JP2011071542A - 半導体装置の製造方法および半導体装置 - Google Patents

半導体装置の製造方法および半導体装置 Download PDF

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欣秀 山口
Hiroyuki Tenmyo
浩之 天明
Kosuke Inoue
康介 井上
Noriyuki Dairoku
範行 大録
Hiroyuki Hozoji
裕之 宝蔵寺
Shigeharu Tsunoda
重晴 角田
Naoya Isada
尚哉 諫田
Madoka Minagawa
円 皆川
Ichiro Anjo
一郎 安生
Asao Nishimura
朝雄 西村
Kenji Ujiie
健二 氏家
Akira Yajima
明 矢島
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Abstract

【課題】アンダーフィルの不要なフリップチップ接続を可能とする半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体回路が形成された半導体装置13の表面は、電極7と電極部を除いて保護膜8で覆われている。粒子を含有する絶縁材料を該半導体装置の上にマスク印刷することで形成された絶縁層5と、該絶縁層の上に形成された再配線用配線4で該半導体装置の有する電極7と電気的に接続した外部接続端子3とを有し、外部接続端子以外を覆う表面保護膜6を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、フリップチップ接続を目的とする半導体装置の構造および製造方法に関する。
半導体装置の多くは積層構造となっており、各層の間には絶縁層が配置されている場合が多い。この絶縁層には開口部が設けられており、その開口部を通して、下層の端子と上層の端子とを接続する配線が形成されている。
絶縁層形成方法としては以下の方法が採用されている。つまり、感光性絶縁材料を半導体装置上にスピンコート法により塗布し、露光および現像を実施することで絶縁層の開口部を形成する。また、下層の端子と上層の端子とを接続する金属配線は、第二の感光性材料を絶縁層上層に塗布し、これに対して露光および現像を行うことでマスクを形成し、これとメッキ、スパッタ、CVD、蒸着等のプロセスを併用することで絶縁層下層の端子と上層とをつなぐ金属配線を形成する。マスクとして使用した感光性絶縁材料は不要となった後、これを除去する。
以上の工程により、絶縁層の下層にある端子と上層とを接続する配線が形成可能となる。このような工程により形成された半導体装置の部分断面図を図31に示す。同図においては、アルミパッド7が絶縁層12下層の端子となっており、バンプパッド3が絶縁層上層の端子となっている。そして半導体が形成されたウェーハ9上に形成された絶縁層12は、アルミパッド7上に開口部が設けられている。また、アルミパッド7から、絶縁層12の上層のバンプパッド3まで、金属配線11が形成されている。バンプパッド3にはバンプ10が形成されている。なお、このようにアルミパッド7からバンプパッド3までの配線を形成することは再配線と呼ばれている。また、この際の絶縁層12の厚さは金属配線11の厚さとほぼ同等となっている。
このような工程を経て製造された半導体装置をプリント配線板のような回路基板上に実装して接続する形態のひとつにフリップチップ接続がある。図32はフリップチップ接続した半導体装置の断面図である。半導体装置13と回路基板14との接続は、半導体装置13の端子上に設けられたバンプ10が回路基板上で溶融後に再度固体化することで実現されている。半導体装置13と回路基板14との間隙は高剛性の樹脂で充填されている。なお、この樹脂は、アンダーフィル15と呼ばれ、接続部を補強する効果がある。アンダーフィルを実施したフリップチップ接続の例として特開平11−111768号公報がある。
特開平11−111768号公報
しかしながら上記従来技術には、以下のような問題がある。
第一に半導体装置と回路基板との間隙への樹脂の供給方法に難がある。つまり、隙間が一般的に0.3mm以下である間隙に対して樹脂を供給する方法として、毛細管現象を利用する方法がとられている。しかし、アンダーフィル用の樹脂材料は、高粘度の液状樹脂であるので、隙間に埋め込む時間がかかり、また空泡が残存しやすい等の問題がある。
第二に半導体装置の取り外しに難がある。つまり、回路基板に接続した半導体装置が不良品であった場合、同半導体装置を回路基板上から取り外しても、硬化したアンダーフィル材料が、取り外した後も回路基板上に残留してしまうため、回路基板の再生が難しいという問題が存在する。
第一および第二の問題点を解決するためにも、アンダーフィルを実施せずに、半導体装置を回路基板に接続することが望ましい。しかしながら、アンダーフィルは、完成した電気製品を使用する際の発熱等による接続部に生じる歪みに起因する接続部の破壊を防止する目的で実施されており、実施しない場合には、半導体装置の接続寿命が極端に短くなってしまうという問題が生じる。
また、アンダーフィルの不要なフリップチップ接続を可能とする半導体装置に半田バンプを形成する場合において、そのはんだバンプに含まれる不純物の崩壊によってα線が発生し、トランジスタ部の誤動作を引き起こす場合がある。
本発明の目的は、アンダーフィルの不要なフリップチップ接続を可能とする半導体装置を実現することにある。
本発明は上記目的を達成するために、特許請求の範囲の通りに構成するものである。このように、所望の絶縁層(厚膜絶縁層)の上に、配線を形成することにより上記目的は達成される。例えば、半導体装置の絶縁層に低弾性の材料を使用し、かつ厚さ35ミクロン以上の絶縁層を形成することで接続部の破壊を防止することができる。また、低弾性の絶縁層が存在することで、接続部に生じる応力を大幅に低減することが可能となる。これによって、半導体装置の接続寿命は大幅に向上する。また、絶縁層を所定の厚さにすることで、ウエハ等に生じる応力を緩和することのみならず、不要なα線を遮断することができる。
また、約35マイクロメートル以上といった厚膜の絶縁層を採用する場合、従来の配線形成方法が適用しづらい。つまり、絶縁層を厚膜形成する場合、絶縁層形成用の材料は高粘度であるため、スピンコート法では気泡を含んだ絶縁層となってしまい、絶縁層としての機能をはたさなくなってしまう。これとは別に新規の厚膜形成方法を開発したとしても、35マイクロメートルの膜厚では光の透過性が低下するため、露光現像では絶縁層の開口部等を高精度にパターン形成することが困難である。この問題が解決できたとしても絶縁層の開口部の側壁は80度程度かそれ以上の概垂直であり、かつその高さが配線厚さより大幅に大きい値となるため、金属配線が側壁に形成され難くなる。またたとえ形成できた場合でも、側壁と上層との境界部において金属配線の屈曲部が形成されるため、この場所に応力が集中しやすく、このため亀裂が進展しやすい。このため、回路基板接続時の接続寿命が短くなってしまう。
そこで、例えば、微小粒子を含有した絶縁材料をマスク印刷することで、厚膜絶縁層の形成を行い、絶縁層開口部の形状をなだらかな斜面とすることで、絶縁層上の配線は従来工法により形成可能となり、かつ応力が集中する様な金属配線の屈曲部も存在しないため、配線の断線も生じにくい。
また、厚膜絶縁層の特性を厚さ方向で変化させる。例えば厚膜絶縁層の特性を半導体素子側では半導体素子に近く、電極側ではこれらを搭載する基板の特性に近くする。これにより、厚膜絶縁層上に形成した配線に応力が集中しないようにして信頼性を一層向上させることができる。すなわち断線を一層抑制することができる。なお、本明細書では、この厚膜絶縁層を応力緩和層と記載している。
本発明によれば、アンダーフィルの不要なフリップチップ接続を可能とする半導体装置が実現される。
本発明の半導体装置の一実施例の構造を示す部分断面図 本実施例の半導体装置が連続的に形成されている状態を示す平面図 本発明の半導体装置の製造工程の一例を示した図(1) 本発明の半導体装置の製造工程の一例を示した図(2) 本発明の半導体装置の製造工程の一例を示した図(3) 本発明の応力緩和層の形成に使用する印刷用マスクを示した図 応力緩和層を印刷している工程を示す図 印刷マスクがウェーハより上昇する版離れ工程を示す図 応力緩和層が形成された半導体装置を示した図 露光用マスクをレジストに密着させた状態を示した図 再配線用配線の一例を示した図 再配線用配線の別の一例を示した図 実際の再配線用配線パターンの現像不足を示す図 再配線用配線の別の一例を示した図 再配線用配線の別の一例を示した図 再配線用配線の別の一例を示した図 本発明における第七工程までを経た半導体装置を示した図 応力緩和層の膜厚と応力の関係を示した図 応力緩和層の膜厚とα線の関係を示した図 本発明の半導体装置の構造の一実施例を示す図 本発明の半導体装置の構造の一実施例を示す図 本発明の半導体装置の構造の一実施例を示す図 本発明の半導体装置の構造の一実施例を示す図 応力緩和層の膜厚を部分的に薄くした半導体装置を示した図 応力緩和層の膜厚を部分的に薄くした半導体装置を回路基板に接続した状態を示した図 本発明の半導体装置の構造の一実施例を示す図 応力緩和層を半導体装置と隣の半導体装置との境界をまたいで形成した状態を示した図 応力緩和層を切断する方法を示した図 半導体装置を基板に搭載した一実施例の図 半導体装置を基板に搭載した別の一実施例の図 従来の半導体装置を示した図 従来の半導体装置を回路基板に接続した状態を示した図 本発明の半導体装置の構造の一実施例を示す図 本発明の半導体装置の構造の別の一実施例を示す図 本発明の半導体装置の構造の別の一実施例を示す図 本発明の半導体装置の構造の別の一実施例を示す図 本発明の半導体装置の構造の一実施例を示す図 本発明の半導体装置の構造の別の一実施例を示す図 本発明の半導体装置の構造の別の一実施例を示す図 本発明の半導体装置の構造の別の一実施例を示す図 ガラス転移温度と線膨張係数の関係を示す図
以下、本発明の一実施例について図を併用しつつ説明する。なお、全ての図において、同一符号は同一部位を示しているため、重複する説明を省いている場合があり、また説明を容易にするため各部の寸法比を実際とは変えてある。
