JP2011072210A - センサーチップ及びその使用方法 - Google Patents

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知子 松田
Yoshio Miura
美穂 三浦
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かおり 高橋
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Abstract

【課題】
本発明は、被検液中の分析対象物の測定感度をより向上させることを目的とする。
【解決手段】
分析対象物に特異的に結合する分子認識素子と基板とを備え、前記分子認識素子は被検液に接触したときに前記基板から溶出するように前記基板上に保持されている、センサーチップ。
【選択図】図1

Description

本発明は、センサーチップ及びその使用方法に関する。
被検液中の物質を定性的、定量的に測定する方法として、生化学的親和性、つまり、特定の生体分子に特定の生体分子が特異的に結合する性質を利用した方法が知られている。生化学的親和性を利用した方法では、分析対象物に特異的に結合する分子認識素子を基板に固定し、被検液中の分析対象物を固定化された分子認識素子に捕捉させ、測定するのが一般的である。例えば、特定の配列のDNAに相補性を有するDNAが特異的に結合する性質を利用したものがDNAチップであり、DNAチップは生物の遺伝子機能の効率的な解析に用いられている。DNAチップには数千〜数十万種のDNAが固定されており、チップ上に蛍光標識DNA断片を添加し、固定化DNAと蛍光標識DNA断片とのハイブリダイゼーションを行うことによって、蛍光標識DNA断片と相補性を有するDNA断片を検出する。
DNAチップへのDNAの固定化方法としては、DNAが負に帯電していることを利用して、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリアルキルアミンなどのポリ陽イオンで表面処理した基板にスポッターを用いて静電結合させる方法がある。また、固定するDNAが合成オリゴヌクレオチドである場合、アミノ基やアルデヒド基等の反応活性基を導入した基板に合成オリゴヌクレオチドを点着させて共有結合により固定化する方法が従来から知られている(非特許文献1)。
また、DNAチップ技術では、検出限界が重要となるため、基板表面にDNAが充分な量で安定に結合していることが必要となる。そこで、DNA試料を基板により安定かつ強固に吸着固定させるために、特許文献1や非特許文献2では、DNA断片にチオール基を導入し、基板表面に結合した鎖状分子の反応性基とのチオール結合によりDNAを固定化する方法が開示されている。また、特許文献2の方法では、シランカップリング剤をDNAに導入し、該シランカップリング剤の加水分解性基と基板表面との共有結合によって固定化する方法が開示されている。さらに、特許文献3では、ガラス基板表面にアビジンを結合させることによって、DNAが安定かつ強力にガラス基板に吸着固定することを開示している。
このように、従来の方法では、分析対象物と特異的に結合する分子認識素子を、基板に安定かつ強固に固定させていた。
特開2001−178442号公報 特開2003−121437号公報 特開2005−69823号公報
「DNAチップ技術とその応用」、蛋白質核酸酵素、Vol.43、No.13、pp.2004−2011、1998 「DNAの固定化と遺伝子センサーへの応用」、表面科学、Vol.25、No.12、pp.744−751、2004
しかしながら、従来の方法では、かならずしも分析対象物の測定感度が十分でなかった。そこで、本発明は、被検液中の分析対象物の測定感度をより向上させることを目的とする。
本発明者らが検討したところ、静電結合や共有結合等の化学結合により分子認識素子が基板に強固に結合している従来の固定方法では、分子認識素子と分析対象物との結合できる場所が基板表面に限定されるため、被検液中の分析対象物を分子認識素子と効率よく結合させることが困難であり、その結果、分子認識素子と結合できる分析対象物の量が少なくなり、測定感度が低くなることが判明した。
