JP2011078173A - ブラシレスモータの制御装置 - Google Patents

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Masato Kanehara
雅人 金原
Tetsuya Kichijima
哲也 吉島
Koichi Kokubo
浩一 小久保
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Abstract

【課題】ソフトウェア処理により磁極信号に重畳するノイズや波形振動を除去して駆動制
御の精度を維持でき、回路構成の簡易なブラシレスモータの制御装置を提供する。
【解決手段】回転磁石形ブラシレスモータの複数の磁極信号SMU、SMV、SMWの立
ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミング(t1〜t10)を検出するタイミング
検出手段と、複数の磁極信号にノイズn1が重畳していない状態において前記タイミング
が発生する正規順序(エッジ変数EG=1〜6)を記憶する順序記憶手段と、検出された
前記タイミングの発生順序と正規順序とを比較する順序比較手段と、順序比較手段の比較
結果に基づいて、複数の磁極信号に重畳したノイズn1を除去(発生時刻t6およびt7
を破棄)するノイズ除去手段と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、ブラシレスモータの制御装置に関する。
回転子に永久磁石を有し固定子にコイルを有する回転磁石形のブラシレスモータにおい
ては、磁界変化を検出してパルス波形の磁極信号を出力する磁極検出器として例えばホー
ルセンサを固定子側に設ける場合が多い。そして、モータ制御装置は、ホールセンサから
出力される磁極信号を取得して回転子の磁極位置を検出し、当該検出結果に基づいてブラ
シレスモータを駆動するための駆動信号を生成している。そのため、この種の制御装置で
は、磁極信号にノイズが重畳すると、磁極位置が正確に検出できなくなり、ブラシレスモ
ータの駆動制御を精度良く行うことができなくなる。
磁極信号に重畳するノイズを除去する方策として、例えば特許文献1に「ブラシレスモ
ータの回転信号検出回路」が開示されている。この回転信号検出回路は、異なる周波数特
性を有してホール素子(ホールセンサ)からの出力の回転信号を濾波する第1および第2
のフィルタを備え、低回転時と高回転時でフィルタを使い分けるようになっている。これ
により、低回転および高回転のそれぞれの回転時にノイズが除去されるため、精度良くブ
ラシレスモータの駆動制御を行うことができる、とされている。
特開2000−78881号公報
ところで、特許文献1の回転信号検出回路では、ホールセンサ1個あたりフィルタが2
回路必要で、ホールセンサを三相とすればフィルタが6回路必要となり、回路構成やフィ
ルタの切替制御が複雑化するとともに製作コストも上昇する。また、ノイズの波形によっ
ては、フィルタで必ずしも完全に除去できるとは限らず、検出波形の変歪などによりブラ
シレスモータの駆動制御の精度が低下するおそれがある。
さらに、ノイズが重畳しない正常な状態において、ホールセンサから出力されるパルス
波形の磁極信号に波形振動が生じる場合がある。波形振動は、リレーやスイッチのチャタ
リングに類似しており、磁極信号の立ち上がりまたは立ち下がりの付近に発生する。この
波形振動の周波数成分には本来の磁極信号とラップする部分があり、フィルタによる除去
は難しい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、ソフトウェア処理により磁極信号に重畳
するノイズや波形振動を除去して駆動制御の精度を維持でき、回路構成の簡易なブラシレ
スモータの制御装置を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する請求項1に係るブラシレスモータの制御装置の発明は、回転子に永
久磁石を有し固定子にコイルを有するブラシレスモータの前記永久磁石の磁極位置を示す
パルス信号である複数の磁極信号を取得し、該磁極信号に基づいて前記ブラシレスモータ
を制御する制御装置において、前記複数の磁極信号の立ち上がりタイミングおよび立ち下
がりタイミングを検出するタイミング検出手段と、前記複数の磁極信号にノイズが重畳し
ていない状態において前記立ち上がりタイミングおよび前記立ち下がりタイミングが発生
する正規順序を記憶する順序記憶手段と、検出された前記立ち上がりタイミングおよび前
記立ち下がりタイミングの発生順序と前記正規順序とを比較する順序比較手段と、前記順
序比較手段の比較結果に基づいて、前記複数の磁極信号に重畳したノイズを除去するノイ
ズ除去手段と、を備えることを特徴とする。
請求項2に係るブラシレスモータの制御装置の発明は、回転子に永久磁石を有し固定子
にコイルを有するブラシレスモータの前記永久磁石の磁極位置を示すパルス信号である複
数の磁極信号を取得し、該磁極信号に基づいて前記ブラシレスモータを制御する制御装置
において、前記複数の磁極信号の立ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミングを検
出するタイミング検出手段と、前記複数の磁極信号にノイズが重畳していない状態におい
て前記立ち上がりタイミングおよび前記立ち下がりタイミングが発生する正規順序を記憶
する順序記憶手段と、前記タイミング検出手段が或る第1相の立ち上がりタイミングまた
は立ち下がりタイミングを検出してから前記正規順序にしたがった次の第2相の立ち下が
りタイミングまたは立ち上がりタイミングを検出するまでの間に、前記第1相で立ち下が
りタイミングまたは立ち上がりタイミングを検出した場合に、当該第1相にノイズが重畳