まず、本実施例による半導体装置の構造について説明する。半導体装置は、ウェーハ単位で多数個が一括して製造されるが、以下では説明を容易にするために、その一部を取り出して説明する。図1に本実施例の半導体装置13の部分断面図を示す。
半導体回路が形成されたウェーハ9とは、半導体製造工程でいうところの前工程を終了したウェーハであり、多数個の半導体装置13に分割切断前のものである。各半導体装置13には外部用接続端子、例えばアルミパッド7が形成されている。このアルミパッド7は従来型の半導体装置13において、QFP(Quad Flat Package)などの半導体パッケージにおさめる場合に、金ワイヤ等を接続し、半導体パッケージの外部端子との導通を実現するために使用されている。半導体回路が形成された半導体装置13の表面は、アルミパッド7上および多数個の半導体が形成されたウェーハ9をチップ状の半導体装置13に切断する際の切断部24およびその周辺を除き、保護膜8に覆われている。この保護膜8には厚さ1乃至10マイクロメートル程度の無機材料からなる絶縁樹脂単独あるいは有機材料からなる絶縁樹脂を併用している。この保護膜8には厚さ1乃至10マイクロメートル程度の無機材料からなる絶縁膜を単独、あるいは前記無機絶縁膜の上部に有機材料からなる有機絶縁膜を積層した複合膜を使用している。この複合膜を使用する場合、該有機膜は感光性樹脂材料を使用することが望ましい。本実施例で保護膜8の有機膜として好適な感光性材料を例示すると、感光性ポリイミド、感光性ベンゾシクロブテン、感光性ポリベンズオキサゾールなどがある。本実施例では、これに限らず保護膜として公知慣用の無機材料、有機材料あるいはこれらの複合膜が使用できる。例えば無機膜としては、SiNやSiO2などが使用できる。
また、該有機膜は無機膜のほぼ全面を覆うように形成されていても勿論かまわないが、図33に示されるようにアルミパッド7の近傍となる領域のみに形成されていてもかまわないし、図34に示されるように無機膜表面の任意の複数箇所のみに形成されていても構わない。このように有機膜の領域を限定することによって保護膜8の内部応力によるウェーハ9の反りが低減され、製造工程におけるハンドリングや露光時の焦点合わせなどの点で有利となる。なお本実施例では、アルミパッド7の近傍の領域とは、アルミパッド7の端部から最大距離1mmまでの領域を指している。なお、図33及び図34ではアルミパッド7の周囲の有機膜は連続領域に形成されているが、個々のアルミパッド毎にそれぞれ独立した領域に形成しても構わない。具体的には、例えば図35のような領域となる。図33から図35のいずれの形態を使用するかは、該有機膜に使用する感光性樹脂のパターン精度、膜の内部応力、および該半導体装置の素子特性を鑑みて決定する。ここで言う素子特性の一例を挙げると、該半導体装置への応力作用により素子内部の個々のアクティブセル(トランジスタ)におけるエネルギー障壁の準位が変動したりすることを指している。
保護膜8の上には厚さ35乃至150マイクロメートルの応力緩和層5が選択的に形成されている。応力緩和層の膜厚は、半導体素子のサイズ、応力緩和層の弾性率、半導体素子厚などにも依存していて一概には断定できないが、一般的に使用される半導体素子厚はおよそ150乃至750マイクロメートルであり、半導体素子とその表面に形成される応力緩和層とからなるバイメタルモデルで応力シミュレーション実験をおこなったところ、所要の応力緩和層膜厚は10乃至200マイクロメートルが望ましく、更に好ましくは35乃至150マイクロメートルであることがわかったため本実施例はこの膜厚範囲で形成した。これは、半導体素子の厚みに対して約1/20から1/5程度の厚みに相当する。膜厚が35マイクロメートルより小さくなると、所望の応力緩和を得ることができず、また膜厚が150マイクロメートルを越えて厚くなると応力緩和層5自身が持っている内部応力のためにウェーハの反りが発生し、露光工程でのピントズレや配線形成工程などでのハンドリング不具合などが発生し易くなり、生産性が低下するという問題がある。応力緩和層5は、半導体ウェーハ9より大幅に小さい弾性係数、例えば室温において0.1GPaから10GPaの弾性係数を有する樹脂材料により形成されている。この範囲の弾性係数を有する応力緩和層であれば信頼性のある半導体装置を提供することができる。すなわち、0.1GPaを下回る弾性係数の応力緩和層の場合、半導体素子そのものの重量を支えることが困難になって半導体装置として使用する際に特性が安定しないという問題が生じやすい。一方、10GPaを越える弾性係数の応力緩和層を使用すると、応力緩和層5自身が持っている内部応力のためにウェーハの反りが発生し、露光工程でのピントズレや配線形成工程などでのハンドリング不具合などが発生し易くなり、さらにはウェーハが割れるという不具合が発生する危険性すらある。応力緩和層5のエッジ部は傾斜を有しており、その平均勾配は5乃至30%程度である。5%を下回る傾斜角の場合、傾斜が長くなりすぎて所望の膜厚が得られない。例えば、平均勾配3%の傾斜角で厚み100マイクロメートルとするためには、3ミリメートル超の水平距離が必要となり左右のエッジ部をあわせるとほぼ7ミリメートルがなければ所望の膜厚が得られないことになる。一方、傾斜角が30%超の場合、水平距離の点では問題がないが、逆に配線形成の際に十分なステップカバレッジが得られない危険性が高い。特にめっきレジストの付き回りや露光および現像の工程でのプロセスマージンがなく、特別な技能または技術が必要となる。さらに傾斜角が大きい場合には、いわゆる応力集中効果が作用してそのエッジ部に応力が集中し、その結果としてエッジ部で再配線用配線4の断線が発生しやすくなる傾向があらわれ、配線構造に特別な工夫が必要となる場合がある。
図1の場合、応力緩和層5のエッジより500マイクロメートルの水平距離にて50マイクロメートルの膜厚となっているため、平均勾配は10%である。再配線用配線4は、銅などの導体で形成されており、アルミパッド7と応力緩和層5表面の突起状電極、例えばバンプパッド3とを接続している。またバンプパッド3上は、バンプパッド3の酸化を防止するための金めっき2を設けてもよい。半導体装置13の表面はバンプパッド3および多数個の半導体が形成されたウェーハ9を各半導体装置13に切断する際の切断部24を除き、表面保護膜6で覆われている。
表面保護膜6で保護膜8および応力緩和層5を完全に覆うことで封止しているため、半導体素子が形成されたウェーハ9の表面から保護膜8および応力緩和層5が剥離することを防止し、半導体の性能劣化を引き起こすイオン等の異物の侵入をも軽減できる。また、保護膜8、応力緩和層5、表面保護膜6は、いずれも切断部24より後退しているため、半導体装置13を切断分離する際に損傷を受けることがない。
表面保護膜6としては電気絶縁特性を有する各種樹脂材料を使用することが出来る。パターンを形成する必要があるため感光性材料であることが望ましいが、例えばインクジェットなどの高精度印刷に対応した材料を用いて印刷で成膜しても構わない。その他、カーテンコートなどの安価な塗布方法によって絶縁膜をベタ形成した後にフォトリソグラフィプロセスを用いてエッチングレジストを形成してパターニングし、このレジストパターンを用いて上記絶縁膜をエッチング加工、レジスト剥離という工程を経て成膜してもよい。
このような材料として、本実施例では様々な材料が使用可能であるが、いくつか例示すると(1)感光性材料としてアクリル変性感光性エポキシ樹脂、感光性ポリイミド樹脂、(2)インクジェット印刷材料としてポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、(3)ベタ成膜用材料として変性トリアゾール樹脂、変性メラミン樹脂、ポリイミド樹脂などが好適に用いられる。感光性材料についてさらに具体的に例示すると、安価な感光性樹脂材料としてプリント基板製造工程で好適に使用されるソルダーレジストやフレキシブルプリント基板の表面カバーに用いられる感光性ポリイミドなどが表面保護膜6として好適に利用される。一方、ベタ成膜用材料としては、例えば東レ(株)のフォトニースTMなどが好適である。なお本実施例では、ソルダーレジストを用いた。
バンプパッド3上には、バンプ1が形成されている。このバンプ1は、はんだ材料で形成するのが一般的である。ここでバンプ1が外部接続端子となる。
図2に図1で示した半導体装置13がウェーハ上に連続的に形成されている状態を、本来は存在するバンプ1を省略した平面図で示した。図2においてハッチングで示した部位が表面保護膜6であるソルダーレジストである。また、応力緩和層5が角を丸めた長方形状に形成されている状態で形成されおり、各半導体装置13の間には各半導体装置13を分離する際の切りしろとなる切断部24が存在する。切りしろは、例えば表面保護膜6の端部から10乃至100マイクロメートルに位置するのが望ましい。10マイクロメータより短いと各半導体装置を分離する際にチッピングを誘発しやすくなる傾向があり、逆に100マイクロメータより長くなると半導体素子として使用可能な有効面積が減少する。従って、半導体装置13の歩留まり向上のために切りしろと表面保護層6との間隔を本実施例では10乃至100マイクロメータに位置させることが望ましい。なお、再配線用配線4の一端の下層には図示されてはいないがアルミパッド7が存在する。
この半導体装置構造によれば、応力緩和層5が再配線用配線4とウェーハ9間に存在するため、半導体装置13が回路基板14上に接続され、それが動作する際にバンプ1が受ける熱による歪みを分散させることが可能となる。このため、この半導体装置13を回路基板14に搭載してもアンダーフィル15を実施することなく接続寿命を延ばすことが可能となる。また、応力緩和層5はなだらかな傾斜部を有しているため、再配線用配線4の途中に応力集中部となる配線屈曲部は存在しない。
本実施例における半導体装置13の製造工程の一例を、図を用いて説明する。図3により第一工程から第三工程までを、図4により第四工程から第六工程を、図5により第七工程から第九工程を説明する。なお、いずれの図においても、本実施例における半導体装置13の断面構造がわかりやすいように、一部分を取り出した断面図としてある。
第一工程:
外部接続用のアルミパッド7が形成済みである半導体が形成されたウェーハ9については、従来の半導体装置13と同じ工程にて製造する。本実施例で使用した半導体装置では外部接続用パッドの材質はアルミニウムであったが、外部接続パッドは銅であってもかまわない。本実施例では外部接続としてワイヤボンディングを使用しないため、外部接続パッドが銅の場合に生じやすいボンディング性の問題を考慮する必要がないからである。外部接続パッドが銅であれば配線の電気抵抗を低減できるため、半導体素子の電気特性向上の観点からも望ましい。
第二工程:
必要に応じて、保護膜8を形成する。保護膜8は、無機材料を用いて半導体製造工程におけるいわゆる前工程において既に形成される場合もあり、また、更に無機材料の上に有機材料を用いて重ねて形成する場合もある。本実施例に於いては、半導体工程におけるいわゆる前工程で形成された無機材料からなる絶縁膜、例えばCVD法等で形成した窒化珪素、テトラエトキシシラン等によって形成された二酸化珪素、あるいはそれらの複合膜からなる絶縁膜の上に、有機材料である感光性ポリイミドを塗布し、これを感光、現像、硬化することで厚さ6マイクロメートル程度の保護膜8を形成している。これにより、半導体が形成されたウェーハ9上に保護膜8が形成される。本実施例では保護膜8の膜厚を6マイクロメートルとしたが、所要膜厚は当該半導体素子の種類によって異なっており、その範囲は1乃至10マイクロメートル程度となる。なお、図13に示しているように該有機膜は無機膜のほぼ全面を覆うように形成されていても勿論かまわないが、図33〜図35に示されるようにアルミパッド7の近傍となる領域のみに形成されていてもかまわない。無機材料のみからなる絶縁膜の場合、膜厚の範囲は3マイクロメートル以下となる。また、本願実施例で使用した感光性ポリイミド以外にも、ポリベンズオキサゾール、ポリベンゾシクロブテン、ポリキノリン、ポリフォスファゼンなども使用できる。
第三工程:
ペースト状ポリイミド材料を応力緩和層5の形成予定箇所に印刷塗布し、その後これを加熱することで硬化させる。これにより保護膜8上に応力緩和層5が形成される。
第四工程:
電気めっきに用いるための給電膜16をスパッタ等の方法で形成した後に、配線の逆パターン17をフォトレジストを用いて形成する。
第五工程:
この給電膜16および配線の逆パターン17を利用して電気めっきを行い、再配線用配線4およびバンプパッド3の形成を行う。また、必要に応じて電気めっきを繰り返すことで再配線用配線4を多層構造とする。
第六工程:
フォトレジストからなる配線の逆パターン17および電気めっきの給電膜16をエッチング処理により除去する。
第七工程:
ソルダーレジストを用いて表面保護膜6を形成する。そして、このパターンを利用してバンプパッド3の最表面に無電解金めっき2を行う。
第八工程:
バンプパッド3上にフラックスと共にはんだボールを搭載し、加熱することでバンプパッド3にはんだボールを接続し、バンプ1を形成する。
第九工程:
半導体が形成されたウェーハ9をウェーハダイシング技術により半導体装置13に切断する。
以下では、上記の第三工程から第八工程までについて詳細に説明する。
まず、第三工程について説明する。印刷に使用するマスクは、プリント配線板に対するはんだペースト印刷などで使用する印刷用マスクと同じ構造のものが使用可能である。例えば、図6に示すように、ニッケル合金製のステンシル25を、樹脂シート26を介して枠27に貼り付けた形態のメタルマスクを使うことが出来る。印刷用マスクのパターン開口部28は、50マイクロメートル程度は印刷後にペーストが濡れ広がるため、それを見込んだ分、小さめに製作するようにしてもよい。図7に示すように、ペースト印刷は、印刷用マスクと半導体が形成されたウェーハ9のパターンとを位置合わせした状態で密着させ、その状態でスキージがステンシル25上を移動することで、パターン開口部28を充填し、その後、印刷用マスクを半導体が形成されたウェーハ9に対して相対的に上昇させることで、印刷をするいわゆるコンタクト印刷をおこなう。なお、ここで言うウェーハと印刷用マスクの密着は、両者の間に隙間を全くなくすることを必ずしも意味しない。ウェーハ上には既に保護膜8が部分的に形成されているため、この上に印刷マスクを隙間なく密着させることは実用上困難なためである。本実施例では、ウェーハと印刷用マスクとの間の隙間が0〜100マイクロメータとなるような印刷条件で印刷した。このほかにも、第一スキージで印刷用マスクのスキージ面全体をペーストでコーティングし、その後、第二スキージで印刷用マスクのパターン開口部28を充填し、かつ余分なペーストを除去する。その後、印刷用マスクを半導体が形成されたウェーハ9に対して相対的に上昇させる印刷方法もある。図8に示すように、印刷マスクをウェーハ9に対して相対的に上昇させる際、垂直に上昇させてもかまわないが、相対的に傾斜角を持つように動かしながら上昇させても良い。傾斜角を持たせることによって、印刷マスクがウェーハから離れる場合の版離れ角がウェーハ面内で均一になりやすい。また、印刷マスクはウェーハの一方の端から他方の端へ向かって離れていくことになり、版抜けが不安定になりやすい版離れの最後の瞬間は半導体装置のない領域で行われることになって歩留り向上の点でも有利となる。さらに、同一の印刷機を用いて複数枚ウェーハに連続的印刷を行なう場合には、適宜のタイミングでマスク版の裏側を拭きとる工程を挿入すると良い。例えば、本実施例では10枚連続印刷すると1回マスク版の裏側の清掃を行ない、しかる後に11枚目の印刷を行なった。マスク裏側の清掃のタイミング、回数、その方法はペースト材料の粘度や固形分濃度、フィラー量などによって適宜調節が必要となる。
引き続きペーストが印刷塗布された半導体が形成されたウェーハ9をホットプレートや加熱炉を用いて段階的に加熱することでペーストが硬化し、応力緩和層5の形成が完了する。
ここで使用している応力緩和層5の形成用の材料は、ペースト状のポリイミドであり、保護膜8の上に印刷塗布された後に加熱することで硬化することが出来る。また、このペースト状のポリイミドは、ポリイミドの前駆体と溶媒およびその中に分散した多数のポリイミドの微小粒子からなっている。微粒子としては、具体的には平均粒径1乃至2マイクロメートルであり、最大粒径が約10マイクロメートルとなる粒度分布を有する微小粒子を使用した。本実施例に用いられているポリイミドの前駆体は、硬化するとポリイミドの微小粒子と同一材料となるので、ペースト状のポリイミドが硬化した際には、一種類の材料からなる均一な応力緩和層5が形成されることとなる。本実施例では、応力緩和層形成材料としてポリイミドを用いたが、本実施例ではポリイミド以外にアミドイミド樹脂、エステルイミド樹脂、エーテルイミド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、これらを変性した樹脂などを用いることも可能である。ポリイミド以外の樹脂を使用する場合には、上記ポリイミド微小粒子表面に相溶性を付与する処理を施すか、あるいは、上記ポリイミド微小粒子との親和性を向上するように樹脂組成に変成を施すことが望ましい。
上記列挙した樹脂のうち、イミド結合を有する樹脂、例えばポリイミド、アミドイミド、エステルイミド、エーテルイミド等では、イミド結合による強固な骨格のおかげで熱機械的特性、例えば高温での強度などに優れ、その結果として、配線のためのめっき給電膜形成方法の撰択肢が広がる。例えば、スパッタなどの高温処理を伴うめっき給電膜形成方法を選択できる。シリコーン樹脂やアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミドイミド、エステルイミド、エーテルイミドなどイミド結合以外の結合で縮合した部分がある樹脂の場合、熱機械特性は若干劣るものの加工性や樹脂価格などの点で有利な場合がある。例えば、ポリエステルイミド樹脂では、一般にポリイミドよりも硬化温度が低いため扱いやすい。本実施例では、これらの樹脂の中から素子特性、価格、熱機械特性などを総合的に勘案してこれらの樹脂を適宜使い分ける。
ペースト状のポリイミド中にポリイミド微小粒子を分散させることで材料の粘弾特性を調整することが可能となるため、印刷性に優れたペーストを使用することが出来る。微小粒子の配合を調整することで、ペーストのチキソトロピー特性を制御することが可能となるため、粘度の調整と組み合わせることで、印刷特性を改善することが出来る。また、応力緩和層5の傾斜角度を調節することもできる。本願実施例で好適なペーストのチクソトロピー特性は、回転粘度計を用いて測定した回転数1rpmでの粘度と回転数10rpmでの粘度の比から求めた、いわゆるチクソトロピーインデックスが2.0から3.0の範囲にあることが望ましい。なお、チクソトロピーインデックスに温度依存性が現れるペーストの場合、チクソトロピーインデックスが2.0から3.0の範囲になるような温度領域で印刷すると高成績が得られる。
印刷したペースト状のポリイミドを加熱硬化した後には、ウェーハ9上に図9に示したような断面形状を有する応力緩和層5が形成される。このように印刷により応力緩和層5を形成すると、応力緩和層5のエッジ部より200乃至1000マイクロメートルのところにふくらみ部分が存在する場合があるが、このふくらみ部分の位置および存在の有無については、ペースト状のポリイミドの組成を調整したり、印刷に関わる各種条件を変更することで、ある程度制御可能となる。なお、この場合の印刷に関わる各種条件としては、メタルマスク厚さ、スキージ速度、スキージ材質、スキージ角度、スキージ圧(印圧)、版離れ速度、印刷時のウェーハの温度、印刷環境の湿度等々があげられる。
上記ふくらみ部分の高さや形状の制御は上記印刷条件によって達成できるが、その他の制御方法として、保護層8の構造調整による方法もある。例えば、図36に示したように保護膜8の有機層の形成領域をパッド7の近傍のみに限定すれば、有機層上部に相当する部分の応力緩和層を盛り上げさせることは容易である。