そこで、本発明は、分析対象物に特異的に結合する分子認識素子と基板とを備え、上記分子認識素子は被検液に接触したときに上記基板から溶出するように上記基板上に保持されている、センサーチップを提供する。
上記センサーチップによれば、分子認識素子が基板から溶出して被検液中に分散できるので、分析対象物と接触して結合できる分子認識素子の量が増え、測定感度を向上させることができる。さらに、上記センサーチップは、被検液との接触前には分子認識素子が基板に保持されているため、持ち運び、取り扱い等が容易であり、測定をどこでも行なうことができるという利点も有する。
ここで、上記基板表面が、疎水性である、又は、上記分子認識素子の帯電する電荷に反発する電荷に帯電していることが好ましい。このような基板表面は分子認識素子を強固には結合しにくく、被検液と接触した際に分子認識素子をより被検液に分散させやすい。
また、上記分子認識素子は、上記基板表面上に設けられ、内部に上記分子認識素子を保持した分子認識素子保持体を介して上記基板表面上に保持されていることが好ましい。
上記分子認識素子保持体を設けることによって、基板表面上に直接分子認識素子が保持されている場合に起こりうる、被検液との接触前に分子認識素子が基板から剥がれてしまう事態が起こりにくくなる。
また、本発明は上記センサーチップの使用方法をも提供する。本発明に係るセンサーチップの使用方法は、上記基板と分析対象物を含む被検液とを接触させる工程と、上記分子認識素子と結合した上記分析対象物の量を測定する工程とを含む。本発明のセンサーチップの使用方法によれば、良好な感度で分析対象物を定量的に測定することができる。
本発明のセンサーチップによれば、被検液中の分析対象物の測定感度をより向上させることができる。
本発明の実施形態に係るセンサーチップを示す模式図である。 シート状の分子認識素子保持体を備えるセンサーチップを示す模式図である。 マイクロカプセル状の分子認識素子保持体を備えるセンサーチップを示す模式図である。 基板と分析対象物を含む被検液とを接触させた際のフロー図である。 基板上の蛍光スポットを示す写真である。 被検液保持体上の蛍光スポットを示す写真である。 金コロイドにより赤く染まった分子認識素子保持体を示す写真である。 金コロイドにより赤く染まった被検液保持体を示す写真である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1〜図3は、本発明の実施形態に係るセンサーチップの一例を模式的に表した図である。本発明のセンサーチップ100は、図1に示すように、基板20と分子認識素子10とを備える。分子認識素子10としては、分析対象物に特異的に結合する物質であればよく、例えば、アプタマー、酵素、抗体、受容体等が挙げられる。アプタマーとは特定の分子と特異的に結合する核酸分子やペプチドのことである。このようなアプタマーとしては、ゲノムDNA、cDNA等のDNAアプタマー、mRNA等のRNAアプタマー、及びペプチドアプタマーを用いることができる。DNAアプタマーやRNAアプタマーは、それらが分析対象物の表面に存在する表層物質に特異的に結合する作用を指標にスクリーニングすることにより取得できる。まず、分析対象物に特異的な表層物質を選択し、その物質のアミノ酸配列をコードする塩基配列をコンピューター内進化プログラムで処理して10世代の塩基配列をコンピューター上に発生させ、これらの塩基配列を分析対象物に結合するアプタマーの塩基配列の候補とする。候補とした複数の塩基配列のオリゴDNAを化学合成し、実際に分析対象物と反応させて結合性の高いものをアプタマーとして回収する。回収したアプタマーを鋳型としてPCRで増幅することによって、該アプタマーを大量に取得できる。なお、コンピューター内進化プログラムは、Ikebukuroらの文献(Nucleic Acids Res.、2005年、33巻、e108)を参照し、通常利用されている遺伝的アルゴリズムを用いて、visual basicで作成できる。