したことを検出するノイズ検出手段と、前記ノイズ検出手段によるノイズ検出結果に基づ
いて前記第1相に重畳した前記ノイズを除去するノイズ除去手段と、を備えることを特徴
とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または2において、前記ノイズが重畳している磁極信
号の複数の立ち上がりタイミングまたは立ち下がりタイミングに対してそれぞれ暫定パル
ス幅を求め、過去のパルス幅から前記暫定パルス幅に対応する仮想パルス幅を類推し、該
仮想パルス幅に最も近い暫定パルス幅を確定パルス幅とし、該確定パルス幅に対応した立
ち上がりタイミングまたは立ち下がりタイミング以外のタイミングをノイズに起因したタ
イミングであると特定するノイズ特定手段を備えていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3において、前記複数の磁極信号の立ち上がりタイミン
グおよび立ち下がりタイミングから求めたパルス幅に基づいて前記ブラシレスモータの回
転速度を演算する回転速度演算手段を備えるブラシレスモータの制御装置において、前記
ノイズ除去手段は、前記磁極信号に多数のノイズが重畳して所定数以上の立ち上がりタイ
ミングまたは立ち下がりタイミングを検出した場合に前記多数のノイズの除去を行わず、
前記回転速度演算手段は、前回用いたパルス幅を代用し、あるいは複数個分のパルス幅を
等分割したパルス幅を代用して前記回転速度を演算することを特徴とする。
請求項5に係るブラシレスモータの制御装置の発明は、回転子に永久磁石を有し固定子
にコイルを有するブラシレスモータの前記永久磁石の磁極位置を示すパルス信号である複
数の磁極信号を取得し、該磁極信号に基づいて前記ブラシレスモータを制御する制御装置
において、前記三相の磁極信号の立ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミングを検
出するタイミング検出手段と、検出された前記立ち上がりタイミングおよび前記立ち下が
りタイミングに基づいて、前記三相の磁極信号の同一時刻における信号レベルの高低を取
得するレベル取得手段と、取得した三相の信号レベルが高レベルまたは低レベルで揃った
ときに、前記三相の磁極信号のいずれかにノイズが重畳したことを検出するノイズ検出手
段と、前記ノイズ検出手段によるノイズ検出結果に基づいて、前記ノイズを除去するノイ
ズ除去手段と、を備えることを特徴とする。
請求項1に係るブラシレスモータの制御装置の発明では、タイミング検出手段が検出し
た複数の磁極信号の立ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミングの発生順序を、順
序比較手段が順序記憶手段に記憶された正規順序と比較し、ノイズ除去手段が正規順序か
ら外れた磁極信号の立ち上がりおよび立ち下がりをノイズとして除去する。このため、ノ
イズ除去後の磁極信号の立ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミングに基づいて、
ブラシレスモータの駆動制御を精度良く行うことができる。また、タイミング検出手段、
順序記憶手段、順序比較手段、ノイズ除去手段の各手段はソフトウェアを主体にして実現
可能であり、従来のフィルタ回路が不要となってハードウェア回路構成が簡易になる。
請求項2に係る発明では、タイミング検出手段が検出した複数の磁極信号の立ち上がり
タイミングおよび立ち下がりタイミングと、順序記憶手段に記憶された正規順序とに基づ
いて、ノイズ検出手段が或る第1相にノイズが重畳したことを検出し、その検出結果に基
づいてノイズを除去する。このため、ノイズ除去後の磁極信号の立ち上がりタイミングお
よび立ち下がりタイミングに基づいて、ブラシレスモータの駆動制御を精度良く行うこと
ができる。また、タイミング検出手段、順序記憶手段、ノイズ検出手段、ノイズ除去手段
の各手段はソフトウェアを主体にして実現可能であり、従来のフィルタ回路が不要となっ
てハードウェア回路構成が簡易になる。
請求項3係る発明では、ノイズ特定手段は、ノイズが重畳している磁極信号の複数の立
ち上がりタイミングまたは立ち下がりタイミングに対してそれぞれ暫定パルス幅を求め、
過去のパルス幅から暫定パルス幅に対応する仮想パルス幅を類推し、仮想パルス幅に最も
近い暫定パルス幅を確定パルス幅とし、確定パルス幅に対応した立ち上がりタイミングま
たは立ち下がりタイミング以外のタイミングをノイズに起因したタイミングであると特定
する。これにより、ノイズに起因する立ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミング
を精度良く特定することができる。
請求項4に係る発明では、ノイズ除去手段は、多数のノイズが重畳して所定数以上の立
ち上がりタイミングまたは立ち下がりタイミングを検出した場合にノイズの除去を行わず
、回転速度演算手段は、前回用いたパルス幅を代用し、あるいは複数個分のパルス幅を等
分割したパルス幅を代用して回転速度を演算する。つまり、多数のノイズが重畳したとき
に、ノイズを除去するための複雑な演算を省略して代用のパルス幅を簡易に求め、駆動制
御に有用な回転速度を演算することができる。これにより、ソフトウェアにおける演算負
荷の増加を抑制して演算の時間遅れによる欠測を回避するとともに、ブラシレスモータの
駆動制御を精度良く行うことができる。
請求項5に係る発明では、タイミング検出手段が検出した複数の磁極信号の立ち上がり
タイミングおよび立ち下がりタイミングに基づいて、レベル取得手段が三相の磁極信号の
同一時刻における信号レベルの高低を取得し、ノイズ検出手段が三相の信号レベルが高レ