また、図1に示すように応力緩和層5にふくらみ部分を積極的に形成した場合は、配線4のたわみ部分を形成することができ、これにより熱膨張などによる応力を吸収しやすい構造となり、断線をより防止することができる。具体的には、応力緩和層5の平均厚さに対して、最大で約25マイクロメートル、望ましくは7乃至12マイクロメートル程度の高さを持つふくらみ部分が形成されることが好ましい。この程度の頂点であれば、マスク印刷により十分形成可能である。例えばこのふくらみ部を半径が10マイクロメートルの半円筒形状と仮定すると、ふくらみ部の半弧の長さは(2×3.14×10マイクロメートル)/2=31.4マイクロメートルとなり、配線の冗長長さはふくらみ部1個について31.4―10=21.4マイクロメートル、応力緩和層の両側に1つずつ形成した場合には42.8マイクロメートルとなる。このように、配線4に冗長部を設けることができるため、配線構造およびはんだ接合部に作用する熱応力が緩和され、従って、信頼性の高い配線構造を提供できる。なお、このふくらみ部の所要厚さは、応力緩和層5の膜厚および弾性率、半導体素子13のサイズ、半導体素子の消費電力、半導体素子を搭載する回路基板14の物性値などを勘案した実験およびシミュレーションから求める。例えば、本実施例では半導体素子13の対角長さをLミリメートルとし、半導体素子13とそれを搭載する回路基板14の線膨脹係数の差が15ppm/℃、半導体素子13の基板搭載プロセス〜動作中のON/OFFによって生じる最大温度範囲が摂氏200度とすると、基板実装品が実使用環境での使用で配線部が受ける最大熱変形量は、15(ppm/℃)×L/2(mm)×200(℃)=0.0015×Lミリメートルとなる。従って、上記ふくらみ部に要求される冗長長さは0.002×Lミリメートル程度あれば充分であると考えた。この計算からふくらみ部を半円筒形状で近似して、本実施例では、そのふくらみ部分の高さは応力緩和層5の平均厚さに対してL/2000〜L/500ミリメートル程度の範囲に収まるようにした。
必要となる応力緩和層5の膜厚が1回の印刷および加熱硬化で形成されないときには、印刷及び材料の硬化を複数回繰り返すことで所定の膜厚を得ることができる。例えば、固形分濃度30乃至40%のペーストを用いて厚さ65マイクロメートルのメタルマスクを使用した場合、2回の印刷で硬化後の膜厚として約50マイクロメートルを得ることが出来る。また特に、回路基板14に半導体装置13を接続した際に歪みが集中しやすい箇所に配置されているバンプ1については、該当する個所の応力緩和層5のみに限定して厚さを厚膜化することで歪みの集中を緩和することも出来る。このためには、例えばペースト状ポリイミドを半導体が形成されたウェーハ9上に対して、1回目の印刷にて使用したものとは異なるメタルマスクを使い複数回の印刷をすれば良い。
また、第2の方法として、保護層8の構造を調整することによって応力緩和層の厚みを部分的に変更することもできる。例えば、図37に示すように、ひずみが集中し易いバンプXの直下の領域は無機膜からなる保護層のみを使用し、その他の領域では無機膜の上に有機膜を形成した複合層を保護膜とする。このような保護膜の上に応力緩和層を形成すると、有機膜の保護膜のあるところとないところの応力緩和層の部分Aで緩やかな傾斜部が形成される。
いま、応力緩和層の膜厚が50マイクロメートルでその弾性率が1GPa、有機膜の膜厚が10マイクロメートルでその弾性率が3GPaであるとすると、有機保護膜と応力緩和層からなる部分の平均弾性率(GPa/マイクロメートル)は(3×10+1×50)/60≒1.3となり、一方、部分Aにおける傾斜部の平均弾性率は1である。したがって、このような構造にすることにより、応力緩和層の熱応力は周辺部から有機保護膜が形成された部分に分散することになり、本来熱応力が集中する周辺部にあるバンプの破損を防止することができる。
なお、必ずしも応力緩和層中に微粒子を有する必要はなく、微粒子をペースト中に分散させない場合でも印刷に必要な最低限の粘弾性特性が確保されればよい。ただし、微小粒子をペースト中に分散させない場合は、印刷に関わる各種条件のマージンが極端に狭くなる可能性がある。
引き続き第四工程を説明する。本実施例では再配線用配線4を電気銅めっきと電気ニッケルの2層とした。なお、再配線用配線4の一端をバンプパッド3と兼用してもよい。ここでは、銅、ニッケルとも電気めっきを用いて導体を形成する方法を示したが、無電解めっきを用いることも可能である。
まず、電気めっきを実施するための給電膜16を半導体ウェーハ全面に形成する。ここでは、蒸着や、無電解銅めっき、CVDなども用いることが可能であるが、保護層8および応力緩和層5との接着強度が強いスパッタを用いることとした。スパッタの前処理として、ボンディングパッド7と再配線用配線4導体との間の導通を確保するためにスパッタエッチングを行った。本実施例におけるスパッタ膜としては、クロム(75ナノメートル)/銅(0.5マイクロメートル)の多層膜を形成した。ここでのクロムの機能は、その上下に位置する銅と応力緩和層等との接着を確保することにあり、その膜厚はそれらの接着を維持する最低限が望ましい。クロム膜厚が厚くなると成膜時間が増大して生産効率が低下するという問題に加えて、保護層8や応力緩和層5を長時間にわたってスパッタチャンバー内に発生している高エネルギー状態のプラズマに曝すことになり、これらの層を形成している材料が変質するという危険性がある。なお、所要膜厚は、スパッタエッチングおよびスパッタの条件、クロムの膜質などによっても変動するが、おおむね最大で0.5マイクロメータである。なお、本実施例で使用したクロム膜に代えてチタン膜やチタン/白金膜、タングステンなどでも代替できる。一方、スパッタ銅の膜厚は、後の工程で行う電気銅めっき及び電気ニッケルめっきを行ったときに、めっき膜の膜厚分布が生じない最小限度の膜厚が好ましく、めっき前処理として行なう酸洗などでの膜減り量も考慮に入れたうえで膜厚分布を誘発しない膜厚を決定する。スパッタ銅の膜厚を必要以上に厚くした場合、例えば1マイクロメートルを越える銅厚の場合には、スパッタ時間が長くなって生産効率が低下するという問題に加えて、後の工程で実施する給電膜16のエッチング除去の際に長時間エッチングが避けられず、その結果として再配線用配線4のサイドエッチングが大きくなる。単純な計算では、1マイクロメートルの給電膜をエッチングする場合には配線も片側1マイクロメートル、両側で2マイクロメートルのエッチングが起こる。実際の生産では、給電膜のエッチング残りが発生しないようにオーバーエッチングすることが一般的に行われているため、1マイクロメートルの給電膜をエッチングする場合には配線が5マイクロメートル程度サイドエッチングされることになる。サイドエッチングがこのように大きくなると、配線抵抗が大きくなったり、断線を誘発しやすくなったりして、配線性能の観点で問題を発生しやすい。従って、スパッタ銅の膜厚はおおむね最大で1マイクロメータとなる。
次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、再配線用配線4の逆パターン形状17をレジストを用いて形成する。図4中のBで示した応力緩和層5のエッジ部におけるレジストの膜厚は、斜面部から流れ出たレジストにより、他の場所と比べ厚くなる。このため、解像度を確保するためには、ネガ型の方が好ましい。レジストとして、液状レジストを用いた場合、図4中のBで示した応力緩和層5のエッジ部の斜面上部ではレジスト膜厚が薄くなりやすく、斜面下部では逆にレジスト膜厚が厚くなり易い傾向がある。斜面上部と斜面下部とで膜厚の異なるレジストを同一露光量、同一現像条件でパターニングするには広い現像裕度が必要となる。一般に、膜厚に対する現像裕度はポジ型感光特性レジストよりもネガ型感光特性レジストが広いため、本実施例ではネガ型の液状レジストを用いた。なお、フィルムレジストを使用する場合には、斜面上下での膜熱差は発生しないためネガ型でもポジ型でも使用可能となるが、斜面部はななめから露光することになって実質光路長が長くなるため、この場合にもネガ型を用いると好成績が得られることが多い。応力緩和層5のエッジ部の傾斜が大きい場合やブリーチング特性の弱いフィルムレジストを用いる場合には、ネガ型が特に好ましい。
本実施例では、図10に示すように、露光マスク21とレジスト22が密着し、一部に隙間20を有するタイプの露光機を用いた。該露光機での解像限界は、露光用マスク21とレジスト22とが密着した場合で約10マイクロメートルであった。我々の実験結果によると、露光マスク21下部の隙間20と解像する配線幅の関係は、表1に示すようになった。なお、表1中の値は露光機の光学系や現像条件、レジストの感度、レジスト硬化条件、配線幅/配線間隔の比などにより変化する。
表1に示している実験結果は、配線幅/配線間隔の比が1.0の場合の値である。
Figure 2011071542
図11にアルミパッドとの接続部23とバンプパット3が再配線用配線4で接続されている様子を示す。本実施例で使用した露光装置の場合には、表1の横軸である露光マスクの下部の隙間は応力緩和層の厚さにほぼ対応しているので、例えば応力緩和層の厚さが60マイクロメートルであれば配線の幅は25マイクロメートルまで解像可能である。したがって、信号線の配線幅を25マイクロメートルとし、電源またはグランド線の配線幅を40マイクロメートルとして配線をすることもできる。また、信号線の配線を25マイクロメートルとして、その信号線の一部を太くすることも可能である。
図12に応力緩和層5の傾斜部付近における再配線用配線4を拡大して示す。上述のように、応力緩和層5のエッジ部近傍でレジスト膜厚が不均一となっているため、その領域で現像不足が発生しやすい傾向があった。図13に実際に応力緩和層5のエッジ部分で現像不足が起こっている様子を示す。本実施例では、この対策のために現像液の回り込みを改善することによって解決した。より具体的に例示すると、配線パターン形状を図14や図15に示したように変更することなどの方策である。
図14はアルミパッドとの接続部23から応力緩和層5の頂上付近まで配線幅を太くした場合を、図15は解像性が悪い応力緩和層5のエッジ部分のみの配線幅を太くした場合を示している。なお、これら図14および図15における配線幅は、応力緩和層5の厚さと表1に示した解像特性とを考慮して決定する。他の解決策として現像時間を延長することで現像残りを解消する方法も考えられる。また、マスク面で光が回折するため、露光マスク21の下に隙間20が存在することに起因して解像性低下やパターン精度低下が起こる場合がある。
この現象の解決策として、(1)露光機の光学系変更、(2)レジストのブリーチング性改良、(3)レジストのプリベーク条件適正化、(4)多段露光などがあげられる。露光機の光学系の変更について具体例を1つ挙げると、NA値が0.0001以上0.2以下の露光機を使用するという方策があげられる。ここで挙げた例に限らず、公知慣用のプロセス上の工夫を適宜組み合わせることで、パターンの解像性、精度を向上することができる。