また、コンピューター内進化プログラムを用いる方法に限らず、SELEX法(Systematic Evolution of Ligands by EXponential Enrichment法)等公知の方法を用いてもDNAアプタマーやRNAアプタマーを取得することができる。ペプチドアプタマーはTwo−hybrid法やファージディスプレイ法等公知の方法を用いて取得できる。酵素としては基質と結合できる酵素であればよく、酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、リアーゼ、異性化酵素、リガーゼ等を用いることができる。抗体は抗原を認識できる抗体であればよく、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体、抗原結合性フラグメント等を用いることができる。受容体はリガンドを認識できる受容体であればよく、各種のホルモン受容体、薬物受容体等を挙げることができる。酵素、抗体、受容体等はタンパク質であり、これらはアフィニティークロマトグラフィー等公知の方法を用いて取得できる。以上の分子認識素子は天然物であっても、合成物であってもよく、分子認識素子を構成する分子が、塩基、糖、保護基、置換基等種々の修飾を含んでいてもよい。また、分子認識素子10は、標識されたものでもよい。標識としては、公知の種々のものが利用でき、例えば、蛍光物質(フルオロセイン等、FITC(フルオロセインイソチオシアネート)、GFP(緑色蛍光タンパク質))、発色物質、消色物質、金等の金属コロイド、ラテックス粒子等が挙げられる。
分子認識素子10としてDNAアプタマーやRNAアプタマーを用いる場合、その塩基配列は、公知の塩基配列決定法によって予めその配列の全部又は一部が決定されていることが好ましく、ペプチドアプタマー、酵素、抗体、受容体を用いる場合、そのアミノ酸配列は、公知のアミノ酸配列決定法によって予めその配列の全部又は一部が決定されていることが好ましい。配列が決定されていることによって、同一の分子認識素子を公知の方法を用いて複数作製することができ、同一の分子認識素子を複数使用することによって、より感度良く測定を行なうことができる。分子認識素子のサイズは分析対象物の種類によって異なるが、例えば、DNAアプタマーやRNAアプタマーの場合そのアプタマーあたりの塩基数が10〜300塩基、好ましくは10〜200塩基、より好ましくは10〜100塩基である。
基板表面上に保持させる分子認識素子の量は、分子認識素子の種類、分析対象物の種類、基板の種類、測定方法、被検液の液量等によって当業者が適宜決定できるが、例えば、被検液が唾液であり、分析対象物が虫歯原因菌であるストレプトコッカスミュータンス菌(Sm菌)、ストレプトコッカスソブリヌス菌(Ss菌)及びラクトバチルスアシドフィリウス菌(La菌)からなる群から選ばれる菌であり、分子認識素子が上記虫歯原因菌に対するDNAアプタマーである場合には、0.1ng〜10μgとすることができる。
上記分子認識素子10を保持する基板20は、分子認識素子10が被検液に接触したときに分子認識素子10が溶出するように分子認識素子10を保持している。すなわち、乾燥状態では基板20に分子認識素子10が吸着等により一次的に保持される一方、基板20に被検液が付着すると基板20から分子認識素子10が液中に溶出する。
まず、分子認識素子10を基板20と直接接触して保持する場合には、基板20の表面が疎水性であるか、又は基板表面が分子認識素子の帯電する電荷に反発する電荷に帯電している基板が好適に用いられる。
分子認識素子は親水性であることが多く、基板表面が疎水性であると親水性の分子認識素子が基板と強固には吸着等し難く溶出しやすくなるので好ましい。基板表面が疎水性である基板は、基板を形成する素材自体が疎水性であることが好ましい。このような疎水性の素材としては、プラスチック素材を用いることが好ましく、プラスチック素材の中でも、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂素材を用いることがより好ましい。これらの熱可塑性樹脂素材は取り扱いが容易であり成形しやすく、さらに低廉である。また、基板を形成する素材自体が疎水性でなくとも、基板表面に疎水性処理を施すことによって、基板表面を疎水性としてもよい。このような疎水性処理としては、シリコン系樹脂又はフッ素系樹脂等の樹脂を基板表面にコーティングしたり、疎水性官能基を有するシランカップリング剤を用いて基板表面に疎水膜を形成したりする等の処理を施すことができる。