ベルまたは低レベルで揃ったときにノイズが重畳したことを検出し、ノイズ除去手段がノ
イズ検出結果に基づいてノイズを除去する。このため、ノイズ除去後の磁極信号の立ち上
がりタイミングおよび立ち下がりタイミングに基づいて、ブラシレスモータの駆動制御を
精度良く行うことができる。また、タイミング検出手段、レベル取得手段、ノイズ検出手
段、ノイズ除去手段の各手段はソフトウェアを主体にして実現可能であり、従来のフィル
タ回路が不要となってハードウェア回路構成が簡易になる。
本発明の第1実施形態のブラシレスモータの制御装置(モータ制御装置)を説明する全体構成図である。 第1実施形態のモータ制御装置の機能を説明する波形の図である。 第1実施形態のモータ制御装置の作用を説明する図である。 U相磁極信号の立ち下がりの近傍にノイズが重畳したときの波形例である。 (1)はU相磁極信号の正規立ち下がりタイミングの直後に正極性ノイズが重畳したパターンの波形であり、(2)はU相磁極信号の正規立ち下がりタイミングの直前に負極性ノイズが重畳したパターンの波形である。 本発明の第2実施形態のブラシレスモータの制御装置(モータ制御装置)を説明する全体構成図である。 多数のノイズを検出したときに、回転速度演算手段が行う演算内容を説明する図である。 第2実施形態のモータ制御装置のメインフローを説明する図でありる。 第2実施形態のモータ制御装置の割り込みフローを説明する図である。 図8のメインフロー中のパルス幅演算の処理フローを説明する図である。
本発明を実施するための第1実施形態を、図1〜図3を参考にして説明する。図1は、
本発明の第1実施形態のブラシレスモータの制御装置1(モータ制御装置1)を説明する
全体構成図である。三相8極のブラシレスモータ91は、8極(4極対)の永久磁石を有
する回転子と、三相8極のコイルを有する固定子とで構成されている。固定子側には、永
久磁石の磁極位置を検出して三相パルス波形の磁極信号SMU、SMV、SMWを出力す
る磁極検出器として三相のホールセンサ92U、92V、92Wが設けられている。モー
タ制御装置1は、ホールセンサ92U、92V、92Wの各磁極信号SMU、SMV、S
MWを取得し、重畳するノイズを除去した後の磁極信号の立ち上がりタイミングおよび立
ち下がりタイミングに基づいて、ブラシレスモータ91を駆動するための駆動信号SCお
よび駆動電圧Vを生成するものである。
モータ制御装置1は、CPUを内蔵してソフトウェアで動作する電子制御装置を主体に
構成されており、機能的に、タイミング演算部95、制御演算部96、駆動電圧出力部9
7などに分けて考えることができる。タイミング演算部95は、ホールセンサ92U、9
2V、92Wが出力した三相の磁極信号SMU、SMV、SMWを取得し、重畳するノイ
ズを除去した後の磁極信号の立ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミングを制御演
算部96に受け渡す機能を有している。また、タイミング演算部95は、駆動制御に有用
なブラシレスモータ91の回転速度Nを演算して制御演算部96に受け渡す機能を有して
いる。制御演算部96は、立ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミングと回転速度
Nを基にして駆動信号SCを生成し、駆動電圧出力部97に送出するようになっている。
駆動電圧出力部97は、駆動信号SCにしたがって、電圧値および位相を調整した駆動電
圧Vをブラシレスモータ91のコイルに供給するようになっている。
図1に示されるように、タイミング演算部95は機能的に、エッジ検出部2、ノイズ除
去手段3、回転速度演算手段4で構成される。また、図2は、第1実施形態のモータ制御
装置1の機能を説明する波形の図であり、横軸を共通の時間軸として磁極信号SMU、S
MV、SMWの波形、エッジの発生時刻ti、エッジ変数EG、およびパルス幅Tiを示
している。
エッジ検出部2は、タイミング検出手段に相当するものであり、後述するように順序記
憶手段21を含んでいる。エッジ検出部2は、入力インターフェイス25を介して入力さ
れる磁極信号SMU、SMV、SMWのパルス波形の立ち上がりおよび立ち下がりのエッ
ジを検出し、エッジの発生時刻tiを記憶するようになっている。また、エッジの発生相
を特定し立ち上がりと立ち下がりとを区別するために、整数変数のエッジ変数EGを求め
るようになっている。図2を参考にして詳述すると、ブラシレスモータ91の正回転にお
ける正規順序として、エッジ変数EG=1でU相の立ち上がりタイミングを示し、同様に
EG=2でV相立ち下がり、EG=3でW相立ち上がり、EG=4でU相立ち下がり、E
G=5でV相立ち上がり、EG=6でW相立ち下がり、をそれぞれ示すようになっている
。なお、EG=6の次にEG=1に戻るのは当然である。したがって、正規順序はエッジ
変数EGが1ずつ増加する順序となり、エッジ検出部2は順序記憶手段21を含んでいる
ことになる。エッジ検出部2は、エッジを検出した都度、発生時刻tiおよびエッジ変数
EGをデータセットにしてノイズ除去手段3に送出する。
ノイズ除去手段3は、三相の磁極信号SMU、SMV、SMWに重畳したノイズを除去
するものであり、後述するように順序比較手段31を含んでいる。ノイズ除去手段3は、
順次取得したエッジ変数EGの値が前回取得したエッジ変数EG(−1)の値よりも1だ
け大きければ正規信号と判定し、異なる場合にはノイズと判定する。さらに、ノイズと判
定したときには、当該の発生時刻tiおよびエッジ変数EGのデータセットを破棄し、換
言すればノイズとして除去する。
図2の波形では、エッジの発生時刻tiの順番にしたがってエッジ変数EGは1〜6ま
で順次1ずつ増加し1に戻ってさらに1ずつ増加しているので、ノイズ除去手段3は全て