応力緩和層5のエッジ部はウェーハと応力緩和層5の物性値の違いにより生じる応力が集中しやすい構造上の特徴があるので、応力緩和層5の傾斜部で配線を太くすることにより断線を効果的に防止することもできる。なお、必ずしもすべての配線を同じ太さにする必要はなく、例えば図16に示すように電源/グランド線と信号線で配線の幅を変えるようにしてもよい。この場合、電気的な特性を考慮すると一般には電源/グランド線を信号線よりも太くすることが望ましい。信号線を太くした場合、これにより配線の有する容量成分が増加し、高速動作時に影響を及ぼすからである。逆に電源/グランド線を太くすると電源電圧が安定するという効果が期待できるのでむしろ好ましい。したがって、図示するように信号用配線については、応力の集中する部分だけを最低限緩和できるようにエッジ周辺を太くしたパターンとし、電源用またはグランド用配線については傾斜部を一様に太くすることが望ましい。一方、応力緩和層が形成されていない平坦部については、配線の容量成分の影響を考慮し、信号配線を細くしている。ただし、これは半導体素子の種類やその配線パターンによりその都度考慮する必要がある。例えば、半導体素子やその配線パターンにも依存するが、保護膜8の厚みを増大すると配線の容量低減に大きな効果があるので、応力緩和層が形成されていない平坦部で信号配線を太くせざるを得ない場合には、保護膜8を厚く形成することが望ましい。具体的には、配線幅を10%増大させる場合には、保護膜8の膜厚も約10%程度増大させることが望ましい。一方、応力緩和層の上部平坦部での配線幅は、信号線容量よりもむしろ配線密度によって制限を受ける。すなわち、バンプパッドの間隔に通す配線本数、バンプパッドの径、配線形成工程における位置合せ精度、などから応力緩和層の上部平坦部での配線幅の上限値が求められる。具体的に一例を示すと、バンプパッド間隔が0.5ミリメートルで、パッド径300マイクロメータ、パッド間に3本配線をひく場合には、(500−300)/(3×2―1)=40 という計算となる。この計算結果から、本実施例では平均配線幅/配線間隔=40マイクロメータとした。
第五工程について説明する。本実施例では、硫酸酸性銅めっき液を用い銅めっきを実施した。電気銅めっきは、界面活性剤による洗浄、水洗、希硫酸による洗浄、水洗を行った後、給電膜16を陰極に接続し、リンを含有する銅板を陽極に接続して実施した。
引き続き、電気ニッケルめっきを行う。なお、電気ニッケルめっき前に、界面活性剤による洗浄、水洗、希硫酸による洗浄、水洗を行うと良好な膜質の電気ニッケルめっき膜が得られ易い傾向がある。電気ニッケルめっきは、給電膜16を陰極に接続し、ニッケル板を陽極に接続して行った。本実施例で好適な電気ニッケルめっきは、公知慣用ないずれのニッケルめっき浴でも使用可能であり、ワット浴系でもスルファミン浴系でもよいが、本実施例ではワット浴系を用い、めっき膜内部応力が適正範囲になるように調整しためっき条件下で行なった。スルファミン浴はめっき液成分がワット浴と比べると高価であるうえ若干分解しやすい傾向があるという欠点はあるが皮膜応力が制御しやすい。一方、ワット浴は一般に皮膜応力が大きくなりやすいので、厚膜めっきした場合には自身の持つ皮膜応力(引っ張り応力)のために配線層にクラックが入る危険性が増大するという欠点がある。本実施例ではワット浴を用いたが、スルファミン浴を用いる場合でもワット浴を用いる場合でも、添加剤(皮膜応力抑制剤)の種類および濃度、めっき電流密度、めっき液温度の適正範囲を求めるためのモデル実験をあらかじめ実施してから行うと良い。本実施例ではこれらを適正に制御して膜厚10マイクロメータ以下では配線にクラックがはいらない条件をあらかじめ求めてから実施した。
なお、めっき膜応力は、析出したニッケルの金属結晶配向性に関わる指標の1つであり、後述するはんだ拡散層の成長を抑制するために、適正に制御する必要がある。膜応力が適正に制御された条件下でめっきすると、めっき皮膜は特定量の微量成分を共析するようになる。例えば、硫黄0.001〜0.05%を含有する膜の場合、特定の結晶配向面の含有率が高まる。より具体的に言えば、配向面111、220、200、311、の含有率合計が50%以上となる。
電気ニッケルめっきの膜厚は、その後の工程で用いるはんだの種類やリフロー条件、及び半導体装置の製品特性(実装形態)により最適値を決定する。具体的には、はんだリフローや実装リペアの際に形成されるはんだとニッケルとの合金層の膜厚がニッケルめっき膜厚以上になるように決定すれば良い。上記合金層の膜厚は、はんだ中のスズの濃度が高いほど大きく、リフロー上限温度が高いほど大きくなる。
このように、再配線用配線として銅配線の上にニッケル層を形成すると、半導体装置と回路基板の間に働く熱応力により再配線用配線が変形を受け、その後その応力が解放されたときに、再配線用配線はニッケル層のばね性により変形前の形状に戻ることができる。
例えば、半導体装置の動作により引き起こされる熱応力の作用により、応力緩和層及びその上に形成されている再配線用配線4がお互いに密着した形で変形する。このときの再配線用配線の変形には応力緩和層のふくらみ部分にある再配線用配線の冗長部分のたわみ部分が用いられる。その後、熱応力等から解放されて応力緩和層が元の形状に戻ったときに、再配線用配線が銅配線のみの場合は銅配線は銅配線自身のばね性では元の配線形状に戻りにくい。一方、銅配線の上にニッケル層を形成すると、そのニッケル層のばね性により再配線用配線(銅配線)は元の形状に容易に戻ることができる。なお、銅配線の上に形成されるのはニッケル層に限らず、銅配線の上でニッケル層と同程度のバネ性を持つものであってもよい。また、銅配線の代わりに伸縮性のある配線を形成する場合はニッケル層は必ずしも必要ない。
第六工程では、電気銅めっきおよび電気ニッケルめっきを行ったのちに配線の逆パターンであるレジスト17を除去し、エッチング処理をすることで予め成膜した給電膜16を除去する。
銅のエッチングには、塩化鉄、アルカリ系エッチング液等の種類があるが、本実施例では硫酸/過酸化水素水を主成分とするエッチング液を用いた。10秒以上のエッチング時間がないと制御が困難となって実用的観点では不利であるが、あまりに長い時間エッチングを行なうと、例えば5分を越えてエッチングするような場合には、サイドエッチングが大きくなったりタクトが長くなるという問題も生じるため、エッチング液およびエッチング条件は、適宜実験により求めるのがよい。引き続いて実施する給電膜16のクロム部分のエッチングには、本実施例では過マンガン酸カリウムとメタケイ酸を主成分とするエッチング液を用いた。なお、上記電気ニッケルめっき膜は給電膜16のエッチングの際のエッチングレジストとしても機能している。従って、ニッケルと銅、ニッケルとクロムのエッチング選択比を勘案してエッチング液の組成成分、エッチング条件を決定するとよい。例えば、具体的に言えば、銅のエッチングの際に使用する硫酸過酸化水素エッチング剤では、硫酸の含有量は最大でも50%以下、望ましくは15%以下とする。これにより、ニッケルに対して10倍程度のエッチング選択比で銅をエッチングできる。
第七工程では、バンプパッド3および切断部24およびその周囲のみが開口した表面保護膜6を形成し、引き続き無電解金めっきを実施することでバンプパッド部3に金を成膜した。ここでは表面保護膜6としてソルダーレジストを使用し、これを半導体装置13の全面に塗布した後に露光、現像することでパターンを形成する。なお、ソルダーレジストの他にも感光性ポリイミドや印刷用ポリイミドなどの材料を用いて表面保護膜6を形成することも可能である。
以上のような工程を経ることで、表面保護膜6は、再配線用配線4、応力緩和層5、保護膜8などを完全に覆うこととなる。このため、表面保護膜6は、再配線用配線4、応力緩和層5、保護膜8が刺激性物質により変質、剥離、腐蝕することを抑止できる。
この第七工程までで、アルミパッド7からバンプパッド3までの再配線用配線4およびバンプパッド3が、半導体が形成されたウェーハ9上に図17および図2に示すごとく形成される。
第八工程では、はんだボール搭載装置とリフロー炉を使用しバンプを形成する。つまり、はんだボール搭載装置を利用することで、バンプパッド3上に所定量のフラックスとはんだボールを搭載する。この際、はんだボールはフラックスの粘着力によりバンプパッド上に仮固定される。はんだボールが搭載された半導体ウェーハをリフロー炉に投入することではんだボールは一旦溶融し、その後再び固体化することで、図1に示したバンプパッド3に接続したバンプ1となる。このほかにも印刷機を用いてはんだペーストをバンプパッド3上に印刷塗布し、これをリフローすることでバンプ1を形成する方法もある。何れの方法においてもはんだ材料は様々なものを選択することが可能となり、現時点において市場に供給されているはんだ材料の多くが使用できる。この他、はんだ材料は限定されるものの、めっき技術を用いることで、バンプ1を形成する方法もある。また、金や銅を核としたボールを使用したバンプや導電材料を配合した樹脂を使用して形成したバンプを使用しても良い。
第一工程から第九工程までの工程を経ることで、図1に示した応力緩和層5を有し、かつ少ない工程数で再配線用配線4が形成され、しかも再配線用配線4の途中には応力が集中する屈曲部が存在しない半導体装置13が実現できる。また、印刷技術を使用することで、露光や現像技術を用いることなく厚膜の絶縁層である応力緩和層5をパターン形成することができ、その応力緩和層5は再配線用配線4を形成するための斜面を有することができる。
本実施例によれば、アンダーフィルを実施せず半導体装置13をフリップチップ接続した場合でも半導体装置13の接続信頼性が大幅に向上する。
このため本実施例によれば多くの電気製品においてアンダーフィルを使用しないフリップチップ接続が可能となり、各種電気製品の価格を低減することが可能となることがわかる。
さらに、アンダーフィルを実施しないため、半導体装置13の取り外しが可能となる。つまり、回路基板に接続した半導体装置13が不良品であった場合、半導体装置13を回路基板上から取り外し回路基板を再生することが可能となり、これによっても各種電気製品の価格を低減することが可能となる。
次に、本実施例に係る応力緩和層5の材料について説明する。本実施例で最も好適に使用される応力緩和層5形成用の材料は、ペースト状のポリイミドであるがこれに限らず変成アミドイミド樹脂、エステルイミド樹脂、エーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、変成シリコーン樹脂、変成アクリル樹脂などでもかまわない。