また、基板表面が分子認識素子の帯電する電荷に反発する電荷に帯電している基板を用いた場合でも、静電反発力により、液中に分子認識素子を容易に溶出させることができる。特に、DNAアプタマーやRNAアプタマー、一部のペプチドアプタマー、酵素、抗体、及び受容体等の分子認識素子は通常負電荷に帯電するため、これらの分子認識素子を用いる場合、表面が負電荷に帯電している基板が好ましい。このような基板は、表面に負電荷を有する素材から形成されることが好ましい。表面に負電荷を有する素材としては、負電荷を有する官能基(例えば、カルボキシル基)を表面に有する素材を用いることができ、このような素材としては、例えば、製品名セルカルチャーディッシュ(細胞培養用、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製)等が挙げられる。一方、一部のペプチドアプタマー、酵素、抗体、及び受容体等の分子認識素子は正電荷に帯電するため、これらの分子認識素子を用いる場合、表面が正電荷に帯電している基板を用いることが好ましい。このような基板は、表面に正電荷を有する素材から形成されることが好ましい。表面に正電荷を有する素材としては、正電荷を有する官能基(例えば、アミノ基)を表面に有する素材を用いることができ、このような素材としては、例えば、製品名APSコートスライドガラス(松浪硝子工業株式会社製)等を用いることができる。また、基板自体が表面に負電荷又は正電荷を有する素材で形成されていなくとも、基板に表面処理を施すことによって、基板表面を負電荷又は正電荷に帯電させることができる。このような表面処理としては、負電荷に帯電させる場合は、負電荷を有する官能基(例えば、カルボキシル基)を基板表面に導入する方法や基板表面にプラズマ放電処理を行なう方法等が挙げられ、正電荷に帯電させる場合は、正電荷を有する官能基(例えば、アミノ基)を基板表面に導入する方法や基板表面をポリ陽イオンでコーティングする方法等が挙げられる。
表面処理を施すことによって、基板表面を疎水性、又は、分子認識素子が帯電する電荷に反発する電荷に帯電させる場合は、基板に用いられる素材としては、上述の疎水性の素材や溶液中で表面が負電荷又は正電荷を有する素材の他に、ガラス、熱可塑性樹脂以外のプラスチック、金属、グラファイト、ダイヤモンド、シリコン、セメント、セラミックス等が挙げられるが、この中でも表面処理の容易さからガラス、プラスチック、金属を用いることが好ましい。
基板20の厚さは、取り扱い性、分子認識素子10の保持し易さ等の観点から、0.1mm〜10mmとすることが好ましく、0.5mm〜5mmとすることがより好ましく、0.5mm〜3mmとすることがさらに好ましい。また、分子認識素子10を被検液に接触させたときにより容易に基板から溶出させるため、基板の表面は凹凸を有さず滑らかであることが好ましい。
分子認識素子10を基板20の表面に直接接触させることによって保持させた場合、被検液が分子認識素子10に接触したときに分子認識素子10が基板20からより溶出しやすく、被検液中に分散しやすくなる。分子認識素子10を基板20の表面に直接接触させることによって保持させるには、例えば、分子認識素子10を溶解させた溶液を基板20に直接塗布し、乾燥させればよい。分子認識素子10を溶解させる溶液は例えば、リン酸バッファー、クエン酸バッファー、トリスバッファー、Good’sバッファー等を使用できる。