を正規信号と判定する。エッジ変数EGの値が前回値よりも1だけ大きいか否かを確認す
る機能が順序比較手段31に相当する。ノイズ除去手段3は、破棄しなかった発生時刻t
1〜t8を正規信号として、制御演算部96に受け渡す。また、ノイズ除去手段3は、発
生時刻t1〜t8を用いて下式により、磁極信号SMU、SMV、SMWの立ち上がりタ
イミングと立ち下がりタイミングとの間の時間を意味する各パルス幅Tiを演算する。
パルス幅Ti=t(i+1)−ti
ノイズ除去手段3は、演算したパルス幅Tiを回転速度演算手段4に送出する。
回転速度演算手段4は、パルス幅Tiを用いて下式により回転速度Nを演算する。式中
のP1はモータ91の相数、P2は極数であり、第1実施形態でP1=3,P2=8であ
る。
回転速度N=1/(Ti・P1・P2)
回転速度演算手段4は、演算した回転速度Nを制御演算部96に受け渡す。
次に、上述のように機能構成された第1実施形態のモータ制御装置1の作用について、
図3の波形例を参考にして説明する。図3は、第1実施形態のモータ制御装置1の作用を
説明する図であり、U相磁極信号SMUにノイズn1が重畳したときを示している。図示
されるように、U相立ち上がりが発生時刻t1で検出されエッジ変数EG=1が求められ
てから、V相立ち下がりが発生時刻t5で検出されエッジ変数EG=5が求められるまで
は、ノイズが重畳していない図2と同一の作用になる。つまり、ノイズ除去手段3は、こ
の間ではエッジ変数EG=が1ずつ増加していることから、正規信号と判定する。
次に、ノイズn1に起因してU相立ち上がりが発生時刻t6で検出されエッジ変数EG
=1が求められ、さらに、ノイズn1に起因してU相立ち下がりが発生時刻t7で検出さ
れエッジ変数EG=4が求められる。ここで、ノイズ除去手段3は、発生時刻t6のエッ
ジ変数EG=1に関して、前回の発生時刻t5のエッジ変数EG=5より1だけ大きいと
いう条件を満たさないことから、ノイズと判定して破棄する。破棄した発生時刻t6およ
びエッジ変数EG=1のデータセットは、以降の処理では無視する。次に、発生時刻t7
のエッジ変数EG=4についても、前回の発生時刻t5のエッジ変数EG=5より1だけ
大きいという条件を満たさないことから、ノイズと判定して破棄し無視する。
次に、W相立ち下がりが発生時刻t8で検出されエッジ変数EG=6が求められる。ノ
イズ除去手段3は、発生時刻t8のエッジ変数EG=6が前回の発生時刻t5のエッジ変
数EG=5より1だけ大きいので、正規信号と判定する。次に 再びU相立ち上がりが発
生時刻t9で検出されエッジ変数EG=1が求められ、さらに、V相立ち下がりが発生時
刻t10で検出されエッジ変数EG=2が求められる。ノイズ除去手段3は、エッジ変数
EGが6から1に戻りまた1ずつ増加していることから、発生時刻t9および10を正規
信号と判定する。
このようにして、ノイズ除去手段3は、ノイズと判定した発生時刻t6およびt7を破
棄し、正規信号と判定した発生時刻t1〜t5およびt8〜t10を制御演算部96に受
け渡す。発生時刻t1〜t5およびt8〜t10は、ノイズ除去後の磁極信号の正しい立
ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミングに相当するので、制御演算部96は精度
の良い駆動信号SCを生成できる。
また、ノイズ除去手段3は、正規信号と判定した発生時刻t1〜t5およびt8〜t1
0を用いてパルス幅T1〜T7を演算する。これにより、ノイズn1が重畳した時間帯に
おいて、パルス幅T5=t8−t5と正しく演算できる。当然、ノイズn1が重畳してい
ない時間帯でも、パルス幅T1〜T4、T6、T7を正しく演算できる。したがって、回
転速度演算手段4で、いずれのパルス幅T1〜T7を用いても正しく回転速度Nを演算で
きる。
第1実施形態のモータ制御装置1では、ノイズ除去手段3がエッジ変数EGの値を前回
値と比較することにより、磁極信号SMU、SMV、SMWの立ち上がりタイミングおよ
び立ち下がりタイミングの発生順序が正規順序であるか否かを判定し、正規順序から外れ
たノイズn1を除去する。一方、回転速度演算手段4は、ノイズn1を除去した後のパル
ス幅T1〜T7に基づいて正しく回転速度Nを演算できる。このため、制御演算部96は
、ノイズ除去後の磁極信号SMU、SMV、SMWの立ち上がりタイミングおよび立ち下
がりタイミングと回転速度Nに基づいて精度の良い駆動信号SCを生成でき、ブラシレス
モータ91の駆動制御を精度良く行うことができる。
また、エッジ検出部2、ノイズ除去手段3、回転速度演算手段4の各手段はソフトウェ
アを主体にして実現可能であり、従来のフィルタ回路が不要となってハードウェア回路構
成が簡易になる。
なお、図3で、U相磁極信号SMUにノイズn1が重畳した時間帯では、三相の磁極信
号SMU、SMV、SMWが高レベルで揃っている。三相の磁極信号SMU、SMV、S
MWのレベルが揃うことを監視する方式でも、第1実施形態と同等のノイズ検出性能を具
備できる。レベルを監視する方式のモータ制御装置は、エッジ検出部2に相当するタイミ
ング検出手段と、三相の磁極信号の同一時刻における信号レベルの高低を取得するレベル
取得手段と、三相の磁極信号にノイズが重畳したことを検出するノイズ検出手段と、ノイ
ズ検出手段によるノイズ検出結果に基づいてノイズを除去するノイズ除去手段と、を備え
て構成することができる。
次に、第2実施形態のモータ制御装置10を、図4〜図10を参考にして説明する。第
2実施形態のモータ制御装置10は、磁極信号SMU、SMV、SMWの立ち上がりまた
は立ち下がりの近傍にノイズが重畳したときに、これを特定して除去するようにしたもの
である。図4は、U相磁極信号SMUの立ち下がりの近傍にノイズnxが重畳したときの