上記列挙した樹脂のうち、イミド結合を有する樹脂、例えばポリイミド、アミドイミド、エステルイミド、エーテルイミド等では、イミド結合による強固な骨格のおかげで熱機械的特性、例えば高温での強度などに優れ、その結果として、配線のためのめっき給電膜形成方法の撰択肢が広がる。例えば、スパッタなどの高温処理を伴うめっき給電膜形成方法を選択できる。シリコーン樹脂やアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミドイミド、エステルイミド、エーテルイミドなどイミド結合以外の結合で縮合した部分がある樹脂の場合、熱機械特性は若干劣るものの加工性や樹脂価格などの点で有利な場合がある。例えば、ポリエステルイミド樹脂では、一般にポリイミドよりも硬化温度が低いため、扱いやすい。本実施例では、これらの樹脂の中から素子特性、価格、熱機械特性などを総合的に勘案してこれらの樹脂を適宜使い分ける。
応力緩和層5形成用の材料は、例えばエポキシ、フェノール、ポリイミド、シリコーン等の樹脂を単独あるいは2種類以上配合し、これに各種界面との接着性を改善するためのカップリング剤や着色剤等を配合して用いることが可能である。
応力緩和層5の弾性率は、室温において0.1から10.0GPa程度のものが適用可能であるが、一般のポリイミドよりは弾性率が低いものが望ましい。弾性率が0.1GPaを下回って小さすぎる場合には、後述する突起電極の形成や該半導体装置の機能試験を行う際に配線部分が変形し易くなり断線等の問題が懸念される。また、応力緩和層5の弾性率が10.0Gを越えて大きくなると充分な応力の低減効果が得られず、該半導体装置を基板に搭載した場合の接続信頼性が低下することが懸念される。
さらに、応力緩和層5用材料の硬化温度は100℃から250℃までのものを用いる事が望ましい。硬化温度がこれより低い場合、半導体製造時の工程内での管理が難しく、硬化温度がこれより高くなると硬化冷却時の熱収縮でウェーハ応力が増大したり、半導体素子の特性が変化する懸念があるからである。
硬化後の応力緩和層はスパッタ、めっき、エッチングなどのさまざまな工程にさらされることから、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性などの特性も要求される。具体的には、耐熱性としてそのガラス転位温度(Tg)が150℃超400℃以下であることが望ましく、より望ましくはTgが180℃以上、最も好ましくはTgが200℃以上である。図41はガラス転移温度(Tg)と線膨張係数の関係を示す実験結果である。これより、ガラス転移温度(Tg)が200℃以上であれば、クラックが発生していないことが分かる。なお、工程中での様々な温度処理における変形量を抑える観点から、Tg以下の領域での線膨脹係数(α1)は小さいほど好ましい。具体的には3ppmに近いほどよい。一般に低弾性材料は線膨脹係数が大きい場合が多いが、本実施例で好適な応力緩和層5材料の線膨脹係数の範囲は3ppm〜300ppmの範囲であることが望ましい。より好ましくは3ppm〜200ppmの範囲であり、最も望ましい線膨脹係数は3ppm〜150ppmの範囲である。
一方、熱分解温度(Td)は約300℃以上であることが望ましい。TgやTdがこれらの値を下回っていると、プロセス中での熱工程、例えばスパッタやスパッタエッチ工程で樹脂の変形、変質や分解が起こる危険性がある。耐薬品性の観点から言うと、30%硫酸水溶液や10%水酸化ナトリウム水溶液への24時間以上の浸漬で変色、変形などの樹脂変質が起こらない事が望ましい。耐溶剤性としては、溶解度パラメーター(SP値)が8〜20(cal/cm3)1/2となることが望ましい。応力緩和層5用がベースレジンに幾つかの成分を変成してなる材料である場合には、その組成の大部分が上記溶解度パラメータの範囲にはいっていることが望ましい。より具体的にいうと、溶解度パラメータ(SP値)が8未満あるいは20超である成分が50重量%を越えて含有されていないことが望ましい。
これらの耐薬品性や耐溶剤性が不十分だと適用可能な製造プロセスが限定される場合があり、製造原価低減の観点から好ましくないこともある。現実的には、これらの特性を満足する材料コストとプロセス自由度とを総合的に勘案した上で、応力緩和層5用の材料を決定すると良い。
続いて、応力緩和層の膜厚とウェーハ応力およびα線の関係について説明する。図18は、応力緩和層の膜厚とウェーハ応力の関係を示したものである。図18に示したように、応力緩和層は直径8インチウェーハに塗布し硬化させた場合、150マイクロメートルよりも膜厚が厚くなるとウェーハ応力が大きくなり、ウェーハの反りが大きくなったり、ウェーハのクラック、絶縁膜のはがれ等が発生しやすくなる。
一方、図19には、応力緩和層の厚さと応力緩和層中を透過するα線量との関係を示した。α線は、半導体装置に用いられるはんだ中に不純物として含まれるウラニウムやトリウム等の崩壊によって発生し、トランジスタ部の誤動作を引き起こす。図19に示したように、応力緩和層の厚さが35マイクロメートルより厚くなるとα線はほとんど透過せず、α線による誤動作の問題は生じない。反対に35マイクロメートルより応力緩和層の厚さが薄くなるとα線が透過するため、α線による誤動作が起こりやすくなることが分かる。
これらの関係から、応力緩和層の厚さを35マイクロメートル以上150マイクロメートル以下にすることにより、半導体素子表面に形成した回路部分までα線が到達するのを防止し、かつ半導体装置とこれを搭載した基板との接続信頼性を確保することができる。
なお、半導体装置の構成によっては、同一素子内にα線の影響を受けやすい部分、例えばトランジスタの誤作動を受けやすいメモリセル110等と、α線の影響を受けにくい部分がある。そこで、α線に対して特に影響を受けやすい部分に対して、図20、21に示すように応力緩和層の厚さを35マイクロメートル以上150マイクロメートル以下にすることにより、半導体素子表面に形成した回路部分までα線が到達するのを防止することができる。
なお、α線の影響を受けにくい領域に形成する応力緩和層の厚みは35マイクロメータを下回るようにしても、α線遮蔽の観点では問題がない。従って、例えば、図21に示すようにα線遮蔽が必要な領域の応力緩和層を厚く形成し、その他の領域では応力緩和層を薄く形成し、応力緩和層全体の平均厚みを35マイクロメートル以上150マイクロメートル以下にすることもできる。このような工夫を施す場合には、各バンプにかかる熱応力ひずみの大きさを勘案した半導体装置の構成とすることが望ましい。一般に半導体装置13の外周へいくほど熱応力ひずみを受けやすく厚めの応力緩和層が必要となるから、α線に対して影響を受けやすいトランジスタ領域を半導体装置13の外周に配置し、α線に対して影響を受けにくい領域を半導体装置13の中央付近に配置するとよい。例えば、図38に示すように、応力緩和層5の厚みを半導体装置13の中央付近は薄く、外周部に行くほど次第に厚くすることも可能である。この場合、中央付近のバンプは他のバンプと比べて接続高さが大きくなるとともに接続角が小さくなるため、バンプそのものの応力緩和機能が増大して、薄くなった応力緩和層5の応力緩和機能を代替している。なお、α線の影響を全く受けない領域を有する半導体装置13の場合には、図39に示すようにα線の影響を受けない領域を半導体装置13の中央付近に配置すれば、半導体装置13の中央付近には応力緩和層5を形成しなくても構わない。
次に他の実施例として、応力緩和層と組成が異なる微粒子を包含する応力緩和層の実施例について説明する。
上述した応力緩和層5に含まれる微粒子は、応力緩和層5と同一材料で、同じ物性を有している。応力緩和層中で微粒子が分散することで印刷に必要な粘弾性特性を有することができる。
しかし、この構造では、ウェーハと応力緩和層5との境界で物性値が急激に変化するため熱応力等がその境界部分に集中して配線が断線等する可能性がある。
そこで、本実施例では、ウェーハの回路形成面上に形成された応力緩和層5の特性を厚み方向で異ならせ、ウェーハ表面側の応力緩和層の特性がウェーハの特性に近くなるようにした。
これにより、ウェーハ上面と応力緩和層下面の境界部における特性の差を少なくし、これらの上に設けた配線に不連続な力や、応力緩和層の膨張収縮による引張りや圧縮、曲げの応力が配線部に加わらないようにすることで、配線部の断線防止が可能となる。
さらに、ウェーハ側の応力緩和層5の特性はウェーハに近く、該半導体装置を搭載する基板側はその基板の特性に近くすることにより、応力緩和層5上の配線のみならず該半導体装置と前記基板の接続部の接続寿命向上にも有効である。
ここで、応力緩和層5の厚み方向で漸次変化する特性として、熱膨脹係数あるいは弾性率等が考えられる。そして、応力緩和層の特性を変化させる具体的な手段として、図22に示すように、絶縁性の粒子であるシリカ粒子102を配合し、応力緩和層5の厚さ方向にシリカ粒子102の配合量の分布を持たせ熱膨脹係数や弾性率を徐々に変化させる。シリカ粒子102が多く分布している部分では、応力緩和層5の熱膨張係数が小さく弾性率は高くなる。一方、シリカ粒子102の配合量が少なくなると熱膨脹係数は大きくなり弾性率は低くなる。
本実施例における半導体装置の製造工程も、ウェーハ上の回路形成、応力緩和層形成、シリカ粒子の分布、応力緩和層上の配線形成等をウェーハ状態で行うことにより、全体工程の簡略化、製造時のバラツキ等が少なく配線部の寿命向上が可能である。
本実施例では、応力緩和層5に弾性率や熱膨脹を調整するための絶縁粒子である、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素等の無機材料からなる粒子を一種類あるいは二種類以上配合し、また必要に応じてポリイミドやシリコーン等の有機材料からなる粒子を適宜配合してもよい。
さらに、シリカ粒子や絶縁樹脂層を構成する各種界面との接着性向上のためアルコキシシランやチタネート等からなるカップリング剤、樹脂の破断伸びや破断強度を向上させる熱可塑性樹脂等の改質剤、ウェーハ上に形成された回路部の紫外線等による誤動作を防止するため絶縁樹脂層を着色するための染料や顔料、樹脂層の硬化反応を促進させるための硬化促進剤等を配合することも可能である。