一方、基板20に直接分子認識素子10を保持しない場合には、内部に分子認識素子10を保持した分子認識素子保持体を介して分子認識素子10を基板20に保持することができ、この場合、被検液が分子認識素子保持体に浸透して、分子認識素子保持体内部の分子認識素子10に接触し、分子認識素子10が被検液中に溶出する。分子認識素子保持体を用いることで、センサーチップの使用前、指等で分子認識素子に触れてしまうことにより、被検液が基板20に接触していないのに基板20から分子認識素子が剥がれてしまう事態を抑制することができる。分子認識素子保持体の形状は、シート状やマイクロカプセル状とすることができ、これらは単独で又は組み合わせて用いることができる。この場合、分子認識素子保持体を保持できるのであれば、基板は特に限定されないが、液中で、溶出した分子認識素子10が基板に吸着しないように、基板20の表面が疎水性であるか、又は基板表面が分子認識素子の帯電する電荷に反発する電荷に帯電している基板が好ましい。
ここで、図2に、シート状の分子認識素子保持体30を有するセンサーチップ200を示す。図2中、基板20上に積層されたシート状の分子認識素子保持体30の内部に分子認識素子10が保持されている。分子認識素子保持体をシート状とする場合、該分子認識素子保持体は紙、スポンジ、織布、不織布等を用いて作製することができる。該分子認識素子保持体を形成する素材としては特に制限がないが、分子認識素子を一時的に吸着等により保持させ、その後容易に溶出させることが可能な素材が好ましい。このような素材として、生体分子が吸着しにくい繊維素材を好ましく用いることができ、このような繊維素材として、セルロース、再生セルロース、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ナイロン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ガラス、綿、ポリウレタン等が挙げられる。これらの中でも特にセルロース、再生セルロース、セルロースアセテート、ナイロン、ポリスルホンを用いて分子認識素子保持体を形成した場合、分子認識素子が被検液中に分散しやすいため、これらの素材を用いることが好ましい。シート状の分子認識素子保持体の内部に分子認識素子を保持させるには、分子認識素子を含む溶液をシート状の分子認識素子保持体に含浸させ、乾燥させることにより、保持させることができる。
また、分子認識素子保持体をシート状とする場合、分子認識素子保持体の取り扱い易さ、基板による分子認識素子保持体の保持し易さ等の観点から、シートの厚さを0.1mm〜5mmとすることが好ましく、0.1mm〜3mmとすることがより好ましく、0.1mm〜1mmとすることがさらに好ましい。
また、図3に、分子認識素子を高分子材料内に包埋したマイクロカプセル状の分子認識素子保持体40を有するセンサーチップ300を示す。図3中、基板20上に分散されたマイクロカプセル状の分子認識素子保持体40の内部に分子認識素子10が保持されている。分子認識素子保持体をマイクロカプセル状とした場合、分子認識素子保持体と被検液とを接触させる際に圧力をかける等して分子認識素子保持体を破壊することで、分子認識素子を被検液中に溶出させることができる。このようなマイクロカプセルの素材としては、ゼラチン、アラビアガム、アルギン酸ソーダ、エチルセルロースポリビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、パラフィンワックス等を用いることができる。マイクロカプセル状の分子認識素子保持体の内部に分子認識素子を保持させるには、界面重合法等公知のマイクロカプセルの製造法により保持させることができる。
マイクロカプセル状の分子認識素子保持体の大きさは、分子認識素子の分子サイズによって適宜決定することができるが、分子認識素子保持体の取り扱い易さ及び作製し易さから100nm〜2mmであり、好ましくは1μm〜1.0mmである。また、マイクロカプセル状の分子認識素子保持体は直接基板表面上に保持されていてもよく、上述のシート状の分子認識素子保持体の内部にマイクロカプセル状の分子認識素子保持体が保持されていてもよい。シート状の分子認識素子保持体の内部にマイクロカプセル保持体を保持させるには、マイクロカプセル状の分子認識素子保持体を含む溶液をシート状の分子認識素子保持体に含浸させ乾燥させることで保持させることができる。また、シート状の分子認識素子保持体の内部にマイクロカプセル状の分子認識素子保持体を保持させるにあたって、マイクロカプセル状の分子認識素子保持体の形状は制限なく、球状、円盤状、楕円状等であってもよいし、形状が整形されていなくともよい。