波形例である。この波形例では、発生時刻t1のU相立ち上がりの後に発生時刻t2のV
相立ち下がりおよび発生時刻t3のW相立ち上がりが続き、その後に発生時刻t11、t
12、t13でそれぞれU相立ち下がり、立ち上がり、立ち下がりが続けて短い時間間隔
で発生している。この波形を第1実施形態のモータ制御装置1が検出したとき、発生順序
が正規順序から外れていることからノイズnxの重畳は判定できても、ノイズnxの特定
および除去は難しい。なぜなら、図4の波形は、図5に示される2パターンで生じ得るか
らである。
図5の(1)はU相磁極信号SMUの正規立ち下がりタイミングttの直後に正極性ノ
イズn2が重畳したパターンの波形であり、(2)はU相磁極信号の正規立ち下がりタイ
ミングttの直前に負極性ノイズn3が重畳したパターンの波形である。(1)の場合に
は前の立ち下がりの発生時刻t11が正規立ち下がりタイミングttとなり、(2)の場
合には後の立ち下がりの発生時刻t13が正規立ち下がりタイミングttとなる。図5の
(1)と(2)とを見分けることは、第1実施形態で立ち上がりおよび立ち下がりの発生
順序を比較するだけでは難しく、以降に説明する第2実施形態で可能となる。
図6は、本発明の第2実施形態のブラシレスモータの制御装置10(モータ制御装置1
0)を説明する全体構成図である。図示されるように、第2実施形態のモータ制御装置1
0は、図1の第1実施形態におけるノイズ除去手段3を、ノイズ検出手段5およびノイズ
特定除去手段6に置き換えたものであり、実際は電子制御装置のソフトウェアが異なる。
ブラシレスモータ91の構成、および、制御演算部96、駆動電圧出力部97、エッジ検
出部2の機能は、第1実施形態と同様であり、説明は省略する。
ノイズ検出手段5は、或る第1相の磁極信号の立ち上がりタイミングまたは立ち下がり
タイミングを検出してから正規順序にしたがった次の第2相の磁極信号の立ち下がりタイ
ミングまたは立ち上がりタイミングを検出するまでの間に、第1相の磁極信号の立ち下が
りタイミングまたは立ち上がりタイミングを検出した場合に、当該第1相にノイズが重畳
したことを検出するものである。ノイズ検出手段5は、エッジ検出部2から取得した発生
時刻tiおよびエッジ変数EGのデータセットを基にして、上述のようにしてノイズの重
畳相を特定するとともに、第1実施形態と同様にエッジ変数EGを前回値と比較する。
図4の波形例では、ノイズ検出手段5は、第1相に相当するU相磁極信号SMUの立ち
下がりタイミングを発生時刻t11で検出してから正規順序にしたがった次の第2相に相
当するV相磁極信号SMVの立ち上がりタイミングを発生時刻t5で検出するまでの間に
、U相磁極信号SMUの立ち下がりタイミング(発生時刻t13)および立ち上がりタイ
ミング(発生時刻t12)を検出する。したがって、ノイズ検出手段5は、発生順序が正
規順序でなく、第1相に相当するU相にノイズが重畳したことを検出する。なお、図4の
波形例では、立ち下がりタイミングの近傍にノイズが重畳しているが、立ち上がりタイミ
ングの近傍にノイズが重畳している場合も、同様に検出できる。また、外部から重畳する
ノイズに限らず、磁極信号SMU、SMV、SMWの立ち上がりまたは立ち下がりの付近
に発生するチャタリングに類似した波形振動も、同様に検出できる。
ノイズ検出手段5は、ノイズの重畳を検出したときに、立ち上がりタイミングおよび立
ち下がりタイミングに応じて第1〜第3フラグFLG1〜FLG3を立てる(1をセット
する)。図4の例では、発生時刻t12で第1フラグFLG1、発生時刻t13で第2フ
ラグFLG2をそれぞれ立てる。さらに、発生時刻t13の次にU相のエッジを検出した
ときには第3フラグFLG3を立てる。つまり、第1フラグFLG1が立つ場合は何らか
のノイズが重畳したことを示し、第2フラグFLG2が立つ場合は複数の立ち上がりタイ
ミングまたは立ち下がりタイミングの候補が生じていることを示す。また、第3フラグF
LG3が立つ場合は多数のノイズが重畳していることを示す。ノイズ検出手段5は、第1
〜第3フラグFLG1〜FLG3を用いて、ノイズの重畳の有無、および多数のノイズの
有無を、ノイズ特定除去手段6に連絡する。
ノイズ特定除去手段6は、ノイズ特定手段61を含み、かつノイズ特定手段61のノイ
ズ特定結果に基づいてノイズを除去する。ノイズ特定手段61は、ノイズが重畳している
磁極信号の複数の立ち上がりタイミングまたは立ち下がりタイミングに対してそれぞれ暫
定パルス幅を求め、過去のパルス幅から前記暫定パルス幅に対応する仮想パルス幅を類推
し、仮想パルス幅に最も近い暫定パルス幅を確定パルス幅とし、確定パルス幅に対応した
立ち上がりタイミングまたは立ち下がりタイミング以外のタイミングをノイズに起因した
タイミングであると特定するものである。ノイズ特定除去手段6は、発生時刻tiおよび
エッジ変数EGのデータセットを基にして、第1〜第3フラグFLG1〜FLG3を参照
しつつ、以降の演算処理を行う。
ノイズ特定除去手段6の演算処理では、まず、過去のパルス幅から後述の複数の暫定パ
ルス幅に対応する仮想パルス幅を類推する。図4の波形例で、仮想パルス幅T3Aは、前
回および前々回のパルス幅T2、T1を用いて、次式により求めることができる。
(1/T3A)=(1/T2)+{(1/T2)−(1/T1)}
上式において、各パルス幅T3A、T2,T1の逆数は回転速度の次元を有しており、回
転速度の変化率を前々回から今回まで延長して推定する手法により仮想パルス幅T3Aを
求めている。仮想パルス幅T3Aは、尤も確からしいと推定される量である。
次に、複数の立ち上がりタイミングまたは立ち下がりタイミングに対してそれぞれ暫定
パルス幅を求める。図4の波形例では、正規順序にしたがってW相立ち上がり(発生時刻