厚さ方向で特性を変化させた応力緩和層5の形成方法としては、例えば前記記載の材料を配合してなる液状の応力緩和層5をウェーハの回路面上に塗布し、この応力緩和層5を加熱硬化する過程で、配合したシリカ等からなる絶縁粒子をウェーハ側に漸次沈降させる方法がある。シリカ粒子の粒子径に分布が有る場合、粒子径の大きい粒子ほど沈降が早く、粒子径の小さい粒子ほど沈降し難く、ウェーハを下側にして応力緩和層の加熱硬化を行うと、応力緩和層の厚み方向で特性の分布が形成される。
応力緩和層5に配合されたシリカ粒子の膜厚方向での濃度分布を制御する方法としては、絶縁樹脂の硬化温度、硬化温度プロファイルを適宜調整したり、硬化の進行を早めるための硬化促進剤の配合量や種類、あるいは硬化を遅らせるための反応抑制剤等を適宜配合する方法やシリカ粒子等絶縁粒子の粒子径分布を変更する方法がある。
本実施例に適用可能なシリカ粒子は、溶融しインゴット化したシリカの塊を破砕したものや、シリカインゴットを破砕後、再度シリカ粒子を加熱溶融して球形化したもの、さらに合成したシリカ粒子等が適用可能である。シリカ粒子の粒子径分布や配合量は、本実施例の構造を適用する半導体装置の大きさ、厚さ、集積度、応力緩和層5の厚さ、粒子の粒径や搭載する基板の種類によって種々変更可能である。
印刷法により応力緩和層5を形成する場合、印刷の方法によっては、適用するマスクの寸法によっても粒子径の分布を変更する必要が生じる場合もある。
なお、応力緩和層5は一回の印刷で形成される必要はなく、図23に示すように、少なくとも2回以上の印刷で形成してもよい。さらに、それぞれの層に含まれるシリカ粒子の配合量を異ならせて印刷してもよい。
本実施例では、ウェーハの回路部から応力緩和層上に設けた電極に至る段階で、配線が形成される部分の物性が急激に変化しないので、配線の一部に大きな力が集中することが無く、配線の断線防止が可能となる。
次に、半導体装置13の周辺寄りに存在するバンプ1直下の応力緩和層5の膜厚を他の箇所と比べ薄くした半導体装置13の実施例の一例を図24を用いて説明する。この実施例では、最外周のバンプ1aは、その一つ内側のバンプ1bとくらべ、δだけ高さが低くなっている。
半導体装置13の周辺部について応力緩和層5の膜厚を薄くする方法としては、ペースト状のポリイミド材料などの応力緩和層形成材料中に含まれる微小粒子の有無、粒子の形状や配合、印刷速度、版離れ速度、印刷回数等の印刷条件、ペースト中の溶媒の割合などを変更する方法がある。
一般に半導体装置13の周辺寄りに存在するバンプ1aには、回路基板14に半導体装置13を接続した後の各種負荷により、その他のバンプ1b等と比べ大きな歪みが生じている。例えば、半導体装置13と回路基板14との線膨張係数は異なるため、温度上昇時には半導体装置13の周辺寄りのバンプ1aになるほど大きな歪みが発生する。この歪みが大きい場合や繰り返し作用する場合、半導体装置13の周辺よりのバンプ1aは破壊しやすい。
本実施例にあるように半導体装置13の周辺寄りについて応力緩和層5の膜厚を薄くすると、対応した箇所のバンプ1の形状を制御することが可能となり、回路基板14に接続した際にバンプ1は図25に示したような縦長バンプ1aaとなる。このような縦長バンプ1aaでは、体積自体はその他のバンプ1と同一であるため、バンプ1とバンプパッド3との接触角およびバンプ1と回路基板14上のパッドとの接触角が大きくなる。つまり、図25においてはα1>α2、β1>β2となる。
接触角が大きくなることで、バンプとバッドとの接続部に対する応力集中は緩和されることとなる。このように応力緩和層5の膜厚を半導体装置13の周辺部のバンプパッド3形成箇所についてその他の部分より薄くし、バンプ1の形状を縦長とすることで、半導体装置13と回路基板14との接続信頼性を向上させることが出来る。なお、応力緩和層5の断面形状は、バンプ1の高さが半導体装置13の回路基板14に対する接続時に支障のない範囲内で設計することが可能であり、様々なものが考えられる。
δの大きさは、(1)最外周に位置する縦長バンプ1aaに要求される応力緩和特性、(2)半導体装置13の機能検査時におけるバンプ高さバラツキ許容値、(3)半導体装置13の回路基板14に対する接続時のバンプ高さバラツキ許容値、などを考慮して決定する。より具体的に記述すると、上記応力緩和特性は応力緩和層5の弾性率と半導体装置13のサイズから求まる。一方、機能検査時や接続時のバラツキについては、はんだボールや応力緩和層5の変形も考慮したうえでそれらの許容値を求める。例えば、機能検査はバンプ上面から検査治具を押しつけて応力緩和層5を変形させれば、バンプ高さバラツキが実質的に存在しない状態で機能検査することが可能である。このような操作を行ったとしても、応力緩和層5ははんだバンプ材料と比べて相当に弾性率が低いため、はんだバンプの変形よりも応力緩和層5の変形が優先して起こり、はんだバンプへ傷が付いたりすることも無い。それゆえ、応力緩和特性から要求されるδの値が、機能検査装置で要求されているバンプ高さバラツキよりも大きくなったとしても、応力緩和層5の変形によって対応できる範囲であれば差し支えない。また、応力緩和材料は弾性体であるため、検査終了後には形状が復旧するので基板への接続時にも特段の問題はない。このことを勘案すると、事実上、前記(1)および(3)からδが決定されることとなる。前述のように応力緩和特性は、応力緩和層5の膜厚が35乃至150マイクロメートルで良い結果が得られるため、応力緩和特性からはδ=150−35=115マイクロメートルとなる。また、δ=115マイクロメートルという値は、回路基板14への接続の際に許容される上限値とほぼ等しい。よってδの値は115マイクロメートルが多くの場合、上限値となる。
また、本実施例の構造は、半導体装置の微細化が進み、半導体装置の配線の関係上、応力緩和層の傾斜部にバンプを形成しなければならない場合にも適応できる。
なお、上記図24では最外周バンプ1aとその1つ内側のバンプ1bとで高さに差を付けるために応力緩和層5の厚みを制御しているが、その他の制御方法として、保護層8の構造調整による方法もある。例えば、図40に示したように最外周バンプ1aの直下では保護膜8の有機層を形成しないか、あるいはごく薄く形成するにとどめ、バンプ1bより内側では保護膜8の有機層を厚めに形成するなどの方法がある。必要に応じ、応力緩和層5の厚みと保護層8の有機層厚みとを適宜調整し制御することにより所望の高さ差δを達成することも何ら問題はない。
また、半導体装置の最外周に位置するバンプには外力が加わりやすく、はんだに亀裂等ができる場合があるので、最外周に位置するバンプのうちいくつかは緩衝部材として用いてもよい。この場合、緩衝部材として使用するバンプは、アルミパッド7と電気的に接続されない、半導体装置が電気的に動作する上で不要なものとすることが望ましい。これにより、半導体装置が電気的に動作する上で必要なその他のバンプで破断が発生するまでの期間を延長することが出来る。なお、緩衝部材とする幾つかのバンプについては、バンプ径を大きくすることでも更にバンプ破断までの期間を延長することが出来る。なお、本実施例では好適なバンプ径を大きくするために公知慣用のいずれの方法を用いても良いが、特に好適な方法を1つ例示すると、はんだの体積自体はその他のバンプと同一にしたままバンプランド(パッド)を大きくすることである。パッドを大きくすることにより接続径は大きくなる一方、はんだの体積は他と同じであるためバンプ高さが低くなり、その結果として、回路基板14に接続した際にバンプとパッドとの接触角が大きくなってバンプとパッドの接触点への応力集中を回避できる。応力集中がなくなったことによってはんだ内でのクラック進展が遅くなるとともに、バンプ径が増大したことによって破断に至るまでのクラック長さの絶対値そのものも大きくなっているので、バンプは段までの期間延長に大きく貢献する。
また、半導体装置を接続する回路基板の配線引き出しの設計を容易にするという観点から考えると、半導体装置の中央付近に電源またはグランド線を配置することが望ましく、その結果として、図26(a)(b)に示すようにアルミパッド7とアルミパッドからの距離が近いバンプパッドを接続する再配線用配線4は信号線として、遠いバンプパッドを接続する最配線用配線4は電源またはグランド線として用いることが望ましい。この場合、アルミパッドからの距離が近いバンプは応力緩和層5の傾斜部に位置する場合もある。また、電源またはグランド線は信号線よりも配線幅を広くするようにしてもよい。
半導体装置の他の実施例を図27に示す。本実施例では、応力緩和層5を半導体が形成されたウェーハ9上の隣の半導体装置13にまたがった状態で形成している。アルミパッド7、バンプパッド3、およびこれらを接続する再配線用配線4は、再配線用配線4が半導体装置13と隣の半導体装置13との境界を横断することがないように設計上の工夫がなされている。製造工程は、既に説明したものと基本的には同じであるが、第七工程以降に違いがある。
半導体ウェーハを切断する際には、応力緩和層5の切断も必要となるが、応力緩和層5は低弾性材料であるため、大部分がシリコンからなり強度が異なる半導体が形成されたウェーハ9と一括して切断することは難しい。このため、まず応力緩和層5に対する切断を行った後に、半導体が形成されたウェーハ9をダイシングする。以下、図28を用いて説明する。
まず、第七改良工程にて応力緩和層5のみを切断する。切断方法としては、低弾性樹脂材料の切断に向いた回転刃を使用するのが良い。このほかにも炭酸ガスレーザやサンドブラストなどを使用することができる。
第八改良工程においては、表面保護膜6としてソルダーレジストを全面に塗布する。塗布方法としては、スピンコート法のほかメッシュ状のマスクを用いた印刷やカーテンコーティングでも良い。ソルダーレジストを塗布するためにも第七改良工程における応力緩和層5の切断部の壁面は、垂直ではなく逆ハの字状となるようにすることが望ましい。このコーティングを第七改良工程における応力緩和層の切断後に行うことで、応力緩和層5が、半導体が形成されたウェーハ9の表面より剥離する要因となったり、半導体の性能劣化を引き起こすイオン等の異物の侵入を軽減でき、耐久性などを確保したデバイスを提供することができる。