分子認識素子保持体は基板上に保持されているが、保持方法は特に限定されない。被検液との接触時に分子認識素子保持体が基板から離れないように、分子認識素子保持体が接着剤や粘着テープ等により基板に強固に固定されていることが好ましい。これにより、被検液と接触させた後、分子認識素子保持体を被検液から分離する工程を省くことができる。
本実施形態に係るセンサーチップは以上のような基板と分子認識素子とを備え、任意に分子認識素子保持体を備えるものであるが、他にも、被検液が流れ込む流路や夾雑物を取り除くフィルターを備えていてもよいし、pH指示薬等の検査試薬や標識物質を備えていてもよい。
以下に、本実施形態にかかるセンサーチップの使用方法について説明する。本実施形態に係るセンサーチップの使用方法は、基板と分析対象物を含む被検液とを接触させる工程と、分子認識素子と結合した上記分析対象物の量を測定する工程とを含む。ここで、図4に、基板と分析対象物を含む被検液とを接触させた際のフロー図を示す。図4中、分析対象物50を含む被検液60が基板20の表面に保持された分子認識素子10に接触し(A、B)、分子認識素子10が基板20から溶出して被検液中に分散し(B)、分析対象物50と分子認識素子10とが被検液中で結合する(B、C)。分析対象物50と分子認識素子10とが結合した複合体の量を後述する測定法によって測定することにより、被検液中の分析対象物を定量的に測定できる。
本実施形態に係るセンサーチップ100によれば、分子認識素子10が基板20から溶出して被検液中に分散するので、分析対象物と接触して結合できる分子認識素子10の量が増え、測定感度を向上させることができる。さらに、このセンサーチップ100は、被検液との接触前には分子認識素子10が基板20に保持されているため、持ち運び、取り扱い等が容易であり、測定をどこでも行なうことができるという利点も有する。
このセンサーチップで測定できる分析対象物50としては、分子認識素子が特異的に結合できる部位を有する物質であれば特に制限はないが、天然化合物、合成化合物、糖類、タンパク質、ペプチド、核酸、抗体、抗原、ホルモン、金属イオン、細胞、細胞組織及び細菌やウィルス等の微生物を挙げることができる。また、被検液60としては、分析対象物が含まれている溶液であればよく、動物の各種体液(例えば、唾液、胃液、胆汁、膵液、腸液、汗、涙、鼻水、尿、精液、膣液、羊水、乳汁、血液、リンパ液、組織液、体腔液、脳脊髄液、関節液、眼房水、細胞間液等)や植物の篩管液又は導管液、動植物細胞の抽出液、動植物細胞の培養上清、食物の抽出液、発酵微生物産生物、海水、湖水、河川水、雨水、水道水、井戸水、農業用水、工業用水、生活排水や工業排水等あらゆる溶液を被検液とすることができる。
基板20と被検液60とを接触させるには、被検液60を直接又はスポイトやピペット等を用いて基板上に垂らすことによって接触させればよい。また、被検液60を含浸させた被検液保持体を、被検液60が基板20に接触できるように基板20と接触させることによって被検液60を基板20に接触させてもよい。分子認識素子10を被検液60中に十分に溶出させるため、接触時間を1秒〜60分とすることが好ましい。
唾液中において分子認識素子と分析対象物とが結合した複合体の量を測定するには、例えば、分子認識素子の性質に対応して、従来公知の種々の方法、例えば、分光法、RI法、蛍光法、ビオチン法、電気化学的方法、化学発光法等を使用できる。例えば、被検液が唾液であり、分析対象物が虫歯原因菌であるストレプトコッカスミュータンス菌(Sm菌)、ストレプトコッカスソブリヌス菌(Ss菌)及びラクトバチルスアシドフィリウス菌(La菌)からなる群から選ばれる菌である場合、金コロイドを標識物質として用い、公知の方法により菌と結合していない分子認識素子を除去した上で、金コロイドの発色を指標として唾液中の虫歯原因菌の量を測定することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