t3)の次となるU相立ち下がりの候補として発生時刻t11およびt13がある。それ
ぞれに対して、暫定パルス幅T31およびT33を次式により求める。T31=t11−
t3、T33=t13−t3。
次に、2つの暫定パルス幅T31およびT33を仮想パルス幅T3Aと比較して、近い
側を正しい確定パルス幅T3とする。そして、遠い側に起因した立ち上がりタイミングお
よび立ち下がりタイミングをノイズとして除去する。図5(1)のパターンでは、発生時
刻t11から求めたパルス幅T31を確定パルス幅T3として、発生時刻t12およびt
13を破棄する。図5(2)のパターンでは、発生時刻t13から求めたパルス幅T33
を確定パルス幅T3として、発生時刻t11およびt12を破棄する。つまり、ノイズに
起因した立ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミングを除去する。
ノイズ特定除去手段6は、破棄しないことが確定した都度、その発生時刻tiを制御演
算部96に受け渡す。また、ノイズ特定除去手段6は、破棄しない発生時刻tiからパル
ス幅Tiを演算した都度、回転速度演算手段4に送出する。なお、第3フラグFLG3が
立って多数のノイズを検出したとき、ノイズ特定除去手段6は、上述の演算を行わず、パ
ルス幅Tiに代えて多数のノイズを検出した旨を回転速度演算手段4に送出し、制御演算
部96に受け渡す。
回転速度演算手段4は、ノイズを除去した後の各パルス幅Tiから回転速度Nを演算し
、制御演算部96に受け渡す。また、回転速度演算手段4は、多数のノイズを検出した旨
を取得したとき、前回用いたパルス幅を代用し、あるいは複数個分のパルス幅を等分割し
たパルス幅を代用して回転速度Nを演算する。
図7は、多数のノイズを検出したときに、回転速度演算手段4が行う演算内容を説明す
る図である。図示されるように、発生時刻t1のU相立ち上がりの後に発生時刻t2のV
相立ち下がり、発生時刻t3のW相立ち上がりが検出されると、正規発生順序であること
からノイズは重畳していないと判定でき、ノイズ特定除去手段6はパルス幅T1(=t2
―t1)、T2=(t3−t2)を求める。回転速度演算手段4は、求めたパルス幅T1
、T2から回転速度Nを演算する。
ところが、次のU相立ち下がりで多数のノイズnmが重畳すると、正規の立ち下がり発
生時刻t4が得られなくなる。したがって、演算時刻tm3で、実測値に基づくパルス幅
T3の演算は行えない。このとき、回転速度演算手段4は、前回用いたパルス幅T2を今
回のパルス幅T3に代用する(T3=T2)。また、演算時刻tm4で用いる次のパルス
幅T4は、正規信号を検出した2個分のパルス幅TW(=t5―t3)の1/2で代用す
る(T4=TW/2)。なお、次のパルス幅T4は、2個分のパルス幅TWから今回のパ
ルス幅T3を差し引くようにしてもよい(T4=TW−T3)。
次に、上述した演算処理をリアルタイムで行う方法を、図8〜図10のフローチャート
を参考にして説明する。図8は、第2実施形態のモータ制御装置10のメインフローを説
明する図であり、図9は割り込みフローを説明する図である。また、図10は、メインフ
ロー中のパルス幅演算の処理フローを説明する図である。
図8に示されるように、まず、メインフローのステップM1で、モータ制御装置10の
内部状態を初期化するとともに、割り込みを受け付ける状態とする。すると、エッジ割り
込みが発生するたびに、図9の割り込みフローの処理を行う。割り込みフローのステップ
B1では、エッジ検出部2が磁極信号SMU、SMV、SMWのエッジを検出すると、メ
インフローがいずれのステップの処理を行っている途中であってもこれを中断し、割り込
みフローを優先して処理する。
次にステップB2で、エッジ検出部2は今回のエッジ変数EG(i+1)が前回のエッ
ジ変数EGiを記憶した整数変数Yよりも1だけ大きいか調べる。1だけ大きければ正規
順序の立ち上がりタイミングまたは立ち下がりタイミング(正規信号)が得られたと判定
して、ステップB3でそのときの発生時刻t(i+1)=txを記憶する。これは、図4
でU相磁極信号にノイズnxが重畳したときの前の立ち下がり発生時刻t11をひとまず
正規信号と仮置きして記憶することに相当する。次に、ステップB4で、整数変数Yを今
回求めたエッジ変数EG(i+1)に更新して、次回の割り込みを受け付けられる状態と
する。
次に、ステップB5で第1フラグFLG1を解除し、ステップB6で第3フラグFLG
3を解除する。第1および第3フラグFLG1、FLG3の初期設定値=0(解除状態)
であり、初回の割り込みで立っていることはあり得ない。しかしながら、割り込みは繰り
返して行われ、ノイズが重畳したときの割り込みで第1および第3フラグFLG1、FL
G3が立っていることもあり得る。そこで、ステップB3で正規信号が得られたことから
、ノイズが重畳していないことが確認でき、第1および第3フラグFLG1、FLG3を
解除する。
ステップB2の条件が満たされないときは、発生順序が正規順序から外れておりノイズ
と判定できる。このとき、ステップB7で、今回のエッジ変数EG(i+1)が前回のエ
ッジ変数EGiを記憶した整数変数Yよりも3だけ大きいか調べる。つまり、前回と同相
で逆方向(前回が立ち上がりなら今回は立ち下がり、前回が立ち下がりなら今回は立ち上
がり)であるかを調べる。条件が満たされると、同相で立ち上がりと立ち下がりが連続し
たことが判定できる。次に、ステップB8で第1フラグFLG1の状態を調べ、立ってい
なければステップB9で第1フラグFLG1を立てる、これは、図4でU相磁極信号にノ
イズが重畳したと判定できる発生時刻t12に相当する。ステップB8で第1フラグFL
G1が既に立っていれば複数のノイズが連続したと判定でき、ステップB10で第3フラ