第九改良工程においては、感光現像を行うことで表面保護膜6のパターンを形成する。これによりバンプパッド3および切断部24およびその周辺のみが表面保護膜6から露出する。また、表面保護膜6をマスクとして無電解金めっきを施すことでバンプパッド3上に金を成膜する。なお、実施例では金めっきのみとしたが、パラジウムや白金のめっきを金めっきの前に施してもかまわないし、金めっき終了後にスズめっきをおこなっても特段の問題は無い。
第十改良工程においては、ダイシングによって半導体が形成されたウェーハ9を半導体装置13に分割する。なお、一般的にダイシングは回転刃を用いて行われる。
以上の工程により、応力緩和層5を切断する工程を含む半導体装置13の製造が可能となる。
本実施例によれば、半導体装置13の外形寸法が小さい場合でも問題なく応力緩和層5を形成することが可能となる。具体的には、隣り合う2つの半導体装置にまたがって応力緩和層5を形成する場合には、外形寸法がほぼ半分になっても応力緩和層5の成膜技術を変える必要がなく、半導体装置の形状、外形寸法および半導体装置13を互いに分離する際の切りしろとなる切断部24の幅、形状を調節することで半導体装置の大きさを変えても同一の印刷マスクを使用して製造することすら可能となる場合もある。また、再配線用配線4は第一の実施例と同様に応力緩和層5の傾斜部を経てアルミパッド7とバンプパッド3とを接続しているため、再配線用配線4に応力集中部も存在せず、アンダーフィルを必要としないフリップチップ接続が可能となる。
なお、本実施例にかかる構造は特に半導体装置のセンター部分にパッドがレイアウトされた半導体装置、たとえばDRAMなどに適応可能である。
また、本実施例中の図では、隣り合う二つの半導体装置13にまたがった応力緩和層5を切断したが、再配線用配線4がアルミパッド7からバンプパッド3に至るためのスロープ部が存在する限り、少なくとも2以上の半導体装置13、たとえば互いに隣り合う4つの半導体装置について連結した応力緩和層5を切断するような構造を採用することも可能である。当然のことながら、隣り合う2列について連結した応力緩和層5を形成して切断するようにしてもよい。この場合、列方向の位置ずれを許容できる製法となるので、より微細加工にも適用できる。
各実施例においては、例えば図2や図27に示すように応力緩和層5の角部には丸みをつけるとよい。丸みをつけない場合、ペースト状のポリイミド材料を用いて応力緩和層5を印刷する際に気泡を巻き込む不良が時々観察される。また、応力緩和層5が角部から剥離しやすくなる。応力緩和層5に気泡が残留すると、半導体装置13を加熱した際に気泡が破裂して再配線用配線4が断線するなどの不具合が生じる。このため、応力緩和層5の形成に使用する印刷用メタルマスクのパターン開口部18の隅部は丸めておくことが望ましい。
なお、各実施例における応力緩和層5は印刷用メタルマスクやディスペンサを用いて印刷塗布し形成することができる。
また、印刷方法のみならず、スタンピング、空気あるいは不活性のガスを用いた吹き付けやインクジェット法、未硬化あるいは半硬化状態の樹脂シートを貼り付ける等の方法により、またはこれらの方法を適宜組み合わせることにより形成可能である。
応力緩和層を印刷方法で形成する場合、印刷部端部の傾きは絶縁材料を印刷し印刷マスクを除去した際、あるいは加熱硬化過程において端部で絶縁層の流動が起こり端部の傾斜部が形成される。この方法ではウエハ単位で応力緩和層および特定傾きを有する端部を一括で作成することが可能である。
一方、スタンピングで応力緩和層を形成する場合、スタンピング用の型に応力緩和用の絶縁材料を塗布しウエハ上に応力緩和層の形状を転写するため絶縁材料硬化時の端部の形状変化が生じない絶縁材料の選択が可能となる。この場合、印刷方式に比べ端部の形状が一定になり易いという特徴がある。
さらに、絶縁材をガス等を用いて吹き付ける方式では、印刷マスクあるいはスタンピング金型を用いないため、応力緩和層形成時の形状に自由度あり、ノズル形状を適当に選択すれば、印刷マスクやスタンピング金型では形成し難い応力緩和層の形成が可能となる。また、印刷方式やスタンピング方式に比べ、吹き付け量の調整で応力緩和層の厚さを調整でき、厚さ調整の範囲も広くなる。
半硬化あるいは未硬化の樹脂シートを貼り付ける方式では、厚膜の応力緩和層の形成が可能となり予めシート状の絶縁樹脂を用いるため、応力緩和層表面の平坦性に優れるという特徴がある。
これらの方法を単一あるいは適宜組み合せることにより所望の応力緩和層厚さ、端部傾きを得ることが可能となる。
次に、半導体装置の他の実施例を示す。図29は半導体装置の突起電極を変換するための基板に搭載した状態を示す断面概略図、図30はさらに半導体装置13とこれを搭載する基板の隙間を樹脂118で封止した状態を示す断面概略図であるである。
半導体装置13に形成した突起状電極1を基板上の対応する電極120上にはんだぺーストあるいはフラックス等を介して搭載し、リフロー炉等により前記突起状電極を溶融させ基板115と半導体装置13の接続を行う。半導体装置を搭載する基板は、半導体素子搭載面の裏面に各種電子機器に用いられる基板に搭載するための電極120および必要に応じて突起状電極121を有する。
半導体装置13を各種電子機器に用いられる基板に搭載する際、基板115上に設けた突起状電極121を加熱溶融させる必要がある。これらの実装工程および各種試験における信頼性、特に落下衝撃試験に対する信頼性成績をさらに向上させるため、半導体装置13と基板115の間を樹脂118で補強したものである。
半導体装置13と基板115間を充填する樹脂118は、一般の半導体封止用に使用される液状のエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等が使用可能であり、封止樹脂の熱膨張係数や弾性率を調整するためシリカ、アルミナ、窒化ホウ素等の無機材料からなる粒子を一種類あるいは二種類以上配合し、また必要に応じてシリコーンや熱可塑性樹脂等樹脂、アルコキシシランやチタネート等からなるカップリング剤、着色剤、難燃性を付与させるための難燃剤や難燃助剤樹脂層の硬化反応を促進させるための硬化促進剤等を配合することが可能である。
本実施例では、半導体装置上の突起状電極のピッチと各種電子機器に用いられている基板の電極のピッチが異なる場合であっても、所定の基板を介することにより各種電子機器に接続する事が可能となる。
なお、半導体装置となる基板への実装と同様に、一般電子機器に用いられる回路基板に実装する場合も同様とする。
1…バンプ、1aa…縦長バンプ、2…Auめっき、3…バンプパッド、4…再配線用配線、5…応力緩和層、6…表面保護膜、7…アルミパッド、8…保護膜、9…半導体が形成されたウェーハ、10…バンプ、11…金属配線、12…絶縁層、13…半導体装置、14…回路基板、15…アンダーフィル、16…給電膜、17…配線の逆パターン、18…アルミパッドと配線の接続部分、19…下層部分との境界、20…隙間、21…露光マスク、22…レジスト、23…アルミパッドとの接続部、24…切断部、25…ニッケル合金製ステンシル、26…樹脂シート、27…枠、28…印刷マスクのパターン開口部、102…シリカ粒子、110…メモリセル、115…基板、116…電極、118…樹脂、120…電極、121…電極

Claims (9)

  1. (a)半導体素子と、前記半導体素子の上部に形成され、かつ回路電極の上部を除いて形成された保護膜とを有するウエハを準備する工程と、
    (b)前記保護膜の上部であって、前記半導体素子の前記回路電極を除く領域に第1の絶縁膜を形成する工程と、
    (c)給電膜を前記第1の絶縁膜の上部に形成する工程と、
    (d)前記給電膜の上部に、配線の逆パターン形状を有するレジストを形成する工程と、
    (e)前記レジストを用いて、前記回路電極に電気的に接続される配線を形成する工程と、
    を有し、
    前記(e)工程は、
    (e1)電気めっきにより銅配線層を形成する工程と、
    (e2)前記銅配線層の上部に電気めっきによりニッケル層を形成する工程と、
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
    外部接続端子が電気的に接続する前記配線の接続部に、金膜を形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記(e)工程の後、外部接続端子が電気的に接続する前記配線の接続部に開口を有する第2の絶縁膜を形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 請求項3に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜は、前記ウエハをチップ状の半導体装置に切断する際の切断部を除く領域に形成され、
    前記第2の絶縁膜形成後、前記切断部を切断して、前記ウエハを個々の半導体装置に切断する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 半導体素子の上部に形成され、かつ回路電極の上部を除いて形成された保護膜と、
    前記保護膜の上部であって、前記半導体素子の前記回路電極を除く領域に形成された第1の絶縁膜と、
    前記第1の絶縁膜の上に形成され、かつ、前記回路電極に電気的に接続する配線と、
    を有し、
    前記配線は、電気めっきにより形成された銅配線層と、
    前記銅配線層の上部に、電気めっきにより形成され、かつ前記銅配線層と略同一平面形状のニッケル層と、
    を有することを特徴とする半導体装置。
  6. 請求項5に記載の半導体装置において、
    外部接続端子が電気的に接続する前記配線の接続部に、金膜が形成されることを特徴とする半導体装置。
  7. 請求項5に記載の半導体装置において、
    外部接続端子が電気的に接続する前記配線の接続部に開口を有する第2の絶縁膜を有することを特徴とする半導体装置。
  8. 請求項7に記載の半導体装置において、
    前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜は、前記半導体装置の切断部を除く領域に形成されることを特徴とする半導体装置。
  9. 請求項7に記載の半導体装置において、
    前記第2の絶縁膜は、ポリイミド樹脂で構成されることを特徴とする半導体装置。
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