[実施例1]
分子認識素子を保持させる基板として、厚さ1mmのポリエチレンテレフタレート板と、ポリスチレン板の2種類の基板を用いた。分子認識素子としては、FITCで標識したストレプトコッカスミュータンス菌(Sm菌)に対するDNAアプタマーを用いた。セルロース製のろ紙を水で湿らせたもの(厚さ0.18mm)とニトロセルロースメンブレンを水で湿らせたもの(厚さ0.15mm)の2種類を、被検液を含浸させた被検液保持体として用いた。上記DNAアプタマーをリン酸バッファーに溶解し、直接基板に塗布して室温で乾燥させたところ、乾燥後の基板上にはDNAアプタマーに結合させたFITCの蛍光スポットSが確認された(図5)。上記基板を、上記2種類の被検液保持体にそれぞれ接触させた結果、FITCのスポットは基板上からは検出されず、被検液保持体からそれぞれ検出された(図6)。したがって、DNAアプタマーが基板から被検液保持体に移動したことが確認された。
[実施例2]
基板として厚さ1mmのポリスチレン板を用いた。分子認識素子として、金コロイドで標識したSm菌に対するDNAアプタマーを用いた。被検液保持体としてセルロース製のろ紙(厚さ0.18mm)を水で湿らせたものを用いた。DNAアプタマーをリン酸バッファーに溶解させてDNAアプタマー溶液を作製した。該DNAアプタマー溶液を、ガラス繊維製のシート状の不織布とセルロース製のシート状の不織布の2種類の不織布に含浸、乾燥させて、これらを分子認識素子保持体とした。これらの分子認識素子保持体を、酢酸ビニル樹脂を主成分とした接着剤を用いて上記基板に固定させた(図7)。図7中、(A)がガラス繊維性の不織布で作製した分子認識素子保持体であり、(B)がセルロース製の不織布で作製した分子認識素子保持体である。(A)及び(B)の分子認識素子保持体ともDNAアプタマーに標識した金コロイドにより赤色になっている。これらの分子認識素子保持体を挟んで被検液保持体と基板とを接触させた(図8)。図8中、(A)がガラス繊維製の分子認識素子保持体に接触させた被検液保持体、(B)がセルロース製の分子認識素子保持体に接触させた被検液保持体、(C)が分子認識素子保持体に接触させていない被検液保持体である。分子認識素子保持体に接触させていない被検液保持体(C)に比べて、分子認識素子保持体に接触させた被検液保持体(A)及び(B)は、DNAアプタマーに標識した金コロイドにより赤色になった。したがって、分子認識素子であるDNAアプタマーが基板表面上の分子認識素子保持体から被検液保持体に移動したことが確認された。
10・・・分子認識素子、20・・・基板、30・・・シート状の分子認識素子保持体、40・・・マイクロカプセル状の分子認識素子保持体、50・・・分析対象物、60・・・被検液、100、200、300・・・センサーチップ

Claims (4)

  1. 分析対象物に特異的に結合する分子認識素子と、基板と、を備え、前記分子認識素子は被検液に接触したときに前記基板から溶出するように前記基板上に保持されている、センサーチップ。
  2. 前記基板表面が、疎水性である、又は、前記分子認識素子の帯電する電荷に反発する電荷に帯電している、請求項1に記載のセンサーチップ。
  3. 前記分子認識素子は、前記基板表面上に設けられ、内部に前記分子認識素子を保持した分子認識素子保持体を介して前記基板表面上に保持されている、
    請求項1又は2に記載のセンサーチップ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサーチップの使用方法であって、
    前記基板と分析対象物を含む前記被検液とを接触させる工程と、
    前記分子認識素子と結合した前記分析対象物の量を測定する工程とを含む、
    センサーチップの使用方法。
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