グFLG3を立て、ステップB11で第2フラグFLG2を解除する。
ステップB7の条件が満たされないときは、ステップB12で、今回のエッジ変数EG
(i+1)が前回のエッジ変数EGiを記憶した整数変数Yと同じか調べる。同じであっ
て、かつステップB13で第3フラグFLG3が立っていないときに、ステップB14で
そのときの発生時刻tyを記憶する。これは、図4でU相の立ち下がり発生時刻t11と
同相で同じ立ち下がりの発生時刻t13を記憶することに相当する。さらに、ステップB
15で第2フラグFLG2を立て、正規な立ち下がりの候補が2つあることを示す。 ス
テップB12またはステップB13の条件が満たされないときは、エッジの発生順序によ
り直ちに除去できるノイズであり、発生時刻の記憶やフラグFLG1〜3の操作は行わな
い。
以上のエッジ割り込み処理により、発生時刻t(i+1)=tx、tyおよび各フラグ
FLG1〜FLG3が、メインフローの中断したステップに持ち帰られる。
図8のメインフローに戻り、ノイズ特定除去手段6は、ステップM2でパルス幅Tiを
演算する。パルス幅Ti演算処理の詳細は、図10に示されている。図10のステップS
1でまず、ノイズ特定除去手段6は、第2フラグFLG2の状態を確認する。第2フラグ
FLG2が立っていれば、ステップS2で仮想パルス幅TAを、前記の式を用いて演算す
る。次に、ステップS3で2つの発生時刻tx、tyに対して暫定パルス幅Tx、Tyを
次式により演算する。Tx=tx−ti、Ty=ty−ti。なお、tiは、2つの暫定
パルス幅Tx、Tyの共通の始点となる前回のエッジ発生時刻である。
次に、ステップS4で、2つの暫定パルス幅TxおよびTyからそれぞれ仮想パルス幅
TAを差し引いた残差を比較し、仮想パルス幅TAに近い側を確定パルス幅Tiとする。
つまり、前者Txが近ければ、ステップS5でTi=Txとし、後者Tyが近ければ、ス
テップS6でTi=Tyとする。さらに、後者の場合には、ステップS7で、txと仮置
きした今回のエッジ発生時刻t(i+1)をtyに置き換える。これにより、発生時刻t
(i+1)はtxまたはtyに確定する。ステップS5およびS7はステップS8で合流
し、第2フラグFLG2を解除する。
ステップS1で第2フラグFLG2が立っていないときには、ステップS9で、第1フ
ラグFLG1および第3フラグFLG3の状態を確認する。第1フラグFLG1および第
3フラグFLG3の少なくとも一方が立っていれば、ステップS10で今回のパルス幅T
iを前回のパルス幅T(i−1)で代用する。これは、第1フラグFLG1が立ちながら
第2フラグFLG2が立たずノイズが重畳しているとわかっていても複数の立ち上がりタ
イミングまたは立ち下がりタイミングの候補が検出されていない場合、および、第3フラ
グFLG3が立って多数のノイズが検出された場合の処理方法である。この場合、発生時
刻t(i+1)は、前回のパルス幅T(i−1)を代用したことで確定する。
また、ステップS9で、第1および第3フラグFLG1、FLG3のいずれも立ってい
なければ、ノイズが重畳していないか、あるいは重畳していても発生順序により直ちにノ
イズが除去された場合である。この場合、図9のエッジ割り込みの処理により発生時刻t
(i+1)=txのみが記憶され、発生時刻tyは記憶されていない。したがって、ステ
ップS11で発生時刻t(i+1)=txが正規信号と確定し、パルス幅Tiを演算でき
る。
以上のパルス幅演算の処理フローにより、演算されたパルス幅Tiがメインフローに持
ち帰られる。
続いてメインフローで、回転速度演算手段4は、ステップM3で回転速度Nを演算し、
ステップM4で回転速度Nを制御演算部96に受け渡す。これで、回転速度N演算の1サ
イクルが終了し、以降はステップM2〜M4を繰り返す。
第2実施形態のモータ制御装置10では、ノイズ特定除去手段6は、ノイズnxの重畳
により発生する複数の立ち上がりタイミングまたは立ち下がりタイミングに対してそれぞ
れ暫定パルス幅(T31およびT33、TxおよびTy)を求め、仮想パルス幅T3A、
TAに近い側の暫定パルス幅を正しい確定パルス幅T3、Tiとしてノイズを除去する。
したがって、磁極信号SMU、SMV、SMWの立ち上がりまたは立ち下がりの付近にノ
イズnxが重畳したり波形振動が発生したりしても確実に除去して、精度の良い駆動信号
SCを生成でき、ブラシレスモータ91の駆動制御を精度良く行うことができる。また、
回転速度Nを正しく演算できる。さらに、エッジ検出部2、ノイズ検出手段5、ノイズ特
定除去手段6、回転速度演算手段4の各手段はソフトウェアを主体にして実現可能であり
、従来のフィルタ回路が不要となってハードウェア回路構成が簡易になる。
さらに、多数のノイズnmが重畳したとき、ノイズ特定除去手段5はノイズの除去を行
わず、回転速度演算手段4は代用のパルス幅を用いて回転速度を演算する。これにより、
ソフトウェアにおける演算負荷の増加を抑制して演算の時間遅れによる欠測を回避すると
ともに、ブラシレスモータ91の駆動制御を精度良く行うことができる。
なお、第2実施形態において、暫定パルス幅は2個の場合で説明したが、演算処理時間
の許す範囲で3個以上の多数とすることもできる。また、多数のノイズが重畳したときに
、前回用いたパルス幅を代用する方法と、2個分のパルス幅の1/2で代用する方法とを
例示したが、これに限定されない。例えば、前記の仮想パルス幅TAを代用してもよく、
あるいは、3個分以上のパルス幅を等分割して求めたパルス幅を代用するようにしてもよ
い。
1、10:ブラシレスモータの制御装置(モータ制御装置)
2:エッジ検出部 21:順序記憶手段
3:ノイズ除去手段 31:順序比較手段
4:回転速度演算手段
5:ノイズ検出手段
6:ノイズ特定除去手段 61:ノイズ特定手段
91:ブラシレスモータ
