記Oリングの半径方向の切断面の中心と前記紐状体の半径方向の切断面の中心とを結ぶ直線と前記従動環の外周側面とのなす角度θが、0<θ<90度である、
請求項1のメカニカルシール。 - 前記溝には、前記低圧側側面から高圧側側面へと突出する突条が形成され、該突条は前記内周面から所定の長さ形成され、前記低圧側側面には突条のない部分が残され、該突条のない部分は前記Oリングの半径方向切断面の直径以上の長さを有する、
請求項1又は2のメカニカルシール。 - 前記紐状体は、Oリングの一箇所を切断したものである、
請求項1又は2又は3のメカニカルシール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009235816A JP2011080578A (ja) | 2009-10-12 | 2009-10-12 | メカニカルシール |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2009235816A JP2011080578A (ja) | 2009-10-12 | 2009-10-12 | メカニカルシール |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011080578A true JP2011080578A (ja) | 2011-04-21 |
Family
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Family Applications (1)
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JP2009235816A Pending JP2011080578A (ja) | 2009-10-12 | 2009-10-12 | メカニカルシール |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2011080578A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7433588B2 (ja) | 2019-10-16 | 2024-02-20 | エス・ピー・ジーテクノ株式会社 | 円筒状多孔質膜用モジュール |
-
2009
- 2009-10-12 JP JP2009235816A patent/JP2011080578A/ja active Pending
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JP7433588B2 (ja) | 2019-10-16 | 2024-02-20 | エス・ピー・ジーテクノ株式会社 | 円筒状多孔質膜用モジュール |
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