92U、92V、92W:ホールセンサ
95:タイミング演算部 96:制御演算部 97:駆動電圧出力部
SMU、SMV、SMW:磁極信号
ti、t1〜t10:発生時刻 EG:エッジ変数
Ti、T1〜T7:パルス幅 FLG1〜FLG3:第1〜第3フラグ
N:回転速度 n1、n2、n3、nx、nm:ノイズ

Claims (5)

  1. 回転子に永久磁石を有し固定子にコイルを有するブラシレスモータの前記永久磁石の磁
    極位置を示すパルス信号である複数の磁極信号を取得し、該磁極信号に基づいて前記ブラ
    シレスモータを制御する制御装置において、
    前記複数の磁極信号の立ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミングを検出するタ
    イミング検出手段と、
    前記複数の磁極信号にノイズが重畳していない状態において前記立ち上がりタイミング
    および前記立ち下がりタイミングが発生する正規順序を記憶する順序記憶手段と、
    検出された前記立ち上がりタイミングおよび前記立ち下がりタイミングの発生順序と前
    記正規順序とを比較する順序比較手段と、
    前記順序比較手段の比較結果に基づいて、前記複数の磁極信号に重畳したノイズを除去
    するノイズ除去手段と、
    を備えることを特徴とするブラシレスモータの制御装置。
  2. 回転子に永久磁石を有し固定子にコイルを有するブラシレスモータの前記永久磁石の磁
    極位置を示すパルス信号である複数の磁極信号を取得し、該磁極信号に基づいて前記ブラ
    シレスモータを制御する制御装置において、
    前記複数の磁極信号の立ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミングを検出するタ
    イミング検出手段と、
    前記複数の磁極信号にノイズが重畳していない状態において前記立ち上がりタイミング
    および前記立ち下がりタイミングが発生する正規順序を記憶する順序記憶手段と、
    前記タイミング検出手段が或る第1相の立ち上がりタイミングまたは立ち下がりタイミ
    ングを検出してから前記正規順序にしたがった次の第2相の立ち下がりタイミングまたは
    立ち上がりタイミングを検出するまでの間に、前記第1相で立ち下がりタイミングまたは
    立ち上がりタイミングを検出した場合に、当該第1相にノイズが重畳したことを検出する
    ノイズ検出手段と、
    前記ノイズ検出手段によるノイズ検出結果に基づいて前記第1相に重畳した前記ノイズ
    を除去するノイズ除去手段と、
    を備えることを特徴とするブラシレスモータの制御装置。
  3. 請求項1または2において、前記ノイズが重畳している磁極信号の複数の立ち上がりタ
    イミングまたは立ち下がりタイミングに対してそれぞれ暫定パルス幅を求め、過去のパル
    ス幅から前記暫定パルス幅に対応する仮想パルス幅を類推し、該仮想パルス幅に最も近い
    暫定パルス幅を確定パルス幅とし、該確定パルス幅に対応した立ち上がりタイミングまた
    は立ち下がりタイミング以外のタイミングをノイズに起因したタイミングであると特定す
    るノイズ特定手段を備えていることを特徴とするブラシレスモータの制御装置。
  4. 請求項3において、前記複数の磁極信号の立ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイ
    ミングから求めたパルス幅に基づいて前記ブラシレスモータの回転速度を演算する回転速
    度演算手段を備えるブラシレスモータの制御装置において、前記ノイズ除去手段は、前記
    磁極信号に多数のノイズが重畳して所定数以上の立ち上がりタイミングまたは立ち下がり
    タイミングを検出した場合に前記多数のノイズの除去を行わず、前記回転速度演算手段は
    、前回用いたパルス幅を代用し、あるいは複数個分のパルス幅を等分割したパルス幅を代
    用して前記回転速度を演算することを特徴とするブラシレスモータの制御装置。
  5. 回転子に永久磁石を有し固定子にコイルを有するブラシレスモータの前記永久磁石の磁
    極位置を示すパルス信号である複数の磁極信号を取得し、該磁極信号に基づいて前記ブラ
    シレスモータを制御する制御装置において、
    前記三相の磁極信号の立ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミングを検出するタ
    イミング検出手段と、
    検出された前記立ち上がりタイミングおよび前記立ち下がりタイミングに基づいて、前
    記三相の磁極信号の同一時刻における信号レベルの高低を取得するレベル取得手段と、
    取得した三相の信号レベルが高レベルまたは低レベルで揃ったときに、前記三相の磁極
    信号のいずれかにノイズが重畳したことを検出するノイズ検出手段と、
    前記ノイズ検出手段によるノイズ検出結果に基づいて、前記ノイズを除去するノイズ除
    去手段と、
    を備えることを特徴とするブラシレスモータの制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020121379A (ja) * 2019-01-31 2020-08-13 株式会社マキタ 電動作業機

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020121379A (ja) * 2019-01-31 2020-08-13 株式会社マキタ 電動作業機
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